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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】錠装置、移動体、およびシステム
(51)【国際特許分類】
   E05B 73/00 20060101AFI20240502BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20240502BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240502BHJP
【FI】
E05B73/00 Z
E05B49/00 J
G06Q50/10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020181427
(22)【出願日】2020-10-29
(65)【公開番号】P2022072136
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(72)【発明者】
【氏名】鳴海 健司
(72)【発明者】
【氏名】千石 孝和
(72)【発明者】
【氏名】今井 友美
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-111990(JP,A)
【文献】特開2020-000640(JP,A)
【文献】国際公開第2019/230068(WO,A1)
【文献】特開2019-080626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 73/00
E05B 49/00
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を固定するための複数の錠部と、
前記錠部の施錠および解錠を制御する制御部と、
複数の前記錠部に固定され得る複数の前記物品に共用される固定スペースと、
を備え、
前記錠部を用いて固定される前記物品は、ユーザが集荷を希望する集荷物である、
錠装置。
【請求項2】
物品を固定するための複数の錠部と、
前記錠部の施錠および解錠を制御する制御部と、
複数の前記錠部に固定され得る複数の前記物品に共用される固定スペースと、
を備え、
前記錠部を用いて固定される前記物品は、ユーザが他のユーザによる購入を希望する商品である、
錠装置。
【請求項3】
前記錠部の解錠に用いられる鍵情報を他の端末に送信する無線通信部、
をさらに備える、
請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の錠装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記他の端末から送信される前記鍵情報に基づいて、前記鍵情報に対応する前記錠部が解錠するように制御を行う、
請求項に記載の錠装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記錠部を用いて前記物品を固定したユーザが所持する端末に前記鍵情報が送信されるよう前記無線通信部を制御する、
請求項または請求項のうちいずれか一項に記載の錠装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記錠部に固定された前記物品に対する支払いが完了したことに基づいて、対応する前記錠部が解錠するように制御を行う、
請求項に記載の錠装置。
【請求項7】
物品を固定するための複数の錠部と、
前記錠部の施錠および解錠を制御する制御部と、
複数の前記錠部に固定され得る複数の前記物品に共用される固定スペースと、
を備え、
前記錠部を用いて固定される前記物品は、ユーザが集荷を希望する集荷物である、
移動体。
【請求項8】
物品を固定するための複数の錠部と、
前記錠部の施錠および解錠を制御する制御部と、
複数の前記錠部に固定され得る複数の前記物品に共用される固定スペースと、
を備え、
前記錠部を用いて固定される前記物品は、ユーザが他のユーザによる購入を希望する商品である、
移動体。
【請求項9】
前記制御部は、予め設定された規定の条件が検出された場合、複数の前記錠部のすべてが解錠するように制御を行う、
請求項7または請求項8に記載の移動体。
【請求項10】
前記規定の条件は、当該移動体の目的地への到着を含み、
前記制御部は、当該移動体が目的地に到着したことが検出された場合、複数の前記錠部のすべてが解錠するように制御を行う、
請求項に記載の移動体。
【請求項11】
錠装置、およびユーザにより携帯されるモバイル端末、を備え、
前記錠装置は、
物品を固定するための複数の錠部と、
前記錠部の施錠および解錠を制御する制御部と、
前記錠部の解錠に用いられる鍵情報を、前記錠部を用いて前記物品を固定したユーザに携帯される前記モバイル端末に送信する第1の無線通信部と、
複数の前記錠部に固定され得る複数の前記物品に共用される固定スペースと、
を備え、
前記モバイル端末は、
前記鍵情報を受信する第2の無線通信部、
を備え、
前記第2の無線通信部は、ユーザによる解錠操作に基づいて、前記鍵情報を前記錠装置に送信し、
前記錠部を用いて固定される前記物品は、ユーザが集荷を希望する集荷物である、
システム。
【請求項12】
錠装置、およびユーザにより携帯されるモバイル端末、を備え、
前記錠装置は、
物品を固定するための複数の錠部と、
前記錠部の施錠および解錠を制御する制御部と、
前記錠部の解錠に用いられる鍵情報を、前記錠部を用いて前記物品を固定したユーザに携帯される前記モバイル端末に送信する第1の無線通信部と、
複数の前記錠部に固定され得る複数の前記物品に共用される固定スペースと、
を備え、
前記モバイル端末は、
前記鍵情報を受信する第2の無線通信部、
を備え、
前記第2の無線通信部は、ユーザによる解錠操作に基づいて、前記鍵情報を前記錠装置に送信し、
前記錠部を用いて固定される前記物品は、ユーザが他のユーザによる購入を希望する商品である、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠装置、移動体、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物品の預かりや配送に係るニーズが増加している。また、物品の預かりや配送を効率化するための仕組みが提案されている。例えば、特許文献1には、受取人の不在時においても物品の受け取りを可能とする宅配ボックスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-80626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されるような宅配ボックスは、物品を格納するためのスペースのサイズが不変であり、当該スペースのサイズを超える物品を格納することが困難である。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、複数の物品をより柔軟に一時保管することにある
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、物品を固定するための複数の錠部と、前記錠部の施錠および解錠を制御する制御部と、複数の前記錠部に固定され得る複数の前記物品に共用される固定スペースと、を備える、錠装置が提供される。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、物品を固定するための複数の錠部と、前記錠部の施錠および解錠を制御する制御部と、複数の前記錠部に固定され得る複数の前記物品に共用される固定スペースと、を備える、移動体が提供される。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、錠装置、およびユーザにより携帯されるモバイル端末、を備え、前記錠装置は、物品を固定するための複数の錠部と、前記錠部の施錠および解錠を制御する制御部と、前記錠部の解錠に用いられる鍵情報を、前記錠部を用いて前記物品を固定したユーザに携帯される前記モバイル端末に送信する第1の無線通信部と、複数の前記錠部に固定され得る複数の前記物品に共用される固定スペースと、を備え、前記モバイル端末は、前記鍵情報を受信する第2の無線通信部、を備え、前記第2の無線通信部は、ユーザによる解錠操作に基づいて、前記鍵情報を前記錠装置に送信する、システムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明によれば、複数の物品をより柔軟に一時保管することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るシステム1の構成例を示す図である。
図2】同実施形態に係る錠装置10による預かり物の一時固定について説明するための図である。
図3】同実施形態に係る預かり物Lを一時的に固定する場合における錠装置10の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図4】同実施形態に係る錠装置10による集荷物の一時固定について説明するための図である。
図5】同実施形態に係る集荷物Sを一時的に固定する場合における錠装置10の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】同実施形態に係る錠装置10による商品の一時固定について説明するための図である。
図7】同実施形態に係る商品Pを一時的に固定する場合における錠装置10の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
<1.実施形態>
<<1.1.システム構成例>>
まず、本発明の一実施形態に係るシステム1の構成例について述べる。図1は、本実施形態に係るシステム1の構成例を示す図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係るシステム1は、錠装置10およびモバイル端末20を備えてもよい。
【0014】
(錠装置10)
本実施形態に係る錠装置10は、預けられた物品を保管するための装置である。図1に示すように、本実施形態に係る錠装置10は、制御部110、複数の錠部120、および無線通信部130を備えてもよい。
【0015】
(制御部110)
本実施形態に係る制御部110は、錠装置10が備える各構成を制御する。
【0016】
例えば、本実施形態に係る制御部110は、錠装置10が備える複数の錠部120の施錠および解錠を制御する。
【0017】
また、例えば、本実施形態に係る制御部110は、無線通信部130による鍵情報の送信を制御してもよい。
【0018】
ここで、上記鍵情報は、制御部110による錠部120の解錠に用いられる情報であってよい。鍵情報としては、例えば、パスワードや、ハッシュ関数などが用いられてもよい。
【0019】
一例として、本実施形態に係る制御部110は、錠部120を用いて物品を固定したユーザが所持するモバイル端末20に鍵情報が送信されるよう無線通信部130を制御してもよい。
【0020】
この場合、本実施形態に係る制御部110は、モバイル端末20から送信される鍵情報に由来する情報に基づく認証を行い、当該認証が成立した場合に、鍵情報に対応する錠部120が解錠するように制御を行ってもよい。
【0021】
例えば、制御部110は、無線通信部130に、パスワードを要求する信号である要求信号をモバイル端末20に対して送信させ、モバイル端末20が当該要求信号への応答として送信する応答信号に含まれるパスワードに基づく認証を行ってもよい。
【0022】
また、例えば、制御部110は、無線通信部130に、パスワードと乱数とを用いた演算結果を要求する信号であり、かつ当該乱数を含む要求信号をモバイル端末20に対して送信させ、モバイル端末20が当該要求信号への応答として送信する応答信号に含まれ演算結果に基づく認証を行ってもよい。
【0023】
なお、上記に挙げた制御はあくまで一例であり、本実施形態に係る制御部110が有する機能は、システム1の適用範囲に応じて柔軟に変形可能である。
【0024】
例えば、上記では、制御部110による制御に基づいて、鍵情報および当該鍵情報を用いた認証に関する情報が、無線通信部130とモバイル端末20との間で直接的に送受信される場合を例示した。
【0025】
本実施形態に係る制御部110は、鍵情報がサーバ等の別途の装置を介して間接的にモバイル端末20に配布されるよう制御してもよいし、別途の装置を介してモバイル端末20から認証に関する情報が収集するよう制御を行ってもよい。
【0026】
本実施形態に係る制御部110が有する機能の詳細については別途説明する。
【0027】
また、本実施形態に係る制御部110が有する機能は、CPUなどのプロセッサにより実現される。
【0028】
(錠部120)
本実施形態に係る錠部120は、物品を固定するための構成である。本実施形態に係る錠部120は、制御部110による制御に従って、施錠および解錠を行う電気錠であってよい。
【0029】
なお、本実施形態に係る錠装置10は、複数の錠部120、および複数の錠部120に固定され得る複数の物品に共用される固定スペース140を備えることを特徴の一つとする。
【0030】
なお、図1には、本実施形態に係る錠装置10が2つの錠部120aおよび120bを備える場合を例示しているが、本実施形態に係る錠部120の数は係る例に限定されない。
【0031】
本実施形態に係る錠装置10は、少なくとも2つ以上の複数の錠部120を備えればよく、錠部120の数は、上記固定スペース140のサイズ等に応じて決定される。
【0032】
上記のような構成によれば、複数の物品をより柔軟かつセキュアに一時保管することが可能となる。
【0033】
(無線通信部130)
本実施形態に係る無線通信部130は、ユーザにより携帯されるモバイル端末20との間において無線通信を行う。
【0034】
一例として、本実施形態に係る無線通信部130は、制御部110による制御に従い、錠部120の解錠に用いられる鍵情報をモバイル端末20に送信してもよい。
【0035】
無線通信部130による無線通信に用いられる規格には、例えば、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)や、Wi-Fi(登録商標)が挙げられる。
【0036】
以上、本実施形態に係る錠装置10の機能構成例について述べた。なお、図1を用いて説明した上記の機能構成はあくまで一例であり、本実施形態に係る錠装置10の機能構成は、システム1の適用範囲に応じて柔軟に変形される。
【0037】
一例として、本実施形態に係る制御部110は、クラウド上に設置されるサーバに備えられ、ローカルに設置される装置に備えられる錠部120や、無線通信部130を制御してもよい。
【0038】
(モバイル端末20)
本実施形態に係るモバイル端末20は、ユーザにより携帯される情報処理装置である。本実施形態に係るモバイル端末20は、例えば、スマートフォン、タブレット、ウェアラブル端末などであってもよい。
【0039】
図1に示すように、本実施形態に係るモバイル端末20は、制御部210、操作受付部220、表示部230、および無線通信部240を備えてもよい。
【0040】
(制御部210)
本実施形態に係る制御部210は、モバイル端末20が備える各構成を制御する。
【0041】
例えば、本実施形態に係る制御部210は、操作受付部220が検出したユーザによる解錠操作に基づいて、無線通信部240に鍵情報を錠装置10に対して送信させてもよい。
【0042】
なお、上記に挙げた制御はあくまで一例であり、本実施形態に係る制御部210が有する機能は、システム1の適用範囲に応じて柔軟に変形可能である。
【0043】
本実施形態に係る制御部210が有する機能は、CPUなどのプロセッサにより実現される。
【0044】
(操作受付部220)
本実施形態に係る操作受付部220は、ユーザによる各種の操作を受け付ける。
【0045】
このために、本実施形態に係る操作受付部220は、ボタン、スイッチ、キーボード、タッチパネルなどの各種の入力装置を備える。
【0046】
(表示部230)
本実施形態に係る表示部230は、制御部210による制御に従い、各種の視覚情報を表示する。
【0047】
このために、本実施形態に係る表示部230は、ディスプレイなどの表示装置を備える。
【0048】
(無線通信部240)
本実施形態に係る無線通信部240は、錠装置10との間において無線通信を行う。
【0049】
一例として、本実施形態に係る無線通信部240は、ユーザによる解錠操作に基づいて、鍵情報を錠装置10に送信してもよい。
【0050】
以上、本実施形態に係るモバイル端末20の機能構成例について述べた。なお、図1を用いて説明した上記の機能構成はあくまで一例であり、本実施形態に係るモバイル端末20の機能構成は、システム1の適用範囲に応じて柔軟に変形される。
【0051】
一例として、本実施形態に係るモバイル端末20は、ユーザとエージェント機能とによる音声を用いた対話を実現するための構成をさらに備えてもよい。例えば、本実施形態に係るモバイル端末20は、ユーザの音声を収集するための音声入力部と、人工音声を出力するための音声出力部などをさらに備えてもよい。
【0052】
<<1.2.適用例>>
次に、本実施形態に係るシステム1の適用範囲について具体例を挙げて説明する。
【0053】
上述したように、近年では物品の預かりや配送に係るニーズが増加している。このことから、物品を一時的に保管するための装置が多く開発されている。
【0054】
しかし、上記のような装置には、サイズが固定された格納スペースを備えるのが一般的である。
【0055】
このため、ユーザが預けたい荷物が格納スペースのサイズを超える場合には、上記のような装置を利用することが困難である。
【0056】
また、上記のような装置が設けられる格納スペースの数が限定されることから、すべての格納スペースが利用されている場合、ユーザは新たに物品を預けることができない。
【0057】
上記のような制限は、装置の利用効率の低下や、ユーザの利便性の低下を招く要因となり得る。
【0058】
本発明の技術思想は上記の点に着目して発想されたものであり、複数の物品をより柔軟に一時保管することを可能とするものである。
【0059】
このために、本実施形態に係る錠装置10は、物品を固定するための複数の錠部120と、複数の錠部120に固定され得る複数の物品に共有される固定スペース140とを備えることを特徴の一つとする。
【0060】
まず、ユーザが本実施形態に係る錠装置10を用いて物品を一時的に固定する場合を例に挙げて説明する。この場合、錠部120を用いて固定される物品は、一時的な預かり物であってもよい。
【0061】
図2は、本実施形態に係る錠装置10による預かり物の一時固定について説明するための図である。
【0062】
本実施形態に係る錠装置10は、例えば、駅や空港などの交通施設、ショッピングモーなどの商業施設、路上など任意の場所に固定的に設置されてもよい。
【0063】
図2に示す一例の場合、本実施形態に係る錠装置10は、重石などに接続されたポール125に接続される複数の錠部120a~120d、および複数の錠部120a~120dに固定され得る複数の物品に共有される固定スペース140を備える。
【0064】
図2に示す一例の場合、固定スペース140は、錠部120bに固定される預かり物L1、錠部120cに固定される預かり物L2、および錠部120cに固定される預かり物L3により共有されている。また、預かり物L1~L3は、それぞれ異なるユーザにより預けられた所有物であってもよい。
【0065】
このように、本実施形態に係る錠装置10では、ユーザごとに預かり物Lを保管するスペースが区切って設けられるのではなく、複数のユーザに預けられる複数の預かり物Lに共有される固定スペース140が設けられてよい。
【0066】
この場合であっても、預かり物Lの各々を複数の錠部120を用いて固定することにより、預かり物Lの各々をセキュアに保管することが可能である。
【0067】
また、上記のような構成によれば、固定スペース140のサイズが許容する範囲において、預かり物Lのサイズおよび数に関する組成を柔軟に変更することが可能となる。
【0068】
なお、様々な預かり物Lのサイズに対応するために、錠装置10は、大小様々なサイズの複数の錠部120を備えてもよい。また、複数の錠部120ポール125上をスライド可能に設けられ、預かり物Lの配置場所を調整できてもよい。
【0069】
これによれば、一般的なロッカー等の装置と比較して、同時利用可能なユーザ数を増加させることや、同時に預かる預かり物Lの数を増加させることが可能となる。
【0070】
以上、図2を用いて、本実施形態に係る錠装置10が固定的に設置されユーザの預かり物Lを一時的に固定するために用いられる場合を例示した。
【0071】
続いて、図3を用いて、預かり物Lを一時的に固定する場合における錠装置10の動作の流れについて説明する。
【0072】
図3は、預かり物Lを一時的に固定する場合における錠装置10の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【0073】
図3に示す一例の場合、まず、錠装置10の制御部110が、錠部120に預かり物Lを固定するユーザの操作に基づいて、対応する錠部120を施錠する処理を行う(S102)。
【0074】
ステップS102におけるユーザの操作は、当該ユーザが携帯するモバイル端末20の操作受付部220を介して行われてもよいし、錠装置10に備えられる操作受付部を介して行われてもよい。
【0075】
次に、錠装置10の制御部110は、ステップS102において施錠した錠部120に対応する鍵情報を生成し、無線通信部130に当該鍵情報をユーザが携帯するモバイル端末20に対して送信させる(S104)。
【0076】
その後、ユーザは、預かり物Lを引き取るために、錠部120の解錠を指示する解錠操作をモバイル端末20の操作受付部220を用いて実行する。
【0077】
上記解錠操作に基づき、モバイル端末20の制御部210は、無線通信部130にステップS104において受信した鍵情報を送信させる。
【0078】
また、錠装置10の無線通信部130は、モバイル端末20から送信される鍵情報を受信する(S106)。
【0079】
次に、錠装置10の制御部110は、ステップS106において無線通信部130が受信した鍵情報に基づく認証処理を行う(S108)。
【0080】
ここで、認証が成立した場合、制御部110は、対応する錠部120を施錠する処理を行う(S110)。
【0081】
以上、預かり物Lを一時的に固定する場合における錠装置10の動作の流れについて一例を挙げて説明した。
【0082】
しかし、本実施形態に係る錠装置10の適用範囲は係る例に限定されない。
【0083】
例えば、本実施形態に係る錠部120を用いて固定される物品は、ユーザが集荷を希望する集荷物であってもよい。
【0084】
また、この場合、本実施形態に係る錠装置10は、車両などの移動体30に搭載されてもよい。
【0085】
図4は、本実施形態に係る錠装置10による集荷物の一時固定について説明するための図である。
【0086】
図4に示す一例の場合、本実施形態に係る錠装置10は、移動体30の荷台において、ユーザによりアクセス可能に配置される。
【0087】
ユーザは、駅や空港などの交通施設、ショッピングモーなどの商業施設、または路上などを走行する移動体30を一時停止させ、錠部120に集荷物Sを固定する。
【0088】
図4の示す一例の場合、錠部120b~120dに、集荷物S1~S3がそれぞれ固定される。
【0089】
なお、図4に示すように、錠装置10が移動体に搭載される場合、制御部110は、移動体30の運転制御を行ってもよい。
【0090】
この場合、本実施形態に係る制御部110は、ユーザによる停止の希望を示すジェスチャを検出した際に移動体30を一時停止させ、ユーザによる集荷物Sの固定が完了した後に、再び移動体30を目的地(例えば、配送センターなど)に向かって走行させてもよい。
【0091】
この場合、本実施形態に係る制御部110は、例えば、予め規定された順路を移動体30に走行させ集荷物Sを集め、規定の時間が経過した後、あるいは、錠部120のすべてが使用中となった場合等に、移動体30が目的地へ向かうよう制御を行うことも可能である。
【0092】
また、本実施形態に係る制御部110は、予め設定された規定の条件が検出された場合、複数の錠部120のすべてが解錠するように制御を行ってもよい。
【0093】
上記規定の条件には、例えば、移動体30の目的地への到着が含まれる。すなわち、本実施形態に係る制御部110は、移動体30が配送センターなどの目的地に到着したことが検出された場合に、複数の錠部120のすべてが解錠するように制御を行ってもよい。
【0094】
上記のような制御によれば、配送センターにおいて、錠部120の一つひとつに対し解錠作業を行うことなく、複数の集荷物Sの固定を解除することができ、作業効率を向上させることができる。
【0095】
なお、制御部110は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)からの信号を受信する受信装置が取得する位置情報に基づいて移動体30の目的地への到着を検出してもよい。
【0096】
一方、移動体30が人により運転される場合には、制御部110は、運転手による入力操作に基づいて、移動体30の目的地への到着を検出してもよい。
【0097】
以上、図4を用いて、本実施形態に係る錠装置10が移動体30に搭載され、集荷物Sを一時的に固定する場合を例示した。
【0098】
なお、この場合、本実施形態に係るシステム1は、モバイル端末20を必ずしも備えなくてもよい。
【0099】
一方、制御部110が移動体30を制御し、集荷物Sの集荷を依頼するユーザのもとに移動体30を向かわせる場合や、集荷物Sを固定したユーザの指定した引き取り場所に移動体30を向かわせる場合には、場所の指定にモバイル端末20が用いられてもよい。
【0100】
また、上記のような制御を行う場合、制御部110はサーバに備えられ、移動体30に搭載される錠部120や、別途の運転制御部を制御してもよい。
【0101】
続いて、図5を用いて、集荷物Sを一時的に固定する場合における錠装置10の動作の流れについて説明する。
【0102】
図5は、集荷物Sを一時的に固定する場合における錠装置10の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【0103】
なお、以下においては、制御部110が複数の錠部120とともに移動体30に搭載され、また移動体30の運転制御を行う場合を例示する。
【0104】
図5に示す一例の場合、まず、制御部110が、錠部120に集荷物Sを固定するユーザの操作に基づいて、対応する錠部120を施錠する処理を行う(S202)。
【0105】
ステップS202における処理の後、制御部110は、移動体30の移動を開始させる(S204)。
【0106】
なお、ステップS202~S204における処理は複数回実行されてもよい。
【0107】
その後、移動体30が配送センターなどの目的地に到達したことが検出された場合(S206)、制御部110は、すべての錠部120を解錠させる処理を実行する(S208)。
【0108】
以上、集荷物Sを一時的に固定する場合における錠装置10の動作の流れについて一例を挙げて説明した。
【0109】
次に、本実施形態に係る錠部120を用いて固定される物品が、ユーザが他のユーザによる購入を希望する商品である場合を例示する。
【0110】
本実施形態に係るシステム1は、商品の無人販売にも適用することが可能である。
【0111】
図6は、本実施形態に係る錠装置10による商品の一時固定について説明するための図である。
【0112】
図6に示す一例の場合、本実施形態に係る錠装置10は、図4に示した一例と同様に、移動体30の荷台において、ユーザによりアクセス可能に配置される。
【0113】
商品の固定を希望するユーザは、駅や空港などの交通施設、ショッピングモーなどの商業施設、または路上などを走行する移動体30を一時停止させ、錠部120に集荷物Sを固定する。
【0114】
図6には、あるユーザにより錠部120cに固定された商品P1が示されている。
【0115】
この場合、他のユーザは、移動体30を一時停止させ、商品P1に設定された金額を支払うことにより、錠部120cを解錠し、商品P1を購入できてよい。
【0116】
また、他のユーザは、利用されていない、錠部120a、120b、または120dに自身の商品Pを固定することも可能である。
【0117】
このように、本実施形態に係るシステム1によれば、商品Pの預かりと販売を人手によらず実現することが可能となる。
【0118】
これによれば、例えば、生産者による商品Pの出荷から、遠隔地への商品Pの配送および販売までを自動化することもでき、商品Pの販売を希望するユーザ、および商品Pの購入を希望するユーザの両方に利点をもたらすことができる。
【0119】
続いて、図7を用いて、商品Pを一時的に固定する場合における錠装置10の動作の流れについて説明する。
【0120】
図7は、商品Pを一時的に固定する場合における錠装置10の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【0121】
図7に示す一例の場合、まず、制御部110が、錠部120に商品Pを固定するユーザの操作に基づいて、対応する錠部120を施錠する処理を行う(S302)。
【0122】
次に、制御部110は、ステップS302において錠部120に商品Pを固定したユーザによる、商品Pの価格設定の受け付けを行う(S304)。
【0123】
なお、ステップS304におけるユーザによる商品Pの価格設定は、モバイル端末20の操作受付部220を用いて行われてもよいし、錠装置10に備えられる操作受付部を用いて行われてもよい。
【0124】
その後、制御部110は、商品Pの購入を希望するユーザによる支払いを受け付ける(S306)。
【0125】
ステップS306におけるユーザによる支払いは、モバイル端末20の操作受付部220を用いて行われてもよい。
【0126】
一方、ステップS306におけるユーザによる支払いは、電子マネーによる支払いに対応したICカードが用いられてもよい。この場合、錠装置10の無線通信部130は、NFC(Near Field Communication)に準拠した無線通信を行ってもよい。
【0127】
次に、制御部110は、錠部120に固定された商品Pに対する支払いが完了したことに基づいて、対応する錠部120が解錠するように制御を行う(S308)。
【0128】
<2.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0129】
例えば、上記実施形態においては、錠装置10が、預かり物を一時固定する場合には固定的に設され、集荷物または商品を一時固定する場合には移動体30に搭載される場合を例示した。
【0130】
しかし、上記はあくまで一例である。錠装置10は、預かり物を一時固定する場合において移動体30に搭載されてもよいし、集荷物または商品を一時固定する場合において固定的に設置されてもよい。
【0131】
また、例えば、上記実施形態においては、錠装置10に固定される物体として、預かり物、集荷物、商品などの物品を挙げたが、錠装置10に固定される物体は、例えば、人やペットなどであってもよい。
【0132】
この場合、錠装置10の錠部120は、例えば、シートベルトの固定と解除に用いられてもよい。このような構成によれば、例えば、幼児や高齢者、ペットなど自身によるシートベルトの操作が困難な者や、適切ではない場面においてシートベルトを解除してしまう可能性がある者を目的地まで安全に送り届けることなどが可能となる。
【0133】
また、本明細書において説明した各装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部又は外部に設けられる記録媒体(非一時的な媒体:non-transitory media)に予め格納される。そして、各プログラムは、例えば、コンピュータによる実行時にRAMに読み込まれ、CPUなどのプロセッサにより実行される。上記記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【符号の説明】
【0134】
10:錠装置、110:制御部、120:錠部、130:無線通信部、140:固定スペース、20:モバイル端末、210:制御部、220:操作受付部、230:表示部、240:無線通信部、30:移動体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7