(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】火災報知設備
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20240502BHJP
【FI】
G08B17/00 E
G08B17/00 C
(21)【出願番号】P 2019214440
(22)【出願日】2019-11-27
【審査請求日】2022-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】小山 清明
【審査官】山中 実
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-162199(JP,A)
【文献】実開昭60-000695(JP,U)
【文献】特開2018-124712(JP,A)
【文献】特開平01-112484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信機
に火報用火災感知器、連動用火災感知器及び所定の連動用機器が接続された火災報知設備に於いて、
前記受信機に、
前記火報用火災感知器の検出値に基づき
火災と判断し火災警報を出力する
と共に、前記火災とは別に、前記火災の判断とは異なる所定の条件を充足した場合に火災確定と判断する火報制御部と、
前記連動用火災感知器の検出値に基づき
火災と判断し前記連動用機器を連動制御する連動制御部と、
前記火報制御部で
前記火災確定が判断された場合に、前記連動制御部において
前記火災と判断しやすい方向に感度を変更する感度変更部と、
が設けられたことを特徴とする火災報知設備。
【請求項2】
請求項
1記載の火災報知設備に於いて、
前記
火報制御部は
、前記
所定の条件として、少なくとも2台の前記火報用火災感知器の検出値により火災を
判断した場合、信号回線に接続された発信機からの火災通報信号を受信した場合、又は、前記受信機に設けられた火災断定スイッチの火災断定操作が検出された場合に、前
記火災確定
と判断することを特徴とする火災報知設備。
【請求項3】
請求項1記載の火災報知設備に於いて、
前記受信機に対しネットワーク回線を介して1又は複数の中継盤が接続され、前記中継盤から引き出された信号回線に火報用火災感知器、連動用火災感知器及び所定の連動用機器が接続されており、
前記中継盤に、
前記火報用火災感知器の検出値に基づき
火災と判断し前記受信機から火災警報を出力させる
と共に、前記火災とは別に、前記火災の判断とは異なる所定の条件を充足した場合に火災確定と判断する火報制御部と、
前記連動用火災感知器の検出値に基づき
火災と判断し前記連動用機器を連動制御する連動制御部と、
前記火
報制御部で
前記火災確定が判断された場合に、前記連動制御部において
前記火災と判断しやすい方向に感度を変更する感度変更部と、
が設けられたことを特徴とする火災報知設備。
【請求項4】
受信機と、
前記受信機において火災および火災確定の判断に供する信号を前記受信機に出力する火報用火災感知器と、
前記受信機において所定の連動用機器を連動動作させるかどうか判断に供され、前記受信機において火災警報を行うかどうかの判断には供されない信号を前記受信機に出力する連動用火災感知器と、
を備える火災報知設備に於いて、
前記受信機に、
前記火報用火災感知器の検出値に基づき火災を判断し火災警報を出力すると共に、前記火災とは別に、前記火災の判断とは異なる所定の条件を充足した場合に火災確定と判断する火報制御部と、
前記連動用火災感知器の検出値に基づき、前記連動用機器を連動制御する連動制御部と、
前記火報制御部で前記火災確定が判断された場合に、前記連動制御部において前記連動用機器を連動動作させやすい方向に感度を変更する感度変更部と、
が設けられたことを特徴とする火災報知設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信機から引き出された信号回線に固有のアドレスが設定された火災感知器や防排煙機器等の端末を接続して火災を監視する火災報知設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、R型として知られた火災報知設備にあっては、受信機から引き出された信号回線に、固有のアドレスが設定された伝送機能を有する火報用の火災感知器を接続すると共に、防火シャッター等の防排煙機器を連動制御するための連動用の火災感知器を接続し、通常監視状態では、感知器アドレスを順次指定した火災感知器の呼出しにより煙濃度や温度等の検出値を収集して監視しており、火災時には、火報用の火災感知器からの火災割込み信号に基づき、受信機から検索コマンドを発行して発報した火災感知器のアドレスを特定して検出値を収集し、検出値が所定の火報閾値を超えた場合に火災と判断して火災警報を出力させている。
【0003】
また、火災時には、連動用の火災感知器からの火災割込み信号に基づき、同様に、発報した連動用火災感知器のアドレスを特定して煙濃度や温度等の検出値を収集し、検出値が所定の連動閾値を超えた場合に火災と判断し、連動先となる例えば防火シャッターのアドレスを指定した制御信号の送信により閉鎖駆動して防火区画を形成させる連動制御が行われる。
【0004】
ここで、火報用の火災感知器の検出値から火災を判断する火報閾値は、例えば2種感度に対応した閾値に設定され、一方、連動用の火災感知器の検出値から火災判断して防火シャッター等の連動機器を作動させる連動閾値は、例えば3種感度に対応した低感度の閾値としている。
【0005】
その理由は、2種感度に相当する火災判断で火災を警報して避難させた後に、感度の低い3種感度に相当する火災判断で防火シャッターを閉鎖させて防火区画を形成するためである。
【0006】
また、受信機に設定された2種感度の火報閾値は、2種感度の範囲内で変更することが可能であり、例えば、人が在室している昼間の時間帯は2種感度の閾値を高めの値に設定して低感度とし、無人となる夜間の時間帯は2種感度の閾値を低めの値に設定して高感度とするタイムスケジュールに従った感度変更が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2007-265353号公報
【文献】特開2017-204807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような火災報知設備にあっては、火災が発生した場合に、火報用の煙感知器からの煙濃度に対し2種感度の閾値に基づく火災の判断により火災警報が出力されたが、連動用の煙感知器からの煙濃度に対し3種感度の閾値による火災判断が行われず、そのため防火シャッターが作動しないというおそれがある。
【0009】
例えば、火災が発生した施設が天井の広い大空間であったとき、天井面に設置された煙感知器に流入した煙の煙濃度は例えば10%/mに設定された2種感度の火報閾値を超えるが、15%/mに設定された3種感度の火報閾値を超えるには至らず、連動制御用の煙感知器からの煙濃度では火災が判断できず、防火シャッターが正常に動作されず、防火区画が十分に形成されなかったというおそれがある。
【0010】
本発明は、火災を判断して警報する火報閾値に対し、防火シャッター等の防災機器を連動制御するために感度の低い連動閾値を設定して火災を判断していても、火災が確定した状態では確実に防災機器を動作させる連動制御を可能とする信頼性の高い火災報知設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(火災報知設備1)
本発明は、受信機に火報用火災感知器、連動用火災感知器及び所定の連動用機器が接続された火災報知設備に於いて、
受信機に、
火報用火災感知器の検出値に基づき火災と判断し火災警報を出力すると共に、火災とは別に、火災の判断とは異なる所定の条件を充足した場合に火災確定(真火災)と判断する火報制御部と、
連動用火災感知器の検出値に基づき火災と判断し連動用機器を連動制御する連動制御部と、
火報制御部で火災確定(真火災)が判断された場合に、連動制御部において火災と判断しやすい方向に感度を変更する感度変更部と、
が設けられたことを特徴とする。
【0012】
(火災報知設備2)
本発明は、受信機と、
受信機において火災および火災確定の判断に供する信号を受信機に出力する火報用火災感知器と、
受信機において所定の連動用機器を連動動作させるかどうか判断に供され、受信機において火災警報を行うかどうかの判断には供されない信号を受信機に出力する連動用火災感知器と、
を備える火災報知設備に於いて、
受信機に、
火報用火災感知器の検出値に基づき火災を判断し火災警報を出力すると共に、火災とは別に、火災の判断とは異なる所定の条件を充足した場合に火災確定と判断する火報制御部と、
連動用火災感知器の検出値に基づき、連動用機器を連動制御する連動制御部と、
火報制御部で火災確定が判断された場合に、連動制御部において連動用機器を連動動作させやすい方向に感度を変更する感度変更部と、
が設けられたことを特徴とする。
【0014】
(火災確定判断)
火報制御部は、所定の条件として、少なくとも2台の火報用火災感知器の検出値により火災を判断した場合、信号回線に接続された発信機からの火災通報信号を受信した場合、又は、受信機に設けられた火災断定スイッチの火災断定操作が検出された場合に、火災確定と判断する。
【0015】
(分散システムの中継盤)
受信機に対しネットワーク回線を介して1又は複数の中継盤が接続され、中継盤から引き出された信号回線に火報用火災感知器、連動用火災感知器及び所定の連動用機器が接続されており、
中継盤に、
火報用火災感知器の検出値に基づき火災と判断し受信機から火災警報を出力させると共に、火災とは別に、火災の判断とは異なる所定の条件を充足した場合に火災確定と判断する火報制御部と、
連動用火災感知器の検出値に基づき火災と判断し連動用機器を連動制御する連動制御部と、
火報制御部で火災確定が判断された場合に、連動制御部において火災と判断しやすい方向に感度を変更する感度変更部と、
が設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
(基本的な効果)
本発明は、受信機に火報用火災感知器、連動用火災感知器及び所定の連動用機器が接続された火災報知設備に於いて、受信機に、火報用火災感知器の検出値に基づき例えば所定の火報閾値以上又は火報閾値を超えた場合に火災と判断して火災警報を出力すると共に、火災とは別に、火災の判断とは異なる所定の条件を充足した場合に火災確定(真火災)と判断する火報制御部と、連動用火災感知器の検出値に基づき例えば火報閾値より高い所定の連動閾値以上又は連動閾値を超えた場合に火災と判断して連動用機器を連動制御する連動制御部と、火報制御部で火災確定が判断された場合に、連動制御部において火災と判断しやすい方向に感度を変更する感度変更部とが設けられたため、火報制御部で火災の確定が判断されて火災であることが間違いない場合には、予め設定された連動閾値がそれより高い感度の連動閾値、例えば、そのとき火災と判断している火報用制御部の火報閾値と同じ閾値に変更されて感度が高められ、その結果、延焼中の火災に対し連動用火災感知器からの検出値は高い感度に変更された連動閾値と比較されることで、確実に火災を判断して防火シャッター等の防排煙機器を連動制御により動作させ、防火区画の形成等により火災の延焼拡大を抑制することを可能とする。
【0018】
(感度を上げる連動閾値の変更による効果)
また、感度変更部は、火報制御部で火災確定が判断された場合に、連動制御部の連動閾値を火災確定が判断された連動閾値より低い連動閾値に変更して感度を上げるようにしたため、例えば初期設定された煙感知器の検出値となる煙濃度に対する連動閾値15%/mが、それより低い例えば連動閾値10%/mに変更されて感度が上げられることで、連動用の煙感知器の検出値から火災を判断して確実且つ速やかに防火シャッター等の防災機器を動作させることができる。
【0019】
(3種感度から2種感度への閾値変更による効果)
また、火報制御部には、火報閾値として2種感度相当の閾値が予め設定され、連動制御部には、連動閾値として3種感度相当の閾値が予め設定され、感度変更部は、火報制御部により火災確定が判断された場合、連動制御部に設定された3種感度の相当閾値を、火報制御部に設定されたと同じ2種感度相当の閾値に変更するようにしたため、煙感知器であれば、予め設定された3種感度の連動閾値15%/mが2種感度の連動閾値10%/mに変更され、また、熱感知器であれば、予め設定された3種感度の連動閾値70℃が2種感度の連動閾値65℃に変更され、3種感度相当からそれより高い2種感度相当に感度が変更されることで、連動用火災感知器の検出値から火災を判断して確実且つ速やかに防火シャッター等の防災機器を動作させることができる。
【0020】
(火災確定判断の効果)
また、火報制御部は、所定の条件として、少なくとも2台の火報用火災感知器の検出値により火災を検知した場合、信号回線に接続された発信機からの火災通報信号を受信した場合、又は、受信機に設けられた火災断定スイッチの火災断定操作が検出された場合に、火災確定と判断するようにしたため、火災の確定が判断された場合には間違いなく火災であり、誤報の問題がないことから、連動用火災感知器からの検出値に対する感度を高め、確実且つ速やかに防火シャッター等の防災機器を動作させることができる。
【0021】
(分散システムの中継盤による効果)
また、受信機に対しネットワーク回線を介して1又は複数の中継盤が接続され、中継盤から引き出された信号回線に火報用火災感知器、連動用火災感知器及び所定の連動用機器が接続されており、中継盤に、火報用火災感知器の検出値に基づき火災と判断し受信機から火災警報を出力させると共に、火災とは別に、火災の判断とは異なる所定の条件を充足した場合に火災確定と判断する火報制御部と、連動用火災感知器の検出値に基づき火災と判断し連動用機器を連動制御する連動制御部と、火報制御部で火災確定が判断された場合に、連動制御部において火災と判断しやすい方向に感度を変更する感度変更部と、が設けられたため、受信機に対しネットワーク回線を介して1又は複数の中継盤が接続された所謂分散システムにあっても、中継盤の信号回線に接続された火報用火災感知器からの検出値に基づき中継盤で火災が確定された場合に、予め設定された連動閾値がそれより低い連動閾値に変更されて感度が高められ、その結果、延焼中の火災に対し連動用火災感知器からの検出値は高い感度に変更された連動閾値と比較されることで、確実に火災と判断されて中継盤からの信号回線に接続された防火シャッター等の防排煙機器を確実に連動制御により動作させ、防火区画の形成等により火災の延焼拡大を抑制することを可能とする。
【0022】
(感度を上げる火報閾値の変更による効果)
また、感度変更部は、火報制御部により1報目の火災が判断された場合に、火報閾値を火災が判断された火報閾値より低い火報閾値に変更して感度を上げるようにし、例えば、火報制御部には、火災閾値として2種感度相当の閾値が予め設定され、感度変更部は、火報制御部により1報目の火災が判断された場合、2種感度相当の閾値を、1種感度相当の閾値に変更し、火報用火災感知器の検出値から火報制御部が1報目の火災を判断して警報すると、火報用閾値を例えば2種感度相当の閾値から1種感度相当の閾値に変更して感度を高めることで、火災の拡大に対する第2報目以降の火災の判断を迅速に行うことができる。これにより火災確定も早期に判断されて連動閾値の感度を上げる変更が迅速に行われ、火災の拡大に対し確実且つ速やかに防火シャッター等の防災機器を動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】煙感知器の感度と火災を判断する煙濃度閾値の関係を一覧で示した説明図
【
図3】
図1のサブCPUにより火災感知器の検出値を収集する制御を示したフローチャート
【
図4】メインCPUによる火報制御、連動制御及び連
動閾値の変更を示したフローチャート
【
図5】熱感知器の感度と火災を判断する温度閾値の関係を一覧で示した説明図
【
図6】1報目の火災判断で変更される火報閾値を注意表示閾値及び連動閾値と共に一覧で示した説明図
【
図7】受信機に対し中継盤が通信回線で接続された分散システムを構成する火災報知設備の実施形態を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0024】
[火災報知設備]
(火災報知設備の概要)
図1は火災報知設備の実施形態を示した説明図である。
図1に示すように、火災報知設備が設置された大倉庫等の施設の監視センター又は管理室等には例えばR型の受信機10が設置され、受信機10から警戒区域に対し系統毎に分けて信号回線12-1~12-3が引き出されている。
【0025】
信号回線12-1には固有のアドレスが設定された伝送機能を有する複数の火報用アナログ火災感知器14-1が接続され、また、固有のアドレスが設定された伝送機能を有する火報用中継器16-1から引き出された感知器回線17にオンオフ火災感知器18及び発信機20が接続されている。
【0026】
信号回線12-2には、固有のアドレスが設定された伝送機能を有する複数の連動用アナログ火災感知器14-2が接続され、また、固有のアドレスが設定された伝送機能を有するアドレッサブル発信機22が接続されている。
【0027】
更に、信号回線12-3には固有のアドレスが設定された伝送機能を有する連動用中継器16-2を介して防火シャッター24が接続されている。
【0028】
ここで、火報用アナログ火災感知器14-1及び連動用アナログ火災感知器14-2は、例えばアナログ煙感知器を使用しており、火災に伴う煙濃度を検出し、アナログ検出値として煙濃度データを出力する。以下の説明では、煙濃度データを単に煙濃度という場合がある。
【0029】
なお、火報用アナログ火災感知器14-1及び連動用アナログ火災感知器14-2としてアナログ熱感知器を使用する場合もあり、アナログ熱感知器は、火災に伴う温度を検出し、アナログ検出値として温度データを出力する。
【0030】
また、火報用アナログ火災感知器14-1には例えば1種感度相当の注意表示閾値(煙濃度閾値)が設定されており、検出値が注意表示閾値以上又は注意表示閾値を超えると火災割込み信号を送信する。以下、説明ではアナログ感知器が火災割込み信号を送信することを火災発報という場合がある。
【0031】
また、信号回線12-1~12-3に接続される火報用アナログ火災感知器14-1、火報用中継器16-1、連動用アナログ火災感知器14-2、連動用中継器16-2等の端末機器に設定される回線毎の最大アドレス数は例えば255としており、信号回線12-1~12-3の各々には最大255台の端末機器が接続できる。
【0032】
(受信機の機能構成)
受信機10には、メインCPU26と複数のサブCPU基板28-1~28-3が設けられ、サブCPU基板28-1~28-3にはサブCPU30-1~30-3と伝送部32-1~32-3が設けられている。
【0033】
メインCPU26とサブCPU30-1~30-3は、シリアル転送バス34で接続されており、相互にデータを送受信する。
【0034】
メインCPU26には、液晶表示パネル等を用いたタッチパネル付きのディスプレイ36、火災、ガス漏れ、障害の代表灯、LED表示灯等が設けられた表示部38、火災断定スイッチ等の火災監視に必要な各種のスイッチが設けられた操作部40、スピーカが設けられた音響警報部42、及び、移報部44が接続されている。
【0035】
メインCPU26にはプログラムの実行により実現される機能として、火報制御部46、連動制御部48及び感度変更部50が設けられる。
【0036】
サブCPU基板28-1,28-2のサブCPU30-1,30-2は、それぞれの信号回線12-1,12-2に接続された火報用アナログ感知器14-1及び連動用アナログ感知器14-2の検出値を収集する制御を行っている。
【0037】
(感知器検出データの収集と火報制御)
サブCPU基板28-1のサブCPU30-1は、伝送部32-1に指示して火報用アナログ火災感知器14-1との間で所定の通信プロトコルに従って信号を送受信することで、検出データを収集する制御を行っている。
【0038】
伝送部32-1から火報用アナログ火災感知器14-1に対する下り信号は電圧モードで伝送している。この電圧モードの信号は、信号回線12-1の線路電圧を例えば18ボルトと30ボルトの間で変化させる電圧パルスとして伝送される。
【0039】
これに対し火報用アナログ火災感知器14-1から伝送部32-1に対する上り信号は電流モードで伝送される。この電流モードにあっては、信号回線12-1に伝送データのビット1のタイミングで信号電流を流し、いわゆる電流パルス列として上り信号が受信機10に伝送される。
【0040】
サブCPU30-1によるデータ収集制御は、通常の監視中にあっては、一定周期毎に、伝送部32-1に指示して、一括AD変換コマンドを含むブロードキャストの一括AD変換信号を送信しており、この一括AD変換信号を受信した火報用アナログ火災感知器14-1は、検煙部から出力されたアナログ煙濃度信号をAD変換によりデジタル煙濃度信号に変化して検出データとして保持する。続いて、サブCPU30-1は、端末アドレスを順次指定したポーリングコマンドを含む呼出信号を送信している。
【0041】
火報用アナログ火災感知器14-1は自己アドレスに一致するアドレスを持つ呼出信号を受信すると、そのとき保持している煙濃度データを含む応答信号を受信機10の伝送部32-1に送信する。
【0042】
また、火報用アナログ火災感知器14-1には注意表示閾値として例えば1種感度相当の煙濃度閾値、例えば煙濃度閾値5.0%/mが設定されており、検出された煙濃度データが注意表示閾値以上又は注意表示閾値を超えると火災発報と判断し、受信機10の伝送部32-1に対し火災割込み信号を送信する。
【0043】
サブCPU30-1は伝送部32-1を介して火災割込み信号を受信すると、グループ検索コマンド信号を送信して火災発報した火報用アナログ火災感知器14-1を含むグループを特定し、続いて、グループ内検索コマンド信号を送信して火災発報した火報用アナログ火災感知器14-1のアドレスを特定して煙濃度データを集中的に収集し、シリアル転送バス34を介してメインCPU26に送信する。
【0044】
サブCPU30-1による煙濃度の集中的な収集は、一括AD変換信号の送信周期を短くし、一括AD変換信号を送信した後に火災発報した火報用アナログ火災感知器14-1のアドレスを指定した呼出信号の送信により、火報用アナログ火災感知器14-1の煙濃度データのみを連続的に収集する。
【0045】
メインCPU26の火報制御部46は、サブCPU30-1から受信した火報用の煙濃度データを2種感度相当の所定の火報閾値、例えば火報閾値10%/mと比較しており、煙濃度が火報閾値以上又は火報閾値を超えた場合に火災と判断し、火災警報制御を行う。
【0046】
火報制御部46による火災警報制御は、表示部38の火災代表灯を点灯し、音響警報部42のスピーカから火災発生を示す所定の主音響警報を出力させ、ディスプレイ36に火災が検出された感知器アドレスに基づき火災発生場所を含む火災警報情報を表示させ、更に、移報部44により火災移報信号を外部に出力して所定の移報制御等を行わせる。
【0047】
(感知器検出データの収集と連動制御)
サブCPU基板28-2のサブCPU30-2は伝送部32-2に指示して連動用アナログ火災感知器14-2との間で所定の通信プロトコルに従って信号を送受信することで、検出データを収集する制御を行っている。
【0048】
サブCPU30-2によるデータ収集制御は、サブCPU30-1と同じであり、通常の監視中にあっては、一定周期毎に、伝送部32-2に指示して、一括AD変換コマンドを含むブロードキャストの一括AD変換信号を送信し、一括AD変換信号を受信した連動用アナログ火災感知器14-2は、煙濃度データを検出データとして検出して保持する。続いて、サブCPU30-2は、端末アドレスを順次指定したポーリングコマンドを含む呼出信号を送信している。
【0049】
連動用アナログ火災感知器14-2は自己アドレスに一致するアドレスを持つ呼出信号を受信すると、そのとき保持している煙濃度データを含む応答信号を伝送部32-2に送信する。
【0050】
また、連動用アナログ火災感知器14-2は注意表示閾値として、火報用アナログ感知器14-1の注意表示閾値と同じ1種感度相当の煙濃度閾値5%/mが設定されており、検出された煙濃度が注意表示閾値以上又は注意表示閾値を超えると火災発報と判断し、伝送部32-2に対し火災割込み信号を送信する。なお、連動用アナログ火災感知器14-2は注意表示閾値は、1種感度相当の煙濃度閾値以外に、2種感度相当の煙濃度閾値、例えば10%/mとしても良い。
【0051】
サブCPU30-2は伝送部32-2を介して火災割込み信号を受信すると、グループ検索コマンド信号を送信して火災発報した連動用アナログ火災感知器14-2を含むグループを特定し、続いて、グループ内検索コマンド信号を送信して火災発報した連動用アナログ火災感知器14-2のアドレスを特定して煙濃度データを集中的に収集し、シリアル転送バス34を介してメインCPU26に送信する。
【0052】
メインCPU26の連動制御部48は、サブCPU30-2から受信した連動用の煙濃度を3種感度相当の所定の連動閾値、例えば連動閾値15%/mと比較しており、煙濃度が連動閾値以上又は連動閾値を超えた場合に火災と判断し、防火シャッター24を閉鎖させる連動制御を行う。
【0053】
連動制御部48の連動制御は、火災を判断した連動用アナログ火災感知器14-2のアドレスに対応して予め記憶されている連動情報から連動先となる防火シャッター24が接続された連動用中継器16-2のアドレスを検索し、連動先アドレスを指定した連動制御をサブCPU30-3に指示する。
【0054】
メインCPU26から連動制御の指示を受けたサブCPU30-3は、伝送部32-3に指示して連動先アドレスを指定したシャッター制御信号を信号回線12-3に送信し、シャッター制御信号は自己アドレスに一致する連動用中継器16-2で受信され、防火シャッター24が閉鎖駆動され、防火区画の形成が行われる。
【0055】
(感度変更制御)
メインCPU26の感度変更部50は、火報制御部46で火災確定が判断された場合に、連動制御部48の連動閾値を、火災と判断しやすい方向に、例えば火災確定が判断された連動閾値より低い連動閾値に変更して感度を上げる制御を行う。
【0056】
ここで、連動制御部48には、連動閾値として3種感度相当の連動閾値15%/mが予め設定されていることから、感度変更部50は、火報制御部46により火災確定が判断された場合、連動制御部48に設定された3種感度相当の連動閾値15%/mを、例えば、火報制御部46に設定されていると同じ2種感度相当の連動閾値10%/mに変更する制御を行う。
【0057】
感度変更部50により連動制御部48の連動閾値を変更するための火報制御部46による火災確定の判断としては次の場合がある。
【0058】
(1)少なくとも火災発報した2台の火報用アナログ火災感知器14-1の検出値により火災を判断した場合、即ち、1報目と2報目の火災が判断された場合。
【0059】
(2)信号回線に接続された発信機20又はアドレッサブル発信機22からの火災通信信号を受信した場合、即ち、人為的に火災通報操作が行われた場合。
【0060】
(3)受信機10の操作部40に設けられた火災断定スイッチの火災断定操作が検出された場合。
【0061】
なお、これ以外に、火災発報した1台目の火報用アナログ火災感知器14-1の煙濃度が火災確定と判断できるに十分な煙濃度、例えば3種感度相当の閾値上限を超えた場合に、火災確定と判断しても良い。
【0062】
このような火災制御部48により火災の確定が判断された場合には間違いなく火災であり、誤報の問題がなく、更に、火災警報も出力されていることから、防火シャッター24を作動させる連動閾値を、火災警報を出力させて避難させるための火報閾値により高い低感度の値に設定しておく理由はなくなっており、連動閾値を火報閾値と同じか又は火報閾値より低い閾値に変更することで、防火シャッター24を作動させるための感度を高め、迅速且つ確実に、連動用アナログ火災感知器14-2により検出される煙濃度から火災を判断して防火シャッター24を閉鎖駆動する連動制御を行って防火区画を形成し、火災の延焼拡大を抑制する。
【0063】
(アナログ煙感知器の感度と閾値)
図2は煙感知器の感度と火災を判断する煙濃度閾値の関係を一覧で示した説明図であり、
図2(A)は煙感知器の感度に対応した閾値と閾値範囲を示し、
図2(B)は
図1の火報用アナログ火災感知器14-1及び連動用アナログ火災感知器14-2としてアナログ煙感知器を用いた場合の閾値種別に対する通常監視と火災確定監視の煙濃度閾値を示す。
【0064】
図2(A)に示すように、一般的に使用されているオンオフ型の煙感知器にあっては、1種感度として煙濃度閾値5.0%/mが設定され、必要に応じて2.5%/m以上7.5%/m未満の範囲で煙濃度閾値を変更することが可能であり、この範囲にある閾値を1種感度相当の閾値という。
【0065】
また、オンオフ型の煙感知器の2種感度は煙濃度閾値10.0%/mが設定され、必要に応じて7.5%/m以上12.5%/m未満の範囲で煙濃度閾値を変更することが可能であり、この範囲にある閾値を2種感度相当の閾値という。
【0066】
更に、オンオフ型の煙感知器の3種感度は煙濃度閾値15.0%/mが設定され、必要に応じて12.5%/m以上17.5%/m未満の範囲で煙濃度閾値を変更することが可能であり、この範囲にある閾値を3種感度相当の閾値という。
【0067】
図2(B)に示すように、
図1に示した火報用アナログ火災感知器14-1及び連動用アナログ火災感知器14-2に設定されている火災割込み信号を送信するための注意表示閾値は、通常監視と火災確定監視の何れについても、例えば煙濃度5.0%/mと1種感度相当に設定されており、1種感度という高感度による火災検出を行っている。
【0068】
また、
図1の受信機10に設けられた火報制御部46の火災判断に使用される火報閾値は、通常監視と火災確定監視の何れについても、例えば煙濃度10.0%/mと2種感度相当に設定されている。
【0069】
更に、
図1の受信機10に設けられた連動制御部48の火災判断に使用される連動閾値は、通常監視では例えば煙濃度15.0%/mと3種感度相当に設定されているが、火災確定監視では、感度変更部50により通常監視に対し高感度となる2種感度相当の煙濃度10.0%/mに変更されている。
【0070】
なお、火災確定が判断された場合に感度変更部50により変更される2種感度相当の煙濃度10.0%/mは一例であり、通常監視の連動閾値からそれより小さい高感度の連動閾値に変更すれば良く、例えば
図2(A)に示した2種感度の閾値範囲7.5%/m以上12.5%/m未満の間の何れかの値としても良い。また、変更する連動閾値は、2種感度の閾値範囲に限定されず、通常監視の3種感度相当の煙濃度15.0%/mより小さい煙濃度12.5%/m以上15.0%/m未満の3種感度相当の煙濃度に変更しても良い。
【0071】
(サブCPU制御)。
【0072】
図3は
図1のサブCPUによりアナログ火災感知器の検出値を収集する制御を示したフローチャートであり、例えばサブCPU30-1を例にとると次のようになる。
【0073】
図3に示すように、サブCPU30-1はステップS1で信号回線12-1に接続された火報用アナログ火災感知器14-1を含む端末の呼出し制御を行っている。この端末呼出制御は、前述したように、一括AD変換信号を送信して火報用アナログ火災感知器14-1に煙濃度データを保持させ、端末アドレスを順次指定したポーリングコマンドを含む呼出信号の送信に対する応答信号を受信して煙濃度データを取得する。
【0074】
続いて、サブCPU30-1はステップS2で火災発報により送信された火災割込み信号の受信の有無を判別しており、火災割込み信号の受信を判別するとステップS3に進み、アドレス検索コマンド信号の送信により火災発報した火報用アナログ火災感知器14-1のアドレスを検索し、ステップS4で発報感知器のアドレスと種別が火報用であること示す感知器発報情報をメインCPU26に通知する。
【0075】
続いて、サブCPU30-1はステップS5に進み、一括AD変換信号の送信周期を短くすると共に発報感知器のアドレスのみを指定した呼出信号の送信により、火災発報した火報用アナログ火災感知器14-1の煙濃度データを集中的に収集してメインCPU26に通知する。
【0076】
続いて、サブCPU30-1は、ステップS6で受信機10の復旧スイッチの操作等による復旧を判別するまでは、ステップS1からの処理を繰り返しており、2報目となる新たな火災割込み信号の受信を判別すると、そのアドレスを検索して集中的に煙濃度データを収集し、1報目と2報目に対応した煙濃度データを収集してメインCPU26に送信する。
【0077】
サブCPU30-1は、ステップS6で復旧を判別すると、ステップS7に進んで所定の復旧制御を行った後、ステップS1の端末呼出制御による通常監視に戻る。
【0078】
また、サブCPU30-2は、信号回線12-2に接続された連動用アナログ火災感知器14-2を対象に、
図3に示したと同じ制御を行う。
【0079】
(メインCPU制御)
図4はメインCPUによる火報制御、連動制御及び連
動閾値の変更を示したフローチ ャートである。
【0080】
図4に示すように、メインCPU26は、ステップS11でサブCPU30-1又はサブCPU30-2からの感知器発報情報の受信を判別するとステップS12に進み、ディスプレイ36、表示部38及び音響警報部42により、感知器の火災発報を示す注意表示と所定の注意警報音の出力を行い、火災の危険性が高まっていることを報知する。
【0081】
続いて、メインCPU26はステップS13でサブCPU30-1又はサブCPU30-2から送信された発報感知器の検出値の受信を判別するとステップS14に進み、感知器種別が火報であることを判別するとステップS15で火報用検出値を火報閾値、例えば火報閾値10%/mと比較し、火報用検出値が火報閾値以上又は火報閾値を超えた場合にはステップS16で火災が判別され、ステップS17に進んで火災警報を出力させる。
【0082】
続いて、メインCPU30はステップS18に進み、2報目の火災判断、発信機からの火災通報信号の受信、又は火災確定スイッチの操作の検出により火災確定が判別されるとステップS19に進み、3種感度相当の連動閾値15%/mを2種感度相当の連動閾値10%/mに変更し、感度を高めるように連動閾値を低い値に変更する。
【0083】
一方、メインCPU26はステップS14で感知器種別が連動用であることを判別するとステップS20に進み、連動用検出値を連動閾値と比較し、ステップS21で連動用検出値が連動閾値以上又は連動閾値を超えたことで火災を判別すると、ステップS22に進んで連動制御により防火シャッター24が閉鎖駆動され、防火区画を形成させる。
【0084】
ここで、ステップS20で連動用検出値と比較する連動閾値が、ステップS18でそれまでの3種感度相当の連動閾値15%/mより高い高感度となる2種感度相当の連動閾値10%/mに変更されていた場合には、ステップS20で連動用検出値は変更後の2種感度相当の連動閾値10%/mと比較され、発報感知器で検出された煙濃度が低い段階で火災が判断され、火災が確定した段階では、早めの火災判断により防火シャッター24を確実に閉鎖駆動させることができる。
【0085】
メインCPU26はステップS23で復旧スイッチの操作による復旧が判別されるまでステップS13からの処理を繰り返しており、復旧が判別されるとステップS24に進んで所定の復旧制御を行った後、ステップS11からの処理に戻る。
【0086】
[アナログ熱感知器を用いた実施形態]
図1の受信機10から引き出された信号回線12-1,12-2に接続される火報用アナログ火災感知器14-1及び連動用アナログ火災感知器14-2として、火災による熱気流を受けた場合の温度を検出するアナログ熱感知器を用いることもできる。
【0087】
図5は熱感知器の感度と火災を判断する温度閾値の関係を一覧で示した説明図であり、
図5(A)は熱感知器の感度に対応した閾値と閾値範囲を示し、
図5(B)は
図1で火報用アナログ火災感知器14-1及び連動用アナログ火災感知器14-2としてアナログ熱感知器を用いた場合の閾値種別に対する通常監視と火災確定監視の温度閾値を示す。
【0088】
図5(A)に示すように、一般的に使用されているオンオフ型の熱感知器にあっては、1種感度として55℃が設定され、必要に応じて45℃以上60℃未満の範囲で変更することが可能であり、この範囲にある閾値を1種感度相当の閾値という。
【0089】
また、オンオフ型の熱感知器の2種感度は65℃が設定され、必要に応じて60℃以上67.5℃未満の範囲で変更することが可能であり、この範囲にある閾値を2種感度相当の閾値という。
【0090】
更に、オンオフ型の熱感知器の3種感度は70℃が設定され、必要に応じて67.5℃以上72.5℃未満の範囲で変更することが可能であり、この範囲にある閾値を3種感度相当の閾値という。
【0091】
図5(B)に示すように、
図1に示した火報用アナログ火災感知器14-1及び連動用アナログ火災感知器14-2に設定されている火災割込み信号を送信するための注意表示閾値は、通常監視と火災確定監視の何れについても、例えば温度閾値65℃と1種感度相当に設定されており、1種感度という高感度による火災検出を行っている。
【0092】
また、
図1の受信機10に設けられた火報制御部46の火災判断に使用される火報閾値は、通常監視と火災確定監視の何れについても、例えば温度閾値65℃と2種感度相当に設定されている。
【0093】
更に、
図1の受信機10に設けられた連動制御部48の火災判断に使用される連動閾値は、通常監視では例えば温度閾値70℃と3種感度相当に設定されているが、火災確定監視では、感度変更部50により通常監視に対し高感度となる2種感度相当の温度閾値65℃に変更されている。
【0094】
なお、火災確定が判断された場合に感度変更部50により変更される2種感度相当の温度閾値55℃は一例であり、通常監視の連動閾値からそれより小さい高感度の連動閾値に変更すれば良く、例えば
図5(A)に示した2種感度の閾値範囲60.0℃以上67.5℃未満の間の何れかの値とすれば良い。また、変更する連動閾値は、2種感度の閾値範囲に限定されず、通常監視の3種感度相当の温度閾値70℃より低い67.5℃以上70℃未満の3種感度相当の煙濃度に変更する場合を含む。
【0095】
このように
図1の火報用アナログ火災感知器14-1及び連動用アナログ火災感知器14-2として、アナログ熱感知器を用いた場合にも、火災確定が判断されて火災であることが間違いない場合には、予め設定された連動用の3種感度相当の温度閾値がそれより高い感度の2種感度相当の温度閾値、例えば、そのときの火災の判断に用いられる2種感度の温度閾値と同じ閾値に変更して感度が高められ、その結果、延焼中の火災による連動用アナログ火災感知器14-2からの検出値は高い感度に変更された温度閾値と比較されることで、確実に火災と判断され、防火シャッター24を連動制御により動作させ、防火区画の形成により火災の延焼拡大を抑制することを可能とする。
【0096】
[火
報閾値を変更する実施形態]
図1に示した受信機10のメインCPU26に設けられた感度変更部50は、火報制御部46により火災確定が判断された場合に、連動制御部48の連動閾値をそれより低い連動閾値に変更して感度を高くしているが、他の実施形態として、感度変更部50は、火報制御部46により1報目の火災が判断された場合に、火報制御部46の火報閾値をそれより低い火報閾値に変更して感度を高くする制御を行うようにしても良い。
【0097】
図6は1報目の火災判断で変更される火報閾値を注意表示閾値及び連動閾値と共に一覧で示した説明図であり、
図6(A)はアナログ煙感知器の場合を示し、
図6(B)はアナログ熱感知器の場合を示す。
【0098】
図1の火報用アナログ火災感知器14-1及び連動用アナログ火災感知器14-2として、アナログ煙感知器を用いた場合、受信機10の火報制御部46には、
図6(A)に示すように、通常監視時の火報閾値として2種感度相当の煙濃度閾値10.0%/mが設定されている。
【0099】
感度変更部50は、火報制御部46により1報目の火災が判断された場合に、火報閾値としてそれまで設定していた2種感度相当の煙濃度閾値10%/mを、例えば1種感度相当の煙濃度閾値7.5%/mに変更して感度を高くする。
【0100】
一方、
図1の火報用アナログ火災感知器14-1及び連動用アナログ火災感知器14-2として、アナログ熱感知器を用いた場合、受信機10の火報制御部46には、
図6(B)に示すように、通常監視時の火報閾値として2種感度相当の温度閾値65℃が設定されている。
【0101】
感度変更部50は、火報制御部46により1報目の火災が判断された場合に、火報閾値としてそれまで設定していた2種感度相当の温度閾値65℃を、例えば1種感度相当の温度閾値57.5℃に変更して感度を高くする。
【0102】
このように火報制御部46で1報目の火災が判断された場合に、感度変更部50が例えば2種感度相当の火報閾値を1種感度相当の火報閾値に変更して感度を高めることで、火災の拡大に対する第2報目以降の火災の判断を迅速に行うことができる。
【0103】
火報制御部46による2報目の火災判断が早まると、これに基づく火災確定の判断も早まり、感度変更部50により連動閾値の感度を上げる変更が早期に行われ、火災の拡大に対し確実且つ速やかに防火シャッターを閉鎖駆動させることができる。
【0104】
[受信機と中継盤で構成された分散システムの実施形態]
図7は受信機に対し中継盤がネットワーク回線で接続された分散システムを構成する火災報知設備の実施形態を示した説明図である。
【0105】
監視対象とする施設が複数の倉庫に分かれる等して大規模になる場合には、
図7に示すように、防災センター等に設置した受信機10に加え、例えば倉庫毎に分けて中継盤100が設置され、受信機10と中継盤100の間がイーサネット(登録商標)等のネットワーク回線104により通信接続されている。
【0106】
受信機10は
図1に示したと同じであり、これに対し中継盤100は
図1の受信機10からディスプレイ36、表示部38、操作部40及び音響警報部42を含む操作表示機能を除いた構成となり、それ以外は、受信機10と基本的に同じとなり、更に、火報制御部146、連動制御部148及び感度変更部150の機能が設けられている。
【0107】
中継盤100からは信号回線102-1~102-3が引き出され、信号回線102-1には火報用アナログ火災感知器14-1が接続され、信号回線102-2には連動用アナログ火災感知器14-2が接続され、信号回線102-3には連動用中継器16-2を介して防火シャッター24が接続されている。
【0108】
中継盤100の火報制御部146は、火報用アナログ火災感知器14-1の検出値が例えば2種感度相当の所定の火報閾値以上又は火報閾値を超えた場合に火災と判断し、受信機10に指示して火災警報を出力させる。
【0109】
また、中継盤100の連動制御部148は、連動用アナログ火災感知器14-2の検出値が火報閾値より高い例えば3種感度相当の所定の連動閾値以上又は連動閾値を超えた場合に火災と判断し、連動関係にある連動用中継器16-2のアドレスを指定した制御信号の送信により防火シャッター24を閉鎖駆動して防火区画を形成させる。
【0110】
また、中継盤100の感度変更部150は、火災監視制御部146で火災確定が判断された場合に、連動制御部148に設定されている3種感度相当の連動閾値を、2種感度相当の所定の連動閾値に変更して感度を上げる。
【0111】
このように受信機10に対しネットワーク回線104を介して中継盤100が接続された分散システムにあっても、中継盤100からの信号回線102-1に接続された火報用アナログ火災感知器14-1からの検出値に基づき中継盤100で火災が確定された場合に、予め設定された連動閾値がそれより低い連動閾値に変更されて感度が高められ、その結果、延焼中の火災に対し連動用アナログ火災感知器14-2からの検出値は高い感度に変更された連動閾値と比較されることで、確実に火災と判断されて中継盤100からの信号回線102-3に連動用中継器16-2を介して接続された防火シャッター24を確実に連動制御により動作させ、防火区画の形成等により火災の延焼拡大を抑制することを可能とする。
【0112】
なお、中継盤100についても、
図5に示したアナログ熱感知器の実施形態、及び
図6に示した火報閾値を変更する実施形態を受信機の場合と同様に適用される。
【0113】
[本発明の変形例]
(端末機器)
上記の実施形態は、連動制御される端末機器として防火シャッターを例にとっているが、これ以外に、防火扉、排煙ダンパ等の適宜の防災機器を対象とした連動制御が含まれる。
【0114】
(その他)
また、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0115】
10:受信機
12-1~12-3,102-1~102-3:信号回線
14-1:火報用アナログ火災感知器
14-2:連動用アナログ火災感知器
16-1:火報用中継器
16-2:連動用中継器
17:感知器回線
18:オンオフ火災感知器
20:発信機
22:アドレッサブル発信機
24:防火シャッター
26:メインCPU
28-1~28-3:サブCPU基板
30-1~30-3:サブCPU
32-1~32-3:伝送部
34:シリアル転送バス
36:ディスプレイ
38:表示部
40:操作部
42:音響警報部
44:移報部
46,146:火報制御部
48,148:連動制御部
50,150:感度変更部
100:中継盤
104:ネットワーク回線