(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】入退室管理システム並びに方法
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20240502BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
G06T7/00 510F
G08B25/04 F
(21)【出願番号】P 2021030303
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2023-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小林 敬幸
(72)【発明者】
【氏名】高野 安司
(72)【発明者】
【氏名】大竹 晋資
(72)【発明者】
【氏名】番場 隆行
(72)【発明者】
【氏名】小林 直仁
【審査官】秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-058015(JP,A)
【文献】特開2021-15627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G08B 3/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物への入館の可否を顔画像により判定する入退室管理システムであって、
前記建造物へ入館する可能性のある利用者の利用者IDデータを含む利用者データを格納するセンタサーバと、
センタサーバに格納された利用者IDの中から当該建造物への入館を許可された利用者の利用者IDを受取り、受取った利用者IDと利用者IDに対応付けられた顔認証データを顔認証端末へ送信する顔認証データ登録用PCと、
受信した顔認証データを用いて入館者を撮影するカメラから受け取った顔画像と比較し、入館の可否を判定する顔認証端末を備える
とともに、
前記顔認証データ登録用PCは顔認証端末へ当該建造物への入館を許可された利用者の利用者IDを送信するときに、送信する利用者IDを記憶する入館許可者ファイルを記憶部に備え、
新たにセンタサーバから利用者IDを受け取ったとき、前記入館許可者ファイルに記憶された利用者IDと比較する比較部と、
新たにセンタサーバから受け取った利用者IDのうち前記比較部が前記入館許可者ファイルに存在すると判定した利用者IDを他の利用者IDと異なる態様で出力する出力部を備える入退室管理システム。
【請求項2】
前記入館許可者ファイルはさらに利用者IDを顔認証端末へ送信した送信日時を示す情報を利用者IDに対応付けて記憶し、
既に顔認証端末へ送信済の利用者IDに対応する顔認証データの再登録要求をセンタサーバから受け取ったとき、前記入館許可者ファイルに登録された利用者IDに対応する送信日時からの経過時間を求める更新画像確認部を備え、
更新画像確認部が求めた経過時間が予め定められた時間よりも短いと判定した場合は前記出力部が警告を出力する
請求項1に記載の入退室管理システム。
【請求項3】
前記入館許可者ファイルはさらに利用者IDを顔認証端末へ送信した送信回数を示す情報を利用者IDに対応付けて記憶し、
既に顔認証端末へ送信済の利用者IDに対応する顔認証データの再登録要求をセンタサーバから受け取ったとき、前記入館許可者ファイルに登録された利用者IDに対応する送信回数を求める更新画像確認部を備え、
更新画像確認部が求めた更新回数が予め定められた回数を超えると判定した場合は前記出力部が警告を出力する請求項2に記載の入退室管理システム。
【請求項4】
建造物への入館の可否を顔画像により判定する入退室管理方法であって、
センタサーバに前記建造物へ入館する可能性のある利用者の利用者IDデータを含む利用者データを格納し、
顔認証データ登録用PCは、前記センタサーバに格納された利用者IDの中から当該建造物への入館を許可された利用者の利用者IDを受取り、受取った利用者IDと利用者IDに対応付けられた顔認証データを得、
顔認証端末は、前記顔認証データ登録用PCからの顔認証データを用いて入館者を撮影するカメラから受け取った顔画像と比較し、入館の可否を判定する
とともに、
前記顔認証データ登録用PCは顔認証端末へ当該建造物への入館を許可された利用者の利用者IDを送信するときに、送信する利用者IDを記憶する入館許可者ファイルを記憶し、
新たにセンタサーバから利用者IDを受け取ったとき、前記入館許可者ファイルに記憶された利用者IDと比較し、
新たにセンタサーバから受け取った利用者IDのうち前記入館許可者ファイルに存在すると判定した利用者IDを他の利用者IDと異なる態様で出力する入退室管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔認証を使用して、建造物における入退室管理を行う入退室管理システム並びに方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、入退室管理装置や個人情報等の重要な情報が記憶された情報装置等、セキュリティ性が求められる装置におけるアクセス時の本人認証の方法として、人体の指紋、虹彩、眼底血管、顔の特徴、腕や手等の血管パターン等、その被認証者固有の情報を用いた様々な認証方法が実用化されている。
【0003】
このうち顔認証は、被認証者の顔を含む領域の画像を撮影し、その顔画像をあらかじめ登録された認証画像と比較照合し、一致すると判定された場合には、被認証者があらかじめ登録された者であると認証する方法である。
【0004】
顔認証方式の構成例として、例えば特許文献1では「集合住宅への入館者を撮像する監視カメラと、この監視カメラによる撮像信号から入館者の顔画像を検出する画像検出手段と、顔画像を含む入館者の入館データを保存する撮像データベースと、顔画像を含む居住者データが登録された居住者データベースと、入館データ及び居住者データから入館者が居住者か否かを判定する顔認証手段と、非居住者の入館データ及び所定の不審行動条件から非居住者が不審行動者か否かを判定する不審行動者判定手段と、顔画像を含む不審行動者データから不審者を特定する管理センターと、顔画像を含む不審者データ及び非居住者の入館データから非居住者が不審者か否かを判定する不審者判定手段と、不審者入館時に外部に通報する通報手段とを備える」ように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の構成例が示すように、顔認証方式の入退室管理システムでは顔画像を用いて入館者が居住者か否かを判定する顔認証機能と、居住者に対してドアを開放しあるいは不審者に対して通報などを行う監視制御機能とを有しており、特許文献1の構成例では、顔認証機能と監視制御機能が一つの端末に統合されている。
【0007】
然るに係る統合型のシステム構成では、顔認証に用いる画像情報を入れ替えるなどの変更作業を行うことが困難である。
【0008】
このことから発明においては、顔認証機能だけを簡単に変更することができる入退室管理システム並びに方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明においては「建造物への入館の可否を顔画像により判定する入退室管理システムであって、建造物へ入館する可能性のある利用者の利用者IDデータを含む利用者データを格納するセンタサーバと、センタサーバに格納された利用者IDの中から当該建造物への入館を許可された利用者の利用者IDを受取り、受取った利用者IDと利用者IDに対応付けられた顔認証データを顔認証端末へ送信する顔認証データ登録用PCと、受信した顔認証データを用いて入館者を撮影するカメラから受け取った顔画像と比較し、入館の可否を判定する顔認証端末を備える入退室管理システム。」のように構成したものである。
【0010】
また本発明においては「建造物への入館の可否を顔画像により判定する入退室管理方法であって、センタサーバに建造物へ入館する可能性のある利用者の利用者IDデータを含む利用者データを格納し、顔認証データ登録用PCは、センタサーバに格納された利用者IDの中から当該建造物への入館を許可された利用者の利用者IDを受取り、受取った利用者IDと利用者IDに対応付けられた顔認証データを得、顔認証端末は、顔認証データ登録用PCからの顔認証データを用いて入館者を撮影するカメラから受け取った顔画像と比較し、入館の可否を判定する入退室管理方法。」のように構成したものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の構成並びに方法を採用することにより、顔認証機能の変更を簡単にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例1に係る顔認証方式の入退出管理システムの全体構成例を示す図。
【
図2】新規登録プログラムPr1により実行されるフローチャート例を示す図。
【
図3】認証プログラムPr2により実行されるフローチャート例を示す図。
【
図4】追加変更プログラムPr3により実行されるフローチャート例を示す図。
【
図5】登録データD1の登録テーブルの構成例を示す図。
【
図6】データD2の登録テーブルの構成例を示す図。
【
図7】更新と履歴管理プログラムPr4により実行されるフローチャート例を示す図。
【
図8】顔認証データ登録用PC13の表示画面の例を示す図。
【
図9】更新と履歴管理処理を行う顔認証データ登録用PC13内の処理を処理機能部として表記した図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明の実施例について、図面を参照して説明する。なお実施例1では顔認証方式の入退出管理システムの全体構成例を説明し、実施例2では、入退出管理システム1における計算機が保持するプログラムにより実行される処理内容について説明し、実施例3では
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の実施例1に係る顔認証方式の入退出管理システムの全体構成例を示す図である。
【0015】
図1に示す顔認証方式の入退出管理システム1は、マンションやオフィスといった建造物(集合住宅など)19の入り口付近に設置した防犯カメラ17により入館者の顔を撮影し、撮影した入館者が居住者などの登録者である場合に自動ドアや電気錠(以下単にドアという)18を開放し、あるいは不審者の侵入阻止と通報などを行う。
【0016】
実施例1に係る顔認証方式の入退出管理システム1は、計算機を用いて構成されたセンタサーバ11、監視端末15、顔認証端末16、顔認証データ登録用PC13が相互に通信手段により接続されて構成されている。通信手段は、通信網10,PoE HUB14がこれに相当する。なお一般的には、センタサーバ11は複数の建造物19に共通に設置され、監視端末15と顔認証端末16は、当該建造物19内の管理事務所内に設置されることが多い。また可搬型の顔認証データ登録用PC13は、必要に応じて適宜接続されて利用することができる。
【0017】
このうちセンタサーバ11には、データベースDBが備えられており、データベースDBには、居住者など入館を許可された利用者のIDと名前を含む登録データD1が予め保存されている。このIDと名前を含む登録データD1は、例えば「ID=00001、名前=山田太郎」であり、監視端末15と顔認証データ登録用PC13に転送されて利用される。センタサーバ11は監視端末15が指定する個別の登録データD1、あるいは当該建築物に関与するすべての登録データD1を、通信網10を経由して監視端末15に伝送する。またセンタサーバ11は、たとえばcsvデータファイル形式にした登録データD1を顔認証データ登録用PC13に転送する。
【0018】
顔認証データ登録用PC13には、登録データD1とは別に居住者など入館を許可された利用者の顔画像データJPG1が入力されており、かつ居住者など入館を許可された利用者についての登録データD1と顔画像データJPG1がマージされた一対のデータD2として保持され、居住者など入館を許可された利用者についての一対のすべてのデータD2が、PoE HUB14を経由して顔認証端末16に伝送され、登録されている。なお顔認証端末16に伝送後は、顔認証データ登録用PC13は適宜接続、あるいは非接続状態としておくことができる。
【0019】
顔認証方式の入退出管理システム1の各部には、初期状態において上記したデータD1,D2を保持し,入館者の登場の待ち状態としている。かくして入館者が当該建築物を訪問してきた場合、防犯カメラ17は入館者を撮影し、撮影した顔画像データJPG2をPoE HUB14を経由して顔認証端末16に伝送する。
【0020】
顔認証端末16では、入館者の顔画像データJPG2と保存済みの顔画像データJPG1を比較し、一致する場合に一致した顔画像データJPG1に紐付けされた登録データD1として、例えば「00001、山田太郎」を抽出し、画像一致を確認して抽出したIDを監視端末15に伝送する。
【0021】
監視端末15では、顔認証端末16から送られてきたIDを、センタサーバ11から監視端末15に転送されて保存したIDと照合して、この人物が居住者など入館を許可された利用者であることの判定を行い、撮影した入館者が居住者などの登録者である場合に自動ドアや電気錠(以下単にドアという)18を開放し、あるいは登録者でない場合に不審者として、侵入阻止と通報などを行う。
【0022】
上記構成の実施例1によれば、顔認証方式の入退出管理システム1は監視端末15と顔認証端末16を少なくとも備え、監視端末15には居住者など入館を許可された利用者のIDと名前の登録データD1を保持し、他方顔認証端末16には登録データD1と顔画像JPG1を一対にしたデータD2を保持している。そのうえで顔認証端末16は入館者の画像JPG2と顔画像JPG1を比較し、一致するときに対応するIDを監視端末15に伝送する。監視端末15は、顔認証端末16伝送されてきたIDと自己に保持するIDの比較によりドアの開閉を決定する。
【0023】
上記構成によれば、入館者が居住者か否かを判定する顔認証機能と、居住者に対してドアを開放しあるいは不審者に対して通報などを行う監視制御機能を、顔認証端末16と監視端末15とに分離している。この構成により本発明の入退出管理システム1は、顔認証機能だけを簡単に変更することができる入退室管理システムを提供することができる。
【0024】
これは、
図1の構成において1aの部分を必須の構成要件としてシステム構成することを意味している。そのため、さらに別の構成の実施例においては、1bの部分を含んで構成されるものであってもよい。これらは1aにさらにセンタサーバ11の機能、或は顔認証データ登録用PC13を適宜付加した構成のものである。
【0025】
また上記顔認証端末16と顔認証データ登録用PC13とに分離された構成によれば、顔認証データJPG1が紛失した場合の復旧を容易に行うことができる。この復旧は、顔認証端末16と顔認証データ登録用PC13に保存されたバックアップデータを使用することで可能である。顔認証端末16が壊れた場合は、顔認証データ登録用PC13に保存してあるバックアップデータを使用し、顔認証データ登録用PC13が壊れた場合は、顔認証端末16に保存してあるバックアップデータを使用することで上記の復旧が可能である。
【実施例2】
【0026】
実施例2では、
図1の入退出管理システム1における計算機が保持するプログラムにより実行される処理内容について説明する。
【0027】
図1の顔認証の入退出管理システム1は、実施例1のように構成されて、かつ各部に適宜の情報を保有し、連係して作動することにより顔認証の入退出管理機能を達成する。このため、計算機で構成されたセンタサーバ11、監視端末15、顔認証端末16、顔認証データ登録用PC13は、計算機に含まれるROMに適宜のプログラムを保持しており、プログラムで定まる処理フローを実行する。これらのプログラムは、
図2に示す新規登録プログラムPr1、
図3に示す認証プログラムPr2、
図4に示す追加変更プログラムPr3、
図7に示す更新と履歴管理プログラムPr4である。
【0028】
図2は、本発明の実施例に係る入退出管理システム1の新規登録プログラムPr1による動作フローを示している。この処理の実行にはセンタサーバ11、監視端末15、顔認証端末16、顔認証データ登録用PC13の各計算機が相互に連携して作動する。
図2の処理では、まず処理ステップSA1において、センタサーバ11のデータベースDBにデータD1(IDと名前)を新規登録する。次に処理ステップSA2において、センタサーバ11のデータベースDBから、データD1(IDと名前)を現地の監視端末15へ送る。次に処理ステップSA3において、センタサーバ11のデータベースDBからIDのリスト(csvファイル)を取り出す。次に処理ステップSA4において、顔認証データ登録用PC13でIDと画像JPG1を紐づける。次に処理ステップSA5において、顔認証端末16にIDと画像JPG1のリストを登録する。
【0029】
図3は、本発明の実施例に係る入退出管理システム1の認証プログラムPr2による動作フローチャートを示している。この処理の実行には監視端末15、顔認証端末16の各計算機が相互に連携して作動する。まず処理ステップSB1において、防犯カメラ17で撮影した顔データJPG2を顔認証端末16へ送る。次に処理ステップSB2において、顔認証端末で登録した画像JPG1と撮影した画像JPG2を照合する。次に処理ステップSB3において、顔認証端末16から監視端末15へ顔画像比較で一致した顔画像に対応するIDを通知する。次に処理ステップSB4において、監視端末15で、顔認証端末16からのIDと登録されているIDを照合する。次に処理ステップSB5において、登録の有無を判定する。登録されていない場合(処理ステップSB5のNO)は、処理ステップSB1へ戻る。登録ありの場合(処理ステップSB5のYES)には処理ステップSB6に移行して、自動ドア・電気錠18を開ける。
【0030】
図4は、本発明の実施例に係る入退出管理システム1の追加変更プログラムPr3による動作フローチャートを示している。この処理の実行には、センタサーバ11、顔認証データ登録用PC13、顔認証端末16の各計算機が相互に連携して作動する。まず処理ステップSC1において、センタサーバ11のデータベースDBにデータD1(IDと名前)を追加変更する。次に処理ステップSC2において、センタサーバ11のデータベースDBからデータD1(IDと名前)のリストを取り出す。次に処理ステップSC3において、顔認証データ登録用PC13でIDに対する顔画像JPG1を追加する。次に処理ステップSC4において、顔認証データ登録用PC13でバックアップファイルと比較/マージを行う。さらに処理ステップSC4において追加変更のあった項目について差分を色付け(削除(赤)/更新(緑)/追加(黄))をしてリスト表示する。次に処理ステップSC5において、顔認証端末16にIDと顔画像JPG1のリストを再登録する。
【0031】
図5に、センタサーバ11と監視端末15で使用する登録データD1の登録テーブルの構成例を示す。登録データD1のテーブルの構成要素として、一貫番号の欄MA1、IDの欄MA2、名前の欄MA3が設けられており、これらの欄に適宜の情報が記述されている。ここでは、画像情報JPGは設けていないのが特徴である。
【0032】
図6に、顔認証端末15で使用するデータD2の登録テーブルの構成例を示す。データD2のテーブルの構成要素として、一貫番号の欄MA1、IDの欄MA2、名前の欄MA3、顔画像JPG1の欄MA4が設けられており、これらの欄に適宜の情報が記述されている。このテーブルは、登録データD1と顔画像JPG1を対にして記録したものである。
【0033】
図7は、本発明の実施例に係る入退出管理システム1の更新と履歴管理プログラムPr4による動作フローチャートを示している。この処理の実行には、顔認証データ登録用PC13の計算機が主体的に作動する。
【0034】
このフローでは、まず処理ステップSD1において、顔認証データ登録用PC13は更新用顔画像JPG3を任意のタイミングで入手する。ここで更新用顔画像JPG3は最近の顔画像であり、これに対し顔認証データ登録用PC13には例えば1年前に登録された顔画像JPG2が登録されており、ここでは登録済みの顔画像JPG2を最近の顔画像JPG3に更新するか否かの判断、ならびに更新の可否を判断したことの履歴を管理しようとしている。
【0035】
次に処理ステップSD2では、更新用顔画像JPG3と登録済顔画像JPG2を比較し、ほぼ一致し、或は所定の類似度以下である場合には更新不要と判断し、処理ステップSD6の処理に移り、更新不可の旨のアラートを出し変更処理を行わない。一致せず或は所定の類似度以上である場合には、処理ステップSD3の処理に移る。処理ステップSD3では、更新処理に入るがその前提処理として、必要はないのに更新しようとしていないか更新実行者にアラートを出す。
【0036】
このアラートは、センタサーバ11、顔認証端末16または顔認証データ登録用PC13などの表示部を利用して行われるのがよく、例えば
図8に示すような顔認証データ登録用PC13の表示画面に表示して更新実行者による判断の確認を求めることができる。またアラートは、更新実行者と顔認証システム管理者に通知されるのがよい。
図8の顔認証データ登録用PC13の表示画面には、IDと名前を含む登録データD1と、更新用顔画像JPG3と登録済みの顔画像JPG2を対比して表示し、かつアラートを表示する。
図8ではアラートは、更新不可の旨のものを表示しているが、判断内容に応じた適宜内容のアラートとすることができる。更新実行者は、
図8の表示を通じて所定の判断を行い、更新処理に対する新たな指示を顔認証データ登録用PC13に与えることができる。なお、
図7の処理において画像比較が行われたときは、その判断結果とともに、更新の履歴として別途保存する。
【0037】
次に処理ステップSD4では、更新の履歴を適宜参照し、更新の回数や頻度を確認する。もし、異常な回数或は頻度での更新が行われている場合には、処理ステップSD6の処理に移り、頻繁な更新依頼が発生していることを理由とした更新不可の旨のアラートを出し変更処理を行わないのがよい。最後に処理ステップSD5では、更新依頼が適正なものと判断して更新を事項する。
【0038】
このように、
図7のフローでは、所定の類似度以下の場合は登録者以外と判断し更新せずアラートを出し、所定の類似度以上の場合、本当に更新していいかアラートを出して確認し、更新の履歴、回数や頻度を確認し、異常(高頻度、多回数等)である場合は更新せずアラートを出す。この時は更新実行者と顔認証システム管理者に通知するのがよい。なお「所定の類似度」を定めるにあたり、更新を行うごとに増加し、所定時間経過で復旧するようにしておくのがよい。
【0039】
図9は、更新と履歴管理処理を行う顔認証データ登録用PC13内の処理を処理機能部として表記したものである。更新用顔画像取得部31で更新用顔画像JPG3を入手し、比較部32において更新用顔画像JPG3と登録済顔画像JPG2を比較し、更新不可アラート表示判定部35では更新不可のときに適宜のアラートを発行して表示画面34に表示する。また更新履歴があることを履歴判定部33で判定し、更新履歴結果を履歴情報記憶部DB2に記録する。
【実施例3】
【0040】
実施例3では、さらに
図9の顔認証データ登録用PC13の具体的な運用例、及びこれを実現する機能について説明する。これらの運用例は、顔認証データ登録用PC13を実現する計算機の演算部における処理機能、あるいは記憶部を用いて実現される。顔認証データ登録用PC13は、具体的な実現手法として以下の機能を有するものとすることが望ましい。
【0041】
例えば顔認証データ登録用PC13は、当該建造物への入館を許可された利用者の利用者IDを顔認証端末16へ送信するときに、送信する利用者IDを記憶する入館許可者ファイルを例えば履歴情報記憶部DB2などの記憶部に備え、新たにセンタサーバ11から利用者IDを受け取ったとき、比較部において入館許可者ファイルに記憶された利用者IDと比較し、新たにセンタサーバ11から受け取った利用者IDのうち比較部が入館許可者ファイルに存在すると判定した利用者IDを他の利用者IDと異なる態様で出力部から出力するのがよい。これにより、外部表示あるいは外部出力が、既存部分と、変更部分を明確にして示すことができる。
【0042】
また顔認証データ登録用PC13は、入館許可者ファイルはさらに利用者IDを顔認証端末16へ送信した送信日時を示す情報を利用者IDに対応付けて例えば履歴情報記憶部DB2などの記憶部に記憶し、既に顔認証端末16へ送信済の利用者IDに対応する顔認証データの再登録要求をセンタサーバ11から受け取ったとき、入館許可者ファイルに登録された利用者IDに対応する送信日時からの経過時間を求める更新画像確認部を備え、更新画像確認部が求めた経過時間が予め定められた時間よりも短いと判定した場合は出力部から警告を出力するのがよい。これにより頻繁な画像変更の要請は、何らかの異常事態の可能性があることを示すことが可能となる。
【0043】
また顔認証データ登録用PC13は、入館許可者ファイルはさらに利用者IDを顔認証端末16へ送信した送信回数を示す情報を利用者IDに対応付けて例えば履歴情報記憶部DB2などの記憶部に記憶し、更新画像確認部は既に顔認証端末16へ送信済の利用者IDに対応する顔認証データの再登録要求をセンタサーバ11から受け取ったとき、前記入館許可者ファイルに登録された利用者IDに対応する送信回数を求め、更新画像確認部が求めた更新回数が予め定められた回数を超えると判定した場合は出力部が警告を出力するのがよい。これにより多すぎる画像変更の要請は、何らかの異常事態の可能性があることを示すことが可能となる。
【0044】
以上のように、本実施例によれば、誰の顔認証画像データが顔認証端末に入っており、誰の顔認証画像データが登録準備中なのかを管理できるため、顔認証端末が他の機種に変更になっても、同じ運用が可能な入退室管理システムを提供できる。
【符号の説明】
【0045】
10:通信網
11:センタサーバ
12:データベースDB
13:顔認証データ登録PC
14:PoE HUB
15:監視端末
16:顔認証端末
17:防犯カメラ
18:自動ドア・電気錠
19:マンション・オフィス