IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝三菱電機産業システム株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】活性ガス生成装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/24 20060101AFI20240502BHJP
【FI】
H05H1/24
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023518267
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(86)【国際出願番号】 JP2022039029
【審査請求日】2023-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】有田 廉
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/049230(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/138456(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電空間に供給された原料ガスを活性化して活性ガスを生成する活性ガス生成装置であって、
電極ユニットと、
筐体内空間に前記電極ユニットを収容し、導電性を有する筐体とを備え、
前記筐体は、平坦面と前記平坦面から深さ方向に凹んだ導体収容空間とを含む筐体底部を有し、
前記電極ユニットは、
第1の電極構成部と、
前記第1の電極構成部の下方に設けられる第2の電極構成部と、
前記第2の電極構成部の下方に設けられ、前記導体収容空間内に収容される基準電位導体とを備え、
前記第1の電極構成部は、第1の電極用誘電体膜と前記第1の電極用誘電体膜の上面上に形成される第1の電極用導電膜とを含み、
前記第2の電極構成部は、第2の電極用誘電体膜と前記第2の電極用誘電体膜の下面上に形成される第2の電極用導電膜とを含み、
前記基準電位導体は、上部に活性ガス用バッファ空間を有し、前記第2の電極構成部は前記活性ガス用バッファ空間を塞いで配置され、
前記第2の電極用誘電体膜は平面視して前記活性ガス用バッファ空間と重複する領域に、前記第2の電極用誘電体膜を貫通する誘電体貫通口を有し、前記第2の電極用導電膜は平面視して前記活性ガス用バッファ空間と重複する領域に導電膜開口部を有し、前記導電膜開口部は平面視して前記誘電体貫通口と重複し、
前記筐体底部は外部から原料ガスを受けるガス流路を有し、
前記基準電位導体と前記筐体の前記導体収容空間との間に原料ガス用流通空間が設けられ、
前記第1の電極用誘電体膜と前記第2の電極用誘電体膜とが対向する空間が主要誘電体空間として規定され、
前記放電空間は、前記主要誘電体空間内において前記第1及び第2の電極用導電膜が平面視して重複する領域である主要放電空間を含み、
原料ガスは前記ガス流路及び前記原料ガス用流通空間を介して前記放電空間に導かれ、
前記第1の電極用導電膜に交流電圧が印加され、前記筐体及び前記基準電位導体を介して前記第2の電極用導電膜が基準電位に設定され、
前記活性ガス生成装置は、
前記筐体の前記平坦面上に設けられ、前記第1の電極用誘電体膜を下方から支持する支持面を有する誘電体膜支持部材と、
前記第1の電極用誘電体膜を上方から抑圧するための誘電体膜抑圧部材とをさらに備え、前記誘電体膜抑圧部材は平面視して前記第1の電極用導電膜と重複せず、
前記誘電体膜抑圧部材の下面は、前記第1の電極用誘電体膜の上面と接触する誘電体接触領域と前記第1の電極用誘電体膜の上面と接触しない誘電体非接触領域と有し、前記誘電体接触領域は平面視して前記第1の電極用誘電体膜の周辺領域及び前記誘電体膜支持部材の前記支持面と重複し、前記誘電体非接触領域は平面視して前記第1の電極用誘電体膜の中間領域と重複し、前記中間領域は前記周辺領域から前記第1の電極用導電膜側に隣接する領域であり、
前記誘電体膜抑圧部材は導電性を有し、前記基準電位に設定され、
前記第1の電極用誘電体膜は、前記誘電体接触領域において上方から前記誘電体膜抑圧部材によって抑圧される、
活性ガス生成装置。
【請求項2】
請求項1記載の活性ガス生成装置であって、
前記原料ガス用流通空間は、
前記基準電位導体の下面側に設けられ、前記ガス流路を介して原料ガスを受ける原料ガスバッファ空間と、
前記基準電位導体の下面側に設けられ、前記原料ガスバッファ空間に繋がるスリット空間と、
前記基準電位導体の側面側に設けられ、前記スリット空間に繋がる側面空間とを含み、前記原料ガスバッファ空間、前記スリット空間及び前記側面空間を経由して、原料ガスは前記放電空間に導かれ、
前記スリット空間は、前記原料ガスバッファ空間で原料ガスが一時的に滞留した後、前記スリット空間を流れるように、前記原料ガスバッファ空間と比較的して原料ガスが流れにくい空間に設定される、
活性ガス生成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の活性ガス生成装置であって、
前記第2の電極用導電膜における前記導電膜開口部の外周線が電極境界線として規定され、
前記第2の電極構成部は、前記活性ガス用バッファ空間内において前記第2の電極用導電膜の前記電極境界線を覆うカバー誘電体膜をさらに含み、前記カバー誘電体膜は平面視して前記誘電体貫通口と重複する領域に前記カバー誘電体膜を貫通するカバー貫通口を有し、
前記活性ガス生成装置は、
前記活性ガス用バッファ空間の底面上において、平面視して前記誘電体貫通口及び前記カバー貫通口に重複する領域に設けられるシールド誘電体膜と、
前記シールド誘電体膜の周辺領域において前記基準電位導体を貫通して設けられるガス噴出口とをさらに備え、前記ガス噴出口は平面視して前記カバー誘電体膜と重複し、かつ、平面視して前記誘電体貫通口及び前記カバー貫通口と重複せず、
前記放電空間は、前記主要放電空間に加え、前記誘電体貫通口、前記カバー貫通口及び前記活性ガス用バッファ空間の一部を含む補助放電空間を有し、
前記補助放電空間から前記ガス噴出口に至る経路が活性ガス流通経路として規定される、
活性ガス生成装置。
【請求項4】
請求項3記載の活性ガス生成装置であって、
前記筐体の前記筐体底部は前記活性ガス用バッファ空間と平面視して重複する領域に筐体開口部を有し、前記ガス噴出口から噴出される活性ガスは、前記筐体開口部を介して下方に導かれ、
前記筐体開口部は下方に向かうに従い開口面積が広くなるテーパー形状を有する、
活性ガス生成装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2記載の活性ガス生成装置であって、
前記電極ユニットは複数の電極ユニットを含み
前記筐体の前記筐体底部は内部に冷媒を流す冷却路を有し、前記冷却路は前記複数の電極ユニットそれぞれの前記基準電位導体の下方に設けられる、
活性ガス生成装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2記載の活性ガス生成装置であって、
前記第1の電極用導電膜の上面と前記第1の電極用誘電体膜の下面とは導電性を有する液体を介して接触関係を有し、
前記第1の電極用導電膜は給電体であり、
前記給電体は、
内部に設けられ、冷媒を流す冷媒流路と、
外部より冷媒を受け、前記冷媒流路に冷媒を供給するための冷媒入口と、
前記冷媒流路を流れた冷媒を外部に冷媒を排出するための冷媒出口とを有し、
前記活性ガス生成装置は、
前記交流電圧を印加する交流電源と、
各々が導電性を有し、かつ前記交流電圧を受ける第1及び第2の電流導入部材と備え、前記第1及び第2の電流導入部材はそれぞれ冷媒を輸送可能な導通管を有し、
前記第1の電流導入部材は、前記給電体と電気的接続関係を有し、かつ、前記導通管を介して前記冷媒入口から前記冷媒流路に冷媒が供給できるように前記給電体に接続され、
前記第2の電流導入部材は、前記給電体と電気的接続関係を有し、かつ、前記冷媒出口から前記導通管を介して外部へ冷媒の排出ができるように前記給電体に接続される、
活性ガス生成装置。
【請求項7】
請求項6記載の活性ガス生成装置であって、
前記電極ユニットは第1及び第2の電極ユニットを含み、
前記第1の電極ユニットの前記冷媒流路、前記冷媒入口及び前記冷媒出口は、第1の冷媒流路、第1の冷媒入口及び第1の冷媒出口と規定され、
前記第2の電極ユニットの前記冷媒流路、前記冷媒入口及び前記冷媒出口は、第2の冷媒流路、第2の冷媒入口及び第2の冷媒出口と規定され、
前記活性ガス生成装置は、
導電性を有し、内部に設けられる中継用冷媒流路と、各々が上面から下面を貫通して設けられる第1及び第2の貫通流路とを含む冷媒中継部材と、
各々が導電性を有し、かつ、各々が冷媒輸送機能を有する第1~第4の中継導通管とをさらに備え、
前記第1~第4の中継導通管は第1~第4の冷媒流通条件を満足するように、前記冷媒中継部材と前記第1及び第2の電極ユニットそれぞれの前記給電体との間に配置され、
前記第1の冷媒流通条件は、前記第1の貫通流路及び前記第1の中継導通管を介して、前記第1の電流導入部材と前記第1の冷媒入口との間に冷媒が流れる条件であり、
前記第2の冷媒流通条件は、前記第2の中継導通管を介して、前記第1の冷媒出口と前記中継用冷媒流路との間に冷媒が流れる条件であり、
前記第3の冷媒流通条件は、前記第3の中継導通管を介して、前記中継用冷媒流路と前記第2の冷媒入口との間に冷媒が流れる条件であり、
前記第4の冷媒流通条件は、前記第4の中継導通管及び前記第2の貫通流路を介して、前記第2の冷媒出口と前記第2の電流導入部材との間に冷媒が流れる条件である、
活性ガス生成装置。
【請求項8】
請求項6記載の活性ガス生成装置であって、
前記第1の電極用誘電体膜は、平面視して前記給電体及び前記誘電体膜抑圧部材と重複しない上面上に凹凸構造を有する、
活性ガス生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、平行平板方式の電極構造を有し、誘電体バリア放電を利用して活性ガスを生成する活性ガス生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平行平板方式の電極構造を有し、誘電体バリア放電を採用した従来の活性ガス生成装置は、互いに対向する金属電極(電極用導電膜)と誘電体膜(電極用誘電体膜)との空隙、または、互いに対向する誘電体膜同士の空隙が放電空間となる。
【0003】
従来の活性ガス生成装置は、放電空間に誘電体バリア放電を発生させ、この放電空間に投入された原料ガスを活性化して活性ガスを生成するという、平行平板方式誘電体バリア放電を採用している。
【0004】
平行平板方式誘電体バリア放電を採用した活性ガス生成装置として、例えば、特許文献1で開示された活性ガス生成装置がある。
【0005】
活性ガスは一般に、活性ガスとしての寿命(活性ガスが高い反応性を保っている時間)が短く、短時間で活性ガスを使用する空間へ供給する必要がある。また、活性ガスは他の物質に衝突することでも失活することから、曲がりくねったパイプ等を経由して活性ガスを使用する空間へ供給することは望ましくない。
【0006】
このため、活性ガスを使用する空間において、処理対象物(活性ガスを吹きかける対象)が大きい場合、活性ガスを使用する空間へ供給するためのガス噴出孔を設ける第1の改良構造や、複数のガス噴出孔それぞれに対応する放電空間が複数存在する第2の改良構造を設ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2019/138456号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した第1の改良構造については、一つの誘電体膜に対して複数の貫通穴を設けるという手法が採用されている。したがって、第1の改良構造では、処理対象物に合わせて誘電体膜を大きくする必要があり、装置構成が大型化するという問題点があった。
【0009】
加えて、第1の改良構造は、放電によって発生する熱の除去機構がなく、放電による発熱で誘電体膜が破損してしまうという問題点もあった。
【0010】
上述した第2の改良構造では、放電空間を複数設ける必要があるため、装置構成が大型化してしまう問題点があった。
【0011】
また、特許文献1で開示された活性ガス生成装置では、誘電体膜に差圧がかかる場合、誘電体膜を厚くするなどの対応が必要となり、誘電体膜を厚くすると必要な印加電圧が増加する。印加電圧が増加すると、不要な部位の絶縁破壊対策や、高電圧に対応するために導入端子の大型化等の措置が必要となってしまう問題点があった。
【0012】
加えて、特許文献1で開示された従来の活性ガス生成装置では、誘電体膜の冷却はパージガスによる冷却のため、冷却効率がよくないという問題点があった。なぜなら、従来の活性ガス生成装置は、空冷のため、熱除去率が低いからである。
【0013】
本開示では、上記のような問題点を解決し、少なくとも誘電体膜の絶縁破壊を防止する構造の活性ガス生成装置を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示における活性ガス生成装置は、放電空間に供給された原料ガスを活性化して活性ガスを生成する活性ガス生成装置であって、電極ユニットと、筐体内空間に前記電極ユニットを収容し、導電性を有する筐体とを備え、前記筐体は、平坦面と前記平坦面から深さ方向に凹んだ導体収容空間とを含む筐体底部を有し、前記電極ユニットは、第1の電極構成部と、前記第1の電極構成部の下方に設けられる第2の電極構成部と、前記第2の電極構成部の下方に設けられ、前記導体収容空間内に収容される基準電位導体とを備え、前記第1の電極構成部は、第1の電極用誘電体膜と前記第1の電極用誘電体膜の上面上に形成される第1の電極用導電膜とを含み、前記第2の電極構成部は、第2の電極用誘電体膜と前記第2の電極用誘電体膜の下面上に形成される第2の電極用導電膜とを含み、前記基準電位導体は、上部に活性ガス用バッファ空間を有し、前記第2の電極構成部は前記活性ガス用バッファ空間を塞いで配置され、前記第2の電極用誘電体膜は平面視して前記活性ガス用バッファ空間と重複する領域に、前記第2の電極用誘電体膜を貫通する誘電体貫通口を有し、前記第2の電極用導電膜は平面視して前記活性ガス用バッファ空間と重複する領域に導電膜開口部を有し、前記導電膜開口部は平面視して前記誘電体貫通口と重複し、前記筐体底部は外部から原料ガスを受けるガス流路を有し、前記基準電位導体と前記筐体の前記導体収容空間との間に原料ガス用流通空間が設けられ、前記第1の電極用誘電体膜と前記第2の電極用誘電体膜とが対向する空間が主要誘電体空間として規定され、前記放電空間は、前記主要誘電体空間内において前記第1及び第2の電極用導電膜が平面視して重複する領域である主要放電空間を含み、原料ガスは前記ガス流路及び前記原料ガス用流通空間を介して前記放電空間に導かれ、前記第1の電極用導電膜に交流電圧が印加され、前記筐体及び前記基準電位導体を介して前記第2の電極用導電膜が基準電位に設定され、前記活性ガス生成装置は、前記筐体の前記平坦面上に設けられ、前記第1の電極用誘電体膜を下方から支持する支持面を有する誘電体膜支持部材と、前記第1の電極用誘電体膜を上方から抑圧するための誘電体膜抑圧部材とをさらに備え、前記誘電体膜抑圧部材は平面視して前記第1の電極用導電膜と重複せず、前記誘電体膜抑圧部材の下面は、前記第1の電極用誘電体膜の上面と接触する誘電体接触領域と前記第1の電極用誘電体膜の上面と接触しない誘電体非接触領域と有し、前記誘電体接触領域は平面視して前記第1の電極用誘電体膜の周辺領域及び前記誘電体膜支持部材の前記支持面と重複し、前記誘電体非接触領域は平面視して前記第1の電極用誘電体膜の中間領域と重複し、前記中間領域は前記周辺領域から前記第1の電極用導電膜側に隣接する領域であり、前記誘電体膜抑圧部材は導電性を有し、前記基準電位に設定され、前記第1の電極用誘電体膜は、前記誘電体接触領域において上方から前記誘電体膜抑圧部材によって抑圧される。
【発明の効果】
【0015】
本開示の活性ガス生成装置において、第1の電極用誘電体膜は、誘電体接触領域において上方から誘電体膜抑圧部材によって抑圧される。このため、誘電体膜抑圧部材によって第1の電極用誘電体膜に荷重がかかる領域は誘電体接触領域の下方領域のみに制限することができる。
【0016】
その結果、本開示の活性ガス生成装置は、第1の電極用誘電体膜へ不要な曲げ応力を与えることなく、誘電体膜抑圧部材の誘電体接触領域と誘電体膜支持部材の支持面との間で第1の電極用誘電体膜を固定することができる。
【0017】
さらに、基準電位に設定され、導電性を有する誘電体膜抑圧部材の誘電体非接触領域は、平面視して第1の電極用誘電体膜の中間領域と重複している。
【0018】
その結果、第1の電極用導電膜の電界強度を緩和して第1の電極用誘電体膜の中間領域の電位を低下させることができるため、本開示の活性ガス生成装置における電極ユニットは、第1の電極用誘電体膜と誘電体膜支持部材との空隙における絶縁破壊を防止することができる。
【0019】
本開示の目的、特徴、局面、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示の実施の形態1である活性ガス生成装置の平面構造を模式的に示す平面図である。
図2図1のA-A断面の断面構造を示す断面図である。
図3】電極ユニットの平面構造を模式的に示す説明図(その1)である。
図4図3のB-B断面の断面構造を示す説明図である。
図5】電極ユニットの平面構造を模式的に示す説明図(その2)である。
図6図5のC-C断面の断面構造を示す説明図である。
図7】筐体の平面構造を模式的に示す説明図である。
図8】筐体の断面構造を模式的に示す説明図である。
図9】高圧側誘電体膜の平面構造を模式的に示す説明図である。
図10】高圧側誘電体膜の断面構造を模式的に示す説明図である。
図11】接地側誘電体膜の平面構造を模式的に示す説明図である。
図12】接地側誘電体膜の断面構造を模式的に示す説明図である。
図13】給電体の平面構造を模式的に示す説明図である。
図14】給電体の断面構造を模式的に示す説明図である。
図15】接地導体の平面構造を模式的に示す説明図である。
図16】接地導体の断面構造を模式的に示す説明図である。
図17図16の着目領域における詳細を示す説明図である。
図18】カバー誘電体膜の平面構造を模式的に示す説明図である。
図19】カバー誘電体膜の断面構造を模式的に示す説明図である。
図20】接地側電極構成部の平面構造を模式的に示す説明図である。
図21】接地側電極構成部の断面構造を模式的に示す説明図である。
図22】シールド誘電体膜の平面構造を模式的に示す説明図である。
図23】シールド誘電体膜の断面構造を模式的に示す説明図である。
図24】誘電体膜支持部材の平面構造を模式的に示す説明図である。
図25】誘電体膜支持部材の断面構造を模式的に示す説明図である。
図26】誘電体膜抑圧部材の平面構造を模式的に示す説明図である。
図27】誘電体膜抑圧部材の断面構造を模式的に示す説明図である。
図28図27の着目領域における詳細を示す説明図である。
図29】押圧部材の平面構造を模式的に示す説明図である。
図30】押圧部材の断面構造を模式的に示す説明図である。
図31】本開示の実施の形態2である活性ガス生成装置の平面構造を模式的に示す平面図である。
図32図31のD-D断面の断面構造を示す断面図である。
図33】実施の形態3の活性ガス生成装置における電極ユニットで用いられる給電体の平面構造を模式的に示す説明図である。
図34図33のE-E断面における断面構造を示す説明図である。
図35】実施の形態3の基本構成における冷媒機能を模式的に示す説明図である。
図36】実施の形態3の変形例における冷媒機能を模式的に示す説明図である。
図37】実施の形態4の活性ガス生成装置における電極ユニットの断面構造を示す説明図である。
図38図37で示した高圧側誘電体膜の平面構造を模式的に示す説明図である。
図39図37で示した高圧側誘電体膜の断面構造を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<実施の形態1>
図1は本開示の実施の形態1である活性ガス生成装置71の平面構造を模式的に示す平面図である。
【0022】
同図に示すように、活性ガス生成装置71において、筐体1内に3つの電極ユニット51~53が収容されている。電極ユニット51~53それぞれにガス流路21を介して原料ガスG1が供給される。そして、電極ユニット51~53それぞれは、放電空間4に供給された原料ガスG1を活性化して活性ガスG2を生成している。
【0023】
図2図1のA-A断面の断面構造を示す断面図である。図3図6は電極ユニット50の構造を部分的に説明する説明図である。なお、電極ユニット50は電極ユニット51~53のいずれかに相当する。なお、電極ユニット51~53は互いに同一構造を呈している。
【0024】
図3は電極ユニット50の平面構造を模式的に示す説明図である。図4図3のB-B断面の断面構造を示す説明図である。図3及び図4は接地導体6及びその周辺の構造を示す第1の説明図となる。
【0025】
図5は電極ユニット50の平面構造を模式的に示す説明図である。図6図5のC-C断面の断面構造を示す説明図である。図5及び図6は接地導体6及びその周辺の詳細構造を示す第2の説明図となる。
【0026】
図7図30は、電極ユニット50の構成部品の詳細を示す説明図である。図7及び図8は筐体1の構造を模式的に示す説明図である。図7は筐体1の平面構造を示しており、図8は筐体1の断面構造を示している。
【0027】
図9及び図10はそれぞれ高圧側誘電体膜2の構造を模式的に示す説明図である。図9は高圧側誘電体膜2の平面構造を示しており、図10は高圧側誘電体膜2の断面構造を示している。
【0028】
図11及び図12はそれぞれ接地側誘電体膜3の構造を模式的に示す説明図である。図11は接地側誘電体膜3の平面構造を示しており、図12は接地側誘電体膜3の断面構造を示している。
【0029】
図13及び図14はそれぞれ給電体5の構造を模式的に示す説明図である。図13は給電体5の平面構造を示しており、図14は給電体5の断面構造を示している。
【0030】
図15図17はそれぞれ接地導体6の構造を模式的に示す説明図である。図15は接地導体6の平面構造を示しており、図16は接地導体6の断面構造を示しており、図17図16の着目領域R1における詳細を示している。
【0031】
図18及び図19はそれぞれカバー誘電体膜8の構造を模式的に示す説明図である。図18はカバー誘電体膜8の平面構造を示しており、図19はカバー誘電体膜8の断面構造を示している。
【0032】
図20及び図21はそれぞれ接地側電極構成部E2の構造を模式的に示す説明図である。図20は接地側電極構成部E2の平面構造を示しており、図21は接地側電極構成部E2の断面構造を示している。接地側電極構成部E2は接地側誘電体膜3、導電膜7及びカバー誘電体膜8の組合せ構造を含んでいる。
【0033】
図22及び図23はそれぞれシールド誘電体膜9の構造を模式的に示す説明図である。図22はシールド誘電体膜9の平面構造を示しており、図23はシールド誘電体膜9の断面構造を示している。
【0034】
図24及び図25はそれぞれ誘電体膜支持部材10の構造を模式的に示す説明図である。図24は誘電体膜支持部材10の平面構造を示しており、図25は誘電体膜支持部材10の断面構造を示している。
【0035】
図26図28はそれぞれ誘電体膜抑圧部材11の構造を模式的に示す説明図である。図26は誘電体膜抑圧部材11の平面構造を示しており、図27は誘電体膜抑圧部材11の断面構造を示しており、図28図27の着目領域R2における詳細を示している。
【0036】
図29及び図30はそれぞれ押圧部材12の構造を模式的に示す説明図である。図29は押圧部材12の平面構造を示しており、図30は押圧部材12の断面構造を示している。
【0037】
なお、図1図30はそれぞれ活性ガス生成装置71、電極ユニット50または電極ユニット50の構成部品を模式的に示しており、縮尺を含む形状は図1図30間で必ずしも一致しない。また、図1図30それぞれにXYZ直交座標系を記している。
【0038】
以下、上述した図1図30を適宜参照して、実施の形態1の活性ガス生成装置71について説明する。
【0039】
(全体構造)
図1に示すように、活性ガス生成装置71は、複数の電極ユニットとして電極ユニット51~53と、筐体内空間S1(図8参照)に電極ユニット51~53を収容し、導電性を有する筐体1とを備えている。
【0040】
図2及び図7に示すように、筐体1は、平坦面1Fと平坦面1Fから深さ方向に凹んだ導体収容空間6Sとを含む筐体底部1aを有している。
【0041】
図8に示すように、筐体1は筐体底部1a、筐体側部1b及び筐体上部1cを有し、筐体底部1a、筐体側部1b及び筐体上部1cによって、電極ユニット51~53を内部に収容する筐体内空間S1を形成している。
【0042】
電極ユニット51~53はそれぞれ接地導体6が導体収容空間6S内に配置される態様で筐体1の筐体内空間S1内に収容される。図7に示すように、外部により供給される原料ガスG1は、筐体底部1a内に設けられたガス流路21を介して導体収容空間6S内に配置された接地導体6の下面及び側面に設けられる原料ガス用流通空間に供給される。
【0043】
電極ユニット51(50)は、第1の電極構成部である高圧側電極構成部E1と、第1の電極構成部である高圧側電極構成部E1の下方に設けられる第2の電極構成部である接地側電極構成部E2とを備えている。
【0044】
電極ユニット51は、第2の電極構成部である接地側電極構成部E2の下方に設けられ、導体収容空間6S内に収容される基準電位導体である接地導体6をさらに備えている。接地導体6は金属等の導電体を構成材料としている。
【0045】
高圧側電極構成部E1は第1の電極用誘電体膜である高圧側誘電体膜2と高圧側誘電体膜2の上面上に形成される第1の電極用導電膜である給電体5とを含んでいる。なお、第1の電極用導電膜である給電体5は、第1の電極用誘電体膜である高圧側誘電体膜2の中央に設けられた給電体配置用凹部28上に設けられる。
【0046】
高圧側誘電体膜2は誘電体を構成材料としており、給電体5は金属等の導電体を構成材料としている。例えば、給電体5は金属製で構成される。
【0047】
接地側電極構成部E2は、第2の電極用誘電体膜である接地側誘電体膜3と接地側誘電体膜3の下面上に形成される第2の電極用導電膜である導電膜7とを含んでいる。なお、導電膜7の膜厚は薄いため、図2等では図示が省略され、図20及び図21で導電膜7の形成領域が示されている。
【0048】
接地側誘電体膜3は誘電体を構成材料としており、導電膜7は金属等の導電体を構成材料としている。
【0049】
基準電位導体である接地導体6は、上部に非貫通の活性ガス用バッファ空間9Sを有し、接地側電極構成部E2は活性ガス用バッファ空間9Sを塞いで配置される。したがって、活性ガス用バッファ空間9S外において、導電膜7の下面と接地導体6の上面とが接触関係を有する。
【0050】
第2の電極用誘電体膜である接地側誘電体膜3は平面視して活性ガス用バッファ空間9Sと重複する領域に、接地側誘電体膜3を貫通する誘電体貫通口3hを有し、第2の電極用導電膜である導電膜7は平面視して活性ガス用バッファ空間9Sと重複する領域に導電膜開口部7hを有し、導電膜開口部7hは平面視して誘電体貫通口3hと重複している。
【0051】
筐体1の筐体底部1aは外部から原料ガスG1を受けるガス流路21を有し、接地導体6と筐体1の導体収容空間6Sとの間に原料ガス用流通空間が設けられる。原料ガス用流通空間は後述するように、原料ガスバッファ空間61、スリット空間62及び側面空間63を含んでいる。
【0052】
原料ガスG1はガス流路21及び上記原料ガス用流通空間を介して、放電空間4の主要放電空間に導かれる。なお、主要放電空間は、後述するように、高圧側誘電体膜2と接地側誘電体膜3との間の誘電体空間18内における放電空間4を意味する。
【0053】
交流電源15から印加される交流電圧は、電気配線や導入端子等の電気的接続手段を介して、第1の電極用導電膜である給電体5に印加される。なお、電気的接続手段を示す図示は図2等では省略している。
【0054】
一方、筐体1は基準電位である接地電位に設定される。したがって、筐体1及び接地導体6を介して第2の電極用導電膜である導電膜7が接地電位に設定される。
【0055】
電極ユニット51(50)は、さらに誘電体膜支持部材10、誘電体膜抑圧部材11及び押圧部材12等の補助部材を備えている。
【0056】
(高圧側誘電体膜2の固定)
誘電体膜支持部材10の段差部102は、筐体1の平坦面1F上に設けられ、高圧側誘電体膜2を下方から支持する支持面10Fとなる上面を有している。この際、誘電体膜支持部材10の側面と筐体1の筐体底部1aの導体収容空間6Sの側面とが一致するように、誘電体膜支持部材10は平坦面1F上に配置される。
【0057】
誘電体膜抑圧部材11は、高圧側誘電体膜2を上方から抑圧するための部材であり、平面視して給電体5と重複しない。すなわち、高圧側誘電体膜2の上面に、誘電体膜抑圧部材11及び給電体5が形成されていない露出領域EX2が存在する。
【0058】
図6図27及び図28に示すように、誘電体膜抑圧部材11の下面は、高圧側誘電体膜2の上面と接触する誘電体接触領域112と高圧側誘電体膜2の上面と接触しない誘電体非接触領域111と有している。誘電体接触領域112は高圧側誘電体膜2と接して荷重を加える領域となり、誘電体非接触領域111は高圧側誘電体膜2とは接触関係を有することなく、高圧側誘電体膜2の上面上で給電体5側にせり出す領域となる。
【0059】
誘電体接触領域112は平面視して高圧側誘電体膜2の周辺領域及び誘電体膜支持部材10の支持面10Fと重複し、誘電体非接触領域111は平面視して高圧側誘電体膜2膜の周辺領域より内側の中間領域と重複している。すなわち、中間領域は高圧側誘電体膜2の周辺領域から給電体5側に隣接する領域となる。
【0060】
誘電体膜抑圧部材11は金属等で構成され、導電性を有し、筐体1、取付用ボルト31、及び押圧部材12を介して基準電位である接地電位に設定される。取付用ボルト31及び押圧部材12も導電性を有している。
【0061】
したがって、高圧側誘電体膜2は、誘電体接触領域112において上方から誘電体膜抑圧部材11によって抑圧される。以下、誘電体膜支持部材10、誘電体膜抑圧部材11及び押圧部材12の組合せ構造について詳述する。
【0062】
図2に示すように、誘電体膜支持部材10の上面上に押圧部材12が配置され、取付用ボルト31によって押圧部材12及び誘電体膜支持部材10が筐体1の筐体底部1a上に固定される。
【0063】
図24及び図25に示すように、誘電体膜支持部材10は平面視して中央に中央開口部100を有する円状を呈している。中央開口部100の周辺に段差部102と周辺部上面101とからなる段差構造が円環状に設けられる。段差部102の上面が支持面10Fとなる。段差部102(支持面10F)の外周側の周辺部上面101に複数の貫通口10hが離散して円状に設けられる。
【0064】
一方、図9及び図10に示すように、高圧側誘電体膜2は平面視して中央に給電体配置用凹部28を有する円状を呈している。給電体配置用凹部28の周辺に円環状に周辺表面領域27が設けられる。また、高圧側誘電体膜2は平面視して円状の凹部底面26を有し、凹部底面26の周辺の底面が平面視して円環状の凸部底面23となる。
【0065】
図13及び図14に示すように、給電体5は円柱形状を有している。給電体5の底面が高圧側誘電体膜2の給電体配置用凹部28上に位置する態様で、給電体5は高圧側誘電体膜2の上面上に配置される。
【0066】
第1の電極用導電膜である給電体5には交流電源15より交流電圧が印加される。なお、図5に示すように、給電体配置用凹部28は平面視して給電体5を含み、給電体5より少し広い平面形状を有している。
【0067】
高圧側誘電体膜2は誘電体膜支持部材10の支持面10Fと高圧側誘電体膜2の凸部底面23とが接触する態様で、高圧側誘電体膜2は誘電体膜支持部材10上に配置される。高圧側誘電体膜2と誘電体膜支持部材10とは、図示しないOリング等のシール材を介して接触させている。
【0068】
また、図26及び図27に示すように、誘電体膜抑圧部材11は平面視して中央に中央開口部110を有する円状を呈している。中央開口部110の外周側に設けられる円環状の下面領域が誘電体非接触領域111となり、誘電体非接触領域111の外周側に設けられる円環状の下面領域が誘電体接触領域112となる。
【0069】
図28に示すように、誘電体接触領域112は誘電体非接触領域111より下方(-Z方向)に突出しており、高圧側誘電体膜2の上面U2と接触関係を有する。一方、誘電体非接触領域111は高圧側誘電体膜2の上面U2との間に隙間SP11が存在するため、高圧側誘電体膜2の上面U2と非接触となる。
【0070】
図29及び図30に示すように、押圧部材12は平面視して中央に中央開口部120を有する円状を呈している。中央開口部120の外周側の外周領域125に複数の内側貫通口121hが離散して円状に設けられ、複数の内側貫通口121hの外周側に複数の外側貫通口122hが離散して円状に設けられる。
【0071】
このように、押圧部材12の外周領域125に複数の内側貫通口121hと複数の外側貫通口122hとが設けられる。なお、複数の内側貫通口121hはそれぞれタップを切った貫通口となる。
【0072】
上述した構造の押圧部材12の外周領域125の一部が誘電体膜支持部材10上に載置され、複数の取付用ボルト31によって、誘電体膜支持部材10及び押圧部材12は筐体1の筐体底部1aに固定される。複数の取付用ボルト31のねじ部は複数の外側貫通口122h及び複数の貫通口10hを貫通し、筐体底部1aに取り付けられる。
【0073】
図2図6に示すように、押圧部材12は、平面視して誘電体膜支持部材10及び誘電体膜抑圧部材11と重複する領域に配置されている。
【0074】
一方、押圧部材12の複数の内側貫通口121hを貫通させる態様で複数の抑圧補助部材32を押圧部材12に取り付けている。抑圧補助部材32としてボルトや止めねじ等を考えられる。複数の抑圧補助部材32によって誘電体膜抑圧部材11を押圧するように、複数の抑圧補助部材32が複数の内側貫通口121h内に取り付ける。複数の抑圧補助部材32は平面視して誘電体膜抑圧部材11の誘電体接触領域112と高圧側誘電体膜2の凸部底面23と重複する位置に設けられる。
【0075】
したがって、複数の抑圧補助部材32の押圧力を受ける誘電体膜抑圧部材11によって、上方の誘電体接触領域112から高圧側誘電体膜2が抑圧される。
【0076】
上述したように、実施の形態1の活性ガス生成装置71の電極ユニット50において、第1の電極用誘電体膜である高圧側誘電体膜2は、複数の抑圧補助部材32の押圧力を受ける誘電体膜抑圧部材11によって、上方の誘電体接触領域112から抑圧される。このため、誘電体膜抑圧部材11によって高圧側誘電体膜2に荷重がかかる領域は誘電体接触領域112の下方領域のみに制限することができる。
【0077】
その結果、実施の形態1の活性ガス生成装置71は、高圧側誘電体膜2に不要な曲げ応力を与えることなく、誘電体膜抑圧部材11の誘電体接触領域112と誘電体膜支持部材10の支持面10Fとの間で高圧側誘電体膜2を安定性良く固定することができる。
【0078】
誘電体膜抑圧部材11は、基準電位である接地電位に設定され、導電性を有している。誘電体膜抑圧部材11の誘電体非接触領域111は、平面視して高圧側誘電体膜2の中間領域と重複している。
【0079】
したがって、電極ユニット50は、誘電体非接触領域111を有する誘電体膜抑圧部材11によって給電体5の電界強度を緩和して高圧側誘電体膜2の中間領域の電位を低下させることができるため、高圧側誘電体膜2と接地側誘電体膜3との外径方向の電位を低下させることができる。
【0080】
その結果、実施の形態1の活性ガス生成装置71における電極ユニット50は、高圧側誘電体膜2と誘電体膜支持部材10との空隙20における絶縁破壊を確実に防止することができる。
【0081】
(接地導体6)
図15図17に示すように、筐体1の導体収容空間6S内に収容される接地導体6は、平面視して円状を呈しており、底面の端部領域に原料ガスバッファ空間61及びスリット空間62を有している。
【0082】
原料ガスバッファ空間61は平面して円環状に形成されており、図2に示すように、ガス流路21と繋がっており、外部から供給される原料ガスG1をガス流路21を介して原料ガスバッファ空間61内に取り込むことができる。
【0083】
原料ガスバッファ空間61の周辺に複数のスリット空間62が離散して設けられる。図17に示すように、複数のスリット空間62はそれぞれ原料ガスバッファ空間61と繋がっており、原料ガスバッファ空間61からスリット空間62にかけて原料ガスG1を流通されることができる。
【0084】
図6及び図17に示すように、側面空間63は導体収容空間6Sの内周側面と接地導体6の外周側面との間の隙間空間であり、平面視して円環状に設けられる。
【0085】
誘電体膜支持部材10と接地導体6とは、図3及び図4に示すような位置関係を有するため、側面空間63を通過した原料ガスG1は誘電体膜支持部材10の下方側面領域R10に供給される。
【0086】
このように、原料ガスバッファ空間61は、接地導体6の下面側に設けられ、ガス流路21介して原料ガスG1を受けている。複数のスリット空間62はそれぞれ、接地導体6の下面側に設けられ、原料ガスバッファ空間61に繋がっている。
【0087】
側面空間63は、接地導体6の側面側に設けられ、複数の前記スリット空間に繋がっている。上述したように、原料ガス用流通空間は、原料ガスバッファ空間61、複数のスリット空間62及び側面空間63を含んでいる。
【0088】
したがって、外部からガス流路21に供給される原料ガスG1は、原料ガスバッファ空間61、スリット空間62及び側面空間63を経由して、放電空間4に導かれる。
【0089】
複数のスリット空間62はそれぞれ、原料ガスG1が原料ガスバッファ空間61で一時的に滞留した後、複数のスリット空間62それぞれに流れるように、原料ガスバッファ空間61と比較的して原料ガスが流れにくい狭い空間に設定される。すなわち、複数のスリット空間62は、原料ガスバッファ空間61や側面空間63と比較して原料ガスG1の流れ易さを表す係数であるコンダクタンスを小さくしている。
【0090】
その結果、実施の形態1の活性ガス生成装置71は、放電空間4へ原料ガスG1を空間的に均一に供給することができる。すなわち、平面視して円状の誘電体空間18の周辺部から中心の放電空間4に向かって均一に原料ガスG1が供給される。
【0091】
スリット空間62のコンダクタンスを下げることによって、原料ガスバッファ空間61と側面空間63との差圧が大きくなり、複数のスリット空間62それぞれを流れる原料ガスG1の流量のばらつきが低減化される。したがって、原料ガスG1は放電空間4に向けて均一に供給される。なお、原料ガスG1の流量は、例えば、ガス流路21の上流に設けられたマスフローコントローラー(MFC)等よって調整される。
【0092】
したがって、一般的な活性ガス生成装置は、原料ガスG1が均一に供給されないと、原料ガスG1が放電空間4を通過する時間が変わる結果、活性ガスG2の生成効率が悪化する不具合が生じる。実施の形態1の活性ガス生成装置71は、原料ガスG1を均一に供給することができるため、上記した不具合は生じない。
【0093】
(接地側電極構成部E2と活性ガス用バッファ空間9S)
上述したように、第2の電極構成部である接地側電極構成部E2は接地側誘電体膜3及び導電膜7を含んでいる。
【0094】
図11及び図12に示すように、接地側誘電体膜3は平面視して円状を呈しており、中央に円状の誘電体貫通口3hを有している。
【0095】
図18及び図19に示すように、カバー誘電体膜8は平面視して円状を呈しており、中央に円状のカバー貫通口8hを有している。なお、カバー誘電体膜8は接地側誘電体膜3と同じ構成材料を用いることが望ましい。これは、カバー誘電体膜8と接地側誘電体膜3との間で熱膨張係数が異なる場合に、歪が生じることを防ぐためである。また、熱膨張係数が近い材料を、カバー誘電体膜8及び接地側誘電体膜3それぞれの材料として選択しても良い。
【0096】
図20及び図21に示すように、導電膜7は平面視して円状を呈しており、中央に平面視して円状の導電膜開口部7hを有している。
【0097】
誘電体貫通口3h及び導電膜開口部7hはそれぞれ平面視して活性ガス用バッファ空間68と重複しており、図21に示すように、導電膜開口部7hは平面視して誘電体貫通口3hを含み、誘電体貫通口3hより広い形状を呈している。
【0098】
接地側誘電体膜3及び導電膜7それぞれの中心位置を一致させた態様で接地側誘電体膜3の下面上に導電膜7が設けられる。導電膜7の径は接地側誘電体膜3の径と同程度に設定されるが、中央に誘電体貫通口3hより広い導電膜開口部7hが設けられている分、導電膜7の形成面積は接地側誘電体膜3の形成面積より狭い。
【0099】
導電膜開口部7hの円周状の外周線となる導電膜内側境界7eは、導電膜7における導誘電体貫通口3h側の端部となり、導電膜内側境界7eより内側の領域には導電膜7が形成されていない。導電膜内側境界7eが導電膜7の電極境界線となる。したがって、図21に示すように、接地側誘電体膜3の下面上における導電膜7の形成領域A7は、接地側誘電体膜3の外周位置から導電膜内側境界7eに至る領域となる。
【0100】
図20及び図21に示すように、カバー誘電体膜8は接地側誘電体膜3の下面上から導電膜内側境界7eを含んで導電膜7の下面上にかけて円状に設けられる。ただし、カバー誘電体膜8は中心にカバー貫通口8hを有している。すなわち、導電膜7の導電膜開口部7hの外径は、カバー誘電体膜8の外径より短くなる寸法関係となる。
【0101】
カバー貫通口8hは誘電体貫通口3hと同程度の形状を有し、カバー貫通口8hは導電膜開口部7hに含まれ、導電膜開口部7hより狭い形状を有している。したがって、カバー誘電体膜8は導電膜7の導電膜内側境界7e(電極境界線)を覆っている。そして、カバー誘電体膜8が覆われていない導電膜7の下面と接地導体6の上面とが接触関係を有することになる。
【0102】
図15及び図16に示すように、接地導体6の上部に設けられる活性ガス用バッファ空間68は平面視して円状を呈しており、活性ガス用バッファ空間68の底面65の周辺に複数のガス噴出口69が設けられる。
【0103】
図15及び図16にカバー誘電体膜8の形成領域も併せて示している。これらの図にしめすように、カバー誘電体膜8の外周線は活性ガス用バッファ空間68の外周線とほぼ同じになる。
【0104】
図2及び図16に示すように、活性ガス用バッファ空間68の底面65上にシールド誘電体膜9が設けられる。
【0105】
図22及び図23に示すようにシールド誘電体膜9は所定の膜厚で平面視して円状に形成されている。
【0106】
シールド誘電体膜9は、活性ガス用バッファ空間68及びシールド誘電体膜9それぞれの中心位置を一致させた態様で活性ガス用バッファ空間68の底面65上に設けられる。
【0107】
図15及び図16に示すように、複数のガス噴出口69は平面視してカバー誘電体膜8と重複し、かつ、平面視して誘電体貫通口3h及びカバー貫通口8hとは重複しない。
【0108】
図16に示すように、活性ガス用バッファ空間68の底面65の周辺に接地導体6を貫通して複数のガス噴出口69が設けられる。すなわち、平面視してシールド誘電体膜9の周辺領域に複数のガス噴出口69が設けられる。
【0109】
このような構造の実施の形態1の活性ガス生成装置71において、原料ガスG1は金属筐体2の外部から、前述したように、ガス流路21及び原料ガス用流通空間を経由して放電空間4に供給される。
【0110】
誘電体バリア放電が発生している放電空間4に原料ガスG1が供給されると、原料ガスG1は活性化され活性ガスG2となり、誘電体貫通口3h及びカバー貫通口8hを通過して活性ガス用バッファ空間68に導入される。活性ガス用バッファ空間68内に入った活性ガスG2は、活性ガス用バッファ空間68の底面に設けられた複数のガス噴出口69を通過して後段の処理空間に供給される。
【0111】
このような構成の実施の形態1の活性ガス生成装置71において、第1の電極用誘電体膜である高圧側誘電体膜2と、第2の電極用誘電体膜である接地側誘電体膜3とが対向する主要誘電体空間が誘電体空間18となる。誘電体空間18は平面視して円状を呈している。また、高圧側誘電体膜2とシールド誘電体膜9とが対向する空間が補助誘電体空間として規定される。放電空間4は、誘電体空間18内において給電体5と導電膜7とが平面視して重複する主要放電空間を含んでいる。
【0112】
上記主要放電空間を形成するために、高圧側誘電体膜2と接地側誘電体膜3が高さ方向(Z方向)に一定の距離となるように対応して設置されており、高圧側誘電体膜2と接地側誘電体膜3との間の誘電体空間18内に放電空間4の上記主要放電空間が存在している。
【0113】
放電空間4は、さらに、上記補助誘電体空間内において誘電体貫通口3h、カバー貫通口8h、及びシールド誘電体膜9上の活性ガス用バッファ空間68の一部からなる補助放電空間44を含んでいる。
【0114】
接地導体6において底面65下の底面領域を接地電位に設定された接地電極用導電膜として用い、交流電源15より交流電圧を受ける給電体5と上記接地電極用導電膜との間に放電電圧を印加することにより、補助放電空間44を生成することができる。
【0115】
前述したように、補助放電空間44は誘電体貫通口3h、カバー貫通口8h及び活性ガス用バッファ空間68の一部を含んでいる。このように、実施の形態1で形成される放電空間4は、誘電体空間18内の主要放電空間及び補助放電空間44を含んでいる。
【0116】
実施の形態1の活性ガス生成装置51において、補助放電空間44から複数のガス噴出口69それぞれに至る経路が活性ガス流通経路として規定される。
【0117】
実施の形態1の活性ガス生成装置71において、放電空間4の一部である補助放電空間44は誘電体貫通口3hとカバー貫通口8hと活性ガス用バッファ空間68の一部とを含んでいるため、補助放電空間44から複数のガス噴出口69に至る活性ガス流通経路を必要最小限の体積に抑えて活性ガスG2の失活量を抑制することができる。
【0118】
さらに、電極ユニット50の接地側電極構成部E2におけるカバー誘電体膜8は、活性ガス用バッファ空間68内において導電膜7の電極境界線である導電膜内側境界7eを覆い、かつ、平面視して複数のガス噴出口69と重複しているため、活性ガスG2が導電膜7に衝突することに伴い活性ガスG2が消失する表面失活現象を抑制することができる。
【0119】
その結果、実施の形態1の活性ガス生成装置71は、高濃度な活性ガスG2を複数のガス噴出口69から後段の処理空間に供給することができる。
【0120】
実施の形態1の電極ユニット50は、上記述した構造を有することにより、放電空間4に面する部分は絶縁体である誘電体を構成材料とした部品(高圧側誘電体膜2,接地側誘電体膜3,カバー誘電体膜8及びシールド誘電体膜9)のみとなる。金属材料が放電に面すると容易にイオン化し、ガス中に金属イオンが含まれることとなり、コンタミネーションの原因となる。一方、誘電体は放電に面しても容易にイオン化はしないため、ガス中へのコンタミネーションを防止することができる。
【0121】
(筐体開口部41)
図2に示すように、筐体1の筐体底部1aは筐体開口部41を有している。筐体開口部41は活性ガス用バッファ空間68と平面視して重複する領域に設けられ、筐体底部1aを貫通している。
【0122】
したがって、複数のガス噴出口69噴出される活性ガスG2は、筐体開口部41を介して下方の処理空間に導かれる。
【0123】
図2に示すように、筐体底部1aに設けられた筐体開口部41は、下方に向かうに従い開口面積が広くなり、図2及び図7に示すように、最下外周縁41Lを有するテーパー形状を有している。
【0124】
実施の形態1の活性ガス生成装置71において、筐体1の筐体底部1aに設けられる筐体開口部41は下方に向かうに従い開口面積が広くなるテーパー形状を有している。
【0125】
このため、実施の形態1の活性ガス生成装置71は、複数のガス噴出口69から噴出される活性ガスG2が筐体底部1aに衝突することによる損失を最小限に抑え、高濃度な活性ガスG2を下方の処理空間に供給することができる。
【0126】
<実施の形態2>
図31は本開示の実施の形態2である活性ガス生成装置72の平面構造を模式的に示す平面図である。図32図31のD-D断面の断面構造を示す断面図である。
【0127】
以下、図1図30で示した実施の形態1の活性ガス生成装置71と同一の構成部分は同一符号を付して、実施の形態2の活性ガス生成装置72の特徴部分を中心に説明する。
【0128】
実施の形態2の活性ガス生成装置72において、筐体1Xの筐体内空間S1に複数の電極ユニットである3つの電極ユニット51~53が収容されている。電極ユニット51~53それぞれにガス流路21を介して原料ガスG1が供給される。
【0129】
さらに、活性ガス生成装置72の筐体1Xの筐体底部1aにおいて、ガス流路21に加え、冷媒を流す冷却路22をさらに設けている。図31及び図32に示すように、冷却路22は電極ユニット51~53それぞれの接地導体6の下方に設けられる。すなわち、冷却路22と電極ユニット51~53それぞれの接地導体6とは平面視して重複している。
【0130】
上記構成の実施の形態2の活性ガス生成装置72は、実施の形態1の効果に加え、以下の効果を奏する。
【0131】
実施の形態2の活性ガス生成装置72において、筐体1Xの筐体底部1aは冷媒を流す冷却路22を有しているため、電極ユニット51~53それぞれの接地導体6及び接地導体6の上方に配置される接地側誘電体膜3を冷却することができる。
【0132】
したがって、放電空間4における誘電体バリア放電によって発生した熱を、冷却された接地側誘電体膜3によって除去することができる。その結果、実施の形態2の活性ガス生成装置72は、電極ユニット51~53それぞれにおいて高電力での放電が可能となり、活性ガスG2の高濃度化を図ることができる。
【0133】
<実施の形態3>
図33及び図34は本開示の実施の形態3である活性ガス生成装置73の電極ユニット51~53それぞれで用いられる給電体5Bの構造を示す説明図である。図33は給電体5Bの平面構造を示しており、図34図33のE-E断面における断面構造を示している。
【0134】
実施の形態3の活性ガス生成装置73は、実施の形態1と比較して、給電体5を給電体5Bに置き換えたことを特徴としている。したがって、活性ガス生成装置73の全体構造及び電極ユニット50(5G10)の全体構造は、図1図30で示した実施の形態1または図31及び図32で示した実施の形態2の構造と同様である。
【0135】
この際、電極ユニット50における給電体5Bの下面と高圧側誘電体膜2の上面とは導電性を有する液体を介して接触関係を有している。このような液体として例えば「ガリンスタン」(登録商標)が考えられる。
【0136】
以下、実施の形態1の活性ガス生成装置71と同一の構成部分は同一符号を付して、実施の形態3の活性ガス生成装置73の特徴部分を中心に説明する。
【0137】
第1の電極用導電膜である給電体5Bは、給電体5Bの内部に冷媒を流す冷媒流路58を有している。図33及び図34に示すように、給電体5Bの全体に冷媒を流すべく、冷媒流路58は平面視して蛇行させながら給電体5Bの大部分の領域に設けられる。
【0138】
給電体5Bは、外部より冷媒を受け、冷媒流路58に冷媒を供給するための冷媒入口56と、冷媒流路58を流れた冷媒を外部に冷媒を排出するための冷媒出口57とを表面に有している。
【0139】
図35は実施の形態3の基本構成における冷媒構造を模式的に示す説明図である。図35に示すように、冷媒は冷媒の流れD1に沿って外部から供給され、冷媒の流れD2に沿って外部に排出される。同図に示すように、冷媒機能は、電流導入部材14A及び14Bと給電体5Bとによって実現される。
【0140】
なお、実施の形態3の基本構成では、複数の電極ユニットである電極ユニット51~53それぞれにおいて、図35で示す冷却構造を設けている。
【0141】
同図に示すように、電流導入部材14A及び14Bはそれぞれ筐体1(1X)の筐体上部1cを貫通して設けられる。第1及び第2の電流導入部材となる電流導入部材14A及び14Bは同一構造である。以下、電流導入部材14A及び14Bのうち電流導入部材14Aを代表して説明する。
【0142】
電流導入部材14Aは導通管141、フランジ142及び碍子143を主要構成要素として含んでいる。導通管141及びフランジ142はそれぞれ導電性を有し、碍子143は絶縁性を有している。
【0143】
導通管141は交流電源15と給電体5Bとの電気的接続手段として用いられ、かつ、冷媒を輸送可能な貫通口を有している。
【0144】
電流導入部材14Aにおいて、導通管141と碍子143とが接合され、フランジ142と碍子143とが接合され、導通管141、フランジ142及び碍子143は一体化構造を呈している。ただし、導通管141とフランジ142との間に碍子143が設けられることにより、導通管141とフランジ142とが電気的に接続されることを防止している。
【0145】
電流導入部材14A及び14Bはそれぞれフランジ142によって筐体1Xの筐体上部1cに固定される。
【0146】
第1の電流導入部材である電流導入部材14Aは、給電体5Bと電気的接続関係を有し、かつ、導通管141を介して冷媒入口56から冷媒流路58に冷媒が供給できるように給電体5Bに接続される。すなわち、電流導入部材14Aにおいて、導通管141によって給電体5Bとの電気的に接続が図られ、導通管141内を流れる冷媒を冷媒入口56から冷媒流路58に供給している。
【0147】
第2の電流導入部材である電流導入部材14Bは、給電体5Bと電気的接続関係を有し、かつ、冷媒出口57から導通管141を介して外部へ冷媒の排出ができるように給電体5Bに接続される。すなわち、電流導入部材14Bにおいて、導通管141によって給電体5Bとの電気的に接続が図られ、導通管141内を流れる冷媒を外部に供給している。
【0148】
なお、電流導入部材14A及び14Bそれぞれにおいて、導通管141と給電体5Bとの接続手段として、溶接による接合や継手を介した接続等が採用される。
【0149】
上記構成の実施の形態3の基本構成である活性ガス生成装置73は、実施の形態1の効果に加え、以下の効果を奏する。
【0150】
実施の形態3の活性ガス生成装置73において、給電体5Bは内部に冷媒流路58を有しているため、冷媒入口56から供給される冷媒を冷媒流路58に流し、冷媒流路58を流れた冷媒を冷媒出口57から外部に排出して冷媒を循環させることにより、給電体5B及び給電体5Bの下方に設けられる高圧側誘電体膜2を冷却することができる。
【0151】
さらに、電流導入部材14A及び14Bは、給電体5Bに交流電源15からの交流電圧を付与する電流導入機能に加え、給電体5Bの冷媒流路58に冷媒を循環される冷却構造を備えるため、部品点数を必要最小限に抑えて、電流導入部材14A及び14Bそれぞれを冷却することができる。
【0152】
一般に、電流導入部材14A及び14Bの許容電流は、電流導入部材14A及び14Bの許容温度によって定まるため、電流導入部材14A及び14B自体も冷却可能な構成とすることによって、細い導体からなる導通管141を使用した電流導入部材14A及び14Bであっても、許容電流を大幅に増大させることができる。
【0153】
さらに、高圧側誘電体膜2と給電体5Bとの間に導電性を有する液体を設けることにより、給電体5Bと高圧側誘電体膜2との間の熱伝導率を向上させ、かつ、加工上の公差や面粗さにより給電体5Bと高圧側誘電体膜2との間に微小な隙間が生じるといった問題を解消することができる。
【0154】
以上の効果によって、実施の形態3の活性ガス生成装置71における電極ユニット51~53はそれぞれ高電力での放電が可能となり、活性ガスG2の高濃度化が実現できる。
【0155】
(変形例)
図36は実施の形態3の変形例である活性ガス生成装置73Xにおける冷却構造を模式的に示す説明図である。
【0156】
図36では第1及び第2の電極ユニットとして電極ユニット51及び52を示している。以下、実施の形態1の活性ガス生成装置71や実施の形態3の基本構成である活性ガス生成装置73と同一の構成部分は同一符号を付して、実施の形態3の変形例である活性ガス生成装置73Xの特徴部分を中心に説明する。
【0157】
以下では、説明の都合上、第1の電極ユニットである電極ユニット51における給電体5Bの冷媒流路58、冷媒入口56及び冷媒出口57を、第1の冷媒流路、第1の冷媒入口及び第1の冷媒出口と規定する。
【0158】
同様に、第2の電極ユニットである電極ユニット52における冷媒流路58、冷媒入口56及び冷媒出口57を、第2の冷媒流路、第2の冷媒入口及び第2の冷媒出口と規定する。
【0159】
図36に示すように、変形例の活性ガス生成装置73Xは、バッファ導体13、及び中継導通管131~134を新たな構成要素として追加している。バッファ導体13が冷媒中継部材となり、中継導通管131~134が第1~第4の中継導通管となる。
【0160】
冷媒中継部材であるバッファ導体13は、導電性を有し、内部に設けられる中継用冷媒流路135と、各々が上面から下面を貫通して設けられる第1及び第2の貫通流路である貫通流路136及び137とを有している。
【0161】
第1~第4の中継導通管である中継導通管131~134はそれぞれ導電性を有し、かつ、冷媒輸送機能を有している。
【0162】
中継導通管131~134はそれぞれ一部が蛇腹状となっていることが望ましい。中継導通管131~134の一部を蛇腹状とする理由は、部品の公差によるバッファ導体13と給電体5Bの上面との距離のズレを吸収させるため、すなわち、活性ガス生成装置73Xを製作する際の公差吸収を行うためである。
【0163】
上記した公差は、中継導通管131~134の長さの公差だけでなく、給電体5Bの高さの公差や、給電体5の下部にある高圧側誘電体膜2等の厚さ公差が積算されて求められる。
【0164】
第1~第4の中継導通管である中継導通管131~134は以下の第1~第4の冷媒流通条件を満足するように、冷媒中継部材であるバッファ導体13と電極ユニット51及び52それぞれの給電体5Bとの間に配置される。
【0165】
第1の冷媒流通条件…貫通流路136及び中継導通管131を介して、電流導入部材14Aの導通管141と第1の冷媒入口との間に冷媒が流れる条件、
第2の冷媒流通条件…中継導通管132を介して、第1の冷媒出口と中継用冷媒流路135との間に冷媒が流れる条件、
第3の冷媒流通条件…中継導通管133を介して、中継用冷媒流路135と第2の冷媒入口との間に冷媒が流れる条件、
第4の冷媒流通条件…中継導通管134及び貫通流路137を介して、第2の冷媒出口と電流導入部材14Bの導通管141との間に冷媒が流れる条件、
このように、変形例である活性ガス生成装置73Xでは、電極ユニット51及び52間で電流導入部材14A及び14Bを共用している。
【0166】
上記構成の実施の形態3の変形例である活性ガス生成装置73Xは、実施の形態1及び実施の形態3の基本構成の効果に加え、以下の効果を奏する。
【0167】
実施の形態3の変形例である活性ガス生成装置73Xは、上述した第1~第4の冷媒流通条件を満足するように、バッファ導体13と電極ユニット51及び52それぞれの給電体5Bとの間に中継導通管131~134を配置している。その結果、変形例の活性ガス生成装置73Xは、一つの冷媒ループに冷媒を循環させて、電極ユニット51の給電体5Bと電極ユニット52の給電体5Bとを併せて冷却することができる。
【0168】
なお、一つの冷媒ループは、電流導入部材14A、貫通流路136、中継導通管131、第1の冷媒入口、第1の冷媒流路、第1の冷媒出口、中継導通管132、中継用冷媒流路135、中継導通管133、第2の冷媒入口、第2の冷媒流路、第2の冷媒出口、中継導通管134、貫通流路137、及び電流導入部材14Bを含んでいる。
【0169】
その結果、実施の形態3の変形例の活性ガス生成装置73Xにおいて、比較的高価な電流導入部材14A及び14Bの数を増加させることなく、バッファ導体13と中継導通管131~134とを追加するという必要最小限の装置構成で、電極ユニット51及び52それぞれの給電体5B及び高圧側誘電体膜2を冷却することができる。
【0170】
なお、図36で示した変形例は、電極ユニット51及び52の組合せに関する冷却構造を示したが、変形例の冷却構造を拡張して、電極ユニット51~53の組合せに関する冷却構造を、電流導入部材14A及び14Bのみで実現することができる。
【0171】
<実施の形態4>
図37は実施の形態4の活性ガス生成装置74で用いられる電極ユニット50Xの断面構造を示す説明図である。なお、電極ユニット50Xは実施の形態1で示した電極ユニット51~53のいずれかに対応する。また、活性ガス生成装置74の全体構成は図1で示した活性ガス生成装置71と同様な構成である。
【0172】
図38及び図39はそれぞれ高圧側誘電体膜2Bの構造を模式的に示す説明図である。図38は高圧側誘電体膜2Bの平面構造を示しており、図39は高圧側誘電体膜2Bの断面構造を示している。
【0173】
電極ユニット50Xは、実施の形態1の電極ユニット50の高圧側誘電体膜2を高圧側誘電体膜2Bに置き換えたことを特徴としている。
【0174】
以下、実施の形態1の電極ユニット50と同一の構成部分は同一符号を付して、実施の形態4の電極ユニット50Xの特徴部分を中心に説明する。
【0175】
図38に示すように、高圧側誘電体膜2Bは給電体配置用凹部28の周辺の周辺表面領域27上に平面視して三重の円構造の碍子構造部分24を有している。碍子構造部分24は高圧側誘電体膜2Bの上面上に設けられる凹凸構造となる。図38では高圧側誘電体膜2Bと同じ構成材料の誘電体で形成される碍子構造部分24を示している。
【0176】
図37に示すように、電極ユニット50Xにおける高圧側誘電体膜2Bは、平面視して給電体5及び誘電体膜抑圧部材11と重複しない上面に凹凸構造の碍子構造部分24を有している。すなわち、実施の形態4では、図2等で示す実施の形態1の高圧側誘電体膜2の露出領域EX2に対応する上面上に碍子構造部分24を設けている。図37では誘電体で形成される碍子構造部分24を示している。
【0177】
したがって、図37に示すように、実施の形態4の電極ユニット50Xは、高圧側誘電体膜2Bの上面上において、誘電体膜抑圧部材11と給電体5との間に碍子構造部分24を有している。
【0178】
碍子構造部分24の形成方法として以下の第1及び第2の方法が考えられる。第1の方法は、高圧側誘電体膜2Bの基本構造体における平坦の上面に対し切削加工を施し、上面に選択的に碍子構造部分24を有する高圧側誘電体膜2Bを製造する方法である。第1の方法の場合、碍子構造部分24は高圧側誘電体膜2Bと同一構成材料となる。
【0179】
第2の方法は、碍子構造部分24を別途製作した後、高圧側誘電体膜2Bの基本構造体における平坦な上面に対し選択的に碍子構造部分24を接着剤によって接着することにより、高圧側誘電体膜2Bを製造する方法である。第2の方法の場合、碍子構造部分24は高圧側誘電体膜2Bと同一構成材料であっても異なる構成材料であっても良い。
【0180】
実施の形態4の活性ガス生成装置74において、電極ユニット50Xの高圧側誘電体膜2Bは上面上において、誘電体膜抑圧部材11と給電体5との間に凹凸構造の碍子構造部分24を有するため、給電体5と誘電体膜抑圧部材11との間の沿面放電を防止することができる。
【0181】
なお、図37図39で示した実施の形態4では、碍子構造部分24の構成材料を高圧側誘電体膜2Bと同じ誘電体で形成したが、誘電体以外の高圧側誘電体膜2Bと異なる構成材料で碍子構造部分24を設けるようにしても良い。
【0182】
本開示は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、本開示がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、本開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【0183】
すなわち、本開示は、その開示の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0184】
1,1X 筐体
2,2B 高圧側誘電体膜
3 接地側誘電体膜
4 放電空間
5,5B 給電体
6 接地導体
7 導電膜
8 カバー誘電体膜
9 シールド誘電体膜
9S 活性ガス用バッファ空間
10 誘電体膜支持部材
11 誘電体膜抑圧部材
12 押圧部材
13 バッファ導体
14A,14B 電流導入部材
21 ガス流路
22 冷却路
24 碍子構造部分
41 筐体開口部
50,50X,51~53 電極ユニット
56 冷媒入口
57 冷媒出口
58 冷媒流路
61 原料ガスバッファ空間
62 スリット空間
63 側面空間
69 ガス噴出口
71~74,73X 活性ガス生成装置
131~134 中継導通管
E1 高圧側電極構成部
E2 接地側電極構成部
【要約】
本開示は、誘電体膜の絶縁破壊を防止する構造の活性ガス生成装置を提供することを目的とする。本開示の活性ガス生成装置(71)の電極ユニット(51)において、誘電体膜支持部材(10)は、高圧側誘電体膜(2)を下方から支持する支持面(10F)を有している。接地側誘電体膜(3)の上方に設けられる誘電体膜抑圧部材(11)の下面は、平面視して高圧側誘電体膜(2)の周辺領域及び誘電体膜支持部材(10)の支持面(10F)と重複する誘電体接触領域(112)と、平面視して高圧側誘電体膜(2)の中間領域と重複する誘電体非接触領域(111)とを有している。複数の抑圧補助部材(32)の押圧力を受ける誘電体膜抑圧部材(11)によって、上方の誘電体接触領域(112)から高圧側誘電体膜(2)が抑圧される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39