(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】UEREの確定方法、UEREの決定方法、コンピュータ実装データ構造、使用、装置、およびコンピュータ実装プログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 19/05 20100101AFI20240502BHJP
G01S 19/08 20100101ALI20240502BHJP
G01C 21/28 20060101ALI20240502BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20240502BHJP
【FI】
G01S19/05
G01S19/08
G01C21/28
G06N20/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019228779
(22)【出願日】2019-12-19
【審査請求日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】10 2018 222 643.1
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン・アレクサンダー・シエック
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-281320(JP,A)
【文献】特開2009-063531(JP,A)
【文献】特開平06-051047(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108759835(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 19/00-19/55
G01C 21/26-21/36
G06N 20/00
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置決定のためのUERE値の決定方法(500)であって、
機械学習方法を使って前記UERE値を決定するステップ(501)を有し、前記機械学習方法が、少なくとも1つの既知のUERE値に依存してトレーニングされ、その際、少なくとも1つの前記UERE値が、
位置決定のためのUERE値の確定方法(400)であって、
位置を表す信号を捕捉するステップ(401)と、
表された前記位置と基準位置とを比較するステップ(402)と、
前記比較に依存して前記UERE値を確定するステップ(403)と、
を有する、確定方法(400)
を使って確定される、決定方法(500)。
【請求項2】
前記捕捉するステップ(401)では、前記信号がGNSS受信機の信号である、請求項1に記載の
決定方法(
500)。
【請求項3】
前記基準位置を表す基準信号を捕捉する追加的な前記ステップ(401)を有し、かつ前記比較するステップ(402)では、前記基準位置が、捕捉され表された前記基準位置である、請求項1または2に記載の
決定方法(
500)。
【請求項4】
決定される前記UERE値が、地点依存の幾何学的情報および状態情報(建物の高さ、建物の形状、山、木など)ならびに/または地域依存情報(天気、温度など)ならびに/または時間帯依存情報(衛星位置)ならびに/または緯度を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の
決定方法(
500)。
【請求項5】
前記機械学習方法が、前記UERE値に割り当てられた地点依存の幾何学的情報および状態情報(建物の高さ、建物の形状、山、木など)ならびに/または地域依存情報(天気、温度など)ならびに/または時間帯依存情報(衛星位置)ならびに/または緯度にも依存してトレーニングされた、請求項
1から4のいずれか一項に記載の
決定方法(500)。
【請求項6】
位置決定のため
のコンピュータ実装データ構造
(UEREデータバンク)の使用
方法であって、
前記コンピュータ実装データ構造は、請求項1から5のいずれか一項に記載の決定方法(500)を用いて決定される少なくとも1つの地点依存UERE値を含み、前記使用方法は、
位置を表す情報を、前記コンピュータ実装データ構造の前記情報に割り当てられた前記UERE値に依存して考慮するステップを有する、使用
方法。
【請求項7】
請求項6に記載の使用方法を実行する、位置決定のための装置であって
、位置が狂っている際に前記データ構造のUERE値を使用する、装置。
【請求項8】
請求項1から
5のいずれか一項に記載の
決定方法(500)のすべてのステップを
コンピュータ装置に実行
させるコンピュータ実装プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UEREの確定方法、UEREの決定方法、コンピュータ実装データ構造、使用、装置、およびコンピュータ実装プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
J.W.Betz、Engineering Satellite-Based Navigation and Timing:Global Navigation Satellite Systems,Signals,and Receivers(衛星ベースのナビゲーションとタイミングのエンジニアリング:グローバルナビゲーション衛星システム、信号、および受信機)の中の「Error Sources and Error Characterization(誤差原因と誤差特性)」、The Institute of Electrical and Electronics Engineers,John Wiley & Sons、2016、139頁以降から、衛星ナビゲーションシステムは、地球の大部分にわたって提供されているそのほかの位置ソースおよび時刻ソースに比べて極めて精密であり、それらの測定は、依然として誤差があることが知られている。ナビゲーションシステム開発の重要な観点は、誤差原因を理解すること、誤差要因を定量化すること、およびPVT精度への影響を推定することにある。この文献は、最初に誤差原因を説明し、様々な誤差カテゴリーを紹介し、かつ距離誤差に関する主要な影響因子を説明している。さらにこの文献は、距離誤差を、位置および時刻を推定する際の誤差に変換するための単純かつ一般的なモデルを説明している。この文献は、衛星の幾何学的配置がこれらの誤差にどのように影響を及ぼすかを示し、かつ多くの様々な誤差測度をそれらの関係式と共にまとめている。さらにこの文献は、結果として生じる位置誤差および時刻誤差を説明し、かつ誤差を有意に減らすために差動ナビゲーションを紹介している。最後に、幾つかのそのほかの誤差原因が説明されている。
【0003】
G.&.O.C.&.W.M.&.S.P.&.P.A.&.J.H.R.&.B.C.A.Johnson、USCG NDGPS Accuracy and Spatial Decorrelation Assessment(USCG NDGPS 精度と空間的な非相関評価)の中の「ION GNSS 2012」、2012から、GNSS受信装置ごとに、測位精度を近似するための世界中で平均された補助スカラを提供し得ることが知られている。
【0004】
D.Schmidt、「Fehleranalyse und Datenfusion von Satellitennavigations- und Fahrdynamiksensorsignalen(衛星ナビゲーションおよび走行ダイナミクスセンサ信号の誤差分析およびデータ融合)」、Technischen Universitaet Darmstadt、Darmstadt、2009から、走行ダイナミクスセンサとGNSSデータとを融合すること、およびそれにより測位精度の改善を達成することが知られている。
【0005】
UEREは、本明細書では利用者等価測距誤差(UERE:User Equivalent Range Error)を表す。UERE値とは、典型的には位置決定の分野、より正確には例えばグローバルナビゲーション衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を使った衛星利用位置決定の分野で、使用される位置決定装置、より正確には受信装置に依存して、装置側の様々な誤差に基づいて規定されるスカラ値のことである。典型的には、それぞれの装置での誤差が1つの値に規定される。
【0006】
UERE値は、位置決定の地点精度
【0007】
【0008】
への直接的な影響を有する。地点精度
【0009】
【0010】
は、通常は下記の項によって近似される。
【0011】
【0012】
式中のDOPは、GNSSの可視衛星の位置行列から計算され、かつ単位のない形態学的因子を表す。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【文献】J.W.Betz、Engineering Satellite-Based Navigation and Timing:Global Navigation Satellite Systems,Signals,and Receivers(衛星ベースのナビゲーションとタイミングのエンジニアリング:グローバルナビゲーション衛星システム、信号、および受信機)の中の「Error Sources and Error Characterization(誤差原因と誤差特性)」、The Institute of Electrical and Electronics Engineers,John Wiley & Sons、2016、139頁以降
【文献】G.&.O.C.&.W.M.&.S.P.&.P.A.&.J.H.R.&.B.C.A.Johnson、USCG NDGPS Accuracy and Spatial Decorrelation Assessment(USCG NDGPS 精度と空間的な非相関評価)の中の「ION GNSS 2012」、2012
【文献】D.Schmidt、「Fehleranalyse und Datenfusion von Satellitennavigations- und Fahrdynamiksensorsignalen(衛星ナビゲーションおよび走行ダイナミクスセンサ信号の誤差分析およびデータ融合)」Technischen Universitaet Darmstadt、Darmstadt、2009
【発明の概要】
【0014】
これを踏まえて本発明は、位置決定のための地点依存UERE値の確定方法を提供する。この方法は以下のステップを含む。
位置を表す信号を捕捉するステップ。
【0015】
表された位置と基準位置とを比較するステップ。
比較に依存してUERE値を確定するステップ。
位置とは、本明細書では地球上の地点のことであり得る。この地点は、地点座標または地理座標またはその類似物の形態で提示され得る。位置を表す信号とは、本明細書では位置決定システム、例えばGNSSまたは三角測量システムの信号のことであり得る。
【0016】
基準位置とは、本明細書では地点座標が決定されるべき実際の位置に相当する位置または予め決定された小さなズレにほぼ等しい位置のことであり得る。
このような基準位置は、非常に正確な地図、代替的な位置決定システム、または基準位置決定システムによって提供され得る。
【0017】
よって本方法は、世界的に統一されており装置側に依存するUERE値の代わりに、地点依存または時刻依存のUERE値を提供し得るという利点を有する。したがって本方法の発明は、このようなUERE値を使うことで簡単に、捕捉された位置の測位精度を明らかにより良好に決定できるという知見に基づく。これにより速くかつ簡単に重み付けを規定でき、この重み付けを用いて、捕捉された位置が、複数種の位置決定の融合に基づく位置決定方法において考慮される。
【0018】
本発明に基づく方法の一実施形態によれば、捕捉のステップでは、信号はGNSS受信機の信号である。
GNSS受信機とは、本明細書ではGNSSの信号を受信して、位置を表す信号に変換するために適応された装置のことであり得る。現在最も知られているGNSSと見なされるのは、グローバル・ポジショニング・システム(NAVSTAR GPSまたはGPS)、グローバル衛星ナビゲーションシステム(GLONASS)、ガリレオ、およびBeidouである。
【0019】
とりわけGNSSを使った位置決定では、地点および時刻に依存して異なる測位精度が生じる。最大の影響因子に属するのは、マルチパス受信による地点依存誤差(英語:multipath error)および時刻または地点に依存するGNSSナビゲーション衛星の可視性(英語:line of sightまたはLOF)である。
【0020】
本発明に基づく方法の一実施形態によれば、本方法は、基準位置を捕捉する追加的なステップを有する。このステップでは、基準位置を表す基準信号が捕捉される。それに応じて比較のステップでは、基準位置が、捕捉された表された基準位置である。
【0021】
この実施形態によれば基準信号は、UEREを確定するための信号が捕捉される際に既に存在しているのではなく、それに並行して同様に捕捉される。この実施形態は、まだ基準情報が存在していなくても、地点依存または時刻依存のUEREが確定され得るという利点を有する。これにより、大きな領域に対し、地点依存または時刻依存のUEREを速く確定できるようになる。
【0022】
本発明に基づく方法の一実施形態によれば、決定されるUERE値には、地点依存の幾何学的情報および状態情報(建物の高さ、建物の形状、山、木など)または地域依存情報(天気、温度など)または時間帯依存情報(衛星位置)または緯度が割り当てられている。
【0023】
例えば建物の高さ、建物の形状、山、木などについての幾何学的情報または状態情報はまさに、測位精度への影響を有する地点依存因子への有益な示唆をもたらす。つまり、決定された建物の高さまたは建物の形状は、GNSSナビゲーション衛星の位置信号のマルチパス伝播を増大させ得る。さらに山または木は、GNSSナビゲーション衛星の可視性を妨げ得る。
【0024】
天気、温度などのような地域依存または時刻依存の情報も、測位精度に影響を及ぼし得る因子への有益な示唆をもたらす。
例えば衛星位置のような時間帯依存情報は、衛星の可視性に応じて異なるDOP値が生じるので、その点では測位精度への影響を有し得る。
【0025】
まとめると、上記の追加情報は、確定されるUERE値を補充および拡張する。さらにこれらの追加情報は、UERE値が変更されるパターンを認識するために参照され得る。したがってUERE値は、その場での捕捉つまり測定によって確定されたのではない情報に基づいて決定され得る。
【0026】
これは本発明のさらなる態様を生じさせる。
本発明のこのさらなる態様は、位置決定のためのUERE値の決定方法である。この方法は次のステップを含む。
【0027】
機械学習方法を使ってUERE値を決定するステップ。この機械学習方法は、少なくとも1つの既知のUERE値に依存してトレーニングされた。加えてこの少なくとも1つのUERE値は、本発明に基づくUERE値の確定方法を使って確定された。
【0028】
機械学習方法とは、本明細書では経験からの知識を人工的に発生させるための方法のことである。これらの方法は、例から(つまり既知の情報から)習得されたパターンは一般化可能であり、したがって習得されたパターンが、未知の新しいデータ中で認識され得るという知見に基づく。これにより、未知の新しいデータから人工的な知識が発生する。
【0029】
本発明のこの態様は、UERE値が、なかでも例えば地点依存の幾何学的情報および状態情報(建物の高さ、建物の形状、山、木など)または地域依存情報(天気、温度など)または時間帯依存情報(衛星位置)または緯度のような外部の因子に依存しているという知見に基づく。
【0030】
追加情報へのUERE値のこの依存性が、機械学習方法を使って確定され得る。
したがって相応にトレーニングされた機械学習方法は、追加情報から地点依存または時刻依存のUERE値を推測し得る。
【0031】
本発明のこの態様に基づく方法の一実施形態によれば、機械学習方法は、追加的にUERE値に割り当てられた地点依存の幾何学的情報および状態情報(建物の高さ、建物の形状、山、木など)ならびに/または地域依存情報(天気、温度など)ならびに/または時間帯依存情報(衛星位置)ならびに/または緯度に依存してトレーニングされた。
【0032】
本発明のさらなる一態様は、少なくとも1つの地点依存UERE値を含むコンピュータ実装データ構造である。このUERE値は、本発明に基づくUERE値の確定方法の一実施形態を使って確定でき、または本発明に基づくUERE値を決定するための一実施形態を使って決定される。
【0033】
本発明のさらなる一態様は、位置決定のための本発明の一態様に基づくコンピュータ実装データ構造の使用であり、次のステップ、すなわち、
位置を表す情報を、コンピュータ実装データ構造のこの情報に割り当てられたUERE値に依存して考慮するステップを有する。
【0034】
この態様によれば、様々に確定された位置情報の融合に基づく方法が、ここでは地点依存のより正確なUERE値を参照でき、これにより融合の際には、UERE値に対応する位置情報に相応の重み付けが成される。
【0035】
位置情報が装置によって提供され、この装置に、提供される位置情報に対してUERE値が割り当てられた場合、位置情報は、UERE値に対応している。既知の使用と比較して本発明によれば、装置側のUERE値しか存在しないのではなく、UERE値がこれに加えて地点および場合によっては時刻にも依存している。
【0036】
本発明のさらなる一態様は、位置決定のための装置である。この装置は、本発明の一態様に基づくコンピュータ実装データ構造を使用するために適応されている。この装置は、位置を決定する際にデータ構造のUERE値を使用する。このために装置は、本方法のそれぞれのステップを実行するための相応の手段を有する。これらの手段は、入力および出力、計算ユニット(プロセッサ、マイクロプロセッサ、ASIC、およびその類似物)、ならびにメモリユニット(RAM、ROMなど)のための相応に形成または適応されたインターフェイスであり得る。
【0037】
本発明のさらなる一態様は、本発明に基づくUERE値の確定方法の一実施形態または本発明に基づくUERE値の決定方法の一実施形態のすべてのステップを実行するよう適応されたコンピュータ実装プログラムである。
【0038】
以下に、本発明の態様のさらなる特徴および利点を、実施形態に基づいて図を参照しながら解説する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1a】有利なDOPに関する衛星コンステレーションの概略図である。
【
図1b】不利なDOPに関する衛星コンステレーションの概略図である。
【
図2】様々なソースの位置情報を用いた位置決定の1つの状況の概略図である。
【
図3】
図3aは現況技術に基づく固定UERE値による、基準進路と比較した捕捉位置進路の概略図である。
図3bは本発明に基づく地点依存UERE値による、基準進路と比較した捕捉位置進路の概略図である。
【
図4】UERE値を確定するための本発明に基づく方法の一実施形態のフロー図である。
【
図5】UERE値を決定するための本発明に基づく方法の一実施形態のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1aは、有利なDOPに関する衛星コンステレーションの概略図を示している。有利なDOPは、なかでも、使用されるナビゲーション衛星のGNSS信号が高い解像度を提供する場合に達成される。これは例えば、使用されるナビゲーション衛星が、受信装置にとって可視の領域全体に広く分散して配置されることで達成され得る。
【0041】
図1bは、不利なDOPに関する衛星コンステレーションの概略図を示している。不利なDOPは、なかでも、使用されるナビゲーション衛星のGNSS信号が低い解像度を提供する場合に達成される。これは例えば、使用されるナビゲーション衛星が近くに集まっており、したがって衛星のそれぞれの分散円が、位置決定には大きすぎる値を生じさせ、一点内では生じていない場合に存在し得る。
【0042】
図2は、様々なソースの位置情報を用いた位置決定の1つの状況の概略図を示している。図示した状況は、例示的に、本発明の適用範囲のために選択されている。図示した状況では、自車egoがさらなる車両3の位置データを、それ自体の車載センサ(OS)を介して、第1の車両3自体の協調認識メッセージ(CAM:Cooperative Awareness Message(3))を介して、およびCooperative Perception Message(CPM)とも言うEnvironment Perception Message(EPM(3,4))を介して取得する。したがって衛星利用位置決定に少なくとも3つの異なる装置が加わっている。それに応じて、それぞれの位置決定の相対的な寄与が決定され得る。
【0043】
本発明によれば、各位置決定が、地点依存または時刻依存のUEREを有する。このそれぞれのUEREは、衛星利用位置決定のためのそれぞれの装置によって提供され得る。これに関し、それぞれの装置内で相応のデータバンクが用意され得る。それぞれのUERE値がクラウドサービスを介して提供されることも考えられ得る。クラウドサービスが中断された場合には、それぞれ当該装置が、フォールバックの解決策として、設定されている固定UERE値を活用し得る。
【0044】
クラウドサービスは、なかでも衛星利用位置決定のためのほぼすべての装置が無線電信に基づくデータアクセス(例えばインターネットへの)を有するので適している。このデータアクセスは典型的には、コールドスタートの際に衛星のエフェメリスを取得し、それにより有意義な位置決定の開始を早めるために使用される。
【0045】
これらのUERE値は地点依存または時刻依存のスカラなので、適切な無線電信に基づくデータアクセスを介したUERE値の提供は大した追加支出ではない。
したがって図示した場面では、さらなる車両3に関するそれぞれの位置情報を融合し、それにより、さらなる車両3のもしかすると実際の位置を、できるだけ正確に近似するという課題が、自車egoに課されている。
【0046】
このために本発明によるUERE値が適している。この値は、測位精度への直接的な依存性を表している。融合の際、それぞれの位置情報のこの値に依存して、位置情報の重み付けが行われ得る。
【0047】
自車ego内でほかの車両2、3、4の位置を決定するため、車対車メッセージEPM(3,4)、CAM(2)、EPM(4,5)、CAM(3)、CAM(5)による位置情報を考慮するための相応の手法が選択され得る。
【0048】
それぞれのメッセージタイプCAMまたはEPMの後ろの括弧内の数字は、それぞれのメッセージがどの車両の位置情報を有するかを提示している。
図3a、
図3bは、縦座標で地点座標を経度および緯度の形態で示すグラフにおいて、テスト測定(緑または破線)の結果を基準測定(赤または実線)と比較して表している。これに関し、点はそれぞれの測定点または基準点を表している。基準点の周りには、測定分散を提示するそれぞれ使用されたUERE値を円として提示している。
【0049】
図3aでは、固定UERE値を使用した状況が示されている。実際に測定された位置は多くの箇所で、予測された測定分散の明らかに外にあることが明らかになる。したがってこれらのUERE値からは、実際に起こるより明らかにより正確な測定が推測される。
【0050】
図3bでは、本発明に基づく地点依存または時刻依存のUERE値を使用した状況が示されている。ここでは、実際の測定がたいていの場合にそれぞれのUERE値に基づく予測された測定分散の中に存在することが明らかになる。これにより、ここでは本発明に基づく地点依存または時刻依存のUERE値に依存するそれぞれの測位精度は、GNSS位置決定と代替的な位置決定とを融合する際にGNSS位置決定の重み付けのために考慮され得る。
【0051】
図4は、本発明に基づく方法400の一実施形態のフロー図を示している。
ステップ401では、位置信号捕捉機構により、位置を表す信号が捕捉される。このような機構は、例えばGNSSナビゲーション衛星のGNSS信号を受信するためのGNSS受信装置であり得る。これは、その際、位置情報を含むかまたは位置情報を表示するメッセージを受信し得るワイヤレス通信装置でもあり得る。
【0052】
ステップ402では、表された位置が基準位置と比較される。その際、この比較は、比較のための相応の手段、例えばプロセッサ、マイクロプロセッサ、または特定用途向け集積回路(ASIC)によって行われ得る。基準位置は、適切なデータメモリ、例えばRAMまたはROM内に存在し得るかまたは無線電信に基づくクラウドサービスを介して提供され得る。
【0053】
ステップ403では、比較に依存してUERE値が確定される。UERE値を確定するため、UERE値は下式によって推定され得る。
【0054】
【0055】
式中のΣは、位置決定に使用されるGNSSナビゲーション衛星の位置から導き出された共分散行列である。
簡単な一変形形態では、地点依存または時刻依存のUEREヘビサイド関数も利用され得る。
【0056】
図5は、本発明に基づく方法の一実施形態のフロー図を示している。
ステップ501では、UERE値が機械学習方法を使って決定される。この機械学習方法は、少なくとも1つの既知のUERE値に依存してトレーニングされた。この少なくとも1つのUERE値は、例えば本発明の第1の態様に基づくUERE値の確定方法を使って確定されたものであり得る。
【符号の説明】
【0057】
ego 自車
2 ほかの車両
3 さらなる車両、第1の車両、ほかの車両
4 ほかの車両