(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】発光デバイス用ホスト材料、発光デバイス、発光装置、電子機器、及び照明装置
(51)【国際特許分類】
H10K 85/60 20230101AFI20240502BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20240502BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240502BHJP
H10K 50/12 20230101ALI20240502BHJP
H10K 59/12 20230101ALI20240502BHJP
H10K 59/95 20230101ALI20240502BHJP
【FI】
H10K85/60
C09K11/06 690
G09F9/30 365
H10K50/12
H10K59/12
H10K59/95
(21)【出願番号】P 2021119766
(22)【出願日】2021-07-20
(62)【分割の表示】P 2020547364の分割
【原出願日】2020-02-05
【審査請求日】2023-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2019024416
(32)【優先日】2019-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 宏記
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 哲史
(72)【発明者】
【氏名】門間 裕史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】橋本 直明
【審査官】横川 美穂
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-517318(JP,A)
【文献】特開2004-059535(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104835921(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/00-102/20
C09K 11/06
G09F 9/30
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
青色発光材料とともに用いられる、下記式(G1)で表される発光デバイス用ホスト材料。
【化1】
(式(G1)において、R
1乃至R
7はそれぞれ独立に、水素、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、9,9´―スピロビフルオレニル基、9,9-ジフェニルフルオレニル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、トリフェニレニル基、フルオランテニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、及びクアテルフェニル基のいずれかを表す。)
【請求項2】
請求項1において、
R
1乃至R
7のうち、いずれか一が、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、9,9´―スピロビフルオレニル基、9,9-ジフェニルフルオレニル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、トリフェニレニル基、フルオランテニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、及びクアテルフェニル基のいずれかであり、残りが水素である発光デバイス用ホスト材料。
【請求項3】
請求項1において、
R
1乃至R
7のうち、いずれか一が、フェニル基であり、残りが水素である発光デバイス用ホスト材料。
【請求項4】
青色発光材料とともに用いられる、下記式(G2)で表される発光デバイス用ホスト材料。
【化2】
(式(G2)において、R
4は、水素、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、9,9´―スピロビフルオレニル基、9,9-ジフェニルフルオレニル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、トリフェニレニル基、フルオランテニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、及びクアテルフェニル基のいずれかを表す。)
【請求項5】
請求項4において、
R
4は、水素またはフェニル基である発光デバイス用ホスト材料。
【請求項6】
青色発光材料とともに用いられる、下記式(100)または式(101)で表される発光デバイス用ホスト材料。
【化3】
【化4】
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一において、
前記青色発光材料は、縮合芳香族ジアミン化合物である発光デバイス用ホスト材料。
【請求項8】
一対の電極間に、発光層を有し、
前記発光層は、青色発光材料と、下記式(G1)で表されるアントラセン化合物と、を有する発光デバイス。
【化5】
(式(G1)において、R
1乃至R
7はそれぞれ独立に、水素、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、9,9´―スピロビフルオレニル基、9,9-ジフェニルフルオレニル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、トリフェニレニル基、フルオランテニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、及びクアテルフェニル基のいずれかを表す。)
【請求項9】
請求項8において、
R
1乃至R
7のうち、いずれか一が、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、9,9´―スピロビフルオレニル基、9,9-ジフェニルフルオレニル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、トリフェニレニル基、フルオランテニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、及びクアテルフェニル基のいずれかであり、残りが水素である発光デバイス。
【請求項10】
請求項8において、
R
1乃至R
7のうち、いずれか一が、フェニル基であり、残りが水素である発光デバイス。
【請求項11】
一対の電極間に、発光層を有し、
前記発光層は、青色発光材料と、下記式(G2)で表されるアントラセン化合物と、を有する発光デバイス。
【化6】
(式(G2)において、R
4は、水素、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、9,9´―スピロビフルオレニル基、9,9-ジフェニルフルオレニル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、トリフェニレニル基、フルオランテニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、及びクアテルフェニル基のいずれかを表す。)
【請求項12】
請求項11において、
R
4は、水素またはフェニル基である発光デバイス。
【請求項13】
一対の電極間に、発光層を有し、
前記発光層は、青色発光材料と、下記式(100)または式(101)で表されるアントラセン化合物と、を有する発光デバイス。
【化7】
【化8】
【請求項14】
請求項8乃至請求項13のいずれか一において、
前記青色発光材料は、縮合芳香族ジアミン化合物である発光デバイス。
【請求項15】
請求項8乃至請求項14のいずれか一で表される発光デバイスと、トランジスタ、または、基板と、を有する発光装置。
【請求項16】
請求項15に記載の発光装置と、センサ、操作ボタン、スピーカ、または、マイクと、を有する電子機器。
【請求項17】
請求項15に記載の発光装置と、筐体と、を有する照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、ホスト材料用アントラセン化合物、発光素子、発光デバイス、ディスプレイモジュール、照明モジュール、表示装置、発光装置、電子機器及び照明装置に関する。なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、液晶表示装置、発光装置、照明装置、蓄電装置、記憶装置、撮像装置、それらの駆動方法、または、それらの製造方法を一例として挙げることができる。
【背景技術】
【0002】
有機化合物を用いたエレクトロルミネッセンス(EL:Electroluminescence)を利用する発光デバイス(有機EL素子)の実用化が進んでいる。これら発光デバイスの基本的な構成は、一対の電極間に発光材料を含む有機化合物層(EL層)を挟んだものである。この素子に電圧を印加して、キャリアを注入し、当該キャリアの再結合エネルギーを利用することにより、発光材料からの発光を得ることができる。
【0003】
このような発光デバイスは自発光型であるため、液晶ディスプレイに比べ視認性が高くディスプレイの画素として好適である。また、このような発光デバイスを用いたディスプレイは、バックライトが不要であり薄型軽量に作製できることも大きな利点である。さらに非常に応答速度が速いことも特徴の一つである。
【0004】
また、これらの発光デバイスは発光層を二次元に連続して形成することが可能であるため、面状に発光を得ることができる。これは、白熱電球やLEDに代表される点光源、あるいは蛍光灯に代表される線光源では得難い特色であるため、照明等に応用できる面光源としての利用価値も高い。
【0005】
このように発光デバイスを用いたディスプレイや照明装置はさまざまな電子機器に適用好適であるが、より良好な効率、寿命を有する発光デバイスを求めて研究開発が進められている。
【0006】
発光デバイスの特性は、目覚ましく向上してきたが効率や耐久性をはじめ、あらゆる特性に対する高度な要求に対応するには未だ不十分と言わざるを得ない。特に、EL特有の問題として未だあげつらわれる焼き付きなどの問題を解決する為には、劣化による効率の低下は小さければ小さいほど都合が良い。
【0007】
劣化に関しては、発光中心物質やその周辺の材料により大きく左右されるため、良好な特性を有するホスト材料の開発が盛んにおこなわれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の一態様では、新規ホスト材料用化合物を提供することを目的とする。または、本発明の一態様では、発光デバイスの寿命を向上させることが可能なホスト材料用化合物を提供することを目的とする。または、本発明の一態様では、寿命の良好な発光デバイスを提供することを目的とする。または、本発明の一態様では、ガラス転移点等の熱物性が高い材料を提供することを目的とする。
【0010】
または、本発明の他の一態様では、信頼性の高い発光装置、電子機器及び表示装置を各々提供することを目的とする。
【0011】
本発明は上述の課題のうちいずれか一を解決すればよいものとする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は下記一般式(G1)で表されるホスト用アントラセン化合物である。
【0013】
【0014】
但し、一般式(G1)において、R1乃至R7はそれぞれ独立に、水素、または炭素数1乃至25のアリール基を表す。
【0015】
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、R1乃至R7のうち1が炭素数1乃至25のアリール基を表し、その他が水素であるホスト用アントラセン化合物である。
【0016】
または、本発明の他の一態様は、下記一般式(G2)で表されるホスト材料用アントラセン化合物である。
【0017】
【0018】
但し、上記一般式(G2)において、R4は、水素、または炭素数1乃至25のアリール基を表す。
【0019】
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記炭素数1乃至25のアリール基がフェニル基であるホスト材料用アントラセン化合物である。
【0020】
または、本発明の他の一態様は、下記構造式(100)で表されるホスト用アントラセン化合物である。
【0021】
【0022】
または、本発明の他の一態様は、陽極と、陰極と、前記陽極と陰極との間に位置するEL層とを有し、前記EL層は、発光中心物質とホスト材料とを有し、前記ホスト材料が、上記構成を有するホスト材料用アントラセン化合物である発光デバイスである。
【0023】
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記発光中心物質が青色の蛍光を発する発光デバイスである。
【0024】
または、本発明の他の一態様は、上記構成を有する発光デバイスと、トランジスタまたは基板とを有する発光装置である。
【0025】
または、本発明の他の一態様は、上記構成を有する発光装置と、センサ、操作ボタン、スピーカまたはマイクを有する電子機器である。
【0026】
または、本発明の他の一態様は、上記構成を有する発光装置と、筐体とを有する照明装置である。
【0027】
なお、本明細書中における発光装置とは、発光デバイスを用いた画像表示デバイスを含む。また、発光デバイスにコネクター、例えば異方導電性フィルム又はTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、又は発光デバイスにCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも、発光装置に含む場合がある。さらに、照明器具等は、発光装置を有する場合がある。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一態様では、新規有機化合物を提供することができる。または、正孔輸送性を有する新規有機化合物を提供することができる。または、新規正孔輸送材料を提供することができる。または、新規発光デバイスを提供することができる。または、寿命の良好な発光デバイスを提供することができる。または、発光効率の良好な発光デバイスを提供することができる。または、駆動電圧の低い発光デバイスを提供することができる。または、駆動時間の蓄積に伴う電圧変化が小さい素子を提供することができる。
【0029】
または、本発明の他の一態様では、信頼性の高い発光装置、電子機器及び表示装置を各々提供することができる。または、本発明の他の一態様では、消費電力の小さい発光装置、電子機器及び表示装置を各々提供することができる。
【0030】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図4】
図4はアクティブマトリクス型発光装置の概念図である。
【
図15】
図15は2αN-αNPhAのトルエン溶液の吸収スペクトルおよび発光スペクトルである。
【
図16】
図16は2αN-αNPhAの薄膜の吸収スペクトルおよび発光スペクトルである。
【
図18】
図18は2PαN-αNPhAのトルエン溶液の吸収スペクトルおよび発光スペクトルである。
【
図19】
図19は2PαN-αNPhAの薄膜の吸収スペクトルおよび発光スペクトルである。
【
図20】
図20は発光デバイス1、比較発光デバイス1および比較発光デバイス2の輝度-電流密度特性である。
【
図21】
図21は発光デバイス1、比較発光デバイス1および比較発光デバイス2の電流効率-輝度特性である。
【
図22】
図22は発光デバイス1、比較発光デバイス1および比較発光デバイス2の輝度-電圧特性である。
【
図23】
図23は発光デバイス1、比較発光デバイス1および比較発光デバイス2の電流-電圧特性である。
【
図24】
図24は発光デバイス1、比較発光デバイス1および比較発光デバイス2の外部量子効率-輝度特性である。
【
図25】
図25は発光デバイス1、比較発光デバイス1および比較発光デバイス2の発光スペクトルである。
【
図26】
図26は発光デバイス1、比較発光デバイス1および比較発光デバイス2の規格化輝度-時間変化特性である。
【
図27】
図27は発光デバイス2、比較発光デバイス3および比較発光デバイス4の輝度-電流密度特性である。
【
図28】
図28は発光デバイス2、比較発光デバイス3および比較発光デバイス4の電流効率-輝度特性である。
【
図29】
図29は発光デバイス2、比較発光デバイス3および比較発光デバイス4の輝度-電圧特性である。
【
図30】
図30は発光デバイス2、比較発光デバイス3および比較発光デバイス4の電流-電圧特性である。
【
図31】
図31は発光デバイス2、比較発光デバイス3および比較発光デバイス4の外部量子効率-輝度特性である。
【
図32】
図32は発光デバイス2、比較発光デバイス3および比較発光デバイス4の発光スペクトルである。
【
図33】
図33は発光デバイス2、比較発光デバイス3および比較発光デバイス4の規格化輝度-時間変化特性である。
【
図34】
図34は発光デバイス3、発光デバイス4、および比較発光デバイス5乃至比較発光デバイス10の輝度-電流密度特性である。
【
図35】
図35は発光デバイス3、発光デバイス4、および比較発光デバイス5乃至比較発光デバイス10の電流効率-輝度特性である。
【
図36】
図36は発光デバイス3、発光デバイス4、および比較発光デバイス5乃至比較発光デバイス10の輝度-電圧特性である。
【
図37】
図37は発光デバイス3、発光デバイス4、および比較発光デバイス5乃至比較発光デバイス10の電流-電圧特性である。
【
図38】
図38は発光デバイス3、発光デバイス4、および比較発光デバイス5乃至比較発光デバイス10の外部量子効率-輝度特性である。
【
図39】
図39は発光デバイス3、発光デバイス4、および比較発光デバイス5乃至比較発光デバイス10の発光スペクトルである。
【
図40】
図40は発光デバイス5、比較発光デバイス11および比較発光デバイス12の輝度-電流密度特性である。
【
図41】
図41は発光デバイス5、比較発光デバイス11および比較発光デバイス12の電流効率-輝度特性である。
【
図42】
図42は発光デバイス5、比較発光デバイス11および比較発光デバイス12の輝度-電圧特性である。
【
図43】
図43は発光デバイス5、比較発光デバイス11および比較発光デバイス12の電流-電圧特性である。
【
図44】
図44は発光デバイス5、比較発光デバイス11および比較発光デバイス12の外部量子効率-輝度特性である。
【
図45】
図45は発光デバイス5、比較発光デバイス11および比較発光デバイス12の発光スペクトルである。
【
図46】
図46は発光デバイス5、比較発光デバイス11および比較発光デバイス12の規格化輝度-時間変化特性である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0033】
(実施の形態1)
本発明の一態様のホスト材料用アントラセン化合物は、下記一般式(G1)で表される有機化合物である。
【0034】
【0035】
但し、上記一般式(G1)において、R1乃至R7はそれぞれ独立に水素または炭素数6乃至25のアリール基を表すものとする。
【0036】
炭素数6乃至25のアリール基としては、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、トリフェニレニル基、フルオランテニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、クアテルフェニル基等を挙げることができる。
【0037】
R1乃至R7は全て水素であること、または、一が炭素数6乃至25のアリール基であり残りが水素であることが好ましい。また、一が炭素数6乃至25のアリール基であり残りが水素である場合、下記一般式(G2)のように、R4がアリール基であることがより好ましい。
【0038】
【0039】
以上のような構成を有する本発明の一態様のホスト材料用アントラセン化合物は、有機化合物を用いた発光デバイスの発光層におけるホスト材料として用いることで、寿命の長い発光デバイスを提供することが可能となる。
【0040】
なお、上記一般式(G1)で表される化合物をホスト材料として用いた発光デバイスは、上記一般式(G1)で表される化合物におけるアントラセン骨格の9位および10位に結合するナフチル基およびフェニル基のいずれかに置換基がある化合物をホスト材料として用いた発光デバイスよりも良好な寿命を有する発光デバイスとすることができる。
【0041】
また、同様に、上記一般式(G1)で表される化合物をホスト材料として用いた発光デバイスは、上記一般式(G1)で表される化合物におけるアントラセン骨格の9位および2位に結合するナフチル基のいずれかにアルキル基またはアルキルシリル基が結合する化合物をホスト材料として用いた発光デバイスよりも良好な寿命を有する発光デバイスとすることができる。なお、上記一般式(G1)で表される化合物におけるアントラセン骨格の2位に結合するナフチル基に炭素数6乃至25のアリール基が結合した化合物をホスト材料として用いた発光デバイスは良好な寿命を有する発光デバイスとすることができる。
【0042】
上記構成を有する有機化合物の具体的な例を以下に示す。
【0043】
【0044】
【0045】
以上のような有機化合物は、下記合成スキームなどにより合成することができる。
【0046】
本発明の一態様のホスト材料用アントラセン化合物(G1)は、以下のような合成スキームにより合成することができる。すなわち、アントラセン誘導体のハロゲン化合物もしくはトリフラート基を持つ化合物(a1)と、ナフタレン化合物のボロン酸、又は有機ホウ素化合物(a2)とを、鈴木・宮浦反応によりカップリングすることで、本発明の一態様のアントラセン化合物(G1)を得ることができる。
【0047】
【0048】
上記合成スキームにおいて、R1乃至R7はそれぞれ独立に水素、又は炭素数6乃至25のアリール基のいずれか一を表す。また、R8、R9はそれぞれ独立に水素、又は炭素数1乃至6のアルキル基のいずれかを表し、R8およびR9は互いに結合して環を形成していても良い。
【0049】
また、Xはハロゲン、又は、トリフラート基を表し、Xがハロゲンの場合は特に塩素、臭素、ヨウ素が好ましい。
【0050】
上記合成スキームで表される反応において用いることができるパラジウム触媒としては、酢酸パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロライド等が挙げられる。
【0051】
上記パラジウム触媒の配位子としては、ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン、トリ(オルト-トリル)ホスフィンや、トリフェニルホスフィンや、トリシクロヘキシルホスフィン等が挙げられる。
【0052】
上記合成スキームで表される反応において用いることができる塩基としては、ナトリウム tert-ブトキシド等の有機塩基や、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。
【0053】
上記合成スキームで表される反応において、用いることができる溶媒としては、トルエンと水の混合溶媒、トルエンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、キシレンと水の混合溶媒、キシレンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、ベンゼンと水の混合溶媒、ベンゼンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類と水の混合溶媒、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類とエタノール等のアルコールの混合溶媒などが挙げられる。ただし、用いることができる溶媒はこれらに限られるものでは無い。また、トルエンと水、又はトルエンとエタノールと水の混合溶媒、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類と水の混合溶媒、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類とエタノール等のアルコールの混合溶媒がより好ましい。
【0054】
上記合成スキームで用いることができるカップリング反応としては、化合物(a2)で示される有機ホウ素化合物又はボロン酸を用いる鈴木・宮浦カップリング反応の代わりに、有機アルミニウムや、有機ジルコニウム、有機亜鉛、有機スズ化合物等を用いるクロスカップリング反応を用いてもよい。また、上記合成スキームに示す反応において、アントラセン化合物の有機ホウ素化合物又はボロン酸と、ナフタレン化合物のハロゲン化物又はトリフラート置換体を、鈴木・宮浦反応によりカップリングしてもよい。
【0055】
本発明の一態様のホスト材料用アントラセン化合物は以上のように合成することが可能である。
【0056】
(実施の形態2)
図1A1に、本発明の一態様の発光デバイスを表す図を示す。本発明の一態様の発光デバイスは、第1の電極101と、第2の電極102、EL層103を有し、EL層103は発光層113を有しており、当該発光層に実施の形態1で述べた本発明の一態様のホスト材料用アントラセン誘導体を含んでいる。
【0057】
EL層103は、発光層113の他に、正孔注入層111、正孔輸送層112、電子輸送層114および電子注入層115を有していても良く、その他キャリアブロック層、励起子ブロック層、電荷発生層など様々な層を有していても良い。なお、正孔輸送層112は、
図1A2のように、第1の正孔輸送層112-1、第2の正孔輸送層112-2のように2層に分けて異なる材料を用いて形成しても良い。なお、第2の正孔輸送層112-2は、電子ブロック層としても機能する。
【0058】
当該ホスト材料用アントラセン化合物は、発光層113に含まれるホスト材料として用いる。当該ホスト材料用アントラセン化合物をホスト材料として用いた本発明の一態様の発光デバイスは、寿命の長い発光デバイスとすることができる。
【0059】
第1の電極101は、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、導電性化合物、およびこれらの混合物などを用いて形成することが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム-酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、ケイ素若しくは酸化ケイ素を含有した酸化インジウム-酸化スズ、酸化インジウム-酸化亜鉛、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタリング法により成膜されるが、ゾル-ゲル法などを応用して作製しても構わない。作製方法の例としては、酸化インジウム-酸化亜鉛は、酸化インジウムに対し1~20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成する方法などがある。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5~5wt%、酸化亜鉛を0.1~1wt%含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成することもできる。この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。グラフェンも用いることができる。なお、後述する複合材料をEL層103における第1の電極101と接する層に用いることで、仕事関数に関わらず、電極材料を選択することができるようになる。
【0060】
EL層103の積層構造については、本実施の形態では、
図1A1に示すように、正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113に加えて、電子輸送層114及び電子注入層115を有する構成、及び
図1Bに示すように、正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113に加えて、電子輸送層114及び電荷発生層116を有する構成の2種類の構成について説明する。各層を構成する材料について以下に具体的に示す。
【0061】
正孔注入層111は、アクセプタ性を有する物質を含む層である。アクセプタ性を有する物質としては、電子吸引基(ハロゲン基やシアノ基)を有する化合物を用いることができ、7,7,8,8-テトラシアノ-2,3,5,6-テトラフルオロキノジメタン(略称:F4-TCNQ)、3,6-ジフルオロ-2,5,7,7,8,8-ヘキサシアノキノジメタン、クロラニル、2,3,6,7,10,11-ヘキサシアノ-1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレン(略称:HAT-CN)、1,3,4,5,7,8-ヘキサフルオロテトラシアノ-ナフトキノジメタン(略称:F6-TCNNQ)等の電子吸引基を有する化合物等を用いることができる。アクセプタ性を有する有機化合物としては、HAT-CNのように複素原子を複数有する縮合芳香環に電子吸引基が結合している化合物が、熱的に安定であり好ましい。また、電子吸引基(特にフルオロ基のようなハロゲン基やシアノ基)を有する[3]ラジアレン誘導体は、電子受容性が非常に高いため好ましく、具体的にはα,α’,α’’-1,2,3-シクロプロパントリイリデントリス[4-シアノ-2,3,5,6-テトラフルオロベンゼンアセトニトリル]、α,α’,α’’-1,2,3-シクロプロパントリイリデントリス[2,6-ジクロロー3,5-ジフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼンアセトニトリル]、α,α’,α’’-1,2,3-シクロプロパントリイリデントリス[2,3,4,5,6-ペンタフルオロベンゼンアセトニトリル]などが挙げられる。アクセプタ性を有する物質としては以上で述べた有機化合物以外にも、モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:H2Pc)や銅フタロシアニン(CuPc)等のフタロシアニン系の錯体化合物、4,4’-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’-ビス{4-[ビス(3-メチルフェニル)アミノ]フェニル}-N,N’-ジフェニル-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン(略称:DNTPD)等の芳香族アミン化合物、或いはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても正孔注入層111を形成することができる。アクセプタ性を有する物質は、隣接する正孔輸送層(あるいは正孔輸送材料)から、電界の印加により電子を引き抜くことができる。
【0062】
また、正孔注入層111として、正孔輸送性を有する物質にアクセプタ性物質を含有させた複合材料を用いることもできる。なお、正孔輸送性の物質にアクセプタ性物質を含有させた複合材料を用いることにより、仕事関数に依らず電極を形成する材料を選ぶことができる。つまり、第1の電極101として仕事関数の大きい材料だけでなく、仕事関数の小さい材料も用いることができるようになる。当該アクセプタ性物質としては、上記したアクセプタ性を有する物質を用いることが可能であるが、中でも酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0063】
複合材料に用いる正孔輸送性の物質としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の有機化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる正孔輸送性の物質としては、1×10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。なお、本発明の一態様の有機化合物も好適に用いることができる。以下では、複合材料における正孔輸送性の物質として用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
【0064】
複合材料に用いることのできる芳香族アミン化合物としては、N,N’-ジ(p-トリル)-N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’-ビス{4-[ビス(3-メチルフェニル)アミノ]フェニル}-N,N’-ジフェニル-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン(略称:DNTPD)、1,3,5-トリス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を挙げることができる。カルバゾール誘導体としては、具体的には、3-[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6-ビス[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3-[N-(1-ナフチル)-N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)アミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)、4,4’-ジ(N-カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5-トリス[4-(N-カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CzPA)、1,4-ビス[4-(N-カルバゾリル)フェニル]-2,3,5,6-テトラフェニルベンゼン等を用いることができる。芳香族炭化水素としては、例えば、2-tert-ブチル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:t-BuDNA)、2-tert-ブチル-9,10-ジ(1-ナフチル)アントラセン、9,10-ビス(3,5-ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2-tert-ブチル-9,10-ビス(4-フェニルフェニル)アントラセン(略称:t-BuDBA)、9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10-ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2-tert-ブチルアントラセン(略称:t-BuAnth)、9,10-ビス(4-メチル-1-ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、2-tert-ブチル-9,10-ビス[2-(1-ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10-ビス[2-(1-ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7-テトラメチル-9,10-ジ(1-ナフチル)アントラセン、2,3,6,7-テトラメチル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン、9,9’-ビアントリル、10,10’-ジフェニル-9,9’-ビアントリル、10,10’-ビス(2-フェニルフェニル)-9,9’-ビアントリル、10,10’-ビス[(2,3,4,5,6-ペンタフェニル)フェニル]-9,9’-ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11-テトラ(tert-ブチル)ペリレン等が挙げられる。また、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。ビニル骨格を有していてもよい。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’-ビス(2,2-ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10-ビス[4-(2,2-ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
【0065】
また、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4-ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N-(4-{N’-[4-(4-ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル-N’-フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’-ビス(4-ブチルフェニル)-N,N’-ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly-TPD)等の高分子化合物を用いることもできる。
【0066】
正孔注入層111を形成することによって、正孔の注入性が良好となり、駆動電圧の小さい発光デバイスを得ることができる。また、アクセプタ性を有する有機化合物は蒸着が容易で成膜がしやすいため、用いやすい材料である。
【0067】
正孔輸送層112は、正孔輸送材料を含んで形成される。正孔輸送材料としては、1×10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有していることが好ましい。当該正孔輸送材料としては、上記複合材料に用いることができる正孔輸送性材料として挙げた有機化合物を用いることが可能である。
【0068】
発光層113は、発光材料とホスト材料とを含む層である。発光材料は蛍光発光物質であっても、りん光発光物質であっても、熱活性化遅延蛍光(TADF)を示す物質であっても、その他の発光材料であっても構わない。また、単層であっても、異なる発光材料が含まれる複数の層からなっていても良い。なお、本発明の一態様は、発光層113が蛍光発光を呈する層、特に、青色の蛍光発光を呈する層である場合により好適に適用することができる。
【0069】
発光層113において、蛍光発光物質として用いることが可能な材料としては、例えば以下のようなものが挙げられる。また、これ以外の蛍光発光物質も用いることができる。
【0070】
5,6-ビス[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-2,2’-ビピリジン(略称:PAP2BPy)、5,6-ビス[4’-(10-フェニル-9-アントリル)ビフェニル-4-イル]-2,2’-ビピリジン(略称:PAPP2BPy)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]ピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6FLPAPrn)、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ビス[3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]ピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)、N,N’-ビス[4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-N,N’-ジフェニルスチルベン-4,4’-ジアミン(略称:YGA2S)、4-(9H-カルバゾール-9-イル)-4’-(10-フェニル-9-アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、4-(9H-カルバゾール-9-イル)-4’-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)トリフェニルアミン(略称:2YGAPPA)、N,9-ジフェニル-N-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCAPA)、ペリレン、2,5,8,11-テトラ-(tert-ブチル)ペリレン(略称:TBP)、4-(10-フェニル-9-アントリル)-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)、N,N’’-(2-tert-ブチルアントラセン-9,10-ジイルジ-4,1-フェニレン)ビス[N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン](略称:DPABPA)、N,9-ジフェニル-N-[4-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCAPPA)、N-[4-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)フェニル]-N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン(略称:2DPAPPA)、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’-オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン-2,7,10,15-テトラアミン(略称:DBC1)、クマリン30、N-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)-N,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCAPA)、N-[9,10-ビス(1,1’-ビフェニル-2-イル)-2-アントリル]-N,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCABPhA)、N-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)-N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N-[9,10-ビス(1,1’-ビフェニル-2-イル)-2-アントリル]-N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、9,10-ビス(1,1’-ビフェニル-2-イル)-N-[4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-N-フェニルアントラセン-2-アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9-トリフェニルアントラセン-9-アミン(略称:DPhAPhA)、クマリン545T、N,N’-ジフェニルキナクリドン、(略称:DPQd)、ルブレン、5,12-ビス(1,1’-ビフェニル-4-イル)-6,11-ジフェニルテトラセン(略称:BPT)、2-(2-{2-[4-(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}-6-メチル-4H-ピラン-4-イリデン)プロパンジニトリル(略称:DCM1)、2-{2-メチル-6-[2-(2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)エテニル]-4H-ピラン-4-イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCM2)、N,N,N’,N’-テトラキス(4-メチルフェニル)テトラセン-5,11-ジアミン(略称:p-mPhTD)、7,14-ジフェニル-N,N,N’,N’-テトラキス(4-メチルフェニル)アセナフト[1,2-a]フルオランテン-3,10-ジアミン(略称:p-mPhAFD)、2-{2-イソプロピル-6-[2-(1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)エテニル]-4H-ピラン-4-イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTI)、2-{2-tert-ブチル-6-[2-(1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)エテニル]-4H-ピラン-4-イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTB)、2-(2,6-ビス{2-[4-(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}-4H-ピラン-4-イリデン)プロパンジニトリル(略称:BisDCM)、2-{2,6-ビス[2-(8-メトキシ-1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)エテニル]-4H-ピラン-4-イリデン}プロパンジニトリル(略称:BisDCJTM)、N,N’-(ピレン-1,6-ジイル)ビス[(6,N-ジフェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン)-8-アミン](略称:1,6BnfAPrn-03)、3,10-ビス[N-(9-フェニル-9H-カルバゾール-2-イル)-N-フェニルアミノ]ナフト[2,3-b;6,7-b’]ビスベンゾフラン(略称:3,10PCA2Nbf(IV)-02)、3,10-ビス[N-(ジベンゾフラン-3-イル)-N-フェニルアミノ]ナフト[2,3-b;6,7-b’]ビスベンゾフラン(略称:3,10FrA2Nbf(IV)-02)などが挙げられる。特に、1,6FLPAPrnや1,6mMemFLPAPrn、1,6BnfAPrn-03のようなピレンジアミン化合物に代表される縮合芳香族ジアミン化合物は、ホールトラップ性が高く、発光効率や信頼性に優れているため好ましい。
【0071】
発光層113において、発光中心材料としてりん光発光物質を用いる場合、用いることが可能な材料としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
【0072】
トリス{2-[5-(2-メチルフェニル)-4-(2,6-ジメチルフェニル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル-κN2]フェニル-κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(mpptz-dmp)3])、トリス(5-メチル-3,4-ジフェニル-4H-1,2,4-トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:[Ir(Mptz)3])、トリス[4-(3-ビフェニル)-5-イソプロピル-3-フェニル-4H-1,2,4-トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(iPrptz-3b)3])のような4H-トリアゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、トリス[3-メチル-1-(2-メチルフェニル)-5-フェニル-1H-1,2,4-トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(Mptz1-mp)3])、トリス(1-メチル-5-フェニル-3-プロピル-1H-1,2,4-トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:[Ir(Prptz1-Me)3])のような1H-トリアゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、fac-トリス[1-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-2-フェニル-1H-イミダゾール]イリジウム(III)(略称:[Ir(iPrpmi)3])、トリス[3-(2,6-ジメチルフェニル)-7-メチルイミダゾ[1,2-f]フェナントリジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(dmpimpt-Me)3])のようなイミダゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1-ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス{2-[3’,5’-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト-N,C2’}イリジウム(III)ピコリナート(略称:[Ir(CF3ppy)2(pic)])、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIr(acac))のような電子吸引基を有するフェニルピリジン誘導体を配位子とする有機金属イリジウム錯体が挙げられる。これらは青色のりん光発光を示す化合物であり、440nmから520nmに発光のピークを有する化合物である。
【0073】
また、トリス(4-メチル-6-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppm)3])、トリス(4-t-ブチル-6-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)3])、(アセチルアセトナト)ビス(6-メチル-4-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppm)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(6-tert-ブチル-4-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス[6-(2-ノルボルニル)-4-フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(nbppm)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス[5-メチル-6-(2-メチルフェニル)-4-フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(mpmppm)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(4,6-ジフェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(dppm)2(acac)])のようなピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、(アセチルアセトナト)ビス(3,5-ジメチル-2-フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppr-Me)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(5-イソプロピル-3-メチル-2-フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppr-iPr)2(acac)])のようなピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、トリス(2-フェニルピリジナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(ppy)3])、ビス(2-フェニルピリジナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(ppy)2(acac)])、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(bzq)2(acac)])、トリス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(bzq)3])、トリス(2-フェニルキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(pq)3])、ビス(2-フェニルキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(pq)2(acac)])のようなピリジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体の他、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:[Tb(acac)3(Phen)])のような希土類金属錯体が挙げられる。これらは主に緑色のりん光発光を示す化合物であり、500nm~600nmに発光のピークを有する。なお、ピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、信頼性や発光効率にも際だって優れるため、特に好ましい。
【0074】
また、(ジイソブチリルメタナト)ビス[4,6-ビス(3-メチルフェニル)ピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(5mdppm)2(dibm)])、ビス[4,6-ビス(3-メチルフェニル)ピリミジナト](ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(5mdppm)2(dpm)])、ビス[4,6-ジ(ナフタレン-1-イル)ピリミジナト](ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(d1npm)2(dpm)])のようなピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5-トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tppr)2(acac)])、ビス(2,3,5-トリフェニルピラジナト)(ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tppr)2(dpm)])、(アセチルアセトナト)ビス[2,3-ビス(4-フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(Fdpq)2(acac)])のようなピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、トリス(1-フェニルイソキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(piq)3])、ビス(1-フェニルイソキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(piq)2(acac)])のようなピリジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体の他、2,3,7,8,12,13,17,18-オクタエチル-21H,23H-ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)のような白金錯体や、トリス(1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:[Eu(DBM)3(Phen)])、トリス[1-(2-テノイル)-3,3,3-トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:[Eu(TTA)3(Phen)])のような希土類金属錯体が挙げられる。これらは、赤色のりん光発光を示す化合物であり、600nmから700nmに発光のピークを有する。また、ピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、色度の良い赤色発光が得られる。
【0075】
また、以上で述べたりん光性化合物の他、公知のりん光性発光材料を選択し、用いてもよい。
【0076】
TADF材料としてはフラーレン及びその誘導体、アクリジン及びその誘導体、エオシン誘導体等を用いることができる。またマグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、スズ(Sn)、白金(Pt)、インジウム(In)、もしくはパラジウム(Pd)等を含む金属含有ポルフィリンが挙げられる。該金属含有ポルフィリンとしては、例えば、以下の構造式に示されるプロトポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF2(Proto IX))、メソポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF2(Meso IX))、ヘマトポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF2(Hemato IX))、コプロポルフィリンテトラメチルエステル-フッ化スズ錯体(SnF2(Copro III-4Me))、オクタエチルポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF2(OEP))、エチオポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF2(Etio I))、オクタエチルポルフィリン-塩化白金錯体(PtCl2OEP)等も挙げられる。
【0077】
【0078】
また、以下の構造式に示される2-(ビフェニル-4-イル)-4,6-ビス(12-フェニルインドロ[2,3-a]カルバゾール-11-イル)-1,3,5-トリアジン(略称:PIC-TRZ)や、9-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-9’-フェニル-9H,9’H-3,3’-ビカルバゾール(略称:PCCzTzn)、2-{4-[3-(N-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾール-9-イル]フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:PCCzPTzn)、2-[4-(10H-フェノキサジン-10-イル)フェニル]-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:PXZ-TRZ)、3-[4-(5-フェニル-5,10-ジヒドロフェナジン-10-イル)フェニル]-4,5-ジフェニル-1,2,4-トリアゾール(略称:PPZ-3TPT)、3-(9,9-ジメチル-9H-アクリジン-10-イル)-9H-キサンテン-9-オン(略称:ACRXTN)、ビス[4-(9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジン)フェニル]スルホン(略称:DMAC-DPS)、10-フェニル-10H,10’H-スピロ[アクリジン-9,9’-アントラセン]-10’-オン(略称:ACRSA)、等のπ電子過剰型複素芳香環とπ電子不足型複素芳香環の一方または両方を有する複素環化合物も用いることができる。該複素環化合物は、π電子過剰型複素芳香環及びπ電子不足型複素芳香環を有するため、電子輸送性及び正孔輸送性が共に高く、好ましい。中でも、π電子不足型複素芳香環を有する骨格のうち、ピリジン骨格、ジアジン骨格(ピリミジン骨格、ピラジン骨格、ピリダジン骨格)、およびトリアジン骨格は、安定で信頼性が良好なため好ましい。特に、ベンゾフロピリミジン骨格、ベンゾチエノピリミジン骨格、ベンゾフロピラジン骨格、ベンゾチエノピラジン骨格はアクセプター性が高く、信頼性が良好なため好ましい。また、π電子過剰型複素芳香環を有する骨格の中でも、アクリジン骨格、フェノキサジン骨格、フェノチアジン骨格、フラン骨格、チオフェン骨格、及びピロール骨格は、安定で信頼性が良好なため、当該骨格の少なくとも一を有することが好ましい。なお、フラン骨格としてはジベンゾフラン骨格が、チオフェン骨格としてはジベンゾチオフェン骨格が、それぞれ好ましい。また、ピロール骨格としては、インドール骨格、カルバゾール骨格、インドロカルバゾール骨格、ビカルバゾール骨格、3-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾール骨格が特に好ましい。なお、π電子過剰型複素芳香環とπ電子不足型複素芳香環とが直接結合した物質は、π電子過剰型複素芳香環の電子供与性とπ電子不足型複素芳香環の電子受容性が共に強くなり、S1準位とT1準位のエネルギー差が小さくなるため、熱活性化遅延蛍光を効率よく得られることから特に好ましい。なお、π電子不足型複素芳香環の代わりに、シアノ基のような電子吸引基が結合した芳香環を用いても良い。また、π電子過剰型骨格として、芳香族アミン骨格、フェナジン骨格等を用いることができる。また、π電子不足型骨格として、キサンテン骨格、チオキサンテンジオキサイド骨格、オキサジアゾール骨格、トリアゾール骨格、イミダゾール骨格、アントラキノン骨格、フェニルボランやボラントレン等の含ホウ素骨格、ベンゾニトリルまたはシアノベンゼン等のニトリル基またはシアノ基を有する芳香環や複素芳香環、ベンゾフェノン等のカルボニル骨格、ホスフィンオキシド骨格、スルホン骨格等を用いることができる。このように、π電子不足型複素芳香環およびπ電子過剰型複素芳香環の少なくとも一方の代わりにπ電子不足型骨格およびπ電子過剰型骨格を用いることができる。
【0079】
【0080】
なお、TADF材料とは、S1準位とT1準位との差が小さく、逆項間交差によって三重項励起エネルギーから一重項励起エネルギーへエネルギーを変換することができる機能を有する材料である。そのため、三重項励起エネルギーをわずかな熱エネルギーによって一重項励起エネルギーにアップコンバート(逆項間交差)が可能で、一重項励起状態を効率よく生成することができる。また、三重項励起エネルギーを発光に変換することができる。
【0081】
また、2種類の物質で励起状態を形成する励起錯体(エキサイプレックス、エキシプレックスまたはExciplexともいう)は、S1準位とT1準位との差が極めて小さく、三重項励起エネルギーを一重項励起エネルギーに変換することが可能なTADF材料としての機能を有する。
【0082】
なお、T1準位の指標としては、低温(例えば77Kから10K)で観測される燐光スペクトルを用いればよい。TADF材料としては、その蛍光スペクトルの短波長側の裾において接線を引き、その外挿線の波長のエネルギーをS1準位とし、燐光スペクトルの短波長側の裾において接線を引き、その外挿線の波長のエネルギーをT1準位とした際に、そのS1とT1の差が0.3eV以下であることが好ましく、0.2eV以下であることがさらに好ましい。
【0083】
また、TADF材料を発光中心材料として用いる場合、ホスト材料のS1準位はTADF材料のS1準位より高い方が好ましい。また、ホスト材料のT1準位はTADF材料のT1準位より高いことが好ましい。
【0084】
発光層のホスト材料としては、実施の形態1で説明した本発明の一態様のホスト材料用アントラセン化合物を用いることが好ましい。当該ホスト材料用アントラセン化合物を用いることによって、寿命の良好な発光デバイスを提供することが可能となる。
【0085】
また、ホスト材料として実施の形態1に記載のホスト材料用アントラセン化合物を用いない場合、電子輸送性を有する材料や正孔輸送性を有する材料など様々なキャリア輸送材料を用いることができる。
【0086】
正孔輸送性を有する材料としては、4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニル-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン(略称:TPD)、4,4’-ビス[N-(スピロ-9,9’-ビフルオレン-2-イル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)、4-フェニル-4’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)、4-フェニル-3’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリフェニルアミン(略称:mBPAFLP)、4-フェニル-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、4,4’-ジフェニル-4’’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBBi1BP)、4-(1-ナフチル)-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBANB)、4,4’-ジ(1-ナフチル)-4’’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBNBB)、9,9-ジメチル-N-フェニル-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]フルオレン-2-アミン(略称:PCBAF)、N-フェニル-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]スピロ-9,9’-ビフルオレン-2-アミン(略称:PCBASF)などの芳香族アミン骨格を有する化合物や、1,3-ビス(N-カルバゾリル)ベンゼン(略称:mCP)、4,4’-ジ(N-カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、3,6-ビス(3,5-ジフェニルフェニル)-9-フェニルカルバゾール(略称:CzTP)、3,3’-ビス(9-フェニル-9H-カルバゾール)(略称:PCCP)などのカルバゾール骨格を有する化合物や、4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P-II)、2,8-ジフェニル-4-[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP-III)、4-[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]-6-フェニルジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP-IV)などのチオフェン骨格を有する化合物や、4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾフラン)(略称:DBF3P-II)、4-{3-[3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]フェニル}ジベンゾフラン(略称:mmDBFFLBi-II)などのフラン骨格を有する化合物が挙げられる。上述した中でも、芳香族アミン骨格を有する化合物やカルバゾール骨格を有する化合物は、信頼性が良好であり、また、正孔輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与するため好ましい。また、実施の形態1に記載の有機化合物も好適に用いることができる。
【0087】
電子輸送性を有する材料としては、例えば、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq2)、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(4-フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8-キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2-(2-ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2-(2-ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体や、2-(4-ビフェニリル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(略称:PBD)、3-(4-ビフェニリル)-4-フェニル-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,2,4-トリアゾール(略称:TAZ)、2-[3’-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-1,1’-ビフェニル-3-イル]-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:mFBPTzn)、1,3-ビス[5-(p-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ベンゼン(略称:OXD-7)、9-[4-(5-フェニル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CO11)、2,2’,2’’-(1,3,5-ベンゼントリイル)トリス(1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、2-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール(略称:mDBTBIm-II)、2-{4-[9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)-2-アントリル]フェニル}-1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール(略称:ZADN)などのポリアゾール骨格を有する複素環化合物や、2-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTPDBq-II)、2-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq-II)、2-[3’-(9H-カルバゾール-9-イル)ビフェニル-3-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mCzBPDBq)、4,6-ビス[3-(フェナントレン-9-イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mPnP2Pm)、4,6-ビス[3-(4-ジベンゾチエニル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mDBTP2Pm-II)などのジアジン骨格を有する複素環化合物や、3,5-ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ピリジン(略称:35DCzPPy)、1,3,5-トリ[3-(3-ピリジル)フェニル]ベンゼン(略称:TmPyPB)などのピリジン骨格を有する複素環化合物が挙げられる。上述した中でも、ジアジン骨格を有する複素環化合物やピリジン骨格を有する複素環化合物は、信頼性が良好であり好ましい。特に、ジアジン(ピリミジンやピラジン)骨格を有する複素環化合物は、電子輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与する。
【0088】
蛍光発光物質を発光材料として用いる場合、ホスト材料としては、アントラセン骨格を有する材料が好適である。アントラセン骨格を有する物質を蛍光発光物質のホスト材料として用いると、発光効率、耐久性共に良好な発光層を実現することが可能である。アントラセン骨格を有する材料はHOMO準位が深い材料が多い為、本発明の一態様を好適に適用することができる。ホスト材料として用いるアントラセン骨格を有する物質としては、ジフェニルアントラセン骨格、特に9,10-ジフェニルアントラセン骨格を有する物質が化学的に安定であるため好ましい。また、ホスト材料がカルバゾール骨格を有する場合、正孔の注入・輸送性が高まるため好ましいが、カルバゾールにベンゼン環がさらに縮合したベンゾカルバゾール骨格を含む場合、カルバゾールよりもHOMOが0.1eV程度浅くなり、正孔が入りやすくなるためより好ましい。特に、ホスト材料がジベンゾカルバゾール骨格を含む場合、カルバゾールよりもHOMOが0.1eV程度浅くなり、正孔が入りやすくなる上に、正孔輸送性にも優れ、耐熱性も高くなるため好適である。したがって、さらにホスト材料として好ましいのは、9,10-ジフェニルアントラセン骨格およびカルバゾール骨格(あるいはベンゾカルバゾール骨格やジベンゾカルバゾール骨格)を同時に有する物質である。なお、上記の正孔注入・輸送性の観点から、カルバゾール骨格に換えて、ベンゾフルオレン骨格やジベンゾフルオレン骨格を用いてもよい。このような物質の例としては、9-フェニル-3-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:PCzPA)、3-[4-(1-ナフチル)-フェニル]-9-フェニル-9H-カルバゾール(略称:PCPN)、9-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CzPA)、7-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-7H-ジベンゾ[c,g]カルバゾール(略称:cgDBCzPA)、6-[3-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)フェニル]-ベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン(略称:2mBnfPPA)、9-フェニル-10-{4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)ビフェニル-4’-イル}アントラセン(略称:FLPPA)等が挙げられる。特に、CzPA、cgDBCzPA、2mBnfPPA、PCzPAは非常に良好な特性を示すため、好ましい選択である。
【0089】
なお、本発明の一態様の発光デバイスは、特に青色の蛍光発光を呈する発光デバイスに適用することが好ましい。
【0090】
なお、ホスト材料は複数種の物質を混合した材料であっても良く、混合したホスト材料を用いる場合は、電子輸送性を有する材料と、正孔輸送性を有する材料とを混合することが好ましい。電子輸送性を有する材料と、正孔輸送性を有する材料を混合することによって、発光層113の輸送性を容易に調整することができ、再結合領域の制御も簡便に行うことができる。正孔輸送性を有する材料と電子輸送性を有する材料の含有量の比は、正孔輸送性を有する材料:電子輸送性を有する材料=1:9~9:1とすればよい。
【0091】
また、これら混合された材料同士で励起錯体を形成しても良い。当該励起錯体は発光材料の最も低エネルギー側の吸収帯の波長と重なるような発光を呈する励起錯体を形成するような組み合わせを選択することで、エネルギー移動がスムーズとなり、効率よく発光が得られるため好ましい。また、当該構成を用いることで駆動電圧も低下するため好ましい。
【0092】
電子輸送層114は、電子輸送性を有する物質を含む層である。電子輸送性を有する物質としては、上記ホスト材料に用いることが可能な電子輸送性を有する物質として挙げたものを用いることができる。
【0093】
電子輸送層114と第2の電極102との間に、電子注入層115として、フッ化リチウム(LiF)、8-ヒドロキシキノリナト-リチウム(略称:Liq)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を含む層を設けても良い。電子注入層115は、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を含有させたものや、エレクトライドを用いてもよい。エレクトライドとしては、例えば、カルシウムとアルミニウムの混合酸化物に電子を高濃度添加した物質等が挙げられる。
【0094】
また、電子注入層115の代わりに電荷発生層116を設けても良い(
図1B)。電荷発生層116は、電位をかけることによって当該層の陰極側に接する層に正孔を、陽極側に接する層に電子を注入することができる層のことである。電荷発生層116には、少なくともP型層117が含まれる。P型層117は、上述の正孔注入層111を構成することができる材料として挙げた複合材料を用いて形成することが好ましい。またP型層117は、複合材料を構成する材料として上述したアクセプタ材料を含む膜と正孔輸送材料を含む膜とを積層して構成しても良い。P型層117に電位をかけることによって、電子輸送層114に電子が、陰極である第2の電極102に正孔が注入され、発光デバイスが動作する。
【0095】
なお、電荷発生層116はP型層117の他に電子リレー層118及び電子注入バッファ層119のいずれか一又は両方がもうけられていることが好ましい。
【0096】
電子リレー層118は少なくとも電子輸送性を有する物質を含み、電子注入バッファ層119とP型層117との相互作用を防いで電子をスムーズに受け渡す機能を有する。電子リレー層118に含まれる電子輸送性を有する物質のLUMO準位は、P型層117におけるアクセプタ性物質のLUMO準位と、電子輸送層114における電荷発生層116に接する層に含まれる物質のLUMO準位との間であることが好ましい。電子リレー層118に用いられる電子輸送性を有する物質におけるLUMO準位の具体的なエネルギー準位は-5.0eV以上、好ましくは-5.0eV以上-3.0eV以下とするとよい。なお、電子リレー層118に用いられる電子輸送性を有する物質としてはフタロシアニン系の材料又は金属-酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体を用いることが好ましい。
【0097】
電子注入バッファ層119には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、およびこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウム等の酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウム等の炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、または希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))等の電子注入性の高い物質を用いることが可能である。
【0098】
また、電子注入バッファ層119が、電子輸送性を有する物質とドナー性物質を含んで形成される場合には、ドナー性物質として、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、およびこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウム等の酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウム等の炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、または希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))の他、テトラチアナフタセン(略称:TTN)、ニッケロセン、デカメチルニッケロセン等の有機化合物を用いることもできる。なお、電子輸送性を有する物質としては、先に説明した電子輸送層114を構成する材料と同様の材料を用いて形成することができる。
【0099】
第2の電極102を形成する物質としては、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。このような陰極材料の具体例としては、リチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等の元素周期表の第1族または第2族に属する元素、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等が挙げられる。しかしながら、第2の電極102と電子輸送層との間に、電子注入層を設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、ケイ素若しくは酸化ケイ素を含有した酸化インジウム-酸化スズ等様々な導電性材料を第2の電極102として用いることができる。
これら導電性材料は、真空蒸着法やスパッタリング法などの乾式法、インクジェット法、スピンコート法等を用いて成膜することが可能である。また、ゾル-ゲル法を用いて湿式法で形成しても良いし、金属材料のペーストを用いて湿式法で形成してもよい。
【0100】
また、EL層103の形成方法としては、乾式法、湿式法を問わず、種々の方法を用いることができる。例えば、真空蒸着法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット法またはスピンコート法など用いても構わない。
【0101】
また上述した各電極または各層を異なる成膜方法を用いて形成しても構わない。
【0102】
なお、第1の電極101と第2の電極102との間に設けられる層の構成は、上記のものには限定されない。しかし、発光領域と電極やキャリア注入層に用いられる金属とが近接することによって生じる消光が抑制されるように、第1の電極101および第2の電極102から離れた部位に正孔と電子とが再結合する発光領域を設けた構成が好ましい。
【0103】
また、発光層113に接する正孔輸送層や電子輸送層、特に発光層113における再結合領域に近いキャリア輸送層は、発光層で生成した励起子からのエネルギー移動を抑制するため、そのバンドギャップが発光層を構成する発光材料もしくは、発光層に含まれる発光材料が有するバンドギャップより大きいバンドギャップを有する物質で構成することが好ましい。
【0104】
続いて、複数の発光ユニットを積層した構成の発光デバイス(積層型素子、タンデム型素子ともいう)の態様について、
図1Cを参照して説明する。この発光デバイスは、陽極と陰極との間に、複数の発光ユニットを有する発光デバイスである。一つの発光ユニットは、
図1A1、
図1A2および
図1Bなどで示したEL層103とほぼ同様な構成を有する。つまり、
図1Cで示す発光デバイスは複数の発光ユニットを有する発光デバイスであり、
図1A1、
図1A2や
図1Bで示した発光デバイスは、1つの発光ユニットを有する発光デバイスであるということができる。
【0105】
図1Cにおいて、陽極501と陰極502との間には、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512が積層されており、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512との間には電荷発生層513が設けられている。陽極501と陰極502はそれぞれ
図1A1などにおける第1の電極101と第2の電極102に相当し、
図1A1の説明で述べたものと同じものを適用することができる。また、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512は同じ構成であっても異なる構成であってもよい。
【0106】
電荷発生層513は、陽極501と陰極502に電圧を印加したときに、一方の発光ユニットに電子を注入し、他方の発光ユニットに正孔を注入する機能を有する。すなわち、
図1Cにおいて、陽極の電位の方が陰極の電位よりも高くなるように電圧を印加した場合、電荷発生層513は、第1の発光ユニット511に電子を注入し、第2の発光ユニット512に正孔を注入するものであればよい。
【0107】
電荷発生層513は、
図1Bにて説明した電荷発生層116と同様の構成で形成することが好ましい。有機化合物と金属酸化物の複合材料は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、低電圧駆動、低電流駆動を実現することができる。なお、発光ユニットの陽極側の面が電荷発生層513に接している場合は、電荷発生層513が発光ユニットの正孔注入層の役割も担うことができるため、発光ユニットは正孔注入層を設けなくとも良い。
【0108】
また、電荷発生層513に電子注入バッファ層119を設ける場合、当該電子注入バッファ層119が陽極側の発光ユニットにおける電子注入層の役割を担うため、陽極側の発光ユニットには必ずしも電子注入層を形成する必要はない。
【0109】
図1Cでは、2つの発光ユニットを有する発光デバイスについて説明したが、3つ以上の発光ユニットを積層した発光デバイスについても、同様に適用することが可能である。本実施の形態に係る発光デバイスのように、一対の電極間に複数の発光ユニットを電荷発生層513で仕切って配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度発光を可能とし、さらに長寿命な素子を実現できる。また、低電圧駆動が可能で消費電力が低い発光装置を実現することができる。
【0110】
また、それぞれの発光ユニットの発光色を異なるものにすることで、発光デバイス全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、2つの発光ユニットを有する発光デバイスにおいて、第1の発光ユニットで赤と緑の発光色、第2の発光ユニットで青の発光色を得ることで、発光デバイス全体として白色発光する発光デバイスを得ることも可能である。また、3層構造である場合、第1の発光ユニットで青の発光色、第2の発光ユニットで赤と緑の発光色、第3の発光ユニットで青の発光色を得る事で白色発光を得ても良い。
【0111】
また、上述のEL層103や第1の発光ユニット511、第2の発光ユニット512及び電荷発生層などの各層や電極は、例えば、蒸着法(真空蒸着法を含む)、液滴吐出法(インクジェット法ともいう)、塗布法、グラビア印刷法等の方法を用いて形成することができる。また、それらは低分子材料、中分子材料(オリゴマー、デンドリマーを含む)、または高分子材料を含んでも良い。
【0112】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスを用いた発光装置について説明する。
【0113】
本実施の形態では、実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスを用いて作製された発光装置について
図2を用いて説明する。なお、
図2Aは、発光装置を示す上面図、
図2Bは
図2AをA-BおよびC-Dで切断した断面図である。この発光装置は、発光デバイスの発光を制御するものとして、点線で示された駆動回路部(ソース線駆動回路)601、画素部602、駆動回路部(ゲート線駆動回路)603を含んでいる。また、604は封止基板、605はシール材であり、シール材605で囲まれた内側は、空間607になっている。
【0114】
なお、引き回し配線608はソース線駆動回路601及びゲート線駆動回路603に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)609からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
【0115】
次に、断面構造について
図2Bを用いて説明する。素子基板610上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース線駆動回路601と、画素部602中の一つの画素が示されている。
【0116】
素子基板610はガラス、石英、有機樹脂、金属、合金、半導体などからなる基板の他、FRP(Fiber Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いて作製すればよい。
【0117】
画素や駆動回路に用いられるトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、逆スタガ型のトランジスタとしてもよいし、スタガ型のトランジスタとしてもよい。また、トップゲート型のトランジスタでもボトムゲート型トランジスタでもよい。トランジスタに用いる半導体材料は特に限定されず、例えば、シリコン、ゲルマニウム、炭化シリコン、窒化ガリウム等を用いることができる。または、In-Ga-Zn系金属酸化物などの、インジウム、ガリウム、亜鉛のうち少なくとも一つを含む酸化物半導体を用いてもよい。
【0118】
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、又は一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0119】
ここで、上記画素や駆動回路に設けられるトランジスタの他、後述するタッチセンサ等に用いられるトランジスタなどの半導体装置には、酸化物半導体を適用することが好ましい。特にシリコンよりもバンドギャップの広い酸化物半導体を適用することが好ましい。シリコンよりもバンドギャップの広い酸化物半導体を用いることで、トランジスタのオフ状態における電流を低減できる。
【0120】
上記酸化物半導体は、少なくともインジウム(In)又は亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。また、In-M-Zn系酸化物(MはAl、Ti、Ga、Ge、Y、Zr、Sn、La、CeまたはHf等の金属)で表記される酸化物を含む酸化物半導体であることがより好ましい。
【0121】
ここで、本発明の一態様に用いることができる酸化物半導体について、以下に説明を行う。
【0122】
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、CAAC-OS(c-axis aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc-OS(nano crystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)、および非晶質酸化物半導体などがある。
【0123】
CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において複数のナノ結晶が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。なお、歪みとは、複数のナノ結晶が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。
【0124】
ナノ結晶は、六角形を基本とするが、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合がある。また、歪みにおいて、五角形、および七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリーともいう)を確認することは難しい。すなわち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためである。
【0125】
また、CAAC-OSは、インジウム、および酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛、および酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能であり、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換した場合、(In,M,Zn)層と表すこともできる。また、In層のインジウムが元素Mと置換した場合、(In,M)層と表すこともできる。
【0126】
CAAC-OSは結晶性の高い酸化物半導体である。一方、CAAC-OSは、明確な結晶粒界を確認することが難しいため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損(VO:oxygen vacancyともいう)など)の少ない酸化物半導体ともいえる。したがって、CAAC-OSを有する酸化物半導体は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する酸化物半導体は熱に強く、信頼性が高い。
【0127】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
【0128】
なお、インジウムと、ガリウムと、亜鉛と、を有する酸化物半導体の一種である、インジウム-ガリウム-亜鉛酸化物(以下、IGZO)は、上述のナノ結晶とすることで安定な構造をとる場合がある。特に、IGZOは、大気中では結晶成長がし難い傾向があるため、大きな結晶(ここでは、数mmの結晶、または数cmの結晶)よりも小さな結晶(例えば、上述のナノ結晶)とする方が、構造的に安定となる場合がある。
【0129】
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。a-like OSは、鬆または低密度領域を有する。すなわち、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。
【0130】
酸化物半導体は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0131】
また、上述の酸化物半導体以外として、CAC(Cloud-Aligned Composite)-OSを用いてもよい。
【0132】
CAC-OSとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。なお、CAC-OSを、トランジスタの半導体層に用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(またはホール)を流す機能であり、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と、絶縁性の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSに付与することができる。CAC-OSにおいて、それぞれの機能を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
【0133】
また、CAC-OSは、導電性領域、及び絶縁性領域を有する。導電性領域は、上述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、上述の絶縁性の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子レベルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料中に偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察される場合がある。
【0134】
また、CAC-OSにおいて、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ0.5nm以上10nm以下、好ましくは0.5nm以上3nm以下のサイズで材料中に分散している場合がある。
【0135】
また、CAC-OSは、異なるバンドギャップを有する成分により構成される。例えば、CAC-OSは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因するナローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、キャリアを流す際に、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャップを有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有する成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、上記CAC-OSをトランジスタのチャネル形成領域に用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、及び高い電界効果移動度を得ることができる。
【0136】
すなわち、CAC-OSは、マトリックス複合材(matrix composite)、または金属マトリックス複合材(metal matrix composite)と呼称することもできる。
【0137】
半導体層として上述の酸化物半導体材料を用いることで、電気特性の変動が抑制され、信頼性の高いトランジスタを実現できる。
【0138】
また、上述の半導体層を有するトランジスタはその低いオフ電流により、トランジスタを介して容量に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。このようなトランジスタを画素に適用することで、各表示領域に表示した画像の階調を維持しつつ、駆動回路を停止することも可能となる。その結果、極めて消費電力の低減された電子機器を実現できる。
【0139】
トランジスタの特性安定化等のため、下地膜を設けることが好ましい。下地膜としては、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜などの無機絶縁膜を用い、単層で又は積層して作製することができる。下地膜はスパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法(プラズマCVD法、熱CVD法、MOCVD(Metal Organic CVD)法など)、ALD(Atomic Layer Deposition)法、塗布法、印刷法等を用いて形成できる。なお、下地膜は、必要で無ければ設けなくてもよい。
【0140】
なお、FET623は駆動回路部601に形成されるトランジスタの一つを示すものである。また、駆動回路は、種々のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成すれば良い。また、本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を基板上ではなく外部に形成することもできる。
【0141】
また、画素部602はスイッチング用FET611と、電流制御用FET612とそのドレインに電気的に接続された第1の電極613とを含む複数の画素により形成されているが、これに限定されず、3つ以上のFETと、容量素子とを組み合わせた画素部としてもよい。
【0142】
なお、第1の電極613の端部を覆って絶縁物614が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリルを用いることにより形成することができる。
【0143】
また、後に形成するEL層等の被覆性を良好なものとするため、絶縁物614の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁物614の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、絶縁物614の上端部のみに曲率半径(0.2μm~3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物614として、ネガ型の感光性樹脂、或いはポジ型の感光性樹脂のいずれも使用することができる。
【0144】
第1の電極613上には、EL層616、および第2の電極617がそれぞれ形成されている。ここで、第1の電極613に用いる材料としては、仕事関数の大きい材料を用いることが望ましい。例えば、ITO膜、またはケイ素を含有したインジウム錫酸化物膜、2~20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム膜、窒化チタン膜、クロム膜、タングステン膜、Zn膜、Pt膜などの単層膜の他、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との3層構造等を用いることができる。なお、積層構造とすると、配線としての抵抗も低く、良好なオーミックコンタクトがとれ、さらに陽極として機能させることができる。
【0145】
また、EL層616は、蒸着マスクを用いた蒸着法、インクジェット法、スピンコート法等の種々の方法によって形成される。EL層616は、実施の形態1および実施の形態2で説明したような構成を含んでいる。また、EL層616を構成する他の材料としては、低分子化合物、または高分子化合物(オリゴマー、デンドリマーを含む)であっても良い。
【0146】
さらに、EL層616上に形成された第2の電極617に用いる材料としては、仕事関数の小さい材料(Al、Mg、Li、Ca、またはこれらの合金や化合物(MgAg、MgIn、AlLi等)等)を用いることが好ましい。なお、EL層616で生じた光が第2の電極617を透過させる場合には、第2の電極617として、膜厚を薄くした金属薄膜と、透明導電膜(ITO、2~20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム、ケイ素を含有したインジウム錫酸化物、酸化亜鉛(ZnO)等)との積層を用いるのが良い。
【0147】
なお、第1の電極613、EL層616、第2の電極617でもって、発光デバイスが形成されている。当該発光デバイスは実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスである。なお、画素部は複数の発光デバイスが形成されてなっているが、本実施の形態における発光装置では、実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスと、それ以外の構成を有する発光デバイスの両方が含まれていても良い。
【0148】
さらにシール材605で封止基板604を素子基板610と貼り合わせることにより、素子基板610、封止基板604、およびシール材605で囲まれた空間607に発光デバイス618が備えられた構造になっている。なお、空間607には、充填材が充填されており、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材で充填される場合もある。封止基板には凹部を形成し、そこに乾燥材を設けることで水分の影響による劣化を抑制することができ、好ましい構成である。
【0149】
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂やガラスフリットを用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板604に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiber Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0150】
図2には示されていないが、陰極上に保護膜を設けても良い。保護膜は有機樹脂膜や無機絶縁膜で形成すればよい。また、シール材605の露出した部分を覆うように、保護膜が形成されていても良い。また、保護膜は、一対の基板の表面及び側面、封止層、絶縁層、等の露出した側面を覆って設けることができる。
【0151】
保護膜には、水などの不純物を透過しにくい材料を用いることができる。したがって、水などの不純物が外部から内部に拡散することを効果的に抑制することができる。
【0152】
保護膜を構成する材料としては、酸化物、窒化物、フッ化物、硫化物、三元化合物、金属またはポリマー等を用いることができ、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、ハフニウムシリケート、酸化ランタン、酸化珪素、チタン酸ストロンチウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化スカンジウム、酸化エルビウム、酸化バナジウムまたは酸化インジウム等を含む材料や、窒化アルミニウム、窒化ハフニウム、窒化珪素、窒化タンタル、窒化チタン、窒化ニオブ、窒化モリブデン、窒化ジルコニウムまたは窒化ガリウム等を含む材料、チタンおよびアルミニウムを含む窒化物、チタンおよびアルミニウムを含む酸化物、アルミニウムおよび亜鉛を含む酸化物、マンガンおよび亜鉛を含む硫化物、セリウムおよびストロンチウムを含む硫化物、エルビウムおよびアルミニウムを含む酸化物、イットリウムおよびジルコニウムを含む酸化物等を含む材料を用いることができる。
【0153】
保護膜は、段差被覆性(ステップカバレッジ)の良好な成膜方法を用いて形成することが好ましい。このような手法の一つに、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法がある。ALD法を用いて形成することができる材料を、保護膜に用いることが好ましい。ALD法を用いることで緻密な、クラックやピンホールなどの欠陥が低減された、または均一な厚さを備える保護膜を形成することができる。また、保護膜を形成する際に加工部材に与える損傷を、低減することができる。
【0154】
例えばALD法を用いて保護膜を形成することで、複雑な凹凸形状を有する表面や、タッチパネルの上面、側面及び裏面にまで均一で欠陥の少ない保護膜を形成することができる。
【0155】
以上のようにして、実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスを用いて作製された発光装置を得ることができる。
【0156】
本実施の形態における発光装置は、実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスを用いているため、良好な特性を備えた発光装置を得ることができる。具体的には、実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスは寿命の長い発光デバイスであるため、信頼性の良好な発光装置とすることができる。また、実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスを用いた発光装置は発光効率が良好なため、消費電力の小さい発光装置とすることが可能である。
【0157】
図3には白色発光を呈する発光デバイスを形成し、着色層(カラーフィルタ)等を設けることによってフルカラー化した発光装置の例を示す。
図3Aには基板1001、下地絶縁膜1002、ゲート絶縁膜1003、ゲート電極1006、1007、1008、第1の層間絶縁膜1020、第2の層間絶縁膜1021、周辺部1042、画素部1040、駆動回路部1041、発光デバイスの陽極1024W、1024R、1024G、1024B、隔壁1025、EL層1028、発光デバイスの第2の電極1029、封止基板1031、シール材1032などが図示されている。
【0158】
また、
図3Aでは着色層(赤色の着色層1034R、緑色の着色層1034G、青色の着色層1034B)は透明な基材1033に設けている。また、ブラックマトリクス1035をさらに設けても良い。着色層及びブラックマトリクスが設けられた透明な基材1033は、位置合わせし、基板1001に固定する。なお、着色層、及びブラックマトリクス1035は、オーバーコート層1036で覆われている。また、
図3Aにおいては、光が着色層を透過せずに外部へと出る発光層と、各色の着色層を透過して外部に光が出る発光層とがあり、着色層を透過しない光は白、着色層を透過する光は赤、緑、青となることから、4色の画素で映像を表現することができる。
【0159】
図3Bでは着色層(赤色の着色層1034R、緑色の着色層1034G、青色の着色層1034B)をゲート絶縁膜1003と第1の層間絶縁膜1020との間に形成する例を示した。このように、着色層は基板1001と封止基板1031の間に設けられていても良い。
【0160】
また、以上に説明した発光装置では、FETが形成されている基板1001側に光を取り出す構造(ボトムエミッション型)の発光装置としたが、封止基板1031側に発光を取り出す構造(トップエミッション型)の発光装置としても良い。トップエミッション型の発光装置の断面図を
図4に示す。この場合、基板1001は光を通さない基板を用いることができる。FETと発光デバイスの陽極とを接続する接続電極を作製するまでは、ボトムエミッション型の発光装置と同様に形成する。その後、第3の層間絶縁膜1037を電極1022を覆って形成する。この絶縁膜は平坦化の役割を担っていても良い。第3の層間絶縁膜1037は第2の層間絶縁膜と同様の材料の他、他の公知の材料を用いて形成することができる。
【0161】
発光デバイスの陽極1024W、1024R、1024G、1024Bはここでは陽極であるが、陰極として形成しても構わない。また、
図4のようなトップエミッション型の発光装置である場合、陽極を反射電極とすることが好ましい。EL層1028の構成は、実施の形態1および実施の形態2においてEL層103として説明したような構成とし、且つ、白色の発光が得られるような素子構造とする。
【0162】
図4のようなトップエミッションの構造では着色層(赤色の着色層1034R、緑色の着色層1034G、青色の着色層1034B)を設けた封止基板1031で封止を行うことができる。封止基板1031には画素と画素との間に位置するようにブラックマトリクス1035を設けても良い。着色層(赤色の着色層1034R、緑色の着色層1034G、青色の着色層1034B)やブラックマトリックスはオーバーコート層によって覆われていても良い。なお封止基板1031は透光性を有する基板を用いることとする。また、ここでは赤、緑、青、白の4色でフルカラー表示を行う例を示したが特に限定されず、赤、黄、緑、青の4色や赤、緑、青の3色でフルカラー表示を行ってもよい。
【0163】
トップエミッション型の発光装置では、マイクロキャビティ構造の適用が好適に行える。マイクロキャビティ構造を有する発光デバイスは、陽極を反射電極、陰極を半透過・半反射電極とすることにより得られる。反射電極と半透過・半反射電極との間には少なくともEL層を有し、少なくとも発光領域となる発光層を有している。
【0164】
なお、反射電極は、可視光の反射率が40%乃至100%、好ましくは70%乃至100%であり、かつその抵抗率が1×10-2Ωcm以下の膜であるとする。また、半透過・半反射電極は、可視光の反射率が20%乃至80%、好ましくは40%乃至70%であり、かつその抵抗率が1×10-2Ωcm以下の膜であるとする。
【0165】
EL層に含まれる発光層から射出される発光は、反射電極と半透過・半反射電極とによって反射され、共振する。
【0166】
当該発光デバイスは、透明導電膜や上述の複合材料、キャリア輸送材料などの厚みを変えることで反射電極と半透過・半反射電極の間の光学的距離を変えることができる。これにより、反射電極と半透過・半反射電極との間において、共振する波長の光を強め、共振しない波長の光を減衰させることができる。
【0167】
なお、反射電極によって反射されて戻ってきた光(第1の反射光)は、発光層から半透過・半反射電極に直接入射する光(第1の入射光)と大きな干渉を起こすため、反射電極と発光層の光学的距離を(2n-1)λ/4(ただし、nは1以上の自然数、λは増幅したい発光の波長)に調節することが好ましい。当該光学的距離を調節することにより、第1の反射光と第1の入射光との位相を合わせ発光層からの発光をより増幅させることができる。
【0168】
なお、上記構成においては、EL層に複数の発光層を有する構造であっても、単一の発光層を有する構造であっても良く、例えば、上述のタンデム型発光デバイスの構成と組み合わせて、一つの発光デバイスに電荷発生層を挟んで複数のEL層を設け、それぞれのEL層に単数もしくは複数の発光層を形成する構成に適用してもよい。
【0169】
マイクロキャビティ構造を有することで、特定波長の正面方向の発光強度を強めることが可能となるため、低消費電力化を図ることができる。なお、赤、黄、緑、青の4色の副画素で映像を表示する発光装置の場合、黄色発光による輝度向上効果のうえ、全副画素において各色の波長に合わせたマイクロキャビティ構造を適用できるため良好な特性の発光装置とすることができる。
【0170】
本実施の形態における発光装置は、実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスを用いているため、良好な特性を備えた発光装置を得ることができる。具体的には、実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスは寿命の長い発光デバイスであるため、信頼性の良好な発光装置とすることができる。また、実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスを用いた発光装置は発光効率が良好なため、消費電力の小さい発光装置とすることが可能である。
【0171】
ここまでは、アクティブマトリクス型の発光装置について説明したが、以下からはパッシブマトリクス型の発光装置について説明する。
図5には本発明を適用して作製したパッシブマトリクス型の発光装置を示す。なお、
図5Aは、発光装置を示す斜視図、
図5Bは
図5AをX-Yで切断した断面図である。
図5において、基板951上には、電極952と電極956との間にはEL層955が設けられている。電極952の端部は絶縁層953で覆われている。そして、絶縁層953上には隔壁層954が設けられている。隔壁層954の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなっていくような傾斜を有する。つまり、隔壁層954の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接する辺)の方が上辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層954を設けることで、静電気等に起因した発光デバイスの不良を防ぐことが出来る。また、パッシブマトリクス型の発光装置においても、実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスを用いており、信頼性の良好な発光装置、又は消費電力の小さい発光装置とすることができる。
【0172】
以上、説明した発光装置は、マトリクス状に配置された多数の微小な発光デバイスをそれぞれ制御することが可能であるため、画像の表現を行う表示装置として好適に利用できる発光装置である。
【0173】
また、本実施の形態は他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0174】
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスを照明装置として用いる例を
図6を参照しながら説明する。
図6Bは照明装置の上面図、
図6Aは
図6Bにおけるe-f断面図である。
【0175】
本実施の形態における照明装置は、支持体である透光性を有する基板400上に、第1の電極401が形成されている。第1の電極401は実施の形態2における第1の電極101に相当する。第1の電極401側から発光を取り出す場合、第1の電極401は透光性を有する材料により形成する。
【0176】
第2の電極404に電圧を供給するためのパッド412が基板400上に形成される。
【0177】
第1の電極401上にはEL層403が形成されている。EL層403は実施の形態1および実施の形態2におけるEL層103の構成、又は発光ユニット511、512及び電荷発生層513を合わせた構成などに相当する。なお、これらの構成については当該記載を参照されたい。
【0178】
EL層403を覆って第2の電極404を形成する。第2の電極404は実施の形態2における第2の電極102に相当する。発光を第1の電極401側から取り出す場合、第2の電極404は反射率の高い材料によって形成される。第2の電極404はパッド412と接続することによって、電圧が供給される。
【0179】
以上、第1の電極401、EL層403、及び第2の電極404を有する発光デバイスを本実施の形態で示す照明装置は有している。当該発光デバイスは発光効率の高い発光デバイスであるため、本実施の形態における照明装置は消費電力の小さい照明装置とすることができる。
【0180】
以上の構成を有する発光デバイスが形成された基板400と、封止基板407とをシール材405、406を用いて固着し、封止することによって照明装置が完成する。シール材405、406はどちらか一方でもかまわない。また、内側のシール材406(
図6Bでは図示せず)には乾燥剤を混ぜることもでき、これにより、水分を吸着することができ、信頼性の向上につながる。
【0181】
また、パッド412と第1の電極401の一部をシール材405、406の外に伸張して設けることによって、外部入力端子とすることができる。また、その上にコンバーターなどを搭載したICチップ420などを設けても良い。
【0182】
以上、本実施の形態に記載の照明装置は、EL素子に実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスを用いており、高温下における信頼性の良好な発光装置とすることができる。また、消費電力の小さい発光装置とすることができる。
【0183】
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスをその一部に含む電子機器の例について説明する。実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスは寿命が良好であり、高温下における信頼性の良好な発光デバイスである。その結果、本実施の形態に記載の電子機器は、高温下における信頼性の良好な発光部を有する電子機器とすることが可能である。
【0184】
上記発光デバイスを適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を以下に示す。
【0185】
図7Aは、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置は、筐体7101に表示部7103が組み込まれている。また、ここでは、スタンド7105により筐体7101を支持した構成を示している。表示部7103により、映像を表示することが可能であり、表示部7103は、実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスをマトリクス状に配列して構成されている。
【0186】
テレビジョン装置の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7110により行うことができる。リモコン操作機7110が備える操作キー7109により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部7103に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機7110に、当該リモコン操作機7110から出力する情報を表示する表示部7107を設ける構成としてもよい。
【0187】
なお、テレビジョン装置は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0188】
図7B1はコンピュータであり、本体7201、筐体7202、表示部7203、キーボード7204、外部接続ポート7205、ポインティングデバイス7206等を含む。なお、このコンピュータは、実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスをマトリクス状に配列して表示部7203に用いることにより作製される。
図7B1のコンピュータは、
図7B2のような形態であっても良い。
図7B2のコンピュータは、キーボード7204、ポインティングデバイス7206の代わりに第2の表示部7210が設けられている。第2の表示部7210はタッチパネル式となっており、第2の表示部7210に表示された入力用の表示を指や専用のペンで操作することによって入力を行うことができる。また、第2の表示部7210は入力用表示だけでなく、その他の画像を表示することも可能である。また表示部7203もタッチパネルであっても良い。二つの画面がヒンジで接続されていることによって、収納や運搬をする際に画面を傷つける、破損するなどのトラブルの発生も防止することができる。
【0189】
図7Cは、携帯端末の一例を示している。携帯電話機は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機は、実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスをマトリクス状に配列して作製された表示部7402を有している。
【0190】
図7Cに示す携帯端末は、表示部7402を指などで触れることで、情報を入力することができる構成とすることもできる。この場合、電話を掛ける、或いはメールを作成するなどの操作は、表示部7402を指などで触れることにより行うことができる。
【0191】
表示部7402の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
【0192】
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部7402を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合、表示部7402の画面のほとんどにキーボードまたは番号ボタンを表示させることが好ましい。
【0193】
また、携帯端末内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯端末の向き(縦か横か)を判断して、表示部7402の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
【0194】
また、画面モードの切り替えは、表示部7402を触れること、又は筐体7401の操作ボタン7403の操作により行われる。また、表示部7402に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
【0195】
また、入力モードにおいて、表示部7402の光センサで検出される信号を検知し、表示部7402のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
【0196】
表示部7402は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部7402に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライトまたは近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
【0197】
なお、本実施の形態に示す構成は、実施の形態1乃至実施の形態4に示した構成を適宜組み合わせて用いることができる。
【0198】
以上の様に実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスを備えた発光装置の適用範囲は極めて広く、この発光装置をあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスを用いることにより高温下における信頼性の高い電子機器を得ることができる。
【0199】
【0200】
掃除ロボット5100は、上面に配置されたディスプレイ5101、側面に配置された複数のカメラ5102、ブラシ5103、操作ボタン5104を有する。また図示されていないが、掃除ロボット5100の下面には、タイヤ、吸い込み口等が備えられている。掃除ロボット5100は、その他に赤外線センサ、超音波センサ、加速度センサ、ピエゾセンサ、光センサ、ジャイロセンサなどの各種センサを備えている。また、掃除ロボット5100は、無線による通信手段を備えている。
【0201】
掃除ロボット5100は自走し、ゴミ5120を検知し、下面に設けられた吸い込み口からゴミを吸引することができる。
【0202】
また、掃除ロボット5100はカメラ5102が撮影した画像を解析し、壁、家具または段差などの障害物の有無を判断することができる。また、画像解析により、配線などブラシ5103に絡まりそうな物体を検知した場合は、ブラシ5103の回転を止めることができる。
【0203】
ディスプレイ5101には、バッテリーの残量や、吸引したゴミの量などを表示することができる。掃除ロボット5100が走行した経路をディスプレイ5101に表示させてもよい。また、ディスプレイ5101をタッチパネルとし、操作ボタン5104をディスプレイ5101に設けてもよい。
【0204】
掃除ロボット5100は、スマートフォンなどの携帯電子機器5140と通信することができる。カメラ5102が撮影した画像は、携帯電子機器5140に表示させることができる。そのため、掃除ロボット5100の持ち主は、外出先からでも、部屋の様子を知ることができる。また、ディスプレイ5101の表示をスマートフォンなどの携帯電子機器で確認することもできる。
【0205】
本発明の一態様の発光装置はディスプレイ5101に用いることができる。
【0206】
図8Bに示すロボット2100は、演算装置2110、照度センサ2101、マイクロフォン2102、上部カメラ2103、スピーカ2104、ディスプレイ2105、下部カメラ2106および障害物センサ2107、移動機構2108を備える。
【0207】
マイクロフォン2102は、使用者の話し声及び環境音等を検知する機能を有する。また、スピーカ2104は、音声を発する機能を有する。ロボット2100は、マイクロフォン2102およびスピーカ2104を用いて、使用者とコミュニケーションをとることが可能である。
【0208】
ディスプレイ2105は、種々の情報の表示を行う機能を有する。ロボット2100は、使用者の望みの情報をディスプレイ2105に表示することが可能である。ディスプレイ2105は、タッチパネルを搭載していてもよい。また、ディスプレイ2105は取り外しのできる情報端末であっても良く、ロボット2100の定位置に設置することで、充電およびデータの受け渡しを可能とする。
【0209】
上部カメラ2103および下部カメラ2106は、ロボット2100の周囲を撮像する機能を有する。また、障害物センサ2107は、移動機構2108を用いてロボット2100が前進する際の進行方向における障害物の有無を察知することができる。ロボット2100は、上部カメラ2103、下部カメラ2106および障害物センサ2107を用いて、周囲の環境を認識し、安全に移動することが可能である。本発明の一態様の発光装置はディスプレイ2105に用いることができる。
【0210】
図8Cはゴーグル型ディスプレイの一例を表す図である。ゴーグル型ディスプレイは、例えば、筐体5000、表示部5001、スピーカ5003、LEDランプ5004、接続端子5006、センサ5007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい、又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン5008、表示部5002、支持部5012、イヤホン5013等を有する。
【0211】
本発明の一態様の発光装置は表示部5001および表示部5002に用いることができる。
【0212】
図9は、実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスを、照明装置である電気スタンドに用いた例である。
図9に示す電気スタンドは、筐体2001と、光源2002を有し、光源2002としては、実施の形態3に記載の照明装置を用いても良い。
【0213】
図10は、実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスを、室内の照明装置3001として用いた例である。実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスは高温下における信頼性の高い発光デバイスであるため、高温下における信頼性の良い照明装置とすることができる。また、実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスは大面積化が可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。また、実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスは、薄型であるため、薄型化した照明装置として用いることが可能となる。
【0214】
実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスは、自動車のフロントガラスやダッシュボードにも搭載することができる。
図11に実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスを自動車のフロントガラスやダッシュボードに用いる一態様を示す。表示領域5200乃至表示領域5203は実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスを用いて設けられた表示領域である。
【0215】
表示領域5200と表示領域5201は自動車のフロントガラスに設けられた実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスを搭載した表示装置である。実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスは、陽極と陰極を透光性を有する電極で作製することによって、反対側が透けて見える、いわゆるシースルー状態の表示装置とすることができる。シースルー状態の表示であれば、自動車のフロントガラスに設置したとしても、視界の妨げになることなく設置することができる。なお、駆動のためのトランジスタなどを設ける場合には、有機半導体材料による有機トランジスタや、酸化物半導体を用いたトランジスタなど、透光性を有するトランジスタを用いると良い。
【0216】
表示領域5202はピラー部分に設けられた実施の形態1および実施の形態2に記載の発光デバイスを搭載した表示装置である。表示領域5202には、車体に設けられた撮像手段からの映像を映し出すことによって、ピラーで遮られた視界を補完することができる。また、同様に、ダッシュボード部分に設けられた表示領域5203は車体によって遮られた視界を、自動車の外側に設けられた撮像手段からの映像を映し出すことによって、死角を補い、安全性を高めることができる。見えない部分を補完するように映像を映すことによって、より自然に違和感なく安全確認を行うことができる。
【0217】
表示領域5203はナビゲーション情報、速度計や回転数、走行距離、燃料計、ギア状態、空調の設定などを表示することで、様々な情報を提供することができる。表示は使用者の好みに合わせて適宜その表示項目やレイアウトを変更することができる。なお、これら情報は表示領域5200乃至表示領域5202にも設けることができる。また、表示領域5200乃至表示領域5203は照明装置として用いることも可能である。
【0218】
また、
図12A、
図12Bに、折りたたみ可能な携帯情報端末5150を示す。折りたたみ可能な携帯情報端末5150は筐体5151、表示領域5152および屈曲部5153を有している。
図12Aに展開した状態の携帯情報端末5150を示す。
図12Bに折りたたんだ状態の携帯情報端末を示す。携帯情報端末5150は、大きな表示領域5152を有するにも関わらず、折りたためばコンパクトで可搬性に優れる。
【0219】
表示領域5152は屈曲部5153により半分に折りたたむことができる。屈曲部5153は伸縮可能な部材と複数の支持部材とで構成されており、折りたたむ場合は、伸縮可能な部材が伸び、屈曲部5153は2mm以上、好ましくは3mm以上の曲率半径を有して折りたたまれる。
【0220】
なお、表示領域5152は、タッチセンサ(入力装置)を搭載したタッチパネル(入出力装置)であってもよい。本発明の一態様の発光装置を表示領域5152に用いることができる。
【0221】
また、
図13A~
図13Cに、折りたたみ可能な携帯情報端末9310を示す。
図13Aに展開した状態の携帯情報端末9310を示す。
図13Bに展開した状態又は折りたたんだ状態の一方から他方に変化する途中の状態の携帯情報端末9310を示す。
図13Cに折りたたんだ状態の携帯情報端末9310を示す。携帯情報端末9310は、折りたたんだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では、継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。
【0222】
表示パネル9311はヒンジ9313によって連結された3つの筐体9315に支持されている。なお、表示パネル9311は、タッチセンサ(入力装置)を搭載したタッチパネル(入出力装置)であってもよい。また、表示パネル9311は、ヒンジ9313を介して2つの筐体9315間を屈曲させることにより、携帯情報端末9310を展開した状態から折りたたんだ状態に可逆的に変形させることができる。本発明の一態様の発光装置を表示パネル9311に用いることができる。
【実施例1】
【0223】
本実施例では、本発明の一態様のホスト材料用アントラセン化合物である2,9-ジ(1-ナフチル)-10-フェニルアントラセン(略称:2αN-αNPhA)の合成方法について詳しく説明する。2αN-αNPhAの構造式を以下に示す。
【0224】
【0225】
200mL3口フラスコに2-クロロ-9-(1-ナフチル)-10-フェニルアントラセン1.1g(2.7mmol)、1-ナフチルボロン酸0.93g(5.4mmol)、ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン0.11g(0.30mmol)、リン酸三カリウム1.9g(9.0mmol)、tert-ブチルアルコール0.67g(9.0mmol)を加え、フラスコ内を窒素置換した。この混合物にジエチレングリコールジメチルエーテル14mLを加え、減圧下で攪拌する事で脱気した。この混合物に、酢酸パラジウム(II)34mg(0.15mmol)を加え、窒素気流下、130℃で12時間攪拌した。
【0226】
撹拌後、この混合物に水を加え、吸引濾過して得た固体をトルエンに溶解し、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531-16855(以下同じ))・アルミナ・フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540-00135(以下同じ))を通して吸引濾過した。得られたろ液を濃縮して得た固体を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製し、さらにトルエンで再結晶したところ、目的物の淡黄色固体を収量1.0g、収率73%で得た。本合成方法の合成スキームを以下に示す。
【0227】
【0228】
得られた淡黄色固体1.0gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は、圧力3.8Pa、アルゴン流量5.0mL/minの条件で、淡黄色固体を220℃で加熱して行った。昇華精製後、淡黄色固体を0.92g、回収率92%で得た。
【0229】
得られた淡黄色固体の核磁気共鳴分光法(
1H-NMR)による分析結果を下記に示す。また、
1H-NMRチャートを
図14A、
図14Bに示す。なお、
図14Bは、
図14Aにおける7.0ppm~8.2ppmの範囲を拡大して表したチャートである。この結果から、本実施例において、上述の構造式(100)で表される本発明の一態様である有機化合物、2αN-αNPhAが得られたことがわかった。
【0230】
1H NMR(DMSO-d6,300MHz):δ=7.10(d,J=8.7Hz,1H)、7.21(t,J=7.5Hz,1H)、7.30-7.91(m,22H)、8.05-8.10(m,2H)。
【0231】
次に、2αN-αNPhAのトルエン溶液の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを測定した結果を
図15に示す。また、薄膜の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを
図16に示す。固体薄膜は石英基板上に真空蒸着法にて作製した。トルエン溶液の吸収スペクトルは、紫外可視分光光度計((株)日本分光製 V550型)を用いて測定し、トルエンのみを石英セルに入れて測定したスペクトルを差し引いて算出した。また、薄膜の吸収スペクトルは、分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ製 分光光度計U4100)を用いて測定し、基板を含めた透過率と反射率から求めた吸光度(-log
10 [%T/(100-%R)]より算出した。た。また、発光スペクトルの測定には、蛍光光度計((株)浜松ホトニクス製 FS920)を用いた。
【0232】
2αN-αNPhAのトルエン溶液では、403nm、382nm、363nm、310nm、283nm付近に吸収ピークが見られ、443nm、420nm付近(励起波長382nm)に発光波長のピークが見られた。また、2αN-αNPhAの固体薄膜では、409nm、387nm、367nm、291nm、266nm付近に吸収ピークが見られ、536nm、498nm、466nm、440nm付近(励起波長370nm)に発光波長のピークが見られた。
【0233】
なお、2αN-αNPhAは青色に発光することを確認した。2αN-αNPhAは、発光物質や可視域の蛍光発光物質のホストとしても利用可能であることがわかった。また、2αN-αNPhAの薄膜は、大気下においても凝集しにくく、形態の変化が小さい良好な膜質であることがわかった。
【0234】
次に、2αN-αNPhAのHOMO準位およびLUMO準位をサイクリックボルタンメトリ(CV)測定を元に算出した。算出方法を以下に示す。
測定装置としては電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600Aまたは600C)を用いた。CV測定における溶液は、溶媒として脱水ジメチルホルムアミド(DMF)((株)アルドリッチ製、99.8%、カタログ番号;22705-6)を用い、支持電解質である過塩素酸テトラ-n-ブチルアンモニウム(n-Bu4NClO4)((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるように溶解させ、さらに測定対象を2mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した。
【0235】
また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC-3用Ptカウンター電極(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag+電極(ビー・エー・エス(株)製、RE7非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温(20以上25℃以下)で行った。
【0236】
また、CV測定時のスキャン速度は、0.1V/secに統一し、参照電極に対する酸化電位Ea[V]および還元電位Ec[V]を測定した。Eaは酸化-還元波の中間電位とし、Ecは還元-酸化波の中間電位とした。ここで、本実施例で用いる参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギーは、-4.94[eV]であることが分かっているため、HOMO準位[eV]=-4.94-Ea、LUMO準位[eV]=-4.94-Ecという式から、HOMO準位およびLUMO準位をそれぞれ求めることができる。
【0237】
この結果、2αN-αNPhAの酸化電位Ea[V]の測定において、HOMO準位は-5.81eVであることがわかった。一方、還元電位Ec[V]の測定において、LUMO準位は-2.79eVであることがわかった。
【実施例2】
【0238】
本実施例では、本発明の一態様のホスト材料用アントラセン化合物である9-(1-ナフチル)-10-フェニル-2-(5-フェニル-1-ナフチル)アントラセン(略称:2PαN-αNPhA)の合成方法について詳しく説明する。2PαN-αNPhAの構造式を以下に示す。
【0239】
【0240】
200mL3口フラスコに2-クロロ-9-(1-ナフチル)-10-フェニルアントラセン1.3g(3.0mmol)、2-(5-フェニル-1-ナフチル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン1.2g(3.7mmol)、ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン0.13g(0.36mmol)、リン酸三カリウム2.0g(9.2mmol)、tert-ブチルアルコール0.68g(9.1mmol)、ジエチレングリコールジメチルエーテル15mLを加え、減圧下で攪拌する事で脱気した。この混合物に、酢酸パラジウム(II)37mg(0.17mmol)を加え、窒素気流下、130℃で8時間攪拌した。撹拌後、この混合物に水を加え、析出した固体を吸引濾過により回収した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:ヘキサン=1:4)で精製し、さらに高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で精製して、固体を得た。得られた固体をトルエンにて再結晶したところ、目的物の白色粉末を収量0.95g、収率54%で得た。本合成方法の合成スキームを以下に示す。
【0241】
【0242】
得られた白色粉末0.95gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は、圧力3.4Pa、アルゴン流量10mL/minの条件で、白色粉末を275℃で18時間加熱して行った。昇華精製後、淡黄色粉末を0.72g、回収率76%で得た。
【0243】
得られた淡黄色粉末の核磁気共鳴分光法(
1H-NMR)による分析結果を以下に示す。また、
1H-NMRチャートを
図17A、
図17Bに示す。なお、
図17Bは、
図17Aにおける7.0ppm~8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。この結果から、本実施例において、上述の構造式(101)で表される2PαN-αNPhAが得られたことがわかった。
【0244】
1H NMR(CD2Cl2,300MHz):δ=7.23-7.80(m、27H)、7.88(dd、J=9.0Hz、0.9Hz、1H)、7.97-8.02(m、2H)。
【0245】
次に、2PαN-αNPhAのトルエン溶液の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを測定した結果を
図18、
図19に示す。測定は実施例1と同様に行った。
【0246】
図18より、403nm、382nm、363nm、316nm付近に吸収ピークが見られ、421nm、443nm付近(励起波長382nm)に発光波長のピークが見られた。また、
図19の結果より、2PαN-αNPhAの固体薄膜では、405nm、386nm、367nm、333nm、321nm付近に吸収ピークが見られ、430nm、453nm付近(励起波長370nm)に発光波長のピークが見られた。
【0247】
なお、2PαN-αNPhAは青色に発光することを確認した。本発明の一態様である有機化合物、2PαN-αNPhAは、発光物質や可視域の蛍光発光物質のホストとしても利用可能である。また、2PαN-αNPhAの薄膜は、大気下においても凝集しにくく、形態の変化が小さい良好な膜質であることがわかった。
【0248】
続いて、2PαN-αNPhAのHOMO準位およびLUMO準位をサイクリックボルタンメトリ(CV)測定を元に算出した結果を示す。算出方法は実施例1と同じである。
【0249】
この結果、2PαN-αNPhAの酸化電位Ea[V]の測定によって、HOMO準位は-5.86eVであることがわかった。一方、還元電位Ec[V]の測定によって、LUMO準位は-2.80eVであることがわかった。
【実施例3】
【0250】
本実施例では、実施の形態1で説明した本発明の一態様のホスト材料用アントラセン化合物をホスト材料として使用した発光デバイス1について説明する。また、本発明の一態様のホスト材料用アントラセン化合物と類似の構造を有する有機化合物をホスト材料に用いた比較発光デバイス1および比較発光デバイス2についても同時に示した。発光デバイス1および比較発光デバイス1、比較発光デバイス2で用いた有機化合物の構造式を以下に示す。
【0251】
【0252】
(発光デバイス1の作製方法)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極101を形成した。なお、その膜厚は70nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0253】
次に、基板上に発光デバイスを形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
【0254】
その後、10-4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板を30分程度放冷した。
【0255】
次に、第1の電極101が形成された面が下方となるように、第1の電極101が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、第1の電極101上に、抵抗加熱を用いた蒸着法により上記構造式(i)で表されるN-(1,1’-ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(略称:PCBBiF)と、ALD-MP001Q(分析工房株式会社、材料シリアル番号:1S20170124)とを、重量比で1:0.1(=PCBBiF:ALD-MP001Q)となるように、10nm共蒸着して正孔注入層111を形成した。
【0256】
次に、正孔注入層111上に、第1の正孔輸送層112-1として、PCBBiFを20nmとなるように蒸着した後、第2の正孔輸送層112-2として、上記構造式(ii)で表されるN,N-ビス[4-(ジベンゾフラン-4-イル)フェニル]-4-アミノ-p-ターフェニル(略称:DBfBB1TP)を10nmとなるように蒸着して正孔輸送層112を形成した。なお、第2の正孔輸送層112-2は電子ブロック層としても機能する。
【0257】
続いて、上記構造式(100)で表される2,9-ジ(1-ナフチル)-10-フェニルアントラセン(略称:2αN-αNPhA)と上記構造式(iii)で表される3,10-ビス[N-(9-フェニル-9H-カルバゾール-2-イル)-N-フェニルアミノ]ナフト[2,3-b;6,7-b’]ビスベンゾフラン(略称:3,10PCA2Nbf(IV)-02)とを、重量比1:0.015(=2αN-αNPhA:3,10PCA2Nbf(IV)-02)となるように25nm共蒸着して発光層113を形成した。
【0258】
その後、発光層113上に、上記構造式(iv)で表される2-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq-II)を15nmとなるように蒸着した後、上記構造式(v)で表される2,9-ジ(2-ナフチル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(略称:NBPhen)を10nmとなるように蒸着して電子輸送層114を形成した。
【0259】
電子輸送層114を形成した後、フッ化リチウム(LiF)を膜厚1nmとなるように蒸着して電子注入層115を形成し、続いてアルミニウムを200nmの膜厚となるように蒸着することで第2の電極102を形成して本実施例の発光デバイス1を作製した。
【0260】
(比較発光デバイス1の作製方法)
比較発光デバイス1は、発光デバイス1における2αN-αNPhAを上記構造式(vi)で表される2-(1-ナフチル)-9-(2-ナフチル)-10-フェニルアントラセン(略称:2αN-βNPhA)に変えた他は、発光デバイス1と同様に作製した。
【0261】
(比較発光デバイス2の作製方法)
比較発光デバイス2は、発光デバイス1における2αN-αNPhAを、上記構造式(vii)で表される2,10-ジ(1-ナフチル)-9-フェニルアントラセン(略称:3αN-αNPhA)に変えた他は、発光デバイス1と同様に作製した。
【0262】
発光デバイス1、比較発光デバイス1および比較発光デバイス2の素子構造を以下の表にまとめる。
【0263】
【0264】
これらの発光デバイスを、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光デバイスが大気に曝されないようにガラス基板により封止する作業(シール材を素子の周囲に塗布し、封止時にUV処理、80℃にて1時間熱処理)を行った後、これら発光デバイスの初期特性及び信頼性について測定を行った。なお、測定は室温で行った。
【0265】
発光デバイス1、比較発光デバイス1および比較発光デバイス2の輝度-電流密度特性を
図20に、電流効率-輝度特性を
図21に、輝度-電圧特性を
図22に、電流-電圧特性を
図23に、外部量子効率-輝度特性を
図24に、発光スペクトルを
図25に示す。また、発光デバイス1、比較発光デバイス1および比較発光デバイス2の1000cd/m
2付近における主要な特性を表2に示す。
【0266】
【0267】
図20乃至
図25及び表2より、発光デバイス1および比較発光デバイス1および比較発光デバイス2は、特性の良好な青色発光デバイスであることがわかった。
【0268】
また、電流密度50mA/cm
2とした場合の駆動時間に対する輝度の変化を表すグラフを
図26に示す。本発明の一態様の発光デバイス1は、β位でナフチル基が置換しているアントラセン化合物をホスト材料として用いた比較発光デバイス1、およびアントラセンの2位と10位にα-ナフチル基が結合し、且つ9位にフェニル基が結合したアントラセン化合物をホスト材料として用いた比較発光デバイス2よりも良好な寿命を示す発光デバイスであることがわかった。
【実施例4】
【0269】
本実施例では、実施の形態1で説明した本発明の一態様のホスト材料用アントラセン化合物を用いた発光デバイス2について説明する。また、本発明の一態様のアントラセン化合物と類似の構造を有する有機化合物をホスト材料として用いた比較発光デバイス3および比較発光デバイス4についても同様に示した。発光デバイス2、比較発光デバイス3および比較発光デバイス4で用いた有機化合物の構造式を以下に示す。
【0270】
【0271】
(発光デバイス2の作製方法)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極101を形成した。なお、その膜厚は70nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0272】
次に、基板上に発光デバイスを形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
【0273】
その後、10-4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板を30分程度放冷した。
【0274】
次に、第1の電極101が形成された面が下方となるように、第1の電極101が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、第1の電極101上に、抵抗加熱を用いた蒸着法により上記構造式(viii)で表されるN,N-ビス(4-ビフェニル)-6-フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン-8-アミン(略称:BBABnf)と、ALD-MP001Q(分析工房株式会社、材料シリアル番号:1S20170124)とを、重量比で1:0.1(=BBABnf:ALD-MP001Q)となるように、10nm共蒸着して正孔注入層111を形成した。
【0275】
次に、正孔注入層111上に、第1の正孔輸送層112-1として、BBABnfを20nmとなるように蒸着した後、第2の正孔輸送層112-2として、上記構造式(ix)で表される3,3’-(ナフタレン-1,4-ジイル)ビス(9-フェニル-9H-カルバゾール)(略称:PCzN2)を10nmとなるように蒸着して正孔輸送層112を形成した。なお、第2の正孔輸送層112-2は電子ブロック層としても機能する。
【0276】
続いて、上記構造式(100)で表される2,9-ジ(1-ナフチル)-10-フェニルアントラセン(略称:2αN-αNPhA)と上記構造式(iii)で表される3,10-ビス[N-(9-フェニル-9H-カルバゾール-2-イル)-N-フェニルアミノ]ナフト[2,3-b;6,7-b’]ビスベンゾフラン(略称:3,10PCA2Nbf(IV)-02)とを、重量比1:0.015(=2αN-αNPhA:3,10PCA2Nbf(IV)-02)となるように25nm共蒸着して発光層113を形成した。
【0277】
その後、発光層113上に、上記構造式(iv)で表される2-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq-II)を15nmとなるように蒸着した後、上記構造式(v)で表される2,9-ジ(2-ナフチル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(略称:NBPhen)を10nmとなるように蒸着して電子輸送層114を形成した。
【0278】
電子輸送層114を形成した後、フッ化リチウム(LiF)を膜厚1nmとなるように蒸着して電子注入層115を形成し、続いてアルミニウムを200nmの膜厚となるように蒸着することで第2の電極102を形成して本実施例の発光デバイス2を作製した。
【0279】
(比較発光デバイス3の作製方法)
比較発光デバイス3は、発光デバイス2における2αN-αNPhAを上記構造式(vii)で表される2-(1-ナフチル)-9-(2-ナフチル)-10-フェニルアントラセン(略称:2αN-βNPhA)に変えた他は、発光デバイス2と同様に作製した。
【0280】
(比較発光デバイス4の作製方法)
比較発光デバイス4は、発光デバイス2における2αN-αNPhAを、上記構造式(x)で表される9-(1-ナフチル)-2-(2-ナフチル)-10-フェニルアントラセン(略称:2βN-αNPhA)に変えた他は、発光デバイス2と同様に作製した。
【0281】
発光デバイス2、比較発光デバイス3および比較発光デバイス4の素子構造を以下の表にまとめる。
【0282】
【0283】
これらの発光デバイスを、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光デバイスが大気に曝されないようにガラス基板により封止する作業(シール材を素子の周囲に塗布し、封止時にUV処理、80℃にて1時間熱処理)を行った後、これら発光デバイスの初期特性及び信頼性について測定を行った。なお、測定は室温で行った。
【0284】
発光デバイス2、比較発光デバイス3および比較発光デバイス4の輝度-電流密度特性を
図27に、電流効率-輝度特性を
図28に、輝度-電圧特性を
図29に、電流-電圧特性を
図30に、外部量子効率-輝度特性を
図31に、発光スペクトルを
図32に示す。また、発光デバイス2、比較発光デバイス3および比較発光デバイス4の1000cd/m
2付近における主要な特性を表4に示す。
【0285】
【0286】
図27乃至
図32及び表4より、本発明の一態様である発光デバイス2、比較発光デバイス3および比較発光デバイス4は、特性の良好な青色発光デバイスであることがわかった。
【0287】
また、電流密度50mA/cm
2とした場合の駆動時間に対する輝度の変化を表すグラフを
図33に示す。本発明の一態様のホスト材料用アントラセン化合物をホスト材料として用いた発光デバイス2は、β位でナフチル基が結合したアントラセン化合物をホスト材料として用いた比較発光デバイス3および比較発光デバイス4よりも良好な特性を示した。
【実施例5】
【0288】
本実施例では、実施の形態1で説明した本発明の一態様のホスト材料用アントラセン化合物を用いた発光デバイス3および発光デバイス4について説明する。また、本発明の一態様のアントラセン化合物と類似の構造を有する有機化合物をホスト材料として用いた比較発光デバイス5乃至比較発光デバイス10についても同様に示した。発光デバイス3、発光デバイス4、および比較発光デバイス5乃至比較発光デバイス10で用いた有機化合物の構造式を以下に示す。
【0289】
【0290】
【0291】
(発光デバイス3の作製方法)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極101を形成した。なお、その膜厚は70nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0292】
次に、基板上に発光デバイスを形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
【0293】
その後、10-4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板を30分程度放冷した。
【0294】
次に、第1の電極101が形成された面が下方となるように、第1の電極101が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、第1の電極101上に、抵抗加熱を用いた蒸着法により上記構造式(viii)で表されるN,N-ビス(4-ビフェニル)-6-フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン-8-アミン(略称:BBABnf)と、ALD-MP001Q(分析工房株式会社、材料シリアル番号:1S20170124)とを、重量比で1:0.1(=BBABnf:ALD-MP001Q)となるように、10nm共蒸着して正孔注入層111を形成した。
【0295】
次に、正孔注入層111上に、第1の正孔輸送層112-1として、BBABnfを20nmとなるように蒸着した後、第2の正孔輸送層112-2として、上記構造式(ix)で表される3,3’-(ナフタレン-1,4-ジイル)ビス(9-フェニル-9H-カルバゾール)(略称:PCzN2)を10nmとなるように蒸着して正孔輸送層112を形成した。なお、第2の正孔輸送層112-2は電子ブロック層としても機能する。
【0296】
続いて、上記構造式(100)で表される2,9-ジ(1-ナフチル)-10-フェニルアントラセン(略称:2αN-αNPhA)と上記構造式(iii)で表される3,10-ビス[N-(9-フェニル-9H-カルバゾール-2-イル)-N-フェニルアミノ]ナフト[2,3-b;6,7-b’]ビスベンゾフラン(略称:3,10PCA2Nbf(IV)-02)とを、重量比1:0.015(=2αN-αNPhA:3,10PCA2Nbf(IV)-02)となるように25nm共蒸着して発光層113を形成した。
【0297】
その後、発光層113上に、上記構造式(iv)で表される2-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq-II)を15nmとなるように蒸着した後、上記構造式(v)で表される2,9-ジ(2-ナフチル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(略称:NBPhen)を10nmとなるように蒸着して電子輸送層114を形成した。
【0298】
電子輸送層114を形成した後、フッ化リチウム(LiF)を膜厚1nmとなるように蒸着して電子注入層115を形成し、続いてアルミニウムを200nmの膜厚となるように蒸着することで第2の電極102を形成して本実施例の発光デバイス3を作製した。
【0299】
(発光デバイス4の作製方法)
発光デバイス4は、発光デバイス3における2αN-αNPhAを、上記構造式(101)で表される9-(1-ナフチル)-10-フェニル-2-(5-フェニル-1-ナフチル)アントラセン(略称:2PαN-αNPhA)に変えた他は発光デバイス3と同様に作製した。
【0300】
(比較発光デバイス5の作製方法)
比較発光デバイス5は、発光デバイス3における2αN-αNPhAを上記構造式(xi)で表される2-(1-ナフチル)-10-フェニル-9-(5-フェニル-1-ナフチル)アントラセン(略称:2αN-PαNPhA)に変えた他は、発光デバイス3と同様に作製した。
【0301】
(比較発光デバイス6の作製方法)
比較発光デバイス6は、発光デバイス3における2αN-αNPhAを、上記構造式(xii)で表される2-(4-メチル-1-ナフチル)-9-(1-ナフチル)-10-フェニルアントラセン(略称:2MeαN-αNPhA)に変えた他は、発光デバイス3と同様に作製した。
【0302】
(比較発光デバイス7の作製方法)
比較発光デバイス7は、発光デバイス3における2αN-αNPhAを上記構造式(xiii)で表される9-(4-メチル-1-ナフチル)-2-(1-ナフチル)-10-フェニルアントラセン(略称:2αN-MeαNPhA)に変えた他は、発光デバイス3と同様に作製した。
【0303】
(比較発光デバイス8の作製方法)
比較発光デバイス8は、発光デバイス3における2αN-αNPhAを、上記構造式(xiv)で表される10-(4-ビフェニル)-2,9-ジ(1-ナフチル)アントラセン(略称:2αN-αNBPhA)に変えた他は、発光デバイス3と同様に作製した。
【0304】
(比較発光デバイス9の作製方法)
比較発光デバイス9は、発光デバイス3における2αN-αNPhAを上記構造式(xv)で表される2-(1-ナフチル)-10-フェニル-9-(5-トリメチルシリル-1-ナフチル)アントラセン(略称:2αN-TMSαNPhA)に変えた他は、発光デバイス3と同様に作製した。
【0305】
(比較発光デバイス10の作製方法)
比較発光デバイス10は、発光デバイス3における2αN-αNPhAを、上記構造式(xvi)で表される9-(1-ナフチル)-10-フェニル-2-(5-トリメチルシリル-1-ナフチル)アントラセン(略称:2TMSαN-αNPhA)に変えた他は、発光デバイス3と同様に作製した。
【0306】
発光デバイス3、発光デバイス4および比較発光デバイス5乃至比較発光デバイス10の素子構造を以下の表にまとめる。
【0307】
【0308】
これらの発光デバイスを、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光デバイスが大気に曝されないようにガラス基板により封止する作業(シール材を素子の周囲に塗布し、封止時にUV処理、80℃にて1時間熱処理)を行った後、これら発光デバイスの初期特性及び信頼性について測定を行った。なお、測定は室温で行った。
【0309】
発光デバイス3、発光デバイス4および比較発光デバイス5乃至比較発光デバイス10の輝度-電流密度特性を
図34に、電流効率-輝度特性を
図35に、輝度-電圧特性を
図36に、電流-電圧特性を
図37に、外部量子効率-輝度特性を
図38に、発光スペクトルを
図39に示す。また、発光デバイス3、発光デバイス4および比較発光デバイス5乃至比較発光デバイス10の1000cd/m
2付近における主要な特性を表6に示す。
【0310】
【0311】
図34乃至
図39及び表6より、発光デバイス3、発光デバイス4および比較発光デバイス5乃至比較発光デバイス10は、特性の良好な青色発光デバイスであることがわかった。
【0312】
また、電流密度50mA/cm2とした場合の、各発光デバイスにおけるLT97(初期輝度の97%に劣化するまでの時間)およびLT95(同95%に劣化するまでの時間)を以下の表にまとめた。
【0313】
【0314】
表より、本発明の一態様のホスト材料用アントラセン化合物をホスト材料として用いた発光デバイスは、良好な特性を示した。
【0315】
発光デバイス3、比較発光デバイス6、比較発光デバイス7、比較発光デバイス9および比較発光デバイス10より、本発明の一態様のホスト材料用アントラセン化合物へのアルキル基およびアルキルシリル基の結合は、信頼性に影響を及ぼすことがわかった。特に、アルキルシリル基の影響は大きいが、一方で、メチル基は小さい基であるにも関わらず、比較的大きな影響を及ぼしていることがわかる。
【実施例6】
【0316】
本実施例では、実施の形態1で説明した本発明の一態様のホスト材料用アントラセン化合物を用いた発光デバイス5について説明する。また、本発明の一態様のアントラセン化合物と類似の構造を有する有機化合物をホスト材料として用いた比較発光デバイス11および比較発光デバイス12についても同様に示した。発光デバイス5、比較発光デバイス11および比較発光デバイス12で用いた有機化合物の構造式を以下に示す。
【0317】
【0318】
(発光デバイス5の作製方法)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極101を形成した。なお、その膜厚は70nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0319】
次に、基板上に発光デバイスを形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
【0320】
その後、10-4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板を30分程度放冷した。
【0321】
次に、第1の電極101が形成された面が下方となるように、第1の電極101が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、第1の電極101上に、抵抗加熱を用いた蒸着法により上記構造式(viii)で表されるN,N-ビス(4-ビフェニル)-6-フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン-8-アミン(略称:BBABnf)と、ALD-MP001Q(分析工房株式会社、材料シリアル番号:1S20170124)とを、重量比で1:0.1(=BBABnf:ALD-MP001Q)となるように、10nm共蒸着して正孔注入層111を形成した。
【0322】
次に、正孔注入層111上に、第1の正孔輸送層112-1として、BBABnfを20nmとなるように蒸着した後、第2の正孔輸送層112-2として、上記構造式(ix)で表される3,3’-(ナフタレン-1,4-ジイル)ビス(9-フェニル-9H-カルバゾール)(略称:PCzN2)を10nmとなるように蒸着して正孔輸送層112を形成した。なお、第2の正孔輸送層112-2は電子ブロック層としても機能する。
【0323】
続いて、上記構造式(100)で表される2,9-ジ(1-ナフチル)-10-フェニルアントラセン(略称:2αN-αNPhA)と上記構造式(iii)で表される3,10-ビス[N-(9-フェニル-9H-カルバゾール-2-イル)-N-フェニルアミノ]ナフト[2,3-b;6,7-b’]ビスベンゾフラン(略称:3,10PCA2Nbf(IV)-02)とを、重量比1:0.015(=2αN-αNPhA:3,10PCA2Nbf(IV)-02)となるように25nm共蒸着して発光層113を形成した。
【0324】
その後、発光層113上に、上記構造式(iv)で表される2-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq-II)を15nmとなるように蒸着した後、上記構造式(v)で表される2,9-ジ(2-ナフチル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(略称:NBPhen)を10nmとなるように蒸着して電子輸送層114を形成した。
【0325】
電子輸送層114を形成した後、フッ化リチウム(LiF)を膜厚1nmとなるように蒸着して電子注入層115を形成し、続いてアルミニウムを200nmの膜厚となるように蒸着することで第2の電極102を形成して本実施例の発光デバイス5を作製した。
【0326】
(比較発光デバイス11の作製方法)
比較発光デバイス11は、発光デバイス5における2αN-αNPhAを上記構造式(xi)で表される2-(1-ナフチル)-10-フェニル-9-(5-フェニル-1-ナフチル)アントラセン(略称:2αN-PαNPhA)に変えた他は、発光デバイス5と同様に作製した。
【0327】
(比較発光デバイス12の作製方法)
比較発光デバイス12は、発光デバイス5における2αN-αNPhAを、上記構造式(xvii)で表される2,9,10-トリ(1-ナフチル)アントラセン(略称:αTNA)に変えた他は、発光デバイス5と同様に作製した。
【0328】
発光デバイス5、比較発光デバイス11および比較発光デバイス12の素子構造を以下の表にまとめる。
【0329】
【0330】
これらの発光デバイスを、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光デバイスが大気に曝されないようにガラス基板により封止する作業(シール材を素子の周囲に塗布し、封止時にUV処理、80℃にて1時間熱処理)を行った後、これら発光デバイスの初期特性及び信頼性について測定を行った。なお、測定は室温で行った。
【0331】
発光デバイス5、比較発光デバイス11および比較発光デバイス12の輝度-電流密度特性を
図40に、電流効率-輝度特性を
図41に、輝度-電圧特性を
図42に、電流-電圧特性を
図43に、外部量子効率-輝度特性を
図44に、発光スペクトルを
図45に示す。また、発光デバイス5、比較発光デバイス11および比較発光デバイス12の1000cd/m
2付近における主要な特性を表9に示す。
【0332】
【0333】
図40乃至
図45及び表9より、本発明の一態様である発光デバイス5、比較発光デバイス11および比較発光デバイス12は、特性の良好な青色発光デバイスであることがわかった。
【0334】
また、電流密度50mA/cm
2とした場合の駆動時間に対する輝度の変化を表すグラフを
図46に示す。本発明の一態様のホスト材料用アントラセン化合物をホスト材料として用いた発光デバイス5は、フェニル基の結合したナフチル基が9位に結合しているアントラセン化合物をホスト材料として用いた比較発光デバイス11および3つのナフチル基が結合しているアントラセン化合物をホスト材料として用いた比較発光デバイス12よりも良好な特性を示した。
【0335】
<参考例1>
本参考例では、実施例で比較例として使用した有機化合物である2-(4-メチル-1-ナフチル)-9-(1-ナフチル)-10-フェニルアントラセン(略称:2MeαN-αNPhA)の合成方法について詳しく説明する。2MeαN-αNPhAの構造式を以下に示す。
【0336】
【0337】
200mL3口フラスコに2-クロロ-9-(1-ナフチル)-10-フェニルアントラセン1.4g(3.4mmol)、4-メチル-1-ナフチルボロン酸0.77g(4.1mmol)、ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン0.13g(0.36mmol)、リン酸三カリウム2.2g(10mmol)、tert-ブチルアルコール0.79g(11mmol)、ジエチレングリコールジメチルエーテル17mLを加え、減圧下で攪拌する事で脱気した。この混合物に、酢酸パラジウム(II)41mg(0.18mmol)を加え、窒素気流下、130℃で6時間攪拌した。撹拌後、得られた混合物に水を加え、水層をトルエンにより抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。この混合物を濾過し、濾液を濃縮した。この溶液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:ヘキサン=1:9)で精製し、さらに酢酸エチルにより再結晶したところ、目的物の白色粉末を収量1.1g、収率64%で得た。本参考例における合成スキームを以下に示す。
【0338】
【0339】
得られた白色粉末1.1gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は、圧力3.4Pa、アルゴン流量5.0mL/min、加熱温度240℃で16時間行った。昇華精製後、黄色粉末を1.0g、回収率88%で得た。
【0340】
得られた黄色粉末の核磁気共鳴分光法(1H-NMR)による分析結果を以下に示す。この結果から、2MeαN-αNPhAが得られたことがわかった。
【0341】
1H NMR(CD2Cl2,300MHz):δ=2.64(s、3H)、7.17-7.52(m、12H)、7.57-7.70(m、7H)、8.85(d、J=8.7Hz、2H)、7.84(dd、J=7.8Hz、1.5Hz、1H)、7.96-8.01(m、3H)。
【0342】
<参考例2>
本参考例では、実施例で比較例として使用した有機化合物である9-(4-メチル-1-ナフチル)-2-(1-ナフチル)-10-フェニルアントラセン(略称:2αN-MeαNPhA)の合成方法について詳しく説明する。2αN-MeαNPhAの構造式を以下に示す。
【0343】
【0344】
200mL3口フラスコに2-クロロ-9-(4-メチル-1-ナフチル)-10-フェニルアントラセン2.4g(5.6mmol)、1-ナフタレンボロン酸1.7g(10mmol)、ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン0.20g(0.56mmol)、リン酸三カリウム3.6g(17mmol)、tert-ブチルアルコール1.2g(17mmol)を加え、フラスコ内を窒素置換した。この混合物にジエチレングリコールジメチルエーテル28mLを加え、減圧下で攪拌する事で脱気した。この混合物に、酢酸パラジウム(II)63mg(0.28mmol)を加え、窒素気流下、130℃で3時間攪拌した。
【0345】
撹拌後、この混合物に水を加え、吸引濾過して得た固体をトルエンに溶解し、セライト・アルミナ・フロリジールを通して吸引濾過した。得られたろ液を濃縮して得た固体を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製し、さらにトルエンで再結晶したところ、目的物の淡黄色固体を収量2.2g、収率74%で得た。本参考例における合成スキームを以下に示す。
【0346】
【0347】
得られた淡黄色固体0.95gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は、圧力3.6Pa、アルゴン流量5.0mL/min、加熱温度230℃で行った。昇華精製後、白色粉末を0.85g、回収率89%で得た。
【0348】
得られた黄色粉末の核磁気共鳴分光法(1H-NMR)による分析結果を以下に示す。この結果から、2αN-MeαNPhAが得られたことがわかった。
【0349】
1H NMR(DMSO-d6,300MHz):δ=2.76(s,3H),7.12(d,J=7.5Hz,1H)、7.23(t,J=6.9Hz,1H)、7.29-7.76(m,19H)、7.80(d,J=8.7Hz,1H)、7.86(d,J=8.1Hz,1H)、7.91(d,J=8.1Hz,1H)、8.15(d,J=8.1Hz,1H)。
【0350】
<参考例3>
本参考例では、実施例で比較例として使用した有機化合物である2-(1-ナフチル)-10-フェニル-9-(5-フェニル-1-ナフチル)アントラセン(略称:2αN-PαNPhA)の合成方法について詳しく説明する。2αN-PαNPhAの構造式を以下に示す。
【0351】
【0352】
50mL3口フラスコに2-クロロ-10-フェニル-9-(5-フェニル-1-ナフチル)アントラセン0.69g(1.4mmol)、1-ナフタレンボロン酸0.48g(2.8mmol)、ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン50mg(0.14mmol)、リン酸三カリウム0.89g(4.2mmol)、tert-ブチルアルコール0.31g(4.2mmol)を加え、フラスコ内を窒素置換した。この混合物にジエチレングリコールジメチルエーテル7.0mLを加え、減圧下で攪拌する事で脱気した。この混合物に、酢酸パラジウム(II)16mg(0.070mmol)を加え、窒素気流下、130℃で4時間攪拌した。
【0353】
撹拌後、この混合物に水を加え、吸引濾過して得た固体をトルエンに溶解し、セライト・アルミナ・フロリジールを通して吸引濾過した。得られたろ液を濃縮して得た固体を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製し、さらにトルエンで再結晶したところ、目的物の淡黄色固体を収量0.65g、収率79%で得た。本参考例における合成スキームを以下に示す。
【0354】
【0355】
得られた淡黄色固体0.65gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は、圧力3.6Pa、アルゴン流量5.0mL/min、加熱温度250℃で行った。昇華精製後、淡黄色固体を0.56g、回収率86%で得た。
【0356】
得られた淡黄色固体の核磁気共鳴分光法(1H-NMR)による分析結果を以下に示す。この結果から、2αN-PαNPhAが得られたことがわかった。
【0357】
1H NMR(DMSO-d6,300MHz):δ=7.10(d,J=7.5Hz,1H)、7.25(t,J=7.5Hz,1H)、7.34-7.97(m,28H)。
【0358】
<参考例4>
本参考例では、実施例で比較例として使用した有機化合物である9-(1-ナフチル)-10-フェニル-2-(5-トリメチルシリル-1-ナフチル)アントラセン(略称:2TMSαN-αNPhA)の合成方法について詳しく説明する。2TMSαN-αNPhAの構造式を以下に示す。
【0359】
【0360】
200mL3口フラスコに2-クロロ-9-(1-ナフチル)-10-フェニルアントラセン1.2g(3.0mmol)、2-(5-トリメチルシリル-1-ナフチル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン1.2g(3.6mmol)、ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン0.11g(0.30mmol)、リン酸三カリウム1.9g(9.1mmol)、tert-ブチルアルコール0.71g(9.5mmol)、ジエチレングリコールジメチルエーテル15mLを加え、減圧下で攪拌する事で脱気した。この混合物に、酢酸パラジウム(II)38mg(0.18mmol)を加え、窒素気流下、130℃で4時間攪拌した。撹拌後、得られた混合物に水を加え、水層をトルエンにより抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。この混合物を濾過し、濾液を濃縮した。この溶液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:ヘキサン=1:4)で精製し油状物を得た。得られた油状物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で精製し、油状物を得た。得られた油状物にメタノールを加え析出した固体を回収したところ、目的物の白色粉末を収量1.1g、収率62%で得た。本参考例における合成スキームを以下に示す。
【0361】
【0362】
得られた白色粉末0.73gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は、圧力3.5Pa、アルゴン流量5.0mL/min、加熱温度230℃で18時間行った。昇華精製後、淡黄色粉末を0.60g、回収率82%で得た。
【0363】
得られた黄色粉末の核磁気共鳴分光法(1H-NMR)による分析結果を以下に示す。この結果から、2TMSαN-αNPhAが得られたことがわかった。
【0364】
1H NMR(CD2Cl2,300MHz):δ=0.42(s、9H)、7.14-7.52(m、11H)、7.57-7.72(m、8H)、7.78(d、J=8.7Hz、2H)、7.85(dd、J=8.7Hz、1.2Hz、1H)、7.95-8.03(m、3H)。
【0365】
<参考例5>
本参考例では、実施例で比較例として使用した有機化合物である2-(1-ナフチル)-10-フェニル-9-(5-トリメチルシリル-1-ナフチル)アントラセン(略称:2αN-TMSαNPhA)の合成方法について詳しく説明する。2αN-TMSαNPhAの構造式を以下に示す。
【0366】
【0367】
300mLナスフラスコに2-クロロ-9-(1-ナフチル)-10-フェニルアントラセン1.2g(2.5mmol)、ナフタレン-1-ボロン酸0.86g(5.0mmol)、ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン90mg(0.25mmol)、リン酸三カリウム1.6g(7.5mmol)、tert-ブチルアルコール0.56g(7.5mmol)を加え、フラスコ内を窒素置換した。この混合物にジエチレングリコールジメチルエーテル12mLを加え、減圧下で攪拌する事で脱気した。この混合物に、酢酸パラジウム(II)28mg(0.13mmol)を加え、窒素気流下、130℃で6時間攪拌した。
【0368】
撹拌後、この混合物に水を加え、この混合物の水層をトルエンにより抽出し、抽出溶液と有機層を合わせて、飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥し、この混合物を自然ろ過した。得られたろ液を濃縮して得た固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:トルエン=5:1)で精製したところ、固体を得た。得られた固体を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製し、さらにヘキサン/トルエンで再結晶したところ、目的物の淡黄色固体を収量1.2g、収率81%で得た。本参考例における合成スキームを以下に示す。
【0369】
【0370】
得られた淡黄色固体1.2gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は、圧力3.6Pa、アルゴン流量5.0mL/min、加熱温度240℃で行った。昇華精製後、白色固体を1.1g、回収率93%で得た。
【0371】
得られた淡黄色固体の核磁気共鳴分光法(1H-NMR)による分析結果を以下に示す。この結果から、2αN-TMSαNPhAが得られたことがわかった。
【0372】
1H NMR(DMSO-d6,300MHz):δ=0.48(s,9H)、7.12-7.19(m,2H)、7.26-7.46(m,8H)、7.53-7.87(m,14H)、8.23(d,J=8.1Hz,1H)。
【0373】
<参考例6>
本参考例では、実施例で比較例として使用した有機化合物である2-(1-ナフチル)-9-(2-ナフチル)-10-フェニルアントラセン(略称:2αN-βNPhA)の合成方法について詳しく説明する。2αN-βNPhAの構造式を以下に示す。
【0374】
【0375】
200mLナスフラスコに2-クロロ-9-(2-ナフチル)-10-フェニルアントラセン2.1g(5.0mmol)、1-ナフチルボロン酸1.3g(7.3mmol)、ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン0.36g(1.0mmol)、リン酸三カリウム3.2g(15mmol)、tert-ブチルアルコール1.1g(15mmol)を加え、フラスコ内を窒素置換した。この混合物にジエチレングリコールジメチルエーテル25mLを加え、減圧下で攪拌する事で脱気した。この混合物に、酢酸パラジウム(II)0.11g(0.50mmol)を加え、窒素気流下、130℃で10時間攪拌した。
【0376】
撹拌後、この混合物にトルエンを加え、吸引濾過し、得られたろ液を濃縮した。得られた溶液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:トルエン=4:1)で精製し、油状物を得た。得られた油状物を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製し、さらに酢酸エチルとヘキサンの混合溶媒で再結晶したところ、目的物の淡黄色固体を収量1.0g、収率40%で得た。
【0377】
【0378】
得られた淡黄色固体1.0gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は、圧力3.6Pa、アルゴン流量5.0mL/minの条件で、淡黄色固体を230℃で加熱して行った。昇華精製後、白色固体を0.84g、回収率84%で得た。
【0379】
得られた白色固体の核磁気共鳴分光法(1H-NMR)による分析結果を以下に示す。この結果から、2αN-βNPhAが得られたことがわかった。
【0380】
1H NMR(DMSO-d6,300MHz):δ=7.39-7.78(m,19H)、7.86-7.96(m,3H)、8.00-8.05(m,2H)、8.12-8.15(m,2H)。
【0381】
<参考例7>
本参考例では、実施例で比較例として使用した有機化合物である9-(1-ナフチル)-2-(2-ナフチル)-10-フェニルアントラセン(略称:2βN-αNPhA)の合成方法について詳しく説明する。2βN-αNPhAの構造式を以下に示す。
【0382】
【0383】
200mLナスフラスコに2-クロロ-9-(1-ナフチル)-10-フェニルアントラセン1.4g(3.3mmol)、2-ナフチルボロン酸1.1g(6.6mmol)、ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン0.12g(0.34mmol)、リン酸三カリウム2.1g(10mmol)、tert-ブチルアルコール0.74g(10mmol)を加え、フラスコ内を窒素置換した。この混合物にジエチレングリコールジメチルエーテル17mLを加え、減圧下で攪拌する事で脱気した。この混合物に、酢酸パラジウム(II)37mg(0.17mmol)を加え、窒素気流下、130℃で5時間攪拌した。
【0384】
撹拌後、この混合物にトルエンを加え、吸引濾過し、得られたろ液を濃縮した。得られた溶液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:トルエン=2:1)で精製し、さらに酢酸エチル/ヘキサンで再結晶したところ、目的物の淡黄色固体を収量1.3g、収率77%で得た。
【0385】
【0386】
得られた淡黄色固体1.3gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は、圧力3.6Pa、アルゴン流量5.0mL/minの条件で、淡黄色固体を210℃で加熱して行った。昇華精製後、淡黄色固体を1.2g、回収率93%で得た。
【0387】
得られた淡黄色固体の核磁気共鳴分光法(1H-NMR)による分析結果を以下に示す。この結果から、2βN-αNPhAが得られたことがわかった。
【0388】
1H NMR(DMSO-d6,300MHz):δ=7.04(d,J=8.4Hz,1H)、7.29-7.94(m,22H)、7.97(s,1H)、8.15(d,J=8.1Hz,1H)、8.23(d,J=8.1Hz,1H)。
【符号の説明】
【0389】
101:第1の電極、102:第2の電極、103:EL層、111:正孔注入層、112:正孔輸送層、112-1:第1の正孔輸送層、112-2:第2の正孔輸送層、113:発光層、114:電子輸送層、115:電子注入層、116:電荷発生層、117:P型層、118:電子リレー層、119:電子注入バッファ層、400:基板、401:第1の電極、403:EL層、404:第2の電極、405:シール材、406:シール材、407:封止基板、412:パッド、420:ICチップ、501:第1の電極、502:第2の電極、511:第1の発光ユニット、512:第2の発光ユニット、513:電荷発生層、601:駆動回路部(ソース線駆動回路)、602:画素部、603:駆動回路部(ゲート線駆動回路)、604:封止基板、605:シール材、607:空間、608:配線、609:FPC(フレキシブルプリントサーキット)、610:素子基板、611:スイッチング用FET、612:電流制御用FET、613:第1の電極、614:絶縁物、616:EL層、617:第2の電極、618:発光デバイス、951:基板、952:電極、953:絶縁層、954:隔壁層、955:EL層、956:電極、1001:基板、1002:下地絶縁膜、1003:ゲート絶縁膜、1006:ゲート電極、1007:ゲート電極、1008:ゲート電極、1020:第1の層間絶縁膜、1021:第2の層間絶縁膜、1022:電極、1024W:陽極、1024R:陽極、1024G:陽極、1024B:陽極、1025:隔壁、1028:EL層、1029:第2の電極、1031:封止基板、1032:シール材、1033:透明な基材、1034R:赤色の着色層、1034G:緑色の着色層、1034B:青色の着色層、1035:ブラックマトリクス、1037:第3の層間絶縁膜、1040:画素部、1041:駆動回路部、1042:周辺部、2001:筐体、2002:光源、2100:ロボット、2110:演算装置、2101:照度センサ、2102:マイクロフォン、2103:上部カメラ、2104:スピーカ、2105:ディスプレイ、2106:下部カメラ、2107:障害物センサ、2108:移動機構、3001:照明装置、5000:筐体、5001:表示部、5002:表示部、5003:スピーカ、5004:LEDランプ、5006:接続端子、5007:センサ、5008:マイクロフォン、5012:支持部、5013:イヤホン、5100:掃除ロボット、5101:ディスプレイ、5102:カメラ、5103:ブラシ、5104:操作ボタン、5150:携帯情報端末、5151:筐体、5152:表示領域、5153:屈曲部、5120:ゴミ、5200:表示領域、5201:表示領域、5202:表示領域、5203:表示領域、7101:筐体、7103:表示部、7105:スタンド、7107:表示部、7109:操作キー、7110:リモコン操作機、7201:本体、7202:筐体、7203:表示部、7204:キーボード、7205:外部接続ポート、7206:ポインティングデバイス、7210:第2の表示部、7401:筐体、7402:表示部、7403:操作ボタン、7404:外部接続ポート、7405:スピーカ、7406:マイク、9310:携帯情報端末、9311:表示パネル、9313:ヒンジ、9315:筐体