(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】車両用前照灯
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/12 20060101AFI20240502BHJP
【FI】
B60Q1/12 100
(21)【出願番号】P 2020108069
(22)【出願日】2020-06-23
【審査請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】宇賀神 佑太
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-270383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の配光パターンを形成する光を出射する発光ユニットと、
検出装置によって検出される車両の走行情報を基に、前記車両が曲線路を走行している状態か否かを判定する判定部と、
前記発光ユニットを制御する制御部と、
を備え、
前記配光パターンは、
前記曲線路を走行している前記車両の左右方向において前記車両が曲がる側とは反対側に位置する第1領域と、
前記曲線路を走行している前記車両の前記左右方向において前記車両が曲がる側に位置する第2領域と、
前記曲線路を走行している前記車両の前記左右方向において前記第1領域と前記第2領域との間に位置する領域であり、前記車両の前記左右方向における前記車両の中心を通り前記車両の前後に延びる直線が通る第3領域と、
を含み、
前記制御部は、前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態であると判定される場合において、前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態ではないと判定される場合よりも前記第1領域を形成する光の少なくとも一部の光量が減少するように、前記発光ユニットを制御
し、前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態ではないと判定される場合よりも前記第2領域を形成する光の少なくとも一部の光量が減少すると共に、前記第1領域を形成する光の少なくとも一部の減少量が前記第2領域を形成する光の少なくとも一部の減少量よりも多くなるように、前記発光ユニットを制御する
ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】
所定の配光パターンを形成する光を出射する発光ユニットと、
検出装置によって検出される車両の走行情報を基に、前記車両が曲線路を走行している状態か否かを判定する判定部と、
前記発光ユニットを制御する制御部と、
を備え、
前記配光パターンは、
前記曲線路を走行している前記車両の左右方向において前記車両が曲がる側とは反対側に位置する第1領域と、
前記曲線路を走行している前記車両の前記左右方向において前記車両が曲がる側に位置する第2領域と、
前記曲線路を走行している前記車両の前記左右方向において前記第1領域と前記第2領域との間に位置する領域であり、前記車両の前記左右方向における前記車両の中心を通り前記車両の前後に延びる直線が通る第3領域と、
前記車両の上下方向において前記第1領域の下方に位置する第4領域と、
を含み、
前記制御部は、前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態であると判定される場合において、前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態ではないと判定される場合よりも前記第1領域を形成する光の少なくとも一部の光量が減少するように、前記発光ユニットを制御
し、前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態ではないと判定される場合よりも前記第4領域を形成する光の少なくとも一部の光量が減少すると共に、前記第2領域を形成する光の少なくとも一部の減少量が前記第4領域を形成する光の少なくも一部の減少量よりも多くなるように、前記発光ユニットを制御する
ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項3】
所定の配光パターンを形成する光を出射する発光ユニットと、
検出装置によって検出される車両の走行情報を基に、前記車両が曲線路を走行している状態か否かを判定する判定部と、
前記発光ユニットを制御する制御部と、
を備え、
前記配光パターンは、
前記曲線路を走行している前記車両の左右方向において前記車両が曲がる側とは反対側に位置する第1領域と、
前記曲線路を走行している前記車両の前記左右方向において前記車両が曲がる側に位置する第2領域と、
前記曲線路を走行している前記車両の前記左右方向において前記第1領域と前記第2領域との間に位置する領域であり、前記車両の前記左右方向における前記車両の中心を通り前記車両の前後に延びる直線が通る第3領域と、
前記車両の上下方向において前記第2領域の下方に位置する第5領域と、
を含み、
前記制御部は、前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態であると判定される場合において、前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態ではないと判定される場合よりも前記第1領域を形成する光の少なくとも一部の光量が減少するように、前記発光ユニットを制御し、
前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態ではないと判定される場合よりも前記第5領域を形成する光の少なくとも一部の光量が減少すると共に、前記第2領域を形成する光の少なくとも一部の減少量が前記第5領域を形成する光の少なくとも一部の減少量よりも多くなるように、前記発光ユニットを制御する
ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項4】
所定の配光パターンを形成する光を出射する発光ユニットと、
検出装置によって検出される車両の走行情報を基に、前記車両が曲線路を走行している状態か否かを判定する判定部と、
前記発光ユニットを制御する制御部と、
を備え、
前記配光パターンは、
前記曲線路を走行している前記車両の左右方向において前記車両が曲がる側とは反対側に位置する第1領域と、
前記曲線路を走行している前記車両の前記左右方向において前記車両が曲がる側に位置する第2領域と、
前記曲線路を走行している前記車両の前記左右方向において前記第1領域と前記第2領域との間に位置する領域であり、前記車両の前記左右方向における前記車両の中心を通り前記車両の前後に延びる直線が通る第3領域と、
前記車両の上下方向において前記第3領域の下方に位置する第6領域と、
を含み、
前記制御部は、前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態であると判定される場合において、前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態ではないと判定される場合よりも前記第1領域を形成する光の少なくとも一部の光量が減少するように、前記発光ユニットを制御
し、前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態ではないと判定される場合よりも前記第6領域を形成する光の少なくとも一部の光量が減少すると共に、前記第2領域を形成する光の少なくとも一部の減少量が前記第6領域を形成する光の少なくとも一部の減少量よりも多くなるように、前記発光ユニットを制御する
ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項5】
所定の配光パターンを形成する光を出射する発光ユニットと、
検出装置によって検出される車両の走行情報を基に、前記車両が曲線路を走行している状態か否かを判定する判定部と、
前記発光ユニットを制御する制御部と、
を備え、
前記配光パターンは、
前記曲線路を走行している前記車両の左右方向において前記車両が曲がる側とは反対側に位置する第1領域と、
前記曲線路を走行している前記車両の前記左右方向において前記車両が曲がる側に位置する第2領域と、
前記曲線路を走行している前記車両の前記左右方向において前記第1領域と前記第2領域との間に位置する領域であり、前記車両の前記左右方向における前記車両の中心を通り前記車両の前後に延びる直線が通る第3領域と、
を含み、
前記制御部は、前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態であると判定される場合において、前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態ではないと判定される場合よりも前記第1領域を形成する光の少なくとも一部の光量が減少するように、前記発光ユニットを制御
し、前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態であると判定される場合と前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態ではないと判定される場合とにおいて、前記第3領域を形成する光の少なくとも一部の光量が同じとなるように、前記発光ユニットを制御する
ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項6】
所定の配光パターンを形成する光を出射する
と共にオーバーヘッドサイン光を出射する発光ユニットと、
検出装置によって検出される車両の走行情報を基に、前記車両が曲線路を走行している状態か否かを判定する判定部と、
前記発光ユニットを制御する制御部と、
を備え、
前記配光パターンは、
前記曲線路を走行している前記車両の左右方向において前記車両が曲がる側とは反対側に位置する第1領域と、
前記曲線路を走行している前記車両の前記左右方向において前記車両が曲がる側に位置する第2領域と、
前記曲線路を走行している前記車両の前記左右方向において前記第1領域と前記第2領域との間に位置する領域であり、前記車両の前記左右方向における前記車両の中心を通り前記車両の前後に延びる直線が通る第3領域と、
を含み、
前記オーバーヘッドサイン光は前記車両の上下方向において前記第3領域よりも上方に出射され、
前記制御部は、前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態であると判定される場合において、前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態ではないと判定される場合よりも前記第1領域を形成する光の少なくとも一部の光量が減少するように、前記発光ユニットを制御
し、前記車両の前記左右方向における前記第3領域の幅が前記オーバーヘッドサイン光によって形成される配光パターンの幅と同じとなるように、前記発光ユニットを制御する
ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項7】
所定の配光パターンを形成する光を出射する発光ユニットと、
検出装置によって検出される車両の走行情報を基に、前記車両が曲線路を走行している状態か否かを判定する判定部と、
前記発光ユニットを制御する制御部と、
を備え、
前記配光パターンは、
前記曲線路を走行している前記車両の左右方向において前記車両が曲がる側とは反対側に位置する第1領域と、
前記曲線路を走行している前記車両の前記左右方向において前記車両が曲がる側に位置する第2領域と、
前記曲線路を走行している前記車両の前記左右方向において前記第1領域と前記第2領域との間に位置する領域であり、前記車両の前記左右方向における前記車両の中心を通り前記車両の前後に延びる直線が通
り、ホットゾーンを含む第3領域と、
を含み、
前記制御部は、前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態であると判定される場合において、前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態ではないと判定される場合よりも前記第1領域を形成する光の少なくとも一部の光量が減少するように、前記発光ユニットを制御する
ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項8】
前記配光パターンを形成する光は、ロービームである
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の車両用前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用前照灯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光源から出射する光によって形成される配光パターンを変化させる車両用前照灯が知られている。このような車両用前照灯は、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載される車両用前照灯は、所定の配光パターンを形成する光を出射する複数の光源と、車両が走行する交通シーンをカメラで撮影された画像から判断し、配光パターンを交通シーンごとに予め設定された目標の配光パターンに変化させる制御部とを備える。この車両用前照灯では、交通シーン毎に設定される配光パターンによって、ドライバー及び歩行者に安全で快適な配光が実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される車両用前照灯において、配光パターンが交通シーンに合わせて変化しているが、配光パターンを形成する光の光量が過剰であると、車両用前照灯の電力消費の点で問題となり得る。近年では、車両の走行距離を延ばすためにも、運転者の視認性が確保されて車両の走行に支障をきたさない範囲で、車両用前照灯の消費電力の低減が求められている。特に、車両用前照灯が電気自動車に搭載される場合、車両用前照灯の消費電力の低減は重要なこととなり得る。
【0005】
そこで、本発明は、消費電力を低減し得る車両用前照灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の車両用前照灯は、所定の配光パターンを形成する光を出射する発光ユニットと、検出装置によって検出される車両の走行情報を基に、前記車両が曲線路を走行している状態か否かを判定する判定部と、前記発光ユニットを制御する制御部と、を備え、前記配光パターンは、前記曲線路を走行している前記車両の左右方向において前記車両が曲がる側とは反対側に位置する第1領域と、前記曲線路を走行している前記車両の前記左右方向において前記車両が曲がる側に位置する第2領域と、前記曲線路を走行している前記車両の前記左右方向において前記第1領域と前記第2領域との間に位置する領域であり、前記車両の前記左右方向における前記車両の中心を通り前記車両の前後に延びる直線が通る第3領域と、を含み、前記制御部は、前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態であると判定される場合において、前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態ではないと判定される場合よりも前記第1領域を形成する光の少なくとも一部の光量が減少するように、前記発光ユニットを制御することを特徴とする。
【0007】
車両が曲線路を走行する場合、配光パターンにおいて、第3領域には直線が通るため、第1領域は車両が曲がる側とは反対側に位置する領域となり、第2領域は車両が曲がる側に位置する領域となる。車両が曲線路を走行し、第1領域及び第3領域が曲線路の走行車線側の車道外側線に投影される場合において、車道外側線は、第3領域を形成する光を照射された後、車両の進行によって第1領域を形成する光を照射される。この場合、運転者は、第1領域を形成する光よりも前に第3領域を形成する光によって車道外側線を認知し得る。また、車両が曲線路を走行している場合において、運転者の視線は第1領域よりも第3領域に集中し、運転者は第1領域に比べて第3領域に注意を払うことが多い。以上により、車両が曲線路を走行している状態では、車両が曲線路を走行していない状態と比べて、第1領域の明るさの必要性は低下し得る。このためこの車両用前照灯において、車両が曲線路を走行している状態では、車両が曲線路を走行していない状態と比べて、第1領域を形成する光の光量は減少している。第1領域を形成する光の光量が減少すると、第1領域を形成する光の光量が減少しない場合に比べて、第1領域を形成する光を出射する発光ユニットに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯によれば、消費電力が低減され得る。
【0008】
また、前記制御部は、前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態であると判定される場合において、前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態ではないと判定される場合よりも前記第2領域を形成する光の少なくとも一部の光量が減少すると共に、前記第1領域を形成する光の少なくとも一部の減少量が前記第2領域を形成する光の少なくとも一部の減少量よりも多くなるように、前記発光ユニットを制御することが好ましい。
【0009】
車両が曲線路を走行し、第2領域及び第3領域が曲線路のセンターラインに投影される場合において、センターラインは、第3領域を形成する光を照射された後、車両の進行によって第2領域を形成する光を照射される。この場合、運転者は、第2領域を形成する光よりも前に第3領域を形成する光によってセンターラインを認知し得る。従って、車両が曲線路を走行している状態では、車両が曲線路を走行していない状態と比べて、第2領域の明るさの必要性は低下し得る。このため、この車両用前照灯において、車両が曲線路を走行している状態では、車両が曲線路を走行していない状態と比べて、第2領域を形成する光は、減少している。第2領域を形成する光の光量が減少すると、第2領域を形成する光の光量が減少しない場合に比べて、第2領域を形成する光を出射する発光ユニットに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯によれば、消費電力が低減され得る。また、第2領域は曲線路において車両の進行方向側に位置するため、運転者の視線は第1領域よりも第2領域に集中し、運転者は第1領域に比べて第2領域に注意を払うことが多い。従って、第1領域の明るさの必要性は、第2領域の明るさの必要性に比べて低下し得る。このため、この車両用前照灯において、車両が曲線路を走行している状態では、第1領域を形成する光の光量は、第2領域を形成する光の光量よりも多く減少している。第1領域を形成する光の光量が第2領域を形成する光の光量よりも多く減少すると、第1領域を形成する光の光量が第2領域を形成する光の光量よりも多く減少しない場合に比べて、運転者にとって注意を払う必要が第2領域に比べて低い第1領域を形成する光を出射する発光ユニットに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯によれば、消費電力が低減され得る。また、この車両用前照灯では、第2領域は第1領域よりも明るくなるため、第2領域は第1領域よりも明るくならない場合に比べて、運転者は対向車線に注目し易くなり得る。
【0010】
また、前記配光パターンは、前記車両の上下方向において前記第1領域の下方に位置する第4領域をさらに含み、前記制御部は、前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態であると判定される場合において、前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態ではないと判定される場合よりも前記第4領域を形成する光の少なくとも一部の光量が減少すると共に、前記第2領域を形成する光の少なくとも一部の減少量が前記第4領域を形成する光の少なくも一部の減少量よりも多くなるように、前記発光ユニットを制御することが好ましい。
【0011】
車両が曲線路を走行し、第4領域が曲線路の車道外側線に投影される場合において、車道外側線は、第3領域を形成する光を照射された後、車両の進行によって第4領域を形成する光を照射される。この場合、運転者は、第4領域を形成する光よりも前に第3領域を形成する光によって車道外側線を認知し得る。従って、車両が曲線路を走行している状態では、車両が曲線路を走行していない状態と比べて、第4領域の明るさの必要性は低下し得る。このため、この車両用前照灯において、車両が曲線路を走行している状態では、車両が曲線路を走行していない状態と比べて、第4領域を形成する光の光量は、減少している。第4領域を形成する光の光量が減少すると、第4領域を形成する光の光量が減少しない場合に比べて、第4領域を形成する光を出射する発光ユニットに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯によれば、消費電力が低減され得る。また、第4領域が車道外側線に投影される場合、第4領域は、第1領域における車道外側線よりも車両の進行方向における手前に位置する車道外側線に投影される。手前に位置する車道外側線は、運転者に安心感を与える観点から、第2領域を形成する光よりも明るい光によって運転者に目視されることが望まれている。従って、この車両用前照灯において、車両10が曲線路210を走行している状態では、第2領域を形成する光の光量は第4領域を形成する光の光量よりも多く減少し、第4領域は第2領域よりも明るくされている。第2領域を形成する光の光量が第4領域を形成する光の光量よりも多く減少すると、第2領域を形成する光の光量が第4領域を形成する光の光量よりも多く減少しない場合に比べて、第2領域を形成する光を出射する発光ユニットに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯によれば、消費電力が低減され得る。また、この車両用前照灯では、第4領域は第2領域よりも明るくなるため、第4領域は第2領域よりも明るくならない場合に比べて、車道外側線は明るくなり得、運転者は車道外側線に注目し易くなり得、運転者は安心感を与えられ得る。
【0012】
或いは、前記配光パターンは、前記車両の上下方向において前記第2領域の下方に位置する第5領域をさらに含み、前記制御部は、前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態であると判定される場合において、前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態ではないと判定される場合よりも前記第5領域を形成する光の少なくとも一部の光量が減少すると共に、前記第2領域を形成する光の少なくとも一部の減少量が前記第5領域を形成する光の少なくとも一部の減少量よりも多くなるように、前記発光ユニットを制御することが好ましい。
【0013】
車両が曲線路を走行し、第5領域が曲線路のセンターラインに投影される場合において、センターラインは、第3領域を形成する光を照射された後、車両の進行によって第5領域を形成する光を照射される。この場合、運転者は、第5領域を形成する光よりも前に第3領域を形成する光によってセンターラインを認知し得る。従って、車両が曲線路を走行している状態では、車両が曲線路を走行していない状態と比べて、第5領域の明るさの必要性は低下し得る。このため、この車両用前照灯において、車両が曲線路を走行している状態では、車両が曲線路を走行していない状態と比べて、第5領域を形成する光の光量は、減少している。第5領域を形成する光の光量が減少すると、第5領域を形成する光の光量が減少しない場合に比べて、第5領域を形成する光を出射する発光ユニットに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯によれば、消費電力が低減され得る。また、第5領域がセンターラインに投影される場合、第5領域は、第2領域におけるセンターラインよりも車両の進行方向における手前に位置するセンターラインに投影される。手前に位置するセンターラインは、運転者に安心感を与える観点から、第2領域を形成する光よりも明るい光によって運転者に目視されることが望まれている。従って、この車両用前照灯において、車両が曲線路を走行している状態では、第2領域を形成する光の光量は第5領域を形成する光の光量よりも多く減少し、第5領域は第2領域よりも明るくされている。第2領域を形成する光の光量が第5領域を形成する光の光量よりも多く減少すると、第2領域を形成する光の光量が第5領域を形成する光の光量よりも多く減少しない場合に比べて、第2領域を形成する光を出射する発光ユニットに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯によれば、消費電力が低減され得る。また、この車両用前照灯では、第5領域は第2領域よりも明るくなるため、第5領域は第2領域よりも明るくならない場合に比べて、センターラインは明るくなり得、運転者はセンターラインに注目し易くなり得、運転者は安心感を与えられ得る。
【0014】
或いは、前記配光パターンは、前記車両の上下方向において前記第3領域の下方に位置する第6領域をさらに含み、前記制御部は、前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態であると判定される場合において、前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態ではないと判定される場合よりも前記第6領域を形成する光の少なくとも一部の光量が減少すると共に、前記第2領域を形成する光の少なくとも一部の減少量が前記第6領域を形成する光の少なくとも一部の減少量よりも多くなるように、前記発光ユニットを制御することが好ましい。
【0015】
車両が曲線路を走行している場合において、第6領域は第3領域よりも車両の進行方向における手前に投影される。曲線路を走行している車両がさらに進行すると、路面は、第3領域を形成する光を照射された後、第6領域を形成する光を照射される。この場合、運転者は、第6領域を形成する光よりも前に第3領域を形成する光によって路面を認知し得る。従って、車両が曲線路を走行している状態では、車両が曲線路を走行していない状態と比べて、第6領域の明るさの必要性は低下し得る。このため、この車両用前照灯において、車両が曲線路を走行している状態では、車両が曲線路を走行していない状態と比べて、第6領域を形成する光の光量は、減少している。第6領域を形成する光の光量が減少すると、第6領域を形成する光の光量が減少しない場合に比べて、第6領域を形成する光を出射する発光ユニットに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯によれば、消費電力が低減され得る。また、第6領域は、運転者に安心感を与える観点から、第2領域よりも明るくされることが望まれている。従って、この車両用前照灯において、車両が曲線路を走行している状態では、第2領域を形成する光の光量は、第6領域を形成する光の光量よりも多く減少し、第6領域は第2領域よりも明るくされている。第2領域を形成する光の光量が第6領域を形成する光の光量よりも多く減少すると、第2領域を形成する光の光量が第6領域を形成する光の光量よりも多く減少しない場合に比べて、第6領域を形成する光を出射する発光ユニットに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯によれば、消費電力が低減され得る。また、この車両用前照灯では、第6領域は第2領域よりも明るくなるため、第6領域は第2領域よりも明るくならない場合に比べて、手前側が明るくなり得、運転者は安心感を与えられ得る。
【0016】
或いは、前記制御部は、前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態であると判定される場合において、前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態であると判定される場合と前記判定部によって前記車両が前記曲線路を走行している状態ではないと判定される場合とにおいて、前記第3領域を形成する光の少なくとも一部の光量が同じとなるように、前記発光ユニットを制御することが好ましい。
【0017】
車両が曲線路を走行している場合と車両が曲線路を走行していない場合とにおいて、第3領域の明るさは同じとなる。従って、この車両用前照灯では、明るさの変化による運転者の視覚への負担が抑制され得る。また、この車両用前照灯では、制御部は、車両が曲線路を走行している場合と曲線路を走行していない場合とにおいて、発光ユニットに同じ電力を供給すればよい。従って、この車両用前照灯では、明るさが変わる場合に比べて、制御部の負担が軽減され得る。
【0018】
また、前記発光ユニットは、前記車両の上下方向において前記第3領域よりも上方にオーバーヘッドサイン光を出射し、前記制御部は、前記車両の前記左右方向における前記第3領域の幅が前記オーバーヘッドサイン光によって形成される配光パターンの幅と同じとなるように、前記発光ユニットを制御することが好ましい。
【0019】
この車両用前照灯では、第3領域の幅がオーバーヘッドサイン光によって形成される配光パターンの幅と異なる場合と比べて、制御部は、第3領域の幅を容易に設定できる。
【0020】
また、前記配光パターンを形成する光は、ロービームであってもよい。
【0021】
また、前記第3領域は、ホットゾーンを含んでもよい。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明によれば、消費電力を低減し得る車両用前照灯を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】
図2は、
図1に示す1つの発光ユニットを概略的に示す側面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す配光パターン形成部を概略的に示す正面図である。
【
図4】
図4は、車両用前照灯システムの動作を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、車両が直線路を走行している場合におけるロービームの配光パターン及びオーバーヘッドサイン光の配光パターンを示す図である。
【
図6】
図6は、車両が曲線路を走行している場合におけるロービームの配光パターン及びオーバーヘッドサイン光の配光パターンを示す図である。
【
図7】
図7は、曲線路を走行する車両を車両の上下方向における上側から見る場合の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る車両用前照灯の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができる。また、本発明は、以下に例示する実施形態における構成要素を適宜組み合わせてもよい。なお、理解の容易のため、それぞれの図において一部が誇張して記載される場合等がある。
【0025】
図1は、車両10を概念的に示す平面図である。
図1に示すように、車両10は車両用前照灯システム15を備えており、車両用前照灯システム15は車両用前照灯20及び検出装置100を備える。
【0026】
本実施形態の車両用前照灯20は、自動車用の前照灯とされる。車両用前照灯20は、車両10の前方部位の左右に配置される一対の発光ユニット30と、判定部40と、制御部50と、記録部60とを主に備える。なお、本明細書において「右」とは車両10の進行方向において右側を意味し、「左」とは車両10の進行方向において左側を意味する。
【0027】
一対の発光ユニット30は、車両10の左右方向において互いに概ね対称な形状とされる。本実施形態の一対の発光ユニット30は、ロービーム及びオーバーヘッドサイン光、またはハイビームを車両10の前方に出射する。オーバーヘッドサイン光は、車両10の上下方向においてロービームよりも上方に出射される。一対の発光ユニット30のうちの一方の発光ユニット30aの構成は、形状が概ね対称であることを除いて、一対の発光ユニット30のうちの他方の発光ユニット30bの構成と同じとされる。
【0028】
図2は、
図1に示す一方の発光ユニット30aを概略的に示す側面図である。
図2に示すように、発光ユニット30aは、筐体31と、配光パターン形成部33と、投影レンズ35とを主な構成として備える。なお、
図2において、筐体31及び投影レンズ35は鉛直断面にて示されている。
【0029】
筐体31は、ランプハウジング31a、フロントカバー31b、及びバックカバー31cを主な構成として備える。ランプハウジング31aの前方には開口が形成されており、当該開口を塞ぐようにフロントカバー31bがランプハウジング31aに固定されている。また、ランプハウジング31aの後方には前方の開口よりも小さな開口が形成されており、当該開口を塞ぐようにバックカバー31cがランプハウジング31aに固定されている。
【0030】
ランプハウジング31aとフロントカバー31bとバックカバー31cとによって、密閉された空間としての灯室31dが形成される。この灯室31dには、配光パターン形成部33及び投影レンズ35が収容される。バックカバー31cは、ランプハウジング31aの後方の開口を通じての配光パターン形成部33及び投影レンズ35の交換のために、ランプハウジング31aに対して開閉可能または着脱可能となっている。
【0031】
フロントカバー31bは透光性を有する材料で構成されており、配光パターン形成部33及び投影レンズ35から出射される光はフロントカバー31bを透過する。ランプハウジング31a及びバックカバー31cは、例えば、樹脂で構成される。
【0032】
図3は、
図2に示す配光パターン形成部33を概略的に示す正面図である。
図3に示すように、配光パターン形成部33は、光を出射する複数の発光素子33aと、複数の発光素子33aが実装される回路基板33bとを有する。複数の発光素子33aは、回路基板33bを介して制御部50に電気的に接続される。複数の発光素子33aは、マトリックス状に配置されて上下方向及び左右方向に列を形成し、前方に向かって光を出射する。これら発光素子33aは、出射する光の光量を、発光素子33aに供給される電力によって個別に変更可能とされている。本実施形態では、発光素子33aのそれぞれは、例えば、白色の光を出射するLED(Light Emitting Diode)とされる。従って、配光パターン形成部33はLEDアレイである。また、発光素子33aの数、発光素子33aの列の数、それぞれの発光素子33aの列における発光素子33aの数、発光素子33aが配列される方向、発光素子33aの種類は特に限定されるものではない。
【0033】
このような配光パターン形成部33は、光を出射する発光素子33aを選択することで、大きさ及び形状が変更可能な所定の配光パターンを形成する。また、配光パターン形成部33は、それぞれの発光素子33aから出射する光の光量を独立して調節することで、光量分布が変更可能な配光パターンを形成する。
【0034】
図2に戻り、発光ユニット30aの説明を続ける。発光ユニット30aにおける投影レンズ35は、配光パターン形成部33よりも前方に配置される。投影レンズ35は、入射面及び出射面が凸状に形成されたレンズとされる。投影レンズ35の後方焦点は、配光パターン形成部33におけるいずれかの発光素子33aの光の出射面上またはその近傍に位置している。投影レンズ35は、配光パターン形成部33から出射する光の発散角を調節する。配光パターン形成部33から出射する光は投影レンズ35に入射し、この光の発散角は投影レンズ35によって調節される。当該光は、フロントカバー31bを介して発光ユニット30から車両10の前方へ向けて出射する。
【0035】
【0036】
制御部50は、例えば、マイクロコントローラ、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large-scale Integrated Circuit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの集積回路やNC(Numerical Control)装置を用いることができる。また、制御部50は、NC装置を用いた場合、機械学習器を用いたものであってもよく、機械学習器を用いないものであってもよい。後述するように、制御部50は、一対の発光ユニット30を制御する。
【0037】
制御部50は、車両10に搭載される図示しないライトスイッチからの制御信号が入力されているか否かを判定する。制御信号は、一対の発光ユニット30からの光の出射の開始を指示する信号である。この光は、ロービーム及びオーバーヘッドサイン光、またはハイビームである。制御信号が制御部50に入力されている場合には、制御部50は一対の発光ユニット30を駆動させる。制御信号が制御部50に入力されていない場合、制御部50は、一対の発光ユニット30の駆動を停止させる。
【0038】
記録部60は、後述する各閾値及び地図情報を記録する。記録部60は、例えば非一過性(non-transitory)の記録媒体であり、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の半導体記録媒体が好適であるが、光学式記録媒体や磁気記録媒体等の任意の形式の記録媒体を包含し得る。なお、「非一過性」の記録媒体とは、一過性の伝搬信号(transitory, propagating signal)を除く全てのコンピュータ読み取り可能な記録媒体を含み、揮発性の記録媒体を除外するものではない。
【0039】
検出装置100は、カメラと、検出部とを備える。カメラは、車両10の前方部位に取り付けられ、車両10の前方を撮影する。カメラは、赤外線カメラであってもよい。カメラによって撮影される撮影画像には、一対の発光ユニット30から出射する光が照射される領域の少なくとも一部が含まれる。検出部は、カメラによって撮影された撮影画像から他車両の存在、車両10に対する当該他車両の位置を検出する。検出部の構成は、例えば、制御部50と同じ構成である。
【0040】
検出装置100は、ステアリングセンサをさらに備える。ステアリングセンサは、車両10の電子制御装置を介して制御部50に電気的に接続されても良い。ステアリングセンサは、車両10のステアリングホイールの回転方向及び回転角度を検知するセンサである。ステアリングホイールの回転方向及び回転角度は車両10が曲がる方向及び車両10の操舵角に対応するため、ステアリングセンサは、車両10が曲がる方向及び車両10の操舵角を検知するセンサでもある。車両10が曲がる方向及び車両10の操舵角は車両10の走行状況を示す走行状況情報を示し、走行状況情報は走行情報と理解できる。従って、検出装置100は、車両10の走行情報を検出すると理解できる。検出装置100のステアリングセンサは、刻々と変化し得る走行情報を示す信号を判定部40に随時出力する。
【0041】
走行情報が判定部40に入力されると、判定部40は、走行情報を基に、車両10が曲線路を走行している状態か否かを判定する。判定部40の構成は、例えば、制御部50と同じ構成である。
【0042】
ここで、判定の一例について説明する。
【0043】
走行情報が判定部40に入力されると、判定部40は、第1閾値である所定角を記録部60から読み出し、所定角と走行情報における車両10の操舵角とを比較する。判定部40は、車両10の操舵角が所定角以上である場合、第2閾値である所定時間を記録部60から読み出す。判定部40は、所定時間と車両10の同一方向への曲がり時間とを比較する。曲がり時間は、車両10の操舵角が所定角以上となってから、タイマーなどの計測部によって計測される時間である。曲がり時間が所定時間以上である場合、判定部40は、車両10が曲線路を走行している状態であることを示す信号を制御部50に出力する。曲がり時間が所定時間未満である場合、判定部40は、車両10が曲線路を走行していない状態であることを示す信号を制御部50に出力する。このように、判定部40は、車両10が例えば交差点において右折している状態ではなく、車両10の進行方向の例えば右側に曲がる曲線路を車両10が走行している状態であると判定する。このため、判定部40による判定とは、検出装置100から入力される走行情報に応じて、制御部50に出力する信号を変化させることと理解できる。
【0044】
なお、判定の他の例として、走行情報が判定部40に入力されると、判定部40は、走行情報から車両10が所定時間以内において連続して左曲がり及び右曲がりに走行しているか否かを判定してもよい。曲がりの順番は、左曲がりの後に右曲がりであってもよいし、右曲がりの後に左曲がりであってもよい。ここでいう車両10の走行状態は、車両10が交差点において左折または右折している状態から直進する状態に変化することではなく、車両10が迂曲路のような曲線路を走行している状態を示す。ここで、車両10が直線路を走行している場合、車両10の操舵角は0度となり、この0度の車両10の操舵角を基準角とする。所定時間以内において、車両10の操舵角が基準角に対してステアリングハンドルの右回りと左回りとの一方において所定角以上となった後に基準角に対してステアリングハンドルの右回りと左回りとの他方において所定角以上となると、判定部40は、車両10が迂曲路のような曲線路を走行している状態であることを示す信号を制御部50に出力する。
【0045】
このように、判定部40は、走行情報を基に、車両10が曲線路を走行している状態か否かを判定する。判定部40の判定結果は、信号として、制御部50に入力される。
【0046】
なお、走行状況情報は、車両10が曲がる方向及び車両10の操舵角として説明したが、車両10が曲がる方向及び車両10の操舵角に限定される必要はない。そこで、走行状況情報の他の例について、以下に説明する。
【0047】
例えば、走行状況情報として、車両10の現在位置の座標情報が挙げられる。この場合、検出装置100は、カーナビに使用される複数のGPS衛星から送信されたGPS信号を受信する受信機を備える。受信機は、これらGPS信号に基づいて車両10の現在位置の座標を検出し、車両10の現在位置の座標を示す信号を座標情報として判定部40に出力する。判定部40は、車両10の現在位置の座標と記録部60に記録される走行情報である地図情報とを基に、車両10が曲線路を走行している状態か否かを判定する。地図情報には曲線路が予め設定されており、判定部40は、車両10の現在位置の座標が地図情報における曲線路に位置するか否かを判定する。車両10の現在位置の座標が地図情報における曲線路に位置する場合、判定部40は、車両10が曲線路を走行している状態であることを示す信号を制御部50に出力する。
【0048】
走行情報は、走行状況情報に限定される必要はなく、車両10が走行している環境を示す走行環境情報であってもよい。走行環境情報の一例について、以下に説明する。
【0049】
曲線路には曲線路からの車両10の逸脱を抑制するためにガードレールが配置されることがあるため、走行環境情報として、ガードレールが存在していることを示すガードレールの存在情報が挙げられる。この場合、判定部40は、検出装置100のカメラによって撮影されるガードレールを基に、車両10が曲線路を走行している状態か否かを判定する。この場合、検出装置100の検出部は、カメラによって撮影される撮影画像におけるガードレールを検出する。次に、検出部がガードレールを検出した場合、検出部は、ガードレールの存在情報を示す信号を判定部40に出力する。ガードレールの存在情報が判定部40に入力されると、判定部40は、車両10が曲線路を走行していることを示す信号を制御部50に出力する。
【0050】
なお、走行環境情報がガードレールの存在情報である場合、検出装置100は、ミリ波をガードレールに送信してガードレールに当たって反射されるミリ波を受信するミリ波レーダと、制御部50の構成と同じ構成を有する算出部とをさらに備えてもよい。算出部は、ミリ波レーダから入力される受信結果を基に車両10とガードレールとの間の距離を算出し、算出した距離を示す信号を判定部40に出力する。判定部40は、車両10とガードレールとの間の距離が記録部60に記録される閾値である所定の距離未満であるか否かを判定し、車両10とガードレールとの間の距離が所定の距離未満である場合、車両10が曲線路を走行していることを示す信号を制御部50に出力する。
【0051】
また、走行環境情報がガードレールの存在情報である場合、検出装置100は、車両10の前方を撮影するステレオカメラをさらに備えてもよい。ステレオカメラは、2つのカメラを備えており、それぞれのカメラによって撮影される撮影画像を算出部に出力する。算出部は、2つ撮影画像において互いに対応する画素である対応画素における視差を求めるステレオマッチングを基に車両10とガードレールとの間の距離を算出する。算出部は、算出した距離を示す信号を判定部40に出力する。判定部40は、車両10とガードレールとの間の距離が所定の距離未満であるか否かを判定し、車両10とガードレールとの間の距離が所定の距離未満である場合、車両10が曲線路を走行していることを示す信号を制御部50に出力する。
【0052】
ミリ波レーダまたはステレオカメラが用いられると、ミリ波レーダまたはステレオカメラが用いられない場合に比べて車両10の近くに位置するガードレールが検出され易くなり得、車両10が現在走行している車道が曲線路である、と判定部40は判定する。
【0053】
或いは、走行環境情報として、カメラによって撮影される車道のセンターラインと車道外側線との少なくとも一方の曲率情報が挙げられる。この場合、検出装置100の算出部は、カメラによって撮影される車道のセンターラインと車道外側線との少なくとも一方の曲率を算出する。算出部は、曲率を示す信号を曲率情報として判定部40に出力する。曲率が判定部40に入力されると、判定部40は、曲率を基に、車両10が曲線路を走行している状態か否かを判定する。この場合、判定部40は、曲率が記録部60に記録されている閾値以上であるか否かを判定する。曲率が閾値以上であれば、判定部40は、車両10が曲線路を走行していることを示す信号を制御部50に出力する。
【0054】
或いは、走行環境情報として、テールランプ情報が挙げられる。テールランプ情報は、カメラによって撮影される先行車のテールランプの移動量及び移動方向を示す。検出装置100の算出部は、テールランプの移動量及び移動方向を算出する。算出部は、移動量及び移動方向を示す信号を判定部40に出力する。移動量及び移動方向が判定部40に入力されると、判定部40は、テールランプの移動量及び移動方向を基に、車両10が曲線路を走行している状態か否かを判定する。この場合、判定部40は、閾値である所定量を記録部60から読み出し、所定量と移動量とを比較する。判定部40は、移動量が所定量以上である場合、上記した閾値とは別の閾値である所定時間を記録部60から読み出す。判定部40は、所定時間とテールランプの同一方向への移動時間とを比較する。移動時間は、移動量が判定部40に入力されると、タイマーなどの計測部によって計測される時間である。移動時間が所定時間以上である場合、判定部40は、車両10が曲線路を走行している状態であることを示す信号を制御部50に出力する。移動時間が所定時間未満である場合、判定部40は、車両10が曲線路を走行していない状態であることを示す信号を制御部50に出力する。
【0055】
次に、本実施形態の車両用前照灯システム15の動作について説明する。
【0056】
図4は、本実施形態における車両用前照灯システム15の動作を示すフローチャートである。
図4に示すように、本実施形態のフローチャートは、ステップS1~ステップS5を含んでいる。
【0057】
(ステップS1)
本ステップでは、制御部50は、ライトスイッチからの制御信号を基に、光を出射させるか否かを判定する。制御信号が制御部50に入力されておらず、光が出射されない場合、制御部50は、一対の発光ユニット30の駆動を停止させ、処理はステップS1に戻る。また、制御信号が制御部50に入力されて、光が出射される場合、処理はステップS2に移行する。
【0058】
(ステップS2)
本ステップでは、検出装置100は、走行情報を検出し、走行情報を判定部40に出力する。走行情報が判定部40に入力されると、処理はステップS3に移行する。
【0059】
(ステップS3)
本ステップでは、判定部40は、走行情報を基に、車両10が曲線路を走行している状態か否かを判定する。走行情報として、上記したように、車両10が曲がる方向及び車両10の操舵角といったステアリング情報等が挙げられる。車両10が曲線路を走行している状態ではないことを示す信号が判定部40から制御部50に入力されると、処理はステップS4に移行する。また、車両10が曲線路を走行している状態であることを示す信号が判定部40から制御部50に入力されると、処理はステップS5に移行する。
【0060】
(ステップS4)
本ステップでは、車両10が車道を真っ直ぐに走行しているものとして説明する。ここでは、車道は片側1車線の対面通行の直線路であり、車両10は直線路の左側車線を走行しているとする。
【0061】
制御部50は一対の発光ユニット30を駆動させ、一対の発光ユニット30は車両10の前方に向かってロービーム及びオーバーヘッドサイン光を出射する。
図5は、車両10が直線路200を走行している場合におけるロービームの配光パターン300及びオーバーヘッドサイン光の配光パターン400を示す図である。以下において、配光パターン300を形成する光を基準光とし、基準光の光量を基準光量と呼ぶことがある。配光パターン300及び配光パターン400は、車両10から例えば25m前方に位置する仮想鉛直スクリーン上に形成される。
図5において、配光パターン300は太線で示されており、配光パターン400は破線で示されている。配光パターン400は、車両10の上下方向において、配光パターン300よりも上方に投影される配光パターンである。配光パターン400によって、配光パターン300より上方に位置する不図示の対象物の視認性の向上が図られる。このような対象物は、例えば、道路標識等である。
図5において、Sは水平線を示し、L0は車両10の左右方向の中心を通り車両10の前後の延びる直線を示し、Vは直線L0に対して直交している鉛直線を示す。
【0062】
配光パターン300は、上縁に、カットオフラインCL1,CL2,CL3を有する。カットオフラインCL1は、カットオフラインCL2を基準としてカットオフラインCL3とは反対側に設けられている。カットオフラインCL1とカットオフラインCL2との交点は、エルボー点EPと称される。エルボー点EPは、水平線Sより下方かつ鉛直線V上に位置する。エルボー点EPは、水平線Sより下方かつ鉛直線Vの近傍に位置してもよい。カットオフラインCL1は、エルボー点EPから車両10の左右方向の一方側である右側に水平方向に延在する。カットオフラインCL2は、エルボー点EPから車両10の上下左右方向における左斜め上方に向かって延在している。エルボー点EP側とは反対側におけるカットオフラインCL2の端は、水平線Sより上方に位置している。カットオフラインCL3は、カットオフラインCL2の上記した端から、車両10の左右方向における左側に水平方向に延在する。また、配光パターン300におけるホットゾーンHZLは、エルボー点EPの近傍に位置している。ホットゾーンHZLとは、配光パターン300において最も明るい領域である。従って、ホットゾーンHZLとは、配光パターン300において光量が最も多い領域であると理解できる。配光パターン300の光量分布として、ホットゾーンHZLから離れるに従って、光量が徐々に減少する。従って、配光パターン300の外周縁側は、ホットゾーンHZL側に比べて暗くされる。
【0063】
なお、車両10の右側通行が運用されている国や地域では、配光パターン300は、
図5に示す配光パターン300と概ね左右対称の形状とされる。従って、カットオフラインCL1はエルボー点EPから左側に水平方向に延在し、カットオフラインCL2はエルボー点EPから右斜め上方に向かって延在する。
【0064】
配光パターン400の中心は、鉛直線Vの近傍に位置する。また、配光パターン400の中心は、車両10の上下方向において、カットオフラインCL2の上方に位置する。なお、配光パターン400の中心は、鉛直線V上に位置してもよい。或いは、配光パターン400の中心は、車両10の上下方向において、エルボー点EPの上方に位置してもよい。車両10の左右方向において、配光パターン400の幅は、配光パターン300の幅よりも狭い。配光パターン400の右縁は、車両10の上下方向において、カットオフラインCL1の上方に位置する。また、配光パターン400の左縁は、車両10の上下方向において、カットオフラインCL3の上方に位置する。
【0065】
配光パターン300及び配光パターン400が形成されると、処理はステップS1に戻る。
【0066】
(ステップS5)
本ステップでは、車両10が車道を曲がって走行しているものとして説明する。ここでは、車道は、片側1車線の対面通行の曲線路であるとする。曲線路は右側に向かって曲がっており、車両10は曲線路の左側車線を走行しているとする。
【0067】
制御部50は一対の発光ユニット30を駆動させ、一対の発光ユニット30は車両10の前方に向かってロービーム及びオーバーヘッドサイン光を出射する。
図6は、車両10が曲線路210を走行している場合におけるロービームの配光パターン500及びオーバーヘッドサイン光の配光パターン400を示す図である。配光パターン500及び配光パターン400は、ステップS4における配光パターン300及び配光パターン400と同様に、車両10から例えば25m前方に位置する仮想鉛直スクリーン上に形成される。
図6において、配光パターン500は太線で示されており、配光パターン400は破線で示されている。配光パターン400の形状、大きさ、及び光量分布は、車両10が直線路200を走行している場合と車両10が曲線路210を走行している場合とにおいて同じである。
【0068】
車両10が曲線路210を走行している場合における配光パターン500の形状及び大きさは、車両10が直線路200を走行している場合における配光パターン300の形状及び大きさと同じである。しかしながら、配光パターン500における光量分布は、配光パターン300における光量分布とは異なる。以下に、配光パターン500における光量分布について説明する。
【0069】
曲線路210では、配光パターン500は車両10の上下左右方向において6つの領域に区分けられており、車両10の上下左右方向において隣り合う領域のそれぞれは互いに接しているものとする。領域のそれぞれを、第1領域501、第2領域502、第3領域503、第4領域504、第5領域505、及び第6領域506として説明する。第1領域501、第2領域502、及び第3領域503は車両10の上下方向における上側の領域であり、第4領域504、第5領域505、及び第6領域506は車両10の上下方向における下側の領域である。
【0070】
第1領域501は、車両10の左右方向において車両10が曲がる側とは反対側に位置する領域である。第2領域502は、車両10の左右方向において車両10が曲がる側に位置する領域である。第3領域503は、車両10の左右方向において第1領域501と第2領域502との間に位置する領域である。第3領域503には直線L0が通るため、第1領域501は車両10が曲がる側とは反対側に位置する領域となり、第2領域502は車両10が曲がる側に位置する領域となる。また、第3領域503には、V線が通り、エルボー点EP及びホットゾーンHZLが位置する。また、第3領域503は、車両10の上下方向において配光パターン400の下方に位置する。第3領域503の右縁は配光パターン400の右縁の下方に位置し、第3領域503の左縁は配光パターン400の左縁の下方に位置する。
【0071】
第4領域504は、車両10の左右方向において車両10が曲がる側とは反対側に位置する領域であり、車両10の上下方向において第1領域501の下方に位置する領域である。第5領域505は、車両10の左右方向において車両10が曲がる側に位置する領域であり、車両10の上下方向において第2領域502の下方に位置する領域である。第6領域506は、車両10の左右方向において第4領域504と第5領域505との間に位置する領域であり、車両10の上下方向において第3領域503の下方に位置する領域である。また、第6領域506には、V線が通る。
【0072】
第4領域504と第5領域505と第6領域506とのそれぞれの高さが互いに同一となると共に第2領域502の高さよりも低くなるように、制御部50は一対の発光ユニット30を制御する。ここで、第1領域501と第2領域502と第3領域503とを含む配光パターン500の上側領域と、第4領域504と第5領域505と第6領域506とを含む配光パターン500の下側領域との境界線について説明する。この境界線は、例えば、雨天時における対向車の運転者へのグレアの付与を抑制する観点から、例えば、カットオフラインCL1から2度~3度程度下方に位置することが好ましい。
【0073】
制御部50は、第3領域503の幅がオーバーヘッドサイン光によって形成される配光パターン400の幅と同じとなるように、一対の発光ユニット30を制御する。また、制御部50は、第1領域501と第2領域502と第4領域504と第5領域505とのそれぞれの幅が互いに同一となるように、一対の発光ユニット30を制御する。この場合、配光パターン500の幅から第3領域503の幅を差分した残りの幅を均等に分割した長さがそれぞれの領域の幅であり、第6領域506の幅は第3領域503の幅と同じである。ここでは、第1領域501と第2領域502と第4領域504と第5領域505とのそれぞれの幅は、第3領域503の幅よりも小さい。第1領域501の左縁は第4領域504の左縁の上方に位置し、第1領域501の右縁は第4領域504の右縁の上方に位置する。第2領域502の左縁は第5領域505の左縁の上方に位置し、第2領域502の右縁は第5領域505の右縁の上方に位置する。第3領域503の左縁は第6領域506の左縁の上方に位置し、第3領域503の右縁は第6領域506の右縁の上方に位置する。
【0074】
ところで、
図7は、曲線路210を走行する車両10を車両10の上下方向における上側から見る場合の平面図である。例えば、曲線路210を走行する車両10の平均時速は40kmであり、この場合の車両10の停止距離は、20.1mであり、余裕を確保して25mとする。例えば曲線路210が山間に位置する山岳路である場合、曲線路210の最小曲率半経は一般的に60mである。
図7において、平面601は、車両10の上下方向及び前後方向に沿っている面であり、車両10の前端における車両10の左右方向の中心を通る面である。また、平面603は、平面601が上記中心を支点として右回りに8度回転した平面となっている。ここで、平面603の位置を基準位置と称する。第3領域503を形成する光が車両10の25m前方における2車線に光を照射するためには、第3領域503は、平面603が基準位置から上記中心を支点として左周りに角度θで回転した第1位置と、平面603が基準位置から中心を支点として右周りに角度θで回転した第2位置との間に渡って位置すればよい。角度θは、11度である。
【0075】
【0076】
配光パターン500の上縁は、第1領域501、第2領域502、及び第3領域503のそれぞれの上縁である。第1領域501の上縁はカットオフラインCL3の一部であり、第2領域502の上縁はカットオフラインCL1の一部である。また、第3領域503の上縁は、カットオフラインCL1の残りの一部、カットオフラインCL2、及びカットオフラインCL3の残りの一部である。配光パターン500の下縁は、第4領域504、第5領域505、及び第6領域506のそれぞれの下縁である。配光パターン500の左縁は第1領域501及び第4領域504のそれぞれの左縁であり、配光パターン500の右縁は第2領域502及び第5領域505のそれぞれの右縁である。
【0077】
本ステップでは、第1領域501は、主に、配光パターン500内に位置する曲線路210における走行車線側の車道外側線211の一部を含む路面と、配光パターン500内に位置する車道外側線211の左側の大部分とに投影される。車道外側線211の左側は、路肩または路側帯である。第2領域502は、主に、配光パターン500内に位置する曲線路210のセンターライン213の一部と配光パターン500内に位置する対向車線の大部分とを含む路面に投影される。第3領域503は、主に、配光パターン500内に位置する車道外側線211の別の一部と、配光パターン500内に位置するセンターライン213の別の一部と、車道外側線211とセンターライン213との間における路面に投影される。車道外側線211の別の一部は第1領域501における車道外側線211よりも車両10の進行方向における前方に位置し、センターライン213の別の一部は第2領域502におけるセンターライン213よりも車両10の進行方向における前方に位置する。また、第3領域503は、車道外側線211の別の一部の左側にも投影される。第4領域504は、主に、配光パターン500内に位置する車道外側線211の残りの一部を含む路面と、配光パターン500内に位置する車道外側線211の左側の残りの一部とに投影される。車道外側線211の残りの一部は第1領域501における車道外側線211よりも車両10の進行方向における手前に位置し、車道外側線211の左側の残りの一部は第1領域501における車道外側線211の左側よりも車両10の進行方向における手前に位置する。第5領域505は、主に、配光パターン500内に位置するセンターライン213の残りの一部と配光パターン500内に位置する対向車線の残りの一部とを含む路面に投影される。センターライン213の残りの一部は第2領域502におけるセンターライン213よりも車両10の進行方向における手前に位置する。第6領域506は、主に、第3領域503の下方における車道外側線211とセンターライン213との間の路面に投影される。
【0078】
本ステップでは、車両10が曲線路210を走行している状態であることを示す信号が判定部40から制御部50に入力されると、制御部50は、一対の発光ユニット30の各発光素子33aに供給される電力を調節する。これにより、各発光素子33aのそれぞれから出射する光の光量が調節され、配光パターン500における光量分布が調節される。以下に、光量の調節について説明する。
【0079】
制御部50は、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態であると判定される場合において、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態ではないと判定される場合よりも第1領域501を形成する光の光量が減少するように、一対の発光ユニット30を制御する。ここでは、車両10が曲線路210を走行している状態での配光パターン500と、車両10が曲線路210を走行していない状態での配光パターン300とにおいて、第1領域501が配光パターン500に位置する位置に第1領域501が配光パターン300に位置するとした場合、配光パターン500に位置する第1領域501を形成する光の光量は、配光パターン300に位置するとした場合の第1領域501を形成する光の光量よりも減少すると理解できる。従って、第1領域501は、車両10が曲線路210を走行している状態ではない状態に比べて、暗くなる。第1領域501における光量は、消灯するのではなく、必要最低限度の光量であることが好ましい。必要最低限度の光量とは、例えば、車両10の前方において車両10の運転者の視認性が確保される程度の明るさである。必要最低限度の光量は、閾値として記録部60に記録されており、日中や夜間といった車両10の走行状況などに応じて適宜変更可能にされてもよい。
【0080】
車両10が曲線路210を走行している場合において、車道外側線211は、第3領域503を形成する光を照射された後、車両10の進行によって第1領域501を形成する光を照射される。この場合、運転者は、第1領域501を形成する光よりも前に第3領域503を形成する光によって車道外側線211を認知し得る。また、車両10が曲線路210を走行している場合において、運転者の視線は第1領域501よりも第3領域503に集中し、運転者は第1領域501に比べて第3領域503に注意を払うことが多い。以上により、車両10が曲線路210を走行している状態では、車両10が曲線路210を走行していない状態と比べて、第1領域501の明るさの必要性は低下し得る。このため、本実施形態の車両用前照灯20において、車両10が曲線路210を走行している状態では、車両10が曲線路210を走行していない状態と比べて、第1領域501を形成する光の光量は、減少している。従って、配光パターン300が配光パターン500と同様に6つの領域に区分けられた場合、第1領域501を形成する光の光量は、配光パターン500の左上に位置する第1領域501に対応する配光パターン300の左上領域を形成する基準光の基準光量よりも少なくなる。これにより、車両10が曲線路210を走行している場合における第1領域501は、車両10が直線路200を走行している場合における配光パターン300の左上領域よりも暗くなる。
【0081】
また、制御部50は、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態ではないと判定される場合よりも第2領域502を形成する光の光量が減少すると共に、第1領域501を形成する光の減少量が第2領域502を形成する光の減少量よりも多くなるように、一対の発光ユニット30を制御する。ここでは、配光パターン500と、配光パターン300とにおいて、第2領域502が配光パターン500に位置する位置に第2領域502が配光パターン300に位置するとした場合、配光パターン500に位置する第2領域502を形成する光の光量は、配光パターン300に位置するとした場合の第2領域502を形成する光の光量よりも減少すると理解できる。従って、上記したように配光パターン300が配光パターン500と同様に6つの領域に区分けられた場合、第2領域502を形成する光の光量は、配光パターン500の右上に位置する第2領域502に対応する配光パターン300の右上領域を形成する基準光の基準光量よりも少なくなる。これにより、車両10が曲線路210を走行している場合における第2領域502は、車両10が直線路200を走行している場合における配光パターン300の右上領域よりも暗くなる。また、車両10が曲線路210を走行している場合において、第1領域501は第2領域502よりも暗くなる。
【0082】
車両10が曲線路210を走行している場合において、センターライン213は、第3領域503を形成する光を照射された後、車両10の進行によって第2領域502を形成する光を照射される。この場合、運転者は、第2領域502を形成する光よりも前に第3領域503を形成する光によってセンターライン213を認知し得る。従って、車両10が曲線路210を走行している状態では、車両10が曲線路210を走行していない状態と比べて、第2領域502の明るさの必要性は低下し得る。このため、本実施形態の車両用前照灯20において、車両10が曲線路210を走行している状態では、車両10が曲線路210を走行していない状態と比べて、第2領域502を形成する光の光量は、減少している。また、第2領域502は曲線路210において車両10の進行方向側に位置するため、運転者の視線は第1領域501よりも第2領域502に集中し、運転者は第1領域501に比べて第2領域502に注意を払うことが多い。従って、第1領域501の明るさの必要性は、第2領域502の明るさの必要性に比べて低下し得る。このため、本実施形態の車両用前照灯20において、車両10が曲線路210を走行している状態では、第1領域501を形成する光の光量は、第2領域502を形成する光の光量よりも多く減少している。
【0083】
なお、制御部50は、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態ではないと判定される場合よりも第4領域504を形成する光の光量が減少すると共に、第2領域502を形成する光の減少量が第4領域504を形成する光の減少量よりも多くなるように、一対の発光ユニット30を制御してもよい。ここでは、配光パターン500と、配光パターン300とにおいて、第4領域504が配光パターン500に位置する位置に第4領域504が配光パターン300に位置するとした場合、配光パターン500に位置する第4領域504を形成する光の光量は、配光パターン300に位置するとした場合の第4領域504を形成する光の光量よりも減少すると理解できる。従って、上記したように配光パターン300が配光パターン500と同様に6つの領域に区分けられた場合、第4領域504を形成する光の光量は、配光パターン500の左下に位置する第4領域504に対応する配光パターン300の左下領域を形成する基準光の基準光量よりも少なくなる。これにより、車両10が曲線路210を走行している場合における第4領域504は、車両10が直線路200を走行している場合における配光パターン300の左下領域よりも暗くなる。また、車両10が曲線路210を走行している場合において、第2領域502は第4領域504よりも暗くなる。
【0084】
車両10が曲線路210を走行している場合において、車道外側線211は、第3領域503を形成する光を照射された後、車両10の進行によって第4領域504を形成する光を照射される。この場合、運転者は、第4領域504を形成する光よりも前に第3領域503を形成する光によって車道外側線211を認知し得る。従って、車両10が曲線路210を走行している状態では、車両10が曲線路210を走行していない状態と比べて、第4領域504の明るさの必要性は低下し得る。このため、本実施形態の車両用前照灯20において、車両10が曲線路210を走行している状態では、車両10が曲線路210を走行していない状態と比べて、第4領域504を形成する光の光量は、減少している。また、第4領域504における車道外側線211は、運転者に安心感を与える観点から、第2領域502を形成する光よりも明るい光によって運転者に目視されることが望まれている。従って、本実施形態の車両用前照灯20において、車両10が曲線路210を走行している状態では、第2領域502を形成する光の光量は第4領域504を形成する光の光量よりも多く減少し、第4領域504は第2領域502よりも明るくされている。
【0085】
或いは、制御部50は、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態ではないと判定される場合よりも第5領域505を形成する光の光量が減少すると共に、第2領域502を形成する光の減少量が第5領域505を形成する光の減少量よりも多くなるように、一対の発光ユニット30を制御してもよい。ここでは、配光パターン500と、配光パターン300とにおいて、第5領域505が配光パターン500に位置する位置に第5領域505が配光パターン300に位置するとした場合、配光パターン500に位置する第5領域505を形成する光の光量は、配光パターン300に位置するとした場合の第5領域505を形成する光の光量よりも減少すると理解できる。従って、上記したように配光パターン300が配光パターン500と同様に6つの領域に区分けられた場合、第5領域505を形成する光の光量は、配光パターン500の右下に位置する第5領域505に対応する配光パターン300の右下領域を形成する基準光の基準光量よりも少なくなる。これにより、車両10が曲線路210を走行している場合における第5領域505は、車両10が直線路200を走行している場合における配光パターン300の右下領域よりも暗くなる。また、車両10が曲線路210を走行している場合において、第2領域502は第5領域505よりも暗くなる。
【0086】
車両10が曲線路210を走行している場合において、センターライン213は、第3領域503を形成する光を照射された後、車両10の進行によって第5領域505を形成する光を照射される。この場合、運転者は、第5領域505を形成する光よりも前に第3領域503を形成する光によってセンターライン213を認知し得る。従って、車両10が曲線路210を走行している状態では、車両10が曲線路210を走行していない状態と比べて、第5領域505の明るさの必要性は低下し得る。このため、本実施形態の車両用前照灯20において、車両10が曲線路210を走行している状態では、車両10が曲線路210を走行していない状態と比べて、第5領域505を形成する光の光量は、減少している。また、第5領域505は、第2領域502におけるセンターライン213よりも車両10の進行方向における手前に位置するセンターライン213に投影される。第5領域505におけるセンターライン213は、運転者に安心感を与える観点から、第2領域502を形成する光よりも明るい光によって運転者に目視されることが望まれている。従って、本実施形態の車両用前照灯20において、車両10が曲線路210を走行している状態では、第2領域502を形成する光の光量は第5領域505を形成する光の光量よりも多く減少し、第5領域505は第2領域502よりも明るくされている。
【0087】
或いは、制御部50は、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態ではないと判定される場合よりも第6領域506を形成する光の光量が減少すると共に、第2領域502を形成する光の減少量が第6領域506を形成する光の減少量よりも多くなるように、一対の発光ユニット30を制御してもよい。ここでは、配光パターン500と、配光パターン300とにおいて、第6領域506が配光パターン500に位置する位置に第6領域506が配光パターン300に位置するとした場合、配光パターン500に位置する第6領域506を形成する光の光量は、配光パターン300に位置するとした場合の第6領域506を形成する光の光量よりも減少すると理解できる。従って、上記したように配光パターン300が配光パターン500と同様に6つの領域に区分けられた場合、第6領域506を形成する光の光量は、配光パターン500の中央下に位置する第6領域506に対応する配光パターン300の中央下領域を形成する基準光の基準光量よりも少なくなる。これにより、車両10が曲線路210を走行している場合における第6領域506は、車両10が直線路200を走行している場合における配光パターン300の中央下領域よりも暗くなる。また、車両10が曲線路210を走行している場合において、第2領域502は第6領域506よりも暗くなる。
【0088】
車両10が曲線路210を走行している場合において、第6領域506は第3領域503よりも車両10の進行方向における手前に投影される。曲線路210を走行している車両10がさらに進行すると、路面は、第3領域503を形成する光を照射された後、第6領域506を形成する光を照射される。この場合、運転者は、第6領域506を形成する光よりも前に第3領域503を形成する光によって路面を認知し得る。従って、車両10が曲線路210を走行している状態では、車両10が曲線路210を走行していない状態と比べて、第6領域506の明るさの必要性は低下し得る。このため、本実施形態の車両用前照灯20において、車両10が曲線路210を走行している状態では、車両10が曲線路210を走行していない状態と比べて、第6領域506を形成する光の光量は、減少している。また、第6領域506は、運転者に安心感を与える観点から、第2領域502よりも明るくされることが望まれている。従って、本実施形態の車両用前照灯20において、車両10が曲線路210を走行している状態では、第2領域502を形成する光の光量は、第6領域506を形成する光の光量よりも多く減少し、第6領域506は第2領域502よりも明るくされている。
【0089】
第4領域504と第5領域505と第6領域506とにおける明るさの順番は特に限定されず、第4領域504と第5領域505と第6領域506とにおける明るさは同じであってもよい。
【0090】
第3領域503は車両10の進行方向において曲線路210のうちの走行車線の前方に投影されるため、運転者の視線は他の領域に比べて第3領域503に集中することが多い。従って、第3領域503を形成する光の光量は、車両10が曲線路210を走行していない場合に比べて変化しないことが好ましい。このため、上記したように、配光パターン300が配光パターン500と同様に6つの領域に区分けられた場合、第3領域503を形成する光の光量は、配光パターン500の中央上に位置する第3領域503に対応する配光パターン300の中央上領域を形成する基準光の基準光量と同じであることが好ましい。本実施形態の車両用前照灯20では、制御部50は、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態であると判定される場合と判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態ではないと判定される場合とにおいて、第3領域503を形成する光の光量が同じとなるように、一対の発光ユニット30を制御している。また、制御部50は、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態であると判定される場合において、第1領域501を形成する光の光量が第3領域503を形成する光の光量よりも少なくなるように、一対の発光ユニット30を制御している。
【0091】
上記したように配光パターン500において、光量が調節されると、処理はステップS1に戻る。
【0092】
以上のように、本実施形態の車両用前照灯20は、所定の配光パターン500を形成する光を出射する一対の発光ユニット30と、検出装置100によって検出される車両10の走行情報を基に、車両10が曲線路210を走行している状態か否かを判定する判定部40と、一対の発光ユニット30を制御する制御部50とを備える。配光パターンは、曲線路210を走行している車両10の左右方向において車両10が曲がる側とは反対側に位置する第1領域501と、曲線路210を走行している車両10の左右方向において車両10が曲がる側に位置する第2領域502と、曲線路210を走行している車両10の左右方向において第1領域501と第2領域502との間に位置する領域であり、車両10の左右方向における車両10の中心を通り車両10の前後に延びる直線が通る第3領域503とを含む。制御部50は、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態であると判定される場合において、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態ではないと判定される場合よりも第1領域501を形成する光の光量が減少するように、一対の発光ユニット30を制御する。
【0093】
車両10が曲線路210を走行する場合、配光パターン500において、第3領域503には直線L0が通るため、第1領域501は車両10が曲がる側とは反対側に位置する領域となり、第2領域502は車両10が曲がる側に位置する領域となる。車両10が曲線路210を走行している場合において、車両10の走行車線側の車道外側線211は、第3領域503を形成する光を照射された後、車両10の進行によって第1領域501を形成する光を照射される。この場合、運転者は、第1領域501を形成する光よりも前に第3領域503を形成する光によって車道外側線211を認知し得る。また、車両10が曲線路210を走行している場合において、運転者の視線は第1領域501よりも第3領域503に集中し、運転者は第1領域501に比べて第3領域503に注意を払うことが多い。以上により、車両10が曲線路210を走行している状態では、車両10が曲線路210を走行していない状態と比べて、第1領域501の明るさの必要性は低下し得る。このため本実施形態の車両用前照灯20において、車両10が曲線路210を走行している状態では、車両10が曲線路210を走行していない状態と比べて、第1領域501を形成する光の光量は減少している。第1領域501を形成する光の光量が減少すると、第1領域501を形成する光の光量が減少しない場合に比べて、第1領域501を形成する光を出射する発光素子33aに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯20によれば、消費電力が低減され得る。
【0094】
また、本実施形態の車両用前照灯20では、制御部50は、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態であると判定される場合において、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態ではないと判定される場合よりも第2領域502を形成する光の光量が減少すると共に、第1領域501を形成する光の減少量が第2領域502を形成する光の減少量よりも多くなるように、一対の発光ユニット30を制御する。
【0095】
車両10が曲線路210を走行している場合において、センターライン213は、第3領域503を形成する光を照射された後、車両10の進行によって第2領域502を形成する光を照射される。この場合、運転者は、第2領域502を形成する光よりも前に第3領域503を形成する光によってセンターライン213を認知し得る。従って、車両10が曲線路210を走行している状態では、車両10が曲線路210を走行していない状態と比べて、第2領域502の明るさの必要性は低下し得る。このため、本実施形態の車両用前照灯20において、車両10が曲線路210を走行している状態では、車両10が曲線路210を走行していない状態と比べて、第2領域502を形成する光の光量は、減少している。第2領域502を形成する光の光量が減少すると、第2領域502を形成する光の光量が減少しない場合に比べて、第2領域502を形成する光を出射する発光素子33aに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯20によれば、消費電力が低減され得る。また、第2領域502は曲線路210において車両10の進行方向側に位置するため、運転者の視線は第1領域501よりも第2領域502に集中し、運転者は第1領域501に比べて第2領域502に注意を払うことが多い。従って、第1領域501の明るさの必要性は、第2領域502の明るさの必要性に比べて低下し得る。このため、本実施形態の車両用前照灯20において、車両10が曲線路210を走行している状態では、第1領域501を形成する光の光量は、第2領域502を形成する光の光量よりも多く減少している。第1領域501を形成する光の光量が第2領域502を形成する光の光量よりも多く減少すると、第1領域501を形成する光の光量が第2領域502を形成する光の光量よりも多く減少しない場合に比べて、運転者にとって注意を払う必要が第2領域502に比べて低い第1領域501を形成する光を出射する発光素子33aに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯20によれば、消費電力が低減され得る。また、本実施形態の車両用前照灯20では、第2領域502は第1領域501よりも明るくなるため、第2領域502は第1領域501よりも明るくならない場合に比べて、運転者は対向車線に注目し易くなり得る。
【0096】
また、本実施形態の車両用前照灯20では、配光パターンは、車両10の上下方向において第1領域501の下方に位置する第4領域504をさらに含む。制御部50は、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態であると判定される場合において、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態ではないと判定される場合よりも第4領域504を形成する光の光量が減少すると共に、第2領域502を形成する光の減少量が第4領域504を形成する光の減少量よりも多くなるように、一対の発光ユニット30を制御する。
【0097】
車両10が曲線路210を走行している場合において、車道外側線211は、第3領域503を形成する光を照射された後、車両10の進行によって第4領域504を形成する光を照射される。この場合、運転者は、第4領域504を形成する光よりも前に第3領域503を形成する光によって車道外側線211を認知し得る。従って、車両10が曲線路210を走行している状態では、車両10が曲線路210を走行していない状態と比べて、第4領域504の明るさの必要性は低下し得る。このため、本実施形態の車両用前照灯20において、車両10が曲線路210を走行している状態では、車両10が曲線路210を走行していない状態と比べて、第4領域504を形成する光の光量は、減少している。第4領域504を形成する光の光量が減少すると、第4領域504を形成する光の光量が減少しない場合に比べて、第4領域504を形成する光を出射する発光素子33aに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯20によれば、消費電力が低減され得る。また、第4領域504が車道外側線211に投影される場合、第4領域504は、第1領域501における車道外側線211よりも車両10の進行方向における手前に位置する車道外側線211に投影される。手前に位置する車道外側線211は、運転者に安心感を与える観点から、第2領域502を形成する光よりも明るい光によって運転者に目視されることが望まれている。従って、本実施形態の車両用前照灯20において、車両10が曲線路210を走行している状態では、第2領域502を形成する光の光量は第4領域504を形成する光の光量よりも多く減少し、第4領域504は第2領域502よりも明るくされている。第2領域502を形成する光の光量が第4領域504を形成する光の光量よりも多く減少すると、第2領域502を形成する光の光量が第4領域504を形成する光の光量よりも多く減少しない場合に比べて、第2領域502を形成する光を出射する発光素子33aに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯20によれば、消費電力が低減され得る。また、本実施形態の車両用前照灯20では、第4領域504は第2領域502よりも明るくなるため、第4領域504は第2領域502よりも明るくならない場合に比べて、車道外側線211は明るくなり得、運転者は車道外側線211に注目し易くなり得、運転者は安心感を与えられ得る。
【0098】
また、本実施形態の車両用前照灯20では、配光パターンは、車両10の上下方向において第2領域502の下方に位置する第5領域505をさらに含む。制御部50は、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態であると判定される場合において、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態ではないと判定される場合よりも第5領域505を形成する光の光量が減少すると共に、第2領域502を形成する光の減少量が第5領域505を形成する光の減少量よりも多くなるように、一対の発光ユニット30を制御する。
【0099】
車両10が曲線路210を走行している場合において、センターライン213は、第3領域503を形成する光を照射された後、車両10の進行によって第5領域505を形成する光を照射される。この場合、運転者は、第5領域505を形成する光よりも前に第3領域503を形成する光によってセンターライン213を認知し得る。従って、車両10が曲線路210を走行している状態では、車両10が曲線路210を走行していない状態と比べて、第5領域505の明るさの必要性は低下し得る。このため、本実施形態の車両用前照灯20において、車両10が曲線路210を走行している状態では、車両10が曲線路210を走行していない状態と比べて、第5領域505を形成する光の光量は、減少している。第5領域505を形成する光の光量が減少すると、第5領域505を形成する光の光量が減少しない場合に比べて、第5領域505を形成する光を出射する発光素子33aに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯20によれば、消費電力が低減され得る。また、第5領域505がセンターライン213に投影される場合、第5領域505は、第2領域502におけるセンターライン213よりも車両10の進行方向における手前に位置するセンターライン213に投影される。手前に位置するセンターライン213は、運転者に安心感を与える観点から、第2領域502を形成する光よりも明るい光によって運転者に目視されることが望まれている。従って、本実施形態の車両用前照灯20において、車両10が曲線路210を走行している状態では、第2領域502を形成する光の光量は第5領域505を形成する光の光量よりも多く減少し、第5領域505は第2領域502よりも明るくされている。第2領域502を形成する光の光量が第5領域505を形成する光の光量よりも多く減少すると、第2領域502を形成する光の光量が第5領域505を形成する光の光量よりも多く減少しない場合に比べて、第2領域502を形成する光を出射する発光素子33aに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯20によれば、消費電力が低減され得る。また、本実施形態の車両用前照灯20では、第5領域505は第2領域502よりも明るくなるため、第5領域505は第2領域502よりも明るくならない場合に比べて、センターライン213は明るくなり得、運転者はセンターライン213に注目し易くなり得、運転者は安心感を与えられ得る。
【0100】
また、本実施形態の車両用前照灯20では、配光パターンは、車両10の上下方向において第3領域503の下方に位置する第6領域506をさらに含む。制御部50は、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態であると判定される場合において、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態ではないと判定される場合よりも第6領域506を形成する光の光量が減少すると共に、第2領域502を形成する光の減少量が第6領域506を形成する光の減少量よりも多くなるように、一対の発光ユニット30を制御する。
【0101】
車両10が曲線路210を走行している場合において、第6領域506は第3領域503よりも車両10の進行方向における手前に投影される。曲線路210を走行している車両10がさらに進行すると、路面は、第3領域503を形成する光を照射された後、第6領域506を形成する光を照射される。この場合、運転者は、第6領域506を形成する光よりも前に第3領域503を形成する光によって路面を認知し得る。従って、車両10が曲線路210を走行している状態では、車両10が曲線路210を走行していない状態と比べて、第6領域506の明るさの必要性は低下し得る。このため、本実施形態の車両用前照灯20において、車両10が曲線路210を走行している状態では、車両10が曲線路210を走行していない状態と比べて、第6領域506を形成する光の光量は、減少している。第6領域506を形成する光の光量が減少すると、第6領域506を形成する光の光量が減少しない場合に比べて、第6領域506を形成する光を出射する発光素子33aに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯20によれば、消費電力が低減され得る。また、第6領域506は、運転者に安心感を与える観点から、第2領域502よりも明るくされることが望まれている。従って、本実施形態の車両用前照灯20において、車両10が曲線路210を走行している状態では、第2領域502を形成する光の光量は、第6領域506を形成する光の光量よりも多く減少し、第6領域506は第2領域502よりも明るくされている。第2領域502を形成する光の光量が第6領域506を形成する光の光量よりも多く減少すると、第2領域502を形成する光の光量が第6領域506を形成する光の光量よりも多く減少しない場合に比べて、第2領域502を形成する光を出射する発光素子33aに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯20によれば、消費電力が低減され得る。また、本実施形態の車両用前照灯20では、第6領域506は第2領域502よりも明るくなるため、第6領域506は第2領域502よりも明るくならない場合に比べて、手前側が明るくなり得、運転者は安心感を与えられ得る。
【0102】
また、本実施形態の車両用前照灯20では、制御部50は、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態であると判定される場合と判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態ではないと判定される場合とにおいて、第3領域503を形成する光の光量が同じとなるように、発光ユニット30を制御する。
【0103】
車両10が曲線路210を走行している場合と例えば車両10が直線路200を走行している場合とにおいて、第3領域503の明るさは同じとなる。従って、この車両用前照灯20では、明るさの変化による運転者の視覚への負担が抑制され得る。また、この車両用前照灯20では、制御部50は、車両10が曲線路210を走行している場合と例えば車両10が直線路200を走行している場合とにおいて、発光ユニット30に同じ電力を供給すればよい。従って、この車両用前照灯20では、明るさが変わる場合に比べて、制御部50の負担が軽減され得る。
【0104】
また、本実施形態の車両用前照灯20では、発光ユニット30は、車両10の上下方向において第3領域503よりも上方にオーバーヘッドサイン光を出射する。制御部50は、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態であると判定される場合において、車両10の左右方向における第3領域503の幅がオーバーヘッドサイン光によって形成される配光パターン400の幅と同じとなるように、発光ユニット30を制御する。
【0105】
この車両用前照灯20では、第3領域503の幅がオーバーヘッドサイン光によって形成される配光パターン400の幅と異なる場合と比べて、制御部50は、第3領域503の幅を容易に設定できる。
【0106】
以上、本発明について、上記実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0107】
一方の発光ユニット30aの構成は、他方の発光ユニット30bの構成と同じとされているが、他方の発光ユニット30bの構成と異なってもよい。一方の発光ユニット30a及び他方の発光ユニット30bの構成は特に限定されるものではない。また、例えば、一方の発光ユニット30a及び他方の発光ユニット30bは、パラボラ型の発光ユニット、プロジェクター型の発光ユニット、または直射レンズ型の発光ユニット等とされてもよい。
【0108】
撮影画像は、動画像及び静止画像の少なくとも一方であればよい。
【0109】
第1領域501と第2領域502と第4領域504と第5領域505とのそれぞれの幅は、第3領域503の幅と同じであってもよいし、第3領域503の幅よりも大きくてもよい。第1領域501と第2領域502と第3領域503と第4領域504と第5領域505と第6領域506とのそれぞれの幅は、配光パターン300の幅を3つに均等に分割した長さであり、配光パターン400の幅は3つに均等に区分けられた配光パターン300の各領域の幅と同じ長さとされてもよい。制御部50は、配光パターン400の幅が第3領域503の幅と同じとなるように、一対の発光ユニット30を制御してもよい。また、制御部50は、第3領域503の幅が配光パターン400の幅よりも大きくなるように、一対の発光ユニット30を制御してもよい。
【0110】
配光パターン500は、車両10の左右方向において少なくとも3つ以上の領域に区分けられていればよい。
【0111】
制御部50は、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態であると判定される場合において、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態ではないと判定される場合よりも第1領域501を形成する光の少なくとも一部の光量が減少するように、発光ユニット30を制御してもよい。第1領域501を形成する光の少なくとも一部の光量が減少したならば、制御部50は、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態であると判定される場合において、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態ではないと判定される場合よりも第2領域502を形成する光の少なくとも一部の光量が減少すると共に、第1領域501を形成する光の少なくとも一部の減少量が第2領域502を形成する光の少なくとも一部の減少量よりも多くなるように、発光ユニット30を制御する。また、第2領域502を形成する光の少なくとも一部の光量が上記したように減少したならば、制御部50は、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態であると判定される場合において、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態ではないと判定される場合よりも第4領域504を形成する光の少なくとも一部の光量が減少すると共に、第2領域502を形成する光の少なくとも一部の減少量が第4領域504を形成する光の少なくとも一部の減少量よりも多くなるように、発光ユニット30を制御してもよい。或いは、制御部50は、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態であると判定される場合において、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態ではないと判定される場合よりも第5領域505を形成する光の少なくとも一部の光量が減少すると共に、第2領域502を形成する光の少なくとも一部の減少量が第5領域505を形成する光の少なくとも一部の減少量よりも多くなるように、発光ユニット30を制御してもよい。或いは、制御部50は、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態であると判定される場合において、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態ではないと判定される場合よりも第6領域506を形成する光の少なくとも一部の光量が減少すると共に、第2領域502を形成する光の少なくとも一部の減少量が第6領域506を形成する光の少なくとも一部の減少量よりも多くなるように、発光ユニット30を制御してもよい。なお、制御部50は、第4領域504と第5領域505と第6領域506との少なくとも1つを形成する光の少なくとも一部の光量が上記したように減少するように、発光ユニット30を制御してもよい。また、制御部50は、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態であると判定される場合と判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態ではないと判定される場合とにおいて、第3領域503の少なくとも一部を形成する光の光量が同じとなるように、発光ユニット30を制御してもよい。また、制御部50は、判定部40によって車両10が曲線路210を走行している状態であると判定される場合において、第1領域501を形成する光の少なくとも一部の光量が第3領域503を形成する光の少なくとも一部の光量よりも少なくなるように、発光ユニット30を制御してもよい。制御部50は、第1領域501と第2領域502と第4領域504と第5領域505と第6領域506とのそれぞれを形成する光の少なくとも一部の光量が同時に上記したように減少するように、発光ユニット30を制御してもよい。また、制御部50は、第1領域501を形成する光の少なくとも一部の光量がゼロとなるように、発光ユニット30を制御してもよい。ここでは、第1領域501を用いて説明したが、制御部50は、第1領域501と同様に、第2領域502と第4領域504と第5領域505と第6領域506とにおける光量を制御してもよい。
【0112】
制御部50は、第1領域501における光量分布が均一となるように、発光ユニット30を制御してもよい。ここでは、第1領域501を用いて説明したが、制御部50は、第1領域501と同様に、他の領域においても光量分布が均一となるように、発光ユニット30を制御してもよい。また、制御部50は、第1領域501における光量の減少量は車両10の左右方向において第3領域503から離れるほど大きくなるように、発光ユニット30を制御してもよい。ここでは、第1領域501を用いて説明したが、制御部50は、第1領域501と同様に、第2領域502と第4領域504と第5領域505とにおける光量を制御してもよい。また、制御部50は、第6領域506における光量の減少量は車両10の上下方向において第3領域503から離れるほど大きくなるまたは小さくなるように、発光ユニット30を制御してもよい。ここでは、第6領域506を用いて説明したが、制御部50は、第6領域506と同様に、第4領域504と第5領域505とにおける光量を制御してもよい。また、制御部50は、曲線路210の曲率に応じて、各領域の減少量を制御してもよい。曲線路210の曲率は、例えば、車両10の操舵角、カメラによって撮影される車道のセンターラインと車道外側線との少なくとも一方の曲率情報等を基に検出される。曲線路210の曲率が大きいほど、各領域の減少量が大きくなってもよい。
【0113】
制御部50は、配光パターン400の下縁全体が第3領域503の上縁全体に接するように、発光ユニット30を制御してもよい。
【0114】
車両10が曲線路210を走行している状態における光量の制御について、ロービームの配光パターン500を用いて説明したが、ハイビームの配光パターンにおいても、配光パターン500と同様に制御されてもよい。
【0115】
ロービーム及びオーバーヘッドサイン光が出射されているが、ロービーム及びオーバーヘッドサイン光の少なくとも一方が出射されてもよい。
【0116】
走行情報は走行状態情報と走行環境情報とを含んでいるため、判定部は走行状態情報と走行環境情報との少なくとも一方を基に、車両10が曲線路を走行している状態か否かを判定してもよい。
【0117】
計測部は、車両用前照灯20に配置されてもよい。判定部40が省略され、制御部50が判定部40として機能してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0118】
以上説明したように、本発明によれば、消費電力を低減し得る車両用前照灯が提供され、当該車両用前照灯は自動車等の車両用前照灯の分野等において利用可能である。
【符号の説明】
【0119】
10・・・車両
20・・・車両用前照灯
30・・・発光ユニット
40・・・判定部
50・・・制御部
60・・・記録部
100・・・検出装置