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特許7481937平坦化方法、平坦化装置及び物品製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】平坦化方法、平坦化装置及び物品製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240502BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240502BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
H01L21/68 P
G03F7/20 501
H01L21/30 502D
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020126728
(22)【出願日】2020-07-27
(65)【公開番号】P2021034723
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】16/542,062
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョイ ビュン-ジン
(72)【発明者】
【氏名】セス ジェイ バーメスバーガー
(72)【発明者】
【氏名】セヒュン イム
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-242255(JP,A)
【文献】特開2017-162987(JP,A)
【文献】特表2012-532448(JP,A)
【文献】特開平04-208551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
G03F 7/20
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャックであって、
前記チャックの表面から突出し、一連のゾーンを画定する複数のランドと、
前記一連のゾーンの少なくとも1つにおいて前記チャックの前記表面から窪んだトレンチと、を備え、
前記一連のゾーンは、前記複数のランドのうち最も外側のランドに隣接する周辺ゾーンによって囲まれた複数の内側ゾーンを含み、
前記トレンチは、前記周辺ゾーンにおける、前記チャックの中心に近い領域に形成される、
ことを特徴とするチャック。
【請求項2】
記トレンチは、前記複数の内側ゾーンのうちの少なくとも1つの内側ゾーンにおける、前記チャックの中心から遠い領域に形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のチャック。
【請求項3】
前記周辺ゾーンは、前記複数の内側ゾーンの各々の幅よりも小さい幅を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載のチャック。
【請求項4】
前記少なくとも1つの内側ゾーンの前記トレンチは、前記複数の内側ゾーンの各々の幅の半分より小さい幅を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載のチャック。
【請求項5】
記一連の内側ゾーンを画定する前記複数のランドは、互いに等しい距離にある、
ことを特徴とする請求項1に記載のチャック。
【請求項6】
記最も外側のランドは、前記複数の内側ゾーンを画定する前記ランドの高さより低い高さを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のチャック。
【請求項7】
前記一連のゾーンの各々の前記トレンチは、前記複数のランドの各々の高さの少なくとも10倍の深さを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のチャック。
【請求項8】
前記トレンチと流体連通する流体ポートをさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のチャック。
【請求項9】
前記一連のゾーンは、前記チャックの中央ゾーンの周りに同心円状に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のチャック。
【請求項10】
前記チャックは、基板、スーパーストレート、又はウェハをその表面に保持するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のチャック。
【請求項11】
前記チャックは、前記複数のランドによって囲まれたゾーンに負圧を印加することによって、基板、スーパーストレート、又はウェハを保持するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のチャック。
【請求項12】
チャックを使用する方法であって、
前記チャックの表面から突出する複数のランドによって画定される一連のゾーンと、前記一連のゾーンのうちの少なくとも1つにおいて前記チャックの表面から窪んだトレンチとを有する前記チャックを提供すること、
前記チャックの表面の上のスーパーストレートを保持すること、
基板に分配された成形可能材料と接触するように前記スーパーストレートを前進させること、
硬化源で前記成形可能材料を硬化させること、及び、
硬化した前記成形可能材料から前記スーパーストレートを分離すること、を含み、
前記一連のゾーンは、前記複数のランドのうち最も外側のランドに直接に隣接する周辺ゾーンと、前記周辺ゾーンによって囲まれた複数の内側ゾーンとを含み、
前記トレンチは、前記複数の内側ゾーンの各々における、前記チャックの中心から遠い領域に形成される、
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
前記トレンチは、前記複数の内側ゾーンの各々に、前記複数の内側ゾーンの各々の半分の幅より小さい幅で形成される、
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記トレンチは、前記周辺ゾーンにおける、前記チャックの前記中心に近い領域に形成される、
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記トレンチは、前記一連のゾーンの各々に、前記複数のランドの各々の高さの少なくとも10倍の深さで形成される、
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記チャックは、前記トレンチの各々と流体連通する真空ポートをさらに含む、
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項17】
記一連の内側ゾーンを画定する前記複数のランドは、互いに等しい距離にある、
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項18】
物品製造方法であって、
基板の上に成形可能材料の分配すること、
スーパーストレートチャックでスーパーストレートの保持すること、
前記基板の上に分配された形可能材料と接触するように前記スーパーストレートを前進させること、
硬化源で前記成形可能材料を硬化させること、及び、
硬化した前記成形可能材料から前記スーパーストレートを分離すること、を含み、
前記スーパーストレートチャックは、その表面から突出する複数のランドによって一連のゾーンを有するように画定され、前記スーパーストレートチャックの前記表面から窪んだトレンチが前記一連のゾーンの少なくとも1つに形成されており
前記一連のゾーンは、前記複数のランドのうち最も外側のランドに直接に隣接する周辺ゾーンと、前記周辺ゾーンによって囲まれた複数の内側ゾーンとを含み、
前記トレンチは、前記複数の内側ゾーンの各々における、前記チャックの中心から遠い領域に形成される、
ことを特徴とする物品製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理に関し、より詳細には、半導体製造における表面の平坦化に関する。
【背景技術】
【0002】
平坦化技術は、半導体デバイスを製造するために有用である。例えば、半導体デバイスを作成するためのプロセスは、基板に材料を追加すること、及び、基板からの材料を除去することの繰り返しを含む。このプロセスは、不規則な高さ変動(すなわち、トポグラフィ)を有する層状基板を生成しうる。そして、より多くの層が追加されるにつれて、基板の高さ変動が増大しうる。高さの変動は、層状基板にさらなる層を追加する能力に対して負の影響を及ぼす。これとは別に、半導体基板(例えば、シリコンウェハ)自体は常に完全に平坦ではなく、初期の表面高さ変動(すなわち、トポグラフィ)を含むかもしれない。この問題に対処する1つの方法は、積層ステップの間で基板を平坦化することである。種々のリソグラフィパターニング方法は、平面表面上のパターニングから利益を得る。ArFiレーザベースのリソグラフィにおいて、平坦化は、焦点深度(DOF)、臨界寸法(CD)、及び臨界寸法均一性を改善する。極端紫外リソグラフィー(EUV)では、平坦化は、フィーチャの配置とDOFを改善する。ナノインプリントリソグラフィー(NIL)では、平坦化は、パターン転写後のCD制御及びフィーチャの充填が改善される。
【0003】
インクジェットベース適応平坦化(IAP)と呼ばれることもある平坦化技術は、基板とスーパーストレートとの間に重合性材料の可変ドロップパターンを分配することを含み、このドロップパターンは、基板トポグラフィに依存して変化する。次に、スーパーストレートを重合性材料と接触させ、その後、材料を基板の上で重合させ、スーパーストレートが除去される。IAP技術を含む平坦化技術の改良は、例えば、ウェハ処理の全体及び半導体デバイス製造を改良するために望まれている。
【発明の概要】
【0004】
チャックが提供される。前記チャックは、少なくとも複数のランドと、少なくとも1つのトレンチとを備える。前記複数のランドは、前記チャックの表面から突出し、一連のゾーンを画定する。前記トレンチは、前記一連のゾーンのうちの少なくとも1つに形成される。前記一連のゾーンは、前記複数のランドのうち最も外側のランドに直接に隣接する周辺ゾーンと、前記周辺ゾーンによって囲まれた複数の内側ゾーンとを含んでもよく、前記トレンチは、前記複数の内側ゾーンのうちの少なくとも1つの内側ゾーンにおける、前記チャックの中心から遠い領域に形成される。前記周辺ゾーンは、前記複数の内側ゾーンの各々の幅よりも小さい幅を有しうる。前記トレンチは、前記複数の内側ゾーンの各々に、前記複数の内側ゾーンの各々の幅の半分より小さい幅で形成されうる。
【0005】
前記チャックは、前記周辺ゾーンにおける、前記チャックの前記中心に近い領域に形成されたトレンチを備えることができる。前記一連のゾーンは、前記複数のランドのうちの最も外側のランドに直接に隣接する周辺ゾーンと、前記周辺ゾーンによって囲まれた複数の内側ゾーンとを含むことができ、前記一連の内側ゾーンを画定する前記複数のランドは、互いに等しい距離にある。前記一連のゾーンは、前記複数のランドのうちの最も外側のランドに直接に隣接する周辺ゾーンと、前記周辺ゾーンによって囲まれた複数の内側ゾーンとを含むことができ、前記最も外側のランドは、前記複数の内側ゾーンを画定するランドの高さより低い高さを有する。前記少なくとも1つのゾーンに形成された前記トレンチは、前記複数のランドの各々の高さの少なくとも10倍の深さを有しうる。前記チャックは、前記トレンチと流体連通する流体ポートをさらに備えてもよい。前記一連のゾーンは、前記チャックの中央ゾーンの周りに同心円状に配置されてもよい。前記チャックは、基板、スーパーストレート、又はウェハをその表面に保持するように構成されてもよい。前記基板、前記スーパーストレート、又は前記ウェハは、前記複数のランドによって囲まれたゾーンに負圧を印加することによって、前記チャックによって保持されてもよい。
【0006】
チャックを使用する方法も提供される。前記チャックは、前記チャックの表面から突出する複数のランドによって画定される一連のゾーンと、前記一連のゾーンのうちの少なくとも1つにおいて前記チャックの表面から窪んだトレンチとを有する。スーパーストレートは、前記チャックの前記表面に保持される。前記スーパーストレートは、前記基板に分配された成形可能材料と接触するように前進させられる。前記成形可能材料は、硬化源で硬化される。硬化後、前記スーパーストレートは、硬化した前記成形可能材料から前記チャックによって分離される。
【0007】
前記トレンチは、前記複数の内側ゾーンの各々に、前記複数の内側ゾーンの各々の半分の幅より小さい幅で形成することができる。前記周辺ゾーンのある領域に形成されたトレンチは、前記チャックの前記中心に近い。本方法は、前記一連のゾーンの各々に、前記複数のランドの各々の高さの少なくとも10倍の深さで前記トレンチを形成することを更に含みうる。真空ポートが、前記トレンチの各々と流体連通するように形成される。前記一連のゾーンは、前記複数のランドのうちの最も外側のランドに直接に隣接する周辺ゾーンと、前記周辺ゾーンによって囲まれた複数の内側ゾーンとに画定される。
前記複数のランドは、互いに等しい距離にある前記一連の内側ゾーンを画定する。
【0008】
前記方法は、前記チャックによって保持された基板の上に成形可能材料を塗布することをさらに含むことができる。前記スーパーストレートを保持して、前記成形可能材料と接触するように前記スーパーストレートを前進させるために、前記チャックの同じ構造を有する別のチャックが使用される。
【0009】
物品を製造する方法が提供される。成形可能材料が基板の上に分配される。スーパーストレートは、スーパーストレートチャックで保持される。前記スーパーストレートチャックは、その表面から突出する複数のランドによって一連のゾーンを有するように画定され、前記スーパーストレートチャックの表面から窪んだトレンチが前記一連のゾーンのうちの少なくとも1つに形成される。前記スーパーストレートは、前記基板の上に分配された成形可能材料と接触するように前進させられる。前記成形可能材料は、硬化源で硬化される。硬化後、前記スーパーストレートは、前記チャックによって成形可能材料から分離される。
【0010】
本開示のこれら及び他の目的、特徴及び利点は、添付の図面及び提供される特許請求の範囲と併せて、本開示の例示的な実施形態の以下の詳細な説明を読むことによって明らかになるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の特徴及び利点が詳細に理解され得るように、本発明の実施形態のより具体的な説明は、添付図面に示される実施形態を参照することによってなされうる。しかし、添付図面は本発明の典型的な実施形態を示すに過ぎず、したがって、本発明は他の等しく有効な実施形態を含むことができるので、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではないことに留意されたい。
図1】平坦化システムを示す図。
図2】平坦化プロセスを示す図。
図3】一実施形態におけるマルチゾーンスーパーストレートチャックを示す図。
図4】基板の上に層を形成するためのスーパーストレートチャックの動作を示す図。
図5図4に示された平坦化処理のフローチャート。
図6】一実施形態における、基板とスーパーストレートとの積層体のエッジに生成される分離クラックを示す図。
図7】分離クラックが生成され積層体の周辺に伝播されるときの基板とスーパーストレートとの積層体の上面図。
図8】分離された基板とスーパーストレートを示す図。
図9図7及び図8に示された分離プロセスのフローチャート。
図10】更なる実施形態における、基板とスーパーストレートとの積層体のエッジに生成される分離クラックを示す図。
図11】改善されたゾーン封止を有する別の実施形態におけるマルチゾーンスーパーストレートチャックを示す図。
図12図11のスーパーストレートチャックのゾーン内の例示的なトレンチ構造の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面全体を通して、特に明記しない限り、同じ符号及び文字は、例示された実施形態の同様の特徴、要素、成分、又は部分を示すために使用される。さらに、主題の開示は図面を参照して詳細に説明されるが、それは例示的な実施形態に関連して行われる。添付の特許請求の範囲によって定義される主題の開示の真の範囲及び精神から逸脱することなく、記載された例示的な実施形態に対して変更及び修正を行うことができることが意図される。
【0013】
[平坦化システム]
図1は、平坦化のためのシステムを示す。平坦化システム100は、基板102の上の膜を平坦化するために使用される。基板102は、基板チャック104に結合されてもよい。基材チャック104は、真空チャック、ピンタイプチャック、溝タイプチャック、静電チャック、電磁気チャック等であってもよいが、これらに限定されない。
【0014】
基板102及び基板チャック104は、基板位置決めステージ106によってさらに支持されてもよい。基板位置決めステージ106は、x軸、y軸、z軸、θ軸、ψ軸及びφ軸のうちの1つ又は複数に沿った並進及び/又は回転運動を提供することができる。また、基板位置決めステージ106、基板102、及び基板チャック104は、ベース(図示せず)の上に位置決めされてもよい。基板位置決めステージは、位置決めシステムの一部であってもよい。
【0015】
基板102から離間して配置されているのは、基板102に対向する作用表面112を有するスーパーストレート108である。スーパーストレート108は、溶融シリカ、石英、シリコン、有機ポリマー、シロキサンポリマー、ホウケイ酸ガラス、フルオロカーボンポリマー、金属、及び/又は、硬化サファイアなどを含む材料で形成されうるが、これらに限定されない材料から形成されてもよい。一実施形態では、スーパーストレートは、UV光について高い透明性を有する。表面112は、一般に、基板108の表面と同じ面積サイズであるか、又は僅かに小さい。
【0016】
スーパーストレート108は、スーパーストレートチャック118に連結されてもよいし、スーパーストレートチャック118によって保持されてもよい。スーパーストレートチャック118は、真空チャック、ピンタイプチャック、溝タイプチャック、静電チャック、電磁気チャック、及び/又は他の同様のチャックタイプであってよいが、これらに限定されない。スーパーストレートチャック118は、スーパーストレート108を横切って変化する応力、圧力、及び/又は歪みをスーパーストレート108に加えるように構成されてよい。一実施形態では、スーパーストレートチャックもまた、UV光に対して高い透明性を有する。スーパーストレートチャック118は、スーパーストレート108を曲げて変形させるためにスーパーストレート108の裏面に圧力差を加えることができる、ゾーンベースの真空チャック、アクチュエータアレイ、圧力嚢などのシステムを含んでもよい。一実施形態では、スーパーストレートチャック118が圧力差をスーパーストレート118の裏面に加えることができるゾーンベースの真空チャックを含み、スーパーストレート118を以下で更に詳述するように曲げて変形させる。
【0017】
スーパーストレートチャック118は、位置決めシステムの一部である平坦化ヘッド120に結合されてよい。平坦化ヘッド120は、ブリッジに移動可能に結合されてもよい。平坦化ヘッド120は、スーパーストレートチャック118を少なくともz軸方向、及び潜在的に他の方向(例えばx軸、y軸、θ軸、ψ軸及びφ軸)に基板102に対して移動させるように構成された、ボイスコイルモータ、圧電モータ、リニアモータ、ナットアンドスクリューモータなどの1つ以上のアクチュエータを含んでもよい。
【0018】
平坦化システム100は、液体ディスペンサ122をさらに備えることができる。流体ディスペンサ122はまた、ブリッジに移動可能に連結されてもよい。一実施形態では、液体ディスペンサ122及び平坦化ヘッド120は、全ての位置決め構成要素のうちの1つ以上を共有する。代替の実施形態では、流体ディスペンサ122及び平坦化ヘッドは、互いに独立して移動する。流体ディスペンサ122は、液体形成可能材料124(例えば、光硬化性重合可能材料)の液滴を基板102の上に堆積させるために使用されてもよく、堆積される材料の体積は、そのトポグラフィプロファイルに少なくとも部分的に基づいて、基板102の領域にわたって変化する。異なる流体ディスペンサ122は、成形可能材料124を分配するために異なる技術を使用することができる。成形可能材料124が噴射可能である場合、インクジェットタイプディスペンサを使用して成形可能材料を分配することができる。例えば、サーマルインクジェッティング、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)ベースのインクジェッティング、弁ジェット、及び圧電インクジェッティングは、噴射可能液体を分配するための一般的な技術である。
【0019】
平坦化システム100は、化学線エネルギー、例えば紫外線を露光経路128に沿って方向付ける放射線源126を含む硬化システムをさらに含むことができる。平坦化ヘッド120及び基板位置決めステージ106は、露光経路128と重ね合わせてスーパーストレート108及び基板102を位置決めするように構成することができる。放射線源126は、スーパーストレート108が成形可能材料128に接触した後、露光経路128に沿って化学線エネルギーを送る。図1は、スーパーストレート108が成形可能材料124と接触していないときの露光経路128を示す。これは、個々の構成要素の位置を容易に識別することができるように、例示の目的で行われる。当業者であれば、スーパーストレート108が成形可能材料124と接触したときに、露光経路128が実質的に変化しないことを理解するのであろう。
【0020】
平坦化システム100はさらに、平坦化処理中にスーパーストレート108が成形可能材料124に接触しているときの成形可能材料124の広がりを見るように配置されたカメラ136を備えることができる。図1は、フィールドカメラの撮像フィールドの光軸138を示している。図1に示されるように、平面化システム100は、化学線とカメラ136によって検出される光とを組み合わせる1つ又は複数の光学構成要素(ダイクロイックミラー、ビームコンバイナ、プリズム、レンズ、ミラーなど)を含んでもよい。カメラ136は、CCD、センサアレイ、ラインカメラ、及び光検出器のうちの1つ又は複数を含むことができ、これらは、スーパーストレート108の下で成形可能材料124と接触している領域と、スーパーストレート108の下であるが成形可能材料124と接触していない領域との間のコントラストを示す波長の光を集めるように構成される。カメラ136は、スーパーストレート108の下の成形可能材料124の広がり、及び/又は硬化した成形可能材料124からのスーパーストレート108の分離の画像を提供するように構成されてもよい。また、カメラ136は、形成可能材料124が表面112と基板表面との間のギャップの間に広がるにつれて変化する干渉縞を測定するように構成されてもよい。
【0021】
平坦化システム100は、基板チャック104、基板位置決めステージ106、スーパーストレートチャック118、平坦化ヘッド120、液体ディスペンサ122、放射源126、及び/又はカメラ136などの1つ又は複数の構成要素及び/又はサブシステムと通信する1つ又は複数のプロセッサ140(制御装置)によって、調整、制御、及び/又は指示されてもよい。プロセッサ140は、非一時的コンピュータメモリ142に記憶されたコンピュータ読み取り可能なプログラム内の命令に基づいて動作することができる。プロセッサ140は、CPU、MPU、GPU、ASIC、FPGA、DSP、及び汎用コンピュータのうちの1つ以上であってもよく、又はそれらを含んでもよい。プロセッサ140は、汎用のコントローラであってもよく、又はコントローラであるように適合される汎用の計算デバイスであってもよい。一時的でないコンピュータ可読可能なメモリとしては例えば、RAM、ROM、CD、DVD、Blu-Ray、ハードディスク、ネットワーク接続されたアタッチドストレージ、イントラネット接続された一時的でないコンピュータ可読可能なストレージデバイス、及びインターネット接続された一時的でないデバイスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
動作中、平坦化ヘッド120、基板位置決めステージ106、又は両方は、スーパーストレート118と基板102との間の距離を変化させて、成形可能材料124で満たされる所望の空間(3次元における有界の物理的広がり)を画定する。例えば、平坦化ヘッド120は、基板に向かって移動され、スーパーストレート108に力を加えて、以下で更に詳述されるようにスーパーストレート108が成形可能材料124の液滴に接触し、それを広げることができる。
【0023】
[平坦化プロセス]
平坦化プロセスは、図2に概略的に示されるステップを含む。図2(a)に示されように、成形可能材料124は、基板102の上に液滴の形成で分配される。前述のように、基板表面は、以前の処理動作に基づいて知られうるか、又はプロファイロメータ、AFM、SEM、又は「Zygo NewView 8200」のような光学干渉効果に基づく光学表面プロファイラを使用して測定されうる、いくつかのトポグラフィを有する。
堆積された成形可能材料124の局所体積密度は、基板トポグラフィに応じて変化する。次に、スーパーストレート108は、成形可能材料124と接触するように配置される。
【0024】
図2(b)は、スーパーストレート108が成形可能材料124と完全に接触した後であるが、重合プロセスが開始する前の接触後ステップを示す。スーパーストレート108が成形可能材料124に接触すると、複数の液滴は結合し、スーパーストレート108と基板102との間の空間を満たす成形可能材料膜144を形成する。好ましくは、充填プロセスは、非充填欠陥を最小限に抑えるために、スーパーストレート108と基板102との間に空気又は気泡が捕捉されることなく、均一に行われる。成形可能材料124の重合プロセス又は硬化は、化学線(例えば、UV線)で開始されうる。例えば、図1の放射線源126は、化学線を提供し、形成可能材料膜144を硬化、固化、及び/又は架橋させ、基板102の上に硬化した平坦化層146を画定することができる。あるいは、熱、圧力、化学反応、他のタイプの放射、又はこれらの任意の組み合わせを使用することによって、成形可能材料質膜144の硬化を開始することもできる。硬化されると、平坦化層146が形成され、スーパーストレート108は、平坦化層146から分離されうる。図2(c)は、スーパーストレート108の分離後の基板102の上の硬化した平坦化層146を示す。次いで、基板及び硬化層は、例えば、パターニング、硬化、酸化、層形成、堆積(成膜)、ドープ、平坦化、エッチング、成形可能な物質の除去、ダイシング、結合、及びパッケージングなどを含む、デバイス(物品)製造のための追加の公知の工程及びプロセスに供されうる。基板は、複数の物品(デバイス)を製造するために処理されてもよい。
【0025】
[スーパーストレートと基板との間の平坦化材料の拡がり、充填及び硬化]
成形可能材料の複数の液滴が拡がり、結合し、スーパーストレート108と基板との間を充填するときに、スーパーストレート108と基板との間の空気又はガスの気泡の捕捉を最小限に抑えるための1つのスキームは、スーパーストレートが基板の中央の成形可能材料と最初に接触し、その後に中央から周辺に向かって半径方向に接触が進行するように、スーパーストレートを位置決めすることである。これには、スーパーストレートに湾曲プロファイルを作り出すために、スーパーストレート又は基板、あるいはそれらの両方の撓み又は反りが必要である。しかしながら、スーパーストレート108が典型的には基板102と同じ又は類似の面積寸法であると仮定すると、有用なスーパーストレート全体の反った湾曲プロファイルは、スーパーストレートの大きな垂直方向のゆがみと、スーパーストレートチャック及び平坦化アセンブリによる付随する垂直方向の運動との両方を必要とする。このような大きな垂直方向のゆがみと運動は、制御、精度、及びシステムのデザイン上の考慮事項にとって望ましくない場合がある。このようなスーパーストレートのプロファイルは、例えば、スーパーストレートの内側領域に背圧を加えることによって得ることができる。しかしながら、そうすることにより、スーパーストレートをスーパーストレートチャック上に保持するためには、依然として外周保持領域が必要とされる。成形可能材料の複数の液滴が拡がり結合する間にスーパーストレートの周辺エッジと基板の周辺エッジとの両方が平坦にチャッキングされる場合、この平坦なチャッキング領域には有用なスーパーストレート湾曲プロファイルは存在しないであろう。これは、液滴の拡がり及び結合を損なうことがあり、これはまた、チャッキング領域における未充填欠陥につながりうる。さらに、成形可能材料の拡がり及び充填が完了すると、結果として生じるスーパーストレートチャック、チャックされたスーパーストレート、成形可能材料、基板、及び基板チャックの積層体は、過拘束システムとなり得る。これは、得られた平坦化膜層の不均一な平坦化プロファイルを引き起こしうる。すなわち、このような過拘束システムでは、表裏面の平坦度を含むスーパーストレートチャックからの全ての平坦度エラー又は変動がスーパーストレートに伝達され、平坦化膜層の均一性に衝撃を与えることができる。
【0026】
上記課題を解決するために、一実施形態では、図3(a)、(b)に示されるように、マルチゾーンスーパーストレートチャック118が提供される。スーパーストレートチャック118は、中央ゾーン301と、中央ゾーン301の周りの一連のリングゾーン303とを含む。一連のリングゾーン303は、スーパーストレートチャック118のエッジ、境界線又は周囲に沿った周辺リングゾーン303bと、中央ゾーン301と周辺リングゾーン303bとの間に位置する複数の内側リングゾーン303aとに画定されてもよい。複数のリングゾーン303は、スーパーストレートチャック118の表面から突出した一連のランド307によって画定されてもよい。図3(a)、(b)に示されるように、複数のランド307は、中央ゾーン301の周りに形成されうる。複数のリングゾーン303の各々において、スーパーストレートチャック118を介して接続される少なくとも1つのポート305が形成されて、スーパーストレートチャック118によって保持されたスーパーストレートに、圧力源が正圧又は負圧、例えば真空圧を加えることを可能にする。
【0027】
図3(b)は、スーパーストレートチャック118の側断面図を示す。複数のランド307の各々は、スーパーストレートチャック118の表面から突出していて、高さを有する。複数のランド307は、周辺リングゾーン303bを取り囲む周辺ランド307bと、中央ゾーン301と周辺リングゾーン303bとの間の一連の内側ランド307aとを含む。図3(b)に示されるように、複数の内側ランド307aは実質的に同じ高さを有するが、周辺ランド307bの高さは、複数の内側ランド307aの高さよりも低い。スーパーストレートチャック118の中央ゾーン301は、円形キャビティの形態であってもよく、その結果、圧力源(図示せず)は、関連するチャネル308及びポート305を通して空気又はガスの圧力を加えて、保持されたスーパーストレートの中心部分を撓ませることができる。同様に、真空圧力が同じチャネル及びポートを通して中央ゾーン301に印加されてもよい。スーパーストレートチャック118の中央ゾーン301は、保持されたスーパーストレートの中心部分に対して位置合わせされてよい。同様に、周辺リングゾーン303aは、保持されたスーパーストレートの境界線又は周囲に位置合わせされてもよい。周辺リングゾーン303には、同様に、圧力又は真空を加えるためのそれぞれのチャネル308及びポート305が設けられている。
【0028】
図4を参照すると、堆積された成形可能材料124の複数の液滴を接触させ、拡げ、結合させるためのプロセスが示されている。図4(a)に示されるように、スーパーストレート108を成形可能材料124に接触させる前に、陽圧(矢印Pで示す)がポート305を通してスーパーストレートチャック118の中央ゾーン301に、そして、保持されたスーパーストレート108に印加され、スーパーストレート108の中央部分を成形可能材料124の方へ撓ませる。圧力Pは、図4(a)に示すように、所定の範囲で初期撓みを制御し、スーパーストレート108の所定の湾曲を維持するように、中央ゾーン301に印加される。一方、スーパーストレートチャック118によってスーパーストレート108を保持するように、負圧、好ましくは、真空(矢印Vで示す)が複数のリングゾーン303内の複数のポート305を通してスーパーストレート108に印加される。次に、スーパーストレート108は、図4(b)に示されるように、成形可能材料124の液滴と最初の接触をするようにされる。
【0029】
次いで、真空(V)を中央ゾーン301に近い内側ゾーン303aから逐次的に解放することによって、スーパーストレート108の撓みが、中心部分から半径方向外側方向に拡大される。このようにして、成形可能材料の液滴は接触され、拡げられ、スーパーストレートが基板と接触し基板にならうにつれて半径方向外側方向に進む流体最前線を有するように膜層を形成する。真空が内側ゾーン303aから逐次的に解放されるとき、中央ゾーン301を通して加えられる圧力Pは、所望の値に維持される。真空が解放された内側リングゾーン303a内のポート305及びチャネル308を通して、圧力Pをスーパーストレート108に加えることもできる。図4(c)に示されるような実施形態では、真空が内側ゾーン301に最も近い3つの内側リング303aから逐次的に解放され、真空が逐次的に解放されるにつれて圧力Pが逐次的に印加される。平坦化ヘッドは、この逐次的な真空解放及び加圧中に下方に動かすこともできる。
【0030】
次いで、スーパーストレート108の撓みは、全ての内側リングゾーン303aの真空が解放されるまで放射方向に逐次的に拡張され、一方、周辺リングゾーン303bを介して印加される真空Vは維持される。複数の内側ゾーン303aの各々に対して、真空が解放されると、圧力Pも加えられる。
図4(d)に示されるように、全ての内側リングゾーン303aの真空が解放されたとき、スーパーストレート108は、周辺ゾーン303bを通して印加された真空Vを介してスーパーストレートチャック118によって保持されたままである基板108の周辺部を除いて、基板102に適合するように撓む。したがって、スーパーストレート108のエッジは、基板102の周辺に分配された成形可能材料液滴の最終的な拡がり及び結合のために、撓んだ湾曲状態のままである。さらに、内側ランド307aよりも低い周辺ランド307bは、このような湾曲の維持を容易にする。
【0031】
図4(e)において、スーパーストレート108を完全にスーパーストレートチャック118から解放するために、周辺リングゾーン303bを通して印加された真空Vが解放される。これは、複数の利益を提供する。第一に、湾曲した状態で保持されていた周辺リングゾーン303bからスーパーストレート108の周辺を解放することによって、残りの成形可能材料液滴の拡がり及び結合を同じ中心から周辺の半径方向の様式で完了させることができ、したがって、空気又はガスの捕捉及び結果としての未充填欠陥を最小化し続けることができる。具体的には、内側ランド307aに対して凹んでいる周辺ランド307bは、スーパーストレート108が解放前の所望の湾曲を維持することを可能にする。第二に、スーパーストレートチャック118からスーパーストレート108を完全に解放することによって、チャッキング条件によるスーパーストレート108のあらゆる過拘束が除去され、それによって、このような拘束条件があったならば起こりうるような局所的に不均一な平坦化が低減される。第三に、スーパーストレートチャック118からスーパーストレート108を解放することにより、チャックの非平坦性エラー又は変動がスーパーストレート108に伝達されることがなくなり、これにより、局所的に不均一な平坦化の変動も低減される。
【0032】
スーパーストレート108が解放されると、硬化エネルギーを印加して成形可能材料を硬化させ、平坦化層を形成することができる。前述のように、硬化源は、成形可能材料124を硬化させるための光ビームであってもよい。一実施形態では、光ビームの大きさはスーパーストレートの直径を参照して調整又は制御されてもよい。光ビームは、所定の角度で基板に入射するように制御することもできる。硬化中、硬化源に対する基板102の横方向位置(すなわち、X-Y平面内)を調整することができる。硬化プロセスの後、スーパーストレート108は、スーパーストレートチャック118によって再保持され、スーパーストレート108は、以下で更に説明されるように、基板から分離される。
【0033】
図5は、図3及び図4に示されるように説明された平坦化プロセスのフローチャートを示す。ステップ501において、成形可能材料液滴124が基板102上に分配される。スーパーストレート108の中央ゾーンは、ステップS502において成形可能材料液滴124に向かって撓まされる。次いで、撓まされたスーパーストレート108は、ステップS503において、成形可能材料124と接触するようにスーパーストレートチャック118によって前進される。スーパーストレート108の撓みは、ステップS504において、中央ゾーンからスーパーストレート108の周辺に向かって拡張される。スーパーストレート108をスーパーストレートチャック118によって保持するための力の印加、例えば、スーパーストレート108の周辺に印加された真空による力は、ステップS506においてスーパーストレート108がスーパーストレートチャック118から解放される(すなわち、デチャック)ように停止される。成形可能材料124は、ステップS507で硬化される。硬化後、スーパーストレート108は、硬化した成形可能材料146からスーパーストレート108を分離するようにスーパーストレートチャック118によって再保持される。
【0034】
例えば、成形可能材料124としてUV光硬化性材料を使用する場合、スーパーストレートチャック118は、高UV光透過性UV硬化(例えば、図1に示されるように、カメラ136によって画像化するための高い光透過性と同様に)で透明であることが望ましい。上述したように、空気供給チャネル308及びポート305、複数のゾーン303、並びに複数のランド307は、図3及び図4に示されるように、スーパーストレートに一体化されている。これらの構造は、UV硬化のための問題を引き起こしうる。特に、チャネル308及びランド307の下の領域におけるUV透過率は、このような特徴を有しない領域と比較して著しく低減される可能性があり、成形可能材料の硬化不足又は不均一な硬化をもたらす。この現象は、「シャドーイング効果」と呼ばれることがあり、特にランド307のエッジでシャドーイング効果が顕著になることがあり、また、スーパーストレート100をランド307にチャックすると、2つの表面が光学的に接触しないために薄いエアギャップが生じうる。この薄いギャップのタイプは、紫外線を完全に遮断することがある。この現象は、ランドとスーパーストレートとの間の「薄膜効果」として知られている。
【0035】
上記の「シャドウ効果」に対する1つの解決策は、スーパーストレートチャックからスーパーストレートをデチャック(すなわち、解放)した後に、ウェハステージの上のスーパーストレートと基板との積層体をx、y及び/又はθ座標について移動させることを含む。UV露光中にこの方法でウェハステージを運動させることによって、チャネル、ポート、及びランドの下にあったスーパーストレート及び基板の領域を、チャックの特徴が存在しない、スーパーストレートチャックの下の領域に周期的に移動させることができる。必要とされる相対運動は、以下の式(1)から推定することができる。
【0036】
【数1】
・・・(1)
【0037】
ここで、Iは、運動の範囲にわたる所望の平均強度であり、Iは、チャックの特徴領域を横切らない高強度(すなわち、最大又は「最大」強度)であり、Iは、対象とする特徴における強度(すなわち、最低又は「低」強度)であり、wはIを達成するための推定された運動範囲であり、wは、対象とする特徴の幅(例えば、ランド、ポート、又はチャンネルの幅)である。例えば、特徴がない領域における100%のUV伝達を仮定し、所望のIがその値の90%であると仮定し、さらに、式(1)からw=1mmと仮定すると、相対運動の所望の範囲w=8.0mmである。あるいは、スーパーストレートチャックに入射するUV光の角度を変化させるように、スーパーストレートチャックに対してUV源を傾斜させることによってUV源を移動させることができ、これによって、対象とする特徴付近のシャドウイング効果も低減することができる。「薄膜効果」は、スーパーストレートとスーパーストレートチャックとの間に十分なギャップを作り出すために、例えば、スーパーストレートをデチャックし、ウェハステージをスーパーストレートチャックから離れるようにz方向に動かすことによって、z軸方向に相対的に動かすことによって回避することができる。上記の種々の解決策は、個々に又は組み合わせて適用されて、特定の領域における全紫外線線量の均一性を改善し、シャドーイング及び薄膜効果を最小限にすることができる。
【0038】
様々な実施形態では、適用されるUV光ビームが基板又は上層よりも小さくても、同じサイズであっても、又は大きくてもよい。一実施形態では、適用されるUV光ビームは、適用されるUV光ビームに基板の全体を曝し続けながら上記の相対運動Wを許容する寸法だけ基板よりも大きくすることができる。
【0039】
[硬化された平坦化された膜層からのスーパーサートの分離]
成形可能材料が硬化され、平坦化された膜層が形成されると、形成された層からスーパーストレートを除去又は剥離することが必要である。しかしながら、スーパーストレート及び基板が同一又は類似の面積寸法を有する場合には、形成された層からスーパーストレートを完全に分離するために、必要に応じてスーパーストレートと形成された層との間に分離クラックを生成及び伝播させることは困難である。この問題は、図6図7及び図8に示される構造及び方法によって解決することができる。図6(a)に示されるように、基板チャック604は、基板102のノッチ608と位置合わせ可能なようにチャックの周辺部に位置する格納可能なピン606を含む。このようなノッチ(例えば、ウェハ切欠き)は、処理及び取り扱い中にウェハを配向する目的のために半導体ウェハに共通である。動作中、格納可能ピン606は、基板102に配置されたノッチ608と位置合わせされるように位置決めされる。分離を開始するために、ピン606は、図6(a)に示されるように、ノッチ608を通って上方に移動し、スーパーストレート108のエッジの点610と接触する。ピン606によって加えられる力は、基板102上のスーパーストレート108と硬化層146との間に分離クラック601を生成させるのに十分である。クラック601が生成されると、スーパーストレートチャック118のポート305を通した真空圧力の印加によって、スーパーストレート108のエッジがスーパーストレートチャック118に向かって撓まされる。これは、スーパーストレートチャック118のランド307bが隣接するランド307aよりも短いことによって容易になり、これによって、スーパーストレート108のエッジが基板102から離れてスーパーストレートチャック118に向かって撓むための空間が提供される。クラック601を生成するために加えられる力は、スーパーストレート、平坦化された膜層及び基板の幾何学的及び物理的条件に依存しうる。あるいは、クラック601は、図6(c)に示されるように、基板102とスーパーストレート108との間に陽圧を導入することによって生成されてもよい。ここで、基板チャック614は、正の流体圧力源(図示せず)に接続されたノズル616を含む。ノズル616が作動すると、正の流体圧Pが、分離クラック601を生成するのに十分な力で、ノズル616を通ってスーパーストレート118のエッジの点610に送達される。正の流体圧力は、清浄なドライエアー、ヘリウム、又は窒素の流れを含むことができる。クラック601を生成する間、スーパーストレート102はスーパーストレートチャック118内に保持され、基板102は基板チャック104によって保持される。
【0040】
図7及び図8は、分離の進行を示す。図7(a)は、基板上に形成された層と(斜線領域によって示されるように)完全に接触しているスーパーストレート118を示す、上から下を見た図である。図7(b)において、分離クラック601は、上述のように生成される。クラック601が生成されると、スーパーストレートチャック118の外側リングゾーン303bに負圧又は真空の高いフローが加えられ、スーパーストレート108のエッジに係合し、分離クラック601を外側リングゾーン303bの周りに伝播させる。この伝播は、矢印Cで示されるように、ノッチ608から両方向について円周方向に進行する。外側リングゾーン303bの周りのクラック601の伝播を補助するために、クラック伝播が進行するときに、基板102とスーパーストレート108との間に追加の横方向の空気の流れ(図示せず)を供給することができる。図7(c)は、外側リングゾーン303bの周辺を完全に伝播したクラック601を示す。
【0041】
分離クラックが外側リングゾーンの周辺に完全に伝播したら、基板上の硬化層からスーパーストレート108を完了分離するように、スーパーストレート108のZ軸方向に沿って上向き運動を印加されうる。図8は、基板102から完全に分離されたスーパーストレート108を示す。分離を完了する際に、基板102に対するスーパーストレート108の著しい上向きの運動は、スーパーストレート108と基板102との間の残りの接触領域に剪断応力を誘起しうる。あるいは、Z方向運動がより早い所望の位置で停止させることができ、分離は、内側及び/又は中央リングゾーンへの継続的な真空圧印加を通して進め、終了させることができる。このような剪断応力は、継続的な分離の間、内側リングゾーン303a及び/又は中央ゾーン301のうちの1つ又は複数に真空を加えることによって最小化することができる。
【0042】
図9は、図7及び図8に示され説明された分離プロセスのフローチャートを示す。ステップS901において、分離クラックがスーパーストレート108と硬化された層との間で生成される。次いで、ステップS902において、分離クラックがスーパーストレート108の周辺で伝播される。ステップS903では、スーパーストレートの残り部分が硬化された層から分離される。上述の実施形態では、スーパーストレート108と基板102との分離は、押しピン又は空気圧などの機械的力によってクラックを発生させるステップと、クラックを伝播させるように外側ゾーンに真空圧を加えるステップと、スーパーストレート108を確実に保持するステップと、スーパーストレートを上向きにデチャックすることを回避するのに十分に安全な力でスーパーストレート108をZ方向に上向きに移動させるステップと、分離を完了するために上向きZ方向移動中にスーパーストレート108の中心に真空を加えるステップとを含む。他の方法として、あるいは、上記のZ方向運動方式と組み合わせして、分離の伝播は、基板(図示せず)の1つ又は複数の側面から高圧で面内(又は横方向)方向フローを連続的に適用することによって影響を受けることもできる。
【0043】
図6の実施形態では、機械的ピン606(図6(a))又は流体ノズル616(図6(b))のいずれかによって、ウェハノッチ608を通して加えられる上向きの力によって、クラック生成が引き起こされる。図10は、分離クラックを生成するように構成された基板チャックのさらなる実施形態を示す。
ここで、基板チャック624は、スーパーストレート108と基板とが非同心に配置されたときに分離クラックを生成することができる、別個の格納可能ピン626を含む。この非同心配置は、基板102を張り出すスーパーストレート108の部分628をもたらす。クラック602は、ピン626の移動を介して張り出し部分628に力を加えることによって作り出すことができる。あるいは、張り出し部分628は、基板よりもわずかに大きいスーパーストレートを使用することによって得ることもできる。このようにして、スーパーストレート108は、依然として、基板102と同心円状に配置することができる。いずれの場合も、基板チャック624は、分離クラックを生成させるためのスーパーストレート外周のまわりの複数の点を作り出すために、図6(a)、(b)の実施形態などにおいて、又はその他の方法でピン626から離間して配置された機械的ピン又はノズルをさらに含むことができる。
【0044】
[スーパーストレートチャック]
上述したように、スーパーストレート108は、好ましくは、スーパーストレートとチャッキング表面から延びる複数のランド307によって画定されるリングゾーン303内のチャッキング表面との間の容積に圧力又は真空(負圧)を加えるスーパーストレートチャック118によって保持又は支持される。最も外側のランド307aから離れて、複数の内側ランド307bは、隣接する内側ランド307b間でギャップの深さが一定のままであるように、同じ高さを有することが好ましい。複数のランドの高さ(すなわち、複数のギャップの深さ)は、通常、気体の充満又は排気の反応時間、ランドの剛性特性、膨張又は収縮などの熱効果の制限などの理由から、非常に小さく、例えば、約数十マイクロメートルから数千マイクロメートルのオーダーに保たれる。作動中、リングゾーンに真空を加え、ゾーンのランドに対してスーパーストレートを保持すると、スーパーストレートとランドとのインタフェースにおいて真空シールが生成される。しかしながら、十分な力又は圧力がチャッキング真空の反対方向にスーパーストレートに加えられると、スーパーストレートは、チャックのランドから持ち上げられる。スーパーストレートとランドとの間の特定のギャップにおいて、真空シールが破損するか、又はリークすると、ゾーン内の真空圧力が低下するか、又はゼロになることさえある。次に、スーパーストレートは、チャックから意図せずにデチャックされるかもしれない。更に、スーパーストレートがデチャック状態にならない場合であっても、例えば、図4及び図5のプロセスにおいて隣接するリングゾーンにおいて真空圧を逐次的に解放する場合に、真空リークは必要とされる制御レベルを乱す可能性がある。また、外側ランドにおけるこのようなリークは、図4及び図5のプロセスにおいて、スーパーストレートの所望の外側エッジ湾曲の制御された保持に対してマイナスの影響を与える可能性がある。同様に、外側ランドのリークは、図7図8図9の過程で、分離クラックの発生・伝播を妨げる可能性がある。
【0045】
このような望ましくないリークに対抗するために、図11(a)、(b)に示されるように、トレンチ構造1109を組み込んだスーパーストレートチャック1118が提供される。スーパーストレートチャック118と同様に、スーパーストレートチャック1118は、複数のランド307を含み、これらのランドは、一連の内部ランド307aと、スーパーストレートチャック1118の表面1119から突出する周辺ランド307bとに画定されうる。図11(b)及び図12に示されるように、表面1119は、スーパーストレート108を保持又は維持するための保持又は維持表面である。一連の内側ゾーン303aは、ランド307aによって画定される。複数のリングゾーン303のうちの少なくとも1つには、チャック1118の表面から凹んだトレンチ1109が形成される。トレンチは、同心であってもよく、リングゾーンの対応する2つのランドの間に配置されてもよい。内側リングゾーン303aに形成されたトレンチ1109aは、関連する内側リングゾーン幅に対して、チャック1118の中心から遠い位置に配置される。対照的に、周辺リングゾーン303bに形成されたトレンチ1109bは、外側ゾーンリング幅に対して基板チャック1118の中心に近い領域に位置決めされる。すなわち、内側ゾーン303aに形成されたトレンチ1109aは、対応する内側ゾーン303aの外径に形成されており、一方、周辺ゾーン303bに形成されたトレンチ1109bは、周辺ゾーン303bの内径に形成されている。
【0046】
動作において、トレンチ1109は、トレンから遠い側のランドにおいてスーパーストレートとの間のギャップが存在してもスーパーストレートに作用し続ける高真空圧力の均一な供給源を提供するバッファとして作用する。このようにして、真空の逐次的な半径方向外側方向の解放、及び、中央ゾーン及び隣接するリングゾーンへの陽圧の印加は、制御された方法で進行されることができる。すなわち、遠い側のランドにギャップを生成するのに十分な量だけスーパーストレートを撓ませることができる量で、隣接する内側ゾーンに陽圧が印加されても、所与のリングゾーン内に印加された真空圧を維持することができる。言い換えれば、トレンチ1109を設けることにより、意図するプロセスを中断することなく、いくらかのリークを許容することができる。同様に、より小さな外側ランド高さを有する周辺リングゾーン内に位置するトレンチ1109bは、外側ランドに小さなギャップが存在する場合でも、外側リングゾーン内で適切な真空圧力を維持するように動作する。これにより、いくらかのリークが存在する場合においても、堆積された成形可能材料液滴の最終的な拡がり及び結合(図4D参照)のため、及び分離クラックの発生及び伝播(例えば図6参照)のために、スーパーストレートの外周を所望の湾曲に保つことが可能になる。
【0047】
図12は、例示的なトレンチ構造1109bの拡大断面図である。所望の真空緩衝性能を達成するために必要なリングゾーン内の特定のトレンチ寸法及び関連する位置は、スーパーストレートチャックのランド高さ及びリングゾーン幅に依存する。図12に示された例では、トレンチ1109bがリングゾーン303b内に位置し、チャック表面から窪んでいる。この実施形態では、外側ランド307bが内側ランド307aの高さhよりも低い高さhを有する。典型的な使用において、ランド高さの差分は、約5マイクロメートル~約50マイクロメートルであってもよい。リングゾーン303bは、幅dを有する。トレンチ1109bは、ランド307bからの距離dに第1エッジを持ち、ランド307aからの距離dに第2エッジを持つように配置される。トレンチ1109bは、深さhと幅dとを有する。本実施形態では、これらのパラメータの関係が以下の条件を満たす。
【0048】
<h
>10h
<0.5d
>d+d
トレンチ1109bを圧力供給源(図示せず)に接続するポート305は、トレンチと交差するか、さもなければトレンチ内に配置される。ポートがトレンチと交差しない場合、必要な高圧を維持することができず、トレンチは無効になる。上記の実施形態では、外部ランドhは、リークが発生することが期待される場所である。内側リングトレンチ1109bの場合、ランドの高さは同じ、すなわち、h=hであってもよい。このとき、距離dは、リークが期待される指定されたランド(すなわちh又はh)から測定される。例えば、図11(a)、(b)の実施形態では、内側ゾーン303aは、図4及び図5に関連するプロセスで説明されたように、リングゾーンの逐次的な真空解放及びその後の加圧中の内側ランドでのリークを低減するために、それらのそれぞれのリングゾーンの外側ランド(チャック中心から半径方向に測定)により近い位置に配置されたトレンチ1109aを含む。
【0049】
様々な態様のさらなる修正及び代替実施形態は、この説明を考慮すれば当業者には明らかであろう。したがって、この説明は、例示としてのみ解釈されるべきである。本明細書で示され、説明される形態は、実施形態の例として解釈されるべきであることが理解されるべきである。要素及びデータは本明細書に図示され、説明されたものと置き換えることができ、構成要素及びプロセスは逆にすることができ、特定の特徴は独立して利用することができ、すべて、この説明の恩恵を受けた後に当業者には明らかになるのであろう。
図1
図2
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図7
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図10
図11
図12