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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240502BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20240502BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20240502BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G21/14
G03G15/01 Z
B41J29/38 350
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020080691
(22)【出願日】2020-04-30
(65)【公開番号】P2021173978
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-05-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒木 隆一
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-042120(JP,A)
【文献】特開2019-053216(JP,A)
【文献】特開2018-101100(JP,A)
【文献】特開2004-093972(JP,A)
【文献】特開2015-079070(JP,A)
【文献】特開2007-121414(JP,A)
【文献】特開2010-190695(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0026145(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 21/14
G03G 15/01
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一像担持体と、
前記第一像担持体に有彩色のトナー画像を形成する第一画像形成手段と、
第二像担持体と、
前記第二像担持体に無彩色のトナー画像を形成する第二画像形成手段と、
前記有彩色のトナー画像と前記無彩色のトナー画像とが転写される転写体と、
前記転写体に転写されたトナーパターンを検知する検知手段と、
前記転写体における前記有彩色のトナー画像の位置と前記無彩色のトナー画像の位置とのずれを示す色ずれ量を検知する色ずれ検知モードと、前記転写体における前記有彩色のトナー画像の濃度と前記無彩色のトナー画像の濃度を検知する濃度検知モードとを有し、前記検知手段を制御する制御手段と、を有し、
前記検知手段は、
第一発光素子と、
第二発光素子と、
前記第一発光素子から出力された光であって測定対象物で正反射した光である正反射光を受光するとともに、前記第二発光素子から出力された光であって前記測定対象物で拡散した光である拡散光を受光するように配置された第一受光素子と、
前記第一受光素子についての感度を調整する第一調整手段と、
前記第一受光素子についての増幅率を調整する第二調整手段と、
を有し、
前記第一調整手段は、前記色ずれ検知モードおよび前記濃度検知モードにおいて、前記第一受光素子の個体差に応じて前記第一受光素子についての感度を調整するように構成されており、
前記第二調整手段は、前記色ずれ検知モードおよび前記濃度検知モードにおいて、前記検知手段の検知環境の変動に応じて前記第一受光素子についての増幅率を調整するように構成されており、
前記第一調整手段は、前記第一受光素子から出力される信号を増幅する第一増幅回路を有し、
前記第二調整手段は、前記第一受光素子から出力され、前記第一増幅回路により増幅された前記信号を増幅する第二増幅回路を有し、
前記第一増幅回路は、前記第一受光素子から出力される信号を増幅するための電子ボリュームを有し、
前記第二増幅回路は、複数の抵抗と、前記増幅率を調整するために前記複数の抵抗を切り替えるスイッチ回路と、を有する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記色ずれ検知モードにおいて、前記第一発光素子を点灯させ、前記第二発光素子を消灯させているときに、前記第一受光素子が出力する出力信号のレベルに基づき前記検知環境の変動が生じたかどうかを判定する判定手段をさらに有し、
前記制御手段は、
前記検知環境の変動が生じていると判定されなかった場合、前記第一画像形成手段と前記第二画像形成手段とを制御して第一の色ずれ検知パターンを形成し、前記第一発光素子を点灯させ、前記第二発光素子を消灯させ、前記第一受光素子による前記第一の色ずれ検知パターンの検知結果に基づき色ずれを検知し、
前記検知環境の変動が生じていると判定され場合、前記第一画像形成手段と前記第二画像形成手段とを制御して第二の色ずれ検知パターンを形成し、前記第一発光素子を消灯させ、前記第二発光素子を点灯させ、前記第一受光素子による前記第二の色ずれ検知パターンの検知結果に基づき色ずれを検知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第一の色ずれ検知パターンは、相互に離れて形成された有彩色のパターンと無彩色のパターンとを含み、
前記第二の色ずれ検知パターンは、有彩色のパターンと、当該有彩色のパターンに接触して形成された無彩色のパターンとを含むことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記判定手段は、
前記第一受光素子が出力する出力信号のレベルが第一閾値以上であれば前記検知環境の変動は生じていないと判定し、
前記第一受光素子が出力する出力信号のレベルが前記第一閾値以上でなければ前記検知環境の変動が生じていると判定することを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記検知環境の変動は、前記転写体の使用に伴い前記転写体の反射率が低下するような変動であり、
前記第二調整手段は、
前記検知環境の変動を判定する際に前記第一受光素子の増幅率を第一増幅率に設定し、
前記検知環境の変動が生じていると判定されなかった場合、前記第一受光素子の増幅率を前記第一増幅率に維持し、
前記検知環境の変動が生じている判定された場合、前記第一受光素子の増幅率を前記第一増幅率よりも大きな第二増幅率に設定することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記判定手段は、
前記第一受光素子が出力する出力信号のレベルが前記第一閾値以上であり、かつ、第二閾値以上である場合、前記第一受光素子の増幅率を前記第一増幅率に維持し、
前記第一受光素子が出力する出力信号のレベルが前記第一閾値以上であり、かつ、前記第二閾値以上でない場合、前記第一受光素子の増幅率を前記第一増幅率よりも大きく、かつ、前記第二増幅率よりも小さな第三増幅率に設定することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記検知環境の変動を判定する際における前記測定対象物は、前記転写体の表面であって前記トナー画像を形成されていない表面であることを特徴とする請求項2ないし6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記検知手段は、さらに、前記濃度検知モードにおいて、前記第二発光素子から出力された光であって前記測定対象物で拡散した光である拡散光を受光するように配置された第二受光素子と、
前記濃度検知モードにおいて、前記第二受光素子についての感度を調整する第三調整手段と、
前記濃度検知モードにおいて、前記第二受光素子についての増幅率を調整する第四調整手段と、をさらに有し、
前記第三調整手段は、前記第二受光素子の個体差に応じて前記第二受光素子についての感度を調整するように構成されており、
前記第四調整手段は、前記検知手段の検知環境の変動に応じて前記第二受光素子についての増幅率を調整するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御手段は、
前記濃度検知モードにおいて、
前記第一発光素子を点灯させ、前記第二発光素子を消灯させ、前記第一受光素子が出力する出力信号のレベルに応じて前記第一受光素子の増幅率を決定し、前記無彩色のトナー画像の濃度を検知するための無彩色パターンを前記第二画像形成手段に形成させ、前記第一受光素子に前記無彩色パターンからの正反射光を受光させ、
前記第二発光素子を点灯させ、前記第一発光素子を消灯させ、前記第二受光素子が出力する出力信号のレベルに応じて前記第二受光素子の増幅率を決定し、前記有彩色のトナー画像の濃度を検知するための有彩色パターンを前記第一画像形成手段に形成させ、前記第二受光素子に前記有彩色パターンからの拡散光を受光させる
ことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第一受光素子は、前記濃度検知モードにおいて、前記第一受光素子の増幅率を決定する際に、前記転写体の表面からの正反射光を受光し、
前記第二受光素子は、前記濃度検知モードにおいて、前記第二受光素子の増幅率を決定する際に、所定の基準部材からの拡散光を受光することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記検知手段を汚れから保護可能な保護位置と、前記検知手段を汚れから保護しない開放位置との間を移動可能な保護部材と、
当該保護部材を移動させる移動手段と、をさらに有し、
前記所定の基準部材は前記保護部材に設けられており、
前記第二受光素子の増幅率を決定する際に、前記移動手段は、前記保護部材を前記保護位置に留まらせ、
前記第一受光素子の増幅率を決定する際に、前記移動手段は、前記保護部材を前記開放位置に移動させる、ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記第三調整手段は、前記第二受光素子の個体差に応じた固定の感度設定値に基づき前記第二受光素子の感度を調整するように構成されていることを特徴とする請求項8ないし11のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記第一調整手段は、前記第一受光素子の個体差に応じた固定の感度設定値に基づき前記第一受光素子の感度を調整するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記第二調整手段は、前記第一受光素子が前記測定対象物からの正反射光を受光する場合、前記第一受光素子の感度を第一感度に設定し、前記第一受光素子が前記測定対象物からの拡散光を受光する場合、前記第一受光素子の感度を前記第一感度よりも大きな第二感度に設定することを特徴とする請求項1ないし13のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記第二調整手段に設けられた前記第二増幅回路の増幅率は、前記第一調整手段に設けられた前記第一増幅回路の増幅率よりも大きいことを特徴とする請求項1ないし14のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記第四調整手段に設けられた第四増幅回路の増幅率は、前記第三調整手段に設けられた第三増幅回路の増幅率よりも大きいことを特徴とする請求項8ないし12のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記第三調整手段に設けられた増幅回路の増幅率は、前記第一調整手段に設けられた増幅回路の増幅率よりも大きいことを特徴とする請求項8ないし12のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は転写体上に形成されたトナー画像を検知する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、トナー画像の濃度やトナー画像の形成位置を補正するために、転写体上にテストパターンを形成する。特許文献1によれば、ブラックのトナーパターンについては正反射光を検知し、イエロー、マゼンタ、シアンのトナーパターンについて拡散反射光(以下、拡散光と称す)を検知することが提案されている。特許文献2によれば、二つの発光素子と一つの受光素子を備え、正反射光と拡散光とを選択的に受光できるセンサが記載されている。具体的には、第一発光素子が点灯し、第二発光素子が消灯している場合、受光素子は正反射光を受光する。第一発光素子が消灯し、第二発光素子が点灯している場合、受光素子は拡散光を受光する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-120215号公報
【文献】特開2011-107613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、二つの発光素子は製造上の個体差を有している。そのため、第一発光素子と第二発光素子とに同一の電流を流しても、第一発光素子の発光強度と第二発光素子の発光強度とが一致しない。また、受光素子にも製造上の個体差が存在する。拡散光を基準として受光素子の感度を調整すると、正反射光を受光したときに検知信号が飽和してしまう。正反射光を基準として受光素子の感度を調整すると、拡散光のS/N比が低下する。そこで、本発明は、従来よりも精度よく正反射光と拡散光とを検知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、たとえば、
第一像担持体と、
前記第一像担持体に有彩色のトナー画像を形成する第一画像形成手段と、
第二像担持体と、
前記第二像担持体に無彩色のトナー画像を形成する第二画像形成手段と、
前記有彩色のトナー画像と前記無彩色のトナー画像とが転写される転写体と、
前記転写体に転写されたトナーパターンを検知する検知手段と、
前記転写体における前記有彩色のトナー画像の位置と前記無彩色のトナー画像の位置とのずれを示す色ずれ量を検知する色ずれ検知モードと、前記転写体における前記有彩色のトナー画像の濃度と前記無彩色のトナー画像の濃度を検知する濃度検知モードとを有し、前記検知手段を制御する制御手段と、を有し、
前記検知手段は、
第一発光素子と、
第二発光素子と、
前記第一発光素子から出力された光であって測定対象物で正反射した光である正反射光を受光するとともに、前記第二発光素子から出力された光であって前記測定対象物で拡散した光である拡散光を受光するように配置された第一受光素子と、
前記第一受光素子についての感度を調整する第一調整手段と、
前記第一受光素子についての増幅率を調整する第二調整手段と、
を有し、
前記第一調整手段は、前記色ずれ検知モードおよび前記濃度検知モードにおいて、前記第一受光素子の個体差に応じて前記第一受光素子についての感度を調整するように構成されており、
前記第二調整手段は、前記色ずれ検知モードおよび前記濃度検知モードにおいて、前記検知手段の検知環境の変動に応じて前記第一受光素子についての増幅率を調整するように構成されており、
前記第一調整手段は、前記第一受光素子から出力される信号を増幅する第一増幅回路を有し、
前記第二調整手段は、前記第一受光素子から出力され、前記第一増幅回路により増幅された前記信号を増幅する第二増幅回路を有し、
前記第一増幅回路は、前記第一受光素子から出力される信号を増幅するための電子ボリュームを有し、
前記第二増幅回路は、複数の抵抗と、前記増幅率を調整するために前記複数の抵抗を切り替えるスイッチ回路と、を有する、
ことを特徴とする画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、従来よりも精度よく正反射光と拡散光とを検知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】画像形成装置を示す図
図2】光学センサを示す図
図3】制御部を示す図
図4】感度調整部とゲイン調整部を示す図
図5】工場で実行される感度調整を示すフローチャート
図6】テストパターンを説明する図
図7】テストパターンの検知結果を説明する図
図8】テストパターンを説明する図
図9】テストパターンの検知結果を説明する図
図10】色ずれ検知処理を示すフローチャート
図11】濃度検知処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して実施形態が詳しく説明される。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一または同様の構成に同一の参照番号が付され、重複した説明は省略される。
【0009】
<画像形成装置>
図1が示すように、画像形成装置100は、電子写真方式によりカラー画像を形成するプリンタ、複写機、複合機、またはファクシミリ等である。4つの画像形成部Pa~Pdは、制御部50によって制御され、それぞれ色の異なるトナーを用いて画像を中間転写ベルト7上に形成する。参照符号の末尾に付与されている小文字のアルファベットabcdは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを示している。四つの色に共通する事項が説明される際には、小文字のアルファベットabcdは省略されることがある。
【0010】
収納庫60は多数のシートSを収納している。給紙ローラ61は収納庫60から一枚ずつシートSを搬送路へ給紙する。レジストローラ62は、シートSの斜行を補正し、二次転写部T2にシートSを搬送する。
【0011】
画像形成部Pは、感光体1、帯電器2、露光器3、現像器10、一次転写部T1、及び感光体クリーナ6を備える。帯電器2は、感光体1の表面を一様に帯電させる。感光体1はモータ等により駆動されて回転する。露光器3は光を感光体1の表面に照射し、静電潜像を形成する。現像器10は、トナーを用いて感光体1に担持されている静電潜像を現像し、トナー画像を形成する。一次転写部T1は、感光体1に担持されているトナー画像を中間転写ベルト7に転写する。イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、中間転写ベルト7上に重畳的に転写される。これにより、フルカラー画像が形成される。感光体クリーナ6は、感光体1に残留したトナーを清掃及び回収する。現像器10a~10dは、内部に収容するトナーの量が所定量よりも低下すると、現像剤の補給容器であるトナーボトルTa~Tdからトナーが補給される。
【0012】
中間転写ベルト7は、内ローラ8、テンションローラ17、及び上流ローラ18によって張架された無端ベルトである。中間転写ベルト7は、内ローラ8、テンションローラ17、及び上流ローラ18により駆動されて、矢印方向に回転する。中間転写ベルト7が回転することで二次転写部T2にトナー画像が搬送される。
【0013】
二次転写部T2は、お互いに対向するように配置された内ローラ8及び外ローラ9により形成される転写ニップ部である。内ローラ8及び外ローラ9は二次転写ローラとよばれてもよい。二次転写部T2は、中間転写ベルト7からシートSにトナー画像を転写する。ベルトクリーナ11は、中間転写ベルト7に残留したトナーを清掃および回収する。
【0014】
定着器13は、トナー画像とシートSに圧力及び熱を与えて、シートS上にトナー画像を溶融定着させる。定着器13は、排紙トレイ63上にシートSを排出する。
【0015】
光学センサ70は、中間転写ベルト7の近傍に設けられ、色ずれ検知用のトナーパターンと、濃度検知用のトナーパターンとを検知する。図1においては、光学センサ70は感光体1dと外ローラ9との間に配置されている。この位置は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像を検知可能な位置である。
【0016】
<画像形成装置>
図2は光学センサ70を示している。光学センサ70は、中間転写ベルト7上に形成されたトナーパターン88および中間転写ベルト7の下地を検知する。光学センサ70は二つの発光素子と二つの受光素子を有している。LED71、72は、たとえば、赤外線を発光する発光ダイオードである。PD73、74は、たとえば、赤外線を受光するフォトダイオードである。一体型のモールドレンズ84は、LED71からの光が中間転写ベルト7上に適切なスポットを形成するように構成されている。モールドレンズ84は、LED72からの光が中間転写ベルト7上に適切なスポットを形成するように構成されている。さらに、モールドレンズ84は、中間転写ベルト7の下地またはトナーパターン88からの反射光がPD73に結像するように構成されている。モールドレンズ84は、トナーパターン88からの反射光がPD74に結像するように構成されている。
【0017】
LED71、72およびPD73、74は駆動回路とともに電気基板83に実装されている。ハウジング85はこれらの部品を収容する筐体である。
【0018】
中間転写ベルト7に対してLED71からの赤外線が入射角度10°で入射するように、LED71が位置決めされている。中間転写ベルト7及びトナーパターン88に照射された光のうち反射角度が-10°である正反射光が入射するように、PD73が位置決めされている。中間転写ベルト7に対してLED72からの赤外線が入射角度-35°で入射するように、LED72は位置決めされている。中間転写ベルト7及びトナーパターン88に照射されたLED72からの光のうち反射角度が-7°となる正反射光を受光できるように、PD73は位置決めされている。したがって、PD73は、LED71の照射光のうち中間転写ベルト7及びトナーパターン88で反射した正反射光と、LED72の照射光のうち中間転写ベルト7及びトナーパターン88で反射した拡散光を受光する。制御部50は、LED71を点灯させ、LED72を消灯させることで、PD73に正反射光を検知させる。制御部50は、LED71を消灯させ、LED72を点灯させることで、PD73に拡散光を検知させる。PD74は、LED72から出力され、中間転写ベルト7及びトナーパターン88で反射した光のうち、反射角度が-18°となる拡散光を受光する。
【0019】
光学センサ70は開閉可能なシャッター部材86を有している。光学センサ70が中間転写ベルト7の下地またはトナーパターン88を検知する場合、シャッター部材86はクローズ位置からオープン位置へ移動する。光学センサ70が中間転写ベルト7の下地またはトナーパターン88を検知しない場合、シャッター部材86はクローズ位置にとどまる。これにより、光学センサ70が汚れにくくなり、光学センサ70の受光量が維持されやすくなる。シャッター部材86の裏面には、拡散光基準板87が設けられている。シャッター部材86が閉じているときに、光学センサ70は、拡散光基準板87からの反射光を検知できる。
【0020】
<制御部>
図3は制御部50と光学センサ70を示している。CPU301は、センサから入力される信号に基づきモータなどを駆動して、画像形成装置100に電子写真プロセスを実行させる。CPU301にはメモリ306が接続されている。メモリ306のROM領域には制御プログラムが記憶されている。メモリ306のRAM領域には一時的なデータが記憶される。
【0021】
生成部302は、ユーザからの画像データを画像信号に変換して駆動回路303に出力する。駆動回路303は、画像信号にしたがって露光器3を駆動する。生成部302は、テストパターンを形成するための画像信号も生成する。
【0022】
光学センサ70は、電気基板83上に設けられたROM75を有する。ROM75は、光学センサ70の個体差に応じて光学センサ70の工場出荷時に決定された様々な特性データを記憶している。感度調整値は、受光素子の個体差を補正するためのパラメータである。漏れ光値は、LED71、72からの光のうち、直接的にPD73、74に入射してしまう光を受光量から減算するためのパラメータである。図2が示すように、LED71とPD73との間には遮光壁が設けられている。PD73とPD74との間にも遮光壁が設けられている。PD74とLED72との間にも遮光壁が設けられている。これらの遮光壁はほとんどの直接光を遮蔽するが、一部が漏れてしまうこともある。そのため、漏れ光値が工場出荷時に測定される。光学センサ70の温度が上昇すると、ハウジング85が変形する。このとき、LED71、72と、PD73、74との位置関係が変化してしまうことがある。したがって、温度に対する受光量の補正量が工場出荷時に測定され、補正データとしてROM75に保持される。
【0023】
光学センサ70が起動すると、ROM75に格納されている一部の情報がレジスタ76に書き込まれる。CPU301もレジスタ76に情報を書き込む。駆動回路89は、レジスタ76に設定されている値に従い、LED71、72の点灯と消灯、および駆動電流(発光量)を制御する。
【0024】
PD73は受光した光を光電変換し、受光量に応じた検知電流をIV変換部81に出力する。IV変換部81は検知電流を検知電圧に変換し、感度調整部77に出力する。感度調整部77は、レジスタ76に設定されている値に従い、検知電圧の増幅率を調整することで、PD73の感度を調整する。ゲイン調整部79は、感度調整部77から出力された検知電圧の増幅率(ゲイン)を調整する。
【0025】
PD74は受光した光を光電変換し、受光量に応じた検知電流をIV変換部82に出力する。IV変換部82は検知電流を検知電圧に変換し、感度調整部78に出力する。感度調整部78は、レジスタ76に設定されている値に従い、検知電圧の増幅率を調整することで、PD74の感度を調整する。ゲイン調整部80は、感度調整部78から出力された検知電圧の増幅率(ゲイン)を調整する。ADコンバータ304は、光学センサから出力されるアナログの検知信号(検知電圧)をデジタル値に変換してCPU301に出力する。
【0026】
モータ96はシャッター部材86を開閉させる。CPU301は、レジスタ76に指示を書き込むことで駆動回路95を通じてモータ96を制御する。
【0027】
<感度調整部とゲイン調整部>
図4は感度調整部77、78およびゲイン調整部79、80を示している。感度調整部77は、レジスタ76に設定された調整値に応じて抵抗値を変更可能な電子ボリューム91と増幅回路OP1とを有している。電子ボリューム91は、調整値に応じてオン/オフするスイッチ(例:トランジスタまたはFET)と、スイッチに接続された抵抗とを有している。図4が示すように、スイッチと抵抗とにより構成された複数のペアが並列に接続されている。調整値に応じてスイッチがオン/オフすることで、電子ボリューム91の抵抗値が変化する。増幅回路OP1の増幅率は電子ボリューム91の抵抗値に応じて変化する。つまり、感度調整部77の増幅率が変化する。なお、増幅率はゲインと呼ばれてもよい。
【0028】
レジスタ76の調整値(設定値)はCPU301によって変更可能である。CPU301は感度調整部77の増幅率を連続的に変更できる。感度調整部77の増幅率は、設定値に応じて1倍から200倍まで、1倍ずつの分解能で設定可能である。
【0029】
感度調整部78は、レジスタ76に設定された調整値に応じて抵抗値を変更可能な電子ボリューム92と増幅回路OP2とを有している。電子ボリューム92は、調整値に応じてオン/オフするスイッチ(例:トランジスタまたはFET)と、スイッチに接続された抵抗とを有している。調整値に応じてスイッチがオン/オフすることで、電子ボリューム92の抵抗値が変化する。増幅回路OP2の増幅率は電子ボリューム92の抵抗値に応じて変化する。つまり、感度調整部78の増幅率が変化する。
【0030】
レジスタ76の調整値(設定値)はCPU301によって変更可能である。CPU301は感度調整部78の増幅率を連続的に変更できる。感度調整部78の増幅率は、設定値に応じて1倍から200倍まで、1倍ずつの分解能で設定可能である。
【0031】
ゲイン調整部79は、レジスタ76に設定された調整値に応じて抵抗値を変更可能なゲイン切替回路93と増幅回路OP3とを有している。ゲイン切替回路93は、調整値に応じてオン/オフするスイッチ(例:トランジスタまたはFET)と、スイッチに接続された抵抗とを有している。調整値に応じてスイッチがオン/オフすることで、ゲイン切替回路93の抵抗値が変化する。増幅回路OP3の増幅率はゲイン切替回路93の抵抗値に応じて変化する。つまり、ゲイン調整部79の増幅率が変化する。
【0032】
レジスタ76の調整値(設定値)はCPU301によって変更または設定されてもよい。CPU301はゲイン調整部79の増幅率を変更できる。ゲイン調整部79の増幅率は、設定値に応じて10倍、20倍、200倍のいずれか一つに設定可能である。
【0033】
ゲイン調整部80は、レジスタ76に設定された調整値に応じて抵抗値を変更可能なゲイン切替回路94と増幅回路OP4とを有している。ゲイン切替回路94は、調整値に応じてオン/オフするスイッチ(例:トランジスタまたはFET)と、スイッチに接続された抵抗とを有している。調整値に応じてスイッチがオン/オフすることで、ゲイン切替回路94の抵抗値が変化する。増幅回路OP4の増幅率はゲイン切替回路94の抵抗値に応じて変化する。つまり、ゲイン調整部80の増幅率が変化する。
【0034】
レジスタ76の調整値(設定値)はCPU301によって変更可能である。CPU301はゲイン調整部80の増幅率を変更できる。ゲイン調整部80の増幅率は、設定値に応じて10倍、20倍のいずれか一つに設定可能である。
【0035】
このようにPD73により出力された検知信号は感度調整部77とゲイン調整部79といった二つの増幅回路によって増幅される。同様に、PD74により出力された検知信号は感度調整部78とゲイン調整部80といった二つの増幅回路によって増幅される。感度調整部77、78は、光学センサ70の工場出荷時に決定されたPD73、74の個体差を調整するために使用される。ゲイン調整部79、80は、光学センサ70の環境の変動に応じて検知信号を調整するために利用される。
【0036】
<光学センサの感度調整>
図5(A)および図5(B)は光学センサ70の工場で実行されるPD73、74の感度調整処理を示している。発光素子および受光素子には製造上の個体差が存在する。したがって、同一濃度のトナー画像を検知しても同一の検知結果が得られないことがある。光学センサ70ごとの個体差を補正する処理として、感度調整処理が必要となる。
【0037】
感度調整処理は、画像形成装置100に光学センサ70を取り付ける前に、調整工具を用いて実行される。そのため、画像形成装置100には存在しない感度調整用の基準板が光学センサ70の検知位置に配置される。基準板としては、正反射光を検知するための基準板P1と、拡散光を検知するための基準板P2とが利用される。調整工具は、制御部50のうち、CPU301、メモリ306およびADコンバータ304を有した装置である。そのため、以下では、調整工具が制御部50であるものと仮定されて、感度調整処理が説明される。あるいは、感度調整処理で説明されるCPU301、メモリ306およびADコンバータ304は調整工具のハードウエアとして理解されてもよい。
【0038】
●感度調整部77の調整
S501でCPU301は、感度調整部77の感度(増幅率)をG1initに設定する。G1initは設計上で決定された初期値である。この設定は、電子ボリューム91の増幅率であるG1initをレジスタ76に書き込むことで実行される。これにより、感度調整部77の増幅率がG1initとなるように、電子ボリューム91の抵抗値が切り替わる。なお、増幅率は、IV変換部81が出力する検知信号のレベル(電圧値)の増幅率である。
【0039】
S502でCPU301は、ゲイン調整部79の増幅率を10倍に設定する。10倍は一例に過ぎない。ここでは、正反射光を検知することが想定されているため、設定可能な増幅率のうち最小の増幅率が選択されうる。CPU301はレジスタ76に10倍を書き込むことでゲイン調整部79の増幅率が10倍に設定される。
【0040】
S503でCPU301は、LED71の発光量が所定光量αとなるようにLED71を点灯させる。CPU301は、レジスタ76に所定光量αを書き込むことで、LED71の発光量を所定光量αに設定する。
【0041】
S504でCPU301は、PD73に基準板P1からの正反射光を検知させる。CPU301は、このときにADコンバータ304から出力される検知結果(検知値a)をメモリ306のRAM領域に格納する。
【0042】
S505でCPU301は感度調整部77の感度設定値G1correctを決定する。感度設定値G1correctは、たとえば、次式から決定される。
【0043】
G1correct=( p1tgt ÷ a )÷G1init ・・・(1)
ここでp1tgtは正反射光についての検知結果の目標値である。
【0044】
S506でCPU301は感度設定値G1correctをROM75に格納する。
【0045】
●感度調整部78の調整
S511でCPU301は、感度調整部78の感度(増幅率)をG2initに設定する。G2initは設計上で決定された初期値である。この設定は、電子ボリューム92の増幅率であるG2initをレジスタ76に書き込むことで実行される。これにより、感度調整部78の増幅率がG2initとなるように、電子ボリューム92の抵抗値が切り替わる。なお、増幅率は、IV変換部82が出力する検知信号のレベル(電圧値)の増幅率である。
【0046】
S512でCPU301は、ゲイン調整部80の増幅率を10倍に設定する。10倍は一例に過ぎない。ここでは、正反射光を基準とするため、設定可能な増幅率のうち最小の増幅率が選択される。CPU301はレジスタ76に10倍を書き込むことでゲイン調整部80の増幅率が10倍に設定される。
【0047】
S513でCPU301は、LED72の発光量が所定光量βとなるようにLED72を点灯させる。CPU301は、レジスタ76に所定光量βを書き込むことで、LED72の発光量を所定光量βに設定する。
【0048】
S514でCPU301は、PD74に基準板P2からの拡散光を検知させる。CPU301は、このときにADコンバータ304から出力される検知結果(検知値b)をメモリ306のRAM領域に格納する。
【0049】
S515でCPU301は感度調整部78の感度設定値G2correctを決定する。感度設定値G2correctは、たとえば、次式から決定される。
【0050】
G2correct=( p2tgt ÷ b )÷G2init ・・・(2)
ここでp2tgtは拡散光についての検知結果の目標値である。
【0051】
S516でCPU301は感度設定値G2correctをROM75に格納する。
【0052】
このように、PD73の感度は、正反射光のため基準板P1を用いて調整される。PD74の感度は拡散光のための基準板P2を用いて調整される。PD73は、LED71とLED72とを択一的に点灯させることで、正反射光と拡散光との両方を検知できる。しかし、PD73の感度調整は正反射光の検知結果を用いて実行される。この理由は、拡散光を基準として感度を調整すると、電子ボリューム91のゲインが大きくなりすぎて、正反射光の検知結果が飽和してしまうからである。トナーパターンを精度よく検知するためには、検知結果の飽和は抑制されなければならない。本実施例では、感度調整部77、78とゲイン調整部79、80といった二つの増幅回路が利用されている。そのため、ゲイン調整部79、80で正反射光のための増幅率と、拡散光のための増幅率とを切り替えることで、正反射光と拡散光との両方を精度よく検知することが可能となっている。
【0053】
図4が示すように、増幅回路は、前段の電子ボリューム91、92と後段のゲイン切替回路93、94とに分けられている。電子ボリューム91、92は、個体差を補正して、複数の光学センサ70がいずれもほぼ同一の感度特性を実現するために設けられている。ゲイン切替回路93、94は、中間転写ベルト7の表面反射率の低下と、トナー飛散による光学センサ70の窓面の汚れ対策のために設けられている。発光素子の発光量を設定可能な最大値に設定したとしても光学センサ70の検知結果のS/N比が目標値に達しないことがある。そこで、ゲイン切替回路93、94が感度(増幅率)を補うことで、光学センサ70と中間転写ベルト7の寿命を延ばすことが可能となる。
【0054】
<色ずれ検知>
図6(A)は色ずれ検知のための第一パターン601を示す。色ずれとは、基準色の画像形成位置に対する他の色の画像形成位置のずれ量をいう。基準色は、たとえば、イエローである。第一パターン601は、イエロー(Y)のパターン、マゼンタ(M)のパターン、シアン(C)のパターン、ブラック(K)のパターンを含む。第一パターン601は、LED71を点灯し、LED72を消灯し、PD73で正反射光を受光することで検知されるテストパターンである。中間転写ベルト7の下地からの正反射光の検知レベルが閾値th1以上である場合、第一パターン601が使用される。
【0055】
図7(A)は第一パターン601の検知結果を示している。破線はエッジ検出が実行される光量を示している。図7(A)においてITBは中間転写ベルト7の下地を意味している。中間転写ベルト7の表面の反射率が十分に高い場合、中間転写ベルト7からの正反射光が多くなる。そのため、中間転写ベルト7の下地の検知レベルと、YMCKの各パターンの検知レベルとには顕著な差がある。これにより、YMCKの各パターンの立ち上がりエッジの位置が検知可能となり、色ずれ量が求められる。各パターンについて二つのエッジが検知されるため、二つのエッジの中間がパターンの中心(画像形成位置)として求められる。
【0056】
図6(B)は色ずれ検知のための第二パターン602を示す。第二パターン602はLED71を消灯し、LED72を点灯し、PD73で拡散光を受光するためのテストパターンである。中間転写ベルト7からの反射光の検知レベルが閾値th1未満である場合、第二パターン602が使用される。
【0057】
中間転写ベルト7が長年にわたり使用されると、中間転写ベルト7の表面の反射率が初期値(新品時の反射率)よりも低下する。その結果、中間転写ベルト7からの正反射光が少なくなる。図7(B)は、中間転写ベルト7からの正反射光が少なくなったときの、第一パターン601の検知結果を示している。図7(B)が示すように、中間転写ベルト7の下地の検知レベルと、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各パターンの検知レベルとの差が小さくなる。この場合、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各パターンのエッジ検出が困難となる。
【0058】
そこで、拡散光検知が実行される。拡散光検知では、LED71が消灯し、LED72が点灯する。さらに、PD73が拡散光を受光する。また、第二パターン602が使用される。図7(C)は第二パターン602の検知結果を示している。有彩色のパターンはいずれも、エッジ検出のための破線を横切っており、エッジ検出が可能となっている。なお、拡散光検知では中間転写ベルト7の下地の検知レベルとブラックのテストパターンの検知レベルとの差が小さすぎる。そこで、図6(B)および図6(C)が示すように、マゼンタのテストパターンの両隣にブラックのパターンが形成されている。図7(C)が示すように、マゼンタの検知レベルとブラックの検知レベルとには顕著な差がある。よって、マゼンタについてのエッジを検出することで、実質的にブラックのエッジが検出可能となっている。
【0059】
第二パターン602は、第一パターン601よりもマゼンタとブラックのトナーが多く使用される。つまり、第一パターン601を優先的に使用することで、マゼンタとブラックのトナー消費量が削減される。
【0060】
このように、CPU301は、第一パターン601または第二パターン602を用いて基準色に対する他の色の色ずれ量を検知する。また、CPU301は、色ずれ量に応じて、基準色に対する他の色の画像の書き出しタイミングを調整する。これにより、色ずれが削減される。
【0061】
<濃度検知>
図8(A)はトナー画像の濃度検知のための第一濃度パターン801を示す。第一濃度パターン801はLED71を点灯し、LED72を消灯し、正反射光をPD73で受光するためのテストパターンである。第一濃度パターン801はブラックについてのテストパターンである。ブラックは光を吸収する性質がある。そのため、ブラックのパターンを拡散光で検知することは困難である。よって、ブラックのための第一濃度パターン801は正反射光で検知される。第一濃度パターン801は4つの階調パターン(例:70%、50%、30%、10%)を含む。CPU301は中間転写ベルト7上に形成された第一濃度パターン801を光学センサ70にて検知し、検知結果と階調ターゲットとの差を演算する。CPU301は、各濃度(階調)が階調ターゲットに近づくように、画像形成条件(例:転写電圧、階調補正テーブル)を補正する。
【0062】
図9(A)は第一濃度パターン801の検知結果を示す。高濃度(例:70%)の濃度パターンでは光が多く吸収されるため、検知レベルは低い。一方、低濃度(例:10%)の濃度パターンでは光の吸収量が少ないため、検知レベルが高い。
【0063】
図8(B)は濃度検知のための第二濃度パターン802を示す。第二濃度パターン802は、LED71を消灯し、LED72を点灯し、拡散光をPD74で受光するためのテストパターンである。第二濃度パターン802は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)といった有彩色の濃度を検知するために使用される。なお、図8(B)は一色分のテストパターンを示している。
【0064】
イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の反射率は中間転写ベルト7の下地の反射率よりも高い。そのため、拡散光を用いて濃度が検知される。
【0065】
第二濃度パターン802は、4つの階調(例:70%、50%、30%、10%)のテストパターンを含む。CPU301は中間転写ベルト7上に形成された第二濃度パターン802を光学センサ70により検知し、検知結果と階調ターゲットとの差を演算する。CPU301は、各濃度(階調)が階調ターゲットに近づくように、画像形成条件(例:転写電圧、階調補正テーブル)を補正する。
【0066】
図9(B)は第二濃度パターン802により検知されたイエロー(Y)の検知結果を示す。高濃度(例:70%)の濃度パターンでは光が多く乱反射されるため、拡散光の検知レベルが高い。低濃度(例:10%)の濃度パターンでは乱反射光(拡散光)が減少するため、検知レベルが低い。マゼンタ(M)およびシアン(C)についても同様に濃度検知が実行される。
【0067】
<色ずれ検知のフローチャート>
図10はCPU301が実行する色ずれ検知を示している。所定の開始条件が満たされると、CPU301は色ずれ検知を開始する。所定の開始条件は、たとえば、画像形成装置100が起動したこと、または、画像形成枚数が所定枚数に到達したこと、温度湿度なの環境条件が大きく変化したこと、などである。
【0068】
S1001でCPU301は光学センサ70を起動する。たとえば、CPU301は光学センサ70に電源から電力の供給を開始する。また、CPU301は、シャッター部材86をオープン位置に移動させるための命令をレジスタ76に書き込む。駆動回路95は、レジスタ76に書き込まれた命令にしたがって、モータ96を駆動して、シャッター部材86をオープン位置に移動させる。
【0069】
S1002でCPU301はPD73についての感度を設定する。たとえば、CPU301はROM75に格納されている感度設定値G1correctを読み出し、レジスタ76に書き込む。感度調整部77にはレジスタ76を通じて感度設定値G1correctが設定される。
【0070】
S1003でCPU301はゲイン調整部79のゲイン(10倍)を設定する。たとえば、CPU301はレジスタ76に正反射光を検知するためのゲイン(増幅率)である10倍を書き込む。つまり、ゲイン調整部79にはレジスタ76を通じてゲイン(10倍)が設定される。
【0071】
S1004でCPU301は光学センサ70を制御して中間転写ベルト7の下地からの正反射光を検知する。たとえば、CPU301はLED71を点灯し、LED72を消灯し、PD73を用いて正反射光を検知する。
【0072】
S1005でCPU301は検知レベルが閾値th1以上であるかどうかを判定する。つまり、CPU301は、検知レベルに基づき、中間転写ベルト7の表面の反射率が十分に高いかどうかを判定する。検知レベルが閾値th1以上である場合、CPU301は処理をS1006に進める。
【0073】
S1006でCPU301は検知レベルが閾値th2以上であるかどうかを判定する(th2>th1)。つまり、CPU301は、検知レベルに基づき、ゲイン調整部79のゲインを増加させる必要があるかどうかを判定する。検知レベルが閾値th2以上である場合、CPU301は処理をS1007に進める。一方、検知レベルが閾値th1以上であるが、検知レベルが閾値th2以上でない場合、CPU301は処理をS1010に進める。S1010でCPU301はゲイン調整部79のゲインを増加する。つまり、CPU301はゲイン調整部79のゲインを20倍に設定する。
【0074】
S1007でCPU301は画像形成装置100を制御して中間転写ベルト7上に第一パターン601を形成する。CPU301は生成部302を制御して、第一パターン601に対応した画像信号を駆動回路303a~303dに出力する。
【0075】
S1008でCPU301は正反射光で第一パターン601を検知する。CPU301はPD73を用いて第一パターン601からの正反射光を検知する。
【0076】
S1009でCPU301は第一パターン601の検知結果に基づき色ずれの補正量を決定する。上述されたように、CPU301は第一パターン601の検知結果に基づき基準色に対する他の色の色ずれ量を演算する。さらに、CPU301は、色ずれが低減されるように、色ずれ量に基づき、他の色の書き出しタイミングの補正量を決定する。イエローが基準色である場合、マゼンタ、シアンおよびブラックについて補正量が決定される。このように色ずれ量は書き出しタイミングの補正量に変換される。
【0077】
S1005で検知レベルが閾値th1以上でない場合、CPU301は処理をS1020に進める。S1020でCPU301は、画像形成装置100を制御して中間転写ベルト7上に第二パターン602を形成する。CPU301は生成部302を制御して、第二パターン602に対応した画像信号を駆動回路303a~303dに出力する。
【0078】
S1021でCPU301はゲイン調整部79のゲイン(200倍)を設定する。CPU301はレジスタ76に拡散光を検知するためのゲイン(増幅率)である200倍を書き込む。ゲイン調整部79にはレジスタ76を通じてゲイン(200倍)が設定される。
【0079】
S1022でCPU301は拡散光で第二パターン602を検知する。CPU301は、LED71を消灯し、LED72を点灯させ、PD73を用いて第二パターン602からの拡散光を検知する。その後、CPU301は、S1009で、拡散光の検知結果に基づき補正量を決定する。このように、中間転写ベルト7の消耗度に応じてテストパターンと検知方法とを選択することで、従来よりも精度よく色ずれが検知可能となる。なお、CPU301は、シャッター部材86をクローズ位置に移動させるための命令をレジスタ76に書き込む。駆動回路95は、レジスタ76に書き込まれた命令にしたがって、モータ96を駆動して、シャッター部材86をクローズ位置に移動させる。
【0080】
<濃度検知のフローチャート>
図11はCPU301が実行する濃度検知のフローチャートである。なお、図11に示されたステップのうち図10のステップと共通するステップには同一の参照符号が付与され、その説明は援用される。
【0081】
●無彩色(ブラック)についての濃度検知
CPU301は、S1001ないしS1004を実行することで、下地の検知レベルを取得する。CPU301は処理をS1100に進める。
【0082】
S1100でCPU301は検知レベルが閾値th2以上であるか否かを判定する。この判定処理は、中間転写ベルト7の消耗度を判定する処理である。検知レベルが閾値th2以上である場合、CPU301は現在のゲイン(10倍)を維持し、処理をS1101に進める。一方、検知レベルが閾値th2以上でない場合、CPU301は、処理をS1120に進める。S1120でCPU301はゲイン調整部79のゲインを増加する。つまり、CPU301はゲイン調整部79のゲインを20倍に設定する。
【0083】
S1101でCPU301は画像形成装置100を制御して中間転写ベルト7上に無彩色のための第一濃度パターン801を形成する。CPU301は生成部302を制御して、第一濃度パターン801に対応した画像信号を駆動回路303a~303dに出力する。
【0084】
S1102でCPU301は正反射光で第一濃度パターン801を検知する。CPU301はPD73を用いて第一濃度パターン801からの正反射光を検知する。S1103でCPU301は第一濃度パターン801の検知結果に基づき、無彩色(ブラック)についての濃度の補正量を決定する。
【0085】
●有彩色についての濃度検知
S1104でCPU301はPD74についての感度(G2correct)をレジスタ76に設定する。PD74の感度調整部78にはレジスタ76を通じてG2correctが設定される。なお、G2correctは、工場出荷時に決定され、ROM75に格納された設定値である。
【0086】
S1105でCPU301は、PD74についてのゲイン(10倍)を設定する。CPU301はレジスタ76を通じてゲイン調整部80のゲイン切替回路94に10倍を設定する。
【0087】
S1106でCPU301はモータ96を制御してシャッター部材86を閉じ、シャッター部材86に設けられた拡散光基準板87からの拡散光をPD74に検知させる。CPU301はLED71を消灯し、LED72を点灯させる。これにより、PD74は拡散光基準板87からの拡散光を検知できる。
【0088】
S1107でCPU301は拡散光の検知レベルが閾値th3以上であるかどうかを判定する。つまり、CPU301は拡散光の検知レベルに基づき、モールドレンズ84の表面に付着したトナー量(汚れの程度)を判定する。検知レベルが閾値th3以上である場合、モールドレンズ84の汚れは少ないため、CPU301は、処理をS1108に進める。検知レベルが閾値th3以上でない場合、モールドレンズ84の汚れが多いため、CPU301は、処理をS1130に進める。S1130でCPU301はPD74についてのゲインを10倍から20倍に増加する。たとえば、CPU301はレジスタ76を通じてゲイン調整部80のゲイン切替回路94に20倍を設定する。
【0089】
S1108でCPU301は、画像形成装置100を制御して中間転写ベルト7上に有彩色のための第二濃度パターン802を形成する。CPU301は生成部302を制御して、第二濃度パターン802に対応した画像信号を駆動回路303a~303dに出力する。
【0090】
S1109でCPU301はモータ96を制御してシャッター部材86を開いて、拡散光で第二濃度パターン802を検知する。CPU301はLED71を消灯し、LED72を点灯させ、PD74を用いて第二濃度パターン802からの拡散光を検知する。S1110でCPU301は第二濃度パターン802の検知結果に基づき、有彩色についての濃度の補正量を決定する。
【0091】
S1111でCPU301は三つの有彩色(Y、M、C)のすべてについて濃度検知が完了したかどうかを判定する。いずれかの有彩色について濃度検知が完了していない場合、CPU301は処理をS1104に戻し、次の有彩色の濃度検知を実行する。すべてについて濃度検知が完了した場合、CPU301は、YMCKのそれぞれの補正量をメモリ306に格納し、ユーザ画像をシートSに形成するために使用する。
【0092】
<実施例から導き出される技術思想>
図1が示すように、感光体1a~1cは第一像担持体の一例である。画像形成部Pa~Pcは第一像担持体に有彩色のトナー画像を形成する第一画像形成手段の一例である。感光体1dは第二像担持体の一例である。画像形成部Pdは第二像担持体に無彩色のトナー画像を形成する第二画像形成手段の一例である。中間転写ベルト7は、有彩色のトナー画像と無彩色のトナー画像とが転写される転写体の一例である。光学センサ70は、転写体に転写されたトナーパターンを検知する検知手段の一例である。制御部50は検知手段を制御する制御手段の一例である。図10が示す色ずれ検知は、転写体における有彩色のトナー画像の位置と無彩色のトナー画像の位置とのずれを示す色ずれ量を検知する色ずれ検知モードの一例である。図11が示す濃度検知は、転写体における有彩色のトナー画像の濃度と無彩色のトナー画像の濃度を検知する濃度検知モードの一例である。
【0093】
図2が示すようにLED71は第一発光素子の一例である。LED72は第二発光素子の一例である。PD73は第一受光素子の一例である。PD73は、第一発光素子から出力された光であって測定対象物で正反射した光である正反射光を受光するとともに、第二発光素子から出力された光であって測定対象物で拡散した光である拡散光を受光するように配置されている。感度調整部77は第一受光素子についての感度を調整する第一調整手段の一例である。ゲイン調整部79は第一受光素子についての増幅率を調整する第二調整手段の一例である。
【0094】
感度調整部77は、色ずれ検知モードおよび濃度検知モードにおいて、第一受光素子の個体差に応じて第一受光素子についての感度を調整するように構成されている。たとえば、工場出荷時に設定された感度設定値に基づき、第一受光素子についての感度が調整されてもよい。ゲイン調整部79は色ずれ検知モードおよび濃度検知モードにおいて、検知手段の検知環境の変動に応じて第一受光素子についての増幅率を調整するように構成されている。検知環境の変動とは、たとえば、中間転写ベルト7の消耗および光学センサ70のトナー汚れなどである。本実施例はこのような特徴を有しているため、本実施例は従来よりも精度よく正反射光と拡散光とを検知することが可能となる。
【0095】
[観点2]
CPU301は、色ずれ検知モードにおいて、第一発光素子を点灯させ、第二発光素子を消灯させているときに、第一受光素子が出力する出力信号のレベルに基づき検知環境の変動が生じたかどうかを判定する判定手段として機能する。制御部50は、検知環境の変動が生じていると判定されなかった場合、第一画像形成手段と第二画像形成手段とを制御して第一の色ずれ検知パターン(第一パターン601)を形成してもよい。この場合、制御部50は、第一発光素子を点灯させ、第二発光素子を消灯させ、第一受光素子による第一の色ずれ検知パターンの検知結果に基づき色ずれを検知する。検知環境の変動が生じていると判定された場合もあろう。この場合、制御部50は、第一画像形成手段と第二画像形成手段とを制御して第二の色ずれ検知パターン(例:第二パターン602)を形成する。制御部50は、第一発光素子を消灯させ、第二発光素子を点灯させ、第一受光素子による第二の色ずれ検知パターンの検知結果に基づき色ずれを検知する。このように、検知環境の変動が生じている場合と検知環境の変動が生じていない場合とでテストパターンが切り替えられてもよい。その結果、検知環境に応じて適切な検知結果が取得可能となる。
【0096】
[観点3]
図6(A)が示すように、第一の色ずれ検知パターンは、相互に離れて形成された有彩色のパターンと無彩色のパターンとを含んでもよい。図6(B)が示すように、第二の色ずれ検知パターンは、有彩色(例:マゼンタ)のパターンと、当該有彩色のパターンに接触して形成された無彩色(例:ブラック)のパターンとを含んでもよい。とりわけ、後者のようなパターンを採用することで、拡散光検知であっても、ブラックの画像形成位置を検知可能となる。
【0097】
[観点4]
CPU301は、第一受光素子が出力する出力信号のレベルが第一閾値以上であれば検知環境の変動は生じていないと判定してもよい。閾値th1は第一閾値の一例である。CPU301は、第一受光素子が出力する出力信号のレベルが第一閾値以上でなければ検知環境の変動が生じていると判定してもよい。中間転写ベルト7が消耗すると、中間転写ベルト7の下地からの正反射光の光量が減少する。したがって、受光素子の出力信号のレベルに着目することで、検知環境の変動が把握可能となる。
【0098】
[観点5]
第二調整手段(ゲイン調整部79)は、検知環境の変動を判定する際に第一受光素子の増幅率を第一増幅率に設定してもよい。G1correctは第一増幅率の一例である。検知環境の変動が生じていると判定されなかった場合、ゲイン調整部79は第一受光素子の増幅率を第一増幅率に維持する。一方で、検知環境の変動が生じている判定された場合、ゲイン調整部79は、第一受光素子の増幅率を第一増幅率(例:10倍)よりも大きな第二増幅率(例:200倍)に設定してもよい。これにより、検知環境の変動に応じて適切に増幅率が設定され、精度のよい検知結果が得られるようになる。
【0099】
[観点6]
第一受光素子が出力する出力信号のレベルが第一閾値以上であり、かつ、第二閾値以上である場合がある。この場合に、CPU301は、第一受光素子の増幅率を第一増幅率に維持してもよい。閾値th2は第二閾値の一例である。第一受光素子が出力する出力信号のレベルが第一閾値以上であり、かつ、第二閾値以上でない場合がある。この場合に、CPU301は、第一受光素子の増幅率を第一増幅率よりも大きく、かつ、第二増幅率よりも小さな第三増幅率(例:20倍)に設定してもよい。これにより、正反射光による第一パターン601の検知を継続することが可能となる。
【0100】
[観点7]
検知環境の変動を判定する際における測定対象物は、転写体の表面であってトナー画像を形成されていない表面である。これにより、転写体の消耗度を精度よく検知することが可能となる。
【0101】
[観点8]
PD74は、濃度検知モードにおいて、第二発光素子から出力された光であって測定対象物で拡散した光である拡散光を受光するように配置された第二受光素子の一例である。感度調整部78は、濃度検知モードにおいて、第二受光素子についての感度を調整する第三調整手段の一例である。ゲイン調整部80は、濃度検知モードにおいて、第二受光素子についての増幅率を調整する第四調整手段の一例である。第三調整手段は、第二受光素子の個体差に応じて第二受光素子についての感度を調整するように構成されている。第四調整手段は、検知手段の検知環境の変動に応じて第二受光素子についての増幅率を調整するように構成されている。このように、濃度検知に使用される受光素子についても個体差の調整と検知環境の調整とを独立して実行することが可能となる。
【0102】
[観点9]
制御部50は、濃度検知モードにおいて、第一発光素子を点灯させ、第二発光素子を消灯させ、第一受光素子が出力する出力信号のレベルに応じて第一受光素子の増幅率を決定してもよい。さらに、制御部50は、無彩色のトナー画像の濃度を検知するための無彩色パターンを第二画像形成手段に形成させ、第一受光素子に無彩色パターンからの正反射光を受光させてもよい。第一濃度パターン801は、無彩色パターンの一例である。制御部50は、第二発光素子を点灯させ、第一発光素子を消灯させ、第二受光素子が出力する出力信号のレベルに応じて第二受光素子の増幅率を決定してもよい。制御部50は、有彩色のトナー画像の濃度を検知するための有彩色パターンを第一画像形成手段に形成させ、第二受光素子に有彩色パターンからの拡散光を受光させてもよい。第二濃度パターン802は、有彩色パターンの一例である。
【0103】
[観点10]
第一受光素子は、濃度検知モードにおいて、第一受光素子の増幅率を決定する際に、転写体の表面からの正反射光を受光する。第二受光素子は、濃度検知モードにおいて、第二受光素子の増幅率を決定する際に、所定の基準部材からの拡散光を受光してもよい。拡散光基準板87は所定の基準部材の一例である。これにより、精度よく第二受光素子の増幅率が決定される。
【0104】
[観点11]
シャッター部材86は、検知手段を汚れから保護可能な保護位置と、検知手段を汚れから保護しない開放位置との間を移動可能な保護部材の一例である。モータ96は当該保護部材を移動させる移動手段の一例である。図2が示すように、所定の基準部材は保護部材に設けられていてもよい。第二受光素子の増幅率を決定する際に、移動手段は、保護部材を保護位置に留まらせる。これにより、保護部材に設けられた基準部材からの拡散光が検知可能となる。第一受光素子の増幅率を決定する際に、移動手段は、保護部材を開放位置に移動させる。これにより、光学センサ70は、中間転写ベルト7の下地から正反射光を受光できるようになる。シャッター部材86を設けることで、光学センサ70が汚れにくくなる。
【0105】
[観点12、13]
第三調整手段(例:感度調整部78)は、第二受光素子の個体差に応じた固定値に基づき第二受光素子の感度を調整するように構成されていてもよい。これにより、第二受光素子の個体差が適切に補正可能となる。第一調整手段は、第一受光素子の個体差に応じた固定値に基づき第一受光素子の感度を調整するように構成されていてもよい。これにより、第一受光素子の個体差が適切に補正可能となる。
【0106】
[観点14]
第二調整手段は、第一受光素子が測定対象物からの正反射光を受光する場合、第一受光素子の感度を第一感度(例:10倍)に設定してもよい。第二調整手段は、第一受光素子が測定対象物からの拡散光を受光する場合、第一受光素子の感度を第一感度よりも大きな第二感度(例:200倍)に設定してもよい。これにより、正反射光と拡散光とを単一の受光素子により適切に検知可能となる。
【0107】
[観点15]
第二調整手段に設けられた第二増幅回路の増幅率は、第一調整手段に設けられた第一増幅回路の増幅率よりも大きくてもよい。第一調整手段は、複数の受光素子間のばらつきを補正する手段であるため、それほど大きな増幅率を必要としない。その一方で、第二調整手段は、正反射光と拡散反射光との差を補正するため、大きな増幅率が必要となる。
【0108】
[観点16]
第四調整手段に設けられた第四増幅回路の増幅率は、第三調整手段に設けられた第三増幅回路の増幅率よりも大きくてもよい。第三調整手段は、複数の受光素子間のばらつきを補正する手段であるため、それほど大きな増幅率を必要としない。その一方で、第四調整手段は、正反射光と拡散反射光との差を補正するため、大きな増幅率が必要となる。
【0109】
[観点17]
第三調整手段に設けられた増幅回路の増幅率は、第一調整手段に設けられた増幅回路の増幅率よりも大きくてもよい。たとえば、PD73に対する光の入射角度(例:-7度)よりも、PD74に対する光の入射角度(例:-18度)は大きい場合がある。この場合、PD74の増幅率はPD73の増幅率よりも大きくする必要がある。
【0110】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項が添付される。
【符号の説明】
【0111】
1a~1d:観光ドラム、Pa~Pd:画像形成部、70:光学センサ、50:制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11