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特許7482113乳房支持プラットフォームを加熱するための加熱システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】乳房支持プラットフォームを加熱するための加熱システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/04 20060101AFI20240502BHJP
   A61B 6/00 20240101ALI20240502BHJP
【FI】
A61B6/04 509B
A61B6/00 530Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021515474
(86)(22)【出願日】2019-09-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 US2019052251
(87)【国際公開番号】W WO2020061512
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】62/734,748
(32)【優先日】2018-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501214292
【氏名又は名称】ホロジック, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Hologic, Inc.
【住所又は居所原語表記】250 Campus Drive, 01752 Marlborough, MA,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】デフレイタス, ケネス エフ.
(72)【発明者】
【氏名】マイアース, ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】ヘ, シュシェン
(72)【発明者】
【氏名】パテル, ターピット
(72)【発明者】
【氏名】レゴ, アラン
(72)【発明者】
【氏名】ニーレンバーグ, ダニエル
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0247508(US,A1)
【文献】特開2005-349207(JP,A)
【文献】特開2003-157957(JP,A)
【文献】特表2008-534992(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線撮像システムのための乳房支持プラットフォームであって、前記支持プラットフォームは、
圧縮板と、前壁とを備える筐体と、
加熱システムであって、前記加熱システムは、少なくとも部分的に、前記筐体内に配置され、乳房圧縮および撮像プロセス中に、前記圧縮板の少なくとも一部、前記前壁の少なくとも一部、または前記圧縮板および前記前壁の少なくとも一部を加熱するように構成され、前記加熱システムは、前記筐体内に埋設される導体要素を備え、前記圧縮板は、前記導体要素を備える、加熱システムと
を備え、前記加熱システムは、前記筐体の内面に結合された透明伝導フィルムをさらに備える、支持プラットフォーム。
【請求項2】
撮像領域が、前記圧縮板上に画定され、前記加熱システムはさらに、前記撮像領域の外側で、前記圧縮板に直接電気的に結合される1つ以上の電気接点を備える、請求項1に記載の乳房支持プラットフォーム。
【請求項3】
前記筐体はさらに、前記圧縮板および前記前壁の両方に実質的に直交する2つの側壁を備え、前記1つ以上の電気接点は、前記撮像領域の外周境界と対応する側壁との間に配置される、請求項2に記載の乳房支持プラットフォーム。
【請求項4】
前記加熱システムはさらに、前記導体要素と直接電気接触する1つ以上の電気接点を備える、請求項1に記載の乳房支持プラットフォーム。
【請求項5】
前記前壁は、前記導体要素を備える、請求項1に記載の乳房支持プラットフォーム。
【請求項6】
前記加熱システムはさらに、温度センサを備え、前記加熱システムによって発生させられた前記熱は、少なくとも部分的に、前記温度センサによって測定された温度に基づく、請求項1に記載の乳房支持プラットフォーム。
【請求項7】
前記温度センサは、前記圧縮板上に、かつ前記前壁に対向して配置される、請求項6に記載の乳房支持プラットフォーム。
【請求項8】
前記圧縮板の少なくとも一部は、前記導体要素として作用する炭素繊維ベースの材料から形成される、請求項1に記載の乳房支持プラットフォーム。
【請求項9】
前記前壁の少なくとも一部は、前記導体要素として作用する炭素繊維ベースの材料から形成される、請求項5に記載の乳房支持プラットフォーム。
【請求項10】
前記導体要素は、前記圧縮板の少なくとも一部内に編み込まれる、請求項1に記載の乳房支持プラットフォーム。
【請求項11】
前記導体要素は、前記前壁の少なくとも一部内に編み込まれる、請求項5に記載の乳房支持プラットフォーム。
【請求項12】
前記圧縮板の少なくとも一部は、炭素繊維ベースの材料から形成される、請求項1に記載の乳房支持プラットフォーム。
【請求項13】
前記前壁の少なくとも一部は、炭素繊維ベースの材料から形成される、請求項5に記載の乳房支持プラットフォーム。
【請求項14】
前記温度センサは、1つ以上のサーモカップルを備える、請求項6に記載の乳房支持プラットフォーム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、PCT国際特許出願として2019年9月20日に出願されており、本明細書に参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる、2018年9月21日に出願された、米国仮出願第62/734,748号の利益および優先権を主張する。
【0002】
(背景)
マンモグラフィおよびトモシンセシス撮像の間の圧縮は、いくつかの目的を果たす。例えば、これは、(1)X線束の方向において乳房をより薄くし、それによって、圧縮されない乳房のより厚い部分を撮像するために要求されるレベルから患者放射線暴露を低減させ、(2)X線束の方向において乳房の厚さをより均一にし、それによって、乳房画像全体にわたって像面におけるより均一な暴露を促進し、(3)X線暴露の間に乳房を不動化し、それによって、画像ぼけを低減させ、(4)胸壁から撮像暴露野の中に乳房組織を引き出し、したがって、より多くの組織撮像を可能にする。乳房が、圧縮されている際、典型的には、技師が、乳房を操作し、これを適切に位置付け、圧縮が胸壁に向かって、かつ画像野から外に乳房組織を押動する傾向に対抗する。
【0003】
マンモグラフィおよびトモシンセシスのための標準的圧縮方法は、移動可能、剛性、かつ放射線透過性の圧縮パドルを使用する。乳房は、典型的には平坦である乳房支持プラットフォーム上の撮像面積内に設置され、パドルは、次いで、通常、技師または他の医療専門家が、乳房を定位置に保持している間、乳房を圧縮する。技師はまた、乳房を操作し、画像受容体の視野内で適切な組織被覆を確実にし得る。
【0004】
マンモグラフィおよび乳房トモシンセシスにおける1つの公知の課題は、X線撮像のために乳房を不動化し、乳房組織を広げるために十分な力で行われなければならない、乳房の圧縮時に患者が感じ得る不快感である。不快感は、潜在的に、患者を移動させ得、これは、画像品質に悪影響を及ぼす。不快感はまた、潜在的に、患者が乳癌に関して検診を受けることを思いとどまらせ得る。ある公知の不快感は、乳房圧縮システムの温度から起こり得る。概して、撮像システムは、撮像システム性能のために比較的に冷温の部屋内に配置される。したがって、乳房圧縮の間、支持プラットフォームおよびパドルを含む、圧縮システムは、多くの場合、特に、乳房の敏感な皮膚に対して、患者によって冷たいものとして知覚される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一側面では、本技術は、X線撮像システムのための乳房支持プラットフォームに関し、支持プラットフォームは、圧縮板と、前壁とを含む、筐体と、少なくとも部分的に、筐体内に配置され、圧縮板の少なくとも一部、前壁の少なくとも一部、または圧縮板および前壁の少なくとも一部を加熱するように構成される、加熱システムとを含む。
【0006】
ある実施例では、加熱システムは、筐体の内面に結合される、透明伝導フィルムを含む。別の実施例では、透明伝導フィルムは、14~24オーム/平方の抵抗率を含む。なおも別の実施例では、加熱システムはさらに、約50ワットにおいて約24ボルトを生成するように構成される、電源を含む。また別の実施例では、転写接着剤が、透明伝導フィルムを内面に固着させる。ある実施例では、転写接着剤は、実質的に塵および/または気泡がない。
【0007】
別の実施例では、撮像面積が、圧縮板上に画定され、加熱システムはさらに、透明伝導フィルム上に、かつ撮像面積の外側に配置される、1つ以上の電気接点を含む。なおも別の実施例では、筐体はさらに、圧縮板および前壁の両方に実質的に直交する、2つの側壁を含み、1つ以上の電気接点は、側壁の近位に配置される。また別の実施例では、透明伝導フィルムは、筐体の内面と1つ以上の電気接点との間に位置付けられる。ある実施例では、1つ以上の電気接点は、少なくとも部分的に、透明伝導フィルムによってカプセル化される。別の実施例では、内面は、圧縮板の少なくとも一部、前壁の少なくとも一部、または圧縮板および前壁の少なくとも一部の近位にある。
【0008】
なおも別の実施例では、陥凹が、少なくとも部分的に、前壁の内面内に画定され、透明伝導フィルムは、少なくとも部分的に、陥凹内に配置される。また別の実施例では、透明伝導フィルムは、圧縮板および前壁の少なくとも一部に隣接する。ある実施例では、透明伝導フィルムは、前壁から独立して圧縮板を加熱するように構成される。別の実施例では、加熱システムは、筐体内に埋設される、導体要素を含む。なおも別の実施例では、導体要素は、炭素繊維ベースの材料である。
【0009】
また別の実施例では、加熱システムはさらに、導体要素と直接電気接触する1つ以上の電気接点を含む。ある実施例では、圧縮板は、導体要素を含む。別の実施例では、加熱システムは、少なくとも部分的に、筐体内に配置される、送風機を含み、送風機は、筐体の内面を横断して熱気を送流させるように構成される。なおも別の実施例では、熱システムはさらに、送風機の近位に加熱要素を含む。また別の実施例では、熱システムはさらに、送風機の近位にバッフルを含む。
【0010】
ある実施例では、加熱システムはさらに、温度センサを含み、加熱システムによって発生された熱は、少なくとも部分的に、温度センサによって測定された温度に基づく。別の実施例では、温度センサは、1つ以上のサーモカップルを含む。なおも別の実施例では、温度センサは、圧縮板の近位に、かつ前壁に対向して配置される。また別の実施例では、加熱システムは、筐体内に完全に封入される。
【0011】
別の側面では、本技術は、X線撮像システムの乳房支持プラットフォームを加熱する方法に関し、本方法は、少なくとも部分的に、乳房支持プラットフォームの筐体内に配置される、加熱システムを通して熱を発生させるステップであって、筐体は、圧縮板と、前壁とを含む、ステップと、発生された熱を圧縮板の少なくとも一部、前壁の少なくとも一部、または圧縮板および前壁の少なくとも一部に向かって送流させるステップとを含む。
【0012】
ある実施例では、熱を発生させるステップは、筐体の内面に結合される、透明伝導フィルムを横断して電流流動を誘発するステップを含む。別の実施例では、透明伝導フィルムは、圧縮板および前壁の少なくとも一部に隣接し、電流流動を誘発するステップは、圧縮板における透明伝導フィルムに印加される電流および前壁における透明伝導フィルムに印加される電流を独立して制御するステップを含む。なおも別の実施例では、熱を発生させるステップは、圧縮板を横断して直接電流流動を誘発するステップを含む。また別の実施例では、熱を発生させるステップは、空気の流動を加熱し、筐体の内面を横断して熱気を送風するステップを含む。ある実施例では、本方法はさらに、支持プラットフォームの温度を測定するステップを含む。別の実施例では、加熱システムによって発生された熱は、少なくとも部分的に、温度センサによって測定された温度に基づく。
【0013】
別の側面では、本技術は、X線撮像システムのための圧縮システムに関し、圧縮システムは、支持アームと、支持アームに結合され、圧縮面と、後部部分とを含む、乳房支持プラットフォームと、少なくとも部分的に、支持アーム内に配置され、圧縮面を横断して空気の流動を送流させるように構成される、加熱システムであって、加熱システムは、後部部分の近位にあり、圧縮面に対して略下向き方向に配向される、出口を含む、加熱システムとを含む。
【0014】
ある実施例では、後部部分は、圧縮面から上向きに延在し、湾曲区分を含む。別の実施例では、支持アームは、少なくとも1つの入口を含む。
【0015】
別の側面では、本技術は、X線撮像システムのための圧縮パドルに関し、圧縮パドルは、圧縮板と、前壁と、圧縮板の少なくとも一部、前壁の少なくとも一部、または圧縮板および前壁の少なくとも一部を加熱するように構成される、加熱システムとを含む。
【0016】
ある実施例では、加熱システムは、透明伝導フィルムを含む。別の実施例では、転写接着剤が、透明伝導フィルムを圧縮板に固着させる。なおも別の実施例では、1つ以上の電気接点は、少なくとも部分的に、透明伝導フィルムによってカプセル化される。
【0017】
別の側面では、本技術は、X線撮像システム上に患者の乳房を不動化する方法に関し、本方法は、支持プラットフォームおよび圧縮パドルのうちの一方の圧縮面の少なくとも一部を第1の温度まで加熱するステップであって、支持プラットフォームおよび圧縮パドルのうちの他方の圧縮面は、第2の温度にある、ステップと、支持プラットフォームの圧縮面上に患者の乳房を位置付けるステップと、2つの圧縮面の間で患者の乳房を圧縮するように、支持プラットフォームに向かって圧縮パドルの圧縮面を移動させるステップとを含む。
【0018】
ある実施例では、本方法はさらに、支持プラットフォームおよび圧縮パドルのうちの他方の圧縮面の少なくとも一部を第2の温度まで加熱するステップを含む。別の実施例では、第1の温度は、第2の温度と異なる。なおも別の実施例では、温度差は、少なくとも5℃である。また別の実施例では、本方法はさらに、マンモグラフィモード、トモシンセシスモード、およびCTモードのうちの少なくとも1つにおいて圧縮された乳房を撮像するステップを含む。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
X線撮像システムのための乳房支持プラットフォームであって、前記支持プラットフォームは、
圧縮板と、前壁とを備える筐体と、
加熱システムであって、前記加熱システムは、少なくとも部分的に、前記筐体内に配置され、前記圧縮板の少なくとも一部、前記前壁の少なくとも一部、または前記圧縮板および前記前壁の少なくとも一部を加熱するように構成される、加熱システムと
を備える、支持プラットフォーム。
(項目2)
前記加熱システムは、前記筐体の内面に結合される透明伝導フィルムを備える、項目1に記載の乳房支持プラットフォーム。
(項目3)
前記透明伝導フィルムは、14~24オーム/平方の抵抗率を備える、項目2に記載の乳房支持プラットフォーム。
(項目4)
前記加熱システムはさらに、約50ワットにおいて約24ボルトを生成するように構成される電源を備える、項目2または3に記載の乳房支持プラットフォーム。
(項目5)
転写接着剤が、前記透明伝導フィルムを前記内面に固着させる、項目2-4のいずれか1項に記載の乳房支持プラットフォーム。
(項目6)
前記転写接着剤は、実質的に塵および/または気泡がない、項目5に記載の乳房支持プラットフォーム。
(項目7)
撮像面積が、前記圧縮板上に画定され、前記加熱システムはさらに、前記透明伝導フィルム上に、かつ前記撮像面積の外側に配置される、1つ以上の電気接点を備える、項目2-6のいずれか1項に記載の乳房支持プラットフォーム。
(項目8)
前記筐体はさらに、前記圧縮板および前記前壁の両方に実質的に直交する2つの側壁を備え、前記1つ以上の電気接点は、前記側壁の近位に配置される、項目7に記載の乳房支持プラットフォーム。
(項目9)
前記透明伝導フィルムは、前記筐体の内面と前記1つ以上の電気接点との間に位置付けられる、項目7または8に記載の乳房支持プラットフォーム。
(項目10)
前記1つ以上の電気接点は、少なくとも部分的に、前記透明伝導フィルムによってカプセル化される、項目7または8に記載の乳房支持プラットフォーム。
(項目11)
前記内面は、前記圧縮板の少なくとも一部、前記前壁の少なくとも一部、または前記圧縮板および前記前壁の少なくとも一部の近位にある、項目2-10のいずれか1項に記載の乳房支持プラットフォーム。
(項目12)
陥凹が、少なくとも部分的に、前記前壁の内面内に画定され、前記透明伝導フィルムは、少なくとも部分的に、前記陥凹内に配置される、項目11に記載の乳房支持プラットフォーム。
(項目13)
前記透明伝導フィルムは、前記圧縮板および前記前壁の少なくとも一部に隣接する、項目11または12に記載の乳房支持プラットフォーム。
(項目14)
前記透明伝導フィルムは、前記前壁から独立して前記圧縮板を加熱するように構成される、項目13に記載の乳房支持プラットフォーム。
(項目15)
前記加熱システムは、前記筐体内に埋設される導体要素を備える、項目1に記載の乳房支持プラットフォーム。
(項目16)
前記導体要素は、炭素繊維ベースの材料である、項目15に記載の乳房支持プラットフォーム。
(項目17)
前記加熱システムはさらに、前記導体要素と直接電気接触する1つ以上の電気接点を備える、項目15または16に記載の乳房支持プラットフォーム。
(項目18)
前記圧縮板は、前記導体要素を備える、項目15-17のいずれか1項に記載の乳房支持プラットフォーム。
(項目19)
前記加熱システムは、少なくとも部分的に、前記筐体内に配置される送風機を備え、前記送風機は、前記筐体の内面を横断して熱気を送流させるように構成される、項目1に記載の乳房支持プラットフォーム。
(項目20)
熱システムはさらに、前記送風機の近位に加熱要素を備える、項目19に記載の乳房支持プラットフォーム。
(項目21)
前記熱システムはさらに、前記送風機の近位にバッフルを備える、項目19または20に記載の乳房支持プラットフォーム。
(項目22)
前記加熱システムはさらに、温度センサを備え、前記加熱システムによって発生された前記熱は、少なくとも部分的に、前記温度センサによって測定された温度に基づく、項目1-21のいずれか1項に記載の乳房支持プラットフォーム。
(項目23)
前記温度センサは、1つ以上のサーモカップルを備える、項目22に記載の乳房支持プラットフォーム。
(項目24)
前記温度センサは、前記圧縮板の近位に、かつ前記前壁に対向して配置される、項目22または23に記載の乳房支持プラットフォーム。
(項目25)
前記加熱システムは、前記筐体内に完全に封入される、項目1-24のいずれか1項に記載の乳房支持プラットフォーム。
(項目26)
X線撮像システムの乳房支持プラットフォームを加熱する方法であって、前記方法は、
少なくとも部分的に、前記乳房支持プラットフォームの筐体内に配置される加熱システムを通して熱を発生させることであって、前記筐体は、圧縮板と、前壁とを含む、ことと、
前記発生された熱を前記圧縮板の少なくとも一部、前記前壁の少なくとも一部、または前記圧縮板および前記前壁の少なくとも一部に向かって送流させることと
を含む、方法。
(項目27)
熱を発生させることは、前記筐体の内面に結合される透明伝導フィルムを横断して電流流動を誘発することを含む、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記透明伝導フィルムは、前記圧縮板および前記前壁の少なくとも一部に隣接し、前記電流流動を誘発することは、前記圧縮板における前記透明伝導フィルムに印加される電流および前記前壁における前記透明伝導フィルムに印加される電流を独立して制御することを含む、項目27に記載の方法。
(項目29)
熱を発生させることは、前記圧縮板を横断して直接電流流動を誘発することを含む、項目26に記載の方法。
(項目30)
熱を発生させることは、空気の流動を加熱し、前記筐体の内面を横断して前記熱気を送風することを含む、項目26に記載の方法。
(項目31)
前記支持プラットフォームの温度を測定することをさらに含む、項目26-30のいずれか1項に記載の方法。
(項目32)
前記加熱システムによって発生された前記熱は、少なくとも部分的に、前記温度センサによって測定された温度に基づく、項目31に記載の方法。
(項目33)
X線撮像システムのための圧縮システムであって、前記圧縮システムは、
支持アームと、
乳房支持プラットフォームであって、前記乳房支持プラットフォームは、前記支持アームに結合され、圧縮面と、後部部分とを備える、乳房支持プラットフォームと、
加熱システムであって、前記加熱システムは、少なくとも部分的に、前記支持アーム内に配置され、前記圧縮面を横断して空気の流動を送流させるように構成され、前記加熱システムは、出口を備え、前記出口は、前記後部部分の近位にあり、前記圧縮面に対して略下向き方向に配向される、加熱システムと
を備える、圧縮システム。
(項目34)
前記後部部分は、前記圧縮面から上向きに延在し、湾曲区分を備える、項目33に記載の圧縮システム。
(項目35)
前記支持アームは、少なくとも1つの入口を備える、項目33または34に記載の圧縮システム。
(項目36)
X線撮像システムのための圧縮パドルであって、前記圧縮パドルは、
圧縮板と、
前壁と、
加熱システムであって、前記加熱システムは、前記圧縮板の少なくとも一部、前記前壁の少なくとも一部、または前記圧縮板および前記前壁の少なくとも一部を加熱するように構成される、加熱システムと
を備える、圧縮パドル。
(項目37)
前記加熱システムは、透明伝導フィルムを備える、項目36に記載の圧縮パドル。
(項目38)
前記加熱システムは、前記圧縮板内に埋設される導体要素を備える、項目36に記載の圧縮パドル。
(項目39)
1つ以上の電気接点をさらに備える、項目37または38に記載の圧縮パドル。
(項目40)
X線撮像システム上に患者の乳房を不動化する方法であって、前記方法は、
支持プラットフォームおよび圧縮パドルのうちの一方の圧縮面の少なくとも一部を第1の温度まで加熱することであって、前記支持プラットフォームおよび前記圧縮パドルのうちの他方の圧縮面は、第2の温度にある、ことと、
前記支持プラットフォームの圧縮面上に前記患者の乳房を位置付けることと、
前記2つの圧縮面の間で前記患者の乳房を圧縮するように、前記支持プラットフォームに向かって前記圧縮パドルの圧縮面を移動させることと
を含む、方法。
(項目41)
前記支持プラットフォームおよび前記圧縮パドルのうちの他方の前記圧縮面の少なくとも一部を前記第2の温度まで加熱することをさらに含む、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記第1の温度は、前記第2の温度と異なる、項目40または41に記載の方法。
(項目43)
前記温度差は、少なくとも5℃である、項目42に記載の方法。
(項目44)
マンモグラフィモード、トモシンセシスモード、およびCTモードのうちの少なくとも1つにおいて前記圧縮された乳房を撮像することをさらに含む、項目40-43のいずれか1項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A図1Aは、例示的撮像システムの概略図である。
【0020】
図1B図1Bは、図1Aの撮像システムの斜視図である。
【0021】
図2A図2Aは、例示的乳房支持プラットフォームの斜視図である。
【0022】
図2B図2Bは、図2Aに示される乳房支持プラットフォームの圧縮面の上面図である。
【0023】
図3図3は、例示的加熱システムの概略図である。
【0024】
図4図4は、加熱システムの断面図である。
【0025】
図5図5は、別の加熱システムの概略図である。
【0026】
図6図6は、X線撮像システムの乳房支持プラットフォームを加熱する方法を図示する、フローチャートを描写する。
【0027】
図7A図7Aは、別の加熱システムの斜視図である。
【0028】
図7B図7Bは、筐体の一部が除去された、図7Aに示される加熱システムの斜視図である。
【0029】
図7C図7Cは、図7Aに示される加熱システムの拡大斜視図である。
【0030】
図8図8は、例示的圧縮パドルの斜視図である。
【0031】
図9図9は、X線撮像システム上に患者の乳房を不動化する方法を図示する、フローチャートを描写する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書に説明される技術は、少なくとも部分的に、圧縮システムの支持プラットフォームおよび/または圧縮プラットフォーム内に配置される加熱システムを利用する、乳房圧縮および撮像システムに関する。加熱システムは、乳房圧縮および撮像プロセスの間に患者の不快感および不安を低減させるように、圧縮面の少なくとも一部を加熱するように構成される。圧縮面の少なくとも一部を加熱することによって、患者は、圧縮システムの感触に対してより感受性が低くなり(これが、室温または体温により近くあり得るため)、したがって、患者の望ましくない移動を低減させ、技師が患者の乳房を位置付け、調節する効率、ならびに患者にとっての経験的快適性を向上させ得る。
【0033】
いくつかの公知の加熱システムでは、加熱システムは、支持プラットフォームから外部に配置され、圧縮面を横断して、かつ患者の乳房上に直接熱気を送流させる(例えば、送風する)。しかしながら、これらのシステムは、音が大きく、撮像システム上に適切に位置付けることが困難であり得る。後者の側面に関して、チャネル開口部は、体液(例えば、生検が、システムを用いて実施される場合、汗または血液)の偶発的浸潤を可能にし得る。さらに、そのような送風空気加熱システムは、他のシステム構成要素(例えば、生検デバイス)のために別様に必要とされる空間を要求し得る。他の公知の加熱システムでは、加熱パッドが、支持プラットフォームの上に位置付けられ得るが、これらは、患者使用の前に除去される必要がある。なおも他の公知の加熱システムでは、加熱要素は、熱および/または電磁気のため、X線受容体に望ましくなく干渉し得る。対照的に、本明細書に説明される加熱システムは、それらが、圧縮および撮像手技の間に使用され得、乳房の近位に貫通または開口部を要求しないように、支持プラットフォーム内に配置される、および/または、少なくとも部分的に、圧縮板内に埋設される。加えて、加熱システムは、従来のシステムよりも少ない空間を要求する。これらの特徴を可能にするために、本明細書に説明される加熱システムは、支持プラットフォーム内に配置され、望ましくない画像アーチファクトを形成しないように構築される。加熱システムはさらに、支持プラットフォーム内の他の構成要素(例えば、画像受容体および/または散乱線除去グリッド)の機能を妨げないように位置付けられる。
【0034】
一側面では、加熱システムは、圧縮面の非患者接触側に接着される、透明伝導フィルムを含むことができる。透明伝導フィルムは、熱が、発生され、これが、次いで、筐体を通して、圧縮面に向かって伝導するように、電流の流動を受け取る。透明伝導フィルムの使用を通して、圧縮面は、患者快適性のために熱源から熱を受け取ってもよい。さらに、透明伝導フィルムは、画像アーチファクトが、X線画像において低減または排除されるように、放射線透過性である。加えて、透明伝導フィルムは、これが、支持プラットフォーム筐体と画像受容体との間に嵌合し、支持プラットフォーム筐体の外形に望ましくなく影響を及ぼさないように、比較的に薄い。透明伝導フィルムの薄型外形はまた、(例えば、温度および/または電磁気を介した)X線受容体との干渉を低減または排除する。他の実施例では、加熱システムは、抵抗加熱要素(例えば、導体)が、筐体自体であるように、少なくとも部分的に、筐体内に埋設されることができる。例えば、圧縮面は、導体要素であってもよく、電流の流動を受け取る。
【0035】
別の側面では、加熱システムは、支持プラットフォームおよび/または圧縮パドル内に配置される、加熱要素と、送風機とを含むことができる。加熱要素は、流体(例えば、空気)の流動を加熱し、これは、次いで、圧縮面の非患者接触側を横断して送流され、熱を筐体を通して圧縮面に向かって伝導させる。送風機および加熱要素は、画像アーチファクトが、排除されるように、撮像面積の外側に配置される。加えて、空気の流動は、圧縮面の対向する側上に含有されるため、いかなる開口部も、患者接触面上に要求されない。また別の側面では、加熱システムは、支持プラットフォームの支持アームおよび圧縮パドル内に配置される、加熱要素と、送風機とを含むことができる。加熱要素は、空気の流動を加熱し、次いで、バッフルが、支持プラットフォームの圧縮面を横断して加熱された空気を指向する。圧縮面を直接加熱することによって、加熱システムの効率は、向上される。さらに、バッフルの出口は、下向き方向に配向され、圧縮面から部分的に上昇される。故に、圧縮面上に蓄積する体液の浸潤は、低減または排除される。
【0036】
本明細書に説明される加熱システムは、それとの患者接触が、排除されるように、支持プラットフォームおよび/または圧縮パドル内に嵌合するように成形および定寸される。したがって、使用後に洗浄および滅菌するべきいかなる付加的構成要素も、存在しない。いくつかの側面では、加熱システムは、圧縮面の温度を測定する、温度センサを含んでもよい。温度センサは、加熱システムの動作が、少なくとも部分的に、リアルタイム温度測定に基づくことを可能にし、それによって、患者快適性をさらに向上させる。温度センサはまた、画像アーチファクトが、低減および/または排除されるように、撮像面積の外側に配置される。
【0037】
図1Aは、例示的撮像システム100の概略図である。図1Bは、撮像システム100の斜視図である。並行して図1Aおよび1Bを参照すると、撮像システム100は、乳房圧縮不動化装置ユニットまたは圧縮システム104を介してX線撮像(マンモグラフィモード、トモシンセシスモード、およびコンピュータトモグラフィ(CT)モードのうちの1つ以上のもの)のために患者の乳房102を不動化するように構成される。実施例では、圧縮システム104は、乳房支持プラットフォーム106と、移動可能圧縮パドル108とを含む。乳房支持プラットフォーム106および圧縮パドル108はそれぞれ、それぞれ、圧縮面110および112を有し、圧縮面112は、支持プラットフォーム106に向かって移動し、乳房102を圧縮および不動化するように構成される。公知のシステムでは、圧縮面110、112は、乳房102に直接接触するように暴露される。支持プラットフォーム106はまた、画像受容体114、および随意に、傾斜機構116を格納する。いくつかの実施例では、支持プラットフォーム106はまた、散乱線除去グリッド117を格納する。圧縮システム104は、ビーム118が、画像受容体114に衝突するように、X線源120から発する撮像X線ビーム118の経路内にある。
【0038】
圧縮システム104は、第1の支持アーム122上に支持され、X線源120は、管アーム124とも称される、第2の支持アーム上に支持される。マンモグラフィに関して、支持アーム122および124は、撮像システム100が、各配向においてマンモグラム投影画像を撮影し得るように、頭蓋尾部(CC)および内外斜位(MLO)ビュー等の異なる撮像配向の間で軸126を中心としてユニットとして回転することができる。動作時、画像受容体114は、画像が、撮影される間、支持プラットフォーム106に対して定位置に留まる。不動化装置ユニット104は、異なる撮像配向への支持アーム122、124の移動のために乳房102を解放する。トモシンセシスに関して、支持アーム122は、定位置に留まり、乳房102は、不動化され、定位置に留まる一方、少なくとも管アーム124は、軸126を中心として不動化装置ユニット104および圧縮された乳房102に対してX線源120を回転させる。撮像システム100は、乳房102に対するX線ビーム118の個別の角度において乳房102の複数のトモシンセシス投影画像を撮影する。したがって、圧縮システム104および管アーム124は、合致された回転が、撮像手技のために要求または所望されない限り、相互に離散的に回転されてもよい。
【0039】
いくつかの実施例では、散乱線除去グリッド117は、圧縮面110と画像受容体114との間に位置付けられ、マンモグラフィおよび/またはトモシンセシスX線撮像の間に画像受容体114に到達しないように乳房組織によって散乱されるX線を低減させるように構成される。散乱線除去グリッド117は、鉛等の放射線不透過性材料または高度にX線吸収性の材料から形成され、炭素繊維またはアルミニウム等の放射線透過性もしくは低X線減衰材料から形成される間空によって分離される、複数の隔壁を含んでもよい。動作時、散乱線除去グリッド117は、結果として生じる画像におけるモアレパターンを低減させるために、画像受容体114に対して移動する。散乱線除去グリッド117はまた、要求または所望に応じて、画像受容体114から離れるように後退してもよい。
【0040】
並行して、および随意に、画像受容体114は、乳房支持プラットフォーム106に対して傾斜され、第2の支持アーム124の回転と協調されてもよい。傾斜は、X線源120の回転と同一の角度を通してであり得るが、また、X線ビーム118が、複数の画像のそれぞれに関して画像受容体114上の実質的に同一の位置に留まるように選択される異なる角度を通してであってもよい。傾斜は、軸128を中心とするものであり得、これは、必要ではないが、画像受容体114の像面内にあり得る。画像受容体114に結合される傾斜機構116は、画像受容体114を傾斜運動において駆動することができる。いくつかの実施例では、散乱線除去グリッド117は、グリッド117が、受容体114とともに傾斜するように、画像受容体114に結合されてもよい。他の実施例では、散乱線除去グリッド117は、画像受容体114とともに傾斜せず、それから独立してもよい。
【0041】
トモシンセシス撮像および/またはCT撮像に関して、乳房支持プラットフォーム106は、水平であり得る、または、例えば、マンモグラフィにおける従来のMLO撮像に関するものに類似する配向において、水平に対してある角度にあり得る。撮像システム100は、単独でマンモグラフィシステムである、単独でCTシステムである、または単独でトモシンセシスシステムである、もしくは複数の形態の撮像を実施し得る「コンボ」システムであり得る。
【0042】
本システムが、動作されると、画像受容体114は、撮像X線ビーム118による照明に応答して、撮像情報を生成し、乳房X線画像を処理および発生させるためにこれを画像プロセッサ130に供給する。ソフトウェアを含むシステム制御およびワークステーションユニット132が、本システムの動作を制御し、オペレータと相互作用し、コマンドを受信し、処理された光線画像を含む情報を配信する。
【0043】
撮像システム100に関する1つの課題は、所望または要求される撮像のために乳房102を効率的に不動化および圧縮する方法である。医療専門家、典型的には、X線技師は、概して、乳房102を不動化し、これを定位置に保ち、乳房組織の実用可能な限り多くの部分が圧縮面110、112の間にあるように、組織を撮像面積に向かって引動しながら、支持プラットフォーム106と圧縮パドル108との間に乳房102を位置付け、調節する。しかしながら、支持プラットフォーム106および/または圧縮パドル108が、冷温であるとき、患者は、不快感および不安を経験し得、これは、移動および不適切に位置付けられた乳房をもたらし得る。これはさらに、時として、X線画像が再撮影されることを要求し、これは、患者に不必要なX線量を送達する。
【0044】
撮像システム100は、典型的には、撮像システム動作を促進するように、比較的に冷温である病室内に配置される。したがって、撮像システム100の外面、例えば、圧縮面110、112は、概して、感触が冷たい。故に、加熱システム134が、熱を発生させ、圧縮面110、112の温度を増加させるために、支持プラットフォーム106、圧縮パドル108、または支持プラットフォーム106および圧縮パドル108の両方に結合されることができる。例えば、加熱されていない撮像システム100の外面の典型的な温度は、約65°F(約18.3℃)~70°F(約21.1℃)であってもよい一方、加熱システム134は、その温度を約85°F(約29.4℃)~90°F(約32.2℃)またはそれよりも高いものまで上昇させるように構成され、それによって、乳房圧縮および撮像プロセスの間の患者の不快感および不安を低減させてもよい。例示的加熱システム134が、下記にさらに詳細に説明される。
【0045】
図2Aは、例示的乳房支持プラットフォーム200の斜視図である。乳房支持プラットフォーム200は、受容体および散乱線除去グリッド(両方とも明確化のために図示せず)を格納する、筐体202を含む。筐体202は、圧縮板204と、前壁206と、底部板208と、壁204、206、および208に実質的に直交して延在する、2つの側壁210、212とを含む。圧縮面214が、圧縮板204の外側表面上に形成される。動作時、患者の乳房が、圧縮および不動化のために圧縮面214上に支持され、患者の胸壁が、前壁206に対して位置付けられる。圧縮板204は、典型的には、炭素繊維ベースの材料から形成される一方、筐体202の残りの部分は、典型的には、プラスチックベースの材料から形成される。実施例では、炭素繊維圧縮板204の少なくとも一部は、前壁206および/または側壁210、212に沿って延在してもよい。
【0046】
撮像面積216が、画像受容体の形状およびサイズに対応する圧縮面214上に画定され、圧縮面214上での乳房設置のための視覚的外周境界を形成する。患者の胸壁に近接する乳房組織の撮像を可能にするために、撮像面積216は、前壁206から、支持アーム220に結合される筐体202の背部部分218に向かって延在する。概して、撮像面積216は、患者の胸壁に向かってできるだけ多くの乳房組織が、撮像され得るように、可能な限り前壁206に近接して位置付けられる。撮像面積216は、上記に説明されるような画像受容体の傾斜運動に適応するために、両方の側壁210、212からオフセットされる。
【0047】
実施例では、乳房支持プラットフォーム200は、少なくとも部分的に、筐体202内に配置され、圧縮板204の少なくとも一部および/または前壁206の少なくとも一部を加熱するように構成される、加熱システム222(図2Bに示される)を含む。いくつかの実施例では、加熱システム222の少なくとも一部は、筐体202内に埋設されてもよい。他の実施例では、加熱システム222は、筐体202内に完全に封入されてもよい。加えて、加熱システム222の少なくとも一部は、撮像面積216の外側で筐体202内に搭載され、これは、画像受容体および散乱線除去グリッドの運動範囲が維持されることを可能にする。
【0048】
図2Bは、乳房支持プラットフォーム200(図2Aに示される)の圧縮板204の上面図である。図2Bでは、圧縮板204は、壁204の下方の加熱システム222の位置が、示され得るように、透明なものとして図示される。実施例では、加熱システム222は、圧縮面214に対向する圧縮板204の内面に結合される、透明伝導フィルム224を含む。すなわち、圧縮板204の内面は、支持プラットフォームの非患者接触側である。加熱システム222はまた、透明伝導フィルム224上に配置される電気接点226と、1つ以上の温度センサ228とを含む。透明伝導フィルム224は、撮像面積216全体が、患者快適性のために加熱され得るように、撮像面積216を完全に被覆するように成形および定寸される。さらに、接点226および温度センサ228は、画像アーチファクトが、低減または排除されるように、撮像面積216の外側に配置される。
【0049】
実施例では、撮像面積216は、略長方形であり、前壁206から背部部分218に向かって延在する深さ230を有し、側壁210、212の間に延在する幅232を伴う。ある側面では、深さ230は、約240ミリメートル(mm)であってもよく、幅232は、約290mmであってもよい。これらの寸法は、筐体202の側壁210、212と撮像面積216との間に約25mmの遊隙距離234を形成する。本遊隙距離234は、少なくとも部分的に、望ましくない画像アーチファクトを排除するために加熱システム222の接点226がその中に嵌合しなければならない空間を画定する一方、また、画像受容体および散乱線除去グリッドの移動を可能にする。透明伝導フィルム224は、概して、接点226および温度センサ228が、撮像面積216の外側に位置付けられ得るように、撮像面積216のサイズよりも大きい。実施例では、透明伝導フィルム224もまた、略長方形であり、前壁206から背部部分218に向かって延在する深さ236を有し、側壁210、212の間に延在する幅238を伴う。ある側面では、深さ236は、約245mmであってもよく、幅238は、約320mmであってもよい。これらの寸法は、接点226のための約15mmの両方の側壁210、212に近位の幅重複240および温度センサ228のための約5mmの背部部分218に近位の深さ重複242を形成する。これらの形状および/または寸法は、例示的にすぎず、撮像面積216および透明伝導フィルム224は、加熱システム222が本明細書に説明されるように機能することを可能にする任意の他のサイズおよび/または形状を有し得ることを理解されたい。
【0050】
側壁210、212の近位に接点226を位置付け、背部部分218の近位に温度センサ228を位置付けることによって、画像アーチファクトが、形成されないだけではなく、また、画像受容体および/または散乱線除去グリッドが、依然として、本明細書に説明されるように移動することが可能である。例えば、画像受容体および散乱線除去グリッドは、最大30°まで傾斜してもよく、加熱システム222の例証される設置は、依然として、本移動に対応する。他の実施例では、接点226および/または温度センサ228は、筐体202内の画像受容体および/または散乱線除去グリッドの遊隙空間の中に延在してもよい。例えば、撮像動作の間、画像受容体および散乱線除去グリッドは、典型的には、最大設計運動範囲を下回って移動し、約15°のみ傾斜する。したがって、画像受容体および/または散乱線除去グリッドのための確動停止部(図示せず)が、15°を上回って傾斜するとき、構成要素が加熱システム222に接触することを排除するために、筐体202内に位置付けられてもよい。他の実施例では、接点226および/または温度センサ228の設置は、加熱システム222が本明細書に説明されるように機能することを可能にする任意の他の場所においてであってもよい。
【0051】
図2Bに図示されるように、透明伝導フィルム224は、圧縮板204上に、かつ前壁206に隣接して位置付けられ、接点226および温度センサ228は、画像アーチファクトを低減させるように、前壁206から離れるように配置される。加えて、または代替として、透明伝導フィルム224は、少なくとも部分的に、筐体202の前壁206に沿って延在してもよい。これは、前壁206が患者快適性のために加熱されることを可能にする。しかしながら、画像受容体および/または散乱線除去グリッドは、典型的には、前壁206と近接遊合しているため、前壁206は、透明伝導フィルム224が、少なくとも部分的に、前壁206内に陥凹設置され得るように、陥凹または凹部(図示せず)を含むことができる。加熱システム222の本設置は、画像受容体および/または散乱線除去グリッドとの接触を制限もしくは排除する。いくつかの実施例では、加熱システム222は、圧縮板204および前壁206をともに加熱してもよい。他の実施例では、加熱システム222は、圧縮板204および前壁206を独立して加熱してもよい。例えば、圧縮板204および前壁206は、それぞれ、接点226および温度センサ228がそれに結合される、別個の透明伝導フィルム224を有する。
【0052】
実施例では、透明伝導フィルム224は、抵抗加熱を介して加熱され、それによって、電流が、フィルム224を通過され、熱を生成する。他の実施例では、圧縮板204自体および/または筐体202の任意の他の部分が、抵抗加熱要素として作用してもよい。例えば、接点226は、電流が、圧縮板204を通して直接通過され得るように、圧縮板204に直接電気的に結合されてもよい。圧縮板204は、次いで、導体要素として作用し、抵抗加熱を通して直接加熱される。ある側面では、圧縮板204は、導体要素として作用する炭素繊維ベースの材料から形成される。別の側面では、導体要素は、抵抗加熱のための炭素繊維ベースの材料内に編み込まれる。実施例では、透明伝導フィルム224は、要求されず、加熱システム222の導体要素は、筐体202(例えば、圧縮板204)内に直接埋設される。なおも他の実施例では、透明伝導フィルム224の構成要素が、少なくとも部分的に、圧縮板204および/または筐体の任意の他の部分内に埋設され、抵抗加熱要素として作用することができる。
【0053】
図3は、例示的加熱システム300の概略図である。上記に説明されるように、加熱システム300は、透明伝導フィルム302と、電気接点304と、温度センサ306とを含む。加熱システム300は、図2Aおよび2Bの上記に説明されるような乳房支持プラットフォームに結合されることができる、および/または圧縮パドルに結合されてもよい。透明伝導フィルム302は、電流が、透明伝導フィルム302を通して流動し得、熱を発生させるように、接点304を通して取り付けられる1つ以上のワイヤ310を介して、電源308に結合される。側面では、電源308は、1~5アンペア、1~150ボルト、および約50ワットを生成するように構成される。一実施例では、電源308は、約50ワットにおいて約24ボルトを生成する。
【0054】
透明伝導フィルム302を通して送流される電流は、温度センサ306によって測定されるように、圧縮板の測定された温度に基づくことができる。温度センサ306は、リレー314を通して電源308と通信するコントローラ312に結合される。したがって、透明伝導フィルム302を通して流動する電流は、圧縮面が、熱すぎる状態または冷たすぎる状態にならないように、リアルタイムで制御されることができる。一実施例では、温度センサ306は、1つ以上のサーモカップルを含んでもよい。他の実施例では、温度センサ306は、画像受容体、散乱線除去グリッド、および/または圧縮面上に位置付けられてもよい。加えて、電源308、コントローラ312、および/またはリレー314は、支持プラットフォームならびに/もしくは圧縮パドルから遠隔316に配置されてもよい。例えば、遠隔構成要素は、撮像システムの支持アームまたはガントリ内に配置されてもよい。
【0055】
実施例では、透明伝導フィルム302は、熱を発生させるように、電流の流動を受け取り、抵抗器として作用するように構成される。発生された熱は、次いで、圧縮板を通して伝導する。概して、炭素繊維圧縮板は、半径方向に延在する方向に熱を伝導するよりも良好に板の厚さを通して熱を伝導する。したがって、透明伝導フィルム302は、撮像面積全体を被覆する平面シートである。他の実施例では、抵抗器フィルムの個々のストリップおよび/またはパッチが、要求もしくは所望に応じて、使用されてもよい。なおも他の実施例では、ヒートテープ、透明伝導塗料、または他の伝導コーティングが、圧縮板上で使用されてもよい。また他の実施例では、圧縮板は、熱が、板材料の抵抗を通して発生され得るように、導電性材料から形成されてもよいが、炭素繊維は、わずかにのみ導電性である。しかしながら、透明伝導フィルム302を炭素繊維板に追加することによって、板自体が、電流が、患者と直接接触する構成要素を通して流動しないように、電気絶縁体として作用する。
【0056】
透明伝導フィルム302は、酸化インジウムスズ(例えば、ガラスまたはポリカーボネート上のITO)、透明伝導性酸化物、伝導性ポリマー、金属グリッドおよびランダム金属ネットワーク、カーボンナノチューブ、グラフェン、ナノワイヤメッシュ(例えば、銀ナノワイヤまたは銅ナノワイヤ)、超薄金属フィルム等から形成されることができる。これらの材料は、典型的には、フィルム302が、X線画像における望ましくない画像アーチファクトを低減または排除するように、放射線透過性である。フィルム302は、最大150オーム/平方の抵抗率を有するように構成される。一実施例では、抵抗率は、14~24オーム/平方である。別の実施例では、抵抗率は、1~20オーム/平方であり得る。なおも別の実施例では、抵抗率は、10~30オーム/平方であり得る。上記の抵抗率値は、例示的にすぎず、フィルム302は、加熱システム300が本明細書に説明されるように機能することを可能にする任意の抵抗率値を有し得ることを理解されたい。したがって、板は、熱を直接発生させる導体であり得る。しかしながら、フィルム302の抵抗率が、増加するにつれて、フィルム302を通して送流される電流は、熱を生成するためにより高い電圧を有するように要求される。しかしながら、高電圧は、患者に近接近する構成要素にとって必ずしも望ましくない。
【0057】
図4は、加熱システム300の断面図である。加熱システム300は、接点304においてフィルム302に結合されるワイヤ310を通して電流を受け取る、透明伝導フィルム302を含む。透明伝導フィルム302は、転写接着剤318によって乳房支持プラットフォームの内面に固着される。転写接着剤318は、望ましくない画像アーチファクトが、X線撮像の間に形成されないように低減または排除されるように、塵および気泡に対して耐性がある。いくつかの実施例では、接着剤318中の塵および気泡を低減または排除するために、加熱システム300は、無塵室および/または静電気防止環境内で乳房支持プラットフォームに固着されることができる。これは、その中に塵および気泡が実質的にない接着剤318を形成することができる。転写接着剤318はまた、透明伝導フィルム302が、支持プラットフォームおよび/または圧縮パドルに接着されたままであり、圧縮面を加熱することを可能にされるように、耐熱性であるが、熱伝導性である。
【0058】
実施例では、熱処理されたポリエステル層320が、転写接着剤318に対向する透明伝導フィルム302の一方の側を被覆する。ポリエステル層320は、加熱システム300によって発生された熱から乳房支持プラットフォーム構成要素(例えば、画像受容体および/または散乱線除去グリッド)を断熱する。接点304(例えば、ホットメルトポッティング)は、透明伝導フィルム302のポリエステル層320側上に配置される。これは、支持プラットフォームから離れるように透明伝導フィルム302の活性側を位置付ける。他の実施例では、透明伝導フィルム302は、接点304が、少なくとも部分的に、フィルム302によってカプセル化されることを可能にする厚さ322を有する。
【0059】
概して、透明伝導フィルム302は、フィルムが、既存の撮像システム上に、支持プラットフォーム筐体の外形を修正することなく事後設置され得るように、比較的に薄い。例えば、圧縮板に隣接して、概して、画像受容体および/または散乱線除去グリッドを移動させる必要性を伴わずに加熱システム300を取り付けるための十分な空間が、存在する。しかしながら、より厚い透明伝導フィルム302(例えば、ガラスベースのフィルム)は、画像受容体および/または散乱線除去グリッドが圧縮板からさらに離れて移動されることを要求し得る。加えて、透明伝導フィルム302の薄型外形はまた、X線受容体との干渉を低減または排除する。例えば、熱および/または電磁気は、受容体に干渉する。
【0060】
図5は、別の加熱システム400の概略図である。本実施例では、加熱システム400は、少なくとも部分的に、乳房支持プラットフォームおよび/または圧縮パドルの筐体404内に配置される、送風機402を含む。いくつかの実施例では、加熱システム400は、筐体404内に完全に封入されてもよい。送風機402は、患者快適性のために圧縮面408を加熱するように、圧縮板406の内面を横断して熱気を送流させるように配向される。送風機402は、遠隔で位置付けられる流体源410に流動連通して結合される。実施例では、流体源410は、流体(例えば、空気または他のガス状物質)の流動を送風機402に送流させ、圧縮板406の内面を横断して排出する。他の実施例では、液体の流動が、要求または所望に応じて、使用されてもよい。加熱要素412が、圧縮板406に排出される直前に流体の流動を加熱するために、上流または下流のいずれかで、送風機402の近位に位置付けられる。加えて、バッフル414または他の流動指向デバイスが、加熱された流体の流動が、要求または所望に応じて、筐体404内に指向され得るように、送風機402の下流に位置付けられる。概して、加熱システム400は、依然として本明細書に説明されるような圧縮面408の加熱を可能にしながら、X線受容体との熱干渉を低減または排除するように、筐体404の中への流体進入を低減させるように位置付けられる。
【0061】
実施例では、送風機402は、加熱された指向される流体流を圧縮板406に向かって指向してもよい、または、概して、筐体404の内側全体を加熱してもよい。加えて、加熱システム400は、圧縮面408の撮像面積416の外側に配置される。これは、画像検出器および/または散乱線除去デバイスから離れるように加熱システム400を位置付け、X線撮像の間に望ましくない画像アーチファクトを形成しない。一実施例では、加熱システム400は、圧縮板406の背部部分418に隣接して位置付けられてもよい。他の実施例では、加熱システム400は、加熱システム400が本明細書に説明されるように機能することを可能にする筐体404内の任意の別の場所に位置してもよい。加えて、上記に説明される実施例と同様に、加熱システム400は、圧縮面408の温度を測定し、それを加熱システム400の動作(例えば、送風機402の流率および加熱要素412の温度)の基準とするために、1つ以上の温度センサ420を含むことができる。
【0062】
図6は、X線撮像システムの乳房支持プラットフォームを加熱する方法500を図示する、フローチャートを描写する。方法500は、少なくとも部分的に、乳房支持プラットフォームの筐体内に配置される加熱システムを通して熱を発生させるステップを含む(動作502)。筐体は、少なくとも圧縮板と、前壁とを含む。方法500はさらに、加熱システムから発生された熱を圧縮板の少なくとも一部、前壁の少なくとも一部、または圧縮板および前壁の少なくとも一部に向かって送流させるステップを含む(動作504)。熱は、次いで、乳房支持プラットフォームの温度が、増加するように、筐体を通して伝導し、それによって、乳房圧縮および撮像手技の間の患者快適性を向上させる。
【0063】
いくつかの実施例では、熱を発生させるステップ(動作502)は、筐体の内面に結合される透明伝導フィルムを横断して電流流動を誘発するステップを含んでもよい(動作506)。透明伝導フィルムからの抵抗は、加熱システムの熱を発生させる。他の実施例では、透明伝導フィルムは、圧縮板および前壁の少なくとも一部に隣接する。したがって、圧縮板における透明伝導フィルムに印加される電流は、前壁における透明伝導フィルムに印加される電流から独立して制御されることができる(動作508)。これは、要求または所望に応じて、前壁が圧縮板と異なる温度まで加熱されることを可能にする。別の側面では、熱を発生させるステップ(動作502)は、圧縮板を横断して直接電流流動を誘発するステップを含んでもよい。導体要素として作用する圧縮板は、抵抗を提供し、加熱システムのための熱を発生させる。代替として、熱を発生させるステップ(動作502)は、空気の流動を加熱し、筐体の内面を横断して熱気を送風するステップを含んでもよい(510)。方法500はまた、加熱システムによって発生された熱が、少なくとも部分的に、温度センサによって測定された温度に基づき得る(動作514)ように、支持プラットフォームの温度を測定するステップを含んでもよい(動作512)。
【0064】
図7Aは、別の加熱システム600の斜視図である。図7Bは、筐体602の一部が除去された、加熱システム600の斜視図である。図7Cは、加熱システム600の拡大斜視図である。本実施例では、加熱システム600は、少なくとも部分的に、乳房支持プラットフォーム604および圧縮パドル(図示せず)を支持する支持アーム筐体602内に配置される。上記に説明される実施例と同様に、乳房支持プラットフォーム604は、受容体(図示せず)を格納し、圧縮面608を伴う圧縮板606を有する。乳房圧縮板606は、後部部分610を含み、これは、本実施例では、圧縮面608から上向き方向に延在する。例えば、後部部分610は、実質的に湾曲し、平面圧縮面608と筐体602との間に位置付けられてもよい。本実施例では、加熱システム600は、熱気を後部部分610に向かって送流させ、これが、次いで、圧縮面608の少なくとも一部を横断して熱気を指向するように、圧縮板606の後部部分610に隣接して位置付けられる、出口612を含む。圧縮面608を横断して熱気を送流させることによって、圧縮面608および/または患者の乳房の一部は、圧縮手技の前ならびに/もしくはその間に患者快適性のために加熱されてもよい。
【0065】
加熱システム600は、支持アーム筐体602内に、かつ少なくとも部分的に、乳房支持プラットフォーム604の上方に位置付けられる、送風機614を含む。実施例では、送風機614は、ハブの周囲に搭載される複数のブレードを伴うドラム形状である、遠心ファン(例えば、リスかご形ファン)であってもよい。送風機614は、筐体602内からの空気が、送風機614を通して引き込まれ得るように、1つ以上の通気孔616を有することができる。いくつかの実施例では、筐体602は、空気が、筐体602を通して、送風機の中に流動し得るように、1つ以上の入口618を有してもよい。加えて、バッフル620が、送風機614と圧縮板606の後部部分610との間に延在する。バッフル620は、出口612を形成し、圧縮面608の所定の面積を横断して流動を指向するように構成される、1つ以上の翼を有してもよい。加熱要素622が、圧縮板606に排出される前に空気を加熱するために、上流または下流のいずれかで、送風機614の近位に位置付けられる。加えて、上記に説明される実施例と同様に、加熱システム600は、圧縮面608の温度を測定し、それを加熱システム600の動作(例えば、送風機614の流率および加熱要素622の温度)の基準とするために、1つ以上の温度センサ(図示せず)を含むことができる。
【0066】
実施例では、加熱システム600は、加熱流体を提供する出口612が、圧縮板606の上方にあり、略下向き方向に向くように位置付けられる。したがって、加熱システム600は、画像アーチファクトが、排除され、受容体および散乱線除去グリッド(図示せず)の動作が、干渉されないように、撮像面積の外側に配置される。さらに、出口612の下向き方向および圧縮板606からのオフセットは、圧縮面608上に蓄積し得る体液(例えば、生検が、実施される場合、汗または血液)の浸潤を低減または排除する。加えて、圧縮面608に近接近して出口612を設置することによって、加熱システム600の効率および性能は、向上される。
【0067】
図8は、例示的圧縮パドル700の斜視図である。圧縮パドル700は、圧縮板702と、前壁704と、2つの対向する側壁706、708と、ブラケット710とを含む。圧縮板702は、支持プラットフォーム(例えば、上記に説明されるプラットフォーム200および/または604)に対して患者の乳房を圧縮するための底部圧縮面712を形成する。パドル700の前壁704は、患者の胸壁に対して位置付けられるように構成される。ブラケット710は、撮像システムの支持アームに可撤式に結合するように定寸および成形される。
【0068】
加えて、圧縮パドル700は、圧縮板702の少なくとも一部および/または前壁704の少なくとも一部を加熱するように構成される、加熱システム714を含む。加熱システム714は、圧縮板702の外面に結合され、圧縮面712に対向する透明伝導フィルム716を含むことができる。すなわち、圧縮板702の外面は、圧縮パドル700の非患者接触側(例えば、上面)である。いくつかの実施例では、透明伝導フィルム716は、少なくとも部分的に、圧縮パドル700の本体によって封入されることができる。他の実施例では、圧縮板702および/またはパドル700の任意の他の部分は、加熱システム714の導体要素を形成し、本明細書に説明されるような電流の流動を直接受け取ってもよい。加熱システム714はまた、透明伝導フィルム716上に配置される電気接点718と、1つ以上の温度センサ720とを含む。透明伝導フィルム716は、撮像面積全体が、患者快適性のために加熱され得るように、撮像面積を完全に被覆するように成形および定寸される。他の実施例では、撮像面積の一部のみが、加熱されてもよい。さらに、接点718および温度センサ720は、画像アーチファクトが、低減または排除されるように、撮像面積の外側に配置される。
【0069】
図8に図示されるように、透明伝導フィルム716は、圧縮板702上に、かつ前壁704に隣接して位置付けられ、接点718および温度センサ720は、画像アーチファクトを低減させるように、側壁706、708および/またはブラケット710の近位に配置される。加えて、または代替として、透明伝導フィルム716は、要求または所望に応じて、少なくとも部分的に、前壁704の上に延在してもよい。これは、前壁704が患者快適性のために加熱されることを可能にする。実施例では、透明伝導フィルム716は、図3および4を参照して上記に説明されるフィルム302に実質的に類似してもよい。いくつかの実施例では、圧縮面712は、要求または所望に応じて、実質的に湾曲してもよい。
【0070】
他の実施例では、加熱システム714は、圧縮面712の少なくとも一部を加熱するように、圧縮板702を横断して熱気を送流させ得る、送風機(図示せず)を含んでもよい。さらに、加熱システム714は、圧縮面712上に直接位置付けられないため、圧縮手技の間、プラットフォームに対するパドル700の高さが、(例えば、X線量計算のために)乳房厚さを直接測定するために、依然として使用されてもよい。
【0071】
本明細書に説明されるように、例示的加熱システムは、乳房圧縮および撮像プロセスの間に患者の不快感および不安を低減させるように、支持プラットフォームおよび/または圧縮パドルの圧縮面の少なくとも一部を加熱するように構成される。これは、患者の望ましくない移動を低減させ、撮像プロセスの効率が、向上される。概して、患者は、乳房に印加される圧縮力に起因して、乳房圧縮プロセスの間に不快感を感じ得る。加えて、圧縮面の温度(例えば、冷温または低温)もまた、患者の不快感に寄与し得る。本開示の側面では、圧縮面は、患者の不快感を低減させるように、加熱されることができる。加えて、または代替として、加熱システムは、圧縮手技の不快感から患者の注意を逸らすために使用されることができる。例えば、圧縮面を異なる温度まで選択的に加熱し、圧縮プロセスの間に異なる温度を実質的に維持する。圧縮面の間の本温度変化は、圧縮プロセスの間に患者の注意を逸らすように作用する感覚を(例えば、患者の温度受容器を介して)患者の乳房上に誘発することができる。それによって、また、患者の不快感を低減させる。
【0072】
本明細書に説明される加熱システムを使用して、支持プラットフォームの圧縮面と圧縮パドルの圧縮面との間の温度変化が、任意の数の方法で発生されることができる。例えば、加熱システムは、圧縮パドルが、室温に留まりながら、圧縮面を加熱するように、支持プラットフォームに結合されてもよい。別の実施例では、加熱システムは、支持プラットフォームが、室温に留まりながら、圧縮面を加熱するように、圧縮パドルに結合されてもよい。なおも他の実施例では、支持プラットフォームおよび圧縮パドルの両方が、加熱システムを有してもよいが、それぞれの圧縮面は、異なる温度まで加熱される。
【0073】
いくつかの実施例では、室温または加熱されていない温度は、約65°F(約18.3℃)~70°F(約21.1℃)であってもよい一方、加熱された温度は、約85°F(約29.4℃)~90°F(約32.2℃)であってもよい。他の実施例では、加熱された温度は、約85°F(約29.4℃)~95°F(約35℃)になるように上昇してもよい。なおも他の実施例では、加熱された温度は、約113°F(約45℃)まで上昇してもよい。これらの温度値は、例示的であり、加熱された温度および加熱されていない温度は、要求または所望に応じて、その範囲を上回る、または下回り得ることを理解されたい。したがって、支持プラットフォームと圧縮パドルとの間の温度変化は、一方が、加熱されておらず、他方が、加熱されるとき、約20°F(約11.1℃)~25°F(約13.9℃)であり得る。支持プラットフォームおよび圧縮パドルの両方が、加熱されるとき、温度変化は、10°F(約5℃)~30°F(約17℃)であり得る。他の実施例では、加熱された支持プラットフォームと圧縮パドルとの間の温度変化は、要求または所望に応じて、10°F(約5℃)を下回るまたはそれに等しい、もしくは30°F(約17℃)を上回るまたはそれに等しくあり得る。
【0074】
図9は、X線撮像システム上に患者の乳房を不動化する方法800を図示する、フローチャートを描写する。方法800は、支持プラットフォームおよび圧縮パドルのうちの一方からの圧縮面の少なくとも一部を第1の温度まで加熱するステップを含む(動作802)。支持プラットフォームおよび圧縮パドルのうちの他方の圧縮面が、第2の温度にある。いくつかの実施例では、本他方の圧縮面は、第2の温度まで加熱される(動作804)。上記に説明されるように、各圧縮面は、ほぼ等しい加熱された温度(例えば、約85°F(約29.4℃)~95°F(約35℃))を有してもよい。他の実施例では、各圧縮面は、異なる温度を有してもよい。例えば、一方の圧縮面は、加熱されない場合がある一方、他方の圧縮面は、加熱されてもよい。別の実施例では、一方の圧縮面は、加熱されてもよい一方、他方の圧縮面は、より高い温度まで加熱される。ある側面では、2つの圧縮面の間の温度差は、少なくとも10°F(約5℃)であってもよい。いくつかの実施例では、圧縮パドルは、要求または所望に応じて、別個のパドルラック上で加熱され、次いで、撮像システムに接続されてもよい一方、支持プラットフォームの圧縮面は、撮像システムの動作周期全体を通して一定の加熱された温度に保持されることができる。
【0075】
いったん圧縮面のうちの1つ以上のものが、加熱される(動作802および804)と、患者の乳房は、技師によって支持プラットフォームの圧縮面上に位置付けられることができる(動作806)。次いで、圧縮パドルは、2つの圧縮面の間で患者の乳房を圧縮するように、支持プラットフォームに向かって移動されることができる(動作808)。いくつかの実施例では、方法800は、次いで、さらに、マンモグラフィモード、トモシンセシスモード、およびCTモードのうちの少なくとも1つにおいて圧縮された乳房を撮像するステップを含むことができる(動作810)。
【0076】
圧縮面のうちの1つ以上のものを加熱することによって、患者の不快感は、(例えば、冷温の表面を低減させることによって)低減される。加えて、2つの圧縮面の間の温度差を誘発することによって、注意を逸らす感覚が、発生され、圧縮手技から患者の注意を逸らし、それによって、また、患者の不快感を低減させる。
【0077】
本開示は、可能性として考えられる実施例のうちのいくつかのみが示された、付随の図面を参照して本技術のいくつかの実施例を説明する。しかしながら、他の側面も、多くの異なる形態において具現化されることができ、本明細書に記載される実施例に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施例は、本開示が、徹底的かつ完全であり、可能性として考えられる実施例の範囲を当業者に完全に伝えるように提供された。本明細書に説明される異なる実施例の任意の数の特徴が、1つの単一の実施例に組み合わせられてもよく、本明細書に説明される特徴の全てよりも少ないまたは多いものを有する代替実施例が、可能性として考えられる。本明細書に採用される専門用語は、特定の実施例を説明する目的のためにのみ使用され、限定的であることを意図していないことを理解されたい。本明細書に使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に別様に示さない限り、複数指示物を含むことに留意されたい。
【0078】
具体的実施例が、本明細書に説明されたが、本技術の範囲は、それらの具体的実施例に限定されない。当業者は、本技術の範囲内である他の実施例または改良を認識するであろう。したがって、具体的構造、行為、または媒体は、例証的実施例としてのみ開示される。本技術による実施例はまた、本明細書に別様に記載されない限り、一般に開示されるが、明確に組み合わせて例示されないものの要素または構成要素を組み合わせてもよい。本技術の範囲は、以下の請求項およびそれにおける任意の均等物によって定義される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9