(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240502BHJP
【FI】
B41J2/01 201
B41J2/01 451
(21)【出願番号】P 2020199382
(22)【出願日】2020-12-01
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】藤本 潔
(72)【発明者】
【氏名】木村 貴俊
(72)【発明者】
【氏名】木村 昌義
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-330497(JP,A)
【文献】特開2016-64620(JP,A)
【文献】特開2016-221764(JP,A)
【文献】特開2006-102997(JP,A)
【文献】国際公開第2016/093008(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を支持する支持台と、
前記支持台に支持された媒体にインクを吐出するインクヘッドと、
媒体に印刷された調整パターンであって、双方向印刷における前記インクヘッドからのインクの着弾位置を調整するための前記調整パターンを読み取るセンサを有するセンサヘッドと、
印刷時に前記インクヘッドを走査方向に移動させ、前記調整パターンを読み取るときに前記センサヘッドを前記走査方向に移動させる移動機構と、
制御装置と、
を備え、
前記走査方向の一方から他方に向かう方向を第1方向とし、前記走査方向の他方から一方に向かう方向を第2方向とし、
前記調整パターンは、
前記走査方向に並んだ複数の第1図形と、それぞれの前記第1図形に対して前記第2方向に所定のパターン間隔だけズレて配置されると共に、前記第1図形に対して前記走査方向と交差する交差方向にズレて配置され、前記第1図形と対になる複数の第2図形と、を有する第1パターンと、
少なくとも一部が前記第1図形と前記交差方向に同じ位置に配置され、前記第1図形と対になるように、前記走査方向に並んだ複数の第3図形と、それぞれの前記第3図形に対して前記第1方向に前記パターン間隔だけズレて配置されると共に、少なくとも一部が前記第2図形と前記交差方向に同じ位置に配置され、前記第3図形と対になる複数の第4図形と、を有する第2パターンと、
を有し、
対になる前記第1図形、前記第2図形、前記第3図形および前記第4図形を調整組としたとき、前記第1方向に向かうにしたがって、前記調整組における前記第1図形と前記第2図形とを合わせた第1パターン図形と、前記第3図形と前記第4図形とを合わせた第2パターン図形とは、前記走査方向に所定の調整間隔ずつズレて配置され、
前記調整組において、前記第1パターン図形に対する前記第2パターン図形のデータ上の前記走査方向のズレを調整値としたとき、
前記制御装置は、
前記調整パターンの印刷データが記憶された記憶部と、
前記インクヘッドが前記第1方向に移動しているときに前記第1パターンを印刷し、前記インクヘッドが前記第2方向に移動しているときに前記第2パターンを印刷することで、媒体に前記調整パターンを印刷する調整パターン印刷部と、
媒体に印刷された前記調整パターンの複数の前記第1図形および複数の前記第3図形上を、前記センサヘッドが前記第1方向に移動しているときに、媒体に印刷された複数の前記第1図形および前記第3図形の位置を前記センサによって検出する第1検出部と、
媒体に印刷された前記調整パターンの複数の前記第2図形および複数の前記第4図形上を、前記センサヘッドが前記第2方向に移動しているときに、媒体に印刷された複数の前記第2図形および前記第4図形の位置を前記センサによって検出する第2検出部と、
前記第1検出部によって検出された前記第1図形および前記第3図形の位置に基づいて、前記調整組ごとに、媒体に印刷された前記第1図形と前記第3図形における前記走査方向の実際のズレである第1実ズレ量を算出する第1実ズレ量算出部と、
前記第2検出部によって検出された前記第2図形および前記第4図形の位置に基づいて、前記調整組ごとに、媒体に印刷された前記第2図形と前記第4図形における前記走査方向の実際のズレである第2実ズレ量を算出する第2実ズレ量算出部と、
複数の前記調整組における前記第1実ズレ量と前記調整値に基づいて第1近似直線を算出する第1近似直線算出部と、
複数の前記調整組における前記第2実ズレ量と前記調整値に基づいて第2近似直線を算出する第2近似直線算出部と、
前記第1近似直線と前記第2近似直線との交点における前記調整値を、双方向印刷におけるインクの着弾位置を調整するための決定調整値に決定する調整値決定部と、
を備えた、プリンタ。
【請求項2】
前記調整組において、前記第1パターン図形の形状は、前記第2パターン図形を前記走査方向で反転させた形状である、請求項1に記載されたプリンタ。
【請求項3】
前記第1図形、前記第2図形、前記第3図形および前記第4図形のそれぞれの形状は、矩形状である、請求項1または2に記載されたプリンタ。
【請求項4】
前記第1図形は、4つの辺を有し、
前記第2図形は、4つの辺を有し、
前記第3図形は、4つの辺を有し、
前記第4図形は、4つの辺を有し、
前記第1図形の各辺、前記第2図形の各辺、前記第3図形の各辺、および、前記第4図形の各辺は、それぞれ前記走査方向、または、前記交差方向に延びている、請求項3に記載されたプリンタ。
【請求項5】
前記第1実ズレ量算出部は、前記調整組において、前記第1図形の前記走査方向の一方側の端と、前記第3図形の前記走査方向の一方側の端とにおける前記走査方向の距離を前記第1実ズレ量とし、
前記第2実ズレ量算出部は、前記調整組において、前記第2図形の前記走査方向の他方側の端と、前記第4図形の前記走査方向の他方側の端とにおける前記走査方向の距離を前記第2実ズレ量とする、請求項1から4までの何れか1つに記載されたプリンタ。
【請求項6】
前記第1実ズレ量算出部は、前記調整組において、前記第1図形の前記走査方向の他方側の端と、前記第3図形の前記走査方向の他方側の端とにおける前記走査方向の距離を前記第1実ズレ量とし、
前記第2実ズレ量算出部は、前記調整組において、前記第2図形の前記走査方向の一方側の端と、前記第4図形の前記走査方向の一方側の端とにおける前記走査方向の距離を前記第2実ズレ量とする、請求項1から4までの何れか1つに記載されたプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、双方向印刷が可能なプリンタが開示されている。当該プリンタは、インクを吐出し、かつ、主走査方向に移動可能なインクヘッドを有している。主走査方向の一方から他方に向かう方向を第1方向とし、主走査方向の他方から一方に向かう方向を第2方向としたとき、双方向印刷では、インクヘッドが第1方向へ移動しているときと、第2方向へ移動しているときの両方で媒体に対して印刷が行われる。
【0003】
ところで、双方向印刷が可能なプリンタでは、インクヘッドによる第1方向への移動と第2方向への移動とにおいて、媒体の同じ位置にインクを着弾させるようにインクヘッドからインクを吐出させる場合、インクの着弾位置が主走査方向にズレることがあり得る。そこで、特許文献1には、双方向印刷におけるインクの着弾位置のズレを調整することが開示されている。
【0004】
特許文献1に開示されたプリンタでは、媒体にテストパターンを印刷する。テストパターンは、主走査方向に一定の間隔で配置された複数の第1印刷線と、第1印刷線と対になる複数の第2印刷線とから構成されている。第2印刷線は、例えば第1方向に向かうにしたがって、対になる第1印刷線に対して第1方向に1ドットピッチずつズレて印刷される。対になる第1印刷線と第2印刷線とのズレ量が補正値となる。ここで、第1印刷線は、インクヘッドが第1方向に移動しているときに印刷され、第2印刷線は、インクヘッドが第2方向に移動しているときに印刷されるものである。
【0005】
利用者は、媒体に印刷されたテストパターンを目視し、第1印刷線と第2印刷線とが主走査方向に一致する第1印刷線と第2印刷線の対を選択する。そして、選択した対の第1印刷線と第2印刷線に対応した補正値をプリンタの操作パネルで入力する。プリンタは、入力した補正値に基づいて、双方向印刷におけるインクの着弾位置の調整を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されたプリンタでは、利用者がテストパターンを目視することで、双方向印刷のインクの着弾位置の調整に関する補正値を決定していた。そのため、補正値の決定は、利用者の経験則に影響され、利用者によっては、本来選択すべき補正値を選択しないことがあり得る。その結果、双方向印刷のインクの着弾位置の調整が適切に行われないことがあった。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、双方向印刷のインクの着弾位置の調整を適切に行うことが可能なプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るプリンタは、媒体を支持する支持台と、前記支持台に支持された媒体にインクを吐出するインクヘッドと、センサヘッドと、移動機構と、制御装置とを備えている。前記センサヘッドは、媒体に印刷された調整パターンであって、双方向印刷における前記インクヘッドからのインクの着弾位置を調整するための前記調整パターンを読み取るセンサを有する。前記移動機構は、印刷時に前記インクヘッドを走査方向に移動させ、前記調整パターンを読み取るときに前記センサヘッドを前記走査方向に移動させる。前記走査方向の一方から他方に向かう方向を第1方向とし、前記走査方向の他方から一方に向かう方向を第2方向とする。前記調整パターンは、第1パターンと、第2パターンとを有する。前記第1パターンは、前記走査方向に並んだ複数の第1図形と、それぞれの前記第1図形に対して前記第2方向に所定のパターン間隔だけズレて配置されると共に、前記第1図形に対して前記走査方向と交差する交差方向にズレて配置され、前記第1図形と対になる複数の第2図形と、を有する。前記第2パターンは、少なくとも一部が前記第1図形と前記交差方向に同じ位置に配置され、前記第1図形と対になるように、前記走査方向に並んだ複数の第3図形と、それぞれの前記第3図形に対して前記第1方向に前記パターン間隔だけズレて配置されると共に、少なくとも一部が前記第2図形と前記交差方向に同じ位置に配置され、前記第3図形と対になる複数の第4図形と、を有する。対になる前記第1図形、前記第2図形、前記第3図形および前記第4図形を調整組としたとき、前記第1方向に向かうにしたがって、前記調整組における前記第1図形と前記第2図形とを合わせた第1パターン図形と、前記第3図形と前記第4図形とを合わせた第2パターン図形とは、前記走査方向に所定の調整間隔ずつズレて配置されている。前記調整組において、前記第1パターン図形に対する前記第2パターン図形のデータ上の前記走査方向のズレを調整値とする。前記制御装置は、前記調整パターンの印刷データが記憶された記憶部と、調整パターン印刷部と、第1検出部と、第2検出部と、第1実ズレ量算出部と、第2実ズレ量算出部と、第1近似直線算出部と、第2近似直線算出部と、調整値決定部と、を備えている。前記調整パターン印刷部は、前記インクヘッドが前記第1方向に移動しているときに前記第1パターンを印刷し、前記インクヘッドが前記第2方向に移動しているときに前記第2パターンを印刷することで、媒体に前記調整パターンを印刷する。前記第1検出部は、媒体に印刷された前記調整パターンの複数の前記第1図形および複数の前記第3図形上を、前記センサヘッドが前記第1方向に移動しているときに、媒体に印刷された複数の前記第1図形および前記第3図形の位置を前記センサによって検出する。前記第2検出部は、媒体に印刷された前記調整パターンの複数の前記第2図形および複数の前記第4図形上を、前記センサヘッドが前記第2方向に移動しているときに、媒体に印刷された複数の前記第2図形および前記第4図形の位置を前記センサによって検出する。前記第1実ズレ量算出部は、前記第1検出部によって検出された前記第1図形および前記第3図形の位置に基づいて、前記調整組ごとに、媒体に印刷された前記第1図形と前記第3図形における前記走査方向の実際のズレである第1実ズレ量を算出する。前記第2実ズレ量算出部は、前記第2検出部によって検出された前記第2図形および前記第4図形の位置に基づいて、前記調整組ごとに、媒体に印刷された前記第2図形と前記第4図形における前記走査方向の実際のズレである第2実ズレ量を算出する。前記第1近似直線算出部は、複数の前記調整組における前記第1実ズレ量と前記調整値に基づいて第1近似直線を算出する。前記第2近似直線算出部は、複数の前記調整組における前記第2実ズレ量と前記調整値に基づいて第2近似直線を算出する。前記調整値決定部は、前記第1近似直線と前記第2近似直線との交点における前記調整値を、双方向印刷におけるインクの着弾位置を調整するための決定調整値に決定する。
【0010】
上記プリンタによれば、調整パターンを媒体に印刷し、媒体に印刷された調整パターンにおける第1図形~第4図形の位置を、センサを使用して自動で検出し、調整組ごとに第1実ズレ量および第2実ズレ量を自動で算出する。そして、調整組ごとの第1実ズレ量と調整値に基づいて第1近似直線を算出し、調整組ごとの第2実ズレ量と調整値に基づいて第2近似直線を算出する。第1近似直線と第2近似直線との交点に対する調整値を双方向印刷におけるインクの着弾位置を調整するための決定調整値に決定する。よって、媒体に印刷された調整パターンを利用者が目視することなく、決定調整値を制御装置が自動で決定することができるため、決定調整値の決定は、利用者の経験則に影響されない。したがって、決定調整値に基づいて、双方向印刷のインクの着弾位置の調整を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】プリントヘッドの下面の構成を模式的に示す図である。
【
図3】実施形態に係るプリンタのブロック図である。
【
図4】双方向印刷の調整手順を示したフローチャートである。
【
図5】調整パターンの一例を模式的に示した図である。
【
図6】調整パターンの第1パターンの一例を模式的に示した図である。
【
図7】調整パターンの第2パターンの一例を模式的に示した図である。
【
図8】調整組G1aおよび調整組G1bの調整値と、調整組G1aと調整組G1bとの間の調整間隔を示す図である。
【
図9】第1近似直線および第2近似直線を示す図である。
【
図10】他の実施形態における第1実ズレ量および第2実ズレ量を示す図であり、調整パターンの一例を模式的に示した図である。
【
図11】他の実施形態における調整パターンの一例を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るプリンタの実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。
【0013】
図1は、本実施形態に係るプリンタ100の正面図である。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれプリンタ100の前、後、左、右、上、下を示している。符号Yは走査方向Yを示している。走査方向Yは例えば左右方向である。走査方向Yのうち一方(ここでは右方)から他方(ここでは左方)に向かう方向を第1方向Y1という。走査方向Yのうち他方から一方に向かう方向を第2方向Y2という。符号Xは搬送方向を示している。搬送方向Xは、例えば前後方向である。搬送方向Xは、平面視において走査方向Yと交差(ここでは直交)しているため、交差方向ともいう。ただし、これら方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ100の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものではない。
【0014】
プリンタ100は、インクジェット方式のプリンタである。プリンタ100は、媒体5に対して印刷を行う。媒体5は例えばロール状の記録紙であるが、媒体5を形成する材料は特に限定されない。
【0015】
図1に示すように、プリンタ100は、プリンタ本体11を備えている。プリンタ本体11は脚12に支持されている。プリンタ本体11には、操作パネル13が設けられている。操作パネル13は、プリンタ100の状態や、双方向印刷の調整に関する情報を表示する表示画面14と、操作キー15とを有する。利用者は、例えば操作キー15を操作することで、双方向印刷の調整値などを入力することができる。
【0016】
プリンタ100は、媒体5を支持するプラテン18と、プラテン18に支持された媒体5を搬送方向Xに搬送する搬送機構20を備えている。プラテン18は、支持台の一例である。搬送機構20は、例えばプラテン18に設けられたグリットローラ21と、グリットローラ21と共に媒体5を挟むピンチローラ22と、グリットローラ21に接続されたフィードモータ23とを備えている。フィードモータ23が駆動してグリットローラ21が回転することで、媒体5は搬送方向Xに搬送される。
【0017】
図1に示すように、プリンタ100は、プラテン18の上方において走査方向Yに延びたガイドレール25と、プリントヘッド26と、センサヘッド36とを備えている。プリントヘッド26は、走査方向Yに移動可能に構成されている。プリントヘッド26は、インクキャリッジ27と、複数のインクヘッド28(
図2参照)とを備えている。インクキャリッジ27は、ガイドレール25に摺動可能に係合している。
【0018】
インクヘッド28は、プラテン18に支持された媒体5に向かってインクを吐出する。
図2は、インクヘッド28の下面の構成を模式的に示す図である。インクヘッド28の数は特に限定されないが、
図2に示すように、ここでは4つである。4つのインクヘッド28は、インクキャリッジ27に支持されている。1つのインクヘッド28の下面には、インクが吐出され、かつ、搬送方向Xに並んで配置された複数のノズル29が形成されている。4つのインクヘッド28は、それぞれ色が異なるインクを吐出する。例えば各インクヘッド28は、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクなどのプロセスカラーインク、および、クリアインク、ホワイトインクなどの特色インクのうちの何れかのインクを吐出する。
【0019】
図1に示すように、センサヘッド36は、プリントヘッド26と走査方向Yに並んで配置されており、走査方向Yに移動可能に構成されている。センサヘッド36は、センサキャリッジ37と、センサ38とを有している。センサキャリッジ37は、ガイドレール25に摺動可能に係合している。
【0020】
センサ38は、センサキャリッジ37に支持されている。センサ38は、双方向印刷におけるインクヘッド28からのインクの着弾位置を調整するための調整パターンPT1(
図5参照)であって、媒体5に印刷された調整パターンPT1を読み取るためのセンサである。センサ38は、調整パターンPT1の位置を読み取るものであり、かつ、調整パターンPT1と媒体5との境界の位置を読み取るものである。センサ38の種類は、特に限定されないが、例えば光学式である。センサ38は例えばフォトセンサである。センサ38は、カラーを検出することが可能であり、例えばRGBでカラーを表現することが可能なセンサである。
【0021】
本実施形態では、プリントヘッド26とセンサヘッド36とは連結可能なものである。センサヘッド36は、プリントヘッド26と離反して単独で走査方向Yに移動可能である。プリントヘッド26は、センサヘッド36と連結し、センサヘッド36と共に走査方向Yに移動可能である。
【0022】
図1に示すように、プリンタ100は、印刷時にインクヘッド28を走査方向Yに移動させ、調整パターンPT1を読み取るときにセンサヘッド36を走査方向Yに移動させる移動機構30を備えている。移動機構30は、ガイドレール25の左右の両端部の周囲に設けられた左右のプーリ31a、31bと、左右のプーリ31a、31bに巻き掛けられたベルト32と、右のプーリ31bに接続されたキャリッジモータ33とを備えている。ベルト32には、センサヘッド36が固定されている。キャリッジモータ33が駆動することで、右のプーリ31bが回転し、ベルト32が走行する。このことで、センサヘッド36が走査方向Yに移動する。センサヘッド36にプリントヘッド26が連結されているときは、センサヘッド36と共にプリントヘッド26が走査方向Yに移動する。
【0023】
プリンタ100は、制御装置40を備えている。制御装置40は、例えばマイクロコンピュータによって構成されている。制御装置40は、例えばホストコンピュータなどの外部機器から印刷データなどを受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、上記プログラムや各種データを格納するメモリと、を備えている。なお、制御装置40は必ずしもプリンタ100の内部に設けられている必要はなく、例えばプリンタ100の外部に設置され、有線または無線を介してプリンタ100と通信可能に接続されたコンピュータなどであってもよい。
【0024】
図3は、プリンタ100のブロック図である。本実施形態では、
図3に示すように、制御装置40は、操作パネル13、搬送機構20(詳しくはフィードモータ23)、インクヘッド28、移動機構30(詳しくはキャリッジモータ33)、センサ38とそれぞれ通信可能に接続されている。制御装置40は、操作パネル13、搬送機構20、インクヘッド28、移動機構30およびセンサ38を制御可能に構成されている。
【0025】
ところで、本実施形態に係るプリンタ100は、双方向印刷が可能なものである。ここで、双方向印刷は、走査方向Yの第1方向Y1にインクヘッド28が移動しているときにインクヘッド28からインクを吐出して媒体5に印刷(以下、第1方向印刷という。)すると共に、第2方向Y2にインクヘッド28が移動しているときにインクヘッド28からインクを吐出して媒体5に印刷(以下、第2方向印刷という。)することをいう。第1方向印刷と第2方向印刷において、媒体5の同じ位置にインクを吐出しようとしたときに、インクの着弾位置について走査方向Yにズレが生じることがあり得る。この場合、例えば第2方向印刷におけるインクの吐出タイミングを調整することで、双方向印刷におけるインクの着弾位置の調整(以下、双方向印刷の調整という。)を行う。ここで、双方向印刷の調整に使用される値のことを決定調整値V30(
図9参照)という。
【0026】
本実施形態では、決定調整値V30は、制御装置40によって自動で決定される。ここでは、双方向印刷の調整を行うために、制御装置40は、
図3に示すように、記憶部42と、調整パターン印刷部44と、第1検出部46と、第2検出部47と、第1実ズレ量算出部48と、第2実ズレ量算出部49と、第1近似直線算出部50と、第2近似直線算出部51と、調整値決定部52と、調整部54とを備えている。制御装置40の各部の具体的な制御については後述する。
【0027】
次に、双方向印刷の調整の手順について
図4のフローチャートに沿って説明する。本実施形態では、例えば操作パネル13の表示画面14(
図1参照)に双方向印刷の調整を開始する開始ボタン(図示せず)が表示される。利用者は、操作キー15(
図1参照)を操作して、上記開始ボタンを押すことで、双方向印刷の調整の処理が自動で開始される。なお、双方向印刷の調整は、インクヘッド28ごとに行われるものであり、本実施形態では、インクヘッド28の数が4つであるため、双方向印刷の調整の処理(
図4のステップS101~ステップS117の処理)が4回行われる。
【0028】
まず
図4のステップS101では、
図3の調整パターン印刷部44は、
図5に示す調整パターンPT1を、プラテン18に支持された媒体5に印刷する。調整パターンPT1は、双方向印刷の調整をする際に印刷されるものである。
図5に示すように、調整パターンPT1は、第1パターンPT11と、第2パターンPT12とを有している。
【0029】
第1パターンPT11は、インクヘッド28が第1方向Y1に移動しているときに印刷されるものである。第1パターンPT11は、
図6に示すように、複数の第1図形F1と、複数の第2図形F2とを有する。第1図形F1の数は特に限定されないが、ここでは7つである。各第1図形F1は、同じ形状および同じ大きさを有している。複数の第1図形F1は、第1基準間隔SP1で走査方向Yに並んで等間隔に配置されている。複数の第1図形F1のそれぞれの前端および後端は、交差方向Xで揃っている。
【0030】
第2図形F2の数は、第1図形F1と同じ数であり、ここでは7つである。各第2図形F2は、同じ形状および同じ大きさを有している。第2図形F2は第1図形F1と対になっている。本実施形態では、対になる第1図形F1と第2図形F2とを合わせて第1パターン図形F11という。複数の第2図形F2は、第1基準間隔SP1で走査方向Yに並んで等間隔に配置されている。第2図形F2は、第1図形F1に対して第2方向Y2に所定のパターン間隔SP11だけズレて配置され、かつ、第1図形F1に対して交差方向X(ここでは前方)に所定のパターン間隔SP12だけズレて配置されている。ここで、パターン間隔SP11、SP12は、同じ長さであるが異なっていてもよい。複数の第2図形F2のそれぞれの前端および後端は、交差方向Xで揃っている。本実施形態では、対になる第2図形F2と第1図形F1とは重ならないが、一部が重なっていてもよい。
【0031】
本実施形態では、第1図形F1と第2図形F2とは、同じ形状および同じ大きさである。ここでは、第1図形F1および第2図形F2の形状は、矩形状であり、詳しくは正方形状である。第1図形F1は、4つの辺E11~E14を有しており、第2図形F2は、4つの辺E21~E24を有している。辺E11と辺E12が互いに対向し、辺E13と辺E14が互いに対向する。同様に、辺E21と辺E22が互いに対向し、辺E23と辺E24が互いに対向する。辺E11、E12、E21、E22は、交差方向Xに延びた辺であり、辺E13、E14、E23、E24は、走査方向Yに延びた辺である。
【0032】
図5に示すように、第2パターンPT12は、インクヘッド28が第2方向Y2に移動しているときに印刷されるものである。第2パターンPT12は、
図7に示すように、複数の第3図形F3と、複数の第4図形F4とを有する。第3図形F3の数および第4図形F4の数は、それぞれ第1図形F1および第2図形F2の数と同じであり、ここでは7つである。各第3図形F3は、同じ形状および同じ大きさを有しており、各第4図形F4は、同じ形状および同じ大きさを有している。
【0033】
第3図形F3は、第1図形F1と対になっており、第2図形F2とも対になっている。複数の第3図形F3は、第2基準間隔SP2で走査方向Yに並んで等間隔に配置されている。第2基準間隔SP2は、第1基準間隔SP1(
図6参照)と異なる値であり、ここでは第1基準間隔SP1よりも小さい。ただし、第2基準間隔SP2は、第1基準間隔SP1よりも大きくてもよい。複数の第3図形F3のそれぞれの前端および後端は、交差方向Xで揃っている。
【0034】
第4図形F4は、第1図形F1~第3図形F3と対になっている。本実施形態では、対になる第3図形F3と第4図形F4とを合わせて第2パターン図形F12という。複数の第4図形F4は、第2基準間隔SP2で走査方向Yに並んで等間隔に配置されている。第4図形F4は、第3図形F3に対して第1方向Y1に所定のパターン間隔SP11だけズレて配置され、かつ、第3図形F3に対して交差方向X(ここでは前方)に所定のパターン間隔SP12だけズレて配置されている。複数の第4図形F4のそれぞれの前端および後端は、交差方向Xで揃っている。本実施形態では、対になる第4図形F4と第3図形F3とは重ならないが、一部が重なっていてもよい。
【0035】
本実施形態では、
図5に示すように、第3図形F3は、少なくとも一部(ここでは全部)が第1図形F1と交差方向Xに同じ位置に配置されている。第4図形F4は、少なくとも一部(ここでは全部)が第2図形F2と交差方向Xに同じ位置に配置されている。ここでは、第3図形F3と第4図形F4とは、同じ形状および同じ大きさである。ここでは、第3図形F3および第4図形F4の形状は、矩形状であり、詳しくは正方形状である。よって、本実施形態では、第1図形F1~第4図形F4は、同じ形状および同じ大きさを有している。ただし、第1図形F1~第4図形F4は、形状が異なっていてもよいし、大きさが異なっていてもよい。
図7に示すように、第3図形F3は、4つの辺E31~E34を有しており、第4図形F4は、4つの辺E41~E44を有している。辺E31と辺E32が互いに対向し、辺E33と辺E34が互いに対向する。同様に、辺E41と辺E42が互いに対向し、辺E43と辺E44が互いに対向する。辺E31、E32、E41、E42は、交差方向Xに延びた辺であり、辺E33、E34、E43、E44は、走査方向Yに延びた辺である。
【0036】
本実施形態では、
図5に示すように、対になる第1図形F1、第2図形F2、第3図形F3および第4図形F4を調整組G1という。ここでは、7つの調整組G1が存在している。各調整組G1は、第1パターン図形F11(
図6参照)と、第2パターン図形F12(
図7参照)とを有する。各調整組G1において、第1図形F1と第3図形F3の少なくとも一部が重なる、または、第2図形F2と第4図形F4の少なくとも一部が重なる。以下の説明では、調整組G1について、左から順に符号G1a~G1gを適宜付すことにする。本実施形態では、第1方向Y1に向かうにしたがって、調整組G1において第1図形F1に対して第3図形F3は、走査方向Yに所定の調整間隔SP10(
図8参照)ずつ右方にズレている。言い換えると、第2方向Yに向かうにしたがって、調整組G1において第2図形F2に対して第4図形F4は、走査方向Yに所定の調整間隔SP10ずつ右方にズレている。更に言い換えると、調整組G1において第1パターン図形F11に対して第2パターン図形F12は、走査方向Yに所定の調整間隔SP10ずつズレて配置されている。
【0037】
本実施形態では、
図8に示すように、各調整組G1において第1パターン図形F11に対する第2パターン図形F12の走査方向Yのズレのことを調整値V10という。例えば調整値V10の絶対値は、調整組G1における第1パターン図形F11の走査方向Yの中心軸A1と、第2パターン図形F12の走査方向Yの中心軸A2との距離である。調整値V10は、第2パターン図形F12が第1パターン図形F11に対して左方にズレているときには、マイナスの値となり、右方にズレているときにはプラスの値となる。本実施形態では、
図5において、調整組G1dのように第1図形F1と第3図形F3とが重ならずに接しているとき、調整値V10が0になる。
【0038】
ここで、隣り合う調整組G1の調整値V10の差が調整間隔SP10になる。例えば
図8に示すように、調整組G1aの調整値V10aの絶対値は、調整組G1bの調整値V10bの絶対値よりも大きく、調整値V10bと調整値V10aとの差が調整間隔SP10である。調整間隔SP10は、例えば1ドットであるが、その値は特に限定されない。なお、本実施形態において、調整値V10は、データ上の値(言い換えると論理上の値)である。
【0039】
本実施形態では、制御装置40の記憶部42(
図3参照)には、
図5に示すような調整パターンPT1の印刷データが記憶されている。
図4のステップS101では、調整パターン印刷部44は、インクヘッド28が走査方向Yの第1方向Y1に移動しているときに調整パターンPT1の第1パターンPT11(
図6参照)を印刷する。調整パターン印刷部44は、インクヘッド28が走査方向Yの第2方向Y2に移動しているときに調整パターンPT1の第2パターンPT12(
図7参照)を印刷する。以上のようにして、媒体5に調整パターンPT1が印刷される。
【0040】
次に、ステップS103では、
図3の第1検出部46は、媒体5に印刷された調整パターンPT1の複数の第1図形F1および複数の第3図形F3の位置を検出する。ここでは、
図1に示すセンサ38を使用して、媒体5に印刷された第1図形F1および第3図形F3を検出する。詳しくは、第1検出部46は、搬送機構20および移動機構30を制御し、媒体5に印刷された調整パターンPT1の複数の第1図形F1および複数の第3図形F3上を、センサヘッド36が第1方向Y1に移動しているときに、媒体5に印刷された複数の第1図形F1および第3図形F3の位置をセンサ38によって検出する。ここで、媒体5に印刷された第1図形F1の上をセンサ38が通過するときに、センサ38が媒体5に対する第1図形F1の位置を読み取ることで、第1検出部46は第1図形F1の位置を検出する。また、媒体5に印刷された第3図形F3の上をセンサ38が通過するときに、センサ38が媒体5に対する第3図形F3の位置を読み取ることで、第1検出部46は第3図形F3の位置を検出する。なお、第1検出部46によって検出された複数の第1図形F1の位置、および、複数の第3図形F3の位置の情報は、記憶部42に記憶される。
【0041】
次に、
図4のステップS105では、
図3の第2検出部47は、センサ38を使用して、媒体5に印刷された調整パターンPT1の複数の第2図形F2および複数の第4図形F4の位置を検出する。詳しくは、第2検出部47は、搬送機構20および移動機構30を制御し、媒体5に印刷された複数の第2図形F2および複数の第4図形F4上を、センサヘッド36が第2方向Y2に移動しているときに、媒体5に印刷された複数の第2図形F2および第4図形F4の位置をセンサ38によって検出する。ここで、媒体5に印刷された第2図形F2の上をセンサ38が通過するときに、センサ38が媒体5に対する第2図形F2の位置を読み取ることで、第2検出部47は第2図形F2の位置を検出する。また、媒体5に印刷された第4図形F4の上をセンサ38が通過するときに、センサ38が媒体5に対する第4図形F4の位置を読み取ることで、第2検出部47は第4図形F4の位置を検出する。なお、第2検出部47によって検出された複数の第2図形F2の位置、および、複数の第4図形F4の位置の情報は、記憶部42に記憶される。
【0042】
次に、
図4のステップS107では、
図3の第1実ズレ量算出部48は、第1検出部46によって検出された第1図形F1および第3図形F3の位置に基づいて、媒体5に印刷された調整パターンPT1の調整組G1ごとに第1実ズレ量V21を算出する。第1実ズレ量V21は、調整組G1における第1図形F1と第3図形F3における走査方向Yに実際にズレた量である。第1実ズレ量算出部48によって算出された各調整組G1における第1実ズレ量V21は、記憶部42に記憶される。
【0043】
次に、
図4のステップS109では、
図3の第2実ズレ量算出部49は、第2検出部47によって検出された第2図形F2および第4図形F4の位置に基づいて、媒体5に印刷された調整パターンPT1の調整組G1ごとに第2実ズレ量V22を算出する。第2実ズレ量V22は、調整組G1における第2図形F2と第4図形F4における走査方向Yに実際にズレた量である。第2実ズレ量算出部49によって算出された各調整組G1における第2実ズレ量V22は、記憶部42に記憶される。
【0044】
なお、第1実ズレ量V21および第2実ズレ量V22を算出する方法は、特に限定されない。本実施形態では、第1実ズレ量V21は、
図5に示すように、各調整組G1において、第1図形F1の走査方向Yの一方側(ここでは右方側)の端F1aと、第3図形F3の走査方向Yの一方側の端F3aとの走査方向Yの距離によって算出される。第2実ズレ量V22は、各調整組G1において、第2図形F2の走査方向Yの他方側の端F2bと、第4図形F4の走査方向Yの他方側(ここでは左方側)の端F4bとの走査方向Yの距離によって算出される。ここでは、例えば各調整組G1の第1図形F1~第4図形F4の位置は、所定の原点に基づいた座標値によって特定される。そのため、第1実ズレ量V21は、各調整組G1において、第1図形F1の端Flaの走査方向Yの座標値(以下、Y座標値という。)と、第3図形F3の端F3aのY座標値との差になる。また、第2実ズレ量V22は、各調整組G1において、第2図形F2の走査方向Yの端F2bのY座標値と、第4図形F4の走査方向Yの端F4bのY座標値との差になる。本実施形態では、第1実ズレ量V21および第2実ズレ量V22は、0以上であり、マイナスの値は存在しない。
【0045】
本実施形態では、第1図形F1および第3図形F3の位置の検出は、センサ38が第1方向Y1、すなわち走査方向Yの一方から他方に向かう方向に移動しているときに行われる。ここでは、第1図形F1および第3図形F3の一方側の端F1a、F3aの位置は、センサ38が移動している間において、媒体5における印刷されていない部分から図形F1、F3が印刷された部分に変更されたことを検出することで得られる。そのため、本実施形態では、第1図形F1と第3図形F3とが重なっている、または、連続している調整組G1d~G1gでは、端F1a、F3aの何れかを検出することができない。よって、ここでは、調整組G1a~G1cにおける第1実ズレ量V21は算出されるが、調整組G1d~G1gにおける第1実ズレ量V21は算出されない。
【0046】
第2図形F2および第4図形F4の位置の検出は、センサ38が第2方向Y2、すなわち走査方向Yの他方から一方に向かう方向に移動しているときに行われる。ここでは、第2図形F2および第4図形F4の他方側の端F2b、F4bの位置は、センサ38が移動している間において、媒体5における印刷されていない部分から図形F2、F4が印刷された部分に変更されたことを検出することで得られる。そのため、本実施形態では、第2図形F2と第4図形F4とが重なっている、または、連続している調整組G1a~G1dでは、端F2b、F4bの何れかを検出することができない。よって、ここでは、調整組G1e~G1gにおける第2実ズレ量V22は算出されるが、調整組G1a~G1dにおける第2実ズレ量V22は算出されない。
【0047】
次に、
図4のステップS111では、
図3の第1近似直線算出部50は、各調整組G1における調整値V10と第1実ズレ量V21とに基づいて、
図9に示すような第1近似直線L1を算出する。
図9において、符号V10a~V10gは、それぞれ調整組G1a~G1gにおける調整値V10を示している。第1近似直線L1は、
図9に示すように、横軸が調整値V10であり、かつ、縦軸が実ズレ量(ここでは第1実ズレ量V21)である平面で表される。第1近似直線L1は、調整組G1(ここでは調整組G1a~G1c)の第1実ズレ量V21と、調整値V10に基づいて算出されている。第1近似直線L1は、調整値V10が大きくなるに連れて第1実ズレ量V21が大きくなる直線であり、傾きがプラスになる直線である。
【0048】
次に、
図4のステップS113では、
図3の第2近似直線算出部51は、各調整組G1における調整値V10と、第2実ズレ量V22とに基づいて、
図9に示すような第2近似直線L2を算出する。第2近似直線L2は、第1近似直線L1と同様に、横軸が調整値V10であり、かつ、縦軸が実ズレ量(ここでは第2実ズレ量V22)である平面で表される。第2近似直線L2は、調整組G1(ここでは調整組G1e~G1g)の第2実ズレ量V22と、調整値V10に基づいて算出されている。第2近似直線L2は、調整値V10が大きくなるに連れて第2実ズレ量V22が小さくなる直線であり、傾きがマイナスになる直線である。なお、第1近似直線L1および第2近似直線L2は、数式で表されることができる。第1近似直線算出部50および第2近似直線算出部51によって算出された第1近似直線L1および第2近似直線L2に関する情報は、記憶部42に記憶される。
【0049】
次に、
図4のステップS115では、
図4の調整値決定部52は、決定調整値V30を決定する。ここでは、
図9に示すように、第1近似直線L1と第2近似直線L2とは、交点P1で交差する。調整値決定部52は、上記交点P1における調整値V10を決定調整値V30とする。なお、調整値決定部52によって決定された決定調整値V30は、記憶部42に記憶される。
【0050】
次に、
図4のステップS117では、
図4の調整部54は、決定調整値V30に基づいて双方向印刷の調整を実行する。ここで、決定調整値V30の値に基づいて、インクヘッド28が第2方向Y2に移動する際の印刷におけるインクヘッド28からの吐出のタイミングを調整する。このことで、第1方向Y1における印刷におけるインクの着弾位置と、第2方向Y2における印刷におけるインクの着弾位置との走査方向Yのズレを最小限に抑えることができる。
【0051】
以上、本実施形態では、
図5に示すように、調整パターンPT1は、第1パターンPT11と、第2パターンPT12とを有している。
図6に示すように、第1パターンPT11は、走査方向Yに並んだ複数の第1図形F1と、複数の第2図形F2とを有している。複数の第2図形F2は、それぞれの第1図形F1に対して第2方向Y2に所定のパターン間隔SP11だけズレて配置されると共に、第1図形F1に対して交差方向Xにズレて配置され、第1図形F1と対になる。
図7に示すように、第2パターンPT12は、複数の第3図形F3と、複数の第4図形F4とを有している。
図5に示すように、複数の第3図形F3は、少なくとも一部が第1図形F1と交差方向Xに同じ位置に配置され、第1図形F1と対になるように、走査方向Yに並んでいる。
図7に示すように、複数の第4図形F4は、それぞれの第3図形F3に対して第1方向Y1にパターン間隔SP11だけズレて配置されると共に、
図5に示すように、少なくとも一部が第2図形F2と交差方向Xに同じ位置に配置され、第3図形F3と対になる。対になる第1図形F1、第2図形F2、第3図形F3および第4図形F4を調整組G1としたとき、第1方向Y1に向かうにしたがって、調整組G1における第1図形F1と第2図形F2とを合わせた第1パターン図形F11(
図6参照)と、第3図形F3と第4図形F4とを合わせた第2パターン図形F12(
図7参照)とは、走査方向Yに所定の調整間隔SP10(
図8参照)ずつズレて配置されている。調整組G1において、第1パターン図形F11に対する第2パターン図形F12のデータ上の走査方向Yのズレを調整値V10とする。
【0052】
このような調整パターンPT1を媒体5に印刷し、媒体5に印刷された調整パターンPT1における第1図形F1~第4図形F4の位置を、センサ38を使用して自動で検出し、調整組G1ごとに第1実ズレ量V21および第2実ズレ量V22を自動で算出する。そして、調整組G1ごとの第1実ズレ量V21と調整値V10に基づいて第1近似直線L1(
図9参照)を算出し、調整組G1ごとの第2実ズレ量V22と調整値V10に基づいて第2近似直線L2(
図9参照)を算出する。
図9に示すように、第1近似直線L1と第2近似直線L2との交点P1に対する調整値V10を双方向印刷におけるインクの着弾位置を調整するための決定調整値V30に決定する。よって、媒体5に印刷された調整パターンPT1を利用者が目視することなく、決定調整値V30を制御装置40が自動で決定することができるため、決定調整値V30の決定は、利用者の経験則に影響されない。したがって、決定調整値V30に基づいて、双方向印刷のインクの着弾位置の調整を適切に行うことができる。
【0053】
本実施形態では、
図6および
図7に示すように、調整組G1において、第1図形F1と第2図形F2とを合わせた第1パターン図形F11の形状は、第3図形F3と第4図形F4とを合わせた第2パターン図形F12を走査方向Yで反転させた形状である。このことで、第1パターン図形F11と第2パターン図形F12との形状は、同じ形状で向きを変更したものであるため、調整パターンPT1の印刷では、同じ形状のデータを繰り返し使用することができる。よって、調整パターンPT1の印刷データ量を減らすことができる。また、同じ形状の図形が走査方向Yに並ぶことになるため、調整パターンPT1を印刷するときの制御をし易い。
【0054】
本実施形態では、第1図形F1、第2図形F2、第3図形F3および第4図形F4のそれぞれの形状は、矩形状である。第1図形F1の各辺E11~E14、第2図形F2の各辺E21~E24、第3図形F3の各辺E31~E34、および、第4図形F4の各辺E41~E44は、それぞれ走査方向Yまたは交差方向Xに延びている。このことによって、第1図形F1および第3図形F3が印刷された交差方向Xの範囲内であれば、センサ38が第1方向Y1に移動するときに検出される第1図形F1の位置、および、第3図形F3の位置の結果は、同じになる。同様に、第2図形F2および第4図形F4が印刷された交差方向Xの範囲内であれば、センサ38が第2方向Y2に移動するときに検出される第2図形F2の位置、および、第4図形F4の位置の結果は、同じになる。よって、センサ38の交差方向Xの位置を厳密に決定しなくても、第1図形F1~第4図形F4のそれぞれの位置を正確に検出することができる。
【0055】
本実施形態では、
図3の第1実ズレ量算出部48は、
図5に示すように、調整組G1において、第1図形F1の走査方向Yの一方側(ここでは右方側)の端F1aと、第3図形F3の走査方向Yの一方側の端F3aとにおける走査方向Yの距離を第1実ズレ量V21とする。第2実ズレ量算出部49は、調整組G1において、第2図形F2の走査方向Yの他方側の端F2bと、第4図形F4の走査方向Yの他方側(ここでは左方側)の端F4bとにおける走査方向Yの距離を第2実ズレ量V22とする。このことによって、第1図形F1および第3図形F3の位置の検出は、センサ38が第1方向Y1、すなわち走査方向Yの一方から他方に向かう方向に移動しているときに行われる。そのため、第1図形F1および第3図形F3の一方側の端F1a、F3aは、センサ38が媒体5における印刷されていない部分から図形F1、F3が印刷された部分に移動する際に行われる。また、第2図形F2および第4図形F4の位置の検出は、センサ38が第2方向Y2、すなわち走査方向Yの他方から一方に向かう方向に移動しているときに行われる。そのため、第2図形F2および第4図形F4の他方側の端F2b、F4bは、センサ38が媒体5における印刷されていない部分から図形F2、F4が印刷された部分に移動する際に行われる。このように、センサ38が媒体5における印刷されていない部分から印刷されている部分に移動する際に検出する、第1図形F1および第3図形F3の走査方向Yの一方側の端F1a、F3aの位置と、第2図形F2および第4図形F4の走査方向Yの他方側の端F2b、F4bの位置とに基づいて、調整組G1における第1実ズレ量V21および第2実ズレ量V22が算出される。よって、より正確な第1実ズレ量V21および第2実ズレ量V22を算出することができる。
【0056】
<他の実施形態>
なお、第1実ズレ量算出部48によって算出される第1実ズレ量V21、および、第2実ズレ量算出部49によって算出される第2実ズレ量V22は、以下のように算出されてもよい。
【0057】
本実施形態では、第1実ズレ量算出部48は、
図10に示すように、各調整組G1において、第1図形F1の走査方向Yの他方側(ここでは左方側)の端F1bと、第3図形F3の走査方向Yの他方側の端F3bとにおける走査方向Yの距離を、第1実ズレ量V21Aとする。第2実ズレ量算出部49は、各調整組G1において、第2図形F2の走査方向Yの一方側の端F2aと、第4図形F4の走査方向Yの一方側(ここでは右方側)の端F4aとにおける走査方向Yの距離を、第2実ズレ量V22Aとする。
【0058】
本実施形態では、各調整組G1の第1実ズレ量V21A、第2実ズレ量V22Aおよび調整値V10に基づいて、第1近似直線L1および第2近似直線L2が算出されて、決定調整値V30が決定される。
【0059】
本実施形態であっても、第1図形F1および第3図形F3の位置の検出は、センサ38が第1方向Y1、すなわち走査方向Yの一方から他方に向かう方向に移動しているときに行われる。そのため、第1図形F1および第3図形F3の他方側(ここでは左方側)の端F1b、F3bの検出は、センサ38が媒体5における図形F1、F3が印刷された部分から印刷されていない部分に移動する際に行われる。また、第2図形F2および第4図形F4の位置の検出は、上述のように、センサ38が第2方向Y2、すなわち走査方向Yの他方から一方に向かう方向に移動しているときに行われる。そのため、第2図形F2および第4図形F4の一方側(ここでは右方側)の端F2a、F4aの検出は、センサ38が媒体5における図形F2、F4が印刷された部分から印刷されていない部分に移動する際に行われる。このように、センサ38が媒体5における印刷されている部分から印刷されていない部分に移動する際に検出する、第1図形F1および第3図形F3の走査方向Yの他方側の端F1b、F3bの位置と、第2図形F2および第4図形F4の走査方向Yの一方側の端F2a、F4aの位置とに基づいて、調整組G1における第1実ズレ量V21Aおよび第2実ズレ量V22Aが算出される。よって、より正確な第1実ズレ量V21Aおよび第2実ズレ量V22Aを算出することができる。
【0060】
また、本発明に係る第1実ズレ量および第2実ズレ量は、以下のように算出することも可能である。第1実ズレ量算出部48は、
図10に示すように、例えば調整組G1において、第1図形F1の走査方向Yの一方側の端F1aと、第3図形F3の走査方向Yの他方側の端F3bとにおける走査方向Yの距離を第1実ズレ量V21Bとしてもよい。また、第2実ズレ量算出部49は、例えば調整組G1において、第2図形F2の走査方向Yの他方側の端F2bと、第4図形F4の走査方向Yの一方側の端F4aとにおける走査方向Yの距離を第2実ズレ量V22Bとしてもよい。第1実ズレ量V21Bは、対になる第1図形F1と第3図形F3とが走査方向Yに離れている距離であり、第2実ズレ量V22Bは、対になる第2図形F2と第4図形F4とが走査方向Yに離れている距離である。
【0061】
また、第1実ズレ量算出部48は、
図10に示すように、例えば調整組G1gにおいて、第1図形F1の走査方向Yの他方側の端F1bと、第3図形F3の走査方向Yの一方側の端F3aとにおける走査方向Yの距離を第1実ズレ量V21Cとしてもよい。また、第2実ズレ量算出部49は、例えば調整組G1aにおいて、第2図形F2の走査方向Yの一方側の端F2aと、第4図形F4の走査方向Yの他方側の端F4bとにおける走査方向Yの距離を第2実ズレ量V22Cとしてもよい。第1実ズレ量V21Cは、対になる第1図形F1と第3図形F3とが重なっている部分の走査方向Yの長さであり、第2実ズレ量V22Cは、対になる第2図形F2と第4図形F4とが重なっている部分の走査方向Yの長さである。
【0062】
また、第1実ズレ量算出部48は、
図10に示すように、例えば調整組G1aにおいて、第1図形F1の走査方向Yの他方側の端F1bと、第3図形F3の走査方向Yの一方側の端F3aとにおける走査方向Yの距離を第1実ズレ量V21Dとしてもよい。また、第2実ズレ量算出部49は、例えば調整組G1gにおいて、第2図形F2の走査方向Yの一方側の端F2aと、第4図形F4の走査方向Yの他方側の端F4bとにおける走査方向Yの距離を第2実ズレ量V22Dとしてもよい。ここで、第1実ズレ量V21Dは、対になる第1図形F1と第3図形F3とを1つの図形としたときの走査方向Yの長さであり、第2実ズレ量V22Dは、対になる第2図形F2と第4図形F4を1つの図形としたときの走査方向Yの長さである。
【0063】
このように、様々な方法で、第1実ズレ量および第2実ズレ量を算出することができる。各方法の第1実ズレ量および第2実ズレ量を算出した場合、各方法の第1実ズレ量および第2実ズレ量に基づいて決定された決定調整値が複数存在することがあり得る。例えば第1実ズレ量V21および第2実ズレ量V22に基づいて決定された決定された決定調整値と、第1実ズレ量V21Aおよび第2実ズレ量V22Aに基づいて決定された決定された決定調整値とが存在することがあり得る。このような場合、複数の決定調整値の平均値を、双方向印刷の調整を実際に行うための決定調整値V30にしてもよいし、複数の決定調整値の中央値を、双方向印刷の調整を実際に行うための決定調整値V30にしてもよい。
【0064】
上記実施形態では、
図5に示すように、媒体5に印刷される第1図形F1および第3図形F3は、第2図形F2および第4図形F4と搬送方向Xにズレて配置されていた。そして、センサヘッド36が第1方向Y1に移動しているときに、第1図形F1および第3図形F3の位置をセンサ38が検出していた。その後、センサヘッド36に対して媒体5を搬送方向Xに相対的に所定の距離移動させた後、センサヘッド36が第2方向Y2に移動しているときに、第2図形F2および第4図形F4の位置をセンサ38が検出していた。このように、上記実施形態では、第1図形F1および第3図形F3の位置の検出と、第2図形F2および第4図形F4の位置の検出との間に、センサヘッド36に対して媒体5を搬送方向Xに相対的に移動させる制御(以下、「媒体5の搬送方向Xへの移動制御」という。)が行われていた。この媒体5の搬送方向Xへの移動制御は、省略されてもよい。
【0065】
媒体5の搬送方向Xへの移動制御を省略する場合、
図11に示すように、調整組G1のうち互いに重なっている図形が省略された調整パターンPT1Aを印刷し、媒体5に印刷される図形が走査方向Yに一直線に並んで印刷されるとよい。例えば
図5では、調整組G1a、G1b、G1cの第2図形F2と第4図形F4が重なっており、調整組G1e、G1f、G1gの第1図形F1と第3図形F3とが重なっている。この場合、本実施形態では、
図11に示すように、調整組G1a、G1b、G1cにおいて、第1図形F1および第3図形F3を印刷し、第2図形F2および第4図形F4の印刷を省略する。調整組G1e、G1f、G1gにおいて、第2図形F2および第4図形F4を印刷し、第1図形F1および第3図形F3の印刷を省略する。なお、
図5に示すように、第1図形F1~第4図形F4の何れも重なっていない調整組G1dの場合には、第1図形F1および第3図形F3、または、第2図形F2および第4図形F4の何れか一方を印刷し、他方の印刷を省略するとよい。本実施形態では、
図11に示すように、調整組G1dでは、第1図形F1および第3図形F3を印刷し、第2図形F2および第4図形F4の印刷を省略している。
【0066】
本実施形態に係る調整パターンPT1Aでは、複数の調整組G1の各図形は、走査方向Yに並んで配置される。すなわち、調整組G1a、G1b、G1c、G1dの第1図形F1および第3図形F3と、調整組G1e、G1f、G1gの第2図形F2および第4図形F4とは、走査方向Yに並んで配置されている。
【0067】
調整パターン印刷部44は、以上のような調整パターンPT1Aを媒体5に印刷する。ここでは、インクヘッド28が第1方向Y1に移動しているときに、各調整組G1の第1図形F1および第2図形F2の印刷を行い、インクヘッド28が第2方向Y2に移動しているときに、各調整組G1の第3図形F3および第4図形F4の印刷を行う。
【0068】
調整パターンPT1Aを媒体5に印刷した後、第1検出部46は、センサヘッド36が第1方向Y1に移動しているときに、調整組G1a、G1b、G1c、G1dの第1図形F1および第3図形F3の位置をセンサ38によって検出する。その後、センサヘッド36に対して媒体5を搬送方向Xに相対的に移動させることなく、第2検出部47は、センサヘッド36が第2方向Y2に移動しているときに、調整組G1e、G1f、G1gの第2図形F2および第4図形F4の位置をセンサ38によって検出する。
【0069】
本実施形態では、第1近似直線L1は、調整組G1a、G1b、G1c、G1dの第1図形F1と第3図形F3との第1実ズレ量V21から算出される。第2近似直線L2は、調整組G1e、G1f、G1gの第2図形F2と第4図形F4との第2実ズレ量22から算出される。
【0070】
本実施形態であっても、決定調整値V30を決定することができ、決定調整値V30に基づいて、双方向印刷のインクの着弾位置の調整を適切に行うことができる。また、本実施形態では、第1図形F1~第4図形F4の位置を検出する際、媒体5の搬送方向Xへの移動制御が行われないため、効率よく当該位置を検出することができる。更に、本実施形態では、調整組G1のうちの互いに重なる第1図形F1~第4図形F4の印刷が省略されるため、調整パターンPT1Aの印刷時間を短縮できると共に、インクの使用量を削減することができる。
【符号の説明】
【0071】
18 プラテン(支持台)
28 インクヘッド
30 移動機構
36 センサヘッド
38 センサ
40 制御装置
42 記憶部
44 調整パターン印刷部
46 第1検出部
47 第2検出部
48 第1実ズレ量算出部
49 第2実ズレ量算出部
50 第1近似直線算出部
51 第2近似直線算出部
52 調整値決定部
100 プリンタ
F1 第1図形
F2 第2図形
F3 第3図形
F4 第4図形
PT1 調整パターン