(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】ブランク、ブランク接合体、外容器、消臭又は脱臭機能を持つゲル状組成物からなる内容物の収容体
(51)【国際特許分類】
B65D 5/54 20060101AFI20240502BHJP
A61L 9/012 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
B65D5/54 311A
A61L9/012
(21)【出願番号】P 2020198340
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000102544
【氏名又は名称】エステー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】清水 隆光
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅人
(72)【発明者】
【氏名】小野 知子
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3219281(JP,U)
【文献】特開2018-52564(JP,A)
【文献】特開2019-1549(JP,A)
【文献】実開昭53-141245(JP,U)
【文献】特開昭60-58357(JP,A)
【文献】特開平9-309182(JP,A)
【文献】特開平11-227756(JP,A)
【文献】特開2009-249011(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0226648(US,A1)
【文献】米国特許第05597115(US,A)
【文献】実開昭55-127016(JP,U)
【文献】特開2006-143220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00- 5/76
B32B 27/10
A61L 9/012
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消臭又は脱臭機能を持つゲル状組成物からなる内容物を収容する外容器を形成するための耐水紙を用いたブランクであって、
矩形の底面部と、
前記底面部の1辺に沿った第1折り曲げ予定線を介して前記底面部と連接した第1側壁部と、
前記第1側壁部を挟んで前記第1折り曲げ予定線と対向する位置に設けられた第2折り曲げ予定線を介して前記第1側壁部と連接した第1天面部と、
前記底面部を挟んで前記第1折り曲げ予定線と対向する位置に設けられた第3折り曲げ予定線を介して底面部と連接した第2側壁部と、
前記第2側壁部を挟んで前記第3折り曲げ予定線と対向する位置に設けられた第4折り曲げ予定線を介して前記第2側壁部と連接した第2天面部と、
前記第1折り曲げ予定線と直交する方向に延在する第5折り曲げ予定線を介して前記底面部と連接した第1蓋部と、
前記底面部を挟んで前記第5折り曲げ予定線と対向する位置に設けられた第6折り曲げ予定線を介して前記底面部と連接した第2蓋部と、
を備え、
前記第1天面部は、
開口された通気孔と、
前記通気孔を除く位置に設けられ前記第2天面部と接合される接合予定領域と、
を備え、
前記第2天面部は、前記第1天面部の前記通気孔と重なる切除予定部を切除可能とする切断予定線を有し、
前記耐水紙は、
紙基材層と、
前記紙基材層の前記内容物側の表面上に積層されたフッ素系コート層と、
フッ素系コート層の上に積層されたアクリル樹脂系コート層と、
を備えるブランク。
【請求項2】
請求項1に記載のブランクにおいて、
前記第2天面部の一辺に沿った第7折り曲げ予定線を介して前記第2天面部に連接する訴求片を備え、
前記訴求片は、前記切除予定部と連接していること、
を特徴とするブランク。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のブランクにおいて、
前記第1側壁部及び前記第2側壁部は、台形形状であること、
を特徴とするブランク。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれかに記載のブランクにおいて、
前記通気孔は、前記第1天面部に複数設けられ、複数の前記通気孔の総面積は、第1天面部の面積の1.5%以上4.0%以下であること、
を特徴とするブランク。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれかに記載のブランクにおいて、
前記通気孔は、前記第1天面部に複数列で互い違いに複数配置されていること、
を特徴とするブランク。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれかに記載のブランクにおいて、
前記第5折り曲げ予定線及び前記第6折り曲げ予定線に対して斜め方向に延在する第8折り曲げ予定線を有し、かつ、第9折り曲げ予定線を介して前記第1蓋部又は前記第2蓋部と連接し、かつ、第10折り曲げ予定線を介して前記第1側壁部又は前記第2側壁部と連接するウェブコーナー部を備えること、
を特徴とするブランク。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれかに記載のブランクにおいて、
前記第1側壁部と、前記第2側壁部と、前記第1蓋部と、前記第2蓋部とのうちの少なくとも1つには、前記内容物の残量を確認可能な残量確認窓が開口していること、
を特徴とするブランク。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれかに記載のブランクの一部の折り曲げ予定線を折り曲げた状態で、前記第1天面部と前記第2天面部とを前記接合予定領域において接合したブランク接合体。
【請求項9】
請求項8に記載のブランク接合体を箱状に組み立てた外容器。
【請求項10】
消臭又は脱臭機能を持つゲル状組成物からなる内容物を密封した状態で収容する内容器を請求項9に記載の外容器の内部に収容した消臭又は脱臭機能を持つゲル状組成物からなる内容物の収容体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブランク、ブランク接合体、外容器、消臭又は脱臭機能を持つゲル状組成物からなる内容物の収容体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、消臭剤又は脱臭剤として、消臭又は脱臭機能を持つゲル状組成物が知られている。このようなゲル状組成物は、例えば樹脂製のトレー状の容器と封止用のシート状部材とを用いた内容器に密封された状態で提供される場合があった。しかし、この内容器のみの形態で店頭に陳列することは、シート状部材が破損するおそれもあることから、内容器をさらに外容器内に収めて販売することが行われていた。
【0003】
また、消臭剤や芳香剤等は、内容器のシート状部材を除去した状態で利用する。そのため、ゲル状組成物が外部に露出した状態となることから、誤って手で触れてしまわないように、従来は、例えば網目状の多数の通気孔が開口された樹脂製の蓋をさらに用意して用いることが行われていた。
しかし、樹脂製の蓋は、最終的にはゴミとなって廃棄されること、また、製造コストが高額になること、等の理由から、廃止したいという要求があった。
菓子類を収容するのに好適なトップオープン型の紙カートンが特許文献1に開示されている。このような紙カートンを上記外容器と樹脂製の蓋との機能を併せ持つ形態として利用できればよいが、ゲル状組成物の内容物に適した容器ではなかった。
また、紙基材を用いた外容器もあるが、外容器に耐水性等を付与するため、紙基材の内容物側表面にPPシート等を貼り合わせている。そのため、プラスチック使用量の削減や容器の紙化といった、容器の環境負荷低減の面で課題となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、消臭又は脱臭機能を持つゲル状組成物の収容に好適なブランク、ブランク接合体、外容器、消臭又は脱臭機能を持つゲル状組成物からなる内容物の収容体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0007】
第1の発明は、消臭又は脱臭機能を持つゲル状組成物からなる内容物を収容する外容器を形成するための耐水紙を用いたブランク(101、101B)であって、矩形の底面部(11)と、前記底面部(11)の1辺に沿った第1折り曲げ予定線(L1)を介して前記底面部(11)と連接した第1側壁部(12)と、前記第1側壁部(12)を挟んで前記第1折り曲げ予定線(L1)と対向する位置に設けられた第2折り曲げ予定線(L2)を介して前記第1側壁部(12)と連接した第1天面部(13)と、前記底面部(11)を挟んで前記第1折り曲げ予定線(L1)と対向する位置に設けられた第3折り曲げ予定線(L3)を介して底面部(11)と連接した第2側壁部(14)と、前記第2側壁部(14)を挟んで前記第3折り曲げ予定線(L3)と対向する位置に設けられた第4折り曲げ予定線(L4)を介して前記第2側壁部(14)と連接した第2天面部(15)と、前記第1折り曲げ予定線(L1)と直交する方向に延在する第5折り曲げ予定線(L5)を介して前記底面部(11)と連接した第1蓋部(16)と、前記底面部(11)を挟んで前記第5折り曲げ予定線(L5)と対向する位置に設けられた第6折り曲げ予定線(L6)を介して前記底面部(11)と連接した第2蓋部(17)と、を備え、前記第1天面部(13)は、開口された通気孔(13a)と、前記通気孔(13a)を除く位置に設けられ前記第2天面部(15)と接合される接合予定領域(13b)と、を備え、前記第2天面部(15)は、前記第1天面部(13)の前記通気孔(13a)と重なる切除予定部(15b)を切除可能とする切断予定線(C1)を有し、前記耐水紙は、紙基材層と、前記紙基材層の前記内容物側の表面上に積層されたフッ素系コート層と、フッ素系コート層の上に積層されたアクリル樹脂系コート層と、を備えるブランク(101、101B)である。
【0008】
第2の発明は、第1の発明に記載のブランク(101、101B)において、前記第2天面部(15)の一辺に沿った第7折り曲げ予定線(L7)を介して前記第2天面部(15)に連接する訴求片(18)を備え、前記訴求片(18)は、前記切除予定部(15b)と連接していること、を特徴とするブランク(101、101B)である。
【0009】
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明に記載のブランク(101、101B)において、前記第1側壁部(12)及び前記第2側壁部(14)は、台形形状であること、を特徴とするブランク(101、101B)である。
【0010】
第4の発明は、第1の発明から第3の発明までのいずれかに記載のブランク(101、101B)において、前記通気孔(13a)は、前記第1天面部(13)に複数設けられ、複数の前記通気孔の総面積は、第1天面部の面積の1.5%以上4.0%以下であること、を特徴とするブランク(101、101B)である。
【0011】
第5の発明は、第1の発明から第4の発明までのいずれかに記載のブランク(101、101B)において、前記通気孔(13a)は、前記第1天面部(13)に複数列で互い違いに複数配置されていること、を特徴とするブランク(101、101B)である。
【0012】
第6の発明は、第1の発明から第5の発明までのいずれかに記載のブランク(101、101B)において、前記第5折り曲げ予定線(L5)及び前記第6折り曲げ予定線(L6)に対して斜め方向に延在する第8折り曲げ予定線(L8)を有し、かつ、第9折り曲げ予定線(L9)を介して前記第1蓋部(16)又は前記第2蓋部(17)と連接し、かつ、第10折り曲げ予定線(L10)を介して前記第1側壁部(12)又は前記第2側壁部(14)と連接するウェブコーナー部(19、20、21、22)を備えること、を特徴とするブランク(101、101B)である。
【0013】
第7の発明は、第1の発明から第6の発明までのいずれかに記載のブランク(101、101B)において、前記第1側壁部(12)と、前記第2側壁部(14)と、前記第1蓋部(16)と、前記第2蓋部(17)とのうちの少なくとも1つには、前記内容物の残量を確認可能な残量確認窓(12a、14a)が開口していること、を特徴とするブランク(101、101B)である。
【0014】
第8の発明は、第1の発明から第7の発明までのいずれかに記載のブランク(101、101B)の一部の折り曲げ予定線を折り曲げた状態で、前記第1天面部(13)と前記第2天面部(15)とを前記接合予定領域(13b)において接合したブランク接合体(102)である。
【0015】
第9の発明は、第8の発明に記載のブランク接合体(102)を箱状に組み立てた外容器(103)である。
【0016】
第10の発明は、消臭又は脱臭機能を持つゲル状組成物からなる内容物(N)を密封した状態で収容する内容器(200)を第9の発明に記載の外容器(103)の内部に収容した消臭又は脱臭機能を持つゲル状組成物からなる内容物(N)の収容体(104)である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、消臭又は脱臭機能を持つゲル状組成物の収容に好適なブランク、ブランク接合体、外容器、消臭又は脱臭機能を持つゲル状組成物からなる内容物の収容体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明によるブランク101を示す図である。
【
図2】ブランク101の一部を接合したブランク接合体102を示す図である。
【
図3】ブランク接合体102を箱状に組み立てた外容器103により内容器200を収容した収容体104を示す図である。
【
図4】収容体104を第1側壁部12側から示す側面図である。
【
図5】外容器103の状態でウェブコーナー部21付近を拡大して示す斜視図である。
【
図6】収容体104の外容器103から切除予定部15bを切除する様子を示す図である。
【
図7】外容器103内から内容器200を引き出し、フィルム材202を樹脂容器部201から引き剥がす状態を示す図である。
【
図8】フィルム材202を除去した内容器200を外容器103内へ戻した使用状態の収容体104を示す図である。
【
図9】第2実施形態のブランク101Bを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、本発明によるブランク101を示す図である。なお、
図1は、外容器103の形態において外側となる面を紙面手前側として示している。
図2は、ブランク101の一部を接合したブランク接合体102を示す図である。
図3は、ブランク接合体102を箱状に組み立てた外容器103により内容器200を収容した収容体104を示す図である。
なお、
図1から
図3を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張したり、省略したりして示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
【0021】
本実施形態では、内容器200を外容器103内に収容した収容体104と、その外容器103及びブランク接合体102と、外容器103及びブランク接合体102を組み立てる前の展開した状態であるブランク101とを説明する。また、内容器200内には、消臭又は脱臭機能を持つゲル状組成物からなる内容物Nが収容されている。
【0022】
外容器103は、後述する内容器200を収容する箱状の形態となっており、ブランク接合体102を箱状に組み立てたものである。また、ブランク接合体102は、ブランク101の一部の折り曲げ予定線(L2、L3)を折り曲げた状態で、第1天面部13と第2天面部15とを接合予定領域(13b)において接合したものである。よって、ブランク101には、ブランク接合体102及び外容器103の形態を示す形状が構成されているので、ブランク101と、ブランク接合体102と、外容器103との各部について共通する符号を付して説明する。
【0023】
本実施形態のブランク101と、ブランク接合体102と、外容器103とは、耐水紙により構成されている。ここで、耐水紙とは、防湿包装材料の透湿度試験法方法(カップ法、JIS Z0208)における透水性が3.0(g/m2・24h)以下を示す紙を指す。耐水紙の構成としては、例えば、紙基材層の内容物側の面に樹脂層が設けられた構成を例示することができ、耐水性を有する樹脂層側の面が、内容物と対向するように外容器の内側の面になる。紙基材層の内容物側の面に設けられた樹脂層は、例えば、紙基材層の表面上にフッ素系コート層、アクリル樹脂系コート層の順で積層された層構成を例示することができる。なお、紙基材層の表面は、外容器の表面となるので、適宜商品名や使用法等の表示が印刷される。
紙基材層は、樹脂層を支持する基材層であり、例えば、クラフト紙、板紙、加工紙、ミルク原紙等により構成される。紙基材層の坪量は、加工適性、強度等の観点から、160g/m2以上600g/m2以下が好ましく、230g/m2以上550g/m2以下がより好ましい。
フッ素系コート層は、撥水撥油性能を有し、フッ素系コート層の塗布量は、優れた撥水撥油性能を確保するとともに、紙の柔軟性等を保持する観点から、乾燥質量換算で0.2g/m2以上3.0g/m2以下の範囲で形成されるのが望ましい。
また、アクリル樹脂系コート層は、耐水性能を有し、アクリル樹脂系コート層の塗布量は、耐水性能を確保するとともに、紙の柔軟性等を保持する観点から、乾燥質量換算で1.5以上5.0g/m2以下の範囲にすることが好ましい。
ブランク101と、ブランク接合体102と、外容器103とは、耐水紙により構成するのは、内容器200に収容された消臭又は脱臭機能を持つゲル状組成物が使用時に発生する水分によって、外容器103が変形したり損傷したりすることを防止することが主たる目的である。また、本実施形態の収容体104は、高さが低く構成されており、安定性に優れることから、自動車等の乗り物の座席下等に設置して利用されることが想定されている。このような場合に、濡れた傘等と接触することも想定されることからも、耐水性があることが望ましい。
【0024】
ブランク101と、ブランク接合体102と、外容器103とは、いずれも、底面部11と、第1側壁部12と、第1天面部13と、第2側壁部14と、第2天面部15と、第1蓋部16と、第2蓋部17と、訴求片18と、ウェブコーナー部19、20、21、22とを備えている。
【0025】
底面部11は、矩形に形成されている。本実施形態では、長方形に構成されている。底面部11は、外容器103の状態では、底面を構成する。
【0026】
第1側壁部12は、底面部11の1辺、本実施形態では長辺の内の1辺に沿った第1折り曲げ予定線L1を介して底面部11と連接して設けられている。
図1において、折り曲げ予定線L1は、外容器103の状態では、山折りされる。よって、第1側壁部12は、外容器103の形態において、側壁部の一部を構成する。第1側壁部12の中央付近には、内容物Nの残量を確認可能な残量確認窓12aが開口している。
本実施形態の第1側壁部12は、第1折り曲げ予定線L1の方が第2折り曲げ予定線L2よりも短い、すなわち底面部11側の辺が第1天面部13側の辺よりも短い台形形状となっている。
【0027】
第1天面部13は、第1側壁部12を挟んで第1折り曲げ予定線L1と対向する位置に設けられた第2折り曲げ予定線L2を介して第1側壁部12と連接した位置に設けられている。
図1において、折り曲げ予定線L2は、外容器103の状態では、山折りされる。よって、外容器103の状態では、第1天面部13は、底面部11と対向して底面部11と略平行な天面を構成する。
第1天面部13は、複数の開口された通気孔13aを備えている。本実施形態では、第1天面部13は、3つの通気孔13aを有しており、2つの通気孔13aは、第2折り曲げ予定線L2に平行な配列方向に間隔を空けて配置されており、残る1つの通気孔13aは、先の2つの通気孔13aが並ぶ配列位置とは、ずれた配列位置において、他の2つの通気孔13aと互い違いとなる位置に配列されている。すなわち、通気孔13aは、第1天面部13に複数列で互い違いに複数配置されている。本実施形態では、通気孔13aは、第1天面部13の中央付近に寄せて配置されている。
【0028】
通気孔13aは、複数の通気孔13aの総面積が、第1天面部13の面積の1.5%以上4.0%以下であることが、ゲル状組成物による消臭効果、又は、脱臭効果を十分に発揮するために望ましい。複数の通気孔13aの総面積が、第1天面部13の面積の1.5%より小さいと、ゲル状組成物による消臭効果、又は、脱臭効果が大きく低下するからである。また、複数の通気孔13aの総面積が、第1天面部13の面積の4.0%より大きいと、ゲル状組成物の寿命が短くなり、消臭効果、又は、脱臭効果とのバランスが不適切となるからである。
【0029】
また、通気孔13aを除く位置には、第2天面部15と接合される接合予定領域13bが設けられている。本実施形態では、接合予定領域13bは、通気孔13aを挟んで2カ所に設けられている。この接合予定領域13bは、両面テープが貼付されたり、接着剤が塗布されたりして、第2天面部15が第1天面部13の上に接合される。
【0030】
第2側壁部14は、底面部11を挟んで第1折り曲げ予定線L1と対向する位置に設けられた第3折り曲げ予定線L3を介して底面部11と連接して設けられている。
図1において、第3折り曲げ予定線L3は、外容器103の状態では、山折りされる。よって、第2側壁部14は、外容器103の形態において、第1側壁部12と対向して第1側壁部12と略平行な側壁部の一部を構成する。第2側壁部14の中央付近には、内容物Nの残量を確認可能な残量確認窓14aが開口している。
【0031】
図4は、収容体104を第1側壁部12側から示す側面図である。
残量確認窓14aと、先に説明した残量確認窓12aからは、内容器200内に収容されている内容物Nが内容器200を透して確認できる。なお、内容器200は透明性を備えた樹脂容器部201と、これを密封するフィルム材202とを有しており、残量確認窓12a及び残量確認窓14aからは、樹脂容器部201を透して内容物Nが視認できる。
本実施形態の第2側壁部14は、第3折り曲げ予定線L3の方が第4折り曲げ予定線L4よりも短い、すなわち底面部11側の辺が第2天面部15側の辺よりも短い台形形状となっている。
【0032】
第2天面部15は、第2側壁部14を挟んで第3折り曲げ予定線L3と対向する位置に設けられた第4折り曲げ予定線L4を介して第2側壁部14と連接して配置されている。
図1において、第4折り曲げ予定線L4は、外容器103の状態では、山折りされる。そして、外容器103の状態では、第2天面部15は、第1天面部13よりも外側に配置され、接合予定領域13bにおいて接合される。
【0033】
第2天面部15は、非切除予定部15a、15cと、切除予定部15bとを有している。
非切除予定部15a、15cは、接合予定領域13bと重なる部位に設けられている。本実施形態では、切除予定部15bを挟んで2領域に設けられている。
切除予定部15bは、第1天面部13の通気孔13aと重なる領域に設けられている。本実施形態では、切除予定部15bは、第2天面部15の中央付近において、第4折り曲げ予定線L4に沿った方向に延在して設けられている。また、本実施形態の切除予定部15bは、第4折り曲げ予定線L4に沿った延在方向の一端側(後述の訴求片18側)が第2天面部15の端部幅と一致する幅迄広がって形成されている。したがって切除予定部15bは、一端側では第2天面部15の端部幅と一致する幅であり、他端側では、非切除予定部15a、15cに挟まれて幅が狭く構成されている。切除予定部15bは、使用する時には、手で引き上げることにより切除される。
【0034】
非切除予定部15a及び非切除予定部15cと切除予定部15bとの境界には、切除予定部15bを切除可能とする切断予定線C1が設けられている。切断予定線C1は、直線状、又は、屈曲した「くの字」状のスリット(貫通溝)が間隔を空けて並べて配置されている。スリットによって、切除予定部15bは、手作業によって容易に切除することが可能である。なお、切除予定部15bの具体的な形態は、いわゆるミシン目等、従来公知の他の切断を容易にするための構成を適宜用いることができる。
【0035】
第1蓋部16は、第1折り曲げ予定線L1と直交する方向に延在する第5折り曲げ予定線L5を介して底面部11と連接して設けられている。
図1において、第5折り曲げ予定線L5は、外容器103の状態では、山折りされる。
第1蓋部16は、第1蓋本体部16aと第1差込片16bとを備えている。
第1蓋本体部16aは、第5折り曲げ予定線L5を介して底面部11と連接して設けられている領域であり、外容器103の状態では、長手方向の端部に露出した状態で開封可能な蓋となる。
第1差込片16bは、第5折り曲げ予定線L5と対向する位置に設けられた第1蓋部折り曲げ予定線L51を介して第1蓋本体部16aと連接して設けられている。
図1において、第1蓋部折り曲げ予定線L51は、外容器103の状態では、山折りされる。よって、外容器103の状態では、第1差込片16bは、外容器103の内部に差し込まれる形態となる。また、第1蓋部折り曲げ予定線L51の両端部には、切込部C2が設けられている。この切込部C2は、第1差込片16bが外容器103の内部に差し込まれた状態、すなわち、第1蓋部16を閉じた状態では、後述のウェブコーナー部19、20と係合して、第1蓋部16が簡単には開かないように仮止め(ロック)することができる。
【0036】
第2蓋部17は、底面部11を挟んで第5折り曲げ予定線L5と対向する位置に設けられた第6折り曲げ予定線L6を介して底面部11と連接して設けられている。
図1において、第6折り曲げ予定線L6は、外容器103の状態では、山折りされる。
第2蓋部17は、第2蓋本体部17aと第2差込片17bとを備えている。
第2蓋本体部17aは、第6折り曲げ予定線L6を介して底面部11と連接して設けられている領域であり、外容器103の状態では、第1蓋本体部16aと対向する位置の長手方向の端部に露出した状態で開封可能な蓋となる。
第2差込片17bは、第6折り曲げ予定線L6と対向する位置に設けられた第2蓋部折り曲げ予定線L61を介して第2蓋本体部17aと連接して設けられている。
図1において、第2蓋部折り曲げ予定線L61は、外容器103の状態では、山折りされる。よって、外容器103の状態では、第2差込片17bは、外容器103の内部に差し込まれる形態となる。また、第2蓋部折り曲げ予定線L61の両端部には、切込部C2が設けられている。この切込部C2は、第2差込片17bが外容器103の内部に差し込まれた状態、すなわち、第2蓋部17を閉じた状態では、後述のウェブコーナー部21、22と係合して、第2蓋部17が簡単には開かないように仮止め(ロック)することができる。
【0037】
先に説明したように、本実施形態の第1側壁部12は、底面部11側の辺が第1天面部13側の辺よりも短い台形形状であり、第2側壁部14は、底面部11側の辺が第2天面部15側の辺よりも短い台形形状である。したがって、外容器103の状態で第1蓋本体部16aを閉じた状態では、第1蓋本体部16aは、底面部11に対して直交するのではなく傾いた斜面を構成する。同様に、外容器103の状態で第2蓋本体部17aを閉じた状態では、第2蓋本体部17aは、底面部11に対して直交するのではなく傾いた斜面を構成する。この構成によって、内容器200を収容した収容体104の状態で店頭等において陳列される場合に、第1蓋本体部16a又は第2蓋本体部17aを下方にして陳列台等に安定して陳列し難くすることができる。内容器200内には、ゲル状組成物からなる内容物Nが収容されているため、第1蓋本体部16a又は第2蓋本体部17aを下方にして陳列すると、内容物Nが片方へ偏ってしまうおそれがあり、望ましくない。そこで、本実施形態の外容器103は、第1蓋本体部16a又は第2蓋本体部17aを下方にして陳列しにくい構成としており、内容物Nが偏ってしまうことを防止している。
【0038】
訴求片18は、第2天面部15の一辺に沿った第7折り曲げ予定線L7を介して第2天面部15に連接して設けられている。
図1において、第7折り曲げ予定線L7は、外容器103の状態では、山折りされる。また、訴求片18は、第7折り曲げ予定線L7を介して第2天面部15に連接する他は、その位置が規制されていない。よって、訴求片は、第7折り曲げ予定線L7で折り曲げられた状態で底面部11に対して傾いた斜面となる。この構成によって、訴求片18は、店頭等において収容体104が陳列棚の下方に陳列された場合に、訴求片18に表示された商品名等を顧客から見やすく表示することができる。
【0039】
また、訴求片18は、非切除予定部15a、15cとは連接せずに、切除予定部15bと連接している。したがって、使用時に切除予定部15bを切除すると、訴求片18も切除予定部15bとともに取り除かれる。そのため、
図8に示す使用状態の収容体104においては、訴求片18が外容器103から突出しておらず、使用状態の収容体104の配置スペースを最小限にすることができる。
【0040】
ウェブコーナー部19は、第9折り曲げ予定線L9を介して第1蓋部16と連接し、かつ、第10折り曲げ予定線L10を介して第1側壁部12と連接している。また、ウェブコーナー部19の中央付近には、第5折り曲げ予定線L5に対して斜め方向に延在する第8折り曲げ予定線L8が設けられている。
【0041】
ウェブコーナー部20は、第9折り曲げ予定線L9を介して第1蓋部16と連接し、かつ、第10折り曲げ予定線L10を介して第2側壁部14と連接している。また、ウェブコーナー部20の央付近には、第5折り曲げ予定線L5に対して斜め方向に延在する第8折り曲げ予定線L8が設けられている。
【0042】
ウェブコーナー部21は、第9折り曲げ予定線L9を介して第2蓋部17と連接し、かつ、第10折り曲げ予定線L10を介して第1側壁部12と連接している。また、ウェブコーナー部21の央付近には、第6折り曲げ予定線L6に対して斜め方向に延在する第8折り曲げ予定線L8が設けられている。
【0043】
ウェブコーナー部22は、第9折り曲げ予定線L9を介して第2蓋部17と連接し、かつ、第10折り曲げ予定線L10を介して第2側壁部14と連接している。また、ウェブコーナー部22の央付近には、第6折り曲げ予定線L6に対して斜め方向に延在する第8折り曲げ予定線L8が設けられている。
【0044】
図5は、外容器103の状態でウェブコーナー部21付近を拡大して示す斜視図である。
先に説明したように、ウェブコーナー部21は、第2蓋部17を閉じたときには、切込部C2と係合して、第2蓋部17が簡単には開かないように仮止め(ロック)する。
また、
図5に示すように、第8折り曲げ予定線L8は、
図1において谷折りとなり、第9折り曲げ予定線L9と第10折り曲げ予定線L10とは、山折りとなる。そして、第2蓋部17を開放した状態であっても、各折り曲げ予定線L8、L9、L10の折り癖が残った状態となる。よって、第2蓋部17を開放した後に再度閉鎖する場合に、ウェブコーナー部21は、特に作業を行わなくても自然に所定の位置に収まることができる。したがって、収容体104を使用状態とするために一旦、第1蓋部16又は第2蓋部17を開けた後でも、ウェブコーナー部21は、正しい位置に収まり、切込部C2と係合することができる。他のウェブコーナー部19、20、22についても同様である。
【0045】
次に、内容器200内に収容されている消臭又は脱臭機能を持つゲル状組成物である内容物Nを収容した収容体104を使用状態とする方法を説明する。
図6は、収容体104の外容器103から切除予定部15bを切除する様子を示す図である。
図7は、外容器103内から内容器200を引き出し、フィルム材202を樹脂容器部201から引き剥がす状態を示す図である。
図8は、フィルム材202を除去した内容器200を外容器103内へ戻した使用状態の収容体104を示す図である。
【0046】
先ず、
図6に示すように、外容器103から切除予定部15bを訴求片18とは反対側から切除することにより、第1天面部13の通気孔13aが露出し、外容器103の内部と外部とが通気可能な状態となる。ここで、切除予定部15bを一旦切除してしまうと、もとに戻すことができないことから、開封防止の機能があり、製品のバージン性を明確にすることができる。
次に、
図7に示すように、外容器103内から内容器200を引き出し、フィルム材202を樹脂容器部201から引き剥がす。これにより、内容器200の上部が開放され、消臭又は脱臭機能を持つゲル状組成物である内容物Nが外気に触れることができる。なお、
図7では、第2蓋部17を開けているが、第1蓋部16を開けてもよい。
最後に、フィルム材202を除去した内容器200を外容器103内へ戻して、
図8に示すように、使用状態の収容体104とする。
なお、上記手順は、推奨の手順を示したものであり、例えば、切除予定部15bの切除を最後に行う等してもよいし、適宜順序は変えることができる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態によれば、外容器103は、耐水性を備えているので、ゲル状組成物の内容物Nを使用状態において収容して使用することが可能である。また、通気孔13aを備えた構成としている。したがって、従来のような内容器における樹脂製の蓋を利用せずに、内容物Nを誤って触れてしまうことを防止しながら、内容物Nを使用可能な状態で収容することができ、利便性が高く、ゲル状組成物の内容物に適した容器とすることができる。また、切除予定部15bを設けて、第2天面部15の一部のみを切除して使用する形態としたので、開封防止の機能を備えることができ、製品のバージン性を明確にすることができる。
【0048】
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態のブランク101Bを示す図である。
なお、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
第2実施形態のブランク101Bは、第1実施形態のブランク101よりも収容可能な内容器の容量が大きい外容器を構成可能なブランクである。第2実施形態のブランク101Bは、第1実施形態のブランク101とほぼ同様な形態をしているが各部のサイズが第1実施形態のブランク101よりも大きくなっており、また、通気孔13aの数が6つとなっている点が異なっている。
【0049】
第2実施形態によれば、上述の第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、第2実施形態のブランク101Bによれば、より大容量の内容物を収容可能となる。
【0050】
(実施例)
以下、具体的な実施例を挙げて説明する。
ブランク101の耐水紙の紙基材層として、坪量が315g/m2、厚さ410μmの白板紙を用意した。
この紙基材層の一方の面(内容物側の面)にフッ素系コート層を形成した。具体的には、グラビアコーターを常法によって、乾燥質量換算で0.5g/m2となるように塗工した後、乾燥させ、フッ素系コート層を形成した。
さらに、フッ素系コート層の上(内容物側の面)に、アクリル樹脂系コート層を重ねて形成し、積層した。具体的には、グラビアコーターを常法によって、乾燥質量換算で3.0g/m2となるように塗工した後、乾燥させ、アクリル樹脂系コート層を形成した。
【0051】
上記のようにして作製された耐水紙の原反から、
図1に示す形状のブランク101を切り出した。このブランク101を、樹脂層がコートされている側(
図1では、紙面裏側)を内側となるようにして折り曲げ、かつ、接合予定領域13bに接着剤を塗布し、外容器103の形態とした。
【0052】
この外容器103を用いて、実際に内容物N(脱臭機能を持つゲル状組成物)を収めた状態で、内容物Nの蒸散量を測定した。具体的には、実際の使用状態と同様に、切除予定部15bを切除した外容器103内に、内容物Nを含み、かつ、フィルム材202を剥がした内容器200を収容した。この状態で温度20~30度(室温設定は25℃)、湿度40~60%に調整した無風の環境下に14日間放置し、内容物Nを蒸散させ、内容物Nの減少量を測定することで、蒸散量とした。
比較として、樹脂製の従来品と、材料(紙)を変更した外容器103と同一形状の比較例とを用意し、内容物Nの蒸散量を測定した。
従来品は、多数の通気孔を有した樹脂製の蓋を内容器200に装着した従来から用いられている形態である。この場合、外容器は無く、内容器200の開放面を通気孔付きの蓋が覆う形態となる。この蓋の通気孔の総面積は、蓋の上面の面積の3.8%である。
比較例は、外容器103を耐水加工紙(日本製紙社製:機能性板紙TS、坪量320g/m2)で作製したものである。比較例の耐水加工紙は、用紙メーカーの抄造過程で、薬品添加等により、紙の各層に耐水性を付与している。これに対して、実施例の耐水紙は、通常の白板紙にフッ素系コート層、アクリル樹脂系コート層の塗膜を形成することにより耐水性を持たせている。すなわち、実施例の耐水紙は、コーティングによる塗膜形成という点で、比較例と相違している。
測定の結果、実施例の外容器103は、樹脂製の蓋を内容器200に装着した従来品と同等の蒸散量が得られた。耐水加工紙で作製した比較例は、従来品に比べて、170%程度の蒸散量となった。これは、比較例の耐水性では不十分であり、比較例の外容器自体が吸湿、及び、蒸散をする作用を有した結果であると推察される。
想定される使用場所での蒸散量に換算して内容物Nの使用可能日数を求めた結果、以下の通りとなり、実際の使用において、より好ましい効果を発揮する期間の調整が可能となった。
(換算蒸散量からの使用可能日数)
従来品(樹脂製の蓋):30日
比較例(耐水加工紙):18日
実施例:30日
【0053】
なお、各実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0054】
11 底面部
12 第1側壁部
12a 残量確認窓
13 第1天面部
13a 通気孔
13b 接合予定領域
14 第2側壁部
14a 残量確認窓
15 第2天面部
15a、15c 非切除予定部
15b 切除予定部
16 第1蓋部
16a 第1蓋本体部
16b 第1差込片
17 第2蓋部
17a 第2蓋本体部
17b 第2差込片
18 訴求片
19、20、21、22 ウェブコーナー部
101、101B ブランク
102 ブランク接合体
103 外容器
104 収容体
200 内容器
201 樹脂容器部
202 フィルム材