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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】故障検知装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01D 21/00 20060101AFI20240502BHJP
【FI】
G01D21/00 Q
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020209260
(22)【出願日】2020-12-17
(65)【公開番号】P2022096256
(43)【公開日】2022-06-29
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】須藤 隆
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-220893(JP,A)
【文献】特開2010-109257(JP,A)
【文献】特開2006-207658(JP,A)
【文献】特開2011-215604(JP,A)
【文献】特開2001-91386(JP,A)
【文献】特表2018-538501(JP,A)
【文献】特開平5-103108(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0313676(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 21/00-21/02
G08B 29/00-29/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサモジュールが生成する時系列信号を取得する取得部と、
前記時系列信号を解析することによって、前記時系列信号の飽和に関する情報を含む解析結果を生成する解析部と、
前記解析結果に基づいて、前記センサモジュールに関する故障を判定する判定部と
前記センサモジュールが故障であると判定された後に、前記センサモジュールのパラメータを複数変更する制御部と
を具備
前記判定部は、変更された複数のパラメータそれぞれについて前記センサモジュールの故障を更に判定し、前記複数のパラメータと前記センサモジュールの故障に関する判定結果とを対応付けて表示させる、故障検知装置。
【請求項2】
前記解析部は、前記時系列信号に含まれるサンプルの振幅値が連続して飽和した回数である連続飽和回数の情報を含む前記解析結果を生成し、
前記判定部は、前記連続飽和回数が所定の回数以上の場合、前記センサモジュールが故障であると判定する、
請求項1に記載の故障検知装置。
【請求項3】
前記解析部は、前記時系列信号に含まれるサンプルの振幅値が飽和した頻度である振幅飽和頻度の情報を含む前記解析結果を生成し、
前記判定部は、前記振幅飽和頻度が所定の頻度以上の場合、前記センサモジュールが故障であると判定する、
請求項1または請求項2に記載の故障検知装置。
【請求項4】
前記解析部は、更に、前記時系列信号に含まれる隣接するサンプル間に急峻な変化が発生した回数である振幅変化回数の情報を含む前記解析結果を生成し、
前記判定部は、前記振幅変化回数が所定の回数以上の場合、前記センサモジュールが故障であると判定する、
請求項2または請求項3に記載の故障検知装置。
【請求項5】
前記解析部は、更に、前記時系列信号に含まれるサンプルの振幅値がゼロの期間である無振幅期間の情報を含む前記解析結果を生成し、
前記判定部は、前記無振幅期間が所定の期間以上の場合、前記センサモジュールが故障であると判定する、
請求項2から請求項4までのいずれか一項に記載の故障検知装置。
【請求項6】
前記解析部は、更に、前記時系列信号の最大振幅値および最小振幅値を示す振幅レベルの情報を含む前記解析結果を生成し、
前記判定部は、前記振幅レベルが所定の範囲内の場合、前記センサモジュールが故障であると判定する、
請求項2から請求項5までのいずれか一項に記載の故障検知装置。
【請求項7】
前記パラメータは、ゲイン、ビット深度、およびサンプリング周波数のうちのいずれか一つである、
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の故障検知装置。
【請求項8】
前記時系列信号に関する計測対象の異常を検知する異常検知部と、
前記センサモジュールの故障および前記計測対象の異常の少なくとも一方を外部装置へ通知する通信部と
を更に具備する、
請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の故障検知装置。
【請求項9】
センサモジュールが生成する時系列信号を取得する取得部と、
前記時系列信号を解析することによって、前記時系列信号の飽和に関する情報を含む解析結果を生成する解析部と、
前記解析結果に基づいて、前記センサモジュールに関する故障を判定する判定部と、
前記時系列信号に関する計測対象の異常を前記時系列信号に基づいて検知する異常検知部と
を具備し、
前記異常検知部において前記計測対象の異常を検知していない場合、前記判定部は、前記センサモジュールの故障に関する判定結果を表示させ、
前記異常検知部において前記計測対象の異常を検知した場合、前記判定部は、前記判定結果と前記計測対象の異常検知に関する異常検知結果とを表示させる、故障検知装置。
【請求項10】
前記異常検知部は、前記時系列信号を周波数解析することによって、前記計測対象の劣化に関する劣化情報および前記計測対象の異常に関する異常情報を含む前記異常検知結果を生成する、
請求項9に記載の故障検知装置。
【請求項11】
前記センサモジュールの故障および前記計測対象の異常の少なくとも一方を外部装置へ通知する通信部
をさらに具備する、
請求項9または請求項10に記載の故障検知装置。
【請求項12】
前記センサモジュールが故障であると判定された後に、前記センサモジュールのパラメータを変更する制御部
を更に具備し、
前記判定部は、変更されたパラメータについて前記センサモジュールの故障を更に判定する、
請求項9から請求項11までのいずれか一項に記載の故障検知装置。
【請求項13】
センサモジュールが生成する時系列信号を取得することと、
前記時系列信号を解析することによって、前記時系列信号の飽和に関する情報を含む解析結果を生成することと、
前記解析結果に基づいて、前記センサモジュールの故障を判定することと
前記センサモジュールが故障であると判定された後に、前記センサモジュールのパラメータを複数変更することと、
変更された複数のパラメータそれぞれについて前記センサモジュールの故障を更に判定し、前記複数のパラメータと前記センサモジュールの故障に関する判定結果とを対応付けて表示させることと
を具備する、故障検知方法。
【請求項14】
コンピュータを、
センサモジュールが生成する時系列信号を取得する手段、
前記時系列信号を解析することによって、前記時系列信号の飽和に関する情報を含む解析結果を生成する手段、
前記解析結果に基づいて、前記センサモジュールの故障を判定する手段
前記センサモジュールが故障であると判定された後に、前記センサモジュールのパラメータを複数変更する手段、
変更された複数のパラメータそれぞれについて前記センサモジュールの故障を更に判定し、前記複数のパラメータと前記センサモジュールの故障に関する判定結果とを対応付けて表示させる手段
として機能させるための故障検知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、故障検知装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のマイクロホンを搭載する装置において、一部のマイクロホンの故障を検知する技術が知られている。上記技術は、複数のマイクロホンそれぞれから出力される音信号レベルを比較することによって、相対的に音信号レベルが小さいマイクロホンを検知し、故障か否かを判定する。
【0003】
しかし、上記技術は、音信号レベルが小さい場合の故障を判定するものの、音信号レベルが大きい場合の故障は考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-278620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、信号レベルが大きい場合のセンサモジュールの故障を検知することができる故障検知装置、方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る故障検知装置は、取得部と、解析部と、判定部とを備える。取得部は、センサモジュールが生成する時系列信号を取得する。解析部は、系列信号を解析することによって、時系列信号の飽和に関する情報を含む解析結果を生成する。判定部は、解析結果に基づいて、センサモジュールの故障を判定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係る故障検知装置を含む故障検知システムの構成を例示するブロック図である。
図2図2は、図1のセンサモジュールの構成を例示するブロック図である。
図3図3は、図1の故障検知装置の動作を例示するフローチャートである。
図4図4は、図3の故障判定処理を例示するフローチャートである。
図5図5は、第1の実施形態における時系列信号を例示する図である。
図6図6は、第1の実施形態における時系列信号の飽和を例示する図である。
図7図7は、第1の実施形態における時系列信号の振幅ヒストグラムを例示する図である。
図8図8は、第1の実施形態における、正常な場合の表示データを例示する図である。
図9図9は、第1の実施形態における、センサモジュールの故障に関する表示データを例示する図である。
図10図10は、第2の実施形態に係る故障検知装置の構成を例示するブロック図である。
図11図11は、第2の実施形態における故障判定処理を例示するフローチャートである。
図12図12は、第2の実施形態における時系列信号の急峻な変化を例示する図である。
図13図13は、第2の実施形態における時系列信号の振幅ヒストグラムを例示する図である。
図14図14は、第2の実施形態における無音状態を含む時系列信号を例示する図である。
図15図15は、第2の実施形態における振幅レベルが微小な時系列信号を例示する図である。
図16図16は、第2の実施形態における、正常な場合の表示データを例示する図である。
図17図17は、第2の実施形態における、センサモジュールの故障に関する表示データを例示する図である。
図18図18は、第3の実施形態に係る故障検知装置を含む故障検知システムの構成を例示するブロック図である。
図19図19は、図18の故障検知装置の動作を例示するフローチャートである。
図20図20は、第4の実施形態に係る状態監視装置を含む状態監視システムの構成を例示するブロック図である。
図21図21は、図20の状態監視装置の動作を例示するフローチャートである。
図22図22は、第4の実施形態における、正常な場合の表示データを例示する図である。
図23図23は、第4の実施形態における、センサモジュールの故障に関する表示データを例示する図である。
図24図24は、第4の実施形態における、センサモジュールの故障および監視対象の異常に関する表示データを例示する図である。
図25図25は、一実施形態に係るコンピュータのハードウェア構成を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、故障検知装置に関する実施形態について詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る故障検知装置100を含む故障検知システム1の構成を例示するブロック図である。図1の故障検知システム1は、故障検知装置100と、センサモジュール200と、表示装置300とを備える。センサモジュール200は、計測対象についてのセンサデータを生成する。計測対象は、例えば、無停電電源装置に搭載された冷却ファンである。あるいは、計測対象は、モータや電動機などの回転機器、プレス加工機、変速発動機、切削機などでもよい。故障検知装置100は、センサデータに基づいて、センサモジュール200の状態(正常または故障)を判定する。表示装置300は、故障検知装置100の判定に基づく表示データを表示する。尚、故障検知システム1は、複数のセンサモジュールを備えてもよい。この場合、故障検知装置100は、複数のセンサモジュールのそれぞれの状態を判定する。
【0010】
本実施形態では、センサデータとして、マイクロホン(マイクセンサ)によって継続的に計測された音の波形を含む信号(時系列信号)を扱うものする。よって、以降では、センサモジュール200がマイクセンサを搭載するものとして説明する。尚、センサモジュール200は、時系列信号を取得するものであれば、加速度センサ、地磁気センサ、振動センサ、アコースティック・エミッション(Acoustic Emission:AE)センサなどでもよい。
【0011】
図2は、図1のセンサモジュール200の構成を例示するブロック図である。図2のセンサモジュール200は、マイクセンサ210と、アンプ220と、アナログデジタル変換器(Analog Digital Converter:ADC)230と、端子240とを備える。
【0012】
マイクセンサ210は、例えばエレクトレットコンデンサマイク(Electret Condencer Microphone:ECM)である。マイクセンサ210は、音データ集音し、アナログの音信号に変換する。マイクセンサ210は、音信号をアンプ220へと出力する。
【0013】
アンプ220は、例えばオペアンプである。アンプ220は、マイクセンサ210から音信号を受け取る。アンプ220は、音信号を所定のゲインに従って増幅することによって増幅音信号を生成する。アンプ220は、増幅音信号をADC230へと出力する。
【0014】
ADC230は、アンプ220から増幅音信号を受け取る。ADC230は、アナログの増幅音信号をデジタルの音データ(時系列信号)へとアナログデジタル変換(AD変換)する。AD変換のパラメータは、例えば、ビット深度(量子化ビット数。例えば、24bit)およびサンプリングレート(例えば、96kHz)である。ADC230は、時系列信号を、端子240を介して故障検知装置100へと出力する。
【0015】
端子240は、故障検知装置100とケーブルcbとを接続する。ケーブルcbは、センサモジュール200と故障検知装置100とを接続する。ケーブルcbの一端には、プラグまたはコネクタが取り付けられていてもよい。この場合、プラグまたはコネクタと端子240とが嵌合することにより、故障検知装置100とケーブルcbとが接続される。
【0016】
なお、センサモジュール200に搭載されるマイクロホンはECMに限らない。例えば、センサモジュール200としてMEMS(Micro Electro Mechanical System)マイクロホンが用いられてもよい。MEMSマイクロホンが用いられる場合、マイクセンサ210、アンプ220、およびADC230はワンチップで構成されていてもよい。
【0017】
本実施形態において、センサモジュール200は、振幅レベルが飽和しない時系列信号が取得できるような録音レベルが予め設定されている。本実施形態において、振幅レベルは、時系列信号の最小振幅値から最大振幅値までの範囲に相当する。また、振幅レベルが飽和とは、時系列信号が最小振幅値で下げ止まり(アンダーフロー)している状態、または時系列信号が最大振幅値で高止まり(オーバーフロー)している状態を示す。録音レベルは、例えば、アンプ220のゲインによって設定される。または、センサモジュール200は、振幅レベルが飽和しない時系列信号が取得できる位置に配置される。例えば、時系列信号の最大振幅値を「1」かつ最小振幅値を「-1」となるように正規化された振幅の場合、録音レベルは、「-0.3」から「0.3」の間に入るように設定および設置される。即ち、本実施形態では、振幅レベルが飽和した時系列信号が取得された際は、センサモジュール200に関する故障であるものとし、計測対象(例えば、冷却ファン)に関する異常(故障)は考慮しないものとする。このことは、以降の実施形態でも同様である。
【0018】
センサモジュール200に関する故障は、例えば、マイクセンサ210の故障、アンプ220の故障、ADC230の故障、および端子240の不良である。また、その他の故障として、例えば、端子240とプラグまたはコネクタとの接触不良、およびケーブルcbの断線がある。本実施形態では、センサモジュール200に関する故障を検知することについて扱うが、故障箇所の候補として、その他の故障を考慮してもよい。
【0019】
図1の故障検知装置100は、時系列信号取得部110(取得部)と、信号解析部120(解析部)と、センサ状態判定部130(判定部)とを備える。
【0020】
時系列信号取得部110は、センサモジュール200からデジタルの時系列信号を取得する。具体的には、時系列信号取得部110は、所定時間おきに所定の時間長を有する時系列信号を取得する。例えば、時系列信号取得部110は、6時間おきに15秒の時系列信号を取得する。望ましくは、時系列信号取得部110は、時系列信号をリアルタイムに常時取得する。時系列信号取得部110は、取得した時系列信号を信号解析部120へと出力する。尚、以降では、時系列信号取得部110は、15秒の時系列信号が取得されるものとし、異なる場合には適宜説明する。
【0021】
なお、以降では、説明を簡便にするため、時系列信号の振幅値は、アンプ220のゲインに合わせた最小振幅値「-1」から最大振幅値「1」までの範囲に正規化されているものとする。よって、時系列信号を構成する信号サンプル(以降、単に「サンプル」と称する)の振幅値が「1」または「-1」を示す場合、この時系列信号はオーバーフローまたはアンダーフローにより振幅値がクリップされて振幅レベルが飽和しているものとみなす。
【0022】
信号解析部120は、時系列信号取得部110から時系列信号を受け取る。信号解析部120は、時系列信号を解析することによって、時系列信号の飽和に関する情報を含む解析結果を生成する。具体的には、信号解析部120は、時系列信号に含まれるサンプルの振幅値が連続して飽和した回数(連続飽和回数)の情報、および時系列信号に含まれるサンプルの振幅値が飽和した頻度(振幅飽和頻度)の情報の少なくとも一方を含む解析結果を生成する。よって、時系列信号の飽和に関する情報は、連続飽和回数の情報および振幅飽和頻度の情報の少なくとも一方を含む。信号解析部120は、解析結果をセンサ状態判定部130へと出力する。尚、信号解析部120は、時系列信号をリアルタイムに解析してもよい。
【0023】
センサ状態判定部130は、信号解析部120から解析結果を受け取る。センサ状態判定部130は、解析結果に基づいてセンサモジュール200の故障を判定し、判定結果を生成する。判定結果には、センサモジュール200の状態(故障または正常)を示す情報が含まれる。センサ状態判定部130は、判定結果を表示装置300へと出力する。
【0024】
具体的には、センサ状態判定部130は、解析結果に含まれる連続飽和回数が所定の回数以上か否かを判定する。センサ状態判定部130は、連続飽和回数が所定の回数以上の場合、故障を示す判定結果を出力し、そうでない場合、正常を示す判定結果を出力する。
【0025】
別の例では、センサ状態判定部130は、解析結果に含まれる振幅飽和頻度が所定の頻度以上か否かを判定する。センサ状態判定部130は、振幅飽和頻度が所定の頻度以上の場合、故障を示す判定結果を出力し、そうでない場合、正常を示す判定結果を出力する。
【0026】
表示装置300は、例えばモニタである。表示装置300は、センサ状態判定部130から判定結果を受け取る。表示装置300は、判定結果に含まれるセンサモジュール200の状態に応じた表示データを表示する。尚、表示装置300は、スピーカを備えてもよく、故障を示す判定結果を表示する際に、警報を発してもよい。
【0027】
なお、センサ状態判定部130は、判定結果に応じて表示装置300の表示を制御していると捉えることもできる。よって、センサ状態判定部130は、表示装置300の表示を制御する表示制御部を兼ねてもよい。または、故障検知装置100は、センサ状態判定部130とは別に、表示制御部を別途設けてもよい。
【0028】
以上、第1の実施形態に係る故障検知システム1および故障検知装置100の構成について説明した。次に、故障検知装置100の動作について図3のフローチャートを用いて説明する。
【0029】
図3は、図1の故障検知装置100の動作を例示するフローチャートである。図3のフローチャートの処理は、ユーザによって故障検知プログラムが実行されることで開始する。
【0030】
(ステップST310)
故障検知プログラムが実行されると、時系列信号取得部110は、センサモジュール200から時系列信号を取得する。
【0031】
(ステップST320)
時系列信号が取得された後、信号解析部120は、時系列信号を解析する。具体的には、信号解析部120は、時系列信号における連続飽和回数の情報、および時系列信号における振幅飽和頻度の情報の少なくとも一方を含む解析結果を生成する。
【0032】
(ステップST330)
解析結果が生成された後、センサ状態判定部130は、解析結果に基づいてセンサモジュール200の故障を判定する。以降では、ステップST330の処理を「故障判定処理」と称する。故障判定処理の具体例について図4のフローチャートを用いて説明する。
【0033】
図4は、図3のフローチャートの故障判定処理を例示するフローチャートである。図4のフローチャートは、図3のステップST330に相当し、ステップST410から開始する。
【0034】
(ステップST410)
解析結果が生成された後、センサ状態判定部130は、時系列信号が飽和しているか否かを判定する。例えば、解析結果に連続飽和回数の情報を含む場合、センサ状態判定部130は、連続飽和回数が所定の回数以上か否かを判定する。連続飽和回数が所定の回数以上の場合、処理はステップST420へ進み、そうでない場合、処理はステップST430へ進む。連続飽和回数による判定の具体例について、図5および図6を用いて説明する。
【0035】
図5は、第1の実施形態における時系列信号500を例示する図である。図5の時系列信号500には、15秒間の波形が示されている。ここでの説明において、時系列信号500には、連続飽和しているサンプルが含まれているものとする。
【0036】
図6は、第1の実施形態における時系列信号600の飽和を例示する図である。図6の時系列信号600は、図5の時系列信号500のうちの時刻t1から時刻t1+Δtまでの間を抜き出したものである。ここで、時系列信号500がサンプリング周波数96kHzでAD変換されているとすると、時間長Δt=0.25ミリ秒(msec)は、時系列信号の24サンプル分に相当する。時系列信号600には、時間長Δtの間に10サンプル(図6の時間長Tcの範囲)が連続して振幅値「1」を示している。
【0037】
一例として、センサ状態判定部130は、サンプリング周波数96kHzでAD変換された時系列信号において、連続飽和回数が10サンプル以上か否かを判定する。この判定条件は、サンプリング周波数に対応して変更されてもよい。例えば、サンプリング周波数が48kHzであれば、判定条件は「連続飽和回数が5サンプル以上」としてもよい。尚、連続飽和回数は、センサモジュール200の性能、或いは設定されているパラメータに応じて任意に決められてよい。また、連続飽和回数は、飽和していた時間長と同義であるため、連続飽和時間に置き換えられてもよい。
【0038】
また例えば、解析結果に振幅飽和頻度の情報を含む場合、センサ状態判定部130は、振幅飽和頻度が所定の頻度以上か否かを判定する。振幅飽和頻度が所定の頻度以上の場合、処理はステップST420へ進み、そうでない場合、処理はステップST430へ進む。振幅飽和頻度による判定の具体例について、図7を用いて説明する。
【0039】
図7は、第1の実施形態における時系列信号の振幅ヒストグラム700を例示する図である。図7の振幅ヒストグラム700は、連続飽和しているサンプルが含まれている図5の時系列信号500を振幅値に対する正規化サンプル数で表したものである。正規化サンプル数とは、各々の振幅値に対応する実サンプル数において、実サンプル数の最大値を「1」として正規化したサンプル数である。よって、振幅ヒストグラムにおいて、振幅値「-1」または振幅値「1」の正規化サンプル数がゼロでない場合、時系列信号は振幅値が飽和したサンプルを含む。時系列信号500には振幅値が飽和したサンプルが含まれているため、振幅ヒストグラム700は、最大振幅値「1」に対応する正規化サンプル数がゼロよりも大きくなっている。
【0040】
一例として、センサ状態判定部130は、サンプリング周波数96kHzでAD変換された所定の時間長(例えば、15秒)を有する時系列信号において、振幅値が飽和したサンプルが所定の数以上か否かを判定する。または、センサ状態判定部130は、サンプリング周波数の値と、時系列信号の時間長と、振幅値が飽和したサンプル数とから振幅飽和頻度の値を算出し、算出した値が閾値以上か否かを判定してもよい。または、センサ状態判定部130は、図7の振幅ヒストグラム700を用いて、振幅飽和頻度の値を正規化サンプル数に置き換えて振幅値が飽和した時系列信号であるか否かを判定してもよい。
【0041】
(ステップST420)
時系列信号が飽和していると判定した後、センサ状態判定部130は、故障を示す判定結果を出力する。ステップST420の後、処理は図3のステップST340へ進む。
【0042】
(ステップST430)
時系列信号が飽和していないと判定した後、センサ状態判定部130は、正常を示す判定結果を出力する。ステップST430の後、処理は図3のステップST340へ進む。
【0043】
(ステップST340)
判定結果が出力された後、センサ状態判定部130は、判定結果に基づいて表示データを表示装置300に表示させる。具体的には、正常を示す判定結果の場合、センサ状態判定部130は、センサモジュール200が正常である旨の表示データを表示装置300に表示させる。他方、故障を示す判定結果の場合、センサ状態判定部130は、センサモジュール200が故障である旨の表示データを表示装置300に表示させる。ステップST340の後、故障検知プログラムの処理は終了する。
【0044】
次に、第1の実施形態における表示データの具体例について、図8および図9を用いて説明する。図8および図9の表示データは、マイクセンサを搭載したセンサモジュール200に関する。これらの表示データには、マイクセンサが故障しているか否かを示すインジケータと、録音した音信号データが正常か否かを示す文字列とが含まれる。尚、これらの表示データには、外部装置との通信状況に関する情報、時系列信号として音信号データを録音した日時の情報、音信号データに関する情報(例えば、録音時間、ビット深度、およびサンプリング周波数の情報)、および現在時刻の情報が含まれてもよく、これらのことは以降の表示データの例でも同様である。
【0045】
図8は、第1の実施形態における、正常な場合の表示データ800を例示する図である。図8の表示データ800は、インジケータ810と、文字列表示領域820とを有する。インジケータ810は消灯している。文字列表示領域820には「正常」の文字列が表示されている。ユーザは、表示データ800を視認することにより、マイクが正常であることを認知することができる。
【0046】
図9は、第1の実施形態における、センサモジュールの故障に関する表示データ900を例示する図である。図9の表示データ900は、インジケータ910と、文字列表示領域920とを有する。インジケータ910は点灯している。文字列表示領域920には「連続10サンプル飽和」の文字列が表示されている。ユーザは、表示データ900を視認することにより、マイクが故障していることを認知することができ、故障と判定された理由も認知することができる。
【0047】
以上説明したように、第1の実施形態に係る故障検知装置は、センサモジュールが生成する時系列信号を取得し、時系列信号を解析することによって、時系列信号の飽和に関する情報を含む解析結果を生成し、解析結果に基づいて、センサモジュールに関する故障を判定する。
【0048】
従って、第1の実施形態に係る故障検知装置は、時系列信号の飽和を検知することにより、信号レベルが大きい場合のセンサモジュールの故障を検知することができる。
【0049】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、時系列信号の飽和を検出することによってセンサモジュールの故障を検知することについて説明した。他方、第2の実施形態では、更に、時系列信号の振幅変化、無音、振幅レベルを検出することによってセンサモジュールの故障を検知することについて説明する。
【0050】
なお、第2の実施形態において、故障検知システムを構成するセンサモジュールおよび表示装置は、第1の実施形態における故障検知システム1のセンサモジュール200および表示装置300と同様である。よって、第2の実施形態において、センサモジュールおよび表示装置についての説明は省略する。
【0051】
図10は、第2の実施形態に係る故障検知装置100Aの構成を例示するブロック図である。図10の故障検知装置100Aは、時系列信号取得部110A(取得部)と、信号解析部120A(解析部)と、センサ状態判定部130A(判定部)とを備える。尚、時系列信号取得部110Aは、図1の時系列信号取得部110と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0052】
信号解析部120Aは、時系列信号取得部110Aから時系列信号を受け取る。信号解析部120Aは、時系列信号を解析することによって、時系列信号の飽和に関する情報を少なくとも含む解析結果を生成する。信号解析部120Aは、解析結果をセンサ状態判定部130Aへと出力する。尚、信号解析部120Aは、時系列信号をリアルタイムに解析してもよい。
【0053】
具体的には、信号解析部120Aは、振幅飽和検出部1010と、振幅変化検出部1020と、無振幅検出部1030と、振幅レベル検出部1040とを備える。
【0054】
振幅飽和検出部1010は、時系列信号を解析することによって、連続飽和回数の情報および振幅飽和頻度の情報の少なくとも一方を生成する。
【0055】
振幅変化検出部1020は、時系列信号に含まれるサンプルのうち、隣接するサンプル間に急峻な変化が発生した回数(振幅変化回数)の情報を生成する。具体的には、振幅変化検出部1020は、隣接するサンプルにおいて、一方のサンプルの振幅値が「1」(或いは、「1」の近傍)、他方のサンプルの振幅値が「-1」(或いは、「-1」の近傍)を示す場合に、振幅変化回数「1」としてカウントする。
【0056】
無振幅検出部1030は、時系列信号のうち、振幅値がゼロの期間、即ち無振幅の期間(無振幅期間)の情報を生成する。具体的には、無振幅検出部1030は、取得された時系列信号における、無振幅の期間を計測する。
【0057】
振幅レベル検出部1040は、時系列信号の最大振幅値および最小振幅値を示す振幅レベルの情報を生成する。具体的には、振幅レベル検出部1040は、取得された時系列信号における、振幅レベルを計測する。尚、振幅レベル検出部1040は、予め周囲ノイズの振幅レベルを計測し、ノイズ振幅レベルとして保持していてもよい。
【0058】
概説すると、信号解析部120Aは、連続飽和回数の情報および振幅飽和頻度の情報の少なくとも一方、振幅変化回数の情報、無振幅期間の情報、および振幅レベルの情報を含む解析結果を生成する。
【0059】
センサ状態判定部130Aは、信号解析部120Aから解析結果を受け取る。センサ状態判定部130Aは、解析結果に基づいてセンサモジュール200の故障を判定する。具体的には、センサ状態判定部130Aは、解析結果に含まれる連続飽和回数が所定の回数以上の場合、故障を示す判定結果を出力し、そうでない場合、他の判定を行う。または、センサ状態判定部130Aは、解析結果に含まれる振幅飽和頻度が所定の頻度以上の場合、故障を示す判定結果を出力し、そうでない場合、他の判定を行う。
【0060】
なお、他の判定とは、例えば、解析結果に含まれる振幅変化回数、無振幅期間、および振幅レベルを用いた判定である。それぞれ具体的には、センサ状態判定部130Aは、解析結果に含まれる振幅変化回数が所定の回数以上の場合、故障を示す判定結果を出力する。センサ状態判定部130Aは、解析結果に含まれる無振幅期間が所定の期間以上の場合、故障を示す判定結果を出力する。センサ状態判定部130Aは、解析結果に含まれる振幅レベルが所定の範囲内の場合、故障を示す判定結果を出力する。
【0061】
以上、第2の実施形態に係る故障検知装置100Aの構成について説明した。次に、故障検知装置100Aの動作について図3のフローチャートおよび図11のフローチャートを用いて説明する。故障検知装置100Aの動作では、図3のステップST330の処理(故障判定処理)は、図11のステップST1100の故障判定処理に置き換えられる。よって、ステップST320の後、処理はステップST1100へ遷移し、その後、ステップST340へと遷移する。尚、故障検知装置100Aが実行するステップST310、ステップST320、およびステップST340の処理については、故障検知装置100が実行する処理と略同様のため、重複する説明を省略し、異なる場合に適宜説明を行う。
【0062】
図11は、第2の実施形態における故障判定処理を例示するフローチャートである。図11のフローチャートは、図3のステップST320から遷移し、ステップST1110から開始する。尚、故障検知装置100Aの動作では、遷移前のステップST320において、信号解析部120Aは、連続飽和回数の情報および振幅飽和頻度の情報の少なくとも一方、振幅変化回数の情報、無振幅期間の情報、および振幅レベルの情報を含む解析結果を生成しているものとする。
【0063】
(ステップST1110)
解析結果が生成された後、センサ状態判定部130Aは、時系列信号が飽和しているか否かを判定する。例えば、解析結果に連続飽和回数の情報を含む場合、センサ状態判定部130Aは、連続飽和回数が所定の回数以上か否かを判定する。連続飽和回数が所定の回数以上の場合、処理はステップST1150へ進み、そうでない場合、処理はステップST1120へ進む。
【0064】
また例えば、解析結果に振幅飽和頻度の情報を含む場合、センサ状態判定部130Aは、振幅飽和頻度が所定の頻度以上か否かを判定する。振幅飽和頻度が所定の頻度以上の場合、処理はステップST1150へ進み、そうでない場合、処理はステップST1120へ進む。
【0065】
(ステップST1120)
時系列信号が飽和していないと判定した後、センサ状態判定部130Aは、隣接するサンプル間に急峻な変化があるか否かを判定する。具体的には、センサ状態判定部130Aは、解析結果に含まれる振幅変化回数が所定の回数以上か否かを判定する。振幅変化回数が所定の回数以上である場合、即ち隣接するサンプル間に急峻な変化がある場合、処理はステップST1150へ進み、そうでない場合、処理はステップST1130へ進む。振幅変化回数による判定の具体例について、図5および図12を用いて説明する。ここでの説明において、図5の時系列信号500には、振幅変化しているサンプルが含まれているものとする。
【0066】
図12は、第2の実施形態における時系列信号1200の急峻な変化を例示する図である。図12の時系列信号1200は、図5の時系列信号500のうちの時刻t2から時刻t2+Δtまでの間を抜き出しものである。ここで、時系列信号500がサンプリング周波数96kHzでAD変換されているとすると、時間長Δt=0.25ミリ秒(msec)は、24サンプル分に相当する。時系列信号1200には、時間長Δtの間に振幅値が飽和しているサンプルが10サンプル含まれている。この10サンプルは、それぞれサンプルs1からサンプルs10までに相当する。
【0067】
サンプルs1およびサンプルs2は隣接するサンプルである。サンプルs1は振幅値「1」を示し、サンプルs2は振幅値「-1」を示す。サンプルs3およびサンプルs4は隣接するサンプルである。サンプルs3は振幅値「-1」を示し、サンプルs4は振幅値「1」を示す。同様に、サンプルs5およびサンプルs6、サンプルs7およびサンプルs8、並びにサンプルs9およびサンプルs10は何れも隣接するサンプルであり、一方は振幅値「1」を示し、他方は振幅値「-1」を示す。よって、時系列信号1200では、時間長Δtの間において振幅変化回数「5」がカウントされる。
【0068】
一例として、センサ状態判定部130Aは、サンプリング周波数96kHzでサンプリングされた時系列信号において、連続する20サンプルのうちの振幅変化回数が5回以上か否かを判定する。この判定条件は、サンプリング周波数に対応して変更されてもよい。尚、振幅変化回数は、センサモジュール200の性能、或いは設定されているパラメータに応じて任意に決められてよい。
【0069】
図13は、第2の実施形態における時系列信号の振幅ヒストグラム1300を例示する図である。図13の振幅ヒストグラム1300は、振幅変化しているサンプルが含まれている図5の時系列信号500を振幅値に対する正規化サンプル数で表したものである。時系列信号500には振幅変化しているサンプルが含まれているため、振幅ヒストグラム1300は、最大振幅値「1」および最小振幅値「-1」に対応する正規化サンプル数がゼロよりも大きくなっている。例えば、センサ状態判定部130Aは、振幅ヒストグラム1300を利用することによって、振幅変化回数の値を正規化サンプル数に置き換えて判定してもよい。
【0070】
(ステップST1130)
隣接するサンプル間に急峻な変化がないと判定した後、センサ状態判定部130Aは、振幅値がゼロか否かを判定する。具体的には、センサ状態判定部130Aは、解析結果に含まれる無振幅期間が所定の期間以上か否かを判定する。無振幅期間が所定の期間以上である場合、即ち振幅値がゼロである場合、処理はステップST1150へ進み、そうでない場合、処理はステップST1140へ進む。無振幅期間による判定の具体例について、図14を用いて説明する。
【0071】
図14は、第2の実施形態における無音状態を含む時系列信号1400を例示する図である。図14の時系列信号1400には、15秒間の波形が示されている。時系列信号1400は、時間長Tsの無振幅期間を含む。
【0072】
一例として、センサ状態判定部130Aは、時系列信号において、無振幅期間が500ミリ秒以上か否かを判定する。よって、時間長Tsが500ミリ秒以上の場合、センサモジュール200が故障していると判定される。この判定条件は、センサモジュール200の性能、或いは設定されているパラメータに応じて任意に決められてよい。
【0073】
(ステップST1140)
振幅値がゼロでないと判定した後、センサ状態判定部130Aは、振幅レベルが微小か否かを判定する。具体的には、センサ状態判定部130Aは、解析結果に含まれる振幅レベルが所定の範囲内か否かを判定する。振幅レベルが所定の範囲内の場合、即ち振幅レベルが微小である場合、処理はステップST1150へ進み、そうでない場合、処理はステップST1160へ進む。振幅レベルによる判定の具体例について、図15を用いて説明する。
【0074】
図15は、第2の実施形態における振幅レベルが微小な時系列信号1500を例示する図である。図15の時系列信号1500には、3分間の波形が示されている。時系列信号1500は、振幅レベルが振幅範囲Dに収まっている。
【0075】
一例として、センサ状態判定部130Aは、時系列信号において、振幅レベルが振幅値「-0.1」から振幅値「0.1」までの振幅範囲か否かを判定する。よって、振幅範囲Dが振幅値「-0.1」から振幅値「0.1」までの振幅範囲の場合、センサモジュール200が故障していると判定される。この判定条件は、センサモジュール200の性能、或いは設定されているパラメータに応じて任意に決められてよい。
【0076】
(ステップST1150)
ステップST1110において時系列信号が飽和していると判定した後、ステップST1120において隣接するサンプル間に急峻な変化があるは判定した後、ステップST1130において振幅値がゼロであると判定した後、またはステップST1140において振幅レベルが微小であると判定した後、センサ状態判定部130Aは、故障を示す判定結果を出力する。ステップST1120の後、処理は図3のステップST340へ進む。
【0077】
(ステップST1160)
ステップST1140において振幅レベルが微小でないと判定した後、センサ状態判定部130Aは、正常を示す判定結果を出力する。ステップST1160の後、処理は図3のステップST340へ進む。
【0078】
なお、ステップST1120からステップST1140までの処理は、それぞれ順番が入れ替えられてもよいし、一部および全部が並列に行われてもよい。
【0079】
次に、第2の実施形態における表示データの具体例について、図16および図17を用いて説明する。図16および図17の表示データは、マイクセンサを搭載したセンサモジュール200に関する。これらの表示データには、マイクセンサがどのような原因で故障しているか否かを示す4つのインジケータと、録音した音信号データが正常か否かを示す4つの文字列とが含まれる。4つのインジケータおよび4つの文字列の組み合わせは、振幅飽和に関する判定、振幅変化に関する判定、無振幅(無音)に関する判定、および振幅レベルに関する判定にそれぞれ対応している。
【0080】
図16は、第2の実施形態における、正常な場合の表示データ1600を例示する図である。図16の表示データ1600は、4つのインジケータ1611から1613までと、4つの文字列表示領域1621から1624までとを有する。4つのインジケータ1611から1613までは、いずれも消灯している。4つの文字列表示領域1621から1624までには、いずれも「正常」の文字列が表示されている。ユーザは、表示データ1600を視認することにより、マイクが正常であることを認知することができる。
【0081】
図17は、第2の実施形態における、センサモジュールの故障に関する表示データ1700を例示する図である。図17の表示データ1700は、4つのインジケータ1711から1714までと、4つの文字列表示領域1721から1724までとを有する。インジケータ1711は点灯している。文字列表示領域1721には「連続10サンプル飽和」の文字列が表示されている。3つのインジケータ1712から1714までは、いずれも消灯している。3つの文字列表示領域1722から1724までには、いずれも「正常」の文字列が表示されている。ユーザは、表示データ1700を視認することにより、マイクが故障していることを認知することができ、故障と判定された理由も認知することができる。
【0082】
以上説明したように、第2の実施形態に係る故障検知装置は、センサモジュールが生成する時系列信号を取得し、時系列信号を解析することによって、時系列信号の飽和に関する情報を含む解析結果を生成し、解析結果に基づいて、センサモジュールに関する故障を判定する。更に、本故障検知装置は、時系列信号に関する振幅変化回数の情報、無振幅期間の情報、および振幅レベルの情報を用いた故障判定を行うことができる。
【0083】
従って、第2の実施形態に係る故障検知装置は、時系列信号の飽和を検知することに加えて、他の検知手段を用いたセンサモジュールの故障を検知することができる。
【0084】
(第3の実施形態)
第1の実施形態および第2の実施形態では、センサモジュールの故障を検知することについて説明した。他方、第3の実施形態では、センサモジュールのパラメータを変更することによってセンサモジュールの故障を検証することについて説明する。
【0085】
図18は、第3の実施形態に係る故障検知装置100Bを含む故障検知システム1Bの構成を例示するブロック図である。図18の故障検知システム1Bは、故障検知装置100Bと、センサモジュール200Bと、表示装置300とを備える。センサモジュール200Bは、図1のセンサモジュール200と同等の機能を有し、更に故障検知装置100Bからパラメータの変更を受け付ける機能を有する。尚、故障検知システム1Bは、複数のセンサモジュールを備えてもよい。この場合、故障検知装置100Bは、複数のセンサモジュールのそれぞれの状態を判定する。
【0086】
故障検知装置100Bは、時系列信号取得部110Bと、信号解析部120Bと、センサ状態判定部130Bと、パラメータ制御部1810(制御部)とを備える。尚、時系列信号取得部110B、信号解析部120B、およびセンサ状態判定部130Bは、図1の時系列信号取得部110、信号解析部120、およびセンサ状態判定部130、或いは図10の時系列信号取得部110A、信号解析部120A、およびセンサ状態判定部130Aと略同様の構成であるため、重複する説明を省略し、異なる場合に適宜説明を行う。
【0087】
センサ状態判定部130Bは、判定結果を表示装置300へと出力し、更に、パラメータ制御部1810へと出力する。
【0088】
パラメータ制御部1810は、センサ状態判定部130Bから判定結果を受け取る。パラメータ制御部1810は、判定結果に応じて、センサモジュール200Bのパラメータを変更させる。パラメータは、例えば、アンプのゲインおよびAD変換のパラメータ(ビット深度およびサンプリング周波数)である。パラメータ制御部1810は、例えば、センサモジュール200Bに関する複数のパラメータを保持し、複数のパラメータの一部または全てについて、センサモジュール200Bのパラメータを変更させる。尚、パラメータ制御部1810は、全てのパラメータについて、センサモジュール200Bのパラメータを変更させたか否かを判定してもよい。
【0089】
センサモジュール200Bは、パラメータ制御部1810からパラメータの変更を受け付ける。センサモジュール200Bは、変更されたパラメータに基づいてセンサデータ(時系列信号)を生成する。センサモジュール200Bは、生成した時系列信号を故障検知装置100Bへと出力する。尚、センサモジュール200Bは、図2のセンサモジュール200の構成と略同様である。
【0090】
図19は、図18の故障検知装置の動作を例示するフローチャートである。図19のフローチャートの処理は、ユーザによって故障検証プログラムが実行されることで開始する。
【0091】
(ステップST1910)
故障検証プログラムが実行されると、パラメータ制御部1810は、センサモジュール200Bのパラメータを変更する。尚、後述するステップST1950から遷移した場合、パラメータ制御部1810は、センサモジュール200Bのパラメータを新たに変更する。
【0092】
(ステップST1920)
パラメータを変更した後、時系列信号取得部110Bは、センサモジュール200Bから時系列信号を取得する。
【0093】
(ステップST1930)
時系列信号が取得された後、信号解析部120Bは、時系列信号を解析することによって、時系列信号の飽和に関する情報を少なくとも含む解析結果を生成する。
【0094】
(ステップST1940)
解析結果が生成された後、センサ状態判定部130Bは、解析結果に基づいてセンサモジュール200Bの故障を判定する。以降では、ステップST1940の処理を「故障判定処理」と称する。故障判定処理の具体例は、図4のフローチャートまたは図11のフローチャートと同様である。
【0095】
(ステップST1950)
判定結果が出力された後、パラメータ制御部1810は、全てのパラメータで故障判定を実施したか否かを判定する。具体的には、パラメータ制御部1810は、全てのパラメータについて、センサモジュール200Bのパラメータを変更させたか否かを判定する。これ以上パラメータを変更する必要が無い、即ち全てのパラメータで故障判定を実施した場合、処理はステップST1960へと進み、そうでない場合、処理はステップST1910へと戻る。
【0096】
(ステップST1960)
全てのパラメータで故障判定を実施した後、センサ状態判定部130Bは、全ての判定結果に基づいて表示データを表示装置300に表示させる。具体的には、センサ状態判定部130Bは、各パラメータと判定結果とを対応付けた表示データを表示する。ステップST1960の後、故障検証プログラムの処理は終了する。
【0097】
以上説明したように、第3の実施形態に係る故障検知装置は、センサモジュールが生成する時系列信号を取得し、時系列信号を解析することによって、時系列信号の飽和に関する情報を含む解析結果を生成し、解析結果に基づいて、センサモジュールに関する故障を判定する。更に、本故障検知装置は、センサモジュールが故障であると判定された後に、センサモジュールのパラメータを変更し、変更されたパラメータについてセンサモジュールの故障を更に判定することができる。センサモジュール内のどこが、故障原因なのかを特定することができる。
【0098】
従って、第3の実施形態に係る故障検知装置は、パラメータを変更したセンサモジュールが生成した時系列信号に関して故障判定を行うことができるため、故障原因を検証し特定することができる。
【0099】
(第4の実施形態)
第1の実施形態、第2の実施形態、および第3の実施形態では、故障検知装置について説明した。他方、第4の実施形態では、故障検知装置の各部を有する状態監視装置について説明する。
【0100】
図20は、第4の実施形態に係る状態監視装置2000を含む状態監視システム2の構成を例示するブロック図である。図20の状態監視システム2は、状態監視装置2000と、センサモジュール200と、表示装置300とを備える。状態監視装置2000は、センサデータに基づいて、センサモジュール200の状態を判定し、更に計測対象(監視対象)の状態(正常または異常)を判定する。表示装置300は、状態監視装置2000の判定に基づく表示データを表示する。
【0101】
状態監視装置2000は、故障検知装置100Cと、監視対象異常検知部2010(異常検知部)と、通信部2020とを備える。故障検知装置100Cは、時系列信号取得部110Cと、信号解析部120Cと、センサ状態判定部130Cとを備える。尚、故障検知装置100Cは、図1の故障検知装置100または図10の故障検知装置100Aと略同様の構成であるため、重複する説明を省略し、異なる場合に適宜説明を行う。
【0102】
時系列信号取得部110Cは、時系列信号を信号解析部120Cへと出力し、更に、監視対象異常検知部2010へと出力する。センサ状態判定部130Cは、判定結果を表示装置300へと出力し、更に通信部2020へと出力する。
【0103】
監視対象異常検知部2010は、計測対象の稼働状況を監視して、計測対象の動作不良、動作不良兆候、劣化、劣化兆候などを異常として検知、あるいは計測対象が製造および加工する製造物、加工物の不良および不具合などを異常として検知する。監視対象異常検知部2010は、時系列信号取得部110Cから時系列信号を受け取る。監視対象異常検知部2010は、時系列信号に基づいて監視対象に異常があるか否かを監視し、異常がある場合に異常検知結果を生成する。異常検知結果には、例えば、監視対象の劣化に関する情報(劣化情報)および監視対象の異常に関する情報(異常情報)が含まれる。監視対象異常検知部2010は、異常検知結果を表示装置300および通信部2020へと出力する。
【0104】
具体的には、監視対象異常検知部2010は、時系列信号を周波数解析することによって、正常時(例えば、監視対象の初期稼働時)の高周波成分(例えば、10kHz以上、具体的には15kHzから40kHzの間)のパワーに対する、現在の高周波成分のパワーの増加割合に応じた劣化情報を生成する。尚、監視対象異常検知部2010は、時系列信号を入力することによって劣化情報を出力するように学習された機械学習の学習済みモデルを用いて劣化情報を生成してもよい。
【0105】
また、監視対象異常検知部2010は、時系列信号を周波数解析することによって、正常時の低周波成分(例えば、10kHz以下、具体的には2kHzから3kHzの間)のパワーに対する、現在の低周波成分のパワーの増加割合に応じた第1の異常情報を生成する。更に、監視対象異常検知部2010は、時系列信号を周波数解析することによって、特定の周波数(例えば、10kHzから40kHzの間)の波形が、所定の時間長(例えば、10ミリ秒)および所定の時間間隔(例えば、0.4秒間隔)で出現する場合に第2の異常情報を生成する。尚、監視対象異常検知部2010は、時系列信号を入力することによって異常情報(第1の異常情報および第2の異常情報)を出力するように学習された機械学習の学習済みモデルを用いて異常情報を生成してもよい。
【0106】
通信部2020は、監視対象異常検知部2010から異常検知結果を受け取り、センサ状態判定部130Cから判定結果を受け取る。通信部2020は、ネットワークNWを介して、外部装置と通信を行う。外部装置は、例えば、他の故障検知装置、他の状態監視装置、携帯端末、およびクラウドである。通信部2020は、異常検知結果および判定結果を外部装置へと通知する。
【0107】
以上、第4の実施形態に係る状態監視システム2および状態監視装置2000の構成について説明した。次に、状態監視装置2000の動作について図20のフローチャートを用いて説明する。
【0108】
図21は、図20の状態監視装置の動作を例示するフローチャートである。図20のフローチャートの処理は、ユーザによって状態監視プログラムが実行されることで開始する。状態監視プログラムの処理は、故障検知プログラムの処理を一部内包している。具体的には、図20のステップST2110、ステップST2120、およびステップST2130は、図3のステップST310、ステップST320、およびステップST330(または、図11のステップST1100)と同様である。そのため、これらの説明は省略する。
【0109】
(ステップST2140)
判定結果が出力された後、監視対象異常検知部2010は、監視対象の異常を検知したか否かを判定する。具体的には、監視対象異常検知部2010は、時系列信号に基づいて監視対象に異常があるか否かを監視する。監視対象に異常がある場合、即ち監視対象の異常を検知した場合、処理はステップST2150へと進み、そうでなければ処理はステップST2160へと進む。
【0110】
(ステップST2150)
監視対象の異常を検知した後、センサ状態判定部130Cは、判定結果に基づいて表示データを表示装置300に表示させる。さらに、監視対象異常検知部2010は、異常検知結果に基づいて表示データを表示装置300に表示させる。この時、通信部2020は、判定結果および異常検知結果を外部装置へ出力してもよい。ステップST2150の後、状態監視プログラムの処理は終了する。
【0111】
(ステップST2160)
監視対象の異常を検知していない場合、センサ状態判定部130Cは、判定結果に基づいて表示データを表示装置300に表示させる。ステップST2160の後、状態監視プログラムの処理は終了する。
【0112】
次に、第4の実施形態における表示データの具体例について、図22から図24までを用いて説明する。図22から図24までの表示データは、計測対象としての冷却ファンと、マイクセンサを搭載したセンサモジュール200とに関する。これらの表示データには、冷却ファンの劣化度および異常に関する6つのインジケータと、マイクセンサがどのような原因で故障しているか否かを示す4つのインジケータとが含まれる。4つのインジケータは、振幅飽和に関する判定、振幅変化に関する判定、無振幅(無音)に関する判定、および振幅レベルに関する判定にそれぞれ対応している。
【0113】
図22は、第4の実施形態における、正常な場合の表示データ2200を例示する図である。図22の表示データ2200は、冷却ファンが正常か否かを示すインジケータ2210を含む冷却ファンの状態に関する6つのインジケータと、マイクの故障原因に関する4つのインジケータ2221から2224までとを有する。インジケータ2210は点灯している。その他の全てのインジケータは消灯している。ユーザは、表示データ2200を視認することにより、冷却ファンおよびマイクがいずれも正常であることを認知することができる。
【0114】
図23は、第4の実施形態における、センサモジュールの故障に関する表示データ2300を例示する図である。図23の表示データ2300は、冷却ファンが正常か否かを示すインジケータ2310を含む冷却ファンの状態に関する6つのインジケータと、マイクの故障原因に関する4つのインジケータ2321から2324までとを有する。インジケータ2310は点灯している。無音に関する判定についてのインジケータ2323は点灯している。ユーザは、表示データ2300を視認することにより、少なくともマイクが故障していることを認知することができる。
【0115】
図24は、第4の実施形態における、センサモジュールの故障および監視対象の異常に関する表示データ2400を例示する図である。図24の表示データ2400は、冷却ファンが劣化していることを示すインジケータ2411と冷却ファンの異常に関する2つのインジケータ2412および2413とを含む冷却ファンの状態に関する6つのインジケータと、マイクの故障原因に関する4つのインジケータ2421から2424までとを有する。インジケータ2411、インジケータ2412、およびインジケータ2413は点灯している。振幅飽和に関する判定についてのインジケータ2421は点灯している。ユーザは、表示データ2400を視認することにより、冷却ファンの異常、およびマイクの故障を認知することができる。
【0116】
以上説明したように、第4の実施形態に係る状態監視装置は、センサモジュールが生成する時系列信号を取得し、時系列信号を解析することによって、時系列信号の飽和に関する情報を含む解析結果を生成し、解析結果に基づいて、センサモジュールに関する故障を判定する。更に、本故障検知装置は、時系列信号に関する計測対象の異常を検知し、センサモジュールの故障および計測対象の異常の少なくとも一方を外部装置へ通知することができる。
【0117】
従って、第4の実施形態に係る状態監視装置は、センサモジュールおよび計測対象の少なくとも一方の状態を外部へ通知することができるため、計測対象についての保守管理
を柔軟に行うことができる。
【0118】
なお、第4の実施形態に係る状態監視装置2000および状態監視システム2は、それぞれ故障検知装置および故障検知システムに読み替えられてもよい。即ち、第4の実施形態に係る故障検知装置は、時系列信号取得部110Cと、信号解析部120Cと、センサ状態判定部130Cと、監視対象異常検知部2010と、通信部2020とを備える。また、第4の実施形態に係る故障検知システムは、上記故障検知装置と、センサモジュール200と、表示装置300とを備える。
【0119】
(他の実施形態)
第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態、および第4の実施形態では、いずれも振幅値が飽和した場合について故障判定を行っていたがこれに限らない。例えば、振幅値の最大値の近傍(例えば「0.995」)および最小値の近傍(例えば「-0.995」)にそれぞれ閾値を設け、この閾値を上回る、或いは下回る場合について故障判定を行ってもよい。
【0120】
図25は、一実施形態に係るコンピュータ2500のハードウェア構成を例示するブロック図である。図25のコンピュータ2500は、ハードウェアとして、CPU(Central Processing Unit)2510、RAM(Random Access Memory)2520、プログラムメモリ2530、補助記憶装置2540、入出力インタフェース2550を備える。CPU2510は、バス2560を介して、RAM2520、プログラムメモリ2530、補助記憶装置2540、および入出力インタフェース2550と通信する。
【0121】
CPU2510は、汎用プロセッサの一例である。RAM2520は、ワーキングメモリとしてCPU2510に使用される。RAM2520は、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリを含む。プログラムメモリ2530は、故障検知プログラム、故障検証プログラム、或いは状態監視プログラムを含む種々のプログラムを記憶する。プログラムメモリ2530として、例えば、ROM(Read-Only Memory)、補助記憶装置2540の一部、またはその組み合わせが使用される。補助記憶装置2540は、データを非一時的に記憶する。補助記憶装置2540は、HDDまたはSSDなどの不揮発性メモリを含む。
【0122】
入出力インタフェース2550は、他のデバイスと接続、或いは通信するためのインタフェースである。入出力インタフェース2550は、例えば、図1図18図20に示されるセンサモジュール200および表示装置300との接続、或いは通信に使用される。また、図20の通信部2020は、入出力インタフェース2550に含まれてもよい。
【0123】
プログラムメモリ2530に記憶されている各プログラムはコンピュータ実行可能命令を含む。プログラム(コンピュータ実行可能命令)は、CPU2510により実行されると、CPU2510に所定の処理を実行させる。例えば、故障検知プログラムは、CPU2510により実行されると、CPU2510に図3図4、および図11の各ステップに関して説明された一連の処理を実行させる。また例えば、故障検証プログラムは、CPU2510により実行されると、CPU2510に図19の各ステップに関して説明された一連の処理を実行させる。また例えば、状態監視プログラムは、CPU2510により実行されると、CPU2510に図21の各ステップに関して説明された一連の処理を実行させる。
【0124】
プログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態でコンピュータ2500に提供されてよい。この場合、例えば、コンピュータ2500は、記憶媒体からデータを読み出すドライブ(図示せず)をさらに備え、記憶媒体からプログラムを取得する。記憶媒体の例は、磁気ディスク、光ディスク(CD-ROM、CD-R、DVD-ROM、DVD-Rなど)、光磁気ディスク(MOなど)、半導体メモリを含む。また、プログラムを通信ネットワーク上のサーバに格納し、コンピュータ2500が入出力インタフェース2550を使用してサーバからプログラムをダウンロードするようにしてもよい。
【0125】
実施形態において説明される処理は、CPU2510などの汎用ハードウェアプロセッサがプログラムを実行することにより行われることに限らず、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの専用ハードウェアプロセッサにより行われてもよい。処理回路(処理部)という語は、少なくとも1つの汎用ハードウェアプロセッサ、少なくとも1つの専用ハードウェアプロセッサ、または少なくとも1つの汎用ハードウェアプロセッサと少なくとも1つの専用ハードウェアプロセッサとの組み合わせを含む。図25に示す例では、CPU2510、RAM2520、およびプログラムメモリ2530が処理回路に相当する。
【0126】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0127】
1…故障検知システム、1B…故障検知システム、2…状態監視システム、96kHz…サンプリング周波数、100…故障検知装置、100A…故障検知装置、100B…故障検知装置、100C…故障検知装置、110…時系列信号取得部、110A…時系列信号取得部、110B…時系列信号取得部、110C…時系列信号取得部、120…信号解析部、120A…信号解析部、120B…信号解析部、120C…信号解析部、130…センサ状態判定部、130A…センサ状態判定部、130B…センサ状態判定部、130C…センサ状態判定部、200…センサモジュール、200B…センサモジュール、210…マイクセンサ、220…アンプ、230…アナログデジタル変換器、240…端子、300…表示装置、500…時系列信号、600…時系列信号、700…振幅ヒストグラム、800…表示データ、810…インジケータ、820…文字列表示領域、900…表示データ、910…インジケータ、920…文字列表示領域、1010…振幅飽和検出部、1020…振幅変化検出部、1030…無振幅検出部、1040…振幅レベル検出部、1200…時系列信号、1300…振幅ヒストグラム、1400…時系列信号、1500…時系列信号、1600…表示データ、1700…表示データ、1810…パラメータ制御部、2000…状態監視装置、2010…監視対象異常検知部、2020…通信部、2200…表示データ、2300…表示データ、2400…表示データ、2500…コンピュータ、2530…プログラムメモリ、2540…補助記憶装置、2550…入出力インタフェース、2560…バス、cb…ケーブル、NW…ネットワーク。
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