(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H02K 33/16 20060101AFI20240502BHJP
B06B 1/04 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
H02K33/16 A
B06B1/04 S
(21)【出願番号】P 2020166808
(22)【出願日】2020-10-01
【審査請求日】2023-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】武居 勇一
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-013086(JP,A)
【文献】特開2008-298157(JP,A)
【文献】特開2011-089841(JP,A)
【文献】国際公開第2013/088493(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第1001512(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/00- 3/04
H02K 33/00- 33/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体および可動体と、
前記可動体と前記支持体とに接続され、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備えた接続体と、
前記可動体を前記支持体に対して相対移動させる複数の磁気駆動回路と、
前記複数の磁気駆動回路に給電するための配線パターンが設けられた基板と、を有し、
前記複数の磁気駆動回路のそれぞれは、前記支持体および前記可動体のうちの一方側部材に設けられたコイルと、前記支持体および前記可動体のうちの他方側部材に設けられて前記コイルに第1方向で対向する磁石と、を備え、前記可動体を前記第1方向に対して交差する第2方向に駆動し、
前記配線パターンは、短絡用導電材により短絡させることが可能な第1短絡部を備え、
前記第1短絡部が短絡している状態と、前記第1短絡部が短絡していない状態とでは、前記複数の磁気駆動回路に設けられた複数のコイルに流れる電流が異なることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記第1短絡部が短絡していない状態では、前記複数の前記コイルが直列に接続され、
前記第1短絡部が短絡している状態では、前記複数の前記コイルが並列に接続されることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記配線パターンは、前記短絡用導電材により短絡させることが可能な第2短絡部を備え、前記第1短絡部および前記第2短絡部の一方のみが短絡しており、
前記第2短絡部が短絡し且つ前記第1短絡部が短絡していない状態では、前記複数の前記コイルが直列に接続され、
前記第1短絡部が短絡し且つ前記第2短絡部が短絡していない状態では、前記複数の前記コイルが並列に接続されることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記第1短絡部は、第1短絡用ランドと、前記第1短絡用ランドとの間に0.1mm以上の隙間をあけて配置された第2短絡用ランドを備えることを特徴とする請求項1または2に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記第1短絡部および前記第2短絡部のそれぞれは、第1短絡用ランドと、前記第1短絡用ランドとの間に0.1mm以上の隙間をあけて配置された第2短絡用ランドを備えることを特徴とする請求項3に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
支持体および可動体と、
前記可動体と前記支持体とに接続され、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備えた接続体と、
前記可動体を前記支持体に対して相対移動させる複数の磁気駆動回路と、
前記複数の磁気駆動回路に給電するための配線パターンが設けられた基板と、を有し、
前記複数の磁気駆動回路のそれぞれは、前記支持体および前記可動体のうちの一方側部材に設けられたコイルと、前記支持体および前記可動体のうちの他方側部材に設けられて前記コイルに第1方向で対向する磁石と、を備え、前記可動体を前記第1方向に対して交差する第2方向に駆動し、
前記配線パターンは、第1切断可能部を備え、
前記第1切断可能部が切断された状態と、前記第1切断可能部が切断されていない状態とでは、前記複数の磁気駆動回路に設けられた複数のコイルに流れる電流が異なることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項7】
前記第1切断可能部が切断された状態では、前記複数の前記コイルが直列に接続され、
前記第1切断可能部が切断されていない状態では、前記複数の前記コイルが並列に接続されることを特徴とする請求項6に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記配線パターンは、第2切断可能部を備え、前記第1切断可能部および前記第2切断可能部の一方のみが切断されており、
前記第1切断可能部が切断され且つ前記第2切断可能部が切断されていない状態では、前記複数の前記コイルが直列に接続され、
前記第2切断可能部が切断され且つ前記第1切断可能部が切断されていない状態では、前記複数の前記コイルが並列に接続されることを特徴とする請求項6に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動体を振動させるアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、情報を振動によって報知するデバイスとして用いられるアクチュエータが開示される。特許文献1のアクチュエータは、支持体および可動体と、可動体を支持体に接続する接続体と、可動体を支持体に対して相対移動させる磁気駆動回路を有する。磁気駆動回路は、可動体および支持体の一方に搭載される磁石と、可動体および支持体の他方に搭載されるコイルと、を備える。磁石は、コイルに対して振動方向と直交する方向で対向する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
磁気駆動回路によって可動体を振動させるアクチュエータは、ユーザのニーズに合わせた振動を発生させるように製品ごとに磁気駆動回路が設計されており、必要な駆動力に応じて、製品ごとに磁石のサイズやコイルの抵抗値などが異なる。ユーザのニーズが多様化して、製品ごとに磁気駆動回路の構成が異なってくると、新規製品の設計、生産に素早く対応できない。特に、製品ごとに新規部品が必要になるのでは、新規製品の生産に素早く対応できない。また、部品の種類が増えると、部品管理が煩雑になるという問題もある。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、多種類の製品の設計および生産への対応が容易なアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るアクチュエータは、支持体および可動体と、前記可動体と前記支持体とに接続され、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備えた接続体と、前記可動体を前記支持体に対して相対移動させる複数の磁気駆動回路と、前記複数の磁気駆動回路に給電するための配線パターンが設けられた基板と、を有し、前記複数の磁気駆動回路のそれぞれは、前記支持体および前記可動体のうちの一方側部材に設けられたコイルと、前記支持体および前記可動体のうちの他方側部材に設けられて前記コイルに第1方向で対向する磁石と、を備え、前記可動体を前記第1方向に対して交差する第2方向に駆動し、前記配線パターンは、短絡用導電材により短絡させることが可能な第1短絡部を備え、前記第1短絡部が短絡している状態と、前記第1短絡部が短絡していない状態とでは、前記複数の磁気駆動回路に設けられた複数のコイルに流れる電流が異なることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るアクチュエータは、支持体および可動体と、前記可動体と前記支持体とに接続され、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備えた接続体と、前記可動体を前記支持体に対して相対移動させる複数の磁気駆動回路と、前記複数の磁気駆動回路に給電するための配線パターンが設けられた基板と、を有し、前記複数の磁気駆動回路のそれぞれは、前記支持体および前記可動体のうちの一方側部材に設けられたコイルと、前記支持体および前記可動体のうちの他方側部材に設けられて前記コイルに第1方向で対向する磁石と、を備え、前記可動体を前記第1方向に対して交差する第2方向に駆動し、前記配線
パターンは、第1切断可能部を備え、前記第1切断可能部が切断された状態と、前記第1切断可能部が切断されていない状態とでは、前記複数の磁気駆動回路に設けられた複数のコイルに流れる電流が異なることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、基板に設けられた配線パターンの第1短絡部を短絡させるか否かにより、あるいは、基板に設けられた配線パターンの第1切断可能部を切断するか否かにより、複数の磁気駆動回路のコイルに給電する回路を変更して、複数のコイルに流れる電流を変更することができる。コイルに流れる電流が異なると、磁気駆動回路の駆動力が異なる。従って、同一の部品構成で、異なる振動を発生させる多種類のアクチュエータを製造できるので、多種類の製品の設計および生産への対応が容易である。また、部品の種類数の増加を抑制できるので、部品管理の煩雑化を抑制できる。
【0009】
本発明において、配線パターンの短絡により回路を変更する場合には、コイルの数や磁気駆動回路の構成に応じて、以下の構成を採用することができる。すなわち、本発明において、前記第1短絡部が短絡していない状態では、前記複数の前記コイルが直列に接続され、前記第1短絡部が短絡している状態では、前記複数の前記コイルが並列に接続される構成を採用することができる。あるいは、本発明において、前記配線パターンは、前記短絡用導電材により短絡させることが可能な第2短絡部を備え、前記第1短絡部および前記第2短絡部の一方のみが短絡しており、前記第2短絡部が短絡し且つ前記第1短絡部が短絡していない状態では、前記複数の前記コイルが直列に接続され、前記第1短絡部が短絡し且つ前記第2短絡部が短絡していない状態では、前記複数の前記コイルが並列に接続される構成を採用することができる。このようにすると、同一の部品構成で、複数のコイルが直列に接続された構成と、複数のコイルが並列に接続された構成の両方を実現可能である。よって、同一の部品構成で、コイルに流れる電流を変更でき、磁気駆動回路の駆動力を変更できるので、異なる振動を発生させる多種類のアクチュエータを製造できる。
【0010】
本発明において、配線パターンが第1短絡部を備える場合には、前記第1短絡部は、第1短絡用ランドと、前記第1短絡用ランドとの間に0.1mm以上の隙間をあけて配置された第2短絡用ランドを備えることが好ましい。あるいは、配線パターンが第1短絡部および第2短絡部を備える場合には、前記第1短絡部および前記第2短絡部のそれぞれは、第1短絡用ランドと、前記第1短絡用ランドとの間に0.1mm以上の隙間をあけて配置された第2短絡用ランドを備えることが好ましい。このようにすると、第1短絡用ランドと第2短絡用ランドの間に半田付けすることで各短絡部を短絡させることができる。従って、配線パターンを容易に、且つ、確実に短絡させることができるので、必要な配線パターンを備えたアクチュエータを容易に製造できる。
【0011】
本発明において、配線パターンの切断により回路を変更する場合には、コイルの数や磁気駆動回路の構成に応じて、以下の構成を採用することができる。すなわち、本発明において、前記第1切断可能部が切断された状態では、前記複数の前記コイルが直列に接続され、前記第1切断可能部が切断されていない状態では、前記複数の前記コイルが並列に接続される構成を採用することができる。あるいは、本発明において、前記配線パターンは、第2切断可能部を備え、前記第1切断可能部および前記第2切断可能部の一方のみが切断されており、前記第1切断可能部が切断され且つ前記第2切断可能部が切断されていない状態では、前記複数の前記コイルが直列に接続され、前記第2切断可能部が切断され且つ前記第1切断可能部が切断されていない状態では、前記複数の前記コイルが並列に接続される構成を採用することができる。このようにすると、同一の部品構成で、複数のコイルが直列に接続された構成と、複数のコイルが並列に接続された構成の両方を実現可能である。よって、同一の部品構成で、コイルに流れる電流を変更でき、磁気駆動回路の駆動力を変更できるので、異なる振動を発生させる多種類のアクチュエータを製造できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、基板に設けられた配線パターンの短絡の有無あるいは短絡箇所の変更により、あるいは、基板に設けられた配線パターンの切断の有無あるいは切断箇所の変更により、複数のコイルに流れる電流を変更することができ、磁気駆動回路の駆動力を変更することができる。従って、同一の部品構成で、異なる振動を発生させる多種類のアクチュエータを製造できる。よって、多種類の製品の設計および生産への対応が容易である。また、部品の種類数の増加を抑制できるので、部品管理の煩雑化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明を適用したアクチュエータの外観斜視図である。
【
図2】
図1に示すアクチュエータのXZ断面図である。
【
図3】
図1に示すアクチュエータの分解斜視図である。
【
図4】第1ケース部材および第2ケース部材を取り外したアクチュエータの分解斜視図である。
【
図5】ホルダ、コイル、基板、およびプレートの分解斜視図である。
【
図7】磁気駆動回路のコイルと電源とを接続する回路の説明図、および、磁気駆動回路のコイルと電源とを接続する回路の別の例を示す説明図である。
【
図8】3個のコイルを直列または並列に接続可能な回路の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照して、本発明の実形態を説明する。なお、以下の説明において、互いに交差する3つの方向を各々、第1方向Z、第2方向Xおよび第3方向Yとして説明する。また、第2方向Xの一方側にX1を付し、第2方向Xの他方側にX2を付し、第3方向Yの一方側にY1を付し、第3方向Yの他方側にY2を付し、第1方向Zの一方側にZ1を付し、第1方向Zの他方側にZ2を付して説明する。本形態では、第1方向Z、第2方向Xおよび第3方向Yは、互いに直交する方向である。第2方向Xは、可動体3の振動方向である。
【0015】
本発明を適用したアクチュエータ1の磁気駆動回路6では、コイル7が支持体2(一方側部材)の側に設けられ、磁石8が可動体3(他方側部材)の側に設けられた態様、および磁石8が支持体2(他方側部材)の側に設けられ、コイル7が可動体3(一方側部材)の側に設けられた態様を採用することができる。以下に説明する実施形態は、コイル7が支持体2の側に設けられ、磁石8が可動体3の側に設けられている。
【0016】
(全体構成)
図1は、本発明を適用したアクチュエータ1の斜視図である。
図2は、
図1に示すアクチュエータ1のXZ断面図である。
図3は、
図1に示すアクチュエータ1の分解斜視図である。
図4は、第1ケース部材16および第2ケース部材17を取り外したアクチュエータ1の解斜視図である。ホルダ60、コイル7、基板15、およびプレート26の分解斜視図である。
【0017】
図1、
図2に示すように、アクチュエータ1は、全体として、第2方向Xの寸法が第3方向Yの寸法および第1方向Zの寸法より大きい直方体形状である。アクチュエータ1は、支持体2と、支持体2に移動可能に支持された可動体3と、可動体3を支持体2に対して相対移動させる磁気駆動回路6とを有する。磁気駆動回路6は、コイル7および磁石8を備えており、可動体3を第2方向Xに振動させる。また、アクチュエータ1は、支持体2と可動体3とに接続される接続体9を備える。可動体3は、接続体9を介して支持体2に支持される。
【0018】
アクチュエータ1は、可動体3が第2方向Xに振動することにより、アクチュエータ1や、アクチュエータ1を取り付けた機器等を利用する者の身体を通して利用者に情報を報知する。アクチュエータ1は、例えば、ゲーム機の操作部材、操作パネル、自動車のハンドルやいす等に組み込んで利用することができ、可動体3の第2方向Xの振動によって利用者に触覚を与える触覚デバイスとして使用することができる。アクチュエータ1を触覚デバイスとして使用する際、例えば、コイル7に印加する交流波形を調整して、可動体3が第2方向Xの一方側X1に移動する加速度と、可動体3が第2方向の他方側X2に移動する加速度とを相違させれば、利用者は、第2方向Xにおいて方向性を有する振動を体感することができる。
【0019】
後述するように、本形態のアクチュエータ1は、接続体9としてゲル状部材(粘弾性部材)を用いているが、本発明は、接続体9としてゴムやバネ等を用いたアクチュエータに適用可能である。
【0020】
(支持体)
図1、
図2および
図3に示すように、支持体2は、第1方向Zの一方側Z1から他方側Z2に順に重ねられた第1ケース部材16、ホルダ60、および第2ケース部材17を有する。第1ケース部材16と第2ケース部材17との間に可動体3および磁気駆動回路6が配置される。第1ケース部材16、ホルダ60および第2ケース部材17は各々、第1方向Zから見て第3方向Yの幅が第2方向Xの幅より小さい長方形である。本形態では、第1ケース部材16、ホルダ60、および第2ケース部材17は各々、樹脂製である。
【0021】
支持体2を組み立てる際には、第1ケース部材16、ホルダ60および第2ケース部材17を第1方向Zに重ねた状態で、第2ケース部材17の貫通穴17e、ホルダ60の貫通穴60e、および第1ケース部材16の貫通穴16eにネジ18を止め、第1ケース部材16、ホルダ60および第2ケース部材17を第1方向Zで締結する。また、第1ケース部材16の角部160とホルダ60の角部600との間、および、ホルダ60の角部600と第2ケース部材17の角部170との間に接着剤が配置される。
【0022】
第1ケース部材16、ホルダ60、および第2ケース部材17を組み立てて支持体2を形成する際、第1ケース部材16の凸部161h、162hは各々、ホルダ60に設けられた貫通穴を貫通して第2ケース部材17の穴171h、172hに嵌まる。また、ホルダ60から第1ケース部材16側へ突出する凸部60cは第1ケース部材16の穴16cに嵌まり、ホルダ60から第2ケース部材17側へ突出する凸部60dは第2ケース部材17の穴(図示せず)に嵌まる。従って、第1ケース部材16、ホルダ60および第2ケース部材17は互いに位置決めされた状態で連結される。
【0023】
なお、第2ケース部材17の貫通穴17f、ホルダ60の貫通穴60f、および第2ケース部材17の貫通穴17fは、アクチュエータ1を各種機器に搭載する際、機器のフレームに対してアクチュエータ1を固定するネジ(図示せず)が配置される。
【0024】
図2、
図3に示すように、第1ケース部材16は、第2方向Xで並ぶ2つの凹部166、167が形成された底板部165を有する。
図2に示すように、第2ケース部材17は、第2方向Xで並ぶ2つの凹部176、177が形成された底板部175を有する。
図1、
図3に示すように、第1ケース部材16の第3方向Yの一方側Y1の外面には、第3方向Yの他方側Y2に凹んだ凹部168が設けられている。また、第2ケース部材17の第3方向Yの一方側Y1の外面には、第3方向Yの他方側Y2に凹んだ凹部178が設けられている。
【0025】
(磁気駆動回路)
図2に示すように、磁気駆動回路6は、第1磁気駆動回路6Aおよび第2磁気駆動回路6Bを備える。第1磁気駆動回路6Aおよび第2磁気駆動回路6Bは、第2方向Xで並列するように配置される。第1磁気駆動回路6Aおよび第2磁気駆動回路6Bは、それぞれ、コイル7と、コイル7に対して第1方向Zで対向する磁石8とを有する。本形態では、第1磁気駆動回路6Aおよび第2磁気駆動回路6Bは、それぞれ、1つずつコイル7を備える。コイル7は、支持体2のうち、ホルダ60に保持される。
図4、
図5に示すように、コイル7は、第3方向Yに長辺701(有効辺)が延在する長円形状の空芯コイルであり、第3方向Yの一方側Y1にコイル線の端部705が引き出されている。
【0026】
磁石8は、可動体3に設けられている。第1磁気駆動回路6Aおよび第2磁気駆動回路6Bは、それぞれ、磁石8として、コイル7に対して第1方向Zの一方側Z1で対向する第1磁石81と、コイル7に対して第1方向Zの他方側Z2で対向する第2磁石82を備える。第1磁石81および第2磁石82は、コイル7の長辺701と第1方向Zで対向する。第1磁石81および第2磁石82は各々、厚さ方向(第1方向Z)および幅方向(X方向)で分極着磁されている。
図7に示すように、第1磁石81と第2磁石82は、コイル7と対向する面の磁極が異なっている。また、第2方向Xで並列する2個の第1磁石81、および、第2方向Xで並列する2個の第2磁石82は、第2方向Xで隣り合う磁極が異なっている。
【0027】
第1磁気駆動回路6Aのコイル7と、第2磁気駆動回路6Bのコイル7は、同一のコイルである。また、第1磁気駆動回路6Aの磁石8(第1磁石81および第2磁石82)と、第2磁気駆動回路6Bの磁石8(第1磁石81および第2磁石82)は、同一の磁石である。従って、磁気駆動回路6は、1種類のコイルと1種類の磁石で構成されており、部品の種類数が少ない。
【0028】
後述するように、可動体3は、ヨーク80を備えており、第1磁石81および第2磁石82は、全て、共通のヨーク80に固定される。また、上記のように、第1磁気駆動回路6Aおよび第2磁気駆動回路6Bは、同一の構成であり、同一の駆動力を発生させる。従って、磁気駆動回路6は、アクチュエータ1の不要な共振を抑制できるように構成されている。
【0029】
本形態では、コイル7に対する第1方向Zの両側に磁石8を配置しているが、磁気駆動回路6は、コイル5に対する第1方向Zの一方側Z1のみまたは他方側Z2のみに磁石8を配置した構成を採用してもよい。
【0030】
(ホルダ)
図4、
図5に示すように、ホルダ60は、2つのコイル保持穴651、652が第2方向Xで並列するように形成された底板部65を備える。コイル保持穴651、652は貫通穴であり、第3方向Yの両端部には、第1方向Zの他方側Z2でコイル保持穴651、652の一部に重なるように張り出した受け部641、642が形成されている。従って、コイルを第1方向Zの一方側Z1からコイル保持穴651、652に装着すると、コイル7の短辺702(無効部分)が受け部641、642によって第1方向Zの他方側Z2で支持される。この状態で、ホルダ60には第1方向Zの一方側Z1からプレート26が重ねられ、プレート26は、接着剤によってコイル7と固定されるとともに、ホルダ60に固定される。プレート26は、例えば、アルミニウムやステンレス等の非磁性の金属板である。
【0031】
ホルダ60には、コイル保持穴651の第2方向Xの一方側X1に第1開口部601が形成され、コイル保持穴652の第2方向Xの他方側X2に第2開口部602が形成されている。第1開口部601、および第2開口部602はホルダ60の底板部65を第1方
向Zで貫通している。
【0032】
ホルダ60の第3方向Yの一方側Y1の外面には、第3方向Yの他方側Y2に凹んだ凹部630が設けられている。凹部630には、第1方向Zの一方側Z1に開口した切欠き状の引き出し部68が第2方向Xに沿って複数、形成されている。また、凹部630には、第3方向Yの一方側Y1に突出した係合凸部69が第2方向Xに沿って複数、形成されている。本形態において、係合凸部69は3か所に形成されている。
【0033】
(基板)
図1、
図3、
図4に示すように、基板15は、ホルダ60の第3方向Yの一方側Y1の外面に設けられた凹部630、第2ケース部材17の第3方向Yの一方側Y1の外面に設けられた凹部178、および、第1ケース部材16の第3方向Yの一方側Y1の外面に設けられた凹部168に配置される。
図5に示すように、基板15には、ホルダ60の引き出し部68と重なる位置に切欠き158が形成されている。また、基板15には、ホルダ60の係合凸部69と重なる位置に係合穴159が形成されている。本形態では、3つの係合穴159のうち、中央の係合穴159は、切欠き状である。
【0034】
基板15は、ホルダ60の係合凸部69と係合穴159とが係合した状態で、ホルダ60に設けられた凹部630の底面に接着剤により固定される。基板15には、コイル7から引き出したコイル線の端部705が電気的に接続されるランド151と、外部からの配線部材(図示せず)が電気的に接続されるランド152とが形成されている。コイル線の端部705は、引き出し部68を介してランド151まで引き回された後、半田によりランド151に電気的に接続される。
【0035】
(可動体)
可動体3は、磁石8およびヨーク80を備える。
図2、
図3、
図4に示すように、ヨーク80は、コイル7に対して第1方向Zの一方側Z1に位置する第1板部860を備えた第1ヨーク86と、コイル7に対して第1方向Zの他方側Z2に位置する第2板部870を備えた第2ヨーク87を備える。磁石8は、第1板部860のコイル7と対向する面に接着等の方法で固定された第1磁石81と、第2板部870のコイル7と対向する面に接着等の方法で固定された第2磁石82を備える。
【0036】
第1ヨーク86は、第1板部860の第2方向の一方側X1の端部から第1方向Zの他方側Z2に延在して第2ヨーク87と連結された第1連結板部861と、第1板部860の第2方向の他方側X2の端部から第1方向Zの他方側Z2に延在して第2ヨーク87と連結された第2連結板部862とを備えている。第1連結板部861および第2連結板部862は、溶接により第2ヨーク87の端部と連結されている。
【0037】
図2、
図3に示すように、第1連結板部861は、コイル7に対して第2方向Xの一方側X1でホルダ60の第1開口部601を通って第1方向Zの他方側Z2に向けて延在し、第2連結板部862は、コイル7に対して第2方向Xの他方側Z2でホルダ60の第2開口部602を通って第1方向Zの他方側Z2に向けて延在している。
【0038】
図4に示すように、第1ヨーク86は、第1板部860から突出して第1磁石81の位置決めを行うための位置決め凸部865を備える。位置決め凸部865は、第2方向Xで並列する2個の第1磁石81の間で第3方向Yで離間する2箇所、および、各第1磁石81の第3方向Yの両側2箇所の合計6箇所に設けられている。第2ヨーク87の第2板部870にも、同様の位置決め凸部(図示せず)が設けられている。
【0039】
(接続体)
図2に示すように、アクチュエータ1は、支持体2と可動体3との間に配置される接続体9を備える。可動体3は、接続体9によって第2方向Xに移動可能に支持される。接続体9は、支持体2と可動体3とが第1方向Zで対向する個所に配置される。本形態では、接続体9は、第1ヨーク86と第1ケース部材16とが第1方向Zで対向する個所に配置される第1接続体91、および、第2ヨーク87と第2ケース部材17とが第1方向Zで対向する個所に配置される第2接続体92を備える。
【0040】
第1接続体91は、第1ヨーク86の第1板部860と第1ケース部材16の凹部166、167との間で第1方向Zに圧縮された状態で配置される。本形態では、2個の第1接続体91が第2方向Xで並列して配置される。また、第2接続体92は、第2ヨーク87の第2板部870と第2ケース部材17の凹部176、177との間で第1方向Zに圧縮された状態で配置される。本形態では、2個の第2接続体92が第2方向Xで並列して配置される。
【0041】
接続体9は、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備える。本形態では、接続体9は粘弾性部材である。例えば、接続体9(粘弾性部材)は、針入度が10度から110度であるシリコーン系ゲルである。針入度とは、JIS-K-2207やJIS-K-2220で規定されており、この値が小さい程、硬いことを意味する。また、粘弾性を備えた接続体9として、天然ゴム、ジエン系ゴム(例えば、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム)、クロロプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム等)、非ジエン系ゴム(例えば、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等)、熱可塑性エラストマー等の各種ゴム材料及びそれらの変性材料を用いてもよい。
【0042】
接続体9は、その伸縮方向によって、線形あるいは非線形の伸縮特性を備える。例えば、接続体9は、その厚さ方向(軸方向)に押圧されて圧縮変形する際は、線形の成分(バネ係数)よりも非線形の成分(バネ係数)が大きい伸縮特性を備える。これに対して、厚さ方向(軸方向)に引っ張られて伸びる場合は、非線形の成分(バネ係数)よりも線形の成分(バネ係数)が大きい伸縮特性を備える。また、接続体9は、厚さ方向(軸方向)と交差する方向(せん断方向)に変形する場合、いずれの方向に動いても、引っ張られて伸びる方向の変形であるため、非線形の成分(バネ係数)よりも線形の成分(バネ係数)が大きい変形特性を持つ。
【0043】
本形態において、可動体3が第2方向Xに振動した際、接続体9は、せん断方向に変形する。従って、接続体9では、可動体3が第2方向Xに振動した際、せん断方向のバネ要素を用いることにより、入力信号に対する振動加速度の再現性を向上することができるので、微妙なニュアンスをもった振動を実現することができる。
【0044】
(コイルに対する給電用の回路)
図6は、基板15の平面図である。
図6に示すように、基板15は、コイル7が接続されるランド151と、給電線を介して電源に接続されるランド152を備える。基板15には、ランド151とランド152を接続する配線パターン155(
図7参照)が形成されている。配線パターン155は、半田などの短絡用導電材を付着させることによって短絡させることが可能な短絡部153を備える。
【0045】
図6に示すように、本形態では、基板15上の3個所に短絡部153が形成されている。各短絡部153は、それぞれ、第1短絡用ランド154Aと、第2短絡用ランド154Bを備える。第1短絡用ランド154Aおよび第2短絡用ランド154Bは半月型であり、0.1mm以上の隙間をあけて配置される。第1短絡用ランド154Aと第2短絡用ランド154Bとの隙間に半田などの短絡用導電材を付着させると、第1短絡用ランド15
4Aと第2短絡用ランド154Bが短絡する。
【0046】
図7(a)は、磁気駆動回路6のコイル7と電源とを接続する回路の説明図である。コイル7と電源とを接続する回路は、基板15に形成された配線パターン155を含む。配線パターン155は、3個所の短絡部153を含む。配線パターン155は、短絡させる箇所を変更することにより、2個のコイル7を直列に接続した回路と、2個のコイル7を並列に接続した回路の2種類の回路として使用することができる。
【0047】
図7(a)に示すように、本形態では、3個所の短絡部153のうちの2箇所は第1短絡部153Aであり、残り1箇所は第2短絡部153Bである。配線パターン155は、1箇所の第2短絡部153Bが短絡し、且つ、2箇所の第1短絡部153Aが短絡していない状態では、2個のコイル7が直列に接続される。また、配線パターン155は、2箇所の第1短絡部153Aが短絡し、且つ、1箇所の第2短絡部153Bが短絡していない状態では、2個のコイル7が並列に接続される。
【0048】
2個のコイル7を直列に接続した回路に電源を接続する場合と、2個のコイル7を並列に接続した回路に電源を接続する場合では、各コイル7に流れる電流が異なるので、発生する駆動力が異なる。従って、同一の部品を用いて、異なる振動を発生させる2種類のアクチュエータ1を製造することができる。
【0049】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のアクチュエータ1は、支持体2および可動体3と、可動体3と支持体2とに接続され、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備えた接続体9と、可動体3を支持体2に対して相対移動させる複数の磁気駆動回路6(第1磁気駆動回路6Aおよび第2磁気駆動回路6B)と、複数の磁気駆動回路6に給電するための配線パターン155が設けられた基板15と、を有する。複数の磁気駆動回路6(第1磁気駆動回路6Aおよび第2磁気駆動回路6B)のそれぞれは、支持体2に設けられたコイル7と、可動体3に設けられてコイル7に第1方向Zで対向する磁石8と、を備えており、可動体3を第1方向Zに対して交差する第2方向Xに駆動する。配線パターン155は、半田(短絡用導電材)により短絡させることが可能な短絡部153を備えており、短絡部153が短絡している状態と、短絡部153が短絡していない状態とでは、コイル7に流れる電流が異なる。
【0050】
本形態では、短絡部153は、第1短絡部153Aおよび第2短絡部153Bを備える。配線パターン155は、第1短絡部153Aおよび第2短絡部153Bの一方のみが短絡している。第2短絡部153Bが短絡し且つ第1短絡部153Aが短絡していない状態では、2個のコイル7が直列に接続される。一方、第1短絡部153Aが短絡し且つ第2短絡部153Bが短絡していない状態では、2個のコイル7が並列に接続される。2個のコイル7が直列に接続された状態と、並列に接続された状態とでは、コイル7に流れる電流が異なるので、磁気駆動回路6の駆動力が異なる。従って、同一の部品構成で、異なる振動を発生させる多種類のアクチュエータ1を製造できる。よって、多種類の製品の設計および生産への対応が容易である。また、部品の種類数の増加を抑制できるので、部品管理の煩雑化を抑制できる。
【0051】
本形態では、第1短絡部153Aおよび第2短絡部153Bのそれぞれは、第1短絡用ランド154Aと、第1短絡用ランド154Aとの間に0.1mm以上の隙間をあけて配置された第2短絡用ランド154Bを備える。従って、第1短絡用ランド154Aと第2短絡用ランド154Bの間に半田付けすることで各短絡部153を短絡させることができる。これにより、配線パターン155を容易に、且つ、確実に短絡させることができるので、必要な配線パターン155を備えたアクチュエータ1を容易に製造できる。
【0052】
なお、第1短絡用ランド154Aと第2短絡用ランド154Bの形状は、半月型に限定されるものではなく、半田などの短絡用導電材によって短絡させることが可能な形状であればよい。例えば、第1短絡用ランド154Aと第2短絡用ランド154Bは矩形であってもよい。また、第1短絡部153Aおよび第2短絡部153Bは、0.1mm以上の隙間をあけて配置される2つのランド以外の構成であってもよい。例えば、配線パターンのうちの2か所を隣り合う位置に配置しておき、隣り合う配線部分の間に半田を付着させることによって短絡させるように構成してもよい。
【0053】
図7(b)は、磁気駆動回路6のコイル7と電源とを接続する回路の別の例を示す説明図である。
図7(b)に示す配線パターン156は、3個所の短絡部153を含む。3個所の短絡部153のうちの2箇所は第1短絡部153Aであり、残り1箇所は第2短絡部153Bである。
図7(b)に示す配線パターン156は、1箇所の第2短絡部153Bが短絡し、且つ、2箇所の第1短絡部153Aが短絡していない場合には、2個のコイル7が直列に接続される。また、2箇所の第1短絡部153Aが短絡し、且つ、1箇所の第2短絡部153Bが短絡していない場合には、2個のコイル7が並列に接続される。従って、
図7(a)に示す構成と同様に、同一の部品を用いて、異なる振動を発生させる2種類のアクチュエータ1を製造できる。
【0054】
(他の実施形態)
(1)上記形態は、磁気駆動回路6が第1磁気駆動回路6Aと第2磁気駆動回路6Bを備え、コイル7と磁石8の組を2組備えた場合のアクチュエータ1の構成であったが、本発明は、コイル7と磁石8の組を3以上備えたアクチュエータに適用可能である。
図8は、3個のコイル7を直列または並列に接続可能な回路の説明図である。コイル7と磁石8の組を3組備えた磁気駆動回路を有するアクチュエータ1を製造する場合には、
図8に示す配線パターン157を採用することにより、同一の部品を用いて、異なる振動を発生させる2種類のアクチュエータ1を製造できる。
【0055】
図8に示すように、配線パターン157は短絡部153を備える。短絡部153は、2箇所の第1短絡部153Aを備える。配線パターン157は、2箇所の第1短絡部153Aが短絡している状態では、3個のコイル7が並列に接続される。また、2箇所の第1短絡部153Aが短絡していない状態では、3個のコイル7が直列に接続される。3個のコイル7を直列に接続した構成と、3個のコイル7を並列に接続した構成では、各コイル7に流れる電流が異なるので、磁気駆動回路6の駆動力が異なる。従って、同一の部品を用いて、異なる振動を発生させる2種類のアクチュエータ1を製造できる。
【0056】
(2)上記各形態は、配線パターンに短絡部153を設けることによってコイル7に給電する回路を変更する構成であったが、配線パターンに短絡部153を設ける代わりに、レーザ等で切断可能な切断可能部を設けておき、必要に応じて切断可能部を切断することにより、複数のコイルが直列に接続されたアクチュエータと、複数のコイルが並列に接続されたアクチュエータを製造することも可能である。例えば、
図7(a)、
図7(b)、
図8に示す各配線パターンにおける各短絡部153の位置に、それぞれ、切断可能部を設ければよい。また、上記各形態の短絡部153と同様に、切断可能部は、第1切断可能部のみを備え、第1切断可能部の切断の有無によってコイル7に給電する回路を変更してもよい。あるいは、切断可能部は第1切断可能部および第2切断可能部を備え、第1切断可能部および第2切断可能部の一方を切断し、他方を切断しないことによってコイル7に給電する回路を変更してもよい。
【0057】
すなわち、本発明は、以下のアクチュエータに適用可能である。アクチュエータは、支持体2および可動体3と、可動体3と支持体2とに接続され、弾性および粘弾性の少なく
とも一方を備えた接続体9と、可動体3を支持体2に対して相対移動させる複数の磁気駆動回路6と、複数の磁気駆動回路6に給電するための配線パターンが設けられた基板15と、を有する。複数の磁気駆動回路6のそれぞれは、支持体2および可動体3のうちの一方側部材に設けられたコイル7と、支持体2および可動体3のうちの他方側部材に設けられてコイル7に第1方向Zで対向する磁石8と、を備え、可動体3を第1方向Zに対して交差する第2方向Xに駆動する。配線パターンは、第1切断可能部を備え、第1切断可能部が切断されている状態と、第1切断可能部が切断されていない状態の一方では、複数の磁気駆動回路6に設けられた複数のコイル7が直列に接続され、第1切断可能部が切断されている状態と、第1切断可能部が切断されていない状態の他方では、複数の磁気駆動回路6に設けられた複数のコイル7が並列に接続される。
【0058】
例えば、コイル7と磁石8の組の数が3の場合には、
図8に示す配線パターン157の第1短絡部153Aの位置に、第1切断可能部を設ける。これにより、第1切断可能部を切断すれば、3個のコイルが直列に接続され、第1切断可能部を切断しなければ、3個のコイルが並列に接続される。
【0059】
また、コイル7と磁石8の組の数が2の場合には、
図7(a)、
図7(b)に示す配線パターン155、156の第1短絡部153Aの位置に、第1切断可能部を設けるとともに、第2短絡部153Bの位置に、第2切断可能部を設ける。これにより、第1切断可能部が切断され且つ第2切断可能部が切断されていない状態では、2個のコイル7が直列に接続され、第2切断可能部が切断され且つ第1切断可能部が切断されていない状態では、2個のコイルが並列に接続される。
【0060】
従って、上記各形態と同様に、同一の部品構成で、異なる振動を発生させる多種類のアクチュエータを製造できる。よって、多種類の製品の設計および生産への対応が容易である。また、部品の種類数の増加を抑制できるので、部品管理の煩雑化を抑制できる。
【符号の説明】
【0061】
1…アクチュエータ、2…支持体、3…可動体、6…磁気駆動回路、6A…第1磁気駆動回路、6B…第2磁気駆動回路、7…コイル、8…磁石、9…接続体、15…基板、16…第1ケース部材、16c…穴、16e…貫通穴、17…第2ケース部材、17e…貫通穴、17f…貫通穴、18…ネジ、26…プレート、60…ホルダ、60c、60d…凸部、60e…貫通穴、60f…貫通穴、65…底板部、68…引き出し部、69…係合凸部、80…ヨーク、81…第1磁石、82…第2磁石、86…第1ヨーク、87…第2ヨーク、91…第1接続体、92…第2接続体、151…ランド、152…ランド、153…短絡部、153A…第1短絡部、153B…第2短絡部、154A…第1短絡用ランド、154B…第2短絡用ランド、155、156、157…配線パターン、158…切欠き、159…係合穴、160…角部、161h、162h…凸部、165…底板部、166、167…凹部、168…凹部、170…角部、171h…穴、175…底板部、176、177…凹部、178…凹部、600…角部、601…第1開口部、602…第2開口部、630…凹部、641、642…受け部、651、652…コイル保持穴、701…長辺、702…短辺、705…コイル線の端部、860…第1板部、861…第1連結板部、862…第2連結板部、865…位置決め凸部、870…第2板部、X…第2方向、Y…第3方向、Z…第1方向