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特許7481858防蟻シート貼り断熱材、及び防蟻シート貼り断熱材の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】防蟻シート貼り断熱材、及び防蟻シート貼り断熱材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/80 20060101AFI20240502BHJP
   E04B 1/72 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
E04B1/80 100H
E04B1/72
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020031702
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021134571
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】馬場 祐
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一聡
(72)【発明者】
【氏名】畑 義行
(72)【発明者】
【氏名】中野 勝行
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-160722(JP,A)
【文献】特開2004-124705(JP,A)
【文献】特開平07-017804(JP,A)
【文献】特開2003-105881(JP,A)
【文献】米国特許第05248225(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62-1/99
E02D 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形板状であり、第1主面及び第2主面と、当該第1主面及び第2主面に交差する天面及び底面と、当該第1主面及び第2主面に交差する一対の側面と、を有する断熱材と、
上記第1主面及び上記底面に貼着された第1防蟻シートと、
上記第2主面に貼着され、かつ上記断熱材の上記底面に貼着された上記第1防蟻シートに重ねて貼着された第2防蟻シートと、を備えており、
上記断熱材の上記天面は、上記第1防蟻シート或いは上記第2防蟻シートを貼着されており、
上記第1主面に貼着された上記第1防蟻シート或いは上記第2主面に貼着された上記第2防蟻シートを基礎の立上りに当接させて配置されており、
上記第1防蟻シートは、その端部である第1端部が上記断熱材の上記天面或いは上記第1主面からはみ出しており、
上記第2防蟻シートは、その端部である第2端部が第1防蟻シートの上記第1端部に貼着されており、
上記第1端部及び上記第2端部が形成する突出片は、上記第1主面或いは上記第2主面と上記天面とが交差する辺から突出して上記基礎の立上りに貼り付けられる防蟻シート貼り断熱材。
【請求項2】
矩形板状であり、第1主面及び第2主面と、当該第1主面及び第2主面に交差する天面及び底面と、当該第1主面及び第2主面に交差する一対の側面と、を有する断熱材に、第1防蟻シート及び第2防蟻シートを貼着して防蟻シート貼り断熱材を製造する方法であって、
上記断熱材の上記第1主面、底面、及び天面に上記第1防蟻シートを貼着する第1工程と、
上記断熱材の上記第2主面に上記第2防蟻シートを貼着し、かつ上記断熱材の上記底面に貼着された上記第1防蟻シートに上記第2防蟻シートを貼着する第2工程と、を備えており、
上記第1工程において、上記第1防蟻シートの端部を上記天面からはみ出させて当該第1防蟻シートを上記断熱材に貼着し、
上記第2工程において、上記第2防蟻シートの端部を上記第1防蟻シートの上記端部にさらに貼着する防蟻シート貼り断熱材の製造方法。
【請求項3】
矩形板状であり、第1主面及び第2主面と、当該第1主面及び第2主面に交差する天面及び底面と、当該第1主面及び第2主面に交差する一対の側面と、を有する断熱材に、第1防蟻シート及び第2防蟻シートを貼着して防蟻シート貼り断熱材を製造する方法であって、
上記断熱材の上記第1主面、底面、及び天面に上記第1防蟻シートを貼着する第1工程と、
上記断熱材の上記第2主面に上記第2防蟻シートを貼着し、かつ上記断熱材の上記底面に貼着された上記第1防蟻シートに上記第2防蟻シートを貼着する第2工程と、を備えており、
上記第2工程において、上記第2防蟻シートを上記天面に貼着された上記第1防蟻シートに貼着し、
上記天面において上記第1防蟻シートに貼着された上記第2防蟻シートに、第3防蟻シートの一部を貼着して、上記第1主面或いは上記第2主面と上記天面とが交差する辺から突出する突出片を形成する第3工程をさらに備える防蟻シート貼り断熱材の製造方法。
【請求項4】
矩形板状であり、第1主面及び第2主面と、当該第1主面及び第2主面に交差する天面及び底面と、当該第1主面及び第2主面に交差する一対の側面と、を有する断熱材に、第1防蟻シート及び第2防蟻シートを貼着して防蟻シート貼り断熱材を製造する方法であって、
上記断熱材の上記第1主面及び底面に上記第1防蟻シートを貼着する第1工程と、
上記断熱材の上記第2主面に上記第2防蟻シートを貼着し、かつ上記断熱材の上記底面に貼着された上記第1防蟻シートに上記第2防蟻シートを貼着する第2工程と、
上記天面に上記第2防蟻シートを貼着し、かつ、上記第1主面と上記天面とが交差する辺からはみ出した上記第1防蟻シートの端部に上記第2防蟻シートを貼着する第3工程をと、を備える防蟻シート貼り断熱材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎構造体において断熱及び防蟻を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、基礎と、基礎の立上りの壁面に貼り付けられた断熱材と、断熱材に貼り付けられた防蟻シートと、を備える基礎構造体の施工方法を開示する。当該施工方法では、作業者は、断熱材の下面及び一方の主面を覆うようにして防蟻シートを断熱材に固着し、防蟻シートを固着した断熱材の他方の主面を基礎の立上りの壁面に当接させて断熱材を当該立上りに貼り付ける。そして、作業者は、防蟻シートの上端部を折り曲げて断熱材の上面に貼り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-124705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の断熱材では、その防蟻効力を有機系の薬剤に頼っているため、10年程度で効力が失活する。また、特許文献1に記載の施工方法では、作業者は、防蟻シートの上端部を折り曲げて断熱材の上面に貼り付ける作業を行う必要があり、基礎構造体の施工に手間がかかる。
【0005】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、白蟻が断熱材の内部に侵入することを恒久的に防止し、かつ基礎構造体の施工に要する手間を低減することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る防蟻シート貼り断熱材は、矩形板状であり、第1主面及び第2主面と、当該第1主面及び第2主面に交差する天面及び底面と、当該第1主面及び第2主面に交差する一対の側面と、を有する断熱材と、上記第1主面及び上記底面に貼着された第1防蟻シートと、上記第2主面に貼着され、かつ上記断熱材の上記底面に貼着された上記第1防蟻シートに重ねて貼着された第2防蟻シートと、を備える。上記断熱材の上記天面は、上記第1防蟻シート或いは上記第2防蟻シートを貼着されている。上記防蟻シート貼り断熱材は、上記第1主面に貼着された上記第1防蟻シート或いは上記第2主面に貼着された上記第2防蟻シートを基礎の立上りに当接させて配置される。
【0007】
断熱材の第1主面、第2主面、底面、及び天面は、第1防蟻シート或いは第2防蟻シートによって覆われている。したがって、白蟻が断熱材の内部に侵入することが恒久的に防止される。また、防蟻シートは断熱材に貼着されているので、作業者は、基礎構造体の施工において防蟻シートを配置する必要が無く、基礎構造体を施工する作業者の手間が低減する。
【0008】
(2) 上記第1防蟻シートは、その端部である第1端部が上記断熱材の上記天面或いは上記第1主面からはみ出しており、上記第2防蟻シートは、その端部である第2端部が第1防蟻シートの上記第1端部に貼着されており、上記第1端部及び上記第2端部が形成する突出片は、上記第1主面或いは上記第2主面と上記天面とが交差する辺から突出して上記基礎の立上りに貼り付けられていてもよい。
【0009】
第1防蟻シートの第1端部及び第2防蟻シートの第2端部が形成する突出片は、基礎の立上りに貼り付けられるので、防蟻シート貼り断熱材と基礎の立上りとの間から白蟻が基礎構造体の内部に侵入することが防止される。
【0010】
(3) 本発明に係る防蟻シート貼り断熱材は、上記第1防蟻シート或いは上記第2防蟻シートに端部を貼着されており、上記断熱材の上記第1主面或いは上記第2主面と上記天面とが交差する辺から突出して基礎の立上りに貼り付けられる突出片を形成する第3防蟻シートをさらに備えていてもよい。
【0011】
基礎の立上りに貼り付けられる突出片は、第1防蟻シート或いは第2防蟻シートに端部に貼り付けられた第3防蟻シートによって形成されていてもよい。
【0012】
(4) 本発明に係る防蟻シート貼り断熱材の製造方法は、矩形板状であり、第1主面及び第2主面と、当該第1主面及び第2主面に交差する天面及び底面と、当該第1主面及び第2主面に交差する一対の側面と、を有する断熱材に、第1防蟻シート及び第2防蟻シートを貼着して防蟻シート貼り断熱材を製造する方法である。上記防蟻シート貼り断熱材の製造方法は、上記断熱材の上記第1主面、底面、及び天面に上記第1防蟻シートを貼着する第1工程と、上記断熱材の上記第2主面に上記第2防蟻シートを貼着し、かつ上記断熱材の上記底面に貼着された上記第1防蟻シートに上記第2防蟻シートを貼着する第2工程と、を備える。
【0013】
本発明は、防蟻シート貼り断熱材の製造方法として捉えることもできる。
【0014】
(5) 上記第1工程において、上記第1防蟻シートの端部を上記天面からはみ出させて当該第1防蟻シートを上記断熱材に貼着し、上記第2工程において、上記第2防蟻シートの端部を上記第1防蟻シートの上記端部にさらに貼着してもよい。
【0015】
第1防蟻シート断熱材及び第2防蟻シート断熱材により、基礎の立上りに貼り付けられる突出片が形成される。
【0016】
(6) 上記第2工程において、上記第2防蟻シートを上記天面に貼着された上記第1防蟻シートに貼着してもよい。本発明に係る防蟻シート貼り断熱材の製造方法は、上記天面において上記第1防蟻シートに貼着された上記第2防蟻シートに、第3防蟻シートの一部を貼着して、上記第1主面或いは上記第2主面と上記天面とが交差する辺から突出する突出片を形成する第3工程をさらに備える。
【0017】
第3防蟻シートによって、基礎の立上りに貼り付けられる突出片が形成されてもよい。
【0018】
(7) 本発明に係る防蟻シート貼り断熱材の製造方法は、矩形板状であり、第1主面及び第2主面と、当該第1主面及び第2主面に交差する天面及び底面と、当該第1主面及び第2主面に交差する一対の側面と、を有する断熱材に、第1防蟻シート及び第2防蟻シートを貼着して防蟻シート貼り断熱材を製造する方法である。上記防蟻シート貼り断熱材の製造方法は、上記断熱材の上記第1主面及び底面に上記第1防蟻シートを貼着する第1工程と、上記断熱材の上記第2主面に上記第2防蟻シートを貼着し、かつ上記断熱材の上記底面に貼着された上記第1防蟻シートに上記第2防蟻シートを貼着する第2工程と、上記天面に上記第2防蟻シートを貼着し、かつ、上記第1主面と上記天面とが交差する辺からはみ出した上記第1防蟻シートの端部に上記第2防蟻シートを貼着する第3工程と、を備える。
【0019】
断熱材の天面を第2防蟻シートで覆って突出片を形成しつつ防蟻シート貼り断熱材を作製してもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る防蟻シート貼り断熱材は、白蟻が断熱材の内部に侵入することを恒久的に防止し、かつ基礎構造体の施工に要する手間を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、基礎構造体10の一部の斜視図である。
図2図2は、布基礎11を打設する工程を説明する説明図である。
図3図3(A)は断熱材20の斜視図であり、図3(B)は防蟻シート貼り断熱材15の縦断面図であり、図3(C)は防蟻シート貼り断熱材15の斜視図である。
図4図4は、防蟻シート貼り断熱材15の製造工程を説明する説明図である。
図5図5は、基礎構造体10の縦断面図である。
図6図6は、基礎構造体10の施工を説明する説明図である。
図7図7は、変形例における基礎構造体10の縦断面図である。
図8図8は、変形例に係る防蟻シート貼り断熱材15の製造方法を説明する説明図である。
図9図9は、他の変形例に係る防蟻シート貼り断熱材15の製造方法を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0023】
図1は、建物の躯体(不図示)を支持する基礎構造体10の一部の斜視図である。基礎構造体10は、布基礎11と、布基礎11に貼り付けられた防蟻シート貼り断熱材15と、を備える。なお、布基礎11に代えて、べた基礎が用いられてもよい。
【0024】
布基礎11は、フーチング12と、立上り13と、複数のアンカーボルト14と、を備える。フーチング12は、地中に埋設されている。立上り13は、フーチング12から上方に向かって突出している。すなわち、立上り13は、地面から上向きに突出している。
【0025】
アンカーボルト14は、立上り13に埋設された不図示の埋設部と、埋設部から上方へ向かって突出するボルト部と、を有する。図1に示されるように、打設された布基礎11においては、アンカーボルト14のボルト部のみが視認可能である。なお、図1に示す例では、1つのアンカーボルト14は、2つのボルト部を有している。
【0026】
アンカーボルト14のボルト部は、立上り13の上面から上向きに突出している。複数のアンカーボルト14は、例えば、立上り13が延びる方向(水平方向)に沿って等間隔で配置されている。
【0027】
土台16(図5)が、立上り13の上面に載置される。土台16は、アンカーボルト14のボルト部が挿通される挿通孔を有する。挿通孔に挿通されたボルト部に不図示のナットが締結されることにより、土台16が布基礎11に固定される。複数の柱(不図示)が、土台16の上面に載置され、ボルト及びナットなどの不図示の固着具を用いて土台16に固定される。柱及び土台16は、建物の躯体を構成する。なお、土台16に代えて、柱脚金具がアンカーボルト14を用いて立上り13の上面に取り付けられていてもよい。柱は、柱脚金具に固定される。
【0028】
布基礎11は、例えば図2に示されるように、地面に設けた溝51に砕石(不図示)を敷設した後、捨てコンクリート52を打設し、次いで溝51に沿って型枠53を設置するとともに、型枠53に保持させて鉄筋(不図示)を設置し、かつ支持板54を用いてアンカーボルト14を設置した後、型枠53内に生コンクリートを流し込んで打設される。
【0029】
図3(B)に示されるように、防蟻シート貼り断熱材15は、断熱材20と、断熱材20に貼着された第1防蟻シート31及び第2防蟻シート32と、を備える。
【0030】
断熱材20は、図3(A)に示されるように、矩形板状であり、互いに平行な第1主面21及び第2主面22と、互いに平行な天面23及び底面24と、互いに平行な一対の側面25、26と、を有する。断熱材20は、例えば、以下に挙げる一の樹脂、或いは複数の樹脂を発泡させて成形される。使用可能な樹脂として、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)、アクリルニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、アクリルニトリルスチレン(AS)樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の汎用プラスチックが挙げられる。また、使用可能な樹脂として、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、環状ポリオレフィン(COP)等のエンジニアリングプラスチックが挙げられる。また、使用可能な樹脂として、ポリイミド(PI)、フェノール樹脂(PF)、エポキシ樹脂(EP)、メラミン樹脂(MF)、尿素樹脂(UF)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、アルキド樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。なお、上記樹脂のうち、汎用プラスチックに含まれるポリスチレン(PS)やアクリルニトリルスチレン(AS)樹脂、或いはこれらの混合物が、発泡させた際に優れた断熱性能及び好適な機械的強度を有するため好ましい。また、断熱材20は、押出発泡成形や金型を用いた型内発泡成形等の公知の方法により上記樹脂を発泡成形することで製造できるが、断熱性能及び機械的強度の観点から押出発泡成形品が好ましい。
【0031】
断熱材20の厚みは、例えば、数十mmから百数十mmの範囲内とされる。断熱材20の幅は、数十cmから二百数十cmの範囲内とされる。断熱材20の高さは、布基礎11の立上り13の高さに合わせて、数十cmから二百数十cmの範囲内とされる。断熱材20は、例えば、厚み15mm~200mm、幅800mm~1000mm、長さ900mm~3000mmの定尺の原板を、建物の仕様に応じて切断等して用いられる。
【0032】
第1防蟻シート31及び第2防蟻シート32は、単一のシート或いは複数の層からなる積層シートであり、約10μm~800μm程度の範囲の厚みとされる。好ましくは、第1防蟻シート31及び第2防蟻シート32は、約10μm~400μm程度の範囲の厚みとされる。さらに好ましくは、第1防蟻シート31及び第2防蟻シート32は、約40μm~80μmの範囲の厚みとされる。例えば、第1防蟻シート31及び第2防蟻シート32は、厚みが約50μmのポリエチレンテレフタレート系樹脂シートに、厚みが約25μmのエチレン酢酸ビニル共重合(EVA)系樹脂を接着層として積層して形成される。
【0033】
第1防蟻シート31は、断熱材20の第1主面21、天面23、底面24に、ホットメルトなどの接着剤を用いて貼着されている(図4(A)、(B))。断熱材20に貼着された第1防蟻シート31の端部33は、断熱材20の天面23と第2主面22とが交差する辺からはみ出している。第1防蟻シート31の端部33は、第2防蟻シート32の端部34に貼着され、布基礎11の立上り13に貼り付けられる突出片42を形成する。詳しくは後述する。なお、長尺の防蟻シートを所定のサイズ及び形状に裁断器具を用いて裁断した後、第1防蟻シート31として断熱材20に貼着してもよいし、長尺の防蟻シートを断熱材20に貼着した後、防蟻シートを裁断して第1防蟻シート31としてもよい。また、第1防蟻シート31は、断熱材20の底面24の全面に貼着されていなくてもよい。第1防蟻シート31は、第2防蟻シート32の貼着を考慮して(図4(D))、第2主面22から離間して底面24に貼着される。第1防蟻シート31を断熱材20に貼着する工程は、第1工程の一例である。第1防蟻シート31の端部33は、第1端部の一例である。第2防蟻シート32の端部34は、第2端部の一例である。
【0034】
第2防蟻シート32は、ホットメルトなどの接着剤を用いて第2主面22に貼着され、かつ、断熱材20の底面24に貼着された第1防蟻シート31の端部に、当該接着剤を用いて貼着されている(図4(C)、(D))。すなわち、第2防蟻シート32は、底面24において第1防蟻シート31とオーバーラップしている。このようにして、断熱材20の第1主面21、第2主面22、底面24、及び天面23は、防蟻シート31、32によって覆われている。断熱材20を覆う第1防蟻シート31及び第2防蟻シート32は、断熱材20が白蟻によって食われることを防止する。
【0035】
第2防蟻シート32の一端部である端部34は、断熱材20の第2主面22と天面23とが交差する辺からはみ出しており、第1防蟻シート31の端部33に、上記接着剤を用いて貼着されている。貼着された端部33、34は、突出片42を形成する。すなわち、防蟻シート貼り断熱材15は、矩形板状の本体41と、本体41から突出する突出片42とを備えている。突出片42の突出の長さは、約100mmである。なお、長尺の防蟻シートを所定のサイズ及び形状に裁断器具を用いて裁断した後、第2防蟻シート32として断熱材20に貼着してもよいし、長尺の防蟻シートを断熱材20に貼着した後、防蟻シートを裁断して第2防蟻シート32としてもよい。第2防蟻シート32を断熱材20に貼着する工程は、第2工程の一例である。
【0036】
防蟻シート貼り断熱材15は、図5に示されるように、矩形板状の本体41の主面であって、断熱材20の第2主面22に対応する主面を布基礎11の立上り13の外壁面17に当接させて配置されている。本体41の主面と立上がり13の外壁面17との間には、シリコン系接着剤18が塗布されている。そして、防蟻シート貼り断熱材15の突出片42も、シリコン系接着剤18を用いて、布基礎11の立上り13の外壁面17に貼り付けられている。シリコン系接着剤18は、水平方向における突出片42の一端から他端まで塗布されている。
【0037】
防蟻シート貼り断熱材15の施工について、図1及び図6を参照して詳しく説明する。まず、作業者は、図6に示されるように、基礎構造体10の外側において、布基礎11の型枠脱型後、立上り13の外壁面17に防蟻シート貼り断熱材15のレベル出しを行う(図6(A))。次に、作業者は、防蟻シート貼り断熱材15の上端をレベルに合わせて、防蟻シート貼り断熱材15を載置する(図1)。
【0038】
次に、作業者は、防蟻シート貼り断熱材15の本体41の主面にシリコン系接着剤18を塗布し、布基礎11の立上り13の外壁面17に当接させ、防蟻シート貼り断熱材15を固定する(図6(B))。その後、作業者は、防蟻シート貼り断熱材15の突出片42に、シリコン系接着剤18を塗布する。作業者は、シリコン系接着剤18を塗布した突出片42を、布基礎11の立上り13の外壁面17に貼り付ける(図6(C))。なお、シリコン系接着剤18は、変性シリコン系を含む広義のシリコン系接着剤である。
【0039】
なお、図1図6には示されていないが、防蟻シート貼り断熱材15を覆う化粧カバーが、布基礎11に取り付けられていてもよい。
【0040】
[実施形態の作用効果]
本実施形態では、断熱材20の第1主面21、第2主面22、天面23、及び底面24は、第1防蟻シート31或いは第2防蟻シート32で覆われている。したがって、白蟻が断熱材20の内部に侵入することが防止される。
【0041】
また、防蟻シートは、断熱材20に貼着されているので、基礎構造体10の施工において防蟻シートを設置する作業が不要であり、基礎構造体10を施工する作業者の手間が低減する。
【0042】
布基礎11の立上り13の外壁面17に貼着される突出片42を防蟻シート貼り断熱材15に設けているので、防蟻シート貼り断熱材15は、防蟻シート貼り断熱材15と布基礎11の立上り13との間から白蟻が土台16まで侵入することを恒久的に防止することができる。なお、防蟻シート貼り断熱材15の本体41の一対の主面のうち、布基礎11の立上り13に当接されていない方の主面は、基礎構造体10の外側となるので、太陽光等によって照らされるので、光を嫌う白蟻が当該主面を伝って土台16に到達することがない。
【0043】
[変形例]
上述の実施形態では、防蟻シート貼り断熱材15の突出片42が布基礎11の立上り13の外壁面17に貼り付けられた例が説明された。しかしながら、突出片42は、図7に示されるように、立上り13の上面に貼り付けられていてもよい。作業者は、上述の実施形態と同様にして、突出片42にシリコン系接着剤18を塗布した後、突出片42を布基礎11の立上り13の上面に貼り付ける。そして、作業者は、突出片42の上に土台16を載置し、アンカーボルト14のボルト部に締結したナットによって、土台16を布基礎11の立上り13に固定する。すなわち、突出片42は、布基礎11の立上り13と土台16とに挟まれる。したがって、防蟻シート貼り断熱材15と布基礎11の立上り13との間から白蟻が土台16に侵入することが防止される。
【0044】
上述の実施形態では、第1防蟻シート31の端部33と第2防蟻シート32の端部34とを貼着して突出片42を形成する例が説明された。しかしながら、突出片42は、図8に示されるように、第1防蟻シート31及び第2防蟻シート32とは別の第3防蟻シート35によって形成されてもよい。詳しく説明すると、作業者は、断熱材20の第1主面21、天面23、及び底面24に、接着剤を用いて第1防蟻シート31を貼着する(図8(A))。次に、作業者は、断熱材20の第2主面22と、天面23及び底面24に貼着された第1防蟻シート31とに、接着剤を用いて第2防蟻シート32を接着する(図8(B))。そして、作業者は、断熱材20の第2主面22或いは第1主面21の上端部に対応する位置において、第3防蟻シート35の下端部を第2防蟻シート32或いは第1防蟻シート31に貼着する。図8(C)、(D)に示す例では、第3防蟻シート35は、第2防蟻シート32に貼着されている。第3防蟻シート35の上部によって、布基礎11の立上り13に貼り付けられる突出片42が形成される。このようにして、別貼りされた第3防蟻シート35によって突出片42が形成されてもよい。作業者が第1防蟻シート31を断熱材20に貼着する工程は、第1工程の一例である。作業者が、第2防蟻シート32を断熱材20の第2主面22に貼着する工程は、第2工程の一例である。作業者が第3防蟻シート35を第1防蟻シート31或いは第2防蟻シート32に貼着する工程は、第3工程の一例である。
【0045】
上述の実施形態では、第1防蟻シート31が断熱材20の天面23に貼着された例が説明された。しかしながら、第2防蟻シート32が断熱材20の天面23に貼着されていてもよい。詳しく説明すると、作業者は、図9(A)に示されるように、断熱材20の第1主面21と天面23とが交差する辺からはみ出すようにして、断熱材20の底面24及び第1主面21に、接着剤を用いて第1防蟻シート31を貼着する。次に、作業者は、図9(B)に示されるように、断熱材20の底面24に貼着された第1防蟻シート31と、断熱材20の第2主面22及び天面23と、第1防蟻シート31の上端部である端部33とに、接着剤を用いて第2防蟻シート32を貼着する。第1防蟻シート31の端部33と、端部33に貼着された第2防蟻シート32の上端部である端部34とは、布基礎11の立上り13に貼り付けられる突出片42を形成する。このようにして、突出片42を有する防蟻シート貼り断熱材15が製造されてもよい。作業者が第1防蟻シート31を断熱材20に貼着する工程は、第1工程の一例である。作業者が、第2防蟻シート32を断熱材20の第2主面22に貼着する工程は、第2工程の一例である。作業者が、第2防蟻シート32の端部34を第1防蟻シート31の端部33に貼着する工程は、第3工程の一例である。
【0046】
上述の実施形態では、断熱材20の一対の側面25、26が防蟻シートで覆われない例が説明された。しかしながら、第1防蟻シート31或いは第2防蟻シート32が、断熱材20の側面25と側面26との一方或いは両方に貼着されていてもよい。例えば、作業者は、第1防蟻シート31を側面25、26に貼着した後、第2防蟻シート32を、側面25、26に貼着された第1防蟻シート31に、ホットメルトなどの接着剤を用いて貼着する。第1防蟻シート31或いは第2防蟻シート32が断熱材20の側面25、26に貼着されることにより、白蟻が断熱材20の内部に侵入して断熱材20を食べることが防止される。
【0047】
上述の実施形態では、第1防蟻シート31及び第2防蟻シート32を、接着剤を用いて断熱材20に貼着した例が説明された。しかしながら、熱溶着などを用いて、接着剤を使用せずに第1防蟻シート31及び第2防蟻シート32を断熱材20に貼着してもよい。
【符号の説明】
【0048】
10・・・基礎構造体
11・・・布基礎
13・・・立上り
15・・・防蟻シート貼り断熱材
18・・・シリコン系接着剤
20・・・断熱材
21・・・第1主面
22・・・第2主面
23・・・天面
24・・・底面
25、26・・・側面
31・・・第1防蟻シート
32・・・第2防蟻シート
33・・・端部(第1端部)
34・・・端部(第2端部)
35・・・第3防蟻シート
41・・・本体
42・・・突出片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9