(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】行動検出装置、電子機器、行動解析方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20240502BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240502BHJP
【FI】
A61B5/11 200
A61B5/11 230
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2021088071
(22)【出願日】2021-05-26
(62)【分割の表示】P 2017243375の分割
【原出願日】2017-12-20
【審査請求日】2021-06-18
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小六 泰輔
【合議体】
【審判長】三崎 仁
【審判官】石井 哲
【審判官】伊藤 幸仙
(56)【参考文献】
【文献】特許第6891793(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/11- 5/113
A61B 5/22
G06Q50/10
A63B71/06
G16H10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象者の動作に応じて逐次変動する動作情報を第1の情報として取得する第1の取得手段と、
前記動作情報と異なる種別の情報であって前記検出対象者の行動の種類を特徴付ける情報を第2の情報として取得する第2の取得手段と、
前記第1の取得手段が取得した前記第1の情報を用いて、前記検出対象者の行動の種類を特定する第1の特定手段と、
前記第2の取得手段が取得した前記第2の情報を用いて、前記検出対象者の行動の種類を特定する第2の特定手段と、
前記第1の特定手段が前記第1の情報を用いて前記検出対象者の行動の種類を特定した場合に、その特定の蓋然性が所定の第1の閾値よりも低いか否かを判断するほか、前記第1の閾値より大きい値の第2の閾値よりも高いか否かを判断する判断手段と、
前記第1の取得手段が取得した前記第1の情報を、前記検出対象者の行動として解析する解析手段と、
を備え、
前記解析手段は、前記特定の蓋然性が前記第2の閾値よりも高いと判断された場合には、前記第1の特定手段が前記第1の情報を用いて特定した前記検出対象者の行動の種類に適した行動解析を、前記第1の情報に対して行い、前記特定の蓋然性が前記第1の閾値よりも低いと判断された場合には、前記第2の特定手段が前記第2の情報を用いて特定した前記検出対象者の行動の種類に適した行動解析を、前記第1の情報に対して行い、
前記特定の蓋然性が前記第1の閾値と前記第2の閾値との間であると判断された場合に、前記第1の取得手段が取得した前記第1の情報及び前記第2の取得手段が取得した前記第2の情報を用いて、前記検出対象者の行動の種類を特定する第3の特定手段を、さらに備え、
前記解析手段は、前記第3の特定手段が前記第1の情報及び前記第2の情報を用いて特定した前記検出対象者の行動の種類に適した行動解析を、前記第1の情報に対して行う、
ことを特徴とする行動検出装置。
【請求項2】
前記解析手段は、
前記特定の蓋然性が前記第1の閾値よりも低いと判断された場合、複数種類の行動の個々に対応して予め用意されている複数の行動解析アルゴリズムの中から、前記第2の特定手段によって特定された行動の種類に対応する行動解析アルゴリズムを選択して、その選択した行動解析アルゴリズムにしたがって、前記第1の情報に対して解析を行い、
前記特定の蓋然性が前記第2の閾値よりも高いと判断された場合、複数種類の行動の個々に対応して予め用意されている複数の行動解析アルゴリズムの中から、前記第1の特定手段によって特定された行動の種類に対応する行動解析アルゴリズムを選択して、その選択した行動解析アルゴリズムにしたがって、前記第1の情報に対して解析を行い、
前記特定の蓋然性が前記第1の閾値と前記第2の閾値との間であると判断された場合、複数種類の行動の個々に対応して予め用意されている複数の行動解析アルゴリズムの中から、前記第3の特定手段によって特定された行動の種類に対応する行動解析アルゴリズムを選択して、その選択した行動解析アルゴリズムにしたがって、前記第1の情報に対して解析を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の行動検出装置。
【請求項3】
検出対象者の動作に応じて逐次変動する動作情報を第1の情報として取得する第1の取得ステップと、
前記動作情報と異なる種別の情報であって前記検出対象者の行動の種類を特徴付ける情報を第2の情報として取得する第2の取得ステップと、
前記第1の取得ステップが取得した前記第1の情報を用いて、前記検出対象者の行動の種類を特定する第1の特定ステップと、
前記第2の取得ステップが取得した前記第2の情報を用いて、前記検出対象者の行動の種類を特定する第2の特定ステップと、
前記第1の特定ステップが前記第1の情報を用いて前記検出対象者の行動の種類を特定した場合に、その特定の蓋然性が所定の第1の閾値よりも低いか否かを判断するほか、前記第1の閾値より大きい値の第2の閾値よりも高いか否かを判断する判断ステップと、
前記第1の取得ステップが取得した前記第1の情報を、前記検出対象者の行動として解析する解析ステップと、
を含み、
前記解析ステップは、前記特定の蓋然性が前記第2の閾値よりも高いと判断された場合には、前記第1の特定ステップが前記第1の情報を用いて特定した前記検出対象者の行動の種類に適した行動解析を、前記第1の情報に対して行い、前記特定の蓋然性が前記第1の閾値よりも低いと判断された場合には、前記第2の特定ステップが前記第2の情報を用いて特定した前記検出対象者の行動の種類に適した行動解析を、前記第1の情報に対して行い、
前記特定の蓋然性が前記第1の閾値と前記第2の閾値との間であると判断された場合に、前記第1の取得ステップが取得した前記第1の情報及び前記第2の取得ステップが取得した前記第2の情報を用いて、前記検出対象者の行動の種類を特定する第3の特定ステップを、さらに含み、
前記解析ステップは、前記第3の特定ステップが前記第1の情報及び前記第2の情報を用いて特定した前記検出対象者の行動の種類に適した行動解析を、前記第1の情報に対して行う、
ことを特徴とする行動検出方法。
【請求項4】
行動検出装置が有するコンピュータを、検出対象者の動作に応じて逐次変動する動作情報を第1の情報として取得する第1の取得手段、
前記動作情報と異なる種別の情報であって前記検出対象者の行動の種類を特徴付ける情報を第2の情報として取得する第2の取得手段、
前記第1の取得手段が取得した前記第1の情報を用いて、前記検出対象者の行動の種類を特定する第1の特定手段、
前記第2の取得手段が取得した前記第2の情報を用いて、前記検出対象者の行動の種類を特定する第2の特定手段、
前記第1の特定手段が前記第1の情報を用いて前記検出対象者の行動の種類を特定した場合に、その特定の蓋然性が所定の第1の閾値よりも低いか否かを判断するほか、前記第1の閾値より大きい値の第2の閾値よりも高いか否かを判断する判断手段、
前記第1の取得手段が取得した前記第1の情報を、前記検出対象者の行動として解析する解析手段、
として機能させ、
前記解析手段は、前記特定の蓋然性が前記第2の閾値よりも高いと判断された場合には、前記第1の特定手段が前記第1の情報を用いて特定した前記検出対象者の行動の種類に適した行動解析を、前記第1の情報に対して行い、前記特定の蓋然性が前記第1の閾値よりも低いと判断された場合には、前記第2の特定手段が前記第2の情報を用いて特定した前記検出対象者の行動の種類に適した行動解析を、前記第1の情報に対して行い、
前記特定の蓋然性が前記第1の閾値と前記第2の閾値との間であると判断された場合に、前記第1の取得手段が取得した前記第1の情報及び前記第2の取得手段が取得した前記第2の情報を用いて、前記検出対象者の行動の種類を特定する第3の特定手段として、さらに機能させ、
前記解析手段は、前記第3の特定手段が前記第1の情報及び前記第2の情報を用いて特定した前記検出対象者の行動の種類に適した行動解析を、前記第1の情報に対して行う、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出対象者の行動を検出する行動検出装置、電子機器、行動解析方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スポーツやライフログなどの分野では、運動管理や生活管理に活用するために、例えば、加速度センサやジャイロセンサなどによって検出対象者の動作を検出し、この検出した動作信号を解析することによって運動状態、運動量、消費エネルギーなどを求めて記憶保存するようにした行動検出装置が用いられている。この種の行動検出装置としては、1台で多種多様な行動、例えば、歩行、ジョギング、歯磨き、デスクワークなどを検出可能とした汎用的な検出装置として、従来、例えば、特開2012-211号公報などの技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、検出対象者の多種多様な行動の中には、検出した動作信号にその特徴が表れ易い行動と表れにくい行動があるが、1台で多種多様な行動を検出可能な検出装置にあっては、検出した動作信号に特徴が表れにくいと、どのような行動であるかを検出することが困難となるという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、検出対象者の色々な行動を精度よく適切に検出できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために本発明は、
検出対象者の動作に応じて逐次変動する動作情報を第1の情報として取得する第1の取得手段と、
前記動作情報と異なる種別の情報であって前記検出対象者の行動の種類を特徴付ける情報を第2の情報として取得する第2の取得手段と、
前記第1の取得手段が取得した前記第1の情報を用いて、前記検出対象者の行動の種類を特定する第1の特定手段と、
前記第2の取得手段が取得した前記第2の情報を用いて、前記検出対象者の行動の種類を特定する第2の特定手段と、
前記第1の特定手段が前記第1の情報を用いて前記検出対象者の行動の種類を特定した場合に、その特定の蓋然性が所定の第1の閾値よりも低いか否かを判断するほか、前記第1の閾値より大きい値の第2の閾値よりも高いか否かを判断する判断手段と、
前記第1の取得手段が取得した前記第1の情報を、前記検出対象者の行動として解析する解析手段と、
を備え、
前記解析手段は、前記特定の蓋然性が前記第2の閾値よりも高いと判断された場合には、前記第1の特定手段が前記第1の情報を用いて特定した前記検出対象者の行動の種類に適した行動解析を、前記第1の情報に対して行い、前記特定の蓋然性が前記第1の閾値よりも低いと判断された場合には、前記第2の特定手段が前記第2の情報を用いて特定した前記検出対象者の行動の種類に適した行動解析を、前記第1の情報に対して行い、
前記特定の蓋然性が前記第1の閾値と前記第2の閾値との間であると判断された場合に、前記第1の取得手段が取得した前記第1の情報及び前記第2の取得手段が取得した前記第2の情報を用いて、前記検出対象者の行動の種類を特定する第3の特定手段を、さらに備え、
前記解析手段は、前記第3の特定手段が前記第1の情報及び前記第2の情報を用いて特定した前記検出対象者の行動の種類に適した行動解析を、前記第1の情報に対して行う、
ことを特徴とする行動検出装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、検出対象者の色々な行動を精度よく適切に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】トレッドミル側の電子機器1とそのトレッドミルを利用する検出対象者側の行動検出装置2とが通信接続されてなる行動検出システムを示した図。
【
図2】自転車側の電子機器1とその自転車を利用する検出対象者側の行動検出装置2とが通信接続されてなる行動検出システムを示した図。
【
図3】電子機器1の基本的な構成要素を示したブロック図。
【
図4】行動検出装置2の基本的な構成要素を示したブロック図。
【
図5】電子機器1の動作概要を説明するためのフローチャート。
【
図6】行動検出装置2の動作概要を説明するためのフローチャート。
【
図7】第1実施形態の変形例(1)において、行動検出装置2の動作概要を説明するためのフローチャート。
【
図8】第2実施形態において、行動検出装置2の基本的な構成要素を示したブロック図。
【
図9】第2実施形態において、行動検出装置2の動作概要を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
まず、
図1~
図6を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
図1及び
図2は、電子機器1と行動検出装置2とが通信接続されてなる行動検出システムを示した図で、
図1は、検出対象者(例えば、ユーザ)が用具(トレッドミル)を利用して行動(ジョギング)している様子を例示した図である。
図2は、検出対象者が用具(自転車)を利用して行動(サイクリング)している様子を例示した図である。
この行動検出システムを構成する電子機器1と行動検出装置2とは、短距離無線通信を介して連携可能(送受信可能)となっている。なお、図中、“破線の矢印”や“拡大”は、電子機器1、行動検出装置2を拡大したことを示している。
【0010】
電子機器1は、検出対象者が利用するトレッドミルや自転車などの利用物側に備えられた小型機器であり、本実施形態では、利用物に着脱自由に取り付け可能であると共に、1台の電子機器1を自転車に取り付けたり、トレッドミルに取り付けたりするなど、色々な利用物に汎用的に取り付け可能となっている。なお、電子機器1は、用具の製品出荷時にその用具に固定的に取り付けられているものであってもよく、更に、利用物に取り付けられていなくても、利用物の近くに設置するようにしてもよい。
【0011】
“利用物”とは、検出対象者の行動時に利用される物を意味し、例えば、トレッドミル、自転車、寝具、文具、歯磨き用具などの他に、電車、自動車、バスなども含む。つまり、“利用物”とは、運動用具や生活用具に限らず、乗り物であってもよい。電子機器1は、Bluetooth(登録商標)規格の短距離無線通信機能(BLE:Bluetooth Low Energy)を有する構成で、この通信機能からビーコン信号を発信するビーコン発信器であり、検出対象者の行動を特徴付ける情報を含むビーコン信号を逐次発信出力するようにしている。
【0012】
“行動を特徴付ける情報”とは、検出対象者が用具などを利用して行動している場合に、その利用物の種類(トレッドミル、自転車など)を識別する情報(利用物ID)を意味し、この“行動を特徴付ける情報”をユーザ操作で任意に設定可能としている。なお、“行動を特徴付ける情報”は、利用物IDに限らず、例えば、トレッドミルを利用している場合にはウォーキングやジョギング、自転車を利用している場合にはサイクリング、自動車を利用している場合には自動車の運転など、その行動を識別する情報(行動種別ID)であってもよい。更に、利用物IDや行動種別IDに限らず、その行動を暗示又は示唆する情報などであってもよい。
【0013】
行動検出装置2は、検出対象者の動作に応じて逐次変動する動作情報(センシング動作信号)を検出するもので、検出対象者に着脱自由に装着可能となっている。すなわち、行動検出装置2は、検出対象者の動作を検出する各種のセンサ(
図1では図示省略)を有する小型のウエアラブル・モーションセンサ(センシング端末)で、この行動検出装置2には、検出対象者の任意の箇所(図示の例では上腕部)に取り付け可能な装着部2Aが設けられている。この装着部2Aは、例えば、上腕部をベルトで締めるだけの簡単な構成であるが、ベルトに限らず、クリップ構成などであってもよく、その構成は任意である。
【0014】
行動検出装置2には、検出対象者の行動を特徴付ける情報を含むビーコン信号を外部の電子機器1から受信取得する短距離無線通信機能が設けられている。行動検出装置2は、外部の電子機器1からビーコン信号を受信すると、検出したセンシング動作信号(動作情報:第1の情報)及び受信したビーコン信号(検出対象者の行動を特徴付ける情報:第2の情報)を用いて、検出対象者の行動の種類を特定する処理を行う。ここで、第1の情報及び第2の情報において、その“及び”とは、“時間的に同時”という意味に限定するものではなく、この第1の情報と第2の情報の両方を同時に用いる仕様と、第1の情報と第2情報を同時には用いない仕様(例えば、第1の情報を利用するモードと第2の情報を利用するモードの両モードを有しており、それらのモードを切り替えする仕様)とを含むことを意味している。
【0015】
行動検出装置2は、検出対象者の行動の種類、例えば、トレッドミルを利用している場合にはウォーキングやジョギング、自転車を利用している場合にはサイクリング、自動車を利用している場合には自動車の運転などを特定すると、複数種類の行動の個々に対応して予め用意されている複数の行動解析アルゴリズムの中から、特定した行動の種類に対応する行動解析アルゴリズムを選択して、その選択した行動解析アルゴリズムにしたがって動作情報(センシング動作信号)を解析すると共に、その解析結果を記憶保存するようにしている。
【0016】
図3は、電子機器(ビーコン発信器)1の基本的な構成要素を示したブロック図である。
電子機器1は、制御部11を中核とするもので、この制御部11は、電源部(二次電池)12からの電力供給によって動作し、記憶部13内に格納されている各種のプログラムに応じてこの電子機器1の全体動作を制御する。この制御部11には図示しないCPU(中央演算処理装置)やメモリなどが設けられている。記憶部13は、例えば、ROM、フラッシュメモリなどを有する構成で、
図5に示した動作手順に応じて第1実施形態を実現するためのプログラムや各種のアプリケーションが記憶されている。本実施形態では、上述したように複数種類の行動の個々に対応して予め用意されている複数の行動解析アルゴリズムが記述されている解析プログラム13aが記憶されている他、検出対象者が用具などを利用して行動している場合にその利用物の種類(トレッドミル、自転車など)を識別する情報(利用物ID)13bが記憶されている。
【0017】
制御部11にはその入出力デバイスとして操作部14、無線通信部15が接続されている。操作部14は、図示省略したが、電源をオン又はオフする電源キー、設定モード又は発信モードに切り替えるモードキー、上述の利用物IDを入力するキーなどを有している。ここで、設定モードは、利用物IDを入力設定する動作モード、発信モードは、この設定した利用物IDを発信出力する動作モードである。無線通信部15は、BLEのビーコンのアドバタイジングパケット内に利用物IDを含めたビーコン信号を逐次発信出力するが、このアドバタイジングパケットの電波到達可能範囲は、例えば、トレッドミル・自転車側に備えられている電子機器1であれば、30cm程度の範囲内、自動車に備えられている電子機器1であれば、2m程度の範囲内といった具合に設定されている。すなわち、用具の種類に応じてアドバタイジングパケットの電波強度を変化させることによってビーコンの有効範囲(電波到達可能範囲)が異なる(混信防止を図る)ようにしている。
【0018】
図4は、行動検出装置2の基本的な構成要素を示したブロック図である。
行動検出装置2は、制御部21を中核とするもので、制御部21は、電源部(二次電池)22からの電力供給によって動作し、記憶部23内に格納されている各種のプログラムに応じてこの行動検出装置2の全体動作を制御する。この制御部21には図示しないCPU(中央演算処理装置)やメモリなどが設けられている。記憶部23は、例えば、ROM、フラッシュメモリなどを有する構成で、
図6に示した動作手順に応じて第1実施形態を実現するためのプログラムや各種のアプリケーションなどが格納されているプログラムメモリ23a、フラグなどのデータを一時記憶するワークメモリ23bなどを有している。なお、記憶部23は、例えば、SDカード、USBメモリなど、着脱自在な可搬型メモリ(記録メディア)を含む構成であってもよく、通信機能を介してネットワークに接続されている状態においては所定のサーバ装置側の記憶領域を含むものであってもよい。
【0019】
制御部21にはその入力デバイスとして、操作部24、センサ部25、無線通信部26が接続されている。操作部24は、図示省略したが、電源オン又はオフする電源キー、検出開始又は終了を指示する開始/終了キーなどを備え、制御部11は、この操作部24からの入力操作信号に応じた処理を行う。センサ部25は、各種のセンサとして、例えば、3軸の加速度センサ・ジャイロセンサ・地磁気センサ(図示省略)を有し、加速度、傾き、方向などを検出する構成で、各センサ特性の違いに応じて、ゆっくりとした動き及び素早い動きなど、あらゆる動作に対応可能な三次元モーションセンサ(動作検出部)であり、検出対象者の動作に応じて逐次変動するセンシング動作信号を出力する。なお、行動検出装置2は、その全体が長方形の薄型筐体であり、例えば、筐体の短辺の方向を3軸のX軸方向、筐体の長辺の方向を3軸のY軸方向、筐体の厚さ方向を3軸のZ軸方向としているが、センサ部(動作検出部)25を構成する各種のセンサは、3軸に限らないことは勿論である。
【0020】
無線通信部26は、Bluetooth(登録商標)規格の短距離無線通信機能(BLE)を構成するもので、制御部21は、検出対象者の動作に応じて逐次変動するセンシング動作信号を解析した結果、必要に応じて無線通信部26を起動する。この状態において制御部21は、電子機器1から逐次発信されるビーコン信号を受信すると、そのアドバタイジングパケット内の利用物IDを取得し、この利用物IDを用いて、検出対象者の行動の種類を特定する処理を行うようにしている。
【0021】
次に、第1実施形態における電子機器(ビーコン発信器)1及び行動検出装置2の動作概念を
図5及び
図6に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、ネットワークなどの伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。このことは後述する他の実施形態においても同様であり、記録媒体の他に、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用して本実施形態特有の動作を実行することもできる。
【0022】
図5は、電子機器(ビーコン発信器)1の動作概要を説明するためのフローチャートである。
電子機器1の制御部11は、操作部14のモードキー(図示省略)が操作されて、設定モードに切り替えられたか(ステップA1)、発信モードに切り替えられたかを調べ(ステップA4)、設定モードにおいて(ステップA1でYES)、利用物IDを入力する操作が行われると(ステップA2)、入力された利用物IDを記憶部13に上書きしてその設定を変更する処理を行う(ステップA3)。なお、利用物IDを入力するキー数を少なくするために、例えば、同じキーを連続して押した回数を利用物IDとして入力するようにしてもよい。
【0023】
また、発信モードに切り替えられると(ステップA4でYES)、記憶部13から利用物IDを読み出し、この利用物IDをビーコンのアドバタイジングパケット内に入れて、無線通信部26からこのビーコン信号を発信出力させる(ステップA5)。この際、制御部11は、この利用物IDを基に利用物の種類を判断し、その種類に応じてアドバタイジングパケットの電波強度(電波到達可能範囲)を変化させてビーコン信号を発信出力させるようにしている。その後、ステップA6に移り、電源がオフされたかを調べ、電源がオフされるまで上述のステップA1に戻り、以下、上述の動作を繰り返す。
【0024】
図6は、行動検出装置2の動作概要を説明するためのフローチャートである。
行動検出装置2の制御部21は、操作部24の開始/終了キーの操作によって検出開始が指示されると(ステップB1でYES)、センサ部(動作検出部)25からセンシング動作信号(動作情報)を取得(ステップB2)すると共に、このセンシング動作信号を逐次解析することにより検出対象者の行動の種類を暫定的に特定し(ステップB3)、その特定の蓋然性(確率)を判断する(ステップB4)。すなわち、センシング動作信号に基づいて検出対象者の行動検出が可能であるかを判断する。ここで、検出対象者の行動の種類を暫定的に特定した場合にその特定の蓋然性(確率)は、第1の閾値(例えば、30%)よりも低いか、第2の閾値(例えば、80%)よりも高いか、上述の第1の閾値と第2の閾値との間か、つまり、中位かを判断する。
【0025】
いま、特定の蓋然性(確率)が第2の閾値(例えば、80%)よりも高い場合、例えば、センシング動作信号を解析した結果、その動作信号の波形に特徴が顕著に表れているような場合、例えば、ジョギングなどのように振動状態(強度、周期)など多くの点で特徴的な波形を持った信号であれば、特定の蓋然性(確率)は高いと判断する、つまり、センシング動作信号に基づいて検出対象者の行動検出が可能であると判断する。この場合、電子機器1から逐次発信されるビーコン信号(行動を特徴付ける情報:第2の情報)を用いることなく、上述したステップB3の特定結果(センシング動作信号を用いて特定した行動の種類)を有効として、ステップB8~ステップB11の実行に移る。
【0026】
すなわち、まず、センサ部(動作検出部)25内の各種センサの中からその特定結果(行動の種類)に適したセンサを選択すると共に、複数の行動解析アルゴリズムの中からその特定結果(行動の種類)に該当する行動解析アルゴリズムを選択する(ステップB8)。そして、この選択した行動解析アルゴリズムを起動させて、選択したセンサからのセンシング動作信号に基づいて行動解析処理を開始し(ステップB9)、その解析結果を記憶部23に逐次記憶させる(ステップB10)。その後、操作部24の開始/終了キーの操作によって検出終了が指示されたかを調べ(ステップB11)、検出終了が指示されるまで上述のステップB2に戻り、上述と同様に、センシング動作信号を用いて検出対象者の行動の種類を特定しながらその蓋然性を判断し(ステップB3、B4)、その蓋然性が高いままであれば、以下、上述の動作を繰り返す。
【0027】
また、特定の蓋然性(確率)が第1の閾値(例えば、30%)よりも低い場合、例えば、例えば、センシング動作信号を解析した結果、ゆっくりとした特徴の少ない波形信号であれば、特定の蓋然性(確率)は低いと判断する、つまり、センシング動作信号に基づいて検出対象者の行動検出が不可能であると判断する。この場合、ステップB5に移り、無線通信部26を起動させて電子機器1から逐次発信されるビーコン信号を受信可能な状態とする。ここで、ビーコン信号の電波到達可能範囲内に、行動検出装置2が入ったか、つまり、ビーコン信号を正常受信したかを調べる(ステップB6)。その結果、ビーコン信号を正常受信しなければ(ステップB6でNO)、以下、上述のステップB2に戻り、上述と同様に、センシング動作信号を用いて検出対象者の行動の種類を特定しながらその蓋然性を判断し(ステップB3、B4)、その蓋然性が低いままであれば、以下、上述の動作を繰り返す。
【0028】
ここで、特定の蓋然性(確率)が低いままビーコン信号を正常受信した場合には(ステップB6でYES)、受信したビーコン信号のアドバタイジングパケットから検出対象者の行動を特徴付ける情報(利用物ID)を取得し、この利用物IDを用いて、検出対象者の行動の種類を再特定する(ステップB7)。そして、上述のステップB3の特定結果(行動の種類)を用いることなく、上述のステップB7の再特定結果(行動の種類)を有効として、以下、上述のステップB8~ステップB11の実行に移り、その再特定結果(行動の種類)に該当する行動解析アルゴリズムを選択して行動解析を行い、その解析結果を逐次記憶する処理を行う。
【0029】
一方、特定の蓋然性(確率)が第1の閾値と第2の閾値との間の中位の場合、例えば、トレッドミルを利用している場合に、検出対象者はウォーキングを行っているのか、ジョギングを行っているのかを判断することができないような場合、特定の蓋然性(確率)は中位と判断される。この場合、ステップB12に移り、無線通信部26を起動させることにより、電子機器1から逐次発信されるビーコン信号を受信可能な状態とする。ここで、ビーコン信号の電波到達可能範囲内に、行動検出装置2が入ったか、つまり、ビーコン信号を正常受信したかを調べる(ステップB13)。その結果、ビーコン信号を正常受信しなければ(ステップB13でNO)、上述のステップB2に戻り、上述と同様に、センシング動作信号に用いて検出対象者の行動の種類を特定しながらその蓋然性を判断し(ステップB3、B4)、その蓋然性が中位のままであれば、以下、上述の動作を繰り返す。
【0030】
ここで、特定の蓋然性(確率)が中位のままビーコン信号を正常受信すると(ステップB13でYES)、受信したビーコン信号のアドバタイジングパケットから検出対象者の行動を特徴付ける情報(利用物ID)を取得する(ステップB14)。そして、この取得した利用物ID及び上述のステップB3で得られた特定結果を用いて、検出対象者の行動の種類を再特定する(ステップB15)。すなわち、センシング動作信号(動作情報)及びビーコン信号(検出対象者の行動を特徴付ける情報)を用いて、検出対象者の行動の種類を再特定する。例えば、センシング動作信号を用いて、行動の種類を複数候補として特定されている状態において、ビーコン信号を用いて行動の種類を絞り込むようにすれば、特定の精度を上げることができる。これによって得られた再特定結果(行動の種類)を有効として、以下、上述のステップB8~ステップB11の実行に移り、その再特定結果(行動の種類)に該当する行動解析アルゴリズムを選択して行動解析を行い、その解析結果を逐次記憶する処理を行う。
【0031】
以上のように、第1実施形態において行動検出装置2の制御部21は、検出対象者の動作に応じて逐次変動するセンシング動作信号(動作情報)を第1の情報としてセンサ部25より取得し、検出対象者の行動を特徴付ける情報を第2の情報として外部の電子機器1より取得し、この第1の情報及び第2の情報に用いて、検出対象者の行動の種類を特定するようにしたので、検出対象者の色々な行動をその種類毎に適切に検出することができる。例えば、センシング動作信号に特徴が表れにくい行動の場合でも、どのような行動であるかを、時間をかけずに容易に検出することができ、また、検出対象者の行動が移り替わった場合にも、その移り替わりを、時間をかけずに容易に検出することができるなど、色々な行動を適切に検出することが可能となる。
【0032】
行動検出装置2は、検出対象者が利用している物を識別する情報(利用物ID)をその利用物側の電子機器1より無線通信部26から取得するようにしたので、この利用物IDを用いることによって検出対象者がどのような行動をしているかを精度良く特定することが可能となる。
【0033】
行動検出装置2は、第1の情報に基づいて検出対象者の行動検出が可能であるか否かを判断し、検出可能であれば(特定の蓋然性が高ければ)、第2の情報を用いることなく、第1の情報を用いて、検出対象者の行動の種類を特定し、検出不可能であれば(特定の蓋然性が低ければ)、第2の情報を用いて、検出対象者の行動の種類を特定するようにしたので、特徴が顕著に表れる行動であれば、第1の情報を用いて、特徴が表れにくい行動であれば、第2の情報を用いて、行動の種類を精度良く特定することができる。このように条件付で第2の情報を用いるために第2の情報を常に検知し続ける必要がなく、消費電力の抑制の点でも有利なものとなる。
【0034】
行動検出装置2は、検出対象者の行動検出の蓋然性に応じて、第1の情報を用いるか、第2の情報を用いるか、第1の情報及び第2の情報を用いるかを決定して検出対象者の行動の種類を特定するようにしたので、その蓋然性が高ければ、第1の情報を用いて特定し、蓋然性が低ければ、第2の情報を用いて特定し、蓋然性が中程度であれば、第1の情報及び第2の情報を用いて特定するなど、使い分けが可能となり、検出対象者の色々な行動をその種類毎に適切に検出することができる。このように蓋然性が中程度であれば、第1の情報及び第2の情報を用いて特定することにより、例えば、トレッドミルの利用時に検出対象者はウォーキングを行っているのか、ジョギングを行っているのかを的確に特定することが可能となる。
【0035】
行動検出装置2は、特定した行動の種類に対応する行動解析を第1の情報に対して行うようにしたので、検出対象者の色々な行動をその種類毎に適切に検出することができる。
【0036】
行動検出装置2は、複数種類の行動の個々に対応して予め用意されている複数の行動解析アルゴリズムの中から、特定した行動の種類に対応する行動解析アルゴリズムを選択して、その選択した行動解析アルゴリズムにしたがって第1の情報を解析するようにしたので、検出対象者の行動に適した最適な解析を行うことができる。
【0037】
行動検出装置2は、電子機器1より発信されるビーコン信号を受信することにより第2の情報を取得するようにしたので、そのアドバタイジングパケットに第2の情報を含めることができると共に、既存のBluetooth(登録商標)規格の短距離無線通信機能を第2の情報の取得手段として活用することもできる。
【0038】
電子機器1は、検出対象者の行動を特徴付ける情報を発信するようにしたので、行動検出装置2に対する補助的な機器として利用することができ、行動検出装置2側ではこの発信された情報(行動を特徴付ける情報)に基づいて検出対象者の行動の種類を容易に特定することが可能となる。
【0039】
行動検出装置2と電子機器1とが通信接続されてなる行動検出システムであって、電子機器1は、検出対象者の行動を特徴付ける情報を発信し、行動検出装置2は、検出対象者の動作に応じて逐次変動するセンシング動作信号(動作情報)を第1の情報としてセンサ部25から取得し、検出対象者の行動を特徴付ける情報を第2の情報として外部の電子機器1より取得し、この第1の情報及び第2の情報に用いて、検出対象者の行動の種類を特定するようにしたので、検出対象者の色々な行動をその種類毎に適切に検出することができる。
【0040】
(変形例1)
なお、上述した実施形態においては、センシング動作信号に基づいて行動の種類を特定した際の蓋然性(確率)を判断し、その判断結果に基づいて行動の種類の特定及び行動解析の方法を変えるようにしたが、常に電子機器1から発信されるビーコン信号のみによって行動の種類を特定するようにしてもよい。すなわち、検出対象者の動作に応じて逐次変動する動作情報を第1の情報として取得すると共に、この動作情報と異なる種別の情報であって検出対象者の行動を特徴付ける情報を第2の情報として取得し、この取得した第2の情報を用いて、行動の種類を特定するとき、この特定した行動の種類に対応する解析を、第1の情報に対して行うようにしてもよい。
【0041】
図7は、第1実施形態の変形例(1)を示した行動検出装置2の動作概要を説明するためのフローチャートである。
まず、検出開始が指示されると(ステップB101でYES)、電子機器1からのビーコン信号を受信し(ステップB102)、このビーコン信号のみを用いて行動の種類を特定する(ステップB103)。そして、この特定した行動の種類に該当する解析アルゴリズムを選択(ステップB104)した後、センサ部25からセンシング動作信号を取得し(ステップB105)、選択した解析アルゴリズムでセンシング動作信号を解析する行動解析を開始(ステップB106)と共に、その解析結果を記憶部23に逐次記憶させる(ステップB107)。以下、検出終了が指示されるまで(ステップB108)、上述のステップB102に戻り、上述の動作を繰り返す。
このように第2の情報(ビーコン信号)のみを用いて、検出対象者の行動の種類を特定するようにすれば、行動の種類の特定がより簡単かつ確実なものとなる。
【0042】
(変形例2)
上述した第1実施形態において行動検出装置2は、第1の情報及び第2の情報を用いて、検出対象者の行動の種類を再特定する場合に、第1の情報を用いた特定結果(行動の種類)及び電子機器1から取得した第2の情報を用いて、検出対象者の行動の種類を再特定するようにしたが、第1の情報及び第2の情報を同時に用いて検出対象者の行動の種類を特定するようにしてもよい。つまり、特定の蓋然性を判断せずに、第1の情報及び第2の情報を同時に用いて検出対象者の行動の種類を特定するようにしてもよい。これによっても検出対象者の色々な行動をその種類毎に適切に検出することができる。
【0043】
(変形例3)
上述した第1実施形態において電子機器1は、“行動を特徴付ける情報”として、利用物を識別する利用物IDを示したが、上述したように行動を識別する行動種別ID、行動を暗示又は示唆する情報などであってもよい。更に、自己の電子機器1を識別する情報(自機器ID)であってもよい。すなわち、電子機器1は、“行動を特徴付ける情報”として、自機器IDを含むビーコン信号を発信出力するようにしてもよい。この場合、行動検出装置2側では、複数の電子機器1と利用物とを対応付ける対応テーブル(図示省略)を用意しておき、受信したビーコン信号内の自機器IDに基づいて対応テーブルを検索し、該当する利用物を特定するようにしてもよい。なお、この場合、ユーザ操作によって対応テーブルの内容を任意に設定可能とすればよい。
【0044】
(第2実施形態)
以下、この発明の第2実施形態について
図8及び
図9を参照して説明する。
なお、上述した第1実施形態において行動検出装置2は、検出対象者の行動を特徴付ける情報を第2の情報として外部の電子機器1より取得するようにしたが、この第2実施形態においては、行動検出装置2に撮像機能及び集音機能を備え、これらの各機能によって得られた画像情報及び音声情報を周囲の環境情報として取得するようにしたものである。ここで、両実施形態において基本的あるいは名称的に同一のものは、同一符号を付して示し、その説明を省略すると共に、以下、第2実施形態の特徴部分を中心に説明するものとする。
【0045】
図8は、第2実施形態において行動検出装置2の基本的な構成要素を示したブロック図である。
行動検出装置2は、
図4に示したように制御部21を中核として電源部22、記憶部23、操作部24、センサ部25を有する他、第2実施形態では環境検出部27を有する構成となっている。センサ部25は、上述したように各種のセンサとして、例えば、3軸の加速度センサ・ジャイロセンサ・地磁気センサを有し、加速度、傾き、方向などを検出する構成で、検出対象者の動作に応じて逐次変動するセンシング動作信号を出力する。
【0046】
環境検出部27は、カメラ機能及び集音機能を有し、検出対象者の周囲の環境情報として、カメラ(図示省略)によって撮影された画像情報とマイクロフォン(図示省略)によって集音された音声情報を周囲の環境情報として出力するもので、制御部21は、センサ部25によって検出されたセンシング動作信号(動作情報)と、環境検出部27によって検出された環境情報を取得し、この動作情報及び環境情報を用いて、検出対象者の行動の種類を特定するようにしている。ここで、第1実施形態と同様に、動作情報及び環境情報において、その“及び”とは、“時間的に同時”という意味に限定するものではなく、この動作情報と環境情報を同時には用いない仕様(例えば、第1の情報を利用するモードと第2の情報を利用するモードの両モードを有しており、それらのモードを切り替えする仕様)の両方を用いる仕様を含むことを意味している。
【0047】
図9は、第2実施形態において、行動検出装置2の動作概要を説明するためのフローチャートである。なお、
図9のステップC1~C4は、
図6のステップB1~B4に対応する同様の処理であり、また、ステップC7~C10は、
図6のステップB8~B11に対応する同様の処理であるため、その詳細な説明は省略するものとする。
行動検出装置2の制御部21は、検出開始が指示されると(ステップC1でYES)、センサ部25からセンシング動作信号(動作情報)を取得(ステップC2)すると共に、このセンシング動作信号を逐次解析することにより検出対象者の行動の種類を特定し(ステップC3)、その特定の蓋然性(確率)を判断し(ステップC4)、その特定の蓋然性(確率)が高ければ、特定した行動の種類を有効として、以下、ステップC7~ステップC10の実行に移り、その特定結果(行動の種類)に該当する行動解析アルゴリズムを選択して行動解析を行い、その解析結果を逐次記憶する処理を行う。
【0048】
また、特定の蓋然性(確率)が低ければ、ステップC5に移り、環境検出部27を起動して周囲の環境情報(画像及び音声)を取得し、この環境情報に基づいて検出対象者の行動の種類を再特定する(ステップC6)。例えば、検出対象者は帽子の正面や上腕などに行動検出装置2を取り付けてスキー、ゴルフ、野球などの運動を行っている場合に、その周囲の環境として、景色、歓声、打球音などを示す環境情報を用いて、行動の種類を再特定する。これによって得られた再特定の結果(行動の種類)を有効として、以下、ステップC7~ステップC10の実行に移り、その再特定結果(行動の種類)に該当する行動解析アルゴリズムを選択して行動解析を行い、その解析結果を逐次記憶する処理を行う。
【0049】
また、特定の蓋然性(確率)が中位であれば、環境検出部27を起動して周囲の環境情報(画像及び音声)を取得し(ステップC12)、この取得した環境情報及び上述のステップC3の特定結果(行動の種類)を用いて、検出対象者の行動の種類を再特定する(ステップC13)。すなわち、センシング動作信号(動作情報)及び環境情報を用いて、検出対象者の行動の種類を再特定する。これによって得られた再特定の結果(行動の種類)を有効として、以下、上述のステップC7~ステップC10の実行に移り、その再特定結果(行動の種類)に該当する行動解析アルゴリズムを選択して行動解析を行い、その解析結果を逐次記憶する処理を行う。
【0050】
以上のように、第2実施形態において行動検出装置2の制御部21は、検出対象者の動作に応じて逐次変動する動作情報を取得すると共に、検出対象者の周囲の環境情報を取得し、この取得した動作情報及び環境情報を用いて、検出対象者の行動の種類を特定するようにしたので、検出対象者の色々な行動をその種類毎に適切に検出することができる。例えば、動作信号に特徴が表れにくい場合でも、どのような行動であるかを、時間をかけずに容易に検出することができ、また、検出対象者の行動が移り替わった場合にも、その移り替わりを、時間をかけずに容易に検出することができるなど、色々な行動を適切に検出することが可能となる。
【0051】
なお、上述した第2実施形態において環境検出部27は、カメラ機能及び集音機能を有する構成としたが、更に、高度計、GPS(Global Positioning System)などを検出する機能を設け、現在の高度・位置などの環境情報を取得するようにしてもよい。
【0052】
上述した第2実施形態において行動検出装置2は、環境検出部27を内蔵した構成としたが、外部の電子機器から環境情報を受信したり、ネットワークから環境情報を受信したりするようにしてもよい。
【0053】
また、上述した各実施形態において行動検出装置2は、行動検出専用の装置とした場合を示したが、これに限らず、行動検出機能付きの・PDA(個人向け携帯型情報通信機器)・スマートフォンなどの携帯電話機・電子ゲーム機・音楽プレイヤーなどに適用するようにしてもよい。
【0054】
また、上述した各実施形態において示した“装置”や“部”とは、機能別に複数の筐体に分離されていてもよく、単一の筐体に限らない。また、上述したフローチャートに記述した各ステップは、時系列的な処理に限らず、複数のステップを並列的に処理したり、別個独立して処理したりするようにしてもよい。
【0055】
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下、本願出願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、
検出対象者の動作に応じて逐次変動する動作情報を第1の情報として取得する第1の取得手段と、
前記検出対象者の行動を特徴付ける情報を第2の情報として取得する第2の取得手段と、
前記第1の取得手段によって取得された第1の情報及び前記第2の取得手段によって取得された第2の情報を用いて、前記検出対象者の行動の種類を特定する特定手段と、
を備えることを特徴とする行動検出装置である。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の行動検出装置において、
前記第2の取得手段は、前記検出対象者が利用している物を識別する情報、又は検出対象者の行動を識別する情報を前記第2の情報としてその利用物側の電子機器より通信手段を介して取得する、
ことを特徴とする。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の行動検出装置において、
前記特定手段は、前記第1の取得手段によって取得された第1の情報に基づいて前記検出対象者の行動検出が可能であるか否かを判断し、検出可能であれば、前記第2の取得手段によって取得された第2の情報を用いることなく、前記第1の情報を用いて、前記検出対象者の行動の種類を特定し、且つ検出不可能であれば、前記第2の取得手段によって取得された第2の情報を用いて、前記検出対象者の行動の種類を特定する、
ことを特徴とする。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の行動検出装置において、
前記特定手段は、前記第1の取得手段によって取得された第1の情報に基づいて前記検出対象者の行動検出の蓋然性を判断し、その蓋然性に応じて、前記第1の取得手段によって取得された第1の情報を用いる第1の方法、前記第2の取得手段によって取得された第2の情報を用いる第2の方法、前記第1の情報及び前記第2の情報を用いる第3の方法の何れかを決定し、その決定した方法を用いて、前記検出対象者の行動の種類を特定する、
ことを特徴とする。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の行動検出装置において、
前記特定手段は、前記第1の取得手段によって取得された第1の情報及び前記第2の取得手段によって取得された第2の情報を同時に用いて、前記検出対象者の行動の種類を特定する、
ことを特徴とする。
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れかに記載の行動検出装置において、
前記第1の取得手段によって取得された第1の情報を解析する解析手段を、更に備え、
前記解析手段は、前記特定手段によって特定された行動の種類に対応する解析を前記第1の情報に対して行う、
ことを特徴とする。
(請求項7)
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の行動検出装置において、
前記解析手段は、複数種類の行動の個々に対応して予め用意されている複数の行動解析アルゴリズムの中から前記特定手段によって特定された行動の種類に対応する行動解析アルゴリズムを選択して、その選択した行動解析アルゴリズムにしたがって前記第1の情報を解析する、
ことを特徴とする。
(請求項8)
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の何れかに記載の行動検出装置において、
前記第2の取得手段は、前記電子機器より発信されるビーコン信号を受信することにより前記第2の情報を取得する、
ことを特徴とする。
(請求項9)
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8の何れかに記載の行動検出装置において、
前記第2の取得手段は、前記検出対象者の周囲の環境情報を前記第2の情報として取得する、
ことを特徴とする。
(請求項10)
請求項10に記載の発明は、
検出対象者の動作に応じて逐次変動する動作情報を第1の情報として取得する第1の取得手段と、
前記動作情報と異なる種別の情報であって前記検出対象者の行動を特徴付ける情報を第2の情報として取得する第2の取得手段と、
前記第2の取得手段によって取得された第2の情報を用いて、前記検出対象者の行動の種類を特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定された前記検出対象者の行動の種類に対応する解析を前記第1の取得手段によって取得された前記第1の情報に対して行う解析手段と、
を備えることを特徴とする行動検出装置である。
(請求項11)
請求項11に記載の発明は、
検出対象者の行動を検出する行動検出装置に通信接続される電子機器であって、
前記検出対象者の行動を特徴付ける情報を発信する発信手段を、備える、
ことを特徴とする電子機器である。
(請求項12)
請求項12に記載の発明は、
検出対象者の行動を検出する行動検出装置と電子機器とが通信接続されてなる行動検出システムであって、
前記電子機器は、
前記検出対象者の行動を特徴付ける情報を発信する発信手段を、備え、
前記行動検出装置は、
前記検出対象者の動作に応じて逐次変動する動作情報を第1の情報として取得する第1の取得手段と、前記検出対象者の行動を特徴付ける情報を第2の情報として取得する第2の取得手段と、前記第1の取得手段によって取得された第1の情報及び前記第2の取得手段によって取得された第2の情報を用いて、前記検出対象者の行動の種類を特定する特定手段と、を備える、
ことを特徴とする行動検出システムである。
(請求項13)
請求項13に記載の発明は、
行動検出装置における行動検出方法であって、
検出対象者の動作に応じて逐次変動する動作情報を第1の情報として取得する処理と、
前記検出対象者の行動を特徴付ける情報を第2の情報として取得する処理と、
前記第1の情報及び前記第2の情報を用いて、前記検出対象者の行動の種類を特定する処理と、
を含むことを特徴とする。
(請求項14)
請求項14に記載の発明は、
行動検出装置のコンピュータに対して、
検出対象者の動作に応じて逐次変動する動作情報を第1の情報として取得する機能と、
前記検出対象者の行動を特徴付ける情報を第2の情報として取得する機能と、
前記第1の情報及び前記第2の情報を用いて、前記検出対象者の行動の種類を特定する機能と、
を実現させるためのプログラムである。
【符号の説明】
【0056】
1 電子機器
2 行動検出装置
11、21 制御部
13、23 記憶部
15、26 無線通信部
25 センサ部
27 環境検出部