(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/72 20060101AFI20240502BHJP
【FI】
B65D5/72 Z
(21)【出願番号】P 2021027447
(22)【出願日】2021-02-24
【審査請求日】2023-10-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年1月6日に味の素AGF株式会社内で行われた2021年春季新製品発表会にて展示
(73)【特許権者】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】木村 省吾
(72)【発明者】
【氏名】大竹 純一
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-193067(JP,A)
【文献】特開平9-24934(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0124207(US,A1)
【文献】特開2020-117254(JP,A)
【文献】特開2016-67476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の側壁(10)と一対の端壁(11,12)とを含み、下端に下面開口部(2D)を有する筒状に形成され、可撓性を有する内容物(M)が上下方向に積み重ねられた状態で収容される箱本体(2W)と、
一対の前記側壁の下端に連設され、一対の前記側壁の内側に折り返され、前記下面開口部に位置する最下位の前記内容物を支持する一対の内板部(16)と、を備え、
一方の前記端壁(12)の下部には、最下位の前記内容物の一部を露出させ、且つ前記下面開口部の直下となる一対の前記内板部の間の取出空間(S)を開放する引出開口部(20)が形成され、
各々の前記内板部は、前記引出開口部の近傍を除く位置において前記内板部の上端から下方に向かって凹設された欠損部(23)を有し、
前記箱本体から最下位の前記内容物を取り出すためにユーザが前記引出開口部に露出した前記内容物を引き下げると、前記内容物は、一対の前記内板部に接触して撓み、一対の前記内板部を外側に広げながら引き下げられ、前記引出開口部とは反対側を一対の前記欠損部に進入させるように落下することを特徴とする包装箱。
【請求項2】
他方の前記端壁に連設され、他方の前記端壁の内側に折り返され、一対の前記内板部の間に入り込み、最下位の前記内容物を支持する補助板部(17)を更に備え、
一対の前記内板部の上端は、平面から見て、前記引出開口部に向かうに従って間隔を狭くするように傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
複数の前記内容物を収容し、最下位の前記内容物を露出させる内開口部(3D)を有し、前記内開口部を前記下面開口部に位置させるように前記箱本体に装着される内箱(3)を更に備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記内箱を前記箱本体に装着した状態で、前記引出開口部とは反対側となる前記内開口部の縁部には、最下位の前記内容物に接触する内支持部(31A)が設けられ、
一対の前記内板部は、前記内支持部を介して最下位の前記内容物を支持することを特徴とする請求項3に記載の包装箱。
【請求項5】
各々の前記内板部は、折り返されることで前記側壁の内面に対し弾性力をもって接触し、前記側壁の内面から前記内板部を引き離す弾性片(22)を更に有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の包装箱。
【請求項6】
前記内板部を折り返した状態で、前記弾性片は下方から上方に折り返され、
折り返した前記弾性片を前記内板部に重ねた状態で、前記弾性片の上端は前記内板部の上端と一致することを特徴とする請求項5に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
内部に収容された内容物を容易に取り出すことのできる包装箱が知られている(特許文献1)。この包装箱は、下面開口部を有する周壁と、下面開口部を塞ぐように周壁の後方下端部から前方に向かって延びて周壁の前方下端部に接触または近接する底壁と、を備えている。底壁が下方に撓むことで、周壁の前方下端部と底壁との間に隙間が開き、この隙間から内容物が前方に引き出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した包装箱では、内容物を引き出す際に、内容物が周壁の前方下端部に引っ掛かったり、底壁との間の摩擦力によって内容物に引きずられたりして、包装箱全体も前方に移動してしまうことがあった。このため、ユーザは、一方の手で包装箱を押え、他方の手で内容物を引き出さなければならなかった。例えば、多数のユーザが1つの包装箱を使用する場合、衛生面を考慮すると、ユーザは引き出す内容物以外に触れないことが好ましい。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮し、箱本体に触れることなく内容物を容易に取り出すことのできる包装箱を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
包装箱は、一対の側壁と一対の端壁とを含み、下端に下面開口部を有する筒状に形成され、可撓性を有する内容物が上下方向に積み重ねられた状態で収容される箱本体と、一対の前記側壁の下端に連設され、一対の前記側壁の内側に折り返され、前記下面開口部に位置する最下位の前記内容物を支持する一対の内板部と、を備え、一方の前記端壁の下部には、最下位の前記内容物の一部を露出させ、且つ前記下面開口部の直下となる一対の前記内板部の間の取出空間を開放する引出開口部が形成され、各々の前記内板部は、前記引出開口部の近傍を除く位置において前記内板部の上端から下方に向かって凹設された欠損部を有し、前記箱本体から最下位の前記内容物を取り出すためにユーザが前記引出開口部に露出した前記内容物を引き下げると、前記内容物は、一対の前記内板部に接触して撓み、一対の前記内板部を外側に広げながら引き下げられ、前記引出開口部とは反対側を一対の前記欠損部に進入させるように落下する。
【0007】
この場合、他方の前記端壁に連設され、他方の前記端壁の内側に折り返され、一対の前記内板部の間に入り込み、最下位の前記内容物を支持する補助板部を更に備え、一対の前記内板部の上端は、平面から見て、前記引出開口部に向かうに従って間隔を狭くするように傾斜してもよい。
【0008】
この場合、複数の前記内容物を収容し、最下位の前記内容物を露出させる内開口部を有し、前記内開口部を前記下面開口部に位置させるように前記箱本体に装着される内箱を更に備えてもよい。
【0009】
この場合、前記内箱を前記箱本体に装着した状態で、前記引出開口部とは反対側となる前記内開口部の縁部には、最下位の前記内容物に接触する内支持部が設けられ、一対の前記内板部は、前記内支持部を介して最下位の前記内容物を支持してもよい。
【0010】
この場合、各々の前記内板部は、折り返されることで前記側壁の内面に対し弾性力をもって接触し、前記側壁の内面から前記内板部を引き離す弾性片を更に有してもよい。
【0011】
この場合、前記内板部を折り返した状態で、前記弾性片は下方から上方に折り返され、折り返した前記弾性片を前記内板部に重ねた状態で、前記弾性片の上端は前記内板部の上端と一致してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、箱本体に触れることなく内容物を容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る包装箱の外箱のブランクを示す平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る包装箱の内箱のブランクを示す平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る包装箱の内箱に内容物を収容した状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る包装箱の外箱の内部(内板部等)を示す平面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る包装箱の内箱の内開口部等を開口させた状態を示す斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る包装箱であって、外箱への内箱の装着を説明する側面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る包装箱を示す正面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る包装箱の一部であって、内容物の取り出し方(前半)を説明する斜視図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る包装箱の一部であって、内容物の取り出し方(後半)を説明する斜視図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る包装箱の一部であって、内容物を手前に引き出した状態を示す斜視図である。
【
図12】本発明の一実施形態の変形例に係る包装箱の外箱のブランクを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、図面に示すFr、Rr、L、R、U、Dは、前、後、左、右、上、下を示している。本明細書では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、方向や位置を示す用語は、包装箱を組み立てた状態における方向や位置を基準にしている。
【0015】
[包装箱の構成]
図1ないし
図3を参照して、本実施形態に係る包装箱1について説明する。
図1は包装箱1を示す斜視図である。
図2は外箱2のブランク2Aを示す平面図である。
図3は内箱3のブランク3Aを示す平面図である。
【0016】
図1に示すように、包装箱は、上下方向に細長い概ね直方体状となる外観を有している。包装箱1は、一対の側壁10、後壁11および前壁12を含む箱本体2Wを備えている。箱本体2Wは、上端に上面開口部2Uを有し、下端に下面開口部2Dを有する角筒状に形成されている。詳細は後述するが、箱本体2Wには、複数の内容物Mを収容した内箱3が着脱可能に装着されている。内箱3を箱本体2Wの内部に装着することで、箱本体2Wには(複数の)内容物Mが上下方向に積み重ねられた状態で収容される。なお、本明細書では、内箱3を除く包装箱1を「外箱2」と呼ぶこととする。
【0017】
内容物Mは、平面から見て矩形状を成し、薄く平坦で可撓性を有する板形状に形成されている。内容物Mは、例えば、コーヒー粉を内包して折り畳まれたフィルタを樹脂製フィルムで密封したものである。なお、内容物Mは、柔軟に変形可能な板形状(矩形状に限らない。)であれば、如何なるものでもよい。
【0018】
外箱2は、
図2に示すブランク2Aを組み立てることで形成されている。このブランク2Aは、一枚の紙製の段ボールシートを抜型等で打ち抜いて形成されている。段ボールシートは、例えば、波状の中しん9Aに表ライナ9Bと裏ライナ9C(
図5も参照)とを貼り合せた両面段ボールシートである。内箱3は、
図3に示すブランク3Aを組み立てることで形成されている。このブランク3Aは、一枚の板紙(例えば、多層抄きの厚紙)を抜型等で打ち抜いて形成されている。なお、
図2は、表ライナ9B側を示している。本明細書では、段ボールの中しん9Aと平行な方向を「段方向」と呼び、段方向に直交する方向を「流れ方向」と呼ぶこととする。図面に示す「X1」は「段方向」を示し、「Y1」は「流れ方向」を示している。また、
図3は、内箱3の外面(表面)側を示している。また、図面に示す「X2」は紙の繊維(紙目)が延びる「紙目方向」を示し、「Y2」は紙目方向に直交する「直交方向」を示している。
【0019】
[外箱のブランク]
図2に示すように、外箱2のブランク2Aは、一対の側壁10と、後壁11と、前壁12と、継代片13と、一対の上フラップ14と、天壁15と、一対の内板部16と、補助板部17と、を備えている。継代片13、右側の側壁10、後壁11、左側の側壁10および前壁12は、この順番で段方向の一方から他方に並設されている。なお、一対の側壁10、一対の上フラップ14および一対の内板部16は、それぞれ、後壁11を中心にして対称となる形状であるため、以下の説明では、一対であることを明記した場合を除いて、1つの部位について説明する。
【0020】
<側壁、後壁、継代片>
側壁10は流れ方向に細長い長方形状に形成され、端壁の一例としての後壁11は側壁10よりも段方向に若干幅広い長方形状に形成されている。一対の側壁10は、第1折曲線L1を介して後壁11の段方向の両端に連設されている。継代片13は、第1折曲線L1を介して段方向の一方(右側)の側壁10に連設されている。
【0021】
<前壁>
端壁の一例としての前壁12は、側壁10よりも流れ方向(上下方向)に短く、後壁11と段方向の幅が略同等となる長方形状に形成されている。前壁12は、第1折曲線L1を介して段方向の他方(左側)の側壁10に連設されている。前壁12は、側壁10と流れ方向一端(上端)を一致させている。したがって、側壁10の下部には前壁12が連設されておらず、前壁12の下方には第1引出開口部20Aが形成されている。前壁12の流れ方向の他端部(下部)には、略半円形状の第2引出開口部20Bが形成されている。第2引出開口部20Bは、前壁12の段方向の中央部において下端から上方に向かって凹設されている。第1引出開口部20Aと第2引出開口部20Bとは、一体となって1つの開口を構成している。また、前壁12の流れ方向の中間部(下寄り)には、下側を円弧とする略半円形状の残量確認穴21が開口している。なお、本明細書では、第1引出開口部20Aと第2引出開口部20Bとをまとめて引出開口部20と呼ぶ。
【0022】
<上フラップ、天壁>
上フラップ14は、第2折曲線L2を介して側壁10の流れ方向の一端(上端)に連設されている。上フラップ14は、台形状に形成され、箱本体2Wの上面開口部2Uの一部を閉塞する。天壁15は、第2折曲線L2を介して前壁12の流れ方向の一端(上端)に連設されている。天壁15は、四角形状に形成され、上面開口部2Uの全体を閉塞する。天壁15の流れ方向の先端には、差込折線L10を介して差込片18が連設されている。差込片18の段方向の中間部には、差込折線L10から差込片18に向かって突出するようにU字状(コ字状)の差込切目線18Aが切り込まれている。差込切目線18Aは、差込片18を差込折線L10で折り曲げ易くすると共に、箱本体2Wに差し込んだ差込片18を引き抜き易くするために形成されている。
【0023】
<内板部>
内板部16は、2本の第3折曲線L3を介して側壁10の流れ方向の他端(下端)に連設されている。2本の第3折曲線L3は平行に形成され、2本の第3折曲線L3の間には接地部19が形成されている。内板部16は、概ね四角形状に形成されている。内板部16の流れ方向の寸法(高さ)は、第1引出開口部20Aの流れ方向の寸法(高さ)と略同等となっている。また、内板部16の前縁(補助板部17とは逆側)は、第3折曲線L3から流れ方向に離れるに従って後方に傾斜している。内板部16の後縁の流れ方向の先端部には、内板凸部16Aが後方(補助板部17)に向かって突設されている。
【0024】
(弾性片、欠損部)
内板部16は、弾性片22と、欠損部23と、を有している。弾性片22は、内板部16の流れ方向の先端側(上方)かつ前側に形成されている。弾性片22は、流れ方向の先端側に形成された弾性折線L11と、弾性折線L11の両端を結ぶようにU字状に形成された弾性切目線22Aと、で囲まれる範囲に形成されている。詳細は後述するが、弾性片22は、弾性折線L11に沿って折り返されることで、弾性切目線22Aに沿って内板部16から刳り貫かれる。欠損部23は、内板部16の段方向の中間部において流れ方向の先端から基端に向かって凹設されている。欠損部23は、前縁を傾斜させて流れ方向の先端から基端に向かって幅狭くなる略台形状の切り欠きである。欠損部23は、内板部16のやや後ろ寄りに形成されている。
【0025】
<補助板部>
補助板部17は、2本の第3折曲線L3(接地部19)を介して後壁11(他方の端壁)の流れ方向の他端(下端)に連設されている。補助板部17は、概ね四角形状に形成されている。補助板部17の段方向の両端には、一対の補助凸部17Aが外側(内板部16)に向かって突設されている。各々の補助凸部17Aは、内板部16の内板凸部16Aよりも第3折曲線L3側にずれた位置に形成されている。
【0026】
なお、第1~第3折曲線L1~L3、差込折線L10および弾性折線L11は、それぞれ、段ボールシートを裏ライナ9C側から厚み方向に潰して形成された汎用罫線である。汎用罫線は、裏ライナ9Cを内側に向けるように段ボールシートを折り曲げる(正折りする)機能を有する。第1~第3折曲線L1~L3等は、汎用罫線に限らず、段ボールシートを所望の向きに折り曲げる機能を有するものであれば如何なるものでもよい。
【0027】
[内箱のブランク]
図3に示すように、内箱3のブランク3Aは、一対の内側壁30と、一対の内端壁31と、内継代片32と、第1内フラップ33と、一対の第2内フラップ34と、蓋壁35と、一対の第1底壁36と、一対の第2底壁37と、を備えている。詳細は後述するが、一対の内側壁30と一対の内端壁31とは、上下両端面を開口する角筒状の周壁3Wを構成する。なお、一対の第1底壁36は概ね同一形状であるため、一対であることを明記した場合を除いて、1つの第1底壁36について説明する。また、これと同様に、1つの第2底壁37について説明する。
【0028】
<内側壁、内端壁、内継代片>
一対の内側壁30と一対の内端壁31とは、紙目方向に交互に配置され、第4折曲線L4を介して連設されている。内側壁30は、外箱2の前壁12よりも一回り小さな長方形状に形成されている。内端壁31は、外箱2の天壁15よりも一回り小さな長方形状に形成されている。内継代片32は、第4折曲線L4を介して紙目方向の一方の内側壁30に連設されている。内継代片32とは反対側に位置する内端壁31には、半円形状の押込片42が形成されている。押込片42は、紙目方向に延びた引抜折線L20と、引抜折線L20の両端を結ぶようにU字状に形成された引抜切目線42Aと、で囲まれる範囲に形成されている。
【0029】
<第1内フラップ、第2内フラップ>
第1内フラップ33は、第5折曲線L5を介して紙目方向の一方の内側壁30の直交方向の一端(上端)に連設されている。各々の第2内フラップ34は、第5折曲線L5を介して内端壁31の直交方向の一端(上端)に連設されている。第1内フラップ33は台形状に形成され、各々の第2内フラップ34は長方形状に形成されている。第1内フラップ33の紙目方向の中央部には、第5折曲線L5から第1内フラップ33に向かって突出するようにU字状(コ字状)の内差込切目線33Aが切り込まれている。
【0030】
<蓋壁>
蓋壁35は、第5折曲線L5を介して紙目方向の他方の内側壁30の直交方向の一端(上端)に連設されている。蓋壁35は、周壁3Wの上面開口を閉塞可能な四角形状に形成されている。蓋壁35の直交方向の先端には、内差込折線L21を介して内差込片38が連設されている。蓋壁35の紙目方向の一端部かつ直交方向の中央部には、引出開口切目線40Aが略半円形状に形成されている。また、蓋壁35の紙目方向の中間部(引出開口切目線40A側)には、下側を円弧とする略半円形状の残量確認切目線41Aが形成されている。詳細は後述するが、引出開口切目線40Aに沿って蓋壁35を切り取ることで、蓋壁35には内側引出開口部40が開口する。また、残量確認切目線41Aに沿って蓋壁35を切り取ることで、蓋壁35には内側残量確認穴41が開口する。なお、内側引出開口部40は外箱2の第2引出開口部20Bよりも一回り大きく形成され、内側残量確認穴41は外箱2の残量確認穴21よりも一回り大きく形成されている。
【0031】
<第1底壁>
第1底壁36は、第6折曲線L6を介して内側壁30の直交方向の他端(下端)に連設されている。第1底壁36は概ね長方形状に形成され、第1底壁36の直交方向の寸法は内端壁31の紙目方向の寸法の半分よりも若干長く設定されている。第1底壁36の先端側には、噛合凹部36Aが略台形状に切り欠かれている。第1底壁36の紙目方向の他方(第2底壁37側)には、噛合凹部36Aの角部から第2底壁37の基端に向かって斜めに傾斜折線L22が形成されている。傾斜折線L22によって第1底壁36の角部領域に略三角形状の底接着部36Bが区画される。
【0032】
<第2底壁>
第2底壁37は、第6折曲線L6を介して内端壁31の直交方向の他端(下端)に連設されている。第2底壁37は、直交方向の基端から先端に向かって幅狭くなる略台形状に形成されている。第2底壁37の直交方向の寸法は、内端壁31の紙目方向の寸法の半分程度である。
【0033】
一対の内側壁30の間に配置された一方の内端壁31には、引出切断線43が形成されている。引出切断線43は、内側壁30の下部(内支持部31A)を除いた内端壁31を周壁3Wから分離可能に形成されている。詳細には、引出切断線43は、第2底壁37の近傍において第6折曲線L6と平行に形成された第1ジッパー43Aと、第1ジッパー43Aと第5折曲線L5との紙目方向の一端を結ぶミシン刃線43Cと、第1ジッパー43Aと第5折曲線L5との紙目方向の他端を結ぶ第2ジッパー43Bと、を有し、略U字状(コ字状)に形成されている。第1ジッパー43Aは、内端壁31を第2ジッパー43B側からミシン刃線43C側に向かって切断する機能を有している。第2ジッパー43Bは、内端壁31を第1ジッパー43A側から第5折曲線L5側に向かって切断する機能を有している。第1ジッパー43Aと第2ジッパー43Bとの交点付近(下側)は略L字状に切断され、ユーザによって摘ままれる摘み片44を形成している。
【0034】
なお、第4~第6折曲線L4~L6、引抜折線L20、内差込折線L21および傾斜折線L22は、それぞれ、板紙を表側から厚み方向に潰して形成された通常罫線である。通常罫線は、板紙を正折りおよび逆折りする機能を有している。第4~第6折曲線L4~L6等は、通常罫線に限らず、板紙を所望の向きに折り曲げる機能を有するものであれば如何なるものでもよい。また、引出切断線43は、第1~第2ジッパー43A,43Bとミシン刃線43Cとの組み合わせで構成されていたが、これに限らず、ジッパーのみで構成されてもよいし、ミシン刃線のみで構成されてもよい。引出切断線43は、半切線等、板紙を切断する機能を有するものであれば如何なるものでもよい。
【0035】
[包装箱の組立]
次に、包装箱1の組立手順の一例について説明する。
【0036】
まず、組立前の外箱2および内箱3の初期状態について説明する。外箱2のブランク2Aにおいて、継代片13が連設された側壁10と前壁12とが第1折曲線L1で折り返され、継代片13が前壁12の内面(裏ライナ9C)に接着される。これにより、外箱2は平坦に折り畳まれた初期状態となる(図示せず)。内箱3のブランク3Aにおいて、内継代片32が連設された内側壁30と、押込片42が形成された内端壁31とが第4折曲線L4に沿って折り返され、内継代片32が内端壁31の内面に接着される(図示せず)。また、第1底壁36と第2底壁37とが第6折曲線L6に沿って内側に折り返され、第1底壁36の底接着部36Bが傾斜折線L22で逆折りされ、第2底壁37の内面に接着されている(図示せず)。これにより、第1底壁36と第2底壁37とが内側に折り込まれ、内箱3は平坦に折り畳まれた初期状態となる(図示せず)。
【0037】
<内箱の組立および内容物の包装>
図4を参照して、内箱3の組立手順および内容物Mの梱包手順の一例について説明する。
図4は内箱3に内容物Mを収容した状態を示す斜視図である。
【0038】
作業者は、一対の内側壁30と一対の内端壁31とを第4折曲線L4に沿って略直角に折り曲げ、上面を開口させた角筒状の周壁3Wを形成する。この際、折り返された第1底壁36と第2底壁37とは、逆折りされた底接着部36Bを平らに戻しながら、互いに略平行になるまで押し出され、内箱3の底面を形成する(図示せず)。この状態で、一対の第1底壁36の噛合凹部36Aは互いに噛み合っている(図示せず)。つまり、内箱3の底面は、周壁3Wの形成に連動して自動的に形成される所謂ワンタッチ底である。
【0039】
次に、作業者は、長手方向(
図4では左右方向)に一列に並べた複数の内容物Mを内箱3の内部に収容する。内容物Mは、内端壁31と平行な姿勢で内箱3に収容される。
【0040】
続いて、作業者は、第1内フラップ33と一対の第2内フラップ34とを第5折曲線L5に沿って内側に折り曲げ、周壁3Wの上面開口の一部を閉塞する。次に、作業者は、蓋壁35を第5折曲線L5に沿って内側に折り曲げ、内差込折線L21に沿って折り曲げた内差込片38を内差込切目線33Aに差し込み、周壁3Wの上面開口の全部を閉塞する(
図6参照)。以上によって、内箱3が封緘される。
【0041】
<外箱の組立>
図1および
図5を参照して、外箱2の組立手順の一例について説明する。
図5は外箱2の内部(内板部16等)を示す平面図である。
【0042】
作業者は、一対の側壁10、後壁11および前壁12を第1折曲線L1に沿って略直角に折り曲げ、角筒状の箱本体2Wを形成する(
図5参照)。なお、箱本体2Wの下面開口部2Dは、前壁12の下端と同一レベルとなる水平面を指す。
【0043】
次に、作業者は、一対の内板部16を2本の第3折曲線L3に沿って内側に折り返し、補助板部17を2本の第3折曲線L3に沿って内側に折り返す。詳細には、接地部19は側壁10または後壁11に対して内側に略直角に折り曲げられ、内板部16と補助板部17とは接地部19に対して上方に略直角に折り曲げられる。内板部16は、側壁10の内面(裏ライナ9C)に対向する。補助板部17は、一対の内板部16の間に入り込み、後壁11の内面に対向する。内板部16と補助板部17との先端(上端)は、前壁12の下端と一致している。換言すれば、内板部16と補助板部17との上端は、箱本体2Wの下面開口部2Dと一致している。なお、内板部16と補助板部17との上端が前壁12の下端(下面開口部2D)と一致するとは、完全に一致することに限らず、数mm程度の僅かな誤差を許容する意味である。
【0044】
図5に示すように、一対の内板部16の内板凸部16Aは、一対の側壁10と補助板部17の左右両端との間に遊嵌している。補助板部17の一対の補助凸部17Aは、一対の内板部16の内板凸部16Aの下方に位置し、一対の内板部16の後端と後壁11との間に遊嵌している。内板凸部16Aと補助凸部17Aとが遊嵌することで、内板部16と補助板部17とが内側に折り返された状態に保持される。また、内板凸部16Aは、下端(第3折曲線L3)を支点に揺動可能に保持される。
【0045】
次に、作業者は、内板部16を内側に倒しながら弾性片22を外側に押し込む。弾性片22は、内板部16から刳り貫かれながら弾性折線L11に沿って上方に折り返される。弾性片22は、弾性折線L11周りの復元力によって下方に回動しようとする。弾性片22は、折り返されることで側壁10の内面に対し弾性力をもって接触し、側壁10の内面から内板部16を引き離す。内板部16と側壁10とは、正面から見てV字状を成している(
図1参照)。詳細には、
図5に示すように、弾性片22は、内板部16の前側を側壁10の内面から引き離している。一対の内板部16の後端部(内板凸部16A)は、補助板部17の左右両端に押えられ、側壁10の内面に近接している。したがって、一対の内板部16の上端は、平面から見て、引出開口部20に向かうに従って間隔(左右方向の幅)を狭くするように傾斜している。一対の内板部16の上端の間隔は、内容物Mを支持することができるように、最も広い箇所(後部)であっても、内容物Mの左右方向の寸法よりも短く設定されている。なお、一対の内板部16の上端の間隔は、少なくとも前側を、内容物Mの左右方向の寸法よりも短く設定すればよく、例えば、後側の間隔が内容物Mの左右方向の寸法よりも短く設定されてもよい(図示せず)。
【0046】
また、折り返した弾性片22を内板部16に重ねた状態で、弾性片22の上端は内板部16の上端と一致している。なお、弾性片22と内板部16との上端が一致するとは、完全に一致することに限らず、数mm程度の僅かな誤差を許容する意味である。
【0047】
以上によって、上面開口部2Uを開放した状態の外箱2が完成する(
図7参照)。外箱2(箱本体2W)は、前方を除く三方に設けられた接地部19を設置面GLに接触させ、設置面GLに起立姿勢で配置される(
図1参照)。箱本体2Wの前面下部(前壁12の下部)には、引出開口部20が開口している(
図1参照)。箱本体2Wの下面開口部2D(前壁12の下部)は設置面GLよりも上方に位置しているため、下面開口部2Dの直下となる一対の内板部16の間(一対の内板部16と補助板部17とで囲まれた範囲)には取出空間Sが形成される(
図1および
図5参照)。引出開口部20は取出空間Sを開放している。欠損部23は、引出開口部20の近傍を除く位置(前後方向の中央付近)において内板部16の上端から下方に向かって凹設されている(
図5参照)。
【0048】
<外箱への内箱の装着>
図1、
図6ないし
図8を参照して、内箱3を外箱2に装着する手順の一例について説明する。
図6は内箱3の内開口部3D等を開口させた状態を示す斜視図である。
図7は外箱2への内箱3の装着を説明する側面図である。
図8は包装箱1を示す正面図である。
【0049】
まず、
図6に示すように、作業者は、内箱3の蓋壁35に形成された引出開口切目線40Aおよび残量確認切目線41Aに沿って蓋壁35の一部を切り取る。これにより、蓋壁35には、内側引出開口部40と内側残量確認穴41とが形成される。また、作業者は、内端壁31の摘み片44(
図4参照)を摘まんで引っ張り、引出切断線43に沿って内端壁31の一部(内支持部31Aを除く部分)を切り取る。これにより、内箱3の長手方向の一端面に内開口部3Dが形成される。内箱3に収容された内容物Mの一部は、内側引出開口部40、内側残量確認穴41および内開口部3Dから露出する。
【0050】
次に、
図7に示すように、作業者は、蓋壁35を前方に向けると共に内開口部3D側を先頭にした内箱3を外箱2(箱本体2W)の上面開口部2Uに挿入する。
図8に示すように、内箱3は、最下位の内容物Mを露出させる内開口部3Dを下面開口部2Dに位置させるように箱本体2Wに装着される。内箱3が箱本体2Wに装着されると、内箱3の内開口部3Dは外箱2の下面開口部2Dに位置する。内開口部3Dから露出した最下位の内容物Mは、一対の内板部16の上端に当接する。すなわち、一対の内板部16は、下面開口部2Dに位置する最下位の内容物Mを支持する。また、内支持部31Aが一対の内板部16の後方上端と補助板部17の上端に当接する。すなわち、一対の内板部16の後部および補助板部17は、内支持部31Aを介して最下位の内容物Mを支持する。
【0051】
図8に示すように、内箱3が箱本体2Wに装着された状態で、内箱3の内側引出開口部40は外箱2の第2引出開口部20Bに対向し、内箱3の内側残量確認穴41は外箱2の残量確認穴21に対向する。引出開口部20(主に第2引出開口部20B)は、内側引出開口部40を介して最下位の内容物Mの一部を露出させる。残量確認穴21は、内側残量確認穴41を介して中間位置の内容物Mの一部を露出させる。なお、正確には、第2引出開口部20Bには、最下位の内容物Mの一部だけでなく、下から2番目の内容物Mの一部も露出する。
【0052】
次に、作業者は、一対の上フラップ14を第2折曲線L2に沿って内側に折り曲げ、天壁15を第2折曲線L2に沿って内側に折り曲げ、差込折線L10で折り曲げた差込片18を箱本体2W内に差し込む(図示せず)。以上によって、箱本体2Wの上面開口部2Uが閉塞され、包装箱1の組立作業が完了する(
図1参照)。包装箱1は、接着剤や粘着テープ等を用いることなく簡単に組み立てられる。なお、
図7では、上方から下方に向けて内箱3を外箱2に装着していたが、これに限らず、外箱2および内箱3を横臥姿勢として、内箱3を横方向(水平方向)にスライドさせて外箱2に装着してもよい。
【0053】
[内容物の取り出し方]
次に、
図9および
図11を参照して、包装箱1に収容された内容物Mの取り出し方について説明する。
図9および
図10は内容物Mの取り出し方を説明する斜視図である。
図11は内容物Mを手前に引き出した状態を示す斜視図である。
【0054】
ユーザは、箱本体2Wから最下位の内容物Mを取り出す。具体的には、
図9に示すように、ユーザは、引出開口部20(主に、第2引出開口部20B)に露出した最下位の内容物Mの前側を摘まんで(垂直方向に)引き下げる。内容物Mの前側は、摘ままれた部分(左右方向の中央部)で折れ曲がりながら(撓みながら)引き下げられる。内容物Mの前側の左右両端部は、一対の内板部16の上端から脱落し、一対の内板部16の表面上を下方に向けて摺動する。この際、内容物Mは、一対の弾性片22による弾性力に抗して一対の内板部16を外側に広げながら引き下げられる。なお、最下位の内容物Mが引き下げられると、残りの内容物Mは自重によって落下し、一対の内板部16および補助板部17(内支持部31A)に支持される。
【0055】
図10に示すように、内容物Mの前側の引き下げが進むと、内容物Mの後側が内箱3の内支持部31Aから一対の内板部16の欠損部23に脱落する。更にユーザが内容物Mの前側を引き下げると、内容物Mの後側の左右両端部は、欠損部23から脱落し、一対の内板部16の表面に軽く接触しながら(設置面GL状に)落下する。
【0056】
この状態で、最下位の内容物Mの全体は、下面開口部2Dの直下の取出空間Sに配置されている。
図11に示すように、ユーザは、取出空間Sに配置された内容物Mを第1引出開口部20Aから手前(水平方向)に引き出す。以上によって、内容物Mが包装箱1から取り出される。内容物Mを第1引出開口部20Aから手前に引き出す際、内容物Mの左右両端は一対の内板部16の表面に軽く接しているだけであるため、内容物Mの引き出しに伴って包装箱1が前方に移動することはない。
【0057】
なお、ユーザは、残量確認穴21(内側残量確認穴41)に露出する内容物Mを目視することで、内容物Mの残量を確認することができる。また、内箱3に収容された全ての内容物Mが取り出された場合、ユーザは、外箱2の天壁15等を開き、内箱3(内端壁31)の押込片42(
図3参照)を指で押し込む。押込片42は、引抜切目線42Aに沿って内端壁31から刳り貫かれながら引抜折線L20に沿って折り曲げられる(図示せず)。ユーザは、押込片42を押し込んだ指を内端壁31に掛けて、空になった内箱3を外箱2から引き抜く(図示せず)。その後、ユーザは、複数の内容物Mが収容された新しい内箱3を外箱2(箱本体2W)の内部に装着する。
【0058】
以上説明した本実施形態に係る包装箱1では、ユーザが引出開口部20に露出した内容物Mを引き下げることで、内容物Mは、一対の内板部16に接触して撓み、一対の内板部16を弾性力に抗して外側に広げながら引き下げられ、後部(引出開口部20とは反対側)を一対の欠損部23に進入させるように落下していた。この構成によれば、内容物Mの引き下げに伴って、箱本体2Wは設置面GLに押し付けられるため、内容物Mの取り出し時に、箱本体2Wが水平方向(設置面GLと平行)に移動することが抑制される。これにより、ユーザは箱本体2Wに触れることなく内容物Mを容易に取り出すことができる。その結果、多数のユーザが1つの包装箱1を利用したとしても、良好な衛生状態を保つことができる。
【0059】
また、本実施形態に係る包装箱1によれば、一対の内板部16と補助板部17とによって内容物Mの三辺を支持することができる。また、補助板部17が一対の内板部16の間に入り込むことで、一対の内板部16の後側が必要以上に内側に倒れることを規制することができる。これにより、一対の内板部16の前側上端で内容物Mを確り支持することができると共に、一対の内板部16の後側上端が内容物Mに引っ掛かることがなく、内容物Mを円滑に引き下げることが可能になる。
【0060】
また、本実施形態に係る包装箱1によれば、空になった内箱3を箱本体2Wから引き出し、複数の内容物Mが収容された内箱3を箱本体2Wに装着することで、複数の内容物Mを簡単かつ迅速に補充することができる。
【0061】
また、本実施形態に係る包装箱1によれば、内箱3を箱本体2Wに装着した状態で、引出開口部20とは反対側となる内開口部3Dの縁部(後側)には、最下位の内容物Mに接触する内支持部31Aが設けられていた。この構成によれば、内支持部31Aによって、内箱3から内容物Mが飛び出すことを抑制することができる。これにより、箱本体2Wへの内箱3の装着を円滑に行うことができる。
【0062】
仮に、弾性片22が内板部16の折り返し部分(第3折曲線L3)の近傍に形成されている場合、内板部16が内側に大きく傾くため、内容物Mが内板部16に干渉して引き下げられなくなる虞がある。これに対し、本実施形態に係る包装箱1では、内板部16を折り返した状態で、弾性片22は下方から上方に折り返され、その上端が内板部16の上端と一致していた。この構成によれば、側壁10に対する内板部16の傾きを小さくすることが可能になる。また、内板部16の回動支点(折り返し部分)から離れた位置に弾性片22の弾性力が作用することから、小さな弾性力で内板部16を傾斜させることができる。これにより、内板部16に接触して撓む内容物Mであっても、内板部16を外側に押し広げることができる。
【0063】
なお、本実施形態に係る包装箱1では、弾性片22が内板部16の上方かつ前側に長方形状に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。一対の内板部16を外側に広げながら内容物Mを引き下げることができることを条件として、弾性片22の位置、大きさ、形状等を適宜変更してもよい。また、弾性片22の上端が内板部16の上端と一致していたが、弾性片22の上端は内板部16の上端よりも上方または下方にずれていてもよい(図示せず)。また、弾性片22が上方に折り返されていたが、これに限らず、弾性片22は下方に折り返されてもよいし、前方または後方に折り返されてもよい(図示せず)。
【0064】
また、本実施形態に係る包装箱1では、欠損部23が内板部16の前後方向の中間部に凹設されていたが、本発明はこれに限定されない。欠損部23は、引出開口部20の近傍を除く位置において内板部16の上端から下方に向かって凹設されていればよい。例えば、
図12に示すように、欠損部23は、内板部16の前後方向の中間部から後端に至るまで切り欠くように形成されてもよい。また、引き下げられた内容物Mの後側の左右両端部が進入可能であることを条件として、欠損部23の位置、大きさ、形状等を適宜変更してもよい。
【0065】
また、本実施形態に係る包装箱1では、後壁11に補助板部17が連設されていたが、補助板部17は省略されてもよい。補助板部17が省略された場合、例えば、内板部16の内板凸部16Aを後方に延長し、後壁11に内板凸部16Aが遊嵌する穴を穿設するとよい(図示せず)。これにより、内板部16を折り返した状態に保持することができると共に、下端を支点にして内板部16を揺動させることができる。
【0066】
また、本実施形態に係る包装箱1では、外箱2の内板部16に弾性片22が形成されていたが、これに限らず、弾性片22は省略されてもよい(図示せず)。この場合、一対の内板部16は、接地部19との折曲部分(第3折曲線L3周り)の復元力(弾性力)によって側壁10の内面から離れる(傾斜姿勢になる)。
【0067】
また、本実施形態に係る包装箱1では、第2引出開口部20B(内側引出開口部40)、残量確認穴21(内側残量確認穴41)および押込片42が、半円形状に形成されていたが、これらの位置、大きさ、形状等は適宜変更されてもよいし、省略されてもよい。
【0068】
また、本実施形態に係る包装箱1では、内箱3の底面がワンタッチ底で構成され、天面が1枚の蓋壁35で構成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、内箱3は、一対のフラップを突き合せて底面や天面を構成する所謂A型式であってもよい。
【0069】
また、本実施形態に係る包装箱1では、内箱3が外箱2に着脱可能に設けられていたが、本発明はこれに限定されない。内箱3が省略され、外箱2(箱本体2W)に内容物Mが収容されてもよい。つまり、包装箱1が外箱2のみで構成されてもよい。この場合、最下位の内容物Mは、一対の内板部16と補助板部17との上端に支持される。他にも、内箱3の内支持部31Aに相当する支持板部が、補助板部17の上端から前方に延設されてもよい(図示せず)。
【0070】
また、本実施形態に係る包装箱1では、箱本体2Wが角筒状に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、一対の側壁10と後壁11(または/および前壁12)との間に隅切壁(図示せず)を設け、箱本体2Wが六角形や八角形状の断面を有する筒状に形成されてもよい。内箱3もこれと同様である(図示せず)。
【0071】
また、本実施形態に係る包装箱1では、外箱2が紙製の段ボールシートで形成され、内箱3が板紙で形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、外箱2が板紙で形成されてもよいし、内箱3が段ボールシートで形成されてもよい。他にも、外箱2および内箱3は、樹脂製の板等で形成されていてもよい。また、包装箱1(外箱2、内箱3)の各部の寸法(幅、奥行き、高さ)や形状、段ボールシートの厚みや中しん9Aが延びる方向、板紙の厚みや紙目方向等は、自由に変更してもよい。
【0072】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る包装箱における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明は技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよく、特許請求の範囲は技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様を含んでいる。
【符号の説明】
【0073】
1 包装箱
2D 下面開口部
2W 箱本体
3 内箱
3D 内開口部
10 側壁
11 後壁(端壁)
12 前壁(端壁)
16 内板部
17 補助板部
20A 第1引出開口部
20B 第2引出開口部
22 弾性片
23 欠損部
31A 内支持部
M 内容物
S 取出空間