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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】振れ補正機能付き光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20240502BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240502BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20240502BHJP
   H04N 23/68 20230101ALI20240502BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20240502BHJP
【FI】
G03B5/00 L
G03B15/00 U
G03B17/02
H04N23/68
H04N23/50
G03B5/00 J
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020106663
(22)【出願日】2020-06-22
(65)【公開番号】P2022001904
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-349942(JP,A)
【文献】特開2006-033483(JP,A)
【文献】特開2018-180506(JP,A)
【文献】特開平10-313424(JP,A)
【文献】国際公開第2012/004952(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/010303(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/169979(WO,A1)
【文献】特開2010-085750(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0195458(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110226127(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00-5/08
G03B 15/00
G03B 17/02
H04N 23/68
H04N 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子を備える可動体と、
前記可動体を揺動可能に支持する揺動支持機構と、
前記揺動支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、
前記可動体を揺動させる磁気駆動機構と、
前記可動体を、予め設定した軸線と前記光学素子の光軸とが一致する原点位置に復帰させるための磁気バネと、を有し、
前記磁気バネは、
前記可動体と前記固定体のうちの一方に配置される原点復帰用磁石、および、前記可動体と前記固定体のうちの他方に配置され前記原点復帰用磁石との間に磁気吸引力が作用する被吸引部材を備え、
前記被吸引部材および前記原点復帰用磁石は、前記光軸上に配置され、前記光軸方向に対向し、
前記可動体に接続されるフレキシブルプリント基板を備え、
前記被吸引部材は、磁性部材であり、
前記磁性部材および前記原点復帰用磁石は、長方形であり、
前記長方形の短辺方向は、前記フレキシブルプリント基板の引き出し方向であり、
前記長方形の長辺方向は、前記引き出し方向に直交する方向であることを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項2】
前記磁性部材および前記原点復帰用磁石は、相似形であることを特徴とする請求項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項3】
前記揺動支持機構は、ジンバル機構であることを特徴とする請求項1または2に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子の傾きを補正する振れ補正機能付き光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末や車両、無人ヘリコプターなどの移動体に搭載される光学ユニットの中には、光学ユニットの揺れに起因する撮影画像の乱れを抑制するために、光学素子を揺動させて振れを補正するものがある。特許文献1に記載の振れ補正機能付き光学ユニットは、光学素子を備える可動体と、可動体を揺動可能に支持する揺動支持機構と、揺動支持機構を介して可動体を支持する固定体と、可動体を揺動させる磁気駆動機構を備える。揺動支持機構はジンバル機構であり、可動体を、予め設定した軸線と光学素子の光軸とが一致する原点位置と、軸線に対して光軸が傾斜する傾斜位置との間で揺動可能に支持する。磁気駆動機構は、可動体に固定されたコイルと、固定体に固定されてコイルに対向する磁石とを備える。
【0003】
特許文献1の振れ補正機能付き光学ユニットは、磁気駆動機構のコイルを間に挟んで磁気駆動機構の磁石と対向する磁性部材を備える。磁性部材と磁石は、可動体を原点位置に復帰させるための磁気バネを構成する。特許文献1では、磁性部材は可動体に配置され、磁石は固定体に配置される。可動体が原点位置から傾くと、磁性部材の中心は、径方向から見て磁石の着磁分極線からずれるため、可動体には、原点位置に復帰させる方向の磁気吸引力が働く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-189816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
磁気バネを設けるために可動体に磁性部材を配置する場合には、可動体の揺動中心に対してバランスよく磁性部材を配置できないと、磁気バネの磁気吸引力によって振れ補正機能付き光学ユニットの特性が悪化する。例えば、小型化のために磁性部品を1箇所のみ配置すると、可動体が磁性部品が配置されている方向に吸い寄せられて、光学素子の光軸と可動体の揺動中心とがずれてしまう。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、磁気バネを小型化でき、磁気バネを設けたことによる光軸ずれの発生を回避することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットは、光学素子を備える可動体と、前記可動体を揺動可能に支持する揺動支持機構と、前記揺動支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、前記可動体を揺動させる磁気駆動機構と、前記可動体を、予め設定した軸線と前記光学素子の光軸とが一致する原点位置に復帰させるための磁気バネと、を有し、前記磁気バネは、前記可動体と前記固定体のうちの一方に配置される原点復帰用磁石、および、前記可動体と前記固定体のうちの他方に配置され前記原点復帰用磁石との間に磁気吸引力が作用する被吸引部材を備え、前記被吸引部材および前記原点復帰用磁石は、前記光軸上に配置され、前記光軸方向に対向することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、磁気バネを構成する被吸引部材と原点復帰用磁石は、光軸上に配置さ
れ、光軸方向に対向する。従って、被吸引部材と原点復帰用磁石がそれぞれ1箇所のみ配置されるので、磁気バネを小型化できる。また、被吸引部材が原点復帰用磁石に吸着される吸着方向は光軸方向であるため、磁気吸引力による光軸ずれを回避できる。従って、磁気バネを設けたことによる光軸ずれを回避できる。さらに、原点復帰用磁石は、磁気駆動機構を構成する磁石と兼用しないので、単極着磁の磁石でもよい。よって、安価な磁石を使用できる。
【0009】
本発明において、前記被吸引部材は、磁性部材であることが好ましい。金属板などの磁性部材を用いれば、被吸引部材を小型化できる。従って、磁気バネを小型化できる。
【0010】
本発明において、前記磁性部材および前記原点復帰用磁石は、相似形であることが好ましい。このようにすると、磁性部材と原点復帰用磁石の位置決めが容易である。
【0011】
本発明において、前記磁性部材および前記原点復帰用磁石は、矩形であることが好ましい。このようにすると、磁性部材と原点復帰用磁石を製造しやすい。
【0012】
本発明において、前記磁気駆動機構は、前記光軸に直交する第1揺動軸回りに前記可動体を揺動させる第1磁気駆動機構と、前記光軸に直交し且つ前記第1揺動軸に交差する第2揺動軸回りに前記可動体を揺動させる第2磁気駆動機構と、を有し、前記可動体を前記第1揺動軸回りに所定角度揺動させるための前記第1磁気駆動機構の駆動電流は、前記可動体を前記第2揺動軸回りに前記所定角度揺動させるための前記第2磁気駆動機構の駆動電流よりも小さく、前記磁性部材および前記原点復帰用磁石は、長方形であり、前記長方形の短辺方向は、前記第1揺動軸に沿う方向であり、前記長方形の長辺方向は、前記第2揺動軸に沿う方向であることが好ましい。このようにすると、磁気バネの原点復帰力を、可動体の揺動負荷に対応する大きさにするように、磁気バネの平面形状を最適化できる。従って、磁気バネの小型化および軽量化を図ることができる。
【0013】
本発明において、前記可動体に接続されるフレキシブルプリント基板を備え、前記磁性部材および前記原点復帰用磁石は、長方形であり、前記長方形の短辺方向は、前記フレキシブルプリント基板の引き出し方向であり、前記長方形の長辺方向は、前記引き出し方向に直交する方向であることが好ましい。このようにすると、磁気バネの原点復帰力を、フレキシブルプリント基板による可動体の揺動負荷に対応する大きさにするように、磁気バネの平面形状を最適化できる。従って、磁気バネの小型化および軽量化を図ることができる。
【0014】
本発明において、前記揺動支持機構は、ジンバル機構である。ジンバル機構を用いることにより、揺動支持機構の設置スペースを確保しやすいので、光学ユニットを小型化できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、磁気バネを構成する被吸引部材と原点復帰用磁石は、光軸上に配置され、光軸方向に対向する。従って、被吸引部材と原点復帰用磁石がそれぞれ1箇所のみ配置されるので、磁気バネを小型化できる。また、被吸引部材が原点復帰用磁石に吸着される吸着方向は光軸方向であるため、磁気吸引力による光軸ずれを回避できる。従って、磁気バネを設けたことによる光軸ずれを回避できる。さらに、原点復帰用磁石は、磁気駆動機構を構成する磁石と兼用しないので、単極着磁の磁石でもよい。よって、安価な磁石を使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットを光軸を含む面で切断した断面図である。
図2図1の振れ補正機能付き光学ユニットを光軸に垂直な面で切断した断面図である。
図3】可動体、磁気バネ、およびフレキシブルプリント基板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(全体構成)
以下に、図面を参照して、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット1の実施形態を説明する。図1は、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット1を光軸Lを含む面で切断した断面図である。図2は、図1の振れ補正機能付き光学ユニット1を光軸Lに垂直な面で切断した断面図である。
【0018】
図1図2に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1(以下、光学ユニット1という)は、光学素子2および撮像素子10を備える可動体3と、可動体3を揺動可能に支持する揺動支持機構4と、揺動支持機構4を介して可動体3を支持する固定体5と、を備える。また、光学ユニット1は、可動体3を揺動させる磁気駆動機構6と、可動体3を振れ補正の原点位置に復帰させる磁気バネ7と、可動体3に接続されるフレキシブルプリント基板8、9を備える。
【0019】
可動体3は、揺動支持機構4により、予め定めた軸線Z0と光学素子2の光軸Lとが一致する原点位置、および、軸線Z0に対して光軸Lが所定の角度(例えば、3°)傾斜する最大傾斜位置の間で揺動可能に支持される。光学ユニット1では、磁気駆動機構6に通電する駆動電流を制御して、原点位置と最大傾斜位置との間で可動体3を揺動させる。本形態では、軸線Z0は固定体5の中心軸線である。図1図2は、可動体3が原点位置に停止し、光軸Lと軸線Z0が一致している状態を示す。
【0020】
図1に示すように、光軸L方向の一方側L1は光学ユニット1の被写体側であり、他方側L2は反被写体側(像側)である。本明細書において、XYZの3軸は互いに直交する方向である。軸線Z0はZ軸方向と一致する。光学ユニット1は、可動体3をX軸回りおよびY軸回りに揺動させて振れ補正を行う。本明細書において、X軸は第1揺動軸であり、Y軸は第2揺動軸である。
【0021】
光学ユニット1は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ドライブレコーダー等の光学機器や、ヘルメット、自転車、ラジコンヘリコプター等の移動体に搭載されるアクションカメラやウエアラブルカメラ等の光学機器に用いられる。このような光学機器では、撮影時に光学機器の振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。光学ユニット1は、撮影画像が傾くことを回避するため、光学素子2の傾きを補正する。
【0022】
(揺動支持機構)
揺動支持機構4は、ジンバル機構である。図2に示すように、本形態では、可動体3は、固定体5の中央に配置される。可動体3は、揺動支持機構4により、軸線Z0と交差する第1軸線R1回りに揺動可能に支持されるとともに、軸線Z0および第1軸線R1と交差する第2軸線R2回りに揺動可能に支持される。第1軸線R1および第2軸線R2は、固定体5の対角方向であり、固定体5の中心軸線である軸線Z0と直交する。また、第1軸線R1および第2軸線R2は、互いに直交する。本形態では、第1軸線R1回りの回転と第2軸線R2回りの回転を合成することにより、可動体3をX軸回りおよびY軸回りに揺動させる。これにより、X軸回り(第1揺動軸回り)の振れ補正、およびY軸回り(第2揺動軸回り)の振れ補正を行う。
【0023】
図2に示すように、揺動支持機構4は、可動体3を固定体5に対して組み付けたときに
第1軸線R1方向で離間する2か所に配置される第1揺動支持部41と、第2軸線R2方向で離間する2か所に配置される第2揺動支持部42と、第1揺動支持部41および第2揺動支持部42によって支持される可動枠43を備える。可動枠43はジンバルばねである。可動枠43は、第1軸線R1方向の対角位置に設けられた第1支点部44と、第2軸線R2方向の対角位置に設けられた第2支点部45と、軸線Z0回りで隣り合う第1支点部44と第2支点部45を繋ぐ4か所の連結部46を備える。連結部46は蛇行部を備えており、軸線Z0に対して直交する方向に弾性変形可能である。
【0024】
可動枠43の第1支点部44と第2支点部45には、溶接等によって金属製の球体47が固定される。第1揺動支持部41は可動体3に設けられており、第2揺動支持部42は固定体に設けられている。第1揺動支持部41には、第1支点部44の球体47と第1軸線R1方向に点接触する凹曲面(図示省略)が設けられている。また、第2揺動支持部42には、第2支点部45の球体47と第2軸線R2方向に点接触する凹曲面(図示省略)が設けられている。各凹曲面は接点ばねなどの弾性部材に設けられており、球体47に弾性接触する。これにより、可動体3と固定体5とが揺動支持機構4を介して接続される。
【0025】
(固定体)
図1図2に示すように、固定体5は、可動体3の外周側を囲む筒状の第1ケース11と、第1ケース11の反被写体側(像側)の端部に固定される第2ケース12を備える。第1ケース11は、X軸方向に対向する側板13、14と、Y軸方向に対向する側板15、16とを備える。Y軸方向に対向する側板15、16の内周面には、それぞれ、第1駆動用磁石61Xが固定される。また、X軸方向に対向する側板13、14の内周面には、それぞれ、第2駆動用磁石61Yが固定される。第1ケース11は磁性材料から構成されているので、第1駆動用磁石61Xおよび第2駆動用磁石61Yに対するヨークとして機能する。
【0026】
図2に示すように、第2ケース12は、第2軸線R2上の対角位置に配置される接点部材保持部17を備える。接点部材保持部17には、揺動支持機構4の第2揺動支持部42を構成する接点ばねなどの弾性部材(図示省略)が保持される。
【0027】
(可動体)
図2に示すように、可動体3は、光学モジュール31と、光学モジュール31を保持するホルダ32を備える。光学モジュール31は、レンズなどの光学素子2と、光学素子2の光軸L上に配置される撮像素子10を備える。ホルダ32は、光学モジュール31が嵌まる保持孔が設けられた枠部33と、枠部33のX軸方向の両端から被写体側L1に立ち上がりY軸方向に延在する一対の壁部35、36と、枠部33のY軸方向の両端から被写体側L1に立ち上がりX軸方向に延在する一対の壁部37、38とを備える。
【0028】
各壁部35、36、37、38において径方向の外側を向く外側面には、コイル固定部39が設けられている。Y軸方向に対向する壁部37、38のコイル固定部39には、それぞれ、第1駆動用コイル62Xが固定される。X軸方向に対向する壁部35、36のコイル固定部39には、それぞれ、第2駆動用コイル62Yが固定される。また、壁部35のコイル固定部39、および、壁部37のコイル固定部39には、ホール素子63が固定される。
【0029】
ホルダ32は、枠部33の第1軸線R1上の対角位置に配置される接点部材保持部34を備える。接点部材保持部34には、揺動支持機構4の第1揺動支持部41を構成する接点ばねなどの弾性部材(図示省略)が保持される。
【0030】
可動体3の反被写体側L2の部分からは、フレキシブルプリント基板8、9がX軸方向
に引き出されている。フレキシブルプリント基板8、9は、可動体3の揺動が可能となるように撓んだ形状に引き回されており、第1ケース11および第2ケース12の外部に引き出されている。フレキシブルプリント基板8には、撮像素子10に接続される信号線や給電線が設けられている。また、フレキシブルプリント基板9には、磁気駆動機構6の第1駆動用コイル62Xおよび第2駆動用コイル62Yに接続される給電線が設けられている。
【0031】
(磁気駆動機構)
磁気駆動機構6は、可動体3をX軸回り(第1揺動軸回り)に揺動させる第1磁気駆動機構6X、および、可動体3をY軸回り(第2揺動軸回り)に揺動させる第2磁気駆動機構6Yを備える。第1磁気駆動機構6Xは、Y軸方向で対向する第1駆動用磁石61Xと第1駆動用コイル62Xとからなる組を2組備える。2つの第1駆動用コイル62Xは、通電時にX軸回りの同一方向の磁気駆動力が発生するように配線接続されている。また、第2磁気駆動機構6Yは、Y軸方向で対向する第2駆動用磁石61Yと第2駆動用コイル62Yとからなる組を2組備える。2つの第2駆動用コイル62Yは、通電時にY軸回りの同一方向の磁気駆動力が発生するように配線接続されている。
【0032】
図1に示すように、第1駆動用磁石61Xおよび第2駆動用磁石61Yは、Z軸方向に2つに分極着磁されている。従って、第1駆動用磁石61Xおよび第2駆動用磁石61Yは、内周面側の磁極が軸線Z0と垂直で周方向に延びる着磁分極線61aを境にして異なるように着磁されている。第1駆動用コイル62Xおよび第2駆動用コイル62Yは空芯コイルであり、+Z方向側および-Z方向側の長辺部分が有効辺として利用される。可動体3が原点位置のときに、各ホール素子63は、各ホール素子63の外周側に位置する磁石の着磁分極線61aと対向する。
【0033】
磁気駆動機構6は、第1駆動用コイル62Xに通電することにより、光学モジュール31備えた可動体3をX軸回りに揺動させる。また、第2駆動用コイル62Yに通電することにより、光学モジュール31備えた可動体3をY軸回りに揺動させる。これにより、X軸回りの振れ補正、およびY軸回りの振れ補正を行う。
【0034】
なお、磁気駆動機構6は、第1駆動用コイル62Xおよび第2駆動用コイル62Yが固定体5に設けられ、第1駆動用磁石61Xおよび第2駆動用磁石61Yが可動体3に設けられている構成を採用してもよい。
【0035】
光学ユニット1では、上記のように、可動体3からX軸方向にフレキシブルプリント基板8、9が引き出されている。そのため、フレキシブルプリント基板8、9をX軸回り(第1揺動軸回り)に撓ませるための負荷は、フレキシブルプリント基板8、9をY軸回り(第2揺動軸回り)に撓ませるための負荷よりも小さい。従って、可動体3をX軸回り(第1揺動軸回り)に揺動させるときの揺動負荷は、可動体3をY軸回り(第2揺動軸回り)に揺動させるときの揺動負荷よりも小さい。
【0036】
磁気駆動機構6は、可動体3をX軸回りに最大揺動角度(例えば、3°)揺動させるための駆動電流をCxとし、可動体3をX軸回りに最大揺動角度(例えば、3°)揺動させるための駆動電流をCyとした場合に、駆動電流Cx、Cyは、揺動負荷の大小に応じて設定されている。本形態では、上記のように、X軸回りの揺動負荷は、Y軸回りの揺動負荷よりも小さいので、駆動電流Cxは、駆動電流Cyよりも小さい。例えば、駆動電流Cxが30mAである場合に、駆動電流Cyは60mAである。
【0037】
(磁気バネ)
図1に示すように、磁気バネ7は、可動体3に配置される磁性部材71と、固定体5に
配置される原点復帰用磁石72を備える。磁性部材71は、磁性金属からなる薄板であり、可動体3の反被写体側L2の端面(底面)に配置される。原点復帰用磁石72は、磁性部材71と光軸L方向に対向し、第2ケース12に配置される。磁性部材71および原点復帰用磁石72は、光軸L上に配置され、光軸L方向に対向する。磁性部材71は、原点復帰用磁石72との間に磁気吸引力が作用する被吸引部材である。原点復帰用磁石72は、単極着磁された磁石である。
【0038】
図3は、可動体3、磁気バネ7、およびフレキシブルプリント基板8、9の平面図である。図3に示すように、磁性部材71および原点復帰用磁石72は、光軸L方向から見た平面形状が矩形である。本形態では、磁性部材71と原点復帰用磁石72は相似形であり、磁性部材71の中心および原点復帰用磁石72は、光軸L上に位置する。なお、本形態では、磁性部材71の方が原点復帰用磁石72よりも小さいが、このような寸法に限定されるものではない。
【0039】
磁気バネ7は、磁気駆動機構6への通電を切った状態で、磁性部材71と原点復帰用磁石72との間に作用する磁気吸引力によって、可動体3を原点位置に復帰させるように構成されている。上記のように、本形態では、可動体3の揺動負荷がX軸回りとY軸回りで異なっており、X軸回りの揺動負荷は、Y軸回りの揺動負荷よりも小さい。そこで、磁気バネ7は、X軸回りの磁気吸引力が、Y軸回りの磁気吸引力よりも小さくなるように、磁性部材71と原点復帰用磁石72の形状が最適化されている。すなわち、磁性部材71および原点復帰用磁石72は長方形であり、磁性部材71および原点復帰用磁石72の長辺方向は、Y軸方向(第2揺動軸方向)である。また、磁性部材71および原点復帰用磁石72の短辺方向は、X軸方向(第1揺動軸方向)である。
【0040】
(本形態の主な作用効果)
以上のように、本形態の光学ユニット1は、光学素子2を備える可動体3と、可動体3を揺動可能に支持する揺動支持機構4と、揺動支持機構4を介して可動体3を支持する固定体5と、可動体3を揺動させる磁気駆動機構6と、可動体3を、予め設定した軸線Z0と光学素子2の光軸Lとが一致する原点位置に復帰させるための磁気バネ7と、を有する。磁気バネ7は、固定体5に配置される原点復帰用磁石72、および、可動体3に配置されて原点復帰用磁石72との間に磁気吸引力が作用する被吸引部材である磁性部材71を備える。磁性部材71および原点復帰用磁石72は、光軸L上に配置され、光軸L方向に対向する。
【0041】
本形態によれば、磁気バネ7を構成する磁性部材71(被吸引部材)と原点復帰用磁石72が光軸L上に配置され、光軸方向に対向する。従って、磁性部材71と原点復帰用磁石72をそれぞれ1箇所のみ配置するだけで磁気バネ7を構成できるので、磁気バネ7を小型化できる。また、磁性部材71が原点復帰用磁石72に吸着される吸着方向は光軸L方向であるため、磁気吸引力による光軸ずれを回避できる。従って、磁気バネ7を設けたことによる光軸ずれを回避できる。さらに、原点復帰用磁石72は、磁気駆動機構6の磁石(第1駆動用磁石61X、第2駆動用磁石61Y)と兼用しないので、単極着磁の磁石でもよい。よって、安価な磁石を使用できる。また、被吸引部材として磁性部材71を用いるので、磁気バネ7を小型化できる。
【0042】
なお、磁気バネ7を構成する磁性部材71および原点復帰用磁石72の配置は、本形態とは逆でもよい。すなわち、可動体3の底部に原点復帰用磁石72が配置され、第2ケース12に磁性部材71が配置される構成を採用してもよい。
【0043】
本形態では、磁性部材71および原点復帰用磁石72は、相似形である。従って、磁性部材71と原点復帰用磁石72の位置決めが容易である。また、磁性部材71および原点
復帰用磁石72は、矩形である。従って、磁性部材71と原点復帰用磁石72の製造が容易である。
【0044】
本形態では、磁気駆動機構6は、光軸Lに直交するX軸(第1揺動軸)回りに可動体3を揺動させる第1磁気駆動機構6Xと、光軸Lに直交し且つX軸(第1揺動軸)に直交するY軸(第2揺動軸)回りに可動体3を揺動させる第2磁気駆動機構6Yと、を有している。可動体3をX軸(第1揺動軸)回りに最大傾斜角度(所定角度)揺動させるための第1磁気駆動機構6Xの駆動電流Cxは、可動体3をY軸(第2揺動軸)回りに最大傾斜角度(所定角度)揺動させるための第2磁気駆動機構6Yの駆動電流Cyよりも小さい。本形態では、このように、可動体3を傾斜させるための傾斜感度が揺動方向によって異なっており、磁気バネ7の形状は、揺動方向による傾斜感度の違いを考慮して最適化されている。なお、第2揺動軸は、第1揺動軸に直交していなくてもよく、第1揺動軸に交差する方向であればよい。
【0045】
すなわち、本形態では、磁性部材71および原点復帰用磁石72は、長方形であり、長辺方向は、Y軸(第2揺動軸)に沿う方向であり、短辺方向は、X軸(第1揺動軸)に沿う方向である。このように、傾斜感度が小さい方向を長辺方向とし、傾斜感度が大きい方向を短辺方向とすれば、傾斜感度が小さい方向の原点復帰力を、傾斜感度が大きい方向の原点復帰力よりも大きくすることができる。よって、磁性部材71および原点復帰用磁石72の形状が最適化されているので、磁気バネ7の小型化および軽量化を図ることができる。
【0046】
本形態では、可動体3に接続されるフレキシブルプリント基板8、9を備えている。磁性部材71および原点復帰用磁石72は、長方形であり、短辺方向は、フレキシブルプリント基板8、9の引き出し方向(X軸方向)であり、長辺方向は、引き出し方向に直交する方向(Y軸方向)である。本形態では、このように、可動体3がX軸回りに揺動するときと、Y軸回りに揺動するときとで、フレキシブルプリント基板8、9が異なる形状に撓むように構成されている。そのため、X軸回りの揺動負荷と、Y軸回りの揺動負荷が異なるので、この点を考慮して、磁気バネ7の形状が最適化されている。
【0047】
すなわち、光学ユニット1では、フレキシブルプリント基板8、9の引き出し方向と直交するY軸回りの揺動負荷は、フレキシブルプリント基板8、9の引き出し方向に延びるX軸回りの揺動負荷よりも大きい。従って、フレキシブルプリント基板8、9の引き出し方向と直交する方向を長辺方向とし、引き出し方向を短辺方向とすれば、揺動負荷が大きい方向の原点復帰力を、揺動負荷が小さい方向の原点復帰力よりも大きくすることができる。よって、磁性部材71および原点復帰用磁石72の形状が最適化されているので、磁気バネ7の小型化および軽量化を図ることができる。
【0048】
本形態では、可動体3を揺動可能に支持する揺動支持機構4は、ジンバル機構である。ジンバル機構を用いることにより、揺動支持機構4の設置スペースを確保しやすく、光学ユニット1を小型化できる。
【0049】
(他の実施形態)
上記形態では、原点復帰用磁石との間に磁気吸引力が作用する被吸引部材は、金属板などの磁性部材71であったが、被吸引部材として、コイルを用いることもできる。
【符号の説明】
【0050】
1…光学ユニット、2…光学素子、3…可動体、4…揺動支持機構、5…固定体、6…磁気駆動機構、6X…第1磁気駆動機構、6Y…第1磁気駆動機構、7…磁気バネ、8、9…フレキシブルプリント基板、10…撮像素子、11…第1ケース、12…第2ケース、
13、14、15、16…側板、17…接点部材保持部、31…光学モジュール、32…ホルダ、33…枠部、34…接点部材保持部、35、35、36、37…壁部、39…コイル固定部、41…第1揺動支持部、42…第2揺動支持部、43…可動枠、44…第1支点部、45…第2支点部、46…連結部、47…球体、61X…第1駆動用磁石、61Y…第2駆動用磁石、61a…着磁分極線、62X…第1駆動用コイル、62Y…第2駆動用コイル、63…ホール素子、71…磁性部材(被吸引部材)、72…原点復帰用磁石、Cx…駆動電流、Cy…駆動電流、L…光軸、R1…第1軸線、R2…第2軸線、Z0…軸線
図1
図2
図3