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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   H02K 33/14 20060101AFI20240502BHJP
【FI】
H02K33/14
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020165139
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057072
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】新井 努
(72)【発明者】
【氏名】丸山 高光
【審査官】島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-49343(JP,A)
【文献】特開2019-200360(JP,A)
【文献】特開2017-83805(JP,A)
【文献】特開2009-58601(JP,A)
【文献】特開2006-98520(JP,A)
【文献】特開2020-52415(JP,A)
【文献】特開平9-45261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学モジュールを備える可動体と、
固定体と、
光軸方向と交差する1または複数の方向を回転軸の方向として前記可動体を前記固定体に対して回転可能に支持するジンバル機構と、
前記ジンバル機構で支持された前記可動体を前記固定体に対して回転させる駆動機構と、を備え、
前記駆動機構は、前記可動体及び前記固定体の一方に設けられるコイルと、前記コイルと対向する位置であって前記可動体及び前記固定体の他方に設けられる磁石と、を有し、
前記磁石は、平板状のヨークの平面に接着され、
前記ヨークは、前記可動体及び前記固定体の他方に設けられるヨーク挿入溝に挿入され、
前記ヨーク挿入溝には、曲面状に突出して前記平面に接触する凸部と、前記凸部に隣接し前記凸部に対して連続的に曲面状体を維持しつつ前記平面から離れる方向に凹む凹部と、が設けられることを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の光学ユニットにおいて、
前記凸部は、前記ヨークの長手方向における両方の端部の各々と接触する位置に設けられ、
前記凹部は、前記凸部よりも前記端部側に配置されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の光学ユニットにおいて、
前記凹部は、前記平面から離れる方向に加えて前記端部側に向かう方向にも凹むことを特徴とする光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光学モジュールを備える可動体と、固定体と、可動体を固定体に対して回転可能に支持するジンバル機構と、ジンバル機構で支持された可動体を固定体に対して回転させる駆動機構と、を備え、駆動機構としてコイルと磁石とを有する光学ユニットが使用されている。例えば、特許文献1には、レンズを備える移動体と、固定体と、移動体を固定体に対して回転可能に支持する第1枠体と、第1枠体で支持された移動体を固定体に対して回転させるコイルと磁石とを有するレンズ駆動装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-52415号公報
【文献】特開平9-45261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のレンズ駆動装置のような、従来から使用される光学ユニットにおいては、駆動機構に使用される磁石は非常に小さく、該磁石を挿入して固定する溝なども非常に小さい。このため、磁石を固定する溝の寸法精度などによっては磁石を溝に挿入できない場合や磁石に対して溝が広すぎる場合などがあった。ここで、特許文献2では挿入部に半円柱状の凸部を設けることで挿入物の挿入精度を高めることが記載されている。しかしながら、半円柱状の凸部を形成するためには、凸部と該凸部の隣接部との境界に角部が生じる。このように、角部が生じる構成は、形成対象が小さい場合とても困難となる。板金などで型を形成しても角部に樹脂材料などが入っていきづらいためである。すなわち、光学ユニットにおける磁石の挿入溝はとても小さいため、特許文献2に開示されるような半円柱状の凸部を形成することは困難である。そこで、本発明は、光学ユニットにおいてジンバル機構で支持された可動体を固定体に対して回転させる駆動機構に使用される磁石を容易に固定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の光学ユニットは、光学モジュールを備える可動体と、固定体と、光軸方向と交差する1または複数の方向を回転軸の方向として前記可動体を前記固定体に対して回転可能に支持するジンバル機構と、前記ジンバル機構で支持された前記可動体を前記固定体に対して回転させる駆動機構と、を備え、前記駆動機構は、前記可動体及び前記固定体の一方に設けられるコイルと、前記コイルと対向する位置であって前記可動体及び前記固定体の他方に設けられる磁石と、を有し、前記磁石は、平板状のヨークの平面に接着され、前記ヨークは、前記可動体及び前記固定体の他方に設けられるヨーク挿入溝に挿入され、前記ヨーク挿入溝には、曲面状に突出して前記平面に接触する凸部と、前記凸部に隣接し前記凸部に対して連続的に曲面状体を維持しつつ前記平面から離れる方向に凹む凹部と、が設けられることを特徴とする。
【0006】
本態様によれば、ヨーク挿入溝には、曲面状に突出してヨークの平面に接触する凸部と、凸部に隣接し凸部に対して連続的に曲面状体を維持しつつヨークの平面から離れる方向に凹む凹部と、が設けられる。すなわち、凸部と該凸部の隣接部との境界に角部が生じない構成である。したがって、光学ユニットにおいてジンバル機構で支持された可動体を固定体に対して回転させる駆動機構に使用される磁石を容易に固定することができる。
【0007】
本発明の光学ユニットにおいては、前記凸部は、前記ヨークの長手方向における両方の端部の各々と接触する位置に設けられ、前記凹部は、前記凸部よりも前記端部側に配置されている構成とすることができる。このような構成とすることで、ヨークを長手方向における両方の端部でしっかりと固定できるとともに、凸部と該凸部の隣接部との境界に角部が生じない構成のヨーク挿入溝とすることができる。
【0008】
本発明の光学ユニットにおいては、前記凹部は、前記平面から離れる方向に加えて前記端部側に向かう方向にも凹む構成とすることができる。このような構成とすることで、ヨーク挿入溝を特に構成しやすくすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の光学ユニットは、ジンバル機構で支持された可動体を固定体に対して回転させる駆動機構に使用される磁石を容易に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施例に係る光学ユニットの平面図である。
図2】本発明の一実施例に係る光学ユニットの斜視図である。
図3】本発明の一実施例に係る光学ユニットの分解斜視図である。
図4図3とは異なる方向から見た本発明の一実施例に係る光学ユニットの分解斜視図である。
図5】本発明の一実施例に係る光学ユニットにおける可動体の一部を表す斜視図であって、磁石を取り付けた状態を表す図である。
図6】本発明の一実施例に係る光学ユニットにおける可動体の一部を表す斜視図であって、磁石を取り外した状態を表す図である。
図7】本発明の一実施例に係る光学ユニットにおけるヨーク挿入溝の形状を表す図である。
図8】参考例に係る光学ユニットにおけるヨーク挿入溝の形状を表す図である。
図9図8とは異なる参考例に係る光学ユニットにおけるヨーク挿入溝の形状を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、実施例及び参考例において同一の構成については、同一の符号を付し、実施例においてのみ説明し、参考例においてはその構成の説明を省略する。
【0012】
最初に、本発明の一実施例に係る光学ユニットについて図1から図7を用いて説明する。なお、図2において、符号Lが付された一点鎖線は光軸を示し、符号L1が付された一点鎖線は光軸と交差する第1軸線を示し、符号L2が付された一点鎖線は光軸L及び第1軸線L1と交差する第2軸線L2を示している。そして、R方向は光軸周り方向である。また、各図において、Z軸方向は光軸方向であり、X軸方向は光軸と交差する方向、言い換えるとヨーイングの軸方向であり、Y軸方向は光軸と交差する方向、言い換えるとピッチングの軸方向である。また、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向において、矢印の向く方向を+方向、その反対方向を-方向とする。
【0013】
<光学ユニットの全体構成の概略>
図1から図4を用いて、本実施例に係る光学ユニット10の構成についての概略を説明する。光学ユニット10は、光学モジュール12を備える可動体14と、Y軸方向を回転軸とする方向(ピッチング方向)及びX軸方向を回転軸とする方向(ヨーイング方向)に変位可能な状態で保持する固定体16と、を備えている。
【0014】
また、固定体16に対して可動体14をピッチング方向及びヨーイング方向に駆動する(回転させる)駆動機構18と、固定体16に対して可動体14をピッチング方向及びヨーイング方向に回転可能に支持する支持機構20とを備えている。さらに、光学ユニット10は、第1軸線L1周りに回動可能に可動体14を支持する第1支持部用延設部27aと、第2軸線L2周りに固定体16側の部材に回動可能に支持する第2支持部用延設部27bと、を備える、ジンバル機構21を備えている。なお、支持機構20は、ジンバル機構21の一部を構成すると見なすことができる。
【0015】
<光学モジュールについて>
本実施例において、光学モジュール12は略矩形筐体状の撮像ユニット14Aに形成されており、例えばカメラ付携帯電話機やタブレット型PC等に搭載される薄型カメラ等として用いられる。光学モジュール12は、被写体側(+Z方向側)にレンズ12aを備え、矩形筐体状のハウジング12bの内部に撮像を行うための光学機器等が内蔵されている。本実施例における光学モジュール12は、一例として、光学モジュール12に生じたピッチングの振れ(Y軸方向を回転軸とする回動方向の振れ)及びヨーイングの振れ(X軸方向を回転軸とする回動方向の振れ)の補正を行うアクチュエーターを内蔵し、ピッチングの振れの補正及びヨーイングの振れの補正が可能な構成となっている。
【0016】
なお、本実施例において、光学モジュール12は、ピッチングの振れ及びヨーイングの振れの補正が可能な構成としたが、この構成に限定はされず、例えば、ピッチングの振れ及びヨーイングの振れのいずれか一方のみの補正が可能な構成でもよい。
【0017】
<可動体について>
図3及び図4で表されるように、可動体14は、光学モジュール12及び撮像素子50を有する撮像ユニット14Aと、磁石24A及び24Bとを有するホルダ枠14Bと、を備えている。ホルダ枠14Bは、光学モジュール12のレンズ12aが設けられる前面(被写体側の面)と、反対側の後面を除く、残りの4面を取り囲むように設けられる矩形枠状の部材として構成されている。本実施例のホルダ枠14Bは、一例として光学モジュール12を着脱可能に構成されている。ホルダ枠14Bにおいて固定体16と対向する2面を利用して、ピッチング及びヨーイングの補正用の磁石24A及び24Bがこれらの外面に取り付けられている。
【0018】
磁石24Aは平板状の鉄板であるヨーク26Aの平面26aに接着されており、磁石24Bは平板状の鉄板であるヨーク26Bの平面26aに接着されている(図7参照)。磁石24Aはヨーク26Aがホルダ枠14Bに固定されることでホルダ枠14Bに固定されており、磁石24Bはヨーク26Bがホルダ枠14Bに固定されることでホルダ枠14Bに固定されている。磁石24A及び24Bのホルダ枠14Bに対する固定部140A及び140Bの詳細な構成については、後述する。
【0019】
<固定体について>
図3及び図4で表されるように、固定体16は、コイル32A及び32Bが固定される固定枠16Aと、コイル32A及び32B並びにこれらの配線を有する底蓋部16Bと、レンズ12aを+Z方向に通す上面部16Cと、を備えている。固定枠16Aは、光軸周り方向(R方向)において可動体14のホルダ枠14Bの4面を取り囲むように設けられている。そして、本実施例の固定体16は、フレキシブル配線基板51を固定枠16Aと底蓋部16Bとでカバー可能な構成になっており、フレキシブル配線基板51が他の構成部材などと接触して損傷することを抑制する構成となっている。
【0020】
コイル取付け部28A及び28Bには、コイル32A及び32Bがそれぞれ取り付けられる。本実施例において、コイル32A及びコイル32Bは一例として巻線コイルとして構成されているが、コイルをパターンとして基板配線内に取り込んだパターン基板(コイル基板)としてもよい。
【0021】
本実施例において可動体14が固定体16内に配置された状態において、磁石24Aとコイル32A、磁石24Bとコイル32B、は対向状態となる。また、本実施例において、磁石24Aとコイル32Aとの対、磁石24Bとコイル32Bとの対は、駆動機構18を構成している。駆動機構18により、可動体14のピッチング及びヨーイングの補正が行われる。なお、本実施例の駆動機構18は、磁石24A及び24Bが可動体14に形成され、コイル32A及び32Bが固定体16に形成されるが、磁石24A及び24Bが固定体16に形成され、コイル32A及び32Bが可動体14に形成される構成としてもよい。
【0022】
また、ピッチング及びヨーイングの補正は以下のように行われる。光学ユニット10にピッチング方向とヨーイング方向の両方向又はいずれか一方向の振れが発生すると、不図示の磁気センサー(ホール素子)によって振れを検出し、その結果に基づいて駆動機構18を駆動させる。或いは、振れ検出センサ(ジャイロスコープ)などを用いて、光学ユニット10の振れを検出してもよい。振れの検出結果に基づいて、駆動機構18がその振れを補正するように作用する。即ち、光学ユニット10の振れを打ち消す方向に可動体14を動かすように各コイル32A及び32Bに電流が流され、これにより振れが補正される。
【0023】
このように、本実施例の光学ユニット10においては、可動体14を固定体16に対して、ピッチングの軸方向及びヨーイングの軸方向を回転軸として、回転させる駆動機構18を備えている。ここで、駆動機構18は、可動体14に対してX軸方向のうちのフレキシブル配線基板51が配置されている側(+X方向側)以外の位置に配置されていることが好ましい。駆動機構18をフレキシブル配線基板51が形成されていない側に配置できるので、駆動機構18とフレキシブル配線基板51との接触を抑制するために光学ユニット10を大きくする必要が無くなり、光学ユニット10を小型化できるためである。なお、本明細書における「回転」とは、360°回転することを要せず、回転方向に揺動する場合を含む意味である。
【0024】
<支持機構について>
図3及び図4で表されるように、支持機構20は、光学ユニット10の内側に向けて半球状の凸曲面19を形成する板金20aと、光学ユニット10の内側に向けて半球状の凸曲面19を形成する板金20bと、を有している。そして、板金20aは矩形枠状のホルダ枠14Bの4隅にうちの対向する2か所に配置され、板金20bは固定枠16Aの矩形枠状の部分の4隅のうちの対向する2か所に配置される。なお、固定枠16Aとホルダ枠14Bとは4隅の位置が揃うように配置され、板金20a及び板金20bは該4隅に1つずつ配置される。
【0025】
本実施例の支持機構20は、内側を向いた板金20aの半球状の凸曲面19の内側に、ジンバル機構21の第1支持部用延設部27aに設けられた凹曲面17が配置される。支持機構20は、凸曲面19を凹曲面17内に配置させ、このような構成で固定体16に対してジンバル機構21を支持している。また、内側を向いた板金20bの半球状の凸曲面の内側に、ジンバル機構21の第2支持部用延設部27bに設けられた凹曲面17が配置される。支持機構20は、凸曲面19を凹曲面17内に配置させ、このような構成で可動体14に対してジンバル機構21を支持している。すなわち、本実施例の支持機構20は、光軸方向(Z軸方向)と交差する1または複数の方向(X軸方向及びY軸方向の少なくとも1方向)を回転軸方向として可動体14を固定体16に対して回転可能に支持可能な構成となっている。なお、本実施例の支持機構20は、ピッチングの軸方向を回転軸とする可動体14の回転及びヨーイングの軸方向を回転軸とする可動体14の回転を許容する構成になっているが、可動体14のローリング方向の回転も許容する構成としてもよい。
【0026】
<ジンバル機構>
ジンバル機構21は、金属製平板材料を折り曲げることによって形成されるバネ性を兼ね備えた機構である。具体的には、図1から図4で表されるように、ジンバル機構21は、一例として被写体側に設けられるジンバルフレーム部25と、ジンバルフレーム部25の四方のコーナー部から光軸方向に90°折り曲げられて形成される第1支持部用延設部27aと、第2支持部用延設部27bと、を備えることによって構成されている。なお、第1支持部用延設部27aと第2支持部用延設部27bについては、必ずしもその全部が板状でなくてもよく、その一部のみを板状に形成してバネ性を発揮させるようにしてもよい。また、第1支持部用延設部27aと第2支持部用延設部27bの一方を板状以外の他の形状(例えばロッド形状等)にすることも可能である。
【0027】
<撮像素子>
図3及び図4に示すように、光学モジュール12は、被写体側とは反対側に撮像素子50を備えている。そして、撮像素子50には、フレキシブル配線基板51が接続されている。ここで、本実施例の撮像素子50のフレキシブル配線基板51との接続部は、+X方向側に形成されており、固定枠16Aと底蓋部16Bとでフレキシブル配線基板51をカバーする構成になっている。なお、フレキシブル配線基板51の接続部は、撮像素子50に設けられていなくてもよく、撮像ユニット14Aの撮像素子50以外の部分に設けられていてもよい。
【0028】
<フレキシブル配線基板>
図3及び図4に示すように、フレキシブル配線基板51は、固定枠16Aと底蓋部16Bとの間の領域で複数回折りたたまれている。このような構成とすることでフレキシブル配線基板51の長さを長くでき、フレキシブル配線基板51の長さを長くすることで固定体16に対して可動体14が稼働してもフレキシブル配線基板51にかかる負荷は軽減される。ただし、フレキシブル配線基板51の構成や配置に特に限定はない。
【0029】
<磁石のホルダ枠に対する固定部の構成について>
上記のように、磁石24Aは鉄板であるヨーク26Aに接着されており、磁石24Bは鉄板であるヨーク26Bに接着されている。そして、図5及び図6で表されるように、磁石24Aは、ヨーク26Aがホルダ枠14Bの固定部140Aに固定されることで、ホルダ枠14Bに固定されている。また、図5及び図6で表されるように、磁石24Bは、ヨーク26Bがホルダ枠14Bの固定部140Bに固定されることで、ホルダ枠14Bに固定されている。なお、磁石24(磁石24A及び24B)は、固定部140(固定部140A及び140B)のZ軸方向に延設されるヨーク挿入溝141に対して、ヨーク26(ヨーク26A及び26B)が、-Z方向に挿入されることで、ホルダ枠14Bに固定される。
【0030】
ここで、固定部140(固定部140A及び140B)の詳細な構成について、図7を用いるとともに、図8及び図9と比較しながら説明する。なお、本実施例の光学ユニット10においては、磁石24A及び24B、ヨーク26A及び26B、並びに、固定部140A及び140Bは、全く同様の構成をしている。そして、ホルダ枠14Bは樹脂製であり、磁石24A及び24B、並びに、ヨーク26A及び26Bは金属製である。
【0031】
最初に、参考例の光学ユニットにおける図8の固定部140について説明する。図8の固定部140は、ヨーク26の厚さ(Y軸方向の厚さ)に対応する幅(Y軸方向の幅)のヨーク挿入溝141が形成されている。なお、図8では、固定部140の-X方向側の端部のみが表されているが、+X方向側の端部も同様の構成となっている。ヨーク挿入溝141には+Y方向にフラットなフラット部142bが形成されるとともに、フラット部142bと該フラット部142bと対向する部分との幅はヨーク26の厚さと同じになるよう一定に形成されている。
【0032】
このような構成の固定部140では、設計公差などによりヨーク26の厚さやヨーク挿入溝141の幅にばらつきがあると、ヨーク26をヨーク挿入溝141に対して挿入することができない場合や、ヨーク26がヨーク挿入溝141から容易に外れしっかりと固定できない場合などがある。また、ヨーク挿入溝141の角部143b及び144bは、鋭角(略90°)を構成している。光学ユニットに使用される固定部140のヨーク挿入溝141の幅は、ミクロンオーダーと非常に小さいので、鋭角を構成する部分を有するヨーク挿入溝141の形成は非常に困難である。このため、図8の固定部140の形成は非常に困難である。
【0033】
次に、図8とは別の参考例の光学ユニットにおける図9の固定部140について説明する。図9の固定部140は、ヨーク26の厚さよりも若干広い幅のヨーク挿入溝141が形成されている。そして、ヨーク挿入溝141には+Y方向に突出する略半球状の凸部142cが形成されている。なお、図9では、固定部140の-X方向側の端部のみが表されているが、+X方向側の端部も同様の構成となっている。固定部140にヨーク26を挿入する際は、凸部142cをヨーク26で潰しつつ圧入する。
【0034】
ここで、凸部142cは周囲145に鋭角(略90°)に接する部分を有する。また、図8の固定部140と同様、ヨーク挿入溝141の角部143c及び144cは、鋭角(略90°)を構成している。光学ユニットに使用される固定部140のヨーク挿入溝141の幅は、ミクロンオーダーと非常に小さいので、鋭角を構成する部分を有するヨーク挿入溝141の形成は非常に困難である。このため、図9の固定部140の形成は非常に困難である。図9の固定部140の形成が非常に困難であるということは、磁石24を容易に固定する構成の形成が困難ということであり、磁石24を容易に固定することが困難ということに対応する。
【0035】
次に、本実施例の光学ユニット10における図7の固定部140について説明する。図7の固定部140は、図7の固定部140は、図9の固定部140と同様、ヨーク26の厚さよりも若干広い幅のヨーク挿入溝141が形成されている。そして、ヨーク挿入溝141には+Y方向に曲面状に突出する凸部142aが形成されている。なお、図7では、固定部140の-X方向側の端部のみが表されているが、+X方向側の端部も同様の構成となっている。固定部140にヨーク26を挿入する際は、凸部142aをヨーク26で潰しつつ圧入する。
【0036】
このように、ヨーク挿入溝141には、曲面状に突出してヨーク26の平面26aに接触する凸部142aが設けられている。そして、さらに、図7で表されるように、ヨーク挿入溝141には、凸部142aに隣接し凸部142aに対して連続的に曲面状体を維持しつつ平面26aから離れる方向(-Y方向)に凹む凹部143aが設けられている。
【0037】
このように、本実施例の光学ユニット10においては、ヨーク挿入溝141には、曲面状に突出してヨーク26の平面26aに接触する凸部142aと、凸部142aに隣接し凸部142aに対して連続的に曲面状体を維持しつつヨーク26の平面26aから離れる方向に凹む凹部143aと、が設けられている。すなわち、本実施例の光学ユニット10における固定部140は、凸部142aと該凸部142aの隣接部との境界に角部が生じない構成である。したがって、本実施例の光学ユニット10は、ヨーク挿入溝141を容易に形成できるので、ジンバル機構21で支持された可動体14を固定体16に対して回転させる駆動機構18に使用される磁石24を容易に固定することができる。
【0038】
なお、本実施例の光学ユニット10においては、ヨーク挿入溝141における凹部143aとY軸方向において対向する部分144aも曲面状となっている。このため、本実施例の光学ユニット10は、ヨーク挿入溝141を特に容易に形成できるので、ジンバル機構21で支持された可動体14を固定体16に対して回転させる駆動機構18に使用される磁石24を特に容易に固定することができる。
【0039】
また、上記のように、図7では、固定部140の-X方向側の端部のみが表されているが、+X方向側の端部も同様の構成となっている。したがって、本実施例の光学ユニット10においては、凸部142aは、ヨーク26の長手方向(X軸方向)における両方の端部の各々と接触する位置に設けられ、凹部143aは、凸部142aよりも端部側に配置されている。このような構成とすることで、ヨーク26を長手方向における両方の端部でしっかりと固定できるとともに、凸部142aと該凸部142aの隣接部との境界に角部が生じない構成のヨーク挿入溝141とすることができる。なお、本明細書における「端部」とは、先端のみを意味するのではなく、先端の近傍部分も含む意味である。
【0040】
なお、凹部143aを、平面26aから離れる方向(-Y方向)に加えて端部側に向かう方向(X軸方向に沿う方向:図7では-X方向)にも凹む構成としてもよい。このような構成とすることで、ヨーク挿入溝41を特に構成しやすくすることができる。
【0041】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0042】
10…光学ユニット、12…光学モジュール、12a…レンズ、12b…ハウジング、14…可動体、14A…撮像ユニット、14B…ホルダ枠、16…固定体、16A…固定枠、16B…底蓋部、16C…上面部、17…凹曲面、18…駆動機構、19…凸曲面、20…支持機構、20a…板金、20b…板金、21…ジンバル機構、24…磁石、24A…磁石、24B…磁石、25…ジンバルフレーム部、26…ヨーク、26A…ヨーク、26B…ヨーク、27a…第1支持部用延設部、27b…第2支持部用延設部、28A…コイル取付け部、28B…コイル取付け部、32A…コイル、32B…コイル、50…撮像素子、51…フレキシブル配線基板、140…固定部、140A…固定部、140B…固定部、141…ヨーク挿入溝、142a…凸部、142b…フラット部、142c…凸部、143a…凹部、143b…角部、143c…角部、144a…部分、144b…角部、144c…角部、145…周囲、L…光軸
図1
図2
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図5
図6
図7
図8
図9