(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】シャリ玉製造装置
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20240502BHJP
【FI】
A23L7/10 G
(21)【出願番号】P 2020112640
(22)【出願日】2020-06-30
【審査請求日】2023-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】591094262
【氏名又は名称】鈴茂器工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101971
【氏名又は名称】大畑 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 美奈子
(72)【発明者】
【氏名】宇佐 公隆
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-139661(JP,A)
【文献】特開2018-117527(JP,A)
【文献】特開2018-121579(JP,A)
【文献】特開2018-183063(JP,A)
【文献】特開2006-327812(JP,A)
【文献】特開2018-193160(JP,A)
【文献】特開平11-076032(JP,A)
【文献】特開平09-238627(JP,A)
【文献】特開2018-117529(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0097938(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャリ玉の製造個数が入力可能な入力手段と、
前記入力手段で入力された個数のシャリ玉を成形する成形手段と、
前記成形手段で成形されたシャリ玉を搬送して所定位置で停止する搬送手段と、
前記入力手段により入力された製造個数のシャリ玉を前記成形手段で成形して前記搬送手段により搬送して前記所定位置で停止させる制御手段とを有し、
前記制御手段は、所定の入力操作に対応して成形された前記搬送手段上のシャリ玉のグループと、当該入力操作の次の入力操作に対応して成形された前記搬送手段上のシャリ玉のグループとの間に、各グループ内のシャリ玉の間隔よりも広い間隔を開ける制御を行う、
ことを特徴とするシャリ玉製造装置。
【請求項2】
前記入力手段は、にぎり寿司の単価情報がさらに入力可能とされ、
前記制御手段は、前記搬送手段における先頭のシャリ玉の停止位置を前記単価情報に応じて変更する、
ことを特徴とする請求項1記載のシャリ玉製造装置。
【請求項3】
前記入力手段は、通信手段を介して前記制御手段と接続された外部入力装置である、
ことを特徴とする請求項1または2記載のシャリ玉製造装置。
【請求項4】
前記搬送手段は、周方向に所定の間隔を空けて複数の成形孔が形成され、水平方向に間欠的に回転するターンテーブルであり、
前記成形手段は、前記成形孔内に収容されて前記ターンテーブルの回転により前記成形孔内で昇降しながら移動する成形下型、および成形孔に投入された寿司飯を上方向から圧縮して所定の形状に成形する成形上型を備える、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載のシャリ玉製造装置。
【請求項5】
前記搬送手段は、シャリ玉を搬送するコンベアであり、
前記成形手段で成形されたシャリ玉を前記コンベアに移載する移載手段をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載のシャリ玉製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャリ玉を自動的に製造するシャリ玉製造装置に関し、特ににぎり寿司の個数指定製造における盛付作業時のシャリ玉個数確認の簡略化に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
にぎり寿司を比較的安価に提供するために、シャリ玉を機械により自動的に製造するシャリ玉製造装置が開発され、現在、回転寿司店やスーパーマーケットなどの店舗において使用されている。
【0003】
ここで、シャリ玉製造装置には、投入された寿司飯を解した後に設定重量ごとに分割し、分割された寿司飯を成形孔に投入して圧縮成形してシャリ玉を製造する構造を備えたものがある。そして、店舗のバックヤードでは、シャリ玉の乾燥を防ぐため、注文されたにぎり寿司の個数に応じたシャリ玉の個数を作業者がシャリ玉製造装置の入力部(入力手段)で入力するようにして、必要な分だけのシャリ玉を製造している。
【0004】
そして、シャリ玉製造装置で製造されたシャリ玉を皿やパックに盛り付ける際には、注文数を再度確認し、注文内容に応じた個数分だけシャリ玉の個数を取り分けている。
【0005】
さらに、複数の価格帯の寿司が製造される店舗においては、シャリ玉の個数だけではなく商品であるにぎり寿司の価格も確認して、価格に合わせた皿への取り分けを行っている。
【0006】
なお、シャリ玉製造装置としては、例えば特許文献1(特開2014-064547号公報)や特許文献2(特開2018-117527号公報)に記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-064547号公報
【文献】特開2018-117527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、店舗において、ピーク時など連続的に注文が入る状況においては、作業者が必要なシャリ玉の個数を連続的に入力することになり、個数を連続的に装置に入力した場合には、シャリ玉は連続的に製造されることになる。
【0009】
そのため、皿などにシャリ玉を盛り付ける際には、注文毎のシャリ玉の個数を再度確認する必要がある。具体的には、2個、3個、1個、1個、2個と連続的に入力した場合に、シャリ玉は入力した合計数である9個製造されるため、皿などに盛り付ける際には、あらためて注文情報から個数を確認する必要がある。
【0010】
また、複数の価格帯のにぎり寿司が存在する場合には、シャリ玉を皿などに盛り付ける際に、製品であるにぎり寿司の個数に加えて、価格も確認する必要があるため、さらに煩雑な作業になる。
【0011】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、シャリ玉の盛り付け時において、入力手段で入力したシャリ玉の個数の確認作業を不要にすることが可能なシャリ玉製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明のシャリ玉製造装置は、シャリ玉の製造個数が入力可能な入力手段と、前記入力手段で入力された個数のシャリ玉を成形する成形手段と、前記成形手段で成形されたシャリ玉を搬送して所定位置で停止する搬送手段と、前記入力手段により入力された製造個数のシャリ玉を前記成形手段で成形して前記搬送手段により搬送して前記所定位置で停止させる制御手段とを有し、前記制御手段は、所定の入力操作に対応して成形された前記搬送手段上のシャリ玉のグループと、当該入力操作の次の入力操作に対応して成形された前記搬送手段上のシャリ玉のグループとの間に、各グループ内のシャリ玉の間隔よりも広い間隔を開ける制御を行う、ことを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の本発明のシャリ玉製造装置は、請求項1記載の発明において、前記入力手段は、にぎり寿司の単価情報がさらに入力可能とされ、前記制御手段は、前記搬送手段における先頭のシャリ玉の停止位置を前記単価情報に応じて変更する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の本発明のシャリ玉製造装置は、請求項1または2記載の発明において、前記入力手段は、通信手段を介して前記制御手段と接続された外部入力装置である、ことを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の本発明のシャリ玉製造装置は、請求項1~3の何れか一項に記載の発明において、前記搬送手段は、周方向に所定の間隔を空けて複数の成形孔が形成され、水平方向に間欠的に回転するターンテーブルであり、前記成形手段は、前記成形孔内に収容されて前記ターンテーブルの回転により前記成形孔内で昇降しながら移動する成形下型、および成形孔に投入された寿司飯を上方向から圧縮して所定の形状に成形する成形上型を備える、ことを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の本発明のシャリ玉製造装置は、請求項1~3の何れか一項に記載の発明において、前記搬送手段は、シャリ玉を搬送するコンベアであり、前記成形手段で成形されたシャリ玉を前記コンベアに移載する移載手段をさらに有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、所定の入力操作に対応して成形された搬送手段上のシャリ玉のグループと、当該入力操作の次の入力操作に対応して成形された搬送手段上のシャリ玉のグループとの間に、各グループ内のシャリ玉の間隔よりも広い間隔を開けるようにしている。したがって、作業者は、グループとグループとの間隔を見ることにより、所定の入力操作に対するひとまとまりのシャリ玉のグループであることを認識することができる。
【0018】
これにより、シャリ玉の盛り付け時において、入力手段で入力したシャリ玉の個数の確認作業を不要にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施の形態であるシャリ玉製造装置を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施の形態であるシャリ玉製造装置を
図1とは異なる方向から示す斜視図である。
【
図3】
図1のシャリ玉製造装置の入力部を示す正面図である。
【
図4】
図1のシャリ玉製造装置の米飯解し部および米飯計量分割部を抜き出して示す正面図である。
【
図5】
図1のシャリ玉製造装置のターンテーブルを抜き出して示す斜視図である。
【
図6】
図1のシャリ玉製造装置の成形上型と成形下型とを示す斜視図である。
【
図8】本発明の一実施の形態であるシャリ玉製造装置のターンテーブル上において、最初の入力操作に対するシャリ玉の位置を示す説明図である。
【
図9】本発明の一実施の形態であるシャリ玉製造装置のターンテーブル上において、2回目の入力操作に対するシャリ玉の位置を示す説明図である。
【
図10】本発明の一実施の形態であるシャリ玉製造装置のターンテーブル上において、3回目の入力操作に対するシャリ玉の位置を示す説明図である。
【
図11】本発明の一実施の形態であるシャリ玉製造装置のターンテーブル上において、4回目の入力操作に対するシャリ玉の位置を示す説明図である。
【
図12】本発明の一実施の形態であるシャリ玉製造装置のターンテーブル上において、5回目の入力操作に対するシャリ玉の位置を示す説明図である。
【
図13】本発明の一実施の形態であるシャリ玉製造装置において単価aのにぎり寿司に対応したシャリ玉のターンテーブル上の位置を示す説明図である。
【
図14】本発明の一実施の形態であるシャリ玉製造装置において単価bのにぎり寿司に対応したシャリ玉のターンテーブル上の位置を示す説明図である。
【
図15】本発明の一実施の形態であるシャリ玉製造装置において単価cのにぎり寿司に対応したシャリ玉のターンテーブル上の位置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0021】
図1は本発明の一実施の形態であるシャリ玉製造装置を示す斜視図、
図2は本発明の一実施の形態であるシャリ玉製造装置を
図1とは異なる方向から示す斜視図、
図3は
図1のシャリ玉製造装置の入力部を示す正面図、
図4は
図1のシャリ玉製造装置の米飯解し部および米飯計量分割部を抜き出して示す正面図、
図5は
図1のシャリ玉製造装置のターンテーブルを抜き出して示す斜視図、
図6は
図1のシャリ玉製造装置の成形上型と成形下型とを示す斜視図、
図7は
図6の成形下型を詳しく示す斜視図である。
【0022】
図1~
図4に示すように、本実施の形態のシャリ玉製造装置Mは、投入された寿司飯から適量を抽出して成形してシャリ玉を製造する装置であり、入力部(入力手段)1と、解し部2と、その下方に設置された計量分割部3と、その下方に設置されたターンテーブル(搬送手段)4とを備えている。
【0023】
入力部1は、表示および入力の2つの機能を備えたタッチパネルで構成されており、
図3に示す場合には、シャリ玉の製造個数を入力するための画面になっている。この
図3の画面表示において、入力部1には、メニュー表示を行うためのメニューボタン1a、装置の実行/停止を行うための動作ボタン1b、およびシャリ玉の製造個数を入力するための数量ボタン1cの3種類の仮想ボタンが配列されている。また、装置の動作状況を表示するための表示領域1dが設けられている。ここで、本実施の形態において、数量ボタン1cには、1貫~8貫までの8つのボタンが配列されているが、入力可能数はこれに限定されるものではない。なお、シャリ玉の個数単位は、
図3に示す場合には「貫」であるが、明細書中では「個」となっている。
【0024】
解し部2は、寿司飯を柔らかく解すための機構部であり、
図4に示すように、ホッパ2aと、その下部に設置された供給筒2bと、その供給筒2bの内部に回転自在の状態で設置された2つの解し部材2c,2dと、供給筒2b内の奥側の内壁面に固定された複数の固定羽根2eとを備えている。
【0025】
ホッパ2aは、シャリ玉製造装置Mの最上部に設置されている。このホッパ2aには、上部から下部に向かって面積が小さくなるような略逆四角錐状の開口部2aaが形成されており、その開口部2aaの上部からシャリ玉製造装置M内に寿司飯を入れることが可能になっている。
【0026】
なお、シャリ玉製造装置Mには、寿司飯を入れる際にホッパ2aの開口部2aaを開閉するための上蓋が取り付けられるが、
図1および
図2では、図示が省略されている。
【0027】
供給筒2bは、ホッパ2aと計量分割部3との間に設置されている。この供給筒2bには、上部から下部に向かって面積が小さくなるような漏斗状の開口部2baが形成されている。この供給筒2bの開口部2baの上部は、ホッパ2aの開口部2aaの下部と一致し、互いに連通した状態で接続されている。
【0028】
このような供給筒2bの開口部2ba内は、ホッパ2aから送られた寿司飯を柔らかく解すための空間になっているとともに、その解された寿司飯を計量分割部3に導くための空間になっている。
【0029】
この供給筒2b内の下部において両側面には、寿司飯を検出するセンサ(図示せず)の発光側の窓部と受光側の窓部とが互いに対向するように設けられている。このセンサで寿司飯が検出されない場合(例えば寿司飯がセンサの発光部からの検出光を遮らない場合)は寿司飯の送りを停止し、センサで寿司飯が検出された場合(例えば寿司飯がセンサの発光部からの検出光を遮った場合)は寿司飯の送りを再開するようになっている。
【0030】
解し部材2c,2dは、その回転動作により寿司飯を撹拌して解すとともに、解した寿司飯を計量分割部3に送り出す部材であり、回転軸2ca,2daと、その外周に突設された複数の解し羽根2cb,2dbとを備えている。
【0031】
解し部材2c,2dの各々の回転軸2ca,2daは、供給筒2bの開口部2ba内において手前側と奥側との離れた位置において、供給筒2bの両側面の間に掛け渡された状態で、時計回りに回転自在の状態で支持されている。なお、ここでは、供給筒2b内に2つの解し部材2c,2dを設置した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば1つだけでもよい。
【0032】
固定羽根2eは、供給筒2b内において解し部材2dの回転軸2daよりも下方において、解し部材2dの各解し羽根2dbの間に位置するように離れた状態で、回転軸2daの軸方向に沿って複数配置されている。
【0033】
計量分割部3は、解し部2から搬送された寿司飯を予め決められた大きさ、形状および重さになるように計量分割する機構部であり、
図4に示すように、計量部3aと、その最下部の寿司飯の搬送出口部に設置された分割機構部3bとを備えている。
【0034】
計量部3aは、供給筒2bの下部に設置されている。この計量部3aの上部の寿司飯の搬送入口部は、供給筒2bの開口部2baの下部と一致し、連通した状態で接続されている。
【0035】
この計量部3aには、寿司飯の搬送空間を挟んで互いに対向するように配置された一対のローラ3aa,3ab,3acが寿司飯の搬送方向(下方)に沿って順に設置されている。ここでは、上方から下方に向かって、大径、中径および小径の3段の一対のローラ3aa,3ab,3acが配置されている場合が例示されているが、一対のローラの段数は、これに限定されるものではなく、例えば2段でも4段でもよい。
【0036】
各一対のローラ3aa,3ab,3acは、
図4の矢印で示すように互いの対向方向(内向き)に回転自在の状態で計量部3aの奥側の内壁面に支持されているとともに、寿司飯の搬送方向に沿って各対の対向間隔(寿司飯の搬送空間)が狭くなるように配置されている。これにより、計量部3aに送られた寿司飯は、米粒の密度が一定に保たれたまま一対のローラ3aa,3ab,3acにより徐々に圧縮されながら下方に送られる。
【0037】
最上部の一対のローラ3aa,3aaの外周には、寿司飯を下方に掻き下ろすための複数の突起部Pfが周方向に沿って凹凸を形成するように予め決められた間隔毎に形成されている。また、中段の一対のローラ3abおよび下段の一対のローラ3acの各々の外周にも寿司飯を下方に掻き下ろすための複数の突起部Ps,Ptが周方向に沿って凹凸を形成するように予め決められた間隔毎に形成されている。さらに、中段の一対のローラ3abおよび下段の一対のローラ3acの外周は、上から見て略細長円弧状になるように形成されており、一対のローラ3ab,3acの対同士の外周を合わせると略扁平楕円形状の搬送空間が形成されるようになっている。
【0038】
分割機構部3bは、計量部3aの下部に取り付けられており、第1の分割刃3baおよび第2の分割刃3bbを備えている。これら第1の分割刃3baと第2の分割刃3bbとは、刃先が相互に嵌まり合う櫛歯形状となっており、水平方向に相互に接近離間移動して寿司飯の搬送出口を開閉している。また、これら第1の分割刃3baおよび第2の分割刃3bbは、寿司飯の搬送出口を閉鎖した位置において、刃先と反対側の端部を支点にして交互に下方にスイング動作するようになっており、粘り気が強く付着しやすい寿司飯でも、所定量だけ確実に且つ綺麗に分割できるようになっている。
【0039】
そして、計量部3aから送られた寿司飯は、予め設定された大きさ、形状および重さになるタイミングで分割機構部3bの第1の分割刃3baおよび第2の分割刃3bbの動作により分割されてターンテーブル4の成形孔MH内に投入される。
【0040】
なお、シャリ玉製造装置Mにはフロントカバーが取り付けられて計量分割部3が隠蔽されるようになるが、
図1および
図2では、図示が省略されている。
【0041】
ターンテーブル4は、例えば水平方向に設置された平面円形状のプレートにより形成されており、架台5に内蔵された駆動源(図示せず)によって反時計回りに間欠的に回転可能な状態で架台5上に軸支されている。
【0042】
図5に示すように、ターンテーブル4の外周近傍には、その外周方向に沿って予め決められた間隔毎にターンテーブル4の上下面を貫通する複数の成形孔MHが形成されている。成形孔MHは、計量分割後の寿司飯が投入される孔であり、その平面形状は長円に形成されている。
【0043】
図1、
図2および
図6において、ターンテーブル4の外周には、計量分割後の寿司飯を成形して製品形状(最終形状)のシャリ玉を製造する成形部(成形手段)6が設置されている。成形部6は、成形下型6Lと成形上型6Uとを備えている。
【0044】
成形下型6Lは、ターンテーブル4の各成形孔MH内に収容されている。また、
図7に示すように、成形下型6Lの下面側には、成形下型6Lがターンテーブル4の間欠回転動作に追従して滑らかに移動するように、回転ローラ6Laが回転自在の状態で設置されている。
【0045】
ここで、ターンテーブル4を軸支している架台5には、成形下型6Lを昇降させるための図示しないカム溝が設けられている。カム溝はターンテーブル4の回転中心を中心にして環状になった起伏を形成しており、成形孔MH内に収容された成形下型6Lをターンテーブル4の回転に伴って上下動させる。カム溝は、計量分割部3による寿司飯の投入部位および成形上型6Uによる寿司飯の成形部位で低くなり、その後徐々に高くなって、寿司飯の投入部位に至る前で徐々にあるいは急峻に低くなっている。
【0046】
ターンテーブル4の成形孔MH内に収容された成形下型6Lは、回転ローラ6Laの回転によりカム溝を滑動することにより、ターンテーブル4の回転(間欠回転動作)に追従して成形孔MH内で上下しながら移動する。具体的には、計量分割部3による寿司飯投入時および成形上型6Uによる寿司飯成型時には下降され、その後上昇されるようにして移動する。そして、寿司飯が投入される位置に到達する前に、再び下降され、以下、この動きが繰り返されることになる。
【0047】
一方、成形上型6Uは、
図1および
図2に示すように、ターンテーブル4の外周おいて計量部3aの搬送出口である寿司飯の投入部位よりも下流の上方に、支持部材6Sを介して支柱6Pに接合されて上下動可能な状態で支持されている。成形上型6Uの押圧面(下面)は、
図6に示すように、例えば、長手方向中央が窪むように湾曲している。
【0048】
成形時には、ターンテーブル4において計量分割後の寿司飯が収容された成形孔MHを成形上型6Uの押圧面(下面)の直下に位置させて成形下型6Lの上面と成形上型6Uの押圧面(下面)とを対向させた後、成形上型6Uを下降させることにより、成形孔MH内の寿司飯が成形上型6Uで押圧されて所定の形状に成形される。
【0049】
以上の構成を有するシャリ玉製造装置Mによるシャリ玉の成形動作は、装置内に設けられた図示しない制御部(制御手段)による制御下にて実行される。
【0050】
すなわち、開口部2aaを通じて寿司飯がホッパ2a内に充填されると、寿司飯は供給筒2b内の2段の解し部材2c,2dの回転動作により解されながら供給筒2b内の内壁面に沿って落下し、計量分割部3の計量部3a内に送られる。
【0051】
続いて、計量部3a内に送られた寿司飯は、3段の一対のローラ3aa,3ab,3acの内向きの回転動作により圧縮されながら下方に送られ、予め設定された大きさ、形状および重さとなるタイミングで分割機構部3bの第1の分割刃3baおよび第2の分割刃3bbの動作により分割されてターンテーブル4の成形孔MH内に投入される。
【0052】
続いて、成形孔MHに投入された寿司飯は、ターンテーブル4の反時計回りの間欠回転により成形部6の成形上型6Uの直下に送られる。すると、成形上型6Uが下降することにより、成形孔MH内の寿司飯は成形上型6Uで押圧され、シャリ玉に成形される。
【0053】
そして、このようなシャリ玉の製造に際して、シャリ玉を成形孔MHで成形して間欠回転するターンテーブル4では、それぞれの入力操作(シャリ玉の製造個数を入力部1に入力する操作)に対応して製造された個数のシャリ玉を一つのグループとした場合、各グループ内のシャリ玉は連続して成形されるが、あるグループのシャリ玉とそれに続くグループのシャリ玉との間にシャリ玉の入っていない成形孔MHが介在するようになっている。つまり、ある入力操作に対応して成形されたターンテーブル4上のシャリ玉のグループと、その入力操作の次の入力操作に対応して成形されたターンテーブル4上のシャリ玉のグループとの間に、各グループ内のシャリ玉の間隔よりも広い間隔を開ける(すなわち、シャリ玉の入っていない空の成形孔MHを介在させる)ようになっている。
【0054】
そして、反時計回り間欠的に回転するターンテーブル4は、先頭のシャリ玉がフロントカバーCに干渉する直前の位置(所定位置)で停止する。但し、停止位置は当該位置に限定されるものでなく、予め決められたどこかの位置であればよい。
【0055】
なお、ターンテーブル4でシャリ玉が所定位置まで搬送されたこと、および停止したターンテーブル4からシャリ玉が取り上げられたことを検出するため、計量部3aの下部側方には、センサ7が設置されている(
図1、
図2参照)。このセンサ7は、シャリ玉に光を照射する発光部と、シャリ玉からの散乱反射光(拡散反射光)を受光する受光部が一つのケースに収納された一体形の光学センサである。
【0056】
そして、回転するターンテーブル4上のシャリ玉が所定位置まで到達したことがセンサ7で検出されたならば、ターンテーブル4の回転が停止する。また、停止したターンテーブル4からシャリ玉が取り上げられたことがセンサ7で検出されたならば、ターンテーブル4の回転が再開する。
【0057】
但し、センサ7の検出方式は拡散反射型に限定されるものではなく、拡散反射型以外の反射型センサ(回帰反射型センサなど)や、発光部と受光部とが互いに対向するように設けられた透過型センサなどでもよい。さらに、センサ7は、超音波を用いた検出方式の超音波センサや、イメージセンサで撮影されたシャリ玉の画像をデジタル信号に変換、演算することによりシャリ玉の有無を検出する画像センサなどでもよい。
【0058】
このようなシャリ玉製造装置Mの動作について、
図8~
図12を用いて説明する。ここで、
図8~
図12は本発明の一実施の形態であるシャリ玉製造装置のターンテーブル上におけるシャリ玉の位置を入力された順で示す説明図である。なお、ここでは、入力部1に対する1回ごとの入力操作により、2個、3個、1個、1個、2個の順に連続的に製造個数が入力された場合の動作を一例に挙げて説明する。
【0059】
前述の順に製造個数が入力された場合、
図8に示すように、最初に入力された2個のシャリ玉RB1と、空の成形孔MHを介在して、2回目に入力された3個のシャリ玉RB2の一部がターンテーブル4で搬送され、前述した所定位置で停止する。これにより、作業者は、空の成形孔MHから反時計回りの位置にある2個のシャリ玉RB1が最初の入力操作に対するシャリ玉RBのグループであることを明確に認識することができる。したがって、入力された個数の確認作業をあらためて行うことなく、前述した位置にある2個のシャリ玉RB1を皿などに盛り付けることができる。
【0060】
さて、最初に入力された製造個数に対応した2個のシャリ玉RB1がターンテーブル4から取り上げられたことをセンサ7が検出したならば、ターンテーブル4が回転して、
図9に示すように、2回目に入力された3個のシャリ玉RB2と、空の成形孔MHを介在して、3回目に入力された1個のシャリ玉RB3がターンテーブル4で搬送される。これにより、作業者は、空の成形孔MHから反時計回りの位置にある3個のシャリ玉RB2が2回目の入力操作に対するシャリ玉RBのグループであることが認識でき、同様に、入力された個数の確認作業を行うことなく、これら3個のシャリ玉RB2を皿などに盛り付けることができる。
【0061】
次に、2回目に入力された製造個数に対応した3個のシャリ玉RB2がターンテーブル4から取り上げられたことをセンサ7が検出したならば、ターンテーブル4が回転して、
図10に示すように、3回目に入力された1個のシャリ玉RB3と、空の成形孔MHを介在して、4回目に入力された1個のシャリ玉RB4と、5回目に入力された2個のシャリ玉RB5の一部がターンテーブル4で搬送される。これにより、作業者は、ターンテーブル4の回転方向下流側の空の成形孔MHから反時計回りの位置にある1個のシャリ玉RB3が3回目の入力操作に対するシャリ玉RBのグループであることが認識でき、入力された個数の確認作業を行うことなく、このシャリ玉RB3を皿などに盛り付けることができる。
【0062】
次に、3回目に入力された製造個数に対応した1個のシャリ玉RB3がターンテーブル4から取り上げられたならば、ターンテーブル4が回転して、
図11に示すように、4回目に入力された1個のシャリ玉RB4と、空の成形孔MHを介在して、5回目に入力された2個のシャリ玉RB5がターンテーブル4で搬送される。これにより、作業者は、空の成形孔MHから反時計回りの位置にある1個のシャリ玉RB4が4回目の入力操作に対するシャリ玉RBのグループであることが認識でき、入力された個数の確認作業を行うことなく、このシャリ玉RB4を皿などに盛り付けることができる。
【0063】
最後に、4回目に入力された製造個数に対応した1個のシャリ玉RB4がターンテーブル4から取り上げられたならば、ターンテーブル4が回転して、
図12に示すように、5回目に入力された2個のシャリ玉RB5がターンテーブル4で搬送される。そこで、作業者は、残りの2個のシャリ玉RB5が5回目の入力操作に対するシャリ玉RBのグループであることが認識でき、入力された個数の確認作業を行うことなく、これら2個のシャリ玉RB5を皿などに盛り付けることができる。
【0064】
以上のように、本実施の形態のシャリ玉製造装置Mでは、所定の入力操作に対応して成形されたターンテーブル4上のシャリ玉RBのグループと、当該入力操作の次の入力操作に対応して成形されたターンテーブル4上のシャリ玉RBのグループとの間にシャリ玉RBの入っていない空の成形孔MHを介在させ、各グループ内のシャリ玉RBの間隔よりも広い間隔を開けるようになっている。
【0065】
したがって、作業者は、空の成形孔MHから反時計回りの位置にあるシャリ玉RBが所定の入力操作に対するシャリ玉RBのグループであることを認識することができる。これにより、シャリ玉RBの盛り付け時において、あらためてシャリ玉RBの入力個数を確認する作業が不要になり、作業性が向上する。
【0066】
これにより、シャリ玉RBの製造個数が連続して入力された場合であっても、入力された個数毎のシャリ玉RBをひとまとまりにして皿やパックなどに盛り付けを行うことができ、入力操作毎の個数を確認する必要がなくなる。
【0067】
以上の説明においては、入力部1では製造個数のみが入力されることになっているが、個数に加えて、シャリ玉RBの最終製品であるにぎり寿司の単価情報が入力可能になっていてもよい。なお、にぎり寿司の単価情報とは、にぎり寿司の単価という直接的な情報に限られず、盛り付けられる皿やパックなどがにぎり寿司の価格に応じて異なる場合には皿やパックの種別など、にぎり寿司の単価についての間接的な情報でもよい。
【0068】
さて、入力部1において、にぎり寿司の単価情報がさらに入力可能となっている場合には、ターンテーブル4における先頭のシャリ玉RBの停止位置を単価情報に応じて変更するようにする。
【0069】
このようなシャリ玉製造装置Mの動作について、
図13~
図15を用いて説明する。ここで、
図13は本発明の一実施の形態であるシャリ玉製造装置において単価aのにぎり寿司に対応したシャリ玉のターンテーブル上の位置を示す説明図、
図14は本発明の一実施の形態であるシャリ玉製造装置において単価bのにぎり寿司に対応したシャリ玉のターンテーブル上の位置を示す説明図、
図15は本発明の一実施の形態であるシャリ玉製造装置において単価cのにぎり寿司に対応したシャリ玉のターンテーブル上の位置を示す説明図である。なお、これらの図面において、シャリ玉は2個成形するものとしている。
【0070】
図13に示すように、単価aのにぎり寿司に対応したシャリ玉RBaの場合には、フロントカバーCに干渉する直前の位置で先頭が停止するようにする。また、
図14に示すように、単価bのにぎり寿司に対応したシャリ玉RBbの場合には、フロントカバーCとの間にシャリ玉RBの入っていない成形孔MHが1個介在する位置で先頭が停止するようにする。そして、単価cのにぎり寿司に対応したシャリ玉RBcの場合には、フロントカバーCとの間にシャリ玉RBの入っていない成形孔MHが2個介在する位置で先頭が停止するようにする。
【0071】
このように先頭のシャリ玉RBの停止位置と単価情報とを関連づけしておけば、作業者は、あるグループのシャリ玉RBとそれに続くグループのシャリ玉RBとの間に形成されたシャリ玉RBの入っていない成形孔MHからシャリ玉RBの盛付個数を、また、先頭のシャリ玉RBの停止位置からにぎり寿司の単価を、それぞれ把握することができる。つまり、ターンテーブル4上のシャリ玉RBの停止状態を見るだけで個数情報と単価情報の2つを把握することが可能になり、シャリ玉RBを盛り付ける皿などの種類を確認する必要もなくなり、さらに作業性が向上する。
【0072】
なお、このようにターンテーブル4における先頭のシャリ玉RBの停止位置を単価情報に応じて変更するようにした場合、センサ7はターンテーブル4の上方に設置して、複数の位置におけるシャリ玉RBの有無を検出できるようにするのがよい。
【0073】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0074】
例えば、以上に説明したシャリ玉製造装置Mでは、搬送手段として、水平方向に間欠的に回転するターンテーブル4が用いられているが、シャリ玉を搬送するコンベアでもよい。この場合、成形部で成形されたシャリ玉をコンベアに移載するための移載手段が設置される。なお、移載手段としては、成形部のシャリ玉を把持してコンベアに移載するためのハンドラや、成形部のシャリ玉を直下のコンベア上に落下させるシャッタなどが考えられる。
【0075】
また、以上に説明したシャリ玉製造装置Mでは、計量分割部3やターンテーブル4や成形部6などの構成要素と一体になった入力部1が入力手段となっているが、これらの構成要素とは別体になった入力手段でもよい。つまり、通信手段を介して制御部と接続された外部入力装置(例えば、店内のオーダシステム、POSシステム、食券販売機、WEBを使ったオーダシステムなど)を入力手段としてもよい。この場合、制御部は、外部入力装置からシャリ玉の個数や単価情報を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上の説明におけるシャリ玉製造装置では、成形孔の平面形状が長円になっている。但し、成形孔の形状は、これに限定されるものではなく、例えば三角形状、円形状または楕円形状などでもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 入力部(入力手段)
2 解し部
3 計量分割部
4 ターンテーブル(搬送手段)
6 成形部(成形手段)
6L 成形下型
6U 成形上型
7 センサ
C フロントカバー
M シャリ玉製造装置
MH 成形孔
RB、RB1~RB5、RBa~RBc シャリ玉