(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】ビークル搭載レコーダシステムモニタ
(51)【国際特許分類】
G06F 11/07 20060101AFI20240502BHJP
B64D 47/00 20060101ALI20240502BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
G06F11/07 157
B64D47/00
G07C5/00 Z
G06F11/07 140R
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019215116
(22)【出願日】2019-11-28
【審査請求日】2022-11-17
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル デイビッド ギルバートソン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー エム.ムチュラー
【審査官】石坂 知樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0274964(US,A1)
【文献】特開平05-300115(JP,A)
【文献】特開2017-132451(JP,A)
【文献】特開平11-103311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/07
B64D 47/00
G07C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラーが無いかデータを監視するように構成された、ビークル用搭載記録システムであって、
1つ以上のプロセッサと、
前記1つ以上のプロセッサに接続され、かつデータベースとプログラムコードとを含むデータを格納するメモリと、
を具備しており、前記プログラムコードが、前記1つ以上のプロセッサによって実行されることにより、以下の工程、すなわち、
其々に割り当てられたタイムオフセットで当該搭載記録システムに受信及び記録されるとともに、対応する割り当てメッセージを其々が有している複数のフレームを含んでいるデータ列を入力として受信し、
前記割り当てられたタイムオフセットに受信されていない欠落割り当てメッセージを特定し、
前記欠落割り当てメッセージの特定に応じて、前記メモリに保存されている欠落割り当てメッセージの数に基づいて合計時間長を計算し、
前記合計時間長を閾値時間長と比較し、
前記合計時間長が、前記閾値時間長よりも長いと判定し、
前記合計時間長が前記閾値時間長より長いと判定したことに応じて、エラーが発生したと判定する、
各工程を行うように構成されて
おり、
前記1つ以上のプロセッサは、
前記データ列の一部である第1フレームであって、第1タイムスタンプ付きの第1割り当てメッセージを有する第1フレームを受信するための命令と、
前記第1フレームを受信した後に、第2タイムスタンプ付きの第2割り当てメッセージを有する第2フレームを受信するための命令と、
前記第1割り当てメッセージの前記第1タイムスタンプを、前記第2割り当てメッセージの前記第2タイムスタンプと比較するための命令と、
前記第1タイムスタンプが前記第2タイムスタンプと同一であると判定するための命令と、
前記第1タイムスタンプが前記第2タイムスタンプと同一であるとの判定に応じて、前記第1割り当てメッセージの第1データ内容を、前記第2割り当てメッセージの第2データ内容と比較するための命令と、
前記第1データ内容が、前記第2データ内容と同一でないと判定するための命令と、
前記第1データ内容が、前記第2データ内容と同一ではないとの判定に応じて、エラーが発生したと判定するための命令と、
を実行するように構成されている、搭載記録システム。
【請求項2】
エラーが無いかデータを監視するように構成された、ビークル用搭載記録システムであって、
1つ以上のプロセッサと、
前記1つ以上のプロセッサに接続され、かつデータベースとプログラムコードとを含むデータを格納するメモリと、
を具備しており、前記プログラムコードが、前記1つ以上のプロセッサによって実行されることにより、以下の工程、すなわち、
其々に割り当てられたタイムオフセットで当該搭載記録システムに受信及び記録されるとともに、対応する割り当てメッセージを其々が有している複数のフレームを含んでいるデータ列を入力として受信し、
前記割り当てられたタイムオフセットに受信されていない欠落割り当てメッセージを特定し、
前記欠落割り当てメッセージの特定に応じて、前記メモリに保存されている欠落割り当てメッセージの数に基づいて合計時間長を計算し、
前記合計時間長を閾値時間長と比較し、
前記合計時間長が、前記閾値時間長よりも長いと判定し、
前記合計時間長が前記閾値時間長より長いと判定したことに応じて、エラーが発生したと判定する、
各工程を行うように構成されており、
前記1つ以上のプロセッサは、
前記データ列の一部である第1フレームであって、第1タイムスタンプ付きの第1割り当てメッセージを有する第1フレームを受信するための命令と、
前記第1フレームを受信した後に、第2タイムスタンプ付きの第2割り当てメッセージを有する第2フレームを受信するための命令と、
前記第1割り当てメッセージの前記第1タイムスタンプを、前記第2割り当てメッセージの前記第2タイムスタンプと比較するための命令と、
前記第1タイムスタンプが前記第2タイムスタンプと同一であると判定するための命令と、
前記第2フレームを受信した後に、其々が対応する前記割り当てメッセージを含む1つ以上のフレームを受信するための命令と、
1つ以上の対応する割り当てメッセージが、前記第1タイムスタンプと同一のタイムスタンプと、前記第1割り当てメッセージとは異なる割り当てメッセージとを含むと判定するための命令と、
前記1つ以上の対応する割り当てメッセージが、前記第1タイムスタンプと同一のタイムスタンプと、前記第1割り当てメッセージとは異なる割り当てメッセージとを含むとの判定に応じて、前記搭載記録システムの前記メモリに保存されている前記データ列内の、第1タイムスタンプと同一のタイムスタンプと、前記第1割り当てメッセージとは異なる割り当てメッセージとを含む割り当てメッセージの数を特定するための命令と、
前記割り当てメッセージの数を、反復タイムスタンプの閾値数と比較するための命令と、
前記割り当てメッセージの数が、前記反復タイムスタンプの前記閾値数より大きいと判定するための命令と、
前記割り当てメッセージの数が、フレームの前記閾値数より大きいとの判定に応じて、エラーが発生したと判定するための命令と、
を実行するように構成されている
、搭載記録システム。
【請求項3】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記合計時間長が、前記閾値時間長以下であると判定するための命令と、
前記合計時間長が、前記閾値時間長以下であるとの判定に応じて、当該搭載記録システムの前記メモリに保存されている前記データ列の全ランタイムに対する欠落割り当てメッセージの割合を求めるための命令と、
前記欠落割り当てメッセージの割合を、閾値割合と比較するための命令と、
前記欠落割り当てメッセージの割合が、閾値割合より大きいと判定するための命令と、
前記欠落割り当てメッセージの割合が、前記閾値割合より大きいとの判定に応じて、エラーが発生したと判定するための命令と、
を実行するように構成されている、請求項
1または2に記載の搭載記録システム。
【請求項4】
前記1つ以上のプロセッサは、
正しくないビット長を有する単一のフレームを検出するための命令を実行し、前記単一のフレームは、前記複数のフレームを含む前記データ列の一部であり、
前記正しくないビット長を有する前記単一のフレームの検出に応じて、エラーが発生したと判定するための命令を実行する、請求項
1または2に記載の搭載記録システム。
【請求項5】
前記1つ以上のプロセッサは、
正しくないビット長を有する単一のフレームを検出するための命令を実行し、前記単一のフレームは、前記複数のフレームを含む前記データ列の一部であり、
前記正しくないビット長を有する前記単一のフレームを検出した後、前記データ列の監視を継続するための命令と、
前記データ列の一部であるとともに、前記搭載記録システムの前記メモリに保存されている、各々が正しくないビット長を有する1つ以上のフレームを検出するための命令と、
正しくないビット長を有する前記1つ以上のフレームの数が、正しくないビット長を有するフレームの閾値数を超えていると判定するための命令と、
正しくないビット長を有する前記1つ以上のフレームの数が、正しくないビット長を有するフレームの前記閾値数を超えているとの判定に応じて、エラーが発生したと判定するための命令と、を実行するように構成されている、請求項
1または2に記載の搭載記録システム。
【請求項6】
前記1つ以上のプロセッサは、エラーであるとの判定に応じて警告を生成するための命令を実行するように構成されている、請求項1
または2に記載の搭載記録システム。
【請求項7】
前記複数のフレームは、其々が、対応する前記割り当てメッセージに関連付けられた1つ以上のメッセージ識別子を含み、前記1つ以上のプロセッサは、
前記複数のフレームの各々の前記1つ以上のメッセージ識別子を、一組の予期メッセージ識別子と比較するための命令と、
前記複数のフレームのうちの1つの、少なくとも1つのメッセージ識別子が、前記一組の予期メッセージ識別子に含まれていないと判定するための命令と、
少なくとも1つのメッセージ識別子が、前記一組の予期メッセージ識別子に含まれていないと判定した場合に、エラーが発生したと判定するための命令と、を実行するように構成されている、請求項1
または2に記載の搭載記録システム。
【請求項8】
前記複数のフレームの各々は、対応する前記割り当てメッセージに関連付けられた1つ以上のメッセージ識別子を含み、個々のメッセージ識別子は、其々固有のタイムオフセットに割り当てられている、請求項1
または2に記載の搭載記録システム。
【請求項9】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記複数のフレームの各々における前記個々のメッセージ識別子のタイムスタンプを、前記割り当てられた固有のタイムオフセットと比較するための命令と、
前記個々のメッセージ識別子の前記タイムスタンプが、前記対応する割り当てメッセージが前記固有のタイムオフセットとは異なる時刻に送信されたことを示していると判定するための命令と、
前記対応する割り当てメッセージが前記固有のタイムオフセットとは異なる時刻に送信されたとの判定に応じて、エラーが発生したと判定するための命令と、を実行するように構成されている、請求項
8に記載の搭載記録システム。
【請求項10】
前記ビークルは、航空機、自動車、無人航空機、宇宙船、又は、船舶である、請求項1
または2に記載の搭載記録システム。
【請求項11】
ビークルの搭載記録システムにおいてエラーを検出する方法であって、
其々に割り当てられたタイムオフセットで前記搭載記録システムに受信及び記録されるとともに、対応する割り当てメッセージを其々が有している複数のフレームを含むデータ列を、前記搭載記録システムのコンピュータによって受信し、
前記コンピュータによって、前記割り当てられたタイムオフセットに受信されていない欠落割り当てメッセージを特定し、
前記欠落割り当てメッセージの特定に応じて、メモリに保存されている欠落割り当てメッセージの数に基づいて合計時間長を計算し、
前記合計時間長を閾値時間長と比較し、
前記合計時間長が、前記閾値時間長よりも長いと判定し、
前記合計時間長が前記閾値時間長より長いとの判定に応じて、エラーが発生したと判定
し、
前記データ列の一部である第1フレームであって、第1タイムスタンプ付きの第1割り当てメッセージを有する第1フレームを受信し、
前記第1フレームを受信した後に、第2タイムスタンプ付きの第2割り当てメッセージを有する第2フレームを受信し、
前記第1割り当てメッセージの前記第1タイムスタンプを、前記第2割り当てメッセージの前記第2タイムスタンプと比較し、
前記第1タイムスタンプが前記第2タイムスタンプと同一であるか否かの判定に応じてエラーが発生したと判定する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、1つ以上の搭載レコーダを有するビークルに関する。より具体的には、本開示は、ビークルの搭載レコーダによって収集されるデータを監視してエラーを検出するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ビークルの多くは、様々な動作パラメータに関する情報を、監視、記録、及び、保存している。例えば、航空機は、搭載レコーダを有しており、このレコーダが、飛行前、飛行中、及び、飛行後において、航空機の様々な動作パラメータを監視及び記録している。動作パラメータの例には、限定するものでないが、センサ測定値、オペレータ入力、及び、ウェイポイントがある。航空機の搭載レコーダに保存されたデータは、次に、1つ以上の地上の処理コンピュータに転送されて、さらに分析される。
【0003】
搭載レコーダには、時に障害が発生することがある。このような障害により、記録されるデータの質が低下するおそれがある。また、データの質の低下は、記録中の一連のパラメータが修正される際にも起こりうる。低品質のデータは、搭載レコーダが飛行中にデータを監視及び記録する際には、検出されないことが多い。この結果、搭載レコーダは、時として、全飛行の間ずっと低品質のデータを記録し続け、場合によっては、その後の飛行の間も、記録が継続されることがある。低品質のデータが、全く検出されないこともあり、その結果、搭載レコーダは、低品質のデータを長期間にわたって記録し続ける。実際、このような低品質のデータが、その後、地上処理コンピュータによって分析されることもある。低品質のデータを分析することは、分析の精度に影響を及ぼすおそれがある。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの側面によれば、ビークルの搭載記録システムが開示される。前記搭載記録システムは、エラーが無いかデータを監視するように構成されており、1つ以上のプロセッサと、前記1つ以上のプロセッサに接続されたメモリと、を含む。前記メモリは、データベース及びプログラムコードを含むデータを格納しており、前記プログラムコードは、前記1つ以上のプロセッサによって実行された際に、前記搭載記録システムに、複数のフレームを含むデータ列を、入力として受信させる。前記フレームは、其々に割り当てられた対応するタイムオフセットで、前記搭載記録システムによって受信及び記録されるとともに、対応する割り当てメッセージを含む。前記搭載記録システムは、さらに、前記割り当てられた対応するタイムオフセットに受信されていない欠落割り当てメッセージを特定する。前記欠落割り当てメッセージを特定した場合、前記搭載記録システムは、前記メモリに保存されている欠落割り当てメッセージの数に基づいて、合計時間長を計算する。前記搭載記録システムは、前記合計時間長を閾値時間長と比較する。前記搭載記録システムは、前記合計時間長が、前記閾値時間長よりも長いと判定する。前記合計時間長が前記閾値時間長より長いと判定した場合、前記搭載記録システムは、エラーが発生したと判定する。
【0005】
本開示の一実施形態において、前記プロセッサは、前記合計時間長が、前記閾値時間長以下であると判定することを行う命令を実行する。前記合計時間長が、前記閾値時間長以下であると判定した場合に、前記搭載記録システムは、前記搭載記録システムの前記メモリに保存されている前記データ列の全ランタイムに対する、欠落割り当てメッセージの割合を求める。
【0006】
本開示の別の実施形態において、前記プロセッサは、前記欠落割り当てメッセージの割合を、閾値割合と比較すること、及び、前記欠落割り当てメッセージの割合が、閾値割合より大きいと判定すること、を行う命令を実行する。前記欠落割り当てメッセージの割合が、前記閾値割合より大きいと判定した場合に、前記搭載記録システムは、エラーが発生したと判定する。
【0007】
本開示のさらに別の実施形態において、前記プロセッサは、前記データ列の一部である第1フレームであって、第1タイムスタンプ付きの第1割り当てメッセージを有する第1フレームを受信すること、を行う命令を実行する。前記搭載記録システムは、前記第1フレームを受信した後に、第2タイムスタンプ付きの第2割り当てメッセージを有する第2フレームを受信する。前記搭載記録システムは、前記第1割り当てメッセージの前記第1タイムスタンプを、前記第2割り当てメッセージの前記第2タイムスタンプと比較し、前記第1タイムスタンプが前記第2タイムスタンプと同一であると判定する。
【0008】
本開示のさらに別の実施形態において、前記第1タイムスタンプが前記第2タイムスタンプと同一であると判定した場合に、前記搭載記録システムは、前記第1割り当てメッセージの第1データ内容を、前記第2割り当てメッセージの第2データ内容と比較する。前記搭載記録システムは、前記第1データ内容が、前記第2データ内容と同一でないと判定する。前記第1データ内容が、前記第2データ内容と同一ではないと判定した場合に、前記搭載記録システムは、エラーが発生したと判定する。
【0009】
本開示の一実施形態において、前記プロセッサは、前記第2フレームを受信した後に、其々が対応する前記割り当てメッセージを含む、1つ以上のフレームを受信することを行う命令を実行する。前記搭載記録システムは、1つ以上の対応する割り当てメッセージが、前記第1タイムスタンプと同一のタイムスタンプと、前記第1割り当てメッセージとは異なる割り当てメッセージとを含むと判定する。
【0010】
本開示の別の実施形態において、前記1つ以上の対応する割り当てメッセージが、前記第1タイムスタンプと同一のタイムスタンプと、前記第1割り当てメッセージとは異なる割り当てメッセージとを含むと判定した場合に、前記搭載記録システムは、前記搭載記録システムの前記メモリに保存されている前記データ列内の、第1タイムスタンプと同一のタイムスタンプと、前記第1割り当てメッセージとは異なる割り当てメッセージとを含む割り当てメッセージの数を特定する。前記搭載記録システムは、前記割り当てメッセージの数を、反復タイムスタンプの閾値数と比較する。前記搭載記録システムは、前記割り当てメッセージの数が、前記反復タイムスタンプの前記閾値数より大きいと判定する。前記割り当てメッセージの数が、フレームの前記閾値数より大きいと判定した場合に、前記搭載記録システムは、エラーが発生したと判定する。
【0011】
本開示のさらに別の実施形態において、前記プロセッサは、正しくないビット長を有する単一のフレームを検出すること、を行う命令を実行し、前記単一のフレームは、前記複数のフレームを含む前記データ列の一部である。本開示のさらに別の実施形態において、前記正しくないビット長を有する前記単一のフレームを検出した場合に、前記搭載記録システムは、エラーが発生したと判定する。
【0012】
本開示の一実施形態において、前記正しくないビット長を有する前記単一のフレームを検出した後、前記搭載記録システムは、前記データ列の監視を継続する。前記搭載記録システムは、前記データ列の一部であるとともに、前記搭載記録システムの前記メモリに保存されている、各々が正しくないビット長を有する1つ以上のフレームを検出する。前記搭載記録システムは、正しくないビット長を有する前記1つ以上のフレームの数が、正しくないビット長を有するフレームの閾値数を超えていると判定する。正しくないビット長を有する前記1つ以上のフレームの数が、正しくないビット長を有するフレームの前記閾値数を超えていると判定した場合に、前記搭載記録システムは、エラーが発生したと判定する。
【0013】
本開示の別の実施形態において、エラーであると判定した場合に、前記搭載記録システムは、警告を生成する。
【0014】
本開示のさらに別の実施形態において、前記複数のフレームは、其々が、対応する前記割り当てメッセージに関連付けられた1つ以上のメッセージ識別子を含む。前記プロセッサは、前記複数のフレームの各々の前記1つ以上のメッセージ識別子を、一組の予想メッセージ識別子と比較することを行う命令を実行する。前記搭載記録システムは、前記複数のフレームのうちの1つの、少なくとも1つのメッセージ識別子が、前記一組の予期メッセージ識別子に含まれていないと判定する。少なくとも1つのメッセージ識別子が、前記一組の予期メッセージ識別子に含まれていないと判定した場合に、前記搭載記録システムは、エラーが発生したと判定する。
【0015】
本開示のさらに別の実施形態において、前記複数のフレームの各々は、対応する前記割り当てメッセージに関連付けられた1つ以上のメッセージ識別子を含む。個々のメッセージ識別子は、其々固有のタイムオフセットに割り当てられている。
【0016】
本開示の一実施形態において、前記プロセッサは、前記複数のフレームの各々における前記個々のメッセージ識別子のタイムスタンプを、前記割り当てられた固有のタイムオフセットと比較することを行う命令を実行する。前記搭載記録システムは、前記個々のメッセージ識別子の前記タイムスタンプが、前記対応する割り当てメッセージが前記固有のタイムオフセットとは異なる時刻に送信されたことを示していると、判定する。前記対応する割り当てメッセージが、前記固有のタイムオフセットとは異なる時刻に送信されたと判定した場合に、前記搭載記録システムは、エラーが発生したと判定する。
【0017】
本開示の別の実施形態において、前記ビークルは、航空機、自動車、無人航空機(UAV)、宇宙船、又は、船舶である。
【0018】
本開示の別の実施形態において、ビークルの搭載記録システムにおいてエラーを検出する方法が開示される。当該方法では、前記搭載記録システムのコンピュータによって、複数のフレームを含むデータ列を受信し、前記複数のフレームは、其々に割り当てられた対応するタイムオフセットで、前記搭載記録システムによって受信及び記録されるとともに、対応する割り当てメッセージを含む。当該方法は、前記コンピュータによって、前記割り当てられた対応するタイムオフセットに受信されていない欠落割り当てメッセージを特定することをさらに含む。前記欠落割り当てメッセージを特定した場合、当該方法では、メモリに保存されている欠落割り当てメッセージの数に基づいて、合計時間長を計算する。
当該方法は、前記合計時間長を閾値時間長と比較すること、及び、前記合計時間長が、前記閾値時間長さよりも長いと判定することも含む。前記方法は、前記合計時間が前記閾値時間長より長いと判定した場合、エラーが発生したと判定することを含む。
【0019】
本開示の一実施形態において、当該方法は、前記合計時間長が、前記閾値時間長以下であると判定することをさらに含む。当該方法は、前記合計時間長が前記閾値時間長以下であると判定した場合、前記搭載記録システムの前記メモリに保存されている前記データ列の全ランタイムに対する、欠落割り当てメッセージの割合を求めることを含む。
【0020】
本開示の別の実施形態において、当該方法は、前記欠落割り当てメッセージの割合を、閾値割合と比較することをさらに含む。当該方法は、前記欠落割り当てメッセージの割合が、前記閾値割合より大きいと判定することも含む。当該方法は、前記欠落割り当てメッセージの割合が、前記閾値割合より大きいと判定した場合に、エラーが発生したと判定することを含む。
【0021】
本開示のさらに別の実施形態において、当該方法は、第1タイムスタンプ付きの第1割り当てメッセージを有する第1フレームを受信することを含み、前記第1フレームは、前記データ列の一部である。当該方法は、第2タイムスタンプ付きの第2割り当てメッセージを有する第2フレームを受信することも含み、前記第2フレームは、前記第1フレームの後に受信される。当該方法は、前記第1割り当てメッセージの前記第1タイムスタンプを、前記第2割り当てメッセージの前記第2タイムスタンプと比較することも含む。当該方法は、前記第1タイムスタンプが前記第2タイムスタンプと同一であると判定することも含む。
【0022】
本開示のさらに別の実施形態において、当該方法は、前記第1タイムスタンプが前記第2タイムスタンプと同一であると判定した場合に、前記第1割り当てメッセージの第1データ内容を、前記第2割り当てメッセージの第2データ内容と比較することを含む。当該方法は、前記第1データ内容が、前記第2データ内容と同一でないと判定することをさらに含む。当該方法は、前記第1データ内容が、前記第2データ内容と同一ではないと判定した場合に、エラーが発生したと判定することを含む。
【0023】
本開示の一実施形態において、当該方法は、正しくないビット長を有する単一のフレームを検出することをさらに含み、前記単一のフレームは、前記複数のフレームを含む前記データ列の一部である。当該方法は、前記正しくないビット長を有する前記単一のフレームを検出した場合に、エラーが発生したと判定することを含む。
【0024】
上述した特徴、機能、及び、利点は、様々な実施形態おいて個別に達成することができ、また、他の実施形態と組み合わせてもよく、そのさらなる詳細は、以下の記載及び図面を参照することによって明らかになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
ここで説明する図面は、例示のみを目的としたものであり、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0026】
【
図1】例示的な実施形態による、搭載記録システムを含むビークルの概略図である。
【
図2】例示的な実施形態による、
図1に示した搭載レコーダに送られる例示的なフレームの構造を示す図である。
【
図3】例示的な実施形態による、
図1に示した搭載レコーダ及び処理コンピュータによって使用されるコンピュータシステムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示のシステム及び方法は、ビークル内でデータを記録しつつ、エラーを検出するための手法を提供する。具体的には、搭載レコーダを用いて、ビークルの特定のシステム、サブシステム、又はコンポーネントからのデータを保存する。これらのデータは、ビークルの複数の動作パラメータに関する情報を含んでおり、データ列(data sequences)の形態である。搭載記録システムは、これらのデータ列を監視して、エラーを示す様々な特徴が無いか確認する。これらの特徴については、後述する。エラーを特定した場合、搭載記録システムは、1つ以上のアラーム又はその他のインジケータを生成し、当該搭載レコーダに関連して発生した障害を人員に知らせる。
【0028】
以下の記載は、単に例示的な性質のものであり、本開示、その適用例、又は用途を限定することを意図したものではない。
【0029】
図1を参照すると、搭載レコーダ20を有する例示的なビークル10が示されている。搭載レコーダ20は、搭載記録システム18の一部である。搭載記録システム18は、エラーが無いか、データを監視するように構成されており、搭載レコーダ20、1つ以上(すなわち1つまたは複数)の通信バス26、及び、1つ以上のビークルシステム30を含む。一実施形態において、搭載記録システム18は、データネットワーク、及び、1つ以上の処理コンピュータ38もさらに含む。ビークル10を航空機として示しているが、本開示は航空機に限定されない。すなわち、ビークル10は、人又は物を輸送するための任意の装置であってよい。例えば、他の実施形態において、ビークル10は、車、トラック、スポーツ・ユーティリティー・ビークル、又は、バンなどの自動車であってもよい。ビークル10の他の例としては、限定するものではないが、無人航空機(UAV)、宇宙船、セミトレーラートラック、列車、又は、船舶がある。また、1つの搭載レコーダ20のみを示しているが、実施形態によっては、ビークル10は、複数の搭載レコーダ20を含む。例えば、航空機は、複数の搭載レコーダ20を含み、このうちの1つまたは複数の搭載レコーダ20が、航空機の特定のシステム、サブシステム、又は、コンポーネントによって生成されたデータを監視及び記録する。しかしながら、明確化のため、
図1には、1つの搭載レコーダ20のみを示している。
【0030】
搭載レコーダ20は、1つ以上の通信バス26と電子通信を行うことが可能であり、これら通信バスから受信するデータを監視及び記録するように構成されている。通信バス26は、ビークルの1つ以上のシステム、サブシステム、又はコンポーネントとの電子通信が可能である。ビークルのシステム、サブシステム、及び、コンポーネントを、
図1では、ビークルシステム30として示している。通信バス26は、ビークルシステム30からのデータを搭載レコーダ20に送信するように構成されている。ビークルシステム30の例としては、限定するものではないが、飛行制御システム、ナビゲーションシステム、着陸装置システム、環境制御システム(ECS)、防氷システム、燃料システム、空気圧システム、表示システム、及び、油圧システムがある。ビークルシステム30は、ビークル10の動作パラメータを監視する様々なセンサ及び装置を含む。航空機の動作パラメータの例としては、限定するものではないが、速度、エンジン回転数(RPM)、及び、着陸装置位置がある。別の例では、動作パラメータは、オペレータ入力であり、例えば、飛行制御システムを操作するためのパイロット入力である。さらに別の実施形態において、動作パラメータは、障害インジケータ又は動作モード(例えば、空調オン/オフモード)である。
【0031】
一実施形態において、搭載レコーダ20は、データネットワーク32及びI/Oインターフェース34を介して、1つ以上の処理コンピュータ38との電子通信が可能である。処理コンピュータ38は、ビークル10から離れて位置しており、搭載レコーダ20によって記録されたデータを分析する。例えば、一実施形態において、処理コンピュータ38は、地上の処理コンピュータである。代替の実施形態において、処理コンピュータ38は、クラウドコンピューティングシステムの一部である。搭載レコーダ20によって監視されたデータは、様々な手法で、処理コンピュータ38に送信される。例えば、一実施形態において、搭載レコーダ20は、1つ以上のデータファイルの形態でデータを記録して、メモリ140に保存するように構成されている。データファイルは、データネットワーク32を介して、処理コンピュータ38に送られる。ビークル10が航空機の場合、処理コンピュータ38は、搭載レコーダ20によって記録されたデータの飛行後分析を行う。代替の実施形態において、搭載レコーダ20によって監視されたデータは、データネットワーク32を介して、処理コンピュータ38にリアルタイムでストリーミングされる。さらに別の実施形態において、搭載レコーダ20は、1つ以上のデータファイルの形態でデータを記録して、メモリ140に保存するように構成されており、メモリ140は、リムーバブル記憶装置の一部である。リムーバブル記憶装置の例としては、限定するものではないが、データ記録カートリッジ及び外付けハードドライブがある。リムーバブル記憶装置は、その後、ビークル10から取り外されて、処理コンピュータ38に物理的に搬送される。
【0032】
搭載レコーダ20は、通信バス26からデータを受信する。データは、通信バスと互換性があるか、あるいは、通信バスを介して送信されるように構成された任意の形式のものである。データの例としては、例えば、限定するものではないが、ビット、整数、IEEE(the Institute of Electrical and Electronics Engineers)754による浮動小数点演算、ポータブルオペレーティングシステムインターフェース(POSIX)と互換性のあるデータ、英数字値、情報交換用アメリカ標準コード(ASCII)テキスト、及び、人間が読むことができる数字がある。通信バス26から受信されるデータは、ビークル10の動作パラメータを表す。
【0033】
通信バス26から受信されるデータは、データ列の形態である。1つのデータ列は、複数のフレームF(
図2に示す)を含む。データ列の各フレームFは、搭載レコーダ20によって、定期的に受信及び記録される。各フレームFは、特定のレイアウトのビット列又はビット構造に配置された、複数のビット39を含む。
図2に示す例示的なフレームFは、32ビットを有する。ただし、フレームは特定のビット数に限定されない。
図2に示した非限定的な実施形態では、フレームFは、ARINC(Aeronautical Radio, Incorporated)429データデータ転送プロトコルに基づいている。データ転送プロトコルは、フレームFの構造を規定する。データ転送プロトコルは、個別の用途に応じて決まる。例えば、ARINC429データ転送プロトコルは、航空機に使用される。航空機用のデータプロトコルの別の例として、AFDX(Avionics Full-Duplex Switched Ethernet)がある。あるいは、別の実施例において、ビークル10が自動車の場合、データ転送プロトコルは、例えば、CAN(Controller Area Network)プロトコルに基づくものである。
【0034】
図2に示す例示的なフレームFは、特定のフォーマット又はフレームレイアウトを有する。使用される特定のデータ転送プロトコル及びインターフェース管理文書(interface control document:ICD)によって、フレームレイアウトが決まる。データ通信インターフェースのインターフェース管理文書には、伝送されるデータ項目及びメッセージ、従うべきプロトコル、ならびに、事象のタイミング及び順序が記載されている。図示の例では、ビットレイアウトは、ARINC429データ転送プロトコルに基づいて決定される。フレームFは、最上位のビット(ビット32)として、パリティビット40を含む。フレームFのビット31及び30は、サイン・ステータスマトリクスSSM42を表す。ビット29~11は、割り当てられたパラメータの内容を表し、これを割り当てメッセージ44と称する。ビット10~9は、ソース・デスティネーション識別子(SDI)46(この例では搭載レコーダ20に対応)を表す。SDI46は、データを送信するシステム又はサブシステムを特定するために用いられる場合もある。ビット8~1は、ラベル48を表す。割り当てメッセージ44は、1つまたは複数の動作パラメータを表すデータを含み、ラベル48は、割り当てメッセージ44に含まれる動作パラメータを示すメッセージ識別子(msg ID)を含む。例えば、割り当てメッセージ44が気温を表すデータを含む場合、ラベル48は、「air_temp」というメッセージ識別子を含む。一実施形態において、割り当てメッセージ44は、複数の動作パラメータを含む。例えば、割り当てメッセージ44の内容には、エンジンの全温度(total air temperature)と、航空機の全温度との両方が含まれる場合がある。この場合、ラベル48は、エンジンの全温度及び航空機の全温度の両方のメッセージ識別子を含む。
【0035】
フレームレイアウトは、例えば、限定するものではないが、タイムオフセット、ビット長、ビットの各組み合わせが何を表すか、及び、一組の予期メッセージ識別子(expected message identifiers)などの、フレームFの様々なパラメータを規定する。タイムオフセットは、搭載レコーダ20が特定のメッセージ識別子(すなわち動作パラメータ)を受信及び記録する時間を示す。例えば、気温のメッセージ識別子が0.05秒というタイムオフセットを含む場合、メッセージ識別子「air_temp」のタイムオフセットは、0.05秒である。従って、搭載レコーダ20は、気温の割り当てメッセージ44を含むフレームFを、0.05秒ごとに受信及び記録する。なお、搭載レコーダ20は、任意の頻度でデータを記録しうるように構成されており、また、1対1の関係に限定されない。さらに、様々な動作パラメータが、異なる時間に、通信バス26を介して搭載レコーダ20に送られる。例えば、ビークル速度のメッセージ識別子が0.1秒の場合、搭載レコーダ20は、気温の割り当てメッセージ44を含むフレームFを0.05秒ごとに受信及び記録する一方、ビークル速度の割り当てメッセージ44を含むフレームを0.1秒ごとに受信及び記録する。
【0036】
ビット長は、各フレームに含まれると予期されるビットのトータルの数を示す。例えば、
図2のフレームFは、32ビットのビット長を有する。一組の予期メッセージ識別子は、特定のデータ列に対して有効な複数のメッセージ識別子を含んでおり、この一組の予期メッセージ識別子に含まれないメッセージ識別子は、すべて無効と判定される。例えば、予期されるメッセージ識別子の組が、メッセージ識別子MsgID_001、Msg_002、Msg_003、及び、Msg_004を含んでおり、搭載レコーダ20がメッセージ識別子Msg_008を受信した場合、このメッセージ識別子Msg_008は、無効と判定される。
【0037】
図1及び
図2の両方を参照すると、搭載レコーダ20は、通信バス26からデータ列を受信する。1つのデータ列が、複数のフレームFを含んでおり、各フレームが、搭載レコーダ20によって定期的に記録される。換言すれば、複数のフレームFは、其々、搭載レコーダ20によって、特定のサンプリングレート又はサンプリング周波数で、受信及び記録される。この特定の周波数は、その適用分野、ならびに、複数のフレームFで表されるデータの種類に依存する。例えば、航空や宇宙探査などの分野は、自動車などの他の種類の適用分野に比べて、より高い周波数又はサンプリングレートを必要とする。また、ビークル10の動作に不可欠な種類の動作パラメータは、不可欠ではない他の動作パラメータと比べて、より高いサンプリングレートを必要とする。例えば、対気速度の測定値は、航空機にとって不可欠な動作パラメータであり、約100ミリ秒~約200ミリ秒の範囲の周期で、所定のセンサから搭載レコーダ20に送信される。これに対し、月、日、年などの不可欠でない、又は補助的なパラメータは、たとえば1分間又は1時間に1回などのかなり低いレートでサンプリングしてもよい。
【0038】
搭載レコーダ20あるいはその上流のシステム(通信バス26やビークルシステム30など)のいずれかにおいて、しばしば障害が発生することがある。このような障害の結果、搭載レコーダ20によって、低品質のデータが記録及び保存される。低品質のデータの例として、限定するものではないが、欠落している割り当てメッセージ44、同じタイムスタンプを有するが異なるデータを含む割り当てメッセージ44、無効のメッセージ識別子、又は、正しくないビット長を有するフレームFがある。後述するように、搭載記録システム18は、障害によって発生したエラーを特定するための命令を実行する。なお、いくつかの実施形態では、搭載レコーダ20が障害を特定し、他の実施形態では、処理コンピュータ38が障害を特定する。これらの実施形態では、上述のように、搭載記録システム18は、周期的なデータを用いてエラーを特定する。なお、搭載記録システム18が、周期的なデータを記録することによってエラーを検出するものとして説明しているが、搭載記録システム18は、非周期的なデータも監視、記録、及び、保存するようにしてもよい。周期的なデータとは異なり、非周期的なデータの記録は、対象となる所定の事象が発生した場合に行われる。
【0039】
一実施形態において、搭載記録システム18は、データ列内にタイムギャップを形成する1つ以上の欠落メッセージの存在を特定することでエラーを検出する。
図1及び
図2を参照して説明すると、搭載記録システム18は、複数のフレームFを含んだ1つのデータ列を入力として受信する。これら複数のフレームは、それぞれに割り当てられたタイムオフセットで搭載レコーダ20に受信及び記録されるものであり、割り当てメッセージ44を含む。すなわち、各フレームFが、所定の割り当てメッセージ44を含んでいる。上述したように、割り当てメッセージ44は、ビークル10に関する1つまたは複数の動作パラメータを示す。例えば、一実施形態においては、割り当てメッセージ44は、気温などの1つの動作パラメータのみを表すが、別の実施形態においては、割り当てメッセージ44は、複数の動作パラメータを含む。次に、搭載記録システム18は、欠落している割り当てメッセージ44、すなわち、割り当てられた所定のタイムオフセットで受信されなかったメッセージを特定する。このような欠落割り当てメッセージ44の特定手法は、複数のものが考えられる。例えば、
図2が示す例において、ラベル48が動作パラメータとして、気温を示すメッセージ識別子を含んでいるにもかかわらず、割り当てメッセージ44に何のデータも含まれていないことが、搭載記録システム18によって特定されたとする。この場合、割り当てメッセージ44内の当該欠落データは、搭載レコーダ20によって記録及び保存されるデータ内に、タイムギャップを形成することになる。別の例としては、搭載レコーダ20が、予期された所定の周波数でフレームFを受信しない場合が挙げられる。この場合も、記録中のデータ内にタイムギャップが形成される。
【0040】
欠落割り当てメッセージ44の特定に応じ、搭載記録システム18は、注目しているデータ列内において、割り当てメッセージ44が欠落している時間長の合計値を計算する。例えば、搭載記録システム18は、メモリ140に保存された欠落割り当てメッセージ44の数に基づいて、合計の時間の長さを計算する。換言すれば、搭載記録システム18は、搭載記録システム18のメモリ140に保存されたデータ内における、タイムギャップが存在する時間の合計を計算するが、その際に、タイムギャップがフレームF(
図2)の割り当てメッセージ部分内の欠落データによって形成されることが考慮されている。
【0041】
搭載記録システム18は、次に、上記の合計時間を、エラーを判定するための閾値時間長さと比較する。閾値時間長さは、後に詳述するが、搭載レコーダ20あるいは処理コンピュータ38のメモリ140(
図3)に保存されたデータ列内における、欠落割り当てメッセージ44の限度を表す。データ列内の上記合計時間が閾値時間を超える場合、搭載レコーダ20や、データバス26、ビークルシステム30において、あるいは、搭載レコーダ20より上流側に位置する他のコンポーネントにおいて障害が発生している。ある場合に、搭載記録システム18は、合計時間が閾値時間長さより長いと判定する。合計時間が閾値時間長さより長いと判定した場合、搭載記録システム18は、エラーが発生したと判定する。他の場合には、搭載記録システム18は、合計時間が閾値時間長さ以下であると判定し、エラーは検出されない。
【0042】
閾値時間長さの値は、いくつかの要因に基づいて変化する。具体的には、閾値時間長さの値は、その個別の用途、ビークル10の動作フェーズ、及び、欠落割り当てメッセージ44の特定の動作パラメータに依存する。個別の用途とは、運用中のビークル10の種類(例えば、航空機、宇宙船など)のことをいう。ある種の用途では、他の用途に比べて、高い精度又は正確さが要求される。例えば、宇宙船は、自動車などの他の種類の用途に比べて、許容誤差が小さく、より高い動作精度を必要とする。従って、宇宙船の場合の閾値時間長さは、概して、自動車の場合の閾値時間長さよりも短い。ビークル10の動作フェーズとは、ビークル10の個別の動作状態のことをいう。例えば、ビークル10が航空機の場合、動作状態は、飛行フェーズと称される。飛行フェーズには、タキシング、離陸、巡航、降下、最終進入、及び、着陸がある。別の例として、自動車の動作状態としては、限定するものではないが、始動や、市街走行等に見られるのろのろ運転(stop-and-go)、高速道路走行等に見られる定常運転などがある。最後に、ある種の動作パラメータは、他の動作パラメータに比べて、監視がより重要又は不可欠である。例えば、航空機における垂直加速パラメータは非常に重要であり、綿密に監視する必要がある。
【0043】
いくつかの実施形態において、閾値時間長さは、割り当てメッセージ44の動作パラメータのみならず、動作フェーズに基づいても変化する。例えば、ビークル10が航空機で、動作パラメータが車輪重量である場合、閾値時間長さは、飛行フェーズに基づいて変化する。具体的には、航空機が飛行の離陸フェーズ又は着陸フェーズにある際には、巡航などの他の飛行フェーズの際よりもずっと綿密に、ホイール重量を監視すべきである。従って、離陸フェーズ及び着陸フェーズにおける閾値時間長さは、他の飛行フェーズの際と比べて大幅に短い。ただし、他の動作パラメータには、ビークル10の動作フェーズに応じて変化しない、固定された閾値時間長さも含まれうる。例えば、ビークル10が航空機で、動作パラメータが垂直加速度である場合、閾値時間長さは、飛行フェーズに基づいて変化しない。これは、垂直加速度が、飛行の全フェーズにわたって綿密に監視する必要がある重要な動作パラメータであるためである。
【0044】
上述したように、データ列内の合計時間が閾値時間長さより短いと搭載記録システム18が判定する場合、すなわち、エラーが発生していない場合がある。当該合計時間が閾値時間長さ以下であると判定された場合、搭載記録システム18は、データ列の全ランタイム(run time)に対する欠落割り当てメッセージ44の割合(%)を求め、これが、搭載レコーダ20あるいは処理コンピュータ38のメモリ140(
図3)に保存される。搭載記録システム18は、次に、欠落割り当てメッセージ44の割合を、所定の閾値割合(threshold percentage value)と比較する。閾値割合については、後に詳述する。いくつかの場合において、搭載記録システム18は、欠落割り当てメッセージ44の割合が閾値割合より大きいと判定する。欠落割り当てメッセージ44の割合が、閾値割合より大きいと判定した場合、搭載記録システム18は、エラーがあると判定する。一方、欠落割り当てメッセージ44の割合が、閾値割合以下であると判定した場合、エラーは発生していない。
【0045】
閾値割合は、その個別の用途、及び、欠落割り当てメッセージ44の特定の動作パラメータに基づいて決定される。閾値時間長さと同様に、閾値割合は、自動車などの他の用途に比べてエラーが少ないことが要求される、宇宙船などのある種の用途について、低く設定される。また、ある種の動作パラメータは、他の動作パラメータに比べて、監視がより重要又は不可欠であり、このような不可欠な動作パラメータについては、重要度の低い動作パラメータと比べて、閾値割合がより低く設定される。
【0046】
別の実施形態において、搭載記録システム18は、2つの異なるフレームFの割り当てメッセージ44が同じタイムスタンプを含むものの、メッセージの内容が同一でないと判定した場合に、エラーとして検出する。いくつかの実施形態において、1つのフレームFのタイムスタンプが、実際にはそのビット構造に埋め込まれない場合もある。代わりに、搭載記録システム18がタイムスタンプを決定し、これが、複数のフレームFのうちの対応する一のフレームに加えられる。なお、他の実施形態として、タイムスタンプを複数のフレームFそれぞれに設けてもよい。このようにタイムスタンプは、その作成時間に応じて、データが形成された時間や、データが実際にある値に割り当てられた時間等を表している。一実施形態において、搭載レコーダ20は、第1タイムスタンプ付きの第1割り当てメッセージ44を有する第1フレームFを受信する。第1フレームFは、データ列の一部である。次に、搭載レコーダ20は、第2タイムスタンプ付きの第2割り当てメッセージ44を有する第2フレームFを受信する。第2フレームFは、第1フレームFの受信後しばらくしてから、搭載レコーダ20によって受信される。搭載記録システム18は、第1タイムスタンプを第2タイムスタンプと比較する。この際、ある場合には、搭載記録システム18は、第1タイムスタンプが第2タイムスタンプと同一であると判定する。第1タイムスタンプが第2タイムスタンプと同一であると判定した場合、搭載記録システム18は、2つの割り当てメッセージ44のデータ内容を比較する。(すなわち、搭載記録システム18は、第1割り当てメッセージ44の第1データ内容(first data content)を、第2割り当てメッセージ44の第2データ内容(second data content)と比較する。)一方、ある場合には、搭載記録システム18は、第1データ内容が、第2データ内容と同一ではないと判定する。第1データ内容が第2データ内容と同一ではないと判定した場合、搭載記録システム18は、エラーが発生したと判定する。
【0047】
代替の実施形態では、第1割り当てメッセージ44の第1データ内容が第2割り当てメッセージ44の第2データ内容と同一ではないと判定しても、搭載記録システム18は、障害が発生したとは判定しない。代わりに、搭載記録システム18は、異なるデータを含む複数の割り当てメッセージ44を有する1つのデータ列内において、互いに同じであるタイムスタンプが何回発生するかに基づいて、エラーであるかどうかを判定する。具体的には、搭載記録システム18は、特定のデータ列に含まれる複数の割り当てメッセージ44のうち、タイムスタンプが同一であり且つデータ内容が異なる割り当てメッセージ44の数が、所定の閾値数、すなわち、反復タイムスタンプの閾値数を超えると判定した場合に、エラーであると判定する。なお、当該特定のデータ列は、1つの動作サイクル(例えば1回のフライト)を表す。これは、2つの異なる動作サイクルで収集された二組の異なるデータにおいて、タイムスタンプが同じであり、且つ割り当てメッセージ44で表されるデータが異なるということが、あり得るからである。
【0048】
一実施形態において、搭載レコーダ20は、第2フレームFを受信した後、1つまたは複数のフレームFをさらに受信する。これら1つまたは複数のフレームFは、それぞれに対応した所定の割り当てメッセージ44を含んでいる。次に、搭載記録システム18は、これら1つまたは複数の所定の割り当てメッセージ44が、第1タイムスタンプと同一のタイムスタンプを含み、かつ、第1割り当てメッセージ44とは異なる割り当てメッージ44を含むかを判定する。上記1つまたは複数の割り当てメッセージ44が、第1タイムスタンプと同一のタイムスタンプ、および、第1割り当てメッセージ44とは異なる割り当てメッセージ44を含むと判定した場合、搭載記録システム18は、搭載レコーダ20又は処理コンピュータ38のメモリ140(
図3)に保存された当該データ列内における割り当てメッセージ44のうち、タイムスタンプが第1タイムスタンプと同一であり、かつ、内容が第1割り当てメッセージ44と異なっている割り当てメッセージ44の数を特定する。搭載記録システム18は、搭載レコーダ20又は処理コンピュータ38のメモリ140(
図3)に保存された割り当てメッセージ44の数を、上述した反復タイムスタンプの閾値数と比較する。いくつかの場合において、搭載記録システム18は、当該割り当てメッセージ44の数が、反復タイムスタンプの閾値数より大きいと判定する。割り当てメッセージ44の数が、フレームの閾値数より大きいと判定された場合、搭載記録システム18は、エラーが発生したと判定する。
【0049】
反復タイムスタンプの閾値数は、その個別の用途、及び、割り当てメッセージ44が表す動作パラメータに基づいて、決定される。具体的には、より高い精度又は正確さが要求される用途又は動作パラメータでは、同一のタイムスタンプを有する割り当てメッセージ44の許容数が小さく、要求される精度又は正確さが比較的低い用途又は動作パラメータでは、同一のタイムスタンプを有する割り当てメッセージ44の許容数が大きい。
【0050】
また、いくつかの実施形態において、同じデータ内容であり、かつ繰り返し現れるタイムスタンプを有する割り当てメッセージ44の数は、搭載レコーダ20の運用寿命にわたって増加する。従って、いくつかの実施形態において、搭載記録システム18は、以前の動作サイクルからの、同一のタイムスタンプ及びデータ内容を有する割り当てメッセージ44の合計数をメモリ140に保存する。この数を、タイムスタンプエラーの合計数と称する。動作サイクルとは、ビークル10が航空機の場合はフライトであり、あるいは、ビークル10が自動車の場合は、運転サイクルである。一実施形態において、搭載記録システム18は、連続する任意の2つの動作サイクル間で、タイムスタンプエラーの合計数を比較し、エラーが経時的に増えているかどうかを判定する。換言すれば、搭載記録システム18は、各動作サイクルから収集したエラーの総計を求め、これらの動作サイクルそれぞれのエラーの総計を互いに比較して、同一のタイムスタンプに基づくエラーの数が経時的に増加傾向にあるかどうかを判定する。
【0051】
さらに別の実施形態において、搭載記録システム18は、データ列における1つ以上のフレームFのビット長が正しくないと判定した場合に、エラーであると判定する。データ列における複数のフレームのビット長、タイムオフセット、ビットの組み合わせが示す内容、及び、一組の予期メッセージ識別子は、その特定のデータ転送プロトコル及びインターフェース管理文書に基づいて決定される。一実施形態では、搭載記録システム18は、正しくないビット長を有するフレームFを1つだけ検出する。この単一のフレームFは、複数のフレームFを含むデータ列の一部である。正しくないビット長を有する単一のフレームFを検出した場合、搭載記録システム18は、エラーであると判定する。
【0052】
あるいは、別の実施形態では、搭載記録システム18は、正しくないビット長を有する単一のフレームFのみを検出しただけでは、エラーとは判定しない。代わりに、正しくないビット長を有する単一のフレームFを検出した後、搭載記録システム18は、データ列を監視し続ける。どこかの時点で、搭載記録システム18は、データ列の一部であり且つ搭載レコーダ20又は処理コンピュータ38のメモリ140(
図3)に保存されたフレームFであって、正しくないビット長を有するフレームFを1つあるいは複数、検出する場合がある。いくつかの実施形態において、搭載記録システム18は、正しくないビット長を有するフレームFの数が、正しくないビットを有するフレームの閾値数を超えていると判定する。正しくないビットを有するフレームFの数が、正しくないビットを有するフレームの閾値数を超えていると判定した場合、搭載記録システム18は、エラーであると判定する。
【0053】
正しくないビットを有するフレームの閾値数は、その個別の用途、及び、割り当てメッセージ44が表す動作パラメータに基づいて、決定される。具体的には、より高い精度又は正確さが要求される用途又は動作パラメータでは、正しくないビット数を有するフレームFの数がより少ないことが求められ、要求される精度又は正確さが比較的低い用途又は動作パラメータでは、正しくないビット数を有するフレームFが、より多く許容される。
【0054】
さらに別の実施形態において、搭載記録システム18は、無効のメッセージ識別子に基づいて、エラーであると判定する。上述するとともに
図2に示したように、ラベル48は、1つ以上のメッセージ識別子を含み、当該メッセージ識別子は、特定のフレームFの割り当てメッセージ44に含まれる1つ以上の動作パラメータを表している。搭載レコーダ20によって受信される複数のフレームFは、各々が、対応する割り当てメッセージ44に関連付けられた1つ以上のメッセージ識別子を含んでいる。搭載レコーダ20によって受信される各データ列は、そのデータ列について有効なメッセージ識別子を示す、一組の予期メッセージ識別子を含んでいる。搭載記録システム18は、複数のフレームFの各々における1つ以上のメッセージ識別子を、この一組の予期メッセージ識別子と比較する。いくつかの場合において、搭載記録システムは、複数のフレームFのうちの1つにおける少なくとも1つのメッセージ識別子が、一組の予期メッセージ識別子に含まれていないと判定する。少なくとも1つのメッセージ識別子が、一組の予期メッセージ識別子に含まれていないと判定した場合、搭載記録システム18は、エラーが発生したと判定する。
【0055】
メッセージ識別子と割り当てメッセージ44は、所定のタイムオフセットにおいてのみ、搭載レコーダ20に送られる。特定のメッセージ識別子及びこれに関連する割り当てメッセージ44を含むフレームFを、タイムオフセットとは異なる時刻に搭載レコーダ20が受信した場合、搭載記録システム18は、エラーであると判定する。あるいは、別の実施形態において、所定のタイムオフセットにフレームFが全く受信されなかった場合、搭載記録システム18は、エラーとして検出する。搭載記録システム18によって受信される複数のフレームFは、各々が、対応する割り当てメッセージ44に関連付けられた1つ以上のメッセージ識別子を含んでいる。個々のメッセージ識別子は、固有のタイムオフセットにも割り当てられている。例えば、気温を示す割り当てメッセージ44に割り当てられたメッセージ識別子には、0.05秒という固有のタイムオフセットが割り当てられる。ビークル速度を示す別の割り当てメッセージ44に割り当てられたメッセージ識別子には、0.1秒という固有のタイムオフセットが割り当てられる。
【0056】
搭載記録システム18は、複数のフレームFの各々における個々のメッセージ識別子のタイムスタンプを、割り当てられた固有のタイムオフセットと比較する。いくつかの場合において、搭載記録システム18は、個々のメッセージ識別子のタイムスタンプが、対応する割り当てメッセージ44が固有のタイムオフセットとは異なる時刻に送信されたことを示していると判定する。例えば、搭載記録システム18は、気温の割り当てメッセージ44が、その固有のタイムオフセットである0.05秒ではなく、0.06秒で送信されたと判定する。対応する割り当てメッセージ44が、その固有のタイムオフセットとは異なる時刻に送信されたと判定した場合、搭載記録システム18は、エラーが発生したと判定する。
【0057】
図1を参照すると、エラーであると判定した場合、搭載記録システム18は、人員に障害を知らせるためのアラーム又はその他のインジケータを生成する。アラームの例としては、限定するものではないが、電子メールメッセージ、ショートメッセージサービス(SMS)メッセージ、又は、電話がある。別の実施形態において、アラーム又はインジケータは、すべてのエラーのログ及び対応するメモリ位置を含む、個別のデータファイルである。なお、アラーム又はインジケータは、他の形式も含むことができる。一実施形態において、搭載レコーダ20によって記録されたデータは、履歴データベースに保存される。履歴データベースに保存されたデータを用いて、収集データの傾向を検出したり、報告を作成したり、品質チェックを行ったりすることができる。
【0058】
各図を参照すれば理解されるように、本開示の技術的効果及び利点には、記録プロセス中にエラーを検出する、ビークル用の搭載記録システムが含まれる。当該搭載記録システムは、人員にエラーを即座に知らせるためのアラーム又はその他のインジケータを生成することもできる。これに対し、従来のデータシステムは、例えば、エラーを全く検出せず、データの分析中にこのようなエラーを用いることさえ行わない。
【0059】
図3を参照すると、搭載レコーダ20及び処理コンピュータ38は、例示的なコンピュータシステム130などの1つ以上のコンピュータ装置又はシステムに実装される。コンピュータシステム130は、プロセッサ132、メモリ140(
図1)、大容量記憶装置136、入出力(I/O)インターフェース138、及び、ヒューマンマシンインターフェース(HMI)104を含む。コンピュータシステム130は、ネットワーク126又はI/Oインターフェース138を介して、1つ以上の外部リソース142に機能的に接続されている。外部リソースには、限定するものではないが、サーバー、データベース、大容量記憶装置、周辺機器、クラウドベースのネットワークサービス、又は、コンピュータシステム130によって使用可能な任意の他の適当なコンピュータリソースがある。
【0060】
プロセッサ132は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ、マイクロコンピュータ、中央処理装置、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブルロジックデバイス、ステートマシン、ロジック回路、アナログ回路、デジタル回路、又は、メモリ140に保存された操作命令に基づいて信号(アナログ又はデジタル)を処理する任意の他のデバイスから選択される、1つ以上のデバイスを含む。メモリ140は、限定するものではないが、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、フラッシュメモリ、キャッシュメモリ、又は情報を保存することができる任意の他のデバイスを含む、1つのメモリデバイス又は複数のメモリデバイスを含む。大容量記憶装置136は、ハードドライブ、光学ドライブ、テープドライブ、揮発性又は不揮発性のソリッドステートデバイス、又は情報を保存することができる任意の他のデバイスなどの、データ記憶装置を含む。
【0061】
プロセッサ132は、メモリ140に常駐するオペレーティングシステム146の制御下で動作する。具体的には、オペレーティングシステム146が、コンピュータリソースを適宜管理し、これにより、1つまたは複数のコンピュータソフトウェアアプリケーション(たとえばメモリ140に常駐するアプリケーション148)として実現されたコンピュータプログラムコードが、プロセッサ132によって実行される命令を含むように構成される。代替の実施形態において、プロセッサ132がアプリケーション148を直接実行してもよく、その場合、オペレーティングシステム146は、省くことができる。1つ以上のデータ構造149も、メモリ140に常駐し、プロセッサ132、オペレーティングシステム146、又はアプリケーション148によって使用されて、データを保存又は処理する。
【0062】
I/Oインターフェース138は、プロセッサ132を、ネットワーク126又は外部リソース142などの他のデバイス又はシステムに機能的に接続するマシンインターフェースを実現する。これにより、アプリケーション148が、I/Oインターフェース138を介した通信により、ネットワーク126又は外部リソース142と協働して、本発明の実施形態を包含する様々な特徴、機能、アプリケーション、プロセス、又はモジュールを実現する。また、アプリケーション148は、1つ以上の外部リソース142によって実行されるプログラムコードを含んでいてもよいし、あるいは、コンピュータシステム130の外部の他のシステム又はネットワークコンポーネントによって提供される機能又は信号を利用する形態であってもよい。実際のところ、ほぼ無限とも言えるハードウェアおよびソフトウェア構成が可能であることから、当業者であればわかるように、本発明の実施形態は、以下のような様々なアプリケーション、すなわち、コンピュータシステム130の外部にあるアプリケーション、複数のコンピュータ又はその他の外部リソース142に分散されたアプリケーション、あるいは、クラウドコンピューティングサービスなどの、ネットワーク126を介したサービスとして提供されるコンピューティングリソース(ハードウェア及びソフトウェア)によって提供されるアプリケーションを含む。
【0063】
HMI104は、既知の方法で、コンピュータシステム130のプロセッサ132に機能的に接続されることにより、ユーザがコンピュータシステム130と直接やりとりできるようにする。HMI104は、例えば、ビデオ又は英数字ディスプレイ、タッチスクリーン、スピーカー、及び、ユーザにデータを提供可能な任意の他の適当な音声及び視覚インジケータを含む。HMI104は、ユーザからの命令又は入力を受けるとともに、入力をプロセッサ132に送信することができる、英数字キーボード、ポインティングデバイス、キーパッド、押しボタン、コントロールノブ、マイクなどの入力装置及び制御装置を含む。
【0064】
データベース144は、大容量記憶装置136にあり、当該データベースを用いて、本明細書に記載の様々なシステム及びモジュールによって使用されるデータを収集及び整理することができる。データベース144は、例えば、データと、データの保存および整理を支援するサポートデータ構造とを含む。具体的には、データベース144は、限定するものではないが、リレーショナルデータベース、階層型データベース、ネットワークデータベース、又はこれらの組み合わせを含む、任意のデータベース編成または構造で構成される。プロセッサ132に対する命令が実行されることで機能するコンピュータソフトウェアプリケーションの形態のデータベース管理システムを用いて、クエリに応答して、データベース144の記録に保存された情報又はデータにアクセスしてもよい。クエリは、例えば、オペレーティングシステム146、他のアプリケーショ148、又は1つ以上のモジュールによって、動的に決定されて、実行される。
【0065】
また、本開示は、以下の付記による実施形態を含む。
【0066】
付記1. エラーが無いかデータを監視するように構成された、ビークル(10)用搭載記録システム(18)であって、
1つ以上のプロセッサ(132)と、
前記1つ以上のプロセッサ(132)に接続され、かつデータベース(144)とプログラムコードとを含むデータを格納するメモリ(140)と、
を具備しており、前記プログラムコードが、前記1つ以上のプロセッサ(132)によって実行されることにより、以下の工程、すなわち、
其々に割り当てられたタイムオフセットで当該搭載記録システム(18)に受信及び記録されるとともに、対応する割り当てメッセージ(44)を其々が有している複数のフレームを含んでいるデータ列を入力として受信し、
前記割り当てられたタイムオフセットに受信されていない欠落割り当てメッセージ(44)を特定し、
前記欠落割り当てメッセージ(44)の特定に応じて、前記メモリ(140)に保存されている欠落割り当てメッセージ(44)の数に基づいて合計時間長を計算し、
前記合計時間長を閾値時間長と比較し、
前記合計時間長が、前記閾値時間長よりも長いと判定し、
前記合計時間長が前記閾値時間長より長いと判定したことに応じて、エラーが発生したと判定する、
各工程を行うように構成されている、搭載記録システム(18)。
【0067】
付記2. 前記1つ以上のプロセッサ(132)は、
前記合計時間長が、前記閾値時間長以下であると判定するための命令と、
前記合計時間長が、前記閾値時間長以下であるとの判定に応じて、当該搭載記録システム(18)の前記メモリ(140)に保存されている前記データ列の全ランタイムに対する欠落割り当てメッセージの割合を求めるための命令と、
を実行するように構成されている、付記1に記載の搭載記録システム(18)。
【0068】
付記3. 前記1つ以上のプロセッサ(132)は、
前記欠落割り当てメッセージの割合を、閾値割合と比較するための命令と、
前記欠落割り当てメッセージの割合が、閾値割合より大きいと判定するための命令と、
前記欠落割り当てメッセージの割合が、前記閾値割合より大きいとの判定に応じて、エラーが発生したと判定するための命令と、
を実行するように構成されている、付記2に記載の搭載記録システム(18)。
【0069】
付記4. 前記1つ以上のプロセッサ(132)は、
前記データ列の一部である第1フレームであって、第1タイムスタンプ付きの第1割り当てメッセージ(44)を有する第1フレームを受信するための命令と、
前記第1フレームを受信した後に、第2タイムスタンプ付きの第2割り当てメッセージ(44)を有する第2フレームを受信するための命令と、
前記第1割り当てメッセージ(44)の前記第1タイムスタンプを、前記第2割り当てメッセージ(44)の前記第2タイムスタンプと比較するための命令と、
前記第1タイムスタンプが前記第2タイムスタンプと同一であると判定するための命令と、
を実行するように構成されている、付記1に記載の搭載記録システム(18)。
【0070】
付記5. 前記1つ以上のプロセッサ(132)は、
前記第1タイムスタンプが前記第2タイムスタンプと同一であるとの判定に応じて、前記第1割り当てメッセージ(44)の第1データ内容を、前記第2割り当てメッセージ(44)の第2データ内容と比較するための命令と、
前記第1データ内容が、前記第2データ内容と同一でないと判定するための命令と、
前記第1データ内容が、前記第2データ内容と同一ではないとの判定に応じて、エラーが発生したと判定するための命令と、
を実行するように構成されている、付記4に記載の搭載記録システム(18)。
【0071】
付記6. 前記1つ以上のプロセッサ(132)は、
前記第2フレームを受信した後に、其々が対応する前記割り当てメッセージ(44)を含む1つ以上のフレームを受信するための命令と、
1つ以上の対応する割り当てメッセージ(44)が、前記第1タイムスタンプと同一のタイムスタンプと、前記第1割り当てメッセージ(44)とは異なる割り当てメッセージ(44)とを含むと判定するための命令と、
前記1つ以上の対応する割り当てメッセージ(44)が、前記第1タイムスタンプと同一のタイムスタンプと、前記第1割り当てメッセージ(44)とは異なる割り当てメッセージ(44)とを含むとの判定に応じて、前記搭載記録システム(18)の前記メモリ(140)に保存されている前記データ列内の、第1タイムスタンプと同一のタイムスタンプと、前記第1割り当てメッセージ(44)とは異なる割り当てメッセージ(44)とを含む割り当てメッセージ(44)の数を特定するための命令と、
前記割り当てメッセージ(44)の数を、反復タイムスタンプの閾値数と比較するための命令と、
前記割り当てメッセージ(44)の数が、前記反復タイムスタンプの前記閾値数より大きいと判定するための命令と、
前記割り当てメッセージ(44)の数が、フレームの前記閾値数より大きいとの判定に応じて、エラーが発生したと判定するための命令と、
を実行するように構成されている、付記4に記載の搭載記録システム(18)。
【0072】
付記7. 前記1つ以上のプロセッサ(132)は、
正しくないビット長を有する単一のフレームを検出するための命令を実行し、前記単一のフレームは、前記複数のフレームを含む前記データ列の一部である、付記1に記載の搭載記録システム(18)。
【0073】
付記8. 前記1つ以上のプロセッサ(132)は、
前記正しくないビット長を有する前記単一のフレームの検出に応じて、エラーが発生したと判定するための命令を実行する、付記7に記載の搭載記録システム(18)。
【0074】
付記9. 前記1つ以上のプロセッサ(132)は、
前記正しくないビット長を有する前記単一のフレームを検出した後、前記データ列の監視を継続するための命令と、
前記データ列の一部であるとともに、前記搭載記録システム(18)の前記メモリ(140)に保存されている、各々が正しくないビット長を有する1つ以上のフレームを検出するための命令と、
正しくないビット長を有する前記1つ以上のフレームの数が、正しくないビット長を有するフレームの閾値数を超えていると判定するための命令と、
正しくないビット長を有する前記1つ以上のフレームの数が、正しくないビット長を有するフレームの前記閾値数を超えているとの判定に応じて、エラーが発生したと判定するための命令と、を実行するように構成されている、付記7に記載の搭載記録システム(18)。
【0075】
付記10. 前記1つ以上のプロセッサ(132)は、エラーであるとの判定に応じて警告を生成するための命令を実行するように構成されている、付記1に記載の搭載記録システム(18)。
【0076】
付記11. 前記複数のフレームは、其々が、対応する前記割り当てメッセージ(44)に関連付けられた1つ以上のメッセージ識別子を含み、前記1つ以上のプロセッサ(132)は、
前記複数のフレームの各々の前記1つ以上のメッセージ識別子を、一組の予期メッセージ識別子と比較するための命令と、
前記複数のフレームのうちの1つの、少なくとも1つのメッセージ識別子が、前記一組の予期メッセージ識別子に含まれていないと判定するための命令と、
少なくとも1つのメッセージ識別子が、前記一組の予期メッセージ識別子に含まれていないと判定した場合に、エラーが発生したと判定するための命令と、を実行するように構成されている、付記1に記載の搭載記録システム(18)。
【0077】
付記12. 前記複数のフレームの各々は、対応する前記割り当てメッセージ(44)に関連付けられた1つ以上のメッセージ識別子を含み、個々のメッセージ識別子は、其々固有のタイムオフセットに割り当てられている、付記1に記載の搭載記録システム(18)。
【0078】
付記13. 前記1つ以上のプロセッサ(132)は、
前記複数のフレームの各々における前記個々のメッセージ識別子のタイムスタンプを、前記割り当てられた固有のタイムオフセットと比較するための命令と、
前記個々のメッセージ識別子の前記タイムスタンプが、前記対応する割り当てメッセージ(44)が前記固有のタイムオフセットとは異なる時刻に送信されたことを示していると判定するための命令と、
前記対応する割り当てメッセージ(44)が前記固有のタイムオフセットとは異なる時刻に送信されたとの判定に応じて、エラーが発生したと判定するための命令と、を実行するように構成されている、付記12に記載の搭載記録システム(18)。
【0079】
付記14. 前記ビークル(10)は、航空機、自動車、無人航空機(UAV)、宇宙船、又は、船舶である、付記1に記載の搭載記録システム(18)。
【0080】
付記15. ビークル(10)の搭載記録システム(18)においてエラーを検出する方法であって、
其々に割り当てられたタイムオフセットで前記搭載記録システム(18)に受信及び記録されるとともに、対応する割り当てメッセージ(44)を其々が有している複数のフレームを含むデータ列を、前記搭載記録システム(18)のコンピュータ(130)によって受信し、
前記コンピュータ(130)によって、前記割り当てられたタイムオフセットに受信されていない欠落割り当てメッセージ(44)を特定し、
前記欠落割り当てメッセージ(44)の特定に応じて、メモリ(140)に保存されている欠落割り当てメッセージ(44)の数に基づいて合計時間長を計算し、
前記合計時間長を閾値時間長と比較し、
前記合計時間長が、前記閾値時間長よりも長いと判定し、
前記合計時間長が前記閾値時間長より長いとの判定に応じて、エラーが発生したと判定する、方法。
【0081】
付記16. 前記合計時間長が、前記閾値時間長以下であると判定し、
前記合計時間長が前記閾値時間長以下であるとの判定に応じて、前記搭載記録システム(18)の前記メモリ(140)に保存されている前記データ列の全ランタイムに対する、欠落割り当てメッセージの割合を求める、付記15に記載の方法。
【0082】
付記17. 前記欠落割り当てメッセージの割合を、閾値割合と比較し、
前記欠落割り当てメッセージの割合が、前記閾値割合より大きいと判定し、
前記欠落割り当てメッセージの割合が前記閾値割合より大きいとの判定に応じて、エラーが発生したと判定する、付記16に記載の方法。
【0083】
付記18. 第1タイムスタンプ付きの第1割り当てメッセージ(44)を有し、かつ前記データ列の一部である第1フレームを受信し、
第2タイムスタンプ付きの第2割り当てメッセージ(44)を有し、かつ前記第1フレームの後に受信される第2フレームを受信し、
前記第1割り当てメッセージ(44)の前記第1タイムスタンプを、前記第2割り当てメッセージ(44)の前記第2タイムスタンプと比較し、
前記第1タイムスタンプが前記第2タイムスタンプと同一であると判定する、各工程をさらに備える、付記15に記載の方法。
【0084】
付記19. 前記第1タイムスタンプが前記第2タイムスタンプと同一であるとの判定に応じて、前記第1割り当てメッセージ(44)の第1データ内容を、前記第2割り当てメッセージ(44)の第2データ内容と比較し、
前記第1データ内容が、前記第2データ内容と同一でないと判定し、
前記第1データ内容が前記第2データ内容と同一ではないとの判定に応じて、エラーが発生したと判定する、各工程をさらに備える、付記18に記載の方法。
【0085】
付記20. 正しくないビット長を有し、かつ前記複数のフレームを含む前記データ列の一部である単一のフレームを検出し、
前記正しくないビット長を有する前記単一のフレームの検出に応じて、エラーが発生したと判定する、各工程をさらに備える、いい付記15に記載の方法。
【0086】
本開示の記載は、単に例示的な性質のものであり、本開示の要旨から逸脱しない変形は、本開示の範囲内にあることを意図している。そのような変形は、本開示の精神及び範囲からの逸脱であると見なされるべきではない。