(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】磁気記録装置及び磁気記録方法
(51)【国際特許分類】
G11B 5/31 20060101AFI20240502BHJP
G11B 5/02 20060101ALI20240502BHJP
G11B 5/39 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
G11B5/31 A
G11B5/31 E
G11B5/02 R
G11B5/39
G11B5/02 U
(21)【出願番号】P 2020190702
(22)【出願日】2020-11-17
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】首藤 浩文
(72)【発明者】
【氏名】永澤 鶴美
(72)【発明者】
【氏名】高岸 雅幸
(72)【発明者】
【氏名】成田 直幸
(72)【発明者】
【氏名】前田 知幸
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 仁志
【審査官】川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-149737(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0362744(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0325902(US,A1)
【文献】特開2020-047336(JP,A)
【文献】特開2013-048002(JP,A)
【文献】特開2014-120190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/31
G11B 5/02
G11B 5/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1磁極と、第2磁極と、磁気素子と、コイルと、を含む磁気ヘッドであって、前記磁気素子は、前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられ、前記磁気素子は、第1磁性層を含む、前記磁気ヘッドと、
前記コイルにコイル電流を供給可能な第1回路と、
前記磁気素子に素子電流を供給可能な第2回路と、
前記磁気素子の電気抵抗を検出可能な第3回路と、
前記第3回路で検出された前記電気抵抗に基づいて、前記第2回路を制御して、前記素子電流を制御可能な制御部と、
を備え
、
第1動作において、第1時刻に前記コイル電流の極性が変化し、
前記第1動作において、前記第2回路は、第2時刻よりも前に前記素子電流を第1値とし、前記第2回路は、前記第2時刻に前記素子電流を前記第1値とは異なる第2値に変化させ、前記第2時刻の後の第3時刻に前記素子電流を前記第1値に変化させ、
前記第1動作において、前記制御部は、前記第3回路で検出された前記電気抵抗に基づいて、前記第2回路を制御して、前記第2時刻、前記第3時刻、前記第1値及び前記第2値の少なくともいずれかを制御することが可能であり、
前記第1動作において、前記第2回路は、前記第2時刻の前の第4時刻に前記素子電流を前記第1値とは異なり前記第2値とも異なる第3値に変化させ、前記第4時刻の後で前記第2時刻以前の第5時刻に前記素子電流を前記第2値に向けて変化させ、
前記第1動作において、前記制御部は、前記第3回路で検出された前記電気抵抗に基づいて、前記第2回路を制御して、前記第2時刻、前記第3時刻、前記第4時刻、前記第5時刻、前記第1値、前記第2値及び前記第3値の少なくともいずれかを制御することが可能であり、
前記第1値は、前記第3値と前記第2値との間であり、
前記第1値と前記第2値との差の絶対値は、前記第1値と前記第3値との差の絶対値よりも大きい、磁気記録装置。
【請求項2】
第1磁極と、第2磁極と、磁気素子と、コイルと、を含む磁気ヘッドであって、前記磁気素子は、前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられ、前記磁気素子は、第1磁性層を含む、前記磁気ヘッドの前記コイルにコイル電流を供給し、前記磁気素子に素子電流を供給し、前記磁気素子の電気抵抗を検出し、
前記磁気素子の前記電気抵抗を検出した結果に基づいて、前記素子電流を制御
し、
第1時刻に前記コイル電流の極性が変化し、
第2時刻よりも前に前記素子電流を第1値とし、
前記第2時刻に前記素子電流を前記第1値とは異なる第2値に変化させ、
前記第2時刻の後の第3時刻に前記素子電流を前記第1値に変化させ、
前記磁気素子の前記電気抵抗を検出した前記結果に基づいて、前記第2時刻、前記第3時刻、前記第1値及び前記第2値の少なくともいずれかを制御し、
前記第2時刻の前の第4時刻に前記素子電流を前記第1値とは異なり前記第2値とも異なる第3値に変化させ、前記第4時刻の後で前記第2時刻以前の第5時刻に前記素子電流を前記第2値に向けて変化させ、
前記検出した前記電気抵抗に基づいて、前記第2時刻、前記第3時刻、前記第4時刻、前記第5時刻、前記第1値、前記第2値及び前記第3値の少なくともいずれかを制御し、
前記第1値は、前記第3値と前記第2値との間であり、
前記第1値と前記第2値との差の絶対値は、前記第1値と前記第3値との差の絶対値よりも大きい、磁気記録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気記録装置及び磁気記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ヘッドを用いて、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記録媒体に情報が記録される。磁気記録装置において、記録能力の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、記録能力を向上できる磁気記録装置及び磁気記録方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、磁気記録装置は、磁気ヘッドと、第1回路と、第2回路と、第3回路と、制御部と、を含む。前記磁気ヘッドは、第1磁極と、第2磁極と、磁気素子と、コイルと、を含む。前記磁気素子は、前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられる。前記磁気素子は、第1磁性層を含む。前記第1回路は、前記コイルにコイル電流を供給可能である。前記第2回路は、前記磁気素子に素子電流を供給可能である。前記第3回路は、前記磁気素子の電気抵抗を検出可能である。前記制御部は、前記第3回路で検出された前記電気抵抗に基づいて、前記第2回路を制御して、前記素子電流を制御可能である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式図である。
【
図3】
図3(a)~
図3(d)は、第1実施形態に係る磁気記録装置における動作を例示する模式図である。
【
図4】
図4(a)及び
図4(b)は、第1実施形態に係る磁気記録装置における動作を例示する模式図である。
【
図5】
図5(a)~
図5(e)は、第1実施形態に係る磁気記録装置における動作を例示する模式図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る磁気記録装置の特性を例示するグラフ図である。
【
図7】
図7(a)及び
図7(b)は、第1実施形態に係る磁気記録装置における動作を例示する模式図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る磁気記録装置における動作を例示するフローチャート図である。
【
図9】
図9(a)及び
図9(b)は、第1実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的断面図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る磁気記録方法を例示するフローチャート図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的斜視図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的斜視図である。
【
図14】
図14(a)及び
図14(b)は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
図2は、第1実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式図である。
図1及び
図2に示すように、実施形態に係る磁気記録装置210は、磁気ヘッド110と、第1回路51と、第2回路52と、第3回路53と、制御部54と、を含む。
【0009】
図1に示すように、磁気ヘッド110は、第1磁極31と、第2磁極32と、磁気素子20と、コイル30cと、を含む。
【0010】
図1に示すように、磁気ヘッド110において、シールド33がさらに設けられても良い。第1磁極31、第2磁極32、磁気素子20、コイル30c及びシールド33は、記録部60に含まれる。後述するように、磁気ヘッド110に再生部が設けられても良い。
【0011】
シールド33と第2磁極32との間に、第1磁極31が設けられる。例えば、コイル30cの少なくとも一部は、第1磁極31と第2磁極32との間に設けられる。この例では、コイル30cの一部は、シールド33と第1磁極31との間に設けられる。
【0012】
コイル30cに第1回路51が電気的に接続される。第1回路51は、コイル30cにコイル電流Iwを供給可能である。記録動作において、コイル電流Iwは、例えば、記録電流である。第1磁極31から記録電流に応じた磁界(記録磁界)が生じる。記録磁界が磁気記録媒体80に加わり、磁気記録媒体80に情報が記録される。このように、第1回路51は、記録される情報に対応した記録電流をコイル30cに供給可能である。例えば、磁気記録媒体80は、垂直磁気記録媒体である。
【0013】
図1に示すように、第1コイル端子C1及び第2コイル端子C2が設けられても良い。これらの端子は、コイル30cと電気的に接続される。例えば、第1回路51は、これらの端子を介して、コイル30cにコイル電流Iw(例えば記録電流)を供給する。
【0014】
図1に示すように、磁気素子20は、第1磁極31と第2磁極32との間に設けられる。磁気素子20は、第1磁性層21を含む。
【0015】
図1に示すように、例えば、第1磁極31、第2磁極32、シールド33、コイル30c、及び、磁気素子20の周りに、絶縁部30iが設けられる。
【0016】
第1磁極31は、例えば、主磁極である。第1磁極31の端部に、磁極面30Fが設けられる。磁極面30Fは、例えば、磁気ヘッド110のABS(Air Bearing Surface)に沿う。磁極面30Fが、磁気記録媒体80に対向する。
【0017】
磁極面30Fに対して垂直な方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0018】
Z軸方向は、例えば、ハイト方向である。X軸方向は、例えば、ダウントラック方向である。Y軸方向は、クロストラック方向である。
【0019】
例えば、磁極面30Fの近傍において、第2磁極32は、X軸方向に沿って、第1磁極31から離れる。X軸方向に実質的に沿って、磁気ヘッド110と磁気記録媒体80とが、相対的に移動する。これにより、磁気記録媒体80の任意の位置に、情報が記録される。
【0020】
第2磁極32は、例えば、「trailing shield」に対応する。シールド33は、例えば、「leading shield」に対応する。第2磁極32は、例えば、補助磁極である。第2磁極32は、第1磁極31とともに、磁気コアを形成可能である。例えば、サイドシールド(図示しない)などの追加のシールドが設けられても良い。
【0021】
図1に示すように、第2回路52は、磁気素子20に素子電流Idを供給可能である。
【0022】
例えば、磁気素子20は、第1磁極31及び第2磁極32と電気的に接続されても良い。この場合、第1磁極31及び第2磁極32を介して、素子電流Idが磁気素子20に供給されても良い。
【0023】
図1に示すように、第1配線W1及び第2配線W2が設けられても良い。第1配線W1は、第1磁極31と電気的に接続される。第2配線W2は、第2磁極32と電気的に接続される。第1端子T1及び第2端子T2が設けられても良い。第1端子T1は、第1配線W1を介して、第1磁極31と電気的に接続される。第2端子T2は、第2配線W2を介して第2磁極32と電気的に接続される。
【0024】
例えば、第1端子T1、第1配線W1、第2配線W2及び第2端子T2を介して、第2回路52から素子電流Idが、第1磁極31及び第2磁極32に供給される。
【0025】
実施形態においては、磁気素子20に素子電流Idが流れることで、第1磁極31から出る磁界を磁気記録媒体80に効率良く向かわせることができる。例えば、素子電流Idにより、第1磁性層21の磁化の向きが、第1磁極31から出る磁界に対して反転する。第1磁極31から出る磁界が第1磁性層21を通り難くなる。その結果、磁界が磁気記録媒体80に向かい易くなる。これにより、磁界が磁気記録媒体80に効率良く印加される。このような動作により、記録密度を向上できる。
【0026】
後述するように、磁気素子20は、第2磁性層を含んでも良い。この場合、素子電流Idが磁気素子20に供給されることで、例えば、磁気素子20が発振する。磁気素子20は、STO(Spin Torque Oscillator)として機能する。発振に伴い、磁気素子20から交流磁界(例えば高周波磁界)が発生する。磁気素子20で発生した交流磁界が磁気記録媒体80に印加され、磁気記録媒体80への記録がアシストされる。例えば、MAMR(Microwave Assisted Magnetic Recording)が実施可能である。この場合も、記録密度を向上できる。
【0027】
第3回路53(
図2参照)は、磁気素子20の電気抵抗を検出可能である。第3回路53は、例えば、第1端子T1及び第2端子T2と電気的に接続される。第3回路53は、第2回路52の少なくとも一部を介して、磁気素子20の電気抵抗、及び、磁気素子20の電気抵抗の変化の少なくともいずれかを検出可能でもよい。第3回路53は、磁気素子20から得られる電気信号SigRを検出する。第3回路53は電気信号SigRから、磁気素子20の電気抵抗を検出できる。
【0028】
上記のように、1つの例において、素子電流Idにより、第1磁性層21の磁化の向きが、第1磁極31から出る磁界に対して反転する。これに伴い、磁気素子20の電気抵抗が変化する。別の例において、例えば、素子電流Idにより、第1磁性層21の磁化が発振する。素子電流Idにより磁気素子20の電気抵抗が変化する。電気抵抗(または電気抵抗の変化)を検出することで、磁気素子20における磁気的な状態に関する情報が得られる。例えば、磁気素子20における磁化の反転の状態が把握できる。例えば、磁気素子20における磁化の発振の状態が把握できる。
【0029】
制御部54は、第3回路53で検出された電気抵抗に基づいて、第2回路52を制御して、素子電流Idを制御可能である。
【0030】
例えば、制御部54は、電気抵抗が高くなるように、素子電流Idを制御する。例えば、磁気素子20の磁化が反転すると、磁気素子20の電気抵抗は、磁気素子20の磁化が反転する前の電気抵抗よりも高くなる。例えば、電気抵抗が最も高くなるときに、磁気素子20において、記録磁界の磁界に対して磁化の反転の程度が高い。例えば、電気抵抗が最も高くなるときに、記録磁界を磁気記録媒体80に効率良く向かわせることができる。これにより、記録密度を向上できる。記録能力を向上できる磁気記録装置を提供できる。
【0031】
図2に示すように、第3回路53(例えば検出回路)は、磁気素子20からの電気信号SigRを取得し、電気信号SigRに基づいて電気抵抗を検出する。検出された電気抵抗Rxが制御部54に供給される。制御部54は、電気抵抗Rxに基づいて、第2回路52を制御して、素子電流Idを制御する。後述するように、例えば、第3回路53が検出する電気信号SigRは、コイル電流Iwの時間的な変化に応じて、時間的に変化する。電気抵抗Rxは、時間的に変化する電気信号SigRに対応する電気抵抗の平均で良い。
【0032】
以下、コイル電流Iw及び素子電流Idの例について説明する。
【0033】
図3(a)~
図3(d)は、第1実施形態に係る磁気記録装置における動作を例示する模式図である。
これらの図の横軸は、時間tmである。
図3(a)の縦軸は、コイル電流Iwである。
図3(b)~
図3(d)の縦軸は、素子電流Idである。以下、磁気記録装置210で行われる1つの動作(第1動作)の例について説明する。既に説明したように、第1回路51によりコイル電流Iwが制御され、第2回路52により素子電流Idが制御される。
【0034】
図3(a)に示すように、第1時刻t1にコイル電流Iwの極性が変化する。例えば、コイル電流Iwは、交流電流である。この例では、交流電流は、第1周波数f1を有する。例えば、コイル電流Iwは、電流Iw-と、電流Iw+と、の間で変化する。
【0035】
図3(b)に示すように、1つの例において、素子電流Idは、第1値Lv1である。第1値Lv1は、正である。例えば、第1値Lv1が大きいと、磁化の変化が速くなり、高い性能が得やすい。第1値Lv1が過度に大きいと、磁気素子20が破壊され易くなる。例えば、素子電流Idが第1値Lv1で一定の場合について、安定した磁気素子20が維持できるための「上限値」が定められる。制御部54は、第3回路53で検出された電気抵抗Rxに基づいて、第2回路52を制御して、素子電流Idの第1値Lv1を制御可能でも良い。この場合、第1値Lv1は、上記の「上限値」以下とされる。
【0036】
図3(c)に示すように、1つの例において、第2回路52は、第2時刻t2の前に、素子電流Idを第1値Lv1とする。第2回路52は、第2時刻t2に素子電流Idを第2値Lv2に変化させる。第2値Lv2は、第1値Lv1とは異なる。
図3(b)に示す例では、第2時刻t2は第1時刻t1の後である。第2回路52は、第2時刻t2の後の第3時刻t3に、素子電流Idを第1値Lv1に変化させる。
【0037】
例えば、第2時刻t2は、実用的に、素子電流Idが、変化前の値(第1値Lv1)と、変化後の値(第2値Lv2)と、の中間の値となる時刻で良い。第3時刻t3は、素子電流Idが、変化前の値(第2値Lv2)と、変化後の値(第1値Lv1)と、の中間の値となる時刻で良い。
【0038】
素子電流Idがこのような波形である場合、第1動作において、制御部54は、第3回路53で検出された電気抵抗Rxに基づいて、第2回路52を制御して、第2時刻t2、第3時刻t3、第1値Lv1及び第2値Lv2の少なくともいずれかを制御することが可能である。
【0039】
上記の動作において、素子電流Idの時間平均は、素子電流Idが一定の場合(例えば
図3(b)の例の場合)において定められる上記の「上限値」以下とされる。素子電流Idの時間平均は、「素子電流Idが第1値Lv1である時間割合」×Lv1+「素子電流Idが第2値Lv2である時間割合」×Lv2に対応する。
図3(b)における第1値LV1と、
図3(c)における第1値Lv1と、
図3(d)における第1値Lv1とは、互いに異なって良い。
図3(c)における第2値Lv2と、
図3(d)における第2値Lv2とは、互いに異なって良い。
【0040】
第2時刻t2は、例えば、第1時刻t1を基準とする時刻である。第3時刻t3は、例えば、第1時刻t1を基準とする時刻で良い。第3時刻t3は、例えば、第2時刻t2を基準とする時刻でも良い。
【0041】
制御部54は、例えば、検出された電気抵抗Rxに基づいて、電気抵抗Rxが高くなるように、第2時刻t2、第3時刻t3、第1値Lv1及び第2値Lv2の少なくともいずれかを制御する。これにより、例えば、磁気素子20において、磁化が効果的に反転する。または、例えば、磁気素子20において、磁化が効果的に発振する。例えば、記録磁界が磁気記録媒体80に効果的に作用する。高い記録密度が得られる。
【0042】
図3(c)に示す例においても、第2回路52は、第2時刻t2よりも前に素子電流Idを第1値Lv1とし、第2時刻t2に素子電流Idを第2値Lv2に変化させ、第3時刻t3に素子電流Idを第1値Lv1に変化させる。
図3(c)に示すように、第2回路52は、さらに、第2時刻t2の前の第4時刻t4に素子電流Idを第3値Lv3に変化させる。第3値Lv3は、第1値Lv1とは異なり第2値Lv2とも異なる。第2回路52は、第4時刻t4の後で第2時刻t2以前の第5時刻t5に素子電流Idを第2値Lv2に向けて変化させ始る。
【0043】
制御部54は、例えば、検出された電気抵抗Rxに基づいて、電気抵抗Rxが高くなるように、第2時刻t2、第3時刻t3、第4時刻t4、第5時刻t5、第1値Lv1、第2値Lv2及び第3値Lv3の少なくともいずれかを制御する。これにより、例えば、磁気素子20において、磁化が効果的に反転する。または、例えば、磁気素子20において、磁化が効果的に発振する。例えば、記録磁界が磁気記録媒体80に効果的に作用する。高い記録密度が得られる。
【0044】
上記の動作において、素子電流Idの時間平均は、素子電流Idが一定の場合(例えば
図3(b)の例の場合)において定められる上記の「上限値」以下とされる。素子電流Idの時間平均は、「素子電流Idが第1値Lv1である時間割合」×「Lv1の絶対値」+「素子電流Idが第2値Lv2である時間割合」×「Lv2の絶対値」+「素子電流Idが第3値Lv3である時間割合」×「Lv3の絶対値」に対応する。
【0045】
以下、磁気素子20から得られる電気信号SigRの例について説明する。
図4(a)及び
図4(b)は、第1実施形態に係る磁気記録装置における動作を例示する模式図である。
図4(a)は、コイル電流Iwを例示している。
図4(b)は、磁気素子20から得られる電気信号SigRを例示している。電気信号SigRは、磁気素子20の電気抵抗に対応する。これらの図の横軸は、時間tmである。
図4(a)の縦軸は、コイル電流Iwである。
図4(b)の縦軸は、磁気素子20から得られる電気信号SigRである。
【0046】
図4(a)に示すように、例えば、コイル電流Iwは、第1周波数f1を有する交流電流である。
図4(b)に示すように、電気信号SigRは、第1周波数f1の2倍の第2周波数を有する。
【0047】
図4(b)に例示する特性において、電気信号SigRが相対的に低い状態ST1は、磁気素子20の磁化が反転する前の状態に対応する。電気信号SigRが相対的に高い状態ST2は、磁気素子20の磁化が反転した状態に対応する。例えば、磁気素子20の磁化が短時間で反転すると、状態ST1から状態ST2に速く移行する。既に説明したように、制御部54は第3回路53で検出された電気抵抗Rxに基づいて、第2回路52を制御する。電気抵抗Rxは、例えば、電気信号SigRの時間的な平均に応じている。例えば、電気抵抗Rxは、
図4(b)に例示する電気信号SigRを積算し、平均した値に対応しても良い。
【0048】
制御部54は、このような電気抵抗Rxに基づいて、電気抵抗Rxが高くなるように、第2時刻t2、第3時刻t3、第1値Lv1及び第2値Lv2の少なくともいずれかを制御する。磁気記録装置210において、上記のような第1値Lv1、第2値Lv2及び第3値Lv3を含む素子電流Idを用いることで、高い電気抵抗Rxが得易いことが分かった。以下、磁気素子20の電気抵抗の変化の例について説明する。
【0049】
図5(a)~
図5(e)は、第1実施形態に係る磁気記録装置における動作を例示する模式図である。
これらの図において、横軸は時間tmである。
図5(a)は、コイル電流Iwを例示している。第1時刻t1において、コイル電流Iwの極性が変化する。
図5(b)は、第1構成CF1における素子電流Idを例示している。
図5(b)に示すように、第1構成CF1において、素子電流Idは、常に第1値Lv1である。
【0050】
図5(c)は、第2構成CF2における素子電流Idを例示している。
図5(c)に示すように、第2構成CF2において、第1時刻t1と第2時刻t2との差は、0である。第2構成CF2において、第2時刻t2と第3時刻t3との差(すなわち、時間幅tw1)は、0.4nsである。
【0051】
図5(d)は、第3構成CF3及び第4構成CF4における素子電流Idを例示している。
図5(d)に示すように、第3構成CF3及び第4構成CF4において、第2時刻t2は、第1時刻t1の後である。第3構成CF3において、第1時刻t1と第2時刻t2との間の差(時間差td1)は、0.2nsである。第4構成CF4において、第1時刻t1と第2時刻t2との間の差(時間差td1)は、0.4nsである。第3構成CF3及び第4構成CF4において、第2時刻t2と第3時刻t3と差(すなわち、時間幅tw1)は、0.4nsである。
【0052】
図5(e)は、第5構成CF5における素子電流Idを例示している。
図5(e)に示すように、第5構成CF5において、第2時刻t2は、第1時刻t1の前である。第5構成CF5において、第1時刻t1と第2時刻t2との間の差(時間差td1)は、-0.2nsである。第5構成CF5において、第2時刻t2と第3時刻t3と差(すなわち、時間幅tw1)は、0.4nsである。素子電流Idの時間平均が同じ場合、
図5(b)における第1値Lv1は、
図5(c)~
図5(e)における第1値Lv1とは異なる。
【0053】
このような第1構成CF1~第5構成CF5についての電気抵抗Rxが評価される。評価において、素子電流Idの平均値(時間平均)が変更される。素子電流Idの平均値の変更は、第1値Lv1及び第2値Lv2の変更により行われる。
【0054】
図6は、第1実施形態に係る磁気記録装置の特性を例示するグラフ図である。
図6において、横軸は、素子電流Idの平均値Id_aveである。縦軸は、磁気素子20の電気抵抗Rxである。電気抵抗Rxは、時間と共に変化する電気信号SigRの時間的な平均値に対応する。
図6において、電気抵抗Rxが高いことは、磁化が効果的に変化(例えば反転)することを示す。
【0055】
図6に示すように、同じ素子電流Idの平均値Id_aveに関して、第3構成CF3及び第4構成CF4における電気抵抗Rxは、他の構成における電気抵抗Rxよりも高い。平均値Id_aveが比較的大きい場合は、第2構成CF2における電気抵抗Rxは、第1構成CF1における電気抵抗Rxよりも高い。第5構成CF5における電気抵抗Rxは、第1構成CF1における電気抵抗Rxよりも低い。
【0056】
第3構成CF3及び第4構成CF4において高い電気抵抗Rxが得られるのは、コイル電流Iwの反転によって磁極の反転が起きた直後に素子電流Idを増加させることで、磁気素子20の磁化の反転が速くなることが関係していると考えられる。
【0057】
このように、素子電流Idの波形を制御することで、高い電気抵抗Rxが得られる。制御部54によって素子電流Idを適切に制御することで、より高い電気抵抗Rxが得られ、より効果的な磁化の制御が可能になる。制御部54によって第2時刻t2、第3時刻t3、第1値Lv1及び第2値Lv2の少なくともいずれかを制御することで、より効果的な磁化の制御が可能になる。
【0058】
実施形態において、時間差td1は正であることが好ましい。コイル電流Iwの周期の1/2の期間において、第2時刻t2は第1時刻t1の後であることが好ましい。第1時刻t1と第2時刻との差は、例えば、0.1ns以上1ns以下であることが好ましい。
【0059】
図3(c)に例示した波形においても、素子電流Idの条件により、電気抵抗Rxが変化する。制御部54によって素子電流Idを適切に制御することで、より高い電気抵抗Rxが得られ、より効果的な磁化の制御が可能になる。制御部54によって第2時刻t2、第3時刻t3、第4時刻t4、第5時刻t5、第1値Lv1、第2値Lv2及び第3値Lv3の少なくともいずれかを制御することで、より効果的な磁化の制御が可能になる。
【0060】
実施形態において、例えば、コイル電流Iwの周期の1/2の期間において、素子電流Idが第1値Lv1である時間は、素子電流Idが第2値Lv2である時間よりも長い。短いパルス状の第2値Lv2により、磁化がより効果的に変化する。コイル電流Iwの周期の1/2の期間において、素子電流Idが第1値Lv1である時間は、素子電流Idが第3値Lv3である時間よりも長い。短いパルス状の第3値Lv3により、磁化がより効果的に変化する。
【0061】
図7(a)及び
図7(b)は、第1実施形態に係る磁気記録装置における動作を例示する模式図である。
これらの図は、素子電流Idの別の例を示している。これらの図において、横軸は、時間tmである。
図7(a)の縦軸は、コイル電流Iwである。
図7(b)の縦軸は、素子電流Idである。
【0062】
図7(a)に示すように、第1時刻t1にコイル電流Iwの極性が変化する。
図7(b)に示す例においても、第2回路52は、第2時刻t2よりも前に素子電流Idを第1値Lv1とする。第2回路52は、第2時刻t2に素子電流Idを第2値Lv2とする。第2時刻t2の後で第3時刻t3の前の第4時刻t4に素子電流Idを第3値Lv3に変化させる。第3時刻t3に素子電流Idを第1値Lv1に向けて変化させる。第3値Lv3は、第1値Lv1と第2値Lv2との間である。
【0063】
図7(b)に例示する波形においても、制御部54によって第2時刻t2、第3時刻t3、第4時刻t4、第1値Lv1、第2値Lv2及び第3値Lv3の少なくともいずれかを制御することで、より効果的な磁化の制御が可能になる。
【0064】
図8は、第1実施形態に係る磁気記録装置における動作を例示するフローチャート図である。
図8は、制御部54の動作、及び、制御部54の制御により行われる第2回路52及び第3回路53の動作の例を示している。
【0065】
図8に示すように、第3回路53が、磁気素子20の電気抵抗Rxを検出する(ステップS101)。制御部54は、素子電流Idの平均値Id_aveを決定する(ステップS102)。
【0066】
制御部54は、素子電流Idの第1値Lv1及び第2値Lv2を設定する(ステップS105)。制御部54は、第3値Lv3をさらに定めても良い。
【0067】
制御部54は、第2時刻t2及び第3時刻t3を設定する(ステップS106)。制御部54は、第4時刻t4をさらに定めても良い。制御部54は、第5時刻t5をさらに定めても良い。
【0068】
定めれた値及び時刻を有する第2素子電流Idについて、第3回路53は、電気抵抗Rxを検出する(ステップS210)。
【0069】
制御部54は、検出された電気抵抗Rxと、前回の検出値(前回検出された電気抵抗Rx)と、の差が定められた値(第1しきい値)以下であるかを判断する(ステップS211)。差が第1しきい値以下ではない場合、ステップS106に戻る。ステップS106において、第2時刻t2及び第3時刻t3が更新される。更新においては、決定した素子電流Idの平均値Id_aveを維持しつつ電気抵抗Rxが高くなるように、第2時刻t2及び第3時刻t3が設定される。ステップS210及びステップS211が繰り返される。
【0070】
ステップS211において、差が第1しきい値以下の場合、ステップS212に進む。ステップS212では、検出された電気抵抗Rxと、前回の検出値(前回検出された電気抵抗Rx)と、の差が定められた値(第2しきい値)以下であるかを判断する。差が第2しきい値以下ではない場合、ステップS105に戻る。ステップS105において、第1値Lv1及び第2値Lv2などの値が更新される。更新においては、決定した素子電流Idの平均値Id_aveを維持しつつ電気抵抗Rxが高くなるように、第1値Lv1及び第2値Lv2などが設定される。ステップS106~ステップS212が繰り返される。
【0071】
ステップS212において、差が第2しきい値以下であるときに、その「値」及び「時刻」において、電気抵抗Rxが実質的に最も高くなる。例えば、このような「値」及び「時刻」を有する素子電流Idにより、記録動作が行われる(ステップS220)。記録動作において、記録磁界が効率的に磁気記録媒体80に作用する。例えば、高い記録密度が得られる。記録能力を向上できる磁気記録装置が提供できる。
【0072】
図8において、ステップS105で「時刻」が設定され、ステップS106で「値」が設定されても良い。
【0073】
以下、実施形態に係る磁気記録装置210における磁気ヘッド110の例について説明する。
【0074】
図9(a)及び
図9(b)は、第1実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的断面図である。
図9(a)に示すように、磁気ヘッド110において、磁気素子20は、第1磁性層21に加えて、第1磁極側非磁性層25a及び第2磁極側非磁性層25bを含んでも良い。第1磁極側非磁性層25aは、第1磁極31と第1磁性層21との間に設けられる。第2磁極側非磁性層25bは、第1磁性層21と第2磁極32との間に設けられる。
【0075】
1つの例において、第1磁極側非磁性層25aは第1材料を含み、第2磁極側非磁性層25bは第2材料を含む。第1材料は、例えば、Ta、Pt、W、Ir、Mo、Cr、Tb、Mn及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2材料は、例えば、Cu、Ag、Au、Cr及びRuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。この場合、素子電流Idが第1値Lv1のときの素子電流Idは、第2磁極32から第1磁極31への第1向きを有する。適切な磁化反転が得られる。
【0076】
別の例において、第1磁極側非磁性層25aが上記の第2材料を含み、第2磁極側非磁性層25bが上記の第1材料を含んでも良い。この場合、素子電流Idが第1値Lv1のときの素子電流Idは、第1磁極31から第2磁極32への第2向きを有する。適切な磁化反転が得られる。
【0077】
磁気ヘッド110を含む磁気記録装置210において、制御部54が設けられなくても良い。例えば、電気抵抗Rxが高くなるように、素子電流Idの条件が設定されても良い。この場合、磁気記録装置210は、磁気ヘッド110と、コイル30cにコイル電流Iwを供給可能な第1回路51と、磁気素子20に素子電流Idを供給可能な第2回路52と、を含む。第1時刻t1にコイル電流Iwの極性が変化する。第2回路52は、第2時刻t2よりも前に素子電流Idを第1値Lv1とし、第2回路52は、第2時刻t2に素子電流Idを第1値Lv1とは異なる第2値Lv2に変化させる。第2時刻t2の後の第3時刻t3に素子電流Idを第1値Lv1に変化させる。第2時刻t2は、第1時刻t1の後であることが好ましい。
【0078】
上記の動作において、第2回路52は、第2時刻t2の前の第4時刻t4に素子電流Idを第1値Lv1とは異なり第2値Lv2とも異なる第3値Lv3に変化させても良い(
図3(c)参照)。第2回路52は、第4時刻t4の後で第2時刻t2以前の第5時刻t5に素子電流Idを第2値Lv2に向けて変化させても良い(
図3(c)参照)。例えば、第1値Lv1は、第3値Lv3と第2値Lv2との間である。
【0079】
図9(b)に示すように、磁気ヘッド111において、磁気素子20は、第1磁性層21に加えて、第2磁性層22と、第1非磁性層25nと、をさらに含む。第2磁性層22は、第1磁性層21と第1磁極31との間に設けられる。第1非磁性層25nは、第1磁性層21と第2磁性層22との間に設けられる。この場合、磁気素子20は、例えば、STO素子として機能する。
【0080】
図9(b)に示すように、磁気ヘッド111において、磁気素子20は、第1磁極側非磁性層25a及び第2磁極側非磁性層25bをさらに含んでも良い。第1磁極側非磁性層25aは、第1磁極31と第2磁性層22との間に設けられる。第2磁極側非磁性層25bは、第1磁性層21と第2磁極32との間に設けられる。
【0081】
磁気ヘッド111において、例えば、第1磁極側非磁性層25a及び第2磁極側非磁性層25bは第1材料を含み、第1非磁性層25nは第2材料を含む。第1材料は、例えば、Ta、Pt、W、Ir、Mo、Cr、Tb、Mn及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2材料は、例えば、Cu、Ag、Au、Cr及びRuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。素子電流Idが第1値Lv1のときの素子電流Idの向きは、第1磁極31から第2磁極32への第1向き、及び、第2磁極32から第1磁極31への第2向きのいずれでも良い。適切な磁化発振が得られる。
【0082】
磁気ヘッド111を含む磁気記録装置210において、制御部54が設けられなくても良い。例えば、電気抵抗Rxが高くなるように、素子電流Idの条件が設定されても良い。この場合、磁気記録装置210は、磁気ヘッド111と、第1回路51
と、第2回路52と、を含む。第2回路52は、例えば、
図3(c)に例示した素子電流Idを磁気素子20に供給する。例えば、第2回路52は、第2時刻t2よりも前に素子電流Idを第1値Lv1とする。第2回路52は、第2時刻t2に素子電流Idを第2値Lv2に変化させる。第2回路52は、第2時刻t2の後の第3時刻t3に素子電流Idを第1値Lv1に変化させる。第2回路52は、第2時刻t2の前の第4時刻t4に素子電流Idを第1値Lv1とは異なり第2値Lv2とも異なる第3値Lv3に変化させる。第2回路52は、第4時刻t4の後で第2時刻t2以前の第5時刻t5に素子電流Idを第2値Lv2に向けて変化させる。
【0083】
図9(a)及び
図9(b)に示すように、第1磁極31から第2磁極32への方向D1は、X軸方向に対して傾斜しても良い。方向D1は、磁気素子20の積層方向に対応する。X軸方向は、第1磁極31の磁極面30Fに沿う。方向D1と磁極面30Fとの間の角度を角度θ1とする。角度θ1は、例えば、15度以上30度以下である。角度θ1は、0度でも良い。
【0084】
(第2実施形態)
第2実施形態は、磁気記録方法に係る。以下では、磁気ヘッド110に関して説明する。磁気記録方法は、磁気ヘッド111に適用されても良い。
【0085】
図10は、第2実施形態に係る磁気記録方法を例示するフローチャート図である。
図10に示すように、実施形態に係る磁気記録方法において、磁気素子20の電気抵抗Rxを検出する(ステップS110)。磁気素子20は、第1磁極31、第2磁極32、磁気素子20及びコイル30cを含む磁気ヘッド110に設けられる。磁気素子20は、第1磁極31と第2磁極32との間に設けられる。磁気素子20は、第1磁性層21を含む。検出は、コイル30cにコイル電流Iwを供給し、磁気素子20に素子電流Idを供給することを含んでも良い。検出は、例えば、磁気素子20から得られる電気信号SigRの積算値の平均値の算出を含んでも良い。例えば、平均値が電気抵抗Rxに対応する。
【0086】
図10に示すように、磁気記録方法において、磁気素子20の電気抵抗Rxを検出した結果に基づいて、素子電流Idを制御する(ステップS120)。例えば、電気抵抗Rxが高くなるように素子電流Idを制御する。記録能力を向上できる磁気記録方法が提供できる。
【0087】
図3(a)に関して説明したように、第1時刻t1にコイル電流Iwの極性が変化する。
図3(b)に説明したように、第2時刻t2よりも前に素子電流Idを第1値Lv1とする。第2時刻t2に素子電流Idを第1値Lv1とは異なる第2値Lv2に変化させる。第2時刻t2の後の第3時刻t3に素子電流Idを第1値Lv1に変化させる。磁気素子20の電気抵抗Rxを検出した結果に基づいて、第2時刻t2、第3時刻t3、第1値Lv1及び第2値Lv2の少なくともいずれかを制御する。
【0088】
図3(c)に関して説明した素子電流Idが用いられても良い。例えば、第2時刻t2の前の第4時刻t4に素子電流Idを第1値Lv1とは異なり第2値Lv2とも異なる第3値Lv3に変化させる。第4時刻t4の後で第2時刻t2以前の第5時刻t5に素子電流Idを第2値Lv2に向けて変化させ。検出した電気抵抗Rxに基づいて、第2時刻t2、第3時刻t3、第4時刻t4、第5時刻t5、第1値Lv1、第2値Lv2及び第3値Lv3の少なくともいずれかを制御する。
【0089】
例えば、第1値Lv1は、第3値Lv3と第2値Lv2との間である。例えば、第1値Lv1と第2値Lv2との差の絶対値は、第1値Lv1と第3値Lv3との差の絶対値よりも大きい。例えば、第1値Lv1は、正及び負の一方である。第2値Lv2は、正及び負の他方である。例えば、第2時刻t2は、実用的に、素子電流Idの極性が変化する時刻で良い。第3時刻t3は、実用的に、素子電流Idの極性が変化する時刻で良い。
【0090】
磁気記録方法において、例えば、コイル電流Iwは、第1周波数f1を有する交流電流である。磁気素子20の電気抵抗Rxの検出は、磁気素子20から得られる電気信号SigRを検出することを含んで良い。電気信号SigRは、例えば、第1周波数f1の2倍の第2周波数を有する。例えば、電気抵抗Rxは、電気信号SigRの時間的な平均に応じている。
【0091】
実施形態に係る磁気記録方法において、
図7(b)に例示した素子電流Idが適用されても良い。
【0092】
図11は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的斜視図である。
図11に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド(例えば、磁気ヘッド110)は、磁気記録媒体80と共に用いられる。この例では、磁気ヘッド110は、記録部60及び再生部70を含む。磁気ヘッド110の記録部60により、磁気記録媒体80に情報が記録される。再生部70により、磁気記録媒体80に記録された情報が再生される。
【0093】
磁気記録媒体80は、例えば、媒体基板82と、媒体基板82の上に設けられた磁気記録層81と、を含む。磁気記録層81の磁化83が記録部60により制御される。
【0094】
再生部70は、例えば、第1再生磁気シールド72a、第2再生磁気シールド72b、及び磁気再生素子71を含む。磁気再生素子71は、第1再生磁気シールド72aと第2再生磁気シールド72bとの間に設けられる。磁気再生素子71は、磁気記録層81の磁化83に応じた信号を出力可能である。
【0095】
図11に示すように、磁気記録媒体80は、媒体移動方向85の方向に、磁気ヘッド110に対して相対的に移動する。磁気ヘッド110により、任意の位置において、磁気記録層81の磁化83に対応する情報が制御される。磁気ヘッド110により、任意の位置において、磁気記録層81の磁化83に対応する情報が再生される。
【0096】
以下、本実施形態に係る磁気記録装置の例について説明する。
図12は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
図12は、ヘッドスライダを例示している。
磁気ヘッド110(または磁気ヘッド111)は、ヘッドスライダ159に設けられる。ヘッドスライダ159は、例えばAl
2O
3/TiCなどを含む。ヘッドスライダ159は、磁気記録媒体の上を、浮上または接触しながら、磁気記録媒体に対して相対的に運動する。
【0097】
ヘッドスライダ159は、例えば、空気流入側159A及び空気流出側159Bを含む。磁気ヘッド110は、ヘッドスライダ159の空気流出側159Bの側面などに配置される。これにより、磁気ヘッド110は、磁気記録媒体の上を浮上または接触しながら磁気記録媒体に対して相対的に運動する。
【0098】
図13は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的斜視図である。
図13に示すように、実施形態に係る磁気記録装置150においては、ロータリーアクチュエータが用いられる。記録用媒体ディスク180は、スピンドルモータ180Mに設けられる。記録用媒体ディスク180は、スピンドルモータ180Mにより矢印ARの方向に回転する。スピンドルモータ180Mは、駆動装置制御部からの制御信号に応答する。本実施形態に係る磁気記録装置150は、複数の記録用媒体ディスク180を含んでも良い。磁気記録装置150は、記録媒体181を含んでもよい。記録媒体181は、例えば、SSD(Solid State Drive)である。記録媒体181には、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリが用いられる。例えば、磁気記録装置150は、ハイブリッドHDD(Hard Disk Drive)でも良い。
【0099】
ヘッドスライダ159は、記録用媒体ディスク180に記録する情報の、記録及び再生を行う。ヘッドスライダ159は、薄膜状のサスペンション154の先端に設けられる。ヘッドスライダ159の先端付近に、実施形態に係る磁気ヘッドが設けられる。
【0100】
記録用媒体ディスク180が回転すると、サスペンション154による押し付け圧力と、ヘッドスライダ159の媒体対向面(ABS)で発生する圧力と、がバランスする。ヘッドスライダ159の媒体対向面と、記録用媒体ディスク180の表面と、の間の距離が、所定の浮上量となる。実施形態において、ヘッドスライダ159は、記録用媒体ディスク180と接触しても良い。例えば、接触走行型が適用されても良い。
【0101】
サスペンション154は、アーム155(例えばアクチュエータアーム)の一端に接続されている。アーム155は、例えば、ボビン部などを含む。ボビン部は、駆動コイルを保持する。アーム155の他端には、ボイスコイルモータ156が設けられる。ボイスコイルモータ156は、リニアモータの一種である。ボイスコイルモータ156は、例えば、駆動コイル及び磁気回路を含む。駆動コイルは、アーム155のボビン部に巻かれる。磁気回路は、永久磁石及び対向ヨークを含む。永久磁石と対向ヨークとの間に、駆動コイルが設けられる。サスペンション154は、一端と他端とを含む。磁気ヘッドは、サスペンション154の一端に設けられる。アーム155は、サスペンション154の他端に接続される。
【0102】
アーム155は、ボールベアリングによって保持される。ボールベアリングは、軸受部157の上下の2箇所に設けられる。アーム155は、ボイスコイルモータ156により回転及びスライドが可能である。磁気ヘッドは、記録用媒体ディスク180の任意の位置に移動可能である。
【0103】
図14(a)及び
図14(b)は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
図14(a)は、磁気記録装置の一部の構成を例示しており、ヘッドスタックアセンブリ160の拡大斜視図である。
図14(b)は、ヘッドスタックアセンブリ160の一部となる磁気ヘッドアセンブリ(ヘッドジンバルアセンブリ:HGA)158を例示する斜視図である。
【0104】
図14(a)に示すように、ヘッドスタックアセンブリ160は、軸受部157と、ヘッドジンバルアセンブリ158と、支持フレーム161と、を含む。ヘッドジンバルアセンブリ158は、軸受部157から延びる。支持フレーム161は、軸受部157から延びる。支持フレーム161の延びる方向は、ヘッドジンバルアセンブリ158の延びる方向とは逆である。支持フレーム161は、ボイスコイルモータ156のコイル162を支持する。
【0105】
図14(b)に示すように、ヘッドジンバルアセンブリ158は、軸受部157から延びたアーム155と、アーム155から延びたサスペンション154と、を含む。
【0106】
サスペンション154の先端には、ヘッドスライダ159が設けられる。ヘッドスライダ159に、実施形態に係る磁気ヘッドが設けられる。
【0107】
実施形態に係る磁気ヘッドアセンブリ(ヘッドジンバルアセンブリ)158は、実施形態に係る磁気ヘッドと、磁気ヘッドが設けられたヘッドスライダ159と、サスペンション154と、アーム155と、を含む。ヘッドスライダ159は、サスペンション154の一端に設けられる。アーム155は、サスペンション154の他端と接続される。
【0108】
サスペンション154は、例えば、信号の記録及び再生用のリード線(図示しない)を含む。サスペンション154は、例えば、浮上量調整のためのヒーター用のリード線(図示しない)を含んでも良い。サスペンション154は、例えばスピントルク発振子用などのためのリード線(図示しない)を含んでも良い。これらのリード線と、磁気ヘッドに設けられた複数の電極と、が電気的に接続される。
【0109】
磁気記録装置150において、信号処理部190が設けられる。信号処理部190は、磁気ヘッドを用いて磁気記録媒体への信号の記録及び再生を行う。信号処理部190の入出力線は、例えば、ヘッドジンバルアセンブリ158の電極パッドに接続され、磁気ヘッドと電気的に接続される。
【0110】
本実施形態に係る磁気記録装置150は、磁気記録媒体と、実施形態に係る磁気ヘッドと、可動部と、位置制御部と、信号処理部と、を含む。可動部は、磁気記録媒体と磁気ヘッドとを離間させ、または、接触させた状態で相対的に移動可能とする。位置制御部は、磁気ヘッドを磁気記録媒体の所定記録位置に位置合わせする。信号処理部は、磁気ヘッドを用いた磁気記録媒体への信号の記録及び再生を行う。
【0111】
例えば、上記の磁気記録媒体として、記録用媒体ディスク180が用いられる。上記の可動部は、例えば、ヘッドスライダ159を含む。上記の位置制御部は、例えば、ヘッドジンバルアセンブリ158を含む。
【0112】
本実施形態に係る磁気記録装置150は、磁気記録媒体と、実施形態に係る磁気ヘッドアセンブリと、磁気ヘッドアセンブリに設けられた磁気ヘッドを用いて磁気記録媒体への信号の記録及び再生を行う信号処理部と、を含む。
【0113】
実施形態は、以下の構成(例えば技術案)を含んで良い。
(構成1)
第1磁極と、第2磁極と、磁気素子と、コイルと、を含む磁気ヘッドであって、前記磁気素子は、前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられ、前記磁気素子は、第1磁性層を含む、前記磁気ヘッドと、
前記コイルにコイル電流を供給可能な第1回路と、
前記磁気素子に素子電流を供給可能な第2回路と、
前記磁気素子の電気抵抗を検出可能な第3回路と、
前記第3回路で検出された前記電気抵抗に基づいて、前記第2回路を制御して、前記素子電流を制御可能な制御部と、
を備えた、磁気記録装置。
【0114】
(構成2)
前記制御部は、前記第3回路で検出された前記電気抵抗に基づいて、前記第2回路を制御して、前記素子電流の値を制御することが可能である、構成1記載の磁気記録装置。
【0115】
(構成3)
第1動作において、第1時刻に前記コイル電流の極性が変化し、
前記第1動作において、前記第2回路は、第2時刻よりも前に前記素子電流を第1値とし、前記第2回路は、第2時刻に前記素子電流を前記第1値とは異なる第2値に変化させ、前記第2時刻の後の第3時刻に前記素子電流を前記第1値に変化させ、
前記第1動作において、前記制御部は、前記第3回路で検出された前記電気抵抗に基づいて、前記第2回路を制御して、前記第2時刻、前記第3時刻、前記第1値及び前記第2値の少なくともいずれかを制御することが可能である、構成1記載の磁気記録装置。
【0116】
(構成4)
前記第1動作において、前記第2回路は、前記第2時刻の前の第4時刻に前記素子電流を前記第1値とは異なり前記第2値とも異なる第3値に変化させ、前記第4時刻の後で前記第2時刻以前の第5時刻に前記素子電流を前記第2値に向けて変化させ、
前記第1動作において、前記制御部は、前記第3回路で検出された前記電気抵抗に基づいて、前記第2回路を制御して、前記第2時刻、前記第3時刻、前記第4時刻、前記第5時刻、前記第1値、前記第2値及び前記第3値の少なくともいずれかを制御することが可能である、構成3記載の磁気記録装置。
【0117】
(構成5)
前記第1値は、前記第3値と前記第2値との間である、構成4記載の磁気記録装置。
【0118】
(構成6)
前記第1値と前記第2値との差の絶対値は、前記第1値と前記第3値との差の絶対値よりも大きい、構成5記載の磁気記録装置。
【0119】
(構成7)
前記磁気素子は、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第1磁極側非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁極側非磁性層と、
をさらに含む、構成1~6のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0120】
(構成8)
前記第1磁極側非磁性層が第1材料を含み前記第2磁極側非磁性層が第2材料を含む場合、前記素子電流が前記第1値のときの前記素子電流は前記第2磁極から前記第1磁極への第1向きを有し、前記第1材料は、Ta、Pt、W、Ir、Mo、Cr、Tb、Mn及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、前記第2材料は、Cu、Ag、Au、Cr及びRuよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第1磁極側非磁性層が前記第2材料を含み前記第2磁極側非磁性層が前記第1材料を含む場合、前記素子電流が前記第1値のときに前記素子電流は前記第1磁極から前記第2磁極への第2向きを有する、構成7記載の磁気記録装置。
【0121】
(構成9)
前記コイル電流は、第1周波数を有する交流電流であり、
前記第3回路は、前記磁気素子から得られる電気信号を検出し、
前記電気信号は、前記第1周波数の2倍の第2周波数を有し、
前記電気抵抗は、前記電気信号の時間的な平均に応じている、構成1~8のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0122】
(構成10)
第1磁極と、第2磁極と、磁気素子と、コイルと、を含む磁気ヘッドであって、前記磁気素子は、前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられ、前記磁気素子は、
第1磁性層と、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第1磁極側非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁極側非磁性層と、
を含み、
前記第1磁極側非磁性層は第1材料及び第2材料の一方を含み、前記第2磁極側非磁性層が前記第1材料及び前記第2材料の他方を含み、
前記第1材料は、Ta、Pt、W、Ir、Mo、Cr、Tb、Mn及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2材料は、Cu、Ag、Au、Cr及びRuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、前記磁気ヘッドと、
前記コイルにコイル電流を供給可能な第1回路と、
前記磁気素子に素子電流を供給可能な第2回路と、
備え、
第1時刻に前記コイル電流の極性が変化し、
前記第2回路は、第2時刻よりも前に前記素子電流を第1値とし、前記第2回路は、前記第2時刻に前記素子電流を前記第1値とは異なる第2値に変化させ、前記第2時刻の後の第3時刻に前記素子電流を前記第1値に変化させる、磁気記録装置。
【0123】
(構成11)
前記第1磁極側非磁性層が前記第1材料を含み前記第2磁極側非磁性層が前記第2材料を含む場合、前記素子電流が前記第1値のときに前記素子電流は前記第2磁極から前記第1磁極への第1向きを有し、
前記第1磁極側非磁性層が前記第2材料を含み前記第2磁極側非磁性層が前記第1材料を含む場合、前記素子電流が前記第1値のときに前記素子電流は前記第1磁極から前記第2磁極への第2向きを有する、構成10記載の磁気記録装置。
【0124】
(構成12)
前記第2回路は、前記第2時刻の前の第4時刻に前記素子電流を前記第1値とは異なり前記第2値とも異なる第3値に変化させ、前記第4時刻の後で前記第2時刻以前の第5時刻に前記素子電流を前記第2値に向けて変化さる、構成10または11に記載の磁気記録装置。
【0125】
(構成13)
前記第1値は、前記第3値と前記第2値との間である、構成12記載の磁気記録装置。
【0126】
(構成14)
前記第1値と前記第2値との差の絶対値は、前記第1値と前記第3値との差の絶対値よりも大きい、構成13記載の磁気記録装置。
【0127】
(構成15)
第1磁極と、第2磁極と、磁気素子と、コイルと、を含む磁気ヘッドであって、前記磁気素子は、前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられ、前記磁気素子は、
第1磁性層と、
前記第1磁性層と前記第1磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
前記第1磁極と前記第2磁性層との間に設けられた第1磁極側非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁極側非磁性層と、
を含む、前記磁気ヘッドと、
前記コイルにコイル電流を供給可能な第1回路と、
前記磁気素子に素子電流を供給可能な第2回路と、
備え、
第1時刻に前記コイル電流の極性が変化し、
前記第2回路は、第2時刻よりも前に前記素子電流を第1値とし、前記第2回路は、前記第2時刻に前記素子電流を前記第1値とは異なる第2値に変化させ、前記第2時刻の後の第3時刻に前記素子電流を前記第1値に変化させ、前記第2時刻の前の第4時刻に前記素子電流を前記第1値とは異なり前記第2値とも異なる第3値に変化させ、前記第4時刻の後で前記第2時刻以前の第5時刻に前記素子電流を前記第2値に向けて変化させる、磁気記録装置。
【0128】
(構成16)
第1磁極と、第2磁極と、磁気素子と、コイルと、を含む磁気ヘッドであって、前記磁気素子は、前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられ、前記磁気素子は、第1磁性層を含む、前記磁気ヘッドの前記コイルにコイル電流を供給し、前記磁気素子に素子電流を供給し、前記磁気素子の電気抵抗を検出し、
前記磁気素子の前記電気抵抗を検出した結果に基づいて、前記素子電流を制御する、磁気記録方法。
【0129】
(構成17)
第1時刻に前記コイル電流の極性が変化し、
第2時刻よりも前に前記素子電流を第1値とし、
前記第2時刻に前記素子電流を前記第1値とは異なる第2値に変化させ、
前記第2時刻の後の第3時刻に前記素子電流を前記第1値に変化させ、
前記磁気素子の前記電気抵抗を検出した前記結果に基づいて、前記第2時刻、前記第3時刻、前記第1値及び前記第2値の少なくともいずれかを制御する、構成16記載の磁気記録方法。
【0130】
(構成18)
前記第2時刻の前の第4時刻に前記素子電流を前記第1値とは異なり前記第2値とも異なる第3値に変化させ、前記第4時刻の後で前記第2時刻以前の第5時刻に前記素子電流を前記第2値に向けて変化させ、
前記検出した前記電気抵抗に基づいて、前記第2時刻、前記第3時刻、前記第4時刻、前記第5時刻、前記第1値、前記第2値及び前記第3値の少なくともいずれかを制御する、構成17記載の磁気記録方法。
【0131】
(構成19)
前記第1値は、前記第3値と前記第2値との間である、構成18記載の磁気記録方法。
【0132】
(構成20)
前記コイル電流は、第1周波数を有する交流電流であり、
前記磁気素子の前記電気抵抗の前記検出は、前記磁気素子から得られる電気信号を検出することを含み、
前記電気信号は、前記第1周波数の2倍の第2周波数を有し、
前記電気抵抗は、前記電気信号の時間的な平均に応じている、構成18または19に記載の磁気記録方法。
【0133】
実施形態によれば、記録能力を向上できる磁気記録装置及び磁気記録方法が提供できる。
【0134】
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0135】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、磁気記録装置に含まれる磁気ヘッド、磁極、シールド、磁気素子、磁性層、非磁性層。配線、回路及び制御部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0136】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0137】
その他、本発明の実施の形態として上述した磁気記録装置及び磁気記録方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての磁気記録装置及び磁気記録方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0138】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0139】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0140】
20…磁気素子、 21、22…第1、第2磁性層、 25a…第1磁極側非磁性層、 25b…第2磁極側非磁性層、 25n…第1非磁性層、 30F…磁極面、 30c…コイル、 30i…絶縁部、 31…第1磁極、 32…第2磁極、 33…シールド、 51~53…第1~第3回路、 54…制御部、 60…記録部、 70…再生部、 71…磁気再生素子、 72a、72b…第1、第2再生磁気シールド、 80…磁気記録媒体、 81…磁気記録層、 82…媒体基板、 83…磁化、 85…媒体移動方向、 θ1…角度、 110、111…磁気ヘッド、 150…磁気記録装置、 154…サスペンション、 155…アーム、 156…ボイスコイルモータ、 157…軸受部、 158…ヘッドジンバルアセンブリ、 159…ヘッドスライダ、 159A…空気流入側、 159B…空気流出側、 160…ヘッドスタックアセンブリ、 161…支持フレーム、 162…コイル、 180…記録用媒体ディスク、 180M…スピンドルモータ、 181…記録媒体、 190…信号処理部、 210…磁気記録装置、 AR…矢印、 C1、C2…第1、第2コイル端子、 CF1~CF5…第1~第5構成、 D1…方向、 Id…素子電流、 Id_ave…平均値、 Iw…コイル電流、 Iw-、Tw+…電流、 Lv1~Lv3…第1~第3値、 Rx…電気抵抗、 ST1、ST2…状態、 SigR…電気信号、 T1、T2…第1、第2端子、 W1、W2…第1、第2配線、 f1…第1周波数、 t1~t5…第1~第5周期、 td1…時間差、 tm…時間、 tw1…時間幅