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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】車両用前照灯
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/14 20060101AFI20240502BHJP
【FI】
B60Q1/14 H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020108070
(22)【出願日】2020-06-23
(65)【公開番号】P2022002931
(43)【公開日】2022-01-11
【審査請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【弁理士】
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】宇賀神 佑太
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-032136(JP,A)
【文献】特開2017-206104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の配光パターンを形成する光を出射する発光ユニットと、
検出装置によって検出される車両の走行情報を基に、前記車両が高速道路を走行している状態か否かを判定する判定部と、
前記発光ユニットを制御する制御部と、
を備え、
前記配光パターンは、
前記車両の左右方向において左側と右側との一方に位置する第1領域と、
前記車両の前記左右方向において前記左側と前記右側との他方に位置する第2領域と、
前記車両の前記左右方向において前記第1領域と前記第2領域との間に位置する領域であり、前記車両の前記左右方向における前記車両の中心を通り前記車両の前後に延びる直線が通る第3領域と、
を含み、
前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態であると判定される場合、前記車両の前記左右方向において、前記第3領域の幅は前記発光ユニットから前記第3領域よりも上方に出射するオーバーヘッドサイン光によって形成されるオーバーヘッドサイン光配光パターンの幅よりも小さく、前記第3領域の右縁は前記オーバーヘッドサイン光配光パターンの右縁よりも前記左側に位置し、前記第3領域の左縁は前記オーバーヘッドサイン光配光パターンの左縁よりも前記右側に位置し、
前記制御部は、前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態であると判定される場合において、前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態ではないと判定される場合よりも前記第1領域を形成する前記光の少なくとも一部の光量と前記第2領域を形成する前記光の少なくとも一部の光量とが減少すると共に、前記第1領域における前記光量が前記第2領域における前記光量よりも多く減少するように、前記発光ユニットを制御する
ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】
所定の配光パターンを形成する光を出射する発光ユニットと、
検出装置によって検出される車両の走行情報を基に、前記車両が高速道路を走行している状態か否かを判定する判定部と、
前記発光ユニットを制御する制御部と、
を備え、
前記配光パターンは、
前記車両の左右方向において左側と右側との一方に位置する第1領域と、
前記車両の前記左右方向において前記左側と前記右側との他方に位置する第2領域と、
前記車両の前記左右方向において前記第1領域と前記第2領域との間に位置する領域であり、前記車両の前記左右方向における前記車両の中心を通り前記車両の前後に延びる直線が通る第3領域と、
前記第1領域の下方に位置する第4領域と、
前記第2領域の下方に位置する第5領域と、
を含み、
前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態であると判定される場合、前記車両の前記左右方向において、前記第3領域の幅は前記発光ユニットから前記第3領域よりも上方に出射するオーバーヘッドサイン光によって形成されるオーバーヘッドサイン光配光パターンの幅よりも小さく、前記第3領域の右縁は前記オーバーヘッドサイン光配光パターンの右縁よりも前記左側に位置し、前記第3領域の左縁は前記オーバーヘッドサイン光配光パターンの左縁よりも前記右側に位置し、
前記制御部は、前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態であると判定される場合において、前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態ではないと判定される場合よりも前記第1領域と前記第2領域との少なくとも一方を形成する光の少なくとも一部の光量が減少するように、前記発光ユニットを制御し、前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態ではないと判定される場合よりも前記第4領域と前記第5領域との少なくとも一方を形成する光の少なくとも一部の光量が減少すると共に、前記第1領域と前記第2領域との少なくとも一方における前記光量が前記第4領域と前記第5領域との少なくとも一方における前記光量よりも多く減少するように、前記発光ユニットを制御する
ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項3】
前記制御部は、前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態であると判定される場合において、前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態ではないと判定される場合よりも前記第4領域を形成する光の少なくとも一部の光量と前記第5領域を形成する光の少なくとも一部の光量とが減少すると共に、前記第4領域における前記光量が前記第5領域における前記光量よりも多く減少するように、前記発光ユニットを制御する
ことを特徴とする請求項に記載の車両用前照灯。
【請求項4】
前記配光パターンは、前記第3領域の下方に位置する第6領域をさらに含み、
前記制御部は、前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態であると判定される場合において、前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態ではないと判定される場合よりも前記第6領域を形成する前記光の少なくとも一部の光量が減少すると共に、前記第4領域と前記第5領域との少なくとも一方における前記光量が前記第6領域における前記光量よりも多く減少するように、前記発光ユニットを制御する
ことを特徴とする請求項またはに記載の車両用前照灯。
【請求項5】
所定の配光パターンを形成する光を出射する発光ユニットと、
検出装置によって検出される車両の走行情報を基に、前記車両が高速道路を走行している状態か否かを判定する判定部と、
前記発光ユニットを制御する制御部と、
を備え、
前記配光パターンは、
前記車両の左右方向において左側と右側との一方に位置する第1領域と、
前記車両の前記左右方向において前記左側と前記右側との他方に位置する第2領域と、
前記車両の前記左右方向において前記第1領域と前記第2領域との間に位置する領域であり、前記車両の前記左右方向における前記車両の中心を通り前記車両の前後に延びる直線が通る第3領域と、
を含み、
前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態であると判定される場合、前記車両の前記左右方向において、前記第3領域の幅は前記発光ユニットから前記第3領域よりも上方に出射するオーバーヘッドサイン光によって形成されるオーバーヘッドサイン光配光パターンの幅よりも小さく、前記第3領域の右縁は前記オーバーヘッドサイン光配光パターンの右縁よりも前記左側に位置し、前記第3領域の左縁は前記オーバーヘッドサイン光配光パターンの左縁よりも前記右側に位置し、
前記制御部は、前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態であると判定される場合において、前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態ではないと判定される場合よりも前記第1領域と前記第2領域との少なくとも一方を形成する光の少なくとも一部の光量が減少するように、前記発光ユニットを制御し、前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態であると判定される場合と前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態ではないと判定される場合とにおいて、前記第3領域を形成する光の少なくとも一部の光量が同じとなるように、前記発光ユニットを制御する
ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項6】
所定の配光パターンを形成する光を出射する発光ユニットと、
検出装置によって検出される車両の走行情報を基に、前記車両が高速道路を走行している状態か否かを判定する判定部と、
前記発光ユニットを制御する制御部と、
を備え、
前記配光パターンは、
前記車両の左右方向において左側と右側との一方に位置する第1領域と、
前記車両の前記左右方向において前記左側と前記右側との他方に位置する第2領域と、
前記車両の前記左右方向において前記第1領域と前記第2領域との間に位置する領域であり、前記車両の前記左右方向における前記車両の中心を通り前記車両の前後に延びる直線が通り、ホットゾーンを含む第3領域と、
を含み、
前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態であると判定される場合、前記車両の前記左右方向において、前記第3領域の幅は前記発光ユニットから前記第3領域よりも上方に出射するオーバーヘッドサイン光によって形成されるオーバーヘッドサイン光配光パターンの幅よりも小さく、前記第3領域の右縁は前記オーバーヘッドサイン光配光パターンの右縁よりも前記左側に位置し、前記第3領域の左縁は前記オーバーヘッドサイン光配光パターンの左縁よりも前記右側に位置し、
前記制御部は、前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態であると判定される場合において、前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態ではないと判定される場合よりも前記第1領域と前記第2領域との少なくとも一方を形成する光の少なくとも一部の光量が減少するように、前記発光ユニットを制御する
ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項7】
前記配光パターンを形成する光は、ロービームである
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の車両用前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用前照灯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光源から出射する光によって形成される配光パターンを変化させる車両用前照灯が知られている。このような車両用前照灯は、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載される車両用前照灯は、所定の配光パターンを形成する光を出射する複数の光源と、車両が走行する交通シーンをカメラで撮影された画像から判断し、配光パターンを交通シーンごとに予め設定された目標の配光パターンに変化させる制御部とを備える。この車両用前照灯では、交通シーン毎に設定される配光パターンによって、ドライバー及び歩行者に安全で快適な配光が実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-353477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される車両用前照灯において、配光パターンが交通シーンに合わせて変化しているが、配光パターンを形成する光の光量が過剰であると、車両用前照灯の電力消費の点で問題となり得る。近年では、車両の走行距離を延ばすためにも、運転者の視認性が確保されて車両の走行に支障をきたさない範囲で、車両用前照灯の消費電力の低減が求められている。特に、車両用前照灯が電気自動車に搭載される場合、車両用前照灯の消費電力の低減は重要なこととなり得る。
【0005】
そこで、本発明は、消費電力を低減し得る車両用前照灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の車両用前照灯は、所定の配光パターンを形成する光を出射する発光ユニットと、検出装置によって検出される車両の走行情報を基に、前記車両が高速道路を走行している状態か否かを判定する判定部と、前記発光ユニットを制御する制御部と、を備え、前記配光パターンは、前記車両の左右方向において左側と右側との一方に位置する第1領域と、前記車両の前記左右方向において前記左側と前記右側との他方に位置する第2領域と、前記車両の前記左右方向において前記第1領域と前記第2領域との間に位置する領域であり、前記車両の前記左右方向における前記車両の中心を通り前記車両の前後に延びる直線が通る第3領域と、を含み、前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態であると判定される場合、前記車両の前記左右方向において、前記第3領域の幅は前記発光ユニットから前記第3領域よりも上方に出射するオーバーヘッドサイン光によって形成されるオーバーヘッドサイン光配光パターンの幅よりも小さく、前記第3領域の右縁は前記オーバーヘッドサイン光配光パターンの右縁よりも前記左側に位置し、前記第3領域の左縁は前記オーバーヘッドサイン光配光パターンの左縁よりも前記右側に位置し、前記制御部は、前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態であると判定される場合において、前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態ではないと判定される場合よりも前記第1領域と前記第2領域との少なくとも一方を形成する光の少なくとも一部の光量が減少するように、前記発光ユニットを制御することを特徴とする。
【0007】
車両が高速道路を走行している場合において、例えば、車両が走行する走行車線の左側に路肩が位置し、車両の走行車線の右側に追越車線が位置するとする。車両が高速道路を走行している場合において、車両の運転者は、路肩及び追越車線よりも車両の進行方向において走行車線の前方に注意を払うことが多い。第3領域には直線が通るため、第3領域は走行車線の前方に投影され得る。この車両用前照灯において、車両が高速道路を走行している状態では、第3領域の幅はオーバーヘッドサイン光配光パターンの幅よりも小さく、第3領域の右縁はオーバーヘッドサイン光配光パターンの右縁よりも左側に位置し、第3領域の左縁はオーバーヘッドサイン光配光パターンの左縁よりも右側に位置する。これにより、第3領域の幅がオーバーヘッドサイン光配光パターンの幅よりも大きい場合と比べて、第3領域の幅が小さくなり得、第3領域を形成する光の少なくとも一部を出射する発光ユニットに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯によれば、消費電力が低減され得る。
【0008】
配光パターンにおいて、例えば、第1領域は車両の左右方向において右側に位置し、第2領域は車両の左右方向において左側に位置するとする。また、高速道路において、例えば、車両が走行する走行車線の左側に路肩が位置し、車両の走行車線の右側に追越車線が位置するとする。車両が高速道路を走行している場合において、運転者の視線は、追越車線に投影され得る第1領域及び路肩に投影され得る第2領域よりも車両の進行方向において走行車線の前方に投影され得る第3領域に集中する。また、運転者は、第1領域及び第2領域に比べて第3領域に注意を払うことが多い。以上により、車両が高速道路を走行している状態では、車両が高速道路を走行していない状態と比べて、第1領域及び第2領域の少なくとも一方の明るさの必要性は低下し得る。このため、この車両用前照灯において、車両が高速道路を走行している状態では、車両が高速道路を走行していない状態と比べて、第1領域及び第2領域の少なくとも一方を形成する光の少なくとも一部の光量は減少している。当該光量が減少すると、当該光量が減少しない場合に比べて、第1領域及び第2領域の少なくとも一方を形成する光の少なくとも一部を出射する発光ユニットに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯によれば、消費電力が低減され得る。
【0009】
また、前記制御部は、前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態であると判定される場合において、前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態ではないと判定される場合よりも前記第1領域を形成する前記光の少なくとも一部の光量と前記第2領域を形成する前記光の少なくとも一部の光量とが減少すると共に、前記第1領域における前記光量が前記第2領域における前記光量よりも多く減少するように、前記発光ユニットを制御することが好ましい。
【0010】
第1領域における光量が第2領域における光量よりも多く減少すると、第1領域における光量が第2領域における光量よりも多く減少しない場合に比べて、第1領域を形成する光の少なくとも一部を出射する発光ユニットに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯によれば、消費電力が低減され得る。また、第2領域は第1領域よりも明るくなるため、第2領域は第1領域よりも明るくならない場合に比べて、運転者は第2領域に注目し易くなり得る。
【0011】
また、前記配光パターンは、前記第1領域の下方に位置する第4領域と、前記第2領域の下方に位置する第5領域と、をさらに含み、前記制御部は、前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態であると判定される場合において、前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態ではないと判定される場合よりも前記第4領域と前記第5領域との少なくとも一方を形成する光の少なくとも一部の光量が減少すると共に、前記第1領域と前記第2領域との少なくとも一方における前記光量が前記第4領域と前記第5領域との少なくとも一方における前記光量よりも多く減少するように、前記発光ユニットを制御することが好ましい。
【0012】
配光パターンにおいて、例えば、第1,4領域は車両の左右方向において右側に位置し、第2,5領域は車両の左右方向において左側に位置するとする。また、高速道路において、例えば、車両が走行する走行車線の左側に路肩が位置し、車両の走行車線の右側に追越車線が位置するとする。車両が高速道路を走行し、例えば車線境界線が走行車線と追越車線との間の境界として位置している場合において、車線境界線は、第3領域を形成する光を照射された後、車両の進行によって第4領域を形成する光を照射される。この場合、運転者は、第4領域を形成する光よりも前に第3領域を形成する光によって車線境界線を認知し得る。また、車両が高速道路を走行し、例えば車道外側線が走行車線と路肩との間の境界として位置している場合において、車道外側線は、第3領域を形成する光を照射された後、車両の進行によって第5領域を形成する光を照射される。この場合、運転者は、第5領域を形成する光よりも前に第3領域を形成する光によって車道外側線を認知し得る。従って、車両が高速道路を走行している状態では、車両が高速道路を走行していない状態と比べて、第4領域及び第5領域との少なくとも一方の明るさの必要性は低下し得る。このため、この車両用前照灯において、車両が高速道路を走行している状態では、車両が高速道路を走行していない状態と比べて、第4領域及び第5領域との少なくとも一方を形成する光の少なくとも一部の光量は、減少している。当該光量が減少すると、当該光量が減少しない場合に比べて、第4領域及び第5領域との少なくとも一方を形成する光の少なくとも一部を出射する発光ユニットに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯によれば、消費電力が低減され得る。
【0013】
また、第4領域が追越車線の路面に投影される場合、第4領域は、第1領域における追越車線の路面よりも車両の進行方向における手前に位置する追越車線の路面に投影される。手前に位置する追越車線の路面は、運転者に安心感を与える観点から、第1領域及び第2領域の少なくとも一方を形成する光の少なくとも一部よりも明るい光によって運転者に目視されることが望まれている。また、第5領域が路肩に投影される場合、第5領域は、第2領域における路肩よりも車両の進行方向における手前に位置する路肩に投影される。手前に位置する路肩は、運転者に安心感を与える観点から、第1領域及び第2領域の少なくとも一方を形成する光の少なくとも一部よりも明るい光によって運転者に目視されることが望まれている。従って、この車両用前照灯において、車両が高速道路を走行している状態では、第1領域と第2領域との少なくとも一方における光量は第4領域と第5領域との少なくとも一方における光量よりも多く減少している。この場合、第1領域と第2領域との少なくとも一方における光量が第4領域と第5領域との少なくとも一方における光量よりも多く減少しない場合に比べて、第1領域及び第2領域の少なくとも一方を形成する光の少なくとも一部を出射する発光ユニットに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯によれば、消費電力が低減され得る。また、この車両用前照灯では、第4領域及び第5領域の少なくとも一方は第1領域及び第2領域の少なくとも一方よりも明るくなるため、第4領域及び第5領域の少なくとも一方は第1領域及び第2領域の少なくとも一方よりも明るくならない場合に比べて、手前は明るくなり得る。従って、運転者は手前に注目し易くなり得、運転者は安心感を与えられ得る。
【0014】
また、前記制御部は、前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態であると判定される場合において、前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態ではないと判定される場合よりも前記第4領域を形成する光の少なくとも一部の光量と前記第5領域を形成する光の少なくとも一部の光量とが減少すると共に、前記第4領域における前記光量が前記第5領域における前記光量よりも多く減少するように、前記発光ユニットを制御することが好ましい。
【0015】
第4領域における光量が第5領域における光量よりも多く減少すると、第4領域における光量が第5領域における光量よりも多く減少しない場合に比べて、第4領域を形成する光の少なくとも一部を出射する発光ユニットに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯によれば、消費電力が低減され得る。また、第5領域は第4領域よりも明るくなるため、第5領域は第4領域よりも明るくならない場合に比べて、運転者は第5領域に注目し易くなり得る。
【0016】
また、前記配光パターンは、前記第3領域の下方に位置する第6領域をさらに含み、前記制御部は、前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態であると判定される場合において、前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態ではないと判定される場合よりも前記第6領域を形成する前記光の少なくとも一部の光量が減少すると共に、前記第4領域と前記第5領域との少なくとも一方における前記光量が前記第6領域における前記光量よりも多く減少するように、前記発光ユニットを制御することが好ましい。
【0017】
車両が高速道路を走行している場合において、第6領域は第3領域よりも車両の進行方向における手前に投影される。高速道路を走行している車両がさらに進行すると、走行車線の路面は、第3領域を形成する光を照射された後、第6領域を形成する光を照射される。この場合、運転者は、第6領域を形成する光よりも前に第3領域を形成する光によって路面を認知し得る。従って、車両が高速道路を走行している状態では、車両が高速道路を走行していない状態と比べて、第6領域の明るさの必要性は低下し得る。このため、この車両用前照灯において、車両が高速道路を走行している状態では、車両が高速道路を走行していない状態と比べて、第6領域を形成する光の少なくとも一部の光量は、減少している。当該光量が減少すると、当該光量が減少しない場合に比べて、第6領域を形成する光の少なくとも一部を出射する発光ユニットに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯によれば、消費電力が低減され得る。
【0018】
配光パターンにおいて、例えば、第4領域は車両の左右方向において右側に位置し、第5領域は車両の左右方向において左側に位置するとする。また、高速道路において、例えば、車両が走行する走行車線の左側に路肩が位置し、車両の走行車線の右側に追越車線が位置するとする。第6領域は、走行車線の手前側に投影され得、運転者に安心感を与える観点から、路肩及び追越車線に投影される第4領域及び第5領域よりも明るくされることが望まれている。従って、この車両用前照灯において、車両が高速道路を走行している状態では、第4領域と第5領域との少なくとも一方における光量は第6領域における光量よりも多く減少している。この場合、第4領域と第5領域との少なくとも一方における光量が第6領域における光量よりも多く減少しない場合に比べて、第4領域及び第5領域の少なくとも一方を形成する光の少なくとも一部を出射する発光ユニットに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯によれば、消費電力が低減され得る。また、この車両用前照灯では、第6領域は第4領域及び第6領域の少なくとも一方よりも明るくなるため、第6領域は第4領域及び第6領域の少なくとも一方よりも明るくならない場合に比べて、走行車線の手前は明るくなり得る。従って、運転者は走行車線の手前に注目し易くなり得、運転者は安心感を与えられ得る。
【0019】
また、前記制御部は、前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態であると判定される場合と前記判定部によって前記車両が前記高速道路を走行している状態ではないと判定される場合とにおいて、前記第3領域を形成する光の少なくとも一部の光量が同じとなるように、前記発光ユニットを制御することが好ましい。
【0020】
車両が高速道路を走行している場合と車両が高速道路を走行していない場合とにおいて、第3領域の明るさは同じとなる。従って、この車両用前照灯では、明るさの変化による運転者の視覚への負担が抑制され得る。また、この車両用前照灯では、制御部は、車両が高速道路を走行している場合と高速道路を走行していない場合とにおいて、発光ユニットに同じ電力を供給すればよい。従って、この車両用前照灯では、明るさが変わる場合に比べて、制御部の負担が軽減され得る。
【0021】
また、前記配光パターンを形成する光は、ロービームであってもよい。
【0022】
また、前記第3領域は、ホットゾーンを含んでもよい。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によれば、消費電力を低減し得る車両用前照灯を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、車両を概念的に示す平面図である。
図2図2は、図1に示す1つの発光ユニットを概略的に示す側面図である。
図3図3は、図2に示す配光パターン形成部を概略的に示す正面図である。
図4図4は、車両用前照灯システムの動作を示すフローチャートである。
図5図5は、車両が一般道を走行している場合におけるロービームの配光パターン及びオーバーヘッドサイン光の配光パターンを示す図である。
図6図6は、車両が高速道路を走行している場合におけるロービームの配光パターン及びオーバーヘッドサイン光の配光パターンを示す図である。
図7図7は、高速道路を走行する車両を車両の上下方向における上側から見る場合の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る車両用前照灯の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができる。また、本発明は、以下に例示する実施形態における構成要素を適宜組み合わせてもよい。なお、理解の容易のため、それぞれの図において一部が誇張して記載される場合等がある。
【0026】
図1は、車両10を概念的に示す平面図である。図1に示すように、車両10は車両用前照灯システム15を備えており、車両用前照灯システム15は車両用前照灯20及び検出装置100を備える。
【0027】
本実施形態の車両用前照灯20は、自動車用の前照灯とされる。車両用前照灯20は、車両10の前方部位の左右に配置される一対の発光ユニット30と、判定部40と、制御部50と、記録部60とを主に備える。なお、本明細書において「右」とは車両10の進行方向において右側を意味し、「左」とは車両10の進行方向において左側を意味する。
【0028】
一対の発光ユニット30は、車両10の左右方向において互いに概ね対称な形状とされる。本実施形態の一対の発光ユニット30は、ロービーム及びオーバーヘッドサイン光、またはハイビームを車両10の前方に出射する。オーバーヘッドサイン光は、車両10の上下方向においてロービームよりも上方に出射される。一対の発光ユニット30のうちの一方の発光ユニット30aの構成は、形状が概ね対称であることを除いて、一対の発光ユニット30のうちの他方の発光ユニット30bの構成と同じとされる。
【0029】
図2は、図1に示す一方の発光ユニット30aを概略的に示す側面図である。図2に示すように、発光ユニット30aは、筐体31と、配光パターン形成部33と、投影レンズ35とを主な構成として備える。なお、図2において、筐体31及び投影レンズ35は鉛直断面にて示されている。
【0030】
筐体31は、ランプハウジング31a、フロントカバー31b、及びバックカバー31cを主な構成として備える。ランプハウジング31aの前方には開口が形成されており、当該開口を塞ぐようにフロントカバー31bがランプハウジング31aに固定されている。また、ランプハウジング31aの後方には前方の開口よりも小さな開口が形成されており、当該開口を塞ぐようにバックカバー31cがランプハウジング31aに固定されている。
【0031】
ランプハウジング31aとフロントカバー31bとバックカバー31cとによって、密閉された空間としての灯室31dが形成される。この灯室31dには、配光パターン形成部33及び投影レンズ35が収容される。バックカバー31cは、ランプハウジング31aの後方の開口を通じての配光パターン形成部33及び投影レンズ35の交換のために、ランプハウジング31aに対して開閉可能または着脱可能となっている。
【0032】
フロントカバー31bは透光性を有する材料で構成されており、配光パターン形成部33及び投影レンズ35から出射される光はフロントカバー31bを透過する。ランプハウジング31a及びバックカバー31cは、例えば、樹脂で構成される。
【0033】
図3は、図2に示す配光パターン形成部33を概略的に示す正面図である。図3に示すように、配光パターン形成部33は、光を出射する複数の発光素子33aと、複数の発光素子33aが実装される回路基板33bとを有する。複数の発光素子33aは、回路基板33bを介して制御部50に電気的に接続される。複数の発光素子33aは、マトリックス状に配置されて上下方向及び左右方向に列を形成し、前方に向かって光を出射する。これら発光素子33aは、出射する光の光量を、発光素子33aに供給される電力によって個別に変更可能とされている。本実施形態では、発光素子33aのそれぞれは、例えば、白色の光を出射するLED(Light Emitting Diode)とされる。従って、配光パターン形成部33はLEDアレイである。また、発光素子33aの数、発光素子33aの列の数、それぞれの発光素子33aの列における発光素子33aの数、発光素子33aが配列される方向、発光素子33aの種類は特に限定されるものではない。
【0034】
このような配光パターン形成部33は、光を出射する発光素子33aを選択することで、大きさ及び形状が変更可能な所定の配光パターンを形成する。また、配光パターン形成部33は、それぞれの発光素子33aから出射する光の光量を独立して調節することで、光量分布が変更可能な配光パターンを形成する。
【0035】
図2に戻り、発光ユニット30aの説明を続ける。発光ユニット30aにおける投影レンズ35は、配光パターン形成部33よりも前方に配置される。投影レンズ35は、入射面及び出射面が凸状に形成されたレンズとされる。投影レンズ35の後方焦点は、配光パターン形成部33におけるいずれかの発光素子33aの光の出射面上またはその近傍に位置している。投影レンズ35は、配光パターン形成部33から出射する光の発散角を調節する。配光パターン形成部33から出射する光は投影レンズ35に入射し、この光の発散角は投影レンズ35によって調節される。当該光は、フロントカバー31bを介して発光ユニット30から車両10の前方へ向けて出射する。
【0036】
ここで、図1に戻り、車両10の説明を続ける。
【0037】
制御部50は、例えば、マイクロコントローラ、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large-scale Integrated Circuit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの集積回路やNC(Numerical Control)装置を用いることができる。また、制御部50は、NC装置を用いた場合、機械学習器を用いたものであってもよく、機械学習器を用いないものであってもよい。後述するように、制御部50は、一対の発光ユニット30を制御する。
【0038】
制御部50は、車両10に搭載される図示しないライトスイッチからの制御信号が入力されているか否かを判定する。制御信号は、一対の発光ユニット30からの光の出射の開始を指示する信号である。この光は、例えば、ロービーム及びオーバーヘッドサイン光、またはハイビームである。制御信号が制御部50に入力されている場合には、制御部50は一対の発光ユニット30を駆動させる。制御信号が制御部50に入力されていない場合、制御部50は、一対の発光ユニット30の駆動を停止させる。
【0039】
記録部60は、後述する各閾値及び地図情報を記録する。記録部60は、例えば非一過性(non-transitory)の記録媒体であり、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の半導体記録媒体が好適であるが、光学式記録媒体や磁気記録媒体等の任意の形式の記録媒体を包含し得る。なお、「非一過性」の記録媒体とは、一過性の伝搬信号(transitory, propagating signal)を除く全てのコンピュータ読み取り可能な記録媒体を含み、揮発性の記録媒体を除外するものではない。
【0040】
検出装置100は、カメラと、検出部とを備える。カメラは、車両10の前方部位に取り付けられ、車両10の前方を撮影する。カメラは、赤外線カメラであってもよい。カメラによって撮影される撮影画像には、一対の発光ユニット30から出射する光が照射される領域の少なくとも一部が含まれる。検出部は、カメラによって撮影された撮影画像から他車両の存在、車両10に対する当該他車両の位置を検出する。検出部の構成は、例えば、制御部50と同じ構成である。
【0041】
また、検出装置100は、カーナビに使用される複数のGPS衛星から送信されたGPS信号を受信する受信機をさらに備える。受信機は、これらGPS信号に基づいて車両10の現在位置の座標を検出する。車両10の現在位置の座標は車両10の走行状況を示す走行情報と理解できる。従って、検出装置100の受信機は、車両10の走行情報を検出すると理解できる。検出装置100の受信機は、刻々と変化し得る走行情報を示す信号を判定部40に随時出力する。
【0042】
走行情報が判定部40に入力されると、判定部40は、走行情報である車両10の現在位置の座標と記録部60に記録される地図情報とを基に、車両10が高速道路を走行している状態か否かを判定する。地図情報には高速道路が予め設定されており、判定部40は、車両10の現在位置の座標が地図情報における高速道路に位置するか否かを判定する。車両10の現在位置の座標が地図情報における高速道路に位置する場合、判定部40は、車両10が高速道路を走行している状態であることを示す信号を制御部50に出力する。車両10の現在位置の座標が地図情報における高速道路に位置しない場合、判定部40は、車両10が高速道路を走行していない状態であることを示す信号を制御部50に出力する。このため、判定部40による判定とは、検出装置100から入力される走行情報に応じて、制御部50に出力する信号を変化させることと理解できる。判定部40の構成は、例えば、制御部50と同じ構成である。本実施形態では、高速道路とは、例えば、高速自動車国道、自動車専用道路、有料道路等といった、主に車両10が高速かつ安全に走行できる車道である。
【0043】
走行情報は、車両10の現在位置の座標として説明したが、車両10の現在位置の座標に限定される必要はない。そこで、走行情報の他の例について、以下に説明する。
【0044】
例えば、走行情報として、ETC(Electronic Toll Collection)カードを識別するための固有情報であるETCカード番号情報が挙げられる。この場合、検出装置100は、ETCカードが挿入されるETC車載器を備える。ETC車載器は、ETC車載器に挿入されたETCカードからETCカード番号情報を取得する。ETC車載器は、所定の距離に近接した路側機であるETCゲートとの間で無線通信する。ETCゲートは、高速道路の出入り口または高速道路のスマートインターチェンジの出入り口に配置される自動料金収受のための装置である。ETC車載器が高速道路の入り口またはスマートインターチェンジの入り口におけるETCゲートと無線通信すると、車両10が高速道路に侵入したこととなる。この場合、ETC車載器はETCゲートと無線通信したことを示す信号を判定部40に出力する。ETC車載器からの信号が所定期間内に判定部40に入力されると、判定部40は、車両10が高速道路を走行している状態であることを示す信号を制御部50に出力する。ETC車載器からの信号が所定期間内に判定部40に入力されていない場合、判定部40は、車両10が高速道路を走行していない状態であることを示す信号を制御部50に出力する。
【0045】
或いは、走行情報として、車両10の走行速度が挙げられる。この場合、検出装置100は、車両10の走行速度を計測するセンサである計測部を備える。計測部は、刻々と変化し得る走行情報を示す信号を判定部40に随時出力する。走行情報が判定部40に入力されると、判定部40は、第1閾値である所定速度を記録部60から読み出し、所定速度と走行情報における車両10の走行速度とを比較する。判定部40は、車両10の走行速度が所定速度以上である場合、判定部40は、車両10が高速道路を走行している状態であることを示す信号を制御部50に出力する。車両10の走行速度が所定速度未満である場合、判定部40は、車両10が高速道路を走行していない状態であることを示す信号を制御部50に出力する。
【0046】
次に、本実施形態の車両用前照灯システム15の動作について説明する。
【0047】
図4は、本実施形態における車両用前照灯システム15の動作を示すフローチャートである。図4に示すように、本実施形態のフローチャートは、ステップS1~ステップS5を含んでいる。
【0048】
(ステップS1)
本ステップでは、制御部50は、ライトスイッチからの制御信号を基に、光を出射させるか否かを判定する。制御信号が制御部50に入力されておらず、光が出射されない場合、制御部50は、一対の発光ユニット30の駆動を停止させ、処理はステップS1に戻る。また、制御信号が制御部50に入力されて、光が出射される場合、処理はステップS2に移行する。
【0049】
(ステップS2)
本ステップでは、検出装置100は、走行情報を検出し、走行情報を判定部40に出力する。走行情報が判定部40に入力されると、処理はステップS3に移行する。
【0050】
(ステップS3)
本ステップでは、判定部40は、走行情報を基に、車両10が高速道路を走行している状態か否かを判定する。走行情報として、上記したように、車両10の現在位置の座標等が挙げられる。車両10が高速道路を走行している状態ではないことを示す信号が判定部40から制御部50に入力されると、処理はステップS4に移行する。また、車両10が高速道路を走行している状態であることを示す信号が判定部40から制御部50に入力されると、処理はステップS5に移行する。
【0051】
(ステップS4)
本ステップでは、車両10が一般道を真っ直ぐに走行しているものとして説明する。ここでは、一般道は片側1車線の対面通行の直線路であり、車両10は直線路の左側車線を走行しているとする。一般道とは、例えば、交差点が位置している道路である。
【0052】
制御部50は一対の発光ユニット30を駆動させ、一対の発光ユニット30は車両10の前方に向かってロービーム及びオーバーヘッドサイン光を出射する。図5は、車両10が一般道220を走行している場合におけるロービームの配光パターン300及びオーバーヘッドサイン光の配光パターン400を示す図である。以下において、配光パターン300を形成する光を基準光とし、基準光の光量を基準光量と呼ぶことがある。配光パターン300及び配光パターン400は、車両10から例えば25m前方に位置する仮想鉛直スクリーン上に形成される。図5において、配光パターン300は太線で示されており、配光パターン400は破線で示されている。配光パターン400は、車両10の上下方向において、配光パターン300よりも上方に投影される配光パターンである。配光パターン400によって、配光パターン300より上方に位置する不図示の対象物の視認性の向上が図られる。このような対象物は、例えば、道路標識等である。図5において、Sは水平線を示し、L0は車両10の左右方向の中心を通り車両10の前後の延びる直線を示し、Vは直線L0に対して直交している鉛直線を示す。
【0053】
配光パターン300は、上縁に、カットオフラインCL1,CL2,CL3を有する。カットオフラインCL1は、カットオフラインCL2を基準としてカットオフラインCL3とは反対側に設けられている。カットオフラインCL1とカットオフラインCL2との交点は、エルボー点EPと称される。エルボー点EPは、水平線Sより下方かつ鉛直線V上に位置する。エルボー点EPは、水平線Sより下方かつ鉛直線Vの近傍に位置してもよい。カットオフラインCL1は、エルボー点EPから車両10の左右方向の一方側である右側に水平方向に延在する。カットオフラインCL2は、エルボー点EPから車両10の上下左右方向における左斜め上方に向かって延在している。エルボー点EP側とは反対側におけるカットオフラインCL2の端は、水平線Sより上方に位置している。カットオフラインCL3は、カットオフラインCL2の上記した端から、車両10の左右方向における左側に水平方向に延在する。また、配光パターン300におけるホットゾーンHZLは、エルボー点EPの近傍に位置している。ホットゾーンHZLとは、配光パターン300において最も明るい領域である。従って、ホットゾーンHZLとは、配光パターン300において光量が最も多い領域であると理解できる。配光パターン300の光量分布として、ホットゾーンHZLから離れるに従って、光量が徐々に減少する。従って、配光パターン300の外周縁側は、ホットゾーンHZL側に比べて暗くされる。
【0054】
なお、車両10の右側通行が運用されている国や地域では、配光パターン300は、図5に示す配光パターン300と概ね左右対称の形状とされる。従って、カットオフラインCL1はエルボー点EPから左側に水平方向に延在し、カットオフラインCL2はエルボー点EPから右斜め上方に向かって延在する。
【0055】
配光パターン400の中心は、鉛直線Vの近傍に位置する。また、配光パターン400の中心は、車両10の上下方向において、カットオフラインCL2の上方に位置する。なお、配光パターン400の中心は、鉛直線V上に位置してもよい。或いは、配光パターン400の中心は、車両10の上下方向において、エルボー点EPの上方に位置してもよい。車両10の左右方向において、配光パターン400の幅は、配光パターン300の幅よりも狭い。配光パターン400の右縁は、車両10の上下方向において、カットオフラインCL1の上方に位置する。また、配光パターン400の左縁は、車両10の上下方向において、カットオフラインCL3の上方に位置する。
【0056】
配光パターン300及び配光パターン400が形成されると、処理はステップS1に戻る。
【0057】
(ステップS5)
本ステップでは、車両10が高速道路を走行しているものとして説明する。ここでは、高速道路は、片側2車線の対面通行の車道であるとする。高速道路は左側に向かって曲がっており、車両10は高速道路の片側2車線のうちの左側の車線を走行しているとする。以下において、車両10が走行している車線を走行車線と呼ぶことがある。車両10が走行している高速道路では、走行車線の左側には路肩が位置し、走行車線の右側には追越車線が位置し、追越車線の右側には対向車線との境界である中央分離帯が位置するものとする。
【0058】
制御部50は一対の発光ユニット30を駆動させ、一対の発光ユニット30は車両10の前方に向かってロービーム及びオーバーヘッドサイン光を出射する。図6は、車両10が高速道路230を走行している場合におけるロービームの配光パターン700及びオーバーヘッドサイン光の配光パターン400を示す図である。配光パターン700及び配光パターン400は、ステップS4における配光パターン300及び配光パターン400と同様に、車両10から例えば25m前方に位置する仮想鉛直スクリーン上に形成される。図6において、配光パターン700は太線で示されており、配光パターン400は破線で示されている。配光パターン400の形状、大きさ、及び光量分布は、車両10が一般道220を走行している場合と車両10が高速道路230を走行している場合とにおいて同じである。
【0059】
車両10が高速道路230を走行している場合における配光パターン700の形状及び大きさは、車両10が一般道220を走行している場合における配光パターン300の形状及び大きさと同じである。しかしながら、配光パターン700における光量分布は、配光パターン300における光量分布とは異なる。以下に、配光パターン700における光量分布について説明する。
【0060】
高速道路230では、配光パターン700は車両10の上下左右方向において6つの領域に区分けられており、車両10の上下左右方向において隣り合う領域のそれぞれは互いに接しているものとする。領域のそれぞれを、第1領域701、第2領域702、第3領域703、第4領域704、第5領域705、及び第6領域706として説明する。第1領域701、第2領域702、及び第3領域703は車両10の上下方向における上側の領域であり、第4領域704、第5領域705、及び第6領域706は車両10の上下方向における下側の領域である。
【0061】
第1領域701は、車両10の左右方向において左側と右側との一方に位置する領域である。第2領域702は、車両10の左右方向において左側と右側との他方に位置する領域である。図6では、左側と右側との一方を右側とし、左側と右側との他方を左側としている。第3領域703は、車両10の左右方向において第1領域701と第2領域702との間に位置する領域である。第3領域703には直線L0が通るため、第1領域701は車両10の左右方向において右側に位置する領域となり、第2領域702は車両10の左右方向において左側に位置する領域となる。また、第3領域703には、V線が通り、エルボー点EP及びホットゾーンHZLが位置する。第3領域703は、車両10の上下方向において配光パターン400の下方に位置する。
【0062】
第4領域704は、車両10の上下方向において第1領域701の下方に位置する領域である。第5領域705は、車両10の上下方向において第2領域702の下方に位置する領域である。第6領域706は、車両10の左右方向において第4領域704と第5領域705との間に位置する領域であり、車両10の上下方向において第3領域703の下方に位置する領域である。また、第6領域706には、V線が通る。
【0063】
第4領域704と第5領域705と第6領域706とのそれぞれの高さが互いに同一となると共に第1領域701の高さよりも低くなるように、制御部50は一対の発光ユニット30を制御する。ここで、第1領域701と第2領域702と第3領域703とを含む配光パターン700の上側領域と、第4領域704と第5領域705と第6領域706とを含む配光パターン700の下側領域との境界線について説明する。この境界線は、例えば、雨天時における対向車の運転者へのグレアの付与を抑制する観点から、例えば、カットオフラインCL1から2度~3度程度下方に位置することが好ましい。
【0064】
ところで、図7は、高速道路230を走行する車両10を車両10の上下方向における上側から見る場合の平面図である。図7では、高速道路230は曲がっておらず真っ直ぐな車道として示されている。図7において、平面601は、車両10の上下方向及び前後方向に沿っている面であり、車両10の前端における車両10の左右方向の中心を通る面である。ここで、平面601の位置を基準位置と称する。配光パターン400は、平面601が基準位置から上記中心を支点として左周りに広がり角度θで回転した第1位置と、平面601が基準位置から中心を支点として右周りに広がり角度θで回転した第2位置との間に渡って位置すればよい。一般的に、配光パターン400の広がり角度θは、8度~10度程度となっている。高速道路230では、走行車線230aと、走行車線230aの左側に位置する路肩230bと、走行車線230aの右側に隣り合う追越車線230cとが位置する。走行車線230aと路肩230bとの間には、境界線としての車道外側線231が設けられる。走行車線230aと追越車線230cとの間には、境界線としての車線境界線233が設けられる。追越車線230cの右側には図示しない中央分離帯が設けられ、追越車線230cと中央分離帯の間には、境界線としての車道外側線231aが設けられる。走行車線230aと路肩230bと追越車線230cとのそれぞれの幅Wが3.5mであり、配光パターン700の広がり角度が広がり角度θと同じであり、広がり角度θが8度であるとする。この場合、配光パターン700は車両10の前端から距離L1前方に位置する仮想鉛直スクリーン上に形成されると共に、走行車線230aと路肩230bと追越車線230cと照射し得る。距離L1は、37.35mである。ところで、一般的に、高速道路230を走行する車両10の平均時速が100kmである場合、車両10の空走距離は28mであり、停止距離は84mであり、空走距離及び停止距離の和である制動距離L2は112mとなる。車両10の前端から制動距離L2である112m前方は、走行車線230aにおける先行車との衝突を避けるために、車両10の運転者に目視されることが望まれている。そこで車両10の運転者に安心感を与える観点から、第3領域703は、広がり角度θ以内に位置すれば、車両10の前端から制動距離L2前方においても少なくとも走行車線230aに投影され得る。このため、車両10が高速道路230を走行している状態では、図6に示すように、第3領域703の幅は配光パターン400の幅よりも小さい。また、第3領域703の右縁は配光パターン400の右縁よりも左側に位置し、第3領域703の左縁は配光パターン400の左縁よりも右側に位置する。
【0065】
図6に示すように、第3領域703は、車両10の左右方向の右側において第1領域701に隣り合う。従って、第1領域701の左縁は配光パターン400の右縁よりも左側に位置する。また、第3領域703は、車両10の左右方向の左側において第2領域702に隣り合う。従って、第2領域702の右縁は配光パターン400の左縁よりも右側に位置する。第1領域701の左縁は第4領域704の左縁の上方に位置し、第1領域701の右縁は第4領域704の右縁の上方に位置する。第2領域702の左縁は第5領域705の左縁の上方に位置し、第2領域702の右縁は第5領域705の右縁の上方に位置する。第3領域703の左縁は第6領域706の左縁の上方に位置し、第3領域703の右縁は第6領域706の右縁の上方に位置する。
【0066】
制御部50は、第1領域701と第2領域702と第4領域704と第5領域705とのそれぞれの幅が互いに同一となるように、一対の発光ユニット30を制御する。この場合、配光パターン700の幅から第3領域703の幅を差分した残りの幅を均等に分割した長さがそれぞれの領域の幅であり、第6領域706の幅は第3領域703の幅と同じである。ここでは、第1領域701と第2領域702と第4領域704と第5領域705とのそれぞれの幅は、第3領域703の幅よりも大きい。
【0067】
配光パターン700の上縁は、第1領域701、第2領域702、及び第3領域703のそれぞれの上縁である。第1領域701の上縁はカットオフラインCL1の一部であり、第2領域702の上縁はカットオフラインCL3の一部である。また、第3領域703の上縁は、カットオフラインCL1の残りの一部、カットオフラインCL2、及びカットオフラインCL3の残りの一部である。配光パターン700の下縁は、第4領域704、第5領域705、及び第6領域706のそれぞれの下縁である。配光パターン700の右縁は第1領域701及び第4領域704のそれぞれの右縁であり、配光パターン700の左縁は第2領域702及び第5領域705のそれぞれの左縁である。
【0068】
本ステップでは、第1領域701は、主に、配光パターン700内に位置する車道外側線231aの一部を含む追越車線230cの一部の路面と、配光パターン700内に位置する中央分離帯とに投影される。第2領域702は、主に、配光パターン700内に位置する路肩230bの大部分に投影される。第3領域703は、主に、配光パターン700内に位置する車道外側線231の一部と、配光パターン700内に位置する車線境界線233の一部と、車道外側線231と車線境界線233との間における走行車線230aの一部の路面とに投影される。また、第3領域703は、車道外側線231の左側における路肩230bの一部及び車線境界線233の右側における追越車線230cの別の一部の路面にも投影される。第4領域704は、主に、配光パターン700内に位置する車線境界線233の残りの一部と、配光パターン700内に位置する追越車線230cの残りの一部及び走行車線230aの別の一部の路面とに投影される。車線境界線233の残りの一部は、第3領域703における車線境界線233よりも車両10の進行方向における手前に位置する。追越車線230cの残りの一部は、第1領域701における追越車線230cよりも車両10の進行方向における手前に位置する。また、走行車線230aの別の一部は、第3領域703における走行車線230aよりも車両10の進行方向における手前に位置する。第5領域705は、主に、配光パターン700内に位置する車道外側線231の残りの一部と、配光パターン700内に位置する路肩230bの残りの一部と、配光パターン700内に位置する走行車線230aの別の一部の路面とに投影される。車道外側線231の残りの一部は、第3領域703における車道外側線231よりも車両10の進行方向における手前に位置する。第5領域705における路肩230bは、第2領域702における路肩230bよりも車両10の進行方向における手前に位置する。走行車線230aの別の一部の路面は、第3領域703における路面よりも手前に位置する。第6領域706は、主に、第3領域703の下方における車道外側線231と車線境界線233との間の路面に投影される。
【0069】
本ステップでは、車両10が高速道路230を走行している状態であることを示す信号が判定部40から制御部50に入力されると、制御部50は、一対の発光ユニット30の各発光素子33aに供給される電力を調節する。これにより、各発光素子33aのそれぞれから出射する光の光量が調節され、配光パターン700における光量分布が調節される。以下に、光量の調節について説明する。
【0070】
制御部50は、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態であると判定される場合において、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態ではないと判定される場合よりも第1領域701及び第2領域702のそれぞれを形成する光の光量が減少するように、一対の発光ユニット30を制御する。
【0071】
車両10が高速道路230を走行している場合において、車両10の運転者の視線は、追越車線230cに投影される第1領域701及び路肩230bに投影される第2領域702よりも車両10の進行方向において走行車線230aの前方に投影される第3領域703に集中する。また、運転者は、第1領域701及び第2領域702に比べて第3領域703に注意を払うことが多い。以上により、車両10が高速道路230を走行している状態では、車両10が高速道路230を走行していない状態と比べて、第1領域701及び第2領域702の明るさの必要性は低下し得る。このため本実施形態の車両用前照灯20において、車両10が高速道路230を走行している状態では、車両10が高速道路230を走行していない状態と比べて、第1領域701及び第2領域702を形成する光の光量は減少している。従って、配光パターン300が配光パターン700と同様に6つの領域に区分けられた場合、第1領域701を形成する光の光量は、配光パターン700の右上に位置する第1領域701に対応する配光パターン300の右上領域を形成する基準光の基準光量よりも少なくなる。また、第2領域702を形成する光の光量は、配光パターン700の左上に位置する第2領域702に対応する配光パターン300の左上領域を形成する基準光の基準光量よりも少なくなる。これにより、車両10が高速道路230を走行している場合における第1領域701及び第2領域702は、車両10が一般道220を走行している場合における配光パターン300の右上領域及び左上領域よりも暗くなる。第1領域701及び第2領域702における光量は、消灯するのではなく、必要最低限度の光量であることが好ましい。必要最低限度の光量とは、例えば、車両10の前方において車両10の運転者の視認性が確保される程度の明るさである。必要最低限度の光量は、閾値として記録部60に記録されており、日中や夜間といった車両10の走行状況などに応じて適宜変更可能にされてもよい。
【0072】
なお、制御部50は、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態であると判定される場合において、第1領域701における光量が第2領域702における光量よりも多く減少するように、一対の発光ユニット30を制御してもよい。
【0073】
車両10が高速道路230を走行している場合、路肩230bには故障車が停止しており、追越車線230cには他車両が走行していないことがある。この場合、運転者は、追越車線230cよりも路肩230bに注意を払うことが多い。本実施形態の車両用前照灯20では、第2領域702は運転者が注意を払う必要性が高い路肩230bに投影され、第1領域701は運転者が注意を払う必要性が低い追越車線230cに投影される。このため、第1領域701を形成する光の減少量は、第2領域702を形成する光の減少量よりも多い。これにより、第2領域702は、第1領域701よりも明るくなる。
【0074】
故障車及び他車両は、検出装置100によって検出される。この場合、検出装置100の検出部は、検出装置100のカメラによって撮影された撮影画像から故障車及び他車両それぞれの存在を検出する。検出部は、故障車及び他車両それぞれの存在の有無を信号として制御部50に出力する。制御部50は、故障車が検出されて他車両が検出されなかった場合、上記したように制御する。
【0075】
また、制御部50は、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態であると判定される場合において、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態ではないと判定される場合よりも第4領域704及び第5領域705を形成する光の光量が減少すると共に、第1領域701及び第2領域702における光量が第4領域704及び第5領域705における光量よりも多く減少するように、一対の発光ユニット30を制御する。
【0076】
車両10が高速道路230を走行している場合において、車線境界線233は、第3領域703を形成する光を照射された後、車両10の進行によって第4領域704を形成する光を照射される。この場合、運転者は、第4領域704を形成する光よりも前に第3領域703を形成する光によって車線境界線233を認知し得る。また、車両10が高速道路230を走行している場合において、車道外側線231は、第3領域703を形成する光を照射された後、車両10の進行によって第5領域705を形成する光を照射される。この場合、運転者は、第5領域705を形成する光よりも前に第3領域703を形成する光によって車道外側線231を認知し得る。従って、車両10が高速道路230を走行している状態では、車両10が高速道路230を走行していない状態と比べて、第4領域704の明るさの必要性及び第5領域705の明るさの必要性は低下し得る。このため、本実施形態の車両用前照灯20において、車両10が高速道路230を走行している状態では、車両10が高速道路230を走行していない状態と比べて、第4領域704及び第5領域705を形成する光の光量は、減少している。配光パターン300が配光パターン700と同様に6つの領域に区分けられた場合、第4領域704を形成する光の光量は、配光パターン700の右下に位置する第4領域704に対応する配光パターン300の右下領域を形成する基準光の基準光量よりも少なくなる。また、第5領域705を形成する光の光量は、配光パターン700の左下に位置する第5領域705に対応する配光パターン300の左下領域を形成する基準光の基準光量よりも少なくなる。これにより、車両10が高速道路230を走行している場合における第4領域704及び第5領域705は、車両10が一般道220を走行している場合における配光パターン300の左下領域及び右下領域よりも暗くなる。
【0077】
また、第4領域704が追越車線230cの路面に投影される場合、第4領域704は、第1領域701における追越車線230cの路面よりも車両10の進行方向における手前に位置する追越車線230cの路面に投影される。手前に位置する追越車線230cの路面は、運転者に安心感を与える観点から、第1領域701及び第2領域702を形成する光よりも明るい光によって運転者に目視されることが望まれている。また、第5領域705が路肩230bに投影される場合、第5領域705は、第2領域702における路肩230bよりも車両10の進行方向における手前に位置する路肩230bに投影される。手前に位置する路肩230bは、運転者に安心感を与える観点から、第1領域701及び第2領域702を形成する光よりも明るい光によって運転者に目視されることが望まれている。従って、本実施形態の車両用前照灯20において、車両10が高速道路230を走行している状態では、第1領域701及び第2領域702を形成する光の減少量は第4領域704及び第5領域705を形成する光の減少量よりも多く、第4領域704及び第5領域705は第1領域701及び第2領域702よりも明るくされている。
【0078】
なお、制御部50は、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態であると判定される場合において、第4領域704における光量が第5領域705における光量よりも多く減少するように、一対の発光ユニット30を制御してもよい。
【0079】
車両10が高速道路230を走行している場合、上記したように、路肩230bには故障車が停止しており、追越車線230cには他車両が走行していないことがある。この場合、運転者は、追越車線230cよりも路肩230bに注意を払うことが多い。本実施形態の車両用前照灯20では、第5領域705は運転者が注意を払う必要性が高い路肩230bに投影され、第4領域704は運転者が注意を払う必要性が低い追越車線230cに投影される。このため、第4領域704を形成する光の減少量は、第5領域705を形成する光の減少量よりも多い。これにより、第5領域705は、第4領域704よりも明るくなる。ここでは、制御部50は、検出装置100によって故障車が検出されて他車両が検出されなかった場合、上記したように制御する。
【0080】
また、制御部50は、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態であると判定される場合において、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態ではないと判定される場合よりも第6領域706を形成する光の光量が減少すると共に、第4領域704及び第5領域705における光量が第6領域706における光量よりも多く減少するように、一対の発光ユニット30を制御してもよい。
【0081】
車両10が高速道路230を走行している場合において、第6領域706は第3領域703よりも車両10の進行方向における手前に投影される。高速道路230を走行している車両10がさらに進行すると、走行車線230aの路面は、第3領域703を形成する光を照射された後、第6領域706を形成する光を照射される。この場合、運転者は、第6領域706を形成する光よりも前に第3領域703を形成する光によって路面を認知し得る。従って、車両10が高速道路230を走行している状態では、車両10が高速道路230を走行していない状態と比べて、第6領域706の明るさの必要性は低下し得る。このため、本実施形態の車両用前照灯20において、車両10が高速道路230を走行している状態では、車両10が高速道路230を走行していない状態と比べて、第6領域706を形成する光の光量は、減少している。上記したように配光パターン300が配光パターン700と同様に6つの領域に区分けられた場合、第6領域706を形成する光の光量は、配光パターン700の中央下に位置する第6領域706に対応する配光パターン300の中央下領域を形成する基準光の基準光量よりも少なくなる。これにより、車両10が高速道路230を走行している場合における第6領域706は、車両10が一般道220を走行している場合における配光パターン300の中央下領域よりも暗くなる。
【0082】
また、第6領域706は、走行車線230aの手前側に投影されており、運転者に安心感を与える観点から、路肩230b及び追越車線230cに投影される第4領域704及び第5領域705よりも明るくされることが望まれている。従って、本実施形態の車両用前照灯20において、車両10が高速道路230を走行している状態では、第4領域704及び第5領域705を形成する光の減少量は、第6領域706を形成する光の減少量よりも多く、第6領域706は第4領域704及び第5領域705よりも明るくされている。
【0083】
第3領域703は車両10の進行方向において走行車線230aの前方に投影されるため、運転者の視線は他の領域に比べて第3領域703に集中することが多い。従って、第3領域703を形成する光の光量は、車両10が一般道220を走行している場合に比べて変化しないことが好ましい。このため、上記したように、配光パターン300が配光パターン700と同様に6つの領域に区分けられた場合、第3領域703を形成する光の光量は、配光パターン700の中央上に位置する第3領域703に対応する配光パターン300の中央上領域を形成する基準光の基準光量と同じであることが好ましい。本実施形態の車両用前照灯20では、制御部50は、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態であると判定される場合と判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態ではないと判定される場合とにおいて、第3領域703を形成する光の光量が同じとなるように、一対の発光ユニット30を制御している。
【0084】
上記したように配光パターン700において、光量が調節されると、処理はステップS1に戻る。
【0085】
以上のように、本実施形態の車両用前照灯20は、所定の配光パターン700を形成する光を出射する一対の発光ユニット30と、検出装置100によって検出される車両10の走行情報を基に、車両10が高速道路230を走行している状態か否かを判定する判定部40と、一対の発光ユニット30を制御する制御部50とを備える。配光パターンは、車両10の左右方向において左側と右側との一方に位置する第1領域701と、車両10の左右方向において左側と右側との他方に位置する第2領域702と、車両10の左右方向において第1領域701と第2領域702との間に位置する領域であり、車両10の左右方向における車両10の中心を通り車両10の前後に延びる直線が通る第3領域703とを含む。判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態であると判定される場合、車両10の左右方向において、第3領域703の幅は一対の発光ユニット30から第3領域703よりも上方に出射するオーバーヘッドサイン光によって形成される配光パターン400の幅よりも小さく、第3領域703の右縁は配光パターン400の右縁よりも左側に位置し、第3領域703の左縁は配光パターン400の左縁よりも右側に位置する。制御部50は、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態であると判定される場合において、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態ではないと判定される場合よりも第1領域701及び第2領域702のそれぞれを形成する光の光量が減少するように、一対の発光ユニット30を制御する。
【0086】
車両10が高速道路230を走行している場合において、車両10の運転者は、路肩230b及び追越車線230cよりも車両10の進行方向において走行車線230aの前方に注意を払うことが多い。第3領域703には直線L0が通るため、第3領域703は走行車線230aの前方に投影され得る。第3領域703の幅が配光パターン400の幅よりも大きいと、第3領域703は、運転者が注意を払う必要性が高い走行車線230aの前方と共に、運転者が注意を払う必要性が低い路肩230bや追越車線230cに投影されてしまうことがある。第3領域703を形成する光による路肩230bや追越車線230cの照射は、電力の無駄となり得る。本実施形態の車両用前照灯20において、車両10が高速道路230を走行している状態では、第3領域703の幅は配光パターン400の幅よりも小さく、第3領域703の右縁は配光パターン400の右縁よりも左側に位置し、第3領域703の左縁は配光パターン400の左縁よりも右側に位置する。これにより、第3領域703の幅が配光パターン400の幅よりも大きい場合と比べて、第3領域703の幅が小さくなり得、第3領域703を形成する光による路肩230bや追越車線230cの照射が抑制され得、第3領域703を形成する光を出射する発光素子33aに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯20によれば、消費電力が低減され得る。
【0087】
また、車両10が高速道路230を走行している場合において、第3領域703の幅が配光パターン400の幅よりも大きいと、上記したように、第3領域703は、運転者が注意を払う必要性が高い走行車線230aの前方と共に、運転者が注意を払う必要性が低い路肩230bや追越車線230cに投影されてしまうことがある。この場合、運転者の視線は走行車線230aの前方から路肩230bや追越車線230cに移ってしまい、運転者が脇見をし、運転の安全性が低下してしまう虞が生じる。しかしながら、本実施形態の車両用前照灯20では、第3領域703の幅が配光パターン400の幅よりも小さく、第3領域703の右縁は配光パターン400の右縁よりも左側に位置し、第3領域703の左縁は配光パターン400の左縁よりも右側に位置する。これにより、第3領域703の幅が配光パターン400の幅よりも大きい場合と比べて、第3領域703を形成する光による路肩230bや追越車線230cの照射が抑制され得、運転者の脇見が抑制され得、運転の安全性の低下が抑制され得る。
【0088】
また、車両10が高速道路230を走行している場合において、運転者の視線は、追越車線230cに投影される第1領域701及び路肩230bに投影される第2領域702よりも車両10の進行方向において走行車線230aの前方に投影される第3領域703に集中する。また、運転者は、第1領域701及び第2領域702に比べて第3領域703に注意を払うことが多い。以上により、車両10が高速道路230を走行している状態では、車両10が高速道路230を走行していない状態と比べて、第1領域701及び第2領域702の明るさの必要性は低下し得る。このため本実施形態の車両用前照灯20において、車両10が高速道路230を走行している状態では、車両10が高速道路230を走行していない状態と比べて、第1領域701及び第2領域702を形成する光の光量は減少している。第1領域701及び第2領域702を形成する光の光量が減少すると、第1領域701及び第2領域702を形成する光の光量が減少しない場合に比べて、第1領域701及び第2領域702を形成する光を出射する発光素子33aに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯20によれば、消費電力が低減され得る。
【0089】
また、本実施形態の車両用前照灯20では、制御部50は、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態であると判定される場合において、第1領域701における光量が第2領域702における光量よりも多く減少するように、一対の発光ユニット30を制御する。
【0090】
車両10が高速道路230を走行している場合、路肩230bには故障車が停止しており、追越車線230cには他車両が走行していないことがある。この場合、運転者は、追越車線230cよりも路肩230bに注意を払うことが多い。本実施形態の車両用前照灯20では、第2領域702は運転者が注意を払う必要性が高い路肩230bに投影され、第1領域701は運転者が注意を払う必要性が低い追越車線230cに投影される。また、第1領域701における光量は、第2領域702における光量よりも多く減少する。これにより、第1領域701における光量が第2領域702における光量よりも多く減少しない場合に比べて、運転者にとって注意を払う必要が第2領域702に比べて低い第1領域701を形成する光を出射する発光素子33aに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯20によれば、消費電力が低減され得る。また、本実施形態の車両用前照灯20では、第2領域702は第1領域701よりも明るくなるため、第2領域702は第1領域701よりも明るくならない場合に比べて、運転者は第2領域702に注目し易くなり得る。
【0091】
また、本実施形態の車両用前照灯20では、配光パターンは、車両10の上下方向において第1領域701の下方に位置する第4領域704と、車両10の上下方向において第2領域702の下方に位置する第5領域705とをさらに含む。制御部50は、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態であると判定される場合において、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態ではないと判定される場合よりも第4領域704及び第5領域705を形成する光の光量が減少すると共に、第1領域701及び第2領域702における光量が第4領域704及び第5領域705における光量よりも多く減少するように、一対の発光ユニット30を制御する。
【0092】
車両10が高速道路230を走行している場合において、車線境界線233は、第3領域703を形成する光を照射された後、車両10の進行によって第4領域704を形成する光を照射される。この場合、運転者は、第4領域704を形成する光よりも前に第3領域703を形成する光によって車線境界線233を認知し得る。また、車両10が高速道路230を走行している場合において、車道外側線231は、第3領域703を形成する光を照射された後、車両10の進行によって第5領域705を形成する光を照射される。この場合、運転者は、第5領域705を形成する光よりも前に第3領域703を形成する光によって車道外側線231を認知し得る。従って、車両10が高速道路230を走行している状態では、車両10が高速道路230を走行していない状態と比べて、第4領域704の明るさの必要性及び第5領域705の明るさの必要性は低下し得る。このため、本実施形態の車両用前照灯20において、車両10が高速道路230を走行している状態では、車両10が高速道路230を走行していない状態と比べて、第4領域704及び第5領域705を形成する光の光量は、減少している。第4領域704及び第5領域705を形成する光の光量が減少すると、第4領域704及び第5領域705を形成する光の光量が減少しない場合に比べて、第4領域704及び第5領域705を形成する光を出射する発光素子33aに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯20によれば、消費電力が低減され得る。
【0093】
また、第4領域704が追越車線230cの路面に投影される場合、第4領域704は、第1領域701における追越車線230cの路面よりも車両10の進行方向における手前に位置する追越車線230cの路面に投影される。手前に位置する追越車線230cの路面は、運転者に安心感を与える観点から、第1領域701及び第2領域702を形成する光よりも明るい光によって運転者に目視されることが望まれている。また、第5領域705が路肩230bに投影される場合、第5領域705は、第2領域702における路肩230bよりも車両10の進行方向における手前に位置する路肩230bに投影される。手前に位置する路肩230bは、運転者に安心感を与える観点から、第1領域701及び第2領域702を形成する光よりも明るい光によって運転者に目視されることが望まれている。従って、本実施形態の車両用前照灯20において、車両10が高速道路230を走行している状態では、第1領域701及び第2領域702における光量が第4領域704及び第5領域705における光量よりも多く減少し、第4領域704及び第5領域705は第1領域701及び第2領域702よりも明るくされている。この場合、第1領域701及び第2領域702における光量が第4領域704及び第5領域705における光量よりも多く減少しない場合に比べて、第1領域701及び第2領域702を形成する光を出射する発光素子33aに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯20によれば、消費電力が低減され得る。また、本実施形態の車両用前照灯20では、第4領域704及び第5領域705は第1領域701及び第2領域702よりも明るくなるため、第4領域704及び第5領域705は第1領域701及び第2領域702よりも明るくならない場合に比べて、手前に位置する路肩230b及び追越車線230cは明るくなり得る。従って、運転者は手前に位置する路肩230b及び追越車線230cに注目し易くなり得、運転者は安心感を与えられ得る。
【0094】
また、本実施形態の車両用前照灯20では、制御部50は、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態であると判定される場合において、第4領域704における光量が第5領域705における光量よりも多く減少するように、一対の発光ユニット30を制御する。
【0095】
車両10が高速道路230を走行している場合、上記したように、路肩230bには故障車が停止しており、追越車線230cには他車両が走行していないことがある。本実施形態の車両用前照灯20では、第4領域704における光量は、第5領域705における光量よりも多く減少する。これにより、第4領域704における光量が第5領域705における光量よりも多く減少しない場合に比べて、運転者にとって注意を払う必要が第5領域705に比べて低い第4領域704を形成する光を出射する発光素子33aに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯20によれば、消費電力が低減され得る。また、本実施形態の車両用前照灯20では、第5領域705は第4領域704よりも明るくなるため、第5領域705は第4領域704よりも明るくならない場合に比べて、運転者は第5領域705に注目し易くなり得る。
【0096】
また、本実施形態の車両用前照灯20では、配光パターンは、車両10の上下方向において第3領域703の下方に位置する第6領域706をさらに含む。制御部50は、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態であると判定される場合において、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態ではないと判定される場合よりも第6領域706を形成する光の光量が減少すると共に、第4領域704及び第5領域705における光量が第6領域706における光量よりも多く減少するように、一対の発光ユニット30を制御する。
【0097】
車両10が高速道路230を走行している場合において、第6領域706は第3領域703よりも車両10の進行方向における手前に投影される。高速道路230を走行している車両10がさらに進行すると、走行車線230aの路面は、第3領域703を形成する光を照射された後、第6領域706を形成する光を照射される。この場合、運転者は、第6領域706を形成する光よりも前に第3領域703を形成する光によって路面を認知し得る。従って、車両10が高速道路230を走行している状態では、車両10が高速道路230を走行していない状態と比べて、第6領域706の明るさの必要性は低下し得る。このため、本実施形態の車両用前照灯20において、車両10が高速道路230を走行している状態では、車両10が高速道路230を走行していない状態と比べて、第6領域706を形成する光の光量は、減少している。第6領域706を形成する光の光量が減少すると、第6領域706を形成する光の光量が減少しない場合に比べて、第6領域706を形成する光を出射する発光素子33aに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯20によれば、消費電力が低減され得る。
【0098】
また、第6領域706は、走行車線230aの手前側に投影されており、運転者に安心感を与える観点から、路肩230b及び追越車線230cに投影される第4領域704及び第5領域705よりも明るくされることが望まれている。従って、本実施形態の車両用前照灯20において、車両10が高速道路230を走行している状態では、第4領域704及び第5領域705における光量は第6領域706における光量よりも多く減少し、第6領域706は第4領域704及び第5領域705よりも明るくされている。この場合、第4領域704及び第5領域705における光量が第6領域706における光量よりも多く減少しない場合に比べて、第4領域704及び第5領域705を形成する光を出射する発光素子33aに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯20によれば、消費電力が低減され得る。また、本実施形態の車両用前照灯20では、第6領域706は第4領域704及び第5領域705よりも明るくなるため、第6領域706は第4領域704及び第5領域705よりも明るくならない場合に比べて、走行車線230aの手前側が明るくなり得る。従って、運転者は走行車線230aの手前に注目し易くなり得、運転者は安心感を与えられ得る。
【0099】
また、本実施形態の車両用前照灯20では、制御部50は、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態であると判定される場合と判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態ではないと判定される場合とにおいて、第3領域703を形成する光の光量が同じとなるように、一対の発光ユニット30を制御する。
【0100】
車両10が高速道路230を走行している場合と例えば車両10が一般道220を走行している場合とにおいて、第3領域703の明るさは同じとなる。従って、この車両用前照灯20では、明るさの変化による運転者の視覚への負担が抑制され得る。また、この車両用前照灯20では、制御部50は、車両10が高速道路230を走行している場合と例えば車両10が一般道220を走行している場合とにおいて、発光ユニット30に同じ電力を供給すればよい。従って、この車両用前照灯20では、明るさが変わる場合に比べて、制御部50の負担が軽減され得る。
【0101】
以上、本発明について、上記実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0102】
一方の発光ユニット30aの構成は、他方の発光ユニット30bの構成と同じとされているが、他方の発光ユニット30bの構成と異なってもよい。一方の発光ユニット30a及び他方の発光ユニット30bの構成は特に限定されるものではない。また、例えば、一方の発光ユニット30a及び他方の発光ユニット30bは、パラボラ型の発光ユニット、プロジェクター型の発光ユニット、または直射レンズ型の発光ユニット等とされてもよい。
【0103】
撮影画像は、動画像及び静止画像の少なくとも一方であればよい。
【0104】
第1領域701と第2領域702と第4領域704と第5領域705とのそれぞれの幅は、第3領域703の幅と同じであってもよいし、第3領域703の幅よりも小さくてもよい。第1領域701と第2領域702と第3領域703と第4領域704と第5領域705と第6領域706とのそれぞれの幅は、配光パターン300の幅を3つに均等に分割した長さであり、配光パターン400の幅は3つに均等に区分けられた配光パターン300の各領域の幅よりも大きくされてもよい。制御部50は、配光パターン400の幅が第3領域703の幅よりも大きくなるように、一対の発光ユニット30を制御してもよい。
【0105】
配光パターン700は、車両10の左右方向において少なくとも3つ以上の領域に区分けられていればよい。
【0106】
制御部50は、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態であると判定される場合において、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態ではないと判定される場合よりも第1領域701と第2領域702との少なくとも一方を形成する光の少なくとも一部の光量が減少するように、発光ユニット30を制御してもよい。
【0107】
また、制御部50は、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態であると判定される場合において、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態ではないと判定される場合よりも第1領域701を形成する光の少なくとも一部の光量と第2領域702を形成する光の少なくとも一部の光量とが減少すると共に、第1領域701における前記光量が第2領域702における前記光量よりも多く減少するように、発光ユニット30を制御してもよい。
【0108】
なお、車両10が高速道路230を走行している場合、上記したように、路肩230bには故障車が停止しており、追越車線230cには他車両が走行していないことがある。この場合、制御部50は、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態ではないと判定される場合よりも第1領域701を形成する光の少なくとも一部の光量が減少するように、発光ユニット30を制御してもよい。また、制御部50は、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態であると判定される場合と判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態ではないと判定される場合とにおいて、第2領域702を形成する光の光量が同じとなるように、発光ユニット30を制御してもよい。従って、路肩230bには故障車が停止しており、追越車線230cには他車両が走行していないのであれば、第1領域701のみが暗くなり、第2領域702の明るさは変化しなくてもよい。この場合、第1領域701が暗くならない場合に比べて、消費電力が低減され得、運転者は路肩230bに停止している故障車に注目し易くなり得る。
【0109】
また、車両10が高速道路230を走行している場合、路肩230bには故障車が停止しておらず、追越車線230cには他車両が走行していないことがある。この場合、運転者は、路肩230b及び追越車線230cよりも走行車線230aの前方に注意を払うことが多い。第1領域701を形成する光の減少量が第2領域702を形成する光の減少量と同じであれば、第1領域701及び第2領域702は同じ明るさとなると共に第3領域703よりも暗くなる。従って、運転者は、第3領域703に注目し易くなり得、走行車線230aの前方に注目し易くなり得る。
【0110】
また、制御部50は、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態であると判定される場合において、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態ではないと判定される場合よりも第4領域704と第5領域705との少なくとも一方を形成する光の少なくとも一部の光量が減少すると共に、第1領域701と第2領域702との少なくとも一方における前記光量が第4領域704と第5領域705との少なくとも一方における前記光量よりも多く減少するように、発光ユニット30を制御してもよい。
【0111】
また、制御部50は、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態であると判定される場合において、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態ではないと判定される場合よりも第4領域704を形成する光の少なくとも一部の光量と第5領域705を形成する光の少なくとも一部の光量とが減少すると共に、第4領域704における前記光量が第5領域705における前記光量よりも多く減少するように、発光ユニット30を制御してもよい。
【0112】
なお、車両10が高速道路230を走行している場合、上記したように、路肩230bには故障車が停止しており、追越車線230cには他車両が走行していないことがある。この場合、制御部50は、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態ではないと判定される場合よりも第4領域704を形成する光の少なくとも一部の光量が減少するように、発光ユニット30を制御してもよい。また、制御部50は、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態であると判定される場合と判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態ではないと判定される場合とにおいて、第5領域705を形成する光の光量が同じとなるように、発光ユニット30を制御してもよい。従って、路肩230bには故障車が停止しており、追越車線230cには他車両が走行していないのであれば、第4領域704のみが暗くなり、第5領域705の明るさは変化しなくてもよい。この場合、第4領域704が暗くならない場合に比べて、消費電力が低減され得、運転者は路肩230bに停止している故障車に注目し易くなり得る。
【0113】
また、車両10が高速道路230を走行している場合、上記したように、路肩230bには故障車が停止しておらず、追越車線230cには他車両が走行していないことがある。この場合、運転者は、路肩230b及び追越車線230cよりも走行車線230aの前方に注意を払うことが多い。第4領域704を形成する光の減少量が第5領域705を形成する光の減少量と同じであれば、第4領域704及び第5領域705は同じ明るさとなると共に第3領域703よりも暗くなる。従って、運転者は、第3領域703に注目し易くなり得、走行車線230aの前方に注目し易くなり得る。
【0114】
また、制御部50は、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態であると判定される場合において、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態ではないと判定される場合よりも第6領域706を形成する光の少なくとも一部の光量が減少すると共に、第4領域704と第5領域705との少なくとも一方における前記光量が第6領域706における前記光量よりも多く減少するように、発光ユニット30を制御してもよい。
【0115】
なお、制御部50は、第4領域704と第5領域705と第6領域706との少なくとも1つを形成する光の少なくとも一部の光量が上記したように減少するように、発光ユニット30を制御してもよい。
【0116】
また、制御部50は、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態であると判定される場合と判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態ではないと判定される場合とにおいて、第3領域703の少なくとも一部を形成する光の光量が同じとなるように、発光ユニット30を制御してもよい。
【0117】
また、制御部50は、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態であると判定される場合において、第1領域701と第2領域702との少なくとも一方を形成する光の少なくとも一部の光量が第3領域703を形成する光の少なくとも一部の光量よりも少なくなるように、発光ユニット30を制御してもよい。
【0118】
制御部50は、第1領域701と第2領域702と第4領域704と第5領域705と第6領域706とのそれぞれを形成する光の少なくとも一部の光量が同時に上記したように減少するように、発光ユニット30を制御してもよい。また、制御部50は、第1領域701を形成する光の少なくとも一部の光量がゼロとなるように、発光ユニット30を制御してもよい。ここでは、第1領域701を用いて説明したが、制御部50は、第1領域701と同様に、第2領域702と第4領域704と第5領域705と第6領域706とにおける光量を制御してもよい。
【0119】
制御部50は、第1領域701における光量分布が均一となるように、発光ユニット30を制御してもよい。ここでは、第1領域701を用いて説明したが、制御部50は、第1領域701と同様に、他の領域においても光量分布が均一となるように、発光ユニット30を制御してもよい。また、制御部50は、第1領域701における光量の減少量は車両10の左右方向において第3領域703から離れるほど大きくなるように、発光ユニット30を制御してもよい。ここでは、第1領域701を用いて説明したが、制御部50は、第1領域701と同様に、第2領域702と第4領域704と第5領域705とにおける光量を制御してもよい。また、制御部50は、第6領域706における光量の減少量は車両10の上下方向において第3領域703から離れるほど大きくなるまたは小さくなるように、発光ユニット30を制御してもよい。ここでは、第6領域706を用いて説明したが、制御部50は、第6領域706と同様に、第4領域704と第5領域705とにおける光量を制御してもよい。また、制御部50は、車両10の走行速度に応じて、各領域の減少量を制御してもよい。例えば、車両10の速度が速いほど、各領域の減少量が小さくなる。
【0120】
制御部50は、配光パターン400の下縁全体が第1領域701の上縁の一部と第2領域702の上縁の一部と第3領域703の上縁全体とに接するように、発光ユニット30を制御してもよい。
【0121】
配光パターン700において、第1領域701及び第4領域704が右側に位置し、第2領域702及び第5領域705が左側に位置している。しかしながら、第1領域701及び第4領域704が左側に位置し、第2領域702及び第5領域705が右側に位置してもよい。この状態について、以下を説明する。
【0122】
車両10が高速道路230を走行している場合、路肩230bには故障車が停止しておらず、追越車線230cには他車両が走行していることがある。この場合、運転者は、路肩230bよりも追越車線230cに注意を払うことが多い。本実施形態の車両用前照灯20では、第2領域702は運転者が注意を払う必要性が高い追越車線230cに投影され、第1領域701は運転者が注意を払う必要性が低い路肩230bに投影される。この場合であっても、第1領域701における光量は、第2領域702における光量よりも多く減少する。これにより、第1領域701における光量が第2領域702における光量よりも多く減少しない場合に比べて、運転者にとって注意を払う必要が第2領域702に比べて低い第1領域701を形成する光を出射する発光素子33aに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯20によれば、消費電力が低減され得る。また、本実施形態の車両用前照灯20では、第2領域702は第1領域701よりも明るくなるため、運転者は第2領域702における他車両に注目し易くなり得る。
【0123】
また、制御部50は、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態であると判定される場合において、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態ではないと判定される場合よりも第1領域701を形成する光の少なくも一部の光量が減少するように、発光ユニット30を制御してもよい。また、制御部50は、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態であると判定される場合と判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態ではないと判定される場合とにおいて、第2領域702を形成する光の光量が同じとなるように、発光ユニット30を制御してもよい。従って、路肩230bには故障車が停止しておらず、追越車線230cには他車両が走行しているのであれば、第1領域701のみが暗くなり、第2領域702の明るさは変化しなくてもよい。この場合、第1領域701が暗くならない場合に比べて、消費電力が低減され得、運転者は追越車線230cに注目し易くなり得る。
【0124】
車両10が高速道路230を走行している場合、上記したように、路肩230bには故障車が停止しておらず、追越車線230cには他車両が走行していることがある。この場合であっても、第4領域704における光量は、第5領域705における光量よりも多く減少する。これにより、第4領域704における光量が第5領域705における光量よりも多く減少しない場合に比べて、運転者にとって注意を払う必要が第5領域705に比べて低い第4領域704を形成する光を出射する発光素子33aに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯20によれば、消費電力が低減され得る。また、本実施形態の車両用前照灯20では、第5領域705は第4領域704よりも明るくなるため、第5領域705は第4領域704よりも明るくならない場合に比べて、運転者は第5領域705における追越車線230cの路面に注目し易くなり得る。
【0125】
また、制御部50は、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態であると判定される場合において、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態ではないと判定される場合よりも第4領域704を形成する光の少なくも一部の光量が減少するように、発光ユニット30を制御してもよい。また、制御部50は、判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態であると判定される場合と判定部40によって車両10が高速道路230を走行している状態ではないと判定される場合とにおいて、第5領域705を形成する光の光量が同じとなるように、発光ユニット30を制御してもよい。従って、路肩230bには故障車が停止しておらず、追越車線230cには他車両が走行しているのであれば、第4領域704のみが暗くなり、第5領域705の明るさは変化しなくてもよい。この場合、第4領域704が暗くならない場合に比べて、消費電力が低減され得、運転者は追越車線230cに注目し易くなり得る。
【0126】
例えば、第1領域701を形成する光の減少量と第2領域702を形成する光の減少量とにおいて、上記において、路肩230bに停止している故障車及び追越車線230cを走行している他車両を用いて説明している。故障車は第1領域701に存在する第1対象物の一例であり、第1対象物は、故障車以外にも、路肩に設置された看板等であってもよい。また、追越車線230cを走行している他車両は第2領域702に存在する第2対象物の一例であり、第2対象物は、他車両以外にも、事故によって追越車線230cに停止している他車両であってもよい。また、例えば、車両10が追越車線230cを走行している場合、第1対象物は例えば走行車線230aを走行する他車両であり、第2対象物は例えば中央分離帯なであってもよい。このような場合、制御部50は、対象物が存在しない側の領域における光量の減少量が対象物が存在する側の領域における光量の減少量よりも大きくなるように、発光ユニット30を制御すればよい。
【0127】
車両10が高速道路230を走行している状態における光量の制御について、ロービームの配光パターン700を用いて説明したが、ハイビームの配光パターンにおいても、配光パターン700と同様に制御されてもよい。
【0128】
ロービーム及びオーバーヘッドサイン光が出射されているが、ロービームのみが出射されてもよい。
【0129】
判定部40が省略され、制御部50が判定部40として機能してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0130】
以上説明したように、本発明によれば、消費電力を低減し得る車両用前照灯が提供され、当該車両用前照灯は自動車等の車両用前照灯の分野等において利用可能である。
【符号の説明】
【0131】
10・・・車両
20・・・車両用前照灯
30・・・発光ユニット
40・・・判定部
50・・・制御部
60・・・記録部
100・・・検出装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7