IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴァレオ システム デシュヤージュの特許一覧

特許7481819自動車両用の運転支援システムの光学センサを保護するための装置
<>
  • 特許-自動車両用の運転支援システムの光学センサを保護するための装置 図1
  • 特許-自動車両用の運転支援システムの光学センサを保護するための装置 図2
  • 特許-自動車両用の運転支援システムの光学センサを保護するための装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】自動車両用の運転支援システムの光学センサを保護するための装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/52 20230101AFI20240502BHJP
   H04N 23/57 20230101ALI20240502BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240502BHJP
【FI】
H04N23/52
H04N23/57
G03B15/00 V
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019175750
(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公開番号】P2020053969
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】1858843
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】マルセル、トレブー
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック、ブルタグノル
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-165287(JP,A)
【文献】特開2011-155468(JP,A)
【文献】特開2000-056367(JP,A)
【文献】特開2008-239017(JP,A)
【文献】特開平10-274798(JP,A)
【文献】国際公開第2018/091641(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/52
H04N 23/57
B60R 9/00-11/06
B60S 1/00- 1/68
G03B 15/00
G03B 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両(100)用のドライバー支援システム(1)の光学センサ(2)を保護するための装置(4)であって、
‐光学面(6)を備えた前記光学センサ(2)を少なくとも部分的に収容可能なキャビティ(11)を形成する保護ケース(8)であって、前記光学センサ(2)の前記光学面(6)に対面配置されるように構成された光学要素(12)を備えるとともに、軸(A1)を中心として自由に回転するように構成された保護ケース(8)と、
‐前記保護ケース(8)を、前記光学要素(12)が遠心力によって洗浄され得る速度で回転させるように構成されたモータ(14)と、
を備えた保護装置(4)であって、可動部(52)と固定部(54)とを有するように構成された保護装置(4)において、
前記保護装置(4)は、当該保護装置(4)の内側と外側との間の流体連通を可能にするための通気開口(56)を備えた圧力平衡システムを備え、前記通気開口(56)は、前記保護装置の前記固定部(54)に作製され
前記圧力平衡システムは、前記保護装置の前記可動部(52)の一部を形成する前記保護ケース(8)によって形成される一方の前記キャビティ(11)と、前記保護装置の前記固定部(54)に作製された他方の前記通気開口(56)との間で、空気流を通流させるための手段(58、60)を備える、
ことを特徴とする保護装置(4)。
【請求項2】
前記光学センサ(2)は支持要素(38)により支持され、前記支持要素の少なくとも1つのベース(42)が前記キャビティ(11)に配置され、前記空気流を通流させるための手段は、前記支持要素(38)の前記ベース(42)を貫通するよう作製された少なくとも1つの空気通路開口(58)を備える、
ことを特徴とする請求項に記載の保護装置(4)。
【請求項3】
前記支持要素(38)は、前記ベース(42)を延長する管状体(44)を備え、前記管状体は中空であることで、前記空気通路開口(58)と前記通気開口(56)との間の流体連通を形成する空気通流ダクトを形成する、
ことを特徴とする請求項に記載の保護装置(4)。
【請求項4】
前記管状体(44)は、電気及びビデオ接続ケーブルの束(40)用のガイドとして機能するように構成され、前記束及び前記管状体は、前記空気通路開口(58)と前記通気開口(56)との間の流体連通が維持されるように設計される、
ことを特徴とする請求項に記載の保護装置(4)。
【請求項5】
端部嵌め合い部(62)が、前記モータ(14)のハウジング(16)に、前記保護ケース(8)の反対側において堅固に連結され、前記通気開口(56)は、前記端部嵌め合い部の周壁に作製される、
ことを特徴とする請求項1乃至のうちのいずれかに記載の保護装置(4)。
【請求項6】
前記通気開口(56)は半透膜(66)を設けられる、
ことを特徴とする請求項1乃至のうちのいずれかに記載の保護装置(4)。
【請求項7】
吸湿手段(74)を備える、
ことを特徴とする請求項1乃至のうちのいずれかに記載の保護装置(4)。
【請求項8】
請求項1乃至のちのいずれかに記載のドライバー支援システムの光学センサ(2)を保護するための装置(4)を備える自動車両(100)において、
前記自動車両(100)が運転状態にあるとき、前記固定部(54)に作製された前記通気開口(56)は、地面側、又は実質的に地面側を向く、
ことを特徴とする自動車両(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバー支援の分野に関し、特に車両に設置されるドライバー支援システムに関する。ドライバー支援システムは、例えば対物レンズを備えるカメラ等の光学センサを備え得る。より具体的には、本発明は、このような光学センサを保護するためのケースに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光学センサ、例えばフロントビューカメラ、リアビューカメラ、更にはサイドビューカメラが、多数の自動車両に装備されている。特に、これらの光学センサは、駐車支援システムや車線逸脱検知システム等のドライバー支援システムの一部を形成する。車両の全周囲に位置する障害物を最適に検出するように、運転支援システムの光学センサは、車両の周縁部において種々の箇所に、例えば、リア又はフロントバンパーに一体化されて、又は側部強化パネルに、又は車両の前方又は後方ナンバープレートの付近に、所望の用途に応じて設置されることが知られている。
【0003】
これらの光学センサは、無機又は有機の汚れの跳ねかかりを強く受け、これら無機又は有機の汚れの跳ねかかりは、光学表面に堆積し得て、撮像や情報検出の有効性を低下させ、更には関連するセンサ、検出器又はカメラが完全に機能しなくなってしまう。特に雨の場合、雨や汚れの跳ねかかりが、このような光学センサを備えたドライバー支援システムの操作性に著しく悪影響を及ぼし得ることがわかっている。
【0004】
このため、センサの光学面は、正しい動作状態が保証され得るように洗浄する必要があること、及びこの必要条件は、カメラによって収集される情報によって車両が制御される自律車両の場合には更に重要となることがわかっている。
【0005】
センサの光学部品を洗浄するための装置を光学部品の付近に配置して、これに堆積した汚染要素を事前に除去することが知られている。特に、洗浄装置は、洗浄流体が供給されるジェット部を伴い得る。必要に応じて、ジェット部は、格納された待機位置から展開された洗浄位置に移行するように構成された伸縮装置の端部に配置され得る。このようなジェット部の使用によりセンサの適切な洗浄が可能となるが、大量の洗浄液と精緻なジェット部の運動学的手段を設ける必要があるため、多大な運用コストが発生する。
【0006】
或いは、以下のような洗浄装置を設けることが知られている。この洗浄装置は、センサの光学面に対面配置された保護ガラスを備え、これにより汚れがこのガラスに付着し光学面には直接付着しないようにする一方で、保護ガラスを振動させて汚れを除去するように制御される振動手段を備えている。しかし、保護ガラスを振動させても、頑固にこびりついた汚れに対するこのような装置の有効性は制限される場合がある。
【0007】
更なる代替手段は、ドライバー支援システムのセンサ、より具体的にはカメラを保護装置に連結することである。保護装置は、カメラを収容する保護ケースを備え、外部環境からカメラを保護する。保護ケースは、撮像が可能であるようにカメラの対物レンズの反対側に配置された透明な光学要素を備える。保護ケーシングと対応する光学要素は、保護装置の一部を形成するモータによって回転する。より具体的には、モータは、光学要素に存在し得る汚れや水を遠心効果によって除去するのに十分な速度で保護ケースを回転させるように構成される。遠心効果による洗浄を行うこの解決策は、上述の光学要素を振動させるものよりはるかに効果的である。
【0008】
遠心効果によって機能するこのような洗浄システムは、すなわちカメラの周囲を回転するケースを備えるこのような洗浄システムは、カメラが延在するキャビティを、空気及び湿度の両方に対して密閉するという点で困難を伴う。更に、カメラを回転するケース内で操作すると、このカメラを収容するキャビティ内の温度が上昇するため、圧力が変わる。これにより、保護ケースの内部において、空気の通流と湿度の侵入が増加する。したがって、レンズと、保護ケースとともに回転するように拘束された光学要素の内面との両方に内部結露が発生する可能性がある。こうして、センサやカメラによるデータの取得が阻害され得る。
【0009】
光学要素における結露現象を制限するように、ケースの壁を貫通する開口を作製することが知られている。各開口によって、ケースの内側と外側とが連通し、空気流の通過が可能になる。湿気が保護ケースに入らないように、各開口は半透膜、すなわち空気に対して透過性であり、且つ水に対して不透過性である膜で覆われている。したがって、この解決策は、カメラと光学要素との間の良好な通気を可能にするとともに、光学要素に結露が蓄積することを防止する。しかしながら、本解決策には、ケースを穿口する必要があるため、質量のバランスを変更する必要があるという欠点がある。更なる欠点は、遠心力を受ける膜が劣化しやすく変形しやすい、更にはケースから外れてしまいやすく、この不均衡減少を悪化させてしまうことである。ケースの重心は、モータの回転軸に対してオフセットされる。このオフセットにより、回転時にモータのシャフトに非対称の応力が発生してノイズが生じる、更にはシャフトの不可逆的な変形が発生する。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、光学センサを保護するための公知の装置に対する代替手段を提示することにより、この技術的問題を克服し、保護装置の内部における結露現象を防止する、又は最小限に抑えつつ、保護装置の回転時のバランスを維持することを提案する。
【0011】
この目的のために、本発明の狙いは、自動車両用のドライバー支援システムの光学センサを保護するための装置であって、前記保護装置は、一方で、光学面を備えた前記光学センサを少なくとも部分的に収容可能なキャビティを形成する保護ケースであって、前記光学センサの前記光学面に対面配置されるように構成された光学要素を備えるとともに、軸を中心として自由に回転するように構成された保護ケースを備え、他方で、前記保護ケースを、前記光学要素が遠心力によって洗浄され得る速度で回転させるように構成されたモータを備え、前記保護装置は、可動部と固定部とを有するように構成された保護装置である。
【0012】
本発明は、前記保護装置が、当該保護装置の内側と外側との間の流体連通を可能にする通気開口を備えた圧力平衡システムを備え、前記通気開口は、前記保護装置の前記固定部に作製される点で特徴を有する。
【0013】
通気開口は、ケースに存在する空気の入れ替えを可能にするとともに、特に、空気が排出されることで光学センサの光学部品及び/又はケースの光学要素に結露が生じることを防止することができる。更に、有利には、本発明は、通気開口をケースとは別個の固定部部に配置することによりケースに存在する空気を入れ替えることを提案する。これにより、回転するケースには開口が設けられない。このようにして、ケースの質量のバランスが維持され、アクチュエータがケースを回転させる際にアクチュエータは応力を受けない。更なる利点によれば、本発明は、第1サブアセンブリの内部で結露が堆積する現象を防止することもできる。
【0014】
一態様によれば、保護装置は、光学要素とは別の部品である。
【0015】
一代替例によれば、保護装置は、光学要素の一部をなす。
【0016】
別個でも組み合わせてもよい本発明の種々の特徴によれば、以下が提供され得る。
‐前記圧力平衡システムは、前記保護装置の前記可動部の一部を形成する前記保護ケースによって形成される一方の前記キャビティと、前記保護装置の前記固定部に作製された他方の前記通気開口との間で、空気流を通流させるための手段を備える。
‐前記光学センサは支持要素により支持され、前記支持要素の少なくとも1つのベースが前記キャビティに配置され、前記空気流を通流させるための手段は、前記支持要素の前記ベースの厚さに作製された少なくとも1つの空気通路開口を備える。
‐前記支持要素は、前記ベースを延長する管状体を備え、前記管状体は中空であることで、前記空気通路開口と前記通気開口との間の流体連通を形成する空気通流ダクトを形成する。したがって、ダクトは、ケースの内部にある第1端部と、単数又は複数の通気開口が配置された間隙にある第2端部との間で延びるようになされる。
‐前記管状体は、電気及びビデオ接続ケーブルの束用のガイドとして機能するように構成され、前記束及び前記管状体は、前記空気通路開口と前記通気開口との間の流体連通が維持されるように設計される。
‐端部嵌め合い部が、前記モータのハウジングに、前記保護ケースの反対側において堅固に連結され、前記通気開口は、前記端部嵌め合い部の周壁に作製される。
‐前記保護装置は、当該保護装置の外側において前記通気開口の反対側に配置された液体偏向部品を備える。
‐前記通気開口は、半透膜を設けられる。
‐前記保護装置は、吸湿手段を備える。
【0017】
また、本発明は、上述のドライバー支援システムの光学センサを保護するための装置を備える自動車両において、前記自動車両が運転状態にあるとき、前記固定部に作製された前記通気開口は、地面側、又は実質的に地面側を向くことを特徴とする自動車両に関する。
【0018】
本発明の更なる特徴及び利点は、非限定的な例示としてなされる以下の説明を添付図面を参照して読むことでより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】グリル付近にドライバー支援システムを備える自動車両の正面図。
図2】ドライバー支援システムの光学センサを保護するための装置の概略斜視図。
図3図2の保護装置の概略長手方向断面図であって、特に、保護装置内での湿気の形成を防止又は制限するための圧力平衡システムを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
最初に、図面は本発明を実施するように詳細な態様で本発明を開示し、必要に応じて本発明をより明確に定義するように前記図面が使用可能であることに留意されたい。これらの図面では、同一要素には同じ参照符号が使用される。種々の実施形態は例示としてのもにである。単数又は複数の実施形態について言及がなされるが、これは各参照符号が同一実施形態に関連すること、又は特徴が単一の実施形態にのみ適用可能であることを必ずしも意味しない。更なる実施形態を提供するように、種々の実施形態の単純な特徴が組み合わせられ得る、又は交換され得る。
【0021】
更に、発明の詳細な説明において、例えば第1要素又は第2要素等、ある要素にインデックスが付され得ることに留意されたい。この場合、これは、類似しているが同一ではない要素同士を区別して表示するために単にインデックスを付したものである。このようにインデックスを付すことは、或る要素が別の要素より優先されることを意味するものではない。このような呼称は、本発明の範囲から逸脱することなく容易に交換可能である。
【0022】
本発明によれば、車両100には、ドライバー支援システム1が装備される。ドライバー支援システム1は、少なくとも1つの光学センサ2と、この光学センサの周囲に配置された保護装置4と、を備える。図示例では、車両のグリル5に配置されたフロントビューカメラにより形成された光学センサ2が具体的に示されているが、下記のかかる光学センサは、車両に対して後方に又は側方に配置され得る装置に対しても適用可能であることを理解されたい。本発明によれば、光学センサ2に対応する保護装置4は、少なくとも保護装置及び/又は光学センサの光学面に結露が発生することを防止又は制限するように構成されている。
【0023】
光学センサ2は、例えばカメラ等の撮像光学センサである。これには、小型フォトダイオードのマトリックスを含むCCD(Charged Coupled Device)カメラ又はCMOSセンサが含まれ得る。別の変形例によれば、LIDAR(Light Detection and Ranging)センサが含まれ得るが、このリストは必ずしも網羅的ではない。
【0024】
図2において、保護装置4は、当該保護装置4に収容された光学センサ2が見えるように部分的に透明に図示されている。光学センサ2は、光学面6と光軸7とを備える。光学面6は、例えば、所望の視野と解像度に応じて単数又は複数のレンズを備え得るカメラの対物レンズである。
【0025】
光学センサ2は、保護装置4の第1サブアセンブリBを形成する保護ケース8に少なくとも部分的に装着される。この目的のために、保護ケース8は、内部に光学センサが収容されるキャビティ11を画成する壁10を備える。この壁10は、好適には、光学センサの光軸7を中心としている。図示例において、壁10は、実質的に円筒形状である。
【0026】
また、保護ケース8は、透明な壁により形成された光学要素12であって、光学センサの光学面6の下流に配置された光学要素12を備える。この光学要素12は、有利には、光学面6の全体を覆うように設計される。換言すれば、光学要素12は、光学センサ2の有効性が阻害されることを透明な壁が防止した状態で、光学センサ2の視野内に配置される。光学要素12は、保護ケース8と一体部品として製造され得る。或いは、保護ケース8と光学要素12とは、互いに堅固に連結された2つの別個の部品であってもよい。光学要素12の全部又は一部を形成する透明な壁は、ガラス又はポリカーボネート等のプラスチック材料から構成され得る。保護ケース8は、当業者に公知の任意の適切な材料、好適には不浸透性材料から製造され得る。
【0027】
光学要素12を光学面6の下流に配置することにより、光学要素12が車両の外部と光学センサ2の光学面6との間に配置されるため、光学要素12が、光学面6にダメージを与え得る汚れの跳ねや固形屑に対して光学面6を保護していることを理解されたい。したがって、光学要素12は保護要素であり、すなわちより具体的には光学センサ2を保護するためのマスクであり、この光学要素12が、外部から生じる攻撃要因、すなわち水跳ね、汚染物質の跳ね、砂利の跳ね、汚染物質の堆積又は水跡にさらされる。上述のように光学要素12の表面を遠心効果によって洗浄可能とするために、保護装置4は、第2サブアセンブリCを形成するモータ14を備える。モータ14は保護ケース8に結合されて、保護ケース8を、ひいては光学要素12を、光学センサ2の光軸7に一致する回転軸A1を中心として回転させる。
【0028】
図3の断面図は、保護装置の構造、及びカメラの光学面又は光学要素の内面に生じ得る結露を防止又は制限するようになされた手段をより具体的に示す。
【0029】
第2サブアセンブリCを形成するモータ14は、第1サブアセンブリBの回転軸A1及び光学センサ2の光軸7と一致する回転軸A2を中心として回転するように装着される。
【0030】
モータ14は、ハウジング16と、底壁18と、周壁18とを備え、形成されたハウジング内にロータ22及びステータ24が配置される。本例において、ステータ24はハウジング16の周壁20の内側面に固定され、ロータ22は固定されたステータ24に対して自由に回転する。
【0031】
図示の実施形態において、モータは、ロータ22がステータ24の内側で回転する内部ロータモータである。本発明の範囲から逸脱することなく、外部ロータを備えるモータが想定され得ることを理解されたい。
【0032】
保護ケース8及び対応する光学要素12は、モータ14のロータ22に堅固に連結される。図示例において、中間接続部26が、ロータ22と保護ケース8との間に配置され、中間接続部26の長手方向端部のそれぞれは、両部品に堅固に連結されている。ステータ24への給電によるロータ22の回転により、中間接続部が回転可能となる。中間接続部は、必要に応じて、保護ケース8及び遠心力により洗浄すべき光学要素12を回転させる。
【0033】
モータ14は、ロータ22に堅固に連結された少なくとも1つの磁石28と、ステータ24に装着された所定数の電磁コイル30とを備える。電磁コイル30は給電されると磁場を生成し、この磁場において少なくとも1つの磁石28は移動可能である。この目的のために、モータ14は、電磁コイル30に給電するための制御回路32を備える。この制御回路32は、図3に概略的に示す電力供給ハーネス34に連結されるとともに、図3に示すように、モータ14のハウジング16の底壁18に配置された出力開口36を通過することによって、例えば車両100の一般電気回路に連結される。
【0034】
図示の実施形態において、ロータ22は、光学センサ2に堅固に連結された支持要素38の周囲に配置されている。支持要素38は、電気及びビデオ接続ケーブルの束40のための被覆部を形成している。
【0035】
支持要素38は、カメラの後部に堅固に連結されたベース42と、ベース42の長手方向延長部に配置された管状体44とを備え、管状体44の内部で電気及びビデオ接続ケーブルの束40が循環する。
【0036】
カメラの後部は、カメラの光学部品の反対側で、保護ケース8の内側に面して回転する部分に対応することを理解されたい。
【0037】
図示例において、支持要素38は、中間軸受46を備える。中間軸受46の直径は、カメラの対応する寸法に実質的に等しい直径を有するベース42と、電気及びビデオ接続ケーブルの束40の直径よりわずかに大きい直径を有する管状体44との間の連続性を可能にするものである。
【0038】
管状体44は、自由端部48、すなわちベース42の反対側の端部を備える。自由端部48は開放しており、電気及びビデオ接続ケーブルの束40は管状体44の当該自由端部を超えて延びる。
【0039】
ロータ22は、支持要素の管状体44の外面の周囲に配置される。これにより、支持要素は、ロータを回転的にガイドする手段として機能する。
【0040】
保護装置4、より具体的には第2サブアセンブリC上の保護装置4は、保護装置の可動部52の好適な旋回を提供するための2つのローラー軸受50、51を備える。可動部52は、特にモータ14のステータ24によって形成される保護装置4の固定部54に対して、特にモータのロータ22と、保護ケース8と、光学要素12とによって形成される。
【0041】
より具体的には、図3に示す例を参照すると、2つのローラー軸受は、一方が光学センサに堅固に連結された支持要素38と中間部26との間にあり、他方が光学センサに堅固に連結された同一の支持要素38とロータ22との間にあるように配置されている。このような配置は非限定的な例に過ぎず、可動部52が保護装置の固定部54に対して相対回転可能である限り、ローラー軸受の個数と配置は変更可能であることが理解されるであろう。
【0042】
本発明によれば、保護装置4は、保護ケースに堅固に連結された光学要素12を形成する透明な壁に結露が生じることを防止する、又は少なくとも制限するように構成された圧力平衡システムを備える。圧力平衡システムは、保護装置の外側と内側との間の流体連通を可能にする通気開口56であって、保護装置4の固定部54に作製された通気開口56を備える点で特殊性を有する。後述するように、圧力平衡システムは、流体連通手段を更に備え得る。流体連通手段は、この通気開口と、保護ケース8により形成されたキャビティ11であって内部に光学センサが収容されるキャビティ11との間で空気流がガイドされることを可能にする。
【0043】
本例における圧力平衡システムは、空気通路開口58と通流ダクト60とを更に備える。空気通路ダクトは、支持要素38のベース42に作製され、図3の矢印で示す空気流FAが、支持要素38のベース42が内部で延びるキャビティ11から、固定壁に作製された通気開口56まで、特に支持要素の管状体44に沿って当該要素の内部に配置された通流ダクト60によって、空気流が支持要素の管状体44の開放自由端部48を通過しつつ通流することを可能にする。このようにして、結果として生じる保護ケースの回転と温度の上昇は、熱気を空気流FAの経路を通して保護装置の外部に放出することによって補償されるため、保護ケース8により形成されるキャビティ11の内側に面して回転する光学面に結露が生じることが防止又は制限される。
【0044】
非限定的な例として、支持要素38の厚さを貫通して作製される空気通路開口58は1.5mm乃至4mmの通路断面を有し、通気開口56は1.5mm乃至4mmの通路断面を有する。空気通路開口58及び通気開口56の通路断面は、カメラの容積に比例する。
【0045】
空気通路開口58及び通気開口56の通路断面は、正方形、長方形、又は円形であり得る。
【0046】
好適には、通気開口56の通路断面のサイズは、空気通路開口58のもののサイズと実質的に等しい。
【0047】
空気通路開口58及び通気開口56は、双方とも固定された構造要素に作製されることに留意されたい。すなわち、空気通路開口58及び通気開口56は、固定された支持要素38と、ステータ24に堅固に連結された固定部とにそれぞれ作製され、これにより、保護ケースの回転時に不均衡が生じないことに留意されたい。
【0048】
本例において支持要素38の管状体44に沿って作製された通流ダクト60によって空気が通気開口56まで流れることが可能である限り、通気開口56は、モータ14のハウジング16に形成され得る。
【0049】
図3に示す例において、通気開口56は、モータハウジングの底壁18の外面に接して配置された端部嵌め合い部62に作製されている。端部嵌め合い部62は、この底壁18から突出する支持要素38の周囲にシール手段を形成している。
【0050】
より具体的には、端部嵌め合い部62は、底壁18からの突出部を形成するスリーブ64の周囲に配置され得る。スリーブ64は、このようにしてカメラの支持要素38のガイドを形成する。
【0051】
通気開口56は、半透膜66、すなわち空気に対して透過性であり、且つ液体、特に水に対して不透過性である膜を設けられる。特に、膜は、微孔性コーティングを施すことにより、疎水性であり得るとともに、必要であれば疎油性であり得る。
【0052】
半透膜66は、接着又は超音波はんだ付けにより、シールした態様で通気開口56に結合される。図3に示すように、この目的のために、膜66は、特に、通気開口の延長部に配置された、当該開口よりも大きいカウンタボア68に配置され得るため、膜66の周囲におけるはんだ付け又は接着が可能とされる。
【0053】
端部嵌め合い部62は、公知手段によって、モータ14のハウジング16の底壁18に対して密閉保持される。端部嵌め合い部62は、間隙を形成する中空円筒形状を有し、その中に支持要素38の管状体の自由端部48が存在する。通気開口56は端部嵌め合い部62の周壁に形成され、被覆部70がスリーブ64の軸方向延長部に配置される。スリーブ64は、当該スリーブの反対側に配置された端部嵌め合い部の壁から突出している。被覆部70は、電気及びビデオケーブルの束が端部嵌め合い部62を貫通して好適な制御手段に連結されることを許容する。有利には、被覆部70は、弾性又は実質的に弾性の材料から作製され、これにより、電気及びビデオ接続ケーブルの束40をシール可能に囲みつつ、これが保護装置の外部で容易に連結されるように湾曲することを許容している。
【0054】
有利には、本実施形態は、被覆部70により形成される電気及びビデオ接続ケーブルの束40用の通路と、空気流FAのための通気開口56との分離を可能にする。したがって、自動車両において保護装置4と対応する光学センサ2とを組み付けた際に、例えば、通気開口56が地面側を向くことを保証することができる。図3において、通気開口56及び当該開口を貫通して配置された半透膜66は上方に回転して示されているが、実際には、例えば、汚れや液体が膜の表面に堆積して空気の通過を制限するであろうことを制限するように、それらは好適には下方を向いている、又は少なくとも傾斜していることが好適であるに留意されたい。
【0055】
これに関して、図示しない変形例において、通気開口が形成されている端部嵌め合い部の壁に、保護装置の外側において通気開口の反対側に液体偏向部品を設けることが想定され得る。この変形例は、保護装置4が自動車両100に装着された状態において通気開口56が上方を向く必要がある場合に特に有利である。偏向部品は、汚れや液体が膜を介した空気の通過をブロックすることを防止する。当然ながら、偏向部品は、通気開口から十分な距離を置いて維持され、保護装置の内側と外側との間で空気流が通流することを許容している。
【0056】
更に、保護装置は、特に炭酸マグネシウムや例えばアップサライト等の特定の吸収性材料、又は他の同等の多孔質材料によって形成された吸湿手段74を備え得る。このような吸湿手段74は、カメラが内部で延びるキャビティを画成するケースの内面に、又は支持要素38の管状体44の内面に沿って配置され得る。
【0057】
このような吸湿手段74の存在により、上述のような湿気が保護装置に侵入することを防止する機能を有する半透膜が必要なくなる。いずれの場合でも、その存在によって、有効性の低い疎水能力を有する膜、したがってより安価な膜を設けることが可能になる。
【0058】
上述のように、本発明は、前記した目的を効果的に果たし、単純な手段によって回転する保護ケースに対応する光学要素に結露が生じることを防止又は制限する手段を備える保護装置を製造することを可能にする。
【0059】
本発明による保護装置は、保護ケース8が壁に開口を有さないという点において従来技術による保護装置と異なるということ、したがって、回転部がその周縁部に、当該回転部の回転に悪影響を及ぼし得る開口を有さないということに留意されたい。したがって、保護ケースの質量のバランスが維持される。
【0060】
上述した本発明による保護装置の種々の変形形態を組み合わせることで説明していない新たな実施形態を実現できることに留意されたい。
図1
図2
図3