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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】検査装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/32 20060101AFI20240502BHJP
   G01N 29/24 20060101ALI20240502BHJP
   G07D 7/00 20160101ALI20240502BHJP
   G07D 7/08 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
G01N29/32
G01N29/24
G07D7/00 D
G07D7/08
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021038345
(22)【出願日】2021-03-10
(65)【公開番号】P2022138456
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】中井 豊
(72)【発明者】
【氏名】小野 富男
(72)【発明者】
【氏名】山本 紀子
(72)【発明者】
【氏名】逸見 和弘
【審査官】比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-008054(JP,A)
【文献】特開2001-351141(JP,A)
【文献】特開2020-034391(JP,A)
【文献】特開2012-063276(JP,A)
【文献】特開2008-213957(JP,A)
【文献】特開2008-076219(JP,A)
【文献】特開平02-269961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N29/00-G01N29/52
G01B17/00-G01B17/08
G07D 7/00-G07D 7/207
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDream3)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1超音波を送信可能な送信部と、
前記第1超音波が入射し、前記入射した前記第1超音波に応じた信号を出力可能な受信部と、
前記送信部及び前記受信部の間の検査位置と、前記受信部と、の間に設けられ、前記第1超音波が通過する受信側導波路であって、検査対象は、前記送信部から前記受信部への第1方向と交差する第2方向に沿って、前記検査位置を通過する、前記受信側導波路と、
を備え、
前記受信側導波路は、第1構造及び第2構造の少なくともいずれかを有し、
前記第1構造において、前記受信側導波路は、管状部材と内側部材と含み、前記内側部材は、前記管状部材の内側に設けられ、前記内側部材の少なくとも一部は、網目構造、多孔質構造及び表面凹凸構造の少なくともいずれかを有し、
前記第2構造において、前記受信側導波路は、管状部材を含み、前記管状部材の少なくとも一部は、網目構造、多孔質構造及び表面凹凸構造の少なくともいずれかを有
前記受信側導波路の前記第1超音波に対する透過率は、0.55未満である、検査装置。
【請求項2】
前記第1超音波は、複数のバースト波を含む、請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記内側部材または前記管状部材は、前記表面凹凸構造を有し、前記表面凹凸構造の凹凸の算術平均表面粗さRaは、前記複数のバースト波の波長の0.01倍以上0.2倍以下である、請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記内側部材は、メッシュ状であり、メッシュピッチは、前記複数のバースト波の波長の0.005倍以上0.2倍以下である、請求項2に記載の検査装置。
【請求項5】
前記受信側導波路を通過した前記第1超音波が前記受信部に入射し、
前記受信部で反射した前記第1超音波が前記検査対象で反射し、
前記検査対象で反射した前記第1超音波が前記受信側導波路を通過して前記受信部に入射する、請求項1~4のいずれか1つに記載の検査装置。
【請求項6】
前記送信部と前記検査位置との間に設けられ、前記第1超音波が通過する送信側導波路をさらに備えた、請求項1~5のいずれか1つに記載の検査装置。
【請求項7】
前記受信側導波路の前記第1超音波に対する受信側透過率は、前記送信側導波路の前記第1超音波に対する送信側透過率よりも低い、請求項6に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば超音波などを用いた検査装置がある。検出感度の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-63276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、検出感度を向上できる検査装置及び検査方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、検査装置は、第1超音波を送信可能な送信部と、前記第1超音波が入射し、前記入射した前記第1超音波に応じた信号を出力可能な受信部と、受信側導波路と、を含む。前記受信側導波路は、前記送信部及び前記受信部の間の検査位置と、前記受信部と、の間に設けられる。前記第1超音波が受信側導波路を通過する。検査対象は、前記送信部から前記受信部への第1方向と交差する第2方向に沿って、前記検査位置を通過する。前記受信側導波路は、第1構造及び第2構造の少なくともいずれかを有する。前記第1構造において、前記受信側導波路は、管状部材と内側部材と含み、前記内側部材は、前記管状部材の内側に設けられる。前記内側部材の少なくとも一部は、網目構造、多孔質構造及び表面凹凸構造の少なくともいずれかを有する。前記第2構造において、前記受信側導波路は、管状部材を含む。前記管状部材の少なくとも一部は、網目構造、多孔質構造及び表面凹凸構造の少なくともいずれかを有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式的側面図である。
図2図2(a)及び図2(b)は、第1実施形態に係る検査装置の一部を例示する模式図である。
図3図3(a)~図3(d)は、検査装置に関する実験結果を例示する模式図である。
図4図4は、検査装置の特性を例示するグラフ図である。
図5図5(a)~図5(d)は、検査装置の特性を例示する模式図である。
図6図6(a)~図6(d)は、検査装置の特性を例示する模式図である。
図7図7(a)~図7(c)は、検査装置の特性を例示する模式図である。
図8図8(a)及び図8(b)は、第1実施形態に係る検査装置の一部を例示する模式図である。
図9図9は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式的側面図である。
図10図10は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式的側面図である。
図11図11は、第2実施形態に係る検査方法を例示するフォローチャート図である。
図12図12(a)~図12(c)は、実施形態に係る検査装置の一部を例示する模式図である。
図13図13(a)及び図13(b)は、実施形態に係る検査装置の一部を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式的側面図である。
図1に示すように、実施形態に係る検査装置110は、送信部10及び受信部20を含む。
【0009】
送信部10は、第1超音波10wを送信可能である。第1超音波10wは、例えば、第1周期Tpの複数のバースト波を含む。第1周期Tpは、例えば、複数のバースト波の1つの始まりと、複数のバースト波の次の1つの始まりと、の間の時間に対応する。第1超音波10wの例については、後述する。
【0010】
受信部20には、第1超音波10wが入射する。受信部20に入射する第1超音波10wは、送信部10から出射した第1超音波10wの直接波の他に、第1超音波10wが種々の部材で反射した反射波を含んでも良い。受信部20は、受信部20に入射した第1超音波10wに応じた信号Sdを出力可能である。
【0011】
検査対象80は、送信部10と受信部20との間を通過する。検査対象80は、送信部10と受信部20との間の検査位置Psを通過する。
【0012】
検査対象80は、例えば紙幣などである。検査対象80は、有価証券などの書類でも良い。検査対象80の材料は任意である。
【0013】
送信部10から受信部20への方向を第1方向D1とする。検査対象80は、第1方向D1と交差する第2方向D2に沿って、検査位置Psを通過する。第2方向D2は、第1方向D1に対して傾斜しても良い。検査位置Psは、送信部10と受信部20との間の空間SPの一部である。
【0014】
例えば、支持部60が設けられる。支持部60は、検査対象80を支持して、検査対象80に検査位置Psを通過させることが可能である。
【0015】
この例では、支持部60は、第1搬送部61(例えばローラ)及び第2搬送部62(例えばローラ)により搬送される。支持部60の搬送に伴って、検査対象80が第2方向D2に沿って搬送される。第2方向D2は、例えば、搬送方向である。
【0016】
例えば、支持部60は、第1超音波10wが支持部60に照射されない位置で、検査対象80を支持する。例えば、支持部60は、検査位置Psには設けられない。例えば、支持部60は、検査対象80の端部などを支持しても良い。第1超音波10wが支持部60に照射されないにことで、検査対象80を適切に検査できる。
【0017】
例えば、送信部10は、変形可能な送信側膜部11を含む。送信側膜部11は、第1超音波10wを出射する。送信部10に送信回路10Dが接続される。送信回路10Dからの駆動信号Svにより、送信側膜部11が変形して、第1超音波10wが出射する。送信側膜部11の変形は、例えば、圧電素子などにより生じる。
【0018】
例えば、受信部20は、変形可能な受信側膜部21を含む。受信側膜部21は、受信した第1超音波10wにより変形する。受信側膜部21の変形に伴って信号Sdが得られる。例えば、受信側膜部21の変形が、圧電素子などにより電気信号に変換される。
【0019】
例えば、制御部70が設けられても良い。制御部70は、例えば、送信回路10Dに制御信号Scを供給する。送信回路10Dは、制御信号Scに応じて、送信側膜部11を変形させる。これにより、送信部10から第1超音波10wが出射する。送信部10から出射した第1超音波10wは、例えば、検査対象80を通過して、受信部20に入射する。受信部20に入射する第1超音波10wは、検査対象80の状態に応じて、変化する。変化する第1超音波10wが受信部20で受信される。受信部20から出力される信号Sdは、検査対象80の状態を反映している。例えば、信号Sdが、制御部70に供給される。制御部70は、信号Sdを処理して、検査信号S1を出力可能である。検査信号S1は、検査対象80の検査結果に関する情報を含む。
【0020】
検査装置110は、送信回路10D及び受信回路20Dを含んでも良い。検査装置110は、制御部70を含んでも良い。制御部70は、CPU(Central Processing Unit)などの電気回路(例えばコンピュータなど)を含んでも良い。
【0021】
送信部10から出射する第1超音波10wは、送信回路10Dからの駆動信号Svにより制御される。例えば、第1超音波10wの第1周期Tpが、駆動信号Svにより制御できる。例えば、複数のバースト波の1つの時間幅が、駆動信号Svにより制御できる。送信回路10Dからの駆動信号Svは、制御部70からの制御信号Scで制御されても良い。この場合、例えば、第1超音波10wの第1周期Tpが、制御部70により制御されても良い。例えば、複数のバースト波の1つの時間幅が、制御部70により制御されても良い。
【0022】
実施形態において、第1超音波10wは、適切に制御される。これにより、検出感度を向上できる。
【0023】
この例では、検査装置110は、受信側導波路25を含む。検査装置110は、送信側導波路15をさらに含んでも良い。
【0024】
送信側導波路15は、送信部10と検査位置Psとの間に設けられる。送信側導波路15を第1超音波10wが通過する。例えば、送信側導波路15は、第1超音波10wを導く。
【0025】
受信側導波路25は、検査位置Psと受信部20との間に設けられる。受信側導波路25を第1超音波10wが通過する。例えば、受信側導波路25は、第1超音波10wを導く。受信側導波路25を通過した第1超音波10wが受信部20に入射する。
【0026】
例えば、送信側導波路15は、検査位置Psから離れる。受信側導波路25は、検査位置Psから離れる。検査対象80は、送信側導波路15と受信側導波路25との間で移動できる。
【0027】
これらの導波路が設けられることで、第1超音波10wの広がりを抑制できる。検出感度をより向上できる。
【0028】
実施形態において、受信側導波路25は、第1構造及び第2構造の少なくともいずれかを有する。以下、第1構造の例について説明する。
【0029】
図2(a)及び図2(b)は、第1実施形態に係る検査装置の一部を例示する模式図である。
これらの図は、受信側導波路25を例示している。図2(a)は、斜視図である。図2(b)は、断面図である。
【0030】
図2(a)及び図2(b)に示すように、第1構造において、受信側導波路25は、管状部材25aと内側部材25bと含む。管状部材25aは、例えば、第1方向D1に沿って延びる。
【0031】
内側部材25bは、管状部材25aの内側に設けられる。複数の内側部材25bが管状部材25aの中に設けられても良い。1つの例において、複数の内側部材25bは、管状部材25aの周方向に沿って並んで良い。複数の内側部材25bが、第1方向D1に沿って並んでも良い。管状部材25aは、内側部材25bの周りに設けられる。
【0032】
内側部材25bの少なくとも一部は、網目構造、多孔質構造及び表面凹凸構造の少なくともいずれかを有する。
【0033】
網目構造を有する内側部材25bは、例えば、複数の穴を含む。複数の穴の少なくとも1つは、内側部材25bの厚さ方向に沿って、内側部材25bを貫く。網目状の内側部材25bは、例えば、メッシュ状でも良い。複数の穴の断面形状は、多角形状または円状で良い。多角形は、例えば、三角形、四角形、または、六角形などを含む。
【0034】
多孔質構造を有する内側部材25bは、例えば、複数の孔を含む。複数の孔の位置が、内側部材25bの厚さに沿って互いに異なっても良い。複数の孔の少なくとも一部は、内側部材25bの厚さ方向に沿って内側部材25bを貫かなくて良い。複数の孔の形状は任意である。
【0035】
表面凹凸構造を有する内側部材25bにおいて、内側部材25bの表面に凹凸が設けられる。凹凸の形状は任意である。
【0036】
内側部材25bは、金属及び樹脂の少なくともいずれかを含んで良い。管状部材25aは、金属及び樹脂の少なくともいずれかを含んで良い。これらの部材の材料は、任意である。内側部材25bが設けられることで、受信側導波路25を通過する第1超音波10wが減衰する。受信側導波路25において第1超音波10wが減衰することで、後述するように、検査対象80を高速で高い精度で検査し易くなる。
【0037】
例えば、複数のバースト波を含む第1超音波10wにより検査対象80を高速で検査する場合、複数のバースト波の周期(第1周期Tp)が短くなる。この場合、反射波の影響により、検査が困難になり易い。
【0038】
例えば、検査対象80を通過した第1超音波10wが受信側導波路25を通過して受信部20に入射する。受信部20で反射した第1超音波10wが検査対象80で反射する。検査対象80で反射した第1超音波10wが受信側導波路25を通過して再び受信部20に入射する。第1周期Tpが短いと、再び受信部20に入射する反射波が、複数の直接波の次の1つと重なる状態が生じる。反射波と直接波とが重なることで、適正な検査が困難になる。
【0039】
実施形態においては、受信側導波路25が上記のような内側部材25bを含むことで、検査が容易になることが分かった。上記のような内側部材25bにより、受信側導波路25における透過率が低くできることが原因であると考えられる。
【0040】
以下、発明者が行った実験の結果の例について説明する。
実験においては、上記の第1構造が採用される。実験において、受信側導波路25は、管状部材25a及び内側部材25bを含む。実験において、内側部材25bは、メッシュ状である。
【0041】
実験において、管状部材25aはアルミニウム管である。管状部材25aは、円管状である。管状部材25aの内径は、4mmである。管状部材25aの長さ(第1方向D1に沿う長さ)は50mmである。内側部材25bは、メッシュ状樹脂である。メッシュ状樹脂の厚さは、120μmである。メッシュ状樹脂のメッシュピッチは、140μmである。
【0042】
実験において、内側部材25bの第1方向D1に沿う長さLL(図2(a)参照)が変更される。または、管状部材25aが設けられ、内側部材25bが設けられない。この場合は、長さLLが0の場合に対応する。
【0043】
実験において、複数のバースト波の第1周期Tpは、250μsである。送信部10及び受信部20における共振周波数は、90kHzである。検査対象80は、紙である。送信側導波路15と受信側導波路25との間の距離は、6mmである。
【0044】
図3(a)~図3(d)は、検査装置に関する実験結果を例示する模式図である。
これらの図の横軸は時間tmである。これらの図の縦軸は、受信部20で検出される信号の強度Intである。
【0045】
図3(a)は、メッシュ状の内側部材25bが設けられない場合(LL=0)に対応する。図3(b)は、メッシュ状の内側部材25bの長さLLが10mmの場合に対応する。図3(c)は、メッシュ状の内側部材25bの長さLLが30mmの場合に対応する。図3(d)は、メッシュ状の内側部材25bの長さLLが50mmの場合に対応する。
【0046】
これらの図において、信号の強度Intが大きく一定で変化している期間は、検査対象80(紙)が検査位置Psに到達する前の期間に対応する。検査対象80が検査位置Psを通過し始めると、信号の強度Intが低下する。この後、検査対象80が検査位置Psを通過し続けている間、信号の強度Intが実質的に微小になる。信号の強度Intが低下する期間は、検査対象80の先端部分が検査位置Psを通過している期間に対応する。以下、信号の強度Intが低下する期間に着目する。
【0047】
図3(a)に示すように、メッシュ状の内側部材25bが設けられない場合、信号の強度Intが低下する期間が長い。減衰期間が長い。この状態は、反射波が、直接波と重なる状態に対応する。
【0048】
これに対して、図3(c)及び図3(d)に示すように、メッシュ状の内側部材25bの長さLLが30mmまたは50mmの場合は、信号の強度Intが低下する期間が短い。減衰期間が短い。この状態においては、反射波が大きく減衰されて、直接波と実質的に重ならない状態に対応する。これらの場合に、検査対象80を適切に検査できる。直接波は、例えば、検査対象80の透過率を反映した信号強度を有する。直接波は、反射波に比べて、検査対象80の状態をより高い精度で反映する。例えば、直接波が実質的に反射波と重ならない状態になることで、検査対象80を適切に検査することができる。例えば、検査対象80の端部の測定において、反射が大きく減衰される。これにより、検査対象80をより適切に検査することができる。
【0049】
図3(b)に示すように、内側部材25bの長さLLが10mmの場合は、信号の強度Intが低下する期間は、図3(a)の場合に比べて短くなるものの、短くなる程度が小さい。
【0050】
受信側導波路25における第1超音波10wの透過率(受信側透過率Q2)は、内側部材25bの長さLLに応じて変化する。長さLLが0のとき、受信側透過率Q2は63%である。長さLLが10mmのとき、受信側透過率Q2は60%である。長さLLが30mmのとき、受信側透過率Q2は52%である。長さLLが50mmのとき、受信側透過率Q2は46%である。受信側透過率Q2は、例えば、超音波強度維持率に対応する。
【0051】
このように、受信側導波路25の透過率(受信側透過率Q2)が低いことで、反射波の影響を抑制でき、検査対象80を適切に検査できる。
【0052】
導波路の透過率が低いと、受信部20で受信される超音波の強度が低くなる。このため、一般には、受信側導波路25の透過率は高いことが好ましいと考えられている。しかしながら、検査対象80を高速で検査する場合、反射波が次のバースト波と重なる状態が生じる。このような状態においては、導波路の透過率を高くするという一般的な技術思想では適切な検査が困難になる。
【0053】
実施形態においては、一般的な技術思想とは逆の技術思想が採用される。受信側導波路25の透過率(受信側透過率Q2)を低くすることにより、反射波の影響を抑制でき、検査対象80を適切に検査できる。高い検査速度においても、高い感度で検査対象80を検査できる。実施形態によれば、検出感度を向上できる検査装置を提供できる。
【0054】
図4は、検査装置の特性を例示するグラフ図である。
図4の横軸は、受信側導波路25における第1超音波10wの透過率(受信側透過率Q2)である。縦軸は、受信部20で受信される信号の強度比IR1である。強度比IR1は、直接波の強度の反射波の強度に対する比である。
【0055】
図に示すように、受信側透過率Q2が低いと、強度比IR1が高くなり、直接波の強度が高くなる。
【0056】
例えば、検査対象80である紙に樹脂テープのような異物が貼られている場合がある。この場合、直接波の信号強度が低下する。紙の透過率は、約5%であり、テープが貼られた場所の透過率は、テープが貼られていない場所の透過率の約1/2となる。このような透過率の差を検知できれば、検査対象80である紙の異を検知することができる。
【0057】
一方、検査対象80である紙の端において、強度が強い反射波成分が残留成分として存在する。この反射波成分は、上記の直接波に対するノイズとなる。例えば、直接波及び反射波が重畳した状態において、20%以上の透過率の変化が存在する場合に、直接波の透過率差を適切に判定できる。例えば、30%の透過率の変化が存在する場合に、さらに安定した判定が可能になる。
【0058】
実験により、反射波(ノイズ)の強度が直接波の強度以下のときに、反射波及び直接波が重畳した状態で、約20%の信号変化が観測されることがわかった。このときに、検査対象80である紙の端部に貼られたテープ(異物)が検出できる。
【0059】
反射波の強度が直接波の強度の1/2以下のときに、反射波及び直接波が重畳した状態で、約35%の信号変化が観測される。このとき、異物位置で、十分な透過率差が得られる。
【0060】
図4に示すように、受信側透過率Q2が0.55以下において、強度比IR1は1以上になる。受信側透過率Q2は0.5以下のときに、強度比IR1は2以上になる。
【0061】
実施形態において、受信側透過率Q2は、0.55よりも低いことが好ましい。受信側透過率Q2は、0.50よりも低いことが好ましい。受信側透過率Q2が低いことで、反射波の影響が効果的に抑制できる。
【0062】
受信側透過率Q2は、例えば、0.1以上であることが好ましい。受信側透過率Q2が過度に低いと、受信部20による受信においてのノイズの影響が大きくなる。受信側透過率Q2が0.1以上であることで、ノイズの影響を抑制できる。より高い感度の検出が可能になる。
【0063】
図5(a)~図5(d)、及び、図6(a)~図6(d)は、検査装置の特性を例示する模式図である。
図5(a)~図5(d)は、受信側透過率Q2が高い場合に対応する。図6(a)~図6(d)は、受信側透過率Q2が低い場合に対応する。
【0064】
図5(a)は、初期状態に対応する。初期状態において、検査対象80は検査位置Psにない。送信部10から出射された超音波信号10sは受信部20で受信される。超音波信号10sの一部は、受信部20で反射して反射波10rとなる。
【0065】
図5(b)に示すように、検査対象80が検査位置Psにある。図5(b)においては、反射波10rは、検査位置Psに到達していない。
【0066】
図5(c)に示すように、図5(b)の状態の後、反射波10rは、検査位置Psに到達する。反射波10rは、検査対象80で反射して受信部20に向かって進行する。一方、送信部10から、次のバースト波の超音波信号10sが出射する。
【0067】
図5(d)に示すように、図5(c)の状態の後、反射波10r、及び、検査対象80を通過した次のバースト波の超音波信号10sが受信部20に到達する。このとき、反射波10rと、次のバースト波の超音波信号10sと、が時間的に重なる。受信側透過率Q2が高いと、反射波10rの強度は高い。このため、反射波10rの影響が大きくなり、適切な検査が困難になる。
【0068】
図6(a)は、初期状態に対応する。この場合も、超音波信号10sの一部は、受信部20で反射して反射波10rとなる。
【0069】
図6(b)に示すように、検査対象80が検査位置Psにある。図6(b)においては、反射波10rは、検査位置Psに到達していない。
【0070】
図6(c)に示すように、図6(b)の状態の後、反射波10rは、検査位置Psに到達する。反射波10rは、検査対象80で反射して受信部20に向かって進行する。受信側透過率Q2が低いため、反射波10rは減衰する。反射波10rは、受信部20と検査位置Psとの間を往復するため、反射波10rにおける減衰の程度が大きい。一方、送信部10から、次のバースト波の超音波信号10sが出射する。
【0071】
図6(d)に示すように、図6(c)の状態の後、反射波10r、及び、検査対象80を通過した次の直接波の超音波信号10sが、受信部20に到達する。このとき、反射波10rと、次の直接波の超音波信号10sと、が時間的に重なる。受信側透過率Q2が低いため、反射波10rの強度は低い。このため、反射波10rの影響が抑制される。これにより、適切な検査を行うことができる。
【0072】
以下、受信部20に入射する反射波が、複数の直接波の次の1つと重なる場合の例について説明する。
【0073】
図1に示すように、検査位置Psと送信部10との間の、第1方向D1(送信部10から受信部20への方向)に沿う距離を、送信側距離L1とする。検査位置Psと受信部20との間の、第1方向D1に沿う距離を、受信側距離L2とする。送信部10と受信部20との間の空間SPにおける第1超音波10wの伝搬速度を速度vxとする。
【0074】
図7(a)~図7(c)は、検査装置の特性を例示する模式図である。
図7(a)は、送信部10に入力される第1超音波10wの信号に対応する。図7(b)及び図7(c)は、受信部20で観測される受信信号に対応する。図7(b)は、第1超音波10wに含まれる複数のバースト波の1つに基づく受信信号に対応する。図7(c)は、第1超音波10wに含まれる複数の直接波の次の1つに基づく受信信号に対応する。これらの図の横軸は、時間tmである。これらの図の縦軸は、信号の強度Intである。
【0075】
図7(a)に示すように、第1超音波10wは、複数のバースト波10bを含む。複数のバースト波10bの周期は、第1周期Tpである。複数のバースト波10bの1つの時間は、時間Twである。
【0076】
図7(b)に示すように、1つのバースト波10bの電気信号で出射した超音波信号が、受信部20で受信される。受信部20で受信される信号は、直接波Dw1と、複数の反射波Rw1と、を含む。1つのバースト波10bの時刻と、直接波Dw1と、の間の時間は、(L1+L2)/vxである。直接波Dw1と、最初の反射波Rw1と、の間の時間は、2×L2/vxである。
【0077】
図7(c)に示すように、次のバースト波10bで出射した超音波が、受信部20で受信される。受信部20で受信される信号は、直接波Dw2と、複数の反射波Rw2と、を含む。これらの信号は、検査対象80が挿入された状態での信号である。これらの信号強度は、検査対象80により減衰する。これらの信号強度は、図7(b)の信号に比較して、低い。
【0078】
最初の反射波Rw1が受信部20に到達する前に、直接波Dw2が受信部20に到達すると、反射波Rw1が直接波Dw2と重なる状態となる。
【0079】
反射波Rw1が直接波Dw2と重なる場合、第1周期Tp(s)、受信側距離L2(m)、及び、速度vx(m/s)は、
Tp < 2×L2/vx … (1)
の第1式を満たす。このような第1式が満たされるときに、受信側導波路25の受信側透過率Q2が高いと、反射波の影響により、検査対象80を適切に検査することが困難になる。
【0080】
一方、上記の第1式が満たされることで、高速の検査を行うことができる。第1式が満たされ場合に、受信側透過率Q2を低くすることで、高速の検査においても反射波の影響が抑制でき、適切な検査が実施できる。
【0081】
実施形態によれば、例えば、検査対象80の移動方向における先端部分について、高い検出感度が得られる。
【0082】
内側部材25bが表面凹凸状である場合、表面凹凸の算術平均表面粗さRaは、例えば、複数のバースト波の波長の0.01倍以上で0.2倍以下であることが好ましい。算術平均表面粗さRaが、複数のバースト波の波長の0.05倍以下であることで、例えば、受信側透過率Q2を効果的に低くできる。
【0083】
図8(a)及び図8(b)は、第1実施形態に係る検査装置の一部を例示する模式図である。
これらの図は、受信側導波路25を例示している。図8(a)は、斜視図である。図8(b)は、断面図である。これらの図は、受信側導波路25に関する第2構造を例示している。
【0084】
図8(a)及び図8(b)に示すように、第2構造において、受信側導波路25は、管状部材25aを含む。管状部材25aの少なくとも一部は、網目構造、多孔質構造及び表面凹凸構造の少なくともいずれかを有する。この例では、管状部材25aの内側面25fは、凹凸25dpを含む。凹凸25dpは、凹部25d及び凸部25pの少なくともいずれかを含む。凹凸25dpは、例えば、切削またはサンドブラストなどの種々の方法により形成できる。凹凸25dpにより、第1超音波10wが受信側導波路25を通過する際に、第1超音波10wは減衰する。
【0085】
上記のように、実施形態において、受信側導波路25は、第1構造及び第2構造の少なくともいずれかを有して良い。第1構造において、受信側導波路25は、内側部材25bを含む。第2構造において、受信側導波路25は、管状部材25aを含み、管状部材25aの内側面25fは凹凸25dpを含む。このような受信側導波路25により、反射波の影響を抑制できる。検出感度を向上できる検査装置を提供できる。
【0086】
実施形態において、凹凸25dpの算術平均表面粗さRaは、例えば、複数のバースト波の波長の0.01倍以上で0.2倍以下であることが好ましい。算術平均表面粗さRaが、複数のバースト波の波長の0.05倍以下であることで、例えば、受信側透過率Q2を効果的に低くできる。
【0087】
内側部材25bのメッシュピッチは、複数のバースト波の波長の0.005倍以上0.2倍以下であることが好ましい。メッシュピッチが複数のバースト波の波長の0.01倍以上であることで、例えば、単位長さ当たりの超音波の減衰の程度を大きくできる。
【0088】
既に説明したように、検査装置110は、送信側導波路15を含んでも良い。送信側導波路15は、送信部10と検査位置Psとの間に設けられる。第1超音波10wは、送信側導波路15を通過する。1つの例において、受信側導波路25の第1超音波10wに対する受信側透過率Q2は、送信側導波路15の第1超音波10wに対する送信側透過率Q1よりも低い。送信側導波路15の第1超音波10wに対する送信側透過率Q1が高いことで、直接波の減衰が抑制できる。より高い感度が得易くなる。
【0089】
送信側導波路15が設けられる場合において、送信側透過率Q1は、送信側導波路15に入射する前の第1超音波10wの強度に対する、送信側導波路15から出射する第1超音波10wの強度の比に対応する。受信側導波路25が設けられる場合において、受信側透過率Q2は、受信側導波路25に入射する前の第1超音波10wの強度に対する、受信側導波路25から出射する第1超音波10wの強度の比に対応する。
【0090】
検知対象の第1超音波10wに対する透過率を検査対象透過率Q3とする。この場合、受信部20で検出される直接波の強度SG1は、
1=Q1×Q3×Q2 … (2)
の第2式で表される。
【0091】
一方、受信部20で検出される反射波の強度SR1は、
SR=Q1×Q2×(Q2)2n … (3)
の第3式で表される。第3式において、「n」は、1以上の整数であり、反射波の往復回数に対応する。
【0092】
強度SG1が強度SR1よりも高いときに、高い感度が得られる。検査対象透過率Q3は、例えば、0.1以下である。受信側透過率Q2が低いときに、高いS/N比が得やすくなる。
【0093】
図9は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式的側面図である。
図9に示すように、実施形態に係る検査装置111は、送信部10及び受信部20を含む。検査装置111において、受信側導波路25が省略されて良い。検査装置111において、送信側導波路15が省略されて良い。検査装置111において、受信側導波路25とは別の方法により、受信側における透過率が低くされても良い。
【0094】
この場合、検査位置Psと受信部20との間における第1超音波10wの受信側透過率Q2は、0.55未満である。検査装置111において、上記の第1式が満たされる。これにより、高速の検査が可能になる。
【0095】
図10は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式的側面図である。
図10に示すように、実施形態に係る検査装置112は、送信部10及び受信部20に加えて、減衰部材28を含む。減衰部材28は、検査位置Psと受信部20との間に設けられる。検査装置112において、受信側導波路25として種々の構成が採用されて良い。受信側導波路25の第1超音波10wに対する受信側透過率Q2は、例えば、0.55未満である。検査装置112において、上記の第1式が満たされる。これにより、高速の検査が可能になる。
【0096】
減衰部材28として、例えば、表面凹凸を含む部材が用いられる。例えば、部材の表面に複数の凸部及び複数の凹部が設けられる。複数の凸部は複数の凹部に対して相対的に突出している。例えば、複数の凸部の面積が、複数の凹部の面積と実質的に同じに設定される。複数の凸部と、複数の凹部と、の高さの差が、例えば、超音波の波長の実質的に1/4に設定される。このような減衰部材28により、超音波(反射波)を減衰できる。例えば、複数の凸部及び複数の凹部は、2つの方向に沿って交互に設けられる。
【0097】
(第2実施形態)
第2実施形態は、検査方法に係る。
図11は、第2実施形態に係る検査方法を例示するフォローチャート図である。
図11に示すように、実施形態に係る検査方法においては、第1周期Tpの複数のバースト波10bを含む第1超音波10wを送信部10から検査対象80に向けて送信する(ステップS110)。検査方法においては、検査対象80を通過した第1超音波10wを受信部20で受信して検査対象80を検査する(ステップS120)。
【0098】
例えば、図1に示すように、第1周期Tp(s)、受信側距離L2(m)、及び、速度vx(m/s)が定義できる。検査方法において、
Tp < 2×L2/vx
が満たされる。
【0099】
受信側距離L2は、検査位置Psと受信部20との間の、送信部10から受信部20への第1方向D1に沿う距離である。検査対象80は、第1方向D1と交差する第2方向D2に沿って検査位置Psを通過する。速度vxは、送信部10と受信部20との間の空間SPにおける第1超音波10wの伝搬速度である。実施形態に係る検査方法において、検査位置Psと受信部20との間における第1超音波10wの受信側透過率Q2は、0.55未満である。実施形態に係る検査方法において、反射波の影響が抑制される。例えば、検査対象80の移動方向における先端部分について、高い検出感度が得られる。
【0100】
実施形態に係る検査方法において、受信側透過率Q2は、検査位置Psと送信部10との間における第1超音波10wの送信側透過率Q1よりも低いことが好ましい。これにより、例えば、直接波の減衰が抑制できる。これにより、高い感度が得易くなる。
【0101】
図12(a)~図12(c)は、実施形態に係る検査装置の一部を例示する模式図である。
これらの図は、管状部材25a及び内側部材25bの少なくともいずれかにおける網目構造を例示している。図12(a)の例において、網目構造は、複数の孔を含む。図12(b)の例において、網目構造は、メッシュ構造を有する。図12(c)の例において、網目構造の孔の少なくとも一部は、部材の厚さ方向に部材を貫通する。
【0102】
図13(a)及び図13(b)は、実施形態に係る検査装置の一部を例示する模式図である。
これらの図は、管状部材25a及び内側部材25bの少なくともいずれかにおける多孔質構造を例示している。図13(a)の例において、不定形の複数の孔が設けられる。複数の孔の1つは、複数の孔の別の1つと連続しても良い。図13(b)の例において、複数の孔の少なくとも1つは、複数の孔の別の1つと離れて良い。
【0103】
管状部材25a及び内側部材25bの少なくともいずれかにおける表面凹凸構造は、例えば、図8(b)に例示した構造を有して良い。表面凹凸構造において、例えば、1つの凸部25pと、複数の凹部25dと、が設けられて良い。例えば、1つの凹部25dと、複数の凸部25pと、が設けられて良い。例えば、1つの凸部25pと、1つの凹部25dと、が設けられて良い。表面凹凸構造において、凹凸25dpが、内面及び外面に設けられて良い。表面凹凸構造における凸部25p及び凹部25dの形状は、任意である。
【0104】
実施形態は、以下の構成(例えば技術案)を含んで良い。
(構成1)
第1超音波を送信可能な送信部と、
前記第1超音波が入射し、前記入射した前記第1超音波に応じた信号を出力可能な受信部と、
前記送信部及び前記受信部の間の検査位置と、前記受信部と、の間に設けられ、前記第1超音波が通過する受信側導波路であって、検査対象は、前記送信部から前記受信部への第1方向と交差する第2方向に沿って、前記検査位置を通過する、前記受信側導波路と、
を備え、
前記受信側導波路は、第1構造及び第2構造の少なくともいずれかを有し、
前記第1構造において、前記受信側導波路は、管状部材と内側部材と含み、前記内側部材は、前記管状部材の内側に設けられ、前記内側部材の少なくとも一部は、網目構造、多孔質構造及び表面凹凸構造の少なくともいずれかを有し、
前記第2構造において、前記受信側導波路は、管状部材を含み、前記管状部材の少なくとも一部は、網目構造、多孔質構造及び表面凹凸構造の少なくともいずれかを有する、検査装置。
【0105】
(構成2)
前記第1超音波は、複数のバースト波を含む、構成1記載の検査装置。
【0106】
(構成3)
前記内側部材または前記管状部材は、前記表面凹凸構造を有し、前記表面凹凸構造の凹凸の算術平均表面粗さRaは、前記複数のバースト波の波長の0.01倍以上0.2倍以下である、構成2記載の検査装置。
【0107】
(構成4)
前記内側部材は、メッシュ状であり、メッシュピッチは、前記複数のバースト波の波長の0.005倍以上0.2倍以下である、構成2記載の検査装置。
【0108】
(構成5)
前記受信側導波路を通過した前記第1超音波が前記受信部に入射し、
前記受信部で反射した前記第1超音波が前記検査対象で反射し、
前記検査対象で反射した前記第1超音波が前記受信側導波路を通過して前記受信部に入射する、構成1~4のいずれか1つに記載の検査装置。
【0109】
(構成6)
前記送信部と前記検査位置との間に設けられ、前記第1超音波が通過する送信側導波路をさらに備えた構成1~5のいずれか1つに記載の検査装置。
【0110】
(構成7)
前記受信側導波路の前記第1超音波に対する受信側透過率は、前記送信側導波路の前記第1超音波に対する送信側透過率よりも低い、構成6記載の検査装置。
【0111】
(構成8)
前記受信側導波路の前記第1超音波に対する透過率は、0.55未満である、構成1~7のいずれか1つに記載の検査装置。
【0112】
(構成9)
第1周期Tpの複数のバースト波を含む第1超音波を送信可能な送信部と、
前記第1超音波が入射し、前記入射した前記第1超音波に応じた信号を出力可能な受信部と、
を備え、
前記第1周期Tp(s)、受信側距離L2(m)、及び、速度vx(m/s)は、
Tp < 2×L2/vx
を満たし、
前記受信側距離は、検査位置と前記受信部との間の、前記送信部から前記受信部への第1方向に沿う距離であり、
検査対象は、前記第1方向と交差する第2方向に沿って前記検査位置を通過し、
前記速度vxは、前記送信部と前記受信部との間の空間における前記第1超音波の伝搬速度であり、
前記検査位置と前記受信部との間における前記第1超音波の受信側透過率は、0.55未満である、検査装置。
【0113】
(構成10)
前記受信側透過率は、前記検査位置と前記送信部との間における前記第1超音波の送信側透過率よりも低い、構成9記載の検査装置。
【0114】
(構成11)
前記受信部は、受信した前記第1超音波により変形可能な受信側膜部を含み、
前記受信側距離は、前記検査位置と前記受信側膜部との間の前記第1方向に沿う距離である、構成9または10に記載の検査装置。
【0115】
(構成12)
受信側導波路をさらに備え、
前記受信側導波路は、前記検査位置と前記受信部との間に設けられ、
前記第1超音波は受信側導波路を通過して前記受信部に入射する、構成9~11のいずれか1つに記載の検査装置。
【0116】
(構成13)
前記受信側導波路の前記第1超音波に対する透過率は、0.55未満である、構成12記載の検査装置。
【0117】
(構成14)
前記受信側導波路を通過した前記第1超音波が前記受信部に入射し、
前記受信部で反射した前記第1超音波が前記検査対象で反射し、
前記検査対象で反射した前記第1超音波が前記受信側導波路を通過して前記受信部に入射する、構成12または13に記載の検査装置。
【0118】
(構成15)
前記送信部と前記検査位置との間に設けられ、前記第1超音波が通過する送信側導波路をさらに備えた構成12~14のいずれか1つに記載の検査装置。
【0119】
(構成16)
前記受信側導波路の前記第1超音波に対する受信側透過率は、前記送信側導波路の前記第1超音波に対する送信側透過率よりも低い、構成15記載の検査装置。
【0120】
(構成17)
支持部をさらに備え、
前記支持部は、前記検査対象を支持して、前記検査対象に、前記検査位置を通過させることが可能である、構成1~16のいずれか1つに記載の検査装置。
【0121】
(構成18)
前記支持部は、前記第1超音波が前記支持部に照射されない位置で、前記検査対象を支持する、構成17記載の検査装置。
【0122】
(構成19)
第1周期Tpの複数のバースト波を含む第1超音波を送信部から検査対象に向けて送信し、
前記検査対象を通過した前記第1超音波を受信部で受信して前記検査対象を検査し、
前記第1周期Tp(s)、受信側距離L2(m)、及び、速度vx(m/s)は、
Tp < 2×L2/vx
を満たし、
前記受信側距離は、検査位置と前記受信部との間の、前記送信部から前記受信部への第1方向に沿う距離であり、
前記検査対象は、前記第1方向と交差する第2方向に沿って前記検査位置を通過し、
前記速度vxは、前記送信部と前記受信部との間の空間における前記第1超音波の伝搬速度であり、
前記検査位置と前記受信部との間における前記第1超音波の受信側透過率は、0.55未満である、検査方法。
【0123】
(構成20)
前記受信側透過率は、前記検査位置と前記送信部との間における前記第1超音波の送信側透過率よりも低い、構成19記載の検査方法。
【0124】
実施形態によれば、検出感度を向上できる検査装置及び検査方法が提供できる。
【0125】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、検査装置に含まれる送信部、受信部、支持部、送信回路、受信回路及び制御部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0126】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0127】
その他、本発明の実施の形態として上述した検査装置及び検査方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての検査装置及び検査方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0128】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0129】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0130】
10…送信部、 10D…送信回路、 10b…バースト波、 10r…反射波、 10s…超音波信号、 10w…第1超音波、 11…送信側膜部、 15…送信側導波路、 20…受信部、 20D…受信回路、 21…受信側膜部、 25…受信側導波路、 25a…管状部材、 25b…内側部材、 25d…凹部、 25dp…凹凸、 25f…内側面、 25p…凸部、 28…減衰部材、 60…支持部、 61、62…第1、第2搬送部、 70…制御部、 80…検査対象、 110、111、112…検査装置、 D1、D2…第1、第2方向、 Dw1、Dw2…直接波、 Int…強度、 L1…送信側距離、 L2…受信側距離、 LL…長さ、 Ps…検査位置、 Rw1、Rw2…反射波、 S1…検査信号、 SP…空間、 Sc…制御信号、 Sd…信号、 Sv…駆動信号、 Tp…第1周期、 Tw…時間、 tm…時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13