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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20240502BHJP
   H01L 25/04 20230101ALI20240502BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20240502BHJP
   H01L 31/12 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
H01L23/12 K
H01L25/04 Z
H01L31/12 C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021047800
(22)【出願日】2021-03-22
(65)【公開番号】P2022146698
(43)【公開日】2022-10-05
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】堀 将彦
(72)【発明者】
【氏名】刀禰館 達郎
(72)【発明者】
【氏名】田村 佳哉
(72)【発明者】
【氏名】藤原 真美
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-056531(JP,A)
【文献】特開2006-210480(JP,A)
【文献】特開2020-038914(JP,A)
【文献】特開2000-294719(JP,A)
【文献】特開2006-294809(JP,A)
【文献】特開2005-223090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H01L 25/04
H01L 31/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極パッド及び第2電極パッドが設けられた実装基板と、
支持基板、前記支持基板の前記実装基板を向く面に設けられている第3電極パッド及び前記支持基板の前記実装基板を向く面に設けられている第4電極パッドを有し、前記支持基板と前記第3電極パッドに第1スリットが設けられ、前記支持基板と前記第4電極パッドに第2スリットが設けられ、前記実装基板上に設けられた半導体素子と、
前記第1電極パッドと前記第3電極パッドを接続している第1導電性接合剤と、
前記第2電極パッドと前記第4電極パッドを接続している第2導電性接合剤と、
を備え
前記支持基板に設けられている前記第1スリットの形状と前記第3電極パッドに設けられている前記第1スリットの形状は同じであり、
前記支持基板に設けられている前記第2スリットの形状と前記第4電極パッドに設けられている前記第2スリットの形状は同じであり、
前記支持基板は、厚さが10μm以上120μm以下のポリイミド基板である半導体装置。
【請求項2】
前記第1スリットは、前記半導体素子の外周辺及び前記第3電極パッドの外周辺から前記支持基板の中央方向に向かって設けられており、
前記第2スリットは、前記半導体素子の外周辺及び前記第4電極パッドの外周辺から前記支持基板の中央方向に向かって設けられている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
第1電極パッド及び第2電極パッドが設けられた実装基板と、
支持基板、前記支持基板の前記実装基板を向く面に設けられている第3電極パッド及び前記支持基板の前記実装基板を向く面に設けられている第4電極パッドを有し、前記支持基板と前記第3電極パッドに第1スリットが設けられ、前記支持基板と前記第4電極パッドに第2スリットが設けられ、前記実装基板上に設けられた半導体素子と、
前記第1電極パッドと前記第3電極パッドを接続している第1導電性接合剤と、
前記第2電極パッドと前記第4電極パッドを接続している第2導電性接合剤と、
を備え、
前記第1スリットは、前記半導体素子の外周辺及び前記第3電極パッドの外周辺から前記支持基板の中央方向に向かって設けられており、
前記第2スリットは、前記半導体素子の外周辺及び前記第4電極パッドの外周辺から前記支持基板の中央方向に向かって設けられていて、
前記第1スリットは、前記支持基板の面方向に延び、
前記第2スリットは、前記支持基板の面方向に延び、
前記支持基板は、厚さが10μm以上120μm以下のポリイミド基板である半導体装置。
【請求項4】
前記ポリイミド基板の厚さは、10μm以上60μm以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記実装基板の前記半導体素子を向く面から垂直方向に前記第1電極パッドと前記半導体素子を重ねたとき、前記第1電極パッドの一部は、前記実装基板の面方向で前記半導体素子の外周辺より外側にはみ出ていて、
前記第1導電性接合剤は、前記第3電極パッドから前記第1電極パッドの外周辺に向かって傾斜している表面を有し、
前記実装基板の前記半導体素子を向く面から垂直方向に前記第2電極パッドと前記半導体素子を重ねたとき、前記第2電極パッドの一部は、前記実装基板の面方向で前記半導体素子の外周辺より外側にはみ出ていて、
前記第2導電性接合剤は、前記第4電極パッドから前記第2電極パッドの外周辺に向かって傾斜している表面を有する請求項1ないしのいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1スリットの長さは、前記第1スリットの高さの4倍以上であり、
前記第1スリットの長さは、前記第1スリットの幅の4倍以上であり、
前記第2スリットの長さは、前記第2スリットの高さの4倍以上であり、
前記第2スリットの長さは、前記第2スリットの幅の4倍以上である請求項1ないしのいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1スリット及び前記第2スリットは、前記支持基板の中央方向に開口していない請求項1ないしのいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体素子は、発光素子、受光素子、スイッチング素子、前記スイッチング素子と前記受光素子を接続する第1ボンディングワイヤを含むフォトリレーであり
前記第3電極パッドは、前記スイッチング素子のドレイン電極と接続し、
前記第1スリットは、前記第1ボンディングワイヤの前記スイッチング素子との接続部分の直下に設けられている請求項1ないしのいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1スリットの長さは、前記スイッチング素子の前記第1スリットの開口部がある前記半導体素子の側面から前記スイッチング素子の前記第1スリットの開口部がある前記半導体素子の側面とは反対側の側面までの距離よりも短い請求項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1導電性接合剤と前記受光素子は、前記実装基板の前記半導体素子を向く面から垂直方向に重ならならず、
前記第2導電性接合剤と前記受光素子は、前記実装基板の前記半導体素子を向く面から垂直方向に重ならならない請求項又はに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光結合型絶縁回路を含むフォトリレーは、発光素子を用いて入力電気信号を光信号に変換し、受光素子で受光したのち電気信号を出力することができる。このため、フォトリレーは、入出力間が絶縁された状態で電気信号を伝送することができる。
【0003】
半導体集積回路などを検査する半導体テスタには、交流負荷用のフォトリレーが多数使用される。さらなるDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の広帯域化の要求に伴い、数GHzよりもさらに周波数の高い高周波信号を低損失で通過させるフォトリレーを備えた半導体装置が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-103502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実施形態は、信頼性の高い半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の半導体装置は、第1電極パッド及び第2電極パッドが設けられた実装基板と、支持基板、支持基板の実装基板を向く面に設けられている第3電極パッド及び支持基板の実装基板を向く面に設けられている第4電極パッドを有し、支持基板と第3電極パッドに第1スリットが設けられ、支持基板と第4電極パッドに第2スリットが設けられ、実装基板上に設けられた半導体素子と、第1電極パッドと第3電極パッドを接続している第1導電性接合剤と、第2電極パッドと第4電極パッドを接続している第2導電性接合剤と、を備える。支持基板に設けられている第1スリットの形状と第3電極パッドに設けられている第1スリットの形状は同じであり、支持基板に設けられている第2スリットの形状と第4電極パッドに設けられている第2スリットの形状は同じであり、支持基板は、厚さが10μm以上120μm以下のポリイミド基板である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の半導体装置の模式断面図。
図2】実施形態の半導体装置の模式上面図。
図3】実施形態の配線基板の模式斜視図。
図4】実施形態の工程模式図。
図5】実施形態の配線基板の模式図。
図6】実施形態の半導体装置の模式上面図。
図7】実施形態の配線基板の模式図。
図8】実施形態の半導体装置の模式断面図。
図9】実施形態のフォトリレーの模式斜視図。
図10】実施形態のフォトリレーの構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材についてはその説明を省略する場合がある。
【0009】
本明細書中、部品等の位置関係を示すために、図面の上方向を「上」、図面の下方向を「下」と記述する。本明細書中、「上」、「下」の概念は、必ずしも重力の向きとの関係を示す用語ではない。
【0010】
明細書中における物性は、25℃の大気雰囲気における値である。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、実施形態の半導体装置の模式断面図である。図2は、実施形態の半導体装置の模式上面図である。
【0012】
半導体装置100は、実装基板10と、半導体素子20と、第1導電性接合剤13と、第2導電性接合剤14と、を備える。
【0013】
実装基板10は、半導体素子20と接続する基板である。実装基板10は、例えば、プリント基板である。実装基板10の半導体素子20を向く面に第1電極パッド11及び第2電極パッド12が設けられている。2部の第1電極パッド11と2部の第2電極パッド12が実装基板10の表面に設けられている。
【0014】
半導体素子20は、実装基板10上に設けられている。半導体素子20は、支持基板21、第3電極パッド22及び第4電極パッド23を有する。半導体素子20は、実装基板10に第1導電性接合剤13及び第2導電性接合剤14を介して載置されている。半導体素子20は、例えば、フォトリレーである。半導体素子20は、実装基板10を向く面に支持基板21を有する。支持基板21の実装基板10を向く面に2部の第3電極パッド22と2部の第4電極パッド23が設けられている。
【0015】
実装基板10の第1電極パッド11と半導体素子20の第3電極パッド22は対向している。第1電極パッド11と第3電極パッド22は、実装基板10の半導体素子20を向く面の垂直方向に重なる。実装基板10と半導体素子20の接合部分を目視で確認する観点から、実装基板10の半導体素子20を向く面から垂直方向に第1電極パッド11と半導体素子20を重ねたとき(半導体素子20側から実装基板10方向に透視したとき)、第1電極パッド11の一部は、実装基板10の面方向で半導体素子20の外周辺より外側にはみ出ていることが好ましい。
【0016】
実装基板10の第2電極パッド12と半導体素子20の第4電極パッド23は対向している。第2電極パッド12と第4電極パッド23は、実装基板10の半導体素子20を向く面の垂直方向に重なる。実装基板10と半導体素子20の接合部分を目視で確認する観点から、実装基板10の半導体素子20を向く面から垂直方向に第2電極パッド12と半導体素子20を重ねたとき(半導体素子20側から実装基板10方向に透視したとき)、第2電極パッド12の一部は、実装基板10の面方向で半導体素子20の外周辺より外側にはみ出ていることが好ましい。
【0017】
支持基板21の角には、第3電極パッド22と第4電極パッド23は設けられていないことが好ましい。
【0018】
第1導電性接合剤13は、実装基板10と半導体素子20の間に設けられていて、半導体素子20と実装基板10を電気的に接続する。実装基板10の第1電極パッド11と半導体素子20の第3電極パッド22は、第1導電性接合剤13で接続されている。第1導電性接合剤13は、例えば、ハンダである。実装基板10と半導体素子20の接続の信頼性を向上させる観点から、第1導電性接合剤13は、第1スリット24内にも設けられていることが好ましい。
【0019】
第2導電性接合剤14は、実装基板10と半導体素子20の間に設けられていて、半導体素子20と実装基板10を電気的に接続する。実装基板10の第2電極パッド12と半導体素子20の第4電極パッド23は、第2導電性接合剤14で接続されている。第2導電性接合剤14は、例えば、ハンダである。実装基板10と半導体素子20の接続の信頼性を向上させる観点から、第2導電性接合剤14は、第2スリット25内にも設けられていることが好ましい。
【0020】
半導体素子20の第3電極パッド22と支持基板21には、第1スリット24が設けられている。第3電極パッド22の側面と支持基板21の側面は、半導体素子20の側面の一部である。第3電極パッド22の側面と支持基板21の側面は接続している。第3電極パッド22と支持基板21は積層している。第3電極パッド22の支持基板21を向く面と支持基板21の第3電極パッド22を向く面は直接的に接している。第3電極パッド22の支持基板21を向く面の全面と支持基板21の第3電極パッド22を向く面は直接的に接している。
【0021】
図3の支持基板21の模式図に示すように第1スリット24は、半導体素子20の外周辺から支持基板21の中央方向に向かって設けられていることが好ましい。つまり、第1スリット24の開口部は、半導体素子20の外周辺側に位置している。接合時の表面張力によって第1スリット24に第1導電性接合剤13が侵入し易く、また、半導体素子20の外周辺側に第1スリット24の開口部があることで、開口部側から外側に第1導電性接合剤13が広がりやすく、半導体素子20と実装基板10の接合部分が確認しやすくなる。第1スリット24が支持基板21の中央方向に開口していると、中央方向に第1導電性接合剤13が広がることで意図しない短絡をしやすく、また、半導体装置100の周波数特性が低下する原因になることがある。なお、本実施形態では、例えば、支持基板21に設けられた第1スリット24aと第3電極パッド22に設けられた第1スリット24bとを併せて第1スリット24とする。
【0022】
周波数特性及び加工性を考慮すると、支持基板21に設けられている第1スリット24の形状と第3電極パッド22に設けられている第1スリット24の形状は同じ(略同一)であることが好ましい。第1スリット24は、第3電極パッド22と支持基板21の厚さ方向に貫通していて、第1スリット24を介して半導体素子20内の部材と実装基板10が電気的に接続する。
【0023】
実装基板10と半導体素子20の接合部分を目視で確認する観点から、実装基板10の半導体素子20を向く面から垂直方向に第1導電性接合剤13と半導体素子20を重ねたとき(半導体素子20側から実装基板10方向に透視したとき)、第1導電性接合剤13の一部は、実装基板10の面方向で半導体素子20の外周辺より外側に0.05mm以上0.2mm以下の長さ(L1)はみ出ていることが好ましく、0.1mm以上0.15mm以下の長さ(L1)はみ出ていることがより好ましい。
【0024】
第1導電性接合剤13は、第3電極パッド22から第1電極パッド11の外周辺に向かって傾斜している表面を有していることが好ましい。より具体的には、第1導電性接合剤13は、第1スリット24の開口部から第1電極パッド11の外周辺に向かって傾斜している表面を有していることが好ましい。傾斜している表面を確認することで、半導体素子20と実装基板10との接続を評価することができる。第1導電性接合剤13の傾斜している表面の形状は、部分的に曲面を含むことがある。
【0025】
第1スリット24の内部は、Cuなどの金属でメッキされていることが好ましい。第1スリット24の内部のメッキは、第1スリット24が形成されている支持基板21の内側面、第1スリット24が形成されている第3電極パッド22の内側面、又は、第1スリット24が形成されている支持基板21の内側面と第1スリット24が形成されている第3電極パッド22の内側面の両方に形成されている。
【0026】
第1スリット24の高さは、支持基板21の厚さと第3電極パッド22の厚さの和であることが好ましい。第1スリット24の高さは、例えば、10μm以上100μm以下であり、例えば、25μm以上75μm以下であることが好ましい。第1スリット24の幅(開口部の幅)は、第1スリット24の開口部を有する第3電極パッド22の側面の幅の半分以下であることが好ましい。第1スリット24は長さがあるため、第1スリット24の幅が広すぎると支持基板21の強度が低下してしまう。また、第1スリット24の幅が狭すぎると第1スリット24を設ける効果が得られない。そこで、具体的には、第1スリット24の幅は、例えば、5μm以上100μm以下であり、例えば、50μm以上75μm以下であることが好ましい。
【0027】
第1スリット24は、円筒状のビアとは異なり、支持基板21の面方向に延びる。ビアよりも大きな面を有する第1スリット24に接した第1導電性接合剤13を介して実装基板10と半導体素子20を接続するため、接続の信頼性を向上させることができる。第1スリット24の長さは、第1スリット24の高さよりも長く、第1スリット24の幅よりも長い。第1スリット24の長さは、第1スリット24の高さの4倍以上であって、第1スリット24の幅の4倍以上であることが好ましい。
【0028】
半導体素子20の第4電極パッド23と支持基板21には、第2スリット25が設けられている。第4電極パッド23の側面と支持基板21の側面は、半導体素子20の側面の一部である。第4電極パッド23の側面と支持基板21の側面は接続している。第4電極パッド23と支持基板21は積層している。第4電極パッド23の支持基板21を向く面と支持基板21の第4電極パッド23を向く面は直接的に接している。第4電極パッド23の支持基板21を向く面の全面と支持基板21の第4電極パッド23を向く面は直接的に接している。
【0029】
図3の支持基板21の模式図に示すように第2スリット25は、半導体素子20の外周辺から支持基板21の中央方向に向かって設けられていることが好ましい。つまり、第2スリット25の開口部は、半導体素子20の外周辺側に位置している。接合時の表面張力によって第2スリット25に第2導電性接合剤14が侵入し易く、また、半導体素子20の外周辺側に第2スリット25の開口部があることで、開口部側から外側に第2導電性接合剤14が広がりやすく、半導体素子20と実装基板10の接合部分が確認しやすくなる。第2スリット25が支持基板21の中央方向に開口していると、中央方向に第2導電性接合剤14が広がることで意図しない短絡をしやすく、また、半導体装置100の周波数特性が低下する原因になることがある。なお、本実施形態では、例えば、支持基板21に設けられた第2スリット25aと第3電極パッド22に設けられた第2スリット25bとを併せて第2スリット25とする。
【0030】
周波数特性及び加工性を考慮すると、支持基板21に設けられている第2スリット25の形状と第4電極パッド23に設けられている第2スリット25の形状は同じ(略同一)であることが好ましい。第2スリット25は、第4電極パッド23と支持基板21の厚さ方向に貫通していて、第2スリット25を介して半導体素子20内の部材と実装基板10が電気的に接続する。
【0031】
実装基板10と半導体素子20の接合部分を目視で確認する観点から、実装基板10の半導体素子20を向く面から垂直方向に第2導電性接合剤14と半導体素子20を重ねたとき(半導体素子20側から実装基板10方向に透視したとき)、第2導電性接合剤14の一部は、実装基板10の面方向で半導体素子20の外周辺より外側に0.05mm以上0.1mm以下の長さ(L2)はみ出ていることが好ましく、0.1mm以上0.15mm以下の長さ(L2)はみ出ていることがより好ましい。
【0032】
第2導電性接合剤14は、第4電極パッド23から第2電極パッド12の外周辺に向かって傾斜している表面を有していることが好ましい。より具体的には、第2導電性接合剤14は、第2スリット25の開口部から第2電極パッド12の外周辺に向かって傾斜している表面を有していることが好ましい。傾斜している表面を確認することで、半導体素子20と実装基板10との接続を評価することができる。第2導電性接合剤14の傾斜している表面の形状は、部分的に曲面を含むことがある。
【0033】
第2スリット25の内部は、Cuなどの金属でメッキされていることが好ましい。第2スリット25の内部のメッキは、第2スリット25が形成されている支持基板21の内側面、第2スリット25が形成されている第4電極パッド23の内側面、又は、第2スリット25が形成されている支持基板21の内側面と第2スリット25が形成されている第4電極パッド23の内側面の両方に形成されている。
【0034】
第2スリット25の高さは、支持基板21の厚さと第4電極パッド23の厚さの和であることが好ましい。第2スリット25の高さは、例えば、10μm以上100μm以下であり、例えば、25μm以上75μm以下であることが好ましい。第1スリット24の幅(開口部の幅)は、第2スリット25の開口部を有する第4電極パッド23の側面の幅の半分以下であることが好ましい。第1スリット24は長さがあるため、第2スリット25の幅が広すぎると支持基板21の強度が低下してしまう。また、第2スリット25の幅が狭すぎると第2スリット25を設ける効果が得られない。そこで、具体的には、第2スリット25の幅は、例えば、25μm以上100μm以下であり、例えば、50μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0035】
第2スリット25は、円筒状のビアとは異なり、支持基板21の面方向に延びる。ビアよりも大きな面を有する第2スリット25に接した第2導電性接合剤14を介して実装基板10と半導体素子20を接続するため、接続の信頼性を向上させることができる。第2スリット25の長さは、第2スリット25の高さよりも長く、第2スリット25の幅よりも長い。第2スリット25の長さは、第2スリット25の高さの4倍以上であって、第2スリット25の幅の4倍以上であることが好ましい。
【0036】
実施形態のスリットを備えた支持基板21は、例えば、図4の工程模式図に示すような部材を加工して得ることができる。長い電極パッド22(23)が支持基板21に設けられた部材を用意し、スリットを形成し、長い電極パッド22(23)側とは反対側の支持基板21の面にも電極パッドを設けてから、ダイシングをすることで半導体素子20の支持基板21を得ることができる。レーザーを用いることで、支持基板21と電極パッド22(23)を貫通するスリットが形成される。
【0037】
スリットは、1つの電極パッドに対し、2以上設けることができる。また、スリットは、電極パッド中で折れ曲った2つの開口部を有する形態でもよい。具体的には、図5の支持基板21の模式図に示すように、第1スリット24は、第3電極パッド22中で直角に折れ曲り、半導体素子20の側面方向に2つ目の開口部を備える。また、第2スリット25は、第4電極パッド23中で直角に折れ曲り、半導体素子20の側面方向に2つ目の開口部を備える。この形態の支持基板21を有する半導体素子20を半導体装置100に用いると、図6の上面模式図に示すように半導体素子20の4つの側面のいずれからも実装基板10側に向かって第1導電性接合剤13、第2導電性接合剤14、又は、第1導電性接合剤13と第2導電性接合剤14の両方が接続する。スリットが折れ曲っている場合、スリットが折れ曲っているところまでの長さがスリットの長さである。
【0038】
第1スリット24及び第2スリット25は、それぞれ第3電極パッド22と第4電極パッド23の中心を通っても良いし、上下方向にずれて(オフセット)いてもよい。図5の模式図のような第1スリット24及び第2スリット25の場合は、上下だけで無く、左右にもずれていてもよい。
【0039】
また、支持基板21には、第1スリット24及び第2スリット25だけでなくビア26をさらに設けることもできる。
【0040】
(第2実施形態)
第2実施形態は、第1実施形態の半導体装置100の変形例である。第2実施形態の半導体装置200の断面図を図8に示す。第2実施形態の半導体素子20は、フォトリレーである。図9に半導体素子20の模式斜視図を示す。
【0041】
フォトリレー20は、受光面を上面に有する受光素子31と、受光面に光を照射する発光素子32と、スイッチング素子としてMOSFET33(34)を備える。
【0042】
フォトリレー20は、出力端子部41、42に接着されたMOSFET33(34)と、ダイパッド部35に接着され、受光面を上面に有する受光素子31と、受光面に光を照射する発光素子32と、透光性と絶縁性を有し、受光素子31の上面に発光素子32を接着する接着層36と、第1封止樹脂90と、を有する。発光素子32には、例えば、LED(Light Emitting Diode)等を用いることができる。また、受光素子31には、フォトダイオード、フォトトランジスタ、受光IC等を用いることができる。
【0043】
本図において、MOSFET33(34)は、ソース・コモン接続された2つの素子を含むものとする。但し、本発明はこれに限定されず、1つのMOSFETでもよい。それぞれのMOSFET33(34)のチップ裏面をドレインとすると、出力端子部41、42は、それぞれのMOSFET33(34)のドレインと接続される。
【0044】
第1封止樹脂90は、受光素子31と、発光素子32と、MOSFET33(34)、ポリイミド基板21の第1の面10aと、を覆い内部を保護する。発光素子32は、さらに第2封止樹脂91で封止されていてもよい。
【0045】
支持基板21には、ポリイミド基板を用いることが好ましい。ポリイミド基板21は、矩形状の第1の面側にMOSFET33(34)、受光素子31と発光素子32などが設けられていて、第1面とは反対の第2面側に第3電極パッド22と第4電極パッド23が設けられている。第3電極パッド22は、第1スリット24が設けられている。第4電極パッド23には、第2スリット25が設けられている。
【0046】
ポリイミド基板21は、10μm以上120μm以下の厚さとすることが好ましい。このように極薄いポリイミド基板21を用いることによって15GHzから30GHzといった高周波数帯域における通過特性を向上させることができる。高周波数帯域における通過特性を向上させる観点からポリイミド基板21の厚さは10μm以上100μm以下であることがより好ましい。20GHz以上のさらなる高周波数帯域における通過特性を向上させる観点からポリイミド基板21の厚さは、10μm以上60μm以下が好ましく、10μm以上30μm以下がより好ましい。ポリイミド基板21の厚さを、薄く、例えば、60μm以下とすることで、より周波数の高い高周波数帯の通過特性が更に向上することが好ましい。ポリイミド基板21が薄いため、高周波通過特性を向上させることができる。
【0047】
半導体素子20は、出力端子としては、たとえば、2つの出力端子部41、42を有する。出力端子部41、42の厚さは5μm以上50μm以下であることが好ましい。出力端子部41、42は、電極パッドであり、支持基板21の第2面側に設けられている第3電極パッド22と電気的に接続している。出力端子部41、42には、第1スリット24は設けられていない。
【0048】
半導体素子20は、入力端子として、例えば、2つの入力端子部43、44を有する。入力端子部43、44は、電極パッドであり、支持基板21の第2面側に設けられている第4電極パッド23と電気的に接続している。入力端子部43、44の厚さは5μm以上50μm以下であることが好ましい。入力端子部43、44には、第2スリット25は設けられていない。
【0049】
入力端子部43、44、出力端子部41、42、およびダイパッド部35は、ポリイミド基板21の表面に設けられたCu箔、およびその上に積層されたNi、Auなどのメッキ層などからなるものとすることができる。また、上方からみて、入力端子部43、44と、出力端子部41、42と、ダイパッド部35は、ポリイミド基板21において互いに離間し、絶縁される。
【0050】
入力端子部43は、ボンディングワイヤBW1を介して発光素子32のカソードのパッド81fと電気的に接続している。
【0051】
入力端子部44は、ボンディングワイヤBW2を介して発光素子32のアノードのパッド81eと電気的に接続している。
【0052】
受光素子31とMOSFET33、34のゲート及びソースは、ボンディングワイヤBW3、BW4、BW6、BW7を介して電気的に接続している。受光素子のパッド81a、81b、81c、81dがボンディングワイヤBW3、BW4、BW6、BW7を介して、MOSFET33、34のパッド81g、81h、81k、81lと電気的に接続している。
【0053】
MOSFET33(ソース)とMOSFET34(ソース)は、それぞれパッド81iとパッド81jを接続するボンディングワイヤBW5を介して電気的に接続している。
【0054】
高周波通過特性の半導体装置200を得る観点から、第1導電性接合剤13と受光素子31は、実装基板10の半導体素子20を向く面から垂直方向に重ならならず、第2導電性接合剤14と受光素子31は、実装基板10の半導体素子20を向く面から垂直方向に重ならならないことが好ましい。
【0055】
第1スリット24の長さは、MOSFET33、34の第1スリット24の開口部がある半導体素子20の側面からMOSFET33、34の第1スリット24の開口部がある半導体素子20の側面とは反対側の側面までの距離よりも短いことが好ましい。第1スリット24が長過ぎると、第1導電性接合剤13が発光素子32や受光素子31の下にも位置しやすく、高周波通過特性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0056】
実装基板10の半導体素子20を向く面から垂直方向に向かって、第1スリット24は、MOSFET33、34のパッド81g、81h、81k、81lと重なることが好ましい、第1スリット24がMOSFET33、34のパッド81g、81h、81k、81lと重なることで、MOSFET33、34のパッド81g、81h、81k、81lと実装基板10の第1電極パッド11までの配線距離が短くなる。上記観点から、第1スリット24の長さは、フォトリレー20の側面からMOSFET33、34の第1スリット24の開口部側のパッド81i、81jまでの距離以上でありフォトリレー20の側面からMOSFET33、34の第1スリット24の開口部側とは反対側のパッド81g、81h、81k、81lまでの距離以下であることが好ましい。
【0057】
実装基板10の半導体素子20を向く面から垂直方向に向かって、第2スリット25は、入力端子部43、44のボンディングワイヤBW1、BW2の接続面と重なることが好ましい、第2スリット25が入力端子部43、44のボンディングワイヤBW1、BW2の接続面と重なることで、入力端子部43、44と実装基板10の第2電極パッド12までの配線距離が短くなる。
【0058】
図10は、第2実施形態にかかるフォトリレーの構成図である。
受光素子31は、制御回路31aをさらに有することができる。制御回路31aは、フォトダイオードアレイ31bの第1の電極と、第2の電極と、にそれぞれ接続されている。このような構成とすると、ソース・コモン接続されたMOSFET33のそれぞれのゲートに電圧を供給できる。また、制御回路31aは抵抗などを含み、MOSFET33がオンからオフに転じる場合に放電させて立ち下がり時間を短縮することができる。
【0059】
MOSFET33、34は、たとえば、nチャネルエンハンスメント型とすることができる。図10において、MOSFET33のゲートGは、フォトダイオード31bのアノードと接続される。またそれぞれのソースSは、フォトダイオード31bのカソードと接続され、それぞれのドレインDは、出力端子部41、42と接続される。
【0060】
光信号がオンのとき、MOSFET33、34はともにオンとなり出力端子部41、42を介して、電源や負荷を含む外部回路と接続される。他方、光信号がオフのとき、MOSFET33、34はともにオフとなり、外部回路とは遮断される。ソース・コモン接続とすると、リニアー出力が可能となり、高周波信号の切り替えが容易となる。
【0061】
2つのMOSFET33、34はソース・コモン接続されており、オンの場合、高周波信号が負荷に供給される。たとえば、2つのソース電極S間を接続するボンディングワイヤの数を2本以上に増やすとソースインダクタンスを低減できる。また、2本以上のボンディングワイヤを非平行にすると、ソースインダクタンスをより低減できる。さらに、MOSFET33、34の側のボンディングワイヤの直径を、発光素子32の側のボンディングワイヤの直径よりも大きくすると、ワイヤインダクタンスを低減できる。この結果、伝送損失を低減できる。
【0062】
実施形態にかかるフォトリレー20を用いた半導体装置は、20GHz以上の高周波信号伝送損失が低減でき、さらに信頼性が高い。このため、次世代規格の超高速DRAMを含む半導体装置の高周波特性を精度よくかつ高速で測定できる。
【0063】
これらのフォトリレーは、ICなどを検査する半導体テスタを含む産業用機器などの半導体装置に広く用いることができる。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
10 :実装基板
10a :第1の面
11 :第1電極パッド
12 :第2電極パッド
13 :第1導電性接合剤
14 :第2導電性接合剤
20 :半導体素子
21 :配線基板
22 :第3電極パッド
23 :第4電極パッド
24 :第1スリット
25 :第2スリット
26 :ビア
31 :受光素子
31a :制御回路
31b :フォトダイオードアレイ
32 :発光素子
33 :MOSFET
34 :MOSFET
35 :ダイパッド部
36 :接着層
41 :出力端子部
42 :出力端子部
43 :入力端子部
44 :入力端子部
81 :パッド
90 :第1封止樹脂
91 :第2封止樹脂
100 :半導体装置
200 :半導体装置
BW:ボンディングワイヤ
D :ドレイン
G :ゲート
S :ソース電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10