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特許7481820ランダムアクセス手順を実行する端末装置、基地局装置、制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】ランダムアクセス手順を実行する端末装置、基地局装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 74/0833 20240101AFI20240502BHJP
   H04W 76/27 20180101ALI20240502BHJP
   H04W 28/02 20090101ALI20240502BHJP
【FI】
H04W74/0833
H04W76/27
H04W28/02
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019176948
(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2021057673
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩次
(72)【発明者】
【氏名】大関 武雄
(72)【発明者】
【氏名】山崎 浩輔
【審査官】吉村 真治▲郎▼
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03506708(EP,A1)
【文献】Ericsson (Rapporteur),Report of email discussion: [96#31][NR] UL data in inactive solution B[online],3GPP TSG RAN WG2 adhoc_2017_01_NR R2-1700626,2017年01月24日
【文献】Samsung,Overall procedure for data transfer in inactive state[online],3GPP TSG RAN WG2 #96 R2- 168051,2016年11月04日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信ネットワークのランダムアクセス手順においてユーザデータを含む第1のメッセージを基地局装置に送信する送信手段を有する端末装置であって、
インアクティブ状態からコネクテッド状態へと遷移すべき所定の条件を満たす場合に、前記端末装置が前記コネクテッド状態へ遷移すべきであることを前記基地局装置に通知する所定の情報を含む前記第1のメッセージを送信し、
前記所定の条件を満たさない場合に、前記所定の情報を含まない前記第1のメッセージを送信する、
よう前記送信手段を制御する制御手段を備え、
前記所定の情報は、前記コネクテッド状態への遷移の指示を要求するRRCResumeRequestを含む、ことを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記基地局装置から、前記第1のメッセージへの応答として第2のメッセージを受信する第1の受信手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記第2のメッセージに前記コネクテッド状態への遷移の指示が含まれる場合には前記コネクテッド状態に遷移し、
前記第2のメッセージに前記指示が含まれない場合には前記インアクティブ状態を維持する、
よう前記端末装置を制御することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記所定の情報は、前記基地局装置へ送信すべきユーザデータの量を示すBuffer Status Reportを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記所定の条件は、前記基地局装置へ送信すべきユーザデータのトラフィックパターンが所定の時間間隔より短いことであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項5】
前記基地局装置から、前記所定の条件に対応する情報を受信する第2の受信手段をさらに有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項6】
前記ランダムアクセス手順は、4ステップのランダムアクセス手順であり、
前記第1のメッセージは、ランダムアクセスレスポンスの後に送信されるメッセージであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項7】
前記ランダムアクセス手順は、2ステップのランダムアクセス手順であり、
前記第1のメッセージは、ランダムアクセスプリアンブルをさらに含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項8】
移動通信ネットワークの基地局装置であって、
ランダムアクセス手順において、インアクティブ状態にある端末装置からユーザデータを含む第1のメッセージを受信する受信手段と、
前記第1のメッセージへの応答として、第2のメッセージを送信する第1の送信手段と、
制御手段であって、
前記第1のメッセージが所定の情報を含む場合に前記端末装置にコネクテッド状態への遷移の指示を含む前記第2のメッセージを送信し、
前記第1のメッセージが前記所定の情報を含まない場合に前記指示を含まない前記第2のメッセージを送信する、
よう前記第1の送信手段を制御する制御手段と、を備え、
前記所定の情報は、前記コネクテッド状態への遷移の指示を要求するRRCResumeRequestを含む、ことを特徴とする基地局装置。
【請求項9】
前記所定の情報は、前記基地局装置へ送信すべき所定の量以上のユーザデータの量を示すBuffer Status Reportを含むことを特徴とする請求項8に記載の基地局装置。
【請求項10】
前記所定の情報を含む前記第1のメッセージを送信するための所定の条件を前記端末装置へ送信する第2の送信手段をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の基地局装置。
【請求項11】
前記第2の送信手段は、ブロードキャスト信号またはRRCRelease信号によって前記所定の量に対応する情報を前記端末装置へ送信することを特徴とする請求項10に記載の基地局装置。
【請求項12】
移動通信ネットワークの端末装置が実行する制御方法であって、
ランダムアクセス手順においてユーザデータを含む第1のメッセージを基地局装置に送信する送信工程を含み、
前記送信工程において、
インアクティブ状態からコネクテッド状態へと遷移すべき所定の条件を満たす場合に、前記端末装置が前記コネクテッド状態へ遷移すべきであることを前記基地局装置に通知する所定の情報を含む前記第1のメッセージが送信され、
前記所定の条件を満たさない場合に、前記所定の情報を含まない前記第1のメッセージが送信され、
前記所定の情報は、前記コネクテッド状態への遷移の指示を要求するRRCResumeRequestを含む、ことを特徴とする制御方法。
【請求項13】
移動通信ネットワークの端末装置に備えられたコンピュータに、ランダムアクセス手順においてユーザデータを含む第1のメッセージを基地局装置に送信させるためのプログラムであって、
インアクティブ状態からコネクテッド状態へと遷移すべき所定の条件を満たす場合に、前記端末装置が前記コネクテッド状態へ遷移すべきであることを前記基地局装置に通知する所定の情報を含む前記第1のメッセージを送信し、
前記所定の条件を満たさない場合に、前記所定の情報を含まない前記第1のメッセージを送信する、
よう前記端末装置を制御し、
前記所定の情報は、前記コネクテッド状態への遷移の指示を要求するRRCResumeRequestを含む、ことを特徴とするプログラム。
【請求項14】
移動通信ネットワークの基地局装置が実行する制御方法であって、
ランダムアクセス手順において、インアクティブ状態にある端末装置からユーザデータを含む第1のメッセージを受信する受信工程と、
前記第1のメッセージへの応答として、第2のメッセージを送信する送信工程と、
を含み、
前記送信工程では、
前記第1のメッセージが所定の情報含む場合に前記端末装置にコネクテッド状態への遷移の指示を含む前記第2のメッセージが前記端末装置に送信され、
前記第1のメッセージが前記所定の情報含まない場合に前記指示を含まない前記第2のメッセージが前記端末装置に送信され、
前記所定の情報は、前記コネクテッド状態への遷移の指示を要求するRRCResumeRequestを含む、ことを特徴とする制御方法。
【請求項15】
移動通信ネットワークの基地局装置に備えられたコンピュータに、
ランダムアクセス手順において、インアクティブ状態にある端末装置からユーザデータを含む第1のメッセージを受信させ、
前記第1のメッセージへの応答として、第2のメッセージを送信させる、
よう前記端末装置を制御するためのプログラムであって、
前記第1のメッセージが所定の情報を含む場合には、前記端末装置にコネクテッド状態への遷移の指示を含む前記第2のメッセージが送信され、
前記第1のメッセージが前記所定の情報含まない場合には、前記指示を含まない前記第2のメッセージが送信され、
前記所定の情報は、前記コネクテッド状態への遷移の指示を要求するRRCResumeRequestを含む、ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランダムアクセス手順の改善技術に関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)において、ロングタームエボリューション(LTE)や第5世代(5G)のNew Radio(NR)等の無線通信システムの規格が策定されている。LTEやNRでは、端末装置と基地局装置との間の初期接続のためのランダムアクセス手順が規定されている。ランダムアクセス手順は、4ステップまたは2ステップのメッセージング処理が提案されている。なお、以下では、2ステップのランダムアクセス手順を「2ステップRACH」と呼び、4ステップのランダムアクセス手順を「4ステップRACH」と呼ぶ場合がある。
【0003】
4ステップRACHの処理例を図1(A)に示す。4ステップRACHでは、まず、端末装置(User Equipment、UE)が、第1のメッセージ(メッセージ1)としてランダムアクセス(RA)プリアンブルを基地局装置へ送信する。ここで、基地局装置は、一例において、NRの場合はgNB、LTEの場合はeNBと表記される。なお、RAプリアンブルは、所定の無線リソース(周波数-時間リソース)を用いて送信される。基地局装置は、RAプリアンブルを検出すると、第2のメッセージ(メッセージ2)として、RAレスポンスを端末装置へ送信する。メッセージ2には、端末装置が、メッセージ2を受信した後に送信すべき第3のメッセージ(メッセージ3)の送信に使用すべき無線リソースや信号送信時のパラメータの情報が含まれる。また、メッセージ2には、信号のタイミングを同期させるためのタイミングアドバンス(TA)等の各種情報が含まれる。端末装置は、その情報によって指定された無線リソースや各種情報を用いて、メッセージ3として、初期アクセスを確立するための所定の情報が、端末装置から基地局装置へ送信される。例えば、端末装置がインアクティブ(RRC_Inactive)状態にある場合には、メッセージ3にはコネクテッド(RRC_Connected)状態への遷移の指示を要求するRRCResumeRequestが含まれる。また、その応答として基地局装置がコネクテッド状態への遷移を指示する場合には、第4のメッセージ(メッセージ4)にはコネクテッド状態への遷移を指示するRRCResumeが含まれる。そして、基地局装置は、メッセージ3に応答して、メッセージ4を端末装置へ送信する。これらの手順が行われることにより、端末装置と基地局装置との間の初期接続が確立される。
【0004】
次に、2ステップのランダムアクセス手順の処理例を図1(B)に示す。2ステップRACHでは、まず、UEが、第1のメッセージ(メッセージA)として上述したRAプリアンブルおよび初期アクセスを確立するための所定の情報を送信する。続いて、基地局装置は、RAプリアンブルを検出すると、第2のメッセージ(メッセージB)として、RAレスポンスおよび初期アクセスを確立するための所定の情報に対する応答を送信する。例えば、端末装置がインアクティブ状態にある場合には、メッセージAにはコネクテッド状態への遷移の指示を要求するRRCResumeRequestが含まれる。また、その応答として基地局装置がコネクテッド状態への遷移を指示する場合には、メッセージBにはコネクテッド状態への遷移を指示するRRCResumeが含まれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】3GPP、RP-190838
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
3GPPでは、基地局装置とインアクティブ状態の端末装置とが、コネクテッド状態に遷移しないまま、少ないユーザデータの送受信を行うことが検討されている。非特許文献1には、2ステップRACH及び4ステップRACHにおいて、端末装置をインアクティブ状態に維持したまま、端末装置と基地局装置との間でユーザデータを送受信することが記載されている。一方、基地局装置は、端末装置をインアクティブ状態とさせたままユーザデータの送受信を行うべきか、コネクテッド状態に遷移させてからユーザデータの送受信を行うべきかを判断することができない。この結果、例えば、基地局装置が、端末装置とのRACH処理によって、その端末装置を不必要にコネクテッド状態に遷移させることにより、不必要なシグナリングメッセージが増大することが想定される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ランダムアクセス手順において端末装置と基地局装置との間でユーザデータを送受信する場合に、端末装置の状態を適切に管理することを課題とする。
【0008】
本発明の一態様による端末装置は、移動通信ネットワークのランダムアクセス手順においてユーザデータを含む第1のメッセージを基地局装置に送信する送信手段を有する端末装置であって、インアクティブ状態からコネクテッド状態へと遷移すべき所定の条件を満たす場合に、前記端末装置が前記コネクテッド状態へ遷移すべきであることを前記基地局装置に通知する所定の情報を含む前記第1のメッセージを送信し、前記所定の条件を満たさない場合に、前記所定の情報を含まない前記第1のメッセージを送信する、よう前記送信手段を制御する制御手段を備え、前記所定の情報は、前記コネクテッド状態への遷移の指示を要求するRRCResumeRequestを含む
【0009】
本発明の一態様による基地局装置は、移動通信ネットワークの基地局装置であって、ランダムアクセス手順において、インアクティブ状態にある端末装置からユーザデータを含む第1のメッセージを受信する受信手段と、前記第1のメッセージへの応答として、第2のメッセージを送信する第1の送信手段と、制御手段であって、前記第1のメッセージが所定の情報を含む場合に前記端末装置にコネクテッド状態への遷移の指示を含む前記第2のメッセージを送信し、前記第1のメッセージが前記所定の情報を含まない場合に前記指示を含まない前記第2のメッセージを送信する、よう前記第1の送信手段を制御する制御手段と、を備え、前記所定の情報は、前記コネクテッド状態への遷移の指示を要求するRRCResumeRequestを含む

【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ランダムアクセス手順において端末装置と基地局装置との間でユーザデータを送受信する場合に、端末装置の状態を適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】従来の4ステップのランダムアクセス手順および2ステップのランダムアクセス手順の流れを概略的に示す図である。
図2】無線通信システムの構成例を示す図である。
図3】端末装置のハードウェア構成例を示す図である。
図4】端末装置の機能構成例を示す図である。
図5】基地局装置のハードウェア構成例を示す図である。
図6】基地局装置の機能構成例を示す図である。
図7】第1実施形態に係る無線通信システムで送受信されるメッセージの例を示す図である。
図8】第1実施形態に係る無線通信システムで実行される処理の流れの例を示す図である。
図9】第2実施形態に係る無線通信システムで送受信されるメッセージの例を示す図である。
図10】第2実施形態に係る無線通信システムで実行される処理の流れの例を示す図である。
図11】第3実施形態に係る無線通信システムで送受信されるメッセージの例を示す図である。
図12】第3実施形態に係る基地局装置が実行する処理の流れの例を示す図である。
図13】第4実施形態に係る無線通信システムで送受信されるメッセージの例を示す図である。
図14】第4実施形態に係る無線通信システムで実行される処理の流れの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0013】
(システム構成)
本実施形態に係る無線通信システムの構成例を図2に示す。本システムは、一例において5Gのセルラ通信システム(移動通信ネットワーク)である。ただし、これに限られず、本システムは、例えば5G以降の後継のセルラ通信システムであってもよいし、セルラ以外の無線通信システムであってもよい。本システムは、基地局装置101および端末装置102を含んで構成される。なお、図2では、説明を簡単にするために、1つの基地局装置と1つの端末装置のみを示しているが、これらの装置の数は限定されるものではなく、より多くの基地局装置及び端末装置が当然に存在してもよい。
【0014】
本実施形態に係る端末装置102は、図1(A)または図1(B)に示すような4ステップRACHまたは2ステップRACHを実行することによって、基地局装置101との接続を確立する。なお、2ステップRACHによれば、端末装置と基地局装置とがそれぞれ1回のメッセージを送信するのみで接続が確立されるため、4ステップRACHと比較して、短時間で端末装置と基地局装置との間の接続を確立することができる。
【0015】
本実施形態では、このRACHの処理中に、基地局装置と端末装置とが、少量のユーザデータの送受信を行う。このとき、例えば、RACHフェーズの中でユーザデータの送受信が完結する、又は、少ない回数での送受信で完結するのであれば、端末装置をインアクティブ状態からコネクテッド状態に復帰(Resume)させる必要はない。一方、例えば、多量のユーザデータが送受信される場合等においては、端末装置をインアクティブ状態からコネクテッド状態に復帰させるべきである。
【0016】
しかしながら、基地局装置は、端末装置をインアクティブ状態からコネクテッド状態に遷移させる必要があるか否かを判断する仕組みがない。このため、基地局装置が、コネクテッド状態へのResumeが必要な端末装置に対してResumeを指示しないことや、コネクテッド状態へのResumeが不要な端末装置に対してResumeを指示してしまう。この結果、不要なシグナリングメッセージの送受信や、不必要にRACH処理を繰り返すことにより、周波数利用効率が低下してしまいうる。
【0017】
このため、本実施形態に係る無線通信システムでは、RACHフェーズにおいて、端末装置が、インアクティブ状態のままでユーザデータの送受信を行うか、ユーザデータの送受信を行うためにコネクテッド状態へ遷移すべきかを判定し、基地局装置に通知する。基地局装置は、この通知に基づいて、端末装置をコネクテッド状態に遷移させるか、インアクティブ状態を維持させるかを決定し、決定した内容に対応するシグナリングメッセージを端末装置へ送信する。これにより、基地局装置は、インアクティブ状態の端末装置をコネクテッド状態に遷移させるべきか否かを適切に判定し、周波数利用効率の低下を防ぐことができる。
【0018】
以下では、このような処理を実行する装置の構成と、処理の流れのいくつかの実施形態について説明する。なお、以下の実施形態では、インアクティブ状態にある端末装置がユーザデータを基地局装置に送信する際に、コネクテッド状態に遷移すべき所定の条件を満たすか否かを示す所定の情報を含むメッセージを送信する処理について説明する。
【0019】
<第1実施形態>
(端末装置の構成)
図3に、本実施形態に係る端末装置102のハードウェア構成例を示す。端末装置102は、一例において、プロセッサ301、ROM302、RAM303、記憶装置304、通信回路305、及びバッテリ306を有する。端末装置102では、例えばROM302、RAM303及び記憶装置304のいずれかに記録された、4ステップRACHまたは2ステップRACHにおける端末装置102の各機能を実現するプログラムがプロセッサ301により実行される。なお、プロセッサ301は、CPU(中央処理装置)、ASIC(特定用途向け集積回路)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)等の1つ以上のプロセッサでありうる。
【0020】
端末装置102は、例えばプロセッサ301により通信回路305を制御して、相手装置(例えば、基地局装置)との間の通信を行う。なお、図3では、端末装置は、1つの通信回路305を有するような概略図を示しているが、これに限られない。例えば、端末装置102は、基地局装置101との通信用の通信回路と、例えば無線LAN等の通信用の通信回路とを有していてもよい。また、端末装置102は、充放電が可能な二次電池などのバッテリ306を備え、図3に示す端末装置102の構成要素には、バッテリ306から電力が供給される。
【0021】
なお、端末装置102は、各機能を実行する専用のハードウェアを備えてもよいし、一部をハードウェアで実行し、プログラムを動作させるコンピュータでその他の部分を実行してもよい。また、全機能がコンピュータとプログラムにより実行されてもよい。
【0022】
次に、図4を参照して本実施形態に係る端末装置102の機能構成例を示す。端末装置102は、その機能として、通信制御部401、接続処理部402、ユーザデータ管理部403、状態制御部404、閾値取得部405、及びバッテリ制御部406を有する。なお、端末装置は、一般的な端末装置としての更なる機能を当然に有しうるが、ここでは説明を簡単にするために省略している。
【0023】
通信制御部401は、端末装置102が基地局装置101との間で実行する通信(例えば5Gの通信規格に準拠した無線通信)を制御する。通信制御部401は、例えば、基地局装置101との間の通信を実行するための各種制御を実行する。通信制御部401は、一例において、5G規格に準拠した無線通信のための各種制御を実行する。接続処理部402は、通信制御部401を介して、2ステップRACH又は4ステップRACHを実行することにより、基地局装置101との間の接続を確立する。
【0024】
ユーザデータ管理部403は、基地局装置101と送受信するユーザデータを一時的に保持する。状態制御部404は、アイドル(RRC_Idle)状態、インアクティブ状態、及びコネクテッド状態を含む、基地局装置101との接続状態を管理する。アイドル状態とは、待受け状態の一種であり、基地局装置101と端末装置102との間で接続が確立されておらず、基地局装置101において端末装置102のコンテキスト情報が保持されていない状態である。インアクティブ状態も、待受け状態の一種であり、基地局装置101(または基地局装置101と通信可能なネットワークノード)と端末装置102との間で接続が確立されておらず、基地局装置101及びネットワークノードが、端末装置102のコンテキスト情報を保持している状態である。一例では、端末装置102は、インアクティブ状態において、制御部への電源供給は行うが、無線通信部への電源供給を行わない。これによって、端末装置102の消費電力を抑えることができる。コネクテッド状態とは、基地局装置101が、端末装置102のためにリソースを割り当てており、ユニキャストの通信が可能な状態である。
【0025】
閾値取得部405は、状態制御部404で管理されている状態をコネクテッド状態へ遷移させるべきか否かを判定するために使用する閾値を取得する。一例では、閾値取得部405は、基地局装置101が送信するブロードキャスト信号から閾値の情報を取得してもよい。また、閾値取得部405は、基地局装置101との間の接続が切断され、状態制御部404で管理されている状態がインアクティブ状態に遷移する際の個別メッセージにより、閾値の情報を取得してもよい。バッテリ制御部406は、端末装置102が有するバッテリ306の充電及び放電を含む動作を制御する。また、バッテリ制御部406は、バッテリ306の残電量を取得可能である。
【0026】
状態制御部404は、上述した接続処理部402、ユーザデータ管理部403、閾値取得部405、及びバッテリ制御部406のうちの少なくとも何れかからの情報に基づいて、端末装置102の状態を制御する。
【0027】
例えば、ユーザデータ管理部403に格納されたユーザデータがある場合であって、状態制御部404で管理されている状態がインアクティブ状態またはアイドル状態である場合には、接続処理部402は、4ステップRACH又は2ステップRACHを実行する。このとき、状態制御部404で管理されている状態がアイドル状態である場合には、その状態がコネクテッド状態に遷移して、通信制御部401はその状態遷移後にユーザデータの通信を行う。一方、状態制御部で管理されている状態がインアクティブ状態である場合には、ユーザデータ管理部403に格納されたユーザデータのうち、所定のサイズより小さいユーザデータをメッセージに含めて送信しうる。また、通信制御部401は、端末装置102がコネクテッド状態にある場合に、基地局装置101によって割り当てられたリソースにおいて、ユーザデータ管理部403に格納されたユーザデータを送受信する。
【0028】
また、状態制御部404は、ユーザデータ管理部403が保持するユーザデータの量などに応じて、インアクティブ状態またはアイドル状態からコネクテッド状態への遷移を試行するかを判定する。そして、状態制御部404は、コネクテッド状態へ遷移すべきであると判定すると、4ステップRACH又は2ステップRACHを実行する。例えば、状態制御部404は、インアクティブ状態において、RACHフェーズ中のメッセージ3やメッセージAによってユーザデータの送信が完了する程度にユーザデータの量が少ない場合には、コネクテッド状態に遷移しないように判定しうる。
【0029】
一例では、端末装置102は、ユーザデータ管理部403が有しているユーザデータの量が、所定の数のメッセージ3だけでは送信できないと判定した場合に、コネクテッド状態へ遷移すべき条件を満たすと判定してもよい。例えば、端末装置102は、送信すべきユーザデータを有している場合に、ユーザデータの量が少ない場合には、コネクテッド状態に遷移してユーザデータの送信を行うのではなく、1つ以上のメッセージ3でそのユーザデータを送信するよう判定する。
【0030】
別の例では、端末装置102は、基地局装置101に送信したユーザデータの履歴に基づいて、トラフィックパターンを予測してもよい。例えば、端末装置102が周期的にユーザデータの送受信を必要とするプログラムを実行している場合、前記ユーザデータ管理部403は、トラフィックの発生パターンを特定し、発生周期又は次の発生タイミングまでの時間が所定の時間間隔より短い場合に、コネクテッド状態へ遷移すべき条件を満たすと判定してもよい。別の例では、ユーザデータ管理部403が有しているユーザデータの量の履歴に基づいて、送信すべきユーザデータの量を予測し、ユーザデータの予測量がメッセージ3だけでは送信できなくなると判定した場合にコネクテッド状態へ遷移すべきであると判定してもよい。
【0031】
一例では、状態制御部404の、インアクティブ状態からコネクテッド状態への遷移を試行するか否かの判定は、バッテリ制御部406で取得した、端末装置102のバッテリ残量に基づいてもよい。例えば、バッテリ残量が少ない場合には、バッテリ残量が多い場合と比較して、ユーザデータ管理部403が保持するデータの量が多い状況でもコネクテッド状態への遷移を試行しないようにしうる。これによれば、バッテリ残量が少ない場合に、インアクティブ状態が維持される確率が高まり、バッテリの消費を抑えることができる。
【0032】
(基地局装置の構成)
図5に、本実施形態に係る基地局装置101のハードウェア構成例を示す。基地局装置101は、一例において、プロセッサ501、ROM502、RAM503、記憶装置504、及び通信回路505を有する。これらの構成要素は、端末装置102のプロセッサ301、ROM302、RAM303、記憶装置304、及び通信回路305と同様のため、説明を省略する。なお、基地局装置101は、例えば、端末装置102との通信用の通信回路と、ネットワークノードとの通信用の通信回路とを有してもよい。
【0033】
図6に、本実施形態に係る基地局装置101の機能構成例を示す。基地局装置101は、その機能として、通信制御部601、接続処理部602、状態制御部603、ユーザデータ管理部604、閾値判定部605、及び閾値通知部606を有する。なお、基地局装置101は、一般的な基地局装置としての更なる機能を当然に有しうるが、ここでは説明を簡単にするために省略している。
【0034】
通信制御部601は、端末装置が基地局装置との間で実行する通信(例えば5Gの通信規格に準拠した無線通信)を制御する。通信制御部601は、例えば、基地局装置との間の通信を実行するための各種制御を実行する。通信制御部601は、一例において、5G規格に準拠した無線通信のための各種制御を実行する。接続処理部602は、通信制御部601を介して、端末装置が開始した2ステップRACH又は4ステップRACHのメッセージ処理を行うことにより、端末装置との間の接続の確立を行う。
【0035】
状態制御部603は、インアクティブ状態にある端末装置102からの4ステップRACHのメッセージ3や2ステップRACHのメッセージAに基づいて、後述するように、コネクテッド状態への遷移を指示するか否かを判定する。
【0036】
ユーザデータ管理部604は、端末装置102から受信したユーザデータ及び端末装置102に送信するユーザデータを一時的に格納する。
【0037】
閾値判定部605は、端末装置102に対して、コネクテッド状態への遷移を指示するか否かを判定するために用いる閾値を決定する。閾値通知部606は、閾値判定部605が決定した閾値を端末装置102に通知するための信号(例えばブロードキャスト信号(RACH Config)や、端末装置102をインアクティブ状態に遷移させる際のメッセージを含んだ信号(RRCRelease with suspendConfig))を生成する。閾値通知部606が生成した信号は、通信制御部601によって端末装置102へ通知される。
【0038】
(処理の流れ)
続いて、本実施形態に係る処理の流れの例について、図7図8を用いて説明する。図7(A)は、4ステップRACHにおいて、基地局装置とインアクティブ状態にある端末装置との間でユーザデータを送受信し、端末装置102がコネクテッド状態へ遷移すべき条件を満たさないことを基地局装置101に通知する場合のメッセージの例を示している。図7(B)は、4ステップRACHにおいて、基地局装置とインアクティブ状態にある端末装置との間でユーザデータを送受信し、端末装置102がコネクテッド状態へ遷移すべき条件を満たすことを基地局装置101に通知する場合のメッセージの例を示している。図8は、図7(A)および図7(B)に示すメッセージ処理において、端末装置102および基地局装置101が実行する処理の例を示している。
【0039】
図7(A)および図7(B)において、まず、端末装置102は基地局装置101にメッセージ1(メッセージ701)を送信する。メッセージ701は、従来の4ステップRACHのランダムアクセスプリアンブルと同様である。続いて、基地局装置101は、メッセージ701への応答としてメッセージ2(メッセージ702)を送信する。メッセージ702は、従来の4ステップRACHのランダムアクセスレスポンスと同様である。
【0040】
続いて、基地局装置101からメッセージ702を受信した端末装置102は、ユーザデータを含むメッセージ3(メッセージ703、713)を基地局装置101に送信する。ここで、端末装置102は、コネクテッド状態へ遷移すべき条件を満たした場合には、ユーザデータとRRCResumeRequestとを含むメッセージ713を送信する。一方、コネクテッド状態へ遷移すべき条件を満たしていない場合には、ユーザデータを含むが、RRCResumeRequestは含まないメッセージ703を送信する。RRCResumeRequestとは、コネクテッド状態への遷移を要求するためのメッセージであり、ここでは、基地局装置101に対してコネクテッド状態への遷移を端末装置102に指示するためのRRCResumeを含むメッセージ4の送信を要求するメッセージである。これによって、メッセージ3を受信した基地局装置101は、メッセージ3にRRCResumeRequestが含まれるか否かを判定することで、端末装置102がコネクテッド状態へ遷移すべきか否かを判定することができる。なお、ユーザデータおよびRRCResumeRequestの少なくとも何れかはPUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)で送信される。
【0041】
基地局装置101は、受信したメッセージ3がRRCResumeRequestを含まないメッセージ703である場合は、コネクテッド状態への遷移を指示するRRCResumeを含まないメッセージ4(メッセージ704)を端末装置102に送信する。メッセージ704を受信した端末装置102は、インアクティブ状態を維持する。一方、基地局装置101は、受信したメッセージ3がRRCResumeRequestを含むメッセージ713である場合は、Contention Resolutionにコネクテッド状態への遷移を指示するRRCResumeを含むメッセージ4(メッセージ714)を端末装置102に送信する。メッセージ714を受信した端末装置102は、インアクティブ状態からコネクテッド状態へ遷移するRRCResumeComplete(メッセージ715)を基地局装置101に送信し、残りのユーザデータの送受信を行う。なお、端末装置102は、メッセージ715にユーザデータを含んでもよい。
【0042】
次に、図8(A)を参照して本実施形態に係る端末装置102が4ステップRACHで実行する処理の例について説明する。図8(A)の処理は、端末装置102のユーザデータ管理部403に送信すべきデータがあると判定された場合にプロセッサ301が所定のプログラムを実行することで開始される。
【0043】
まず、S801で端末装置102は、4ステップRACHのメッセージ1を基地局装置101に送信する。続いて、処理をS802に進め、メッセージ1への応答であるメッセージ2を受信するまで待機する。メッセージ2を受信したと判定した場合(S802でYes)は、端末装置102は処理をS803に進め、コネクテッド状態へ遷移すべき所定の条件を満たすか否かを判定する。一例では、ユーザデータ管理部403が、まだ送信していない所定の量以上のユーザデータを保持している場合にコネクテッド状態へ遷移すべき所定の条件を満たすと判定し、送信していないユーザデータの量が所定の量未満である場合にコネクテッド状態に遷移しないと判定してもよい。別の例としては、端末装置102は、上述したように、バッテリ残量やトラフィックパターンに基づいて所定の条件を満たすか否かを判定してもよい。
【0044】
コネクテッド状態へ遷移すべき所定の条件を満たすと判定した場合(S803でYes)は、端末装置102は処理をS804に進め、ユーザデータとRRCResumeRequestとを含むメッセージ3を基地局装置に送信し、処理をS806に進める。一方、コネクテッド状態へ遷移すべき所定の条件を満たさないと判定した場合(S803でNo)は、端末装置102は処理をS805に進め、ユーザデータを含むが、RRCResumeRequestを含まないメッセージ3を基地局装置に送信し、処理をS806に進める。
【0045】
S806では、端末装置102はメッセージ3への応答であるメッセージ4を受信するまで待機する。
【0046】
メッセージ4を受信したと判定した場合(S806でYes)、端末装置102は処理をS807に進め、受信したメッセージ4にRRCResumeが含まれるか否かを判定する。受信したメッセージ4にRRCResumeが含まれないと判定した場合(S807でNo)、端末装置102は図8(A)の処理を終了する。一方、受信したメッセージ4にRRCResumeが含まれると判定した場合(S807でYes)は、端末装置102は処理をS808に進め、コネクテッド状態へ遷移し、RRCResumeCompleteを基地局装置101に送信する。続いて、処理をS809に進め、ユーザデータの送受信を行い、図8(A)の処理を終了する。
【0047】
次に、図8(B)を参照して本実施形態に係る基地局装置101が4ステップRACHで実行する処理の例について説明する。図8(B)の処理は、基地局装置101の起動時などに、基地局装置101のプロセッサ501が所定のプログラムを実行することで開始される。
【0048】
まず、基地局装置101はS851で、端末装置からのメッセージ1を待ち受ける。メッセージ1を受信したと判定した場合(S851でYes)、基地局装置101は処理をS852に進め、メッセージ1への応答としてメッセージ2を送信する。続いて、基地局装置101は処理をS853に進め、メッセージ3を受信するまで待ち受ける。メッセージ3を受信したと判定した場合(S853でYes)、基地局装置101は処理をS854に進め、受信したメッセージ3にRRCResumeRequestが含まれるか否かを判定する。
【0049】
受信したメッセージ3にRRCResumeRequestが含まれないと判定した場合(S854でNo)は、基地局装置101は処理をS855に進め、端末装置102は少量のユーザデータを送ればよく、コネクテッド状態へ遷移すべきではないと判定してRRCResumeを含まないメッセージ4を送信してS851に処理を戻す。一方、受信したメッセージ3にRRCResumeRequestが含まれると判定した場合(S854でYes)は、基地局装置101は処理をS856に進め、端末装置102がコネクテッド状態へ遷移すべきであると判定し、RRCResumeを含むメッセージ4を送信する。続いて、基地局装置101は処理をS857に進め、RRCResumeCompleteを待ち受ける。RRCResumeCompleteを受信した場合(S857でYes)は、基地局装置101は処理をS858に進め、端末装置102と通信を行い、通信が完了するなどして端末装置102がインアクティブ状態に戻ると、処理をS851に戻す。
【0050】
なお、基地局装置101は、S854で受信したメッセージ3に含まれるユーザデータに対する肯定応答(ACK)をS855またはS856でメッセージ4に含めて送信してもよい。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る端末装置は、ランダムアクセス手順において、インアクティブ状態からコネクテッド状態へと遷移すべき所定の条件を満たす場合に、コネクテッド状態へ遷移すべきであることを基地局装置に通知する所定の情報を含めてメッセージを送信する。所定の条件とは、送信すべきユーザデータの量や、バッテリ残量、トラフィックパターンに基づいてもよい。コネクテッド状態へ遷移すべきであることを基地局装置に通知する所定の情報とは、RRCResumeRequestを含む。また、基地局装置は、所定の条件に関する情報を端末装置に送信してもよい。
【0052】
また、本実施形態に係る基地局装置は、インアクティブ状態にある端末装置からユーザデータを含む第1のメッセージを受信すると、第1のメッセージが所定の情報を含む場合には端末装置にコネクテッド状態への遷移の指示を含むメッセージを送信する。遷移の指示は、RRCResumeを含む。
【0053】
これによって、基地局装置は、端末装置に適切にコネクテッド状態への遷移を指示することができ、周波数利用効率の低下を防ぐことができる。
【0054】
<第2実施形態>
第1実施形態では、端末装置は、コネクテッド状態へ遷移すべきである場合にはランダムアクセス手順においてRRCResumeRequestを含むメッセージを送信する。第2実施形態では、コネクテッド状態へ遷移すべきである場合には、ランダムアクセス手順において端末装置が送信すべきユーザデータの量に関する情報を含むメッセージを送信する端末装置を含む無線通信システムの一例について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成または処理については同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0055】
本実施形態に係る処理の流れの例について、図9及び図10を用いて説明する。図9(A)は、4ステップRACHにおいて、基地局装置とインアクティブ状態にある端末装置との間でユーザデータを送受信し、端末装置102がコネクテッド状態へ遷移すべき条件を満たさないことを基地局装置101に通知する場合のメッセージの例を示している。図9(B)は、4ステップRACHにおいて、基地局装置とインアクティブ状態にある端末装置との間でユーザデータを送受信し、端末装置102がコネクテッド状態へ遷移すべき条件を満たす場合に、端末装置が送信すべきユーザデータの量に関する情報を基地局装置101に通知する場合のメッセージの例を示している。
【0056】
メッセージ3において、端末装置102がコネクテッド状態へ遷移すべきである場合には、図9(B)に示すように、端末装置102はBuffer Status Reportを含むメッセージ901を送信する。一方、コネクテッド状態へ遷移すべきではない場合には、図9(A)に示すように、Buffer Status Reportを含まないメッセージ902を送信する。
【0057】
基地局装置101は、受信したメッセージ3がBuffer Status Reportを含むメッセージ901である場合には、端末装置102がコネクテッド状態へ遷移すべきであると判定してRRCResumeを含むメッセージ714を端末装置102に送信する。一方、受信したメッセージ3がBuffer Status Reportを含まないメッセージ902である場合には、基地局装置101は端末装置102がコネクテッド状態へ遷移すべきではないと判定してRRCResumeを含まないメッセージ704を端末装置102に送信する。
【0058】
次に、図10(A)を参照して本実施形態に係る端末装置102が4ステップRACHで実行する処理の例について説明する。図10(A)の処理は、端末装置102のユーザデータ管理部403に送信すべきデータがあると判定された場合にプロセッサ301が所定のプログラムを実行することで開始される。
【0059】
S801~S803は第1実施形態と同様の処理であるため説明を省略する。コネクテッド状態へ遷移すると判定した場合(S803でYes)、端末装置102は処理をS1001に進め、端末装置102はユーザデータとBuffer Status Reportとを含むメッセージ3を基地局装置101に送信し、処理をS806に進める。一方、コネクテッド状態へ遷移しないと判定した場合(S803でNo)は、端末装置102は処理をS1002に進め、ユーザデータを含むが、Buffer Status Reportを含まないメッセージ3を基地局装置に送信し、処理をS806に進める。以降の端末装置102の処理は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0060】
なお、一例では、端末装置102は、ユーザデータ管理部403が有しているユーザデータの量が所定の閾値より多いか否かを示す情報を送信してもよい。
【0061】
次に、図10(B)を参照して本実施形態に係る基地局装置101が4ステップRACHで実行する処理の例について説明する。図10(B)の処理は、基地局装置101の起動時などに、基地局装置101のプロセッサ501が所定のプログラムを実行することで開始される。
【0062】
S851~S853の処理は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。メッセージ3を受信したと判定した場合(S853でYes)、基地局装置101は処理をS1051に進め、受信したメッセージ3にBuffer Status Reportが含まれるか否かを判定する。
【0063】
受信したメッセージ3にBuffer Status Reportが含まれないと判定した場合(S1051でNo)は、基地局装置101は処理をS855に進め、端末装置102はコネクテッド状態へ遷移すべき所定の条件を満たさないと判定してRRCResumeを含まないメッセージ4を送信してS851に処理を戻す。一方、受信したメッセージ3にBuffer Status Reportが含まれると判定した場合(S1051でYes)は、基地局装置101は処理をS856に進め、端末装置102がコネクテッド状態へ遷移すべき所定の条件を満たすと判定し、RRCResumeを含むメッセージ4を送信する。以降の基地局装置101の処理は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0064】
以上説明したように、本実施形態に係る端末装置は、ランダムアクセス手順において、インアクティブ状態からコネクテッド状態へと遷移すべき所定の条件を満たす場合に、コネクテッド状態へ遷移すべきであることを基地局装置に通知する所定の情報としてBuffer Status Reportを含めてメッセージを送信する。
【0065】
<第3実施形態>
第3実施形態では、端末装置から受信したメッセージに、コネクテッド状態へ遷移すべきであることを示す情報が含まれている場合に、当該情報に基づいて、端末装置にコネクテッド状態への遷移を指示するか否かをさらに判定する基地局装置について説明する。なお、第1実施形態又は第2実施形態と同様の構成または処理については同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0066】
本実施形態に係る処理の流れの例について、図11及び図12を用いて説明する。図11(A)は、4ステップRACHにおいて、端末装置102がコネクテッド状態へ遷移すべき条件を満たす場合に、端末装置が送信すべきユーザデータの量に関する情報を基地局装置101に通知するが、基地局装置101がコネクテッド状態への遷移を指示しない場合のメッセージの例を示す。図11(B)は、4ステップRACHにおいて、端末装置102がコネクテッド状態へ遷移すべき条件を満たす場合に、端末装置が送信すべきユーザデータの量に関する情報を基地局装置101に通知し、基地局装置101がコネクテッド状態への遷移を指示する場合のメッセージの例を示す。
【0067】
図11(A)および図11(B)において、メッセージ3において、端末装置102がコネクテッド状態へ遷移すべきである場合には、端末装置102はBuffer Status Reportを含むメッセージ1101を送信し、コネクテッド状態へ遷移すべきではない場合には、Buffer Status Reportを含まないメッセージ3を送信する。
【0068】
基地局装置101は、受信したメッセージ3(メッセージ1103)がBuffer Status Reportを含む場合には、Buffer Status Reportに基づいて、端末装置102をコネクテッド状態へ遷移させるか否かを判定する。例えば、基地局装置101は、端末装置102が送信すべきデータ量を受信し、当該送信すべきデータ量が所定の量より少ない場合には、RRCRejectを含むメッセージ1104を送信し、端末装置102にコネクテッド状態へ遷移させなくてもよい。一方、送信すべきデータ量が所定の量以上である場合には、RRCResumeを含むメッセージ1114を送信し、端末装置102にコネクテッド状態への遷移を指示する。
【0069】
なお、受信したメッセージ3がBuffer Status Reportを含まないメッセージ3である場合には、第2実施形態と同様に、基地局装置101は端末装置102がコネクテッド状態へ遷移すべきではないと判定してRRCResumeを含まないメッセージ4を端末装置102に送信する。
【0070】
次に、図12を参照して本実施形態に係る基地局装置101が4ステップRACHで実行する処理の例について説明する。図12の処理は、基地局装置101の起動時などに、基地局装置101のプロセッサ501が所定のプログラムを実行することで開始される。なお、本実施形態に係る端末装置102が4ステップRACHで実行する処理は、第2実施形態と同様のため、説明を省略する。
【0071】
S851~S853の処理は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。メッセージ3を受信したと判定した場合(S853でYes)、基地局装置101は処理をS1251に進め、受信したメッセージ3にBuffer Status Reportが含まれるか否かを判定する。
【0072】
受信したメッセージ3にBuffer Status Reportが含まれないと判定した場合(S1251でNo)は、基地局装置101は処理をS1253に進め、端末装置102は少量のユーザデータを送ればよく、コネクテッド状態へ遷移すべきではないと判定してRRCRejectを含むメッセージ4を送信して処理を終了する。一方、受信したメッセージ3にBuffer Status Reportが含まれると判定した場合(S1251でYes)は、基地局装置101は処理をS1252に進め、端末装置102から受信したBuffer Status Reportに含まれる、端末装置102が送信すべきユーザデータの量が閾値より大きいか否かを判定する。一例では、当該閾値は閾値判定部605によって判定された閾値である。Buffer Status Reportに含まれる、送信すべきユーザデータの量が閾値より大きい場合(S1252でYes)は処理をS1254に進め、基地局装置101は、RRCResumeを含むメッセージ4を端末装置102に送信して、コネクテッド状態への遷移を指示する。一方、送信すべきユーザデータの量が閾値以下である場合(S1252でNo)は、基地局装置101は処理をS1253に進め、RRCRejectを含むメッセージ4を端末装置102に送信し、コネクテッド状態への遷移を拒否する。一例では、基地局装置101は、端末装置102がコネクテッド状態に遷移すべき所定の条件を満たさないと判定した場合は、RRCRelease with suspendConfigを送信してもよい。以降の基地局装置101の処理は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0073】
以上説明したように、本実施形態に係る基地局装置は、インアクティブ状態にある端末装置からユーザデータを含む第1のメッセージを受信すると、第1のメッセージに含まれる所定の量以上のユーザデータ量を示すBuffer Status Reportが含まれるか否かに基づいて、端末装置がコネクテッド状態への遷移を指示する。これによって、端末装置に適切にコネクテッド状態への遷移を指示することができ、周波数利用効率の低下を防ぐことができる。
【0074】
<第4実施形態>
第4実施形態では、2ステップのランダムアクセス手順において、端末装置から受信したメッセージに、コネクテッド状態へ遷移すべきであることを示す情報が含まれている場合には、端末装置にコネクテッド状態への遷移を指示すると判定してメッセージを送信する無線通信システムの処理の例を説明する。なお、第1実施形態から第3の実施形態のいずれかと同様の構成または処理については同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0075】
本実施形態に係る処理の流れの例について、図13及び図14を用いて説明する。図13(A)は、2ステップRACHにおいて、基地局装置とインアクティブ状態にある端末装置との間でユーザデータを送受信し、端末装置102がコネクテッド状態へ遷移すべき条件を満たさないことを基地局装置101に通知する場合のメッセージの例を示している。図13(B)は、2ステップRACHにおいて、基地局装置とインアクティブ状態にある端末装置との間でユーザデータを送受信し、端末装置102がコネクテッド状態へ遷移すべき条件を満たすことを基地局装置101に通知する場合のメッセージの例を示している。
【0076】
図13(A)において、まず、端末装置102は基地局装置101にメッセージAを送信する。メッセージAは、ランダムアクセスプリアンブル(RAプリアンブル)と、ユーザデータとを含む。ユーザデータは、PUSCHで送信される。端末装置102がコネクテッド状態へ遷移すべき所定の条件を満たさない場合には、図13(A)に示すように、RRCResumeRequestを含まないメッセージAであるメッセージ1301を送信する。一方、端末装置102がコネクテッド状態へ遷移すべき所定の条件を満たす場合には、図13(B)に示すように、RRCResumeRequestを含むメッセージAであるメッセージ1311を送信する。
【0077】
図13(A)に示すように、基地局装置101は、RRCResumeRequestを含まないメッセージ1301を受信すると、応答として、ランダムアクセスレスポンス(RAレスポンス)、Contentin Resolution、及びユーザデータを含むメッセージB(メッセージ1302)を送信する。一例では、メッセージ1302に含まれるユーザデータは、メッセージ1301に含まれるユーザデータに対するACKを含む。一方、図13(B)に示すように、基地局装置101が、RRCResumeRequestを含むメッセージ1311を受信すると、応答として、応答として、RAレスポンス、Contentin Resolution、及びユーザデータに加え、RRCResumeを含むメッセージBとしてメッセージ1312を送信する。端末装置102は、メッセージ1302を受信すると、コネクテッド状態への遷移を指示されていないと判定し、インアクティブ状態を維持して2ステップのRACHを終了する。一方、メッセージ1312を受信した端末装置102は、RRCResumeComplete1313を送信して、コネクテッド状態へと遷移し、ユーザデータの送受信を行う。
【0078】
次に、図14(A)を参照して本実施形態に係る端末装置102が2ステップRACHで実行する処理の例について説明する。図14(A)の処理は、端末装置102のユーザデータ管理部403に送信すべきデータがあると判定された場合にプロセッサ301が所定のプログラムを実行することで開始される。
【0079】
まず、S1401で端末装置102は、コネクテッド状態へ遷移すべきであるか否かを判定する。判定は、上述したように、所定の量以上のユーザデータをユーザデータ管理部403が有していると端末装置102が判定した場合に、端末装置102はコネクテッド状態へ遷移すべきであると判定してもよい。
【0080】
コネクテッド状態へ遷移すべきであると判定した場合(S1401でYes)は、端末装置102は処理をS1402に進め、RRCResumeRequestを含むメッセージAを送信する。一方、コネクテッド状態へ遷移すべきではないと判定した場合(S1401でNo)は、端末装置102は処理をS1403に進め、RRCResumeRequestを含まないメッセージAを送信する。当該メッセージAは、RRCResumeRequestを含むか含まないかに関わらずユーザデータを含んでもよい。
【0081】
次に、端末装置102は処理をS1404に進め、端末装置102は基地局装置101からメッセージBを受信するまで待機する。メッセージBを受信したと判定した(S1404でYes)場合は、端末装置102は処理をS1405に進め、受信したメッセージBがRRCResumeを含むか否かを判定する。受信したメッセージBがRRCResumeを含まない(S1405でNo)場合は、端末装置102は図14(A)の処理を終了する。一方、受信したメッセージBがRRCResumeを含む(S1045でYes)場合は、端末装置102は処理をS1406に進める。S1406及びS1407の処理は、図8のS808及びS809と同様のため、説明を省略する。
【0082】
次に、図14(B)を参照して本実施形態に係る基地局装置101が2ステップRACHで実行する処理の例について説明する。図14(B)の処理は、基地局装置101の起動時などに、基地局装置101のプロセッサ501が所定のプログラムを実行することで開始される。
【0083】
まず、S1451で、基地局装置101は2ステップRACHのメッセージAを待受ける。メッセージAを受信したと判定した場合(S1451でYes)、端末装置102は処理をS1452に進め、受信したメッセージAにRRCResumeRequestを含むか否かを判定する。メッセージAにRRCResumeRequestを含むと判定すると、基地局装置101は処理をS1454に進め、RRCResumeを含むメッセージBを端末装置102に送信する。一方、メッセージAにRRCResumeRequestが含まれないと判定すると、基地局装置101は処理をS1453に進め、RRCResumeを含まないメッセージBを送信する。なお、メッセージBは、ユーザデータを含んでもよく、一例では、受信したメッセージAに含まれるユーザデータに対するACKを含んでもよい。以降のS1455及びS1456の処理は図8のS857及びS858と同様のため、説明を省略する。
【0084】
以上説明したように、本実施形態に係る端末装置は、2ステップのランダムアクセス手順において基地局装置とユーザデータを送受信する場合に、コネクテッド状態へ遷移すべきであることを示す情報として端末装置が送信すべきユーザデータの量に関する情報を含めてメッセージを送信する。これによって、基地局装置は、端末装置にコネクテッド状態への遷移を指示するか否かを判定することができ、適切なメッセージ処理を行うことができ、周波数利用効率の低下を防ぐことができる。
【0085】
<その他の実施形態>
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【0086】
例えば、第4実施形態で説明した2ステップRACHのメッセージ処理において、端末装置がコネクテッド状態への遷移が必要であると判定すると、第3実施形態で説明したようにBuffer Status Reportを含むメッセージAを送信してもよい。
【符号の説明】
【0087】
101:基地局装置、102:端末装置、301:プロセッサ、302:ROM、303:RAM、304:記憶装置、305:通信回路、306:バッテリ
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