(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】マルチコイルワイヤレス充電装置の表面からのデバイス除去の検出
(51)【国際特許分類】
H02J 50/40 20160101AFI20240502BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20240502BHJP
H02J 50/90 20160101ALI20240502BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J50/12
H02J50/90
H02J7/00 301D
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023209892
(22)【出願日】2023-12-13
(62)【分割の表示】P 2022504104の分割
【原出願日】2020-07-23
【審査請求日】2024-01-10
(32)【優先日】2020-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520310643
【氏名又は名称】アイラ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AIRA,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ゴッドチャイルド,エリック,ハインデル
(72)【発明者】
【氏名】ウィンターズ,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】スコット,ジェームス
【審査官】山口 大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0312836(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0084754(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0020642(US,A1)
【文献】米国特許第5202617(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0084918(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3373412(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/40
H02J 50/12
H02J 50/90
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電装置の動作方法において、
充電構成にしたがって受電デバイスに電力を転送するステップであって、前記充電構成にしたがって共振回路に充電電流を供給することを含み、前記充電構成は、前記受電デバイスが前記充電装置の充電面における第1の位置に置かれた後に生成されるものである電力を転送するステップと、
前記受電デバイスに電力を転送している間に、前記共振回路内の電圧レベルまたは電流レベルの変化または変化率を検出するステップと、
前記電圧レベルまたは電流レベルの変化または変化率を検出した後に、前記充電電流を一定期間停止させることにより、測定スロットを開始するステップと、
前記測定スロットの間に、前記受電デバイスが前記第1の位置から離れて移動したかどうかを判断するステップと、
前記受電デバイスが前記第1の位置にある場合に、前記共振回路への充電電流を再開することによって、前記充電構成にしたがって前記受電デバイスへ電力を転送することを再開するステップと、
前記受電デバイスが前記第1の位置から離れて移動したと判断した後に、前記受電デバイスへの電力の転送を中止するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記受電デバイスが前記第1の位置から離れて移動したかどうかを判断するステップが、
前記測定スロットを開始した後に、パッシブpingまたはデジタルpingの手順を実行するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記受電デバイスが前記第1の位置から離れて移動したかどうかを判断するステップが、
前記共振回路のQファクタが基準Qファクタに対して変化したかどうかを判断するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記受電デバイスが前記第1の位置から離れて移動したかどうかを判断するステップが、
前記共振回路内の電圧レベルまたは電流レベルの段階的変化が、閾値を超えていることを判断するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
命令が保存されている非一時的なプロセッサ可読記憶媒体において、
充電装置の充電回路における少なくとも1つのプロセッサによって前記命令が実行された時に、前記充電回路が、
充電構成にしたがって前記充電回路から受電デバイスに電力を転送することであって、前記受電デバイスが前記充電装置の充電面における第1の位置に置かれた時に、共振回路に充電電流を供給することを含む電力を転送することと、
前記受電デバイスに電力を転送している間に、前記共振回路に関する電圧レベルまたは電流レベルの変化または変化率を検出することと、
前記電圧レベルまたは電流レベルの変化または変化率を検出した後に、前記充電電流を一定期間停止させることにより、測定スロットを開始することと、
前記測定スロットを開始した後に、パッシブpingまたはデジタルpingの手順を実行することと、
前記測定スロットの間に得られた測定値を使用して測定した前記共振回路のQファクタの変化に基づいて、前記受電デバイスが前記充電面から取り去られたかどうかを判断することと、
前記受電デバイスが前記充電面上にあることを前記共振回路のQファクタが示すときに、前記共振回路への充電電流を再開することによって、前記充電構成にしたがって前記充電回路から前記受電デバイスへ電力を転送することを再開することと、
前記受電デバイスが前記第1の位置から移動させられたと判断した後に、前記充電回路から前記受電デバイスへの電力の転送を中止することと、を行うことを特徴とする非一時的なプロセッサ可読記憶媒体。
【請求項6】
命令が保存されている非一時的なプロセッサ可読記憶媒体において、
充電装置の充電回路における少なくとも1つのプロセッサによって前記命令が実行された時に、前記充電回路が、
充電構成にしたがって前記充電回路から受電デバイスに電力を転送することであって、前記受電デバイスが前記充電装置の充電面における第1の位置に置かれた時に、共振回路に充電電流を供給することを含む電力を転送することと、
前記受電デバイスに電力を転送している間に、前記共振回路に関する電圧レベルまたは電流レベルの変化または変化率を検出することと、
前記電圧レベルまたは電流レベルの変化または変化率を検出した後に、前記充電回路からの前記充電電流を一定期間停止させることにより、測定スロットを開始することと、
前記測定スロットを開始した後に、前記共振回路に関する電圧または電流の変化または変化率を検出することと、
前記共振回路に関する電圧または電流の段階的変化が閾値を超えている場合に、前記受電デバイスが前記充電面から移動させられたと判断することと、を行うことを特徴とする非一時的なプロセッサ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
[0001]この出願は、2020年7月22日に米国特許庁に出願された非仮特許出願第16/936,361号、2019年7月23日に米国特許庁に出願された仮特許出願第62/877,831号、2020年5月1日に米国特許庁に出願された仮特許出願第63/019,241号、2020年5月1日に米国特許庁に出願された仮特許出願第63/019,245号、および2020年5月1日に米国特許庁に出願された仮特許出願第63/019,248号の優先権と利益を主張するものである。これらの出願のすべての内容は、以下に完全に記載されているかのように、すべての適用可能な目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本発明は、一般に、モバイルコンピューティングデバイスのバッテリを含むバッテリのワイヤレス充電に関し、より具体的には、充電動作中のデバイス除去の検出に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]ある種のデバイスでは、物理的な充電接続を使用せずに内部バッテリを充電できるようにするワイヤレス充電システムが導入されている。ワイヤレス充電を利用できるデバイスには、モバイル処理デバイスおよび/または通信デバイスが含まれる。WPC(Wireless Power Consortium)が策定したQi規格などの標準規格により、第1のサプライヤが製造したデバイスを、第2のサプライヤが製造した充電装置を使用してワイヤレス充電することができる。ワイヤレス充電の規格は、デバイスの比較的単純な構成に最適化されており、基本的な充電機能を提供するものが多い。
【0004】
[0004]モバイルデバイスの継続的な複雑化とフォームファクタの変化に対応するため、ワイヤレス充電機能の向上が求められている。例えば、充電装置の表面上の充電可能なデバイスを検出および位置特定し、ワイヤレス充電動作中に充電可能な装置の除去または再配置を検出することを実現する、より高速で低電力の検出技術が求められている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、本明細書に開示される特定の態様による、ワイヤレス充電装置によって提供される充電面上に提供され得る充電セルの例を示す。
【
図2】
図2は、本明細書に開示される特定の態様による、ワイヤレス充電装置によって提供される充電面のセグメントの単層上に提供された充電セルの配置の例を示す。
【
図3】
図3は、本明細書に開示される特定の態様による、ワイヤレス充電装置によって提供される充電面のセグメント内に充電セルの複数の層が重ねられる場合の充電セルの配置の例を示す。
【
図4】
図4は、本明細書に開示される特定の態様に従って構成された充電セルの複数層を使用する充電装置の充電面によって提供される電力伝達領域の配置を示す。
【
図5】
図5は、本明細書に開示される特定の態様による、充電装置ベースステーションに提供され得るワイヤレス伝送機を示す。
【
図6】
図6は、本明細書に開示される特定の態様による、パッシブpingに対する応答の第1の例を示す。
【
図7】
図7は、本明細書に開示される特定の態様による、パッシブpingに対する応答の第2の例を示す。
【
図8】
図8は、本明細書に開示される特定の態様による、パッシブpingに対する応答において観察された差異の例を示す。
【
図9】
図9は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合されたワイヤレス充電装置で使用するためのマトリクス多重化スイッチングをサポートする第1のトポロジーを示す。
【
図10】
図10は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合されたワイヤレス充電装置における直流駆動をサポートする第2のトポロジーを示す。
【
図11】
図11は、本開示の特定の態様による、受電デバイス(receiving device)の除去を確実に検出するように構成されたマルチコイルワイヤレス充電システムを示す。
【
図12】
図12は、本明細書に開示される特定の態様に従って監視され得るデバイス除去イベントの特定の態様のグラフ表示である。
【
図13】
図13は、本明細書に開示される特定の態様による、充電電流またはタンク電圧の変動に対応するためにローパスフィルタリングを使用するフィルタリングされた閾値検出回路を示す。
【
図14】
図14は、本明細書に開示される特定の態様による、受電デバイスの除去の検出に使用されるQファクタ比較回路を示す。
【
図15】
図15は、本明細書に開示される特定の態様による、デバイス除去イベントを検出するためのルックアップテーブルの使用を示す。
【
図16】
図16は、本明細書に開示される特定の態様による、デバイス除去イベントを検出する際のルックアップテーブルを使用する手順の例を示す。
【
図17】
図17は、本明細書に開示される特定の態様による、デバイス除去イベントを検出するための、測定された静止状態またはアイドル状態の転送電力消費の使用を示す。
【
図18】
図18は、本明細書に開示される特定の態様による、測定された静止電力消費に基づくデバイス除去検出の手順の第1の例を示す。
【
図19】
図19は、本明細書に開示される特定の態様による、測定された静止電力消費に基づくデバイス除去検出の手順の第2の例を示す。
【
図20】
図20は、本明細書に開示される特定の態様による、ping手順を実行するための測定スロットの使用の第1の例を示す。
【
図21】
図21は、本明細書に開示される特定の態様による、ping手順を実行するための測定スロットの使用の第2の例を示す。
【
図22】
図22は、本明細書に開示される特定の態様による、電力伝送中の受電デバイスの除去を検出するためのセンサの使用の第1の例を示す。
【
図23】
図23は、本明細書に開示される特定の態様による、電力伝送中の受電デバイスの除去を検出するためのセンサの使用の第2の例を示す。
【
図24】
図24は、本明細書に開示される特定の態様による、電力伝送中の受電デバイスの除去を検出するためのセンサの使用の第3の例を示す。
【
図25】
図25は、本明細書に開示される特定の態様による、電力伝送中の受電デバイスの除去を検出するためのセンサの使用の第4の例を示す。
【
図26】
図26は、本明細書に開示される特定の態様による、電力伝送中の受電デバイスの除去を検出するためのセンサの使用の第5の例を示す。
【
図27】
図27は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合され得る処理回路を使用する装置の一例を示す。
【
図28】
図28は、本開示の特定の態様による、充電装置の操作方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0033]添付の図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、様々な構成の説明を意図したものであり、本明細書に記載された概念が実施され得る唯一の構成を表すと意図するものではない。詳細な説明には、様々な概念を完全に理解するための具体的な詳細が含まれる。しかしながら、これらの概念がこれらの具体的な詳細なしでも実施できることは当業者には明らかであろう。いくつかの例では、そのような概念を不明瞭にしないために、周知の構造や要素をブロック図の形式で示している。
【0007】
[0034]次に、ワイヤレス充電システムのいくつかの態様について、様々な装置および方法を参照しながら説明する。これらの装置および方法は、以下の詳細な説明に記載され、添付の図面では様々なブロック、モジュール、コンポーネント、回路、ステップ、プロセス、アルゴリズムなど(総称して「要素」と呼ばれる)によって図示される。これらの要素は、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、またはそれらの任意の組み合わせを使用して実装することができる。これらの要素がハードウェアとして実装されるかソフトウェアとして実装されるかは、特定の用途や、システム全体に課せられる設計の制約による。
【0008】
[0035]例として、要素、要素の任意の部分、または要素の任意の組み合わせは、1以上のプロセッサを含む「処理システム」で実装され得る。プロセッサの例には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、ステートマシン、ゲートロジック、ディスクリートハードウェア回路、および本開示を通して説明される様々な機能を実行するように構成された他の適切なハードウェアが含まれる。処理システム内の1以上のプロセッサはソフトウェアを実行し得る。ソフトウェアは、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味し、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語などの呼び方に拘わらず広く解釈されるものとする。ソフトウェアは、プロセッサ可読記憶媒体上に在り得る。本明細書ではコンピュータ可読媒体とも呼ばれるプロセッサ可読記憶媒体は、例えば、磁気記憶装置(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、カード、スティック、キードライブ)、NFC(Near Field Communications)トークン、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、搬送波、伝送ラインなど、ソフトウェアを格納または伝送するのに適したあらゆる媒体が含まれる。コンピュータ可読媒体は、処理システム内に常駐してもよいし、処理システムの外部にあってもよいし、処理システムを含む複数のエンティティに分散されていてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータプログラム製品に具体化することができる。例として、コンピュータプログラム製品は、包装材料に包まれたコンピュータ可読媒体を含み得る。当業者は、特定の用途およびシステム全体に課せられる全体的な設計上の制約に応じて、本開示全体にわたって提示される説明された機能をどのように実装するのが最善であるかを認識するであろう。
【0009】
概要
[0036]本開示の特定の態様は、ワイヤレス充電装置および技術に適用可能なシステム、装置、および方法に関する。充電セルは、1以上の誘導コイルで構成されて、充電装置に充電面を提供し、この充電面によって充電装置は1以上の充電可能なデバイスをワイヤレスで充電することができる。充電されるデバイスの位置は、充電面上の既知の位置を中心とする物理的特性の変化にデバイスの位置を関連付ける感知技術によって検出することができる。位置の検知は、容量性、抵抗性、誘導性、接触、圧力、負荷、歪み、および/または別の適切なタイプの検知を使用して実装することができる。
【0010】
[0037]本開示の一態様では、装置は、バッテリ充電電源と、マトリクス状に構成された複数の充電セルと、各スイッチがマトリクス内のコイルの列をバッテリ充電電源の第1端子に結合するように構成された第1の複数のスイッチと、各スイッチがマトリクス内のコイルの列をバッテリ充電電源の第2の端子に結合するように構成された第2の複数のスイッチとを有する。複数の充電セル内の各充電セルは、電力伝達領域を囲む1以上のコイルを含み得る。複数の充電セルは、複数の充電セル内の充電セルの電力伝達領域が重ならないように、充電装置の充電面に隣接して配置することができる。
【0011】
[0038]いくつかの例では、装置は、充電面とも呼ばれる。装置の表面の任意の場所に配置された受電デバイス(receiving device)に電力をワイヤレスで伝送することができる。デバイスは、任意に規定されたサイズおよび/または形状を有することができ、充電が可能である任意の個別の配置位置に関係なく配置することができる。1つの充電面で複数のデバイスを同時に充電することができる。装置は、充電面にわたる1以上のデバイスの動きを追跡することができる。
【0012】
充電セル
[0039]本明細書に開示される特定の態様によれば、充電装置には、充電セルを用いた充電面を設けることができ、ここでは複数の充電セルが充電面に隣接して配置されている。一例では、充電セルは、ハニカムパッケージ構成に従って、充電面の1以上の層に配置される。充電セルは、それぞれがコイルに隣接する充電面に実質的に直交する軸に沿って磁場を誘導することができる1以上のコイルを使用して実装することができる。本明細書において、充電セルは、1以上のコイルを有する要素であって、各コイルが、充電セル内の他のコイルが生成した電磁場に対して加算的であって共通軸に沿ってまたは近接して向けられる電磁場を生成するように構成された要素を意図する。
【0013】
[0040]いくつかの実装例では、充電セルは、各々が充電面に実質的に直交する誘導磁場に寄与するように、共通の軸に沿って積層され、および/または重なり合うコイルを含む。いくつかの実装例では、充電セルは、充電面の規定された部分内に配置され、充電セルに関連する充電面の実質的に直交する部分内の誘導磁場に寄与するコイルを含む。いくつかの実装例では、充電セルは、動的に規定される充電セルに含まれるコイルにアクティブ化電流を供給することによって構成可能であり得る。例えば、充電装置は、充電面全体に配置されたコイルの複数のスタックを具え、充電装置は、充電されるデバイスの位置を検出し、コイルのスタックのいくつかの組み合わせを選択して、充電されるデバイスに隣接する充電セルを提供することができる。いくつかの例では、充電セルは、単一のコイルを含むか、または単一のコイルとして特徴付けられ得る。しかしながら、充電セルは、複数の積層されたコイルおよび/または複数の隣接するコイルまたはコイルのスタックを含み得ることを理解されたい。コイルは、本明細書では、充電コイル、ワイヤレス充電コイル、伝送機コイル(transmitter coils)、伝送コイル(transmitting coils)、電力伝送コイル、電力伝送機コイルなどとも呼ばれる。
【0014】
[0041]
図1は、充電装置の充電面を提供するように展開および/または構成され得る充電セル100の例を示す。本明細書に記載されるように、充電面は、1以上の基板106上に設けられた充電セルのアレイ100を含み得る。1以上の集積回路(IC)および/またはディスクリート電子部品を含む回路を、1以上の基板106上に提供することができる。回路は、受電デバイスに電力を伝送するために使用されるコイルに提供される電流を制御するために使用されるドライバやスイッチを含み得る。回路は、本明細書に開示される特定の機能を実行するように構成することができる1以上のプロセッサおよび/または1以上のコントローラを含む処理回路として構成することができる。いくつかの例では、処理回路の一部または全部が充電装置の外部に提供されてもよい。いくつかの例では、電源が充電装置に結合されてもよい。
【0015】
[0042]充電セル100は、充電装置の外面領域の近くに設けることができ、その上に1以上のデバイスを置いて充電することができる。充電装置は、充電セル100を複数含んでいてもよい。一例では、充電セル100は、1以上のコイル102を囲む実質的に六角形の形状を有し、これは、電力伝達領域104に電磁場を生成するのに十分な電流を受け取ることができる導体、ワイヤ、または回路基板トレースを使用して構築することができる。様々な実施例において、いくつかのコイル102は、
図1に示す六角形の充電セル100を含む、実質的に多角形である形状を有し得る。他の実装例では、他の形状を有するコイル102が提供される。コイル102の形状は、製造技術の能力または制限によって、および/またはプリント回路基板などの基板106上の充電セルのレイアウトを最適化するために、少なくとも部分的に決定され得る。各コイル102は、スパイラル構成のワイヤ、プリント回路基板トレース、および/または他のコネクタを使用して実装することができる。各充電セル100は、異なる層のコイル102が共通の軸108を中心とするように、絶縁体または基板106によって分離された2以上の層にまたがっていてもよい。
【0016】
[0043]
図2は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合され得る、充電装置の充電面の単層セグメント上に提供される充電セル202の配置200の例を示す。充電セル202は、ハニカムパッケージ構成に従って配置されている。この例では、充電セル202は、重なり合うことなく端から端まで配置されている。この配置は、スルーホールまたはワイヤの相互接続なしで提供することができる。充電セル202の一部が重なる配置を含む、他の配置も可能である。例えば、2以上のコイルのワイヤが、ある程度インターリーブされていてもよい。
【0017】
[0044]
図3は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合され得る充電面のセグメント内に複数の層が重ねられている場合の、2つの視点300、310からみた充電セルの配置の例を示す。充電セル302、304、306、308の層が、充電面のセグメント内に提供されている。充電セル302、304、306、308の各層内の充電セルは、ハニカムパッケージ構成に従って配置される。一例では、充電セル302、304、306、308の層は、4以上の層を有するプリント回路基板上に形成され得る。充電セル100の配置は、図示のセグメントに隣接する指定された充電領域を完全にカバーするように選択することができる。
【0018】
[0045]
図4は、本明細書に開示される特定の態様に従って構成された多層の充電セルを採用した充電面400に設けられた電力伝達領域の配置を示す。図示の充電面は、4層の充電セル402、404、406、408から構成されている。
図4において、充電セルの第1の層402の充電セルによって提供される各電力伝達領域は「L1」と記され、充電セルの第2の層404の充電セルによって提供される各電力伝達領域は「L2」と記され、充電セルの
第3の層406の充電セルによって提供される伝達領域は「L3」と記され、充電セルの
第4の層408の充電セルによって提供される各電力伝達領域は「L4」と記されている。
【0019】
ワイヤレス伝送機
[0046]
図5は、充電装置ベースステーションに提供され得るワイヤレス伝送機500を示す。コントローラ502は、調整回路508によってフィルタリングまたは他の方法で処理されたフィードバック信号を受信することができる。コントローラは、コンデンサ512およびインダクタ514を含む共振回路506に交流を供給するドライバ回路504の動作を制御することができる。共振回路506は本明細書ではタンク回路、LCタンク回路、またはLCタンクとも呼ばれ、共振回路506のLCノード510で測定される電圧516は、タンク電圧とも呼ばれる。
【0020】
[0047]ワイヤレス伝送機500は、互換性のあるデバイスが充電面に置かれたかどうかを判断するために、充電装置によって使用され得る。例えば、充電装置は、ワイヤレス伝送機500を介して断続的なテスト信号(アクティブping)を送信することによって互換性のあるデバイスが充電面に置かれたことを判断することができ、共振回路506は、互換性のあるデバイスがテスト信号に応答したら符号化信号を検出または受信することができる。充電装置は、規格、慣例、製造業者、または用途によって定義された応答信号を受信した後、少なくとも1つの充電セル内の1以上のコイルを作動させるように構成することができる。いくつかの例では、互換性のあるデバイスは、充電装置が互換性のあるデバイスの充電に使用される最適な充電セルを見つけることができるように、受信信号強度を通信することによってpingに応答してもよい。
【0021】
[0048]パッシブping技術により、LCノード510で測定または観測された電圧および/または電流を用いて、本明細書に開示される特定の態様に従って適合されたデバイスの充電パッドの近くの受信コイルの存在を識別することができる。多くの従来のワイヤレス充電装置の伝送機では、LCノード510における電圧を測定するために、またはLCネットワーク内の電流を測定するための回路が設けられている。これらの電圧と電流は、電力調整の目的で、またはデバイス間の通信をサポートするために監視されてもよい。
図5に示す例では、LCノード510における電圧が監視されるが、共振回路506に短いパルスが提供されるパッシブpingをサポートするために追加的または代替的に電流を監視することができる。パッシブpingに対する共振回路506の応答(初期電圧V
0)は、LCノード510での電圧(V
LC)によって、以下のように表すことができる。
(式1)
【0022】
[0049]本明細書に開示される特定の態様によれば、1以上の充電セル内のコイルを選択的にアクティブ化して、互換性のあるデバイスを充電するための最適な電磁場を提供することができる。いくつかの例では、コイルが充電セルに割り当てられ、一部の充電セルが他の充電セルと重なってもよい。後者の場合、最適な充電構成を充電セルレベルで選択することができる。他の例では、充電セルは、充電装置の表面上における充電されるデバイスの配置に基づいて定義されてもよい。これらの他の例では、各充電イベントでアクティブ化されるコイルの組み合わせが変化してもよい。いくつかの実装例では、充電装置は、充電イベント中に1以上のセルおよび/または1以上の事前定義された充電セルを選択してアクティブ化できるドライバ回路を含み得る。
【0023】
[0050]
図6は、パッシブpingに対する応答600が式3に従って減衰する第1の例を示す。時間t=0でのパルス励起の後、電圧および/または電流は式1で定義される共振周波数で、式3で定義される減衰率で振動することが見られる。発振の最初のサイクルは電圧レベルV
0で始まり、V
LCはQファクタとωで制御されるようにゼロまで減衰し続ける。
図6に示される例は、充電パッドに物体が存在しないか、または近くにない場合の典型的なオープンまたは無負荷の応答を表す。
図6において、Qファクタの値は20と想定される。
【0024】
[0051]
図7は、パッシブpingに対する応答700が式3に従って減衰する第2の例を示す。時間=0でのパルス励起の後、電圧および/または電流は、式1で定義された共振周波数で、式3で定義された減衰率で振動することが見られる。発振の最初のサイクルは電圧レベルV
0で始まり、V
LCはQファクタとωによって制御されるようにゼロまで減衰し続ける。
図7に示される例は、充電パッドに物体が存在するか、または近くにあってコイルに負荷がかかっている場合の負荷応答を表している。
図7において、Qファクタの値は7であり得る。V
LCは、応答700では応答600より高速で振動している。
【0025】
[0052]
図8は、応答800、820、840の違いが観察される一組の例を示す。パッシブpingは、ドライバ回路504が2.5μsより短いパルスを使用して共振回路506を励起したときにイニシエートされる。伝送機上に異なるタイプのワイヤレス受信機と他の物体が置かれると、LCノード510の電圧または伝送機の共振回路506の電流において観察可能な異なる応答が生じる。この違いは、V
0における共振回路506の振動の周波数のQファクタの変動を示し得る。表1は、充電パッド上に置かれた物体の特定の例を、オープン状態との関係で示したものである。
表1
表1では、Qファクタは次のように計算できる。
(式2)
ここで、Nは励起から振幅が0.5V
0を下回るまでのサイクル数である。
【0026】
コイルの選択的アクティブ化
[0053]本明細書に開示される特定の態様によれば、1以上の充電セル内の伝送コイルを選択的にアクティブ化させて、互換性のあるデバイスを充電するための最適な電磁場を提供することができる。いくつかの例では、伝送コイルが充電セルに割り当てられており、一部の充電セルが他の充電セルと重なる場合がある。後者の場合、最適な充電構成を充電セルレベルで選択することができる。他の例では、充電セルは、充電面上の充電されるデバイスの配置に基づいて定義され得る。これらの他の例では、各充電イベントでアクティブ化されるコイルの組み合わせは変化してもよい。いくつかの実装例では、充電装置は、充電イベント中に1以上のセルおよび/または1以上の事前定義された充電セルを選択してアクティブ化できるドライバ回路を含み得る。
【0027】
[0054]
図9は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合されたワイヤレス充電装置で使用するためのマトリクス多重化スイッチングをサポートする第1のトポロジー900を示す。ワイヤレス充電装置は、1以上の充電セル100を選択して受電デバイスを充電することができる。使用されていない充電セル100は、電流フローから切り離すことができる。比較的多数の充電セル100を、対応する数のスイッチを必要とする
図2に示すハニカムパッケージ構成で使用することができる。本明細書に開示される特定の態様によれば、充電セル100は、特定のセルに電力を供給できるようにする2以上のスイッチに接続された複数のセルを有するマトリクス908に論理的に配置され得る。図示のトポロジー900では2次元マトリクス908が提供され、その次元をXおよびY座標で表すことができる。第1のセットのスイッチ906はそれぞれ、セルの列内の各セルの第1の端子を、ワイヤレス充電時にコイルをアクティブ化するための電流を提供するワイヤレス伝送機および/またはレシーバ回路902に選択的に結合するように構成される。第2のセットのスイッチ904はそれぞれ、セルの列内の各セルの第2の端子を、ワイヤレス伝送機および/またはレシーバ回路902に選択的に結合するように構成される。セルの両方の端子がワイヤレス伝送機および/またはレシーバ回路902に結合されると、セルはアクティブとなる。
【0028】
[0055]マトリクス908を使用すると、同調LC回路のネットワークを動作させるために必要なスイッチ部品の数を大幅に減らすことができる。例えば、N個の個別に接続されたセルは少なくともN個のスイッチを必要とするが、N個のセルを有する2次元マトリクス908では、√N個のスイッチで操作することができる。マトリクス908の使用は、大幅なコスト削減をもたらし、回路および/またはレイアウトの複雑さを軽減することができる。一例では、9セルの実装例は、6個のスイッチを使用して3×3マトリクス908に実装することができ、3つのスイッチを節約できる。別の例では、16セルの実装例は、8つのスイッチを使用して4×4マトリクス908に実装することができ、8つのスイッチを節約できる。
【0029】
[0056]動作時には、少なくとも2つのスイッチが閉じられ、1つのコイルが無線伝送機および/またはレシーバ回路902に能動的に結合される。無線伝送機および/またはレシーバ回路902への複数のコイルの接続を容易にするために、複数のスイッチを一度に閉じることができる。複数のスイッチを閉じて、例えば、受電デバイスに電力を転送するときに複数の伝送コイルを駆動する動作モードを有効にすることができる。
【0030】
[0057]
図10は、本明細書に開示される特定の態様による、各コイルまたは充電セルがドライバ回路1002によって個別駆動および/または直接駆動される第2のトポロジー1000を示す。ドライバ回路1002は、受電デバイスを充電するためにコイル群1004から1以上のコイルまたは充電セル100を選択するように構成され得る。充電セル100に関してここに開示された概念は、個々のコイルまたはコイルスタックの選択的なアクティブ化にも適用できることが理解されよう。使用されない充電セル100は、電流を受け取らない。比較的多数の充電セル100を使用することができ、スイッチングマトリクスを使用して、個々のコイルまたはコイル群を駆動することができる。一例では、第1のスイッチングマトリクスが、充電イベント中に使用される充電セルまたはコイル群を定義する接続を構成し、第2のスイッチングマトリクス(例えば、
図9参照)が、充電セルおよび/または選択されたコイル群をアクティブ化するために使用され得る。
【0031】
マルチコイルワイヤレス充電装置からのデバイス除去検出
[0058]ここで
図11を参照すると、本開示の特定の態様に従って提供されるマルチコイルワイヤレス充電システム1100は、充電の進行中に受電デバイス1106の除去を確実に検出するように構成することができる。受電デバイスの任意のおよび/または予期しない除去は、接近するデバイス1108の検出効率の潜在的な損失に加えて、他の受電デバイス1108にダメージを与える可能性がある。マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、複数の伝送コイル1104
1~1104
nを含む充電面1102を提供する。図示の例では、受電デバイス1106が、n番目の伝送コイル(伝送コイル1104
n)から充電磁束を受けている間に取り外される。
【0032】
[0059]いくつかの例では、充電面1102は、受電デバイス1106が取り去られた後も、伝送コイル1104nに充電電流を供給し続ける。この充電電流が流れている間に、接近するデバイス1108が充電面1102上に置かれる場合がある。充電電流は、通常、受電デバイス1106の能力に基づいて構成され、これが接近するデバイス1108の能力とは異なる場合がある。接近するデバイス1108が、元の受電デバイス1106へ向けられたレベルの誘導電流を処理するように設計されていない場合、接近デバイス1108のダメージが生じてしまう。
【0033】
[0060]本開示の特定の態様は、マルチコイルワイヤレス充電システム1100が、充電面1102からの受電デバイス1106の除去を迅速かつ確実に検出することを可能にする。マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、受電デバイス1106の除去を検出すると、アクティブな伝送コイル1104nへの充電電流の流れを停止することができる。マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、受電デバイス1106の除去を検出して充電電流を停止すると、接近するデバイス1108を含む物体を検出するように充電面1102を構成することができる。
【0034】
[0061]本開示の特定の態様によれば、受電デバイス1106の除去は、充電回路、または1以上の伝送コイル11041~1104nの特定の特性を監視することによって検出することができる。特定の例では、受電デバイス1106の除去は、伝送コイル1104nと受電デバイス1106内の受電コイルとの間の電磁結合の変化に起因し得る測定される電気量の変化に基づいて検出することができる。
【0035】
[0062]一例では、DICE(Dynamic Inferred Coupling Estimation)を使用して、結合品質をリアルタイムで検出することができる。DICEは、伝送コイルと直列共振コンデンサを含む回路における、無効電力と実電力の比率の評価を含み得る。伝送機のインダクタ-コンデンサ(LC)回路に蓄積される無効電力の量は、結合係数の影響を大きく受ける。結合係数は、無線伝送機のLC回路の漏れインダクタンスに対する相互インダクタンスの比率を規定する。例えば、無線伝送機のLC回路における漏れインダクタンスは次のように表すことができる。
(式3)
ここで、L
Txは伝送コイルの自己インダクタンスを表し、kは結合係数を表す。結合が減少すると、結合係数が減少し、漏れインダクタンスが増加するため、伝送機の漏れインダクタンスに蓄積される無効エネルギーが増加する。漏れインダクタンスに蓄積されたエネルギーは電力伝送には寄与せず、漏れインダクタンスにエネルギーが蓄積されるとLCノードの電圧が上昇する。
【0036】
[0063]1以上の伝送コイル11041~1104nと受電デバイス1106との間の結合の特定の態様は、LCノードで測定される電圧によって特徴付けられ得る。LCノードにおける電圧測定は、他の理由でも可能である。いくつかの例では、LCノードの電圧は、パワーエレクトロニクスと共振コンデンサを保護するために使用される過電圧インジケータとして監視することができる。一例では、測定回路は、閾値レベルを超える電圧を検出するように構成された電圧比較器を含む。本明細書に開示される特定の態様によれば、測定回路を追加するか、または既存の測定回路を使用して、結合品質によって直接変化するLCノードの電圧を定量化または比較することができる。
【0037】
[0064]
図12は、本明細書に開示される特定の態様に従って監視され得るデバイス除去イベントの特定の態様のグラフ表示1200である。2つの曲線1202、1204は、マルチコイルワイヤレス充電システム1100で測定できる電気量の状態を表す。
【0038】
[0065]第1の曲線1202は、受電デバイス1106を充電するために1以上のアクティブな伝送コイル1104
1~1104
nに流れる電流の大きさを表す。受電デバイス1106は、最初は充電面1102の近くに配置されており、ワイヤレスで電力を受信している。その後、受電デバイス1106が充電面1102から離れ始め、これは第1の時点1206(t
1)で始まり、受電デバイス1106がアクティブな伝送コイル1104
1~1104
nから受信する電力がなくなるか、または受信する電力がわずかなレベルとなる第2の時点1208(t
2)まで離れる。
図12に示されるように、受電デバイス1106が取り去られると、充電電流が低下することが予想される。第1の曲線1202は、充電電流の初期レベルと、受電デバイス1106が取り去られた後の充電電流または静止電流のレベルとの間の段差を有する。伝送機とレシーバとの間の距離が増加しているときの電磁結合に関連する逆二乗関係を考えると、受電デバイス1106が適度な速度で取り去られた場合でも、充電電流の急激な低下が観察される。
【0039】
[0066]第2の曲線1204は、受電デバイス1106をワイヤレス充電するために使用される1以上のアクティブな伝送コイル1104
1~1104
nを含む共振回路内のLCノードで測定されるタンク電圧の大きさを表す。受電デバイス1106は、最初に充電面1102の近くに配置されてワイヤレスで電力を受信しているが、充電面1102から離れ始め、これは第1の時点1206(t
1)で始まり、受電デバイス1106がアクティブな伝送コイル1104
1~1104
nから受信する電力がないか、または受信する電力がわずかなレベルとなる第2の時点1208(t
2)まで離れ続ける。
図12に示されるように、タンク電圧は、受電デバイス1106が取り去られることによって生じる共振回路のインピーダンスとともに増加すると予想することができる。第2の曲線1204は、タンク電圧の初期レベルと、受電デバイス1106が取り去られた後のタンク電圧のレベルとの間の段差を有する。伝送機とレシーバとの間の距離が増加しているときの電磁結合に関連する逆二乗関係を考えると、受電デバイス1106が適度な速度で取り去られた場合でも、インピーダンスおよびタンク電圧の急激な増加を観察することができる。
【0040】
[0067]本開示の特定の態様によれば、1以上のアクティブな伝送コイル11041~1104nに提供される充電電流および/またはタンク電圧を、電力伝達中にモニタすることができる。電流または電圧の段差が閾値の差の値を超えたとき、または電流の変化率(di/dt)または電圧の変化率(dv/dt)が閾値の変化率を超えたときに、充電電流を中止することができる。閾値差値および/または閾値変化率は、アプリケーションによって、システムの初期化時に、および/または製造・組み立て時に事前に設定することができる。いくつかの実装例では、閾値差値および/または閾値変化率は、ワイヤレスのために使用される伝送コイル11041~1104nの数を同定する充電構成、充電電流のサイズの充電、および/または受電デバイス1106の構造や内部構成に基づいて動的に構成されてもよい。
【0041】
[0068]いくつかの例では、受電デバイス1106が取り去られていないときに、充電電流またはタンク電圧の変動が観察されることがある。例えば、充電電流またはタンク電圧は、受電デバイス1106または充電面1102の振動や滑り、マルチコイルワイヤレス充電システム1100の動きによって引き起こされる物理的不安定性、または温度の変化または電源出力のドリフトによって変化し得る。特定の実装例では、充電電流またはタンク電圧のこのような変動に対応するためにローパスフィルタリングを採用することができる。
【0042】
[0069]
図13は、受電デバイス1106の移動が原因でない充電電流またはタンク電圧の変動に対応するために、ローパスフィルタリングを採用するフィルタリングされた閾値検出回路(filtered threshold detection circuit)1300を示す図である。
図13は、フィルタリングされた閾値検出回路1300の動作に関連する特定の態様を示すグラフ1320を含む。図示の例では、フィルタリングされた閾値検出回路1300は、受電デバイス1106を充電するために使用される1以上のアクティブな伝送コイル1104
1~1104
nに流れる充電電流を表す入力信号1310を受信する。入力信号1310はローパスフィルタ1302に提供され、ここで入力信号1310のステップ変化を遅らせることができ、および/または入力信号1310の変化速度を遅くすることができる。比較回路1304は、ローパスフィルタ1302の出力1312を、比較回路1304の出力1316の前の状態に基づくスケーリングファクタ1308またはオフセットを使用して入力信号1310から生成された閾値信号1314と比較する。閾値信号1314は、フィードバック回路1306によって生成され、フィルタリングされた閾値検出回路1300にヒステリシスを提供し得る。閾値信号1314は、比較回路1304が受電デバイス1106の除去を確実に示すことを可能にする基準点1330を提供する。ローパスフィルタ1302は、電流1332の通常の小さな変動がデバイスの除去表示を引き起こさないように構成されたフィルタ定数で構成されてもよい。
【0043】
[0070]第1の曲線1322は、受電デバイス1106を充電するために1以上のアクティブな伝送コイル11041~1104nに流れる電流の大きさを表す。受電デバイス1106は、最初は充電面1102の近くに配置され、ワイヤレスで電力を受け取っている。第2の曲線1324は、デバイスの除去イベントを示す充電電流の段階的変化を判定するために使用される閾値を表す。受電デバイス1106は、充電面1102から離れ始め、これは第1の時点1326(t1)で始まり、受電デバイス1106がアクティブな伝送コイル11041~1104nから受信する電力がないか、または受信する電力がわずかなレベルとなる第2の時点1328(t2)まで離れ続ける。
【0044】
[0071]受電デバイス1106が取り去られると充電電流が低下し、その結果、充電電流の初期レベルと、受電デバイス1106が取り去られた後の充電電流または静止電流のレベルとの間の段差が生じる。閾値信号1314によって、充電電流の大きなステップ変化(またはタンク電圧の大きな増加)が確実に閾値を超えたものとなる。
【0045】
[0072]本開示の別の態様では、スロットベースの技術を使用して、受電デバイス1106の除去の検出を実現することができる。一例では、1以上のセンサの測定および/または問い合わせを可能にするために、充電電流が短時間中断されるタイムスロットが提供される。
【0046】
[0073]
図14は、測定スロット1424中の受電デバイス1106の除去の検出を示す、Qファクタ比較回路1400および対応するタイミング
図1420を示す。タイミング
図1420は、マルチコイルワイヤレス充電システム1100の充電面1102が受電デバイス1106を充電するように構成されているとき、1以上のアクティブな伝送コイル1104
1~1104
nに流れる充電電流の大きさを表す曲線1422を含む。測定スロット1424は、周期的に、あるいは充電電流またはタンク電圧の大きさのステップ変化の検出に応答して提供され得る。この測定スロット1424の間に、スロット式Qファクタ試験を行うことができる。測定スロット1424は、マルチコイルワイヤレス充電システム1100が充電電流を一時停止または終了するときに提供されてもよい。一例では、測定スロット1424は、最大100マイクロ秒(μs)の持続時間を有する。共振回路に蓄積されたエネルギーは、共振回路のQファクタによって部分的に決定される速度で減衰する。共振回路のQファクタは、充電面1102の特定のアクティブな伝送コイル1104
1~1104
nと、受電デバイス1106の受信コイルとの間の電磁結合の尺度として使用することができる。
【0047】
[0074]スロット式Qファクタ試験は、マルチコイルワイヤレス充電システム1100がアクティブな伝送コイル11041~1104nを含む共振回路への電力供給を停止した第1の時点1426(t1)で開始することができる。共振回路の電流の大きさは、共振回路のQファクタによって決定されるレートで減衰する(1428)。一例では、Qファクタ1402を計算し、比較器1406を使用して基準Qファクタ1404と比較することができる。基準Qファクタ1404は、受電デバイスがアクティブな伝送コイル11041~1104nに電磁的に結合されていないときに計算されるQファクタに対応し得る。
【0048】
[0075]いくつかの実装例では、フィルタリングされた閾値検出回路1300を使用して、計算されたQファクタを閾値Qファクタと比較してもよい。いくつかの実装例では、測定スロット1424が定期的に提供され、スロット式Qファクタ試験を用いて、デバイスの除去イベントとともに異物の存在を検出できるようにする。
【0049】
[0076]本開示の別の態様は、ルックアップテーブルに保持された閾値や他のパラメータを使用した受電デバイス1106の除去検出に関する。例えば、ルックアップテーブルを使用して、充電電流、タンク電圧、Qファクタ、およびマルチコイルワイヤレス充電システム1100の他の特性の測定値を保持することができる。一部の実装例では、ルックアップテーブルは、異なる充電構成の閾値や他のパラメータを保持してもよい。各充電構成は、受電デバイス1106を充電するために使用される伝送コイル11041~1104nのセットと、伝送コイル11041~1104n間の電流分布とを定義することができる。例えば、1以上の充電構成は、磁束を特定の場所に集中させたり、伝送コイル11041~1104nがまたがる領域内に向けたりする場合に、異なる伝送コイル11041~1104nに提供される電流の位相オフセットを定義し得る。受電デバイス1106の機能、位置、向き、充電状態、および/または別の特性に合わせて、1以上の充電構成を提供することができる。ルックアップテーブルの使用は、受電デバイス1106が取り去られたかを判断するために使用される検出回路およびプロセスの効率を向上させることができる。
【0050】
[0077]
図15は、本明細書に開示される特定の態様に従って監視され得るデバイス除去イベントを検出するためのルックアップテーブルの使用を示すグラフ1500、1520を含む。一例では、ルックアップテーブル(LUT)は、ある充電構成のための既知の静止電力または「空の」電力および/または既知の消費電流(current draw)を識別する情報を保持してもよい。マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、ステップイベントが検出された後に測定された電力、電圧、および/または電流を、ルックアップテーブルに保持された静止電力、電圧、および/または電流の閾値や他の対応する値と比較することができる。この比較により、ステップイベントが負荷の変化(load change)に対応するものかデバイスの除去に対応するものかを示すことができる。負荷の変化は、受電デバイスが負荷をダンプした場合に生じ得る。ルックアップテーブルは、受信コイルや、より多くの伝送コイル1104
1~1104
nを含む共振回路の共振周波数または共振のQファクタに影響を与え得る他の物体に、電磁的に結合されていない1以上の伝送コイル1104
1~1104
nについて測定された静止電力、電圧および/または電流の値を含み得る。いくつかの実装例では、ルックアップテーブルには、様々な充電構成で測定された値が入力されてもよい。いくつかの実装例では、システム構成またはキャリブレーション手順中にルックアップテーブルにデータが入力されてもよい。
【0051】
[0078]第1のグラフ1500は、ルックアップテーブルで特定された閾値1506、1508が、受電デバイス1106が取り去られたことを確実に示す例を示す。第2のグラフ1520は、ルックアップテーブルに保持されている閾値1526、1528が、負荷の変化が生じたことを確実に示す例を示す。第1の曲線1502、1522は、受電デバイス1106を充電するために1以上のアクティブな伝送コイル11041~1104nに流れる電流の大きさを表す。受電デバイス1106は、最初は充電面1102の近くに配置され、ワイヤレスで電力を受信している。その後、受電デバイス1106が充電面1102から離れ始め、これは第1の時点1512、1532(t1)で始まり、受電デバイス1106の受ける充電電流がドロップオフに対応する減少した電力となるまで離れる。第1の曲線1502、1522はそれぞれ、充電電流の初期レベルと、受電デバイス1106が取り去られた後の充電電流のレベルとの間の段差1510、1530を含む。
【0052】
[0079]本開示の一態様では、段差1510、1530の後に測定された充電電流の大きさが、ルックアップテーブルから得られた電流閾値1508、1528(または基準静止電流レベル)と比較される。一例では、マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、段差1510、1530後の充電電流レベルと、基準静止電流レベルまたは電流閾値1508、1528との間の差に基づいて、充電電流を終了させることができる。第1のグラフ1500に示される例では、マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、充電電流レベルが基準静止電流レベルを含む設定範囲内にあるか、または基準静止電流レベルを使用して計算された電流閾値1508、1528未満であるときに充電電流を終了することができる。第2のグラフ1520に示される例では、マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、充電電流レベルが、負荷変化イベントの発生を示す量だけ電流閾値1508、1528よりも大きい場合に、充電電流の供給を継続してもよい。
【0053】
[0080]グラフ1500、1520の第2の曲線1504、1524は、1以上のアクティブな伝送コイル11041~1104nを含む共振回路にわたって測定されたタンク電圧の大きさを表す。受電デバイス1106は、最初は充電面1102の近くに配置され、ワイヤレスで電力を受信している。その後、受電デバイス1106が充電面1102から離れ始め、これは第1の時点1512、1532(t1)で始まり、受電デバイス1106が受ける電力がタンク電圧の増加に対応する減少した電力となるまで離れる。第2の曲線1504、1524のそれぞれは、タンク電圧の初期レベルと、受電デバイス1106が取り去られた後のタンク電圧のレベルとの間の段差1510、1530を含む。
【0054】
[0081]本開示の一態様では、段差1510、1530の後に測定されたタンク電圧の大きさが、ルックアップテーブルから得られる基準静止タンク電圧または電圧閾値1506、1526と比較される。マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、段差1510、1530後のタンク電圧レベルと、基準静止タンク電圧または電圧閾値1506、1526との間の差に基づいて、充電電流を終了させることができる。第1のグラフ1500に示される例では、マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、タンク電圧レベルが静止タンク電圧を含む設定範囲内にあるか、電圧閾値1506、1526よりも大きい場合に、充電電流を終了することができる。第2のグラフ1520に示される例では、マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、タンク電圧が負荷変化イベントの発生を示す電圧閾値1506、1526よりも低い場合に、充電電流の供給を継続してもよい。
【0055】
[0082]
図16は、
図15に示される例に基づく手順の一例を示すフローチャート1600である。この手順は、マルチコイルワイヤレス充電システム1100で実行することができる。ブロック1602で、マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、充電構成に従って受電デバイス1106に充電電流を提供し始めることができる。マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、ブロック1604で、マルチコイルワイヤレス充電システム1100が測定値のステップ変化を検出するまで充電を継続することができる。一例では、測定値は、充電電流の大きさを表してもよい。別の例では、測定値はタンク電圧を表してもよい。ブロック1606で、マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、段差の後の値を測定する。ブロック1608で、マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、測定値をルックアップテーブルに格納された閾値と比較することができる。閾値は、アイドル値または静止値から計算することができる。測定値と閾値との関係は、測定値のステップ変化が受電デバイス1106の除去の結果であるかどうかを示し得る。マルチコイルワイヤレス充電システム1100が、ブロック1610で、ステップ変化がデバイスの除去イベントに関連すると判断した場合、ブロック1612で、マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、充電電流を終了することができる。マルチコイルワイヤレス充電システム1100が、ブロック1610で、ステップ変化がデバイス除去イベントに関連していないと判断した場合、ブロック1604でプロセスを続行することができる。
【0056】
[0083]
図17は、本明細書に開示される特定の態様に従ってデバイス除去イベントを検出するためのルックアップテーブルに保持される、測定された静止消費電力、あるいは事前構成または事前測定されたアイドル伝送消費電力値の使用を示すグラフ1700である。一態様では、電力伝送の測定値は、ping手順に関連し得る初期設定間隔期間1702の間に得られる。曲線1710は、マルチコイルワイヤレス充電システム1100から受電デバイス1106への電力または電流の伝送を表す。一例では、最小または静止電力伝送状態を特徴付ける測定された電力伝送値を使用して、マルチコイルワイヤレス充電システム1100の既知の動作点を設定することができる。既知の動作点を使用して、デバイスの除去を検出するための閾値を定義してもよい。後者の閾値は、本明細書では測定閾値1716とも呼ばれる。別の態様では、デバイスの除去を検出するための閾値は、ルックアップテーブルから取得することができる。後者の閾値は、本明細書ではLUT閾値1718とも呼ばれる。LUT閾値1718は、システムの初期化時、組み立て中、または較正手順中に計算または測定することができる。一例では、LUT閾値1718は、充電可能デバイスまたは他の物体が充電面1102上またはその近くに配置されていないときに計算または測定することができる。
【0057】
[0084]曲線1710は、電力がマルチコイルワイヤレス充電システム1100から受電デバイス1106に転送される充電電流に対応し得る。受電デバイス1106の最初の検出および/または構成後、測定閾値1716を設定するのに最小電力伝達レベル1712が特定および/または使用される。電力伝送期間1704が続く。この電力伝送期間1704は、電力伝送のレベルが段差を下ったことを示すイベント1706が検出されるまで続く。図示の例では、電力伝送のレベルは低いレベル1714に低下し、これはデバイスの除去を特定するために使用される閾値より上または下であり得る。閾値は、測定閾値1716またはLUT閾値1718から選択することができる。マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、測定スロット1708を開始して、デバイスの除去が行われたことを確立または確認することができる。測定スロット1708の間に、マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、静止電力消費を測定し、選択された閾値と比較することができる。マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、受電デバイス1106が取り去られたと判断した後、充電電流を中止することができる。マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、受電デバイス1106が取り去られていないと判断した後、低いレベル1714で電力転送を継続することができる。
【0058】
[0085]
図18は、測定された静止消費電力に基づくデバイス除去検出手順の第1の例を示すフローチャート1800である。この手順は、マルチコイルワイヤレス充電システム1100で実行することができる。ブロック1802で、マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、充電面1102上またはその近くに配置された受電デバイス1106の存在を検出することができる。初期構成間隔期間1702の間に、マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、充電構成を生成するために、受電デバイス1106に問い合わせおよび/またはネゴシエートすることができる。ブロック1804で、マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、1以上のアクティブな伝送コイル1104
1~1104
nに静止電流を提供し、静止電力消費を測定することができる。マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、測定された静止電力消費を使用して、測定閾値1716を確立することができる。一例では、測定閾値1716は、ランダムアクセスメモリ(RAM)やレジスタベースのメモリなどの不揮発性メモリに格納され得る。
【0059】
[0086]電力伝送期間1704が始まり、その間、マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、充電構成に従って受電デバイス1106への電力伝達を可能にするために、アクティブな伝送コイル11041~1104nに充電電流を提供することができる。マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、ブロック1806で、マルチコイルワイヤレス充電システム1100が測定された消費電力のステップ変化を検出するまで充電を継続することができる。一例では、測定された消費電力は、充電電流の大きさで表すことができる。別の例では、測定された消費電力は、タンク電圧によって表すことができる。ブロック1808で、マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、充電電流が静止レベルへと減少する際に測定スロット1708を提供し得る。マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、測定スロット1708の間に消費電力を測定することができる。ブロック1810で、マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、測定された静止電力消費を測定閾値1716と比較することができる。測定された静止消費電力と測定閾値1716との間の関係は、消費電力のステップ変化が受電デバイス1106の除去の結果であるかどうかを示し得る。マルチコイルワイヤレス充電システム1100が、ブロック1812で、ステップ変更がデバイス除去イベントに関連していると判断した場合、ブロック1814で、マルチコイルワイヤレス充電システム1100は充電電流を終了することができる。マルチコイルワイヤレス充電システム1100が、ブロック1812で、ステップ変更がデバイス除去イベントに関連していないと判断した場合、ブロック1806でプロセスを続行することができる。
【0060】
[0087]
図19は、測定された静止消費電力に基づくデバイス除去検出の手順の第2の例を示すフローチャート1900である。この手順は、マルチコイルワイヤレス充電システム1100で実行することができる。ブロック1902で、マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、充電面1102上またはその近くに配置された受電デバイス1106の存在を検出することができる。初期構成間隔期間1702の間に、マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、充電構成を生成するために、受電デバイス1106に問い合わせおよび/またはネゴシエートすることができる。
【0061】
[0088]電力伝送期間1704が開始され、その間、マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、充電構成に従って受電デバイス1106に電力をワイヤレスで転送するように構成された1以上のアクティブな伝送コイル11041~1104nに充電電流を提供することができる。マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、ブロック1904で、マルチコイルワイヤレス充電システム1100が測定された消費電力のステップ変化を検出するまで、充電を継続することができる。一例では、測定された消費電力は、充電電流の大きさによって表すことができる。別の例では、測定された消費電力は、タンク電圧によって表すことができる。ブロック1906で、マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、充電電流が静止状態レベルへと減少する際に、測定スロット1708を提供することができる。マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、測定スロット1708の間に消費電力を測定することができる。ブロック1908で、マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、測定された静止電力消費をLUT閾値1718と比較することができる。LUT閾値1718は、静止(空コイル)消費電力に基づいて事前測定または事前計算され得る。事前測定または事前計算された消費電力は、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリに格納されているルックアップテーブルに保持することができる。測定された静止消費電力とLUT閾値1718との間の関係は、消費電力のステップ変化が受電デバイス1106の除去の結果であるかどうかを示し得る。マルチコイルワイヤレス充電システム1100が、ブロック1910で、ステップ変更がデバイス除去イベントに関連すると判断した場合、ブロック1912で、マルチコイルワイヤレス充電システム1100は充電電流を終了することができる。マルチコイルワイヤレス充電システム1100が、ブロック1910で、ステップ変更がデバイス除去イベントに関連していないと判断した場合、ブロック1904でプロセスを続行することができる。
【0062】
[0089]
図20は、受電デバイス1106が充電面1102上またはその近くに留まっているかどうかを判定することができるping手順を実行するための測定スロットの使用を示すグラフ2000である。ping手順には、アクティブおよび/またはパッシブpingが含まれ得る。ping手順には、アナログおよび/またはデジタルpingが含まれ得る。初期構成間隔期間2002は、デバイスまたは物体が充電面1102上またはその近くで検出された後に提供され得る。検出された物体が充電可能物体であるかどうかを判定し、充電可能物体に適した充電構成を決定するために、初期構成間隔期間2002内にping手順を実行してもよい。
【0063】
[0090]曲線2010は、マルチコイルワイヤレス充電システム1100から受電デバイス1106への電力伝送を表す。電力伝送期間2004の間に、電力伝送レベルがステップ降下を示すイベント2006が検出される場合がある。マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、デバイス除去イベントを確立または確認するために、測定スロット2008を開始することができる。測定スロット2008の間、マルチコイルワイヤレス充電システム1100は充電電流を終了して、受電デバイス1106が取り去られたかどうかを判定するためにping手順を使用できるようにする。マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、受電デバイス1106が除去されたと判断した後、充電電流を中止することができる。マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、受電デバイス1106が除去されていないと判断した後、より低いレベル2012で電力伝送を継続することができる。
【0064】
[0091]
図21は、測定スロット中に実行されるping手順に基づくデバイス除去検出のための方法の例を示すフローチャート2100である。この方法は、マルチコイルワイヤレス充電システム1100で実行することができる。ブロック2102において、マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、充電面1102上またはその近くに配置された受電デバイス1106の存在を検出することができる。初期構成間隔期間2002の間に、マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、充電構成を生成するために、受電デバイス1106に問い合わせおよび/またはネゴシエートすることができる。
【0065】
[0092]電力伝送期間2004が開始され、その間、マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、充電構成に従って受電デバイス1106に電力をワイヤレスで伝送するように構成された1以上のアクティブ伝送コイル11041~1104nに充電電流を提供することができる。マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、ブロック2104で、マルチコイルワイヤレス充電システム1100が、測定された消費電力、電流、またはタンク電圧のステップ変化を検出するまで、充電を継続することができる。ブロック2106において、マルチコイルワイヤレス充電システム1100は、ステップ変化が受電デバイス1106の除去の結果であるかどうかを判定するために1以上のping手順が実行され得る測定スロット2008を提供することができる。マルチコイルワイヤレス充電システム1100が、ブロック2108で、ステップ変化がデバイス除去イベントに関連すると判定した場合、ブロック2110で、マルチコイルワイヤレス充電システム1100は充電電流を終了することができる。マルチコイルワイヤレス充電システム1100が、ブロック2108で、ステップ変化がデバイス除去イベントに関連していないと判断した場合、ブロック2104でプロセスを続行することができる。
【0066】
センサを使用したデバイスの除去の検出
[0093]本開示の特定の態様によれば、受電デバイスの存在、位置、および/または向きを、例えば、静電容量、抵抗、インダクタンス、接触、圧力、温度、負荷、歪み、および/または別の適切なタイプのセンシングの差または変化を検出することを含む位置感知技術を使用して特定することができる。この位置検出は、充電される物体またはデバイスの存在または位置を特定するために使用することができる。位置検出を使用して、充電面からの電力伝送中に受電デバイスが取り去られたことを検出することもできる。
【0067】
[0094]
図22は、充電面2200からの電力伝送中に受電デバイスの除去を検出することができる1以上のセンサ2202を含むワイヤレス充電装置の充電面2200の第1の例を示す。この例では、センサ2202は、デバイスの存在を検出するように構成された容量性、誘導性、またはホール効果の感知要素を含み得る。いくつかの実装例では、感知要素は、充電面2200に設けられた充電コイル(LP1~LP18)に隣接してもよい。いくつかの実装例では、感知要素は、個々の充電コイルまたは充電コイル群に隣接してもよい。特定の実装例では、充電ゾーンが充電面2200上で特定され、感知要素が各充電ゾーンの外側限界を規定または監視してもよい。
【0068】
[0095]センサ2202はまた、充電面2200からの受電デバイスの除去を示す変化を検出するために使用することができる。いくつかの実装例では、センサ2202は、充電電流、タンク電圧、および/または消費電力の測定に基づいて、除去検出技術をサポートまたは強化することができる。センサ2202の使用は、信頼性や効率を改善し、電力消費およびプロセッサ負荷を低減することができる。
【0069】
[0096]
図23は、デバイスの除去を検出するために使用できる1以上のセンサ2312
1~2312
nおよび/または2314
1~2314
nを含むワイヤレス充電装置の充電面2300の第2の例を示す。センサ2312
1~2312
nおよび/または2314
1~2314
nは、充電面2300上またはその近くに配置されたデバイスまたは物体に起因する変形、負荷、および/または重量を測定することができる。センサ2312
1~2312
nおよび/または2314
1~2314
nは、表面上の2点間の変位を定量化することができる機械的歪みとして変形を測定するように構成することができる。一例では、伝送機コイル2304
1~2304
nと回路基板2302との間に配置されたセンサ2312
1~2312
nは、伝送機コイル2304
1~2304
nと、充電面2300上またはその近くに配置されたデバイスまたは物体との合計重量に対応する測定値を提供することができる。デバイスまたは物体の重量は合計重量から計算することができ、または合計重量の変化をデバイスまたは物体の配置または除去を示すために使用することができる。別の例では、充電面2300の外面および伝送機コイル2304
1~2304
nの上に配置されたセンサ2314
1~2314
nが、充電面2300上またはその近くに配置された物体の重量や形状に起因する外面の変形に対応した測定値を提供することができる。
【0070】
[0097]センサ23121~2312nおよび/または23141~2314nを使用して、充電面2300からの受電デバイス2306の除去を示す変化を検出することができる。いくつかの実装例では、センサ23121~2312nおよび/または23141~2314nは、充電電流、タンク電圧、および/または消費電力の測定値に基づく除去検出技術をサポートまたは強化することができる。センサ23121~2312nおよび/または23141~2314nを使用すると、信頼性と効率が向上し、消費電力とプロセッサの負荷を減らすことができる。
【0071】
[0098]
図24は、デバイスの除去を検出するために使用される1以上のセンサ2412
1~2412
nを含むワイヤレス充電装置の充電面2400の第3の例を示す。センサ2412
1~2412
nは、受電デバイス2406または他の物体が充電面2400から持ち上げられるか、さもなければ取り去られるときに生じる動きまたは振動の小さな変化を測定することができる。一例では、センサ2412
1~2412
nは、伝送機コイル2404
1~2404
nと回路基板2402との間に配置されている。
【0072】
[0099]いくつかの実装例では、センサ24121~2412nは、充電電流、タンク電圧、および/または消費電力の測定値に基づいて、除去検出技術をサポートまたは強化することができる。センサ24121~2412nを使用すると、信頼性と効率が向上し、消費電力とプロセッサの負荷を減らすことができる。
【0073】
[0100]
図25は、デバイスの除去を検出するために使用され得る1以上のデバイス2504
1~2504
4および/または2506
1~2506
4を含むワイヤレス充電装置の
充電面2500の第4の例を示す。デバイス2504
1~2504
4および/または2506
1~2506
4は、充電面2500の外面と同一平面上に配置された赤外線および/または超音波の送信および感知デバイスを含み得る。図示の例では、送信装置2504
1~2504
4が、赤外線または超音波ビームを感知デバイス2506
1~2506
4のセットに向ける。デバイス2504
1~2504
4および/または2506
1~2506
4の対応する対の間の充電面2500に受電デバイス2502が配置されたら、1以上のビームが遮断され得る。受電デバイス2502を取り去ると、1以上の感知デバイス2506
1~2506
4が送出されたビームを検出することができる。
【0074】
[0101]いくつかの実装例では、デバイス25041~25044および/または25061~25064は、充電電流、タンク電圧、および/または消費電力の測定値に基づく除去検出技術をサポートまたは強化することができる。デバイス25041~25044および/または25061~25064を使用すると、信頼性と効率が向上し、消費電力とプロセッサの負荷を減らすことができる。いくつかの実装例では、送信および/または感知デバイス25041~25044および/または25061~25064数を増やすことで、XおよびY座標で表現され得るデバイス位置の解像度を向上させることができる。
【0075】
[0102]
図26は、デバイスの除去を検出するために使用できる1以上の感知デバイス2604
1~2604
5を含むワイヤレス充電装置の充電面2600の第5の例を示す。感知デバイス2604
1~2604
5は、赤外線および/または超音波を組み合わせた伝送機およびセンサを含むことができる。感知デバイス2604
1~2604
5は、充電面2600の外面と同一平面上に配置することができる。図示の例では、感知デバイス2604
1~2604
5は、赤外線または超音波ビームを送出し、ビームの反射の特性を感知するように構成されている。1以上のビームが、充電面2600に置かれた受電デバイス2602によって反射され得る。感知デバイス2604
1~2604
5は、反射ビームの位相変化、反射角、および他の特性を検出することができ、それによって受電デバイス2602の検出を可能にする。受電デバイス2602を取り去ると、反射ビームが喪失するか、反射ビームの特性が変化する。
【0076】
[0103]いくつかの実装例では、感知デバイス26041~26045は、充電電流、タンク電圧、および/または消費電力の測定値に基づいて、除去検出技術をサポートまたは強化することができる。検知デバイス26041~26045を使用すると、信頼性と効率が向上し、消費電力とプロセッサの負荷を減らすことができる。いくつかの実装例では、感知デバイス26041~26045の数を増やすと、XおよびY座標で表現され得るデバイス位置の像度を向上させることができる。いくつかの実装例では、感知デバイス26041~26045は、感知デバイス26041~26045と受電デバイス2602との間の距離を検出し、2つのセンサが受電デバイス2602の正確な位置を特定できるようにしてもよい。
【0077】
処理回路の例
[0104]
図27は、バッテリをワイヤレスで充電することを可能にする充電装置または受電デバイスに組み込むことができる装置2700のハードウェア実装例を示す。いくつかの例では、装置2700は、本明細書に開示される1以上の機能を実行することができる。本開示の様々な態様によれば、本明細書に開示されるような要素、要素の任意の部分、または要素の任意の組み合わせは、処理回路2702を使用して実施することができる。処理回路2702は、ハードウェアおよびソフトウェアモジュールの何らかの組み合わせによって制御される1以上のプロセッサ2704を含むことができる。プロセッサ2704の例には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、SoC、ASIC、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、ステートマシン、シーケンサ、ゲートロジック、ディスクリートハードウェア回路、および本開示を通して説明される様々な機能を実行するように構成された他の適切なハードウェアが含まれる。1以上のプロセッサ2704は、特定の機能を実行し、ソフトウェアモジュール2716の1つによって構成、増強、または制御され得る特殊なプロセッサを含み得る。1以上のプロセッサ2704は、初期化中にロードされたソフトウェアモジュール2716の組み合わせによって構成されてもよく、さらに、動作中に1以上のソフトウェアモジュール2716をロードまたはアンロードすることによって構成されてもよい。
【0078】
[0105]図示の例では、処理回路2702は、一般にバス2710によって表されるバスアーキテクチャで実装され得る。バス2710は、処理回路2702の特定の用途および全体的な設計上の制約に応じて、任意の数の相互接続バスおよびブリッジを含み得る。バス2710は、1以上のプロセッサ2704およびストレージ2706を含む様々な回路を互いに連結する。ストレージ2706は、メモリデバイスおよびマスストレージデバイスを含むことができ、本明細書では、コンピュータ可読媒体および/またはプロセッサ可読媒体とも呼ばれる。ストレージ2706は、一時的な記憶媒体および/または非一時的な記憶媒体を含み得る。
【0079】
[0106]バス2710はまた、タイミングソース、タイマ、周辺機器、電圧レギュレータ、および電力管理回路などの様々な他の回路を連結してもよい。バスインターフェース2708は、バス2710と1以上のトランシーバ2712との間のインターフェースを提供することができる。一例では、トランシーバ2712は、装置2700が、標準で定義されたプロトコルに従って充電装置や受電デバイスと通信できるようにすることができる。装置2700の性質に応じて、ユーザインターフェース2718(例えば、キーパッド、ディスプレイ、スピーカ、マイク、ジョイスティック)を設けて、バス2710に直接またはバスインターフェース2708を介して通信可能に結合することができる。
【0080】
[0107]プロセッサ2704は、バス2710の管理と、ストレージ2706を含むコンピュータ可読媒体に格納されたソフトウェアの実行を含む一般的な処理を担当することができる。この点に関して、プロセッサ2704を含む処理回路2702は、本明細書に開示される方法、機能、および技術のいずれかを実施するために使用することができる。ストレージ2706は、ソフトウェアを実行するときにプロセッサ2704によって操作されるデータを格納するために使用することができ、ソフトウェアは、本明細書に開示される方法のいずれか1つを実施するように構成され得る。
【0081】
[0108]処理回路2702内の1以上のプロセッサ2704は、ソフトウェアを実行することができる。ソフトウェアは、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能、アルゴリズムなどを意味し、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語などと呼ばれるかどうかに拘わらず広く解釈されるものとする。ソフトウェアは、コンピュータ可読形式で、ストレージ2706内または外部のコンピュータ可読媒体に存在することができる。外部のコンピュータ可読媒体および/またはストレージ2706は、非一時的なコンピュータ可読媒体を含み得る。非一時的なコンピュータ可読媒体には、例えば、磁気記憶装置(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)またはデジタルバーサタイルディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(「フラッシュドライブ」、カード、スティック、またはキードライブなど)、RAM、ROM、プログラム可能な読み取り専用メモリ(PROM)、EEPROMを含む消去可能なPROM(EPROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、およびコンピュータがアクセスして読み取ることができるソフトウェアおよび/または命令を格納するための他の適切な媒体を含む。コンピュータ可読媒体および/または記憶装置2706はまた、例として、搬送波、伝送線、およびコンピュータがアクセスして読み取り可能なソフトウェアおよび/または命令を送信するための他の任意の適切な媒体を含み得る。コンピュータ可読媒体および/またはストレージ2706は、処理回路2702内、プロセッサ2704内、処理回路2702の外部に存在してもよいし、処理回路2702を含む複数のエンティティに分散してもよい。コンピュータ可読媒体および/またはストレージ2706は、コンピュータプログラム製品に組み込まれてもよい。例として、コンピュータプログラム製品は、包装材に含まれるコンピュータ可読媒体を含み得る。当業者は、特定の用途およびシステム全体に課せられた全体的な設計上の制約に応じて、本開示全体にわたって提示される説明された機能をどのように実装するのが最善であるかを認識するであろう。
【0082】
[0109]ストレージ2706は、本明細書でソフトウェアモジュール2716と呼ばれ得る、ロード可能なコードセグメント、モジュール、アプリケーション、プログラムなどでソフトウェアを保持および/または編成することができる。ソフトウェアモジュール2716はそれぞれ、処理回路2702にインストールまたはロードされ、1以上のプロセッサ2704によって実行されると、1以上のプロセッサ2704の動作を制御するランタイムイメージ2714に寄与する命令やデータを含み得る。特定の命令は、実行されると、処理回路2702に本明細書に記載の特定の方法、アルゴリズム、およびプロセスに従って機能を実行させることができる。
【0083】
[0110]ソフトウェアモジュール2716のいくつかは、処理回路2702の初期化中にロードされ、これらのソフトウェアモジュール2716は、本明細書に開示される様々な機能の実行を可能にするように処理回路2702を構成し得る。例えば、いくつかのソフトウェアモジュール2716は、プロセッサ2704の内部デバイスおよび/または論理回路2722を構成し、トランシーバ2712、バスインターフェース2708、ユーザインターフェース2718、タイマ、数学的コプロセッサなどの外部デバイスへのアクセスを管理することができる。ソフトウェアモジュール2716は、割り込みハンドラやデバイスドライバと相互作用し、処理回路2702によって提供される様々なリソースへのアクセスを制御する制御プログラムおよび/またはオペレーティングシステムを含み得る。これらのリソースには、メモリ、処理時間、トランシーバ2712へのアクセス、ユーザインターフェース2718などが含まれ得る。
【0084】
[0111]処理回路2702の1以上のプロセッサ2704は多機能であってよく、それにより、ソフトウェアモジュール2716のいくつかは、異なる機能または同じ機能の異なるインスタンスを実行するようにロードおよび構成される。1以上のプロセッサ2704はさらに、例えばユーザインターフェース2718、トランシーバ2712、およびデバイスドライバからの入力に応答して開始されるバックグラウンドタスクを管理するように適合させることができる。複数の機能の実行をサポートするために、1以上のプロセッサ2704はマルチタスク環境を提供するように構成されてもよく、それにより、複数の機能のそれぞれは、必要または所望に応じて1以上のプロセッサ2704によってサービスされるタスクのセットとして実装される。一例では、マルチタスク環境は、異なるタスク間でプロセッサ2704の制御を渡すタイムシェアリングプログラム2720を使用して実装することができ、それにより、各タスクは、未処理の操作の完了時および/または割り込みなどの入力に応答して1以上のプロセッサ2704の制御をタイムシェアリングプログラム2720に戻す。タスクが1以上のプロセッサ2704を制御する場合、処理回路は、制御タスクに関連する機能によって対処される目的のために効果的に特化される。タイムシェアリングプログラム2720は、オペレーティングシステム、ラウンドロビンベースで制御を転送するメインループ、機能の優先順位に従って1以上のプロセッサ2704の制御を割り当てる機能、および/または1以上のプロセッサ2704の制御を処理機能に提供することによって外部イベントに応答する割り込み駆動メインループを含み得る。
【0085】
[0112]一実施態様では、装置2700は、充電回路に結合されたバッテリ充電電源と、複数の充電セルと、1以上のプロセッサ2704に含まれ得るコントローラとを有するワイヤレス充電装置を含むか、そのように動作する。複数の充電セルは、充電面を提供するように構成することができる。1以上のコイルを、各充電セルの電荷転送領域を通して電磁界を配向付けるように構成することができる。コントローラは、受電デバイスが充電面に置かれたときに、充電回路に共振回路に充電電流を供給させ、充電電流を一定期間減少または終了させて測定スロットを提供し、この測定スロット中の共振回路の特性の測定に基づいて受電デバイスが充電面から除去されたかどうかを判断するように構成することができ、ここで共振回路の特性は共振回路中の伝送コイルと受電デバイスの受電コイル間の電磁結合を表すものである。
【0086】
[0113]特定の実施態様では、共振回路は伝送コイルを含む。コントローラは、共振回路に関連する電圧または電流レベルの変化または変化率を検出し、電圧または電流レベルの変化または変化率を検出することに応答して測定スロットを提供するようにさらに構成され得る。
【0087】
[0114]共振回路の特性は、伝送コイルと受電デバイス内の受電コイルとの間の結合を示すものであり得る。一例では、共振回路の特性はQファクタである。コントローラは、共振回路に蓄積されたエネルギーの減衰率を測定し、共振回路に蓄積されたエネルギーの減衰率が、受電デバイスが充電面に置かれる前に測定された減衰率に対応するとき、受電デバイスが充電面から取り去られたと判断するようにさらに構成されてもよい。
【0088】
[0115]いくつかの実装例では、装置2700は、充電装置の外面に近接配置された1以上のセンサを有する。コントローラはさらに、1以上のセンサから測定値を受け取り、測定値の1つが受電デバイスの物理的除去を示す場合に共振回路に関連する電圧または電流レベルを測定するように構成され得る。センサは、歪み測定センサ、加速度計、赤外線または超音波感知要素、および/またはホール効果デバイスを含み得る。
【0089】
[0116]いくつかの実装例では、ストレージ2706は命令と情報を保持し、この命令は、1以上のプロセッサ2704が、受電デバイスが充電面に置かれたときに共振回路に充電電流を提供し、共振回路に関連する電圧または電流レベルの変化が受電デバイスの充電面から除去された可能性を示すことを特定し、一定期間充電電流を減少または終了することによって測定スロットを提供し、測定スロット中の共振回路の特性の測定に基づいて受電デバイスが充電面から除去されたかどうかを判定するように構成される。一例では、電圧または電流レベルの変化は、電圧または電流レベルのステップ変化を含む。ローパスフィルタを使用して、電圧または電流レベルを表す信号の短時間または低振幅のステップ変化をフィルタリングしてもよい。
【0090】
[0117]特定の実装例では、共振回路は、充電面にある伝送コイルを含む。共振回路の特性は、伝送コイルと受電デバイス内の受信コイルの間の結合を示し得る。命令は、1以上のプロセッサ2704に、伝送コイルの端子で測定された電圧が閾値電圧レベルを超えたときに、受電デバイスが充電面から除去されたことを判定させるように構成され得る。いくつかの例では、閾値電圧レベルはルックアップテーブルによって保持され得る。いくつかの例では、伝送コイルが電磁的に切り離されたときに閾値電圧レベルが特定されてもよい。いくつかの例では、閾値電圧レベルは、受電デバイスが最初に充電面に置かれたときに特定されされてもよい。
【0091】
[0118]特定の実装例では、命令は、1以上のプロセッサ2704に、共振回路で測定された電流の大きさが閾値電流レベルよりも小さい場合に、受電デバイスが充電面から除去されたと判定させるように構成され得る。いくつかの例では、閾値電流レベルはルックアップテーブルによって保持される。一例では、閾値電流レベルは、共振回路内のコイルと電磁的に結合されている物体がない場合に特定することができる。別の例では、閾値電流レベルは、受電デバイスが最初に充電面に置かれたときに特定することができる。
【0092】
[0119]いくつかの実装例では、命令は、1以上のプロセッサ2704に、共振回路に蓄積されたエネルギーの減衰率に基づいて、受電デバイスが充電面から除去されたと判定させるように構成され得る。いくつかの実装例では、命令は、1以上のプロセッサ2704がパッシブping手順を使用して、受電デバイスが充電面から除去されたかどうかを判定するように構成され得る。パッシブping手順は、測定スロット中および充電電流の終了後に実行することができる。いくつかの実装例では、命令は、1以上のプロセッサ2704がデジタルping手順を使用して、受電デバイスが充電面から除去されたかどうかを判定するように構成され得る。デジタルping手順は、測定スロット中および充電電流の終了後に実行できる。
【0093】
[0120]特定の実装例では、命令は、1以上のプロセッサ2704に、充電面内の1以上のセンサからの測定値を監視および/または受信させるように構成され得る。命令は、1以上のプロセッサ2704に、測定の1つが受電デバイスの物理的除去を示した後に、共振回路に関連する電圧または電流レベルを測定させるように構成され得る。センサは、歪み測定センサ、加速度計、赤外線または超音波感知要素、および/またはホール効果デバイスを含み得る。
【0094】
[0121]
図28は、本開示の特定の態様に従った充電装置の動作方法を示すフローチャート2800である。本方法は、充電装置内のコントローラによって実行することができる。ブロック2802において、コントローラは、受電デバイスが充電装置の充電面上に置かれたときに、共振回路に充電電流を供給することができる。ブロック2804において、コントローラは、充電電流を一定期間減少または終了させることによって、測定スロットを提供することができる。ブロック2806において、コントローラは、測定スロット中の共振回路の特性の測定に基づいて、受電デバイスが充電面から取り去られたか否かを判断する。共振回路の特性は、共振回路内の送信コイルと受電デバイス内の受電コイルとの間の電磁結合を表すものであり得る。ブロック2808において、コントローラが、受電デバイスが充電面から取り去られたと判断した場合、ブロック2810において、コントローラは、受電デバイスに関連する充電電流および充電サイクルを終了させることができる。ブロック2808において、コントローラが、受電デバイスが充電面から取り去られていないと判断した場合、ブロック2804で方法を継続または再開することができる。共振回路は、伝送コイルを含み得る。
【0095】
[0122]特定の実装例では、コントローラは、共振回路に関連する電圧または電流レベルの変化または変化率を検出し、電圧または電流レベルの変化または変化率を検出することに応答して測定スロットを提供することができる。
【0096】
[0123]一例では、共振回路の特性は、伝送コイルと受電デバイス内の受電コイルとの間の結合を示すものである。ある実施例では、共振回路の特性はQファクタを含む。
【0097】
[0124]特定の実装例では、コントローラは、共振回路に蓄積されたエネルギーの減衰率を測定し、共振回路に蓄積されたエネルギーの減衰率が、受電デバイスが充電面に置かれる前に測定された減衰率に対応するとき、受電デバイスが充電面から除去されたと判断してもよい。
【0098】
[0125]特定の実装例では、コントローラは、充電面内の1以上のセンサから測定値を受信し、測定値の1つが受電デバイスの物理的除去を示した後に、共振回路に関連する電圧または電流レベルを測定してもよい。センサは、歪み測定センサ、加速度計、赤外線または超音波感知要素、および/またはホール効果デバイスを含み得る。
【0099】
[0126]前述の説明は、当業者が本明細書に記載の様々な態様を実践できるようにするために提供されている。これらの態様に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかとなり、本明細書で定義される一般的な原理は他の態様に適用することができる。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示される態様に限定されることを意図するものではなく、特許請求の範囲の文言と一致する全範囲を与えられるべきであり、単数形の要素への言及は、特に明記されていない限り、「1つのみ」を意味することを意図したものではなく、むしろ「1つ以上」を意味するものである。特に明記しない限り、「一部」という用語は1つまたは複数を意味する。当業者に知られている、または後に知られるようになる、本開示を通して記載される様々な態様の要素に相当するすべての構造的および機能的均等物は、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、特許請求の範囲に含まれることが意図される。さらに、本明細書に開示されるものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかにかかわらず、公衆に公開することを意図するものではない。請求項の要素は、その要素が「~手段」という句を用いて明示的に引用されているか、方法クレームの場合に要素が「~ステップ」という語句で記載されていない限り、35U.S.C.§112第6項の規定に基づいて解釈されるべきではない。