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特許7481933自己位置推定装置および地図生成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】自己位置推定装置および地図生成システム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/30 20060101AFI20240502BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20240502BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20240502BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240502BHJP
   G01S 19/45 20100101ALI20240502BHJP
【FI】
G01C21/30
G09B29/10 A
G09B29/00 A
G06T7/00 650A
G01S19/45
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020121296
(22)【出願日】2020-07-15
(65)【公開番号】P2022018288
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石丸 和寿
(72)【発明者】
【氏名】新原 諒子
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-009554(JP,A)
【文献】国際公開第2018/180096(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/225596(WO,A1)
【文献】特開2009-201064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
23/00-25/00
G09B 23/00-29/14
G06T 7/00-7/90
G06V 10/00-20/90
30/418
40/16
40/20
G01S 5/00-5/14
19/00-19/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周辺を撮像するカメラ(122)を有する車両(10)に搭載される、前記車両の位置を推定する自己位置推定装置(110)であって、
前記カメラが撮像した画像である周辺画像に基づいて、前記車両の周辺の地物を検出する検出部(111)と、
前記車両の位置を表す第1車両位置情報を取得する車両位置取得部(112)と、
前記第1車両位置情報が表す位置に応じた範囲に含まれる地物の位置の情報である地図情報を取得する地図情報取得部(113)と、
前記地図情報と、前記検出部が検出した地物の位置の情報と、の照合を行うことにより、前記第1車両位置情報より高い精度で位置を表し、前記車両の方向を示す情報を含む第2車両位置情報を生成する生成部(114)と、
レーザにより赤外線を照射して前記赤外線の反射光に基づいて地物の位置の情報を取得する赤外線センサ(125)と、を備え、
前記生成部は、
前記検出された地物のうち、自然環境によって変化する地物である外乱物体を、前記周辺画像を用いて特定し、
前記地図情報のうち、前記外乱物体に関する情報を使用せずに、前記地図情報と、前記検出部が検出した地物の位置の情報と、の前記照合を行い、
前記周辺画像において緑色と赤色と黄色とのうち少なくとも一色以上を含む部分であって、かつ、前記赤外線センサが検出した反射光の強度が予め定められた閾値強度より大きい部分にある地物を、前記外乱物体として特定し、
前記赤外線センサが検出した地物の位置の情報であって前記外乱物体以外の地物の位置の情報の少なくとも一部を、前記地図情報に反映させたのちに、前記照合を行う、自己位置推定装置。
【請求項2】
周辺を撮像するカメラ(122)を有する車両(10)に搭載される、前記車両の位置を推定する自己位置推定装置(110)であって、
前記カメラが撮像した画像である周辺画像に基づいて、前記車両の周辺の地物を検出する検出部(111)と、
前記車両の位置を表す第1車両位置情報を取得する車両位置取得部(112)と、
前記第1車両位置情報が表す位置に応じた範囲に含まれる地物の位置の情報である地図情報を取得する地図情報取得部(113)と、
前記地図情報と、前記検出部が検出した地物の位置の情報と、の照合を行うことにより、前記第1車両位置情報より高い精度で位置を表し、前記車両の方向を示す情報を含む第2車両位置情報を生成する生成部(114)と、
地物の位置の情報を取得する物体センサ(124)と、
機械学習を用いて前記周辺画像から外乱が除去された除去済み画像を生成する、画像生成部(115)と、
前記周辺画像の各領域と前記除去済み画像の各領域との類似度を算出する類似度算出部(116)と、を備え、
前記生成部は、
前記検出された地物のうち、自然環境によって変化する地物である外乱物体を、前記周辺画像を用いて特定し、
前記地図情報のうち、前記外乱物体に関する情報を使用せずに、前記地図情報と、前記検出部が検出した地物の位置の情報と、の前記照合を行い、
前記物体センサが取得した地物の位置の情報であって前記外乱物体以外の地物の位置の情報であり、前記周辺画像において前記類似度が予め定められた第1閾値より高い領域にある地物の位置の情報を、前記地図情報に反映させたのちに、前記照合を行う、自己位置推定装置。
【請求項3】
請求項に記載の自己位置推定装置であって、
前記生成部は、複数の前記除去済み画像に基づいて、前記車両の周辺の地物の位置の情報である位置情報を、それぞれの信頼度とともに生成し、前記信頼度が予め定められた第2閾値より高い位置情報を前記地図情報に反映させたのちに、前記照合を行う、自己位置推定装置。
【請求項4】
請求項に記載の自己位置推定装置であって、
前記生成部は、前記周辺画像において前記類似度が前記第1閾値よりも高い領域の大きさが予め定められた第3閾値より小さい場合に、
前記物体センサが取得した地物の位置の情報であって前記外乱物体以外の地物の位置の情報であり、前記周辺画像において前記類似度が前記第1閾値よりも高い領域にある地物の位置の情報と、
前記信頼度が前記第2閾値より高い位置情報と、を使用して、
前記地図情報との前記照合を行う、自己位置推定装置。
【請求項5】
請求項に記載の自己位置推定装置であって、
前記生成部は、前記除去済み画像における前記信頼度が前記第2閾値より高い地物の位置の情報を有する画素数が予め定められた第4閾値以下の場合に、デッドレコニングにより前記第2車両位置情報を生成する、自己位置推定装置。
【請求項6】
地図生成システムであって、
請求項から請求項までのいずれか一項に記載の自己位置推定装置と、
外部サーバ(20)と、を備え、
前記外部サーバは、
前記生成部が反映した前記地図情報を前記自己位置推定装置から受信し、
受信した前記地図情報と予め有する地図情報とを統合して記憶し、
統合した前記地図情報を前記自己位置推定装置に送信する、地図生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自己位置推定装置および地図生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自己位置推定装置として、車両に搭載されたカメラで認識した車両の周辺の地物と地図情報とを照合して、位置を推定するものが知られている。特許文献1には、実世界を走行する車両が観測した観測情報に基づいて、実世界と地図情報との不整合を動的に検出する技術が記載されている。不整合を検出した場合に、その地点の観測情報を効率的に取得し、地図情報を更新することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-181870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、実世界と地図情報との不整合を検出する度に、観測情報を地図情報に追加していくと、地図情報の量が増大するおそれがある。そのため、地図情報の量を増大させることなく、自己位置を推定できる技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
本開示の一形態によれば、周辺を撮像するカメラ(122)を有する車両(10)に搭載される、前記車両の位置を推定する自己位置推定装置(110)が提供される。自己位置推定装置は、前記カメラが撮像した画像である周辺画像に基づいて、前記車両の周辺の地物を検出する検出部(111)と、前記車両の位置を表す第1車両位置情報を取得する車両位置取得部(112)と、前記第1車両位置情報が表す位置に応じた範囲に含まれる地物の位置の情報である地図情報を取得する地図情報取得部(113)と、前記地図情報と、前記検出部が検出した地物の位置の情報と、の照合を行うことにより、前記第1車両位置情報より高い精度で位置を表し、前記車両の方向を示す情報を含む第2車両位置情報を生成する生成部(114)と、レーザにより赤外線を照射して前記赤外線の反射光に基づいて地物の位置の情報を取得する赤外線センサ(125)と、を備える。前記生成部は、前記検出された地物のうち、自然環境によって変化する地物である外乱物体を、前記周辺画像を用いて特定し、前記地図情報のうち、前記外乱物体に関する情報を使用せずに、前記地図情報と、前記検出部が検出した地物の位置の情報と、の前記照合を行い、前記物体センサが取得した地物の位置の情報であって前記外乱物体以外の地物の位置の情報であり、前記周辺画像において前記類似度が予め定められた第1閾値より高い領域にある地物の位置の情報を、前記地図情報に反映させたのちに、前記照合を行う。
【0007】
この形態の自己位置推定装置によれば、生成部は、地図情報のうち、外乱物体に関する情報を使用せずに、地図情報と、検出部が検出した地物の位置の情報と、の照合を行い、第2車両位置情報を生成する。そのため、地図情報の量を増大させることなく、車両の自己位置を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】地図生成システムの構成を示す概要図である。
図2】自己位置推定処理の一例を示したフローチャートである。
図3】外乱物特定処理の一例を示したフローチャートである。
図4】第2車両位置情報生成処理の一例を示したフローチャートである。
図5】第2実施形態における外乱物体特定処理の一例を示したフローチャートである。
図6】第3実施形態における地図生成システムの構成を示す概要図である。
図7】第3実施形態における外乱物体特定処理の一例を示したフローチャートである。
図8】第4実施形態における地図情報反映処理の一例を示したフローチャートである。
図9】第5実施形態における第2車両位置情報生成処理の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
図1に示すように、地図生成システム100は、車両10と外部サーバ20とを備える。車両10は、外部サーバ20と通信を行う。本実施形態において、車両10は、自己位置推定装置110と、カメラ122と、物体センサ124と、車両位置センサ126と、地図情報記憶部130と、通信部140と、を備える。
【0010】
カメラ122は、車両10の周辺を撮像して画像を取得する。物体センサ124は、地物の位置の情報を取得する。物体センサ124として、例えば、レーザーレーダー、ミリ波レーダー、超音波センサ等の反射波を利用した物体センサが挙げられる。本実施形態において、物体センサ124は、レーザにより赤外線を照射して赤外線の反射光に基づいて地物の位置の情報を取得する赤外線センサ125を有する。本実施形態において、「地物」は、街路樹における葉の部分のみや、路上に積もった雪も含む概念である。
【0011】
車両位置センサ126は、現在の車両10の位置を検出する。車両位置センサ126として、例えば、GPS(Global Positioning System)などの汎地球航法衛星システム(Global Navigation Satellite System(s)(GNSS))が挙げられる。本実施形態において、車両位置センサ126が検出する車両10の位置を表す情報を第1車両位置情報という。
【0012】
地図情報記憶部130は、地図情報を記憶する。「地図情報」は、各地物の位置を示す情報である。本実施形態において、地図情報は、3次元情報である。
【0013】
自己位置推定装置110は、検出部111と、車両位置取得部112と、地図情報取得部113と、生成部114と、を備える。自己位置推定装置110は、中央処理装置(CPU)や、RAM、ROMにより構成されたマイクロコンピュータ等からなり、予めインストールされたプログラムをマイクロコンピュータが実行することによって、これらの各部の機能を実現する。ただし、これらの各部の機能の一部又は全部をハードウェア回路で実現してもよい。
【0014】
検出部111は、カメラ122が撮像した画像である周辺画像に基づいて、車両10の周辺の地物を検出する。検出部111は、例えば、セマンティックセグメンテーション等の画像解析技術を用いて、カメラ122が撮像した周辺画像から地物を検出する。
【0015】
車両位置取得部112は、車両位置センサ126から、第1車両位置情報を取得する。
【0016】
地図情報取得部113は、地図情報記憶部130から、第1車両位置情報が表す位置に応じた範囲に含まれる地物の位置の情報である地図情報を取得する。
【0017】
生成部114は、地図情報と、検出部111が検出した地物の位置の情報と、の照合を行うことにより、第2車両位置情報を生成する。「検出部111が検出した地物の位置の情報」は、本実施形態において、物体センサ124から取得できる。また、検出部111が検出した地物の位置の情報は、例えば、カメラ122が撮像した周辺画像を用いてステレオマッチングにより求められてもよい。「第2車両位置情報」は、第1車両位置情報より高い精度で位置を表し、車両10の方向を示す情報を含む。また、生成部114は照合に用いた、外乱物体以外の地物の位置の情報の少なくとも一部を反映させた地図情報を、通信部140を介して、外部サーバ20に送信する。
【0018】
外部サーバ20は、生成部114が照合に用いた、外乱物体以外の地物の位置の情報の少なくとも一部を反映した地図情報を自己位置推定装置110から受信する。また、外部サーバ20は、受信した地図情報と予め有する地図情報とを統合して記憶する。外部サーバ20は、要求に応じて、記憶している統合した地図情報の少なくとも一部を自己位置推定装置110に送信する。なお、外部サーバ20は、地図情報だけでなく、カメラ122が撮影した周辺画像や物体センサ124が取得した地物の位置の情報を受信して、予め有する地図情報と統合して記憶してもよい。
【0019】
図2に示す自己位置推定処理は、生成部114が、車両10の自己位置を推定する一連の処理である。この処理は車両10の走行中、自己位置推定装置110により繰り返し実行される処理であり、例えば、100ms毎に繰り返し実行される処理である。
【0020】
ステップS100で、車両位置取得部112は、車両位置センサ126から第1車両位置情報を取得する。
【0021】
ステップS200において、検出部111は、カメラ122が撮影した車両10の周辺画像を取得する。
【0022】
ステップS300において、検出部111は、ステップS200で取得した周辺画像から地物を検出する。
【0023】
ステップS400において、地図情報取得部113は、地図情報記憶部130から地図情報を取得する。より具体的には、地図情報取得部113は、ステップS100で取得した第1地図情報が示す位置に応じた範囲の地図情報を取得する。
【0024】
ステップS500において、生成部114は、ステップS200で取得した周辺画像を用いて外乱物体を特定する。「外乱物体」とは、自然環境によって変化する地物である。外乱物体特定処理の詳細については後述する。
【0025】
ステップS600において、生成部114は、第2車両位置情報を生成する。より具体的には、地図情報のうち、ステップS500で特定した外乱物体に関する情報を使用せずに、地図情報と、検出部111が検出した地物の位置の情報と、の照合を行うことにより、第2車両位置情報を生成する。第2車両位置情報生成の詳細については後述する。
【0026】
図3に示す外乱物体特定処理は、図2に示すステップS500において、生成部114が、周辺画像において外乱物体を特定する一連の処理である。この処理は、検出した地物全てに対して行われる。
【0027】
ステップS510において、生成部114は、赤外線センサ125から赤外線情報を取得する。「赤外線情報」は、赤外線センサ125が検出した反射光の強度を含む。
【0028】
ステップS520において、生成部114は、地物が緑色と赤色と黄色とのうち少なくとも一色以上を含むか否かを判定する。より具体的には、生成部114は、地物が周辺画像において緑色と赤色と黄色とのうち少なくとも一色以上を含む部分か否かを判定する。地物が緑色と赤色と黄色とのうち少なくとも一色以上を含む場合、ステップS530の処理に進む。一方、地物が緑色と赤色と黄色とのいずれも含まない場合、外乱物体特定処理を終了する。つまり、外乱物体でないと判断する。
【0029】
ステップS530において、生成部114は、地物の赤外線の反射光の強度(以下、「反射強度」ともいう)が予め定められた閾値強度より大きいか否かを判定する。反射強度が閾値強度より大きい場合、ステップS540の処理に進む。一方、反射強度が閾値強度以下の場合、外乱物体特定処理を終了する。つまり、外乱物体でないと判断する。なお、ステップS510~S530の処理は、ステップS530の処理がステップS510の処理よりも後に行われれば、この順に限らず、任意の順序で行うことができ、並行して行ってもよい。
【0030】
ステップS540において、生成部114は、地物が外乱物体であると特定する。つまり、本実施形態において、植物の葉や茎等の季節によって変化する地物が周辺情報において外乱物体として特定される。
【0031】
図4に示す第2車両位置情報生成処理は、図2に示すステップS600において、生成部114が、第2車両位置情報を生成する一連の処理である。
【0032】
ステップS610において、生成部114は、図2に示すステップS500で特定した外乱物体以外の地物の位置の情報を地図情報に反映する。本実施形態において、生成部114は赤外線センサ125が検出した地物の位置の情報であって外乱物体以外の地物の位置の情報の少なくとも一部を、地図情報に反映させる。
【0033】
ステップS620において、生成部114は、ステップS610で反映された地図情報と、検出部111が検出した地物の位置の情報と、の照合を行う。すなわち、生成部114は、地図情報のうち、外乱物体に関する情報を使用せずに、地図情報と、検出部111が検出した地物の位置の情報と、の照合を行う。この照合を行うことで、生成部114は第2車両位置情報を生成する。
【0034】
以上で説明した本実施形態の自己位置推定装置110によれば、生成部114は、地図情報のうち、外乱物体に関する情報を使用せずに、地図情報と、検出部111が検出した地物の位置の情報と、の照合を行い、第2車両位置情報を生成する(図3のステップS540、ならびに図4のステップS610、S620参照)。そのため、地図情報の量を増大させることなく、車両10の自己位置を推定することができる。また、外乱物体に関する情報を用いて推定するよりも精度よく、車両10の自己位置を推定することができる。
【0035】
また、生成部114は、外乱物体として、緑色と赤色と黄色との内少なくとも一色以上を含む地物であって、かつ、赤外線の強度が閾値強度以上である地物を外乱物体として特定する(図3のステップS520~S540参照)。そのため、外乱物体として、葉や茎を特定できる。また、生成部114は、葉や茎以外の地物の位置の情報の少なくとも一部を、地図情報に反映させたのちに、照合を行う(図3のステップS540、ならびに図4のステップS610、S620参照)。そのため、地図情報記憶部130に記憶された地図情報のみを用いて推定するよりも精度よく、車両10の自己位置を推定することができる。
【0036】
B.第2実施形態:
図5に示す第2実施形態の外乱物体特定処理は、図2に示すステップS500における処理である。第2実施形態は、パターンマッチングを用いて外乱物体を特定する点が第1実施形態と異なる。第2実施形態の地図生成システムの他の点は、第1実施形態の地図生成システムの構成と同一であるため、地図生成システムの構成や他の処理の説明は省略する。
【0037】
ステップS510Bにおいて、生成部114は、周辺画像を用いてパターンマッチングを行う。より具体的には、パターンマッチングによって、周辺画像において、地物を識別する。ここで、地物は、植物または雪、雹、火山灰などの区別がなされて、識別される。
【0038】
ステップS520Bにおいて、生成部114は、地物が植物または雪、雹、火山灰のいずれかであるか否かを判定する。生成部114は、地物が植物または雪、雹、火山灰のいずれかである場合、ステップS530Bの処理に進む。一方、生成部114は、地物が植物または雪、雹、火山灰のいずれでもない場合、外乱物体特定処理を終了する。つまり、外乱物体でないと判断する。
【0039】
ステップS530Bにおいて、生成部114は、地物が外乱物体であると特定する。つまり、本実施形態において、植物や雪、雹、火山灰等が外乱物体として特定される。
【0040】
以上で説明した第2実施形態の自己位置推定装置110によれば、生成部114は、外乱物体として、植物と雪と雹と火山灰との内少なくとも1つ以上を含む地物を外乱物体として特定する(図5参照)。また、生成部114は、植物や雪や雹や火山灰以外の地物の位置の情報の少なくとも一部を、地図情報に反映させたのちに、照合を行う(図4参照)。そのため、地図情報記憶部130に記憶された地図情報のみを用いて推定するよりも精度よく、車両10の自己位置を推定することができる。
【0041】
C.第3実施形態:
図6に示す第3実施形態の地図生成システム100の構成は、自己位置推定装置110が、画像生成部115と類似度算出部116とを備える点が第1実施形態と異なり、他の構成は同一である。
【0042】
画像生成部115は、機械学習を用いて周辺画像から外乱が除去された除去済み画像を生成する。画像生成部115は、例えば、敵対的生成ネットワーク(Generative Adversarial Network(GAN))を用いて、周辺画像から除去済み画像を生成する。「外乱」は、外乱物体や、降っている最中の雪や雹、火山灰等を含む。
【0043】
類似度算出部116は、周辺画像の各領域と除去済み画像の各領域との類似度を算出する。
【0044】
図7に示す第3実施形態の外乱物体特定処理は、図2に示すステップS500における処理である。第3実施形態は、機械学習を用いて生成した除去済み画像を用いて外乱物体を特定する点が第1実施形態と異なる。第3実施形態の地図生成システム100の他の点は、第1実施形態と同一である。
【0045】
ステップS510Cにおいて、画像生成部115は、周辺画像から外乱が除去された除去済み画像を生成する。
【0046】
ステップS520Cにおいて、カウンタ変数nを1に設定する。
【0047】
ステップS530Cにおいて、類似度算出部116は、周辺画像と除去済み画像との類似度を算出する。より具体的には、類似度算出部116は、第n地物領域(nは自然数)における類似度を算出する。「地物領域」とは、図2におけるステップS300で検出した周辺画像における地物のある領域である。
【0048】
ステップS540Cにおいて、生成部114は、第n地物領域における類似度が予め定められた第1閾値以下か否かを判定する。類似度が第1閾値以下の場合、ステップS550Cの処理に進む。一方、類似度が第1閾値より高い場合、ステップS560Cの処理に進む。
【0049】
ステップS550Cにおいて、生成部114は、第n地物領域が示す地物が外乱物体であると特定する。つまり、本実施形態において、植物や雪、雹、火山灰等が外乱物体として特定される。
【0050】
ステップS560Cにおいて、図2におけるステップS300で検出した周辺画像における全地物において類似度の算出が完了したか否か判別する。類似度の算出が完了した場合、つまりnが周辺画像における地物の数と等しい場合、外乱物体特定処理を終了する。一方、類似度の算出が完了していない場合、つまりnが周辺画像における地物の数より小さい場合、ステップS570Cにおいてnを1インクリメントし、ステップS530Cの処理に戻る。
【0051】
以上で説明した第3実施形態の自己位置推定装置110によれば、生成部114は、周辺画像における類似度が第1閾値以下の領域を外乱物体として特定する(図7のステップS540C参照)。そのため、機械学習の精度に応じて、精度よく外乱物体を特定できる。また、生成部114は、周辺画像における類似度が第1閾値より高い領域にある地物の位置の情報を、地図情報に反映させたのちに、照合を行う(図7のステップS550C、ならびに図4のステップS610、S620参照)。そのため、地図情報記憶部130に記憶された地図情報のみを用いて推定するよりも精度よく、車両10の自己位置を推定することができる。
【0052】
D.第4実施形態:
図8に示す第4実施形態における地図情報反映処理は、図4に示すステップS610において、生成部114が地図情報を反映する一連の処理である。この処理は、地物領域毎に行われる。また、この処理は、全ての地物領域に対して行われることが好ましい。第4実施形態は、周辺画像における地物領域と除去済み画像との類似度に応じて、地図情報に反映させる情報を決定する点が第3実施形態と異なる。第4実施形態の地図生成システムの他の点は、第3実施形態と同一であるため、地図生成システムの構成や他の処理の説明は省略する。
【0053】
ステップS611において、生成部114は、周辺画像における地物のある領域と除去済み画像との類似度(図7のステップS530C参照)が、第1閾値より高いか否かを判定する。すなわち、外乱物体がある領域か否かを判定する。地物領域の類似度が第1閾値以下の場合、ステップS612の処理に進む。一方、地物領域の類似度が第1閾値より高い場合、ステップS616の処理に進む。
【0054】
ステップS612において、生成部114は、複数の除去済み画像に基づいて、車両10の周辺の地物の位置の情報である位置情報を生成する。生成部114は、例えば、SfM(Structure from Motion)やステレオマッチング等の画像解析技術を用いて、複数の除去済み画像から地物の位置情報を生成する。また、機械学習を用いて、地物の位置を推定し、位置情報を生成してもよい。
【0055】
ステップS613において、生成部114は、ステップS612で生成した位置情報の信頼度を生成する。「信頼度」とは、位置情報が示す地物の位置の推定の確かさの度合いを示す。信頼度が高いほど、地物の位置の推定を信頼できる可能性が高い。例えば、除去済み画像における地物領域に対応する領域(以下、「対応領域」ともいう)のコントラストが高く、除去済み画像において対応領域と類似している領域がない場合の位置情報の信頼度は、対応領域のコントラストが低い場合の位置情報の信頼度や、除去済み画像において対応領域と類似している領域がある場合の位置情報の信頼度よりも高い。なお、ステップS612とS613との処理は、並行して行ってもよい。
【0056】
ステップS614において、生成部114は、ステップS613で生成した信頼度が予め定められた第2閾値より高いか否かを判定する。信頼度が第2閾値より高い場合、ステップS615の処理に進む。一方、信頼度が第2閾値以下の場合、地図情報反映処理を終了する。
【0057】
ステップS615において、生成部114は、ステップS612で生成した位置情報を地図情報に反映し、地図情報反映処理を終了する。
【0058】
ステップS616において、生成部114は、地物領域に含まれる地物の位置の情報を地図情報に反映し、地図情報反映処理を終了する。本実施形態において、生成部114は、物体センサ124が検出した地物の位置の情報である物体センサ情報を、地図情報に反映させる。
【0059】
以上で説明した第4実施形態の自己位置推定装置110によれば、生成部114は、位置情報の信頼度が第2閾値より高い地物領域にある地物の位置情報を地図情報に反映する(図8のステップS615参照)。そのため、周辺画像から外乱物体を除去した部分の領域についての位置情報を用いて、車両10の位置を推定できる。
【0060】
E.第5実施形態:
図9に示す第5実施形態における第2車両位置情報生成処理は、図2に示すステップS600において、生成部114が、第2車両位置情報を生成する一連の処理である。第5実施形態は、周辺画像における類似度が第1閾値よりも高い領域の大きさに応じて、地図情報反映処理を行う点が第4実施形態と異なる。第5実施形態の地図生成システムの他の点は、第4実施形態の地図生成システムと同一であるため、地図生成システムの構成や他の処理の説明は省略する。
【0061】
ステップS610Eにおいて、生成部114は、周辺画像における類似度(図7のステップS570C参照)が第1閾値よりも高い領域(以下、「第1類似度領域」ともいう)の大きさが予め定められた第3閾値より小さいか否かを判定する。第1類似度領域の大きさが第3閾値より小さい場合、ステップS620Eの処理に進む。一方、第1類似度領域の大きさが第3閾値以上の場合、ステップS650Eの処理に進む。
【0062】
ステップS620Eにおいて、生成部114は、第1地図情報反映処理を行う。第1地図情報反映処理とは、図8に示す地図情報反映処理である。
【0063】
ステップS630Eにおいて、生成部114は、生成画像における信頼度(図8のステップS613参照)が第2閾値より高い地物の位置の情報を有する画素数(以下、「第1信頼度画素数」ともいう)が予め定められた第4閾値以下か否かを判定する。第1信頼度画素数が第4閾値以下の場合、ステップS640Eの処理に進む。一方、第1信頼度画素数が第4閾値より大きい場合、ステップS660Eの処理に進む。
【0064】
ステップS640Eにおいて、生成部114は、既知の技術であるデッドレコニングにより第2車両位置情報を生成する。例えば、生成部114は、車両位置取得部112が取得した第1車両位置情報と、ジャイロセンサや加速度センサ等から取得した情報とを用いて、走行した距離や経路を推定し、第2車両位置情報を生成する。
【0065】
ステップS650Eにおいて、生成部114は、第2地図情報反映処理を行う。第2地図情報反映処理とは、物体センサ124が検出した地物の位置の情報であって外乱物体以外の地物の位置の情報の少なくとも一部を、地図情報に反映させる処理である。
【0066】
ステップS660Eにおいて、生成部114は、ステップ620EもしくはS650Eで反映された地図情報と、検出部111が検出した地物の位置の情報と、の照合を行う。すなわち、地図情報のうち、外乱物体に関する情報を使用せずに、地図情報と、検出部111が検出した地物の位置の情報と、の照合を行う。この照合を行うことで、生成部114は第2車両位置情報を生成する。
【0067】
以上で説明した第5実施形態の自己位置推定装置110によれば、生成部114は、周辺画像における類似度が第1閾値よりも高い領域の大きさが第3閾値以下の場合に、第1地図情報反映処理を行う(図9のステップS620E参照)。すなわち、生成部114は、位置情報の信頼度が第2閾値より高い地物領域にある地物の位置情報を地図情報に反映する。そのため、外乱物体が存在する領域が広い場合であっても、除去済み画像を用いて生成した位置情報を用いて車両の位置を推定できる。
【0068】
また、生成部114は、デッドレコニングにより車両10の位置を推定する(図9のステップS650E参照)。そのため、外乱物体が存在する領域が広い場合であって、かつ、信頼度が高い位置情報が少ない場合であっても、車両10の位置を推定できる。
【0069】
F.その他の実施形態:
(F1)上述した実施形態において、生成部114は、図2に示すステップS500で特定した外乱物体以外の地物の位置の情報を地図情報に反映している。この代わりに、生成部114は、地図情報から外乱物体に関する情報を除外してもよい。
【0070】
(F2)上述した第3実施形態において、画像生成部115は、パターンマッチング等を行い、周辺情報に外乱物体が存在するか否かを判定してから、除去済み画像を生成してもよい。この場合、周辺情報に外乱物体が存在しない場合は、図7に示す外乱物体特定処理を行わず、図3図5に示す外乱物体特定処理を行う。一方、周辺画像に外乱物体が存在する場合、図7に示す外乱物体特定処理を行い、画像生成部115は、除去済み画像を生成する。
【0071】
(F3)上述した第5実施形態において、生成部114は、ステップS630EおよびS640Eの処理を省略してもよい。
【0072】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述した課題を解決するために、あるいは上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することが可能である。
【符号の説明】
【0073】
10…車両、20…外部サーバ、100…地図生成システム、110…自己位置推定装置、111…検出部、112…車両位置取得部、113…地図情報取得部、114…生成部、115…画像生成部、116…類似度算出部、122…カメラ、124…物体センサ、125…赤外線センサ、126…車両位置センサ、130…地図情報記憶部、140…通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9