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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】把持装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20240502BHJP
   B25J 15/10 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
B25J15/08 M
B25J15/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020079707
(22)【出願日】2020-04-28
(65)【公開番号】P2021171895
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀川 嗣人
(72)【発明者】
【氏名】嵜田 慎也
【審査官】松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-043729(JP,A)
【文献】特開平01-306377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
B65G 57/00 - 59/12
B62D 65/00 - 65/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台上に1つ以上並べられ2つ以上積み重ねられた円筒状の物品を把持する把持装置であって、
前記物品の内周面を保持する内周ハンド部と、
前記物品の外周面を保持する外周ハンド部とを備え、
積み重ねられた前記物品の間に矩形シート状の介在部材が挟まれ、前記介在部材は前記外周面から前記物品の径方向外側に突き出し前記外周面に沿って折れ曲がる突出部を有し、
前記外周ハンド部は、前記外周面の折れ曲がった前記突出部と重ならない箇所を保持可能な周方向の位置に設けられていることにより、前記物品の外周面を保持することを特徴とする把持装置。
【請求項2】
前記内周ハンド部は、前記物品の周方向における前記内周面の3箇所以上を保持し、
前記外周ハンド部は、前記周方向における前記外周面の3箇所以上を保持する、請求項1に記載の把持装置。
【請求項3】
前記物品の周方向における、前記内周ハンド部が前記内周面を保持する箇所の数と、前記外周ハンド部が前記外周面を保持する箇所の数とが異なる、請求項1または請求項2に記載の把持装置。
【請求項4】
前記外周ハンド部が前記外周面を保持する箇所が、前記物品の周方向において不等間隔に配置される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の把持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、把持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロール状製品をその周辺からクランプすることにより握持するクランプ機構が、たとえば特開平7-223732号公報(特許文献1)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-223732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
円筒状の物品を把持する把持装置においては、物品を安定して把持できることが求められる。特にロール品を把持する場合には、ロール品の巻き崩れを防ぐために、ロール品の内周と外周との両側から把持することが望まれる。
【0005】
本開示では、円筒状の物品を安定して把持できる把持装置が提案される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従うと、台上に1つ以上並べられ2つ以上積み重ねられた円筒状の物品を把持する把持装置が提案される。把持装置は、物品の内周面を保持する内周ハンド部と、物品の外周面を保持する外周ハンド部とを備えている。積み重ねられた物品の間に、矩形シート状の介在部材が挟まれている。介在部材は、外周面から物品の径方向外側に突き出し外周面に沿って折れ曲がる突出部を有している。外周ハンド部は、折れ曲がった突出部と重ならない外周面を保持する。
【0007】
上記の把持装置において、内周ハンド部は、物品の周方向における内周面の3箇所以上を保持し、外周ハンド部は、周方向における外周面の3箇所以上を保持してもよい。
【0008】
上記の把持装置において、物品の周方向における、内周ハンド部が内周面を保持する箇所の数と、外周ハンド部が外周面を保持する箇所の数とが異なってもよい。
【0009】
上記の把持装置において、外周ハンド部が外周面を保持する箇所が、物品の周方向において不等間隔に配置されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示に従う把持装置によれば、円筒状の物品を安定して把持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態の把持装置によって把持される物品の積載体の斜視図である。
図2図1に示される積載体の側面図である。
図3図1に示される積載体の平面図である。
図4】実施形態の把持装置によって把持される物品の斜視図である。
図5】物品の間に挟まれる介在部材の斜視図である。
図6】天面被覆材およびパレットフィルムを有する積載体の斜視図である。
図7】第1の物品を把持する把持装置を模式的に示す平面図である。
図8】第2の物品を把持する把持装置を模式的に示す平面図である。
図9】第3の物品を把持する把持装置を模式的に示す平面図である。
図10】第4の物品を把持する把持装置を模式的に示す平面図である。
図11】第二実施形態の把持装置を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態について図面に基づいて説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0013】
[第一実施形態]
図1は、実施形態の把持装置によって把持される物品1の積載体10の斜視図である。図2は、図1に示される積載体10の側面図である。図3は、図1に示される積載体10の平面図である。図2には、図1中に示される矢印II方向から見た積載体10が図示されている。図3には、図2中に示される矢印III方向から見た積載体10が図示されている。
【0014】
図1~3に示されるように、物品1は、物流パレットなどのパレット7上に多段状に積み重ねられている。物品1は、芯材2の周囲に長尺状のラベル連続体3が巻き付けられた円筒状のロール品である。パレット7は、物流業界で従前より使用されているものであり、載置台71と、フォークリフトの爪部を挿入するための一対の挿入口72,72とを有している。パレット7の材質は特に限定されず、木材、合成樹脂などが挙げられる。パレット7の平面視形状は、通常略正方形状または略長方形状であり、その大きさは特に限定されず、たとえば縦横の寸法がそれぞれ750mm以上1500mm以下である。
【0015】
積み重ねられた物品1の間に、矩形シート状の介在部材5が挟まれている。パレット7の載置台71の表面上に介在部材8が載せ置かれ、その上に物品1が載せ置かれる。その物品1の上に介在部材5が載せ置かれ、その介在部材5の上に物品1が載せ置かれ、これが繰り返される。物品1は、その軸方向が載置台71の表面に直交するように配置される。平面視形状が矩形状の介在部材5は、4つのコーナー部5Cを有している。コーナー部5Cは、円筒状の物品1の外周面から物品1の径方向外側に突き出す、実施形態の突出部を構成している。
【0016】
物品1が載置台71上に2つ以上積み重ねられる段数は、特に限定されず物品1の寸法に応じて適宜設定されるが、3段以上20段以下であってもよく、5段以上12段以下であってもよい。図示される例では、物品1が8段積み重ねられている。
【0017】
物品1が載置台71上に1つ以上並べられる個数は、特に限定されず、パレット7および物品1の寸法に応じて適宜設定されるが、1個以上12個以下であってもよく、3個以上8個以下であってもよい。図示される例では、1つの段に4つの物品1が並べられている。図示される例で、載置台71上に4つ並べられ8段ずつ積み重ねられた物品1を、それぞれ物品1A、物品1B、物品1C、物品1Dと称する。
【0018】
複数個の物品1が並んで載置台71上に載せ置かれる場合、隣り合う物品1が接触しないように、間隔を空けて配置されるのが望ましい。隣り合う物品1間の間隔は、特に限定されないが、5mm以上20mm以下であってもよい。
【0019】
パレット7は、図1~3に示される平面視略正方形状または略矩形状に限定されず、他の任意の形状を有していてもよい。パレット7は、フォークリフトの爪部が二方向から入る2方差しに限定されず、フォークリフトの爪部が四方向から入る(パレット7が矩形状の場合、全面から入る)4方差しであってもよい。
【0020】
介在部材5,8は、図1~3に示される矩形シート状に限定されず、多角形のシート状であってもよい。多角形シート状の介在部材5,8のコーナー部が、C面取りまたはR面取りなどの面取りされた形状であってもよい。または介在部材5,8は、円形状のシート状であってもよい。図1~3に示される介在部材8は、介在部材5よりも大きい寸法を有しているが、介在部材8は、介在部材5と異なる寸法を有していてもよく、介在部材5と同じ寸法を有していてもよい。介在部材8は、介在部材8がパレット7からはみ出ないようにパレット7のサイズ以下のサイズに形成され、物品1がパレット7の上面に直接載せ置かれないように物品1のサイズ以上のサイズに形成されている。
【0021】
図4は、実施形態の把持装置によって把持される物品1の斜視図である。物品1は、中空筒状の芯材2と、芯材2の周りに巻き付けられた長尺状のラベル連続体3とを有している。
【0022】
芯材2は、通常、円管状であるが、多角管状であってもよい。芯材2の材質は、容易に変形しない程度の強度を有していれば、特に限定されない。芯材2は、紙管、硬質プラスチック管などであってもよい。芯材2の外径は、特に限定されず、30mm以上400mm以下であってもよく、100mm以上300mm以下であってもよい。芯材2の外径とは、芯材2が円管状でない場合には、円相当径(円相当直径)を意味する。芯材2の肉厚は、容易に変形しない程度であればよく、紙製の芯材2の場合には2mm以上20mm以下であってもよい。
【0023】
ラベル連続体3は、複数のラベルが長手方向に連続的に連なったものであり、全体的には長尺状である。長尺状とは、1つの方向がその方向に直交する方向に対して十分に長い形状をいう。ラベルは、飲料などが収納された容器、商品自体、商品を包装する包装箱などの各種の被着体に装着されるものである。ラベルは、熱収縮または自己伸縮などによって被着体に装着される筒状ラベル、被着体に巻き付けて装着される巻付けラベル、粘着剤が塗布されたタックラベル、使用時にグルー糊などを塗布して被着体に貼り付けるグルーラベルなどの、任意のラベルであってもよい。
【0024】
ラベル連続体3は、その長手方向を周方向として芯材2の周囲に巻き回されている。ラベル連続体3は、たとえば厚み10μm以上200μmのフィルムで主として構成されており、柔軟である。フィルムとしては、合成樹脂フィルム、紙、合成紙、発泡樹脂シート、不織布、およびこれらの積層フィルムであってもよい。芯材2に巻き回されるラベル連続体3の長さは、特に限定されず、5m以上であってもよく10m以上であってもよい。ラベル連続体3の幅も特に限定されず、たとえば10mm以上300mm以下であってもよい。
【0025】
物品1の外径は、特に限定されず、200mm以上1000mm以下であってもよく、400mm以上700mm以下であってもよい。物品1の外径とは、物品1が円筒状である場合にはその直径を、物品1が円筒状でない場合には円相当径(円相当直径)を意味する。物品1の重量は、特に限定されず、5kg以上30kg以下であってもよい。
【0026】
図5は、物品1の間に挟まれる介在部材5の斜視図である。図5に示される介在部材5は、内部に空気が封入された凸部6を有する柔軟なシート材である、気泡緩衝シートである。気泡緩衝シートは、平坦なフィルムと複数の凸部6を有する凹凸状のフィルムとが貼り合わされて形成されてもよい。フィルムは、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィンを主成分とするポリオレフィン系フィルムであってもよい。図5に示される介在部材5は、片面に凸部6を有する気泡緩衝シートであるが、空気が封入された凸部6を両面に有する構成であってもよい。
【0027】
凸部6の形状は、平面視において図5に示される略円形状のほか、略楕円形状、略多角形状であってもよい。凸部6は、等間隔に配置されてもよく、不等間隔に配置されてもよい。気泡緩衝シートの1平方メートル当たりに含まれる凸部6の個数は、400個以上15000個以下であってもよく、450個以上12000個以下であってもよい。凸部6の高さは2mm以上50mm以下であってもよく、3mm以上30mm以下であってもよい。凸部6の外径は5mm以上50mm以下であってもよく、7mm以上30mm以下であってもよい。
【0028】
介在部材5は、気泡緩衝シートに限られるものではない。たとえば介在部材5は、板段ボールなどの紙製のシート材であってもよい。介在部材5は、発泡素材製またはスポンジタイプの緩衝材であってもよい。または、介在部材5は、布製のシート材であってもよい。
【0029】
介在部材8は、介在部材5と同じ気泡緩衝シートであってもよい。気泡緩衝シートである介在部材8は、介在部材5と同じ仕様の凸部6を有していてもよく、介在部材5とは異なる仕様の凸部6を有していてもよい。介在部材8は、介在部材5と同様に、板段ボールなどの紙製緩衝材であってもよく、発泡素材またはスポンジタイプの緩衝材であってもよい。
【0030】
図6は、天面被覆材81およびパレットフィルム82を有する積載体10の斜視図である。天面被覆材81は、積載体10の最上段の物品1のすべてを覆うように載せられている。天面被覆材81が積載体10に被さることで、積載体10の天面へのゴミの付着が抑制される。図6では、天面被覆材81は二点鎖線で表されている。
【0031】
天面被覆材81は、段ボール、合成樹脂板などの比較的硬い板状体であってもよく、紙、フィルムなどの柔軟性を有するシート材であってもよい。図示される例では、天面被覆材81として柔軟なシート材が用いられており、その周縁が下方に垂れ下がっている。これによって、積載体10の上部の側面も、天面被覆材81によって覆われている。天面被覆材81は、最上段の物品1をすべて覆うが、これに限定されず、積載体10をすべて覆う大きな袋状を有していてもよい。
【0032】
天面被覆材81が被せられた積載体10の周囲に、パレットフィルム82が巻き付けられる。パレットフィルム82は、介在部材5を間に挟んで多段状に積み重ねられた物品1の周囲に少なくとも巻き付けられて、多段状の物品1が荷崩れすることを抑制する。パレットフィルム82は、パレット7の周囲にも巻き付けられてもよい。パレットフィルム82として、ストレッチフィルムまたはシュリンクフィルムなどの公知のフィルム材が用いられてもよい。
【0033】
パレットフィルム82を物品1の周囲に巻き付けるときに、柔軟なシート材である介在部材5が、物品1の外周面の形状に従って変形する。より具体的には、介在部材5のコーナー部5Cを含む突出部(図3)が、物品1の外周面に沿って、上向きまたは下向きにランダムに折れ曲がる。パレットフィルム82を積載体10から剥がした後も、突出部は物品1の外周面に沿って折れ曲がったままの形状を保ち、突出部が物品1の外周面の一部分を覆っている場合がある。
【0034】
以下に説明する実施形態の把持装置は、パレットフィルム82に包まれた状態で搬送および保管などされた積載体10からパレットフィルム82を剥がした後に、円筒状の物品1を安定して把持して、個々の物品1を確実に搬送することを可能とするものである。
【0035】
図7は、第1の物品1Aを把持する把持装置を模式的に示す平面図である。把持装置は、図7に示されるように、円筒状の物品1Aを内周側から把持する内周面把持装置20と、物品1Aを外周側から把持する外周面把持装置30とを備えている。物品1Aは上述した通りロール品であるので、巻き崩れを防ぐために、物品1Aは、内周面把持装置20と外周面把持装置30とによって、内周と外周との両側から把持される。把持装置は、円筒状の物品1Aを径方向に把持する。
【0036】
内周面把持装置20は、内周ハンド部21~26を備えている。内周ハンド部21~26は、各々、物品1Aの内周面に接触して内周面を押圧することにより、物品1Aの内周面を保持する。6つの内周ハンド部21~26は、物品1Aの周方向における内周面の6箇所を保持する。
【0037】
6つの内周ハンド部21~26が物品1Aの内周面を保持する箇所は、物品1Aの周方向において等間隔に配置されている。平面視において、6つの内周ハンド部21~26は、円筒状の物品1Aの中心軸を中心として、各々が隣り合う内周ハンド部21~26と60°の角度を形成する位置に配置されている。具体的には、物品1Aの中心軸と内周ハンド部21とをむすぶ直線と、物品1Aの中心軸と内周ハンド部22とをむすぶ直線とは、60°の角度をなす。物品1Aの中心軸と内周ハンド部21とをむすぶ直線と、物品1Aの中心軸と内周ハンド部26とをむすぶ直線とは、60°の角度をなす。
【0038】
外周面把持装置30は、外周ハンド部31~35を備えている。外周ハンド部31~35は、各々、物品1Aの外周面に接触して外周面を押圧することにより、物品1Aの外周面を保持する。5つの外周ハンド部31~35は、物品1Aの周方向における外周面の5箇所を保持する。物品1Aの周方向における、内周ハンド部21~26が物品1Aの内周面を保持する箇所の数と、外周ハンド部31~35が物品1Aの外周面を保持する箇所の数とは、異なっている。物品1Aの周方向における、内周ハンド部21~26が物品1Aの内周面を保持する箇所の数よりも、外周ハンド部31~35が物品1Aの外周面を保持する箇所の数のほうが、少なくなっている。
【0039】
5つの外周ハンド部31~35が物品1Aの外周面を保持する箇所は、物品1Aの周方向において不等間隔に配置されている。具体的には、平面視において、物品1Aの中心軸と外周ハンド部31とをむすぶ直線と、物品1Aの中心軸と外周ハンド部32とをむすぶ直線とは、45°の角度をなす。物品1Aの中心軸と外周ハンド部32とをむすぶ直線と、物品1Aの中心軸と外周ハンド部33とをむすぶ直線とは、90°の角度をなす。物品1Aの中心軸と外周ハンド部33とをむすぶ直線と、物品1Aの中心軸と外周ハンド部34とをむすぶ直線とは、90°の角度をなす。物品1Aの中心軸と外周ハンド部34とをむすぶ直線と、物品1Aの中心軸と外周ハンド部35とをむすぶ直線とは、45°の角度をなす。物品1Aの中心軸と外周ハンド部35とをむすぶ直線と、物品1Aの中心軸と外周ハンド部31とをむすぶ直線とは、90°の角度をなす。
【0040】
物品1Aの周方向における、6つの内周ハンド部21~26が物品1Aの内周面を保持する位置と、5つの外周ハンド部31~35が物品1Aの外周面を保持する位置とが、少なくとも一箇所において異なっている。具体的には、内周ハンド部22と外周ハンド部32とは、同じ周方向位置において、物品1Aを径方向の両側から把持する。内周ハンド部25と外周ハンド部34とは、同じ周方向位置において、物品1Aを径方向の両側から把持する。その他の内周ハンド部21,23,24,26と、外周ハンド部31,33,35とは、異なる周方向位置において、物品1Aをそれぞれ内周側と外周側とから把持する。内周ハンド部21,23,24,26が物品1Aの内周面を保持する位置と、外周ハンド部31,33,35が物品1Aの外周面を保持する位置とが、物品1Aの周方向においてずれている。
【0041】
外周ハンド部33は、略正方形状のパレット7の中央付近に配置されている。パレット7の角部付近に配置される外周ハンド部31と外周ハンド部35とは、90°の角度をなすように配置されており、周方向において相対的に大きい間隔を有している。外周ハンド部31~35は、物品1Aの周方向における、パレット7の角部がある位置を避けて配置される。したがって外周ハンド部31~35は、物品1Aの周方向における、折れ曲がる前の介在部材5のコーナー部5C(図3参照)がある位置を避けて配置される。
【0042】
これにより外周ハンド部31~35は、物品1Aの外周面のうち、外周面に沿って折れ曲がった介在部材5と重ならない部分を保持する。外周ハンド部31~35は、介在部材5のコーナー部5Cを含む突出部が物品1Aの外周面に沿って折れ曲がった後に、突出部が重なっていない外周面を保持する。介在部材5が物品1Aの内周面に沿って変形することはないので、内周ハンド部21~26は物品1Aの内周面を保持する。
【0043】
外周ハンド部31~35は、介在部材5に接触して介在部材5を介して物品1Aの外周面を押圧することなく、物品1Aの外周面を直接押圧して外周側から物品1Aを保持する。したがって、内周ハンド部21~26と外周ハンド部31~35とによって、円筒状の物品1Aを内周側と外周側との両方から確実に把持できるので、物品1Aを安定して把持することができる。
【0044】
図8は、第2の物品1Bを把持する把持装置を模式的に示す平面図である。図7に示される把持装置と比較して、図8に示される把持装置は、全体として反時計回り方向に90°回転している。図7と同様に、外周ハンド部33は、略正方形状のパレット7の中央付近に配置されている。パレット7の角部付近に外周ハンド部31と外周ハンド部35とが配置されている。これにより外周ハンド部31~35は、物品1Bの外周面のうち、外周面に沿って折れ曲がった介在部材5と重ならない部分を保持する。
【0045】
したがって、内周ハンド部21~26と外周ハンド部31~35とによって、円筒状の物品1Bを内周側と外周側との両方から確実に把持できるので、物品1Bを安定して把持することができる。
【0046】
図9は、第3の物品1Cを把持する把持装置を模式的に示す平面図である。図8に示される把持装置と比較して、図9に示される把持装置は、全体として180°回転している。図7と同様に、外周ハンド部33は、略正方形状のパレット7の中央付近に配置されている。パレット7の角部付近に外周ハンド部31と外周ハンド部35とが配置されている。これにより外周ハンド部31~35は、物品1Cの外周面のうち、外周面に沿って折れ曲がった介在部材5と重ならない部分を保持する。
【0047】
したがって、内周ハンド部21~26と外周ハンド部31~35とによって、円筒状の物品1Cを内周側と外周側との両方から確実に把持できるので、物品1Cを安定して把持することができる。
【0048】
図10は、第4の物品1Dを把持する把持装置を模式的に示す平面図である。図9に示される把持装置と比較して、図10に示される把持装置は、全体として時計回り方向に90°回転している。図7と同様に、外周ハンド部33は、略正方形状のパレット7の中央付近に配置されている。パレット7の角部付近に外周ハンド部31と外周ハンド部35とが配置されている。これにより外周ハンド部31~35は、物品1Dの外周面のうち、外周面に沿って折れ曲がった介在部材5と重ならない部分を保持する。
【0049】
したがって、内周ハンド部21~26と外周ハンド部31~35とによって、円筒状の物品1Dを内周側と外周側との両方から確実に把持できるので、物品1Dを安定して把持することができる。
【0050】
実施形態の把持装置は、内周ハンド部21~26と外周ハンド部31~35とを有するロボットハンドであってもよい。ロボットハンドが720°回転可能な仕様であれば、物品1をより自由な配置で載置台71上に載せ置くことができる。
【0051】
[第二実施形態]
図11は、第二実施形態の把持装置を模式的に示す平面図である。第一実施形態では、内周ハンド部が内周面を保持する箇所の数と外周ハンド部が外周面を保持する箇所の数とが異なり、外周ハンド部が外周面を保持する箇所は周方向において不等間隔であり、内周ハンド部が内周面を保持する位置と外周ハンド部が外周面を保持する位置とが周方向においてずれている例について説明した。内周ハンド部と外周ハンド部との構成は、この例に限られるものではない。
【0052】
図11に示されるように、第二実施形態の内周面把持装置20は、内周ハンド部21~23を備えている。3つの内周ハンド部21~23は、周方向における物品1の内周面の3箇所を保持する。外周面把持装置30は、外周ハンド部31~33を備えている。3つの外周ハンド部31~33は、周方向における物品1の外周面の3箇所を保持する。内周ハンド部21~23が内周面を保持する箇所の数と、外周ハンド部31~33が外周面を保持する箇所の数とは、いずれも3箇所で同数である。
【0053】
内周ハンド部21~23が物品1の内周面を保持する箇所は、周方向において等間隔に配置されている。外周ハンド部31~33が物品1の外周面を保持する箇所もまた、周方向において等間隔に配置されている。平面視において、3つの内周ハンド部21~23と3つの外周ハンド部31~33とは、円筒状の物品1の中心軸を中心として、各々が隣り合う内周ハンド部21~23および外周ハンド部31~33と、120°の角度を形成する位置に配置されている。
【0054】
3つの内周ハンド部21~23が物品1の内周面を保持する位置と、3つの外周ハンド部31~33が物品1の外周面を保持する位置とが、物品1の周方向において同じ位置とされている。内周ハンド部21と外周ハンド部31とは、同じ周方向位置において、物品1を径方向の両側から把持する。内周ハンド部22と外周ハンド部32とは、同じ周方向位置において、物品1を径方向の両側から把持する。内周ハンド部23と外周ハンド部33とは、同じ周方向位置において、物品1を径方向の両側から把持する。
【0055】
以上の構成を備えている第二実施形態の把持装置において、外周ハンド部32は、略正方形状のパレット7の中央付近に配置されている。パレット7の角部付近に配置されている外周ハンド部31と外周ハンド部33とは、周方向において120°の角度をなすように配置されている。これにより外周ハンド部31~33は、物品1の外周面のうち、外周面に沿って折れ曲がった介在部材5と重ならない部分を保持する。
【0056】
したがって、内周ハンド部21~23と外周ハンド部31~33とによって、円筒状の物品1を内周側と外周側との両方から確実に把持できるので、物品1を安定して把持することができる。把持装置が物品1を安定して把持するには、周方向における内周面の3箇所以上を保持するとともに外周面の3箇所以上を保持することが望ましく、第二実施形態の把持装置が3つの内周ハンド部21~23と3つの外周ハンド部31~33を備えていることで、物品1を安定して把持することができる。
【0057】
以上のように実施形態について説明を行なったが、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0058】
1,1A~1D 物品、2 芯材、3 ラベル連続体、5,8 介在部材、5C コーナー部、6 凸部、7 パレット、10 積載体、20 内周面把持装置、21~26 内周ハンド部、30 外周面把持装置、31~35 外周ハンド部、71 載置台、72 挿入口、81 天面被覆材、82 パレットフィルム。
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