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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】ジェルを有するシーシャカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   A24F 1/30 20060101AFI20240502BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20240502BHJP
【FI】
A24F1/30
A24F40/42
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020571834
(86)(22)【出願日】2019-07-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 IB2019055799
(87)【国際公開番号】W WO2020012330
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-06-24
(31)【優先権主張番号】18182790.8
(32)【優先日】2018-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ペイネンブルグ ヨハンネス ペートルス マリア
(72)【発明者】
【氏名】フォルマー ジャン-イヴ
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス フローレス アナ イザベル
(72)【発明者】
【氏名】ビアレク ヤクブ
(72)【発明者】
【氏名】カペリ セバスチャン
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0157520(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02179667(EP,A1)
【文献】国際公開第2017/178930(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0027883(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 1/30
A24F 40/00-40/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーシャカートリッジであって、
キャビティおよび内部キャビティ表面を画定する本体と、
前記キャビティ内に配置されたエアロゾル形成基体と、
前記内部キャビティ表面に隣接し、かつ前記エアロゾル形成基体に隣接して前記キャビティ内に配置されたゲルの層と、を含む、シーシャカートリッジ。
【請求項2】
前記ゲルが、エアロゾル形成体を含む、請求項1に記載のシーシャカートリッジ。
【請求項3】
前記エアロゾル形成体が、グリセリン、プロピレングリコール、またはそれらの組み合わせを含む、請求項2に記載のシーシャカートリッジ。
【請求項4】
前記ゲルが、10重量%~80重量%のエアロゾル形成体を含む、請求項1~3のいずれかに記載のシーシャカートリッジ。
【請求項5】
前記ゲルが、0.2重量%~10重量%のゲル化剤を含む、請求項1~4のいずれかに記載のシーシャカートリッジ。
【請求項6】
前記ゲルが、そのゲル形態を少なくとも50℃の温度まで保持するように配置されている、請求項1~5のいずれかに記載のシーシャカートリッジ。
【請求項7】
前記ゲルがそのゲル形態を失う温度に到達したときに、前記ゲルの化合物の少なくとも一部が気化して、エアロゾルを形成するように、前記ゲルが配合されている、請求項1~6のいずれかに記載のシーシャカートリッジ。
【請求項8】
前記ゲルが、寒天、カラギーナン、またはそれらの組み合わせを含むゲル化剤を含む、請求項1~7のいずれかに記載のシーシャカートリッジ。
【請求項9】
前記ゲルが、最大75重量%の水を含む、請求項1~8のいずれかに記載のシーシャカートリッジ。
【請求項10】
前記ゲルが、前記カートリッジのキャビティの内部で前記エアロゾル形成基体の周りに配置されている、請求項1~9のいずれかに記載のシーシャカートリッジ。
【請求項11】
前記ゲルが隣接して配置される前記内部キャビティ表面が、通気孔を含む、請求項1~10のいずれかに記載のシーシャカートリッジ。
【請求項12】
前記ゲルが、前記キャビティの底部に隣接して配置されており、前記通気孔が、出口を含む、請求項11に記載のシーシャカートリッジ。
【請求項13】
前記ゲルが、1cm2~25cm2の表面積を有する、請求項1~12のいずれかに記載のシーシャカートリッジ。
【請求項14】
前記ゲルが、0.1mm~10mmの厚さを有する、請求項1~13のいずれかに記載のシーシャカートリッジ。
【請求項15】
前記ゲルの層が、前記キャビティの少なくとも一部を裏張りしている、請求項1~14のいずれかに記載のシーシャカートリッジ。
【請求項16】
前記エアロゾル形成基体が、たばこを含む、請求項1~15のいずれかに記載のシーシャカートリッジ。
【請求項17】
前記エアロゾル形成基体が、たばこおよび糖蜜を含む、請求項1~16のいずれかに記載のシーシャカートリッジ。
【請求項18】
前記内部キャビティ表面に隣接し、かつ前記エアロゾル形成基体に隣接して前記キャビティ内に配置されたゲルの層が提供されることにより、前記エアロゾル形成基体のみの第1の吸入までの時間に比べて第1の吸入までの時間が短縮された、請求項1~17のいずれかに記載のシーシャカートリッジ。
【請求項19】
前記ゲルの層が、前記内部キャビティ表面と前記エアロゾル形成基体との間に配置されている、請求項1~18のいずれかに記載のシーシャカートリッジ。
【請求項20】
シーシャシステムであって、
請求項1~19のいずれかに記載のシーシャカートリッジと、
シーシャ装置であって、
前記カートリッジを受けるためのレセプタクルと、
前記カートリッジが前記シーシャ装置の前記レセプタクル内に受けられたときに、前記エアロゾル形成基体を加熱するための発熱体と、
液体充填レベルを有し、前記液体充填レベルの上方の上部空間を画定するベッセルと、
前記レセプタクルから前記ベッセル内の前記液体充填レベルの下方にエアロゾルを搬送するためのエアロゾル導管と、
前記上部空間と連通する出口と、を含む、シーシャ装置と、を含む、シーシャシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シーシャ装置およびシーシャ装置で使用するためのエアロゾル形成基体を含むカートリッジに関し、より具体的には、基体を燃焼することなくエアロゾル形成基体のエアロゾル形成を向上するそのようなカートリッジで使用するためのゲルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来的なシーシャ装置は、たばこを喫煙するために使用され、また消費者が吸い込む前にベイパーおよび煙が水盤を通過するように構成されている。シーシャ装置は、1つの出口を含んでもよく、または2人以上の消費者が同時に装置を使用することができるように2つ以上の出口を含んでもよい。多くの人にとって、シーシャ装置の使用は余暇活動および社会的経験であると考えられている。
【0003】
シーシャ装置に使用されるたばこは、例えば、生成されるベイパーおよび煙の量を増やすため、風味を変化させるため、またはその両方のために、その他の成分と混合されてもよい。典型的には、従来的なシーシャ装置では炭のペレットがたばこを加熱するため使用され、炭のペレットは、たばこまたはその他の成分を完全にまたは部分的に燃焼させることができる。加えて、炭のペレットは、シーシャのベイパーと混合して水盤を通過しうる、一酸化炭素などの有害な、または潜在的に有害な生成物を発生させうる。
【0004】
一部のシーシャ装置は、例えば炭燃焼の副産物を回避するために、またはたばこ加熱の一貫性を向上させるために、電気熱源を使用してたばこを消費することが提案されてきた。たばこよりもむしろ、eリキッドを使用する他のシーシャ装置が提案されてきている。eリキッドを使用するシーシャ装置は、燃焼による副産物を出さないが、シーシャ消費者から、たばこに基づく体験を奪う。
【0005】
たばこを加熱するが燃焼させない電気ヒーターを使用するその他のシーシャ装置も提案されている。このような熱非燃焼式シーシャ装置は、たばこの燃焼と関連する副産物を低減または除去するが、従来の炭状ベースのシーシャ装置よりもエアロゾルの生成量が少なく、したがって、従来のシーシャ体験に対するユーザーの期待を満たすことができない。エアロゾルの生成の減少は、最初の吸入中により顕著になる場合があり、ヒーターとたばこベースの基体との間の非効率な熱伝導に起因しうる。
【0006】
一部の熱非燃焼式シーシャ装置は、従来のたばこベースの糖蜜から実質的に外れる基体と組み合わせて使用される。例えば、電子シーシャの基体は、乾燥石またはeリキッドを含んでもよい。これらの基体は、通常、糖蜜よりも均質な形態および高い熱伝導率を有する。糖蜜は、比較的より不均一である傾向があり、したがって均等に加熱するのは困難である。しかしながら、ユーザーは、非糖蜜基体が典型的な儀式および経験を低下させていると認識する場合がある。
【0007】
糖蜜などのたばこベースのエアロゾル発生基体と併用するための、提案された電気加熱式のシーシャ装置は、エアロゾル発生基体を収容するためのカプセルまたはカートリッジを一般的に採用する。カートリッジは、開放された上部と、底部に複数の孔と、を含みうる。しかしながら、開いた上部および複数の孔は、密封されていない場合、漏れの問題だけでなく、基体の新鮮さ(例えば、含水量)の喪失または汚染をもたらす可能性がある。新鮮さを維持し、基体の漏れを防止し、ならびに保管中の基体の品質および完全性を保持するために、使用前にカートリッジの開口部および/または孔を密封することが望ましい。例えば、上部および底部は、保管中に取り外し可能なカバー、蓋、またはステッカーによって閉じられてもよい。
【0008】
開口部を密封するためのステッカーまたは蓋の使用には、蓋を形成し、次に、例えば、溶接、接着剤または圧着によって、蓋をカートリッジに取り付けるための追加の製造ステップが関与する。さらに、ステッカーは通常、使い捨てであり、これにより、より多くの廃棄物が生成されるため、経済的ではない。さらに、いくつかの既知のカバーまたはステッカーの性能は、最適ではない。例えば、温暖な気候では、湿り気のないシールを形成し、カバーまたは蓋を固定するために使用される接着剤は、溶融して湿り気のないシールを破壊することができ、これは鮮度の喪失、基体の品質および完全性の低下などをもたらしうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
エアロゾル化を向上する電気加熱式のシーシャ装置のためのエアロゾル生成システムを提供することが望ましい。また、総エアロゾル質量(TAM)を増加させる電気加熱式のシーシャ装置のためのエアロゾル生成システムを提供することが望ましい。ユーザーが第1の吸入を受けることができるまでの時間(第1の吸入までの時間、TT1Pとも呼ばれる)を短縮する、電気加熱式のシーシャ装置のためのエアロゾル生成システムを提供することがさらに望ましい。取り外し可能なカバー、蓋、またはステッカーを必要とせずに、基体の品質および完全性が保持されるカプセルまたはカートリッジを提供することがさらに望ましい。また、エアロゾル化の向上、TAMの増加、およびTT1Pの減少のうちの1つ以上を行う一方で、従来の基体(例えば、糖蜜)の使用を可能にするエアロゾル生成システムを提供することがさらに望ましい。また、より経済的な方法で基体の新鮮さを維持するのに役立つエアロゾル生成システムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の様々な態様は、キャビティおよび内部キャビティ表面を画定する、本体を含むシーシャカートリッジに関する。カートリッジは、キャビティ内に配置されたエアロゾル形成基体を含む。カートリッジは、内部キャビティ表面に隣接したキャビティ内に配置されたゲルを含む。ゲルはまた、エアロゾル形成基体に隣接して(例えば、内部キャビティ表面とエアロゾル形成基体との間に)配置されてもよい。ゲルは、ゲルの層であってもよい。
【0011】
ゲルおよびエアロゾル形成基体は、別個の異なる構成要素である。エアロゾル形成基体およびゲルは、単一の構成要素に結合しない。むしろ、エアロゾル形成基体およびゲルは、別個の層で提供されうる。エアロゾル形成基体およびゲル層を別個の構成要素として保持することは、ゲルおよびエアロゾル形成基体の混合物を含む追加の組成物を調製する必要がないため、カートリッジの製造および充填を簡略化しうる。
【0012】
ゲルおよびエアロゾル形成基体は、別個の異なる層としてカートリッジ内に配置されてもよい。
【0013】
本開示の一態様によれば、ゲルまたはゲル化された溶液は、エアロゾル化および感覚活性化合物の放出を向上するためにカプセル内に配置されている。ゲルは、1つ以上のエアロゾル形成体、感覚活性化合物またはその前駆体を含みうる。エアロゾル形成体は、使用時にエアロゾルの形成を促進する化合物である。かかる化合物には、水、グリセリン、およびプロピレングリコールが含まれるが、これらに限定されない。感覚活性化合物は、感覚応答、例えば、風味を誘発することを可能にする化合物である。ゲルは、ゲルを含むカートリッジが電気シーシャ装置の予熱中に加熱されるにつれてそのゲル状態を失うように選択されたゲル化剤でゲル化されてもよい。
【0014】
ゲルは、カートリッジのキャビティの底部に、カートリッジのキャビティの上部に沿って、またはカートリッジのキャビティの壁に沿って配置されてもよい。好ましい実施形態では、ゲルは、カートリッジが使用中の場合、加熱された表面と直接的に接触する。
【0015】
カートリッジおよびカートリッジ内のゲルが使用中に加熱されると、ゲルの化合物が、部分的または完全に気化する。気化した化合物は、エアロゾルの形成に寄与する。ゲルは、特に最初の数回の吸入中に、シーシャ装置によって生成されるエアロゾル化されたすべての物質を増加させることによってエアロゾル化を向上しうる。したがって、炭ベースのシーシャ装置により類似したエアロゾル生成は、従来の基体(糖蜜)を有するカートリッジ内のゲルを用いた熱非燃焼式シーシャ装置を用いて得られてもよく、それによって、従来のシーシャ装置および基体に関連する風味、アロマ、および儀式を可能な限り維持することができる。ゲルがないと、従来の糖蜜基体は、熱非燃焼式シーシャ装置において、特に最初の数回の吸入中に、総エアロゾル質量を少なくすることができる。
【0016】
「エアロゾル」という用語は、本明細書で使用される場合、揮発性風味化合物を含有しうる空気などの気体中の微細固体粒子または液体液滴の懸濁液を指す。
【0017】
一部の実施形態では、ゲルは、電気シーシャ装置との併用中に温度の上昇に反応し、活性化または使用のためのユーザーによる追加のステップを必要としない。カートリッジ内のゲルの使用は、最初の吸入までの時間を短縮するか、総エアロゾル物質(TAM)を増加させるか、または最初の吸入までの時間の短縮およびTAMの増加の両方を引き起こすことができる。TAMは、特に最初の数回の吸入中に優先的に増加する。これは、通常、電気加熱式のシーシャ装置ではTAMが低い状態での最初の数回の吸入であるためである。
【0018】
いくつかの実施形態では、ゲルは、カートリッジ内の1つ以上の通気孔の密封機構として使用されうる。カートリッジは、保管中に内容物を保護するために使用される剥離可能なまたは取り外し可能なライナーまたはカバーを含んでもよい。カートリッジが通気孔を覆うゲル層を含む場合、カートリッジがユーザーによって操作され、かつシーシャ装置内に配置されている間、内容物の漏れなしにライナーまたはカバーを取り外すことができる。
【0019】
カートリッジは、シーシャ装置によって受けられるように構成された任意の適切な形状であってもよい。シーシャ装置は、カートリッジ内のゲルおよびエアロゾル形成基体を加熱するように構成されている。装置は、伝導によってカートリッジ内のゲルおよびエアロゾル形成基体を加熱するように構成されうる。カートリッジは、シーシャ装置の発熱体との接触を可能にする、またはその間の距離を最小化する形状およびサイズであって、シーシャ装置のヒーターからカートリッジ内のエアロゾル発生基体への効率的な熱伝達を提供することが好ましい。熱は、抵抗加熱または誘導によるなどの、任意の適切な機構によって生成されうる。誘導加熱を促進するために、カートリッジには、サセプターが提供されてもよい。例えば、カートリッジ本体は、サセプターとして作用することができる材料(例えば、アルミニウム)から作製されてもよく、またはサセプター材料は、カートリッジのキャビティ内に提供されてもよい。
【0020】
カートリッジは、実質的に立方体形状、円筒形状、円錐台形状、または任意のその他の適切な形状を有してもよい。カートリッジは、略円筒形状または略円錐第形状を有することが好ましい。
【0021】
カートリッジは、その中にエアロゾル形成基体が配置されるキャビティを画定する任意の適切な本体を含みうる。本体は、耐熱性ポリマーまたは金属などの1つ以上の耐熱性材料から形成されることが好ましい。本体は熱伝導性材料を含むことが好ましい。例えば、本体は、アルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、銀、その任意の合金、およびそれらの組み合わせのいずれかを含みうる。本体はアルミニウムを含むことが好ましい。
【0022】
本体は、上部、底部および側壁を含みうる。本体は、1つ以上の部品を含みうる。例えば、側壁および底部は、ねじ係合または締まり嵌めなど、任意の適切な方法で互いに係合するように構成された単一の部品または2つの部品であってもよい。上部および側壁は、ねじ係合または締まり嵌めなど、任意の適切な方法で互いに係合するように構成された単一の部品または2つの部品であってもよい。
【0023】
本体は、その中にエアロゾル形成基体およびゲルが配置されうるキャビティを画定する。キャビティを画定する本体の一部分は、加熱可能な壁または表面を有してもよい。本明細書で使用される場合、「加熱可能な壁」および「加熱可能な表面」は、直接的または間接的のいずれかで熱が加えられる壁または表面の区域を意味する。例えば、キャビティを画定する本体の一部分の加熱可能な壁または表面は、それを通して熱がキャビティの外側から本体を通ってキャビティを画定する本体の壁または表面に伝達されうる表面である。
【0024】
エアロゾル形成基体は、キャビティの任意の適切な容積を占めうる。カートリッジ内のエアロゾル形成基体の容積は、カートリッジ内に配置されたエアロゾル形成基体の量、組成、形状、充填密度、または形態を変更することによって変化しうる。
【0025】
任意の適切なエアロゾル形成基体は、カートリッジの本体によって画定されるキャビティ内に提供されうる。エアロゾル形成基体は、シーシャ基体であることが好ましい。エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成しうる揮発性化合物を放出する能力を有する基体であることが好ましい。揮発性化合物はエアロゾル形成基体を加熱することによって放出されてもよい。エアロゾル形成基体は固体でも液体でもよく、固体および液体の両方の成分を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、固体を含むことが好ましい。
【0026】
エアロゾル形成基体はニコチンを含んでもよい。ニコチン含有エアロゾル形成基体はニコチン塩マトリクスを含みうる。エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はたばこを含むことが好ましく、たばこ含有材料は加熱に応じてエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有することが好ましい。エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含んでもよい。均質化したたばこ材料は、粒子状のたばこを凝集することによって形成されてもよい。エアロゾル形成基体は別の方法として、または追加的に、非たばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル発生基体は均質化した植物由来材料を含んでもよい。
【0027】
エアロゾル形成基体は例えば、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の破片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押出成形たばこ、膨化たばこのうちの1つ以上を含む、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートのうち1つ以上を含みうる。
【0028】
エアロゾル形成基体は少なくとも1つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、使用時に、密度が高く安定したエアロゾルの形成を容易にし、そしてシーシャ装置の使用温度で実質的に熱劣化耐性のある任意の好適な公知の化合物または化合物の混合物であってもよい。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、これには多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましいエアロゾル形成体は多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールなど)であり、グリセリンが最も好ましい。エアロゾル形成基体は、その他の添加物および成分(風味剤など)を含んでもよい。エアロゾル形成基体はニコチンおよび少なくとも1つのエアロゾル形成体を含むことが好ましい。いくつかの実施形態では、エアロゾル形成体は、グリセリンまたはグリセリンと1つ以上の他の適切なエアロゾル形成体(上記のものなど)との混合物である。
【0029】
エアロゾル形成基体は、任意の適切な量のエアロゾル形成体を含みうる。例えば、エアロゾル形成体含有量は、乾燥質量基準で5%以上であってもよく、乾燥質量基準で30重量%より高いことが好ましい。エアロゾル形成体含有量は、乾燥質量基準で約95%未満であってもよい。エアロゾル形成体の含有量は最大約55%であることが好ましい。
【0030】
エアロゾル形成基体は、熱的に安定な担体上に提供されてもよく、またはその中に包埋されてもよい。「熱的に安定な」という用語は、基体が典型的に加熱される温度(例えば、約150℃~約300℃)で実質的に劣化しない材料を示すために本明細書で使用される。担体は、第1の主表面、第2の主外表面、または第1の主表面および第2の主表面の両方の上に基体が堆積された薄層を含んでもよい。担体は、例えば紙、または紙様の材料、不織布炭素繊維マット、低質量の目の粗いメッシュ金属スクリーン、または穿孔された金属箔またはその他の任意の熱的に安定した高分子マトリクスで形成されてもよい。別の方法として、担体は、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートなどの形態を取ってもよい。担体は、たばこ成分が組み込まれた不織布繊維または繊維束としうる。不織布繊維または繊維の束は、例えば炭素繊維、天然セルロース繊維、またはセルロース誘導体繊維を含みうる。ゲルがバリアとして機能する実施形態では、担体は省略されうる。
【0031】
いくつかの実施例では、エアロゾル形成基体は、任意の適切な量の1つ以上の糖を含む。エアロゾル形成基体は、スクロースを粉砕することによって得られたグルコースとフルクトースの混合物である転化糖を含むことが好ましい。エアロゾル形成基体は、約1重量%~約40重量%の糖(転化糖など)を含むことが好ましい。一部の実施例では、1つ以上の糖は、コーンスターチまたはマルトデキストリンなどの適切な担体と混合されうる。
【0032】
エアロゾル形成基体は、たばこおよび糖蜜を含んでもよい。
【0033】
いくつかの実施例では、エアロゾル形成基体は、1つ以上の感覚促進剤を含む。適切な感覚促進剤は、風味剤および冷却剤などの感覚剤を含む。適切な風味剤には、天然または合成のメントール、ハッカ、スペアミント、コーヒー、お茶、スパイス(シナモン、クローブおよびショウガなど)、ココア、バニラ、果実風味、チョコレート、ユーカリ、ゼラニウム、オイゲノール、リュウゼツラン、ビャクシン、アネトール、リナロオールおよびそれらの任意の組み合わせを含む。
【0034】
一部の実施例では、エアロゾル形成基体は懸濁液の形態である。例えば、エアロゾル発生基体は、糖蜜を含みうる。本明細書で使用される場合、「糖蜜」とは、約20%以上の糖を含むエアロゾル形成基体組成物を意味する。例えば、糖蜜は、少なくとも約35重量%の糖など、少なくとも約25重量%の糖を含みうる。典型的には、糖蜜は、約50重量%未満の糖など、約60重量%未満の糖を含む。
【0035】
従来的なシーシャ装置で使用するためのエアロゾル形成基体は、不均質であって塊およびキャビティを含みうる、糖蜜の形態にある。こうしたキャビティは、熱伝導を特に非効率的なものにする、基体と加熱表面との間の直接的な熱接触を防止する。結果として、電子加熱式シーシャ装置は、例えば、eリキッドまたは乾燥石を使用することによる従来的な糖蜜から逸脱する傾向がある。本出願で説明されたカートリッジ内のゲルの使用に起因して、電気加熱を使用する一方で典型的な決まった儀式およびシーシャ体験を維持するために、より従来的なエアロゾル形成基体糖蜜を使用してもよい。
【0036】
任意の適切な量のエアロゾル形成基体(例えば、糖蜜またはたばこ基体)をキャビティ内に配置してもよい。いくつかの好ましい実施形態では、約3g~約25gのエアロゾル形成基体がキャビティ内に配置される。カートリッジは、少なくとも6g、少なくとも7g、少なくとも8g、または少なくとも9gのエアロゾル形成基体を含みうる。カートリッジは、最大15g、最大12g、最大11g、または最大10gのエアロゾル形成基体を含みうる。約7g~約13gのエアロゾル形成基体が、キャビティ内に配置されることが好ましい。より好ましくは、約10gのエアロゾル形成基体が、キャビティ内に配置される。
【0037】
いくつかの実施形態では、カートリッジの本体は約15cm以下の長さを有し、約1cm以上の内径を有し、約70cm2~100cm2など、約30cm2~約100cm2の加熱可能な表面積をキャビティ内に有し、キャビティの容積は約10cm3~約50cm3、好ましくは約25cm3~約40cm3である。より好ましくは、本体は約10cm以下の長さを有し、約1.75cm以上の内径を有し、約70cm2~100cm2など、約30cm2~約100cm2の加熱可能な表面積をキャビティ内に有し、キャビティの容積は約10cm3~約50cm3、好ましくは約25cm3~約40cm3である。さらにより好ましくは、本体は約3.5cm~約7cmの範囲内の長さを有し、約1.5cm~約4cmの範囲内の内径を有し、約70cm2~100cm2など、約30cm2~約100cm2の加熱可能な表面積をキャビティ内に有し、キャビティの容積は約10cm3~約50cm3、好ましくは約25cm3~約40cm3である。本体は円筒状または円錐台状であることが好ましい。
【0038】
カートリッジは、約10分~約60分、好ましくは約20分~約50分、より好ましくは約30分~約40分持続するシーシャ体験のために十分な量のエアロゾルを提供するエアロゾル形成基体の量を含むことが好ましい。
【0039】
一部の実施形態では、カートリッジは、1つ以上の通気孔を含む。通気孔は、入口または出口であってもよく、カートリッジの底部、上部、および/または側面に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、カートリッジは、カートリッジがシーシャ装置で使用された時に、空気がエアロゾル形成基体を通して流れることを可能にする1つ以上の入口および1つ以上の出口を含む。いくつかの実施形態では、カートリッジの上部は、カートリッジの1つ以上の入口を形成する1つ以上の開口部を画定しうる。いくつかの実施形態では、底部カートリッジは、カートリッジの1つ以上の出口を形成する1つ以上の開口部を画定しうる。1つ以上の入口および出口は、カートリッジを通した適切な引き出し抵抗(RTD)を提供するサイズおよび形状であることが好ましい。いくつかの実施例では、入口(複数可)から出口(複数可)へのカートリッジを通したRTDは、約10mmH2O~約50mmH2O、好ましくは約20mmH2O~約40mmH2Oでありうる。標本のRTDは、体積流量が出力端で17.5ミリリットル/秒である安定した条件下での空気の流れによって横断された時の、標本の2つの端部間の静的圧力差を意味する。標本のRTDは、ISO規格6565:2002に記載された方法を使用して、すべての換気を遮断した状態で測定できる。
【0040】
本開示の一態様によれば、カートリッジは、カートリッジ内部に配置されたゲルまたはゲル化溶液を含む。ゲルはゲル化剤を含みうる。ゲル化剤は、その形態(例えば、形状またはゲル状態)を最低温度まで保持するように選択されてもよい。その形態を維持することは、ゲルが通気孔を通してカートリッジから漏れ出さず、かつゲルがシールとして使用されても、孔のシールとして機能することができることを意味する。例えば、ゲル化剤は、少なくとも40℃、少なくとも45℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、または少なくとも70℃の温度までその形態を保持しうる。ゲル化剤は、最高150℃、最高120℃、最高100℃、最高80℃、または最高70℃の温度でその形態を保持することができる。ゲル化剤がその形態を失う温度は、例えば、ゲル化剤の濃度を変更することによって、または異なるゲル化剤もしくはゲル化剤の混合物を選択することによってなど、ゲルの組成を変更することによって調節されうる。例えば、低アシルジェランは、寒天と比較して熱耐性を高める。ゲル化剤は、そのゲル状態を失う場合がある。本明細書で使用される場合、「そのゲル状態を失う」という語句は、形態学的変化を受けるゲルを指す。形態学的変化は、固体から液体または気体への状態の変化であってもよい。形態学的変化は、粘度の減少などの粘度の変化であってもよい。粘度の減少は、加熱前の室温におけるゲルの初期粘度の少なくとも20%の減少とすることができ、加熱前の室温におけるゲルの初期粘度の少なくとも40%の減少とすることができ、加熱前の室温におけるゲルの初期粘度の少なくとも60%の減少とすることができ、またはより好ましくは、加熱前の室温におけるゲルの初期粘度の少なくとも85%の減少とすることができる。形態学的変化は、その架橋性を失うゲルでありうる。その架橋性を失うことは、架橋の少なくとも18%の損失、架橋の少なくとも20%の損失、架橋の少なくとも40%の損失、架橋の少なくとも50%の損失、またはより好ましくは架橋の少なくとも80%の損失を意味しうる。形態学的変化は、固体から液体または気体への状態の変化、粘度の変化、および架橋性の喪失のうちの1つ以上を含みうる。
【0041】
ゲルは、電気シーシャの予熱時間中にそのゲル状態を失うように配置されてもよい。例えば、ゲル化剤は、200℃で約4分間、または1分以下、2分以下、3分以下、4分以下、5分以下、6分以下、もしくは8分以下において、ゲル状態を失う場合がある。ゲル化剤が室温で、および保管中(例えば、少なくとも10℃~50℃の範囲の温度)にゲルのままである限り、前加熱段階中にゲル化剤がそのゲル状態をいかに早く失うかに関して望ましい下限は存在しない。ゲル化剤は、シーシャ(例えば、カートリッジ)が150℃以上、180℃以上、または190℃以上で加熱されると、そのゲル状態を失いうる。ゲル化剤は、最高200℃、最高210℃、最高220℃、または最高250℃の温度でゲル状態を失いうる。
【0042】
一実施形態によると、ゲルは、ゲルが加熱されるにつれてエアロゾルの形成を助けうる1つ以上のエアロゾル形成化合物を含む。適切なエアロゾル形成体は当技術分野で周知であり、多価アルコール(トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオールおよびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノ-、ジ-またはトリアセテートなど)、およびモノ-、ジ-またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸およびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含むが、これらに限定されない。特に好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコール(例えば、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、および最も好ましくはグリセリン)またはこれらの混合物である。ゲルは、任意の適切な量の1つ以上のエアロゾル形成化合物を含みうる。例えば、ゲルは、10重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、または45重量%以上の1つ以上のエアロゾル形成体を含んでもよい。ゲルは、最大80重量%、最大75重量%、最大70重量%、最大65重量%、最大60重量%、最大55重量%、または最大50重量%の1つ以上のエアロゾル形成体を含んでもよい。一実施形態では、ゲルは、40~70重量%の1つ以上のエアロゾル形成体を含む。一実施形態では、ゲルは、揮発性化合物を含まない。
【0043】
任意の適切な非毒性のゲル化剤が、使用されうる。例えば、ゲル化剤は、寒天、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム(低アシルジェランガム、高アシルジェランガム)、アルギン酸塩(アルギン酸)、グアーガム、ゼラチン、ペクチン、またはそれらの組み合わせを含みうる。ゲル化剤の含有量は、ゲル化剤およびゲルがそのゲル状態を失うのに必要とされる所望の時間に基づいて調整されうる。ゲルは、少なくとも0.2重量%、少なくとも0.4重量%、少なくとも0.5重量%、少なくとも0.7重量%、少なくとも1重量%、または少なくとも1.5重量%のゲル化剤を含んでもよい。ゲルは、最大10重量%、最大8重量%、最大6重量%、最大5重量%、最大4重量%、または最大3重量%のゲル化剤を含みうる。一実施形態では、ゲルは、0.5重量%~3重量%のゲル化剤を含む。
【0044】
ゲルがそのゲル状態にある(例えば、ゲルがそのゲル状態を失う温度まで加熱する前)とき、ゲルは、カートリッジの底部(または上部)でのシールとして作用しうる。
【0045】
ゲルが上述の温度に加熱され、そのゲル状態を失うと、ゲルの化合物(例えば、揮発性化合物)の実質的な一部が、気相に移送される。ゲルの化合物の蒸発により、シーシャを使用する場合、カートリッジの通気孔が、空気流のために開放される。例えば、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%の揮発性化合物が、気相に移送される。加熱すると、最大100%、最大99%、最大98%、最大95%、または最大90%の揮発性化合物が、気相に移送される。
【0046】
ゲルは、水またはその他の適切な溶媒を含む場合があるか、または溶媒を含まない場合がある。ゲルは、0重量%以上、少なくとも1重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、または少なくとも30重量%の水または他の溶媒を含んでもよい。ゲルは、最大75重量%、最大60重量%、最大50重量%、最大40重量%、最大30重量%、最大20重量%、または最大10重量%の水または他の溶媒を含んでもよい。一実施形態では、ゲルは、10重量%~60重量%の水または他の溶媒を含む。
【0047】
ゲルは、さらにニコチンを含んでもよい。ニコチンは、遊離塩基形態または塩形態でゲルに加えられ得る。ゲルは、約1~約3重量%、または約1.5~約2.5重量%の、または約2重量%のニコチンを含みうる。ゲルがニコチンを含む実施形態において、ニコチン成分は、ゲルの最も揮発性の成分でありうる。
【0048】
ゲルは、カートリッジの加熱された表面と直接接触して配置されてもよい。例えば、ゲルは、底部、側壁、上部、またはそれらの組み合わせなどのカプセルの内面と直接接触してもよい。ゲル層の層は、カートリッジのキャビティの少なくとも一部を裏張りしてもよい。カートリッジ内の基体の周辺(例えば、1つ以上の側面上の基体の周囲)の周りにゲルを配置することにより、エアロゾル効果を最初の数回の吸入に向けて標的化することができる。ゲルは、加熱するとエアロゾル形成蒸気を生成するか、および/または喫煙経験の最初に利用可能な凝縮核の数を増加させ、それにより、エアロゾル生成をより早く開始させ、特に最初の数回の吸入中により多くのエアロゾルを生成する。例えば、ゲルは、最初の5回、最初の10回、最初の15回、最初の20回、または最初の30回の吸入の間に生成されるエアロゾルの量を増加させてもよい。
【0049】
また、ゲルの使用は、シーシャ装置が第1の吸入(すなわち、第1の吸入までの時間、またはTT1P)の準備をできるまでの時間を低減しうる。典型的には、TT1Pは、約4分である。しかしながら、最初の数回の吸入中に利用可能なエアロゾルの量を増加させるためにゲルを使用することにより、TT1Pは、約0.1分~約1.5分減少されうる。いくつかの実施形態では、TT1Pは、約2.5分~約4分である。
【0050】
カートリッジ内のゲルの量およびゲルの配置(例えば、ゲル層の厚さおよび配置)は、所望の効果(例えば、エアロゾルの所望の増加、影響を受ける所望の初期吸入数、所望のTT1Pなど)を達成するために選択されうる。カートリッジは、少なくとも0.4g、少なくとも0.5g、または少なくとも0.6gのゲルを含んでもよい。カートリッジは、最大1.3g、最大1.2g、最大1.1g、最大1.0g、最大0.9g、または最大0.8gのゲルを含んでもよい。いくつかの実施形態では、カートリッジは、約0.7gのゲルを含む。ゲルは、少なくとも0.1mm、少なくとも0.2mm、少なくとも0.3mm、少なくとも0.5mm、または少なくとも1mmの厚さを有してもよい。ゲルの厚さは、最大5mm、最大4mm、最大3mm、最大2mm、または最大1mmであってもよい。一実施形態では、ゲルは、0.1mm~3mmの厚さを有する。ゲルの厚さは、カートリッジの底部、上部、および/または側壁の表面全体を覆う場合がある。ゲルは、少なくとも1cm2、少なくとも1.5cm2、少なくとも2cm2、少なくとも4cm2、または少なくとも6cm2の表面積(上面および底面を合わせた)を有してもよい。ゲルは、最大25cm2、最大20cm2、最大15cm2、または最大10cm2の表面積を有しうる。一実施形態では、ゲルは、2cm2~20cm2の表面積を有する。
【0051】
エアロゾル形成基体は、第1の吸入までの第1の時間を有してもよく、ゲルは、第1の吸入までの第2の時間を有してもよい。第1の吸入までの第2の時間は、第1の吸入までの第1の時間よりも短いことが好ましい。
【0052】
1つの実施形態によると、カートリッジは、キャビティおよび内面を画定する本体を含み、カートリッジは、キャビティ内に基体およびゲルを含み、ここでゲルは、カートリッジの底部、上部、および/または側壁に沿って配置されている。ゲルは、基体の下方および/または基体の周囲に配置されてもよい。加熱する前に、ゲルは、カートリッジの通気孔のうちの少なくとも一部を覆ってもよい。
【0053】
ゲル(例えば、ゲルの層)は、内部キャビティ表面とエアロゾル形成基体との間に配置されてもよい。
【0054】
カートリッジは、1つ以上の入口を覆う第1の取り外し可能なシール、および1つ以上の出口を覆う第2の取り外し可能なシールを含みうる。第1および第2のシールは、カートリッジの内容物の漏れを防止し、貯蔵寿命を延ばすために、空気が入口および出口を通って流れることを防止するのに十分であることが好ましい。シールは、ステッカー、箔等の剥がすことができるラベルを含みうる。ラベル、ステッカー、または箔は、接着剤、捲縮、溶接、またはその他の方法で容器に接合されるなど、任意の適切な方法でカートリッジに貼り付けられうる。シールは、ラベル、ステッカー、または箔をカートリッジから剥がす、または取り除くために把持されうるタブを含みうる。
【0055】
本発明によるシーシャカートリッジは、任意の適切なシーシャ装置で使用されうる。シーシャ装置は、カートリッジ内のエアロゾル発生基体を十分に加熱して、エアロゾル形成基体からエアロゾルを形成するが、エアロゾル形成基体は燃焼しないように構成されることが好ましい。例えば、シーシャ装置は、エアロゾル形成基体を約150℃~約300℃、より好ましくは約180℃~約250℃、または約200℃~約230℃の範囲内の温度に加熱するように構成されうる。
【0056】
シーシャ装置は、カートリッジを受けるためのレセプタクルを含んでもよい。シーシャ装置は、カートリッジがレセプタクル内に受けられた時に、カートリッジの本体に接触する、またはこれに近接するように構成された発熱体を含む。発熱体は、レセプタクルの少なくとも一部を形成しうる。発熱体は、レセプタクルの表面の少なくとも一部分を形成しうる。シーシャカートリッジは、伝導によって発熱体からキャビティ内のエアロゾル形成基体へと熱を伝達するように構成されうる。いくつかの実施形態では、発熱体は電気発熱体を含む。いくつかの実施形態では、発熱体は抵抗加熱構成要素を含む。例えば、発熱体は、1つ以上の抵抗性ワイヤーまたはその他の抵抗性要素を含んでもよい。抵抗性ワイヤーは、熱伝導性材料と接触して、生成された熱をより広い区域にわたって分配してもよい。特に適切な導電性材料には、アルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、銀、およびその組み合わせが含まれる。本開示の目的で、抵抗性ワイヤーが熱伝導性材料と接触する場合、抵抗性ワイヤーと熱伝導性材料の両方は発熱体の一部である。発熱体は、レセプタクルの表面の少なくとも一部分を形成しうる。
【0057】
シーシャ装置は、発熱体に動作可能に結合されて、発熱体の加熱を制御し、およびそれ故にカートリッジ内のエアロゾル形成基体が加熱される温度を制御する制御電子機器を含みうる。制御電子機器は任意の適切な形態で提供されてもよく、また例えばコントローラー、またはメモリおよびコントローラーを含み得る。コントローラーは、「特定用途向け集積回路(ASIC)」状態マシン、デジタル信号プロセッサ、ゲートアレイ、マイクロプロセッサ、または等価のディスクリート論理回路もしくは集積論理回路のうちの1つ以上を含んでもよい。制御電子機器は、回路の1つ以上の構成要素に制御電子機器の機能または態様を実行させる命令を含むメモリを含みうる。本開示における制御電子機器に帰属する機能は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェアのうちの1つ以上として具現化されうる。
【0058】
電子回路はマイクロプロセッサ含んでもよく、これはプログラム可能マイクロプロセッサであってもよい。電子回路は電力供給を調節するように構成されてもよい。電力は、電流パルスの形態で発熱体に供給されてもよい。
【0059】
いくつかの実施例では、制御電子機器は、発熱体の電気抵抗を監視し、発熱体の電気抵抗に応じて発熱体への動力供給源を制御するように構成されうる。このように、制御電子回路は抵抗性要素の温度を調節しうる。
【0060】
シーシャ装置は、発熱体の温度を制御するために制御電子機器に動作可能に結合された温度センサー(熱電対など)を含んでもよい。温度センサーは任意の適切な位置に位置付けられうる。例えば、温度センサーは、加熱されるエアロゾル形成基体の温度を監視するために、レセプタクル内に受けられたときにカートリッジの中へと挿入されるように構成されてもよい。加えて、または別の方法として、温度センサーは発熱体と接触してもよい。加えて、または別の方法として、温度センサーは、シーシャ装置またはその一部分のエアロゾル出口の温度を検出するように位置付けられてもよい。センサーは、感知された温度に関する信号を制御電子回路に送信してもよく、これは発熱体の加熱を調整して、センサーでの好適な温度を達成しうる。
【0061】
シーシャ装置またはカートリッジは、カプセルが使用の準備が整ったときのためのインジケータを含んでもよい。例えば、シーシャ装置またはカートリッジは、カートリッジおよびカートリッジ内のゲルが十分な温度(および/または十分な時間)に加熱されたときに、シーシャの使用準備ができたことをユーザーに示す、インジケータを含みうる。
【0062】
制御電子機器は電源に動作可能に連結されてもよい。シーシャ装置は任意の好適な電源を含んでもよい。例えば、シーシャ装置の電源は、電池または電池の組であってもよい。電源の電池は、再充電可能、取り外し可能かつ交換可能であってもよく、または再充電可能かつ取り外し可能かつ交換可能であってもよい。任意の適切な電池が使用されうる。例えば、産業用耐久型電気工具に使用されものなど、市販の耐久型または標準電池である。別の方法として、電源は、スーパーコンデンサまたはハイパーコンデンサを含む任意のタイプの電源であってもよい。代替的に、組立品は、外部電源に接続されてもよく、電気的におよび電子的にこうした目的のために設計されていてもよい。使用される電源のタイプに関わらず、エアロゾルが再充電または外部電源への接続を必要とする前に、エアロゾルがカートリッジ内のエアロゾル形成基体から枯渇するまで、少なくとも1つのシーシャセッションの間に組立品の通常の機能に十分なエネルギーを提供することが好ましい。電源は、再充電または外部電源への接続を必要とする前に、少なくとも約70分の装置の連続動作の間、組立品の通常の機能に十分なエネルギーを提供することが好ましい。
【0063】
一実施例では、シーシャ装置は、カートリッジレセプタクル、発熱体、エアロゾル出口、および新鮮な空気入口を含むエアロゾル発生要素を含む。カートリッジレセプタクルは、エアロゾル形成基体およびゲルを含むカートリッジを受けるように構成されている。カートリッジは、上記で説明されたようなものでありうる。発熱体は、レセプタクルの表面の少なくとも一部を画定しうる。
【0064】
シーシャ装置は、レセプタクルと流体接続する新鮮な空気入口チャネルを含む。初期段階では、ゲルは、カートリッジの通気孔(例えば、入口孔および/または出口孔)を塞いでもよい。使用時に、ゲルが加熱されると、ゲルまたはゲル内の成分が溶融および/または気化して、空気およびエアロゾル流のためにゲル内の通路が開き、それにより、新鮮な空気が新鮮な空気入口チャネルを通ってレセプタクルに流れ、レセプタクル内に配置されたカートリッジを通して流れることが可能になる。カートリッジを通して流れる新鮮な空気は、カートリッジ内のエアロゾル形成基体から生成されるエアロゾルに混入する。エアロゾルに混入した新鮮な空気は、ゲルおよび/またはエアロゾルへと流れる。
【0065】
新鮮な空気入口チャネルは、シーシャ装置の外側からの新鮮な空気がチャネルを通して流れ、1つ以上の開口部を通してカートリッジレセプタクル内に流れうるように、カートリッジレセプタクルを通した1つ以上の開口部を含みうる。チャネルが2つ以上の開口部を含む場合、チャネルは、チャネルを通して各開口部へと流れる空気を方向付けるためのマニホールドを含んでもよい。シーシャ装置は、2つ以上の新鮮な空気入口チャネルを含むことが好ましい。
【0066】
上述の通り、カートリッジは、使用時にカートリッジのチャンバーを通って空気が流れることを可能にする、ハウジング内に形成された1つ以上の入口を含む。レセプタクルが1つ以上の入口開口部を含む場合、カートリッジの入口の少なくとも一部は、レセプタクルの上部の開口部と整列しうる。カートリッジは、カートリッジがレセプタクル内に挿入された時に、レセプタクルの相補的な整列機構と嵌合して、カートリッジの入口をレセプタクルの開口部と整列させるように構成された整列機構を含みうる。
【0067】
カートリッジに入る空気は、エアロゾル形成基体を横切って流れ、エアロゾルを混入し、エアロゾル出口を経由してカートリッジと容器を出る。エアロゾル出口から、エアロゾルを運ぶ空気が、シーシャ装置のベッセルに入る。
【0068】
シーシャ装置は、液体を収容するように構成された内部容積を画定し、かつ液体充填レベルの上方の上部空間に出口を画定する任意の好適なベッセルを含んでもよい。ベッセルは、ベッセル内に収容された内容物を消費者が観察することを可能にする光学的に透明または不透明なハウジングを含んでもよい。ベッセルは、液体充填ラインなどの液体充填境界を含んでもよい。ベッセルハウジングは任意の好適な材料で形成されてもよい。例えば、ベッセルハウジングは、ガラスまたは好適な剛直なプラスチック材料を含んでもよい。容器は、消費者がベッセルを充填、空にする、または洗浄することを可能にするように、エアロゾル発生要素を含むシーシャ組立品の一部分から取り外し可能であることが好ましい。
【0069】
ベッセルは、消費者によって液体充填レベルまで充填されてもよい。液体は水を含むことが好ましく、これには1つ以上の着色剤、風味剤、または着色剤および風味剤が随意に注入されてもよい。例えば、水には、植物または薬草の浸出液のうちの一方または両方が注入されてもよい。
【0070】
受け部のエアロゾル出口を出る空気中に混入されたエアロゾルは、容器内に位置付けられた導管を通って移動しうる。ベッセルを通って流れるエアロゾルが、導管の開口部を通った後、液体を通り、ベッセルの上部空間内に入り、上部空間出口を抜け出て、消費者に送達されるように、導管はシーシャ組立品のエアロゾル発生要素のエアロゾル出口に結合されてもよく、またベッセルの液体充填レベルの下方に開口部を有してもよい。
【0071】
上部空間出口は、エアロゾルを消費者に送達するためのマウスピースを含むホースに連結されてもよい。マウスピースは、ユーザーによって、またはシーシャ装置の制御電子回路に動作可能に連結された吸入センサーによって起動可能なスイッチを含んでもよい。スイッチまたは吸入センサーは、制御電子回路に無線で連結されていることが好ましい。スイッチまたは吸入センサーの起動は、エネルギーを発熱体に常に供給するのではなく、制御電子回路に発熱体を起動させる。その結果、スイッチまたは吸入センサーの使用は、こうした要素を採用していない装置と比較してエネルギーを節約する機能し、一定の加熱ではなく要求に応じた加熱を提供する場合がある。
【0072】
例示の目的で、本明細書に記述されるシーシャ装置を使用する1つの方法が、時系列で以下に提供される。ベッセルは、シーシャ装置の他の構成要素から取り外され、水で充填されてもよい。天然の果実飲料、植物成分、および薬草の浸出液のうちの1つ以上が、風味付けのために水に添加されてもよい。添加される液体の量は、導管の一部分を覆うべきであるが、ベッセル上に随意に存在する場合がある充填レベルマークを越えてはならない。次いで、ベッセルは、シーシャ装置へと再度組み付けられる。エアロゾル発生要素の一部分は、カートリッジが受け部内に挿入されることを可能にするように取り外されてもよく、または開かれてもよい。その後、エアロゾル発生要素は再組み立てされるかまたは閉じられる。その後、装置はオンにされてもよい。装置をオンにすることで、ゲルおよびエアロゾル形成基体をゲル(またはゲルの成分)およびエアロゾル形成基体の蒸発温度以上であるが、エアロゾル形成基体の燃焼温度未満の温度まで加熱するための、発熱体の加熱プロファイルが開始しうる。ゲルまたはゲル内の成分が溶融および/または気化して、空気およびエアロゾル流のためにゲル内の通路が開く。ユーザーは、望む通りにマウスピースで吸入してもよい。ユーザーは、エアロゾルが見えなくなる、まではエアロゾルが送達されるまで、装置を使い続けることができる。いくつかの実施形態では、カートリッジの使用可能なエアロゾル発生基体が枯渇した時に、装置は自動的に停止する。いくつかの実施形態では、消費者は、例えば、カートリッジ内のエアロゾル形成基体が枯渇した、またはほとんど枯渇したという合図を装置から受けた後、装置を未使用のカートリッジで再充填してもよい。未使用のカートリッジが充填されると、装置を継続して使用することができる。シーシャ装置は、例えば装置のスイッチをオフにすることによって、消費者によっていつでもオフにできることが好ましい。
【0073】
シーシャ装置は、任意の好適な空気管理を有する場合がある。一実施例では、ユーザーからの吸入行動により吸込み効果を発生させて装置内側に低圧を引き起こし、これによって外気を装置の空気入口を通して新鮮な空気入口チャネル内、およびレセプタクル内に流す。空気は次に、カートリッジを通ってレセプタクル内に流れて、エアロゾル形成基体から生成されたエアロゾルを運びうる。混入されたエアロゾルを含む空気は次に、受け部のエアロゾル出口を出て、導管を通って容器内の液体に流れる。その後、エアロゾルは、泡になって液体から出て、そして液体のレベルの上方のベッセル内の上部空間へと入り、そしてホースおよびマウスピースを通して消費者へと送達するために、上部空間出口を出る。外気の流れ、およびシーシャ装置内側のエアロゾルの流れは、ユーザーからの吸入動作によって駆動される場合がある。
【0074】
本開示に記載の1つ以上の態様を描写する図面をこれから参照する。しかしながら、当然のことながら図面に描写されていないその他の態様も、本開示の範囲および趣旨に収まる。図内で使用されている類似の番号は、類似の構成要素を指す。しかし当然のことながら、所与の図内で1つの構成要素を指すために1つの番号を使用することは、別の図内で同一の番号が付けられた構成要素を制限することを意図するものではない。加えて、異なる図内で構成要素を指すための異なる番号の使用は、異なる番号の付いた構成要素を他の番号の付いた構成要素と同一または類似のものとすることはできないと示すことを意図するものではない。図面は例示の目的で提示されていて、制限の目的で提示されていない。図面に提示された概略図は、必ずしも縮尺通りではない。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図1図1は、シーシャ装置の概略断面図である。
図2A図2Aは、エアロゾル形成基体およびゲルを有するカートリッジの概略断面図である。
図2B図2Bは、エアロゾル形成基体およびゲルを有するカートリッジの概略断面図である。
図3A図3Aは、エアロゾル形成基体およびゲルを有するカートリッジの概略断面図である。
図3B図3Bは、エアロゾル形成基体およびゲルを有するカートリッジの概略断面図である。
図4A図4Aは、カートリッジの概略底面図および上面図である。
図4B図4Bは、カートリッジの概略底面図および上面図である。
図5図5は、カートリッジの概略斜視図である。
図6図6は、実施例1からの試験データのグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
図1は、シーシャ装置100の一実施例の概略断面図である。装置100は、液体19を収容するように構成される内部容積を画定し、また液体19に対する充填レベルの上にある上部空間出口15を画定するベッセル17を含む。液体19は水を含むことが好ましく、この水には1つ以上の着色剤、1つ以上風味剤、または1つ以上着色剤および1つ以上風味剤が随意に注入されてもよい。例えば、水には、植物の浸出液または薬草の浸出液のうちの一方または両方が注入されてもよい。
【0077】
装置100はまた、エアロゾル発生要素130を含む。エアロゾル発生要素130は、エアロゾル発生基体を含むカートリッジ200を受けるように構成されたレセプタクル140を含む。エアロゾル発生要素130はまた、レセプタクル140の少なくとも1つの表面を形成する発熱体160を含む。図示した実施形態では、発熱体160は、レセプタクル140の上面および側面を画定する。エアロゾル発生要素130はまた、新鮮な空気を装置100の中へと引き出す新鮮な空気入口チャネル170を含む。新鮮な空気入口チャネル170の一部分は、空気がレセプタクル140に入る前に空気を加熱するために発熱体160によって形成される。次いで、予熱された空気はカートリッジ200(またはカートリッジではない基体)に入り、これもまた発熱体160によって加熱されて、エアロゾル発生基体によって発生したエアロゾルを搬送する。空気はエアロゾル発生要素130の出口を出て、導管190に入る。
【0078】
導管190は、空気およびエアロゾルをベッセル17内の液体19のレベルの下方に搬送する。空気およびエアロゾルは、泡になって液体19を通して、ベッセル17の上部空間の出口15を出てもよい。エアロゾルをユーザーの口へと搬送するために、ホース20を上部空間出口15に取り付けてもよい。マウスピース25は、ホース20に取り付けられてもよく、またはその一部を形成してもよい。
【0079】
使用時における装置の例示的な空気流路は、図1に太い矢印で図示されている。
【0080】
マウスピース25は、起動要素27を含んでもよい。起動要素27は、スイッチ、ボタンもしくはこれに類するものであってもよく、または吸入センサーもしくはこれに類するものであってもよい。起動要素27は、装置100の任意のその他の好適な場所に配置されてもよい。起動要素27は制御電子回路30と無線通信して、例えば、電源35に発熱体140を給電させることによって、装置100を使用状態にするか、または制御電子回路に発熱体160を起動させてもよい。
【0081】
制御電子回路30および電源35は、図1に図示するエアロゾル発生要素130の底部部分以外のエアロゾル発生要素130の任意の好適な位置に配置されてもよい。
【0082】
図2Aおよび図2Bを参照すると、カートリッジ200は、エアロゾル形成基体300およびゲル310がその中に配置されうるキャビティ218を画定する本体210を有する。本体210は、上部215、底部213、および側壁212を含む。本体210は、1つ以上の部品から形成されうる。例えば、上部215または底部213は、側壁212から取り外し可能に取り付けられて、エアロゾル形成基体300およびゲル310がキャビティ218内に配置されることを可能にしうる。ゲル310は、図2に示すようにキャビティ218の底部213に沿って、または図3に示すように側壁212に沿って配置されてもよい。ゲル310はまた、上部215に沿って、もしくは下部213、上部215、もしくは側壁212の任意の組み合わせに沿って配置されてもよく、および/またはこれらの表面のいくつかを部分的に覆ってもよい。
【0083】
カートリッジ200は、キャビティ218の内側に加熱可能な表面積を有し、これは、本体の外部に適用された熱を、例えばシーシャ装置の発熱体によってキャビティ218内のゲル310およびエアロゾル形成基体300に伝達することができる表面である。
【0084】
図3Aおよび図3Bは、本体210の上部215および底部213を通って延在する開口217、216を有するカートリッジ200を示している。電動シーシャ装置の予熱中、カートリッジ内のゲルが加熱される。ゲルはそのゲル状態を失い、孔を開放し、図3Aおよび図3Bで矢印で示されているように、カートリッジを通る空気流路が開かれる。
【0085】
ここで図4Aおよび図4Bを参照すると、本体の上部215および底部213は、複数の開口部217、216を有して、カートリッジが使用されているときに空気がカートリッジを通って流れることを可能にしうる。上部215および底部213の開口部216、217は、整列されうる。カートリッジ200は、側壁212に沿って開口も含みうるか、または別の方法で含みうる。ゲル310は、底部213、上部215、および/または側壁212に沿って配置されて、開口部の一部またはすべてを覆うことができる。開口部217、216は、カートリッジが使用前に格納されたときに剥離可能なシールまたはライナーでさらにブロックされうる。
【0086】
図5は、例示的なカートリッジ200の概略斜視図である。側壁212は円錐台形状を画定する。底部213は、複数の開口部を画定する。上部は、側壁212から延在するフランジ219を含む。フランジ219は、フランジを把持することによって使用後にカートリッジ300をレセプタクルから容易に取り外しうるように、シーシャ装置のレセプタクルのショルダー部の上に置かれるように配置されうる。
【0087】
上述の特定の実施形態は本発明を例示することが意図される。しかしながら、他の実施形態は、特許請求の範囲に定義されるように本発明の範囲から逸脱することなく作製されてもよく、上述の特定の実施形態は制限的であるように意図されていないことが理解されるべきである。
【0088】
本明細書で使用される単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、複数形の対象を有する実施形態を包含するが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。
【0089】
本明細書で使用される「または」は概して、「および/または」を含む意味で使用されるが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。「および/または」という用語は、列挙された要素の1つもしくはすべて、または列挙された要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0090】
本明細書で使用される「有する(have)」、「有している(having)」、「含む(include)」、「含んでいる(including)」、「備える(comprise)」、「備えている(comprising)」、またはこれに類するものは、制約のない意味で使用され、概して「含むが、これに限定されない」を意味する。当然のことながら、「から本質的に成る(consisting essentially of)」、「から成る(consisting of)」、およびこれに類するものは、「から成る(comprising)」およびこれに類するものに包摂される。
【0091】
「好ましい」および「好ましくは」という語は特定の状況下で、特定の利点をもたらす場合がある本発明の実施形態を指す。しかしながら、同一の状況下または他の状況下で、他の実施形態もまた好ましいものである場合がある。その上、1つ以上の好ましい実施形態の列挙は、その他の実施形態が有用ではないことを暗示するものではなく、また特許請求の範囲を含む本開示の範囲からその他の実施形態を除外することを意図するものではない。
【0092】
「上」、「下」、「左」、「右」、「上方」、「下方」およびその他の方向または向きなど、本明細書で言及される任意の方向は、本明細書において明確さおよび簡潔さのため記述されていて、実際の装置またはシステムを限定する意図はない。本明細書に記載の装置およびシステムは、多数の方向および向きで使用されうる。
【実施例
【0093】
実施例1:
エアロゾル形成に対するゲルの効果を評価した。ゲルの層をカートリッジの底部に配置し、カートリッジに市販の10gの糖蜜(Al-Fakher社)を充填した。ゲル層の厚さは、1mmであり、約5cm2の区域を被覆した。ゲルは、30重量%の水、1重量%の寒天(ゲル化剤)、および69重量%の植物性グリセリン(エアロゾル形成体)で調製された。対照サンプルをゲル層なしで調製した。
【0094】
カートリッジを試験用シーシャ装置に挿入し、カートリッジを200℃の設定温度で巻線発熱体を使用して加熱した。ヒーターの設定温度は、糖蜜(吸入間)が木炭で操作されるシーシャと同じ温度になるように選択される。
【0095】
エアロゾル化プロセスを向上するために、直径約3mmの出口オリフィスを有する高温エポキシ樹脂で作製されたノズルを、加熱エンジンから約55mmに置いた。ドライアイスの冷却ジャケットがノズルを取り囲む。
【0096】
生成されたエアロゾルは、合計5つのCambridgeパッドを使用して収集され、パッドの重量がテストの前後に記録される。任意の時点で、生成されたエアロゾルを収集するパッドは1つだけである。
【0097】
喫煙テストの総持続時間は105回の吸入に対応する。望ましい吸入の体験を達成するために、プログラム可能なデュアルシリンジポンプ
(PDSP、Pomac B.V.in Tolbers,Netherlandsから入手可能である)を同時に使用して、吸入レジームを作り出した。吸入レジームは、以下のように、サンプルおよび対照を105回の吸入について試験した。吸入の数は、それぞれ21回の吸入の5つの連続した部分に分割され、各部分からのエアロゾルが、別々のCambridgeパッドに収集される。21回の吸入ごとに、弁を使用してエアロゾルが確実にCambridgeパッドへと分配されるようにした。結果として、エアロゾルの生成を時間の関数として監視することができる。
【0098】
最初の21回の吸入、および対照およびサンプルの合計105回の吸入にわたって収集された総エアロゾル質量(TAM)の結果を、以下の表1、および図6に示している。最初の21回の吸入の結果は、1回の吸入当たりmgとして計算され、試験の合計時間
(105回の吸入)の結果は、累積総質量としてmg単位で与えられる。
【表1】
【0099】
エアロゾル生成の有意な増加は、最初の21回の吸入の間、ならびにゲルの使用による実験全体を通して達成されたことが観察された。また、試験中に蓄積した総TAMは、ゲルがある場合の方が大きかった。
【0100】
このように、シーシャ装置のためのカートリッジが記載されている。本発明の様々な改変および変形が、本発明の範囲および趣旨を逸脱することなく、当業者に明らかになるであろう。特定の好ましい実施形態に関連付けて本発明を説明してきたが、特許請求される本発明は、このような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことが理解されるべきである。実際に、機械技術、化学技術およびエアロゾル発生物品製造または関連分野の当業者にとって明らかである、本発明を実施するための記載された方法の様々な修正は、以下の特許請求の範囲内に収まるものであることが意図される。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6