IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ナイキジェン,リミテッドの特許一覧

特許7481755組換えパルボウイルスベクターならびにその作製および使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】組換えパルボウイルスベクターならびにその作製および使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/864 20060101AFI20240502BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20240502BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20240502BHJP
【FI】
C12N15/864 100Z
C12N7/01
C12N15/113 Z ZNA
【請求項の数】 46
(21)【出願番号】P 2021525009
(86)(22)【出願日】2019-11-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 US2019059396
(87)【国際公開番号】W WO2020092904
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-06-14
(31)【優先権主張番号】62/755,144
(32)【優先日】2018-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521193315
【氏名又は名称】ナイキジェン,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135415
【弁理士】
【氏名又は名称】中濱 明子
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,ウェイドン
(72)【発明者】
【氏名】ユー,シャンピン
【審査官】藤澤 雅樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-500858(JP,A)
【文献】特表2012-516147(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0362608(US,A1)
【文献】特表2003-511025(JP,A)
【文献】World J. Virol.,2012年,Vol.1, No.3,pp.79-90
【文献】NATURE METHODS,2006年,Vol.3 No.9,pp.701-706
【文献】Planta,2014年,Vol.239,pp.543-564
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重鎖パルボウイルス粒子であって、
パルボウイルスキャプシドと、
5’から3’の方向に、
(a)5’末端のパルボウイルス末端反復;
(b)3’末端のパルボウイルス末端反復;
(c)(a)と(b)の末端反復の間の二本鎖(DS)DNAドメインであって、第2の異種ヌクレオチド配列にアニールされた、自己相補性の第1の異種ヌクレオチド配列を含むDS-DNAドメイン;および
(d)第1の異種ヌクレオチド配列と第2の異種ヌクレオチド配列との間の一本鎖共有結合閉鎖末端(SS-CCE)ドメインであって、ループ構造を含むSS-CCEドメイン
を含むベクターゲノムと
を含み、SS-CCEドメインは(a)第1の異種ヌクレオチド配列と第2のヌクレオチド配列とを連結する単一の共有結合であるか、または(b)一本鎖DNA領域であり;DSドメイン内のアニールされた部分を連結する閉じた一本鎖領域を含む非相補的配列をSS-CCEドメインが含み;
DSドメインが、変異型逆位末端反復(mTR)配列またはショートヘアピンDNA(shDNA)配列由来の20を超える連続ヌクレオチド塩基対を含む自己アニールされたステム部分と連続しておらず、
ベクターゲノムが、二重鎖パルボウイルス粒子を産生するために十分なヘルパー機能を発現する宿主細胞に導入されるとき、複製されて二重鎖パルボウイルス粒子を形成することができ、
SS-CCEドメインが、変異型逆位末端反復(mTR)またはショートヘアピンDNA(shDNA)配列由来の20を超える連続ヌクレオチドを含まなず;
パルボウイルス粒子はAAVである、
二重鎖パルボウイルス粒子。
【請求項2】
SS-CCEドメインが、3~4,000ヌクレオチド、50~4,000ヌクレオチド、1,000~4,000ヌクレオチド、3~2,000ヌクレオチド、50~2,000ヌクレオチド、250~2,000ヌクレオチド、または500~2,000ヌクレオチドを含む、請求項1に記載のパルボウイルス粒子。
【請求項3】
SS-CCEドメインが、タンパク質またはRNAをコードする配列を含む、請求項1に記載のパルボウイルス粒子。
【請求項4】
タンパク質またはRNAをコードする配列が、それに作動可能に連結された下流ポリアデニル化シグナルをさらに含む、請求項3に記載のパルボウイルス粒子。
【請求項5】
第1の異種ヌクレオチド配列が、第2の異種ヌクレオチド配列に対して95%超、99%超、または100%の逆相補性を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のパルボウイルス粒子。
【請求項6】
DSドメインが、タンパク質またはRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーターを含む、請求項1~のいずれか1項に記載のパルボウイルス粒子。
【請求項7】
DSドメインが、タンパク質またはRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリアデニル化シグナルをさらに含む、請求項6に記載のパルボウイルス粒子。
【請求項8】
DSドメインが、ループ状のまたは分岐した一本鎖DNAによって中断されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のパルボウイルス粒子。
【請求項9】
ループ状のまたは分岐した一本鎖DNAが、タンパク質またはRNAをコードするヌクレオチドを含む、請求項8に記載のパルボウイルス粒子。
【請求項10】
タンパク質またはRNAをコードする配列が、それに作動可能に連結された下流ポリアデニル化シグナルをさらに含む、請求項9に記載のパルボウイルス粒子。
【請求項11】
(a)のパルボウイルス末端反復が、左末端ヘアピン(LEH)を含み、(b)の末端反復が、右末端ヘアピン(REH)を含む、請求項1~のいずれか一項に記載のパルボウイルス粒子。
【請求項12】
パルボウイルス末端反復が、アデノ随伴ウイルス(AAV)逆位末端反復(ITR)を含む、請求項1~のいずれか一項に記載のパルボウイルス粒子。
【請求項13】
請求項1に記載のパルボウイルス粒子を作製するための方法であって、
(a)断片を含むプラスミドを用意する工程であって、断片が、5’から3’の方向に、(i)左末端ヘアピン(LEH)または逆位末端反復(ITR)を含むパルボウイルス末端反復、(ii)タンパク質またはRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーター、および(iii)プラスミド内のヌクレアーゼ切断部位を含む、プラスミドを用意する工程と、
(b)目的の核酸に隣接するパルボウイルス末端反復を含む核酸を複製するために十分な1つまたは複数のヘルパー遺伝子を含む宿主細胞を用意する工程と、
(c)プラスミドを線状にするために十分な条件下で、プラスミドをヌクレアーゼ切断部位に特異的なヌクレアーゼ酵素で消化する工程であって、プラスミドがin vitroで消化されるか、または宿主細胞内で消化される、消化する工程と、
(d)プラスミドをDNAリガーゼで自身にライゲーションする工程であって、プラスミドがin vitroでライゲーションされるか、または宿主細胞内でライゲーションされる、ライゲーションする工程と、
(e)工程(d)の完了後にパルボウイルス粒子を産生するために適した条件下で工程(c)および(d)に従って処理されたプラスミドを含む宿主細胞を培養する工程と、
(f)工程(f)で産生されたパルボウイルス粒子を回収する工程と
を含む方法。
【請求項14】
断片がパルボウイルスLEHを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
断片がAAV ITRを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
プラスミドが断片の下流にサブ断片をさらに含み、
サブ断片が、5’から3’の方向に、(i)telR結合部位、(ii)TelNヌクレアーゼ認識切断部位、および(iii)tell結合部位を含み;
プラスミドが消化され、TelN酵素で自己ライゲーションされ;かつ
プラスミドがin vitroで消化および自己ライゲーションされるか、または宿主細胞内で消化および自己ライゲーションされる、
請求項13~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1に記載のパルボウイルス粒子を作製するための方法であって、
(a)第1の断片を含む第1のプラスミドを用意する工程であって、第1の断片が、5’から3’の方向に、(i)左末端ヘアピン(LEH)または逆位末端反復(ITR)を含むパルボウイルス末端反復;(ii)タンパク質またはRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーター;および(iii)第1のプラスミド内の第1のヌクレアーゼ切断部位を含む、第1のプラスミドを用意する工程と、
(b)第2の断片を含む第2のプラスミドを用意する工程であって、第2の断片が、5’から3’の方向に、(i)右末端ヘアピン(REH)またはITRを含むパルボウイルス末端反復;(ii)プロモーター;(iii)タンパク質またはRNAをコードする核酸;および(iv)第2のプラスミド内の第2のヌクレアーゼ切断部位を含み、第2の断片が、第1の断片に存在しない1つまたは複数の連続するヌクレオチド塩基対をさらに含むことを除いて、第1の断片と同一である、第2のプラスミドを用意する工程と、
(c)目的の核酸に隣接するパルボウイルス末端反復を含む核酸を複製するために十分な1つまたは複数のヘルパー遺伝子を含む宿主細胞を用意する工程と、
(d)第1のプラスミドを線状にするために十分な条件下で、第1のプラスミドを、(a)(iii)のヌクレアーゼ切断部位に特異的なヌクレアーゼ酵素で消化する工程であって、第1のプラスミドがin vitroで消化されるか、または宿主細胞内で消化される、消化する工程と、
(e)第2のプラスミドを線状にするために十分な条件下で、第2のプラスミドを、(b)(iv)のヌクレアーゼ切断部位に特異的なヌクレアーゼ酵素で消化する工程であって、第2のプラスミドがin vitroで消化されるか、または宿主細胞内で消化される、消化する工程と、
(f)工程(d)および(e)で消化された第1のプラスミドおよび第2のプラスミドをDNAリガーゼでライゲーションする工程であって、消化された第1のプラスミドおよび第2のプラスミドがin vitroでライゲーションされるか、または宿主細胞内でライゲーションされる、ライゲーションする工程と、
(g)工程(f)の完了後にパルボウイルス粒子を産生するために適した条件下で工程(d)~(f)に従って処理された第1のプラスミドおよび第2のプラスミドを含む宿主細胞を培養する工程と、
(h)工程(g)で産生されたパルボウイルス粒子を回収する工程と
を含む方法。
【請求項18】
第1の断片がパルボウイルスLEHを含み、第2の断片がパルボウイルスREHを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
第1の断片および第2の断片のそれぞれが、AAV ITRを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
第2の断片が、(b)(iii)と(b)(iv)との間にサブ断片を含む、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
サブ断片が、3~4,000塩基対の長さ、50~4,000塩基対の長さ、1,000~4,000塩基対の長さ、3~2,000塩基対の長さ、50~2,000塩基対の長さ、250~2,000塩基対の長さ、または500~2,000塩基対の長さである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
第2の断片が、(b)(ii)と(b)(iii)との間にサブ断片を含む、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
サブ断片が、3~4,000塩基対の長さ、50~4,000塩基対の長さ、1,000~4,000塩基対の長さ、3~2,000塩基対の長さ、50~2,000塩基対の長さ、250~2,000塩基対の長さ、または500~2,000塩基対の長さである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
請求項1に記載のパルボウイルス粒子を作製するための方法であって、
(a)第1の断片を含む第1のプラスミドを用意する工程であって、第1の断片が、5’から3’の方向に、(i)左末端ヘアピン(LEH)または逆位末端反復(ITR)を含むパルボウイルス末端反復;(ii)プロモーター;(iii)タンパク質またはRNAをコードする核酸;(iv)ポリアデニル化シグナル;および(v)第1のプラスミド内の第1のヌクレアーゼ切断部位を含む、第1のプラスミドを用意する工程と、
(b)第2の断片を含む第2のプラスミドを用意する工程であって、第2の断片が、5’から3’の方向に、(i)右末端ヘアピン(REH)またはITRを含むパルボウイルス末端反復;(ii)プロモーター;および(iii)第2のプラスミド内の第2のヌクレアーゼ切断部位を含む、第2のプラスミドを用意する工程と、
(c)目的の核酸に隣接するパルボウイルス末端反復を含む核酸を複製するために十分な1つまたは複数のヘルパー遺伝子を含む宿主細胞を用意する工程と、
(d)第1のプラスミドを線状にするために十分な条件下で、第1のプラスミドを、(a)(v)のヌクレアーゼ切断部位に特異的なヌクレアーゼ酵素で消化する工程であって、第1のプラスミドがin vitroで消化されるか、または宿主細胞内で消化される、消化する工程と、
(e)第2のプラスミドを線状にするために十分な条件下で、第2のプラスミドを、(b)(iii)のヌクレアーゼ切断部位に特異的なヌクレアーゼ酵素で消化する工程であって、第2のプラスミドがin vitroで消化されるか、または宿主細胞内で消化される、消化する工程と、
(f)工程(d)および(e)で消化された第1のプラスミドおよび第2のプラスミドをDNAリガーゼでライゲーションする工程であって、消化された第1のプラスミドおよび第2のプラスミドがin vitroでライゲーションされるか、または宿主細胞内でライゲーションされる、ライゲーションする工程と、
(g)工程(f)の完了後にパルボウイルス粒子を産生するために適した条件下で工程(d)~(f)に従って処理された第1のプラスミドおよび第2のプラスミドを含む宿主細胞を培養する工程と、
(h)工程(g)で産生されたパルボウイルス粒子を回収する工程と
を含む方法。
【請求項25】
第1の断片がパルボウイルスLEHを含み、第2の断片がパルボウイルスREHを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
第1の断片および第2の断片のそれぞれが、AAV ITRを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
(a)(iii)のタンパク質またはRNAをコードする核酸が、3~4,000塩基対の長さ、50~4,000塩基対の長さ、1,000~4,000塩基対の長さ、3~2,000塩基対の長さ、50~2,000塩基対の長さ、250~2,000塩基対の長さ、または500~2,000塩基対の長さである、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
請求項1に記載のパルボウイルス粒子を作製するための方法であって、
(a)第1の断片を含む第1のプラスミドを用意する工程であって、第1の断片が、5’から3’の方向に、(i)左末端ヘアピン(LEH)または逆位末端反復(ITR)を含むパルボウイルス末端反復;(ii)プロモーター;(iii)第1のポリアデニル化シグナル;(iv)第1のタンパク質または第1のRNAをコードする逆相補的核酸であって、第1のタンパク質および第1のRNAのそれぞれが、右から左への極性を有する、逆相補的核酸;(v)第2のタンパク質または第2のRNAをコードする核酸であって、第2のタンパク質および第2のRNAのそれぞれが、左から右への極性を有する、核酸;(vi)第2のポリアデニル化シグナル;ならびに(vii)第1のプラスミド内の第1のヌクレアーゼ切断部位を含む、第1のプラスミドを用意する工程と、
(b)第2の断片を含む第2のプラスミドを用意する工程であって、第2の断片が、5’から3’の方向に、(i)右末端ヘアピン(REH)またはITRを含むパルボウイルス末端反復;(ii)(a)(ii)のプロモーター;(iii)第2のタンパク質または第2のRNAをコードする核酸であって、第2のタンパク質および第2のRNAのそれぞれが、左から右への極性を有する、核酸;(iv)ポリアデニル化シグナル;ならびに(v)第2のプラスミド内の第2のヌクレアーゼ切断部位を含む、第2のプラスミドを用意する工程と、
(c)目的の核酸に隣接するパルボウイルス末端反復を含む核酸を複製するために十分な1つまたは複数のヘルパー遺伝子を含む宿主細胞を用意する工程と、
(d)第1のプラスミドを線状にするために十分な条件下で、第1のプラスミドを、(a)(vii)のヌクレアーゼ切断部位に特異的なヌクレアーゼ酵素で消化する工程であって、第1のプラスミドがin vitroで消化されるか、または宿主細胞内で消化される、消化する工程と、
(e)第2のプラスミドを線状にするために十分な条件下で、第2のプラスミドを、(b)(v)のヌクレアーゼ切断部位に特異的なヌクレアーゼ酵素で消化する工程であって、第2のプラスミドがin vitroで消化されるか、または宿主細胞内で消化される、消化する工程と、
(f)工程(d)および(e)で消化された第1のプラスミドおよび第2のプラスミドをDNAリガーゼでライゲーションする工程であって、消化された第1のプラスミドおよび第2のプラスミドがin vitroでライゲーションされるか、または宿主細胞内でライゲーションされる、ライゲーションする工程と、
(g)工程(f)の完了後にパルボウイルス粒子を産生するために適した条件下で工程(d)~(f)に従って処理された第1のプラスミドおよび第2のプラスミドを含む宿主細胞を培養する工程と、
(h)工程(g)で産生されたパルボウイルス粒子を回収する工程と
を含む方法。
【請求項29】
第1の断片がパルボウイルスLEHを含み、第2の断片がパルボウイルスREHを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
第1および第2の断片のそれぞれが、AAV ITRを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
(a)(iv)、(a)(v)、またはその両方のタンパク質またはRNAをコードする核酸が、3~4,000塩基対の長さ、50~4,000塩基対の長さ、1,000~4,000塩基対の長さ、3~2,000塩基対の長さ、50~2,000塩基対の長さ、250~2,000塩基対の長さ、または500~2,000塩基対の長さである、請求項28~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
(b)(iii)のタンパク質またはRNAをコードする核酸が、3~4,000塩基対の長さ、50~4,000塩基対の長さ、1,000~4,000塩基対の長さ、3~2,000塩基対の長さ、50~2,000塩基対の長さ、250~2,000塩基対の長さ、または500~2,000塩基対の長さである、請求項28~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
請求項1に記載のパルボウイルス粒子を作製するための方法であって、
(a)第1の断片を含む第1のプラスミドを用意する工程であって、第1の断片が、5’から3’の方向に、(i)左末端ヘアピン(LEH)または逆位末端反復(ITR)を含むパルボウイルス末端反復;(ii)左から右への極性を有するプロモーター;(iii)左から右への極性を有する第1のタンパク質または第1のRNAをコードする核酸;(iv)左から右への極性を有するポリアデニル化シグナル;および(v)第1のプラスミド内の第1のヌクレアーゼ切断部位を含む、第1のプラスミドを用意する工程と、
(b)第2の断片を含む第2のプラスミドを用意する工程であって、第2の断片が、5’から3’の方向に、(i)第1のヌクレアーゼ切断部位;(ii)右から左への極性を有する第1のポリアデニル化シグナル;(iii)(a)(iii)の第1のタンパク質または第1のRNAをコードする核酸であって、第1のタンパク質または第1のRNAが、右から左への極性を有する核酸;(iv)第2のタンパク質または第2のRNAをコードする核酸であって、第2のタンパク質および第2のRNAのそれぞれが、左から右への極性を有する核酸;(v)第2のポリアデニル化シグナル;および(vi)第2のヌクレアーゼ切断部位を含み、(b)(i)の切断部位および(a)(v)の切断部位が同じである、第2のプラスミドを用意する工程と、
(c)第3の断片を含む第3のプラスミドを用意する工程であって、第3の断片が、5’から3’の方向に、(i)左末端ヘアピン(LEH)または逆位末端反復(ITR)を含むパルボウイルス末端反復;(ii)左から右への極性を有する、(a)(ii)のプロモーター;(iii)(b)(iv)の第2のタンパク質または第2のRNAをコードする核酸であって、第2のタンパク質および第2のRNAのそれぞれが、左から右への極性を有する、核酸;(iv)左から右への極性を有するポリアデニル化シグナル;ならびに(v)第3のプラスミドに固有の第3のヌクレアーゼ切断部位を含み、(b)(iv)の切断部位と、(c)(v)の切断部位が同じである、第3のプラスミドを用意する工程と、
(d)目的の核酸に隣接するパルボウイルス末端反復を含む核酸を複製するために十分な1つまたは複数のヘルパー遺伝子を含む宿主細胞を用意する工程と、
(e)第1のプラスミドを線状にするために十分な条件下で、第1のプラスミドを、(a)(v)のヌクレアーゼ切断部位に特異的なヌクレアーゼ酵素で消化する工程であって、第1のプラスミドがin vitroで消化されるか、または宿主細胞内で消化される、消化する工程と、
(f)第2のプラスミドを消化するために十分な条件下で、第2のプラスミドを、(b)(i)のヌクレアーゼ切断部位に特異的なヌクレアーゼ酵素で消化し、および第2のプラスミドを、(b)(vi)のヌクレアーゼ切断部位に特異的なヌクレアーゼ酵素で消化する工程であって、第2のプラスミドがin vitroで消化されるか、または宿主細胞内で消化される、消化する工程と、
(g)第3のプラスミドを線状にするために十分な条件下で、第3のプラスミドを、(c)(v)のヌクレアーゼ切断部位に特異的なヌクレアーゼ酵素で消化する工程であって、第3のプラスミドがin vitroで消化されるか、または宿主細胞内で消化される、消化する工程と、
(h)線状にされた第1のプラスミド断片、第2の断片、および線状にされた第3のプラスミド断片を、DNAリガーゼで一緒にライゲーションする工程であって、ライゲーションがin vitroまたは宿主細胞内で行われる、ライゲーションする工程と、
(i)工程(h)の完了後にパルボウイルス粒子を産生するために適した条件下で工程(e)~(h)に従って処理された第1のプラスミド、第2のプラスミド、および第3のプラスミドを含む宿主細胞を培養する工程と、
(j)工程(i)で産生されたパルボウイルス粒子を回収する工程と
を含む方法。
【請求項34】
第1の断片がパルボウイルスLEHを含み、第3の断片がパルボウイルスREHを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
第1の断片および第3の断片のそれぞれが、AAV ITRを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
(a)(iii)、(b)(ii)、またはその両方の第1のタンパク質または第1のRNAをコードする核酸が、3~4,000塩基対の長さ、50~4,000塩基対の長さ、1,000~4,000塩基対の長さ、3~2,000塩基対の長さ、50~2,000塩基対の長さ、250~2,000塩基対の長さ、または500~2,000塩基対の長さである、請求項33~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
(b)(iv)、(c)(iii)、またはその両方の第2のタンパク質または第2のRNAをコードする核酸が、3~4,000塩基対の長さ、50~4,000塩基対の長さ、1,000~4,000塩基対の長さ、3~2,000塩基対の長さ、50~2,000塩基対の長さ、250~2,000塩基対の長さ、または500~2,000塩基対の長さである、請求項33~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
自己相補的AAVである、請求項1に記載のパルボウイルス粒子を作製するための方法であって、
(a)断片を含むプラスミドを用意する工程であって、断片が、5’から3’の方向に、(i)AAV ITRを含むパルボウイルス末端反復;(ii)タンパク質またはRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーター;(iii)変異型逆位末端反復(mITR)の少なくとも半分またはショートヘアピンDNA(shDNA)の少なくとも半分;および(iv)ヌクレアーゼ切断部位を含む、プラスミドを用意する工程と、
(b)目的の核酸に隣接するパルボウイルス末端反復を含む核酸を複製するために十分な1つまたは複数のヘルパー遺伝子を含む宿主細胞を用意する工程と、
(c)プラスミドを線状にするために十分な条件下で、プラスミドをヌクレアーゼ切断部位に特異的なヌクレアーゼ酵素で消化する工程であって、プラスミドがin vitroで消化されるか、または宿主細胞内で消化される、消化する工程と、
(d)プラスミドをDNAリガーゼで自身にライゲーションする工程であって、プラスミドが、mTRまたはshDNA配列を含むヘアピンが形成されるように、in vitroでライゲーションされるか、または宿主細胞内でライゲーションされる、ライゲーションする工程と、
(e)工程(d)の完了後にパルボウイルス粒子を産生するために適した条件下で工程(c)および(d)に従って処理されたプラスミドを含む宿主細胞を培養する工程と、
(f)工程(f)で産生されたパルボウイルス粒子を回収する工程と
を含む方法。
【請求項39】
自己相補的AAVである、請求項1に記載のパルボウイルス粒子を作製するための方法であって、
(a)断片を含む第1のプラスミドを用意する工程であって、断片が、5’から3’の方向に、(i)AAV ITRを含むパルボウイルス末端反復;(ii)タンパク質またはRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーター;(iii)部分mTRまたは部分shDNA;および(iv)ヌクレアーゼ切断部位を含む、第1のプラスミドを用意する工程と、
(b)断片を含む第2のプラスミドを用意する工程であって、断片が、5’から3’の方向に、(i)AAV ITRを含むパルボウイルス末端反復;(ii)タンパク質またはRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーター;(iii)部分mTRまたは部分shDNA;および(iv)ヌクレアーゼ切断部位を含む、第2のプラスミドを用意する工程と、
(c)目的の核酸に隣接するパルボウイルス末端反復を含む核酸を複製するために十分な1つまたは複数のヘルパー遺伝子を含む宿主細胞を用意する工程と、
(d)第1のプラスミドを線状にするために十分な条件下で、第1のプラスミドを、(a)(iii)のヌクレアーゼ切断部位に特異的なヌクレアーゼ酵素で消化する工程であって、第1のプラスミドがin vitroで消化されるか、または宿主細胞内で消化される、消化する工程と、
(e)第2のプラスミドを線状にするために十分な条件下で、第2のプラスミドを、(b)(iv)のヌクレアーゼ切断部位に特異的なヌクレアーゼ酵素で消化する工程であって、第2のプラスミドがin vitroで消化されるか、または宿主細胞内で消化される、消化する工程と、
(f)工程(d)および(e)で消化された第1のプラスミドおよび第2のプラスミドをDNAリガーゼでライゲーションする工程であって、消化された第1のプラスミドおよび第2のプラスミドが、mTRまたはshDNA配列を含むヘアピンが形成されるように、in vitroでライゲーションされるか、または宿主細胞内でライゲーションされる、ライゲーションする工程と、
(g)工程(f)の完了後にパルボウイルス粒子を産生するために適した条件下で工程(d)~(f)に従って処理された第1のプラスミドおよび第2のプラスミドを含む宿主細胞を培養する工程と、
(h)工程(g)で産生されたパルボウイルス粒子を回収する工程と
を含む方法。
【請求項40】
自己相補的AAVである、請求項1に記載のパルボウイルス粒子を作製するための方法であって、
(a)断片を含むプラスミドを用意する工程であって、断片が、5’から3’の方向に、(i)AAV ITRを含むパルボウイルス末端反復;(ii)タンパク質またはRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーター;および(iii)プラスミド内のヌクレアーゼ切断部位を含む、プラスミドを用意する工程と、
(b)mITRの少なくとも半分またはshDNAの少なくとも半分を含むDNA断片を用意する工程と、
(c)目的の核酸に隣接するパルボウイルス末端反復を含む核酸を複製するために十分な1つまたは複数のヘルパー遺伝子を含む宿主細胞を用意する工程と、
(d)プラスミドを線状にするために十分な条件下で、プラスミドを、ヌクレアーゼ切断部位に特異的なヌクレアーゼ酵素で消化する工程であって、プラスミドがin vitroで消化されるか、または宿主細胞内で消化される、消化する工程と、
(e)プラスミドをDNAリガーゼでDNA断片にライゲーションする工程であって、プラスミドが、mTRまたはshDNA配列を含むヘアピンが形成されるように、in vitroでライゲーションされるか、または宿主細胞内でライゲーションされる、ライゲーションする工程と、
(f)工程(e)の完了後にパルボウイルス粒子を産生するために適した条件下で工程(d)および(t)に従って処理されたプラスミドを含む宿主細胞を培養する工程と、
(g)工程(f)で産生されたパルボウイルス粒子を回収する工程と
を含む方法。
【請求項41】
請求項1に記載のパルボウイルス粒子のベクターゲノムであって、5’から3’の方向に、
(1)5’末端のパルボウイルス末端反復;
(2)(a)プロモーター領域、または(b)ポリAもしくはポリT配列、または(a)および(b)の両方を含む、第1の調節領域、
(3)第1の異種ヌクレオチド配列、
(4)共有結合性閉鎖末端(CCE)ドメイン、
(5)第2の異種ヌクレオチド配列、
(6)(a)プロモーター領域、または(b)ポリAもしくはポリT配列、または(a)および(b)の両方を含む、第1の調節領域、ならびに
(7)3’末端のパルボウイルス末端反復
を含み、
第1の調節配列は第2の異種配列に相補的であり、ベクターゲノムにおいて二本鎖領域(DSドメイン)を形成し、
CCEドメインが、(a)第1の異種ヌクレオチド配列と第2のヌクレオチド配列とを連結する単一の共有結合、または(b)一本鎖DNA領域であり、かつ
ベクターゲノムが、ベクターゲノムのDSドメインから二本鎖(DS)-RNA分子を作製することができる、
ベクターゲノム。
【請求項42】
DSドメインが、変異型逆位末端反復(mTR)配列またはショートヘアピンRNA(shRNA)コード配列由来の20を超える連続ヌクレオチド塩基対を含む自己アニールステム部分と連続していない、請求項41に記載のベクターゲノム。
【請求項43】
CCEドメインが、mTR配列、またはshRNAコード配列、またはその両方を含まない、請求項41に記載のベクターゲノム。
【請求項44】
CCEドメインが、0~50ヌクレオチドを含む、請求項41に記載のベクターゲノム。
【請求項45】
CCEドメインが、51~4000ヌクレオチドを含む、請求項41に記載のベクターゲノム。
【請求項46】
dsRNA分子を作製するための方法であって、
(1)宿主産生細胞を増殖する工程と、
(2)宿主産生細胞に、請求項41に記載のベクターゲノムを導入する工程と、
(3)宿主産生細胞に、ヘルパー遺伝子を導入する工程と、
(4)宿主産生細胞を少なくとも12時間インキュベートする工程であって、ベクターゲノムがdsRNA分子を発現する、インキュベートする工程と
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
[0001]本願は、2018年11月2日に出願された、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国仮出願第62/755,144号の優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
[0002]本願は、全体的に、組換えウイルスベクター、特に、共有結合性閉鎖末端(covalently closed end)を有する二本鎖領域を有するウイルスゲノムを有するパルボウイルスベクターに関する。
【発明の概要】
【0003】
[0003]本願は、共有結合性閉鎖末端を有するウイルスゲノムを有するパルボウイルスベクター(ccePVベクター)、そのようなベクターを産生するための方法、およびそのようなベクターを産生するために使用されるDNA構築物を記載する。ベクターおよび方法は、全ての遺伝子移入/遺伝子療法用途、例えば、組換え遺伝子発現カセットの送達を必要とする遺伝子移入/遺伝子療法用途に適用可能である。ccePVベクターは、非常にフレキシブルであり、使い勝手がよく、(日常的なDNAクローニングを介して)容易に修飾することができ、様々な用途に(標準的なPVベクターまたはAAVベクター技術を介して)利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】[0004]図1、パネル(A)は、目的遺伝子(GOI)をコードする発現カセットに隣接する野生型ITRを有する一本鎖AAVゲノムを作製するための従来の組換えAAV(rAAV)ベクタープラスミドを示す。パネル(B)中の一本鎖AAVゲノムは、AAV粒子にパッケージされる。パネル(C)は、mITRのいずれかの側の自己相補的配列を介して自身に折り返すかまたはアニールする、パネル(D)(左側)に示される一本鎖前駆体から形成される二本鎖scAAVゲノムを作製するための従来の自己相補的AAV(scAAV)ベクタープラスミドを示す。この場合、一本鎖ベクターゲノムは、いずれの末端にも野生型ITR(wtITR)を含む。パネル(D)の右側には、ウイルス粒子にパッケージされたベクターゲノムが示され、相補的領域がアニーリングして、図示される二本鎖scAAVゲノムを形成することを示す。パネル(A)および(C)中の2つのプラスミドは、細菌宿主中で安定して増殖することができる。
図2】[0005]図2は、パッケージされた様々なAAV鋳型からの導入遺伝子発現の経路を示す。パネル(A)は、導入遺伝子発現のための二本鎖DNA鋳型を形成するための、一本鎖組換えAAV(rAAV)DNAからの第2鎖合成を示す。パネル(B)は、パネル(A)に示す中間第2鎖合成工程なしで導入遺伝子の転写を容易にすることができる、3’末端に共有結合性閉鎖末端(CCE)ドメインを有する二重鎖DNAを含むscAAVを示す。パネル(C)は、mTRまたはshDNAではない、CCEドメインを含む、完全に相補的なゲノムを有するcceAAV-ZLを示す。パネル(C)において、CCEドメインは、安定したステム構造が形成されることを可能にするために、通常、いくつかのヌクレオチド(2~5ヌクレオチド)のssDNA領域を含む。scAAVと比較して、パネル(C)に示されるcceAAV-ZLでは、mTRまたはshDNAが必要とされない。これにより、他の点では同一のscAAVベクターと比較して、cceAAV-ZLにおけるパッケージング容量の増加が可能になる。
図3】[0006]図3、パネル(A)は、一本鎖(ss)DNAの長い非相補的領域を含むcceAAVの一実施形態を示す。パネル(B)は、相補的な二本鎖領域内に一本鎖ループ領域(またはバルジ領域)を含むcceAAVの別の実施形態を示す。非相補ssDNAは、アプタマー/デオキシリボザイムコード配列、ポリペプチドコード配列、siRNAコード配列、miRNAコード配列、shRNAコード配列、ポリアデニル化シグナル、インシュレーター配列等の任意のDNA配列を含むことができる。アプタマーは、それに隣接するフランキング相補的DNA配列への連結/結合を通じて安定化されてもよい。cceAAV-LSにおけるssDNAは、遺伝子編集またはDNA修復用途のための効率的な鋳型である。
図4】[0007]図4は、従来のパルボウイルスベクターおよび様々なcce-パルボウイルスベクターを含む、いくつかのパルボウイルスベクターの実施形態を示す。パネル(A)は、一本鎖(ss)DNAゲノムを有する従来のパルボウイルスを示す。パネル(B)は、相補的な二本鎖(ds)ゲノムを有するcce-パルボウイルスを示す。パネル(C)は、ds鋳型の一本鎖上にssループ領域を有するcce-パルボウイルスを示す。パネル(D)は、CCEドメインを定義し、非相補的領域を含む、目的遺伝子(GOI)の拡張ssループ領域3’を有するcce-パルボウイルスを示す。非相補的ss配列は、アプタマー/デオキシリボザイムコード配列、ポリペプチドコード配列、miRNAコード配列、shRNAコード配列、ポリアデニル化シグナル、インシュレーター配列等の任意のDNA配列を含むことができる。アプタマーは、それに隣接するフランキング相補的DNA配列への連結/結合を通じて安定化されてもよい。ccePV-LSにおける一本鎖DNAは、遺伝子編集またはDNA修復用途のための効率的な鋳型である。
図5】[0008]図5は、cceAAV-ZLベクターを産生するための例示的なライゲーション戦略を示す。まず、AAV ITRを有する出発プラスミドおよび目的遺伝子(GOI)をコードする発現カセットが、目的酵素による消化(または線状化)を容易にするために、発現カセットの3’末端に認識配列を含むように操作される。得られた断片は、3’CCEドメインを有する2つのITRを含むcceAAV-ZL粒子を産生するための3つの異なる経路に供され得る。出発プラスミドは、(1)in vitroで消化され(つまり、線状化され)、in vitroでライゲーションされ、次いで、Rep、Cap、およびpAd(および産生細胞株で供給されない追加のアデノウイルスヘルパー遺伝子)と共に、トランスフェクトされるAAV産生細胞(例えば、293、または供給された相補遺伝子を有する任意の他の細胞)にトランスフェクトされてもよく;(2)in vitroで消化され(つまり、線状化され)、Rep、CapおよびpAdと共にAAV産生細胞にトランスフェクトされ、in vivoでライゲーションされてもよく;または(3)AAV産生細胞にRep、Cap、およびpAdと共に直接トランスフェクトされ、ここで出発プラスミドがin vivoで消化され、in vivoでライゲーションされてもよい。その結果、cceAAV-ZLゲノムDNA(右上)が作製され、ウイルス粒子内にパッケージされる。ここでの図示は、アデノウイルスヘルパーを使用して293細胞で産生されたAAVについての図示である。提案される消化/ライゲーション方法に利用することができる他のヘルパーシステムとしては、ヘルペスウイルスシステム、ワクシニアウイルスシステム、バキュロウイルスシステムが挙げられる。ベクタープラスミドは、産生されるccePVおよびcceAAVベクターに対応する鋳型分子を形成するための消化/ライゲーション工程の前に、安定したエピソーム形態で宿主細胞中に存在してもよい。
図6】[0009]図6は、cceAAV-ZLベクターを生成するための例示的なin vivo消化-ライゲーション戦略をさらに示す。出発プラスミドは、AAV ITRを含み、目的遺伝子(GOI)をコードする発現カセットは、目的の酵素によるin vivo消化(または線状化)を容易にするために、発現カセットの3’末端に認識配列を含むように操作される。プラスミドは、線状化反応のための酵素を有するAAVプロデューサー細胞(例えば、293)にRep、Cap、およびpAdと共にコトランスフェクトされる。酵素は、ウイルスベクターによって送達されてもよく、AAVプロデューサー細胞ゲノムに安定して組み込まれてもよい。図6は、Cas9/gRNAヌクレアーゼで安定して組み込まれたプロデューサー細胞を示す。次いで、プラスミドは線状化され、その後、宿主細胞リガーゼによってそれ自体にライゲーションされ、示されるように、いずれの側もAAV ITRが隣接する発現カセット配列を含む、AAV産生のための鋳型を形成する。このように、DNA断片は、宿主細胞環境内で起こるin vivo消化およびライゲーション工程によって修飾される。一部の実施形態において、ヌクレオチド挿入または欠失は、ライゲーション部位へ操作されてもよい。cceAAV-ZLの閉鎖末端は、同一の配列を有してもよく、わずかな変化を有してもよい。
図7】[0010]図7は、ccePV-LSベクターの産生のための例示的な一般化された消化ライゲーション戦略を示す。2つの異なる出発プラスミドが利用される。パルボウイルス(PV)左末端ヘアピン(LEH)、PV右末端ヘアピン(REH)、およびそれらの間の発現カセットを含む第1のプラスミド(つまり、示される最も左のプラスミド)は、発現カセットの3’末端で、酵素によって、位置1で切断され、一方、発現カセットの追加の非相補的領域3’を含む第2のプラスミド(つまり、最も右のプラスミド)は、位置2で、非相補的領域の下流で、同様に切断される。第2のプラスミドは、同じ酵素によって切断されてもよく、異なる酵素によって切断されてもよい。プラスミドは、(1)in vitroで消化され、in vitroでライゲーションされ、293細胞株(または特定のパルボウイルスベクターに適合する任意の他の細胞株)などのPVプロデューサー細胞に、パルボウイルスヘルパー遺伝子と共にコトランスフェクトされてもよく;(2)in vitroで消化され、プロデューサー細胞にパルボウイルスヘルパー遺伝子と共にコトランスフェクトされ、in vivoで、プロデューサー細胞内でライゲーションされてもよく;または(3)PV産生細胞に、パルボウイルスヘルパー遺伝子と共に直接トランスフェクトされ、ここで出発プラスミドがin vivoで消化され、in vivoでライゲーションされてもよい。これら3つの経路のいずれかの結果、示されるように、目的遺伝子(GOI)に隣接するLEH配列およびREH配列を有する複製鋳型が、それらの間にPV産生細胞におけるPVベクター産生のための非相補的領域を含んで作製される。ライゲーションされた断片が非相補的領域を含むため、CCEドメインは、図の右上部に示すように、伸長された一本鎖ループまたはバルジ領域を形成する。ccePV-ZLの形成に代替的につながり得る望ましくない自己ライゲーションを排除するために、非対称消化が、シームレスクローニングまたは他の方向性クローニング技術を使用して採用されてもよい。しかしながら、第2のプラスミドにおける消化部位は、非相補的領域の始点または終点にある必要はなく、非相補的領域の中間の任意の場所にあってもよい。対照的に、第1のプラスミドと第2のプラスミドの末端が同一であるか、またはほぼ同一である場合、結果としてベクターccePV-ZLが作製され、このベクターは閉鎖末端に有意なループを有さない。ccePVは、ベクターの両方の極性または1方の極性のみをパッケージし得る。ここでの例示は、1方の極性のみを示す。
図8】[0011]図8は、図7に概説される一般的なアプローチに基づいて、cceAAV-LSベクターを産生するための例示的な消化-ライゲーション戦略を示す。2つの異なる出発プラスミドが利用される。AAV ITRおよび発現カセットを含む第1のプラスミド(つまり、示される最も左のプラスミド)が、発現カセットの3’末端で、酵素によって、位置1で切断され、一方、発現カセットの追加の非相補的領域3’を含む第2のプラスミド(つまり、最も右のプラスミド)は、位置2で、非相補的領域の下流で、同様に切断される。第2のプラスミドは、同じ酵素によって切断されてもよく、異なる酵素によって切断されてもよい。プラスミドは、(1)in vitroで消化され、in vitroでライゲーションされ、293細胞株または他のAAV細胞株などのAAV産生細胞に、Rep、CapおよびpAdと共にコトランスフェクトされてもよく;(2)in vitroで消化され、Rep、CapおよびpAdと共にプロデューサー細胞にコトランスフェクトされ、in vivoで、プロデューサー細胞内でライゲーションされてもよく;または(3)AAV産生細胞にRep、Cap、およびpAdと共に直接トランスフェクトされ、ここで出発プラスミドがin vivoで消化され、in vivoでライゲーションされてもよい。これら3つの経路のいずれかの結果、示されるように、目的遺伝子(GOI)に隣接するITRを有する複製鋳型が、それらの間にAAV産生細胞におけるAAVベクター産生のための非相補的領域を含んで作製される。ライゲーションされた断片が非相補的領域を含むため、CCEドメインは、図の右上部に示すように、伸長された一本鎖ループまたはバルジ領域を形成する。cceAAV-ZLの形成に代替的につながり得る望ましくない自己ライゲーションを排除するために、非対称消化が、シームレスクローニングまたは他の方向性クローニング技術を使用して採用されてもよい。しかしながら、第2のプラスミドにおける消化部位は、非相補的領域の始点または終点にある必要はなく、非相補的領域の中間の任意の場所にあってもよい。対照的に、第1のプラスミドと第2のプラスミドの末端が同一であるか、またはほぼ同一である場合、結果としてベクターcceAAV-ZLが生成され、このベクターは閉鎖末端に有意なループを有さない。さらに、複数断片ライゲーションおよび/またはDNAアセンブリ技術を用いて、cceAAVまたはccePVの産生のための鋳型分子を作製することができる。
図9】[0012]図9は、ccePV-BRベクターを産生するための一般的な消化-ライゲーション戦略を示す。2つの異なる出発プラスミドが利用される。GOIを含む発現カセットの上流にPV LEHを含む第1のプラスミド(つまり、示される最も左のプラスミド)は、発現カセットの3’末端で、酵素によって、位置1で切断され、一方、REH、発現カセット、およびプロモーターとGOIとの間の追加の非相補的領域を含む第2のプラスミド(つまり、最も右のプラスミド)は、位置2で、発現カセットの下流で切断される。第2のプラスミドは、同じ酵素によって切断されてもよく、異なる酵素によって切断されてもよい。プラスミドは、(1)in vitroで消化され、in vitroでライゲーションされ、293細胞株などのPVプロデューサー細胞にパルボウイルスヘルパー遺伝子と共にコトランスフェクトされてもよく;(2)in vitroで消化され、プロデューサー細胞にパルボウイルスヘルパー遺伝子と共にコトランスフェクトされ、in vivoで、プロデューサー細胞内でライゲーションされてもよく;または(3)PV産生細胞に、パルボウイルスヘルパー遺伝子と共に直接トランスフェクトされ、ここで出発プラスミドがin vivoで消化され、in vivoでライゲーションされてもよい(図示せず)。これら3つの経路のいずれかの結果として、示されるように、目的遺伝子(GOI)の発現を駆動するプロモーターの上流にLEH/REH配列、ならびにそれらの間に非相補的領域を有する複製鋳型(ccePV-BR、右上)が作製される。ライゲーションされた断片が非相補的領域を含むため、CCEドメインは、図の右上部に示すように、伸長された一本鎖ループまたはバルジ領域を形成し、このループまたはバルジ領域は、アプタマー配列などの追加の配列を収容することができる。第1および第2のプラスミド由来の対称ライゲーション産物の形成に代替的につながり得る望ましくない自己ライゲーションを排除するために、非対称消化が、シームレスクローニングまたは他の方向性クローニング技術を使用して採用されてもよい。複数のSSループ構造を有するccePV-BRは、追加の非相補的配列を含むことによって形成することができる。ccePV-BRにおけるssループは、アプタマーコード領域、または遺伝子編集のための一本鎖DNA鋳型を含んでもよい。定義された極性を有するパルボウイルスパッケージングの性質は、例えば、アプタマー配列を含む構築物が、相補鎖の影響を受けない複製鋳型を生じることを意味する。ベクターゲノムが宿主細胞によって分解/変換されるまで、アプタマー活性は維持され得る。
図10】[0013]図10は、図9に概説される一般的なアプローチに基づいて、cceAAV-BRベクターを産生するための例示的な消化-ライゲーション戦略を示す。2つの異なる出発プラスミドが利用される。AAV ITRおよび発現カセットを含む第1のプラスミド(つまり、示される最も左のプラスミド)は、発現カセットの3’末端で、酵素によって、位置1で切断され、一方、プロモーターとGOIとの間に追加の非相補的領域を含む第2のプラスミド(つまり、最も右のプラスミド)は、それ以外は同一の発現カセットの下流で、位置2で、切断される。第2のプラスミドは、同じ酵素によって切断されてもよく、異なる酵素によって切断されてもよい。プラスミドは、(1)in vitroで消化され、in vitroでライゲーションされ、293細胞株または他の適合する細胞などのAAVプロデューサー細胞に、Rep、CapおよびpAdと共にコトランスフェクトされてもよく;(2)in vitroで消化され、Rep、CapおよびpAdと共にプロデューサー細胞にコトランスフェクトされ、in vivoで、プロデューサー細胞内でライゲーションされてもよく;または(3)AAV産生細胞にRep、Cap、およびpAdと共に直接トランスフェクトされ、ここで出発プラスミドがin vivoで消化され、in vivoでライゲーションされてもよい(図示せず)。これら3つの経路のいずれかの結果として、示されるように、目的遺伝子(GOI)の発現を駆動するプロモーターの上流にAAV ITR、ならびにそれらの間に非相補的領域を有する複製鋳型(cceAAV-BR、右上)が作製される。ライゲーションされた断片が非相補的領域を含むため、CCEドメインは、図の右上部に示すように、伸長された一本鎖ループまたはバルジ領域を形成し、このループまたは領域は、アプタマー配列などの追加の配列を収容することができる。第1および第2のプラスミド由来の対称ライゲーション産物の形成に代替的につながり得る望ましくない自己ライゲーションを排除するために、非対称消化が、シームレスクローニングまたは他の方向性クローニング技術を使用して採用されてもよい。複数のssループ構造を有するcceAAV-BRは、追加の非相補的配列を含むことによって形成することができる。本明細書に記載のAAVベクターは、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルスまたはバキュロウイルスベースのAAV産生システムを含む任意の現在のAAV産生システムで産生することができる。
図11】[0014]図11は、余剰のパッケージング容量のためのccePV-XPベクターを生成するための、一般的な消化-ライゲーション戦略を示す。2つの異なる出発プラスミドが利用される。発現カセットの上流にPV LEHを含む第1のプラスミド(つまり、示される最も左のプラスミド)は、cDNAを含む発現カセットの3’末端で、酵素によって、位置1で切断され、一方、プロモーターの上流にPV REHのみ(cDNAなし)を含む第2のプラスミド(つまり、最も右のプラスミド)は、プロモーターの下流で、位置2で切断される。プラスミドは、(1)in vitroで消化され、in vitroでライゲーションされ、次いで、パルボウイルスヘルパー遺伝子と共にコトランスフェクトされてもよく;(2)in vitroで消化され、PVプロデューサー細胞にパルボウイルスヘルパー遺伝子と共にコトランスフェクトされ、in vivoでライゲーションされてもよく;または(3)in vivo消化およびin vivoライゲーションのために宿主細胞に直接コトランスフェクトされてもよい(図示せず)。その形成される構造は、cDNAに対応する非相補的ループ領域をそれぞれ含むPVゲノム(ccePV-XP、右上)を含み、これが、PV粒子にパッケージされる。したがって、PVゲノムは、コード配列およびポリアデニル化シグナルを有する一本鎖cDNA(ループ)領域に作動可能に連結されたプロモーター活性を有する二重鎖DNA領域の構成を有する。第1または第2のプラスミド由来の対称ライゲーション産物の形成に代替的につながり得る望ましくない自己ライゲーションを排除するために、非対称消化が、シームレスクローニングまたは他の方向性クローニング技術を使用して採用されてもよい。
図12】[0015]図12は、図11に概説される一般的なアプローチに基づいて、余剰のパッケージング容量のためのcceAAVベクターを産生するための、例示的な消化-ライゲーション戦略を示す。2つの異なる出発プラスミドが利用される。5’AAV ITRおよび発現カセットを含む第1のプラスミド(つまり、示される最も左のプラスミド)は、cDNAを含む発現カセットの3’末端で、酵素によって、位置1で切断され、一方、5’AAV ITRおよびプロモーターのみ(cDNAなし)を含む第2のプラスミド(つまり、最も右のプラスミド)は、プロモーターの下流で、位置2で、切断される。プラスミドは、(1)in vitroで消化され、in vitroでライゲーションされ、次いで、AAVヘルパー遺伝子と共にコトランスフェクトされてもよく;(2)in vitroで消化され、AAVプロデューサー細胞にパルボウイルスヘルパー遺伝子と共にコトランスフェクトされてもよく;または(3)in vivo消化およびin vivoライゲーションのために宿主細胞に直接コトランスフェクトされてもよい(図示せず)。その形成される構造は、cDNAに対応する非相補的ループ領域をそれぞれ含むAAVゲノム(cceAAV-XP、右上)を含み、それらの両方が、AAV粒子にパッケージされ、そのゲノムの1つのみ(プラス鎖)が、cDNAを発現することができる。したがって、AAVプラス鎖ゲノムは、完全なプロモーター活性を有する二重鎖DNA領域、ならびにコード配列およびポリアデニル化シグナルを有する一本鎖cDNA領域の構成を有する。対照的に、マイナス鎖は、二重鎖形式に変換された後に、cDNAを発現することができる。第1または第2のプラスミド由来の対称ライゲーション産物の形成に代替的につながり得る望ましくない自己ライゲーションを排除するために、非対称消化が、シームレスクローニングまたは他の方向性クローニング技術を使用して採用され得る。
図13】[0016]図13は、余剰のパッケージング容量のためのccePVベクターを産生するための、別の一般的な消化-ライゲーション戦略を示す。2つの異なる出発プラスミドが利用される。PV LEH、ならびにプロモーター、cDNA、およびポリアデニル化部位を含む発現カセットを含む第1のプラスミド(つまり、示される最も左のプラスミド)は、ポリアデニル化部位の3’で、酵素によって、位置1で切断され、一方、PV REH、ならびにプロモーター、cDNA、およびポリA部位を含む発現カセットを含む第2のプラスミド(つまり、最も右のプラスミド)は、ポリA部位の3’で、酵素によって、位置2で切断される。プラスミドは、(1)in vitroで消化され、in vitroでライゲーションされ、次いで、PVプロデューサー細胞にパルボウイルスヘルパー遺伝子と共にコトランスフェクトされてもよく;(2)in vitroで消化され、PV産生細胞にトランスフェクトされ、ここで、消化されたプラスミドがin vivoでライゲーションされてもよく;または(3)プラスミドは、in vivo消化およびin vivoライゲーションのために、パルボウイルスヘルパー遺伝子と共にPVプロデューサー細胞に直接トランスフェクトされてもよい(図示せず)。PV粒子にパッケージされた、結果として生じるPVゲノムは、cDNAに対応する非相補的ループ領域を含む。したがって、PVゲノムは、プロモーターを有する二重鎖DNA領域、およびcDNAをコードする一本長鎖DNA領域の上流のポリA部位を有する。第2のプラスミドにポリAを含めることは、PVゲノムが第2鎖DNA合成を経るときに導入遺伝子発現を低下させ得るアンチセンスDNAの産生を防止する。あるいは、または加えて、この帰結をさらに低減させるためにDNAインシュレーター配列を組み込んで、転写単位を互いに効果的に分離してもよい。このことは、自己相補的領域が、反対方向でも同様に機能し得るエンハンサー配列を含むために、重要であり得る。第1または第2のプラスミド由来の対称ライゲーション産物の形成に代替的につながり得る望ましくない自己ライゲーションを排除するために、非対称消化が、シームレスクローニングまたは他の方向性クローニング技術を使用して採用されてもよい。
図14】[0017]図14は、図13に概説される一般的なアプローチに基づいて、余剰のパッケージング容量のためのcceAAVベクターを産生するための、例示的な消化-ライゲーション戦略を示す。2つの異なる出発プラスミドが利用される。プロモーター、cDNA、およびポリA部位(本願における全てのポリA部位は、pol IIIプロモーターが使用される場合、転写終結因子であり得る)を含む発現カセットの上流にAAV ITRを含む第1のプラスミド(つまり、最も左に示すプラスミド)は、ポリA部位の3’末端で、酵素によって、位置1で切断され、一方、プロモーター、cDNA、およびポリA部位を含む発現カセットの上流のAAV ITRを含む第2のプラスミド(つまり、最も右のプラスミド)は、ポリA部位の3’で、酵素によって、位置2で切断される。プラスミドは、(1)in vitroで消化され、in vitroでライゲーションされ、次いで、AAV産生細胞にRep、CapおよびpAdと共にコトランスフェクトされてもよく;(2)in vitroで消化され、AAVプロデューサー細胞にトランスフェクトされ、ここで、消化されたプラスミドがin vivoでライゲーションされてもよく;または(3)プラスミドは、in vivo消化およびin vivoライゲーションのために、AAVプロデューサー細胞にRep、Cap、およびpAdと共に直接トランスフェクトされてもよい(図示せず)。その形成される構造は、cDNAに対応する非相補的ループ領域をそれぞれ含む2つの異なるAAVゲノム(右上)を含み、それらの両方が、AAV粒子にパッケージされる。しかしながら、そのゲノムの1つのみ(プラス鎖)が、AAVキャプシドから放出された直後にcDNAを発現することができる。その形成されたAAVプラスゲノムは、一本鎖cDNA領域の発現を駆動する完全なプロモーター活性を有する二重鎖DNA領域の構成を有する。対照的に、マイナス鎖は、ssDNAゲノムが二重鎖形態になるように変換された後にのみ、cDNAを発現することができる。第2のプラスミドにポリAを含めることは、AAVゲノムが第2鎖DNA合成を経るときに導入遺伝子発現を低下させ得るアンチセンスDNAの産生を防止する。あるいは、または加えて、この帰結をさらに低減させるためにDNAインシュレーター配列を組み込んで、転写単位を互いに効果的に分離してもよい。このことは、自己相補的領域が、反対方向でも同様に機能し得るエンハンサー配列を含むために、重要であり得る。第1または第2のプラスミド由来の対称ライゲーション産物の形成に代替的につながり得る望ましくない自己ライゲーションを排除するために、非対称消化が、シームレスクローニングまたは他の方向性クローニング技術を使用して採用されてもよい。
図15】[0018]図15は、単一のプロモーターを使用して2つの遺伝子を発現するためのccePV-二重ベクターを産生するための、別の一般的な消化-ライゲーション戦略を示す。2つの異なる出発プラスミドが利用される。第1のプラスミド(つまり、示される最も左のプラスミド)は、対向する鎖上にステムループ構造を含むLEH領域、続いて、5’-3’方向のプロモーター、続いて、3’-5’方向の第1の遺伝子(つまり、ルシフェラーゼ、Luc)のための発現カセットを含む。さらに、Luc領域を包含する第2鎖は、非相補的領域を含む。第1のプラスミドは、第1の酵素によって、位置1で切断され、一方、GFP発現カセットを含む第2のプラスミド(つまり、最も右のプラスミド)は、第2の酵素によって、位置2で切断される。プラスミドは、(1)in vitroで消化され、in vitroでライゲーションされ、次いで、PVプロデューサー細胞にパルボウイルスヘルパー遺伝子と共にコトランスフェクトされてもよく;(2)in vitroで消化され、PV産生細胞にパルボウイルスヘルパー遺伝子と共にトランスフェクトされ、ここで、消化されたプラスミドがin vivoでライゲーションされてもよく;または(3)プラスミドは、in vivo消化およびin vivoライゲーションのために、PV産生細胞にパルボウイルスヘルパー遺伝子と共に直接トランスフェクトされてもよい(図示せず)。結果として生じる、PV粒子にパッケージされたPVゲノムは、cDNAに対応する非相補的ループ領域(ccePV-二重、右上)を含む。したがって、PVゲノムは二重鎖DNA領域を有し、プロモーターが2つの遺伝子(LucおよびGFPによって例示される)の発現を導き、各遺伝子の下流に別個のポリA部位が伴う。主な特徴は、プロモーターが、2つの遺伝子の転写を同時にオンにすることができることである。これを使用して、PVゲノムが、第2の導入遺伝子(例えば、Luc)をプロモーターの下流に反対方向に配置する二重鎖形態に変換される場合に、第2の遺伝子の発現をオフにすることもできる。これは、PVベクターを遺伝子スイッチとして使用する一例である。第1または第2のプラスミド由来の対称ライゲーション産物の形成に代替的につながり得る望ましくない自己ライゲーションを排除するために、非対称消化が、シームレスクローニングまたは他の方向性クローニング技術を使用して採用されてもよい。
図16】[0019]図16は、単一のプロモーターを使用して2つの遺伝子を発現するためのcceAAV二重ベクターを産生するための、例示的な消化-ライゲーション戦略を示す。2つの異なる出発プラスミドが利用される。第1のプラスミド(つまり、示される最も左のプラスミド)は、対向する鎖上にステムループ構造を含むAAV ITR、続いて、5’-3’方向のプロモーター、続いて、3’-5’方向の第1の遺伝子(つまり、ルシフェラーゼ、Luc)のための発現カセットを含む。さらに、Luc領域を包含する第2鎖は、非相補的領域を含む。第1のプラスミドは、第1の酵素によって、位置1で切断され、一方、GFP発現カセットを含む第2のプラスミド(つまり、最も右のプラスミド)は、第2の酵素によって、位置2で切断される。プラスミドは、(1)in vitroで消化され、in vitroでライゲーションされ、次いで、AAVプロデューサー細胞にRep、CapおよびpAdと共にコトランスフェクトされてもよく;(2)in vitroで消化され、AAVプロデューサー細胞にトランスフェクトされ、ここで、消化されたプラスミドがin vivoでライゲーションされてもよく;または(3)プラスミドは、in vivo消化およびin vivoライゲーションのために、AAVプロデューサー細胞にRep、Cap、およびpAdと共に直接トランスフェクトされてもよい(図示せず)。その形成される構造は、2つの遺伝子の発現を駆動するプロモーターをそれぞれ含む2つの異なるAAVゲノム(右上)を含み、1つは、遺伝子(Luc)の1つに対応する非相補ループ領域を含む。他の遺伝子(GFP)は、CCEドメインの上流で二本鎖ステムにおいてコードされる。両方のゲノムがAAV粒子にパッケージされる。その形成されるAAVゲノムは、1方が一本鎖領域に由来し、他方が二本鎖領域に由来する、2つの遺伝子の発現を駆動する完全なプロモーター活性を有する、二重鎖DNA領域の構成を有する。主な特徴は、感染後にゲノムが宿主細胞内に放出されたら、プロモーターが、2つの遺伝子の転写を同時にオンにすることができることである。さらに、これを使用して、AAVゲノムが、第2のゲノム(luc)をプロモーターの下流に反対方向に配置する二重鎖形態に変換される場合に、第2の遺伝子の発現をオフにすることもできる。これは、AAVを遺伝子スイッチとして使用する一例である。第1または第2のプラスミド由来の対称ライゲーション産物の形成に代替的につながり得る望ましくない自己ライゲーションを排除するために、非対称消化が、シームレスクローニングまたは他の方向性クローニング技術を使用して採用されてもよい。
図17】[0020]図17は、2つの遺伝子を発現するための単一のプロモーターを含む別のccePVベクターを産生するための、一般的な消化-ライゲーション戦略を示す。3つの異なる出発プラスミドが利用される。第1のプラスミド(つまり、示される最も左のプラスミド)は、LEH配列、および5’-3’方向の第1の遺伝子(例えば、LUC)のための発現カセットを含み、このプラスミドは、酵素によって、位置1で切断される。第2のプラスミド(つまり、中間のプラスミド)は、3’-5’方向でGFP-Lucコード領域のタンデムヘッドツーテール配置で隣接するポリA部位を含み、このプラスミドは、位置2および位置3で、第2の酵素によって切断される。第3のプラスミドは、GFP発現カセットの上流にREH配列を含み、このプラスミドは、位置4で、第3の酵素によって切断される。この方法において、酵素は同一であっても異なってもよい。プラスミドは、(1)in vitroで消化され、in vitroでライゲーションされ、次いで、PVプロデューサー細胞にパルボウイルスヘルパー遺伝子と共にコトランスフェクトされてもよく;(2)in vitroで消化され、PVプロデューサー細胞にパルボウイルスヘルパー遺伝子と共にトランスフェクトされ、ここで、消化されたプラスミドがin vivoでライゲーションされてもよく;または(3)プラスミドは、in vivo消化およびin vivoライゲーションのために、PV産生細胞にパルボウイルスヘルパー遺伝子と共に直接トランスフェクトされてもよい(図示せず)。結果として生じる、PV粒子にパッケージされたPVゲノム(右上)は、Lucをコードする相補的分岐領域、およびGFPをコードする二重鎖DNA領域を含み、単一のプロモーターが各遺伝子の発現を導き、それぞれの遺伝子の下流に別個のポリA部位が伴う。したがって、この配置の主な特徴は、プロモーターが2つの遺伝子の転写を同時に駆動することができることである。さらに、この配置のために、2つの遺伝子は、図示される二重鎖形成へと鎖を折り返した後でも発現され続けるであろう。
図18】[0021]図18は、図17に概説される一般的なアプローチに基づいて、2つの遺伝子を発現するための単一のプロモーターを含むcceAAVベクターを産生するための例示的な消化-ライゲーション戦略を示す。3つの異なる出発プラスミドが利用される。第1のプラスミド(つまり、示される最も左のプラスミド)は、AAV ITRおよび5’-3’方向の第1の遺伝子(例えば、Luc)のための発現カセットを含み、このプラスミドは、酵素によって、位置1で切断される。第2のプラスミド(つまり、中間のプラスミド)は、3’-5’方向のタンデムヘッドツーテール配置のGFP-Lucコード領域に隣接するポリA部位を含み、このプラスミドは、位置2および位置3で、第2の酵素によって切断される。第3のプラスミドは、GFP発現カセットの上流にAAV ITRを含み、このプラスミドは、位置4で、第3の酵素によって切断される。この方法において、酵素は同一であっても異なってもよい。プラスミドは、(1)in vitroで消化され、in vitroでライゲーションされ、次いで、AAVプロデューサー細胞にパルボウイルスヘルパー遺伝子と共にコトランスフェクトされてもよく;(2)in vitroで消化され、AAVプロデューサー細胞にトランスフェクトされ、ここで、消化されたプラスミドがin vivoでライゲーションされてもよく;または(3)プラスミドは、in vivo消化およびin vivoライゲーションのために、AAVプロデューサー細胞にパルボウイルスヘルパー遺伝子と共に直接トランスフェクトされてもよい(図示せず)。これら3つの経路のいずれかの結果、2つの異なるAAVゲノムが、AAV粒子(右上)にパッケージされる。各ゲノムは、Lucをコードする相補的分岐領域、およびGFPをコードする二重鎖DNA領域を含み、単一のプロモーターが、各遺伝子の発現を導き、それぞれの遺伝子の下流に別個のポリA部位が伴う。したがって、この配置の主な特徴は、プロモーターが2つの遺伝子の転写を同時に駆動することができることである。さらに、この配置のために、2つの遺伝子は、図示される二重鎖形成へと鎖を折り返した後でも発現され続けるであろう。
図19】[0022]図19は、TelN/telRLシステムで作動可能な単一プラスミドを使用する、cceAAVベクターを産生するための例示的な方法を示す。プラスミドは、両方の鎖上のステムループ構造を形成するAAV ITR、目的の核酸(NAOIまたはGOI)を含む発現カセット、および下流のポリA部位を含み、続いて、TelN酵素のためのtelRL部位を含む。TelN酵素によるプラスミドの切断およびライゲーションにより、中間体である二本鎖閉鎖末端分子が形成される。この分子は、AAV産生細胞にトランスフェクトされる際に、図19に示されるcceAAVベクターをパッケージするための鋳型分子である。「D」配列を含むAAVパッケージシグナルは、中間体において、ITRの5’ではなく、ITRの3’に構成されるため、図の右上に示すcceAAVベクターを形成するために、中間体の右側のみが複製およびキャプシド形成に適合する。TelN酵素は、アデノウイルスなどのウイルスベクターを使用して送達されてもよく、in vitroでTelN反応を行う必要性を回避するためにAAV産生細胞から発現されてもよい。この設計は、5’末端または3’末端に同一のITRを含むccePVベクターの産生にさらに拡張することができる。shDNAを有するscAAVは、shDNA配列がプロテロメラーゼ認識または適合部位と一致している場合にも、この手法を用いて同様に作製することができる。
図20】[0023]図20は、CELiDベクターDNAを使用してcceAAVベクターを産生するための例示的な方法を示す。公開されている出発CELiD-ベクターDNAは、設計されたTelRLまたはresT部位を有することができる。TelNまたはresT酵素とインキュベートすると、AAV産生細胞にトランスフェクトしたときにcceAAVを産生するために使用することができる2つの線状プラスミドが形成される。1つのITRのみを有する無末端基質は、DNAワクチン等の医薬品として直接使用することができる。この戦略を拡張して、ITRが同一である場合に、ccePVを産生することもできる。pFBGR-bsdまたはCELiDベクターを使用して線状分子を作製するためにバキュロウイルスを使用するプロセスが、文献に記載されている。
図21】[0024]図21は、テロメア分解酵素ResTを使用してcceAAVベクター鋳型分子を作製するための例示的な方法を示す。出発プラスミドは、AAV ITRと、酵素ResTによって切断されるLLまたはRR切断部位を含む発現カセットを含む二本鎖ドメイン(DSドメイン)とを含む。このことは、AAV産生細胞にトランスフェクトされたときにcceAAVを産生するために使用することができる線状プラスミドの形成をもたらす。ResTは、アデノウイルスなどのウイルスベクターを使用して送達されてもよく、またはAAV産生細胞から発現されてもよい。左のパネルは、線状分子の複製が、二量体連結部またはテロメア分解(telomere resolution)によってプロセシングされる複製テロメア(L’L、RR’)の形成、固有の型のDNA切断、および再結合反応に至ることを示す。テロメア分解により、線状DNA分子の末端にヘアピンテロメアが形成され、二量体複製中間体が、DNA複製の単量体産物に分離される。B.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)酵素ResT(テロメラーゼのリゾルバーゼ)は、一例である。
図22】[0025]図22は、AAV ITRならびにTelRおよびTelL結合配列に近接してクローニングされるDSドメインを含む線状プラスミドを使用して、cceAAVベクター鋳型分子を産生するための例示的な方法を示す。この線状プラスミドは、ループ媒介等温増幅(LAMP)法により、細菌内でまたはin vitroで大量生産することができる。得られる線状プラスミドは、AAVプロデューサー宿主細胞におけるcceAAVベクターの産生に適合する。
図23】[0026]図23は、mTRまたはshDNA閉鎖末端(close end)ベクターを有するscAAVを産生するための例示的なライゲーション戦略を示す。まず、AAV ITRならびにmTRおよびshDNAの少なくとも半分を有する出発プラスミドが、断片がmTRまたはshDNA配列の半分を有するように消化される。自己ライゲーションは、mTRまたはshDNAを有するscAAVのための鋳型化された分子を生成する。得られる断片は、対応するscAAV粒子を産生するための3つの異なる経路に供され得る。出発プラスミドは、(1)in vitroで消化され(つまり、線状化され)、in vitroでライゲーションされ、次いで、Rep、Cap、およびpAd(および産生細胞株で供給されない追加のアデノウイルスヘルパー遺伝子)と共に、トランスフェクトされるAAV産生細胞(例えば、293、または供給される相補遺伝子を有する任意の他の細胞)にトランスフェクトされてもよく;(2)in vitroで消化され(つまり、線状化され)、AAV産生細胞にRep、CapおよびpAdと共にトランスフェクトされ、in vivoでライゲーションされてもよく;または(3)AAV産生細胞にRep、Cap、およびpAdと共に直接トランスフェクトされ、ここで出発プラスミドがin vivoで消化され、in vivoでライゲーションされてもよい。ここでの図示は、アデノウイルスヘルパーを使用して293細胞で産生されるAAVについての図示である。他のパッケージングシステムとしては、提案される消化/ライゲーション方法に適合するヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルスベースのパッケージングシステムが挙げられる。ベクタープラスミドは、消化の前に安定なエピソーム形態で宿主細胞中に存在してもよい。本アプローチは、複製およびパルボウイルス粒子へのパッケージングに直接適合する野生型ITR配置を採用するため、scAAV産生のための、より効率的なシステムを表す。対照的に、scAAVを産生するための従来の方法は、二本鎖プラスミドベクターまたはshDNAから鋳型分子を生成する間接スキームに依存する。mTRまたはshDNAを介した間接的な変換は、scAAVベクター作製における速度制限的工程を提示する。本アプローチは、本明細書に記載される方法および組成物に従って、他のパルボウイルスにさらに拡張することができる。
図24】[0027]図24は、mTRまたはshDNA閉鎖末端ベクターの形態のscAAVを産生するための例示的なライゲーション戦略を示す。AAV ITRをそれぞれ含む2つの出発プラスミドが使用され、それにより、各プラスミドは、消化およびライゲーションされ、示されるように、mTRまたはshDNAを有する構造を形成する。ここで、断片は、自己ライゲーションを回避するように設計され、得られる断片は、対応するscAAV粒子を産生するための3つの異なる経路に供され得る。出発プラスミドは、(1)in vitroで消化され(つまり、線状化され)、in vitroでライゲーションされ、次いで、Rep、Cap、およびpAd(および産生細胞株で供給されない追加のアデノウイルスヘルパー遺伝子)と共に、トランスフェクトされるAAV産生細胞(例えば、293、または供給される相補遺伝子を有する任意の他の細胞)にトランスフェクトされてもよく;(2)in vitroで消化され(つまり、線状化され)、AAV産生細胞においてRep、CapおよびpAdと共にトランスフェクトされ、in vivoでライゲーションされてもよく;または(3)AAV産生細胞にRep、Cap、およびpAdと共に直接トランスフェクトされ、ここで出発プラスミドがin vivoで消化され、in vivoでライゲーションされてもよい。ここでの図示は、アデノウイルスヘルパーを使用して293細胞で産生されたAAVについての図示である。他のパッケージングシステムとしては、提案される消化/ライゲーション方法に適合するヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルスベースのパッケージングシステムが挙げられる。ベクタープラスミドは、消化の前に安定なエピソーム形態で宿主細胞中に存在してもよい。上記の通り、このアプローチは、scAAV産生のための、より効率的なシステムを表す。
図25】[0028]図25は、mTRまたはshDNA閉鎖末端ベクターの形態のscAAVを産生するための例示的なライゲーション戦略を示す。このアプローチは、AAV ITRを有する単一出発プラスミドを利用し、プラスミドは、消化され、合成アダプターにライゲーションされ、図示されるmTRまたはshDNAを含む構造を形成する。断片は自己ライゲーションを回避するように設計される。合成されたアダプターは、部分的または完全なmTRまたはshDNAを含み得る。得られた断片は、対応するscAAV粒子を産生するための3つの異なる経路に供され得る。出発プラスミドは、(1)in vitroで消化され(つまり、線状化され)、in vitroでライゲーションされ、次いで、Rep、Cap、およびpAd(および産生細胞株で供給されない追加のアデノウイルスヘルパー遺伝子)と共に、トランスフェクトされるAAV産生細胞(例えば、293、または供給される相補遺伝子を有する任意の他の細胞)にトランスフェクトされてもよく;(2)in vitroで消化され(つまり、線状化され)、AAV産生細胞においてRep、CapおよびpAdと共にトランスフェクトされ、in vivoでライゲーションされてもよく;または(3)AAV産生細胞にRep、Cap、およびpAdと共に直接トランスフェクトされ、ここで出発プラスミドがin vivoで消化され、in vivoでライゲーションされてもよい。ここでの図示は、アデノウイルスヘルパーを使用して293細胞で産生されるAAVについての図示である。他のパッケージングシステムとしては、提案される消化/ライゲーション方法に適合するヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルスベースのパッケージングシステムが挙げられる。ベクタープラスミドは、消化の前に安定なエピソーム形態で宿主細胞中に存在してもよい。上記の通り、このアプローチは、scAAV産生のための、より効率的なシステムを表す。
図26】[0029]図26は、ループのない二本鎖AAV RNA(パネルA、cceAAV-ZL-dsRNA)または分岐領域を有する二本鎖AAV RNA(パネルB、cceAAV-ZL-dsRNA)を発現する例示的なcceAAVを示す。主要な違いは、ベクターが自己相補的構成で示されるとき、転写終結因子部位の位置が、逆方向であることである。転写終結因子部位(ここでは一例としてポリAを使用)は、逆方向でdsRNA領域の前にある。ベクターが二重鎖形式に変換されるとき、全体の構成は以下の順序になる:ITR、ポリA(逆)、プロモーター、dsRNAコード領域、プロモーター(逆)、ポリA、およびITR。一部の特定の場合において、ポリAまたは転写終結因子部位は、逆方向で、プロモーター領域内に埋め込まれてもよい。イントロンが使用される場合、転写終結因子部位などを、イントロンに埋め込んでもよい。ポリAまたは転写終結因子部位は、dsRNAコード領域の相補鎖の後の任意の場所にある必要がある。パネルBは、dsRNAコード領域の異なる構成を示す。パルボウイルスベクターについても、同様のベクターを産生することができる。
図27】[0030]図27は、長一本鎖領域を有する二本鎖AAV RNAを発現する例示的なcceAAVを示す(パネルC)。
図28】[0031]図28は、1つのDNAプロモーターと1つの転写終結因子のみを含む、ループのない二本鎖AAV RNA(パネルA、cceAAV-ZL-dsRNA)を発現する例示的なcceAAVを示す。dsRNAコード配列のための容量が向上している。このベクターは、脱殻されるとき、すぐにdsRNAを発現しない。dsRNAを発現する前に、第2鎖DNA合成またはベクターDNAの他の極性へのアニーリング等の工程が必要である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
定義
[0032]本明細書で使用されるとき、用語「パルボウイルス」は、自律複製パルボウイルスおよびディペンドパルボウイルス属のメンバーを含む、パルボウイルス亜科の任意のメンバーに関して使用される。自律複製パルボウイルスには、アムドパルボウイルス属、アベパルボウイルス属、ボカパルボウイルス属、チャッパルボウイルス属、コピパルボウイルス属、エリスロパルボウイルス属、プロトパルボウイルス属、テトラパルボウイルス属のメンバーが含まれる。例示的な自律型パルボウイルスとしては、マウス微小ウイルス(MVM)、ウシパルボウイルス(BPV)、イヌパルボウイルス(CPV)、トリパルボウイルス、ネコ汎白血球減少症ウイルス、ネコパルボウイルス(FPV)、ガチョウパルボウイルス(GPV)、ブタパルボウイルス(PPV)、ボカウイルス、B19ウイルス、ラットウイルス(RV)、H-lウイルス(H-l)が挙げられるが、これらに限定されない。ネコの他の種。他の自律型パルボウイルスは、当業者に既知である。例えば、King A.M.Q.、Adams M.J.、Carstens E.B.およびLefkowitz E.J.(2012)Virus taxonomy: classification and nomenclature of viruses: Ninth Report of the International Committee on Taxonomy of Viruses. San Diego: Elsevier.)を参照。
【0006】
[0033]ディペンドパルボウイルス属には、AAV1型(AAV-1)、AAV2型(AAV-2)、AAV3型(AAV-3)、AAV4型(AAV-4)、AAV5型(AAV-5)、AAV6型(AAV-6)、鳥類AAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヒツジAAV等が含まれるが、これらに限定されない、アデノ随伴ウイルス(AAV)を含む。本発明のパルボウイルス粒子、キャプシドおよびゲノムは、好ましくはAAV由来である。
【0007】
[0034]本願で使用されるパルボウイルスには、PVキャプシド遺伝子、非構造遺伝子、逆位末端反復(ITR)、左末端ヘアピン(LEH)、右末端ヘアピン(REH)においてさらなる修飾を有する遺伝子工学からの新たなバリアントがさらに含まれる。本発明のパルボウイルスベクターは、in vitroおよびin vivoの両方で、核酸を細胞に送達するために有用である。特に、本発明のベクターは、核酸を動物細胞に送達または移行するために有利に用いられ得る。目的の核酸(NAOI)としては、RNA、ペプチドおよびタンパク質をコードする核酸、好ましくは治療用(例えば、医療用または獣医用)または免疫原性(例えば、ワクチン用)ペプチドまたはタンパク質をコードする核酸が挙げられる。遺伝子編集のためのDNA鋳型配列および/または標的化送達のためのアプタマーも提供し得る。
【0008】
[0035]本明細書で使用されるとき、用語「ハイブリッドパルボウイルス」は、異なる(つまり、別の、異種の、外因性の)パルボウイルスキャプシド内にキャプシド形成されるパルボウイルスゲノムを指す。別言すれば、ハイブリッドパルボウイルスは、異なるパルボウイルスキャプシド内にキャプシド形成されるパルボウイルスゲノムを有する。本明細書で使用されるとき、「異なる」とは、AAVゲノムが別のパルボウイルスキャプシド内にパッケージされることを意図し、例えば、パルボウイルスキャプシドは、別のAAV血清型由来または自律型パルボウイルス由来である。
【0009】
[0036]本明細書で使用されるとき、用語「パルボウイルスITR」は、パロウイルス(parovirus)複製、キャプシド形成、レスキュー、組込み等を支援する際に機能する、任意のパルボウイルス由来の逆位末端反復を指す。パルボウイルス逆位末端反復(ITR)は、5’ITRおよび3’ITRが異なる場合、左末端ヘアピン(LEH)、右末端ヘアピン(REH)とも称される。「AAV ITR」とは、AAVゲノムに隣接する逆位末端反復を指す。パルボウイルスITRおよびAAV ITRは、任意のパルボウイルス由来または任意のパルボウイルス血清型由来のITRを含むことができ、さらに、野生型ITRと同様のAAV複製、キャプシド形成、レスキューおよび/または組込みを支援する変異を有するITRを含むことができる。
【0010】
[0037]本明細書で使用されるとき、用語「AAV血清型」は、少なくとも1つのAAV ITRを有するゲノムを伴ってパッケージされた任意のキャプシドを指す。この用語は、天然で見出される任意のAAV血清型、またはAAVゲノムをパッケージすることができる(can packgin)任意の操作されたまたは化学的に修飾されたキャピド(capid)を含む。この用語は、生物学的または化学的に修飾されたキャプシドを含む。
【0011】
[0038]用語「ショートヘアピンDNA」および「shDNA」は、米国特許出願公開第2018/0298380号に記載されるshDNAを参照して本明細書で互換的に使用される。
【0012】
[0039]本明細書で使用されるとき、用語「scAAV」は、AAVのITRのうちの1つから、末端分解部位(terminal resolution site、TR)の非存在によって生成される二本鎖領域を含む一本鎖AAVベクターを指し、TRの非存在は、TRが存在しないベクター末端での複製の開始を防止する。scAAVベクターは、典型的には、各末端に野生型(wt)AAV TRを含み、中間に、二本鎖領域によってAAV TRに連結された変異型TR(mTR)を含む。用語「mTR」および「mITR」は、米国特許第7,465,583号に記載される変異型逆位末端反復を意味するように本明細書において互換的に使用される。
【0013】
[0040]語句「共有結合性閉鎖末端ドメイン」、「cceドメイン」、「一本鎖共有結合性閉鎖末端ドメイン」、および「SS-CCEドメイン」は、互換的に使用される。
[0041]語句「共有結合性閉鎖末端(cce)パルボウイルス」は、本明細書で使用されるとき、パルボウイルスキャプシドにパッケージされる線状パルボウイルスゲノムを指し、パルボウイルスゲノムは、5’および3’末端に一対のヘアピン構造を形成する自己相補的DNA配列、5’および3’末端の間の二本鎖ドメイン(本明細書において「DSドメイン」と称される)、ならびにSS-CCE末端を含む。DSドメインは、ゲノムDNA内で互いにアニールする自己相補的配列で構成される。SS-CCE末端は、DS DSドメイン内のアニールされた部分を連結する閉じた一本鎖領域を含む非相補的配列を含む。キャプシドは、任意のパルボウイルス血清型を含む、任意のパルボウイルス由来であり得る。好ましい実施形態において、cceパルボウイルス(ccePV)は、cceアデノ随伴ウイルス(cceAAV)である。
【0014】
[0042]DSドメインにおけるDNA鎖は、DSドメインの長さにわたって完全に相補的であっても部分的に相補的であってもよく、そのように相補的配列は、互いにアニールして、安定した二重鎖領域を形成することができ、非相補的領域においてバルジ構造またはループ構造を形成し得る。非相補的領域は、DNA鎖を自身にアニールした後に固有の一本鎖DNA領域が形成され得るように、一方またはその両方のDNA鎖に欠失または挿入を含んでもよい。得られるステム構造は、DSドメインの長さの少なくとも5%を構成し得る。cceAAVとscAAVとの差異は、cceAAVが、変異型TR(mTR)を必要としない様式で、より広義に定義され得ることである。scAAVは、変異型ITR(mITR)またはshDNA配列の形態で固有のcce末端を有する、本明細書に記載されるより大きなcceAAV属内の一種を表す。scAAVを調製するための方法は、本明細書で定義されるcceAAVベクターを産生することができない。しかしながら、本願の方法は、新たな中間体鋳型分子が、上記のように、プロデューサー細胞においてより効率的に複製され得る2つの完全な機能的ITRを採用するため、scAAVを産生するためのより効率的な手段を提供するというさらなる利点を有する。
【0015】
[0043]線状変性形態では、cce PVまたはcce AAVは、5’パルボウイルス左末端ヘアピン(LEH)または逆位末端反復(ITR)、DSドメイン、3’パルボウイルス右末端ヘアピン(REH)またはITR、ならびに非相補的領域を有し、このことは、線状非変性形態(from)におけるループ構造の形成を説明する。5’ITRおよび3’ITRは、同一であっても異なってもよい。DSドメインは、完全に自己相補性であってもよく、または一部の非相補的配列を有してもよいが、ただし、それ自身への一本鎖折り返しまたはアニーリングによって形成されるDSドメインを含む安定な二重鎖の形成を妨げないことを条件とする。DSドメインの相同性は、cccPV中のDNA鎖が互いにアニールするときに、少なくとも1つの領域において安定した二重鎖DNAが形成されることを可能にするべきである。DSドメイン内のDNA鎖は、アニールされた配列を含むDSドメインの部分にわたって少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の自己相補的(またはこの場合は逆相補的)領域を共有してもよい。しかしながら、DSドメインが、数千ヌクレオチド長の挿入または欠失を含む、自己相補的領域に対する挿入または欠失を収容することができることを考慮すると、DSドメインの一方の末端から他方の末端までの相同性の全体的なレベルは、わずか0.1%であってもまたは100%と同程度であってもよい。
【0016】
[0044]用語「アプタマー」は、特定の標的分子に結合するオリゴヌクレオチドまたはペプチド分子を指す。アプタマーは、通常、大きなランダム配列プールを利用する選択プロセスによって作製され、様々な研究、産業および臨床用途を有する。例えば、アプタマーを、リボザイムと組み合わせて、標的分子の存在下で自己切断が起きるようにすることができる。さらに、天然のアプタマーは、リボスイッチに存在することが知られている。標的リガンドに選択的に結合する従来の機能に加えて、「アプタマー」は、本明細書で使用されるとき、より広義に、デオキシリボザイム、例えば、DNA酵素、DNAザイム、および特定の酵素反応を行うことができるDNAオリゴヌクレオチドを含む触媒DNAを含み得る。
【0017】
[0045]用語「ガイドRNAベースのヌクレアーゼ」は、DNA編集のためのガイドRNA分子と関連して作用するヌクレアーゼを指す。用語「ガイドRNA」または「gRNA」は、ガイドRNAヌクレアーゼ、例えばCas9、と共にDNA編集プロセスにおいて使用されるRNA配列に対して互換的に使用される。
【0018】
[0046]用語「ガイドDNAベースのヌクレアーゼ」は、DNA編集のためのガイドDNA分子と関連して使用される構造誘導エンドヌクレアーゼ(structure-guided endonuclease、SGN)を指す。用語「ガイドDNA」または「gDNA」は、ガイドDNAヌクレアーゼ、例えば、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、およびFok1エンドヌクレアーゼの切断ドメインに融合したフラップエンドヌクレアーゼ1(FEN-l)酵素を含む融合タンパク質などの構造誘導エンドヌクレアーゼ(SGN)、と共にDNA編集プロセスにおいて使用されるDNA配列に対して互換的に使用される。
【0019】
[0047]用語「転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ」および「TALEN」は、DNA切断ドメインに融合したTALエフェクターDNA結合ドメインを含む融合タンパク質に対して互換的に使用される。
【0020】
[0048]本明細書で使用されるとき、用語「メガヌクレアーゼ」は、所与のゲノムにおいて通常は存在しない、大きな認識部位(12~40塩基対の二本鎖DNA配列)によって特徴付けられるエンドデオキシリボヌクレアーゼを指す。例えば、I-Scelメガヌクレアーゼによって認識される18塩基対配列は、偶然に1回見出される(単一のミスマッチを有する配列は、ヒトサイズのゲノム当たり約3回生じるが)、平均してヒトゲノムのサイズの20倍のゲノムを必要とする。したがって、メガヌクレアーゼは、最も特異的な、天然に存在する制限酵素であると考えられる。メガヌクレアーゼのうち、ホーミングエンドヌクレアーゼのLAGLIDADGファミリーは、過去15年間にわたってゲノムおよびゲノム工学の研究のための貴重なツールとなっている。メガヌクレアーゼは、高度に標的化された様式で、配列を置換、除去、または改変するために使用することができる「分子DNAハサミ」である。タンパク質操作によりそれらの認識配列を改変することにより、標的化配列を変化させることができる。メガヌクレアーゼは、細菌、植物、または動物を問わず、全てのゲノム型を改変するために使用される。それらは、特にヒトの健康の分野、例えば、ウイルス遺伝物質の排除または遺伝子療法を使用する損傷遺伝子の「修復」において、イノベーションに向けた広い道を開いている。
【0021】
[0049]用語「ヘアピンテロメアリゾルバーゼ」および「プロテロメラーゼ」は、ある特定のファージ、細菌プラスミド、および細菌染色体における線状DNA分子の共有結合性閉鎖ヘアピン末端の形成を促進する酵素に対して互換的に使用される。テロメアリゾルバーゼは、チロシンリコンビナーゼおよびIB型トポイソメラーゼとメカニズム的に関連し、ボレリア(Borrelia)種を特徴付けるゲノム可塑性においても役割を担っていると考えられている。DNA分子の重複は、ヘアピンのテロメアリゾルバーゼによって促進されるDNA切断および再結合反応において認識および処理される複製テロメア(rTel、二量体接合部とも称される)をもたらす。反応産物は、線状単量体DNA分子の両末端にある共有結合性閉鎖ヘアピンテロメアである。テロメアリゾルバーゼとしては、大腸菌ファージN15、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)ファージφK02、エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)ファージPY54等のファージ由来のテロメアリゾルバーゼ、ならびにアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)、ライムスピロヘータのボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、回帰熱ボレリアのB.ヘルムシ(B.hermsii)、B.パーケリ(B.parkeri)、B.リカレンティス(B.recurrentis)、B.トゥリカタエ(B.turicatae)、および鳥類スピロヘータのB.アンセリーナ(B.anserina)等の細菌種由来のテロメアリゾルバーゼが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
[0050]全体的に、本願は、それ自身に折り返されるときに共有結合性閉鎖末端(cce)構成を有し、パルボウイルスキャプシドにパッケージされることができる、単離されたパルボウイルス(PV)DNA分子に関する。さらに、本願は、共有結合性閉鎖末端パルボウイルス(ccePV)ベクターを産生するための方法に関する。
【0023】
[0051]図1、パネル(A)は、目的遺伝子(GOI)および3’ポリAシグナルに作動可能に連結されたプロモーターを含む発現カセットに隣接する野生型ITRを含む、従来の二本鎖(ds)パルボウイルスベクタープラスミド、特に、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクタープラスミドを示す。パネル(A)のds AAVプラスミドの複製により、先ずパネル(B)に示される一本鎖(ss)AAV DNA鋳型が形成され、この鋳型は、次いで、図2に示されるような、第2鎖合成後の導入遺伝子配列の転写/翻訳のための二本鎖DNA鋳型に変換される。パネル(C)は、野生型ITR(wtITR)と、目的遺伝子(GOI)に作動可能に連結されたプロモーターとそれに続く3’ポリAシグナルを含む発現カセットに隣接する変異型ITR(mITR)を含む、従来のds自己相補的AAV(scAAV)ベクタープラスミドを示す。パネル(C)におけるds scAAVプラスミドの複製は、最初に、パネル(D)に示される一本鎖(ss)scAAV DNA鋳型の形成をもたらし、この鋳型は、自身に折り返されて、パネル(D)の右側に示される二本鎖DNA鋳型を形成し、この二本鎖DNA鋳型は、内部の導入遺伝子配列の転写/翻訳のための鋳型を提供する。パネル(A)および(C)の2つのプラスミドは、細菌宿主中で安定して増殖することができる。
【0024】
[0052]図2は、異なるAAV粒子およびそれらの対応するDNA鋳型からの導入遺伝子発現のための転写-翻訳経路を示す。AAV粒子は、図1のパネル(B)および(D)に示されるものと同様に、一本鎖DNAゲノムを伴ってパッケージされる。従来の組換えAAVゲノムは、DNA複製および導入遺伝子発現のための二本鎖DNA鋳型を形成するための第2鎖DNA合成工程を受ける一本鎖DNA鋳型である。図2、パネル(A)は、第2鎖合成工程によるss DNAからds DNAへの変換を示す。パネル(B)は、パネル(A)に図示される中間第2鎖合成工程なしで導入遺伝子の転写を容易にすることができる、共有結合性閉鎖末端(CCE)ドメインを3’末端に有する二重鎖DNAを含むscAAVを示す。scAAV粒子のゲノムは完全に自己相補性であるため、図2のパネル(B)に示されるように、自身に折り返して変異型ITR(mITR)を閉鎖末端において形成する。したがって、パネル(B)のCCEドメインは、mITRの形態である。ある特定のscAAVバリアントにおいて、閉鎖cce末端は、shDNA配列を含む(図示せず)。パネル(C)は、本願の一実施形態による例示的なcceAAVであるcceAAV-ゼロループ(ZL)を示す。パネル(C)の特定の構造も、CCEドメインおよび完全な自己相補性のゲノムを有し、図2のパネル(C)に示されるように、自身に折り返して、5’末端の一対のITR、二本鎖ドメイン(DSドメイン)、およびCCEドメインを含む二本鎖AAVを形成する。しかしながら、この場合、CCEドメインは、mITRまたはshDNAではない。代わりに、cceAAV-ZL中のCCEドメインは、mTRまたはshDNAを必要とせずに設計され、これは、AAV(および/またはPV)産生の効率を低下させる。パネル(C)におけるcce末端部は、DSドメインが終了する位置に平滑末端を含むように見える。しかしながら、二重鎖形成における空間立体障害のため、一本鎖ループは少なくとも2つのヌクレオチドを含む。
【0025】
[0053]scAAVとは異なり、本願のccePVまたはcceAAVベクターのCCEドメインは、例えば、mITRまたはshDNAを必要としない。このことは、その他の点では同一のscAAVベクターと比較して、cceAAV-ZLにおけるパッケージング容量を増加させることを可能にするだけでなく、以下でさらに説明するように、scAAVベクターを上回るいくつかの利点を提供する。ccePVまたはcceAAVゲノムは、4つのエレメント、つまり、5’末端ITR(またはLEH/REH)、二本鎖DNAドメイン(「DSドメイン」)、3’ITR(またはLEH/REH)、および任意に一本鎖ループ領域を形成する1つまたは複数の非相補的領域に、分割されることができる。より詳細には、DSドメインおよびその相補的DNA鎖は、任意の程度の相同性を有することができ、欠失および挿入を含んでもよく、それによって、異なる構造構成を有する広範囲のccePVまたはcceAAV分子の形成を可能にする。
【0026】
[0054]一例として、図3、パネル(A)は、図2、パネル(C)に示されるcceAAV-ZLベクターよりもはるかに長い一本鎖(ss)DNAの非相補的領域を含む、cceAAVの一実施形態を示す。図3、パネル(B)は、相補的二本鎖領域内に一本鎖ループ領域(またはバルジ領域)を含む、cceAAVの別の例示的な実施形態を示す。非相補的ss DNAとしては、アプタマー/DNAザイムコード配列、ポリペプチドコード配列、miRNAコード配列、shRNAコード配列、ポリアデニル化シグナル、またはインシュレーター配列等の任意のDNA配列を挙げることができる。アプタマー/DNAザイムは、それに隣接するフランキング相補的DNA配列への連結/結合を通じて安定化されてもよい。有利には、ccePV-LSまたはcceAAV-LSにおける一本鎖DNAは、遺伝子編集またはDNA修復用途のための効率的な鋳型を提供する。
【0027】
[0055]一態様において、共有結合性閉鎖末端パルボウイルス(ccePV)は、PVキャプシドにパッケージされたccePV DNAを含む。感染後、導入遺伝子転写のための第2鎖合成は必要ない。これは、ベクターの1つの極性をパッケージするのみのパルボウイルス(parvoirus)ベクターにとってさらに有利である。ccePVゲノムは、(1)3’末端および5’末端を有する第1鎖と、3’末端および5’末端を有する第2鎖とを有する二本鎖(DS)ドメイン、(2)第1鎖の3’末端に連結された3’末端パルボウイルスITR、および(3)第2鎖の5’末端に連結された5’末端パルボウイルスITR、ならびに(4)第1鎖の5’末端を第2鎖の3’末端に共有結合的に連結する共有結合性閉鎖末端(cce)ドメインを含む。CCEドメインは、パルボウイルスがAAVでない場合、任意の配列であることができる。
【0028】
[0056]本願は、DSドメインにおけるバルジ領域、またはcce末端もしくはCCEドメインにおけるmTRもしくはshDNAを有する長ループセグメントを有する、さらなる実施形態を含む。そのようなベクター構築物は、当該技術分野で公知の既存の方法論を使用して作製することはできず、そのような特殊な分子/ベクターは、先行技術では不可能である。
【0029】
[0057]本願におけるcceキャプシドおよびcceゲノムは、同じパルボウイルスに由来してもよく、または異なるパルボウイルスに由来してもよい。一部の実施形態において、本願のcceキャプシドおよびcceゲノムは、同じパルボウイルスおよび同じ血清型に由来する(例えば、AAV2ベースのキャプシドおよびAAV2ベースのウイルスゲノム)。一部の実施形態において、本願のcceキャプシドおよびcceゲノムは、同じパルボウイルスであるが、異なる血清型に由来する(例えば、AAV2ベースのキャプシドおよびAAV8ベースのウイルスゲノム)。一部の実施形態において、本願のcceキャプシドおよびcceゲノムは、異なるパルボウイルスに由来する(例えば、AAV2ベースのキャプシドおよびBl9ベースのウイルスゲノム)。一部の実施形態において、cceキャプシドは、AAVキャプシドであり、cceゲノムは、AAV ITRを含む組換えAAVゲノムである。
【0030】
DSドメインおよびCCEドメイン
[0058]一部の実施形態において、本願のパルボウイルスのDSドメインの第1鎖および第2鎖は、互いに100%相補的であり、CCEドメインは、0~50ヌクレオチドの一本鎖DNAからなる(cceAAV-ZL)。一部の他の実施形態において、CCEドメインは、0~5、0~10、0~15、0~20、0~25、0~30、0~35、0~40、0~45、5~10、5~15、5~20、5~25、5~30、5~35、5~40、5~45、5~50、10~15、10~20、10~25、10~30、10~35、10~40、10~45、10~50、15~20、15~25、15~30、15~35、15~40、15~45、15~50、20~25、20~30、20~35、20~40、20~45、20~50、25~30、25~35、25~40、25~45、25~50、30~35、30~40、30~45、30~50、35~40、35~45、35~50、40~45、40~50または45~50ヌクレオチドの一本鎖DNAからなる。
【0031】
[0059]一部の実施形態において、本願のパルボウイルスのDSドメインの第1鎖および第2鎖は、互いに100%相補的であり、CCEドメインは、一本鎖DNAによって支配される(50%以上支配される)(cceAAV-LS)。一部の実施形態において、CCEドメインは、DNAアプタマー/DNAザイムを含む。一部の他の実施形態において、CCEドメインは、51~60、51~75、51~100、51~200、51~500、51~700、51~1000、51~2000、51~3000、51~4000、60~75、60~100、60~200、60~500、60~700、60~1000、60~2000、60~3000、60~4000、75~100、75~200、75~500、75~700、75~1000、75~2000、75~3000、75~4000、100~200、100~500、100~700、100~1000、100~2000、100~3000、100~4000、200~500、200~700、200~1000、200~2000、200~3000、200~4000、500~700、500~1000、500~2000、500~3000、500~4000、700~1000、700~2000、700~3000、700~4000、1000~2000、1000~3000、1000~4000、2000~3000、2000~4000または3000~4000ヌクレオチドの一本鎖DNAからなる。
【0032】
[0060]一部の実施形態において、本願のパルボウイルスのDSドメインの第1鎖および第2鎖は、互いに100%相補的ではないが、鎖が互いに折り返されるときに、1つまたは複数の領域において安定な二重鎖の形成を可能にする程度の相同性を有する。一部の実施形態において、DSドメインの第1鎖および第2鎖は、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、80%、90%または95%の配列同一性を共有する。
【0033】
[0061]一部の実施形態において、本願のパルボウイルスのDSドメインにおける第1鎖は、第2鎖に相補的な1つまたは複数の領域、および第2鎖に相補的でない1つまたは複数の領域を有する(cceAAV-BR)。一部の実施形態において、第2鎖に相補的でない1つまたは複数の領域は、shDNAまたはDNAアプタマーを含む。
【0034】
[0062]一部の実施形態において、本願のパルボウイルスのDSドメインにおける第2鎖は、第1鎖に相補的な2つ以上の領域、および第1鎖に相補的でない1つ以上の領域を有する(ccePV-BR)。一部の実施形態において、第1鎖に相補的でない1つ以上の領域は、shDNAまたはDNAアプタマーを含む。
【0035】
[0063]一部の実施形態において、DSドメインにおける第1鎖および第2鎖の一方またはその両方は、他方の鎖と比較して欠失または挿入を含む。かかる欠失または挿入は、DSドメインにおけるバルジまたはループDNA領域の形成を可能にする。一部の実施形態において、バルジDNA領域は、shDNA配列またはDNAアプタマーを含む。一部の実施形態において、複数のバルジまたはループDNA領域が形成されてもよい。バルジDNA領域は、ccePVベクターのパッケージング容量を(他のDNA配列を伴って)不利に超えない限り、1つまたは複数のヌクレオチドであってもよく、1または複数キロベースまでの長さであってもよい。一部の実施形態において、バルジDNA配列は、DNAアプタマーに折り畳むことができる。DSドメインにおける二本鎖領域は、DNAアプタマーの安定化に役立つ。一部の実施形態において、バルジDNAは、互いに相補的な領域を含み、バルジDNA領域において二本鎖ステムを形成する。一部の実施形態において、DSドメインにおけるバルジDNA領域における一本鎖DNA配列またはCCEドメインにおける一本鎖DNA配列は、遺伝子編集、DNA修復またはDNA組換えのための鋳型として使用される。一部の実施形態において、バルジ領域は、少なくとも2、3または4ヌクレオチド長である。
【0036】
[0064]一部の実施形態において、DSドメインは、タンパク質をコードする。一部の実施形態において、DSドメインは、阻害性RNA(iRNA)産物、例えば、shRNAまたはマイクロRNA(miRNA)をコードする。一部の実施形態において、DSドメインは、それぞれ独立して、約0.2kb~約3kbのサイズの範囲であり、合わせて最大で4kb以下の総サイズの、1つまたは複数の発現カセットを含む。
【0037】
ITR
[0065]5’末端ITRおよび3’末端ITRは、同一であっても異なってもよい。線状変性形態では、5’末端ITRはcceゲノムの5’末端に位置し、3’末端ITRはcceゲノムの3’末端に位置する。
【0038】
[0066]一部の実施形態において、ITRのうちの1つは、DNA複製を支援することができるが、パッケージを開始する機能は失う。これにより、ベクターのプラスおよびマイナス極性のアニーリングが望ましくない場合に必要となる、ベクターの1つの極性を生成させることが可能となる。
【0039】
cceDNA生成
[0067]cceDNAのためのベクターDNAは、ライゲーション反応またはプロテロメラーゼ反応を介して生成される。ライゲーション反応は、in vivoまたはin vitroで行うことができる。典型的なサブクローニングのためのライゲーションと、本明細書に記載のライゲーションとの間には差がある。本明細書に記載のライゲーションは、典型的に細菌内では安定でない、cceベクターDNAのため鋳型分子を生成する。したがって、in vitroライゲーション産物が、産生のために直接使用される。あるいは、ベクター産生のためにそれらを使用する前に、in vitroライゲーション産物を、PCRまたはLAMP増幅を使用してさらに増幅することができる。また、in vivo(宿主細胞)で消化を行い、ライゲーションのために宿主酵素を利用し、続いてベクター産生を行うことができる。
【0040】
本願のccePVの構造的利点
[0068]上述のように、ccePV鋳型中のDNA鎖が互いに折り畳まれる/アニールされるとき、本願のCCEパルボウイルスゲノムは、DSドメインの上流のパルボウイルスITR/LEH/REHを有する二本鎖ドメイン(DSドメイン)と、DSドメインの下流の共有結合性閉鎖末端とを含む。本願のccePVベクターのゲノムは、CCEドメイン内に任意のヌクレオチドを有することができ、特定のパルボウイルスベクターのサイズ/パッケージング制約特性に基づいて(ITRおよびDSドメインの長さを除き)、0ヌクレオチドから許容される長さまでの任意の長さを収容することができる。さらに、本願のccePVは、DSドメインにおいて100%の相補性を必要とせず、DSドメインの任意の位置で分岐したDNA配列を許容する。
【0041】
[0069]cceAAVの場合、本願のcceAAVベクターのゲノムは、mTRまたはshDNAに限定されず、CCEドメイン内に広範囲の挿入を収容することができる。CCEドメインにおけるmTRまたはshDNA配列の排除は、有効なパッケージング容量を増加させ、プラスミド配列の混入につながり得るmTRまたはshRNAによるウイルスゲノムの非効率的な変換を排除することによって、ベクター品質を改善する。さらに、本願のcceAAVは、DSドメインにおいて100%の相補性を必要とせず、DSドメインの任意の位置で分岐したDNA配列を許容する。
【0042】
本願のccePVの機能的利点
[0070]ウイルス産生に専ら必要とされる、CCEドメイン内のmTRまたはshDNAを含む自己相補的アデノ随伴ウイルス(scAAV)と比較して、本願のcceAAV内のCCEドメインは、全体が利用可能である。CCEドメインは、任意の配列を含んでよく、イントロン、プロモーターなどの調節エレメント、遺伝子コード領域、またはmiRNA、アンチセンスRNAなどの機能的RNA分子をコードするエレメント、リボザイム、ガイドDNAの一部であってもよい。CCEドメインはまた、機能的DNA分子、例えば、遺伝子編集のための一本鎖DNA鋳型、DNA誘導エンドヌクレアーゼのためのガイドDNA、またはDNAアプタマーをコードしてもよい。一部の実施形態において、CCEドメインは、shDNAの両末端上の少なくとも10ヌクレオチドの一本鎖DNA領域によってDSドメインから分離されるshDNAをさらにコードする。一部の実施形態において、CCEドメインは、2つの異なる発現カセットの発現を駆動するプロモーターを含む。他の実施形態において、cceAAVまたはccePVは、遺伝子発現のオンおよびオフのための遺伝子スイッチとして開発され得る(図14~16)。
【0043】
[0071]本明細書に記載されるccePVは、プラス鎖およびマイナス鎖のアニーリングならびに第2鎖DNA合成のための要件を迂回し、それによって増強されたベクターゲノム安定化および改善された遺伝子発現を提供する利点を有する。
【0044】
[0072]本願のccePVのゲノムには自己相補的領域が存在するため、本願のccePVは、in vivoで増強された性能を有する。本願におけるccePVのゲノムは、一本鎖DNAパルボウイルスベクターよりも安定である。アプタマー/DNAザイムがcceゲノムのCCEドメインに導入される実施形態において、アプタマーは、アプタマー領域がcceゲノムの自己相補的DSドメインに連結されるため、より安定である。
【0045】
[0073]図4に示されるように、DS領域における一致しないヌクレオチド、DS領域におけるバルジループもしくはステム、またはCCEドメインにおける一本鎖ループを有しないccePVは、向上した遺伝子発現効率を有する。なぜなら、本願のcceゲノムは、第2鎖DNA合成の必要性を迂回するからである。このことは、そのゲノム内にDNAアプタマーを有するccePVにとって特に有利であり、なぜなら、多くのパルボウイルスが、マイナスセンスDNAを含み、3’から5’の方向にパッケージされるためである。極性が1つのみである場合、ccePVゲノム中のDNAアプタマーは相補鎖を有さず、アプタマーの効果は、相補鎖による不利な影響を受けない。
【0046】
[0074]本発明は、変異型ITRなしで自己相補的ベクターが作製されることを可能にする。変異型ITRのレスキューは非効率的であり、望ましくない配列のパッケージも許容される。この新しい発明は、ベクターの収率を向上させるだけでなく、ベクターの品質も向上させる。
【0047】
[0075]この新しい発明において、産生の材料は、標準のベクターとして、事実上2つのITRを有し、このことは非常に効率的である。加えて、配列の自己相補的性質上、そのようなDNAは、細菌中で不安定性であるために、細菌において作製されない。加えて、cceAAVおよびccePVのためのヌクレアーゼin vivo消化は非常に効率的である。
【0048】
[0076]本発明は、レスキューのための回文配列またはヘアピンDNAの使用を回避する。これらは、変異型ITRと同様の利点である。
[0077]本発明は、第2鎖DNA合成またはアニーリングに起因するDNA鋳型変化を介して、宿主細胞内の遺伝子発現の他の制御を可能にする。第2鎖DNA合成は、機能性の鋳型を生成または消去させることができる。AAVゲノムの多くの構成が、本発明によってのみ作製することができる。パルボウイルスベクターは、単一のプロモーターでdsRNAを発現させるために使用することができる。
【0049】
[0078]パルボウイルスベクターでdsRNAを産生するために、ベクターにおいて、マイナス鎖内の1つおよびプラス鎖内の1つの、2つのプロモーターを用いることが必要な場合がある。しかしながら、この方法はベクターの容量を低下させ、dsRNAを形成するために分子をアニールさせる必要がある。本発明において、dsRNAは、1つの単一のRNA転写産物内にあり、1つのプロモーターのみが必要とされる。
【0050】
ccePVを作製するための方法
[0079]本願の別の態様は、本願のccePVを産生するための方法に関する。従来の方法によってccePVまたはcceAAVベクターを産生するための1つの主要な問題は、ccePVおよびcceAAVゲノムを含む即時鋳型分子が、DNA反復の長いストレッチのために細菌宿主細胞内で安定でなく、増殖に対して適合性がないことである。従来のscAAVベクタープラスミドは、AAV産生の過程で自己相補的領域と併せてmTRまたはshDNA配列を組み込むことによって、この問題を回避する。しかしながら、この方法は、ある特定の欠点を有する。例えば、scAAVベクターゲノムは、ステム領域(本願のccePVゲノムのDSドメインに対応)において完全に相補性である。二本鎖ステム内において、バルジ領域を有することはできない。加えて、scAAVは、ステム領域の末端(本願のccePVゲノムのCCEドメインに対応)にmTRまたはshDNAを有する。mTRまたはshDNAの存在は、scAAVベクターが、scAAVベクターへのさらなる挿入を受け入れる容量を低下させる。本願の方法は、CCEドメインにおけるmTRまたはshDNAの必要性を排除する。従来の感覚で使用される場合、mITRまたはshDNAは、挿入DNA(つまり、プラスミド二重鎖)を、scAAV産生中の複製およびキャプシド形成に適合する直接的DNA鋳型に変換するには非効率であり、短いベクターゲノムを有する混入物質をもたらすことも多い。
【0051】
[0080]ccePVまたはcceAAVを作製するための出発物質は、プラスミド、酵母シャトルベクター、ウイルスおよび/または化学合成鋳型の形態の1つまたは複数の鋳型ベクターを含む。一実施形態において、出発物質は、1つまたは複数のプラスミドを含み、そのプラスミドの少なくとも1つは、パルボウイルスITR、LEHまたはREH、続いてDSドメイン、および1つまたは複数のエンドヌクレアーゼ切断部位を含む。制限部位は、ベクター中に任意の不必要な配列を残さないように設計され得る。鋳型の消化により、ITRおよびDSドメインを含む1つまたは複数のDNA断片が生成される。図17に例示される実施形態を含め、一部の実施形態において、プラスミドのうちの1つまたは複数は、パルボウイルスITR、LEHもしくはREH、または本明細書に記載されるDSドメインを含まない。
【0052】
[0081]核酸移行用途のための本願によるccePVまたはcceAAVウイルス粒子を産生するために、複製のためのccePV DNA鋳型分子を、まず(組換えDNA技術によって)調製し、続いて、細胞外消化および/またはライゲーション、細胞内消化および/またはライゲーション、またはそれらの組合せに供し、次いで、図5~22に示されるように、好適なPV産生細胞にトランスフェクトするまたは安定的に組み込む。
【0053】
[0082]特定の実施形態において、(本明細書に記載されるように)本願のccePVまたはcceAAV粒子を産生するための方法は、PV鋳型分子を、パルボウイルス複製を可能にする条件下で好適な宿主細胞に導入する工程、ccePVベクター粒子を産生するために十分な条件下で細胞を維持する工程、および培養された宿主細胞からccePVを収集する工程を含む。
【0054】
[0083]パルボウイルス複製に好適な条件を提供するために、例えば、PV repおよびcap遺伝子をコードするパルボウイルスヘルパー遺伝子発現プラスミドが、PV産生に好適な宿主細胞、例えば、限定されないが、293細胞に、一過性にまたは安定的にトランスフェクトされてもよい。あるいは、好適なヘルパーウイルスを宿主細胞に導入して、PV産生に必要なヘルパーウイルス機能を提供してもよい。
【0055】
[0084]一部の実施形態において、ccePV鋳型分子は、PV産生に好適な宿主細胞、例えば、限定されないが、293細胞に、一過性にまたは安定的にトランスフェクトされてもよい。あるいは、ccePV鋳型分子は、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、バキュロウイルスなどの好適な担体ウイルスの感染によって、宿主細胞に導入されてもよい。
【0056】
[0085]一部の実施形態において、1つもしくは複数のタンパク質の発現および/または1つもしくは複数の非コード配列の送達のためのccePVウイルス粒子の遺伝子移入のためのin vivo方法は、1つもしくは複数のタンパク質が宿主細胞内で発現されるように、または1つもしくは複数の非コード配列がそれらの意図される目的のために宿主細胞に送達されるように、またはそれらの組合せで、有効量のccePVウイルス粒子を宿主に投与する工程を含む。好ましい実施形態において、宿主は、哺乳動物である。一部の実施形態において、ccePVウイルス粒子は、治療を必要とする対象における治療用タンパク質または治療用RNAをコードする発現カセットを含む核酸を含む。
【0057】
1. 単一DNA鋳型のin vitro消化およびin vitroライゲーション
[0086]一実施形態において、単一のccePVまたはcceAAV鋳型分子は、図5~6に示されるように、PVプロデューサー細胞へのトランスフェクションの前に、細胞外で、消化され、ライゲーションされる。消化された断片は、DNAリガーゼによって、in vitroで自己ライゲーションされ得る。これにより、ゼロループ(ZL)配列を有するccePVまたはcceAVを産生するためのDNA鋳型分子を生成することができる(例えば、図5~6を参照)。
【0058】
[0087]PV複製のためのDNA鋳型は、PVまたはAAV ITR、DSドメイン、および1つまたは複数のヌクレアーゼによって切断される1つまたは複数のエンドヌクレアーゼ切断部位を含む。切断部位は、制限酵素、メガヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、ガイドRNAベースのCRISPR/Cas9ヌクレアーゼ、他のヌクレアーゼ、またはそれらの組合せによって切断されてもよい。次いで、断片は、DNAリガーゼによってライゲーションされてもよい。得られた断片は、増幅ありまたはなしで、パルボウイルス産生のために使用され得る。増幅方法は、PCRおよびローリングサイクルphi29型ポリメラーゼを使用するin vitroであってもよい。
【0059】
[0088]自己ライゲーションされた断片の、PVまたはAAVベクター粒子産生に適合するPVプロデューサー細胞へのトランスフェクションは、本明細書に記載される本発明の主題に従ったccePVまたはcceAAVの形成をもたらす。パルボウイルス/AAVベクター産生に必要な他のシスまたはトランス機能は、トランスフェクション、ウイルスベクター送達、またはヘルパー遺伝子の宿主細胞への安定な組込みによって供給される。
【0060】
2. 2つ以上のDNA鋳型分子のin vitro消化およびin vitroライゲーション
[0089]一部の実施形態において、ccePVまたはcceAAVを産生するための方法は、少なくとも1つのAAV ITRを含む少なくとも1つのDNA鋳型分子を含む2つ以上のDNA鋳型分子の使用を含み、1つのDSドメインは、図8~18に示されるように、制限酵素、メガヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、ガイドRNAベースのCRISPR/Cas9ヌクレアーゼ、他のヌクレアーゼ、またはそれらの組合せによって切断される。2つ以上の鋳型分子の使用は、CCEドメイン内に1つまたは複数の伸長したバルジ、ループまたは分岐構造を含むゲノムを有するPVまたはAAV粒子の産生を可能にする。
【0061】
[0090]分岐またはループを有するccePVまたはcceAAVを生成するために、典型的には、2つ以上の出発プラスミドが利用される。これは、プラスミド、ウイルスベクター、または合成DNA断片の組合せであってもよい。2つの出発プラスミドにおける指定された部位は、同一であってもよく、または全く異なってもよい。混入cceベクターをもたらす自己ライゲーションを回避するために、非対称酵素消化、またはクラスター化した規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)/Cas9消化が利用される。非対称性および認識配列長は、望ましくない自己ライゲーションを効率的に遮断し得る。
【0062】
[0091]ライゲーションに使用されるプラスミド由来の2つの断片が存在するため、一般的な分子生物学的技術を使用して、自己ライゲーションを行わないDNA末端を作製することが不可欠である(制限酵素およびCRISPR/Cas9酵素を用いる非対称消化がこの目的を達成する)。断片は、DNAリガーゼでライゲーションされてもよい。ライゲーションに使用される断片は様々である。得られた断片は、増幅ありまたはなしで、パルボウイルス産生のために使用され得る。増幅方法は、PCRおよびローリングサイクルphi29型ポリメラーゼを使用するin vitroであってもよい。
【0063】
3. in vitroライゲーションなしの単一DNA鋳型のin vitro消化
[0092]別の実施形態において、プラスミドなどの単一のDNA鋳型がin vitroで消化され、消化された断片が、Rep、Cap、およびpAdなどの1つまたは複数のパルボウイルスヘルパー遺伝子と共に(ミニアデノウイルスが追加のヘルパー遺伝子を提供する)、AAV産生に好適な宿主細胞にトランスフェクトされる。宿主細胞は、1つまたは複数のこれらのヘルパー遺伝子を用いて、一過性にまたは安定的に形質転換され得る。次いで、宿主の細胞ライゲーション酵素を使用して、トランスフェクトされた断片が、in vivoで、細胞内でライゲーションされる。
【0064】
[0093]少なくとも1つのAAV ITRおよび1つのDSドメインを有するプラスミドは、制限酵素、メガヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、ガイドRNAベースのCRISPR/Cas9ヌクレアーゼ、他のヌクレアーゼ、またはそれらの組合せによって切断される。得られた断片は、パルボウイルス産生のための宿主細胞にトランスフェクトされる。宿主細胞リガーゼが、ライゲーションを促進して、ベクター産生のためのベクターDNA配列を生成する。
【0065】
4. in vitroライゲーションを伴わない、2つ以上のDNA鋳型のin vitro消化
[0094]少なくとも1つのAAV ITRおよび1つのDSドメインを有する2つのプラスミドは、制限酵素、または他のメガヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ、またはガイドRNAベースのCRISPR/Cas9ヌクレアーゼで切断される。ライゲーションに使用されるプラスミド由来の2つの断片が存在するため、一般的な分子生物学的技術を使用して、自己ライゲーションを行わないDNA末端を作製することが不可欠である(制限酵素およびCRISPR/Cas9酵素を用いる非対称消化がこの目的を達成する)。得られた断片は、パルボウイルス産生のための宿主細胞にトランスフェクトされる。宿主細胞リガーゼが、ライゲーションを促進して、ベクター産生のためのベクターDNA配列を生成する。
【0066】
5. 単一のDNA鋳型のin vivo消化およびin vivoライゲーション
[0095]さらに別の実施形態において、単一のDNA鋳型分子、例えば、図5~6に示されるような鋳型が、宿主細胞にトランスフェクトされ、その後、宿主細胞中でDNA鋳型のin vivo消化およびin vivoライゲーションが行われる。指定された部位を切断する酵素は、宿主細胞にコトランスフェクトされる。あるいは、酵素は、ワクシニア、ヘルペスウイルスベクター、アデノウイルスベクターなどのウイルスベクター、または他の一般的なウイルスベクターおよび非ウイルスベクターによって送達されてもよい。酵素は、物理的方法によって宿主細胞に送達されてもよく、または宿主細胞に組み込まれてもよい。プラスミドがin vivoでライゲーションされる場合、消化部位にいくつかの挿入または欠失がみられることが一般的である。一般に、少しの欠失または挿入は、ベクターの性能に影響を与えない。
【0067】
[0096]特定の実施形態において、対称ゲノムを有するccePVまたはcceAAVを産生するための方法は、図19に示されるように、パルボウイルスITRおよびDSドメインを有するcce DNA分子と共に、宿主細胞に送達される、ResTなどのテロメアリゾルバーゼの使用を含む。テロメアリゾルバーゼの使用は、cceAAVまたはccePV産生のための鋳型分子の形成を促進することができ、鋳型分子は、ccePVおよびcceAAVが産生され得るように、パルボウイルスまたはAAVプロデューサー細胞株にトランスフェクトされ得る。あるいは、パルボウイルスITR、DSドメイン、およびテロメアリゾルバーゼ部位を有するDNA分子が、テロメアリゾルバーゼがin vivoで発現され得るように、宿主細胞にトランスフェクトされてもよく、またはウイルスベクターによって宿主細胞に送達されてもよく、または宿主細胞に安定して組み込まれてもよい。次いで、テロメアリゾルバーゼは、出発DNA分子に作用して、ccePVまたはcceAAV産生のための分子を生成する。
【0068】
[0097]少なくとも1つのAAV ITRおよび1つのDSドメインを有するプラスミドまたはウイルスベクターが、宿主細胞にトランスフェクトされるまたは感染する。制限酵素、または他のメガヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ、またはガイドRNAベースのCRISPR/Cas9ヌクレアーゼが、宿主細胞にコトランスフェクトされるか、またはウイルスベクターによって運ばれるか、または宿主細胞に組み込まれ、所望の部位でプラスミドを消化するために使用される。得られた断片は、宿主細胞リガーゼによってライゲーションされ、ベクター産生のためのベクターDNA配列を生成する。
【0069】
6. in vivoライゲーションまたは2つ以上のDNA鋳型分子
[0098]少なくとも1つのAAV ITRおよび1つのDSドメインを有する2つのプラスミドまたはウイルスベクターが、宿主細胞にトランスフェクトされるかまたは感染する。制限酵素、または他のメガヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、またはガイドRNAベースのCRISPR/Cas9ヌクレアーゼが、宿主細胞にコトランスフェクトされてもよく、ウイルスベクターによって送達されてもよく、または安定して組み込まれてもよく、宿主細胞において、所望の部位でプラスミドを消化し得る。ライゲーションに使用されるプラスミド由来の2つの断片が存在するため、一般的な分子生物学的技術を使用して、自己ライゲーションを行わないDNA末端を作製することが不可欠である(制限酵素およびCRISPR/Cas9酵素を用いる非対称消化がこの目的を達成する)。得られた断片は、宿主細胞リガーゼによってライゲーションされ、ベクター産生のためのベクターDNA配列を生成する。
【0070】
7. 1つまたは複数の組み込まれたDNA鋳型分子のin vivo消化およびin vivoライゲーション
[0099]この方法では、2つのDNA断片が、宿主染色体に近接して組み込まれる。CRISPR/Cas9媒介消化は、それらの間の空間を除去し、必要なベクターの産生を可能にする。
【0071】
[0100]一実施形態において、パルボウイルスITRまたはAAV ITRは、DSドメインおよび指定された消化部位を伴って、アデノウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター等のウイルスベクターによって送達される。鋳型分子を消化する酵素は、細胞にトランスフェクトされてもよく、ウイルスベクターによって送達されてもよく、または宿主細胞に安定して組み込まれてもよい。その後、パルボウイルスまたはAAVベクターのための他の必須のエレメントが提供されると、ccePVまたはcceAAVが産生され得る。
【0072】
[0101]指定部位を消化するために使用される酵素は、一般的な制限ヌクレアーゼ(参照:制限酵素データベース(The Restriction Enzyme Database、REBASE)、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ、転写活性化因子様(TAL)エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、およびハイブリッドメガヌクレアーゼ(数万のタンパク質単位を含む大型バンクが作製されている。これらの単位を組み合わせて、標的部位を認識するキメラメガヌクレアーゼを得ることができる)、クラスター化した規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)/Cas9)システムであってもよい。
【0073】
[0102]一部の実施形態において、1つまたは複数のccePV鋳型分子が、宿主細胞に導入され、宿主細胞染色体に組み込まれる。一部の実施形態において、5’ITR、DS領域の第1鎖、および指定の消化部位が、宿主細胞染色体の1つの部位に組み込まれる。下流、指定の部位、DSドメインの第2鎖、および3’ITRが、同じ染色体に組み込まれる。ガイドRNAベースのCRISPR/Cas9システムなどの好適なヌクレアーゼ酵素による消化は、ccePVのレスキューおよび産生に適合する2つの領域の間のスペーサー配列を除去する。
【0074】
mTRおよびshDNA配列を有するscAAVを作製するための方法
[0103]上記方法を用いて、mTRまたはshDNAを有するscAAVを産生してもよい。scAAVを産生するための従来の方法は、in vivoでのrAAVゲノムレスキュー工程中に相補鎖を生成し得るメカニズムを提供するために、mTRまたはshDNAの包含に依拠する。この変換効率は、相対的に非効率で、ベクター産生を減少させる副産物の形成を引き起こすことも多く、欠陥干渉粒子または短いゲノムを有するベクターの産生をもたらす。
【0075】
[0104]cceAAVまたはccePVを産生するための上記方法は、本明細書に概説される消化/ライゲーション戦略を用いて、または記載されているテロメアリゾルバーゼアプローチを用いて、scAAVベクターを産生するために使用することもできる。上述の通り、消化/ライゲーションアプローチは、mTRまたはshDNAを伴うscAAV産生のための鋳型分子を利用する従来のscAAV産生方法に対して有利であり、その理由は、本明細書に記載の方法は、2つの完全に機能するITRを既に有するためである。例えば、本願は、トランスフェクションのための所望の閉鎖末端を有する分子を直接生成することによって、mTRまたはshDNAを有するscAAVを産生するための改善された方法をさらに提供する。これは、閉鎖末端を有する断片の直接ライゲーションによって達成することができる。あるいは、閉鎖末端は、テロメアリゾルバーゼまたはプロテロメラーゼを用いて作製することができる。そのような分子は、mTRまたはshDNAを有するscAAVベクターを産生するための、より効率的な基質を提供する(図23~25およびそれらの付随する図の凡例を参照)。
【0076】
本願のccePVおよびcceAAVの使用方法
[0105]本願の別の態様は、本願のccePVまたはcceAAVを用いて治療的病態を処置する方法であって、そのような処置を必要とする対象に、有効量の本願のccePVを投与する工程を含み、ccePVは、治療的病態の処置のための治療的利益を有する1つまたは複数の産物を発現する、方法に関する。
【0077】
他の実施形態
[0106]一部の実施形態において、本願は、5’から3’の方向に、一本鎖形態で、(1)5’末端のパルボウイルス末端反復と、(2)(a)プロモーター領域、または(b)ポリAもしくはポリT配列、または(a)および(b)の両方を含む第1の調節領域と、(3)第1の異種ヌクレオチド配列と、(4)共有結合性閉鎖末端(CCE)ドメインと、(5)第2の異種ヌクレオチド配列と、(6)(a)プロモーター領域、または(b)ポリAもしくはポリT配列、または(a)および(b)の両方を含む、第1の調節領域と、(7)3’末端のパルボウイルス末端反復とを含むDNAゲノムを有するベクターであって、第1の調節配列が、第2の異種配列と相補的であり、ベクターゲノムにおいて二本鎖領域(DSドメイン)を形成し;CCEドメインが、(a)第1の異種ヌクレオチド配列と第2のヌクレオチド配列とを連結する単一の共有結合、または(b)一本鎖DNA領域であり;かつ、ベクターDNAゲノムが、ベクターゲノムのDSドメインから二本鎖(DS)-RNA分子を作製することができる、ベクターに関する。
【0078】
[0107]一部の実施形態では、DSドメインは、変異型逆位末端反復(mTR)配列またはショートヘアピンRNA(shRNA)コード配列由来の20を超える連続ヌクレオチドの塩基対を含む自己アニールステム部分と連続していない。
【0079】
[0108]一部の実施形態では、CCEドメインは、mTR配列、またはshRNAコード配列、またはその両方を含まない。
[0109]以下の1から47まで連続して列挙される項は、本発明の様々な態様および/または実施形態を提供する。
【0080】
[0110]1. 二重鎖パルボウイルス粒子であって、パルボウイルスキャプシドと、5’から3’の方向に、(a)5’末端のパルボウイルス末端反復;(b)3’末端のパルボウイルス末端反復;(c)(a)と(b)の末端反復の間の二本鎖(DS)DNAドメインであって、第2の異種ヌクレオチド配列にアニールされた、自己相補性の第1の異種ヌクレオチド配列を含むDS-DNAドメイン;および(d)第1の異種ヌクレオチド配列と第2の異種ヌクレオチド配列との間の一本鎖共有結合閉鎖末端(SS-CCE)ドメインであって、ループ構造を含むSS-CCEドメインを含むベクターゲノムとを含み、DSドメインが、変異型逆位末端反復(mTR)配列またはショートヘアピンDNA(shDNA)配列由来の20を超える連続ヌクレオチド塩基対を含む自己アニールされたステム部分と連続しておらず、ベクターゲノムが、二重鎖パルボウイルス粒子を産生するために十分なヘルパー機能を発現する宿主細胞に導入されるとき、複製されて二重鎖パルボウイルス粒子を形成することができる、二重鎖パルボウイルス粒子。
【0081】
[0111]2. SS-CCEドメインが、変異型逆位末端反復(mTR)またはショートヘアピンDNA(shDNA)配列由来の20を超える連続ヌクレオチドを含まない、項1に記載のパルボウイルス粒子
[0112]3. SS-CCEドメインが、3~4,000ヌクレオチド、50~4,000ヌクレオチド、1,000~4,000ヌクレオチド、3~2,000ヌクレオチド、50~2,000ヌクレオチド、250~2,000ヌクレオチド、または500~2,000ヌクレオチドを含む、項1または2に記載のパルボウイルス粒子。
【0082】
[0113]4. SS-CCEドメインが、タンパク質またはRNAをコードする配列を含む、項1~3のいずれか一項に記載のパルボウイルス粒子。
[0114]5. タンパク質またはRNAをコードする配列が、それに作動可能に連結された下流ポリアデニル化シグナルをさらに含む、項4に記載のパルボウイルス粒子。
【0083】
[0115]6. 第1の異種ヌクレオチド配列が、第2の異種ヌクレオチド配列に対して95%超、99%超、または100%の逆相補性を有する、項1~5のいずれか一項に記載のパルボウイルス粒子。
【0084】
[0116]7. DSドメインが、タンパク質またはRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーターを含む、項1~6のいずれか1項に記載のパルボウイルス粒子。
[0117]8. DSドメインが、タンパク質またはRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリアデニル化シグナルをさらに含む、項7に記載のパルボウイルス粒子。
【0085】
[0118]9. DSドメインが、ループ状のまたは分岐した一本鎖DNAによって中断されている、項1~5のいずれか一項に記載のパルボウイルス粒子。
[0119]10. ループ状のまたは分岐した一本鎖DNAが、タンパク質またはRNAをコードするヌクレオチドを含む、項9に記載のパルボウイルス粒子。
【0086】
[0120]11. タンパク質またはRNAをコードする配列が、それに作動可能に連結された下流ポリアデニル化シグナルをさらに含む、項10に記載のパルボウイルス粒子。
[0121]12. (a)のパルボウイルス末端反復が、左末端ヘアピン(LEH)を含み、(b)の末端反復が、右末端ヘアピン(REH)を含む、項1~11のいずれか一項に記載のパルボウイルス粒子。
【0087】
[0122]13. パルボウイルス末端反復が、アデノ随伴ウイルス(AAV)逆位末端反復(ITR)を含む、項1~11のいずれか一項に記載のパルボウイルス粒子。
[0123]14. 項1に記載のパルボウイルス粒子を作製するための方法であって、(a)断片を含むプラスミドを用意する工程であって、断片が、5’から3’の方向に、(i)左末端ヘアピン(LEH)または逆位末端反復(ITR)を含むパルボウイルス末端反復、(ii)タンパク質またはRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーター、および(iii)プラスミド内のヌクレアーゼ切断部位を含む、プラスミドを用意する工程と、(b)目的の核酸に隣接するパルボウイルス末端反復を含む核酸を複製するために十分な1つまたは複数のヘルパー遺伝子を含む宿主細胞を用意する工程と、(c)プラスミドを線状にするために十分な条件下で、プラスミドをヌクレアーゼ切断部位に特異的なヌクレアーゼ酵素で消化する工程であって、プラスミドがin vitroで消化されるか、または宿主細胞内で消化される、消化する工程と、(d)プラスミドをDNAリガーゼで自身にライゲーションする工程であって、プラスミドがin vitroでライゲーションされるか、または宿主細胞内でライゲーションされる、ライゲーションする工程と、(e)工程(d)の完了後にパルボウイルス粒子を産生するために適した条件下で工程(c)および(d)に従って処理されたプラスミドを含む宿主細胞を培養する工程と、(f)工程(f)で産生されたパルボウイルス粒子を回収する工程とを含む方法。
【0088】
[0124]15. 断片がパルボウイルスLEHを含む、項14に記載の方法。
[0125]16. 断片がAAV ITRを含む、項14に記載の方法。
[0126]17. プラスミドが断片の下流にサブ断片をさらに含み、サブ断片が、5’から3’の方向に、(i)telR結合部位、(b)TelNヌクレアーゼ認識切断部位、および(iii)tell結合部位を含み;プラスミドが消化され、TelN酵素で自己ライゲーションされ;かつプラスミドがin vitroで消化および自己ライゲーションされるか、または宿主細胞内で消化および自己ライゲーションされる、項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【0089】
[0127]18. 項1に記載のパルボウイルス粒子を作製するための方法であって、(a)第1の断片を含む第1のプラスミドを用意する工程であって、第1の断片が、5’から3’の方向に、(i)左末端ヘアピン(LEH)または逆位末端反復(ITR)を含むパルボウイルス末端反復;(ii)タンパク質またはRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーター;および(iii)第1のプラスミド内の第1のヌクレアーゼ切断部位を含む、第1のプラスミドを用意する工程と、(b)第2の断片を含む第2のプラスミドを用意する工程であって、第2の断片が、5’から3’の方向に、(i)右末端ヘアピン(REH)またはITRを含むパルボウイルス末端反復;(ii)プロモーター;(iii)タンパク質またはRNAをコードする核酸;および(iv)第2のプラスミド内の第2のヌクレアーゼ切断部位を含み、第2の断片が、第1の断片に存在しない1つまたは複数の連続するヌクレオチド塩基対をさらに含むことを除いて、第1の断片と同一である、第2のプラスミドを用意する工程と、(c)目的の核酸に隣接するパルボウイルス末端反復を含む核酸を複製するために十分な1つまたは複数のヘルパー遺伝子を含む宿主細胞を用意する工程と、(d)第1のプラスミドを線状にするために十分な条件下で、第1のプラスミドを、(a)(iii)のヌクレアーゼ切断部位に特異的なヌクレアーゼ酵素で消化する工程であって、第1のプラスミドがin vitroで消化されるか、または宿主細胞内で消化される、消化する工程と、(e)第2のプラスミドを線状にするために十分な条件下で、第2のプラスミドを、(b)(iv)のヌクレアーゼ切断部位に特異的なヌクレアーゼ酵素で消化する工程であって、第2のプラスミドがin vitroで消化されるか、または宿主細胞内で消化される、消化する工程と、(f)工程(d)および(e)で消化された第1のプラスミドおよび第2のプラスミドをDNAリガーゼでライゲーションする工程であって、消化された第1のプラスミドおよび第2のプラスミドがin vitroでライゲーションされるか、または宿主細胞内でライゲーションされる、ライゲーションする工程と、(g)工程(f)の完了後にパルボウイルス粒子を産生するために適した条件下で工程(d)~(f)に従って処理された第1のプラスミドおよび第2のプラスミドを含む宿主細胞を培養する工程と、(h)工程(g)で産生されたパルボウイルス粒子を回収する工程とを含む方法。
【0090】
[0128]19. 第1の断片がパルボウイルスLEHを含み、第2の断片がパルボウイルスREHを含む、項18に記載の方法。
[0129]20. 第1の断片および第2の断片のそれぞれが、AAV ITRを含む、項18に記載の方法。
【0091】
[0130]21. 第2の断片が、(b)(iii)と(b)(iv)との間にサブ断片を含む、項18~20のいずれか一項に記載の方法。
[0131]22. サブ断片が、3~4,000塩基対の長さ、50~4,000塩基対の長さ、1,000~4,000塩基対の長さ、3~2,000塩基対の長さ、50~2,000塩基対の長さ、250~2,000塩基対の長さ、または500~2,000塩基対の長さである、項21に記載の方法。
【0092】
[0132]23. 第2の断片が、(b)(ii)と(b)(iii)との間にサブ断片を含む、項18~20のいずれか一項に記載の方法。
[0133]24. サブ断片が、3~4,000塩基対の長さ、50~4,000塩基対の長さ、1,000~4,000塩基対の長さ、3~2,000塩基対の長さ、50~2,000塩基対の長さ、250~2,000塩基対の長さ、または500~2,000塩基対の長さである、項23に記載の方法。
【0093】
[0134]25. 項1に記載のパルボウイルス粒子を作製するための方法であって、(a)第1の断片を含む第1のプラスミドを用意する工程であって、第1の断片が、5’から3’の方向に、(i)左末端ヘアピン(LEH)または逆位末端反復(ITR)を含むパルボウイルス末端反復;(ii)プロモーター;(iii)タンパク質またはRNAをコードする核酸;(iv)ポリアデニル化シグナル;および(v)第1のプラスミド内の第1のヌクレアーゼ切断部位を含む、第1のプラスミドを用意する工程と、(b)第2の断片を含む第2のプラスミドを用意する工程であって、第2の断片が、5’から3’の方向に、(i)右末端ヘアピン(REH)またはITRを含むパルボウイルス末端反復;(ii)プロモーター;および(iii)第2のプラスミド内の第2のヌクレアーゼ切断部位を含む、第2のプラスミドを用意する工程と、(c)目的の核酸に隣接するパルボウイルス末端反復を含む核酸を複製するために十分な1つまたは複数のヘルパー遺伝子を含む宿主細胞を用意する工程と、(d)第1のプラスミドを線状にするために十分な条件下で、第1のプラスミドを、(a)(v)のヌクレアーゼ切断部位に特異的なヌクレアーゼ酵素で消化する工程であって、第1のプラスミドがin vitroで消化されるか、または宿主細胞内で消化される、消化する工程と、(e)第2のプラスミドを線状にするために十分な条件下で、第2のプラスミドを、(b)(iii)のヌクレアーゼ切断部位に特異的なヌクレアーゼ酵素で消化する工程であって、第2のプラスミドがin vitroで消化されるか、または宿主細胞内で消化される、消化する工程と、(f)工程(d)および(e)で消化された第1のプラスミドおよび第2のプラスミドをDNAリガーゼでライゲーションする工程であって、消化された第1のプラスミドおよび第2のプラスミドがin vitroでライゲーションされるか、または宿主細胞内でライゲーションされる、ライゲーションする工程と、(g)工程(f)の完了後にパルボウイルス粒子を産生するために適した条件下で工程(d)~(f)に従って処理された第1のプラスミドおよび第2のプラスミドを含む宿主細胞を培養する工程と、(h)工程(g)で産生されたパルボウイルス粒子を回収する工程とを含む方法。
【0094】
[0135]26. 第1の断片がパルボウイルスLEHを含み、第2の断片がパルボウイルスREHを含む、項25に記載の方法。
[0136]27. 第1の断片および第2の断片のそれぞれが、AAV ITRを含む、項25に記載の方法。
【0095】
[0137]28. (a)(iii)のタンパク質またはRNAをコードする核酸が、3~4,000塩基対の長さ、50~4,000塩基対の長さ、1,000~4,000塩基対の長さ、3~2,000塩基対の長さ、50~2,000塩基対の長さ、250~2,000塩基対の長さ、または500~2,000塩基対の長さである、項25~27のいずれか一項に記載の方法。
【0096】
[0138]29. 項1に記載のパルボウイルス粒子を作製するための方法であって、(a)第1の断片を含む第1のプラスミドを用意する工程であって、第1の断片が、5’から3’の方向に、(i)左末端ヘアピン(LEH)または逆位末端反復(ITR)を含むパルボウイルス末端反復;(ii)プロモーター;(iii)第1のポリアデニル化シグナル;(iv)第1のタンパク質または第1のRNAをコードする逆相補的核酸であって、第1のタンパク質および第1のRNAのそれぞれが、右から左への極性を有する、逆相補的核酸;(v)第2のタンパク質または第2のRNAをコードする核酸であって、第2のタンパク質および第2のRNAのそれぞれが、左から右への極性を有する、核酸;(vi)第2のポリアデニル化シグナル;ならびに(vii)第1のプラスミド内の第1のヌクレアーゼ切断部位を含む、第1のプラスミドを用意する工程と、(b)第2の断片を含む第2のプラスミドを用意する工程であって、第2の断片が、5’から3’の方向に、(i)右末端ヘアピン(REH)またはITRを含むパルボウイルス末端反復;(ii)(a)(ii)のプロモーター;(iii)第2のタンパク質または第2のRNAをコードする核酸であって、第2のタンパク質および第2のRNAのそれぞれが、左から右への極性を有する、核酸;(iv)ポリアデニル化シグナル;ならびに(v)第2のプラスミド内の第2のヌクレアーゼ切断部位を含む、第2のプラスミドを用意する工程と、(c)目的の核酸に隣接するパルボウイルス末端反復を含む核酸を複製するために十分な1つまたは複数のヘルパー遺伝子を含む宿主細胞を用意する工程と、(d)第1のプラスミドを線状にするために十分な条件下で、第1のプラスミドを、(a)(vii)のヌクレアーゼ切断部位に特異的なヌクレアーゼ酵素で消化する工程であって、第1のプラスミドがin vitroで消化されるか、または宿主細胞内で消化される、消化する工程と、(e)第2のプラスミドを線状にするために十分な条件下で、第2のプラスミドを、(b)(v)のヌクレアーゼ切断部位に特異的なヌクレアーゼ酵素で消化する工程であって、第2のプラスミドがin vitroで消化されるか、または宿主細胞内で消化される、消化する工程と、(f)工程(d)および(e)で消化された第1のプラスミドおよび第2のプラスミドをDNAリガーゼでライゲーションする工程であって、消化された第1のプラスミドおよび第2のプラスミドがin vitroでライゲーションされるか、または宿主細胞内でライゲーションされる、ライゲーションする工程と、(g)工程(f)の完了後にパルボウイルス粒子を産生するために適した条件下で工程(d)~(f)に従って処理された第1のプラスミドおよび第2のプラスミドを含む宿主細胞を培養する工程と、(h)工程(g)で産生されたパルボウイルス粒子を回収する工程とを含む方法。
【0097】
[0139]30. 第1の断片がパルボウイルスLEHを含み、第2の断片がパルボウイルスREHを含む、項29に記載の方法。
[0140]31. 第1および第2の断片のそれぞれが、AAV ITRを含む、項29に記載の方法。
【0098】
[0141]32. (a)(iv)、(a)(v)、またはその両方のタンパク質またはRNAをコードする核酸が、3~4,000塩基対の長さ、50~4,000塩基対の長さ、1,000~4,000塩基対の長さ、3~2,000塩基対の長さ、50~2,000塩基対の長さ、250~2,000塩基対の長さ、または500~2,000塩基対の長さである、項29~31のいずれか一項に記載の方法。
【0099】
[0142]33. (b)(iii)のタンパク質またはRNAをコードする核酸が、3~4,000塩基対の長さ、50~4,000塩基対の長さ、1,000~4,000塩基対の長さ、3~2,000塩基対の長さ、50~2,000塩基対の長さ、250~2,000塩基対の長さ、または500~2,000塩基対の長さである、項29~31のいずれか一項に記載の方法。
【0100】
[0143]34. 項1に記載のパルボウイルス粒子を作製するための方法であって、(a)第1の断片を含む第1のプラスミドを用意する工程であって、第1の断片が、5’から3’の方向に、(i)左末端ヘアピン(LEH)または逆位末端反復(ITR)を含むパルボウイルス末端反復;(ii)左から右への極性を有するプロモーター;(iii)左から右への極性を有する第1のタンパク質または第1のRNAをコードする核酸;(iv)左から右への極性を有するポリアデニル化シグナル;および(v)第1のプラスミド内の第1のヌクレアーゼ切断部位を含む、第1のプラスミドを用意する工程と、(b)第2の断片を含む第2のプラスミドを用意する工程であって、第2の断片が、5’から3’の方向に、(i)第1のヌクレアーゼ切断部位;(ii)右から左への極性を有する第1のポリアデニル化シグナル;(iii)(a)(iii)の第1のタンパク質または第1のRNAをコードする核酸であって、第1のタンパク質または第1のRNAが、右から左への極性を有する核酸;(iv)第2のタンパク質または第2のRNAをコードする核酸であって、第2のタンパク質および第2のRNAのそれぞれが、左から右への極性を有する核酸;(v)第2のポリアデニル化シグナル;および(vi)第2のヌクレアーゼ切断部位を含み、(b)(i)の切断部位および(a)(v)の切断部位が同じである、第2のプラスミドを用意する工程と、(c)第3の断片を含む第3のプラスミドを用意する工程であって、第3の断片が、5’から3’の方向に、(i)左末端ヘアピン(LEH)または逆位末端反復(ITR)を含むパルボウイルス末端反復;(ii)左から右への極性を有する、(a)(ii)のプロモーター;(iii)(b)(iv)の第2のタンパク質または第2のRNAをコードする核酸であって、第2のタンパク質および第2のRNAのそれぞれが、左から右への極性を有する、核酸;(iv)左から右への極性を有するポリアデニル化シグナル;ならびに(v)第3のプラスミドに固有の第3のヌクレアーゼ切断部位を含み、(b)(iv)の切断部位と、(c)(v)の切断部位が同じである、第3のプラスミドを用意する工程と、(d)目的の核酸に隣接するパルボウイルス末端反復を含む核酸を複製するために十分な1つまたは複数のヘルパー遺伝子を含む宿主細胞を用意する工程と、(e)第1のプラスミドを線状にするために十分な条件下で、第1のプラスミドを、(a)(v)のヌクレアーゼ切断部位に特異的なヌクレアーゼ酵素で消化する工程であって、第1のプラスミドがin vitroで消化されるか、または宿主細胞内で消化される、消化する工程と、(f)第2のプラスミドを消化するために十分な条件下で、第2のプラスミドを、(b)(i)のヌクレアーゼ切断部位に特異的なヌクレアーゼ酵素で消化し、および第2のプラスミドを、(b)(vi)のヌクレアーゼ切断部位に特異的なヌクレアーゼ酵素で消化する工程であって、第2のプラスミドがin vitroで消化されるか、または宿主細胞内で消化される、消化する工程と、(g)第3のプラスミドを線状にするために十分な条件下で、第3のプラスミドを、(c)(v)のヌクレアーゼ切断部位に特異的なヌクレアーゼ酵素で消化する工程であって、第3のプラスミドがin vitroで消化されるか、または宿主細胞内で消化される、消化する工程と、(h)線状にされた第1のプラスミド断片、第2の断片、および線状にされた第3のプラスミド断片を、DNAリガーゼで一緒にライゲーションする工程であって、ライゲーションがin vitroまたは宿主細胞内で行われる、ライゲーションする工程と、(i)工程(h)の完了後にパルボウイルス粒子を産生するために適した条件下で工程(e)~(h)に従って処理された第1のプラスミド、第2のプラスミド、および第3のプラスミドを含む宿主細胞を培養する工程と、(j)工程(i)で産生されたパルボウイルス粒子を回収する工程とを含む方法。
【0101】
[0144]35. 第1の断片がパルボウイルスLEHを含み、第3の断片がパルボウイルスREHを含む、項34に記載の方法。
[0145]36. 第1の断片および第3の断片のそれぞれが、AAV ITRを含む、項34に記載の方法。
【0102】
[0146]37. (a)(iii)、(b)(ii)、またはその両方の第1のタンパク質または第1のRNAをコードする核酸が、3~4,000塩基対の長さ、50~4,000塩基対の長さ、1,000~4,000塩基対の長さ、3~2,000塩基対の長さ、50~2,000塩基対の長さ、250~2,000塩基対の長さ、または500~2,000塩基対の長さである、項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【0103】
[0147]38. (b)(iv)、(c)(iii)、またはその両方の第2のタンパク質または第2のRNAをコードする核酸が、3~4,000塩基対の長さ、50~4,000塩基対の長さ、1,000~4,000塩基対の長さ、3~2,000塩基対の長さ、50~2,000塩基対の長さ、250~2,000塩基対の長さ、または500~2,000塩基対の長さである、項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【0104】
[0148]39. 自己相補的AAVを作製するための方法であって、(a)断片を含むプラスミドを用意する工程であって、断片が、5’から3’の方向に、(i)AAV ITRを含むパルボウイルス末端反復;(ii)タンパク質またはRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーター;(iii)変異型逆位末端反復(mITR)の少なくとも半分またはショートヘアピンDNA(shDNA)の少なくとも半分;および(iv)ヌクレアーゼ切断部位を含む、プラスミドを用意する工程と、(b)目的の核酸に隣接するパルボウイルス末端反復を含む核酸を複製するために十分な1つまたは複数のヘルパー遺伝子を含む宿主細胞を用意する工程と、(c)プラスミドを線状にするために十分な条件下で、プラスミドをヌクレアーゼ切断部位に特異的なヌクレアーゼ酵素で消化する工程であって、プラスミドがin vitroで消化されるか、または宿主細胞内で消化される、消化する工程と、(d)プラスミドをDNAリガーゼで自身にライゲーションする工程であって、プラスミドが、mTRまたはshDNA配列を含むヘアピンが形成されるように、in vitroでライゲーションされるか、または宿主細胞内でライゲーションされる、ライゲーションする工程と、(e)工程(d)の完了後にパルボウイルス粒子を産生するために適した条件下で工程(c)および(d)に従って処理されたプラスミドを含む宿主細胞を培養する工程と、(f)工程(f)で産生されたパルボウイルス粒子を回収する工程とを含む方法。
【0105】
[0149]40. 自己相補的AAVを作製するための方法であって、(a)断片を含む第1のプラスミドを用意する工程であって、断片が、5’から3’の方向に、(i)AAV ITRを含むパルボウイルス末端反復;(ii)タンパク質またはRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーター;(iii)部分mTRまたは部分shDNA;および(iv)ヌクレアーゼ切断部位を含む、第1のプラスミドを用意する工程と、(b)断片を含む第2のプラスミドを用意する工程であって、断片が、5’から3’の方向に、(i)AAV ITRを含むパルボウイルス末端反復;(ii)タンパク質またはRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーター;(iii)部分mTRまたは部分shDNA;および(iv)ヌクレアーゼ切断部位を含む、第2のプラスミドを用意する工程と、(c)目的の核酸に隣接するパルボウイルス末端反復を含む核酸を複製するために十分な1つまたは複数のヘルパー遺伝子を含む宿主細胞を用意する工程と、(d)第1のプラスミドを線状にするために十分な条件下で、第1のプラスミドを、(a)(iii)のヌクレアーゼ切断部位に特異的なヌクレアーゼ酵素で消化する工程であって、第1のプラスミドがin vitroで消化されるか、または宿主細胞内で消化される、消化する工程と、(e)第2のプラスミドを線状にするために十分な条件下で、第2のプラスミドを、(b)(iv)のヌクレアーゼ切断部位に特異的なヌクレアーゼ酵素で消化する工程であって、第2のプラスミドがin vitroで消化されるか、または宿主細胞内で消化される、消化する工程と、(f)工程(d)および(e)で消化された第1のプラスミドおよび第2のプラスミドをDNAリガーゼでライゲーションする工程であって、消化された第1のプラスミドおよび第2のプラスミドが、mTRまたはshDNA配列を含むヘアピンが形成されるように、in vitroでライゲーションされるか、または宿主細胞内でライゲーションされる、ライゲーションする工程と、(g)工程(f)の完了後にパルボウイルス粒子を産生するために適した条件下で工程(d)~(f)に従って処理された第1のプラスミドおよび第2のプラスミドを含む宿主細胞を培養する工程と、(h)工程(g)で産生されたパルボウイルス粒子を回収する工程とを含む方法。
【0106】
[0150]41. 自己相補的AAVを作製するための方法であって、(a)断片を含むプラスミドを用意する工程であって、断片が、5’から3’の方向に、(i)AAV ITRを含むパルボウイルス末端反復;(ii)タンパク質またはRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーター;および(iii)プラスミド内のヌクレアーゼ切断部位を含む、プラスミドを用意する工程と、(b)mITRの少なくとも半分またはshDNAの少なくとも半分を含むDNA断片を用意する工程と、(c)目的の核酸に隣接するパルボウイルス末端反復を含む核酸を複製するために十分な1つまたは複数のヘルパー遺伝子を含む宿主細胞を用意する工程と、(d)プラスミドを線状にするために十分な条件下で、プラスミドを、ヌクレアーゼ切断部位に特異的なヌクレアーゼ酵素で消化する工程であって、プラスミドがin vitroで消化されるか、または宿主細胞内で消化される、消化する工程と、(e)プラスミドをDNAリガーゼでライゲーションする工程であって、プラスミドが、mTRまたはshDNA配列を含むヘアピンが形成されるように、in vitroでライゲーションされるか、または宿主細胞内でライゲーションされる、ライゲーションする工程と、(f)工程(e)の完了後にパルボウイルス粒子を産生するために適した条件下で工程(d)および(t)に従って処理されたプラスミドを含む宿主細胞を培養する工程と、(g)工程(f)で産生されたパルボウイルス粒子を回収する工程とを含む方法。
【0107】
[0151]42. ベクターゲノムであって、5’から3’の方向に、(1)5’末端のパルボウイルス末端反復;(2)(a)プロモーター領域、または(b)ポリAもしくはポリT配列、または(a)および(b)の両方を含む、第1の調節領域、(3)第1の異種ヌクレオチド配列、(4)共有結合性閉鎖末端(CCE)ドメイン、(5)第2の異種ヌクレオチド配列、(6)(a)プロモーター領域、または(b)ポリAもしくはポリT配列、または(a)および(b)の両方を含む、第1の調節領域、ならびに(7)3’末端のパルボウイルス末端反復を含み、第1の調節配列は第2の異種配列に相補的であり、ベクターゲノムにおいて二本鎖領域(DSドメイン)を形成し、CCEドメインが、(a)第1の異種ヌクレオチド配列と第2のヌクレオチド配列とを連結する単一の共有結合、または(b)一本鎖DNA領域であり、かつベクターゲノムが、ベクターゲノムのDSドメインから二本鎖(DS)-RNA分子を作製することができる、ベクターゲノム。
【0108】
[0152]43. DSドメインが、変異型逆位末端反復(mTR)配列またはショートヘアピンRNA(shRNA)コード配列由来の20を超える連続ヌクレオチド塩基対を含む自己アニールステム部分と連続していない、項42に記載のベクターゲノム。
【0109】
[0153]44. CCEドメインが、mTR配列、またはshRNAコード配列、またはその両方を含まない、項42に記載のベクターゲノム。
[0154]45. CCEドメインが、0~50ヌクレオチドを含む、項42に記載のベクターゲノム。
【0110】
[0155]46. CCEドメインが、51~4000ヌクレオチドを含む、項42に記載のベクターゲノム。
[0156]47. dsRNA分子を作製するための方法であって、(1)宿主産生細胞を増殖する工程と、(2)宿主産生細胞に、項42に記載のベクターゲノムを導入する工程と、(3)宿主産生細胞に、ヘルパー遺伝子を導入する工程と、(4)宿主産生細胞を少なくとも12時間インキュベートする工程であって、ベクターゲノムがdsRNA分子を発現する、インキュベートする工程とを含む方法。
【0111】
実施例
【実施例1】
【0112】
cceAAV-CB-FIX作製方法の比較
[0157]cceAAV-CB-FIXを、CBプロモーターの制御下でFIXを発現するように構築した。cceAAV-CB-FIXは、cceAAV-ZLの構成を有する。cceAAV-CB-FIXは、scAAV-CB-FIXを出発物質として使用して構築した。まず、変異型ITRをscAAV-CB-FIXから除去し、I-scel、Not I部位およびCR1(ガイドRNA gCRlを使用するcas9部位)を含む断片に置き換え、プレ-cceAAV-CB-FIXプラスミドを得た。cceAAV-CB-FIXは、以下の方法を使用して作製した。次いで、それらの収率を測定し、それらの性能をscAAV-CB-FIXと比較した。
【0113】
[0158]ライゲーション指針 プレ-cceAAV-CB-FIXをNot IおよびEcoRVで消化し、ITRを含む断片をライゲーションに使用した。得られたライゲーションされた断片を用いて、アデノウイルスプラスミドおよびpRepCap(AAVヘルパープラスミド)と共に293細胞にコトランスフェクトした。トランスフェクションの96時間後にベクターを収集し、精製のための標準プロトコルに従った。
【0114】
[0159]I-sceIとのin vivoライゲーション プレ-cceAAV-CB-FIXプラスミドを使用して、アデノウイルスプラスミドおよびpRepCap(AAVヘルパープラスミド)と共に、293-i-sceI細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの96時間後にベクターを収集し、精製のための標準プロトコルに従った。293-i-sceIは、293細胞株においてI-sceIヌクレアーゼを安定的に発現する細胞株である。
【0115】
[0160]Cas9支援産生 プレ-cceAAV-CB-FIXを使用して、pRepCap(AAVヘルパープラスミド)と共に、293細胞にトランスフェクトした。その後、Cas9ヌクレアーゼおよびgRNA gCRlを有するアデノウイルスを感染させた。アデノウイルス感染の48時間後にベクターを収集し、精製のための標準プロトコルに従った。
【0116】
【表1】
【実施例2】
【0117】
dsRNA発現のためのcceAAV
[0161]cceAAV-dsRNA発現を図26に示す。留意すべきことに、ポリA部位はアンチセンス鎖にある。ポリAまたはポリA機能等価エレメント(転写終結因子)は、マイナス鎖の任意の場所に配置することができる(例えば、プロモーターの前または後、またはアンチセンス鎖の中間であり得る)。AAVが自己相補的構成にある場合、dsRNAは発現されない。dsRNAのためのプロモーターは、クラスI、クラスII、およびクラスIIプロモーターを含む任意のプロモーターであり得る。AAV DNAが第2鎖DNA合成またはプラス鎖およびマイナス鎖のアニーリングを経た後、dsRNAが発現される。dsRNAを使用して、細胞応答を誘発するか、または標的遺伝子発現を調節することができる。cceAAV-GFP-dsRNAを作製するために、pAAV-CB-EGFPからポリA配列を除去し、CBプロモーターの開始時に逆方向にポリA配列をクローニングして、pAAV-アンチセンス-ポリA-CB-GFPを得た。GFPのdsRNAを発現するためのAAVベクターを作製するために、pAAV-アンチセンス-ポリA-CB-GFPを、Not IおよびEcoRVによって消化して、ITR-アンチセンス-ポリA-CB-GFPを有する断片を得て、次いで、断片を、AAVヘルパーおよびアデノウイルスヘルパープラスミドと共に使用して、293細胞にトランスフェクトし、トランスフェクション後96で、ベクターcce-AAV-CB-GFP-dsRNAを収集した。次いで、得られたベクターをdsRNA発現について試験した。感染の48時間後にqPCRによってdsRNA発現を観察した。dsRNAベクターを通常のGFPベクターと同時感染させた場合、これら2つのベクターの比率に応じて、GFP発現はl0%~99%低下した。
【実施例3】
【0118】
遺伝子編集のための一本鎖DNA鋳型を送達するためのcceAAV
[0162]基本構成は図3に示す通りである。cce-AAV-ssGFPを作製するために、ライゲーションのための2つの断片を調製した。1つの断片は、遺伝子編集のためのITR、300bpセンス鎖、ssDNAカセット(1300bp)を含む。もう一方の断片は、ITR、300bpセンス鎖を含む(ssDNAカセットなし)。次いで、これらの2つの断片をトランスフェクションの前にライゲーションして、AAVベクターを作製した。次いで、cce-AAV-ssGFPを配列決定によって確認した。cce-AAV-GFPを遺伝子編集のためにCas9-gRNAで試験した。cce-AAV-ssGFPのMOIに応じて、5~100倍の改善が認められた。
【実施例4】
【0119】
dsRNAを発現させ、同時にssDNAを送達するためのcceAAV
[0163]dsRNAを発現させ、同時にssDNAを送達するためのcceAAVのプロトタイプについての図を、図27に示す。一本鎖DNAは、フランキング領域が二重鎖であるため、より安定である。このスキームは、ITR、アンチセンス方向のポリA、CBプロモーター、GFPセンス鎖、および800bpの一本鎖DNA領域を含む1つの断片と、ITR、アンチセンス方向のポリA、CBプロモーター、およびGFPセンス鎖を含む別の断片とをライゲーションすることによって達成される。ベクターは、AAVヘルパーおよびミニアデノウイルスプラスミドを伴ったコトランスフェクションによって作製される。dsRNAの発現は、産生されたベクターに感染した細胞で確認される。
【実施例5】
【0120】
TelNに基づくcceAAV
[0164]cceAAV-CB-GFP-miRNAを、CBプロモーター制御下でmiRNAを発現するように構築した。cceAAV-CB-GFP-miRNAは、cceAAV-ZLの構成を有する。cceAAV-CB-GFP-miRNAは、scAAV-CB-GFPを出発物質として使用して構築した。まず、変異型ITRをscAAV-CB-GFPから除去し、I-sceI、Not I部位、TelRLおよびCR1(ガイドRNA gCRlを使用するcas9部位)を含むmiRNA発現断片に置き換え、プレ-cceAAV-CB-GFP-miRNAプラスミドを得た。cceAAV-CB-GFP-miRNAは、I-scel、Not I部位、およびCR1を利用する場合、実施例1に記載のように以下の方法を使用して作製した。TelRL部位を利用する場合、前駆体プラスミドをTelN(New England Biolabs)と共に、トランスフェクション前の1時間インキュベーションする。新しい方法からの得られるeceAAV-CB-GFP-miRNAの収率は、典型的なscAAV発現miRNAよりも5~10倍良好である。混入レベルは、典型的なベクター作製方法よりも5~10倍低い。
【実施例6】
【0121】
DNAザイムを有するcceAAV
[0165]構築物cceAAV-DNAザイムは、cceAAV-LSの構成(図3)を使用して構築される。8-17および10-23DNAザイムを含む、試験されるDNAザイム(Santoro SW、Joyce GF(1997年4月)「A general purpose RNA-cleaving DNA enzyme」、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America.94(9):4262-6.doi: l0.1073/pnas.94.9.4262. PMC20710. PMID9113977)。10-23DNAザイムは、2つの基質認識ドメインが隣接する15ヌクレオチド触媒コアを含む。このDNAザイムは、対合していないプリンと対合したピリミジンとの間で、配列特異的様式で効率的に相補的RNAを切断する。10-23DNAザイムは、ライゲーションのために1つの断片にクローニングされる。1つの断片の構成は1.ITR、CB-GFP、ポリA、-フレキシブルDNAリンカー(50bp)、10-23DNAザイムであり、他方の断片は、ITR、CB-GFP、ポリA、-フレキシブルDNAリンカー(50bp)である。このライゲーションは、一本鎖DNA領域(対合していない)において10-23DNAザイムを有するcceAAVゲノムを作製する。10-23DNAザイムの機能は、Joyce’s groupによって公開されている標準プロトコルに従って特徴付けられる。
【実施例7】
【0122】
2つの異なるITR(LEHおよびREH)を有するccePV
[0166]我々は、3つのバージョンのヒトボカウイルス ウイルス-l(HBoVl)ベクターを作製した。1つ目は、cceHBoV-LEH2-CB-GFPである。これは、LEH-CB-GFP断片の自己ライゲーションによって構築され、LEHの2コピーと自己相補性である。2つ目は、cceHBoV-REH2-CB-GFPである。これは、REH-CB-GFP断片の自己ライゲーションによって構築され、REHの2コピーと自己相補性である。3つ目は、cceHBoV-REH2-CB-GFPである。これは、REH-CB-GFP断片およびLEH-CB-GFPによって構築され、導入遺伝子カセットにおいて自己相補性であるが、1つのREHおよび1つのLEHを有する。得られたプラスミドを、HBoVlヘルパー、およびアデノウイルスヘルパーと共にコトランスフェクトした。他の試薬は複製を容易にする。得られたベクターを、サザンブロットおよびqPCRにより確認し、293細胞に対する感染性を試験した。
【実施例8】
【0123】
AAV第2合成またはプラスおよびマイナス極性のアニーリング後の、AAVを用いたdsRNAの発現
[0167]ベクターを、2つの断片、つまりAAV-ITR、CBプロモーター、GFP配列を含む第1の断片と、相補的GFP配列、ポリA配列、およびAAV ITRを含む第2の断片とのライゲーションによって構築した。この断片のライゲーションは、AAV-ITR、CBプロモーター、GFP配列、相補的GFP配列、ポリA配列、およびAAV ITRの分子構成をもたらす(宿主細胞におけるその不安定性のために、このプラスミドを、プラスミドとして作製することはできない)。これにより、感染時にdsRNAとしてGFP配列が生成される。第2のDNA合成なしで発現されるGFPのdsRNAの対照は、以下の、AAV-ITR、相補的ポリA配列、CBプロモーター、およびGFP配列を(順番に)含む第1の断片と、相補的GFP配列、相補的CBプロモーター配列、ポリA配列、およびAAV-ITRを(順番に、本質的に第1の断片である)含む第2の断片とのライゲーションによって作製される。最終分子構成は、AAV-ITR、相補的ポリA配列、CBプロモーター、GFP配列、相補的GFP配列、相補的CBプロモーター配列、ポリA配列、およびAAV-ITRである。対照AAVベクターは、ポリAおよびプロモーターのための余剰の相補的配列のために、dsRNAの容量が低下している。しかしながら、自己ライゲーションを用いるため、ライゲーションを簡素化する利点がある。
【0124】
[0168]上記の説明は、当業者に本発明の実施の仕方を教示する目的のためのものであり、本明細書を読んで当業者に明らかとなる明白な改変および変形の全てを詳細に説明することを意図するものではない。しかしながら、そのような明白な改変および変形の全ては、以下の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲に含まれることが意図される。特許請求の範囲は、文脈が特に反対のことを示す場合を除き、そこで意図される目的を満たすために有効な任意の順序で、特許請求される要素および工程を網羅することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28