(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】緊急離脱カップリングのブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
F16L 37/32 20060101AFI20240502BHJP
B67D 7/32 20100101ALI20240502BHJP
B60S 5/02 20060101ALN20240502BHJP
【FI】
F16L37/32
B67D7/32 J
B60S5/02
(21)【出願番号】P 2021000100
(22)【出願日】2021-01-04
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関口 申一
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-067989(JP,A)
【文献】特開平04-327087(JP,A)
【文献】特開平09-188397(JP,A)
【文献】特表2004-507682(JP,A)
【文献】実開平05-007700(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0318752(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/32
B67D 7/32
B60S 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1カップリング部と、前記第1カップリング部に固定される第2カップリング部とを有する緊急離脱カップリングにおいて、応力の印加によって前記第1カップリング部と前記第2カップリング部との間が固定状態から離脱状態になる離脱動作後に、離脱部分の移動を停止させるためのブレーキ装置であって、
前記第1カップリング部に固定されるブレーキピストンと、
前記第2カップリング部に固定され、前記ブレーキピストンを内部に収容するブレーキシリンダーと
を備え、
前記ブレーキピストンと前記第1カップリング部との間、および、前記ブレーキシリンダーと前記第2カップリング部との間の少なくとも一方の固定に遊びを設けることで、前記離脱動作が実行され、
前記ブレーキピストンと前記ブレーキシリンダーとの間に生ずる摩擦力によって、前記離脱部分の移動を抑制するように構成されている、
緊急離脱カップリングのブレーキ装置。
【請求項2】
前記ブレーキピストンと前記ブレーキシリンダーとの間に生ずる摩擦力を調整するための摩擦力調整部
を有する、
請求項1に記載の緊急離脱カップリングのブレーキ装置。
【請求項3】
前記ブレーキシリンダーと前記ブレーキピストンとの間に、
ダイラタンシー特性を有する粘性物質が介在して
おり、
前記粘性物質の抵抗力が、前記離脱動作を実行するときよりも、前記離脱部分の移動を抑制させるときに大きくなるように構成されている、
請求項1に記載の緊急離脱カップリングのブレーキ装置。
【請求項4】
第1カップリング部と、前記第1カップリング部とに固定される第2カップリング部とを有する緊急離脱カップリングにおいて、応力の印加によって前記第1カップリング部と前記第2カップリング部との間が固定状態から離脱状態になる離脱動作後に、離脱部分の移動を停止させるためのブレーキ装置であって、
前記緊急離脱カップリングを収容するカップリング収容チューブ
を備え、
前記第1カップリング部は、
第1のカップリング本体部と、
前記第1のカップリング本体部の一端に位置し、前記第1のカップリング本体部よりも外径が小さい第1のカップリングソケット部と
を含み、
前記第2カップリング部は、
第2のカップリング本体部と、
前記第2のカップリング本体部の一端に位置し、前記第2のカップリング本体部よりも外径が小さい第2のカップリングソケット部と
を含み、前記緊急離脱カップリングは、前記固定状態の際に、前記第1のカップリング本体部の他端と前記第2のカップリング本体部の他端とが連結されるように構成されており、
前記カップリング収容チューブは、
前記緊急離脱カップリングにおいて前記第1のカップリング本体部の他端と前記第2のカップリング本体部の他端とが連結された部分を内部の収容空間本体部に収容するチューブ本体部と、
前記収容空間本体部よりも内径が小さい第1の収容空間ソケット部に前記第1のカップリングソケット部を収容する第1のチューブソケット部と、
前記収容空間本体部よりも内径が小さい第2の収容空間ソケット部に前記第2のカップリングソケット部を収容する第2のチューブソケット部と、
を含み、
前記収容空間本体部において前記離脱動作が生じ、
離脱状態の前記第1カップリング部が前記収容空間本体部から前記第1の収容空間ソケット部の側へ移動して前記第1のチューブソケット部によって停止し、離脱状態の前記第2カップリング部が前記収容空間本体部から前記第2の収容空間ソケット部の側へ移動し、前記第2のチューブソケット部によって停止するように構成されている、
緊急離脱カップリングのブレーキ装置。
【請求項5】
前記カップリング収容チューブは、
前記離脱動作が生ずる前に、前記第1のカップリング本体部と前記第2のカップリング本体部とが連結された連結体と、前記チューブ本体部との間に空隙が介在するように前記収容空間本体部が構成されている、
請求項
4に記載の緊急離脱カップリングのブレーキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、緊急離脱カップリングのブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水素ステーションなどの燃料供給所において、水素自動車などの車両に水素ガスなどの燃料を充填するための充填ホースには、緊急離脱カップリングが設置されている。
【0003】
緊急離脱カップリングは、充填の際に車両が誤って移動し、大きな引っ張り応力が印加されたときに、充填ホースなどの機器が破損することを防止するために充填ホースに設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-295766号公報
【文献】特開2006-1719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図7は、関連技術にかかる緊急離脱カップリングを模式的に示す側面図である。
【0006】
図7に示すように、緊急離脱カップリング1は、第1カップリング部11と第2カップリング部12とを備え、第1カップリング部11と第2カップリング部12との間が連結されて固定されている。
【0007】
緊急離脱カップリング1において、第1カップリング部11は、第1のカップリング本体部111と第1のカップリングソケット部112とを含む。第1のカップリングソケット部112は、第1のカップリング本体部111の一端(
図7では上端部)に位置し、第1のカップリング本体部111よりも外径が小さい。第2カップリング部12は、第2のカップリング本体部121と第2のカップリングソケット部122とを含む。第2のカップリングソケット部122は、第2のカップリング本体部121の一端(
図7では下端部)に位置し、第2のカップリング本体部121よりも外径が小さい。
【0008】
緊急離脱カップリング1は、一般に、
図7に示す様に、一端を固定プレート92側で固定し、他端を充填ホース80に接続して運用状態となる。図示していないが、緊急離脱カップリング1の両端にホースを接続する構成も可能である。そして、緊急離脱カップリング1は、第1のカップリングソケット部112が、連結管91を介して、水素供給元(図示省略)に接続するソケット90に接続されている。また、緊急離脱カップリング1は、第2のカップリングソケット部122が、連結管81と充填カップリング(図示省略)とを経由して、水素自動車などの車両(図示省略)に接続される充填ホース80に接続されている。
【0009】
ここでは、ソケット90から水素ガスなどの燃料が、緊急離脱カップリング1を経由して、充填ホース80に流れる。そして、充填ホース80が接続された車両(図示省略)に水素ガスなどの燃料が充填される。
【0010】
緊急離脱カップリング1は、充填の際に車両が誤って移動し、大きな引っ張り応力が印加されたときには、充填ホース80が破断するよりも前に、第1カップリング部11と第2カップリング部12との間が固定状態から離脱状態になる。そして、固定状態から離脱状態になったときには、第1カップリング部11と第2カップリング部12とのそれぞれにおいて、水素ガスなどの燃料の流路が遮断される。
【0011】
このため、緊急離脱カップリング1は、車両が誤って移動した際に充填ホース80などの機器が破損することを防止可能であるため、安全性を向上することができる。
【0012】
しかしながら、緊急離脱カップリング1において固定状態から離脱状態になる離脱動作が実行されたときには、離脱された部分が不規則に動き回る可能性がある。特に、瞬間的な応力が加わった場合や車両の誤発進未完時には、緊急離脱カップリング1は、離脱動作を行っても、充填ホース80の離脱は抑制された方が安全である。
【0013】
瞬間的な応力が加わった場合とは、充填ホース80の破損等によってガスが噴出した時に応力が加わった場合等である。車両の誤発進未完時とは、車両の誤発進は行われたが、直後に運転者が誤発進を気が付いて車両を停止するが、離脱動作が実行される応力が緊急離脱カップリング1に加わった時などである。
【0014】
この瞬間的な応力が加わった場合や車両の誤発進未完時の動作については、以後、「瞬時応力時」と称する。瞬時応力時とは、緊急離脱カップリングの離脱動作が発動する引っ張り応力が、車両の発進時の様に継続的には発生せず、瞬間的に発生し以後は収束する場合をいう。
もう一つの表現では、緊急離脱カップリングの位置を円の中心とし、ホースの破断時長さを半径とする円周以内に充填ノズルがある場合で、緊急離脱カップリングに離脱に必要な引っ張り力が加わった場合をいう。瞬時応力時における緊急離脱カップリング1の離脱動作には影響を与えず、第1カップリング部11と第2カップリング部12とが完全に離脱することを抑制する事で、離脱された部分が動き回る二次的なリスクを防止できる。
【0015】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、緊急離脱カップリングにおいて固定状態から離脱状態になる離脱動作が実行された場合であっても、離脱部分の移動が不要な場合は離脱部分の移動を停止させることで、離脱部分の移動が必要な場合には移動を妨げない事で安全性を向上可能な、緊急離脱カップリングのブレーキ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
実施形態は、第1カップリング部と、第1カップリング部に固定される第2カップリング部とを有する緊急離脱カップリングにおいて、応力の印加によって第1カップリング部と第2カップリング部との間が固定状態から離脱状態になる離脱動作後に、離脱部分の移動を停止させるためのブレーキ装置である。ブレーキ装置は、第1カップリング部に固定されるブレーキピストンと、第2カップリング部に固定され、ブレーキピストンを内部に収容するブレーキシリンダーとを備え、ブレーキピストン1と第1カップリング部との間、および、ブレーキシリンダーと第2カップリング部との間の少なくとも一方の固定に遊びを設けることで、離脱動作が実行され、ブレーキピストンとブレーキシリンダーとの間に生ずる摩擦力によって離脱部分の移動を抑制するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る緊急離脱カップリングのブレーキ装置を示す側面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る緊急離脱カップリングの一例を示す断面図である。
【
図3A】
図3Aは、第1実施形態に係るブレーキ装置3の一例を示す断面図である。
【
図3B】
図3Bは、第1実施形態に係るブレーキ装置3の一例を示す断面図である。
【
図4A】
図4Aは、第2実施形態に係る緊急離脱カップリングのブレーキ装置を示す断面図である。
【
図4B】
図4Bは、第2実施形態に係る緊急離脱カップリングのブレーキ装置を示す断面図である。
【
図5A】
図5Aは、第3実施形態に係る緊急離脱カップリングのブレーキ装置を示す図である。
【
図5B】
図5Bは、第3実施形態に係るカップリング収容チューブを示す図である。
【
図5C】
図5Cは、第3実施形態に係るカップリング収容チューブを示す図である。
【
図6A】
図6Aは、第4実施形態に係る緊急離脱カップリングのブレーキ装置を示す断面図である。
【
図6B】
図6Bは、第4実施形態に係る緊急離脱カップリングのブレーキ装置を示す断面図である。
【
図7】
図7は、関連技術にかかる緊急離脱カップリングを模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
[A]全体構成
図1は、第1実施形態に係る緊急離脱カップリングのブレーキ装置を示す側面図である。
図1では、ブレーキ装置3と共に緊急離脱カップリング1の側面を示している。
【0019】
[A-1]緊急離脱カップリング1の構成概要
緊急離脱カップリング1は、
図1に示すように、関連技術の場合(
図7参照)と同様に、第1カップリング部11と第2カップリング部12との間が連結されて固定されている。
【0020】
緊急離脱カップリング1において、第1カップリング部11は、第1のカップリング本体部111の一端(上端部)に第1のカップリングソケット部112が位置している。第1のカップリングソケット部112は、連結管91を介してソケット90に接続されている。ソケット90と連結管91との間には固定プレート92が介在している。固定プレート92は、連結管91の管軸に対してプレート面が直交するように設置されている。
【0021】
緊急離脱カップリング1において、第2カップリング部12は、第2のカップリング本体部121の一端(下端部)に第2のカップリングソケット部122が位置している。第2のカップリングソケット部122は、連結管81を介して、充填ホース80に接続されていると共に、バックプレート83が設置されている。バックプレート83は、連結管81の管軸に対してプレート面が直交するように設置されている。
【0022】
[A-2]ブレーキ装置3の構成概要
ブレーキ装置3は、
図1に示すように、緊急離脱カップリング1の周囲に複数が設置されている。本実施形態では、ブレーキ装置3は、ブレーキ装置本体30と第1連結シャフト301と第2連結シャフト302とを含み、ブレーキ装置本体30の一端(上端部)に第1連結シャフト301が固定され、ブレーキ装置本体30の他端(下端部)に第2連結シャフト302が固定されている。
【0023】
ブレーキ装置3において、第1連結シャフト301は、固定プレート92に固定されている。ここでは、固定プレート92に形成された貫通孔H92に第1連結シャフト301が挿入されている。第1連結シャフト301は、外周面にネジ山が形成された雄ネジ(ボルト)であって、第1連結シャフト301に雌ネジ(ナット)が捻じり込まれることによって、第1連結シャフト301が固定プレート92に固定される。
【0024】
ブレーキ装置3において、第2連結シャフト302は、バックプレート83に固定されている。ここでは、バックプレート83に形成された貫通孔H83に第2連結シャフト302が挿入されている。第2連結シャフト302は、外周面にネジ山が形成された雄ネジ(ボルト)であって、第2連結シャフト302に雌ネジ(ナット)が捻じり込まれることによって、第2連結シャフト302がバックプレート83に固定される。
【0025】
尚、この時ホース80に応力が加わった場合の、緊急離脱カップリングの離脱動作に影響を与えない様に、雌ネジの締め込みには、緊急離脱カップリングの離脱動作が開始されるストローク分以上の遊びを設ける事が必要である。
【0026】
[B]緊急離脱カップリング1の詳細構成
緊急離脱カップリング1の詳細構成について
図2を用いて説明する。
【0027】
図2は、第1実施形態に係る緊急離脱カップリングの一例を示す断面図である。
図2では、緊急離脱カップリング1が固定状態である場合を中心線に対して左側に示しており、緊急離脱カップリング1が離脱状態である場合を中心線に対して右側に示している。
【0028】
[B-1]第1カップリング部11
緊急離脱カップリング1のうち、第1カップリング部11は、第1カップリング内筒部11aと第1カップリング外筒部11bと第1プラグ11cとを有する。
【0029】
第1カップリング内筒部11aは、管状体であって、内部空間が水素ガスなどの燃料が流れる流路として機能する。第1カップリング内筒部11aには、内周面と外周面との間を貫通する第1バランスポートH11aが形成されている。第1カップリング外筒部11bは、管状体であって、第1カップリング内筒部11aが内部空間において管軸に沿って移動するように第1カップリング内筒部11aを収容している。
【0030】
第1カップリング外筒部11bが内部に第1カップリング内筒部11aを収容する部分は、第1カップリング部11のうち第1のカップリング本体部111に相当する。第1カップリング外筒部11bが内部に第1カップリング内筒部11aを収容せず第1カップリング内筒部11aが第1カップリング外筒部11bの外部へ露出した部分は、第1カップリング部11のうち第1のカップリングソケット部112に相当する。
【0031】
そして、第1プラグ11cは、第1カップリング内筒部11aの内部空間において管軸に沿って移動可能に収容されている。
【0032】
[B-2]第2カップリング部12
緊急離脱カップリング1のうち、第2カップリング部12は、第2カップリング内筒部12aと第2カップリング外筒部12bと第2プラグ12cとを有する。
【0033】
第2カップリング内筒部12aは、管状体であって、内部空間が水素ガスなどの燃料が流れる流路として機能する。そして、第2カップリング内筒部12aには、内周面と外周面との間を貫通する第2バランスポートH12aが形成されている。第2カップリング外筒部12bは、管状体であって、第2カップリング内筒部12aが内部空間において管軸に沿って移動するように第2カップリング内筒部12aを収容している。
【0034】
第2カップリング外筒部12bが内部に第2カップリング内筒部12aを収容する部分は、第2カップリング部12のうち第2のカップリング本体部121に相当する。第2カップリング外筒部12bが内部に第2カップリング内筒部12aを収容せず第2カップリング内筒部12aが第2カップリング外筒部12bの外部へ露出した部分は、第2カップリング部12のうち第2のカップリングソケット部122に相当する。
【0035】
そして、第2プラグ12cは、第2カップリング内筒部12aの内部空間において管軸に沿って移動可能に収容されている。
【0036】
[B-3]固定状態
緊急離脱カップリング1が固定状態である場合には、第1カップリング内筒部11aと第2カップリング内筒部12aとの間は、互いに連結され、内筒固定ピン13aによって固定されている。また、第1カップリング外筒部11bと第2カップリング外筒部12bとの間は、互いに連結され、外筒固定ピン13bによって固定されている。緊急離脱カップリング1は、第1カップリング内筒部11aと第2カップリング内筒部12aとの連結体がピストンとして機能し、第1カップリング外筒部11bと第2カップリング外筒部12bとの連結体がシリンダとして機能するように構成されている。
【0037】
緊急離脱カップリング1が固定状態である場合、第1カップリング外筒部11bの内部空間には、第1カップリング内筒部11aと第1カップリング外筒部11bとの間に第1圧力室R11が形成される。第1圧力室R11は、第1バランスポートH11aを介して第1カップリング内筒部11aの内部空間に連通する。同様に、第2カップリング外筒部12bの内部空間には、第2カップリング内筒部12aと第2カップリング外筒部12bとの間に第2圧力室R12が形成される。第2圧力室R12は、第2バランスポートH12aを介して第2カップリング内筒部12aの内部空間に連通する。
【0038】
そして、緊急離脱カップリング1が固定状態である場合には、第1プラグ11cは、第1カップリング内筒部11aにおいて水素ガスなどの燃料が流れる流路を開けた状態を保持する。同様に、第2プラグ12cは、第2カップリング内筒部12aにおいて水素ガスなどの燃料が流れる流路を開けた状態を保持する。
【0039】
図示を省略しているが、第1カップリング内筒部11aと第2カップリング内筒部12aとの連結体の内部には、バネ(図示省略)が設けられており、バネ(図示省略)の付勢力によって、第1プラグ11cおよび第2プラグ12cが上記状態を保持するように構成されている。たとえば、バネ(図示省略)は、第1プラグ11cと第2プラグ12cとの間の他に、第1プラグ11cにおいて第2プラグ12cの側に対して反対側に位置する部分、および、第2プラグ12cにおいて第1プラグ11cの側に対して反対側に位置する部分に設置されている。このため、水素ガスなどの燃料が流れることによって、第1圧力室R11の圧力と第2圧力室R12の圧力とが同じ状態になる。
【0040】
[B-4]離脱状態
緊急離脱カップリング1が固定状態から離脱状態になる離脱動作では、まず、内筒固定ピン13aが破断することによって、第1カップリング内筒部11aと第2カップリング内筒部12aとの間が離脱される。上記のように、緊急離脱カップリング1が固定状態であるときには、第1圧力室R11の圧力と第2圧力室R12の圧力とが同じであるため、内筒固定ピン13aは、第1カップリング内筒部11aと第2カップリング内筒部12aとの連結体に加わる外力(たとえば、車両の移動による力)の作用によって破断される。
【0041】
内筒固定ピン13aの破断後は、外筒固定ピン13bが破断し、第1カップリング外筒部11bと第2カップリング外筒部12bとの間が離脱される。外筒固定ピン13bの破断は、緊急離脱カップリング1の内部に供給された水素ガスなどの燃料の圧力に起因して生ずる。
【0042】
このように、緊急離脱カップリング1が固定状態から離脱状態になる離脱動作は、内筒固定ピン13aの破断と、外筒固定ピン13bの破断とが、順次、発生した後に、実行される。
【0043】
離脱動作が実行された後には、第1プラグ11cは、第1カップリング内筒部11aにおいて燃料が流れる流路を遮断した状態を保持し、第2プラグ12cは、第2カップリング内筒部12aにおいて燃料が流れる流路を遮断した状態を保持する。このとき、第1プラグ11cは、第1カップリング内筒部11aの内部の圧力によって上記状態を保持し、第2プラグ12cは、第2カップリング内筒部12aの内部の圧力によって上記状態を保持する。
【0044】
[C]ブレーキ装置3の詳細構成
ブレーキ装置3の詳細構成について
図3Aおよび
図3Bを用いて説明する。
【0045】
図3Aおよび
図3Bは、第1実施形態に係るブレーキ装置3の一例を示す断面図である。
図3Aは、側面の断面を示し、
図3Bは、上面の断面を示している。
【0046】
ブレーキ装置3において、ブレーキ装置本体30は、
図3Aおよび
図3Bに示すように、ブレーキピストン31とブレーキシリンダー32とを有する。
【0047】
[C-1]ブレーキピストン31
ブレーキ装置本体30において、ブレーキピストン31は、たとえば、円柱形状の棒状体である。
【0048】
ブレーキピストン31は、第1連結シャフト301が一端に設けられている。上述したように、第1連結シャフト301は、固定プレート92と連結管91とを介して、緊急離脱カップリング1の第1カップリング部11に連結されているので(
図1参照)、ブレーキピストン31は、実質的に、第1カップリング部11に固定されている。
【0049】
そして、ブレーキピストン31の外周面には、ライナー311が設けられている。
【0050】
[C-2]ブレーキシリンダー32
ブレーキ装置本体30において、ブレーキシリンダー32は、たとえば、円筒体を構成する部分を含み、ブレーキピストン31を内部に収容する。
【0051】
また、ブレーキシリンダー32は、第2連結シャフト302が一端に設けられている。上述したように、第2連結シャフト302は、バックプレート83を介して、緊急離脱カップリング1の第2カップリング部12に連結されているので(
図1参照)、ブレーキシリンダー32は、実質的に、第2カップリング部12に固定されている。
【0052】
本実施形態において、ブレーキシリンダー32は、第1のブレーキシリンダー部321と第2のブレーキシリンダー部322とを含む。第1のブレーキシリンダー部321および第2のブレーキシリンダー部322は、断面が半円状であって、第1のブレーキシリンダー部321と第2のブレーキシリンダー部322とが連結することによってブレーキシリンダー32の円筒体が構成される。
【0053】
第1のブレーキシリンダー部321および第2のブレーキシリンダー部322との間の連結は、たとえば、ボルトとナットで構成される締結部材33を用いて行われている。第1のブレーキシリンダー部321と第2のブレーキシリンダー部322との間の空間の幅は、締結部材33によって調整される。このため、締結部材33は、ブレーキピストン31とブレーキシリンダー32との間に生ずる摩擦力を調整するための摩擦力調整部として機能する。
【0054】
[C-3]ブレーキ装置3の動作
本実施形態の緊急離脱カップリング1において固定状態から離脱状態になる離脱動作は、第1連結シャフト301および第2連結シャフト302の固定に遊びを持たせる事で、離脱の為の応力には影響を与えない。
【0055】
しかし、瞬時応力時の様に短時間に応力が発生する場合には、充填ホース80が完全に離脱するよりも前に、ブレーキ装置3によって離脱部分の移動が制動される。ブレーキ装置3は、ブレーキピストン31とブレーキシリンダー32との間に生ずる摩擦力によって、充填ホース80が外れる完全離脱動作を制動する。つまり、第1カップリング部11と第2カップリング部12との間の離脱動作が実行された後に、離脱部分が移動する「離脱部分移動動作」が制動されて停止される。
【0056】
具体的には、ブレーキ装置3においてブレーキシリンダー32の内部でブレーキピストン31が離脱を完了するために要するエネルギーが、緊急離脱カップリング1において離脱動作が生ずるために要するエネルギーよりも、大きくなるように調整される。これと共に、ブレーキ装置3においてブレーキシリンダー32の内部でブレーキピストン31が移動を開始するために要する力が、充填ホース80の引張強度(破断強度)よりも小さくなるように調整される。これにより、緊急離脱カップリング1は、継続的な応力が加わった場合には充填ホース80が破断する前に完全に離脱するが、瞬時応力時では、ブレーキ装置3によって制動され、充填ホース80の離脱に至らない。
【0057】
[D]まとめ
以上のように、本実施形態では、緊急離脱カップリング1の通常の離脱動作は、ブレーキ装置3があっても、従来と同じ応力で開始され、充填ホース80が離脱するよりも前に、ブレーキ装置3があっても、第1カップリング部11と第2カップリング部12との間が完全に離脱する。この一方で、瞬時応力時には、離脱動作は開始されるが、充填ホース80が完全に離脱する前に、ブレーキ装置3によって離脱部分の移動が制動される。その結果、本実施形態では、緊急離脱カップリング1において、瞬時応力時の離脱動作が実行されたときに、充填ホース80の離脱が制動されるので、離脱された部分が不規則に動き回ることを防止でき、安全性を効果的に向上可能である。
【0058】
<第2実施形態>
[A]ブレーキ装置の構成
図4Aおよび
図4Bは、第2実施形態に係る緊急離脱カップリングのブレーキ装置を示す断面図である。
【0059】
図4Aおよび
図4Bにおいては、緊急離脱カップリング1およびブレーキ装置3bについて、中心線に対して左側の部分を示している。そして、
図4Aでは、緊急離脱カップリング1が固定状態である場合を示し、
図4Bでは、緊急離脱カップリング1が離脱状態である場合を示している。
【0060】
図4Aおよび
図4Bに示すように、本実施形態では、ブレーキ装置3bは、ブレーキ装置本体30bと連結シャフト301bとを備えており、構成の一部および設置状態が、第1実施形態の場合(
図1~
図3B参照)と異なる。
【0061】
[A-1]ブレーキ装置本体30b
ブレーキ装置3において、ブレーキ装置本体30bは、ブレーキピストン31bとブレーキシリンダー32bと粘性物質311bとを有する。
【0062】
[A-1-1]ブレーキピストン31b
ブレーキピストン31bは、たとえば、円柱形状の棒状体(マンドレル)である。
【0063】
ブレーキピストン31bの一端(上端部)には、連結シャフト301bが設けられている。ここでは、連結シャフト301bは、上部プレート92bに固定されており、上部プレート92bは、第1カップリング外筒部11bに設置されている。このため、ブレーキピストン31bは、実質的に、緊急離脱カップリング1の第1カップリング部11に固定されている。
【0064】
ブレーキピストン31bの他端(下端部)には、ラム310が設けられている。ラム310は、円盤体であって、ブレーキピストン31bの一端(上端部)から他端(下端部)へ向かうに伴って外径が広がる部分を含む。ラム310は、外径の最大値が、ブレーキピストン31bの外径よりも大きくなるように構成されている。
【0065】
[A-1-2]ブレーキシリンダー32b
ブレーキシリンダー32bは、たとえば、円筒体であって、ブレーキピストン31bを内部に収容する。ブレーキシリンダー32bの内径は、ブレーキピストン31bに設けられたラム310の外径の最大値よりも大きい。
【0066】
ブレーキシリンダー32bは、外周面に連結プレート321が設置されており、連結プレート321を介して、緊急離脱カップリング1の第2カップリング部12に連結されている。このため、ブレーキシリンダー32bは、実質的に、第2カップリング部12に固定されている。
【0067】
[A-1-3]粘性物質311b
粘性物質311bは、ブレーキピストン31bの内部において、ブレーキピストン31bとブレーキシリンダー32bとの間に介在している。粘性物質311bは、遅いせん断刺激に対しては液体のように振る舞い、より速いせん断刺激に対しては固体のような抵抗力を発揮するダイラタンシー特性を持つ。
【0068】
たとえば、粘性物質311bは、ガラス転移点が常温以上のシリコーン樹脂にケイ素粉等を混合した物質などの材料を用いることが好ましい。
【0069】
[A-2]連結シャフト301b
連結シャフト301bは、ブレーキピストン31bの一端(上端部)に設けられており、上部プレート92bに固定されている。上部プレート92bは、緊急離脱カップリング1において第1カップリング部11を構成する第1カップリング外筒部11bの管軸に対してプレート面が直交するように、第1カップリング外筒部11bに設置されており、連結シャフト301bは、上部プレート92bに形成された貫通孔H92bに挿入されている。連結シャフト301bは、外周面にネジ山が形成された雄ネジ(ボルト)であって、連結シャフト301bに雌ネジ(ナット)が捻じり込まれることによって、連結シャフト301bが上部プレート92bに固定される。
【0070】
[B]ブレーキ装置の動作
本実施形態では、粘性物質311bがダイタランシー特性を持つため、応力が加わった瞬間は、殆ど抵抗が無いので、加わった応力はほぼ全て、緊急離脱カップリング1の離脱に利用される。このため、本実施形態のブレーキ装置3bは、緊急離脱カップリング1の離脱動作に影響を与えない。又、車両の誤発進の様に比較的低速であるが、持続性がある応力の印加に対して、本実施形態のブレーキ装置3bが大きな抵抗に成らないので、完全に離脱する。一方で、カップリング部の離脱時の早い速度の応力等に関しては、ブレーキ装置3bが強い抵抗を示して完全な離脱を防止する。
【0071】
具体的には、ブレーキ装置3bにおいて粘性物質311bは、最初の外部応力による離脱動作を妨げず、車両の誤発進時の継続的な応力では完全離脱を妨げず、瞬時応力時や離脱動作に伴う速度の速い応力には強い抵抗を示す様に構成されている。これにより、緊急離脱カップリング1で生ずる車両誤発進時の離脱動作は、充填ホース80が破断するよりも前に生ずるが、瞬時応力時には、充填ホース80が離脱する前に、離脱部分の移動が制動されて停止される。
【0072】
[D]まとめ
以上のように、本実施形態では、瞬時応力時の緊急離脱カップリング1の離脱動作は、充填ホース80が完全に離脱するよりも前に、ブレーキ装置3bによって制動される。その結果、本実施形態では、第1実施形態の場合と同様に、緊急離脱カップリング1において車両誤発進による離脱動作が実行されたときには、ホース破断前に完全に離脱するが、瞬時応力時の場合には、ブレーキにより制動され不規則に動き回ることを防止できるので、安全性を効果的に向上可能である。
【0073】
<第3実施形態>
[A]カップリング収容チューブ5の構成
図5Aは、第3実施形態に係る緊急離脱カップリングのブレーキ装置を示す図である。
図5Aでは、緊急離脱カップリング1については側面を示しており、ブレーキ装置については断面を示している。
【0074】
本実施形態では、
図5Aに示すように、緊急離脱カップリング1の離脱動作を制動するためのブレーキ装置として、緊急離脱カップリング1を収容するカップリング収容チューブ5を備えている。
【0075】
カップリング収容チューブ5は、
図5Aに示すように、チューブ本体部50と第1のチューブソケット部51と第2のチューブソケット部52とを備える。
【0076】
カップリング収容チューブ5のうち、チューブ本体部50は、収容空間本体部S50を含む。収容空間本体部S50は、緊急離脱カップリング1において第1カップリング部11を構成する第1のカップリング本体部111の他端と第2カップリング部12を構成する第2のカップリング本体部121の他端とが連結された部分を内部に収容するように構成されている。また、収容空間本体部S50は、第1のカップリング本体部111と第2のカップリング本体部121とが連結された連結体と、チューブ本体部50との間に空隙が介在せずに、両者が密着するように構成されている。
【0077】
カップリング収容チューブ5のうち、第1のチューブソケット部51は、第1の収容空間ソケット部S51を含む。第1の収容空間ソケット部S51は、収容空間本体部S50よりも内径が小さく、緊急離脱カップリング1において第1カップリング部11を構成する第1のカップリングソケット部112を収容するように構成されている。この他に、第1の収容空間ソケット部S51は、連結管91を内部に収容するように構成されている。
【0078】
カップリング収容チューブ5のうち、第2のチューブソケット部52は、第2の収容空間ソケット部S52を含む。第2の収容空間ソケット部S52は、収容空間本体部S50よりも内径が小さく、緊急離脱カップリング1において第2カップリング部12を構成する第2のカップリングソケット部122を収容するように構成されている。この他に、第2の収容空間ソケット部S52は、連結管81および充填ホース80の一部を内部に収容するように構成されている。
【0079】
本実施形態では、カップリング収容チューブ5は、熱の作用によって予め定めた形状に戻る熱収縮チューブ(形状記憶チューブ)である。
カップリング収容チューブ5は、たとえば、フッ素樹脂などの形状記録樹脂を材料として用いて形成される。(特開平11-323053等)
【0080】
また、本実施形態では、第1のチューブソケット部51が拡がる強度、および、第2のチューブソケット部52が拡がる強度が、充填ホース80の引張強度よりも小さい。これと共に、カップリング保持部50の緊急離脱カップリング1を締め付ける強度は摩擦力になり、離脱動作の抵抗になるが、収縮率とチューブとカップリング保持部50の摩擦係数の調整により緊急離脱カップリング1において離脱動作が生ずるために要する力が充填ホース80の引っ張り強度を超えない。
【0081】
[B]カップリング収容チューブ5の設置
カップリング収容チューブ5の設置に関して、
図5Aと共に、
図5Bおよび
図5Cを用いて説明する。
【0082】
図5Bおよび
図5Cは、第3実施形態に係るカップリング収容チューブを示す図である。
図5Bは、カップリング収容チューブ5を成形したときと、緊急離脱カップリング1を収納した後に熱収縮させた状態を示している。
図5Cは、カップリング収容チューブ5を緊急離脱カップリング1に設置する前の状態を示している。
【0083】
カップリング収容チューブ5は、最初に、
図5Bにおいて一点鎖線で示すように、第2のチューブソケット部52においてチューブ本体部50の反対側に位置する部分(53)と内径が同じであって、管軸方向で内径が一定である管状体に整形される。つぎに、カップリング収容チューブ5は、
図5Cに示すように、内径が大きくなるように、拡げられる。その後、カップリング収容チューブ5は、緊急離脱カップリング1に装着された後に、熱収縮される。これにより、カップリング収容チューブ5は、
図5Bにおいて実線で示すように、緊急離脱カップリングの1の形状に沿った形状に整形される。
【0084】
つまり、カップリング収容チューブ5は、均一の収縮率になっているが、中に収納された緊急離脱カップリング1に沿って収縮が制限される。このため、本実施形態では、極めて容易にカップリング収容チューブ5を構成する事が可能である。
【0085】
[C]カップリング収容チューブ5の作用
本実施形態において、緊急離脱カップリング1の離脱動作は、瞬時応力時の場合には充填ホース80が完全に離脱するよりも前に、ブレーキ装置であるカップリング収容チューブ5によって制動される。この一方で、車両の誤発進による離脱動作の場合には、充填ホース80の破断前にカップリング収容チューブ5が拡がって、緊急離脱カップリング1がカップリング収容チューブ5から抜けて充填ホース80が完全離脱する。
【0086】
具体的には、緊急離脱カップリング1の離脱動作は、カップリング収容チューブ5のうちチューブ本体部50の収容空間本体部S50において生じ、第1カップリング部11と第2カップリング部12との間が固定状態から離脱状態になる。離脱状態の第1カップリング部11は、収容空間本体部S50から第1の収容空間ソケット部S51の側へ移動し、第1のチューブソケット部51によって停止する。これに対して、離脱状態の第2カップリング部12は、収容空間本体部S50から第2の収容空間ソケット部S52の側へ移動し、第2のチューブソケット部52によって停止する。
【0087】
[D]まとめ
以上のように、本実施形態では、瞬時応力時の緊急離脱カップリング1の離脱動作は、充填ホース80が完全に離脱するよりも前に、ブレーキ装置であるカップリング収容チューブ5によって制動される。その結果、本実施形態では、瞬時応力時に緊急離脱カップリング1において離脱動作が実行されたときに、離脱された部分が不規則に動き回ることを防止できるので、安全性を効果的に向上可能である。
【0088】
本実施形態のカップリング収容チューブ5は、極めて簡単な構成であり、緊急離脱カップリング1に容易に取付可能であると共に、緊急離脱カップリング1から容易に取り外し可能であるので、緊急離脱カップリング1の定期試験を効率的に実行可能である。
【0089】
<第4実施形態>
[A]カップリング収容チューブ5dの構成
図6Aおよび
図6Bは、第4実施形態に係る緊急離脱カップリングのブレーキ装置を示す断面図である。
図6Aおよび
図6Bでは、緊急離脱カップリング1については側面を示しており、ブレーキ装置については断面を示している。
図6Aは、緊急離脱カップリング1の離脱動作が生ずる前の状態を示し、
図6Bは、緊急離脱カップリング1の離脱動作が生じた後の状態を示している。
【0090】
本実施形態では、
図6Aに示すように、第3実施形態の場合(
図5A参照)と同様に、緊急離脱カップリング1の離脱動作を制動するためのブレーキ装置として、緊急離脱カップリング1を収容するカップリング収容チューブ5dを備えている。
【0091】
本実施形態のカップリング収容チューブ5dは、第3実施形態の場合(
図5A参照)と異なり、第1のカップリング本体部111と第2のカップリング本体部121とが連結された連結体と、チューブ本体部50との間に空隙が介在するように、収容空間本体部S50が構成されている。
【0092】
[B]カップリング収容チューブ5dの作用
第3実施形態の場合(
図5A参照)には、第1のカップリング本体部111と第2のカップリング本体部121とが連結された連結体と、チューブ本体部50との間が密着している。このため、チューブ本体部50においては、張力が印加された状態にあるので、緊急離脱カップリング1の単体の場合よりも離脱のための応力が大きくなるおそれがある。その結果、第3実施形態の場合には、離脱カップリング1の離脱動作が生ずる応力が基準値を超える恐れある。
【0093】
しかしながら、本実施形態では、
図6Aに示すように、第1のカップリング本体部111と第2のカップリング本体部121とが連結された連結体と、チューブ本体部50との間が密着せずに、両者の間に空隙が介在している。その結果、本実施形態においては、第3実施形態の場合(
図5A参照)と異なり、緊急離脱カップリング1が離脱するときの応力には影響を与えずに、完全な離脱に伴う緊急離脱カップリング1による第1のチューブソケット部51および第2のチューブソケット部52が拡がることによる制動力が得られる。
【0094】
[C]まとめ
以上のように、本実施形態では、緊急離脱カップリング1の離脱動作をカップリング収容チューブ5dが阻害しないため、安全性を更に効果的に向上可能である。
【0095】
本実施形態では、
図6Bに示すように、瞬時応力時における緊急離脱カップリング1の離脱動作が実行された後には、第1のカップリング本体部111と第2のカップリング本体部121との両者がカップリング収容チューブ5dの内部に留まる。このように構成することで、安全性を更に効果的に向上可能である。
【0096】
<その他>
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0097】
1:緊急離脱カップリング、3:ブレーキ装置、3b:ブレーキ装置、5:カップリング収容チューブ、5d:カップリング収容チューブ、11:第1のカップリング部、11a:第1のカップリング内筒部、11b:第1のカップリング外筒部、11c:第1のプラグ、12:第2のカップリング部、12a:第2のカップリング内筒部、12b:第2のカップリング外筒部、12c:第2のプラグ、13a:内筒固定ピン、13b:外筒固定ピン、30:ブレーキ装置本体、30b:ブレーキ装置本体、31:ブレーキピストン、31b:ブレーキピストン、32:ブレーキシリンダー、32b:ブレーキシリンダー、33:締結部材、50:チューブ本体部、51:チューブソケット部、52:チューブソケット部、80:充填ホース、81:連結管、83:バックプレート、90:ソケット、91:連結管、92:固定プレート、92b:上部プレート、111:第1のカップリング本体部、112:第1のカップリングソケット部、121:第2のカップリング本体部、122:第2のカップリングソケット部、301:第1連結シャフト、301b:連結シャフト、302:第2連結シャフト、310:ラム、311:ライナー、311b:粘性物質、321:ブレーキシリンダー部、321:連結プレート、322:ブレーキシリンダー部、H11a:第1バランスポート、H12a:第2バランスポート、H83:貫通孔、H92:貫通孔、H92b:貫通孔、R11:第1圧力室、R12:第2圧力室、S50:収容空間本体部、S51:第1の収容空間ソケット部、S52:第2の収容空間ソケット部