(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】搬送装置およびこれを備えた検査装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/84 20060101AFI20240502BHJP
B65G 47/80 20060101ALI20240502BHJP
G01B 5/00 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
B65G47/84 B
B65G47/80 A
G01B5/00 L
(21)【出願番号】P 2020139722
(22)【出願日】2020-08-21
【審査請求日】2023-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】林 浩一
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-123069(JP,U)
【文献】特許第5535410(JP,B1)
【文献】特開平07-270105(JP,A)
【文献】特開平03-152020(JP,A)
【文献】特開昭59-097863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/84、47/80
G01B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを保持する保持部とワークを通過させる落下開口部とが外周に少なくとも一対設けられたターンテーブルと、
このターンテーブルを往復間欠回転駆動する間欠回転駆動源と、
前記ターンテーブルの間欠回転停止位置に連接して設けられたワークの供給ステーションと、
この供給ステーションに前記保持部が連接している時に前記落下開口部と連接する位置に設けられた作業ステーションと、
前記作業ステーションと保持部あるいは落下開口部との間でワークを移載可能な移載手段と、
前記回転駆動源を制御して保持部と落下開口部が交互に作業ステーションに連接するようターンテーブルを往復間欠回転駆動制御する制御部と
、
前記ターンテーブルの下方に設けられ、落下開口部を通過したワークを所定の箇所まで排出可能な排出手段とを備え、
前記制御部は、前記保持部が前記作業ステーションに連接後、ワークを作業ステーションに移載するよう移載手段に移載指令を出力するとともに、前記落下開口部が作業ステーションに連接後、ワークを作業ステーションから排出するよう移載手段に復帰指令を出力するよう構成されていることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
ワークを保持する保持部とワークを通過させる落下開口部とが外周に少なくとも一対設けられたターンテーブルと、
このターンテーブルを往復間欠回転駆動する間欠回転駆動源と、
前記ターンテーブルの間欠回転停止位置に連接して設けられたワークの供給ステーションと、
この供給ステーションに前記保持部が連接している時に前記落下開口部と連接する位置に設けられた作業ステーションと、
前記回転駆動源を制御して保持部と落下開口部が交互に作業ステーションに連接するようターンテーブルを往復間欠回転駆動制御する制御部とを備え、
前記ターンテーブルには、前記保持部および落下開口部が複数対形成されており、その内少なくとも2対は、前記往復間欠回転により、保持部が供給ステーションに交互に連接するようターンテーブルの直径に対して線対称に構成されていることを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
前記作業ステーションは、前記供給ステーションに対して線対称に設置されており、線対称の作業ステーションには、前記ワークに同一の作業を実施可能な作業ツールが設けられていることを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記ターンテーブルには、前記保持部および落下開口部が複数対成され、その内少なくとも2対は当該ターンテーブルの中心に対して点対称に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の搬送装置。
【請求項5】
前記点対称に構成された保持部および落下開口部に対応するように前記供給ステーションが複数個設けられていることを特徴とする請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記ターンテーブルは、前記保持部が形成された保持部材と、この保持部材を支持する連結部材とからなることを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れかに記載の搬送装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6の何れかに記載の搬送装置を備え、前記作業ステーションには、ワークに所定の検査を行う検査ツールが設けられていることを特徴とする検査装置。
【請求項8】
前記ワークには、ねじ部が形成されており、
前記検査ツールは、前記ねじ部と螺合可能な検査ゲージを備えていることを特徴とする請求項7に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターンテーブルを用いてワークを所定の作業ステーションに搬送する搬送装置およびこれを備えた検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークを所定の位置に搬送する搬送装置として、特許文献1に示された搬送装置が知られている。この搬送装置は、間欠回転するターンテーブルと、このターンテーブルの周方向に沿った所定の位置に設けられる供給ステーションおよび排出ステーションと、これらの間に設けられた作業ステーションと、前記ターンテーブル上から作業ステーションにワークを移載する移載手段とを備えている。この搬送装置は、ターンテーブルと同期して回転する移載手段により、ワークをターンテーブル上から作業ステーションに移載する動作と、作業ステーションのワークをターンテーブル上に再配置する動作を行っていた。このような搬送装置は、ワークを作業ステーションに移載して所定の作業を行うため、作業中に次のワークを搬送することができ、サイクルタイムを短縮できるという利点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の搬送装置は、ワークをターンテーブル上から排出する排出手段が移載手段より下流に設けられており、移載手段がターンテーブル上に再配置したワークを排出手段が排出する必要があるため、ターンテーブルおよび移載手段、排出手段等を同期させる複雑な制御が必要となる等、効率が悪いという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて創生されたものであり、効率的なワークの搬送が可能な搬送機構の提供を目的とする。この目的を達成するために本発明は、ワークを保持する保持部とワークを通過させる落下開口部とが外周に少なくとも一対設けられたターンテーブルと、このターンテーブルを往復間欠回転駆動する間欠回転駆動源と、前記ターンテーブルの間欠回転停止位置に連接して設けられたワークの供給ステーションと、この供給ステーションに前記保持部が連接している時に前記落下開口部と連接する位置に設けられた作業ステーションと、前記回転駆動源を制御して保持部と落下開口部が交互に作業ステーションに連接するようターンテーブルを往復間欠回転駆動制御する制御部とを備えていることを特徴とする。これにより、ワークは、保持部に保持されて作業ステーションまで移動可能になるとともに作業ステーションで所定の作業を行った後に落下開口部を通過させて外部に排出可能となる。なお、前記作業ステーションと保持部あるいは落下開口部との間でワークを移載可能な移載手段を備え、前記ターンテーブルの下方には、落下開口部を通過したワークを所定の個所まで排出可能な排出手段が設けられていることが好ましい。また、前記制御部は、前記保持部が前記作業ステーションに連接後、ワークを作業ステーションに移載するよう移載手段に移載指令を出力するとともに、前記落下開口部が作業ステーションに連接後、ワークを作業ステーションから排出するよう移載手段に復帰指令を出力するよう構成されていることが好ましい。
【0006】
また、前記ターンテーブルには、前記保持部および落下開口部が複数対形成されており、その内少なくとも2対は、前記往復間欠回転により、保持部が供給ステーションに交互に連接するようターンテーブルの直径に対して線対称に構成されていることが好ましい。なお、前記作業ステーションは、前記供給ステーションに対して線対称に設置されており、線対称の作業ステーションには、前記ワークに同一の作業を実施可能な作業ツールが設けられていることが好ましい。さらに、前記ターンテーブルには、前記保持部および落下開口部が複数対成され、その内少なくとも2対は当該ターンテーブルの中心に対して点対称に形成されていることが好ましい。しかも、前記点対称に構成された保持部および落下開口部に対応するように前記供給ステーションが複数個設けられていることが好ましい。そのうえ、前記ターンテーブルは、前記保持部が形成された保持部材と、この保持部材を支持する連結部材とからなることが好ましい。これにより、段替えが容易となる。
【0007】
また、本発明の第2の目的は、上記搬送装置を備えた検査装置の提供を目的とし、この検査装置は、前記作業ステーションにワークに所定の検査を行う検査ツールが設けられていることを特徴とする。さらに、前記ワークには、ねじ部が形成されており、前記検査ツールは、前記ねじ部と螺合可能な検査ゲージを備えていてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の搬送装置によれば、保持部および落下開口部が交互に作業ステーションに連続するため、所定の作業中に次のワークの準備でき、サイクルタイムの短縮がされる利点およびワークをターンテーブル上に再配置することなく排出でき、別途排出機構等を設ける必要がない等の利点がある。また、ターンテーブルの下方に排出手段が設置されているため、比較的狭い個所にも設置可能となる等の利点がある。また、制御部がターンテーブルと移載手段とを連動させる単純な構成であるため、比較的安価に製造可能となる等の利点がある。また、ターンテーブルが線対称に構成されているため、ターンテーブル一往復でより多く作業台にワークを搬送可能となる等の利点がある。さらに、1台のターンテーブルで同じ作業をおこなう複数の作業ステーションにワークを搬送できるため、効率よく供給可能等の利点がある。しかも、ターンテーブルが点対称に構成されているため、形状の異なるワークを搬送する際にターンテーブルの回転停止位置を変更するのみで対応可能となる等の利点がある。また、供給ステーションが複数も受けられているため、1台のターンテーブルでより多くの作業台にワーク搬送可能となる等の利点がある。また、段替え等が容易であるため、操作性が向上する等の利点がある。
【0009】
また、上記搬送装置を備えた検査装置は、作業台に備えた検査ツールでワークに対して所定の検査を行う最中に次のワークを対となる別ステーションに供給するため作業待ちの時間が短縮でき処理能力が向上する等の利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る検査装置の構造を示す平面図である。
【
図2】本発明に係る検査装置の構造を示す一部切欠き正面図である。
【
図3】本発明に係る搬送装置の構造を示す平面図である。
【
図4】
図3の状態から次の状態へ移行する動作を示す平面図である。
【
図5】本発明に係る検査装置の構造を示す一部切欠き斜視図である。
【
図6】
図5の状態から次の状態へ移行する動作を示す一部切欠き斜視図である。
【
図7】本発明に係る搬送装置の他の実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施例を図面に基づき説明する。
図1ないし
図6において1は、一例としてワークWに所定の検査を行う検査装置8に用いられた搬送装置である。この搬送装置1は、ワークWを搬送可能なターンテーブル2およびこのターンテーブル2の駆動を制御する制御部11を備えている。なお、ワークWは、一例として、脚部と、脚部より直径の大きい頭部とが一体形成された頭付き棒状部品であり、ワークWの軸方向には、めねじが貫通形成されている。
【0012】
前記ターンテーブル2は、基台81に固定された回転駆動源の一例であるACサーボモータM(以下、モータMという)の出力軸に連結されており、このモータMの駆動により90度毎に往復間欠回転可能に構成されている。このターンテーブル2は、その直径に対して線対称に形成されており、その外周面21には、その径方向に延びる保持部22,22および切欠き凹部23,23が90度間隔かつ、保持部22,22同士が隣接するよう構成されている。前記保持部22,22は、ワークWの脚部径より僅かに幅広に構成されている切欠き溝であり、ワークWの脚部と嵌合可能に構成されている。また、切欠き凹部23,23は、ワークWが通過可能な切欠き溝であり、ワークWに対して十分広い面積で構成されている。さらに、前記ターンテーブル2の外方には、当該ターンテーブル2にワークを供給する供給ステーションの一例としてシュートレール3が保持部22と連接可能に位置に設けられており、このシュートレール3に保持部22が連接している時に切欠き凹部23と連接する位置にワークWに所定の作業を行う作業ステーションの一例として作業台4F,4Rが設けられている。しかも、ターンテーブル2の外方には、ガイド部材24,24が設けられている。このガイド部材24は、前記シュートレール3から前記作業台4Fあるいは作業台4Rまでターンテーブル2の外周面21に沿って延びる円弧状部材であり、外周面21と若干の隙間を空けて設置されている。
【0013】
上述のようにターンテーブル2は、対となる保持部22および切欠き凹部23と保持部22,22同士とが前記往復間欠回転の角度と同様90度離れて形成されている。このため、後述の駆動時、ターンテーブル2は、一方の保持部22がシュートレール3に連接した際、対となる切欠き凹部23が一方の作業台4F(4R)に連接するとともに、他方の保持部22は、他方の作業台4R(4F)に連接する構造となる。つまり、シュートレール3には保持部22,22が交互に停止し、作業ステーションには対となる保持部22および切欠き凹部23が交互に停止する。
【0014】
前記シュートレール3は、ワークWの脚部径より僅かに幅広の隙間を空けて配設された2枚の板材から構成されており、その上端が供給装置(図示せず)に連続し、下端が前記ターンテーブル2の外周面21に連接するスロープ状に構成されている。このため、供給装置から供給されたワークWは、シュートレール3に案内され、ターンテーブル2まで滑落する。なお、シュートレール3の下端には、ワークWの通過を検知する通過センサ(図示せず)が設けられており、ワークWが保持部22に供給されたことを検知可能に構成されている。
【0015】
前記作業台4F,4Rは、
図1に示すように前記シュートレール3に対して線対象に構成されているため、以下、一方の作業台4Rについて説明する。
前記作業台4Rは、ターンテーブル2側の縁部がターンテーブル2の外周面21と摺動可能な円弧状に形成されており、当該縁部には、支持部41が形成されている。この支持部41は、前記保持部22とほぼ同形に構成された切欠き溝であり、ターンテーブル2の保持部22および切欠き凹部23と連続可能に構成されている。また、
図2に示すように作業台4Fの上方および下方には、上方固定部材82および下方固定部材83が所定の高さで固定されており、下方固定部材83には、ターンテーブル2から作業台4FにワークWを移載させる移載手段5が設けられている。この移載手段5は、往復駆動源の一例として下方固定部材83に固定される移載シリンダ51を有している。この移載シリンダ51は、シリンダロッド等からなる可動部52が前記支持部41に対して平行移動可能に配されており、可動部52には、ワークWと嵌合可能な嵌合部材53が一体に連結されている。この嵌合部材53は、前記作業台4Fおよびターンテーブル2の上面に沿って移動する板材であり、支持部41と直交する方向に延びる平面視U字状の嵌合部54が形成されている。この嵌合部54は、前記ワークWの頭部外径より若干広く構成されており、保持部22の移動経路の上流側(シュートレール3側)に開口している。なお、移載シリンダ51は、嵌合部材53が保持部22および切欠き凹部23の移動経路上と前記支持部41上の所定の位置との間で往復するようにストロークが設定されており、前記保持部22の移動経路上に嵌合部材53が常時待機するよう構成されている。
【0016】
また、前記嵌合部材53の待機位置の下方つまり作業台4Fと連接した保持部22あるいは切欠き凹部23の真下には、排出手段の一例である排出シュート6が設けられている。この排出シュート6は、ワークWに対して十分な広さを有する中空部材であり、
図2に示すように下端が良品シュート61および不良品シュート62に分岐しており、当該分岐個所には、切替弁63が設けられている。この切替弁63は、排出シュート6内で揺動可能に構成された板材であり、常時良品シュート61と不良品シュート62のどちらか一方を閉鎖するよう切替駆動源(図示せず)により付勢されている。なお、前記良品シュート61および不良品シュート62の下端は、所定の排出個所(図示せず)に接続されている。
【0017】
前記検査装置8は、作業台4Fに移載されたワークWに対して所定の作業を行う作業ツールの一例として、ワークWに形成されためねじのねじ部形成の良否を検査するねじ検査ツール84を備えている。このねじ検査ツール84は、
図5および
図6に示すように前記上方固定部材82に固定され、ロッドを下方に向けて伸ばす昇降シリンダ85を備えており、この昇降シリンダ85のロッドには、ACサーボモータ86(以下、検査モータ86という)が連結されている。この検査モータ86の出力軸には、検査ゲージ87が連結されており、この検査ゲージ87は、ワークWに形成されためねじと螺合可能に構成されている。また、前記下方固定部材83には、前記ワークWを検査ゲージ87の軸上に固定するチャックシリンダ88が固定されている。このチャックシリンダ88は、その内部に空気が供給されることでチャック部88a,88aが閉じ、内部の空気が排出されることでチャック部88a,88aが開くように構成されている。このチャック部88a,88aには、所定の位置に凹部が形成されており、チャック部88a,88aが閉じた際、ワークWを検査ゲージ87の軸線上に固定可能に構成されている。上記構成のねじ検査ツール84は、後述する検査時、ワークWと螺合した検査モータ86の回転数が予め設定された所定の値に達すれば良品と判定する一方、所定の値に到達前に検査モータ86の出力電流が設定電流値に達すれば、不良と判定するように制御部11に制御されている。なお、前記排出シュート6の切替弁63は、このねじ検査ツール84の結果に基づいて排出シュート6を良品シュート61または不良品シュート62のどちらかと連続させるように構成されている。
【0018】
前記制御部11は、前記モータMと、移載シリンダ51と、前記切替駆動源と前記通過センサ等とに接続されており、各種入力信号に基づき、搬送装置1の駆動を制御可能に構成されている。また、制御部11は、前記ねじ検査ツール84や、供給装置等の外部装置にも接続されており、これらの駆動を制御可能に構成されている。
【0019】
次に上記のように構成された搬送装置1および検査装置8の作用を説明する。
制御部11は、起動信号が入力されると、供給装置を駆動させ、前記シュートレール3上にワークWを供給する。このシュートレール3に供給されたワークWは、シュートレール3に案内されてターンテーブル2まで滑落する。このターンテーブル2まで滑落してきたワークWは、シュートレール3に連接する前記保持部22に嵌合して吊り下げ支持される。この時、前記通過センサがワークWの通過を検出して、制御部11にワークWが保持部22に供給されたことを伝達する。ワークWが保持部22に供給された後、制御部11は、モータMを作動させ、ターンテーブル2を正転駆動させる。これにより、保持部22に保持されたワークWは、保持部22の移動経路に沿って作業台4F付近まで搬送される。この時、移載シリンダ51が可動部52を伸長させて待機しているため、保持部22が作業台4Fに連接した際、ワークWは嵌合部材53の嵌合部54に嵌合する。保持部が作業台4Fに連接すると制御部11は、ターンテーブル2の正転駆動を停止させるとともに、移載シリンダ51に駆動指令を出力して、前記可動部52を収縮させる。これにより、嵌合部材53は、ワークWを
図3の二点鎖線に示すように作業台4F上に案内する。このようにワークWが検査ゲージ87の下方に達すると、制御部11は、移載シリンダ51を停止させるとともにねじ検査ツール84を駆動させる。
【0020】
上述のようなワーク搬送時、保持部22,22の間および前記ターンテーブル2の往復間欠回転の角度が同一角度で構成されているため、ターンテーブル2が正転駆動し、一方の保持部22が作業台4Fに連接すると同時に他方の保持部22がシュートレール3に連接することとなる。これにより他方の保持部22にワークWが供給される。また、上述のように一方の保持部22から作業台4FにワークWが移載され、なおかつシュートレール3に連接された他方の保持部22にワークが供給された後、制御部11は、ターンテーブル2を逆転駆動させ、他方の保持部22に保持されたワークWを他方の作業台4Rまで搬送する。このように保持部22,22が交互にシュートレール3に連接することおよびターンテーブル2が往復間欠回転することにより、1台の供給装置で同一作業を行う複数の作業台4F,4RにワークWを供給できる。このため、供給装置の待機時間が短くなり、作業効率が向上するとともに供給装置を複数用意する必要がなく比較的安価な構成となる。このような搬送装置1は、ワークWを供給するのに要する時間に対して、作業時間が極端に長い装置において特に有効である。
【0021】
上述のようにワークWが検査ゲージ87の下方に達すると、前記ねじ検査ツール84は、チャックシリンダ88を駆動させ、チャック部88a,88aでワークWを挟持する。この時、ワークWは、チャック部88aに設けられている凹部に嵌合して、前記検査ゲージ87の軸線上に固定される。このようにワークWが固定された後、制御部11は、前記検査モータ86および昇降シリンダ85が駆動させ、検査ゲージ87を回転させながらワークWに向かい下降させる。これにより、検査ゲージ87がワークWと螺合して検査が開始される。その後、検査モータ86が所定の回転数回転するまたは、検査モータ86の出力トルクが所定の値に達すると、制御部11は、前記検査モータ86および昇降シリンダ85を逆方向に駆動させ、検査ゲージ87をワークWから螺脱させるとともに検査ゲージ87を上昇させる。ワークWが検査ゲージ87から螺脱した後、チャックシリンダ88は、チャック部88aを開き、ワークWを解放する。
【0022】
上述の検査後、制御部11は、移載手段5に復帰指令を出力して前記可動部52を伸長させる。これにより、嵌合部材53およびこれに嵌合しているワークWが作業台4F上からターンテーブル2に向って移動する。この時、上述の逆転駆動により、作業台4Fには、切欠き凹部23が連接している(
図4および
図6参照)ため、ワークは、移載手段5による移動途中で切欠き凹部23を通過して排出シュート6内に落下する。このようにターンテーブル2を介さずにワークWを排出シュート6に排出可能であるため、従来の搬送装置のように別途ターンテーブル2と同期してワークWをターンテーブル2上から取り除く排出手段を設ける必要がない。また、排出シュート6内に落下したワークWは、排出シュート6に備えられた切替弁63の駆動により前記ねじ検査ツール84の検査結果に基づいた排出個所に排出される。さらに、上述の逆転駆動により、保持部22は、シュートレール3に再度連続しており、保持部22には、次のワークWが供給されている。これにより、ワークWの排出直後にターンテーブル2を再度正転駆動させ、次のワークWの搬送することが可能となる。このように、ワークWの検査中にターンテーブル2の回転駆動ができ、ワークWの供給が可能であるため、サイクルタイムが短くなる。このような搬送装置1は、本検査装置8や、ねじ締め機等のようにワークWを固定して所定の作業を行う装置において特に有用となる。
【0023】
また、排出シュート6が作業台4Fと連接した切欠き凹部23の真下に位置するように設けられているため、移載シリンダ51の往復駆動のみで、ワークWを保持部22から作業台4Fへ移載する動作と、ワークWを作業台4Fから排出する動作および嵌合部材53を保持部22の移動経路上に復帰させる動作とが可能となる。このため、制御部11が単純な構成で良い。さらに、作業台4Fの支持部41とターンテーブル2の保持部22とが連続するよう構成されており、ワークWは、常時ターンテーブル2または作業台4Fに支持されてため、嵌合部材53がターンテーブル2および作業台4F,4Rに対して摺動するのみでワークWの移載が可能となる。結果、移載手段5は、ワークWを吸着保持する保持機構等を別途設ける必要がなくなり比較的安価に製造可能となる。しかも、搬送装置1は、ターンテーブル2の下方に排出シュート6が設置されているため、従来の搬送機構のようにターンテーブル2の外方に別途排出手段を設ける必要がない。このため、比較的狭い場所にも設置することが可能となる。
【0024】
以下、本発明の第2の実施例である搬送装置1′を
図7に基づいて説明する。この搬送装置1′の供給ステーションは、前記シュートレール3の下端に連続する振分け機構31を有しており、この振分け機構31には、2台のターンテーブル7,7が連設されている。このターンテーブル7の外方には、前記搬送装置1のターンテーブル2と同様、作業台4F,4Rおよびガイド部材24が設けられており、作業台4F,4Rには、移載手段5等が設けられている。また、ターンテーブル7の下方には、前記排出シュート6が設けられている。
【0025】
前記振分け機構31は、シュートレール3に対して直交方向に延びる振分けレール32を備えている。この振分けレール32は、前記シュートレール3と同様ワークWの脚部を遊嵌可能な間を開けて配設された板材からなり、ワークWを吊下げ支持可能に構成されている。この振分けレール32の間には、振分けブロック33が配設されており、この振分けブロック33は、振分け駆動源(図示せず)により、振分けレール32に沿って往復駆動可能に構成されている。また,振分けレール32は、その両端が前記ターンテーブル7,7と連接する位置に配置されており、前記ターンテーブル2と同様に往復間欠回転するターンテーブル7の保持部22,22が交互に連続可能に構成されている。このように構成された振分けレール32の間を振分けブロック33が往復駆動することにより、振分けレール32に吊り下げ支持されたワークWは、ターンテーブル7,7へ交互に供給される。
【0026】
前記ターンテーブル7は、前記モータMの出力軸に連結される連結部材71を有している。この連結部材71の所定の個所には、ターンテーブル7の径方向と直交するDカット部72が形成されており、このDカット部72から120度離れた位置には、外周方向に突出する保持部材73,73が固定されている。この保持部材73は、前記搬送装置1のターンテーブル2と同じ高さに構成されており、モータMの出力軸を中心とした円弧状面が形成されている。この保持部材73の円弧状面には、前記保持部22が形成されており、この保持部22は、ターンテーブル7の回転により前記振分けレール32および作業台4Fの支持部41と連続する。一方、前記振分け機構31から正転方向、逆転方向それぞれに120度離れた位置に作業台4F,4Rが設置されている。このように、ターンテーブル7も前記ターンテーブル2と同様に一方の保持部材73が振分けレール32と連続した際、他方の保持部材73は、一方の作業台4Fの支持部41に連続するとともに、他方の作業台4Rには、Dカット部72が対向する構造となる。このため、振分けレール32から供給されたワークWは、保持部22に支持され、作業台4F,4Rに搬送されるとともに、移載手段5から排出されたワークWは、前記ターンテーブル2と同様、Dカット部72を通過してターンテーブル7の下方に設けられた排出シュート6まで落下する。なお、ターンテーブル7には、モータMの出力軸を中心とした点対称に構成されており、保持部材73,73およびDカット部72から180度回転させた個所には、段替え保持部材73′,73′および段替えDカット部72′が設置されている。この段替え保持部材73′は、ワークWと異なる形状のワーク(図示せず、以下段替えワークという)用の段替え保持部22′が形成されている。
【0027】
以下、上記のように構成された搬送装置1′の作用を説明する。
上述のように供給装置により、シュートレール3上に設置されたワークWは、前記振分けレール32まで滑落する。このように振分けレール32に支持されたワークWは、振分けブロック33により、保持部材73の保持部22に押し込まれる。このため、1台の供給装置でより多くのねじ検査ツール84にワークWを供給可能となる。これにより、搬送装置1より供給装置の待機時間を少なくでき、作業効率が向上する。これは、特にねじのゲージ検査等、供給装置の供給速度に比して、作業ツールの作業速度が遅いものに対して有用となる。また、この振分け機構31がターンテーブル7の保持部22にワークWを確実に押し込むことにより、ワークWが完全に供給されてない状況でターンテーブル7が回転することを防止する。さらに、搬送装置1′のターンテーブル7には、保持部22,22およびDカット部72がそれぞれ対象に配置されているため、ターンテーブル7の停止位置を変更するのみで段替えワーク用に切替可能となる。また、ターンテーブル7が連結部材71と保持部材73からなる構造であるため、保持部材73の交換のみで段替えをすることも可能となる。このように段替えが容易であるため、操作が容易で作業時間の効率化が図れる。
【0028】
なお、本発明に係る搬送装置1,1′およびこれらを備える検査装置8は、前述したものに限定するものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、ターンテーブル2の切欠き凹部23およびターンテーブル7のDカット部72は、移載手段5により前記排出シュート6の上方に排出されたワークWを排出シュート6まで落下させる落下開口部の一例である。この落下開口部は、ワークWが排出シュート6に到達可能であれば、他の形状であっても何ら問題ない。また、ターンテーブル2に形成された保持部22および落下開口部の間隔は、上記実施例にあげた90度や120度に限定されず、用途等に合わせて適宜変更可能である。この際、ターンテーブル2,7が往復回転する角度および保持部22同士の間隔も都度変更されることが好ましい。さらに、ターンテーブル7のように保持部22およびDカット部72と点対称な位置に段替え保持部22′および段替えDカット部72′が形成されている搬送装置において、段替え保持部22′および段替えDカット部72′に対応する段替え用のシュートレール(図示せず)および作業台(図示せず)等がシュートレール3および作業台4F,4R等と点対称な位置に設置されていてもよい。この際、1台のターンテーブル7で同時に複数種類のワークを搬送することも可能となるため、作業効率がさらに向上する。
【符号の説明】
【0029】
1 …搬送装置
2 …ターンテーブル
22…保持部
23…落下開口部
3 …供給ステーション
4 …作業台
5 …移載手段
6 …排出手段
7 …ターンテーブル
71…連結部材
72…保持部材
8 …検査装置
84…ねじ検査ツール
M …回転駆動源