(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】パンチプレス装置、および折損検出方法
(51)【国際特許分類】
B21D 28/34 20060101AFI20240502BHJP
【FI】
B21D28/34 N
(21)【出願番号】P 2020051167
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】394019082
【氏名又は名称】コマツ産機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】松浦 聡
(72)【発明者】
【氏名】政氏 孝二
(72)【発明者】
【氏名】北村 和之
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-032065(JP,A)
【文献】特開平01-246010(JP,A)
【文献】実開昭61-061112(JP,U)
【文献】特開2015-100848(JP,A)
【文献】特開平05-305553(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0043418(US,A1)
【文献】特開2001-047148(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02875899(EP,A1)
【文献】米国特許第05342275(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 28/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンチ、ストリッパおよびダイを有する金型を用いてワークの加工を行い、前記金型を交換可能なパンチプレス装置であって、
ベッドと、
前記ベッド上に配置されたメインフレームと、
前記メインフレームに設けられ、複数の金型が収納される金型収納部と、
前記パンチを装着可能であって装着された前記パンチを駆動する第1駆動部と、前記ストリッパを装着可能であって装着された前記ストリッパを駆動する第2駆動部と、前記ダイを装着可能な装着部と、を有し、
1つの前記金型が装着可能な、前記ワークの加工を行う加工部と、
前記メインフレームに支持され、前記金型収納部と前記加工部との間で前記金型の受け渡しを行う金型搬送部と、
前記パンチの折損を検出する検出部と、
前記金型搬送部を駆動して、前記加工部に装着されている前記金型を交換する際に、前記第1駆動部および前記第2駆動部を制御して前記ストリッパから前記パンチを突出させ、前記検出部によって前記パンチの折損を検出する制御部と、を備えた、
パンチプレス装置。
【請求項2】
前記検出部は、光電センサである、
請求項1に記載のパンチプレス装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記金型を用いた前記ワークの加工後、異なる金型を用いる前に、前記金型の前記パンチの折損を検出する、
請求項1
または2に記載のパンチプレス装置。
【請求項4】
前記検出部が取り付けられた取付部材と、
前記取付部材を駆動する第3駆動部と、を更に備え、
前記制御部は、前記パンチの折損を検出する際に、前記第3駆動部を駆動して前記検出部を前記ストリッパから突出した前記パンチの先端の位置に移動させる、
請求項1~
3のいずれか1項に記載のパンチプレス装置。
【請求項5】
前記ワークをクランプする複数のクランパ部を有するワーク搬送部を更に備え、
前記取付部材は、前記クランパ部を退避させる退避部材を兼ねる、
請求項
4に記載のパンチプレス装置。
【請求項6】
前記第3駆動部は、前記取付部材を上下方向に駆動し、
前記取付部材は、前記加工部に装着された前記金型の前記ワーク搬送部側を覆う、
請求項5に記載のパンチプレス装置。
【請求項7】
金型交換可能なパンチプレス装置を用いて、パンチ、ストリッパおよびダイを有する金型の前記パンチの折損を検出する折損検出方法であって、
前記パンチプレス装置は、
ベッドと、
前記ベッド上に配置されたメインフレームと、
前記メインフレームに設けられ、複数の金型が収納される金型収納部と、
前記パンチを装着可能であって装着された前記パンチを駆動する第1駆動部と、前記ストリッパを装着可能であって装着された前記ストリッパを駆動する第2駆動部と、前記ダイを装着可能な装着部と、を有し、1つの前記金型が装着可能な、前記ワークの加工を行う加工部と、
前記メインフレームに支持され、前記金型収納部と前記加工部との間で前記金型の受け渡しを行う金型搬送部と、
前記パンチの折損を検出する検出部と、を備え、
前記金型搬送部を駆動して、前記加工部に装着されている前記金型を交換する際に、前記パンチおよび前記ストリッパを前記ダイから離間させた状態で、前記パンチを前記ストリッパから突出させる突出工程と、
前記ストリッパから突出した前記パンチの折損を検出する検出工程と、を備えた、
折損検出方法。
【請求項8】
前記突出工程および前記検出工程は、前記金型の交換の際に行う、
請求項7に記載の折損検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンチプレス装置および折損検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一台のパンチプレス装置で複数の形状のパンチプレス加工を行うことが可能な装置が提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に示すパンチプレス装置では、加工工具の先端の折損を検出するための監視装置が設けられている。監視装置としては、感応ピストンを備えた監視シリンダが金型ごとに設けられており、折損を確認する際には監視シリンダに圧縮空気を送りこまれる。加工工具の先端が破損していない場合には、感応ピストンのピストンロッドが加工工具の先端に突き当てられる。一方、加工工具が折損した場合には、先端が存在しないため、破損していない場合に比べてピストンロッドの移動ストロークが長くなる。このストロークの差を検出することによって折損の検出が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、使用する金型の全てに監視シリンダを設ける必要があり、金型の機構が複雑になるともに金型作成のコストも高くなる。
【0006】
本発明は、簡易に金型の折損を検出可能なパンチプレス装置および折損検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明にかかるパンチプレス装置は、パンチ、ストリッパおよびダイを有する金型を用いてワークの加工を行い、金型を交換可能なパンチプレス装置であって、加工部と、検出部と、制御部と、を備える。加工部は、第1駆動部と、第2駆動部と、装着部と、を有し、ワークの加工を行う。第1駆動部は、パンチを装着可能であって装着されたパンチを駆動する。第2駆動部は、ストリッパを装着可能であって装着されたストリッパを駆動する。装着部は、ダイを装着可能である。検出部は、パンチの折損を検出する。制御部は、第1駆動部および第2駆動部を制御してストリッパからパンチを突出させ、検出部によってパンチの折損を検出する。
【0008】
発明にかかる折損検出方法は、金型を交換可能なパンチプレス装置を用いて、パンチ、ストリッパおよびダイを有する金型のパンチの折損を検出する折損検出方法であって、突出工程と、検出工程と、を備える。突出工程は、パンチおよびストリッパをダイから離間させた状態で、パンチをストリッパから突出させる。検出工程は、ストリッパから突出したパンチの折損を検出する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡易に金型の折損を検出可能なパンチプレス装置および折損検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明にかかる実施の形態のパンチプレス機の外観を示す図。
【
図3】
図1のパンチプレス機で用いる金型を示す斜視図。
【
図5】
図1の金型搬送部によって加工部から金型が取り外される状態を示す図。
【
図6】
図1の金型搬送部によって加工部から金型が取り外される状態を示す断面模式図。
【
図8】
図7の金型搬送部をX方向側から視た斜視図。
【
図10】
図1のパンチプレス装置のクランパ退避部を示す側面図。
【
図11】クランパ部の退避状態と把持状態を示す平面図。
【
図12A】
図1のパンチプレス装置における折損検出部、退避部材および金型の配置関係を示す正面図。
【
図12B】
図1のパンチプレス装置における折損検出部、退避部材および金型の配置関係を示す正面図。
【
図13】
図1のパンチプレス装置における折損検出部、退避部材および金型の配置関係を示す平面図。
【
図14】
図1のパンチプレス装置の制御構成を示すブロック図。
【
図15】
図1のパンチプレス装置の動作を示すフロー図。
【
図16】(a)~(d)
図1のパンチプレス装置のパンチ加工を説明するための模式図。
【
図17】(a)~(c)
図1のパンチプレス装置を用いた折損検出を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明にかかる実施の形態のパンチプレス装置1について図面を参照しながら説明する。
【0012】
<構成>
(パンチプレス機の外観概要)
図1は、本実施の形態のパンチプレス装置1の全体概要を示す斜視図である。
図2は、本実施の形態のパンチプレス装置1の全体概要を示す正面図である。
【0013】
本実施の形態のパンチプレス装置1は、メインフレーム11と、ベッド12と、ワーク搬送部13と、加工部14と、金型収納部15と、金型搬送部16と、クランパ退避部18(
図12A参照)と、折損検出部20(検出部の一例)(
図12A参照)と、コントローラ30(制御部の一例)(
図14参照)と、を備える。
【0014】
メインフレーム11は、ベッド12上に配置されている。ワーク搬送部13は、ZX平面上においてワークを移動させる。加工部14は、後述する金型17が装着可能であり、装着された金型17を用いてワークにパンチ加工を行う。加工部14は、メインフレーム11の下側に配置されている。金型収納部15は、メインフレーム11に設けられており、複数の金型17を収納する。金型搬送部16は、金型収納部15と加工部14の間で金型17の受け渡しを行う。
【0015】
なお、水平方向のうちメインフレーム11に沿った方向をX方向とし、鉛直方向をY方向とし、水平方向のうちX方向に垂直な方向をZ方向とする。Z方向のうち、金型搬送部16からメインフレーム11に向かう方向をZ1方向とし、その反対方向をZ2方向とする。なお、本明細書における「水平」、「垂直」、および「鉛直」の記載はいずれも厳密な意味ではなく、誤差等も含む。
【0016】
(メインフレーム、ベッド)
メインフレーム11は、門型構造であり、ベッド12上に立設している。メインフレーム11は、2枚の板状のフレーム部材21、22を有している。フレーム部材21、22は、門型であり、主面が鉛直方向に沿うように配置されている。また、フレーム部材21とフレーム部材22は、互いに対向して配置されている。
【0017】
フレーム部材21、22のうち一方のフレーム部材21の外側向きの主面21aには、金型収納部15が設けられている。主面21aの上端部と下端部には、レール23、24が配置されている。レール23、24は、X方向に沿って配置されている。このレール23、24に沿って、後述する金型搬送部16が移動する。
【0018】
(ワーク搬送部)
ワーク搬送部13は、メインフレーム11の下方にメインフレーム11と交差するように配置されている。ワーク搬送部13は、ワーク移動部31と、キャリッジ32と、複数のクランパ部33と、を有する。
【0019】
ワーク移動部31は、細長い角柱状であって、メインフレーム11の下方においてメインフレーム11と交差するようにZ軸方向に沿って配置されている。ワーク移動部31は、図示しないモータの駆動力によってX方向に沿って移動可能である。ワーク移動部31は、その加工部14側の側面の上下に2本のレール34、35を有している。レール34、35は、Z方向に沿って配置されている。レール34とレール35は、互いに平行に配置されている。
【0020】
キャリッジ32は、Z方向に移動可能にワーク移動部31に設けられている。キャリッジ32は、ワーク移動部31側の側面にスライダ36、37を有している(
図2参照)。スライダ36はレール34と嵌合し、スライダ37はレール35と嵌合する。これによって、キャリッジ32は、ワーク移動部31に沿ってZ方向に移動できる。
【0021】
複数のクランパ部33は、ワークを挟んで保持する。複数のクランパ部33は、キャリッジ32に固定されている。複数のクランパ部33は、Z方向に並んで配置されている。
【0022】
これにより、複数のクランパ部33が固定されたキャリッジ32が、Z方向に移動し、キャリッジ32が支持されたワーク移動部31がX方向に移動できる。
【0023】
このようなワーク搬送部13によって、複数のクランパ部33によって保持されたワークを加工部14に対してZX平面に移動させることができる。
【0024】
なお、ワーク搬送部13の下側には、搬送時にワークを支えるテーブル19が配置されている。
【0025】
(金型)
次に、加工部14で使用される金型17について説明する。
【0026】
図3は、金型17を示す斜視図である。
図4は、金型17の正断面図である。
【0027】
金型17は、パンチ41と、ストリッパ42と、ダイ43と、を有する。各部材の配置関係は、パンチ41とダイ43の間にストリッパ42が配置されていれば特に限定されるものではないが、通常、上からパンチ41、ストリッパ42、ダイ43の順に配置されている。
【0028】
ストリッパ42とダイ43によってワークを挟み込んでパンチ41をダイ43側に駆動することによってワークに加工が行われる。
【0029】
パンチ41は、
図4に示すように、パンチチップ51と、クランプシャフト52と、把持リング53と、を有する。
【0030】
パンチチップ51は、所望の形状であり、ワークにパンチ加工を行う部分である。
【0031】
クランプシャフト52は、外周部が加工部14に装着されて係止保持される。クランプシャフト52はパンチチップ51に固定されている。クランプシャフト52の外周部には全周にわたって断面V字形状の係止溝52aが形成されている。
【0032】
把持リング53は、金型搬送部16による搬送用であり、クランプシャフト52のパンチチップ51側の端部の外周に配置されている。把持リング53は、クランプシャフト52に固定されている。把持リング53の外周部には、全周にわたって周方向の断面がV字形状の把持溝53aが形成されている。把持リング53の外周部には、
図3に示すように、軸芯方向に垂直な断面がV字形状である、一対の切り込み53b、53bが設けられている。一対の切り込み53bのV字形状は、軸芯に向かって互いに対向するように形成されている。
【0033】
ストリッパ42は、パンチ41の外周に下方から挿入されて配置されている。ストリッパ42は、パンチ41に上下に摺動可能になっている。ストリッパ42の外周部には、全周にわたって断面V字形状の把持溝42aが形成されている。また、
図3に示すように、ストリッパ42の外周部には、軸芯方向に垂直な断面がV字形状である、一対の切り込み42b、42bが設けられている。
図3では、一方の切り込み42bのみ示している。一対の切り込み42bのV字形状は、軸芯に向かって互いに対向するように形成されている。なお、周方向において、ストリッパ42の切り込み42b(
図3参照)は、パンチ41の切り込み53bと同じ位置に形成されている。
【0034】
ストリッパ42の上面42cには、
図4に示すように円柱状の空間である凹部42dが形成されている。凹部42dには、パンチ41の把持リング53が挿入可能である。ストリッパ42は、上下方向に形成された貫通孔42eを有している。貫通孔42eは、凹部43dの底面に形成されている。貫通孔42eは、パンチチップ51に対応する位置に設けられている。貫通孔42eには、パンチ41のパンチチップ51が挿入可能である。パンチチップ51は、貫通孔42eを介してワークに加工を行う。
【0035】
ダイ43は、加工時に、ストリッパ42の下側に配置される。
図3に示すように、ダイ43の外周部には、全周にわたって周方向の断面がV字形状の把持溝43aが形成されている。また、ダイ43の外周部には、軸芯方向に垂直な断面がV字形状の一対の切り込み43bが形成されている。
図3には、一方の切り込み43bのみが示されている。一対の切り込み43bのV字形状は、軸芯に向かって互いに対向するように形成されている。なお、周方向において、ダイ43の切り込み43bは、
図3に示すように、ストリッパ42の切り込み42bとパンチ41の切り込み53bと同じ位置に形成されている。
【0036】
ダイ43のストリッパ42側の上面43cには、パンチチップ51に対応する位置に凹部43dが形成されている。ストリッパ42を介して、パンチチップ51の先端51aが、凹部43dに挿入されワークに加工が行われる。
【0037】
(加工部)
図5は、後述する金型搬送部16によって加工部14に金型17を装着または加工部14から金型17を取り外す状態を示す図である。
図6は、後述する金型搬送部16によって加工部14に金型17を装着または加工部14から金型17を取り外す状態を示す断面模式図である。
【0038】
加工部14は、
図5に示すように、上プレス部61と、下プレス部62と、を有する。
【0039】
上プレス部61には、後述する金型搬送部16によってパンチ41とストリッパ42が装着される。
【0040】
上プレス部61には、
図6に示すように、パンチシリンダ部63(第1駆動部の一例)と、パンチクランプ爪64と、ストリッパシリンダ部65(第2駆動部の一例)が設けられている。
【0041】
パンチシリンダ部63は、シリンダを有し、装着されたパンチ41を上下動させる。パンチシリンダ部63は、クランプシャフト52のV形状の係止溝52aに係合する突起63aを有する。パンチクランプ爪64は、パンチクランプシリンダ(図示せず)の作動により下方に移動されてパンチシリンダ部63との間でクランプシャフト52を把持する。
【0042】
ストリッパシリンダ部65は、シリンダを有し、装着されたストリッパ42を上下動させる。ストリッパシリンダ部65は、ストリッパ42のV字形状の把持溝42aに係合する突起65aを有する。図示されていないが、上プレス部61には、ストリッパ42の外周を把持するストリッパクランプ爪が設けられている。ストリッパクランプ爪は、シリンダによって可動し、ストリッパ42を保持または取り外し可能に開放する。
【0043】
下プレス部62は、ダイシリンダ部66を有する。ダイシリンダ部66には、ダイ43が装着される。ダイシリンダ部66は、シリンダを有し、装着されたダイ43を上下動させる。ダイシリンダ部66には、ダイ43の外周をクランプするダイクランプ爪が(図示せず)設けられている。ダイクランプ爪は、シリンダによって可動し、ストリッパ42を保持または取り外し可能に開放する。
【0044】
加工部14の上プレス部61にパンチ41およびストリッパ42を装着し、下プレス部62にダイ43を装着し、メインフレーム11に昇降可能に支持されたラム(図示せず)を下降させることによって、パンチ41とダイ43の間に配置されたワークを加工することができる。
【0045】
また、加工部14は、後述する
図14に示すようにパンチ41、ストリッパ42およびダイ43の位置を検知する第1位置センサ67、第2位置センサ68および第3位置センサ69を備えている。第1位置センサ67はパンチ41の上下方向の位置を検知し、第2位置センサ68はストリッパ42の上下方向の位置を検知し、第3位置センサ69はダイ43の上下方向の位置を検知する。
【0046】
(金型収納部)
金型収納部15は、複数の金型17を収納する。金型収納部15は、メインフレーム11のフレーム部材21の主面21aに設けられている。金型収納部15は、水平に配置された複数の板状部材を有している。板状部材は、主面21aに対して垂直に設けられており、棚を形成している。
【0047】
複数の金型17は、金型収納部15に正面視しおいて千鳥状に配置されている。これにより、決められたスペースにおいて出来るだけ多くの金型を収納することができる。
【0048】
(金型搬送部)
図7は、
図1の金型搬送部16近傍の拡大図である。
図8は、X方向側から視た金型搬送部16の斜視図である。
【0049】
金型搬送部16は、メインフレーム11に支持されている。金型搬送部16は、第1移動部81と、第2移動部82と、把持部83と、を有する。
【0050】
第1移動部81は、本体部91と、モータ92と、スライダ取り付け部93、94と、一対のレール95と、ラック96と、を有する。
【0051】
本体部91は、複数の棒状のフレーム部材によって構成されており、鉛直方向に長く形成され、外形が略三角柱である。スライダ取り付け部93は、第1移動部81のフレーム部材21側の面91aの上寄りの部分に、主面21aに対向するように配置されている。スライダ取り付け部93には、フレーム部材21の上方に配置されたレール23に嵌合するスライダ99(
図7参照)が取り付けられる。スライダ取り付け部94は、第1移動部81のフレーム部材21側の面91aの下端の部分に主面21aに対向するように配置されている。スライダ取り付け部94には、レール24と嵌合するスライダが取り付けられる。
【0052】
モータ92は、スライダ取り付け部93のフレーム部材21とは反対側の面に配置されるように本体部91に固定されている。モータ92の軸は、スライダ取り付け部93を貫通してフレーム部材21側に突出しており、その突出部分にはピニオン97が設けられている。ピニオン97は、レール23に沿って配置されたラック(図示せず)と噛み合っている。モータ92が回転すると、ピニオン97が回転し、ラックとの嵌合により、第1移動部81はレール23、24に沿ってX方向に移動する。
【0053】
一対のレール95は、面91aと垂直な本体部91の面91bに設けられている。一対のレール95の各々は、上下方向に沿って設けられている。ラック96は、一対のレール95の内側に上下方向に沿って配置されている。ラック96は、第2移動部82のピニオン107と噛み合っている。
【0054】
第2移動部82は、
図8に示すように、ブラケット101と、複数のスライダ102と、モータ103と、取付部104と、モータ105とを有している。ブラケット101は、面91bに沿って配置された平面部101aを有する部材である。複数のスライダ102は、平面部101aの第1移動部81側の面に固定されており、一対のレール95と鉛直方向に移動可能に嵌合している。モータ103は、平面部101aの第1移動部81とは反対側の面に固定されており、その出力軸が平面部101aを貫通している。この出力軸にピニオン107が固定されており、上述したラック96と噛み合っている。
【0055】
取付部104は、Z方向に沿って形成されており、把持部83をZ方向に移動可能に支持する。取付部104の側面には、Z方向に沿って一対のレール106が配置されている。
【0056】
モータ105は、取付部104のフレーム部材21と反対側の端に設けられている。モータ105の出力軸と連結されたボールネジ(図示せず)がZ方向に配置されている。
【0057】
把持部83は、ハンド部111と、ハンド部111を支持する支持部112とを有する。支持部112は、取付部104側に複数のスライダ113を有しており、スライダ113がレール106に嵌合している。また、支持部112は、取付部104のボールネジと嵌合するナット部(図示せず)を有している。モータ105が回転するとボールネジが回転し、ボールネジと嵌合するナット部が固定されている支持部112がレール106に沿ってZ方向に移動できる。
【0058】
ハンド部111は、支持部112に支持されている。ハンド部111は、把持機構121、122と、アーム部123と、切換シリンダ124と、を有する。
【0059】
アーム部123は、支持部112の支持板112aに水平方向に回転可能に取り付けられている。アーム部123の回転軸123cが
図8に図示されている。アーム部123は、平面視においてV字形状であり、V字の2つの先端に把持機構121と把持機構122が設けられている。
【0060】
なお、把持機構121、122は、双方とも金型17を把持するものであり、金型17を交換する際に一方が加工部14に装着する金型17を把持し、他方が加工部14から取り外した金型17を把持する。
【0061】
把持機構121、122は同様の構成であるため、把持機構121を例に挙げて説明する。
図9は、把持機構121の拡大図である。把持機構121は、一対の第1ハンド131と、一対の第2ハンド132と、一対の第3ハンド133と、シリンダ134とを備える。
【0062】
第1ハンド131と、第2ハンド132と、第3ハンド133は、アーム部123の先端部123aに回動可能に取り付けられている。第1ハンド131、第2ハンド132、および第3ハンド133は上から順に配置されている。
【0063】
一対の第1ハンド131は、水平方向に対向するように配置されている。一対の第1ハンド131は、パンチ41の把持リング53を把持する。一対の第1ハンド131は、薄板状であり、アーム部123の先端から突出している。一対の第1ハンド131は、その基端部がアーム部123の先端部123aに回動可能に取り付けられている。各々の第1ハンド131の先端部には、内側に向かって突出した爪131aが形成されている。一対の第1ハンド131は、シリンダ134の駆動によって開閉機構(図示せず)を介して基端を中心に爪131a側が開閉する(矢印D参照)。一対の第1ハンド131は、閉じられることによって把持リング53の把持溝53a(
図3参照)に嵌り、更に爪131aが、切り込み53bに嵌ることによって、パンチ41を把持する。
【0064】
一対の第2ハンド132は、水平方向に対向するように配置されている。一対の第2ハンド132は、ストリッパ42を把持する。一対の第2ハンド132は、薄板状であり、アーム部123の先端部123aから突出している。一対の第2ハンド132は、その基端部がアーム部123の先端に回動可能に取り付けられている。各々の第2ハンド132の先端部には、内側に向かって突出した爪132aが形成されている。一対の第2ハンド132は、シリンダ134の駆動によって開閉機構(図示せず)を介して基端を中心に爪132a側が開閉する(矢印D参照)。一対の第2ハンド132は、閉じられることによってストリッパ42の把持溝42a(
図3参照)に嵌り、更に爪132aが、切り込み42bに嵌ることによって、ストリッパ42を把持する。
【0065】
一対の第3ハンド133は、水平方向に対向するように配置されている。なお、
図9では片方のみ示されている。一対の第3ハンド133は、ダイ43を把持する。一対の第3ハンド133は、薄板状であり、アーム部123の先端部123aから突出している。一対の第3ハンド133は、その基端部がアーム部123の先端に回動可能に取り付けられている。各々の第3ハンド133の先端部には、内側に向かって突出した爪133aが形成されている。一対の第3ハンド133は、シリンダ134の駆動によって開閉機構(図示せず)を介して基端を中心に爪133a側が開閉する(矢印D参照)。一対の第3ハンド133は、閉じられることによってダイ43の把持溝43aに嵌り、更に爪133aが、切り込み43bに嵌ることによって、ダイ43を把持する。
【0066】
図8に示す切換シリンダ124は、把持機構121と把持機構122の切換を行う。切換シリンダ124の先端は、アーム部123に立設されたピン123bに連結されている。切換シリンダ124が先端を伸縮することによって、アーム部123が回転軸123cを中心に回転し、把持機構121と把持機構122の一方が加工部14または金型収納部15に正対するように切り換えることができる(矢印E参照)。
【0067】
(クランパ退避部)
クランパ退避部18は、ワークのクランパ部33の近傍を加工する際にクランパ部33を加工部14の加工領域から退避させる。
【0068】
図10は、クランパ退避部18の構成を示す側面図である。
図11は、クランパ部33の退避状態と把持状態を示す平面図である。
図12Aおよび
図12Bは、クランパ退避部18、金型17および後述する折損検出部20の配置関係を示す正面図である。
図12Aおよび
図12Bでは、クランパ退避部18、金型17および後述する折損検出部20以外の構成は、二点鎖線で示す。
【0069】
クランパ退避部18は、
図10に示すように、加工領域ドグ71(取付部材の一例)と、駆動シリンダ72(第3駆動部の一例)と、を有する。加工領域ドグ71は、加工部14の上プレス部61の周囲に配置されている。加工領域ドグ71は、
図11に示すように平面視において円弧状の円弧状部分71aを有する。この円弧状部分71aに後述する退避ローラ336が当接する。
【0070】
駆動シリンダ72は、
図12Aに示すように、2つ設けられており、各々の駆動シリンダ72は、上下方向に沿って上プレス部61に並んで配置されている。駆動シリンダ72は、
図12Bに示すように、下方に向かって伸びるロッド72aを有しており、ロッド72aの先端が、加工領域ドグ71に接続されている。駆動シリンダ72の駆動によってロッド72aが上下動し、加工領域ドグ71が上下移動する。なお、
図10および
図12Bは、加工領域ドグ71が下方に移動した状態を示している。
図12Aは、加工領域ドグ71が上方に移動した状態を示している。加工領域ドグ71が下方に移動した状態において、クランパ部33を退避させることができる。
【0071】
また、クランパ退避部18は、後述する
図14に示すように加工領域ドグ71の上下方向の位置を検知する第4位置センサ73を備えている。
【0072】
図11では、左側のクランパ部33がワークWから退避した状態となっており、右側のクランパ部33がワークWを把持した状態となっている。クランパ部33の構成については従来と同様であるため、詳細な説明は省略するが、クランパ部33は、把持部330と、クランパ本体331と、クランパ支持部材332と、圧縮バネ333と、ロックシリンダ334と、クランパシリンダ335と、退避ローラ336と、を有する。
【0073】
クランパ本体331は、キャリッジ32(
図2参照)に固定されている。把持部330は、ワークWを把持する。クランパ支持部材332は、クランパ本体331に退避可能に構成されている。圧縮バネ333は、クランパ支持部材332をクランパ本体331から押し出す方向に付勢している。ロックシリンダ334は、クランパ支持部材332をクランパ本体331に固定または固定解除する。クランパシリンダ335は、把持部330を開閉させる。退避ローラ336は、
図10および
図11の左側図に示すように、加工領域ドグ71の円弧状部分71aに当接し、加工領域ドグ71からの押圧力をクランパ支持部材332に伝える。
【0074】
図11には、パンチ加工領域W1が示されている。このように、ワークWの端を加工する際には、加工領域ドグ71によって退避ローラ336が押されてクランパ支持部材332が圧縮バネ333の付勢力に対抗して押し戻されることによって把持部330がパンチ加工領域W1から退避している。なお、加工領域ドグ71に退避ローラ336が当接するのと同時に、クランパシリンダ335の駆動によって把持部330によるワークWの把持が解除され、ロックシリンダ334によるクランパ支持部材332のクランパ本体331に対する固定も解除される。この解除は、当接をセンサで検出して行われてもよいし、座標に基づいて行われてもよい。
【0075】
(折損検出部)
折損検出部20は、パンチ41の先端51aの折損の検出を行う。上述した
図12Aは、パンチ41の先端51aの折損検出を行っていない状態を示す図である。
図12Bは,パンチ41の先端51aの折損検出を行っている状態を示す図である。
図13は、折損検出部20、クランパ退避部18および金型17の配置関係を示す平面図である。
【0076】
図12Aに示すように、折損検出部20は、加工領域ドグ71に設けられている。折損検出部20としては、例えば透過型の光電センサを用いることができる。折損検出部20は、投光部20aと受光部20bとを有している。
【0077】
図13に示すように加工領域ドグ71は、上プレス部61を取り囲むように形成されている。投光部20aと受光部20bは、金型17の中心軸を挟んで互いに対向するように加工領域ドグ71に取り付けられている。
【0078】
図12Aでは、高さ方向において加工領域ドグ71が上プレス部61の上部に位置しており、パンチ41の先端51aはストリッパ42の内側に配置されている。
【0079】
図12Aに示す状態から
図12Bに示すように、パンチシリンダ部63およびストリッパシリンダ部65の制御によってストリッパ42の貫通孔42eからパンチチップ51の先端51aが突出する。また、駆動シリンダ72の駆動によって、加工領域ドグ71は上プレス部61の下部に移動される。この状態では、加工領域ドグ71は、投光部20aからの光がストリッパ42の下側を通過する位置に移動されている。
【0080】
図13に示すように投光部20aと受光部20bは、金型17の中心軸を挟んで配置されているため、
図12Bに示す状態では投光部20aから投射された光はストリッパ42の貫通孔42eから下方に突出したパンチチップ51の先端51aを通過する。
【0081】
パンチチップ51の先端51aが折損していない場合には、投光部20aから投射された光は先端51aに遮られ、受光部20bの受光量が少なくなる。一方、先端51aが折損している場合には、投光部20aから投射された光は先端51aによって遮られないため受光部20bによる受光量が多くなる。このため、所定の閾値を設定し、受光量が閾値より大きい場合には、先端51aが折損していると検出し、受光量が閾値よりも小さい場合には、折損していないと判断される。
【0082】
(コントローラ)
図14は、本実施の形態のパンチプレス装置の制御構成を示すブロック図である。
【0083】
コントローラ30は、CPUあるいはGPU等のプロセッサと、記憶装置と、を含む。プロセッサは、パンチプレス装置1の自動制御のための処理を行う。記憶装置は、RAM或いはROMなどのメモリ、およびHDD(Hard Disk Drive)或いはSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置を含む。記憶装置は、自動制御のためのデータ及びプログラムを記憶している。データおよびプログラムは、作業者によって設定することもできる。このプログラムとして、後述する
図15に示すフローを実行するプログラムが含まれていてもよい。
【0084】
コントローラ30には、第1位置センサ67、第2位置センサ68、第3位置センサ69の検出信号が入力される。コントローラ30は、各検出信号に基づいて、所定のモーションを実行するようにパンチシリンダ部63、ストリッパシリンダ部65およびダイシリンダ部66を駆動する。これによって、パンチ41、ストリッパ42およびダイ43によってワークに加工を行うことができる。
【0085】
また、ワークを加工する際には、コントローラ30は、ワーク搬送部13および金型搬送部16の制御も行う。
【0086】
また、コントローラ30には、第4位置センサ73の検出信号が入力される。コントローラ30は、検出信号に基づいて、駆動シリンダ72を駆動することによって、加工領域ドグ71の位置を上下動させる。ワークを加工する際に、加工領域ドグ71を下方に移動させることによって、クランパ部33を加工領域に侵入しないように退避させることができる。加工領域ドグ71には、折損検出部20が設けられているため、コントローラ30は、駆動シリンダ72を駆動することによって、折損検出部20の位置も上下動可能である。
【0087】
コントローラ30は、加工終了後、金型収納前にパンチシリンダ部63、ストリッパシリンダ部65および駆動シリンダ72を制御することによって、ストリッパ42からパンチ41の先端51aを突出させ、折損検出部20の位置を移動して先端51aの折損の検出を行う。
【0088】
コントローラ30は、投光部20aを制御して光を照射し、受光部20bの受光量に基づいてパンチ41の先端51aが折損しているか否か検出する。
【0089】
<動作>
次に、本実施の形態のパンチプレス装置1の動作を示すとともに、折損検出方法についても述べる。
【0090】
図15は、本実施の形態のパンチプレス装置1を用いた動作を示すフロー図である。
【0091】
図15では、1つの金型17を用いたパンチ加工の動作について示す。
図16(a)~(d)は、パンチ加工を説明するための模式図である。
図17(a)~(c)は、折損検出を説明するための模式図である。なお、
図16(a)~
図16(d)では、折損検出部20およびクランパ退避部18は図示を省略する。
【0092】
はじめに、ステップS10において、コントローラ30は、金型搬送部16によって所望の金型17の搬送を行う。この際、把持部83の位置がモータ92によってX方向に移動し、モータ103によってY方向に移動する(
図8参照)。モータ92およびモータ103を制御することによって、主面21aに平面上に収納された所望の金型17に正対した位置に把持部83を移動することができる。次に、モータ105を駆動することによって、把持部83の把持機構121、122のうちいずれかの把持機構がフレーム部材21に向かってZ1方向に沿って移動し、第1ハンド131、第2ハンド132および第3ハンド133でパンチ41、ストリッパ42およびダイ43を把持する。次に、金型17を把持した状態で、モータ105を駆動することによって把持部83をZ2方向に沿ってフレーム部材21から離間するように移動し、金型17が金型収納部15から取り出される。そして、モータ92およびモータ103を制御して、加工部14に正対するように把持部83が移動され、金型収納部15から取り出した金型17を把持する把持機構が加工部14の正面に配置される。
【0093】
次に、ステップS20において、
図6に示すように、コントローラ30は把持機構121を加工部14に向かってZ1方向に移動して加工部14に金型17が装着される。
【0094】
次に、ステップS30において、
図16(a)に示すように、コントローラ30は、ワーク搬送部13を駆動して加工部14の間にワークWの加工を行う部分を配置する。
【0095】
次に、ステップS40において、
図16(b)に示すように、コントローラ30は、ダイシリンダ部66を駆動してダイシリンダ部66に装着されているダイ43をワークWに下方から当接させる。
【0096】
次に、ステップS50において、
図16(c)に示すように、コントローラ30は、ストリッパシリンダ部65を制御して、ストリッパシリンダ部65に装着されているストリッパ42を上方からワークWに当接させる。これによって、ダイ43とストリッパ42によってワークWが挟み込まれる。
【0097】
次に、ステップS60において、
図16(d)に示すように、コントローラ30は、パンチシリンダ部63を駆動して、パンチシリンダ部63に装着されているパンチ41を下方に移動してワークWにパンチ加工を行う。
【0098】
次に、ステップS70において、コントローラ30は、パンチシリンダ部63、ストリッパシリンダ部65およびダイシリンダ部66を駆動して、パンチ41およびストリッパ42を上方に移動し、ダイ43を下方に移動させることによって、ワークWからパンチ41、ストリッパ42およびダイ43を離間させる。
【0099】
次に、コントローラ30は、装着されている金型17による加工が終了したか否かを判断し、ステップS80において、終了していないと判定した場合には、制御をステップS30に戻す。そして、コントローラ30は、ステップS80において終了していると判定するまで、ステップS30~ステップS70の制御を繰り返し行う。
【0100】
次に、ステップS80において装着されている金型17による加工が終了したと判定した場合には、コントローラ30は、制御をステップS90に進め、折損検出を行う。
【0101】
なお、金型17による加工が終了したときには、
図17(a)に示すように、パンチシリンダ部63、ストリッパシリンダ部65およびダイシリンダ部66を駆動して、パンチ41およびストリッパ42が上方に移動され、ダイ43が下方に移動されている。
【0102】
ステップS90において、
図17(b)に示すように、コントローラ30は、パンチシリンダ部63およびストリッパシリンダ部65を制御し、パンチ41のパンチチップ51の先端51aをストリッパ42から下方に突出させる。
【0103】
次に、ステップS100において、
図17(c)に示すように、コントローラ30は、駆動シリンダ72を制御することによって、加工領域ドグ71を下方に移動し、加工領域ドグ71に配置されている折損検出部20の投光部20aと受光部20bを先端51aを挟む位置に移動する。
【0104】
次に、ステップS110において、コントローラ30は、投光部20aから光を照射して受光部20bによる受光量を取得して、パンチ41の先端51aの折損の判定を行う。
【0105】
ステップS110において、先端51aの折損を検出した場合には、ステップS120において、コントローラ30はパンチプレス装置1を停止する。
【0106】
一方、ステップS110において先端51aが折損してないと判定された場合には、ステップS130において、コントローラ30は、金型17の交換を行う。このとき、把持機構121、122の一方は、次に使用する金型17を把持しているため、加工部14に装着されている金型17は、把持していない方の把持機構によって把持されて加工部14から取り外される。そして、把持機構に把持されている次に使用する金型17が加工部14に装着される。
【0107】
次に、ステップS140において、加工部14から取り外された金型17が金型収納部15に搬送されて収納される。
【0108】
以上のように、金型を交換する際に、パンチ41の先端51aの折損の検出を行うことができる。
【0109】
なお、次に使用する金型17が存在しない場合には、ステップS130において金型17が加工部14から取り外されてステップS140において金型17が金型収納部15に搬送されて制御が終了する。
【0110】
<特徴>
(1)
本実施の形態のパンチプレス装置1は、パンチ41、ストリッパ42およびダイ43を有する金型17を用いてワークの加工を行い、金型17を交換可能なパンチプレス装置であって、加工部14と、折損検出部20(検出部の一例)と、コントローラ30(制御部の一例)と、を備える。加工部14は、パンチシリンダ部63(第1駆動部の一例)と、ストリッパシリンダ部65(第2駆動部の一例)と、ダイシリンダ部66(装着部の一例)と、を有し、ワークWの加工を行う。パンチシリンダ部63は、パンチ41を装着可能であって装着されたパンチ41を駆動する。ストリッパシリンダ部65は、ストリッパ42を装着可能であって装着されたストリッパ42を駆動する。ダイシリンダ部66は、ダイ43を装着可能である。折損検出部20は、パンチ41の折損を検出する。コントローラ30は、パンチシリンダ部63およびストリッパシリンダ部65を制御してストリッパ42からパンチ41を突出させ、折損検出部20によってパンチ41の折損を検出する。
【0111】
このように、金型17を交換可能なパンチプレス装置1においてパンチ41とストリッパ42を独立して駆動させることによって、パンチ41をストリッパ42から突出させることができる。
【0112】
このため、突出したパンチ41の先端51aの折損の検出を折損検出部20で容易に検出することができる。
【0113】
(2)
本実施の形態のパンチプレス装置1では、折損検出部20は、光電センサである。
【0114】
このように光電センサを設けることによって、パンチ41のパンチチップ51の先端51aに投射した光の検出によって先端51aの折損の有無を検出することができる。
【0115】
(3)
本実施の形態のパンチプレス装置1では、コントローラ30は、金型17の交換の際に、パンチ41の折損を検出する。
【0116】
これにより、加工の流れを停止させずに、折損の検出を行うことができる。また、金型17の収納前若しくは使用前に折損を検出することができる。
【0117】
(4)
本実施の形態のパンチプレス装置1では、コントローラ30は、金型17を用いたワークWの加工後、異なる金型17を用いる前に、金型17のパンチ41の折損を検出する。
【0118】
これにより、金型17を収納する前に折損を検出することができる。
【0119】
(5)
本実施の形態のパンチプレス装置1は、加工領域ドグ71(取付部材の一例)と、駆動シリンダ72(第3駆動部の一例)と、を更に備える。加工領域ドグ71は、折損検出部20が取り付けられている。駆動シリンダ72は、加工領域ドグ71を駆動する。コントローラ30は、パンチ41の折損を検出する際に、駆動シリンダ72を駆動して折損検出部20をストリッパ42から突出したパンチ41の先端51aの位置に移動させる。
【0120】
これにより、パンチ41のパンチチップ51の先端51aの位置に折損検出部20を移動させて折損の検知を行うことができる。
【0121】
(6)
本実施の形態のパンチプレス装置1は、ワーク搬送部13を更に備える。ワーク搬送部13は、ワークWをクランプする複数のクランパ部33を有する。加工領域ドグ71は、クランパ部33を退避させる退避部材を兼ねる。
【0122】
これにより、折損検出部20を取りつけるための取付部材を別途設ける必要がなく、部品点数を増加させずに折損検出部20を取り付けることが可能となる。
【0123】
(7)
本実施の形態の折損検出方法は、金型17を交換可能なパンチプレス装置1を用いて、パンチ41、ストリッパ42およびダイ43を有する金型17のパンチ41の折損を検出する折損検出方法であって、ステップS90(突出工程の一例)と、ステップS110(検出工程の一例)と、を備える。
【0124】
このように、金型17を交換可能なパンチプレス装置1においてパンチ41をストリッパ42から突出させることができる。このため、突出したパンチの折損の検出を容易に検出することができる。
【0125】
また、折損を検出した際には、装置を停止させてもよいし、折損を検知した金型を使用せずに他の加工のみ継続させてもよい。
【0126】
(8)
本実施の形態の折損検出方法では、ステップS90およびステップS110は、金型17の交換の際に行う。
【0127】
これにより、加工の流れを停止させずに、折損の検出を行うことができる。また、金型17の収納前若しくは使用前に折損を検出することができる。
【0128】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0129】
(A)
上記実施の形態では、折損検出部20は加工領域ドグ71に配置されているが、加工領域ドグ71に限らなくてもよく、別部材に取り付けられていてもよい。折損検出部20が別部材に取り付けられている場合、折損検出部20がストリッパ42およびパンチ41の上下動の範囲内に配置されていれば、別部材が上下動しなくてもよい。
【0130】
(B)
上記実施の形態では、折損検出部20として透過型の光電センサが用いられていたが、これに限定されるものではなく、反射した光を検出する反射型の光電センサが用いられてもよく、要するにパンチ41の先端51aの折損を検出可能であればよい。
【0131】
(C)
上記実施の形態では、金型17によるパンチ加工の終了後に折損の検出を行っているが、加工部14に装着後、パンチ加工を行う前に折損の検出を行ってもよい。
【0132】
(D)
上記実施の形態では、ダイ43が装着されるダイシリンダ部66はダイ43を上下動可能であるが、上下動せずにダイ43が装着されるだけでもよい。
【0133】
(E)
上記実施の形態では、パンチ41の折損を検出した場合、パンチプレス装置1を停止しているが、停止させずに折損を検出した金型17を用いた加工をスキップしてもよく、また、折損を検出した金型17を用いた製品を集積してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明によれば、簡易に金型の折損を検出可能な効果を有し、パンチプレス装置などとして有用である。
【符号の説明】
【0135】
1 :パンチプレス装置
14 :加工部
20 :折損検出部
30 :コントローラ
41 :パンチ
42 :ストリッパ
43 :ダイ
63 :パンチシリンダ部
65 :ストリッパシリンダ部
66 :ダイシリンダ部