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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240502BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240502BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240502BHJP
   H01L 21/314 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
H01L29/78 652K
H01L29/78 653C
H01L29/78 652M
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
H01L29/78 658F
H01L21/314 M
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021092780
(22)【出願日】2021-06-02
(65)【公開番号】P2022185245
(43)【公開日】2022-12-14
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】小林 勇介
(72)【発明者】
【氏名】清水 達雄
(72)【発明者】
【氏名】井口 智明
(72)【発明者】
【氏名】雁木 比呂
(72)【発明者】
【氏名】根本 宏樹
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-181933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/06
H01L 21/336
H01L 21/314
H01L 21/316
H01L 21/318
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
第2電極であって、前記第1電極から前記第2電極への方向は、第1方向に沿う、前記第2電極と、
第3電極であって、前記第3電極は、第3電極端部及び第3電極他端部を含み、前記第3電極端部は、前記第1方向において前記第1電極と前記第3電極他端部との間にある、前記第3電極と、
第1導電部材であって、前記第1導電部材は、第1導電部材端部及び第1導電部材他端部を含み、前記第1導電部材端部は、前記第1方向において前記第1電極と前記第1導電部材他端部との間にあり、前記第1導電部材端部の前記第1方向における位置は、前記第1電極の前記第1方向における前記位置と、前記第3電極端部の前記第1方向における位置との間にあり、前記第1導電部材は、前記第2電極及び前記第3電極の一方と電気的に接続された、または、前記第1導電部材は、前記一方と電気的に接続されることが可能である、前記第1導電部材と、
半導体部材であって、前記半導体部材は、第1導電形の第1半導体領域と、第2導電形の第2半導体領域と、前記第1導電形の第3半導体領域と、を含み、
前記第1半導体領域は、第1部分領域及び第2部分領域を含み、
前記第1部分領域は、前記第1方向において、前記第1電極と前記第2電極との間にあり、
前記第2半導体領域は、前記第1方向において前記第1部分領域と前記第3半導体領域との間にあり、
前記第3半導体領域は、前記第2電極と電気的に接続され、
前記第3電極の一部から前記第2半導体領域への第2方向は、前記第1方向と交差し、
前記第3電極の別の一部から前記第1部分領域の一部への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第2部分領域から前記第1導電部材への方向は、前記第1方向に沿い、
前記第1導電部材から前記第1部分領域への方向は、前記第2方向に沿う、前記半導体部材と、
シリコン及び酸素を含む第1絶縁部材であって、前記第1絶縁部材は、第1位置、第2位置、及び第3位置を含み、前記第1位置は、前記第1方向において、前記第2部分領域と前記第1導電部材端部との間にあり、前記第2位置は、前記第2方向において前記第1導電部材と前記第1部分領域との間にあり、前記第1位置から前記第3位置への方向は、前記第2方向に沿い、前記第3位置の前記第1方向における位置は、前記第2部分領域の前記第1方向における位置と、前記第2位置の前記第1方向における位置と、の間にあり、前記第1絶縁部材は、前記第3位置において、窒素、アルミニウム、ハフニウム及びジルコニウムよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第1元素を含み、前記第1絶縁部材は、前記第1位置及び前記第2位置において前記第1元素を含まない、または、前記第1位置における前記第1元素の濃度及び前記第2位置における前記第1元素の濃度のそれぞれは、前記第3位置における前記第1元素の濃度よりも低い、前記第1絶縁部材と、
備え、
前記第1絶縁部材は、第4位置を含み、
前記第4位置の前記第1方向における位置は、前記第3位置の前記第1方向における前記位置と、前記第2位置の前記第1方向における前記位置と、の間にあり、
前記第4位置における前記第1元素の濃度は、前記第3位置における前記第1元素の濃度と、前記第2位置における前記第1元素の前記濃度と、の間である、半導体装置。
【請求項2】
第1電極と、
第2電極であって、前記第1電極から前記第2電極への方向は、第1方向に沿う、前記第2電極と、
第3電極であって、前記第3電極は、第3電極端部及び第3電極他端部を含み、前記第3電極端部は、前記第1方向において前記第1電極と前記第3電極他端部との間にある、前記第3電極と、
第1導電部材であって、前記第1導電部材は、第1導電部材端部及び第1導電部材他端部を含み、前記第1導電部材端部は、前記第1方向において前記第1電極と前記第1導電部材他端部との間にあり、前記第1導電部材端部の前記第1方向における位置は、前記第1電極の前記第1方向における前記位置と、前記第3電極端部の前記第1方向における位置との間にあり、前記第1導電部材は、前記第2電極及び前記第3電極の一方と電気的に接続された、または、前記第1導電部材は、前記一方と電気的に接続されることが可能である、前記第1導電部材と、
半導体部材であって、前記半導体部材は、第1導電形の第1半導体領域と、第2導電形の第2半導体領域と、前記第1導電形の第3半導体領域と、を含み、
前記第1半導体領域は、第1部分領域及び第2部分領域を含み、
前記第1部分領域は、前記第1方向において、前記第1電極と前記第2電極との間にあり、
前記第2半導体領域は、前記第1方向において前記第1部分領域と前記第3半導体領域との間にあり、
前記第3半導体領域は、前記第2電極と電気的に接続され、
前記第3電極の一部から前記第2半導体領域への第2方向は、前記第1方向と交差し、
前記第3電極の別の一部から前記第1部分領域の一部への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第2部分領域から前記第1導電部材への方向は、前記第1方向に沿い、
前記第1導電部材から前記第1部分領域への方向は、前記第2方向に沿う、前記半導体部材と、
シリコン及び酸素を含む第1絶縁部材であって、前記第1絶縁部材は、第1位置、第2位置、及び第3位置を含み、前記第1位置は、前記第1方向において、前記第2部分領域と前記第1導電部材端部との間にあり、前記第2位置は、前記第2方向において前記第1導電部材と前記第1部分領域との間にあり、前記第1位置から前記第3位置への方向は、前記第2方向に沿い、前記第3位置の前記第1方向における位置は、前記第2部分領域の前記第1方向における位置と、前記第2位置の前記第1方向における位置と、の間にあり、前記第1絶縁部材は、前記第3位置において、窒素及びハフニウムよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第1元素を含み、前記第1絶縁部材は、前記第1位置及び前記第2位置において前記第1元素を含まない、または、前記第1位置における前記第1元素の濃度及び前記第2位置における前記第1元素の濃度のそれぞれは、前記第3位置における前記第1元素の濃度よりも低い、前記第1絶縁部材と、
備えた半導体装置。
【請求項3】
前記第1絶縁部材は、第5位置を含み、
前記第5位置は、前記第2方向において、前記第3電極と前記第2半導体領域との間にあり、
前記第1絶縁部材は、前記第5位置において前記第1元素を含まない、または、前記第5位置における前記第1元素の濃度は、前記第3位置における前記第1元素の前記濃度よりも低い、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
第1電極と、
第2電極であって、前記第1電極から前記第2電極への方向は、第1方向に沿う、前記第2電極と、
第3電極であって、前記第3電極は、第3電極端部及び第3電極他端部を含み、前記第3電極端部は、前記第1方向において前記第1電極と前記第3電極他端部との間にある、前記第3電極と、
第1導電部材であって、前記第1導電部材は、第1導電部材端部及び第1導電部材他端部を含み、前記第1導電部材端部は、前記第1方向において前記第1電極と前記第1導電部材他端部との間にあり、前記第1導電部材端部の前記第1方向における位置は、前記第1電極の前記第1方向における前記位置と、前記第3電極端部の前記第1方向における位置との間にあり、前記第1導電部材は、前記第2電極及び前記第3電極の一方と電気的に接続された、または、前記第1導電部材は、前記一方と電気的に接続されることが可能である、前記第1導電部材と、
半導体部材であって、前記半導体部材は、第1導電形の第1半導体領域と、第2導電形の第2半導体領域と、前記第1導電形の第3半導体領域と、を含み、
前記第1半導体領域は、第1部分領域及び第2部分領域を含み、
前記第1部分領域は、前記第1方向において、前記第1電極と前記第2電極との間にあり、
前記第2半導体領域は、前記第1方向において前記第1部分領域と前記第3半導体領域との間にあり、
前記第3半導体領域は、前記第2電極と電気的に接続され、
前記第3電極の一部から前記第2半導体領域への第2方向は、前記第1方向と交差し、
前記第3電極の別の一部から前記第1部分領域の一部への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第2部分領域から前記第1導電部材への方向は、前記第1方向に沿い、
前記第1導電部材から前記第1部分領域への方向は、前記第2方向に沿う、前記半導体部材と、
シリコン及び酸素を含む第1絶縁部材であって、前記第1絶縁部材は、第1絶縁領域、第2絶縁領域、及び第3絶縁領域を含み、
前記第1絶縁領域は、前記第1方向において、前記第2部分領域と前記第1導電部材端部との間にあり、
前記第2絶縁領域は、前記第2方向において前記第1導電部材と前記第1部分領域との間にあり、
前記第1絶縁領域から前記第3絶縁領域の少なくとも一部への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第3絶縁領域の前記第1方向における位置は、前記第2部分領域の前記第1方向における位置と、前記第2絶縁領域の前記第1方向における位置と、の間にあり、
前記第3絶縁領域は、窒素、アルミニウム、ハフニウム及びジルコニウムよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第1元素を含み、
前記第1絶縁領域及び前記第2絶縁領域は、前記第1元素を含まない、または、前記第1絶縁領域における前記第1元素の濃度、及び、前記第2絶縁領域における前記第1元素の濃度のそれぞれは、前記第3絶縁領域における前記第1元素の濃度よりも低い、前記第1絶縁部材と、
を備え、
前記第1絶縁部材は、第4絶縁領域を含み、
前記第4絶縁領域の前記第1方向における位置は、前記第3絶縁領域の前記第1方向における前記位置と、前記第2絶縁領域の前記第1方向における前記位置と、の間にあり、
前記第4絶縁領域における前記第1元素の濃度は、前記第3絶縁領域における前記第1元素の濃度と、前記第2絶縁領域における前記第1元素の前記濃度と、の間である、
半導体装置。
【請求項5】
前記第1絶縁部材は、第5絶縁領域を含み、
前記第5絶縁領域は、前記第2方向において、前記第3電極と前記第2半導体領域との間にあり、
前記第5絶縁領域は前記第1元素を含まない、または、前記第5絶縁領域における前記第1元素の濃度は、前記第3絶縁領域における前記第1元素の前記濃度よりも低い、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第3絶縁領域は、
前記第1元素を含む第1領域と、
前記第1元素を含む第2領域と、
前記第1領域と前記第2領域との間に設けられた第1中間領域と、
を含み、
前記第1領域は、前記第2方向において前記第2領域の一部と前記第1部分領域との間にあり、
前記第1中間領域は、前記第1元素を含まない、または、前記第1中間領域における前記第1元素の濃度は、前記第1領域における前記第1元素の濃度よりも低く、前記第2領域における前記第1元素の濃度よりも低い、請求項4または5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1領域は、前記第1方向において、前記第1電極と、前記第2領域の他部と、の間にある、請求項記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1領域、及び、前記第2領域の前記一部は、前記第1方向に沿って延びる、請求項またはに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1領域は、互いに前記第1方向に離れた複数の前記第1元素を含む領域を含む、請求項のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第3絶縁領域は、
前記第1元素を含む第3領域と、
前記第2領域と前記第3領域との間に設けられた第2中間領域と、
をさらに含み、
前記第2領域は、前記第2方向において前記第3領域の一部と前記第1部分領域との間にあり、
前記第2中間領域は、前記第1元素を含まない、または、前記第2中間領域における前記第1元素の濃度は、前記第2領域における前記第1元素の濃度よりも低く、前記第3領域における前記第1元素の濃度よりも低い、請求項のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第2領域の他部は、前記第1方向において前記第1電極と、前記第3領域の他部と、の間にある、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第3絶縁領域は、第1方向端部及び第1方向他端部を含み、
前記第1方向端部は、前記第1方向において前記第2部分領域と前記第1方向他端部との間にあり、
第1距離に対する第2距離の第1比は、0.15以上0.85以下であり、
前記第1距離は、前記第1導電部材端部の前記第1方向における前記位置と、前記第3電極端部の前記第1方向における前記位置と、の間の前記第1方向に沿う距離であり、
前記第2距離は、前記第1導電部材端部の前記第1方向における前記位置と、前記第1方向他端部の前記第1方向における位置と、の間の前記第1方向に沿う距離である、請求項4~1のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第3絶縁領域は、第2方向端部及び第2方向他端部を含み、
前記第2方向端部は、前記第2方向において前記第2方向他端部と前記第1部分領域との間にあり、
第3距離に対する第4距離の第2比は、0.16以上0.9以下であり、
前記第3距離は、前記第1導電部材端部の前記第2方向における位置と、前記第2方向端部の前記第2方向における前記位置と、の間の前記第2方向に沿う距離であり、
前記第4距離は、前記第1導電部材端部の前記第2方向における前記位置と、前記第2方向他端部の前記第2方向における位置と、の間の前記第2方向に沿う距離である、請求項4~1のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項14】
第1電極と、
第2電極であって、前記第1電極から前記第2電極への方向は、第1方向に沿う、前記第2電極と、
第3電極であって、前記第3電極は、第3電極端部及び第3電極他端部を含み、前記第3電極端部は、前記第1方向において前記第1電極と前記第3電極他端部との間にある、前記第3電極と、
第1導電部材であって、前記第1導電部材は、第1導電部材端部及び第1導電部材他端部を含み、前記第1導電部材端部は、前記第1方向において前記第1電極と前記第1導電部材他端部との間にあり、前記第1導電部材端部の前記第1方向における位置は、前記第1電極の前記第1方向における前記位置と、前記第3電極端部の前記第1方向における位置との間にあり、前記第1導電部材は、前記第2電極及び前記第3電極の一方と電気的に接続された、または、前記第1導電部材は、前記一方と電気的に接続されることが可能である、前記第1導電部材と、
半導体部材であって、前記半導体部材は、第1導電形の第1半導体領域と、第2導電形の第2半導体領域と、前記第1導電形の第3半導体領域と、を含み、
前記第1半導体領域は、第1部分領域及び第2部分領域を含み、
前記第1部分領域は、前記第1方向において、前記第1電極と前記第2電極との間にあり、
前記第2半導体領域は、前記第1方向において前記第1部分領域と前記第3半導体領域との間にあり、
前記第3半導体領域は、前記第2電極と電気的に接続され、
前記第3電極の一部から前記第2半導体領域への第2方向は、前記第1方向と交差し、
前記第3電極の別の一部から前記第1部分領域の一部への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第2部分領域から前記第1導電部材への方向は、前記第1方向に沿い、
前記第1導電部材から前記第1部分領域への方向は、前記第2方向に沿う、前記半導体部材と、
シリコン及び酸素を含む第1絶縁部材であって、前記第1絶縁部材は、第1絶縁領域、第2絶縁領域、及び第3絶縁領域を含み、
前記第1絶縁領域は、前記第1方向において、前記第2部分領域と前記第1導電部材端部との間にあり、
前記第2絶縁領域は、前記第2方向において前記第1導電部材と前記第1部分領域との間にあり、
前記第1絶縁領域から前記第3絶縁領域の少なくとも一部への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第3絶縁領域の前記第1方向における位置は、前記第2部分領域の前記第1方向における位置と、前記第2絶縁領域の前記第1方向における位置と、の間にあり、
前記第3絶縁領域は、
窒素、アルミニウム、ハフニウム及びジルコニウムよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第1元素を含む第1領域と、
前記第1元素を含む第2領域と、
前記第1領域と前記第2領域との間に設けられた第1中間領域と、
を含み、
前記第1領域は、前記第2方向において前記第2領域の一部と前記第1部分領域との間にあり、
前記第1中間領域は、前記第1元素を含まない、または、前記第1中間領域における前記第1元素の濃度は、前記第1領域における前記第1元素の濃度よりも低く、前記第2領域における前記第1元素の濃度よりも低く、
前記第1絶縁領域及び前記第2絶縁領域は、前記第1元素を含まない、または、前記第1絶縁領域における前記第1元素の濃度、及び、前記第2絶縁領域における前記第1元素の濃度のそれぞれは、前記第1領域における前記第1元素の前記濃度よりも低く、前記第2領域における前記第1元素の前記濃度よりも低い、前記第1絶縁部材と、
を備えた半導体装置。
【請求項15】
前記第1領域は、前記第1方向において、前記第1電極と、前記第2領域の他部と、の間にある、請求項1記載の半導体装置。
【請求項16】
前記第3絶縁領域は、
前記第1元素を含む第3領域と、
前記第2領域と前記第3領域との間に設けられた第2中間領域と、
をさらに含み、
前記第2領域は、前記第2方向において前記第3領域の一部と前記第1部分領域との間にあり、
前記第2中間領域は、前記第1元素を含まない、または、前記第2中間領域における前記第1元素の濃度は、前記第2領域における前記第1元素の濃度よりも低く、前記第3領域における前記第1元素の濃度よりも低い、請求項1記載の半導体装置。
【請求項17】
底面、下側面及び上側面を含む穴を含む半導体部材の前記底面、前記下側面及び前記上側面に、第1元素を含む第1膜を形成し、前記第1元素は、窒素、アルミニウム、ハフニウム及びジルコニウムよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、前記下側面と前記底面との間の距離は、前記上側面と前記底面との間の距離よりも短く、前記第1膜は、前記底面に設けられた第1底面領域と、前記下側面に設けられた第1下側面領域と、前記上側面に設けられた第1上側面領域と、を含み、
前記第1下側面領域を残しつつ前記第1底面領域及び前記第1上側面領域を除去し、
前記底面、前記第1下側面領域及び前記上側面に第2元素を含む第2膜を形成し、前記第2元素は、窒素、アルミニウム、ハフニウム及びジルコニウムよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、前記第2膜は、前記底面に設けられた第2底面領域と、前記第1下側面領域に設けられた第2下側面領域と、前記上側面に設けられた第2上側面領域と、を含み、
前記第2下側面領域を残しつつ前記第2底面領域及び前記第2上側面領域を除去し、
前記底面、前記第2下側面領域及び前記上側面に、シリコン及び酸素を含む第2絶縁膜を形成し、
前記第2絶縁膜の形成の後の前記穴の中に第1導電部材を形成する半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記第1膜の形成の前に、前記穴の表面に酸化領域を形成する、請求項17に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記第1底面領域及び前記第1上側面領域の前記除去と、前記第2膜の前記形成との間に、
前記底面、前記第1下側面領域及び前記上側面に、シリコン及び酸素を含む第1絶縁膜を形成し、
前記第2膜は、前記第1絶縁膜の上に形成される、請求項1または1に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、トランジスタなどの半導体装置において、特性の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-078741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、特性を向上できる半導体装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、半導体装置は、第1電極、第2電極、第3電極、第1導電部材、半導体部材及び第1絶縁部材を含む。前記第1電極から前記第2電極への方向は、第1方向に沿う。前記第3電極は、第3電極端部及び第3電極他端部を含む。前記第3電極端部は、前記第1方向において前記第1電極と前記第3電極他端部との間にある。前記第1導電部材は、第1導電部材端部及び第1導電部材他端部を含む。前記第1導電部材端部は、前記第1方向において前記第1電極と前記第1導電部材他端部との間にある。前記第1導電部材端部の前記第1方向における位置は、前記第1電極の前記第1方向における前記位置と、前記第3電極端部の前記第1方向における位置との間にある。前記第1導電部材は、前記第2電極及び前記第3電極の一方と電気的に接続される。または、前記第1導電部材は、前記一方と電気的に接続されることが可能である。前記半導体部材は、第1導電形の第1半導体領域と、第2導電形の第2半導体領域と、前記第1導電形の第3半導体領域と、を含む。前記第1半導体領域は、第1部分領域及び第2部分領域を含む。前記第1部分領域は、前記第1方向において、前記第1電極と前記第2電極との間にある。前記第2半導体領域は、前記第1方向において前記第1部分領域と前記第3半導体領域との間にある。前記第3半導体領域は、前記第2電極と電気的に接続される。前記第3電極の一部から前記第2半導体領域への第2方向は、前記第1方向と交差する。前記第3電極の別の一部から前記第1部分領域の一部への方向は、前記第2方向に沿う。前記第2部分領域から前記第1導電部材への方向は、前記第1方向に沿う。前記第1導電部材から前記第1部分領域への方向は、前記第2方向に沿う。前記第1絶縁部材は、シリコン及び酸素を含む。前記第1絶縁部材は、第1位置、第2位置、及び第3位置を含む。前記第1位置は、前記第1方向において、前記第2部分領域と前記第1導電部材端部との間にある。前記第2位置は、前記第2方向において前記第1導電部材と前記第1部分領域との間にある。前記第1位置から前記第3位置への方向は、前記第2方向に沿う。前記第3位置の前記第1方向における位置は、前記第2部分領域の前記第1方向における位置と、前記第2位置の前記第1方向における位置と、の間にある。前記第1絶縁部材は、前記第3位置において、窒素、アルミニウム、ハフニウム及びジルコニウムよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第1元素を含む。前記第1絶縁部材は、前記第1位置及び前記第2位置において前記第1元素を含まない。または、前記第1位置における前記第1元素の濃度及び前記第2位置における前記第1元素の濃度のそれぞれは、前記第3位置における前記第1元素の濃度よりも低い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図2図2は、参考例の半導体装置を例示する模式的断面図である。
図3図3は、参考例の半導体装置を例示する模式的断面図である。
図4図4は、参考例の半導体装置を例示する模式的断面図である。
図5図5は、半導体装置を例示する模式的断面図である。
図6図6は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図7図7は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図8図8は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図9図9は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図10図10は、第1実施形態に係る半導体装置の一部を例示する模式的断面図である。
図11図11は、第1実施形態に係る半導体装置の一部を例示する模式的断面図である。
図12図12は、半導体装置を例示する模式的断面図である。
図13図13(a)~図13(c)は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図14図14は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図15図15は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図16図16は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図17図17は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図18図18は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図19図19は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図20図20は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図21図21は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図22図22は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図23図23は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図1に示すように、実施形態に係る半導体装置110は、第1電極51、第2電極52、第3電極53、第1導電部材61、半導体部材10及び第1絶縁部材41を含む。
【0009】
第1電極51から第2電極52への方向は、第1方向に沿う。第1方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0010】
第3電極53は、第3電極端部53a及び第3電極他端部53bを含む。第3電極端部53aは、第1方向(Z軸方向)において第1電極51と第3電極他端部53bとの間にある。第3電極端部53aは、第1電極51の側の端部である。第3電極他端部53bは、第2電極52の側の端部である。
【0011】
第1導電部材61は、第1導電部材端部61a及び第1導電部材他端部61bを含む。第1導電部材端部61aは、第1方向(Z軸方向)において第1電極51と第1導電部材他端部61bとの間にある。第1導電部材端部61aは、第1電極51の側の端部である。第1導電部材他端部61bは、第2電極52の側の端部である。第1導電部材端部61aの第1方向(Z軸方向)における位置は、第1電極51の第1方向における位置と、第3電極端部53aの第1方向における位置との間にある。
【0012】
第1導電部材61は、第2電極52及び第3電極53の一方と電気的に接続される。または、第1導電部材61は、第2電極52及び第3電極53の一方と電気的に接続されることが可能である。半導体装置110においては、第1導電部材61は、第2電極52と電気的に接続される。
【0013】
例えば、図1に示すように、第1導電部材61は、接続部材61C、接続部材52LL及び接続部材52Cを介して、第2電極52と電気的に接続される。これらの接続部材は、図1に例示する断面とは異なる位置に設けられて良い。例えば、端子52Tが接続部材52Cを介して、第2電極52と接続されても良い。端子61Tが、接続部材61Cを介して第1導電部材61と電気的に接続されても良い。接続部材52LLにより、端子61Tが端子52Tと電気的に接続されても良い。接続部材52LLは、半導体装置110とは別に設けられても良い。
【0014】
半導体部材10は、例えば、第1電極51と第2電極52との間にある。半導体部材10は、例えば、シリコンなどの半導体を含む。
【0015】
半導体部材10は、第1導電形の第1半導体領域11と、第2導電形の第2半導体領域12と、第1導電形の第3半導体領域13と、を含む。図1に示すように、半導体部材10は、第4半導体領域14をさらに含んでも良い。図1に示すように、半導体部材10は、第5半導体領域15をさらに含んでも良い。
【0016】
例えば、第1導電形はn形であり、第2導電形はp形である。実施形態において、第1導電形がp形で第2導電形がn形でも良い。以下の例では、第1導電形がn形であり、第2導電形がp形である。
【0017】
第1半導体領域11は、第1部分領域11a及び第2部分領域11bを含む。例えば、第1部分領域11aは、第1方向(Z軸方向)において、第1電極51と第2電極52との間にある。
【0018】
第2半導体領域12は、第1方向(Z軸方向)において、第1部分領域11aと第3半導体領域13との間にある。例えば、第1電極51と第2電極52との間に第1部分領域11a、第2半導体領域12及び第3半導体領域13がある。第3半導体領域13は、第2電極52と電気的に接続される。
【0019】
第3電極53の一部から第2半導体領域12への第2方向は、第1方向と交差する。第2方向は、例えば、X軸方向である。
【0020】
第3電極53の別の一部から第1部分領域11aの一部への方向は、第2方向(例えばX軸方向)に沿う。
【0021】
第1半導体領域11の第2部分領域11bから第1導電部材61への方向は、第1方向(Z軸方向)に沿う。第1導電部材61から第1部分領域11aへの方向は、第2方向(例えばX軸方向)に沿う。
【0022】
第4半導体領域14は、第1方向(Z軸方向)において第1電極51と第1半導体領域11との間に設けられる。第4半導体領域14は、第1導電形(例えばn形)である。第4半導体領域14は、第1電極51と電気的に接続される。第4半導体領域14は、例えば半導体基板を含んでも良い。
【0023】
第4半導体領域14における第1導電形のキャリア濃度は、第1半導体領域11における第1導電形のキャリア濃度よりも高い。第1半導体領域11は、例えばn領域またはn領域である。第4半導体領域14は、例えば、n領域である。第4半導体領域14が設けられることで、第1電極51の電気的な接続の抵抗を低くできる。例えば、低いオン抵抗が得られる。
【0024】
第3半導体領域13における第1導電形のキャリア濃度は、第1半導体領域11における第1導電形のキャリア濃度よりも高い。第3半導体領域13は、例えばn領域である。
【0025】
第5半導体領域15が設けられる場合、第5半導体領域15は、例えば、第2半導体領域12と第2電極52との間に設けられる。第5半導体領域15は、第2導電形(例えばp形)である。第5半導体領域15における第2導電形のキャリア濃度は、第2半導体領域12における第2導電形のキャリア濃度よりも高い。例えば、第2半導体領域12は、p領域である。第5半導体領域15は、p領域である。第5半導体領域15が設けられることで、第2電極52の電気的な接続の抵抗を低くできる。例えば、低いオン抵抗が得られる。
【0026】
この例では、第2電極52は、部分52a及び部分52bを含む。第5半導体領域15は、第2半導体領域12と部分52aとの間にある。第3電極53は、第1電極51と部分52bとの間にある。
【0027】
第1絶縁部材41は、シリコン及び酸素を含む。後述するように、第1絶縁部材41の一部は、例えば、SiOを含む。第1絶縁部材41の別の一部は、別の元素(後述する第1元素)を含んでも良い。
【0028】
第1絶縁部材41は、第3電極53と半導体部材10との間、及び、第1導電部材61と半導体部材10との間にある。第1絶縁部材41は、第3電極53と半導体部材10との間を電気的に絶縁する。第1導電部材61は、第1導電部材61と半導体部材10との間を電気的に絶縁する。第1絶縁部材41の一部(例えば後述する第5絶縁領域41e)は、第3電極53と第2半導体領域12との間にある。
【0029】
例えば、第1電極51と第2電極52との間に流れる電流は、第3電極53の電位により制御できる。第3電極53の電位は、例えば、第2電極52の電位を基準にした電位である。第1電極51は、例えば、ドレイン電極として機能する。第2電極52は、例えば、ソース電極として機能する。第3電極53は、例えば、ゲート電極として機能する。第1絶縁部材41の一部は、例えば、ゲート絶縁膜として機能する。第1導電部材61は、例えば、フィールドプレートとして機能する。半導体装置110は、例えば、トランジスタである。
【0030】
図1に示すように、第1絶縁部材41は、第1位置p1、第2位置p2、及び第3位置p3を含む。第1位置p1は、第1方向(Z軸方向)において、第2部分領域11bと第1導電部材端部61aとの間にある。第2位置p2は、第2方向(X軸方向)において第1導電部材61と第1部分領域11aとの間にある。第1位置p1から第3位置p3への方向は、第2方向(例えばX軸方向)に沿う。第3位置p3の第1方向(Z軸方向)における位置は、第2部分領域11bの第1方向における位置と、第2位置p2の第1方向における位置と、の間にある。
【0031】
第1絶縁部材41は、第3位置p3において、第1元素を含む。第1元素は、窒素、アルミニウム、ハフニウム及びジルコニウムよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1絶縁部材41は、第1位置p1及び第2位置p2において第1元素を含まない。または、第1位置p1における第1元素の濃度及び第2位置p2における第1元素の濃度のそれぞれは、第3位置p3における第1元素の濃度よりも低い。1つの例において、第3位置p3は、例えば、SiONを含む。例えば、第3位置p3は、例えば、アルミニウム、ハフニウム及びジルコニウムよりなる群から選択された少なくとも1つの酸化物を含んでも良い。
【0032】
例えば、第1絶縁部材41は、第1絶縁領域41a、第2絶縁領域41b、及び、第3絶縁領域41cを含む。第1絶縁領域41aは、上記の第1位置p1を含む。第2絶縁領域41bは、上記の第2位置p2を含む。第3絶縁領域41cは、上記の第3位置p3を含む。
【0033】
第1絶縁領域41aは、第1方向(Z軸方向)において、第2部分領域11bと第1導電部材端部61aとの間にある。第2絶縁領域41bは、第2方向(X軸方向)において第1導電部材61と第1部分領域11aとの間にある。
【0034】
第1絶縁領域41aから第3絶縁領域41cの少なくとも一部への方向は、第2方向(X軸方向)に沿う。第3絶縁領域41cの第1方向(Z軸方向)における位置は、第2部分領域11bの第1方向における位置と、第2絶縁領域41bの第1方向における位置と、の間にある。
【0035】
第3絶縁領域41cは、窒素、アルミニウム、ハフニウム及びジルコニウムよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第1元素を含む。第1絶縁領域41a及び第2絶縁領域41bは、第1元素を含まない。または、第1絶縁領域41aにおける第1元素の濃度、及び、第2絶縁領域41bにおける第1元素の濃度のそれぞれは、第3絶縁領域41cにおける第1元素の濃度よりも低い。1つの例において、第3絶縁領域41cは、例えば、SiONを含む。例えば、第3絶縁領域41cは、例えば、アルミニウム、ハフニウム及びジルコニウムよりなる群から選択された少なくとも1つの酸化物を含んでも良い。
【0036】
このような構成により、例えば、高い耐圧が得られる。これは、上記の第1元素が電荷(例えば固定電荷)として機能するからであると考えられる。例えば、第1導電部材61の近傍において、電界の局所的な集中が抑制できる。実施形態によれば、例えば、高い耐圧と低いオン抵抗とが得られる。実施形態によれば、特性を向上できる半導体装置を提供できる。
【0037】
図2図4は、参考例の半導体装置を例示する模式的断面図である。
図2に示すように、第1参考例の半導体装置119aにおいては、上記の第3絶縁領域41cが設けられない。第1絶縁部材41は、第1~第3位置p1~p3において、第1元素を含まない。第1参考例においては、第1絶縁部材41の全体がSiOである。第1参考例では、十分に高い耐圧を得ることが困難である。または、高い耐圧を得ようとすると、オン抵抗が高くなる。
【0038】
図3に示すように、第2参考例の半導体装置119bにおいては、第1元素を含む第3絶縁領域41cが設けられる。第2参考例においては、第1絶縁領域41aも第1元素を含む。第1絶縁部材41は、第1位置p1及び第3位置p3において第1元素を含む。このような第2参考例において、十分に高い耐圧を得ることが困難であることがわかった。または、高い耐圧を得ようとすると、オン抵抗が高くなる。
【0039】
図4に示すように、第3参考例の半導体装置119cにおいては、第1元素を含む第3絶縁領域41cが設けられる。第3参考例においては、第2絶縁領域41bも第1元素を含む。第1絶縁部材41は、第2位置p2及び第3位置p3において第1元素を含む。このような第3参考例において、十分に高い耐圧を得ることが困難であることがわかった。または、高い耐圧を得ようとすると、オン抵抗が高くなる。
【0040】
実施形態においては、第3絶縁領域41cにおいて、第1元素の濃度が高く、第1絶縁領域41a及び第2絶縁領域41bにおいて第1元素の濃度が低い。このような構成により、高い耐圧が得られる。以下、半導体装置の特性の例について説明する。
【0041】
図5は、半導体装置を例示する模式的断面図である。
図5に示すように、第3絶縁領域41cは、第1方向端部43a及び第1方向他端部43bを含む。第1方向端部43aは、第1方向(Z軸方向)において第2部分領域11bと第1方向他端部43bとの間にある。第1方向端部43aは、第1電極51の側の端部である。第1方向他端部43bは、第2電極52の側の端部である。
【0042】
第1導電部材端部61aの第1方向における位置と、第3電極端部53aの第1方向における位置と、の間の第1方向に沿う距離を第1距離d1とする。第1導電部材端部61aの第1方向(Z軸方向)における位置と、第1方向他端部43bの第1方向における位置と、の間の第1方向に沿う距離を第2距離d2とする。第1距離d1は、第3電極端部53aを基準にしたときの、第1導電部材端部61aの深さに対応する。第2距離d2は、例えば、第1導電部材端部61aの深さを基準にしたときの、第3絶縁領域41cの上端の深さに対応する。
【0043】
第1距離d1に対するの第2距離d2の比(d2/d1)を第1比とする。第1比が0のとき、第3絶縁領域41cの上端の深さは、第1導電部材端部61aの深さと同じである。第1比が1のとき、例えば、第3絶縁領域41cの上端は、第3電極53と接する。この場合は、第3参考例の半導体装置119cに対応する。
【0044】
図5に示すように、第3絶縁領域41cは、第2方向端部44a及び第2方向他端部44bを含む。第2方向端部44aは、第2方向(例えばX軸方向)において第2方向他端部44bと第1部分領域11aとの間にある。第2方向端部44aは、X軸方向において、第1導電部材61の側の端部である。第2方向他端部44bは、X軸方向において、第1部分領域11aの側の端部である。
【0045】
第1導電部材端部61aの第2方向(例えばX軸方向)における位置と、第2方向端部44aの第2方向における位置と、の間の第2方向に沿う距離(例えば最短距離)を第3距離x3とする。第1導電部材端部61aの第2方向(例えばX軸方向)における位置と、第2方向他端部44bの第2方向における位置と、の間の第2方向に沿う距離(例えば最短距離)を第4距離x4とする。第1導電部材端部61aの第2方向(例えばX軸方向)における位置は、X軸方向において、第1導電部材端部61aの、第1部分領域11aの側の端の位置である。
【0046】
第3距離x3に対する第4距離x4の比(x4/x3)を第2比とする。第2比が0の時、第2方向他端部44bは、Z軸方向において、第1導電部材端部61aの第1部分領域11aの側の端と重なる。第2比が負の場合の1つの例が、第2参考例の半導体装置119bに対応する。第2比が1のとき、第3絶縁領域41cが実質的に設けられない。第2比が1の条件は、例えば、第1参考例の半導体装置119aに対応する。
【0047】
以下、第1距離d1と第2距離d2との関係を変更したときの特性のシミュレーション結果の例について説明する。
【0048】
図6は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図6の横軸は、第1比RR1である。既に説明したように、第1比RR1は、第1距離d1に対する第2距離d2の比である。図6の縦軸は、相対的なブロッキング電圧ΔBVである。相対的なブロッキング電圧ΔBVは、上記の第1参考例におけるブロッキング電圧を基準にしたときのブロッキング電圧である。図6において、第2比は、0.8に固定されている。相対的なブロッキング電圧ΔBVが大きいことが好ましい。
【0049】
図6に示すように、第1比RR1が0.1を超えると、相対的なブロッキング電圧ΔBVが上昇する。第1比RR1が0.66以上になると、相対的なブロッキング電圧ΔBVが低下し始める。第1比RR1が0.15以上0.85以下において、高いブロッキング電圧ΔBVが得られる。
【0050】
実施形態において、第1比RR1は、0.15以上0.85以下であることか好ましい。第1比RR1は、0.2以上0.8以下であることかさらに好ましい。高いブロッキング電圧ΔBVが安定して得られる。第1比RR1は、0.21以上0.77以下でも良い。高いブロッキング電圧ΔBVが安定して得られる。
【0051】
図6に示すように、第1比RR1が1である第3参考例の半導体装置119cにおいては、ブロッキング電圧ΔBVは、低い。
【0052】
以下、第3距離x3と第4距離x4との関係を変更したときの特性のシミュレーション結果の例について説明する。
【0053】
図7は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図7の横軸は、第2比RR2である。既に説明したように、第2比RR2は、第3距離x3に対する第4距離x4の比である。図6の縦軸は、相対的なブロッキング電圧ΔBVである。図7において、第1比RR1は、0.435に固定されている。
【0054】
図7に示すように、第2比RR2が実質的に0の場合(第2参考例の半導体装置119b)、ブロッキング電圧ΔBVは低い。第2比RR2が高くなるとブロッキング電圧ΔBVは上昇する。既に説明しように、第2比RR2が1の条件は、第1参考例の半導体装置119aに対応し、この場合、ブロッキング電圧ΔBVは低い。第2比RR2が0よりも高く、1未満において、高いブロッキング電圧ΔBVが得られる。この範囲ないにおいて、第2比RR2が上昇すると、ブロッキング電圧ΔBVが上昇する。
【0055】
実施形態において、第2比RR2は、例えば、0.16以上1未満であることが好ましい。第2比RR2は、例えば、0.16以上0.9以下でも良い。高いブロッキング電圧ΔBVが得られる。実施形態において、第2比RR2は、例えば、0.36以上でも良い。高いブロッキング電圧ΔBV安定して得られる。第2比RR2は、例えば、0.58以上でも良い。さらに高いブロッキング電圧ΔBVが安定して得られる。
【0056】
図1に示すように、実施形態において、第1絶縁部材41は、第4位置p4を含んでも良い。第4位置p4の第1方向(Z軸方向)における位置は、第3位置p3の第1方向における位置と、第2位置p2の第1方向における位置と、の間にある。第4位置p4における第1元素の濃度は、例えば、第3位置p3における第1元素の濃度と、第2位置p2における第1元素の濃度と、の間である。このように、第1元素の濃度が中間の領域が設けけられても良い。
【0057】
例えば、第1絶縁部材41は、第4絶縁領域41dを含んでも良い。第4絶縁領域41dの第1方向(Z軸方向)における位置は、第3絶縁領域41cの第1方向における位置と、第2絶縁領域41bの第1方向における位置と、の間にある。第4絶縁領域41dにおける第1元素の濃度は、第3絶縁領域41cにおける第1元素の濃度と、第2絶縁領域41bにおける第1元素の濃度と、の間である。
【0058】
図1に示すように、第1絶縁部材41は、第5位置p5を含んでも良い。第5位置p5は、第2方向(X軸方向)において、第3電極53と第2半導体領域12との間にある。第1絶縁部材41は、第5位置p5において第1元素を含まない。または、第5位置p5における第1元素の濃度は、第3位置p3における第1元素の濃度よりも低い。
【0059】
例えば、第1絶縁部材41は、第5絶縁領域41eを含む。第5絶縁領域41eは、第2方向(X軸方向)において、第3電極53と第2半導体領域12との間にある。第5絶縁領域41eは第1元素を含まない。または、第5絶縁領域41eにおける第1元素の濃度は、第3絶縁領域41cにおける第1元素の濃度よりも低い。
【0060】
第5絶縁領域41eは、例えば、ゲート絶縁膜として機能する。第5絶縁領域41e(第5位置p5)が第1元素を含まない、または、第5絶縁領域41eにおける第1元素の濃度が低いことで、安定したしきい値電圧が得られる。
【0061】
図1に示すように、半導体装置110においては、第1絶縁部材41は、第6位置p6を含む。第6位置p6の第2方向(X軸方向)における位置は、第1導電部材61(例えば第1導電部材端部61aでも良い)の第2方向における位置と、第3位置p3の第2方向における位置と、の間にある。第1絶縁部材41は、第6位置p6において第1元素を含まない。または、第6位置p6における第1元素の濃度は、第3位置p3における第1元素の濃度よりも低い。
【0062】
例えば、第1絶縁部材41は、第6絶縁領域41fを含む。第6絶縁領域41fの第2方向(X軸方向)における位置は、第1導電部材61(例えば第1導電部材端部61aでも良い)の第2方向における位置と、第3絶縁領域41cの第2方向における位置と、の間にある。第6絶縁領域41fは第1元素を含まない。または、第6絶縁領域41fにおける第1元素の濃度は、第3絶縁領域41cにおける第1元素の濃度よりも低い。このような第6絶縁領域41fが設けられることで、より高い耐圧が得やすい。
【0063】
図8は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図8に示すように、実施形態に係る半導体装置110aにおいても、第1絶縁部材41は、第1~第5絶縁領域41a~41eを含む。半導体装置110aにおいては、第6絶縁領域41fが設けられない。半導体装置110aにおけるこれ以外の構成は、半導体装置110の構成と同様で良い。半導体装置110aにおいても、高い耐圧が得られる。
【0064】
実施形態において、第1導電部材端部61aを含みX-Y平面に沿う面内における第1絶縁部材41における第1元素の濃度は、例えば、1.5×1014cm-2以上1.05×1015cm-2以下であることが好ましい。これにより、高い耐圧と、低いオン抵抗と、が得やすくなる。
【0065】
図9は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図9に示すように、実施形態に係る半導体装置111においても、第1絶縁部材41は、第1~第5絶縁領域41a~41eを含む。半導体装置111においては、第3絶縁領域41cは、複数の領域を含む。この例では、複数の領域は、例えば、第1領域45a、第2領域45b及び第3領域45cを含む。複数の領域の数は、2以上で良い。半導体装置111におけるこれ以外の構成は、半導体装置110の構成と同様で良い。
【0066】
図10は、第1実施形態に係る半導体装置の一部を例示する模式的断面図である。
図10は、第1絶縁部材41の第3絶縁領域41cを例示している。図1に示すように、第3絶縁領域41cは、第1領域45a、第2領域45b及び第1中間領域46aを含む。第1領域45a及び第2領域45bは、第1元素を含む。第1中間領域46aは、第1領域45aと第2領域45bとの間に設けられる。第1領域45aは、例えば、第2方向(X軸方向)において第2領域45bの一部45bpと第1部分領域11aとの間にある。
【0067】
第1中間領域46aは、第1元素を含まない。または、第1中間領域46aにおける第1元素の濃度は、第1領域45aにおける第1元素の濃度よりも低く、第2領域45bにおける第1元素の濃度よりも低い。
【0068】
例えば、第1領域45a及び第2領域45bは、SiONを含む。第1中間領域46aは、SiOを含む。第1領域45a及び第2領域45bは、例えば、第1中間領域46aを介して積層された積層膜である。
【0069】
半導体装置111においても、高い耐圧が得られる。第3絶縁領域41cが第1元素を含む複数の領域を含む場合、第3絶縁領域41cにおける第1元素の濃度は、例えば、第1領域45a、第2領域45b及び第1中間領域46aを含む領域における第1元素の平均の濃度として良い。例えば、第1元素を含む領域の厚さと、第1元素を含む領域における第1元素の濃度と、の積と、第1元素を実質的に含まない領域の厚さと、第1元素を実質的に含まない領域における第1元素の濃度と、の積と、の和の、これらの領域の厚さの和に対する比が、平均の濃度とされて良い。
【0070】
図10に示すこのような構造は、第1領域45aとなる膜と、第1中間領域46bとなる膜と、第2領域45bとなる膜と、を順次積層して形成することで得られる。
【0071】
図10に示すように、第1領域45aは、第1方向(Z軸方向)において、第1電極51と、第2領域45bの他部45bqと、の間にある。第1領域45a、及び、第2領域45bの上記の一部45bpは、第1方向(Z軸方向)に沿って延びる。第2領域45bの他部45bqは、第2方向(X軸方向)において、第3領域45cの一部45cpと第1部分領域11aとの間にある。
【0072】
図10に示すように、第3絶縁領域41cは、第3領域45c及び第2中間領域46bをさらに含んでも良い。第3領域45cは、第1元素を含む。第2中間領域46bは、第2領域45bと第3領域45cとの間に設けられる。第2領域45bは、第2方向(X軸方向)において、第3領域45cの一部45cpと第1部分領域11aとの間にある。
【0073】
第2中間領域46bは、第1元素を含まない。または、第2中間領域46bにおける第1元素の濃度は、第2領域45bにおける第1元素の濃度よりも低く、第3領域45cにおける第1元素の濃度よりも低い。このように、第1元素を含む複数の領域(複数の膜)の数が、3以上でも良い。
【0074】
第3絶縁領域41cが、第1元素を含む上記の複数の領域を含む場合、例えば、第3絶縁領域41cにおける第1元素の濃度は、第1領域45a、第2領域45b、第3領域45c、第1中間領域46a及び第2中間領域46bを含む領域における第1元素の平均の濃度で良い。
【0075】
図10に示すように、第2領域45bの他部45bqは、第1方向(Z軸方向)において第1電極51と、第3領域45cの他部45cqと、の間にある。第2領域45bの上記の他部45bqは、及び、第3領域45cの他部45cqは、第1方向(Z軸方向)に沿って延びる。
【0076】
図11は、第1実施形態に係る半導体装置の一部を例示する模式的断面図である。
図11に示すように、第3絶縁領域41cは、複数の積層された領域(第1領域45a、第2領域45b、第3領域45c、第1中間領域46a及び第2中間領域46bなど)を含む。この例においても、第1領域45a、第2領域45b及び第3領域45cの少なくともいずれかは、複数の粒状の領域47zを含む。複数の領域47zは、互いに第1方向(Z軸方向)に沿って離れる。複数の領域47zは、第1元素を含む。この場合、第1元素は、例えば、アルミニウム、ハフニウム及びジルコニウムよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1元素がこのような金属元素を含む場合、互いに離散した複数の領域47zが形成されやすい。このような複数の領域47zが設けられる場合も、高い耐圧が得られる。
【0077】
図10及び図11に示すように、第1絶縁部材41は、第3中間領域46cを含んでも良い。第3中間領域46cは、第2方向において、第1領域45aと第1部分領域11aとの間に設けられる。例えば、第3中間領域46cは、第1元素を含まない。または、第3中間領域46cにおける第1元素の濃度は、第1領域45aにおける第1元素の濃度よりも低い。
【0078】
第1領域45aと第1部分領域11aとの間の第2方向(X軸方向)に沿う距離は、第3中間領域46cの第2方向(X軸方向)に沿う厚さtc1に対応する。厚さtc1は、例えば、10nm以下であることが好ましい。例えば、第1領域45aと第1部分領域11bとの間の領域における界面位を抑制できる。高い耐圧が安定して得られる。第3中間領域46cは、半導体装置110または半導体装置110aにおいて設けられて良い。
【0079】
このように、第1絶縁部材41が、第1絶縁領域41a、第2絶縁領域41b、及び第3絶縁領域41cを含んでも良い。第3絶縁領域41cは、第1元素(窒素、アルミニウム、ハフニウム及びジルコニウムよりなる群から選択された少なくとも1つを含む元素)を含む第1領域45aと、第1元素を含む第2領域45bと、第1領域45aと第2領域45bとの間に設けられた第1中間領域46aと、を含んでも良い。第1中間領域46aは、第1元素を含まない。または、第1中間領域46aにおける第1元素の濃度は、第1領域45aにおける第1元素の濃度よりも低く、第2領域45bにおける第1元素の濃度よりも低い。
【0080】
第1絶縁領域41a及び第2絶縁領域41bは、第1元素を含まない。または、第1絶縁領域41aにおける第1元素の濃度、及び、第2絶縁領域41bにおける第1元素の濃度のそれぞれは、第1領域45aにおける第1元素の濃度よりも低く、第2領域45bにおける第1元素の前記濃度よりも低い。
【0081】
既に説明したように、第1領域45aは、第1方向(Z軸方向)において、第1電極51と、第2領域45bの他部45bqと、の間にあって良い。第1領域45a、及び、第2領域45bの一部45bpは、第1方向(Z軸方向)に沿って延びる。第1領域45aは、互いに第1方向(Z軸方向)に離れた第1元素を含む複数の領域47zを含んでも良い。第3絶縁領域41cは、上記の第3領域45c及び上記の第2中間領域46bを含んでも良い。
【0082】
図12は、半導体装置を例示する模式的断面図である。
図12に示すように、第1~第3領域45a~45cは、第1~第3領域端部45ae~45ceを含む。第1領域端部45aeは、第1領域45aの、第3電極53の側の端部である。第2領域端部45beは、第2領域45bの、第3電極53の側の端部である。第3領域端部45ceは、第3領域45cの、第3電極53の側の端部である。
【0083】
第1導電部材端部61aの第1方向における位置と、第3電極端部53aの第1方向における位置と、の間の第1方向に沿う距離を第1距離d1とする。第1導電部材端部61aの第1方向(Z軸方向)における位置と、第1領域端部45aeの第1方向における位置と、の間の第1方向に沿う距離を第1端部距離de1とする。第1導電部材端部61aの第1方向(Z軸方向)における位置と、第2領域端部45beの第1方向における位置と、の間の第1方向に沿う距離を第2端部距離de2とする。第1導電部材端部61aの第1方向(Z軸方向)における位置と、第3領域端部45ceの第1方向における位置と、の間の第1方向に沿う距離を第3端部距離de3とする。
【0084】
以下、第1~第3端部距離de1~de3を変更したときの特性のシミュレーション結果の例について説明する。
【0085】
図13(a)~図13(c)は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図13(a)~図13(c)のそれぞれの横軸は、比de1/d1、比de2/d1、及び、比de3/d1に対応する。これらの図の縦軸は、相対的なブロッキング電圧ΔBVである。相対的なブロッキング電圧ΔBVが大きいことが好ましい。これらの図において、比de1/d1が0.33~0.77、比de2/d1が0.44~77、及び、比de3/d1が0.44~0.88で変更されたすべての値がプロットされている。これらの図に記載された曲線Cv1は、上記の比を変更したときに得られる相対的なブロッキング電圧ΔBVの最大値に対応する。これらの図において、トレンチ横方向の固定電荷密度は9×1014cm-2である。
【0086】
図13(a)に示すように、比de1/d1が0.4以上0.7以下のときに、大きい相対的なブロッキング電圧ΔBVが安定して得られる。比de1/d1が0.5以上のときに、大きい相対的なブロッキング電圧ΔBVが安定して得られる。
【0087】
図13(b)に示すように、比de2/d1が0.55以上0.8以下のときに、大きい相対的なブロッキング電圧ΔBVが得られる。比de2/d1が0.6以上0.7以下のときに、大きい相対的なブロッキング電圧ΔBVが安定して得られる。
【0088】
図13(c)に示すように、比de3/d1が0.55以上0.9以下のときに、大きい相対的なブロッキング電圧ΔBVが得られる。比de3/d1が0.7以上0.8以下のときに、大きい相対的なブロッキング電圧ΔBVが安定して得られる。
【0089】
図12に示すように、第1~第3領域45a~45cの第2方向における端部の位置は、大きくは変化していない。このため、実用的に、第1~第3領域45a~45cのそれぞれ第2方向における端部の位置は、第3領域45cの第2方向における端部45cfの位置として良い。第1導電部材端部61aの第2方向(例えばX軸方向)における位置と、第2方向端部44aの第2方向における位置と、の間の第2方向に沿う距離(例えば最短距離)を第3距離x3とする。第1導電部材端部61aの第2方向(例えばX軸方向)における位置と、第2方向他端部44bの第2方向における端部45cf位置と、の間の第2方向に沿う距離(例えば最短距離)を第4距離x4とする。第1導電部材端部61aの第2方向(例えばX軸方向)における位置は、X軸方向において、第1導電部材端部61aの、第1部分領域11aの側の端の位置である。
【0090】
図14は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図14は、第1~第3領域45a~45cを含む半導体装置111の特性を例示している。図14の横軸は、第2比RR2である。第2比RR2は、第3距離x3に対する第4距離x4の比である。図14の縦軸は、相対的なブロッキング電圧ΔBVである。
【0091】
図14に示すように、半導体装置111において、第2比RR2は、例えば、0.16以上1未満であることが好ましい。第2比RR2は、例えば、0.16以上0.7以下でも良い。高いブロッキング電圧ΔBVが得られる。実施形態において、第2比RR2は、例えば、0.36以上でも良い。第2比RR2は、例えば、0.58以上でも良い。
【0092】
図15は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図15に示すように、実施形態に係る半導体装置120においては、第1導電部材61は、第3電極53と電気的に接続される。または、第1導電部材61は、第3電極53と電気的に接続されることが可能である。半導体装置120におけるこれ以外の構成は、例えば、半導体装置110、110aまたは111と同様で良い。
【0093】
例えば、図15に示すように、第1導電部材61は、接続部材61C、接続部材52LL及び接続部材52Cを介して、第3電極53と電気的に接続される。これらの接続部材は、図15に例示する断面とは異なる位置に設けられて良い。例えば、端子52Tが接続部材52Cを介して、第3電極53と接続されても良い。端子61Tが、接続部材61Cを介して第1導電部材61と電気的に接続されても良い。接続部材52LLにより、端子61Tが端子52Tと電気的に接続されても良い。接続部材52LLは、半導体装置120とは別に設けられても良い。半導体装置120においても、例えば、高い耐圧が得られる。
【0094】
図16は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図16に示すように、実施形態に係る半導体装置130においては、第1導電部材61の一部は、第2方向(X軸方向)において、第3電極53と重なる。半導体装置120におけるこれ以外の構成は、例えば、半導体装置110、110a、111または120と同様で良い。半導体装置120においても、例えば、高い耐圧が得られる。
【0095】
(第2実施形態)
第2実施形態は、半導体装置の製造方法に係る。
【0096】
図17図23は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図17に示すように、半導体部材10が準備される。半導体部材10は、穴10Hを含む。穴10Hは、例えば、トレンチでも良い。穴10Hは、底面10B、下側面10LS及び上側面10USを含む。下側面10LSと底面10Bとの間の距離は、上側面10USと底面10Bとの間の距離よりも短い。このような穴は、例えば、半導体部材10となる半導体層の一部を除去することで形成できる。一部の除去は、例えば、マスクを用いたエッチングにより実施できる。
【0097】
穴10Hの深さ(Z軸方向に沿う長さ)は、例えば、2μm以上10μm以下である。穴10Hの底面は、第1半導体領域11中にある。
【0098】
必要に応じて、形成された穴10Hの表面に酸化領域10Rが形成されて良い。酸化領域10Rは、例えば、熱酸化処理により形成されて良い。酸化領域10Rの厚さは、例えば、200nm以上1000nm以下で良い。1つの例において、酸化領域10Rの厚さは、厚さtc1(図10及び図11参照)と実質的に同じで良い。
【0099】
図18に示すように、半導体部材10の穴10Hの底面10B、下側面10LS及び上側面10USに、第1膜81を形成する。第1膜81は、第1元素を含む。第1元素は、窒素、アルミニウム、ハフニウム及びジルコニウムよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1膜81は、底面10Bに設けられた第1底面領域81Bと、下側面10LSに設けられた第1下側面領域81Lと、上側面10USに設けられた第1上側面領域81Uと、を含む。
【0100】
図19に示すように、第1下側面領域81Lを残しつつ、第1底面領域81B及び第1上側面領域81Uを除去する。除去は、マスクを用いたエッチング(例えばドライエッチング)により実施できる。これにより、穴10Hの底面10B及び上側面10USが露出される。
【0101】
図20に示すように、穴10Hの底面10B、第1下側面領域81L、及び、穴10Hの上側面10USに、第2元素を含む第2膜82を形成する。第2元素は、窒素、アルミニウム、ハフニウム及びジルコニウムよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0102】
この際、第1底面領域81B及び第1上側面領域81Uの上記の除去と、第2膜82の形成との間に、第1絶縁膜71が形成されても良い。第1絶縁膜71は、シリコン及び酸素を含む。第1絶縁膜71は、第1元素または第2元素を実質的に含まない。第1絶縁膜71は、例えばSiO膜である。第1絶縁膜71は、底面10B、第1下側面領域81L及び上側面10USに形成される。この場合は、第2膜82は、第1絶縁膜71の上に形成される。
【0103】
第2膜82は、穴10Hの底面10Bに設けられた第2底面領域82Bと、第1下側面領域81Lに設けられた第2下側面領域82Lと、穴10Hの上側面10USに設けられた第2上側面領域82Uと、を含む。
【0104】
図21に示すように、第2下側面領域82Lを残しつつ、第2底面領域82B及び第2上側面領域82Uを除去する。例えば、穴10Hの底面10B、及び、穴10Hの上側面10USが露出する。
【0105】
図22に示すように、穴10Hの底面10B、第2下側面領域82L、及び、穴10Hの上側面10USに、第2絶縁膜72を形成する。第2絶縁膜72は、シリコン及び酸素を含む。第2絶縁膜72は、例えば、例えばSiO膜である。
【0106】
必要に応じて、第2膜82の上記の形成と同様にして、第1元素または第2元素を含む第3膜が形成されても良い。これらの膜は、例えば、上記の第1~第3領域45a~45cなどに対応する。
【0107】
図23に示すように、第2絶縁膜72の形成の後の穴10Hの中に第1導電部材61を形成する。
【0108】
これにより、例えば、半導体装置111が形成できる。実施形態に係る製造方法によれば、特性を向上できる半導体装置の製造方法を提供できる。
【0109】
上記の実施形態において、第1半導体領域11における第1導電形のキャリア濃度は、例えば、1.0×1015cm-3以上1.0×1017cm-3以下であることが好ましい。第2半導体領域12における第2導電形のキャリア濃度は、例えば、1.0×1016cm-3以上1.0×1018cm-3以下であることが好ましい。第3半導体領域13における第1導電形のキャリア濃度は、例えば、3.0×1018cm-3以上3.0×1020cm-3以下であることが好ましい。第4半導体領域14における第1導電形のキャリア濃度は、例えば、1.0×1017cm-3以上3.0×1020cm-3以下であることが好ましい。第5半導体領域15における第2導電形のキャリア濃度は、例えば、1.0×1018cm-3以上3.0×1020cm-3以下であることが好ましい。
【0110】
上記の実施形態において、例えば、第3半導体領域13における第1導電形の不純物濃度は、第1半導体領域11における第1導電形の不純物濃度よりも高い。例えば、第4半導体領域14における第1導電形の不純物濃度は、第1半導体領域11における第1導電形の不純物濃度よりも高い。例えば、第5半導体領域15における第2導電形の不純物濃度は、第2半導体領域12における第2導電形の不純物濃度よりも高い。
【0111】
第1半導体領域11における第1導電形の不純物濃度は、例えば、1.0×1015cm-3以上1.0×1017cm-3以下であることが好ましい。第2半導体領域12における第2導電形の不純物濃度は、例えば、1.0×1016cm-3以上1.0×1018cm-3以下であることが好ましい。第3半導体領域13における第1導電形の不純物濃度は、例えば、3.0×1018cm-3以上3.0×1020cm-3以下であることが好ましい。第4半導体領域14における第1導電形の不純物濃度は、例えば、1.0×1017cm-3以上3.0×1020cm-3以下であることが好ましい。第5半導体領域15における第2導電形の不純物濃度は、例えば、1.0×1018cm-3以上3.0×1020cm-3以下であることが好ましい。
【0112】
実施形態において、半導体領域の形状などに関する情報は、例えば、電子顕微鏡観察などにより得られる。第1元素などの濃度に関する情報は、例えば、EDX(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)、または、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)などにより得られる。半導体領域におけるキャリア濃度に関する情報は、例えば、SCM(Scanning Capacitance Microscopy)などにより得られる。
【0113】
実施形態によれば、特性を向上できる半導体装置及びその製造方法を提供できる。
【0114】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体装置に含まれる、半導体部材、半導体領域、導電部材、電極及び絶縁部材などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0115】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0116】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0117】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0118】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0119】
10…半導体部材、 10B…底面、 10H…穴、 10LS…下側面、 10R…酸化領域、 10US…上側面、 11~15…第1~第5半導体領域、 11a、11b…第1、第2部分領域、 41…第1絶縁部材、 41a~41f…第1~第6絶縁領域、 43a…第1方向端部、 43b…第1方向他端部、 44a…第2方向端部、 44b…第2方向他端部、 45a~45c…第1~第3領域、 45ae~45ce…第1~第3領域端部、 45bp…一部、 45bq…他部、 45cf…端部、 45cp…一部、 45cq…他部、 46a~46c…第1~第3中間領域、 47z…領域、 51~53…第1~第3電極、 52C…接続部材、 52LL…接続部材、 52T…端子、 52a、52b…部分、 53a…第3電極端部、 53b…第3電極他端部、 61…第1導電部材、 61C…接続部材、 61T…端子、 61a…第1導電部材端部、 61b…第1導電部材他端部、 71、72…第1、第2絶縁膜、 81、82…第1、第2膜、 81B、82B…第1、第2底面領域、 81L、82L…第1、第2下側面領域、 81U、82U…第1、第2上側面領域、 ΔBV…ブロッキング電圧、 110、110a、111、119a~119c、120、130…半導体装置、 Cv1…曲線、 RR1、RR2…第1、第2比、 d1、d2…第1、第2距離、 de1~de3~第1~第3端部距離、 p1~p6…第1~第6位置、 tc1…厚さ、 x3、x4…第3、第4距離
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