(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】部分放電計測システムおよび部分放電計測方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/12 20200101AFI20240502BHJP
G01R 31/34 20200101ALI20240502BHJP
H02K 11/20 20160101ALI20240502BHJP
【FI】
G01R31/12 A
G01R31/34 D
H02K11/20
(21)【出願番号】P 2021022341
(22)【出願日】2021-02-16
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高根沢 真
(72)【発明者】
【氏名】原川 崇
(72)【発明者】
【氏名】藤本 旺
(72)【発明者】
【氏名】廣島 聡
【審査官】島田 保
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-098270(JP,A)
【文献】特開平09-080111(JP,A)
【文献】特開2005-233837(JP,A)
【文献】国際公開第2020/121600(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1333584(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/12
G01R 31/34
H02K 11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機に接続された導体を伝搬する電圧信号を非接触で検出する少なくとも1つのセンサと、
前記センサにより得られた前記電圧信号に含まれる第1周波数の成分を通過させる第1バンドパスフィルタと、
前記センサにより得られた前記電圧信号に含まれる前記第1周波数よりも低い第2周波数の成分を通過させる第2バンドパスフィルタと、
前記第2バンドパスフィルタを通過した前記第2周波数の成分の位相波形を取得する位相取得部と、
前記第1バンドパスフィルタを通過した前記第1周波数の成分に含まれる前記回転電機の部分放電の成分を前記位相波形に基づいて特定可能な情報を出力する出力部と、
前記第2バンドパスフィルタを通過した前記電圧信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する変換器と、
前記第2バンドパスフィルタと前記変換器との間に設けられ、前記位相波形の位相差を補正する移相回路と、
を備える、
部分放電計測システム。
【請求項2】
回転電機に接続された導体を伝搬する電圧信号を非接触で検出する少なくとも1つのセンサと、
前記センサにより得られた前記電圧信号に含まれる第1周波数の成分を通過させる第1バンドパスフィルタと、
前記センサにより得られた前記電圧信号に含まれる前記第1周波数よりも低い第2周波数の成分を通過させる第2バンドパスフィルタと、
前記第2バンドパスフィルタを通過した前記第2周波数の成分の位相波形を取得する位相取得部と、
前記第1バンドパスフィルタを通過した前記第1周波数の成分に含まれる前記回転電機の部分放電の成分を前記位相波形に基づいて特定可能な情報を出力する出力部と、
前記センサと前記第2バンドパスフィルタとを接続する信号線と、
前記信号線と接地点との間に設けられ、前記位相波形の位相差を補正する補正用コンデンサと、
を備える、
部分放電計測システム。
【請求項3】
前記第2周波数は、商用電源の周波数に基づいて設定される、
請求項1
または請求項2に記載の部分放電計測システム。
【請求項4】
前記第2周波数は、1Hz~180Hzの範囲内に設定される、
請求項1
から請求項3のいずれか1項に記載の部分放電計測システム。
【請求項5】
前記第1周波数の波形を前記位相波形と同期させる波形同期部を備える、
請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の部分放電計測システム。
【請求項6】
少なくとも前記導体と前記センサとの間の空隙の静電容量を含む仮想の回路の解析に基づいて、前記位相波形の位相差を補正する補正量が設定される、
請求項
1から請求項5のいずれか1項に記載の部分放電計測システム。
【請求項7】
前記位相波形に基づいて特定された前記部分放電の成分に基づいて、前記回転電機の絶縁診断を行う絶縁診断部を備える、
請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載の部分放電計測システム。
【請求項8】
前記位相波形に基づいて特定された前記部分放電の成分に基づいて、前記回転電機の前記部分放電に関する電荷量を算出する電荷量算出部と、
前記電荷量と前記回転電機の余寿命の関係を示す余寿命情報を記憶したデータベースと、
前記データベースに記憶された前記余寿命情報と前記部分放電に関する前記電荷量から前記回転電機の前記余寿命を算出する余寿命算出部と、
を備える、
請求項1から請求項
7のいずれか1項に記載の部分放電計測システム。
【請求項9】
前記センサは、
前記第1バンドパスフィルタに接続された第1センサと、
前記第2バンドパスフィルタに接続された第2センサと、
を含む、
請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載の部分放電計測システム。
【請求項10】
少なくとも1つのセンサが、回転電機に接続された導体を伝搬する電圧信号を非接触で検出するステップと、
第1バンドパスフィルタが、前記センサにより得られた前記電圧信号に含まれる第1周波数の成分を通過させるステップと、
第2バンドパスフィルタが、前記センサにより得られた前記電圧信号に含まれる前記第1周波数よりも低い第2周波数の成分を通過させるステップと、
位相取得部が、前記第2バンドパスフィルタを通過した前記第2周波数の成分の位相波形を取得するステップと、
出力部が、前記第1バンドパスフィルタを通過した前記第1周波数の成分に含まれる前記回転電機の部分放電の成分を前記位相波形に基づいて特定可能な情報を出力するステップと、
を含
み、
前記第2バンドパスフィルタを通過した前記電圧信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する変換器が設けられており、
前記第2バンドパスフィルタと前記変換器との間に設けられた移相回路が、前記位相波形の位相差を補正する、
部分放電計測方法。
【請求項11】
少なくとも1つのセンサが、回転電機に接続された導体を伝搬する電圧信号を非接触で検出するステップと、
第1バンドパスフィルタが、前記センサにより得られた前記電圧信号に含まれる第1周波数の成分を通過させるステップと、
第2バンドパスフィルタが、前記センサにより得られた前記電圧信号に含まれる前記第1周波数よりも低い第2周波数の成分を通過させるステップと、
位相取得部が、前記第2バンドパスフィルタを通過した前記第2周波数の成分の位相波形を取得するステップと、
出力部が、前記第1バンドパスフィルタを通過した前記第1周波数の成分に含まれる前記回転電機の部分放電の成分を前記位相波形に基づいて特定可能な情報を出力するステップと、
を含
み、
前記センサと前記第2バンドパスフィルタとを接続する信号線が設けられており、
前記信号線と接地点との間に設けられた補正用コンデンサが、前記位相波形の位相差を補正する、
部分放電計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、部分放電計測技術に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機には、絶縁材料が用いられている。この絶縁材料が、熱的、電気的、機械的、化学的ストレスで劣化すると絶縁破壊が生じて回転電機の故障に繋がる可能性がある。そのため、回転電機の信頼性を確保するに絶縁材料の状態を把握することが重要である。事業用・自家発用の発電機または産業用の高電圧電動機では、コイルに高い電圧が加わり、絶縁材料の内部のボイドまたは絶縁材料の表面で部分放電が発生することで、樹脂などが放電浸食される。そのため、耐放電性の高いマイカを含んだ絶縁材料を使用することで、放電浸食を抑制し、絶縁材料の長期信頼性を確保している。
【0003】
絶縁材料の状態を把握し、その健全性を確認するには、回転電機が停止された状態であれば、絶縁抵抗、誘電損、部分放電などのオフライン診断により総合的に判定できる。しかし、回転電機の停止は、営業上の大きなインパクトを与えること、またオフライン診断は、停止中の診断であるため、運転中に生じる事象が全て現れていない場合がある。これらの実情から、回転電機を運転した状態で測定できるオンライン診断の要望がある。部分放電または電流の測定を使ったオンライン診断も実施される。
【0004】
部分放電の測定を行うオンライン診断は、電磁波アンテナなどを使用することで、電気機器の高電圧部に非接触で設置ができる。そのため、センサの取り付けが比較的容易になり、センサに加わる電気的または機械的なストレスが小さいなどの利点がある。また、測定した部分放電信号を診断する際、対象の機器に掛かっている電圧波形を同時に測定することで、部分放電信号を検出したときの電圧位相との関係が分かり、機器の中で部分放電が発生している相と絶縁部位を推定することができる。そのため、絶縁診断には電圧位相の測定も必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-58166号公報
【文献】特開2006-64461号公報
【文献】特開2018-59848号公報
【文献】特開2018-72304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
回転電機の絶縁診断では、部分放電信号と基準となる電圧位相を得ることで、部分放電の発生部位または部分放電の状態を特定できる。従来技術では、基準となる電圧位相を取得するために、計器用変成器を備える取り込み用の回路を新たに設けるようにしている。しかし、計器用変成器を回転電機に接続するときには、既存の回転電機の改造工事を伴うためコストと労力を要する。さらに、計器用変成器が接続される箇所は、AVR・継電器などの回転電機の運転に必要な制御系直結の電源回路であることから、取り込み用の回路に短絡・地絡などの故障が生じた場合に、計器用変成器を介して回転電機または制御系に悪影響を与える可能性があり、運転停止のリスクがある。
【0007】
本発明の実施形態は、このような事情を考慮してなされたもので、回転電機の運転に影響を与えることなく、部分放電の計測を行うことができる部分放電計測技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態に係る部分放電計測システムは、回転電機に接続された導体を伝搬する電圧信号を非接触で検出する少なくとも1つのセンサと、前記センサにより得られた前記電圧信号に含まれる第1周波数の成分を通過させる第1バンドパスフィルタと、前記センサにより得られた前記電圧信号に含まれる前記第1周波数よりも低い第2周波数の成分を通過させる第2バンドパスフィルタと、前記第2バンドパスフィルタを通過した前記第2周波数の成分の位相波形を取得する位相取得部と、前記第1バンドパスフィルタを通過した前記第1周波数の成分に含まれる前記回転電機の部分放電の成分を前記位相波形に基づいて特定可能な情報を出力する出力部と、前記第2バンドパスフィルタを通過した前記電圧信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する変換器と、前記第2バンドパスフィルタと前記変換器との間に設けられ、前記位相波形の位相差を補正する移相回路と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態により、回転電機の運転に影響を与えることなく、部分放電の計測を行うことができる部分放電計測技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態の部分放電計測システムを示す構成図。
【
図5】センサで検知された電圧信号の波形を示すグラフ。
【
図6】第2実施形態の部分放電計測システムを示す構成図。
【
図7】第3実施形態の部分放電計測システムを示す構成図。
【
図8】導体とセンサとの間の空隙の静電容量を含む仮想の回路を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、図面を参照しながら、部分放電計測システムおよび部分放電計測方法の実施形態について詳細に説明する。まず、第1実施形態の部分放電計測システムおよび部分放電計測方法について
図1から
図5を用いて説明する。
【0012】
図1の符号1は、第1実施形態の部分放電計測システムである。この部分放電計測システム1は、回転電機2の非接触のオンライン部分放電診断を行うために用いられる。
【0013】
部分放電診断は、機器を構成する導体に高電圧が印加されたときに、この導体と接地点との間に発生する放電を検出する試験である。この放電は、絶縁材料の剥離またはボイドといった欠陥部で多く発生する。このとき、電子の移動が起こっているため、高周波な電流変化が信号として導体中を伝搬する。部分放電診断では、その電流変化を検出することで、放電量と放電強度を計測する。
【0014】
部分放電の計測の対象となる回転電機2は、例えば、発電機または電動機などである。なお、回転電機2が発電機または電動機のいずれの場合であっても、本実施形態を適用することができる。
【0015】
以下の説明において、「商用電源の周波数」という用語は、回転電機2から出力される電力の周波数、または、回転電機2に供給される電力の周波数を示す。例えば、回転電機2が発電機である場合は、この発電機から外部へ出力される交流の周波数である。また、回転電機2が電動機である場合は、この電動機に外部から供給される交流の周波数である。以下の説明では、特に明示した場合を除き、回転電機2が発電機である場合を例示する。
【0016】
回転電機2は、導体である銅、鉄などの金属材料、樹脂を主材料とした絶縁材料で構成される。例えば、回転電機2は、導体としてのコイル3を備える。また、このコイル3には、導体としての電力線4が接続されている。電力線4は、例えば、円筒形状を成す金属フレーム5の内部に設けられている。なお、本実施形態では、導体として電力線4を例示しているが、この導体は中性点引出線であっても良い。
【0017】
例えば、コイル3に部分放電Pが生じた場合に、この部分放電の情報を含む電圧信号が、コイル3から電力線4に伝わり、この電力線4を伝搬するようになる。電力線4を伝搬する電圧信号を検出することで、回転電機2の絶縁診断を行うことができる。さらに、部分放電計測システム1は、部分放電Pに関する電荷量を測定することで回転電機2の余寿命を診断することができる。例えば、部分放電計測システム1は、部分放電Pに関する電荷量を測定することで回転電機2の余寿命を診断する。
【0018】
図5に示すように、部分放電Pが発生するタイミングは、回転電機2が出力する商用電源の周波数の位相波形31に対応している。例えば、交流である商用電源の位相波形31において、電圧が立ち上がる領域32(
図5の斜線の領域)では、回転電機2の絶縁材料に加わる電圧が高まる。そのため、絶縁材料にボイドなどの絶縁破壊経路がある場合には、電圧が立ち上がる領域32で部分放電Pが生じ易い。なお、「電圧が立ち上がる」という用語は、交流において電圧が負の方向に向かって立ち上がる意味を含む。
【0019】
商用電源の位相波形31の電圧が立ち上がる領域32に対応して、パルス信号33が検出された場合には、このパルス信号33は、部分放電Pに起因するものである可能性が高い。一方、電圧が立ち上がる領域32とは無関係に、パルス信号34が検出された場合には、このパルス信号34は、ノイズに起因するものである可能性が高い。つまり、商用電源の位相波形31(基準となる電圧位相)を得ることで、部分放電Pのパルス信号33をノイズのパルス信号34と区別することができる。
【0020】
また、部分放電Pのパルス信号33と商用電源の位相波形31を得ることで、部分放電の発生部位または部分放電の状態を特定できる。例えば、3相交流の場合は、部分放電Pのパルス信号33が、3つの位相波形のうちのいずれに対応して発生しているのかを把握することで、部分放電Pが生じているコイル3を特定できる。
【0021】
図1に示すように、部分放電計測システム1は、第1センサ6と第2センサ7と第1同軸ケーブル8と第2同軸ケーブル9と第1バンドパスフィルタ11と第2バンドパスフィルタ12と第1アンプ13と第2アンプ14と第1A/D変換器15と第2A/D変換器16とデータ処理装置17とを備える。
【0022】
図2に示すように、第1センサ6と第2センサ7は、金属フレーム5の内周面に設けられている。金属フレーム5の中央に設けられた電力線4と、第1センサ6および第2センサ7との間には、空隙30が設けられている。つまり、第1センサ6と第2センサ7は、回転電機2に接続された電力線4(導体)を伝搬する電圧信号を非接触で検出する。第1センサ6と第2センサ7が非接触式であるため、仮に、データ処理装置17に短絡・地絡などの故障などが生じても、回転電機2の運転に影響を与えることがない。
【0023】
図1に示すように、第1センサ6は、信号線としての第1同軸ケーブル8を介して第1バンドパスフィルタ11に接続される。この第1センサ6で検出された電圧信号は、第1バンドパスフィルタ11に入力される。第2センサ7は、信号線としての第2同軸ケーブル9を介して第2バンドパスフィルタ12に接続される。この第2センサ7で検出された電圧信号は、第2バンドパスフィルタ12に入力される。
【0024】
第1バンドパスフィルタ11は、高周波の成分を通過させるハイパスフィルタとなっている。この第1バンドパスフィルタ11は、第1センサ6により得られた電圧信号に含まれる第1周波数の成分を通過させる。この第1センサ6は、部分放電Pの電圧信号を検出する。
【0025】
第2バンドパスフィルタ12は、低周波の成分を通過させるローパスフィルタとなっている。この第2バンドパスフィルタ12は、第2センサ7により得られた電圧信号に含まれる第2周波数の成分を通過させる。この第2センサ7は、商用電源の位相波形31を検出する。
【0026】
第2周波数は、第1周波数よりも低いものとなっている。この第2周波数は、商用電源の周波数に基づいて設定される。このようにすれば、部分放電Pの成分(波形)を特定する指標となる商用電源の位相波形31を取得することができる。
【0027】
また、第2周波数は、1Hz~180Hzの範囲内に設定される。発明者らは、様々な態様の部分放電計測システム1の試作と実験を行った結果、第2周波数を1Hz~180Hzの範囲内に設定することが好ましいという知見を得た。例えば、商用電源の周波数である60Hzを考慮し、最大でもその3倍程度の180Hz以下に第2周波数を設定することで、多少の誤差が生じたとしても、部分放電Pの成分を特定する指標となる商用電源の位相波形31を得ることができる。
【0028】
また、第2周波数は、その他の周波数でも良い。例えば、商用電源の周波数が50Hzの場合には、10%程度の誤差を考慮し、第2周波数を45Hz~55Hzの範囲内に設定しても良い。また、商用電源の周波数が60Hzの場合には、第2周波数を54Hz~66Hzの範囲内に設定しても良い。さらに、商用電源がいずれの周波数でも使用できるように、第2周波数を45Hz~66Hzの範囲内に設定しても良い。
【0029】
なお、第1周波数は、第2周波数よりも高い値であれば、いずれの値でも良い。例えば、第1周波数は、200Hz~1GHzの範囲内に設定される。第1周波数の下限値は、少なくとも180Hzより高い値であれば良い。さらに、部分放電Pと関係のない成分を充分に遮断するのであれば、第1周波数の下限値は、1kHz以上とすることが好ましい。また、データ処理装置17が処理するデジタル信号の時間分解能の上限値が、第1周波数の上限値であっても良い。
【0030】
部分放電計測システム1が第1センサ6と第2センサ7とを備えることで、部分放電Pの電圧信号と商用電源の位相波形31のそれぞれ異なる2つの周波数の成分を含む電圧信号の処理を容易に行うことができる。
【0031】
第1アンプ13と第2アンプ14は、データ処理装置17で計測できるように電圧信号を増幅させるために設けられている。さらに、第1A/D変換器15と第2A/D変換器16は、連続量であるアナログ信号を離散化されたデジタル信号に変換するために設けられている。ここで変換された電圧信号は、データ処理装置17に入力される。
【0032】
次に、データ処理装置17のシステム構成を
図3に示すブロック図を参照して説明する。データ処理装置17は、入力部18と出力部19とメイン制御部20と記憶部21とを備える。このデータ処理装置17は、CPU、ROM、RAM、HDDなどのハードウェア資源を有し、CPUが各種プログラムを実行することで、ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて実現されるコンピュータで構成される。さらに、本実施形態の部分放電計測方法は、各種プログラムをコンピュータに実行させることで実現される。
【0033】
入力部18には、センサ6,7で検知された電圧信号が入力される。例えば、A/D変換器15,16で変換されたデジタル信号が入力部18に入力される。なお、入力部18には、センサ6,7からリアルタイムで電圧信号が入力される態様のみならず、他の態様で入力されても良い。例えば、センサ6,7で検知された電圧信号を一旦他の記録装置で記録しておき、その後、この記録装置で記録された電圧信号がデータ処理装置17の入力部18に入力されても良い。
【0034】
また、入力部18には、システムを使用するユーザの操作に応じて所定の情報が入力されても良い。例えば、入力部18には、マウスまたはキーボードなどの入力装置が含まれる。つまり、これら入力装置の操作に応じて所定の情報が入力部18に入力される。
【0035】
出力部19は、所定の情報の出力を行う。この出力部19は、ディスプレイ(表示部)に表示される画像の制御を行う。なお、ディスプレイは、コンピュータ本体と別体であっても良いし、一体であっても良い。さらに、ネットワークを介して接続される他のコンピュータが備えるディスプレイに表示される画像の制御を出力部19が行っても良い。
【0036】
なお、本実施形態では、画像の表示を行う装置としてディスプレイを例示するが、その他の態様であっても良い。例えば、紙媒体に情報を印字するプリンタをディスプレイの替りとして用いても良い。つまり、出力部19が制御する対象として、プリンタが含まれても良い。
【0037】
メイン制御部20は、部分放電計測システム1を統括的に制御する。このメイン制御部20は、位相取得部22と波形同期部23と絶縁診断部24と電荷量算出部25と余寿命算出部26とを備える。これらは、メモリまたはHDDに記憶されたプログラムがCPUによって実行されることで実現される。
【0038】
データ処理装置17の各構成は、必ずしも1つのコンピュータに設ける必要はない。例えば、ネットワークで互いに接続された複数のコンピュータを用いて1つのデータ処理装置17を実現しても良い。例えば、絶縁診断部24と電荷量算出部25と余寿命算出部26とが、それぞれの個別のコンピュータに搭載されていても良い。
【0039】
記憶部21は、回転電機2の絶縁診断を行うときに必要な各種情報を記憶する。この記憶部21は、データベース27を備える。なお、このデータベース27は、メモリ、HDDまたはクラウドに記憶され、検索または蓄積ができるよう整理された情報の集まりである。
【0040】
データベース27は、回転電機2の部分放電Pに関する電荷量と回転電機2の余寿命の関係を示す余寿命情報を記憶する。このようにすれば、予めデータベース27に余寿命情報を蓄積し、この蓄積に基づいて回転電機2の余寿命を算出することができる。
【0041】
次に、部分放電計測システム1が実行する部分放電計測方法について
図4のフローチャートを用いて説明する。なお、前述の図面を適宜参照する。
【0042】
まず、ステップS1において、第1センサ6は、回転電機2に接続された電力線4(導体)を伝搬する電圧信号を非接触で検出する。
【0043】
次のステップS2において、第1バンドパスフィルタ11(ハイパスフィルタ)は、第1センサ6により得られた電圧信号に含まれる第1周波数(高周波)の成分を通過させる。
【0044】
次のステップS3において、第1アンプ13は、第1バンドパスフィルタ11を通過した電圧信号を増幅する。
【0045】
次のステップS4において、第1A/D変換器15は、第1バンドパスフィルタ11を通過した電圧信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する。そして、ステップS9に進む。
【0046】
さらに、本実施形態の部分放電計測方法では、ステップS1~S4と並行にステップS5~S8を実行する。
【0047】
まず、ステップS5において、第2センサ7は、回転電機2に接続された電力線4(導体)を伝搬する電圧信号を非接触で検出する。
【0048】
次のステップS6において、第2バンドパスフィルタ12(ローパスフィルタ)は、第2センサ7により得られた電圧信号に含まれる第2周波数(低周波)の成分を通過させる。
【0049】
次のステップS7において、第2アンプ14は、第2バンドパスフィルタ12を通過した電圧信号を増幅する。
【0050】
次のステップS8において、第2A/D変換器16は、第2バンドパスフィルタ12を通過した電圧信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する。そして、ステップS9に進む。
【0051】
前述のステップS4およびS8の次に進むステップS9において、位相取得部22は、位相取得処理を実行する。ここで、位相取得部22は、第2バンドパスフィルタ12を通過した第2周波数の成分の位相波形31を取得する。例えば、位相波形31を生成する処理を行う。この位相波形31が商用電源のものとなっている。
【0052】
次のステップS10において、波形同期部23は、波形同期処理を実行する。ここで、波形同期部23は、第1周波数の波形を位相波形31と同期させる。例えば、第1周波数の波形と位相波形31とを重ね合わせる処理を行う。なお、同期後の態様は、少なくとも位相波形31において電圧が立ち上がる領域32と、部分放電Pの電圧信号との関係が把握できる態様であれば良い。このようにすれば、第1周波数の波形において、部分放電Pの成分(波形)を含む波形が出現する箇所を特定し易くなる。
【0053】
次のステップS11において、絶縁診断部24は、絶縁診断処理を実行する。ここで、絶縁診断部24は、位相波形31に基づいて特定された部分放電Pの成分に基づいて、回転電機2の絶縁診断を行う。
【0054】
絶縁診断処理では、放電の特徴を示すデータである放電発生条件、例えば、放電発生位置または放電発生原因の特定に必要な情報を取得する。このようにすれば、回転電機2の絶縁診断を行うことができる。
【0055】
次のステップS12において、電荷量算出部25は、電荷量算出処理を実行する。ここで、電荷量算出部25は、位相波形31に基づいて特定された部分放電Pの成分に基づいて、回転電機2の部分放電Pに関する電荷量を算出する。
【0056】
電荷量算出処理では、例えば、部分放電Pの成分を含む波形のピーク値に基づいて、部分放電Pに関する電荷量を算出する。また、部分放電Pの成分を含む波形の局所的な放電に相当する区間のスペクトルに基づいて、部分放電Pに関する電荷量を算出しても良い。
【0057】
電荷量の情報は、絶対的な放電強度を知るために重要な情報である。従って、電荷量の大小を評価することで、回転電機2の劣化状態を判定することができる。さらに、第1周波数における部分放電Pの成分を含む波形の発生箇所と電荷量の情報を合わせることで、放電強度と放電頻度の関係を診断できる。それらの情報を総合的に判定することで、回転電機2の寿命に関する正確な推定が可能になる。
【0058】
次のステップS13において、余寿命算出部26は、余寿命算出処理を実行する。ここで、余寿命算出部26は、データベース27に記憶された余寿命情報と部分放電Pに関する電荷量から回転電機2の余寿命を算出する。
【0059】
余寿命算出処理では、例えば、記憶部21に記憶された電荷量に関する情報類に基づいて、部分放電に関する電荷量の特性を示す第1特性データと、現状の回転電機2から取得された使用期間(時間)の特性を示す第2特性データのグラフを作成する。そして、第1特性データと第2特性データとを紐づけることで、回転電機2の余寿命と使用期間との関係を示す電気絶縁破壊特性(Breakdown Voltage:BDV)を推定する。
【0060】
第2特性データに基づいて、部分放電に関する電荷量が事前に設定された閾値に到達するまでの時間を余寿命として算出する。このようにすれば、現状の回転電機2の第2特性データは、その余寿命を規定する特性を含んでいるため、余寿命の算出精度を向上させることができる。
【0061】
また、データベース27には、回転電機2の余寿命を規定する特性が記憶される。例えば、特性として、絶縁破壊経路の進展速度がある。なお、絶縁破壊経路は、絶縁材料に関する部分放電により発生または進展する。
【0062】
絶縁破壊経路が時間とともに進展し、接地点に到達すると絶縁破壊に至る。なお、電荷量に関する情報類と絶縁破壊経路の進展速度の進展関数は、事前に取得しておく。この進展関数に基づいて、絶縁破壊経路の進展速度を逐次知ることができる。このようにすれば、回転電機2の余寿命を算出することができる。
【0063】
次のステップS14において、メイン制御部20は、出力処理を実行する。ここで、メイン制御部20は、出力部19を用いて、部分放電Pに関するデータの処理結果の出力を行う。例えば、出力部19は、処理結果をディスプレイに表示、またはプリンタに出力する。なお、他のコンピュータに処理結果を送信しても良いし、可搬性を有する記録媒体に処理結果を記録しても良い。
【0064】
出力部19から出力される処理結果は、部分放電Pの発生の有無を示す情報、第1周波数の波形と位相波形31とを重ね合わせたグラフ、回転電機2の絶縁診断結果、部分放電Pに関する電荷量、回転電機2の余寿命などである。
【0065】
なお、部分放電Pの発生の有無を示す情報は、必ずしもデータ処理装置17が部分放電Pの発生の有無を判定したものでなくても良い。例えば、第1周波数の波形と位相波形31とを重ね合わせたグラフを出力し、このグラフを視認するユーザが部分放電Pの発生の有無を判定しても良い。つまり、出力部19は、第1バンドパスフィルタ11を通過した第1周波数の成分に含まれる回転電機2の部分放電Pの成分を位相波形31に基づいて特定可能な情報を出力する。そして、部分放電計測方法を終了する。
【0066】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の部分放電計測システム1Aおよび部分放電計測方法について
図6を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0067】
第2実施形態の部分放電計測システム1Aは、前述の第1実施形態の構成に加えて移相回路40をさらに備える。この移相回路40は、第2アンプ14と第2A/D変換器16との間に設けられている。なお、移相回路40は、少なくとも第2バンドパスフィルタ12と第2A/D変換器16との間であれば、いずれの部分に設けられても良い。
【0068】
導体としての電力線4と第2センサ7との間の空隙30の静電容量は、比較的小さいため、第2センサ7で計測される位相波形31’は、コイル3から出力される商用電源の位相波形31とずれることがある。例えば、
図5に示すように、第2センサ7で計測される位相波形31’は、商用電源の本来の位相波形31に対して、所定の位相差θが生じる。そこで、第2実施形態では、位相差θを補正することで、商用電源の本来の位相波形31を取得する。
【0069】
図6に示すように、電力線4(導体)と第2センサ7との間の空隙30の部分は、所定の静電容量を有する仮想の進相回路(進相コンデンサ)とみなすことができる。これにより位相差θ(
図5)が生じてしまう。そこで、進相回路に対抗する遅相回路を構成する移相回路40を設けている。このようにすれば、移相回路40により、電気回路的に進相成分をキャンセルし、位相差θを補正することができる。
【0070】
第2実施形態では、少なくとも電力線4(導体)と第2センサ7との間の空隙30の静電容量を含む仮想の回路(例えば、前述の進相回路と遅相回路とを含む回路)を予め解析し、この解析に基づいて、位相波形31’の位相差θ(ずれ)を補正する補正量が設定される。このようにすれば、適切な補正量を設定することができる。
【0071】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の部分放電計測システム1Bおよび部分放電計測方法について
図7から
図8を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0072】
図7に示すように、第3実施形態の部分放電計測システム1Bは、前述の第1実施形態の構成に加えて補正用コンデンサ41をさらに備える。この補正用コンデンサ41は、前述の位相差θ(
図5)を補正するために設けられる。
【0073】
補正用コンデンサ41は、第2センサ7と第2バンドパスフィルタ12とを接続する信号線である第2同軸ケーブル9に設けられている。
【0074】
図8に示すように、第3実施形態では、少なくとも電力線4(導体)と第2センサ7との間の空隙30の静電容量C
0と、電圧信号の処理を行うデータ処理装置17の抵抗値Rとを含む仮想の回路(等価回路)の解析に基づいて、商用電源の位相波形31の位相差θを補正する補正量が設定される。
【0075】
例えば、商用電源Uの電圧をV0とし、データ処理装置17の電圧をV1とする。ここで、空隙30の静電容量をC0とし、第2センサ7の静電容量をC1とし、第2同軸ケーブル9の静電容量をC2とし、補正用コンデンサ41の静電容量をC3とし、データ処理装置17の抵抗値(インピーダンス)をRとする。
【0076】
なお、空隙30の静電容量C0は、電力線4(導体)と金属フレーム5の間の静電容量である。第2センサ7の静電容量C1は、第2センサ7と金属フレーム5の間の静電容量である。また、抵抗値Rには、第2バンドパスフィルタ12と第2アンプ14と第2A/D変換器16の抵抗値が含まれる。
【0077】
第2センサ7の静電容量C1と第2同軸ケーブル9の静電容量C2と補正用コンデンサ41の静電容量C3とデータ処理装置17の抵抗値Rは、空隙30の静電容量C0と接地点との間で並列回路を構成する。
【0078】
仮に、補正用コンデンサ41の静電容量C
3が無い場合を考えると、静電容量C
1,C
2側よりも抵抗値R側に電流が流れ易くなる。そのため、位相差θ(
図5)が生じる。そこで、補正用コンデンサ41の静電容量C
3を設けることで、静電容量C
1,C
2,C
3側に電流を流れ易くし、かつ抵抗値R側に電流が流れ難くする。このようにすれば、位相差θ(
図5)を打ち消すことができる。
【0079】
なお、補正用コンデンサ41の静電容量C3は、対地静電容量の規定倍数以上となっている。前述の仮想の回路(等価回路)に応じた計算により、対地静電容量の規定倍数以上となる補正用コンデンサ41の静電容量C3(補正量)を算出する。
【0080】
第3実施形態の部分放電計測システム1Bは、信号線と接地点との間に設けられ、位相波形31’の位相差θを補正する補正用コンデンサ41を備える。このようにすれば、補正用コンデンサ41を追加するだけの簡素な構成で、位相波形31’の位相差θを補正することができる。
【0081】
部分放電計測システム1(1A,1B)および部分放電計測方法を第1実施形態から第3実施形態に基づいて説明したが、いずれか1の実施形態において適用された構成を他の実施形態に適用しても良いし、各実施形態において適用された構成を組み合わせても良い。
【0082】
前述の実施形態のシステムは、専用のチップ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、またはCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを高集積化させた制御装置と、ROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)などの記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)などの外部記憶装置と、ディスプレイなどの表示装置と、マウスまたはキーボードなどの入力装置と、通信インターフェースとを備える。このシステムは、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成で実現できる。
【0083】
なお、前述の実施形態のシステムで実行されるプログラムは、ROMなどに予め組み込んで提供される。もしくは、このプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD、フレキシブルディスク(FD)などのコンピュータで読み取り可能な非一過性の記憶媒体に記憶されて提供するようにしても良い。
【0084】
また、このシステムで実行されるプログラムは、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせて提供するようにしても良い。また、このシステムは、構成要素の各機能を独立して発揮する別々のモジュールを、ネットワークまたは専用線で相互に接続し、組み合わせて構成することもできる。
【0085】
なお、前述の実施形態では、部分放電計測システム1が第1センサ6と第2センサ7との2つのセンサを備えているが、その他の態様であっても良い。例えば、部分放電計測システム1が1つのセンサを備えるものでも良い。この1つのセンサから延びる同軸ケーブルを分岐させて、第1バンドパスフィルタ11と第2バンドパスフィルタ12に電圧信号を入力しても良い。
【0086】
なお、前述の実施形態では、ローパスフィルタを用いて、電圧信号から商用電源の位相波形31を取り出すようにしているが、その他の態様であっても良い。例えば、ローパスフィルタを用いずに、電圧信号を電気回路的に処理することで、電圧信号から商用電源の位相波形31を取り出すようにしても良い。
【0087】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、第2バンドパスフィルタ12を通過した第2周波数の成分の位相波形31を取得する位相取得部22を備えることにより、回転電機2の運転に影響を与えることなく、部分放電Pの計測を行うことができる。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態またはその変形は、発明の範囲と要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0089】
1(1A,1B)…部分放電計測システム、2…回転電機、3…コイル、4…電力線、5…金属フレーム、6…第1センサ、7…第2センサ、8…第1同軸ケーブル、9…第2同軸ケーブル、11…第1バンドパスフィルタ、12…第2バンドパスフィルタ、13…第1アンプ、14…第2アンプ、15…第1A/D変換器、16…第2A/D変換器、17…データ処理装置、18…入力部、19…出力部、20…メイン制御部、21…記憶部、22…位相取得部、23…波形同期部、24…絶縁診断部、25…電荷量算出部、26…余寿命算出部、27…データベース、30…空隙、31(31’)…位相波形、32…電圧が立ち上がる領域、33,34…パルス信号、40…移相回路、41…補正用コンデンサ。