(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】プレート式熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28D 9/02 20060101AFI20240502BHJP
F28F 3/08 20060101ALI20240502BHJP
F28F 27/00 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
F28D9/02
F28F3/08 311
F28F27/00 511G
(21)【出願番号】P 2020092995
(22)【出願日】2020-05-28
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】中道 信貴
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-196511(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00608195(EP,A1)
【文献】特開昭59-216025(JP,A)
【文献】特開平04-216423(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D9/02
F28F3/08,27/00
F17C7/04
G01K5/00-5/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のプレートが積層されて、前記複数枚のプレート間のうち第1の媒体と第2の媒体とが流れる空間が別々に設定されることにより、前記プレートを介して第1の媒体と第2の媒体との熱交換を行うプレート式熱交換器であって、
第1の貫通孔を有する各プレートが積層されて前記第1の貫通孔の連続により形成される第1流路と、
前記第1の貫通孔と異なる第2の貫通孔を有する各プレートが積層されて前記第2の貫通孔の連続により形成される第2流路と、
前記第1流路と連通して第1の媒体を内部に導入するための入口部と、前記第2流路と連通して熱交換後の第1の媒体を外部に排出するための出口部とを有した筐体と、
前記入口部を通じて前記第1流路に、又は、前記出口部を通じて前記第2流路に対して、一端側から挿入されて内部に封入剤を保持した感温筒と、
一端側が前記感温筒の他端に接続されて、前記感温筒内と連通したキャピラリーチューブと、
前記キャピラリーチューブの他端側に設けられて、前記感温筒内の封入剤の膨張及び収縮に応じた圧力変化に基づいて開閉することで、第2の媒体の前記筐体内への流入を制御するサーモバルブと、を備え、
前記感温筒の他端側には、前記キャピラリーチューブが通過するための通過孔を有して前記感温筒を保持するための感温筒ソケットを有すると共に、
前記感温筒の一端側には、前記感温筒の本体部よりも大径とされた大径部が形成されている
ことを特徴とするプレート式熱交換器。
【請求項2】
前記感温筒は、封入剤を収納するために他端側が略閉塞され一端側が開放された前記本体部と、前記本体部の一端側における開放部を閉じるためのキャップとを有し、
前記大径部は、前記本体部よりも大径とされた前記キャップによって構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のプレート式熱交換器。
【請求項3】
前記感温筒は、
封入剤を収納するために他端側が略閉塞され一端側が開放された前記本体部と、前記本体部の一端側における開放部を閉じるためのキャップと、を有し、
前記大径部は、前記キャップの周囲に設けられたパッキンにより構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のプレート式熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレート式熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液状のLPガス(燃料ガス)を強制的に気化させる熱交換器が知られている。このような熱交換器は、電気ヒータやボイラー等の熱源で加熱された温水等の熱媒と液状のLPガスとを熱交換することで、自然気化よりも効率的に液状のLPガスを気化させることができる(特許文献1参照)。
【0003】
このような熱交換器には、複数枚のプレートを積層したプレート式のものが提案されている(特許文献2参照)。プレート式熱交換器には、例えば熱媒の出口流路に熱媒の流れを阻害しないように出口流路と隙間を有した状態で感温筒が挿入されている。感温筒は、内部に薬液等の封入剤を封入しておりキャピラリーチューブを通じてサーモバルブに接続されている。サーモバルブは、LPガスの入口側に設けられており、熱による感温筒内の封入剤の膨張収縮等を利用してサーモバルブを開閉可能となっており、この開閉動作によってプレート式熱交換器への液状のLPガスの流入を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平04-116094号公報
【文献】特開平09-196511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献2に記載のプレート式熱交換器において感温筒は、キャピラリーチューブ側が感温筒ソケットにより保持されることでプレート式熱交換器に固定されている。一方で、感温筒はキャピラリーチューブの反対側となる一端側は流路に対して隙間を有しており固定されていない状態となっている。このため、プレート式熱交換器内に熱媒が流れると水圧の影響により一端側が動いたり振動したりする。一端側が動いたり振動したりするとキャピラリーチューブの固定部位に応力が加わってしまう。よって、熱媒が流れたり流れが停止したりを繰り返すことで、キャピラリーチューブの破損に至る可能性があった。
【0006】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、キャピラリーチューブの破損の可能性を低減させることができるプレート式熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のプレート式熱交換器は、複数枚のプレートが積層されて、前記複数枚のプレート間のうち第1の媒体と第2の媒体とが流れる空間が別々に設定されることにより、前記プレートを介して第1の媒体と第2の媒体との熱交換を行うプレート式熱交換器であって、第1の貫通孔を有する各プレートが積層されて前記第1の貫通孔の連続により形成される第1流路と、前記第1の貫通孔と異なる第2の貫通孔を有する各プレートが積層されて前記第2の貫通孔の連続により形成される第2流路と、前記第1流路と連通して第1の媒体を内部に導入するための入口部と、前記第2流路と連通して熱交換後の第1の媒体を外部に排出するための出口部とを有した筐体と、前記入口部を通じて前記第1流路に、又は、前記出口部を通じて前記第2流路に対して、一端側から挿入されて内部に封入剤を保持した感温筒と、一端側が前記感温筒の他端に接続されて、前記感温筒内と連通したキャピラリーチューブと、前記キャピラリーチューブの他端側に設けられて、前記感温筒内の封入剤の膨張及び収縮に応じた圧力変化に基づいて開閉することで、第2の媒体の前記筐体内への流入を制御するサーモバルブと、を備え、前記感温筒の他端側には、前記キャピラリーチューブが通過するための通過孔を有して前記感温筒を保持するための感温筒ソケットを有すると共に、前記感温筒の一端側には、前記感温筒の本体部よりも大径とされた大径部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るプレート式熱交換器によれば、感温筒の一端側には、感温筒の本体部よりも大径とされた大径部が形成されているため、第1の媒体の流れによって感温筒ソケットの通過孔(すなわちキャピラリーチューブ)を固定端として感温筒が動いたり振動したりしても、感温筒の動作時に大径部が第1又は第2流路に接触し易くなり、感温筒の一端側の動作量を抑えることができる。これにより、キャピラリーチューブに加わる応力を抑えることができ、破損の可能性を低減することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、キャピラリーチューブの破損の可能性を低減させることができるプレート式熱交換器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係るプレート式熱交換器を含む強制気化システムの構成図である。
【
図2】
図1に示したプレート式熱交換器の分解斜視図である。
【
図3】
図1に示したプレート式熱交換器の側面図である。
【
図4】
図1に示したプレート式熱交換器の一部透視斜視図である。
【
図5】
図4に示した感温筒の詳細を示す側面図である。
【
図6】
図4に示した感温筒の変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る強制気化システムの構成図である。
図1に示す強制気化システム1は、バルク貯槽(ガス容器)10と、背圧弁Vと、サーモバルブTVと、プレート式熱交換器20と、熱源機30と、各種配管R1~R7と、調整器PR1,PR2,PR3と、制御盤(制御装置)40と、圧力スイッチPとを備えている。
【0013】
バルク貯槽10は、液状のLPガス(燃料ガス)を貯蔵する大容量容器である。第1配管R1は、バルク貯槽10とプレート式熱交換器20とを接続する液相ラインとなる配管である。この第1配管R1は一端がバルク貯槽10の下部に接続されており、液状のLPガスをプレート式熱交換器20に供給する。第1配管R1には、背圧弁VとサーモバルブTVとが設けられている。
【0014】
背圧弁Vは、バルク貯槽10の圧力が規定圧力未満になったときに弁が開くが、プレート式熱交換器20内の圧力が1MPa以上の圧力になることを防止するための保護機能弁である。ここで、高圧ガス保安法上の「高圧ガスの製造」にならない液状のLPガスの強制気化システムは、高圧ガス保安協会(KHK)が定めた「液化石油ガスバルク供給用附属機器型式認定マニュアル」において熱交換器内の圧力は1MPaを超えないことが規定されている。本実施形態に係る強制気化システム1は、このマニュアルの規定を遵守すべくバルク貯槽10側の圧力が1MPaの規定圧力以上である場合に背圧弁Vが弁閉し、当該圧力が規定圧力未満で背圧弁Vが弁開するように構成されている。
【0015】
サーモバルブTVは、背圧弁Vよりも下流側に設けられ、プレート式熱交換器20の温水(熱媒)温度が所定温度以上である場合に開となり、所定温度未満である場合に閉となるものである。このサーモバルブTVは、キャピラリーチューブ(後述の
図3の符号27参照)を介してプレート式熱交換器20に内蔵される感温筒(後述の
図3の符号26参照)に接続されており、感温筒により感知される熱媒温度に応じて開閉動作するようになっている。
【0016】
プレート式熱交換器20は、液状のLPガスを導入して加熱により強制気化させるものである。このプレート式熱交換器20は、温水を利用して強制気化させる温水循環式のものである。本実施形態においてプレート式熱交換器20は、複数枚のプレート(後述の
図2の符号P1,P2参照)が積層されて、複数枚のプレート間のうち温水(第1の媒体)とLPガス(第2の媒体)とが流れる空間が別々に設定されることにより、プレートを介して温水とLPガスとの熱交換を行い、液状のLPガスを強制気化させるものである。
【0017】
熱源機30は、プレート式熱交換器20に温水を供給すべく水を加熱するボイラー等である。この熱源機30は、加熱した温水を第2配管R2を通じてプレート式熱交換器20に導入させる。また、熱源機30は、プレート式熱交換器20から排出される温水を第3配管R3を通じて受け入れる。さらに、熱源機30は、温水をプレート式熱交換器20に送り込む動力となるポンプ31を備えている。なお、本実施形態ではポンプ31が熱源機30内に熱源機30の一部として設けられているが、これに限らず、熱源機30の外側において独立して又は他の要素の一部として設けられていてもよい。
【0018】
第4配管R4は、プレート式熱交換器20と接続点Aとを接続する配管であり、プレート式熱交換器20により強制気化されたLPガスを接続点Aに導くものである。第5配管R5は、バルク貯槽10と接続点Aとを接続する気相ラインとなる配管である。バルク貯槽10内では液状のLPガスが外気温度によって気化していく。第5配管R5はバルク貯槽10の上部に接続されて、外気温度によって自然的に気化したLPガスを接続点Aに導く。圧力スイッチPは、第5配管R5上に設けられており、気相圧力が規定圧力以上であるか否かに基づいてオンオフし、そのオンオフ信号を制御盤40に送信するものである。
【0019】
第6配管R6は、接続点Aと需要者側とを接続する配管であって、気化したLPガスを需要者側に導くものである。第7配管R7は、一端が第6配管R6に接続され、他端が熱源機30に接続された配管であって、気化したLPガスを熱源機30に導くものである。
【0020】
第1調整器PR1は、第5配管R5上に設けられて、バルク貯槽10から供給されるLPガスを所定圧力に調圧するものである。第2調整器PR2は、第4配管R4上に設けられて、プレート式熱交換器20から供給されるLPガスを所定圧力に調圧するものである。第2調整器PR2の出口設定圧力は、第1調整器PR1の出口設定圧力よりも高くされている。このため、サーモバルブTVが開いたときには液相ラインを通じたLPガスの供給が行われる。第3調整器PR3は、第6配管R6上に設けられて、熱源機30の燃焼及び下流側の商機機器(不図示)を稼動させるために供給するLPガスを第2所定圧力以下に調圧するものである。
【0021】
制御盤40は、強制気化システム1の全体を制御するものであり、熱源機30の駆動制御等を行うものである。制御盤40は、圧力スイッチPからの信号に基づいて、気相圧力が規定圧力以上であると判断した場合に熱源機30を停止させ、気相圧力が規定圧力未満であると判断した場合に熱源機30を駆動させる。
【0022】
図2は、
図1に示したプレート式熱交換器20の分解斜視図である。
図2に示すプレート式熱交換器20は、筐体(
図3及び
図4の符号23参照)内に、2枚の外板21,22と、2枚の外板21,22の間に配置される複数枚の金属等のプレートP1,P2とを備えて構成されている。なお、外板21,22及びプレートP1,P2の間は、銅材等からなるシート状のろう材によりプレート同士が接続されている。
【0023】
第1外板21には、温水入口21aと温水出口21bとが形成されている。第2外板22には、液状のLPガスの導入口となるガス入口22aと、強制気化されたLPガスの排出口となるガス出口22bとが形成されている。
【0024】
複数のプレートP1,P2は、温水入口21a、温水出口21b、ガス入口22a及びガス出口22bに対応した第1~第4の貫通孔P1a~P1d,P2a~P2d(図示の関係上P2bのみ破線図示)が形成されている。複数のプレートP1,P2は、積層されることによって第1の貫通孔P1a,P2aの連続により温水入口流路(第1流路)F1を形成し、第2の貫通孔P1b,P2bの連続により温水出口流路(第2流路)F2を形成する。温水入口流路F1は温水入口21aに対応し、温水出口流路F2は温水出口21bに対応する。同様に、複数のプレートP1,P2は、第3の貫通孔P1c,P2cの連続によりガス入口流路F3を形成し、第4の貫通孔P1d,P2dの連続によりガス出口流路F4を形成する。ガス入口流路F3はガス入口22aに対応し、ガス出口流路F4はガス出口22bに対応する。
【0025】
さらに、第1プレートP1には、第1外板21側の面に、第1の貫通孔P1aから第2の貫通孔P1bまで接続する凹溝P1Gが形成されている。同様に第2プレートP2には、第1外板21側の面に、第3の貫通孔P2cから第4の貫通孔P2dまで接続する凹溝P2Gが形成されている。これら凹溝P1G,P2Gは、凹溝P1G,P2G上に被さる(第1外板21側に被さる)他のプレートP1,P2や第1外板21等と共に、温水流路やガス流路を形成することとなる。
【0026】
このようなプレート式熱交換器20において、温水入口21aから温水入口流路F1に流入した温水は、凹溝P1Gを通過して各プレートP1,P2を加熱する。加熱により温度低下した温水は温水出口流路F2を介して温水出口21bから排出される。また、ガス入口22aからガス入口流路F3に導入された液状のLPガスは、凹溝P2Gを通過する間に各プレートP1,P2の熱によって強制気化される。強制気化されたLPガスはガス出口流路F4を通じてガス出口22bから排出される。
【0027】
図3は、
図1に示したプレート式熱交換器20の側面図であり、
図4は、
図1に示したプレート式熱交換器20の一部透視斜視図である。
【0028】
図3及び
図4に示すように、プレート式熱交換器20は、筐体23と出口機構EMとを有し、
図2に示した外板21,22や各プレートP1,P2が筐体23内に収納されて構成されている。筐体23は、温水入口流路F1(
図2参照)と連通して温水を内部に導入するための温水入口部(入口部)23aと、温水出口流路F2と連通して熱交換後の温水を外部に排出するための温水出口部(出口部)23bとを備えている。温水入口部23aは第2配管R2(
図1参照)に接続され、温水出口部23bは出口機構EMを介して第3配管R3(
図1参照)に接続されている。
【0029】
また、筐体23は、温水入口部23a及び温水出口部23bが形成される反対側の面に、ガス入口流路F3(
図2参照)と連通して液状のLPガスを内部に導入するためのガス入口部23cと、ガス出口流路F4(
図2参照)と連通して強制気化後のLPガスを外部に排出するためのガス出口部23dとを備えている。ガス入口部23cは第1配管R1に接続され、ガス出口部23dは第4配管R4(
図1参照)に接続されている。
【0030】
出口機構EMは、十字管24と、温度計25と、感温筒26と、キャピラリーチューブ27と、感温筒ソケット28とを備えている。十字管24は、平面視して十字形状となる配管であって、一端が温水出口部23bに接続されており、下端が第3配管R3に接続されている。十字管24の上端には熱媒温度を測定する温度計25が接続され、他端には感温筒ソケット28が取り付けられている。
【0031】
感温筒26は、温水出口部23bを通じて温水出口流路F2に対して一端側から挿入される中空円筒状の部材である。この感温筒26は、他端側が筐体23からはみ出る長さとされており、他端は感温筒ソケット28付近まで延びている。このような感温筒26は、内部に薬剤等の封入剤を保持している。封入剤は、温水の温度に応じて体積膨張及び収縮が可能な揮発性を有する液体またはガス体によって構成されており、液体の状態、気体の状態及び気液混合の状態を取り得るものである。
【0032】
キャピラリーチューブ27は、一端側が感温筒26の他端に接続されて、感温筒26内と連通したチューブである。上記したサーモバルブTVは、キャピラリーチューブ27の他端側に設けられて、感温筒26内の封入剤の膨張及び収縮に応じた圧力変化に基づいて開閉して、筐体23内へのLPガスの流入を制御する。
【0033】
感温筒ソケット28は、キャピラリーチューブ27が通過するための通過孔28aを有した蓋部材である。この感温筒ソケット28は、通過孔28aによりキャピラリーチューブ27を密着状態で保持しており、キャピラリーチューブ27を保持することにより感温筒26をその他端側において保持する役割を果たす。
【0034】
図5は、
図4に示した感温筒26の詳細を示す側面図である。なお、
図5においては、温水出口流路F2についても破線にて図示するものとする。
【0035】
図5に示すように、感温筒26は、本体部26aとキャップ26bとを備えている。本体部26aは、封入剤を収納するために他端側が略閉塞(キャピラリーチューブ27につながる開口を除く)され、一端側が開放された有底筒状の部材である。キャップ26bは、本体部26aの一端側における開放部を閉じるための部材である。封入剤はキャップ26bが取り付けられる前に本体部26a内に投入され、投入後にキャップ26bが閉じられて感温筒26内に封入される。
【0036】
さらに、本実施形態において感温筒26は、一端側に本体部26aよりも大径とされた大径部Bが形成されている。大径部Bは、本体部26aよりも大径とされたキャップ26bによって構成されている。また、大径部Bは、温水出口流路F2未満の径とされている。
【0037】
次に、本実施形態に係るプレート式熱交換器20の作用を説明する。まず、圧力スイッチPからの信号に基づいて気相圧力が規定圧力未満であると判断され熱源機30が駆動させられると、温水がプレート式熱交換器20に流入する。これにより、熱交換器内の温度が所定の温度以上になるとサーモバルブTVが開き、液状のLPガスがプレート式熱交換器20に流入する。そして、プレート式熱交換器20における熱交換によって液状のLPガスが強制気化させられる。一方、圧力スイッチPからの信号に基づいて気相圧力が規定圧力以上であると判断され熱源機30が停止させられると、温水のプレート式熱交換器20への流入が停止する。
【0038】
このようにプレート式熱交換器20には、温水の流入と停止とが繰り返されることとなる。このとき、感温筒26は一端側が動いたり振動したりして、キャピラリーチューブ27の固定部位(通過孔28aによって固定される部位)に応力が加わってしまう。しかし、本実施形態に係る感温筒26は、一端側に大径部Bが設けられているため、一端側の動きは温水出口流路F2によって規制され易い。すなわち、温水の流入と停止とによって感温筒26の一端側が動作したとしても、大径部Bが温水出口流路F2に接触することで動作が抑えられることとなる。これにより、固定部位に加わる応力も小さくなり、キャピラリーチューブ27の破損の可能性が抑えられることとなる。
【0039】
このようにして、本実施形態に係るプレート式熱交換器20によれば、感温筒26の一端側には、感温筒26の本体部26aよりも大径とされた大径部Bが形成されているため、温水の流れによって感温筒ソケット28の通過孔28a(すなわちキャピラリーチューブ27)を固定端として感温筒26が動いたり振動したりしても、感温筒26の動作時に大径部Bが温水出口流路F2に接触し易くなり、感温筒26の一端側の動作量を抑えることができる。これにより、キャピラリーチューブ27に加わる応力を抑えることができ、破損の可能性を低減することができる。
【0040】
また、大径部Bは、感温筒26の本体部26aよりも大径とされたキャップ26bによって構成されているため、従来の本体部を利用したままキャップのみを変更することで、キャピラリーチューブ27に加わる応力を抑えることができ、破損の可能性を低減することができる。
【0041】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜実施形態同士の技術や他の技術を組み合わせてもよい。
【0042】
例えば上記実施形態において感温筒26は温水出口流路F2に挿入されているが、可能であれば温水入口流路F1に挿入されていてもよい。
【0043】
また、本実施形態において感温筒26は
図6に示すように構成されていてもよい。
図6は、
図4に示した感温筒26の変形例を示す拡大側面図である。なお、
図6においては一部構成について断面を示すものとする。
図6に示すように、変形例に係る感温筒26についても本体部26aとキャップ26bとを備えている。変形例においてキャップ26bは例えば本体部26aと同径とされている。さらに、変形例に係る感温筒26は、パッキン26cを備えている。パッキン26cはゴム製等のリング部材である。このパッキン26cはキャップ26b上に取り付けられており、大径部Bを構成している。
【0044】
このように変形例に係る感温筒26であっても、同様に、キャピラリーチューブ27に加わる応力を抑えることができ、破損の可能性を低減することができる。また、大径部Bは、キャップ26bの周囲に設けられたパッキン26cにより構成されているため、従来の感温筒を利用したままキャップ26bの周囲にパッキン26cを取り付けることで、キャピラリーチューブ27に加わる応力を抑えることができ、破損の可能性を低減することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 :強制気化システム
10 :バルク貯槽(ガス容器)
20 :プレート式熱交換器
21 :第1外板
21a :温水入口
21b :温水出口
22 :第2外板
22a :ガス入口
22b :ガス出口
23 :筐体
23a :温水入口部(入口部)
23b :温水出口部(出口部)
23c :ガス入口部
23d :ガス出口部
24 :十字管
25 :温度計
26 :感温筒
26a :本体部
26b :キャップ
26c :パッキン
27 :キャピラリーチューブ
28 :感温筒ソケット
28a :通過孔
30 :熱源機
31 :ポンプ
40 :制御盤(制御装置)
A :接続点
B :大径部
EM :出口機構
F1 :温水入口流路(第1流路)
F2 :温水出口流路(第2流路)
F3 :ガス入口流路
F4 :ガス出口流路
P :圧力スイッチ
P1 :第1プレート
P1G :凹溝
P1a,P2a :第1の貫通孔
P1b,P2b :第2の貫通孔
P1c,P2c :第3の貫通孔
P1d,P2d :第4の貫通孔
P2 :第2プレート
P2G :凹溝
PR1 :第1調整器
PR2 :第2調整器
PR3 :第3調整器
R1~R7 :配管
TV :サーモバルブ
V :背圧弁