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特許7481927媒体排出ユニット、媒体処理装置、および発行機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】媒体排出ユニット、媒体処理装置、および発行機
(51)【国際特許分類】
   G07B 5/00 20060101AFI20240502BHJP
【FI】
G07B5/00 101
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020112498
(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公開番号】P2022011381
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大悟
(72)【発明者】
【氏名】田中 穣
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-133785(JP,A)
【文献】特開2006-164104(JP,A)
【文献】特開2009-295125(JP,A)
【文献】特開2005-247544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 1/00-17/04
G07D 1/00- 3/16,
9/00-13/00
G07F 5/00- 9/10,
19/00
G07G 1/00- 5/00
B41J 13/00-15/24
B65H 1/00- 3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の媒体が前方に排出される媒体出口を備えた媒体走行路と、
前記媒体出口より上方で左右方向に延在する仮想の回転中心軸線周りに揺動可能な板状のカバーと、
を有し、
前記カバーは、前記媒体出口の前方を遮蔽した閉姿勢において、前記回転中心軸線の高さ位置から鉛直方向に延在する第1部分と、前記媒体出口の前方で前記第1部分から前方斜め下方に延在し、前記媒体の前端部が退避可能な退避スペースを前記媒体出口の下方位置に構成する第2部分と、を備え
前記媒体出口の下方位置には、前記媒体出口の下方位置であって、前記媒体出口の下端部から前方斜め下方に延在して前記第2部分との間に前記退避スペースを区画する第1壁部と、前記第1壁部から鉛直方向に延在して前記閉姿勢となった前記カバーの下端部が前方から重なる第2壁部と、が設けられていることを特徴とする媒体排出ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体排出ユニットにおいて、
前記カバーは、前記閉姿勢において、前記第2部分から鉛直方向に延在する第3部分を備えていることを特徴とする媒体排出ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の媒体排出ユニットにおいて、
前記第1壁部には、上下方向に延在するリブ状突起が左右方向に沿って複数、形成されていることを特徴とする媒体排出ユニット。
【請求項4】
請求項1からまでの何れか一項に記載の媒体排出ユニットにおいて、
前記カバーは、前記カバーの下端部の板厚より小さい突出寸法をもって前記カバーの下端部から前方に突出した凸部を備えていることを特徴とする媒体排出ユニット。
【請求項5】
請求項1からまでの何れか一項に記載の媒体排出ユニットにおいて、
前記カバーには、前記カバー自身の自重、および前記カバーに接続されたバネの付勢力のうちの少なくとも一方によって、前記閉姿勢を維持しようとする力が加わっていることを特徴とする媒体排出ユニット。
【請求項6】
請求項1からまでの何れか一項に記載の媒体排出ユニットを備えた媒体処理装置であって、
前記媒体を前記媒体走行路に沿って前方に送り出すローラ搬送機構を有することを特徴とする媒体処理装置。
【請求項7】
請求項1からまでの何れか一項に記載の媒体排出ユニットを備えた発行機であって、
前記媒体が前記媒体出口から発行されることを特徴とする発行機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の媒体がカバーを押し退けて排出される媒体排出ユニット、当該媒体排出ユニットを備えた媒体処理装置、および発行機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
駐車場券の発行や乗車券の発行等を行う発行機等の媒体処理装置では、紙等のシート状の媒体に印字等が行われた後、媒体出口から排出される(特許文献1参照)。かかる媒体処理装置では、洗浄等の際に内部に水が侵入しないように、媒体出口を板状のカバーで覆い、媒体が排出される際、媒体はカバーを押し退けて排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-199271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、カバーは、鉛直方向に延在する部分が媒体出口を前方から覆っているため、利用者がカバーに手を触れている等、カバーに外力が加わっている場合には、排出される媒体がカバーを押し退けることができず、媒体がカバーと媒体出口との間で大きく変形するという問題点がある。かかる変形は、カバーと媒体出口との間で媒体の端部が隙間に挟まって引っ掛かってしまうという事態や、媒体が幾重にも折れ曲がって媒体出口で詰まってしまうという事態の原因となるため、好ましくない。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、シート状の媒体がカバーと媒体出口との間で不用意に変形することを抑制することができる媒体排出ユニット、媒体処理装置、および発行機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係る媒体排出ユニットは、シート状の媒体が前方に排出される媒体出口を備えた媒体走行路と、前記媒体出口より上方で左右方向に延在する仮想の回転中心軸線周りに揺動可能な板状のカバーと、を有し、前記カバーは、前記媒体出口の前方を遮蔽した閉姿勢において、前記回転中心軸線の高さ位置から鉛直方向に延在する第1部分と、前記媒体出口の前方で前記第1部分から前方斜め下方に延在し、前記媒体の前端部が退避可能な退避スペースを前記媒体出口の下方位置に構成する第2部分と、を備え、前記媒体出口の下方位置には、前記媒体出口の下方位置であって、前記媒体出口の下端部から前方斜め下方に延在して前記第2部分との間に前記退避スペースを区画する第1壁部と、前記第1壁部から鉛直方向に延在して前記閉姿勢となった前記カバーの下端部が前方から重なる第2壁部と、が設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、カバーが媒体出口を前方から覆っているため、洗浄等の際に内部に水が侵入しにくい等、内部への異物の侵入を抑制することができる。また、カバーは揺動可能であるため、媒体出口を前方から塞ぐ閉姿勢で媒体に後方から押圧された際には回転中心軸線周りに揺動して媒体出口からの媒体の排出を許容する。その際、利用者がカバーに手を触れている等、カバーに外力が加わっているために媒体がカバーを押し退けることができない場合でも、媒体の前端部は、カバーにおいて前方斜め下方に延在する第2部分にガイドされて退避スペースに退避する。このため、媒体がカバーと媒体出口との間で大きく変形するという事態が発生しにくい。従って、媒体の変形が原因で、カバーと媒体出口との間で媒体の端部が隙間に挟まって引っ掛かってしまうという事態や、媒体が幾重にも折れ曲がって媒体出口で詰まってしまうという事態が発生しにくい。また、かかる態様によれば、媒体がカバーを押し退けることができない場合、媒体の前端部は、カバーの第2部分と第1壁部とにガイドされる。その結果、媒体の前端部を退避スペースに適正にガイドすることができるので、媒体の変形をより抑制することができる。
【0008】
前記カバーは、前記閉姿勢において、前記第2部分から鉛直方向に延在する第3部分を備えていることを特徴とする媒体排出ユニット。
【0010】
本発明において、前記第1壁部には、上下方向に延在するリブ状突起が左右方向に沿って複数、形成されている態様を採用することができる。かかる態様によれば、媒体の前端部を退避スペースにスムーズに導くことができる。
【0011】
本発明において、前記カバーは、前記カバーの下端部の板厚より小さい突出寸法をもって前記カバーの下端部から前方に突出した凸部を備えている態様を採用することができる。かかる態様によれば、利用者は凸部に指を引っ掛けてカバーを開姿勢にして媒体を取り出すことができる。この場合でも、凸部の突出寸法が小さいため、カバーが閉姿勢にあるときに凸部に風が当たっても、カバーが不用意に開くことを抑制することができる。
【0012】
本発明において、前記カバーには、前記カバー自身の自重、および前記カバーに接続されたバネの付勢力のうちの少なくとも一方によって、前記閉姿勢を維持しようとする力が加わっている態様を採用することができる。
【0013】
本発明を適用した媒体排出ユニットは媒体処理装置に用いることができ、この場合、媒体処理装置は、前記媒体を前記媒体走行路に沿って前方に送り出すローラ搬送機構を有する。本発明を適用した媒体排出ユニットは発行機に用いることができこの場合、前記媒体が前記媒体出口から発行される。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、カバーが媒体出口を前方から覆っているため、洗浄等の際に内部に水が侵入しにくい等、内部への異物の侵入を抑制することができる。また、カバーは揺動可能であるため、媒体出口を前方から塞ぐ閉姿勢で媒体に後方から押圧された際には回転中心軸線周りに揺動して媒体出口からの媒体の排出を許容する。その際、利用者がカバーに手を触れている等、カバーに外力が加わっているために媒体がカバーを押し退けることができない場合でも、媒体の前端部は、カバーにおいて前方斜め下方に延在する第2部分にガイドされて退避スペースに退避する。このため、媒体がカバーと媒体出口との間で大きく変形するという事態が発生しにくい。従って、媒体の変形が原因で、カバーと媒体出口との間で媒体の端部が隙間に挟まって引っ掛かってしまうという事態や、媒体が幾重にも折れ曲がって媒体出口で詰まってしまうという事態が発生しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明が適用される媒体処理装置の斜視図。
図2図1に示す媒体排出ユニットにおいてカバーが閉姿勢にあるときの斜視図。
図3図1に示す媒体排出ユニットにおいてカバーが開姿勢にあるときの斜視図。
図4図2等に示すカバー50の後面側の斜視図。
図5図2に示す媒体排出ユニットにおいてカバーが閉姿勢にあるときの縦断面図。
図6図2に示す媒体排出ユニットにおいてカバーが開姿勢にあるときの縦断面図。
図7図5に示す媒体の前端部が退避スペースに退避する様子を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照して、本発明を適用した媒体排出ユニット20および媒体処理装置1を説明する。以下の説明では、左右方向にXを付し、前後方向にYを付し、上下方向にZを付して説明する。また、左側にX1を付し、右側にX2を付し、前方にY1を付し、後方にY2を付し、上方にZ1を付し、下方にZ2を付して説明する。
【0017】
(媒体処理装置1の概略構成)
図1は、本発明が適用される媒体処理装置1の斜視図である。図1に示す媒体処理装置1は、駐車場券の発行や乗車券の発行等を行う発行機等として構成されている。かかる媒体処理装置1は、前面部に媒体排出ユニット20を有しており、紙等のシート状の媒体に印字等が行われた後、媒体は、媒体排出ユニット20から前方Y1に排出される。従って、図示を省略するが、媒体処理装置1は、ロール状に巻回された記録紙を繰り出す駆動装置、繰り出された記録紙を所定寸法の媒体に切断する切断装置と、所定寸法に切断された媒体に所定の情報を記録する記録装置と、これらの装置11を支持するフレーム12とを有している。媒体処理装置は、駆動装置により繰り出された記録紙に、記録装置により所定の情報を記録した後、記録後の記録紙を切断装置により所定の寸法の媒体に切断する構成であってもよい。また、予め、媒体と同一サイズのカード状に切断された複数の記録紙が積層された状態で媒体処理装置1にセットされる場合もあり、この場合、切断装置は設ける必要はない。
【0018】
(媒体排出ユニット20の構成)
図2は、図1に示す媒体排出ユニット20においてカバー50が閉姿勢にあるときの斜視図である。図3は、図1に示す媒体排出ユニット20においてカバー50が開姿勢にあるときの斜視図である。図4は、図2等に示すカバー50の後面側の斜視図である。図5は、図1に示す媒体排出ユニット20においてカバーが閉姿勢にあるときの縦断面図である。図6は、図1に示す媒体排出ユニット20においてカバー50が開姿勢にあるときの縦断面図である。なお、図3および図6には、カバー50が開姿勢にある状態を示してあるが、図3および図6には、利用者が媒体Mを取り出すためにカバー50を開けた状態を示してあり、媒体Mがカバー50を押し退けて排出されるときには、カバー50の開度は、図3および図6に示す状態より小さい。それでも、本明細書では、利用者が媒体Mを取り出すためにカバー50を開けた姿勢、および媒体Mがカバー50を押し退けたときの姿勢の双方を区別せずに「開姿勢」とする。
【0019】
図2図3図4図5図6において、媒体排出ユニット20は、第1支持板31と、第1支持板31に前方で対向する第2支持板32と、第1支持板31と第2支持板32との間に支持された枠状のベゼル30とを有している。ベゼル30において、上方Z1に位置する第1枠部38と下方Z2に位置する第2枠部39とが上下方向Zで隙間を介して対向する部分によって、前後方向Yに延在する媒体走行路40が構成されており、媒体走行路40の前端部が媒体出口41になっている。媒体出口41は、左右方向Xに延在するスリット状の開口部である。媒体走行路40の後端部には、媒体Mを媒体走行路40に沿って前方に送り出す2つのローラ71、72を備えたローラ搬送機構70が設けられる。
【0020】
媒体排出ユニット20は、媒体出口41より上方で左右方向に延在する仮想の回転中心軸線L周りに下端側が揺動可能にベゼル30に支持された板状のカバー50を有している。第2支持板32には、カバー50に前方Y1で重なる開口部320が形成されている。第2枠部39は、媒体出口41から下方に延在する壁部35を有している。第2枠部39において壁部35の下方位置には、媒体出口41から媒体Mが排出される場合等を報知する表示部21が配置され、表示部21は開口部320を介して前方から視認可能である。
【0021】
(カバー50等の詳細構成)
カバー50は、透光性を有する樹脂成形品である。カバー50の上端部には、左右方向Xで離間する2か所の左右方向に開口する筒部58が形成されており、2つの筒部58には、ベゼル30に支持された支軸60が嵌っている。支軸60は、媒体出口41より上方で左右方向Xに延在しており、支軸60の中心軸によって、カバー50の回転中心軸線Lが構成されている。従って、カバー50は、媒体出口41を前方から塞ぐ閉姿勢(図2および図5参照)と、媒体Mによって前方Y1に押圧された際に回転中心軸線L周りに前方Y1に揺動して媒体出口41からの媒体Mの排出を許容する開姿勢とに切り換わる。また、カバー50を開姿勢になった際、利用者は、カバー50を図3および図6に示す状態まで持ち上げ、媒体Mを取り出すことができる。
【0022】
ここで、カバー50には、カバー50自身の自重、およびカバー50に接続されたバネの付勢力のうちの少なくとも一方によって、閉姿勢を維持しようとする力が加わっている。従って、利用者が媒体Mを取り出した後、カバー50を離すと、カバー50は、図2および図5に示す閉姿勢に自動的に戻る。本形態では、図4に模式的に示すように、カバー50の後側の面には、支軸60に巻回された捩じりコイルバネ(図示せず)等のバネの端部90を受ける受け部59が形成されている。従って、カバー50は、バネによってベゼル30に向けて付勢される結果、閉姿勢に維持される。それ故、本形態では、カバー50には、カバー50自身の自重、およびカバー50に接続されたバネの付勢力によって、閉姿勢を維持しようとする力が加わっている。
【0023】
このように構成した媒体排出ユニット20において、カバー50は、図2および図5に示す閉姿勢において、回転中心軸線Lの高さ位置から媒体出口41の上端位置まで鉛直方向に延在する第1部分51と、第1部分51の下端部から前方斜め下方に延在する第2部分52と、第2部分52の下端部から鉛直方向に延在する第3部分53とを備えており、第2部分52は、図7を参照して後述するように、媒体出口41の下方位置において壁部35との間に、媒体Mの前端部M0が退避可能な退避スペース80を構成している。
【0024】
媒体出口41の下方位置において、壁部35は、媒体出口41の下端部から前方斜め下方に延在して第2部分52との間に退避スペース80を区画する第1壁部36と、第1壁部36の下端部から鉛直方向に延在して閉姿勢となったカバー50の第3部分53が前方から重なる第2壁部37とを備えている。このため、退避スペース80は、断面楔形形状になっている。従って、退避スペース80は、媒体出口41の近傍の上端部では、前後方向Yにおける間口が広く、下方Z2に向かうに伴って前後方向Yにおける間口が狭くなる空間になっている。
【0025】
カバー50において、第2部分52および第3部分53の前方Y1の面には、上下方向Zに延在する補強用のリブ56が左右方向Xに沿って複数、形成されている。また、第1部分51の後方Y2の面には、上下方向Zに延在する補強用のリブ57が左右方向Xに沿って複数、形成されている。第1壁部36には、上下方向Zに延在するリブ状突起34が左右方向Xに沿って複数、形成されている。
【0026】
カバー50は、カバー50の下端部を構成する第3部分53の板厚より小さい突出寸法をもって第3部分53から前方に突出した凸部54を備えている。かかる凸部54は、利用者がカバー50を開ける際に指を引っ掛ける部分である。
【0027】
(本実施形態の主な効果)
図7は、図5に示す媒体Mの前端部M0が退避スペース80に退避する様子を示す説明図である。以上説明したように、本形態では、カバー50が媒体出口41を前方Y1から覆っているため、洗浄等の際に内部に水が侵入しにくい。また、媒体Mが排出される際、
利用者がカバー50に手を触れている場合や強い風が吹いている場合等、カバー50に外力が加わっているために媒体Mがカバーを押し退けることができない場合でも、図7に示すように、媒体Mの前端部M0は、カバー50において前方斜め下方に延在する第2部分52にガイドされて退避スペース80に退避する。このため、カバー50と媒体出口41との間で媒体Mが大きく変形するという事態が発生しにくい。従って、媒体Mの変形が原因で、カバー50と媒体出口41との間で媒体Mの前端部M0が隙間に挟まって引っ掛かってしまうという事態や、媒体Mが幾重にも折れ曲がって媒体出口41で詰まってしまうという事態が発生しにくい。
【0028】
また、媒体出口41の下方位置には、媒体出口41の下端部から前方斜め下方に延在して第2部分52との間に退避スペース80を区画する第1壁部36が設けられているため、媒体Mの前端部M0は、カバー50の第2部分52と第1壁部36とにガイドされる。その結果、媒体Mの前端部M0を退避スペース80に適正にガイドすることができるので、媒体Mの変形をより抑制することができる。また、第1壁部36には、上下方向Zに延在するリブ状突起34が左右方向Xに沿って複数、形成されているため、媒体Mの前端部M0を退避スペース80にスムーズに導くことができる。
【0029】
さらに、カバー50は、第3部分53の板厚より小さい突出寸法をもって第3部分53から前方に突出した凸部54を備えているため、利用者は、カバー50を開ける際に凸部54の指を引っ掛けることができる。この場合でも、凸部54の突出寸法が第3部分53の板厚より小さい等、小さいため、カバー50が閉姿勢にあるときに凸部54に風が当たっても、カバー50が不用意に開くことを抑制することができる。
【0030】
(他の実施形態)
上記実施形態では、駐車場券の発行や乗車券の発行等を行う券売機のように媒体Mの排出のみが行われる媒体処理装置1の媒体排出ユニット20に本発明を適用したが、例えばポイントカードのように、媒体処理装置1の媒体排出ユニット20において、媒体Mの投入および排出の双方が行われる場合に本発明を適用してもよい。また、自動販売機等において、媒体Mとしてのお札が投入される投入口に本発明を適用してもよく、この場合、お札が返却される場合に、投入口からお札が排出される。
【符号の説明】
【0031】
1…媒体処理装置、20…媒体排出ユニット、21…表示部、30…ベゼル、31…第1支持板、32…第2支持板、35…壁部、36…第1壁部、37…第2壁部、38…第1枠部、39…第2枠部、40…媒体走行路、41…媒体出口、50…カバー、51…第1部分、52…第2部分、53…第3部分、54…凸部、70…ローラ搬送機構、80…退避スペース、L…回転中心軸線、M…媒体、M0…前端部、X…左右方向、Y…前後方向、Z…上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7