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特許7482085エネルギー貯蔵デバイスのためのパッシブフィルタを備える電力供給されるシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】エネルギー貯蔵デバイスのためのパッシブフィルタを備える電力供給されるシステム
(51)【国際特許分類】
   B60L 3/00 20190101AFI20240502BHJP
   B60L 9/18 20060101ALI20240502BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20240502BHJP
【FI】
B60L3/00 S
B60L9/18 A
H02M7/48 Z
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021104234
(22)【出願日】2021-06-23
(65)【公開番号】P2022013776
(43)【公開日】2022-01-18
【審査請求日】2022-11-29
(31)【優先権主張番号】63/045,972
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/351,882
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519447732
【氏名又は名称】トランスポーテーション アイピー ホールディングス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エドラバドカー, ニクヒル
(72)【発明者】
【氏名】クマル,アジス クッタンナイア
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-208824(JP,A)
【文献】国際公開第2016/030933(WO,A1)
【文献】特開2003-153542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 3/00
B60L 9/18
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、前記システムは、
1つ以上のバッテリーと、
前記1つ以上のバッテリーに電気的に連結されるインバータと、
前記1つ以上のバッテリーと前記インバータとの間で電気的に連結されるパッシブフィルタと、を含み、
前記パッシブフィルタは、第1の連結インダクタと、少なくとも1つの第1のバイパスキャパシタとを含み、
前記第1の連結インダクタは、少なくとも2つの磁気的に連結される巻線を含み、 前記パッシブフィルタは、前記1つ以上のバッテリーへの交流を低下させるように、または除去するように構成され
前記パッシブフィルタが、少なくとも2つの磁気的に連結される巻線を含む第2の連結インダクタと、少なくとも1つの第2のバイパスキャパシタとを含み、ここで、前記第1の連結インダクタの、第1の磁気的に連結される巻線と、前記第2の連結インダクタの、第1の磁気的に連結される巻線と、前記少なくとも1つの第1のバイパスキャパシタと、前記少なくとも1つの第2のバイパスキャパシタとが、コモンモードフィルタを形成するように構成される、システム。
【請求項2】
前記パッシブフィルタが、決定された周波数で、または決定された周波数の近くで、リプル電流の減衰を行うように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記パッシブフィルタが、前記少なくとも2つの磁気的に連結される巻線の数よりも1つ少ない、前記少なくとも1つの第1のバイパスキャパシタを含み、前記少なくとも1つの第1のバイパスキャパシタの各々が、前記少なくとも2つの磁気的に連結される巻線の対応する巻線に、直列に連結されて、決定されたノッチ周波数を有する直列共振回路を定義する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記パッシブフィルタが、前記少なくとも2つの磁気的に連結される巻線の数よりも1つ少ない、前記少なくとも1つの第2のバイパスキャパシタを含み、前記少なくとも1つの第2のバイパスキャパシタの各々が、前記少なくとも2つの磁気的に連結される巻線の対応する巻線に、直列に連結されて、決定されたノッチ周波数を有する直列共振回路を定義する、請求項に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つ以上のバッテリーに対して追加的な1つ以上のバッテリーと、複数のパッシブフィルタとをさらに含み、ここで、前記追加的な1つ以上のバッテリーの各々が、前記複数のパッシブフィルタの少なくとも1つのパッシブフィルタに電気的に連結される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記追加的な1つ以上のバッテリーは、並列に電気的に連結される、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
前記1つ以上のバッテリーに対して追加的な1つ以上のバッテリーをさらに含み、そして、前記パッシブフィルタが、複数の第1の連結インダクタをさらに含み、ここで、前記追加的な1つ以上のバッテリーの各々が、前記複数の第1の連結インダクタの対応する第1の連結インダクタと、前記少なくとも1つの第1のバイパスキャパシタとに、電気的に連結される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記追加的な1つ以上のバッテリーは、並列に電気的に連結される、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
前記パッシブフィルタが、前記少なくとも2つの磁気的に連結される巻線の数よりも1つ少ない、前記少なくとも1つの第1のバイパスキャパシタを含み、前記少なくとも1つの第1のバイパスキャパシタの各々が、前記少なくとも2つの磁気的に連結される巻線の対応する巻線に、直列に連結されて、決定されたノッチ周波数を有する直列共振回路を定義する、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも2つの磁気的に連結される巻線は、共通コアを共有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
接地と、直流バスの正と負のレールに電気的に連結されるリンクキャパシタとに接続されるように構成される、導電性経路をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記導電性経路は、直流バスの前記正と負のレールの中点で実装される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1のバイパスキャパシタのキャパシタンス値が、前記リンクキャパシタの前記キャパシタンス値の0.1~10倍である、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
パッシブフィルタデバイスであって、前記パッシブフィルタデバイスは、
第1の連結インダクタと、少なくとも1つの第1のバイパスキャパシタとを含む、パッシブフィルタを含み、前記第1の連結インダクタは、少なくとも2つの磁気的に連結される巻線を含み、前記パッシブフィルタは、前記少なくとも2つの磁気的に連結される巻線の数よりも1つ少ない、前記少なくとも1つの第1のバイパスキャパシタを含み、前記少なくとも1つの第1のバイパスキャパシタの各々は、前記少なくとも2つの磁気的に連結される巻線の対応する巻線に、直列に連結されて、決定されたノッチ周波数を有する直列共振回路を定義し、ここで、前記パッシブフィルタは、コンバータと集中リアクタとに連結される1つ以上のバッテリーを含む電力コンバータシステムに、挿入可能に構成され、前記パッシブフィルタは、前記1つ以上のバッテリーへの、リプル電流を減衰する、低下させる、または除去するように構成され、前記パッシブフィルタが、少なくとも2つの磁気的に連結される巻線を含む第2の連結インダクタと、少なくとも1つの第2のバイパスキャパシタとを含み、ここで、前記第1の連結インダクタの、第1の磁気的に連結される巻線と、前記第2の連結インダクタの、第1の磁気的に連結される巻線と、前記少なくとも1つの第1のバイパスキャパシタと、前記少なくとも1つの第2のバイパスキャパシタとが、コモンモードフィルタを形成するように構成される、パッシブフィルタデバイス。
【請求項15】
前記パッシブフィルタが、前記1つ以上のバッテリーとシステムの前記集中リアクタとの間で、電気的に連結されるように構成される、請求項14に記載のパッシブフィルタデバイス。
【請求項16】
前記パッシブフィルタが、コモンモードフィルタを形成するように構成される、第2の連結インダクタと、少なくとも1つの第2のバイパスキャパシタとを含み、前記第2の連結インダクタは少なくとも2つの磁気的に連結される巻線を含む、請求項14に記載のパッシブフィルタデバイス。
【請求項17】
前記パッシブフィルタが、前記第2の連結インダクタの前記少なくとも2つの磁気的に連結される巻線の数よりも1つ少ない、前記少なくとも1つの第2のバイパスキャパシタを含み、前記少なくとも1つの第2のバイパスキャパシタの各々が、前記少なくとも2つの磁気的に連結される巻線の対応する巻線に、直列に連結されて、決定されたノッチ周波数を有する直列共振回路を定義する、請求項16に記載のパッシブフィルタデバイス。
【請求項18】
システムであって、前記システムは、
直列に接続される少なくとも2つのバッテリーと、
前記少なくとも2つのバッテリーに電気的に連結されるインバータと、
前記少なくとも2つのバッテリー間、および、前記少なくとも2つのバッテリーと前記インバータとの間で、電気的に連結される、少なくとも1つのパッシブフィルタと、
を含み、
前記少なくとも1つのパッシブフィルタは、第1の連結インダクタと第2の連結インダクタとを含み、前記第1の連結インダクタと、前記第2の連結インダクタとは、各々、少なくとも2つの磁気的に連結される巻線を含み、前記パッシブフィルタは、前記少なくとも2つのバッテリーへの、交流を低下させるように、または除去するように構成され
前記少なくとも1つのパッシブフィルタが、少なくとも1つのバイパスキャパシタを含み、ここで、前記第1の連結インダクタの、第1の磁気的に連結される巻線と、前記第2の連結インダクタの、第1の磁気的に連結される巻線と、前記少なくとも1つのバイパスキャパシタとが、コモンモードフィルタを形成するように構成される、システム。
【請求項19】
前記インバータが、車両のトラクションモータのための交流を出力するように構成される、トラクションインバータである、請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2020年6月30日に出願された米国仮特許出願第63/045,972の優先権を主張し、その開示の全体は参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、エネルギー源のためのパッシブフィルタを備えるシステムに関する。
【0003】
技術分野に関する議論
電気車両、ハイブリッド車両、またはエネルギー貯蔵システム(例えば静止状態の電力供給されるシステム)などの電力供給されるシステムにおいて、エネルギー源(例えばバッテリー)は、一般に、コンバータ(例えばDC-DCコンバータなど)を通じて、システム直流(DC)バスに接続される。DC-DCコンバータは、エネルギー源からの、およびエネルギー減への、電力の導通を制御することができ、そして電力供給されるシステムのDCバスに接続される他のスイッチング電力コンバータから伝搬し得る、リプル電流からのエネルギー源を分断する。しかし、DC-DCコンバータは、DC-DCコンバータがバッテリーの経路中の電力の流れの全てを処理する必要があるため、大幅な追加的コストおよび電力を含み得る。
【0004】
代替の方法はエネルギー源をDCバスに直接接続し、これによって、電圧は、システム状態とエネルギー源の充電状態とに応じて変化し得る。これにより、DC-DC変換工程またはコンバータのコストを回避できる。しかし、エネルギー源は、DCバス上に存在し得る、コンバータ運転(例えばパルス幅変調、矩形波運転)の異なるモードに関連する可変周波数電流のリプルにさらされる。一例として、車両用の用途では、車両推進システムのトラクションインバータは、バッテリーをスイッチング周波数のリプルにさらし得る。これは、追加的な電力損失を招き、バッテリーを加熱させ、そしてバッテリー性能と寿命を低下させ得る。この影響の大きなリプルに取り組むことは困難であり得る。いくつかの先行技術システムは、リップル成分を制限するための集中インダクタ含むが、これは、本明細書に記載される通り望ましいものではない。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態によると、エネルギー貯蔵デバイスと、エネルギー貯蔵デバイスに電気的に連結されるインバータとを含む、システムが提供される。システムはまた、エネルギー貯蔵デバイスとインバータとの間に電気的に連結されるパッシブフィルタを含む。パッシブフィルタは、第1の連結インダクタと、少なくとも1つの第1のバイパスキャパシタとを含む。第1の連結インダクタは、少なくとも2つの磁気的に連結される巻線を含む。パッシブフィルタは、エネルギー貯蔵デバイスで、交流を低下させてもよく、または除去してもよい。
【0006】
一実施形態によると、パッシブフィルタを含むデバイスが提供される。パッシブフィルタは、第1の連結インダクタと、少なくとも1つの第1のバイパスキャパシタとを含む。第1の連結インダクタは、少なくとも2つの磁気的に連結される巻線を含む。パッシブフィルタは、少なくとも2つの磁気的に連結される巻線の数よりも1つ少ない、少なくとも1つの第1のバイパスキャパシタを含む。少なくとも1つの第1のバイパスキャパシタの各々は、少なくとも2つの磁気的に連結される巻線の対応する巻線に、直列に連結されて、決定されたノッチ周波数を有する直列共振回路を定義する。パッシブフィルタは、コンバータと集中リアクタとに連結されるエネルギー貯蔵デバイスを含むシステムに、挿入可能であってもよい。パッシブフィルタは、エネルギー貯蔵デバイスで、交流を低下させてもよく、または除去してもよい。
【0007】
一実施形態によると、直列に接続される少なくとも2つのバッテリー(あるいは代替的に、2つのみのバッテリー)と、2つのバッテリーに電気的に連結されるインバータとを含む、システムが提供される。システムはまた、2つのバッテリー間、および、バッテリーとインバータとの間に、電気的に連結される、少なくとも1つのパッシブフィルタを含む。少なくとも1つのパッシブフィルタは、第1の連結インダクタと第2の連結インダクタとを含む。第1の連結インダクタと、第2の連結インダクタとは、各々、少なくとも2つの磁気的に連結される巻線を含む。パッシブフィルタは、バッテリーで、交流を低下させてもよく、または除去してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の主題は、添付の図面を参照して、非限定的な実施形態に関する以下の記載を読むことで、理解されるであろう。
図1】1つの例示的な電力コンバータシステムの概要図を示す。
図2】別の例示的な電力コンバータシステムの概要図を示す。
図3】ある例示的な電力供給されるシステムの概要図を示す。
図4A】ある例示的な電力コンバータシステムを示す。
図4B】ある例示的な電力コンバータシステムを示す。
図5A】別の例示的な電力コンバータシステムを示す。
図5B】別の例示的な電力コンバータシステムを示す。
図6】別の例示的な電力コンバータシステムの概要図を示す。
図7A】別の例示的な電力コンバータシステムの概要図を示す。
図7B】既存の電力コンバータシステムに後付けされるように構成される、パッシブフィルタデバイスのある例の概要図を示す。
図8】別の例示的な電力コンバータシステムの概要図を示す。
図9】別の例示的な電力コンバータシステムの概要図を示す。
図10】別の例示的な電力コンバータシステムの概要図を示す。
図11】別の例示的な電力コンバータシステムの概要図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記載される主題の実施形態は、可動式の電力供給されるシステムまたは静止状態の電力供給されるシステムなどの、電力供給されるシステム内でリプル電流を低下させるための電力コンバータシステムに関する。電力コンバータシステムは、コンバータに連結されるエネルギー貯蔵デバイスを含んでもよい。コンバータは、DC-DCコンバータ、交流(AC)-DCコンバータ、DC-ACコンバータなどであってもよい。ある例では、電力コンバータシステムは、インバータに連結されるエネルギー貯蔵デバイスを含む、車両のための駆動部の少なくとも一部を形成してもよい。電力コンバータシステムは、システム中のリプル電流を低下させるために、コンバータとエネルギー貯蔵デバイスとの間に連結される、パッシブフィルタを含む。パッシブフィルタは、少なくとも2つの磁気的に連結される巻線、または少なくとも2つの磁気的に連結される巻線とバイパスキャパシタとを含む、連結インダクタを含むことができる。パッシブフィルタは、エネルギー貯蔵デバイスとコンバータとの間に連結されることができる。いくつかの実施形態では、パッシブフィルタは、同じ電圧および電流を受け取るいくつかの既知のフィルタと比較して、指定される周波数で、またはその近くで、交流(例えばリプル電流)の比較的より大規模な減衰を提供してもよい。さらにまたはあるいは、このパッシブフィルタは、いくつかの既知のフィルタと比較して、サイズ縮小、重量減少、および/またはコスト低減を有し得る。
【0010】
図1図2は、エネルギー貯蔵デバイス(例えばバッテリー)によって電力供給され、そして、リプル成分をフィルタリングするための集中インダクタを含む、例示的な電力コンバータシステムを概略的に示す。図1の電力コンバータシステムは、高インピーダンス接続を通じて中点接地に接地されるDCバスを含む。図2の電力コンバータシステムは、一方の端部で接地されるDCバスを含む。バッテリー(またはバッテリーストリング(battery string))は、両方の場合において、接続ケーブルに本来備わっている集中インダクタおよび/またはインダクタンスを通じて、トラクションインバータのDCバスに接続される。集中インダクタによって提供される大きなインダクタンスは、電力コンバータシステムに共振を誘発する場合がある。これらの大きなインダクタンスによって引き起こされる共振は、バッテリーのサイクル短期化(micro cycling)を誘発して、バッテリー寿命の低下を招く可能性がある。共振状態は、トラクションドライブにはよくある通り、電力コンバータシステム中のインバータが周波数の様々な範囲に渡って動作されると、回避するのが困難となり得る。さらに、集中インダクタは、相当大きく、狭いスペースに収容するのが困難になり、高価で、かつ重量がかさむ可能性がある。
【0011】
図3は、車両システム(300)の概要図を示す。車両システムは、開始場所または出発場所から目的場所または到着場所へのトリップにおけるルート(304)に沿って、移動することができる。車両システムは、少なくとも1つの推進力発電型車両を含み、そして随意に、1以上の推進力非発電型車両を含む。例えば、車両システムは、ルートに沿って共に移動するために、互いに機械的に相互連結される、推進力発電型車両(308)と推進力非発電型車両(310)とを含んでもよい。1以上の例では、車両は、ハイブリッド機関車、ハイブリッドトラック、自動車、農業用車両、採掘用車両、船舶などであってもよい。別の例では、車両は、「エネルギー貯蔵デバイスのみ」(例えば「バッテリーのみ」またはエネルギー補給用(energy tender))の電力供給される車両であってもよい。
【0012】
推進力発電型車両(308)は、牽引力を生成してもよく、それ自体を推進(例えば引く、または押す)させ、そして随意に、推進力非発電型車両(310)をルートに沿って推進させる。推進力発電型車両は、1以上のトラクションモータを含む推進サブシステムを含み、推進サブシステムは、車両システムを推進するための牽引力を生成する。推進力発電型車両はまた、車両システムが減速する、または移動状態から停止するための制動力を生成する、制動システム(312)を含む。随意に、推進力非発電型車両は、制動システムを含むが、推進サブシステムを含まない。推進力発電型車両は、本明細書において推進車両と呼ばれてもよく、そして、推進力非発電型車両は、本明細書において車と呼ばれてもよい。1つの推進車両と1つの車とが図3に示されるが、車両システムは、複数の推進車両および/または複数の車を含んでもよい。代替的な実施形態では、車両システムは、推進車両を含むのみであり、その結果、推進車両は車、または別種の車両に連結されないことになる。
【0013】
適切な、可動式の電力供給されるシステムは、車両を含んでもよい。適切な車両は、鉄道車両、船舶、自動車、オンロードトラック、農業用車両または産業用車両、採掘用車両、航空機などを含んでもよい。適切な、静止状態の電力供給されるシステムは、ポンプと電力発電機とを含んでもよい。適切な発電機は、風力タービン、水力発電機、電力発電機、リフト、ホイストなどを含んでもよい。示される実施形態では、車両システムは、鉄道車両システムとして示され、そして、ルートは1以上のレールによって形成される路線である。推進車両(308)は機関車であり、そして、非推進車両(310)は乗客および/または貨物を運搬する鉄道車である。他の推進車両は、機関車以外の別種の鉄道車両であってもよい。代替的な実施形態では、車両システムは、1以上の自動車、トラック、船舶、航空機、採掘用車両、農業用車両、または他のオフハイウェー車(OHV)システム(例えば、公道上の移動を法律上許可されていない、および/または、公道上の移動用に設計されていない車両システム)などを含んでもよい。さらにまたはあるいは、非推進車両は、トレーラー、はしけなどであってもよい。本明細書に提供されるいくつかの例は、ルートを路線として説明しているが、すべての実施形態が鉄道路線上を移動する鉄道車両に限定されるわけではない。1以上の実施形態は、非鉄道車両と、道路、経路、水路などの路線以外のルートとに関連して使用されてもよい。
【0014】
図3の例では、車両システムの車両は、各々、ルートと、左右の車輪を共に連結する(図3には左車輪のみが示される)少なくとも1つの車軸(322)とを係合させる複数の車輪(320)を含む。随意に、車輪と輪軸は、1以上のトラックまたはボギー車(bogie)(318)に位置する。随意に、トラックは固定車軸トラックであってもよく、車輪が車軸に回転的に固定され、左車輪は、右車輪と同じ速度、量で、同時に回転する。車両システムの車両は、カプラーによってなどで、互いに機械的に連結されてもよい。例えば、推進車両は、カプラー(323)によって車に機械的に連結され得る。
【0015】
カプラーは、圧縮力と張力とを吸収するための緩衝器(draft gear)を有していてもよく、それによって車両間の緩みを低下させる。図3には示されていないが、推進車両は推進車両の後端部に位置するカプラーを、および/または、車は車の前端部に位置するカプラーを、それぞれの車両と追加的な車両を車両システム中で機械的に連結するために、有していてもよい。あるいは、車両システムの車両は、互いに機械的に連結されてもよいが、互いにロジック的に連結されてもよい。例えば、車両は、互いに通信する車両によって互いにロジック的に連結されて、互いに車両の動きを調整させてもよく、その結果、車両は、車両システムとしてコンボイでまたはグループで、共に移動することになる。図3の例示的な実施形態は車両を示しているが、システムは、エネルギー貯蔵部を伴うユーティリティシステム(utility system)、あるいは、エネルギー貯蔵部を利用する、任意の静止状態のシステムまたはデバイスを含む、静止状態の用途またはデバイスにおいて使用されてもよい。
【0016】
図4は、本明細書の1以上の実施形態に係る例示的な電力コンバータシステム(400A)の概要図を示す。一例では、電力コンバータシステムは電気駆動システム、ハイブリッド駆動システム、エネルギー貯蔵部などを含むユーティリティシステムなどの静止状態のシステムであってもよい。エネルギー貯蔵デバイスは、1以上のリチウムイオンバッテリー、1以上のニッケル水素バッテリー、1以上の鉛酸バッテリー、1以上のウルトラキャパシタ(ultracapacitor)などを含んでもよい。電力コンバータシステムは、(例えばDC-DCコンバータ、AC-DCコンバータ、DC-ACコンバータなどの)コンバータのための入力を提供する、少なくとも1つのエネルギー貯蔵デバイス(402)を含む。コンバータは、少なくとも1つのエネルギー貯蔵デバイス(402)に連結されるインバータ(404)であってもよい。この例示的な実施形態では、1つのエネルギー貯蔵デバイスだけが例示されているが、エネルギー貯蔵デバイスのバンク(bank)が提供されてもよい。エネルギー貯蔵デバイスのバンクは、直列配置で連結されてもよく、並列配置で連結されてもよく、エネルギー貯蔵デバイスのストリングを有していてもよく、ここで、ストリングは、直列配置で連結されるエネルギー貯蔵デバイスを有し、そしてストリングそれ自体は並列配置などで連結される。同様に、インバータは、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、炭化ケイ素(SiC)半導体、他の半導体またはトランジスタなどの、複数のスイッチング要素を含んでもよい。一例では、インバータは、車両に原動力を提供するモータ(405)のための交流を出力するのに使用される、トラクションインバータであってもよい。図にはインバータが示されていたとしても、これらが、チョッパー、パルス幅変調(PWM)整流器、ダイオード整流器、マルチレベルインバータなどであり得ることが理解されるべきである。電力コンバータシステム(400)は、第1のレール(407)と第2のレール(409)とを含むDCバスを含んでもよい。第1のレールと第2のレールとの間に連結されるDCリンクキャパシタ(411)は、電流を受け取って、インバータ切り替えによって、第1のレールと第2のレール上を(またはそれを介して)流れる、または導通される電流を、少なくとも部分的に安定させる。電力コンバータシステムは、既知の鉄道車両のいくつかのタイプで実装され得るような、接地基準に接続され得るDCバスの、第1のレールと第2のレールとの中点に、高インピーダンスの導電性経路(413)を含んでもよい。高インピーダンスの導電性経路(413)は、接地への電圧を半減させて、感電からの保護をより容易にする。あるいは、電力コンバータシステムは、輸送車両のいくつかの既知のタイプで実装され得るような、接地基準に直接的に接続され得る2つのDCバスレールの1つで提供される、導電性経路を有していてもよい。さらに、インダクタンスが、エネルギー貯蔵デバイスのワイヤ、および相互接続ケーブルとDCバスレールにもたらされ、電力コンバータシステムにおけるケーブルインダクタ(419)によって表される。
【0017】
パッシブフィルタ(406)が、少なくとも1つのエネルギー貯蔵デバイスとインバータとの間に連結される。パッシブフィルタは、第1の連結インダクタ(408)と、少なくとも1つの第1のバイパスキャパシタ(410)とを含んでもよい。第1の連結インダクタは、少なくとも2つの磁気的に連結される巻線(412)、(414)を含んでもよい。2以上の巻線は、共通コアを共有してもよい。磁気的に連結される巻線は、各々、コアの周りに巻き付けられてもよく、その結果、巻線の電流と電圧は、巻線の同じ端部上の点によって示される通り、同相になる。さらにまたはあるいは、少なくとも2つの巻線の2以上は、異なるコアに巻き付けられてもよい。いくつかの例では、パッシブフィルタは、少なくとも2つの巻線の数よりも1つ少ない、バイパスキャパシタ(410)を含んでもよい。バイパスキャパシタ(例えばDC阻止キャパシタ)は、少なくとも2つの巻線の対応する巻線に、直列に連結されて、決定されたノッチ周波数を有する直列共振回路を定義してもよい。
【0018】
ノッチ周波数は、回路によって最大限に減衰される周波数である。本明細書に使用される場合、決定されたノッチ周波数は、電気共振が直列共振回路で発生する(例えば、バイパスキャパシタと巻線のインピーダンスまたはアドミタンスが、互いに打ち消し合う時の)周波数である。直列共振回路の決定されたノッチ周波数は、インバータの1以上の運転パラメータに関係する、支配的なリプル周波数の値、またはその値域に対応するように選択されてもよい。これらの運転パラメータは、例えば、DCバス上に存在し得る、駆動速度、駆動電力、駆動スイッチング周波数、運転の駆動モード、エンジンまたはシャフトの回転速度の駆動方法、あるいは他の周波数を含んでもよい。車両システムでは、バスに電気的に連結されるトラクションモータまたは駆動モータは、リプル周波数の重要な決定要因またはソースであるかもしれない。静止状態のシステムでは、シャフト速度は、重要な寄与要因であるかもしれない(例えば、風力タービンまたは水力発電タービン)。第1の連結インダクタの、第1の、点で示された端部は、パッシブフィルタの第1のノード(415)に連結されてもよい。バイパスキャパシタは、第1の連結インダクタの、第2の、点で示されていない端部と、パッシブフィルタの第2のノード(417)との間に連結されてもよい。第1のノードはDCバスの第1のレールに連結されてもよく、そして、第2のノードは第2のレールに連結されてもよい。さらに、直列のおよび/または並列の、バッテリーの追加的なストリングが存在する場合、追加的な第1の連結インダクタ、および/または、追加的な第1のバイパスキャパシタが、本明細書でさらに詳述されるように、利用されてもよい。
【0019】
動作中、インバータは、直流と、交流によるノイズを生成し得る。パッシブフィルタは、インバータから直流と交流とを受け取り、そして、直流をエネルギー貯蔵デバイスに出力してもよい。交流は、エネルギー貯蔵デバイスでパッシブフィルタによって低下、または除去される。パッシブフィルタは、直列共振回路の決定されたノッチ周波数で、またはその近くで、リプル電流を減衰させることによって、エネルギー貯蔵デバイスにおける交流(例えばリプル電流)を低下させる、または除去するように動作する。動作中、連結インダクタの第1の巻線(412)は、DCバス上の直流をエネルギー貯蔵デバイスへ導通させ、その一方で、バイパスキャパシタ(例えばDC阻止キャパシタ)が、交流を連結インダクタの第2の巻線(414)へ分路する。連結インダクタとバイパスキャパシタ(410)とによって形成される直列共振回路は、決定されたノッチ周波数で、またはその近くで、集中インダクタなどのいくつかの既知のフィルタと比較して、交流(例えばリプル電流)のより大規模な減衰を提供する。例えば、パッシブフィルタは、例示的な既知の誘導性-容量性フィルタ(inductive-capacitive filter)によって提供される-40db/ディケードの減衰と比較して、-45db/ディケードを上回る減衰を提供してもよい。さらに、第1の連結インダクタ(408)の追加的な巻線、追加的な第1の連結インダクタ(408)、および/または、追加的なバイパスキャパシタ(410)は、異なるノッチ周波数で形成されてもよく、また、本明細書にさらに詳述されるように、インバータのスイッチング周波数のより多くの値、および/または値域を減衰するために利用されてもよい。交流の受動減衰を提供することによって、エネルギー貯蔵デバイスに印加される電圧は、比較的一定に維持されてもよい。このことが、エネルギー貯蔵デバイスで、リプル電流を減衰させてもよく、低下させてもよく、または除去してもよい。さらにまたはあるいは、パッシブフィルタのサイズおよび/または重量は、集中インダクタなどのいくつかの既知のフィルタと比較して、最大で25%低下され得る。さらに追加的にまたは代替的に、共通のサイズおよび/または重量に基づいて、パッシブフィルタは、集中インダクタなどの、同じ電圧および電流を受け取るいくつかの既知のフィルタと比較して、より多くのリプル電流を低下させてもよい。
【0020】
図5は、本明細書の1以上の実施形態に係る別の例示的な電力コンバータシステム(500A)の概要図を示す。図5Aに示される例は、パッシブフィルタ(506)の構成を除いて、図4Aの例に類似する。図4で、電力コンバータシステム(500)は、接地基準に接続され得るDCバスの第1のレールと第2のレール(507)、(509)との中点に、高インピーダンスの導電性経路(513)を含んでもよい。あるいは、電力コンバータシステムは、接地基準に直接的に接続されるように構成される、2つのDCバスレールの1つで提供される、導電性経路を有していてもよい。
【0021】
パッシブフィルタ(506)が、少なくとも1つのエネルギー貯蔵デバイス(502)とインバータ(504)との間に連結される。パッシブフィルタは、第1の連結インダクタ(508)と、少なくとも1つの第1のバイパスキャパシタ(510)とを含んでもよい。第1の連結インダクタは、少なくとも2つの磁気的に連結される巻線(512)、(514)を含んでもよい。2以上の巻線は、共通コアを共有してもよい。磁気的に連結される巻線は、各々、コアの周りに巻き付けられてもよく、その結果、巻線の電流と電圧は、巻線の同じ端部上の点によって示される通り、同相になる。さらにまたはあるいは、少なくとも2つの巻線の2以上は、異なるコアに巻き付けられてもよい。いくつかの例では、パッシブフィルタは、少なくとも2つの巻線の数よりも1つ少ない、バイパスキャパシタを含んでもよい。バイパスキャパシタ(例えばDC阻止キャパシタ)は、少なくとも2つの巻線の対応する巻線に、直列に連結されて、複数の決定されたノッチ周波数を有する複数の直列共振回路を定義してもよい。例えば、パッシブフィルタは、5つの磁気的に連結される巻線と、4つのバイパスキャパシタとを含んでもよく、ここで、第2から第5の巻線(514A)、(514B)、(514C)、(514D)は、4つのバイパスキャパシタの対応する1つ(510A)、(510B)、(510C)、(510D)に直列に連結されて、4つの直列共振回路を形成する。各直列共振回路は、異なる、決定されたノッチ周波数に整調されてもよい。第1の連結インダクタの、第1の、点で示された端部は、パッシブフィルタの第1のノード(515)に連結されてもよい。バイパスキャパシタは、第1の連結インダクタの、第2の、点で示されていない端部と、パッシブフィルタの第2のノード(517)との間に連結されてもよい。第1のノードはDCバスの第1のレールに連結されてもよく、そして、第2のノードは第2のレールに連結されてもよい。さらに、直列のおよび/または並列の、バッテリーの追加的なストリングが追加される場合、追加的な第1の連結インダクタ、および/または、追加的な第1のバイパスキャパシタが、本明細書でさらに詳述されるように、利用されてもよい。
【0022】
パッシブフィルタは、エネルギー貯蔵デバイスで、インバータまたはその他によって生成され得る直列共振回路の決定されたノッチ周波数で、またはその近くで、交流(例えばリプル電流)を、減衰させてもよく、低下させてもよく、または除去してもよい。パッシブフィルタは、インバータから直流と交流とを受け取り、そして、直流をエネルギー貯蔵デバイスに出力する。交流は、エネルギー貯蔵デバイスでパッシブフィルタによって低下、または除去される。動作中、連結インダクタの第1の巻線は、DCバス上の直流をエネルギー貯蔵デバイスへ導通させ、その一方で、バイパスキャパシタ(510A)、(510B)、(510C)、(510D)(例えばDC阻止キャパシタ)が、交流を連結インダクタのそれぞれの第2の巻線(514A)、(514B)、(514C)、(514D)へ分路し、これに基づいて、直列共振回路は交流に対して、インピーダンスが最も低い経路を提供する。パッシブフィルタは、集中インダクタなどの、同じ電圧および電流を受け取るいくつかの既知のフィルタと比較して、複数の決定されたノッチ周波数で、またはその近くで、交流(例えばリプル電流)のより大規模な減衰を提供する。直列共振回路の決定されたノッチ周波数は、スイッチング周波数の複数の値、または値域、運転モード、またはインバータの他の運転パラメータに対応してもよい。例えば、いくつかの用途では、電圧の大きさおよびリプル周波数は、駆動速度、駆動電力、駆動スイッチング周波数、運転の駆動モードなどに応じて変化してもよい。さらに、複数の周波数が、電力コンバータシステムのDCバスに存在してもよい。例えば、電力コンバータシステムの矩形波運転、または6ステップ駆動では、モータの6次の高調波の倍数がすべて、DCバス上に存在する(モータ基本波の6次、12次、18次など)。これに基づいて、複数の決定されたノッチ周波数が決定されてもよい。複数の決定されたノッチ周波数での交流の受動減衰を提供することによって、少なくとも1つのエネルギー貯蔵デバイスに印加される電圧は、少なくとも1つのエネルギー貯蔵デバイスでリプル電流を著しく低下させて、比較的一定に維持され得る。さらにまたはあるいは、パッシブフィルタのサイズおよび/または重量は、、集中インダクタなどのいくつかの既知のフィルタと比較して、最大で25%低下され得る。さらに追加的にまたは代替的に、共通のサイズおよび/または重量に基づいて、パッシブフィルタは、集中インダクタなどの、同じ電圧および電流を受け取るいくつかの既知のフィルタと比較して、より多くのリプル電流を低下させてもよい。
【0023】
図6は、別の例示的な電力コンバータシステム(600)の概要図を示す。図4A-5Bと同様の数字が付された図6の要素は、別途指示されているものを除いて、図4A-5Bに関して記載される通りである。パッシブフィルタ(606)が、少なくとも1つのエネルギー貯蔵デバイス(602)とインバータ(604)との間に連結される。パッシブフィルタ(606)は、第1の連結インダクタ(608)と第1のバイパスキャパシタ(610)、ならびに第2の連結インダクタ(618)と第2のバイパスキャパシタ(620)を含んでもよい。第1の連結インダクタは、少なくとも2つの磁気的に連結される巻線(612)、(614)を含んでもよい。同様に、第2の連結インダクタは、少なくとも2つの磁気的に連結される巻線(622)、(624)を含んでもよい。第1の連結インダクタおよび/または第2の連結インダクタの少なくとも2つの巻線の2以上は、共通コアを共有してもよい。さらにまたはあるいは、第1の連結インダクタおよび/または第2の連結インダクタの少なくとも2つの巻線の2以上は、異なるコアに巻き付けられてもよい。いくつかの例では、パッシブフィルタは、第1の連結インダクタと第2の連結インダクタのそれぞれの1つの少なくとも2つの巻線(612)、(614)、(622)、(624)の数よりも1つ少ない、第1のバイパスキャパシタまたは第2のバイパスキャパシタを含んでもよい。第1のバイパスキャパシタ(例えばDC阻止キャパシタ)は、第1の連結インダクタ(608)の少なくとも2つの巻線の対応する巻線に、直列に連結されて、複数の決定されたノッチ周波数を有する複数の直列共振回路を定義してもよい。同様に、第2のバイパスキャパシタ(例えばDC阻止キャパシタ)は、第1の連結インダクタの少なくとも2つの巻線の対応する巻線に、直列に連結されて、複数の決定されたノッチ周波数を有する複数の直列共振回路を定義してもよい。各直列共振回路は、決定されたノッチ周波数に整調されてもよい。
【0024】
第1の連結インダクタの、第1の、点で示されている端部は、パッシブフィルタの第1のノード(615)に連結されてもよい。第1のバイパスキャパシタは、第1の連結インダクタの、第2の、点で示されていない端部と、パッシブフィルタの第2のノード(617)との間に連結されてもよい。第1のノードはDCバスの第1のレール(607)に連結されてもよく、そして、第2のノードは第2のレール(609)に連結されてもよい。第2の連結インダクタの、第1の、点で示されている端部は、パッシブフィルタの第3のノード(619)に連結されてもよい。第2のバイパスキャパシタ(620)は、第2の連結インダクタ(618)の、第2の、点で示されていない端部と、パッシブフィルタ(606)の第4のノード(621)との間に連結されてもよい。第3のノードはDCバスの第2のレールに連結されてもよく、そして、第2のノードは第1のレールに連結されてもよい。従って、第1の連結インダクタと第1のバイパスキャパシタは、DCバスを基準として、第2の連結インダクタと第2のバイパスキャパシタに対向するように配向付けられる。さらにまたはあるいは、第1の連結インダクタと第1のバイパスキャパシタ、および、第2の連結インダクタと第2のバイパスキャパシタは、リプル電流を減衰させるように構成されてもよい。例示のみを目的として、リプル電圧は+/-70ボルト(V)であってもよく、一方で、リプル電流は+/-280アンペア(A)であってもよい。パッシブフィルタは、第1のノードと第2のノードとの間に直列に実装され、そして接地に接続される、キャパシタ(626)、(628)の第1のペアをさらに含んでもよい。第1の連結インダクタの巻線と第2の連結インダクタの巻線とは、キャパシタの第1のペアと共に、コモンモードフィルタを形成する。さらにまたはあるいは、パッシブフィルタ(606)は、第3のノードと第4のノードとの間に直列に実装され、そして接地に接続される、キャパシタ(630)、(632)の第2のペアをさらに含んでもよい。キャパシタの第2のペアは、DCバスの正および負のレールと接地との間に、コモンモードノイズのための追加的なフィルタリングを提供するように動作する。
パッシブフィルタは、直列共振回路の決定されたノッチ周波数のペアで、またはその近くで、リプル電流を減衰させることによって、エネルギー貯蔵デバイスにおける交流(例えばリプル電流)を低下させる、または除去するように動作してもよい。動作中、第1の連結インダクタの第1の巻線、および/または、第2の連結インダクタの第1の巻線は、直流をDCバス上に通し、その一方で、第1のバイパスキャパシタ、および/または、第2のバイパスキャパシタは、交流をそれぞれの第2の巻線へ分路し、これに基づいて、直列共振回路は交流に対して、インピーダンスが最も低い経路を提供する。パッシブフィルタは、交流を減衰させてもよい。それは、集中インダクタなどの、同じ電圧および電流を受け取るいくつかの既知のフィルタと比較して、複数の決定されたノッチ周波数で、またはその近くで、交流のより大規模な減衰を提供してもよい。直列共振回路の決定されたノッチ周波数は、インバータのスイッチング周波数の値、または値域のペアに対応してもよい。インバータのスイッチング周波数による交流の受動減衰を提供することによって、エネルギー貯蔵デバイスに印加される電圧は、少なくとも1つのエネルギー貯蔵デバイスでリプル電流を著しく低下させて、比較的一定に維持され得る。さらにまたはあるいは、パッシブフィルタのサイズおよび/または重量は、集中インダクタなどのいくつかの既知のフィルタと比較して、最大で60%低下され得る。さらに追加的にまたは代替的に、共通のサイズおよび/または重量に基づいて、パッシブフィルタは、集中インダクタなどの、同じ電圧および電流を受け取るいくつかの既知のフィルタと比較して、より多くのリプル電流を低下させてもよい。
【0025】
図7Aは、並列配置で互いに、およびインバータに(図示されず)連結され得る、複数のエネルギー貯蔵デバイス(702A)、(702B)を提供する、別の例示的な電力コンバータシステム(700A)の概要図を示す。電力コンバータシステムはまた、複数のパッシブフィルタ(706A)、(706B)を含む。複数のエネルギー貯蔵デバイス(702A)、(702B)の各々は、複数のパッシブフィルタ(706A)、(706B)の1つに連結される。図4A-5Bと同様の数字が付された図7Aの要素は、別途指示されているものを除いて、図4A-5Bに関して記載される通りである。例示的な電力コンバータシステム(700A)は、図5Aおよび5Bに示されるいずれかの接地方式で実装されてもよい。複数のエネルギー貯蔵デバイス(702A)、(702B)の並列配置は、DCバスの第1のレールと第2のレール(707)、(709)との間に連結されてもよい。
【0026】
対応するパッシブフィルタ(706A)、(706B)が、複数のエネルギー貯蔵デバイス(702A)、(702B)の各々とインバータとの間に連結される。各パッシブフィルタ(706A)、(706B)は、連結インダクタ(708A)、(708B)と少なくとも1つの対応するバイパスキャパシタ(710A)、(710B)を含んでもよい。各連結インダクタ(708A)、(708B)は、少なくとも2つの磁気的に連結される巻線(712)、(714A)、(714B)を含んでもよい。いくつかの例では、各パッシブフィルタ(706A)、(706B)は、少なくとも2つの巻線(712)、(714)の数よりも1つ少ない、対応するバイパスキャパシタ(710A)、(710B)を含んでもよい。対応するバイパスキャパシタ(710A)、(710B)(例えばDC阻止キャパシタ)は、少なくとも2つの巻線(712)、(714A)、(714B)の対応する巻線の、点で示されていない端部に直列に連結されて、図5Aに関して記載されるような、複数の決定されたノッチ周波数を有する複数の直列共振回路を定義してもよい。各連結インダクタ(708A)、(708B)の、第1の、点で示されている端部は、パッシブフィルタの対応する第1のノード(715A)、(715B)に連結されてもよい。バイパスキャパシタ(710A)、(710B)の各々は、対応する連結インダクタ(708A)、(708B)の、点で示されていない端部と、パッシブフィルタの対応する第2のノード(717A)、(717B)との間に連結されてもよい。第1のノード(715A)、(715B)は、DCバスの第1のレール(707)に連結されてもよく、そして、第2のノード(717A)、(717B)は第2のレール(709)に連結されてもよい。パッシブフィルタ(706A)、(706B)は、直列共振回路の決定されたノッチ周波数で、またはその近くで、リプル電流を減衰させることによって、対応するエネルギー貯蔵デバイス(702A)、(702B)における交流(例えばリプル電流)を低下させる、または除去するように動作する。交流の受動減衰を提供することによって、複数のエネルギー貯蔵デバイス(702A)、(702B)に印加される電圧は、複数のエネルギー貯蔵デバイス(702A)、(702B)でリプル電流を著しく低下させて、比較的一定に維持され得る。
【0027】
図7Bは、複数のエネルギー貯蔵デバイス(702A)、(702B)と既存の従来技術のフィルタ(740)(例えば集中リアクタ、DCチョークなど)との間に後付けされるように構成される、複数のパッシブフィルタ(706A)、(706B)を含むパッシブフィルタデバイスを有する、別の例示的な電力コンバータシステム(700B)の概要図を示す。既存の従来技術のフィルタは、インバータ(図示されず)にさらに連結される。図7Aと同じ数字が付された図7Bの要素は、図7Aに関して記載される通りである。既存の電力コンバータシステムにパッシブフィルタ(706A)、(706B)を後付けすることによって、複数のエネルギー貯蔵デバイス(702A)、(702B)におけるリプル電流が、システム内でさらに低下されてもよい。
【0028】
図8は、並列配置で互いに、およびインバータに(図示されず)連結され得る、複数のエネルギー貯蔵デバイス(802A)、(802B)を提供する、別の例示的な電力コンバータシステム(800)の概要図を示す。電力コンバータシステムは、少なくとも1つのバイパスキャパシタ(810A)、(810B)を共有し得る、複数のパッシブフィルタ(806A)、(806B)を含んでもよい。複数のエネルギー貯蔵デバイス(802A)、(802B)の各々は、複数のパッシブフィルタ(806A)、(806B)の1つに連結される。図4A-5Bと同様の数字が付された図8の要素は、別途指示されているものを除いて、図4A-5Bに関して記載される通りである。例示的な電力コンバータシステムは、図5Aおよび5Bに示されるいずれかの接地方式で実装されてもよい。複数のエネルギー貯蔵デバイス(802A)、(802B)の並列配置は、DCバスの第1のレールと第2のレール(807)、(809)との間に連結されてもよい。
【0029】
対応するパッシブフィルタ(806A)、(806B)が、複数のエネルギー貯蔵デバイス(802A)、(802B)の各々と、インバータとの間に連結される。各パッシブフィルタ(806A)、(806B)は、連結インダクタ(808A)、(808B)と少なくとも1つのバイパスキャパシタ(810A)、(810B)とを含んでもよい。各パッシブフィルタ(806A)、(806B)は、バイパスキャパシタ(810A)、(810B)を共有する。各連結インダクタ(808A)、(808B)は、少なくとも2つの磁気的に連結される巻線(812)、(814A)、(814B)を含んでもよい。いくつかの例では、各パッシブフィルタ(806A)、(806B)は、少なくとも2つの巻線(812)、(814A)、(814B)の数よりも1つ少ない、バイパスキャパシタ(810A)、(810B)を含んでもよい。バイパスキャパシタ(810A)、(810B)(例えばDC阻止キャパシタ)は、少なくとも2つの巻線(812)、(814A)、(814B)の対応する巻線の、点で示されていない端部と、直列に連結されて、図5Aに関して記載されるような、複数の決定されたノッチ周波数を有する複数の直列共振回路を定義してもよい。各連結インダクタ(808A)、(808B)の、第1の、点で示されている端部は、パッシブフィルタの対応する第1のノード(815A)、(815B)に連結されてもよい。バイパスキャパシタ(810A)、(810B)の各々は、対応する連結インダクタ(808A)、(808B)の、点で示されていない端部と、パッシブフィルタの対応する第2のノード(817A)、(817B)との間に連結されてもよい。第1のノード(815A)、(815B)は、DCバスの第1のレール(807)に連結されてもよく、そして、共有される第2のノード(817)は、第2のレール(809)に連結されてもよい。パッシブフィルタ(806A)、(806B)は、直列共振回路の決定されたノッチ周波数で、またはその近くで、リプル電流を減衰させることによって、対応するエネルギー貯蔵デバイス(802A)、(802B)における交流(例えばリプル電流)を低下させる、または除去するように動作する。交流の受動減衰を提供することによって、複数のエネルギー貯蔵デバイスに印加される電圧は、複数のエネルギー貯蔵デバイス(802A)、(802B)でリプル電流を著しく低下させて、比較的一定に維持され得る。さらに、共有されるバイパスキャパシタと共に複数のパッシブフィルタを実装することによって、複数のパッシブフィルタのサイズおよび/または重量および/またはパーツの数は、低下され得る。
【0030】
図9は、直列配置で互いに、およびインバータに(図示されず)連結され得る、複数のエネルギー貯蔵デバイス(902A)、(902B)を提供する、別の例示的な電力コンバータシステム(900)の概要図を示す。電力コンバータシステムは、複数のパッシブフィルタ(906A)、(906B)を含んでもよい。複数のエネルギー貯蔵デバイスの各々は、複数のパッシブフィルタの1つに連結されてもよい。図4A-5Bと同様の数字が付された図9の要素は、別途指示されているものを除いて、図4A-5Bに関して記載される通りである。例示的な電力コンバータシステム(900)は、図5Aおよび5Bに示されるいずれかの接地方式で実装されてもよい。複数のエネルギー貯蔵デバイス(902A)、(902B)の直列配置は、DCバスの第1のレールと第2のレール(907)、(909)との間に連結されてもよい。
【0031】
対応するパッシブフィルタ(906A)、(906B)が、複数のエネルギー貯蔵デバイス(902A)、(902B)の1以上のペアとインバータとの間に連結される。各パッシブフィルタは、連結インダクタ(908A)、(908B)と少なくとも1つの対応するバイパスキャパシタ(910A)、(910B)とを含んでもよい。対応するバイパスキャパシタは、少なくとも2つの巻線(912)、(914)の対応する巻線の第2の端部に、直列に連結されて、決定されたノッチ周波数を有する少なくとも1つの直列共振回路を定義してもよい。各連結インダクタの第1の端部は、共通の第1のノード(915)に連結されてもよい。バイパスキャパシタ(910A)は、連結インダクタ(908A)の第2の端部と、パッシブフィルタ(906A)の対応する第2のノード(917A)との間に連結されてもよい。第2のノード(917A)は、DCバスの第1のレール(907)に連結されてもよい。反対に、バイパスキャパシタ(910B)は、連結インダクタ(908B)の第2の端部と、パッシブフィルタ(906B)の対応する第2のノード(917B)との間に連結されてもよい。第2のノード(917B)は、DCバスの第2のレール(909)に連結されてもよい。DCバスを基準とする、パッシブフィルタ(906A)、(906B)の対向する配向によって、対応するバイパスキャパシタの各々の電圧の値は、本明細書の他の例および/またはいくつかの既知の電力コンバータシステムと比較して、低下(例えば半減)され得る。
【0032】
図10は、直列配置で互いに、およびインバータに(図示されず)連結され得る、複数のエネルギー貯蔵デバイス(1002A)、(1002B)を提供する、別の例示的な電力コンバータシステム(1000)の概要図を示す。電力コンバータシステム(1000)はまた、複数のパッシブフィルタ(1006A)、(1006B)を含む。複数のエネルギー貯蔵デバイス(1002A)、(1002B)の各々は、複数のパッシブフィルタ(1006A)、(1006B)の1つに連結される。図4A-5Bと同様の数字が付された図10の要素は、別途指示されているものを除いて、図4A-5Bに関して記載される通りである。例示的な電力コンバータシステム(1000)は、図5Aおよび5Bに示されるいずれかの接地方式で実装されてもよい。複数のエネルギー貯蔵デバイス(1002A)、(1002B)の直列配置は、DCバスの第1のレールと第2のレール(1007)、(1009)との間に連結されてもよい。
【0033】
対応するパッシブフィルタ(1006A)、(1006B)が、複数のエネルギー貯蔵デバイス(1002A)、(1002B)の各々と、インバータとの間に連結される。各パッシブフィルタ(1006A)、(1006B)は、連結インダクタ(1008A)、(1008B)と少なくとも1つの対応するバイパスキャパシタ(1010A)、(1010B)とを含んでもよい。対応するバイパスキャパシタ(1010A)、(1010B)は、少なくとも2つの巻線(1012)、(1014)の対応する巻線の第2の端部に、直列に連結されて、決定されたノッチ周波数を有する少なくとも1つの直列共振回路を定義してもよい。各連結インダクタ(1008A)、(1008B)の第1の端部は、対応する第1のノード(1015A)、(1015B)に連結されてもよい。バイパスキャパシタ(1010A)は、対応する連結インダクタ(1008A)、(1008B)の第2の端部と、パッシブフィルタ(1006A)、(1006B)の対応する第2のノード(1017A)、(1017B)との間に連結されてもよい。第1のノード(1015A)、(1015B)は、複数のエネルギー貯蔵デバイス(1002A)、(1002B)の共通辺に、直列に、実装されてもよい。第2のノード(1017A)、(1017B)は、第2の、DCバスの第1のレールと第2のレール(1007)、(1009)を基準として、複数のエネルギー貯蔵デバイス(1002A)、(1002B)の対向辺と、複数のリンクキャパシタ(linking capacitor)(1020)、(1022)の共通辺との間との間に、連結されてもよい。複数のリンクキャパシタ(1020)、(1022)とDCバスとに対するパッシブフィルタ(1006A)、(1006B)の配置により、複数のリンクキャパシタ(1020)、(1022)の電圧の値は、高電圧用途で役立つ、本明細書の他の例および/またはいくつかの既知の電力コンバータシステムと比較して、低下され得る、低下(例えば半減)され得る。
【0034】
図11は、並列配置で互いに、およびDCバスのレール(1107)、(1109)を介してインバータに(図示されず)連結され得る、エネルギー貯蔵デバイス(1102A)、(1102B)、(1102C)、(1102D)の少なくとも2つのペアを提供する、別の例示的な電力コンバータシステム(1100)の概要図を示す。図4A-5Bと同様の数字が付された図11の要素は、別途指示されているものを除いて、図4A-5Bに関して記載される通りである。例示的な電力コンバータシステム(1100)は、図5Aおよび5Bに示されるいずれかの接地方式で実装されてもよい。複数のエネルギー貯蔵デバイス(1102A)、(1102B)の並列配置は、DCバスの第1のレールと第2のレール(1107)、(1109)との間に連結されてもよい。
【0035】
電力コンバータシステム(1100)はまた、エネルギー貯蔵デバイスの対応するペア((1102Aおよび1102B)または(1102Cおよび1102D))と、DCバスとの間に連結される、パッシブフィルタ(1106A)と(1106B)を含む。各パッシブフィルタ(1106A)、(1106B)は、連結インダクタ(1108)を含んでもよい。各連結インダクタ(1108)は、エネルギー貯蔵デバイスのペアの第1のエネルギー貯蔵デバイス(1102A)、(1102C)に直列に接続される、(点で示されている端部によって示される通りの)第1の極性を有する第1の巻線(1112)と、エネルギー貯蔵デバイスのペアの第2のエネルギー貯蔵デバイス(1102B)、(1102D)に直列に接続される、(反対側の点で示されている端部によって示される通りの)第2の極性を有する第2の巻線(1114)とを含んでもよい。第1の巻線と第2の巻線(1112)、(1114)の反対の極性は、連結インダクタ(1108)上で通される、および/または格納される、リプル電流を打ち消すことによって、エネルギー貯蔵デバイスで交流(例えばリプル電流)を低下させる、または除去するように動作する。交流の受動キャンセリング(passive cancellation)を提供することによって、エネルギー貯蔵デバイスの各ペア((1102Aおよび1102B)または(1102Cおよび1102D))に印加される電圧は、エネルギー貯蔵デバイス(1102A)、(1102B)、(1102C)、(1102D)でリプル電流を著しく低下させて、比較的一定に維持され得る。
【0036】
本明細書の実施形態は、電力コンバータシステムを形成する方法を含み得る。方法は、例えば、本明細書で議論される様々な実施形態の構造または態様(例えば、システムおよび/または方法および/または処理フロー)によって、利用または実行され得る。様々な実施形態では、特定の工程が省略または追加されてもよく、特定の工程が組み合わされてもよく、特定の工程が同時に実行されてもよく、特定の工程が複数の工程に分けられてもよく、特定の工程が異なる順序で実行されてもよく、あるいは、特定の工程または一連の工程が反復的な方法で再実行されてもよい。方法は、エネルギー貯蔵デバイスと、エネルギー貯蔵デバイスに電気的に連結されるインバータとの間に、パッシブフィルタを連結する工程を含む。パッシブフィルタは、第1の連結インダクタと、少なくとも1つの第1のバイパスキャパシタとを含む。第1の連結インダクタは、少なくとも2つの磁気的に連結される巻線を含む。パッシブフィルタは、エネルギー貯蔵デバイスで、交流を低下させるように、または除去するように構成される。
【0037】
1以上の実施形態によると、エネルギー貯蔵デバイスと、エネルギー貯蔵デバイスに電気的に連結されるインバータとを含む、システムが提供され得る。システムはまた、エネルギー貯蔵デバイスとインバータとの間に電気的に連結されるパッシブフィルタを含む。パッシブフィルタは、第1の連結インダクタと、少なくとも1つの第1のバイパスキャパシタとを含む。第1の連結インダクタは、少なくとも2つの磁気的に連結される巻線を含む。パッシブフィルタは、エネルギー貯蔵デバイスで、交流を低下させるように、または除去するように構成される。巻線は、少なくとも2つの巻線が、同じ導電体または電動ワイヤの共通軸の周りの単なる2つの異なるループではないという点で、分離されていてもよい。代わりに、巻線は、各々が同じ、または異なるコアの周りに巻き付く、2つの別個の導電体であってもよい。
【0038】
インバータは、車両のトラクションモータへACを出力するように構成される、トラクションインバータであり得る。パッシブフィルタは、フィルタに含まれる、少なくとも2つの磁気的に連結される巻線の数(例えばいくつなのか)よりも1つ少ない、バイパスキャパシタを含み得る。例えば、パッシブフィルタ中のバイパスキャパシタの数は、巻線の数よりも少なくとも1つ少ない可能性がある(例えば、2つの巻線がある場合は1つのバイパスキャパシタがあり、3つの巻線がある場合は最大で2つのバイパスキャパシタがある、など)。少なくとも1つの第1のバイパスキャパシタの各々は、巻線の対応する巻線に、直列に連結されて、決定されたノッチ周波数を有する直列共振回路を定義する。パッシブフィルタは、第2の連結インダクタと、少なくとも1つの第2のバイパスキャパシタとを含むことができ、ここで、第1の連結インダクタの、第1の、磁気的に連結される巻線と、第2の連結インダクタの、第1の、磁気的に連結される巻線と、少なくとも1つの第1のバイパスキャパシタと、および少なくとも1つの第2のバイパスキャパシタとは、コモンモードフィルタを形成するように構成される。
【0039】
第2の連結インダクタは、少なくとも2つの磁気的に連結される巻線を含むことができ、そして、パッシブフィルタは、磁気的に連結される巻線の数よりも1つ少ない、第2のバイパスキャパシタを含むことができる。少なくとも1つの第2のバイパスキャパシタの各々は、磁気的に連結される巻線の対応する巻線に、直列に連結されて、決定されたノッチ周波数を有する直列共振回路を定義することができる。システムはまた、追加的なエネルギー貯蔵デバイスと複数のパッシブフィルタとを含むことができ、ここで、エネルギー貯蔵デバイスの各々は、少なくとも1つのパッシブフィルタに電気的に連結される。エネルギー貯蔵デバイスは、互いに、並列に電気的に連結され得る。
【0040】
システムは、1以上の追加的なエネルギー貯蔵デバイスを含むことができ、そして、パッシブフィルタもまた、複数の第1の連結インダクタを含むことができ、エネルギー貯蔵デバイスの各々は、複数の第1の連結インダクタの対応する第1の連結インダクタと、少なくとも1つの第1のバイパスキャパシタとに、電気的に連結されている。エネルギー貯蔵デバイスは、互いに、並列に電気的に連結され得る。パッシブフィルタは、磁気的に連結される巻線よりも1つ少ない、第1のバイパスキャパシタを含むことができ、第1のバイパスキャパシタの各々は、磁気的に連結される巻線の対応する巻線に直列に連結されており、決定されたノッチ周波数を有する直列共振回路を定義する。磁気的に連結される巻線は、共通コアを共有することができる。システムはまた、接地と、直流バスの正および負のレールに電気的に連結されるリンクキャパシタとを含むことができる。接地は中点接地であり得る。第1のバイパスキャパシタのキャパシタンス値は、リンクキャパシタのキャパシタンス値の0.1~10倍であり得る。
【0041】
1以上の実施形態によると、第1の連結インダクタと少なくとも1つの第1のバイパスキャパシタとを有するパッシブフィルタを含む、パッシブフィルタデバイスが提供されてもよい。第1の連結インダクタは、少なくとも2つの磁気的に連結される巻線を含む。パッシブフィルタはまた、磁気的に連結される巻線の数よりも1つの少ない、第1のバイパスキャパシタを含む。少なくとも1つの第1のバイパスキャパシタの各々は、少なくとも2つの磁気的に連結される巻線の対応する巻線に、直列に連結されて、決定されたノッチ周波数を有する直列共振回路を定義する。パッシブフィルタは、コンバータと集中リアクタとに連結されるエネルギー貯蔵デバイスを含む電力コンバータシステムに、挿入可能に構成される。パッシブフィルタは、エネルギー貯蔵デバイスで、交流を低下させてもよく、または除去してもよい。
【0042】
随意に、パッシブフィルタは、エネルギー貯蔵デバイスとシステムの集中リアクタとの間に電気的に連結され得る。パッシブフィルタは、コモンモードフィルタを形成するように構成される、第2の連結インダクタと、少なくとも1つの第2のバイパスキャパシタとを含むことができる。第2の連結インダクタは、少なくとも2つの磁気的に連結される巻線を含むことができ、そして、パッシブフィルタは、少なくとも2つの磁気的に連結される巻線よりも1つ少ない、少なくとも1つの第2のバイパスキャパシタを含むことができ、少なくとも1つの第2のバイパスキャパシタの各々は、少なくとも2つの磁気的に連結される巻線の対応する巻線に、直列に連結されて、決定されたノッチ周波数を有する直列共振回路を定義する。
【0043】
一実施形態によると、直列に接続される少なくとも2つのエネルギー貯蔵デバイス(例えばバッテリー)と、エネルギー貯蔵デバイスに電気的に連結されるインバータとを含む、システムが提供されてもよい。システムはまた、エネルギー貯蔵デバイス間、および、(a)2つのエネルギー貯蔵デバイスと(b)インバータとの間に、電気的に連結される少なくとも1つのパッシブフィルタを含むことができる。少なくとも1つのパッシブフィルタは、第1の連結インダクタと第2の連結インダクタとを含む。第1の連結インダクタと、第2の連結インダクタとは、各々、少なくとも2つの磁気的に連結される巻線を含む。パッシブフィルタは、エネルギー貯蔵デバイスで、交流を低下させるように、または除去するように構成される。随意に、インバータは、車両のトラクションモータのための交流を出力するように構成される、トラクションインバータである。
【0044】
本明細書で使用される単数形、「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈に別段の指示がない限り、複数の参照を含む。「任意の」または「任意に」とは、後に記載される出来事または状況が発生する場合と発生しない場合があり、そしてその記載は、出来事が発生する場合と発生しない場合を含むということを意味する。本明細書と特許請求の範囲全体で使用される時、概数を表す言語は、関連する可能性のある基本機能を変更することなく、許容範囲内で変化し得る任意の定量的表現を変更するために適用されることがある。したがって、「約」、「実質的に」、および「およそ」などの用語(複数可)によって変更される値は、指定された正確な値に限定されない場合がある。少なくともいくつかの場合には、概算を表す言語は、値を測定するための機器の精度に対応していても良い。ここでおよび明細書と特許請求の範囲全体を通して、範囲制限は、組み合わせられる場合および/または入れ替えられる場合があり、文脈または言語による別段の指示がない限り、そのような範囲は識別され、そして、そこに含有されるすべてのサブ範囲を含めることができる。
【0045】
この書面による説明は、実施形態を開示する例を使用して、最良のモードを含む本発明の実施形態を開示し、当業者が、任意のデバイスまたはシステムの作成と使用、および包含される方法の実施を含む本発明の実施形態を実践することを可能にする。特許請求の範囲は、開示の特許可能な範囲を定義し、そして当業者であれば想到する他の例を含む。他のそのような例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの言葉と異ならない構造要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文字通りの言葉と実質的に異ならない差を伴う同等の構造要素を有する場合、特許請求の範囲内にあると意図される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11