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特許7482105包装材料のウェブに画像を提供するためのレーザアブレーションマーキングシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】包装材料のウェブに画像を提供するためのレーザアブレーションマーキングシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20240502BHJP
【FI】
B23K26/00 B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021500180
(86)(22)【出願日】2019-07-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 EP2019068137
(87)【国際公開番号】W WO2020008047
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-06-29
(31)【優先権主張番号】18181913.7
(32)【優先日】2018-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
【住所又は居所原語表記】70 Avenue General Guisan,CH-1009 Pully,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【弁理士】
【氏名又は名称】井戸川 義信
(72)【発明者】
【氏名】ラース・ベルホルツ
(72)【発明者】
【氏名】パオロ・スカラベッリ
(72)【発明者】
【氏名】ラース・パルム
(72)【発明者】
【氏名】ジャン パオロ・メロニ
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-101228(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0114083(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0206739(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0057637(US,A1)
【文献】特開2000-102886(JP,A)
【文献】特開平11-058665(JP,A)
【文献】特開2002-346633(JP,A)
【文献】特開2003-340578(JP,A)
【文献】国際公開第2017/110121(WO,A1)
【文献】特開2003-251937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装材料(3)のウェブ(1)に画像(10)を提供するためのレーザアブレーションマーキングシステム(100、100’)であって、
包装材料(3)の前記ウェブ(1)の横方向(CD)に配置された複数の個別に制御可能な光出力(112)を含む少なくとも1つのレーザ(117)を有する少なくとも1つのマーキングデバイス(110、110’)であって、各光出力(112)が、少なくとも60Wのパワー出力を有し、レーザアブレーションを提供するために光を放出するように構成される、少なくとも1つのマーキングデバイス(110、110’)と、
前記マーキングデバイス(110、110’)に接続されたコントローラ(120)であって、前記放出光が常に包装材料(3)の前記ウェブ(1)に同じ角度で当たるように包装材料(3)の前記ウェブ(1)の速度に基づいて前記光出力(112)を制御するように構成されたコントローラ(120)と
を含み、
前記複数の光出力(112)が、線形アレイ状に配置され、
前記線形アレイが、包装材料(3)の前記ウェブ(1)の移動方向に垂直な方向に延在し、
前記コントローラ(120)が、前記マーキングデバイス(110、110’)をパルス駆動式に起動するように構成される、
レーザアブレーションマーキングシステム(100、100’)。
【請求項2】
各光出力(112)が、60~1000Wの範囲(60~500Wなど)のパワー出力を有する、請求項1に記載のマーキングシステム。
【請求項3】
包装材料(3)の前記ウェブ(1)上にコーティングエリア(14)を提供するように構成された少なくとも1つのコーティングデバイス(130)をさらに含む、請求項1又は2に記載のマーキングシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのコーティングデバイス(130)が、前記少なくとも1つのマーキングデバイス(110、110’)の上流に配置される、請求項3に記載のマーキングシステム。
【請求項5】
光出力(112)の数が、15を超えるもの、好ましくは、20を超えるものである、請求項1~のいずれか一項に記載のマーキングシステム。
【請求項6】
各光出力(112)が、レーザビームを射出できる先端部(116)を有する光ファイバ(114)に接続される、請求項1~のいずれか一項に記載のマーキングシステム。
【請求項7】
出力レーザビームの寸法が、包装材料(3)の前記ウェブ(1)に当たる際は、1mm2以下である、請求項1~のいずれか一項に記載のマーキングシステム。
【請求項8】
各パルスに対し、前記複数の光出力(112)が個別に制御される、請求項に記載のマーキングシステム。
【請求項9】
前記コントローラ(120)が、光を放出するか否かの二進数形式で各光出力(112)を制御するように構成される、請求項1~のいずれか一項に記載のマーキングシステム。
【請求項10】
前記コントローラ(120)が、包装材料(3)の前記ウェブ(1)上のコーティングエリア(14)に配置されたコーティング物質の選択部分をアブレーションするように前記マーキングデバイス(110、110’)を制御するように構成される、請求項1~のいずれか一項に記載のマーキングシステム。
【請求項11】
前記コントローラ(120)が、前記選択部分のコーティング物質の層全体をアブレーションするように前記マーキングデバイス(110、110’)を制御するように構成される、請求項1に記載のマーキングデバイス。
【請求項12】
前記コントローラ(120)が、前記選択部分のコーティング物質の層の一部のみをアブレーションするように前記マーキングデバイス(110、110’)を制御するように構成される、請求項1に記載のマーキングデバイス。
【請求項13】
包装材料(3)のウェブ(1)に画像(10)を提供するための方法であって、
少なくとも1つのレーザ(117)と、前記少なくとも1つのレーザ(117)に接続された複数の個別に制御可能な光出力(112)とを有する少なくとも1つのマーキングデバイス(110、110’)を提供するステップであって、各光出力(112)が、レーザアブレーションを提供するために少なくとも60Wのパワー出力を有する光を放出するように構成される、ステップと、
前記マーキングデバイス(110、110’)に接続され、包装材料(3)の前記ウェブ(1)の速度に基づいて前記光出力(112)を制御するように構成されたコントローラ(120)を提供するステップと、
前記放出光が常に包装材料(3)の前記ウェブ(1)に同じ角度で当たるように包装材料(3)の前記ウェブ(1)上のコーティングエリア(14)に配置されたコーティング物質の選択部分をアブレーションするために、光を放出するように前記光出力(112)の少なくとも1つを制御するステップと
を含み、
前記複数の光出力(112)が、線形アレイ状に配置され、
前記線形アレイが、包装材料(3)の前記ウェブ(1)の移動方向に垂直な方向に延在し、
前記コントローラ(120)が、前記マーキングデバイス(110、110’)をパルス駆動式に起動するように構成される、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材料などのウェブベースの材料用のマーキングシステムに関する。具体的には、本発明は、包装材料のウェブ上にレーザアブレーションマークを提供するための定置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
包装産業では、特に、液体食品などの中身に対する個々の消費者向けパッケージを生産する場合は、パッケージは、平面包装材料を形成して密封することによって製造される。包装材料は、典型的には、その両面が1つ又は複数の高分子層で覆われているバルク材料のコア層を含むものであり、連続ウェブとして生産される。
【0003】
充填機は、ラミネート加工された包装材料のウェブの一端を受け取り、複数のステーションは、包装材料の必要な処理を連続的に提供する。そのようなステーションは、例えば、個々の使用準備済みのパッケージのフローを提供するために、給送、殺菌、管形成、充填、密封及び切断並びに最終成形を含み得る。
【0004】
包装材料のウェブは、極度に高い速度で動いており、1時間あたり最大で40,000個のパッケージを可能にする機械速度が商業的に利用可能である。また、包装材料のラミネート加工及び生産の間も高速が利用され、それにより、ウェブの速度は、例えば、400m/min以上程度になる。
【0005】
包装材料のウェブの製造や、充填機を通過するウェブの輸送には、高精度の位置制御が必要である。例えば、包装材料の製造は、折り筋、事前切断穴及び印刷パターン(レジスタマーク及び/又は装飾など)を提供するステップを含み得る。特に、印刷ステップは、別個のステップにおいて実行することができ、最終パッケージの外観は、異なる特徴のアライメントに依存することになる。加工工場又は充填機における生産の間の包装材料の位置決めにおける制御不能なばらつきは、様々なタイプの誤差を引き起こす恐れがある。
【0006】
従って、プレラミネート穴と折り筋との間の高精度アライメントを提供するのみならず、折り筋、事前切断穴、外部のデバイス(キャップ及び同様のものなど)に対する印刷パターン並びに以前の印刷パターンに対する印刷パターンの高精度アライメントを提供することが望ましい。
【0007】
さらに、包装材料のウェブに一意の情報を追加することが望ましい。そのような情報は、例えば、トレーサビリティ及び/又は認証目的のための製造日、加工工場などに関連し得る。情報は、例えば、コード化フォーマットで提供することや、文字又は画像を使用することができる。
【0008】
また、加工時の誤差及び/又は偏差を追跡するために、一意のコードを使用することもでき、そのようなマークにより、欠陥除去をさらに容易にすることができる。
【0009】
従って、異なる目的のため(すなわち、一意の情報を提供するため又は位置決めのための参照マークを提供するため)に包装材料のマーキングを実行することができる。従って、参照マークを読み取ることにより、包装材料のウェブの位置を調整すること(特に、幅方向若しくは横方向において)又は符号化情報を読み取ることが可能になる。従って、オフセット印刷などの連続印刷技法によって行われる後続の印刷は、参照マークに対して延いては包装材料に追加された他の特徴に対して、正しく位置付けることができる。
【0010】
パッケージ上にマークを提供するためのシステムの1つは、国際公開第2016166379号パンフレットで開示されている。このシステムでは、印刷される画像は、2つ以上の部分に分割され、レーザは、パッケージ上に対応するマークを形成するために、画像部分の少なくとも1つをアブレーションするように構成される。任意選択により、画像のそれぞれの部分をアブレーションするために、いくつかのレーザが提供される。
【0011】
各レーザは、x-y方向にレーザビームを方向転換するように動かすことができる2つの鏡を有する光学系を通じて光を放出する。従って、パッケージがレーザを通過する際、可動鏡は、画像部分に対応する二次元アブレーションマークの提供を支援する。
【0012】
上記で説明されるシステムは、2つの主要な欠点に悩まされる。第1に、鏡の可動性が制限されるため、アブレーションマークの幅方向又は横方向寸法を拡張するために、いくつかのレーザ及び関連鏡が提供される。
【0013】
第2に、高速用途の場合、鏡を物理的に動かすのに時間を要することが原因でアブレーション湾曲が起こるため、鏡の制御が事実上不可能になる。すなわち、鏡を動かすのに必要な時間の間、パッケージは、給送方向に移動しており、それにより、パッケージの横方向に対してマークが傾くことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、上記で特定された先行技術の制限のうちの1つ又は複数を少なくとも部分的に克服することである。具体的には、目的は、400m/min以上などの超高速で動いている包装材料のウェブ上に一意のレーザアブレーションマークを高精度で提供することが可能なシステム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
これらの目的を解決するため、包装材料のウェブに画像を提供するためのレーザアブレーションマーキングシステムが提供される。マーキングシステムは、包装材料のウェブの横方向に配置された複数の個別に制御可能な光出力を含む少なくとも1つのレーザを有する少なくとも1つのマーキングデバイスを含む。各光出力は、レーザアブレーションを提供するために光を放出することが可能であり、放出光のパワーは、この目的のため、60W以上(100W以上など又は200W以上など)の範囲である。レーザアブレーションマーキングシステムは、マーキングデバイスに接続されたコントローラであって、放出光が常に包装材料のウェブに同じ角度で当たるように包装材料のウェブの速度に基づいて光出力を制御するように構成されたコントローラをさらに含む。
【0016】
実施形態では、各光出力からの放出光のパワーは、60~1000Wの範囲(60~500Wなど)である。
【0017】
マーキングシステムは、包装材料のウェブ上にコーティングエリアを提供するように構成された少なくとも1つのコーティングデバイスをさらに含み得る。
【0018】
少なくとも1つのコーティングデバイスは、少なくとも1つのマーキングデバイスの上流に配置することができる。
【0019】
複数の光出力は、線形アレイ状に配置することができる。
【0020】
線形アレイは、包装材料のウェブの移動方向に垂直な方向に延在することができる。
【0021】
光出力の数は、10を超えるもの(15を超えるもの、好ましくは、20を超えるものなど)であり得る。
【0022】
各光出力は、レーザビームを射出できる先端部を有する光ファイバに接続することができる。
【0023】
出力レーザビームの寸法は、包装材料のウェブに当たる際は、1mm以下であり得る。
【0024】
コントローラは、マーキングデバイスをパルス駆動式に起動するように構成することができる。
【0025】
各パルスに対し、複数の光出力は、個別に制御することができる。
【0026】
コントローラは、光を放出するか否かの二進数形式で各光出力を制御するように構成することができる。
【0027】
コントローラは、包装材料の上記ウェブ上のコーティングエリアに配置されたコーティング物質の選択部分を除去又はアブレーションするようにマーキングデバイスを制御するように構成することができる。
【0028】
コントローラは、上記選択部分のコーティング物質の層全体をアブレーションするようにマーキングデバイスを制御するように構成することができる。
【0029】
コントローラは、上記選択部分のコーティング物質の層の一部のみをアブレーションするようにマーキングデバイスを制御するように構成することができる。
【0030】
ウェブは、ウェブの縦方向に一定の速度で移動している(すなわち、前方に連続移動している)。
【0031】
第2の態様によれば、包装材料のウェブに画像をレーザアブレーションするための方法が提供される。方法は、i)少なくとも1つのレーザと、上記少なくとも1つのレーザに接続された複数の個別に制御可能な光出力とを有する少なくとも1つのマーキングデバイスを提供するステップであって、各光出力が、レーザアブレーションを提供するために光を放出することが可能であり、放出光のパワーが、この目的のため、60W以上の範囲である、ステップと、ii)マーキングデバイスに接続され、包装材料のウェブの速度に基づいて光出力を制御するように構成されたコントローラを提供するステップと、iii)放出光が常に包装材料のウェブに同じ角度で当たるように包装材料の上記ウェブ上のコーティングエリアに配置されたコーティング物質の選択部分をアブレーションするために、光を放出するように光出力の少なくとも1つを制御するステップとを含む。
【0032】
本発明のさらなる他の目的、特徴、態様及び利点は、以下の詳細な説明及び図面で見られる。
【0033】
ここでは、添付の概略図面を参照して、例として、本発明の実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】ウェブの一部を形成する包装材料の上面図である。
図2】実施形態による方法を概略的に示す。
図3】実施形態によるレーザアブレーションマーキングシステムの概略図である。
図4図3に示されるレーザアブレーションマーキングシステムで使用するためのマーキングデバイスの概略図である。
図5a】レーザアブレーションマーキング後の包装材料の断面図である。
図5b図3に示されるレーザアブレーションマーキングシステムによって提供されるマークの第1の例を示す。
図5c図3に示されるレーザアブレーションマーキングシステムによって提供されるマークの第2の例を示す。
図6a-b】マーキングデバイスの部分の概略図である。
図7】別の実施形態によるレーザアブレーションマーキングシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1では、包装材料3のウェブ1の部分が示されている。包装材料3には、個々のパッケージの形成を容易にするためのいくつかの特徴が提供される。そのような特徴は、例えば、折り筋5、プレラミネート穴7及び1つ又は複数のレーザアブレーションマーク10を含み得る。図1に見られるように、包装材料3の製造の間、ウェブ1は、いくつかのセグメント12a~c、13a~cに対応するように寸法調整され、それにより、各セグメント12a~c、13a~cは、単一のパッケージを生産するように寸法調整される。セグメントは、縦方向(流れ方向)MDと横方向CDの両方に順に配置される。好ましくは、セグメント12a~c、13a~cには、図3にさらに示されるように、折り筋を付ける間の振動及び包装材料のウェブの幅にわたる回転式クリーシングツールのよりスムーズな動作を可能にする間の振動を低減するために、横方向CDにずれを持たせる。
【0036】
マーク10は、上記で説明されるように、様々な目的のために提供することができる。マーク10は、例えば、包装材料の今後の処理のための参照マークを形成することや、トレーサビリティ又は認証のために読み取って使用することができるある種の情報を含むことができる。
【0037】
包装材料3は、好ましくは、加工施設で製造され、紙ベースの材料のコア層は、その両面が1つ又は複数の高分子層でラミネート加工される。典型的には、包装材料3は、コア材料層、外層及び内層を含む。
【0038】
コア材料層の一方の面に貼付される外層は、生産されるパッケージの外面を提供するように適応させ、外面及び外層は、パッケージの周囲に面する。内層は、コア材料層の他方の面に貼付され、生産されるパッケージの内面を提供するように適応させ、内面及び内層は、パッケージに入った製品と接触する。
【0039】
コア材料は、包装材料3に剛性を提供するためのシートであってもよく、好ましくは、板紙又はボール紙などの材料で作られているものであってもよい
【0040】
外層は、高分子材料の少なくとも1つの層を含み得、ラミネート加工プロセスにおいてコア材料層に貼付される。その上、外層を構成する層のうちの1つは、形成されるパッケージの外観を構成する装飾層であり得る。コア材料層に外層をラミネート加工するプロセスは、好ましくは、ラミネート加工された包装材料の生産のための製造ラインにおいてなど、マーク10が包装材料3に追加された後に実行される。或いは、レーザがコーティング済みの層にマークをアブレーションする動作は、包装材料のラミネート加工及び製造の後に(例えば、充填機において)行うことができる。
【0041】
ラミネート加工された包装材料の内側部分(反対側のコア層の内側)は、高分子材料の少なくとも1つの層を含んでもよい。完成パッケージの内側用の包装材料の内側部分は、例えば、(コア材料層から始めて)ラミネート加工層、ガス(酸素ガスなど)に対するバリアとして機能する保護層(アルミホイルなど)及び密封層を含んでもよい。ラミネート加工層は、貼付された任意の保護層にコア材料が接着できるようにし、密封層は、パッケージヒートシールを可能にする。
【0042】
包装材料3の高分子層は、適切ないかなるタイプの高分子材料でもあってもよく、好ましくは、熱可塑性材料(ポリエチレンなどのポリオレフィン)であってもよい
【0043】
包装材料3にレーザアブレーションマークを提供するために使用されるマーキングシステムの詳細を説明する前に、図2を参照して、方法20について簡単に説明する。レーザアブレーションマーク10を包装材料3に追加する際、多くの後続のステップが実行される。ステップ21から始まり、所望のマークの場所にコーティングエリアが配置されるように、包装材料3がコーティングされる。コーティングは、例えば、印刷によって遂行することができる。形成されるマークがコーティングエリアの外側境界内に収まる限り、コーティングエリアの具体的な寸法は、それほど重要ではない。
【0044】
エリアがコーティングされると、ステップ22においてマーキングデバイスが起動される。マーキングデバイス(以下でさらに説明するような個別に制御可能な複数の出力を有するレーザデバイスである)は、起動され次第、マークの意図される位置に関連するデータ及び意図されるパターンに関連するデータを受信する。作成されるマークの位置は、好ましくは、1つ又は複数の折り筋パターン及び包装材料の残りの印刷デザインと一致する。特定の時刻に複数の出力のうちの1つ又は複数を起動するためにマーキングデバイスを制御するステップ(すなわち、動作パラメータを設定するステップ)は、ステップ23において実行される。動作の際(すなわち、設定制御スキームに従ってマーキングデバイスが光を放出している際)、放出光は、コーティングエリアのコーティング物質をアブレーションし、それにより、下層のコア材料層が露出する。従って、コーティングエリア(すなわち、コーティングされたものの非露出部分は)とコア材料層(すなわち、コーティングエリアのアブレーション部分)との間のコントラストにより、光学手段(カメラ、スキャナ又は人間の目など)によって読み取ることができるパターンが生じる。
【0045】
従って、光を放出するようにマーキングデバイスを動作するこのステップ延いてはコーティングエリアの選択部分をアブレーションするステップにより、包装材料3上にマーク10を提供するステップ24が形成される。
【0046】
上記で説明される方法は、高速用途に適しており、依然として、アブレーションマークの優れた正確度及び高分解能を維持する。マーキングデバイスは、例えば、包装材料のウェブの横方向に配置された少なくとも10個の個別に制御可能な出力を有してもよく、各出力は、移動する包装材料に対して定置されている。
【0047】
従って、レーザアブレーションマーキングシステムの動作の間、ウェブは、ウェブの縦方向に一定の速度で移動している(すなわち、前方に連続移動している)。ウェブ移動速度は、300m/min以上(400m/min以上、600m/minなど)であり得る。ウェブ速度が大きいほど、レーザ光源から必要な光出力パワーは大きくなる。
【0048】
現代の生産施設において典型的に必要とされる通りに高速のレーザアブレーションを実行するため、高パワーの光出力が必要である。以下でさらに説明するように、包装材料仕様、製造条件などに応じて、少なくとも60W(60~1000Wの範囲など(60~500Wなど))のパワーを有する光を放出するように各光出力を構成しなければならないことが証明されている。
【0049】
レーザアブレーションマーキングシステム100の例は、図3に示されている。レーザアブレーションマーキングシステム100は、図3の矢印によって示される縦方向MDに前方に向けて給送される包装材料3のウェブ1と連動して動作するように構成される。重要なことには、この構成により、レーザアブレーションマーキングシステム100を既存の加工ステーションに合わせることができ、加工ステーションは、典型的には、ラミネート加工によってコア材料層(板紙又はカートン用板紙など)を包装材料3に加工するものである。好ましくは、レーザアブレーションマーキングシステム100は、コア材料層上に外層を提供するために使用されるラミネート加工ステーションの上流に提供される。
【0050】
レーザアブレーションマーキングシステム100の目的は、包装材料3上に1つ又は複数のレーザアブレーションマーク10を提供することである。この目的は、1つ又は複数のマーキングデバイス110によって達成され、各マーキングデバイス110は、コントローラ120に接続される。
【0051】
各マーキングデバイス110は、周辺機器に対して固定位置に配置される。これは、各マーキングデバイス110が、マーキングシステム100を通過して給送される包装材料3のウェブに対しても(すなわち、横方向において)固定位置を有することを意味する。従って、レーザアブレーションマーキングは、インクジェット印刷などの従来の印刷技法と比べて、特に、QRコード又はバーコードなどのコード及び同様のものの基板のマーキングの効率的な方法を可能にする。
【0052】
図3に見られるように、包装材料3のウェブは、ウェブ1の全幅が2つのパッケージを形成するために必要な幅に対応するように寸法調整される。セグメント12a~eは、長手方向に位置合わせされ、セグメント13a~eは、長手方向に位置合わせされ、セグメント12a~eに隣接して配置される。この構成は、加工の間のスループットを増加するために適用され、セグメント13a~eは、通常、充填機に包装材料3を給送する前に、長手方向の切断動作によってセグメント12a~eから切り離される。既に説明した通り、各セグメント12a~e、13a~eは、1つのパッケージを形成するように設計される。
【0053】
包装材料3のウェブ1が前方に移動すると、各マーキングデバイス110は、包装材料3上に配置されたコーティングエリア14に光学パターンをアブレーションするために起動される。各パッケージがマーク10を有するように意図されている場合は、各セグメント12a~e、13a~eにコーティングエリア14が提供される。図3では、コーティングエリア14は、コーティングデバイス130によって作られる。各コーティングデバイス130は、コーティング物質をアブレーションして外層でラミネート加工する前に、包装材料3上に(好ましくは、コア材料層上に直接)コーティング物質を塗布するように構成される。コーティングデバイス130は、例えば、印刷ローラ又は同様のものとして構成することができる。コーティングエリア14は均質であり且つ完全に覆われたものであるべきであるため、簡単な機器を使用することができる。また、ウェブ1を横切るように延在する単一のデバイスとしてコーティングデバイス130を実装できることも理解し易いはずである。
【0054】
好ましくは、コーティングデバイス130は、コントローラ120によって制御される。コントローラは、例えば、ウェブ速度に関連する入力を受信することができ、それにより、コーティングエリア14がそのそれぞれの所望の位置に位置するように、コーティングデバイス130を相応に制御することができる。
【0055】
エリア14をコーティングするために使用されるコーティング物質は、レーザエネルギーを吸収するとアブレーションすることができる適切ないかなる物質でもあり得る。この要件を満たすため、様々なタイプのインク又はトナーが示されている。具体的には、選択されるコーティング物質は、1μm未満の波長を有する赤外光の比較的高い吸収率を有するべきである。任意選択により、マークを磁気的に検出できるように、コーティング物質には、磁化可能な粒子を提供することができる。そのようなコーティング物質は、例えば、マグネタイトを含み得る。
【0056】
マーキングデバイス110の詳細は、図4に示されている。この例では、マーキングデバイス110は、21個の出力112を有し、各出力112は、レーザ117に結合されている。出力の数は、一般に、包装事業におけるマーキング及び情報保持のために望ましい情報容量を有するために、16個以上(21個以上など)であることが好ましい。従って、各出力は、コントローラ120によって個別に制御可能であり、コントローラ120は、1つ又は複数のレーザドライバ118に接続される。各出力112は、デバイス筐体115から離れるように且つ包装材料3のウェブ1に向けて延在する光ファイバ114にさらに結合される。各ファイバの先端部116では、レーザビームを射出することができ、それにより、レーザビームは、コーティングエリア14の区切り部分に当たり、コーティングエリア14をレーザアブレーションする。この構成に適したマルチ出力マーキングデバイスは、例えば、約850~980nmの波長範囲の一連の発光レーザダイオードを含み得る。コーティング物質の特定の選択に応じて、各レーザダイオードは、少なくとも60Wの光出力を有し、好ましくは、各レーザダイオードは、例えば、5μmの厚さのコーティング物質をアブレーションするために、60~1000Wの範囲の光出力を有し得る。コーティング物質の選択やコーティング物質の厚さの選択が吸収に影響を及ぼし、結果的に、アブレーション特性にも影響を及ぼすことに気付くべきである。
【0057】
レーザダイオードは、好ましくは、コーティング物質によって完全に又は少なくとも大半が吸収される波長で動作するように選択すべきである。それに加えて、下層のコア材料層による放出光の吸収は回避すべきである。
【0058】
従って、各出力112を独自のレーザ117と関連付けることか、又は単一のレーザ117を複数の出力112に結合することができ、各出力112は、個別に制御可能である。
【0059】
先端部116は、好ましくは、図4に示されるように、線形アレイ状に配置され、線形アレイは、包装材料の給送方向に垂直に(すなわち、包装材料の横方向に)延在する。起動されると、各レーザ出力112は、固定方向に光を放出する(レーザビームの動的偏向は提供されないことを意味する)。従って、放出光は、常に、包装材料3のウェブ1に同じ角度で当たる。
【0060】
さらに、各先端部116は、各出力114がコーティングエリア14の区切りエリア又はモジュールのみをアブレーションするように寸法調整される。例えば、各先端部116から放出されるレーザビームの幅は、1mm未満(0.5mm程度など)である。従って、マーキングデバイス110の横方向分解能は、そのような事例では、0.5mmである。モジュールの高さは固定されていないが、包装材料3のウェブ1の速度やマーキングデバイス110の暴露時間によって異なる。レーザビームが0.4mmの一定の幅を有すると想定すると、暴露の間に包装材料のウェブ1が0.1mm移動するように暴露時間を適用することが好ましい場合がある。ウェブ1が400m/minの速度で移動する場合は、暴露時間は、そのような事例では、0.15ms程度になる。従って、提案されるモジュールサイズが0.50.5mmであり、ウェブ速度が400m/minである場合は、マーキングデバイス110のレーザ117は、約0.15msのパルス時間を使用してパルス駆動することができる。しかし、実際には、より均等なアブレーションエリアを提供するために、さらに短いパルス時間を利用することが好ましい場合がある。従って、パルス時間は、例えば、20μsとして選択することができる(上記で言及される例では、1つの連続パルスは、前のパルスの0.15ms後に発生する)。
【0061】
示される例では、マーキングデバイス110は、10.5mmの横幅を有し、全幅は、21個の出力によって定義される。
【0062】
図5aでは、アブレーション後の包装材料3が示されている。図示されるように、コーティング物質30は、コーティングエリア14が形成されるように、コア材料層32上に直接塗布される。好ましくは、コーティングエリア14は暗色であるが、それは、主に、レーザビームのIR吸収を達成することを目的とするが、コア材料層32の表面のはるかに明るい色と比べて高コントラストが達成されるという結果をもたらすためでもある。マーク10は、上記で説明されるように、コーティング物質30に1つ又は複数の凹部34をアブレーションすることによって形成される。凹部34は、必ずしもコア材料層32に至るまで拡張される必要はなく、実際には、一部のコーティング物質30が残存する場合も、十分なコントラストを実現することができる。
【0063】
明らかなことだが、マークのコントラストのレベルは、レーザ光のパワーに依存する。上記で説明されるように、特に、包装材料製造の高速用途の場合、コーティング物質30のロバストアブレーションを達成するため、高パワー光出力(すなわち、>60W)が必要である。比較として、コーティング30から物質をアブレーションするというよりむしろ、色変換可能インクを起動することによって動作する先行技術のレーザマーキングシステムは、本明細書で説明されるレーザアブレーションマーキングシステムの設計及び構成に適合することも、ましてや互換性を有することさえもない。
【0064】
図5b及び5cでは、マーク10の2つの異なる例が示されている。図5bでは、マーク10は、適切なスキャナによって読み取ることができるバーコード50を形成する。図5cでは、マーク10は、QRコード又は同様のものなどの2Dコード60の形態である。両方の例では、マーク10は、正方形の形状である(すなわち、横方向の解像度は縦方向の解像度と等しい(2121画素))。ただし、これは必須ではない。横方向解像度は、レーザ出力112の数によって決定され、縦方向解像度は、包装材料3のウェブ1がマーキングデバイス110を通過する際の連続レーザパルスの数によって決定される。従って、マーク10は、長方形のマークを提供するためなど、他の長手方向における拡張を有し得、従って、コーティングエリア14の寸法によって制限が設定される。
【0065】
図6a及び6bでは、マーキングデバイス110の制御スキームの例が示されている。これらの図では、レーザ出力112は、円で示されており、アクティブな円は、黒色でマーキングされている。ほんの少しの出力112しか参照番号が提供されていないことに留意すべきである。
【0066】
マーキングデバイス110が起動されると(すなわち、包装材料3のウェブ1のコーティングエリア14がマーキングデバイス110を通過すると)、マーキングデバイス110は、それぞれの出力112を通じる光の放出を制御する。重要なことには、出力112は、個別に制御可能である。図6aでは、光を放出するように14個の出力が起動されているが、残りの7個の出力は機能していない。パルス時間は、上記で言及される例によれば、例えば、0.15msである。
【0067】
次のパルスは、第1のパルスの直後に放出され、出力112が相応に制御される。図6bに見られるように、このパルスに対し、出力112の別のセットが光を放出するように起動される。パルスの放出を続けることにより、マークマトリクスは、マーク10全体が包装材料3上に提供されるまで縦方向に拡大する。
【0068】
上記で説明される例は、いくつかの連続レーザパルスを使用するレーザアブレーションマーキングシステムを対象とするが、レーザアブレーションマーキングシステムは、いくつかの実施形態では、包装材料のウェブがマーキングシステム100を通り過ぎる際に、レーザを機能させ続けるか又は光放出モードを維持することによって、中断することなく、すべての線をアブレーションするように構成することができる。
【0069】
これまで、固定位置で包装材料上にマーク10を提供するためのレーザアブレーションマーキングシステム100について説明してきた。しかし、以下から理解されるように、マーキングシステム100は、特に、包装材料3の他の特徴に対するマーク10の正しい位置を保証するために、異なる位置でマーク10を提供するために使用することもできる。
【0070】
図7では、レーザアブレーションマーキングシステム100’の別の例が示されている。レーザアブレーションマーキングシステム100’は、包装材料3の幅全体にわたって延在するマーキングデバイス110’を含む。上記で説明されるマーキングデバイス110の場合は、移動する包装材料3に面する複数の光出力が提供され、各出力の横アライメントは、コントローラ120によって個別に制御可能である。包装材料3のウェブ1には、複数のコーティングエリア14が提供され、示される例では、コーティングエリア14は、各最終パッケージにコーティングエリア14が1つずつ提供されるように分散される。マーキングデバイス110’のパワーレベルは、上記で説明されるマーキングデバイス110と同様であり、すなわち、各光出力は、60~1000Wの範囲(60~500Wなど)で光を放出するように構成される。
【0071】
また、包装材料3には、1つ又は複数の参照マーク140も提供される。参照マーク140は、アブレーションマーク10の正しい位置決めを支援するために提供される。マーキングシステム100’にはセンサ150が含まれており、参照マーク140の位置(特に、幅方向又は横方向位置)を検出する。検出された参照マーク140の位置は、コントローラに送信され、次いで、コントローラは、参照マーク140の位置を既に塗布されているコーティングエリア14の位置と関連付ける。図7に示されるように、コーティングエリア14の寸法は、マーク10の最終寸法と比べて拡張することができる。従って、コントローラ120は、その後、マーク10をその意図される位置に位置付けるため、コーティングエリア14の所望の部分をアブレーションするために起動させるマーキングデバイス110’の出力112のセットを決定することができる。
【0072】
ウェブ1の下流の部分に対し、ウェブ1の左の部分にマーク10を提供するために出力の1つのセット112aが使用され、ウェブ1の右の部分にマーク10を提供するために出力の別のセット112bが使用されることに留意すべきである。出力の各セット112a~b内では、ウェブ1が前方に移動するにつれて拡大マーク10を形成するために、特定の出力がパルス駆動式に起動される。各出力112a~bは、60~500Wの範囲のパワー出力を有する光を放出するように構成される。
【0073】
図7に示されるように、ウェブは、一定の時間が経過した後に右にシフトされる。このシフトは、給送機器の想定外のミスアライメント又は同様のものなど、多くの異なる理由で起こり得る。このシフトが起こった場合は、センサ150は、参照マーク140の異なる幅方向位置を検出し、それにより、コントローラ120は、結果的に、マーキングデバイス110’の出力の新しいセット112c~dを決定し、その結果、マーク10は、参照マーク140に対して正しく位置する。
【0074】
本発明の様々な実施形態について説明し、示してきたが、上記の説明から、本発明は、それらに限定されず、以下の特許請求の範囲で定義される対象物の範囲内で、他の方法でも具体化できるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図7