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特許7482128分散推定方法、装置、受信機及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】分散推定方法、装置、受信機及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/2513 20130101AFI20240502BHJP
   H04B 10/61 20130101ALI20240502BHJP
【FI】
H04B10/2513
H04B10/61
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021531064
(86)(22)【出願日】2019-11-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(86)【国際出願番号】 CN2019122107
(87)【国際公開番号】W WO2020108632
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-11-08
(31)【優先権主張番号】201811449784.0
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516010548
【氏名又は名称】セインチップス テクノロジー カンパニーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー,ユンペン
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0159635(US,A1)
【文献】特開2018-093280(JP,A)
【文献】特表2016-521084(JP,A)
【文献】特開2017-092607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/2513
H04B 10/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散推定方法であって、
周波数領域データを取得し、前記周波数領域データに含まれる直交している2つの偏光状態データに基づいて、処理対象データを取得するステップと、
前記処理対象データをフィルタリングし、隣接する周波数ポイント間の周波数スペクトル幅を設定された倍数で広げるステップと、
フィルタリングされた前記処理対象データを抽出してターゲットデータグループを取得するステップと、
前記ターゲットデータグループに基づき、設定間隔値にそれぞれ対応するターゲット関数を計算し、前記ターゲット関数に対応する位相角値に基づいて、分散推定値を計算するステップと、を含む、分散推定方法。
【請求項2】
前記周波数領域データに含まれる直交している2つの偏光状態データに基づいて、処理対象データを取得する前記ステップは、
前記周波数領域データに対して前処理をして、前処理がされたX偏光状態データ及びY偏光状態データを取得するステップであって、前記前処理は、前記周波数領域データのうち、前記X偏光状態データ及び前記Y偏光状態データをそれぞれインデックスで奇数、偶数に分けて、前記偶数インデックスの周波数領域データを反転し、前記奇数インデックスの周波数領域データを変更しないステップを含むステップと、
前処理された前記X偏光状態データ及び前記Y偏光状態データをそれぞれ処理対象データとして使用し、又は、前処理された前記X偏光状態データ及び前記Y偏光状態データに対して線形結合演算を行い、複数の処理対象データグループを取得するステップと、を含む、請求項1に記載の分散推定方法。
【請求項3】
前処理された前記X偏光状態データ及び前記Y偏光状態データに対して線形結合演算を行い、複数の処理対象データグループを取得する前記ステップは、
前記X偏光状態データ又はY偏光状態データを第1の処理対象データとして使用するステップと、
前記X偏光状態データ及び前記Y偏光状態データを反転してから加算し、第2の処理対象データを取得するステップと、
前記X偏光状態データ及び前記Y偏光状態データを反転してからそれぞれ複素数の実数部及び虚数部として使用し、第3の処理対象データを取得するステップと、を含む、請求項2に記載の分散推定方法。
【請求項4】
前記処理対象データをフィルタリングし、隣接する周波数ポイント間の周波数スペクトル幅を設定された倍数で広げる前記ステップは、
波数領域データ長、及び隣接する周波数ポイント間の周波数スペクトル幅を予め広げるための設定された倍数に基づいて、窓関数を確定するステップと、
前記周波数領域データに対応する時間領域データに前記窓関数を加えるという処理に対応する周波数領域畳み込みによって周波数領域フィルタ係数を確定し、前記周波数領域フィルタ係数に基づいて、前記処理対象データをフィルタリングするステップと、を含む、請求項1に記載の分散推定方法。
【請求項5】
前記ターゲットデータグループに基づき、設定間隔値にそれぞれ対応するターゲット関数を計算する前記ステップは、
前記ターゲットデータグループに対して自己相関を行うステップと、
自己相関後の前記ターゲットデータグループを設定間隔値で共役乗算して累算して、前記設定間隔値に対応するターゲット関数を取得するステップと、を含む、請求項1に記載の分散推定方法。
【請求項6】
前記ターゲットデータグループに対して自己相関を行う前記ステップは、
前記ターゲットデータグループのうち、周波数領域上のボーレートごとのデータを共役乗算するステップを含む、請求項5に記載の分散推定方法。
【請求項7】
記ターゲット関数に対応する位相角値に基づいて、分散推定値を計算する前記ステップは、
異なる前記設定間隔値にそれぞれ対応するターゲット関数の位相角値間の関係が設定された条件を満たしているか否かに応じてマージして、前記ターゲット関数のターゲット位相角値を取得するステップと、
前記ターゲット位相角値、前記ターゲット位相角値に対応する設定間隔値、光速、光信号の中心波長、サンプリング周波数、離散フーリエ変換長及びシンボルレートに基づいて、分散推定値を計算するステップと、を含む、請求項1に記載の分散推定方法。
【請求項8】
異なる設定間隔値にそれぞれ対応するターゲット関数の位相角値間の関係が設定された条件を満たしているか否かに応じてマージして、前記ターゲット関数のターゲット位相角値を取得する前記ステップは、
隣接する2つの設定間隔値に対応するターゲット関数の位相角値を初期の第1の位相角値及び第2の位相角値として使用するステップと、
前記2つの設定間隔値の比と前記第1の位相角値との積に基づいて、対応する整数部分と小数部分を取得するステップと、
前記第2の位相角値と前記小数部分の差が第1の予め設定された値以上である場合、前記第2の位相角値と前記整数部分をマージしてから1を減算したものを更新後の第2の位相角値として使用するステップと、
前記第2の位相角値と前記小数部分の差が第2の予め設定された値未満である場合、前記第2の位相角値と前記整数部分をマージしてから1を加算したものを更新後の第2の位相角値として使用するステップと、
前記第2の位相角値と前記小数部分の差が前記第1の予め設定された値未満かつ前記第2の予め設定された値以上である場合、前記第2の位相角値と前記整数部分をマージしたものを更新後の第2の位相角値として使用するステップと、を含む第1のステップと、
前記更新後の第2の位相角値、及び順次選択された次の設定間隔値に対応するターゲット関数の位相角値を初期の第1の位相角値と第2の位相角値として使用し、前記設定間隔値に対応するターゲット関数の位相角値のマージが完了されて、前記ターゲット関数のターゲット位相角値を取得するまで、前記第1のステップに戻って実行する第2のステップと、を含む、請求項7に記載の分散推定方法。
【請求項9】
前記ターゲット位相角値、前記ターゲット位相角値に対応する設定間隔値、光速、光信号の中心波長、サンプリング周波数、離散フーリエ変換長及びシンボルレートに基づいて、分散推定値を計算する前記ステップの前に、
直近の複数回計算された前記ターゲット関数のターゲット位相角値を比較し、いずれか2つのターゲット位相角値の差の絶対値が閾値未満であると確定された場合、現在の取得された前記ターゲット位相角値を最終的なターゲット位相角として使用するステップと、
いずれかの2つのターゲット位相角値の差が閾値よりも大きいと確定された場合、前回の取得された前記ターゲット位相角値を最終的なターゲット位相角として使用するステップと、を含む、請求項7に記載の分散推定方法。
【請求項10】
前記ターゲット関数に対応する位相角値に基づいて、分散推定値を計算する前記ステップの前に、
前記ターゲット関数に対して平滑化フィルタリングを行うステップを含む、請求項1に記載の分散推定方法。
【請求項11】
前記ターゲット関数に対応する位相角値に基づいて、分散推定値を計算する前記ステップの前に、
設定長の複数のレジスタを構築し、直近の複数回計算された前記ターゲット関数の位相角値を前記レジスタに対応して格納し、各レジスタの累算結果に従って前記ターゲット関数に対応する位相角値を取得するステップを含む、請求項1に記載の分散推定方法。
【請求項12】
前記ターゲット関数に対応する位相角値に基づいて、分散推定値を計算する前記ステップの後、
直近の複数回計算された前記ターゲット関数のターゲット位相角値を比較し、いずれか2つのターゲット位相角値の差の絶対値が閾値未満であると確定された場合、現在の取得された前記分散推定値に基づいて、分散推定値を更新するステップと、
いずれかの2つのターゲット位相角値の差が閾値よりも大きいと確定された場合、前回の取得された前記分散推定値を維持するステップと、を含む、請求項1に記載の分散推定方法。
【請求項13】
フィルタリングされた前記処理対象データを抽出してターゲットデータグループを取得する前記ステップは、
フィルタリングされた前記処理対象データを設定された倍数と同じ数のデータグループに分け、前記データグループからターゲットデータグループを抽出する、ステップを含む請求項1に記載の分散推定方法。
【請求項14】
分散推定装置であって、
周波数領域データを取得し、前記周波数領域データに含まれる直交している2つの偏光状態データに基づいて、処理対象データを取得するように設けられる周波数領域データ取得モジュールと、
前記処理対象データをフィルタリングし、隣接する周波数ポイント間の周波数スペクトル幅を設定された倍数で広げるようにフィルタリングモジュールと、
フィルタリングされた前記処理対象データを抽出してターゲットデータグループを取得するように設けられる抽出モジュールと、
前記ターゲットデータグループに基づき、設定間隔値にそれぞれ対応するターゲット関数を計算し、前記ターゲット関数に対応する位相角値に基づいて、分散推定値を計算するように設けられる分散推定モジュールと、を備える、分散推定装置。
【請求項15】
光通信データコヒーレント受信機であって、前記光通信データコヒーレント受信機は、順次接続しているIQ不均衡補償モジュール、分散推定及び補償モジュール、偏光逆多重化モジュール、キャリア回復モジュール及び判決復号モジュールを備え、前記分散推定及び補償モジュールは、請求項1~13のいずれか1項に記載の分散推定方法を実現するために使用される、光通信データコヒーレント受信機。
【請求項16】
記憶媒体であって、前記記憶媒体に実行可能命令が記憶されており、前記実行可能命令がプロセッサに実行されると、請求項1~3のいずれか1項に記載の分散推定方法が実現される、記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2018年11月30日に中国特許庁に提出された、出願番号が201811449784.0であり、出願名称が「分散推定方法、装置、受信機及び記憶媒体」である中国特許出願に対する優先権を主張し、そのすべての内容が参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願は、光通信技術、特に分散推定方法、装置、受信機及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、社会情報化程度の継続的な向上に伴い、IP(Internet Protocol)に基づくデータサービスが爆発的に増長している。特に、エンドツーエンドのビデオ再生及びダウンロード、インターネットプロトコルテレビ(Internet Protocol Television、IPTVと略称)ネットワーク、モバイルインターネット、大規模なプライベートネットワークなどの異なる分野からの新しいアプリケーションの人気がますます高まり、メトロポリタンエリアネットワークとバックボーンネットワークの伝送帯域幅ニーズは、増え続けている。光ファイバ通信技術は、超高速、大容量、長距離、高い干渉防止性能及び低コストなどの利点で、バックボーンネットワークの容量負荷を解決するための最もよい選択となっている。
【0004】
デジタル信号処理技術(Digital signal processing、DSPと略称)、高速データ収集技術及び関連する光デバイスの急速な進みにより、データコヒーレント検出技術に基づく光ファイバ通信システムは、光通信分野における研究ホットスポットになっている。デジタルコヒーレント検出技術とマルチレベル信号変調フォーマット、及び偏光多重化(Palarization multiplexing、PMと略称)技術の組み合わせにより、システムの通信容量を倍増させることが可能となる。2010年から、PM-QPSK(Quadrature phase shift keyin、QPSKと略称)に基づく100G光通信モジュールは徐々に商用化され、より高いシングルチャネル400G、さらにはITの研究作業もホットスポットになっている。
【0005】
光ファイバ伝送システムでは、光ファイバチャネルの伝送ビット誤り率をできるだけ低減し、伝送品質を向上させて、信号伝送距離を長くすることは、システム設計の重要な指標である。伝送距離に影響を与える要因は、主に損失、非線形効果及び分散がある。ここで、ファイバ分散とは、送信側からの光パルス信号の異なる成分が異なる速度で、光ファイバ内で伝送され、異なる時点で受信側に到達する現象を指す。分散効果により、送信された信号は光ファイバで伝送された後、受信側でぼやけ、このぼやけにより、符号間干渉が発生し、さらに電力ペナルティにつながる。分散は累積可能な効果であり、伝送リンクが長いほど、分散の量が大きくなる。
【0006】
光学領域分散補償モジュールが追加されていないリンクでは、累積された分散の広いインパルス応答が数百又は数千のシンボルに分散される可能性があり、このため、分散補償が必要である。コヒーレント受信機のアルゴリズム処理では、正確な分散補償により、確実なクロックリカバリ及びキャリア同期が保証されてもよく、これは、その後の偏光均衡化にとっても非常に重要であり、不適切な分散補償は、デジタルコヒーレント受信機全体の完全な失敗につながる可能性がある。
【0007】
したがって、正確な分散推定を行うことは、システムの通常動作の第1のステップである。光スイッチングに基づく次世代の全光ネットワークでは、光路の動的構成を実現することは、発展動向であり、即ち、送信側と受信側の間の信号経路が動的に変化し、リンク内の累積された分散値が動的に変化すが、遅い推定プロセスは、その後の処理モジュールの初期化を明らかに遅らせるため、動的で高速な分散推定アルゴリズムは特に重要となる。上述したように、コヒーレント光通信では、ファイバリンクに累積された分散値を迅速かつ正確に推定することが非常に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の技術的課題を解決するために、本出願の実施例は、簡単で高速かつ高精度の分散推定方法、装置、受信機及び記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本出願の実施例の技術的解決策は、次のように実現される。
【0010】
分散推定方法は、周波数領域データを取得し、前記周波数領域データに含まれる直交している2つの偏光状態データに基づいて、処理対象データを取得するステップと、前記処理データをフィルタリングし、隣接する周波数ポイント間の周波数スペクトル幅を設定された倍数で広げるステップと、フィルタリングされた前記処理対象データを抽出してターゲットデータグループを取得するステップと、前記ターゲットデータグループに基づき、設定間隔値にそれぞれ対応するターゲット関数を計算し、前記ターゲット関数に対応する位相角値に基づいて、分散推定値を計算するステップと、を含む。
【0011】
分散値推定装置は、周波数領域データを取得し、前記周波数領域データに含まれる直交している2つの偏光状態データに基づいて、処理対象データを取得するための周波数領域データ取得モジュールと、前記処理対象データをフィルタリングし、隣接する周波数ポイント間の周波数スペクトル幅を設定された倍数で広げるためのフィルタリングモジュールと、フィルタリングされた前記処理対象データを抽出してターゲットデータグループを取得するため抽出モジュールと、前記ターゲットデータグループに基づき、設定間隔にそれぞれ対応するターゲット関数を計算し、前記ターゲット関数に対応する位相角値に基づいて、分散推定値を計算するための分散推定モジュールと、を備える。
【0012】
光通信データコヒーレント受信機であって、前記受信機は、順次接続しているIQ不均衡補償モジュール、分散推定及び補償モジュール、偏光逆多重化モジュール、キャリア回復モジュール及び判決復号モジュールを備え、前記分散推定及び補償モジュールは、本出願の実施例に記載されている分散推定方法を実現するために使用される。
【0013】
記憶媒体であって、前記記憶媒体に実行可能命令が記憶されており、前記実行可能な命令がプロセッサに実行される場合、本出願の実施例に記載されている分散推定方法が実現される。
【発明の効果】
【0014】
前記実施例によって提供される分散推定方法、装置、光通信データコヒーレント受信機及び記憶媒体では、周波数領域データを取得し、前記周波数領域データに含まれる直交している2つの偏光状態データに基づいて、処理対象データを取得し、前記処理対象データをフィルタリングし、隣接する周波数ポイント間の周波数スペクトル幅を設定された倍数で広げ、フィルタリングされた前記処理対象データらターゲットデータグループを抽出し、前記ターゲットデータグループに基づき、設定間隔値にそれぞれ対応するターゲット関数を計算し、前記ターゲット関数に対応する位相角値に基づいて、分散推定値を計算し、このようにして、周波数領域上でデータを処理及びフィルタリングし、周波数ポイントの周波数スペクトル幅を広げることにより、システムが周波数領域で処理するときにサンプリング周波数スペクトルに敏感であるという課題を回避し、正確な分散推定を実現することができ、かつターゲット関数に対応する位相角値に基づいて、分散推定値を計算することにより、分散推定アルゴリズムの計算量が簡素化され、分散値の正確な推定がより簡単な方法で実現され、システムリソースが節約され、システムの電力消費が削減される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本出願の一実施例における光通信データコヒーレント受信機の構造図である。
図2】本出願の一実施例における分散推定方法のフローチャートである。
図3】本出願の別の実施例における分散推定方法のフローチャートである。
図4】本出願の選択可能で具体的な実施例における分散推定方法のフローチャートである。
図5】本出願の別の選択可能で具体的な実施例における分散推定方法のフローチャートである。
図6】本出願のさらなる別の選択可能で具体的な実施例における分散推定方法のフローチャートである。
図7】本出願のさらなる別の選択可能で具体的な実施例における分散推定方法のフローチャートである。
図8】本出願の一実施例における分散推定装置の構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に明細書の図面及び具体的な実施例を組み合わせて本出願の技術的解決策をさらに詳しく説明する。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本出願の技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じである。ここでは本出願の明細書で使用される用語は、具体的な実施例を説明するためのものだけであり、本出願を限定することを意図しない。本明細書で使用される用語「及び/又は」は、1つ又は複数の関連する、示される項目のいずれか又はすべての組み合わせを含む。
【0017】
以下の説明では、「いくつかの実施例」の説明が言及され、それは、すべての可能な実施例のサブセットを説明するが、「いくつかの実施例」がすべての可能な実施例の同じ又は異なるサブセットであってもよく、矛盾せずに互いに組み合わせられてもよいことを理解すべきである。
【0018】
ファイバリンクにおける累積された分散値(Chromatic Dispersion、CDと略称)を迅速かつ正確に推定できるために、本出願の発明者は、関連技術で提供される適応分散推定アルゴリズムが主に第1、分散走査に基づく分散推定方法、第2、データ支援に基づく分散推定アルゴリズム、第3、ゴダールクロックトーン(Godard Clock Tone、GCTと略称)ベストマッチングに基づく適応分散補償アルゴリズムを含むことを、研究で発見した。
【0019】
ここで、第1、分散走査に基づく分散推定方法については、異なる分散値を試してターゲット関数を監視する必要があり、長い時間がかかり、試行回数によって進行状況が制限され、精度が保証できなく、そのため、分散走査に基づく分散推定方法は、分散値の推定時間が長く、分散推定の精度が低いという課題があり、第2、データ支援に基づく分散推定アルゴリズムについては、トレーニングシーケンスに依存する必要があり、即ち、チャネルのアプリオリ情報を使用してチャネルの分散応答を計算し、次に時間領域又は周波数領域でフィルタ係数の解を解く必要があり、これらの2つのアルゴリズムの推定速度が遅く、その後の位相回復、チャネル均衡化などのモジュールの速度に影響を与え、第3、GCTベストマッチングに基づく適応分散補償アルゴリズムについては、周期的信号は、そのクロック周波数にGCTと呼ばれる強い周波数スペクトル成分がある。
【0020】
GCTの振幅又は電力(振幅の2乗)は、信号の残り分散に極めて敏感であり、分散推定パラメータとして使用されてもよく、GCTベストマッチングに基づく分散推定方法は、高速システムにおいてサンプリング周波数オフセットに敏感であり、同時に、既存のGCTベストマッチングに基づく分散推定方法は、分散走査方式を使用するか、又は直接計算するにかかわらず、複雑さが高い。
【0021】
受信側では、長距離伝送における累積された色度分散の広いインパルス応答は、数百又は数千個のシンボルに分散する可能性があり、かつ信号サンプリング周波数の2乗と正比例し、効率を考慮するために、周波数領域補償を実現するときの高速フーリエ変換(Fast Fourier Transformation、FFTと略称)長が大きく、FFT長が比較的大きく、周波数スペクトルが密であるため、システムは、周波数領域で処理するときにサンプリング周波数スペクトルに敏感である。
【0022】
同時に、FFT長が大きいため、計算するときに非常に複雑になり、膨大なリソースが必要になる。これに基づいて、本出願の発明者は、周波数領域上でデータ処理及びフィルタリングを行い、周波数ポイントの周波数スペクトル幅を広げることにより、分散推定法におけるサンプリング周波数スペクトルに敏感な課題を解決することができることを研究において任意選択で発見した。これにより、簡単で迅速かつ高精度の分散推定方法、分散推定方法を実現するための分散推定装置、光通信データコヒーレント受信機及び記憶媒体を提供する。
【0023】
図1を参照すると、本出願の一実施例による光通信データコヒーレント受信機は、順次接続しているIQ不均衡補償モジュール11、分散推定及び補償モジュール12、偏光逆多重化モジュール13、キャリア回復モジュール14及び判決復号モジュール15を備える。
【0024】
ここで、IQ不均衡補償モジュール11は、IQ不均衡を補償するために使用される。ベースバンドサンプルを使用するデジタル通信受信機のアナログ領域では、無線周波数又は中間周波数信号をベースバンドにダウンコンバートした後、当該ベースバンド信号をアナログ-デジタルコンバーター(Analog-to-Digital Converter、ADCと略称)によりデジタル信号に変換する。この場合、ベースバンドにダウンコンバートすると、同相信号と直交信号に分離され、これは、1つの局部発振器(Local Oscillator)が同じゲインと90度の位相差を持つ2つの正弦波(任意選択で余弦、正弦波)を使用することで達成される。しかし、これらのプロセスは、アナログ領域で実行されるため、誤差が発生する。
【0025】
特に、ダウンコンバートに使用される余弦波と正弦波の間にゲインと位相誤差が発生し、このとき、これらの誤差は、受信機の性能に深刻な影響を与える可能性があり、これは、IQ不均衡と呼ばれる。
【0026】
分散推定及び補償モジュール12は、受信機システムにおける分散補償データストリームを使用して分散値推定を行い、分散推定値をシステムの分散補償に用いるために使用される。
【0027】
偏光逆多重化モジュール13は、偏光逆多重化技術を実現するために使用される。偏光多重化とは、同じ波長又は異なる波長の2つの光を1本の光ファイバで同時に独立して伝送することができ、そのため、帯域幅リソースを追加することなく、光ファイバの情報伝送容量を倍増させることを指す。多重化技術とは、信号送信側で複数の信号を異なる方法又は区別方式で組み合わせ、同じチャネルで伝送した後、受信側で元の多重化された信号を分離して、効果的な利用の目的を達成することを指す。逆多重化方式は、主に直接検出とコヒーレント検出とを含む。
【0028】
キャリア回復モジュール14は、変調された信号から元のキャリアを回復するというキャリア回復に使用される。キャリア回復方法は、主に、送信側でデジタル信号シーケンスを送信するとともに、キャリア又はそれに関連するパイロット信号を送信し、受信側で狭帯域フィルタ又はフェーズロックループによってキャリアを直接抽出する方法、及び受信信号が、キャリアが抑制された変調信号であり、デジタル信号に対して非線形変換を実行するか、特殊なフェーズロックループを使用することにより、コヒーレントキャリアを取得する方法という2つの方法を含む。
【0029】
判決復号モジュール15は、誤り訂正コードへの最適又は最適に近い復号を達成するために使用される。判決復号は、主にソフト判決復号とハード判決復号とを含み、ソフト判定復号とは、デジタルデータを使用して誤り訂正コードを復号することを指し、ハード判決復号とは、デコーダがコードの代数構造により誤り訂正コードを復号することを指す。
【0030】
図2を参照すると、本出願の一実施例による分散値推定方法は、図1に示す受信機に応用されてもよく、具体的には、本出願の実施例による分散値推定方法は、受信機システムの分散推定及び補償モジュールにおける分散推定に応用されてもよい。当該分散推定方法は、以下のステップを含む。
【0031】
ステップ101において、周波数領域データを取得し、周波数領域データに含まれる直交している2つの偏光状態データに基づいて、処理対象データを取得する。
【0032】
ここでは、周波数領域データは、分散補償における既存の周波数領域データであってもよく、時間領域データを周波数領域変換して得られた周波数領域データであってもよい。直交している2つの偏光状態データは、互いに独立している。受信機が周波数領域データを取得し、周波数領域データに含まれる直交している2つの偏光状態データに基づいて、処理対象データを取得することは、受信機が周波数領域データを取得し、周波数領域データを前処理し、前処理により2つの互いに独立した偏光状態データを分離し、それぞれ処理対象データとして使用すること、又は、前処理により2つの互いに独立した偏光状態データに対して線形結合を行い、2つの偏光状態成分をそれぞれ含む、線形結合後の複数の処理対象データを形成することを指す。
【0033】
ここで、時間領域データを周波数領域変換して周波数領域データを取得することは、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transition、FFTと略称)により実現されてもよく、2つの偏光状態データは、それぞれX[K]とY[K]で表されてもよい。
【0034】
ステップ103において、処理対象データをフィルタリングし、隣接する周波数ポイント間の周波数スペクトル幅を設定された倍数で広げる。
【0035】
処理対象データをフィルタリングする目的は、周波数ポイントに対応する周波数スペクトル範囲を広げて、サンプリング周波数オフセットに抵抗する能力を高めることである。
【0036】
隣接する周波数ポイント間の周波数スペクトル幅を広げるための設定された倍数は、フィルタ係数を設定することで実現されてもよく、当該設定された倍数は、予め計算又はシミュレートされてもよいし、経験値に基づいて、予め設定されてもよく、例えば、設定された倍数は、2倍又は3倍であってもよい。なお、ステップ101に従って得られた処理対象データが通常、2つ以上のグループを含むため、処理対象データに対してフィルタリングなどの後続処理を行う場合、各処理対象データグループごとにそれぞれ独立して行う。
【0037】
ステップ105において、フィルタリングされた処理対象データを抽出してターゲットデータグループを取得する。
【0038】
ここで、フィルタリングされた処理対象データを抽出することは、フィルタリングされた後に出力されるデータを複数のグループに分け、複数のグループから1つのグループを抽出することを指す。データフィルタリングのためのフィルタ係数の設定に従って、フィルタリングされた後に出力される処理対象データを抽出することができる。なお、ステップ101に従って得られる処理対象データは、通常、2つ以上のグループに含まれ、処理対象データに対してフィルタリングなどの後続処理を行う場合、各処理対象データグループごとにそれぞれ独立して行い、それに対応して、フィルタリングされた処理対象データを抽出する場合、処理対象データグループごとにそれぞれ独立して行う。
【0039】
ステップ107において、ターゲットデータグループに基づき、設定間隔値にそれぞれ対応するターゲット関数を計算し、ターゲット関数に対応する位相角値に基づいて、分散推定値を計算する。
【0040】
設定間隔値が複数含まれてもよく、ターゲット関数が設定間隔値にそれぞれ対応する複数のターゲット関数を含み、受信機がターゲットデータグループに基づき、設定間隔値にそれぞれ対応するターゲット関数を計算し、ターゲット関数に対応する位相角に基づいて、分散推定値を計算するステップは、受信機がターゲット関数の位相角値をそれぞれ計算し、複数の設定間隔値にそれぞれ対応するターゲット関数の位相角値をマージして、最終的なターゲット関数に対応する位相角を取得して分散推定値を計算するステップを含む。
【0041】
前記実施例では、当該分散推定方法では、周波数領域データを取得し、周波数領域データに含まれる直交している2つの偏光状態データに基づいて、処理対象データを取得し、処理対象データをフィルタリングし、隣接する周波数ポイント間の周波数スペクトル幅を設定された倍数広げ、フィルタリングされた処理対象データを抽出してターゲットデータグループを取得し、ターゲットデータグループに基づき、設定間隔値にそれぞれ対応するターゲット関数を計算し、ターゲット関数に対応する位相角値に基づいて、分散推定値を計算し、このようにして、周波数領域上でデータを処理及びフィルタリングし、周波数ポイントの周波数スペクトル幅を広げることにより、システムが周波数領域で処理するときにサンプリング周波数スペクトルに敏感であるという課題を回避し、正確な分散推定を実現することができ、かつターゲット関数に対応する位相角値に基づいて、分散推定値を計算することにより、分散推定アルゴリズムの計算量が簡素化され、分散値の正確な推定がより簡単な方法で実現され、システムリソースが節約され、システムの電力消費が削減される。
【0042】
いくつかの実施例では、周波数領域データに含まれる直交している2つの偏光状態データに基づいて、処理対象データを取得するステップは、
周波数領域データのうち、X偏光状態データとY偏光状態データをそれぞれインデックスで奇数と偶数に分け、偶数インデックスの周波数領域データを反転し、奇数インデックスの周波数領域データを変更しなく、前処理されたX偏光状態データ及びY偏光状態データを取得するステップと、
前処理されたX偏光状態データ及びY偏光状態データをそれぞれ処理対象データとして使用し、又は、前処理されたX偏光状態データ及びY偏光状態データに対して線形結合演算を行い、複数の処理対象データグループを取得するステップとを含む。
【0043】
ここで、周波数領域データを前処理して処理対象データを取得するステップは、取得された周波数領域データのうち、X偏光状態データとY偏光状態データをそれぞれインデックスで奇数と偶数に分け、すべての偶数インデックスの周波数領域データに-1を乗算し、奇数インデックスの周波数領域データを変更しなく、前処理されたX偏光状態データ及びY偏光状態データを取得するステップを含む。
【0044】
X偏光状態データを例とすると、X偏光状態データのうち、偶数インデックスの周波数領域データに-1を乗算し、奇数インデックスの周波数領域データを変更しなく、前処理されたX偏光状態データを取得することは、次の式で表されてもよい:X′[K]=X[K]*(-l)K、ここで、K=0、1、…N-1、Nは周波数領域データ長である。2つの偏光状態が互いに独立しており、前処理されたX偏光状態データX[K]及びY偏光状態データY[K]をそれぞれ2つの処理対象データグループとして使用し、又は、前処理されたX偏光状態データX[K]及びY偏光状態データY[K]に対して線形結合演算を行って、異なる方向の複数の処理対象データグループを取得する。
【0045】
いくつかの実施例では、前処理されたX偏光状態データ及びY偏光状態データに対して線形結合演算を行い、複数の処理対象データグループを取得するステップは、
X偏光状態データ又はY偏光状態データを第1の処理対象データとして使用するステップと、
X偏光状態データとY偏光状態データを反転してから加算し、第2の処理対象データを得るステップと、
X偏光状態データとY偏光状態データを反転してからそれぞれ複素数の実数部及び虚数部として使用して、第3の処理対象データを取得するステップとを含む。
【0046】
ここで、線形結合演算が主に対応する偏光状態データに対する反転、線形加算及び複素数加算の方式を含むため、X偏光状態データ及び/又はY偏光状態データを含む3つの異なる方向の3つの処理対象データグループを取得する。具体的には、第1の処理対象データX1[K]は、X偏光状態データ、又はY偏光状態データを反転したものであり、X偏光状態データを例とすると、次の式で求めることができる:
1[K]=X′[K]
【0047】
第2の処理対象データX2[K]は、X偏光状態データとY偏光状態データを反転してから線形加算することで得られ、次の式で求められてもよい:
Y′[K]=Y[K]*(-1)K
2[K]=X′[K]+Y′[K]
【0048】
第3の処理対象データX3[K]は、X偏光状態データとY偏光状態データを反転してから複素数加算することで得られ、次の式で求められてもよい:
3[K]=X′[K]+jY′[K]、ここで、jは虚数単位である。
【0049】
なお、X偏光状態データとY偏光状態データに対して線形結合演算を行い、複数の処理対象データグループを取得する前記計算プロセスでは、X偏光状態データとY偏光状態データは交換可能であり、例えば、第1の処理対象データは、Y偏光状態データY[K]であってもよく、第3の処理対象データは、Y偏光状態データを反転してから複素数の実数部とし、X偏光状態データを複素数の虚数部として使用することができる。
【0050】
前記実施例では、X偏光状態データとY偏光状態データに対して線形結合演算を行い、3つの異なる方向の処理対象データを得てそれぞれ分散値の推定を行うことにより、色度分散推定に対する偏光分散の影響を回避することができる。
【0051】
いくつかの実施例では、処理対象データをフィルタリングし、隣接する周波数ポイント間の周波数スペクトル幅を設定された倍数で広げるステップは、
周波数領域データ長、及び隣接する周波数ポイント間の周波数スペクトル幅を予め広げるための設定された倍数に基づいて、窓関数を確定するステップと、
周波数領域データに対応する時間領域データに窓関数を加えるという処理に対応する周波数領域畳み込みによって周波数領域フィルタ係数を確定し、周波数領域フィルタ係数に基づいて、処理対象データをフィルタリングするステップとを含む。
【0052】
ここで、周波数領域フィルタ係数は、周波数領域データに対応する時間領域データに指定された長さの窓関数を加えるという処理に対応する周波数領域畳み込みによって確定される。周波数領域データ長がNであり、隣接する周波数ポイント間の周波数スペクトル幅を予め広げるための設定された倍数がMであることを例とすると、周波数領域データ長、及び隣接する周波数ポイント間の周波数スペクトル幅を予め広げるための設定された倍数に基づいて、窓関数を確定するステップは、周波数領域データ長と周波数ポイント間の周波数スペクトル幅を事前に広げるための設定された倍数との比N/Mに基づいて、窓関数の長さを確定するステップを含み、窓関数のタイプは、具体的な状況に応じて選択されてもよく、例えば矩形窓、ハミング窓などであってもよい。
【0053】
前記実施例では、周波数領域内の隣接する周波数ポイント間の周波数スペクトル幅を元のM倍に広げると、フィルタ係数は、周波数領域データに対応する時間領域データにN/M長さの窓関数を加えた後の対応する周波数領域フィルタ係数であり、即ち、周波数領域がフィルタリングされた後の効果は、時間領域のデータの中央にあるN/Mのデータに窓関数を加えることと同等であり、このようにして、周波数ポイントに対応する周波数スペクトル範囲を元のM倍に広げて、サンプリング周波数オフセットに抵抗する能力を高め、その後の分散推定では、サンプリング周波数オフセットが存在するため、データが共役乗算されたときの周波数ポイントオフセットによるターゲット関数の誤差の増加又は完全な誤りを回避し、2つの周波数ポイント間の周波数スペクトル幅を増やすことにより、周波数ポイントオフセットの課題を解決することができる。
【0054】
いくつかの実施例では、図3を参照すると、ターゲットデータグループに基づき、設定間隔値にそれぞれ対応するターゲット関数を計算するステップ107は、
ターゲットデータグループに対して自己相関を行うステップ1071と、
自己相関後のターゲットデータグループを設定間隔値で共役乗算して累算して、設定間隔値に対応するターゲット関数を取得するステップ1072と、を含む。
【0055】
自己相関とは、ある時点での信号の瞬時値と別の時点での瞬時値の間の依存関係を指す。設定間隔値の大きさは、実際の応用状況に応じて確定されてもよく、通常、設定間隔値が小さいほど、推定値の範囲が大きくなり、対応する精度が低くなり、逆に、設定間隔値が大きいほど、推定値が小さくなり、対応する精度が高くなる。複数の設定間隔値にそれぞれ対応するターゲット関数を取得するために、当該設定間隔値の数を複数にすることができる。
【0056】
任意選択で、設定間隔値をΔで表し、ステップ101で周波数領域データを前処理することによって得られた処理対象データのX偏光状態データを例とすると、自己相関後のターゲットデータグループを設定間隔値で共役乗算及び累算して、設定間隔値に対応するターゲット関数を得て、その式(6)は次のとおりである:
【0057】
ここで、Rx[n]は、自己相関後のデータを表し、
である。設定間隔値に複数のグループ、例えばΔ2、Δ3…が含まれる場合、対応するターゲット関数F2、F3…を取得することができ、ここで、計算式は前記式(6)と同じであり、ここでは説明を省略する。
【0058】
前記実施例では、自己相関の出力を設定間隔値で共役乗算して累算して、設定間隔値に対応するターゲット関数を得ることにより、設定間隔値の大きさ及び数は、推定値範囲の精度を調整するために、実際の応用状況に応じて確定されてもよい。
【0059】
いくつかの実施例では、ターゲットデータグループに対して自己相関を行うステップ1071は、ターゲットデータグループのうち、周波数領域上のボーレートごとのデータを共役乗算するステップを含む。
【0060】
ターゲットデータグループとは、処理対象データを抽出した後に得られたデータを指す。
【0061】
ターゲットデータグループに対して自己相関を行うことは、周波数領域上のボーレートごとのデータを共役乗算することを指す。ステップ101で周波数領域データを前処理することによって得られた処理対象データがそれぞれX偏光状態データX[K]とY偏光状態データY[K]であることを依然として例とすると、処理対象データX[K]、Y[K]をフィルタリングし、抽出することによって得られたターゲットデータグループは、それぞれDX[L]とDK[L]で表され、X偏光状態データX′[K]を例とすると、ターゲットデータグループDX[L]に対する自己相関は、次の式(7)で実現されてもよい:
【0062】
ここで、

はデータに対して共役をとることを示す。
【0063】
いくつかの実施例では、ステップ107において、設定間隔値が複数の異なる設定間隔値を含み、ターゲット関数に対応する位相角値に基づいて、分散推定値を計算するステップは、
異なる設定間隔値にそれぞれ対応するターゲット関数の位相角値間の関係が設定された条件を満たしているか否かに応じてマージして、ターゲット関数のターゲット位相角値を取得するステップ1073と、
ターゲット位相角値、ターゲット位相角値に対応する設定間隔値、光速、光信号の中心波長、サンプリング周波数、離散フーリエ変換長及びシンボルレートに基づいて、分散推定値を計算するステップ1074と、を含む。
【0064】
設定間隔値は複数であり、かつ異なる大きさの設定間隔値であり、設定間隔値が小さいほど、推定値の範囲が大きくなり、対応する精度が低くなり、逆に、設定間隔値が大きいほど、推定値の範囲が小さくなり、対応する精度が高くなり、複数の異なる設定間隔値により、複数の設定間隔値にそれぞれ対応するターゲット関数を得て、ターゲット関数にそれぞれ対応する位相角値に基づいて、位相計算を行い、位相計算によって出力されたターゲット位相角値に対応する係数を乗算して分散推定値を取得する。
【0065】
ここで、対応する係数は、ターゲット位相角値に対応する設定間隔値、光速、光信号の中心波長、サンプリング周波数、離散フーリエ変換長及びシンボルレートによって確定され、ターゲット位相角値、ターゲット位相角値に対応する、設定間隔値、光速、光信号の中心波長、サンプリング周波数、離散フーリエ変換長及びシンボルレートに基づいて、分散推定値を計算し、計算式は次の式8のとおりである:
【0066】
ここで、cは光速であり、単位がメートル/秒(m/s)であり、λは周波数領域データに対応する光信号の中心波長であり、単位がナノメートル(nm)であり、nfftは、離散フーリエ変換長であり、
は、サンプリング周波数を表し、単位がGHzであり、
は、シンボルレートを表し、単位がGbaudであり、最終的に出力された分散推定値CDの単位はナノ秒/ナノメートル(ns/nm)である。
【0067】
いくつかの実施例では、異なる設定間隔値にそれぞれ対応するターゲット関数の位相角値間の関係が設定された条件を満たしているか否かに応じてマージして、ターゲット関数のターゲット位相角値を取得するステップ1073は、
隣接する2つの設定間隔値に対応するターゲット関数の位相角値を初期の第1の位相角値と第2の位相角値として使用するステップと、
2つの設定間隔値の比と第1の位相角値との積に基づいて、対応する整数部分と小数部分を取得するステップと、
第2の位相角値と小数部分の差が第1の予め設定された値以上である場合、第2の位相角値と整数部分をマージしてから1を減算したものを更新後の第2の位相角値として使用するステップと、
第2の位相角値と小数部分の差が第2の予め設定された値未満である場合、第2の位相角値と整数部分をマージしてから1を加算したものを更新後の第2の位相角値として使用するステップと、
第2の位相角値と小数部分の差が第1の予め設定された値未満かつ第2の予め設定された値以上である場合、第2の位相角値と整数部分をマージしたものを更新後の第2の位相角値として使用するステップと、
更新後の第2の位相角値、及び順次選択された次の設定間隔値に対応するターゲット関数の位相角値を初期の第1の位相角値と第2の位相角値として使用し、設定間隔値に対応するターゲット関数の位相角値のマージが完了されて、ターゲット関数のターゲット位相角値を取得するまで、前記のステップに戻って実行する。
【0068】
ここで、設定間隔値の数がw(w>1)個であり、かつ
と仮定される。
【0069】
ここで、設定間隔値Δ1に対応するターゲット関数F1の位相角値は
であり、設定間隔値Δ2に対応するターゲット関数F2の位相角値は
であり、これによって類推し、設定間隔値Δwに対応するターゲット関数F3の位相角は
である。
【0070】
第1の予め設定された値が0.5であり、第2の予め設定された値が-0.5であることを例とすると、異なる設定間隔値にそれぞれ対応するターゲット関数の位相角値間の関係が設定された条件を満たしているか否かに応じて、
を次の式の(9)~(11)のようにマージする:
【0071】

であれば、

であれば、
【0072】
他の場合
【0073】
ここで、angle(・)がデータの位相角をとることを表し、floor(・)が切り捨てを表すため、前記の式(10)では、itrは、2つの設定間隔値の比と第1の位相角の積に基づいて、得られた整数部分を表し、uは小数部分を表し、n=2、3、…wである。
【0074】
ここで、nの値が2である場合、

はそれぞれ


であり、即ち、

を初期の第1の位相角値と第2の位相角値として式(9)~式(11)に従ってマージを実行し、更新後の
を取得し、更新後の
及び順次選択された
(即ちnの値が3である場合)を初期の第1の位相角値と第2の位相角値として式(9)~(11)に従ってマージを実行し、更新後の
を取得し、これによって類推し、設定間隔値に対応するターゲット関数の位相角値のマージが完了され、ターゲット関数のターゲット位相角値
を取得する。
【0075】
いくつかの実施例では、ターゲット位相角値、ターゲット位相角値に対応する設定間隔値、光速、光信号の中心波長、サンプリング周波数、離散フーリエ変換長及びシンボルレートに基づいて、分散推定値を計算するステップ1074の前に、
直近の複数回計算されたターゲット関数のターゲット位相角値を比較し、いずれかの2つのターゲット位相角値の差の絶対値が閾値未満であると確定された場合、現在の取得されたターゲット位相角値を最終的なターゲット位相角として使用するステップと、
いずれかの2つのターゲット位相角値の差が閾値よりも大きいと確定された場合、前回の取得されたターゲット位相角値を最終的なターゲット位相角として使用するステップとを含む。
【0076】
ここで、直近の複数回計算されたターゲット関数のターゲット位相角値は、現在の時点までの直近の複数回計算されたNL個のターゲット関数のターゲット位相角値を指すことができ、ここで、NLの値は、実際のニーズに応じて設定されてもよい。これらのNL個のターゲット位相角値のいずれかの2つのターゲット位相角値の差の絶対値が閾値未満である場合、現在の計算されたターゲット位相角値を最終的なターゲット位相角値として選択し、それによって現在の計算されたターゲット位相角値に基づいて、分散推定値を計算し、これらのNL個のターゲット位相角値のいずれかの2つのターゲット位相角値の差が閾値よりも大きい場合、前回の取得されたターゲット位相角値を最終的なターゲット位相角値として使用し、それによって当該前回の取得されたターゲット位相角値で分散推定値を計算する。
【0077】
いくつかの実施例では、ターゲット関数に対応する位相角値に基づいて、分散推定値を計算するステップの前に、
ターゲット関数に対して平滑化フィルタリングを行うステップを含む。
【0078】
ここで、ターゲット関数に対して平滑化フィルタリングを行うためのフィルタ係数についてローパスフィルタ係数を使用する。ターゲット関数
を例とすると、平滑化フィルタリングを行って得られたフィルタ出力は
である。
【0079】
いくつかの実施例では、ターゲット関数に対応する位相角値に基づいて、分散推定値を計算するステップの前に、
設定長の複数のレジスタを構築し、直近の複数回計算されたターゲット関数の位相角値をレジスタに対応して格納し、各レジスタの累算結果に従ってターゲット関数に対応する位相角値を取得するステップを含む。
【0080】
ここで、レジスタの設定長は、レジスタに格納された直近の複数回計算されたターゲット関数の位相角値の計算回数と同じである。
【0081】
レジスタの数は、ターゲット関数の数に対応している。ターゲット関数が
であり、直近のNL回計算されたターゲット関数の位相角値をレジスタに対応して格納することを例とすると、W個の長さNLとなるレジスタを構築し、bufferl、buffer2、…、buffer Wで表し、直近のNL回計算されたターゲット関数
をそれぞれ格納する。
【0082】
bufferl-Wでは初期値はすべてNL個の0であり、bufferl_Wでの累算結果に対応するターゲット関数は
であり、bufferl-Wでの累算結果から得られたターゲット関数
に基づいて、ターゲット関数のターゲット位相角値を計算する。
【0083】
別の選択可能な実施例では、直近の複数回計算されたターゲット関数のターゲット位相角値を比較することは、bufferl-Wでの累算結果に対応するターゲット関数
の位相角に基づいて計算された直近のNL個のターゲット位相角値を比較することであってもよく、これらのNL個の位相角値のいずれかの2つの位相角値の差の絶対値が閾値未満である場合、現在の計算されたターゲット位相角値
を最終的なターゲット位相角値として選択し、これらのNL個のターゲット位相角値のいずれかの2つのターゲット位相角値の差の絶対値が閾値よりも大きい場合、前回の得られたターゲット位相角値
を最終的なターゲット位相角値として使用する。
【0084】
いくつかの実施例では、ターゲット関数に対応する位相角値に基づいて、分散推定値を計算するステップの後、
直近の複数回計算されたターゲット関数のターゲット位相角値を比較し、いずれかの2つのターゲット位相角値の差の絶対値が閾値未満であると確定された場合、現在の取得された分散推定値に基づいて、分散推定値を更新するステップと、
いずれかの2つのターゲット位相角値の差が閾値よりも大きいと確定された場合、前回の取得された分散推定値を維持するステップとを含む。
【0085】
ここで、直近の複数回計算されたターゲット関数のターゲット位相角値は、現在の時点までの直近の複数回計算されたNL個のターゲット関数のターゲット位相角値を指すことができ、ここで、NLの値は、実際のニーズに応じて設定されてもよい。これらのNL個のターゲット位相角値のいずれかの2つの差の絶対値が閾値未満である場合、分散推定値の更新が開始され、逆に、分散推定値の更新が停止され、前回の分散推定値が維持される。
【0086】
いくつかの実施例では、フィルタリングされた処理対象データを抽出してターゲットパラメータグループを取得するステップ105は、
フィルタリングされた処理対象データを設定された倍数と同じ数のデータグループに分け、データグループからターゲットデータグループを抽出するステップを含む。
【0087】
ここで、データ抽出は、データフィルタリングにおけるフィルタ係数の設定に関連している。周波数領域内の2つの周波数ポイント間の周波数スペクトル幅を元のM倍に変更すると、フィルタリングされた処理対象データをM個のグループに分け、M個ごとのデータを1グループとして使用する。当該処理対象データをM個のグループに分けて得られたデータグループは次のように表現されてもよい。
【0088】
インデックスL.M+1のデータループは第1のグループとして見なされ、インデックスL.M+2のデータグループは第2のグループと見なされ、これによって類推して、インデックスL.M+Mのデータグループは、第Mのグループと見なされ、
である。
【0089】
データグループから抽出されたターゲットデータグループについては、Mグループのうちの第Pのグループをターゲットデータグループとして選択することができる。
ここで、Pは予め設定されてもよく、かつ1~Mのいずれかの値に設定されてもよい。
【0090】
本出願の実施例による分散推定方法の実施プロセスをさらに具体的に理解できるために、以下に分散推定方法の4つの選択可能な実施例を説明する。
【0091】
図4を参照すると、当該分散推定方法は次のステップを含む。
【0092】
ステップS11において、データの前処理には、X偏光状態データとY偏光状態データをそれぞれ処理対象データとして使用し、
周波数領域データを取得し、データの前処理により、取得された周波数領域データをインデックスで奇数と偶数に分け、すべての偶数インデックスの周波数領域データに-1を乗算し、奇数インデックスの周波数領域データを変更しない。超高速ファイバ通信ではデータは、X偏光状態とY偏光状態の2つの交差する偏光状態に分けられ、2つの偏光状態は、互いに独立している。X偏光状態データを例とすると、Y偏光状態データへの操作と同じでる。X偏光状態データの前処理とは、次の方式で処理することを指す:X′[K]=X[K]・(-l)K、ここでK=0、1、2…N-1。Nは周波数領域データ長である。
【0093】
ステップS12において、データを前処理してから出力された処理対象データをフィルタリングして出力する。
【0094】
ここで、前処理されたX偏光状態データX[K]とY偏光状態データY[K]に対してFIRフィルタリングを別々に行う。フィルタリングの目的は、周波数ポイントに対応する周波数スペクトル範囲を広げて、サンプリング周波数オフセットに抵抗する能力を高めることである。分散推定では、その後、周波数領域データの周波数領域上のボーレートごとのデータに対して共役乗算を行う必要がある。サンプリング周波数オフセットがあるため、共役乗算を行うときの周波数ポイントがオフセットする可能性があり、その結果、ターゲット関数は、誤差が増加するか、又は完全に誤る。2つの周波数ポイント間の周波数スペクトル幅を増やすことにより、周波数ポイントオフセットの課題を回避できる。
【0095】
フィルタ係数は、システムの具体的な条件に応じて設定されてもよく、具体的には、周波数ポイントを元の周波数ポイントの数倍(事前に計算又はシミュレーションされ得る)に広げる必要があり、この値も経験に従って一般的に2倍又は3倍である。周波数領域内の2つの周波数ポイント間の周波数スペクトル幅を元のM倍に広げると、フィルタ係数は、時間領域にN/M長さの窓を加えた後の対応する周波数領域フィルタ係数、即ち周波数領域がフィルタリングされた後の効果は、時間領域上のデータの中央にあるN/Mのデータに窓関数を加えることと同等であり、窓関数は、具体的な状況に応じて選択されてもよく、例えば矩形窓、ハミング窓などであってもよい。Nは周波数領域データ長であり、Mは2以上の整数である。
【0096】
ステップS13において、データをフィルタリングしてから出力されたデータを抽出し、
データフィルタリングにおけるフィルタ係数の設定に従って、データフィルタリング出力に対してデータ抽出を行う。X偏光状態データとY偏光状態データに対してデータ抽出を別々に行う。
【0097】
周波数領域内の2つの周波数ポイント間の周波数スペクトル幅を元のM倍に変更すると、データをフィルタリングして出力されたデータをM個のグループに分けて、M個ごとのデータを1つのグループとして使用する。具体的には、インデックスL.M+1のデータグループは第1のグループと見なされ、インデックスL.M+2のデータグループは第2のグループと見なされ、これによって類推して、インデックスL.M+Mのデータグループは、第Mのグループと見なされる。
【0098】
Mグループのうちの第Pのグループを出力として選択すると、Pは1~Mのいずれかの値に設定されてもよい。第Pのグループが出力として選択されると、それ以降のすべてのデータ抽出操作では、第Pのグループを出力として選択する必要があることに注意すべきである。Pはパラメータとしてシステムの起動時又は再起動時のみに設定されてもよく、その他の場合は変更できない。
【0099】
ステップS14において、抽出されたデータに対して自己相関操作を行う。
【0100】
周波数領域上のボーレートごとのデータを共役乗算する。X偏光状態データとY偏光状態データに対してデータ抽出を行う出力はそれぞれDX[L]、DY[L]であり、
であると仮定される。例としてX偏光状態データを使用しても、Y偏光状態データを使用しても同じ効果があり、抽出されたデータに対する自己相関操作のための計算式は次のとおりである:
【0101】
ここで、

はデータに対して共役をとることを示す。
【0102】
ステップS15において、自己相関操作が行われた後のデータを設定間隔値で共役乗算及び累算して、ターゲット関数を取得する。
【0103】
ターゲット関数を予め設定された間隔値Δで計算し、


設定された間隔値は、複数のグループであってもよく、例えばΔ2、Δ3…であり、そのため、対応するターゲット関数を取得することができる。
【0104】
S16において、ターゲット関数に対応する位相角値に基づいて、位相計算を行い、ターゲット関数の最終的な位相角値を取得し、
ターゲット関数に対応する位相角値を計算し、異なる間隔値の位相角値をマージし、設定間隔値の数がW(W>1)個であり、かつ
と仮定される。
【0105】
Δ1に対応する位相角値は
であり、Δ2に対応する位相角値は
であり、これによって類推し、Δwに対応する位相角値は
である。
【0106】

に対して次のマージ操作を行う:


であれば、

であれば、
【0107】
他の場合

【0108】
ここで、
は最終的なターゲット関数の位相角値である。
【0109】
ここでは、,

はデータの位相角をとることを示し、
は切り捨てを示す。
【0110】
S17において、位相計算によって出力されたターゲット関数の位相角値に基づいて、分散推定値を計算して出力する。
【0111】
位相計算によって出力された位相角値に対応する係数を乗算して分散推定値を取得し、分散推定値を出力し、ここで、分散推定値の計算式は次のとおりである:

【0112】
ここで、cは光速であり、単位がメートル/秒(m/s)であり、λは周波数領域データに対応する光信号の中心波長であり、単位がナノメートル(nm)であり、nfftは、離散フーリエ変換長であり、
は、サンプリング周波数を表し、単位がGHzであり、
はシンボルレートを表し、単位がGbaudであり、最終的に出力された分散値CDの単位はナノ秒/ナノメートル(ns/nm)である。
【0113】
図5を参照すると、別の実施例では、当該分散推定方法は、以下のステップを含む。
【0114】
ステップS21において、データの前処理には、X偏光状態データとY偏光状態データに対して線形結合を行って3グループの処理対象データを取得する。
【0115】
周波数領域データを取得し、データの前処理により、取得された周波数領域データを、インデックスで奇数と偶数に分け、すべての偶数インデックスの周波数領域データに-1を乗算し、奇数インデックスの周波数領域データを変更しない。超高速ファイバ通信ではデータはX偏光状態とY偏光状態の2つの交差する偏光状態に分けられ、2つの偏光状態は、互いに独立している。X偏光状態データを例とすると、X偏光状態データの偶数インデックスの周波数領域データに-1を乗算し、奇数インデックスの周波数領域データを変更しなく、前処理されたX偏光状態データを取得し、ここで前処理は次の式で表現されもよい:X′[K]=X[K]*(-l)K、ここで、K=0、1、2…N-1、Nは周波数領域データ長である。Y偏光状態データの処理方式は、X偏光状態データの前処理方式と同じであり、ここでは説明を省略する。
【0116】
前処理されたX偏光状態データ及びY偏光状態データに対して線形結合演算を行い、

、ここで、

Nが周波数領域データ長であり、jが虚数単位であり、線形結合演算により得られた
をデータの前処理により出力された3グループの処理対象データとして使用する。
【0117】
ステップS22において、データの前処理により出力された処理対象データをフィルタリングして出力し、ステップS12との違いは、フィルタリングして入力されたデータをX1[k]、X2[k]、X3[k]に置き換え、それに対応して、データフィルタリングの出力結果もそれに応じて3グループになることにある。
【0118】
ステップS23において、データフィルタリングにより出力されたデータを抽出し、ステップS13との違いは抽出された入力データをステップS22の3グループの出力結果に置き換え、抽出された出力結果も3グループになることにある。
【0119】
ステップS24において、抽出されたデータに対して自己相関操作を行い、ステップS14との違いは、自己相関操作により入力されたデータをステップS23の3グループの抽出された出力結果に置き換えることにある。
【0120】
ステップS25において、自己相関操作が行われた後のデータを設定間隔値で共役乗算及び累算して、ターゲット関数を取得し、ステップS15との違いは、各グループの入力に従ってターゲット関数をそれぞれ計算し、3グループのターゲット関数を取得することにあり、
3グループのターゲット関数は、


として表されてもよく、各グループの入力に対して共役乗算を行う計算方式はステップS15と同じであり、ここで、3グループのターゲット関数に対応する累算の計算式は次のとおりである。
【0121】


をターゲット関数として出力する。
【0122】
ステップS26において、ターゲット関数に対応する位相角値に基づいて、位相計算を行い、ターゲットパラメータの最終的なターゲット関数の位相角値を取得し、ステップ16との違いとは位相計算の入力をステップS25で出力されたターゲット関数
に置き換えることにある。
【0123】
ステップS27において、位相計算によって出力されたターゲット関数の位相角値に基づいて、分散推定値を計算して出力する。ステップS27はステップ27と同じである。
【0124】
図6を参照すると、別の実施例では、当該分散推定方法は、以下のステップを含む。
【0125】
ステップS31において、データの前処理には、X偏光状態データとY偏光状態データをそれぞれ処理対象データとして使用する。ステップS31は、ステップS11と同じである。
【0126】
ステップS32において、データを前処理してから出力された処理対象データをフィルタリングして出力する。ステップS32はステップS12と同じである。
【0127】
ステップS33において、データをフィルタリングしてから出力されたデータを抽出する。ステップS33は、ステップS13と同じである。
【0128】
ステップS34において、抽出されたデータに対して自己相関操作を行う。ステップS34は、ステップS14と同じである。
【0129】
ステップS35において、自己相関操作が行われた後のデータを設定間隔値で共役乗算して累算して、ターゲット関数を取得した後に平滑化フィルタリングを行い、フィルタリングされたターゲット関数を出力し、ステップS15との違いは、複数のグループの設定間隔値、例えば、
で計算されたターゲット関数
に対して、平滑化フィルタリングを行い、フィルタ係数についてローパスフィルタ係数を使用し、フィルタリング出力が
である。
【0130】
ステップS36において、フィルタリングされたターゲット関数に対応する位相角値に基づいて、位相計算を行い、最終的なターゲット関数の位相角値を取得し、ステップS16との違いは位相計算の入力をステップS35で出力されたターゲット関数
に置き換えることにある。
【0131】
ステップS37において、位相計算によって出力されたターゲット関数の位相角値に基って分散推定値を計算し、直近の複数の位相角値のいずれかの2つの位相角値の差の絶対値と閾値の関係に応じて、分散推定値を更新し、ステップS17との違いは、位相計算によって出力されたターゲット関数の位相角値に基づいて、分散指定値を計算した後、直近の複数の位相角値
を比較し、複数の位相角値
のいずれか2つの位相角値の差の絶対値が閾値Th未満である場合、分散推定値の更新を開始し、現在の計算された分散推定値を出力し、複数の位相角値
のいずれかの2つの位相角値の差の絶対値が閾値Th以上である場合、分散推定値の更新を停止し、前回の分散推定値を維持し、前回の分散推定値を出力することにある。
【0132】
図7を参照すると、さらなる別の実施例では、当該分散推定方法は、以下のステップを含む。
【0133】
ステップS41において、データの前処理には、X偏光状態データとY偏光状態データをそれぞれ処理対象データとして使用する。ステップS41はステップS11と同じである。
【0134】
ステップS42において、データを前処理してから出力された処理対象データをフィルタリングして出力する。ステップS42はステップS12と同じである。
【0135】
ステップS43において、データをフィルタリングしてから出力されたデータを抽出する。ステップS43はステップS13と同じである。
【0136】
ステップS44において、抽出されたデータに対して自己相関操作を行う。ステップS44はステップS14と同じである。
【0137】
ステップS45において、自己相関操作が行われた後のデータを設定間隔値で共役乗算して累算して、ターゲット関数を取得する。ステップS45はステップS15と同じである。
【0138】
ステップS46において、長さNLの複数のレジスタを構築して直近のNL回の計算されたターゲット関数を格納し、レジスタでのデータをそれぞれ累算し、累算後のターゲット関数を取得し、累算されたターゲット関数に対応する位相角値に基づいて、位相計算を行い、最終的なターゲット関数の位相値を取得し、ステップS16との違いは、
W個の長さNLのbufferl、buffer2、…、buffer Wを構築し、直近のNL回計算されたターゲット関数
をそれぞれ格納することにある。bufferl-Wでは初期値がすべてNL個の0であり、レジスタ内のデータに基づいて、それぞれ累算し、累算後のターゲット関数を取得することは、bufferl-W内のデータをそれぞれ合計して
を取得することを指す。
【0139】
累算後のターゲット関数に対応する位相角値に対して位相計算を行うことは、bufferl-W内のデータを合計したターゲット関数
に基づいて、ターゲット関数の位相角値をそれぞれ計算し、計算プロセスはステップS16と同じである。
【0140】
ステップS461において、レジスタ内のデータに基づいて計算された複数のターゲット関数の位相角値のいずれかの2つの位相角値の差の絶対値と閾値の関係に応じて、最終的なターゲット関数の位相角値を更新し、ステップS16との違いは、
累算後のターゲット関数に対応する位相角値に基づいて、位相計算を行い、最終的なターゲット関数の位相角値を取得するステップの後、bufferl-W内のデータに基づいて計算された複数のターゲット関数の位相角値
のいずれかの2つの位相角値の差の絶対値が閾値Th未満である場合、今回のステップS46で計算された
を位相計算出力として使用し、他の場合、前回の
を位相計算出力として使用するステップをさらに含む。
【0141】
ここで、

を使用して計算されたターゲット関数の位相値である。
【0142】
ステップS47において、位相計算によって出力されたターゲット関数の位相角値に基づいて、分散推定値を計算して出力し、ステップS17との違いは、位相計算によって出力されたターゲット関数をステップS461で出力されたターゲット関数の位相値に置き換えることにあり、分散推定値の計算方式はステップS17と同じである。
【0143】
関連技術では、受信側で、長距離伝送における累算された分散の広いインパルス応答が数百又は数千個のシンボルに分散する可能性があり、信号のサンプリング周波数の2乗に比例する。効率を考慮するために、周波数領域補償を実現するときのFFT長が大きく、したがって、周波数スペクトルが密であり、これにより、システムは、周波数領域上で処理するときにサンプリング周波数スペクトルに敏感であり、従来の分散推定方法は、超高速光ファイバ通信システムで正常に動作できない。
【0144】
本出願の前記の実施例による分散推定方法により、受信側が周波数領域上でデータの前処理及びフィルタリングを行い、周波数ポイントの周波数スペクトル幅を広げるという課題が解決され、それによって超高速長距離光ファイバシステムの分散推定方法がサンプリング周波数オフセットに敏感であるという課題が解決され、超高速光ファイバ通信の正確な分散推定が実現される。
【0145】
同時に、ターゲット関数値に対応する位相角値を計算し、異なる間隔での位相値をスプライシングしてマージすることにより、最終的なターゲット関数の位相値を取得し、さらに受信機システムの分散推定値を計算する。
【0146】
関連技術によって提供される分散走査操作又はFFT操作による分散推定法に比べ、分散推定アルゴリズムの計算量が簡素化され、超高速長距離光ファイバ通信システムの分散値の正確な推定がより簡単な方法で実現され、システムリソースが節約され、システムの電力消費が削減される。
【0147】
表1に示すように、それは本出願の実施例による分散推定方法を使用して分散推定値を一回計算するために必要なシステムリソースと関連技術におけるFFT操作に基づく分散推定方法を使用して分散推定値を一回計算するために必要なシステムリソースの比較表であり、10ビットのデータビット幅を例とすると、本出願の実施例による分散推定方法を使用して、ターゲット関数値に基づいて、分散推定値を一回計算する計算量は、従来のFFT法に基づいて分散推定値を一回計算する場合と比較して、リソースが約78.6%節約される。
【0148】
【表1】
【0149】
本出願の実施例の別の態様について、図8を参照して、分散推定装置をさらに提供する。前記分散推定装置は、周波数領域データを取得し、周波数領域データに含まれる直交している2つの偏光状態データに基づいて処理対象データを取得するための周波数領域データ取得モジュール121と、処理対象データをフィルタリングし、隣接する周波数ポイント間の周波数スペクトル幅を設定された倍数で広げるためのフィルタリングモジュール123と、フィルタリングされた処理対象データを抽出してターゲットデータグループを取得するための抽出モジュール125と、ターゲットデータグループに基づき、設定間隔値にそれぞれ対応するターゲット関数を計算し、ターゲット関数に対応する位相角値に基づいて、分散推定値を計算するための分散推定モジュール127と、を備える。
【0150】
いくつかの実施例では、周波数領域データ取得モジュール121は、偏光状態データユニット、第1の前処理ユニット又は第2の前処理ユニットを含み、偏光状態データユニットは、周波数領域データのうち、X偏光状態データとY偏光状態データをそれぞれインデックスで奇数と偶数に分け、偶数インデックスの周波数領域データを反転し、奇数インデックスの周波数領域データを変更しなく、前処理されたX偏光状態データとY偏光状態データを取得するために使用され、第1の前処理ユニットは、前処理されたX偏光状態データとY偏光状態データをそれぞれ処理対象データとするために使用され、第2の前処理ユニットは前処理されたX偏光状態データとY偏光状態データに対して線形結合演算を行い、複数の処理対象データグループを取得するために使用される。
【0151】
いくつかの実施例では、第2の前処理ユニットは、具体的にはX偏光状態データ又はY偏光状態データを第1の処理対象データとして使用し、X偏光状態データとY偏光状態データを反転してから加算し、第2の処理対象データを取得し、X偏光状態データとY偏光状態データを反転してからそれぞれ複素数の実数部及び虚数部として使用して、第3の処理対象データを取得するために使用される。
【0152】
いくつかの実施例では、フィルタリングモジュール123は、具体的には、周波数領域データ長と隣接する周波数ポイント間の周波数スペクトル幅を事前に広げるための設定された倍数に基づいて、窓関数を確定し、周波数領域データに対応する時間領域データに窓関数を加えるという処理に対応する周波数領域畳み込みによって周波数領域フィルタ係数を確定し、周波数領域フィルタ係数に基づいて、処理対象データをフィルタリングするために使用される。
【0153】
いくつかの実施例では、分散推定モジュール127は、自己相関ユニット1271とターゲット関数取得ユニット1272を含み、自己相関ユニット1271は、ターゲットデータグループに対して自己相関を行うために使用され、ターゲット関数取得ユニット1272は、自己相関後のターゲットデータグループを設定間隔値で共役乗算して累算し、設定間隔値に対応するターゲット関数を取得するために使用される。
【0154】
いくつかの実施例では、自己相関ユニット1271は、具体的には、ターゲットデータグループの周波数領域上のボーレートごとのデータを共役乗算するために使用される。
【0155】
いくつかの実施例では、設定間隔値が複数の異なる設定間隔値を含み、分散推定モジュール127は、さらに位相計算ユニット1273と分散推定ユニット1274を含み、位相計算ユニット1273は、具体的には異なる設定間隔値にそれぞれ対応するターゲット関数の位相角値間の関係が設定条件を満たしているか否かに応じてマージし、ターゲット関数のターゲット位相角値を取得するために使用され、分散推定ユニット1274は、ターゲット位相角値、ターゲット位相角値に対応する設定間隔値、光速、光信号の中心波長、サンプリング周波数、離散フーリエ変換長及びシンボルレートに基づいて、分散推定値を計算するために使用される。
【0156】
いくつかの実施例では、位相計算ユニット1273は、具体的には、隣接する2つの設定間隔値に対応するターゲット関数の位相角値を初期の第1の位相角値と第2の位相角値として使用し、2つの設定間隔値の比と第1の位相角値との積に基づいて、対応する整数部分と小数部分を取得し、第2の位相角値と小数部分の差が第1の予め設定された値以上である場合、第2の位相角値と整数部分をマージしてから1を減算したものを更新後の第2の位相角値として使用し、第2の位相角値と小数部分の差が第2の予め設定された値未満である場合、第2の位相角値と整数部分をマージしてから1を加算したものを更新後の第2の位相角値として使用し、第2の位相角値と小数部分の差が第1の予め設定された値未満かつ第2の予め設定された値以上である場合、第2の位相角値と整数部分をマージしたものを更新後の第2の位相角値として使用し、更新後の第2の位相角値、及び順次選択された次の設定間隔値に対応するターゲット関数の位相角値を初期の第1の位相角値と第2の位相角値として使用し、設定間隔値に対応するターゲット関数の位相角値のマージが完了されて、ターゲット関数のターゲット位相角値を得るまで、前記ステップに戻って実行する。
【0157】
いくつかの実施例では、位相計算ユニット1273は、具体的には、直近の複数回計算されたターゲット関数のターゲット位相角値を比較し、いずれかの2つのターゲット位相角値の差の絶対値が閾値未満であると確定された場合、現在の取得されたターゲット位相角値を最終的なターゲット位相角として使用し、いずれかの2つのターゲット位相角値の差が閾値よりも大きいと確定された場合、前回の取得されたターゲット位相角値を最終的なターゲット位相角とするために使用される。
【0158】
いくつかの実施例では、ターゲット関数取得ユニット1272は、さらにターゲット関数に対応する位相角値に基づいて、分散推定値を計算する前に、ターゲット関数に対して平滑化フィルタリングを行うために使用される。
【0159】
いくつかの実施例では、位相計算ユニット1273はさらにターゲット関数に対応する位相角値に基づいて、分散推定値を計算する前に、設定長の複数のレジスタを構築し、直近の複数回計算されたターゲット関数の位相角値をレジスタに対応して格納し、各レジスタの累算結果に従ってターゲット関数に対応する位相角値を取得するために使用される。
【0160】
いくつかの実施例では、分散推定ユニット1274は、さらにターゲット関数に対応する位相角値に基づいて、分散推定値を計算した後、直近の複数回計算されたターゲット関数のターゲット位相角値を比較し、いずれかの2つのターゲット位相角値の差の絶対値が閾値未満であると確定された場合、現在の取得された分散推定値に基づいて、分散推定値を更新し、いずれかの2つのターゲット位相角値の差が閾値よりも大きいと確定された場合、前回の取得された分散推定値を維持するために使用される。
【0161】
いくつかの実施例では、抽出モジュール125は、具体的には、フィルタリングされた処理対象データを設定された倍数と同じ数のデータグループに分け、データグループからターゲットデータグループを抽出するために使用される。
【0162】
前記の実施例による分散推定装置は、分散推定値を計算するとき、前記の各プログラムモジュールの区分のみを例として説明され、実際の応用において、ニーズに応じて前記のステップを割り当て、異なるプログラムモジュールにより完了することができ、即ち、装置の内部構造を異なるプログラムモジュールに区分して、前記のすべて又は一部の処理を完了することができる。また、前記実施例による分散推定装置は、分散推定方法と共に、同じ概念に属し、その具体的な実現プロセスは、方法の実施例に示すとおりであるため、ここでは説明を省略する。
【0163】
本出願の実施例は、本出願のいずれかの実施例による分散推定方法のステップを完了するためにプロセッサによって実行されるコンピュータプログラムを記憶するメモリを備える、コンピュータ記憶媒体をさらに提供する。当該コンピュータ記憶媒体は、FRAM、ROM、PROM、EPROM、EEPRE、フラッシュメモリ、磁気表面メモリ、光ディスク、又はCD-ROMなどのメモリであってもよく、前記のメモリのうちの1つ又はいずれかの組み合わせを含む様々なデバイスであってもよい。
【0164】
前記は、本出願の具体的な実施形態だけであるが、本出願の保護範囲は、これに制限されず、当業者が本出願で開示された技術範囲内で容易に想到し得る変化又は入れ替わりは、すべて本出願の保護範囲以内に含まれるべきである。本出願の保護範囲は請求項の保護範囲に準拠するべきである。
【産業上の利用可能性】
【0165】
本出願の実施例によって提供される分散推定方法、装置、光通信データコヒーレント受信機及び記憶媒体では、周波数領域データを取得し、前記周波数領域データに含まれる直交している2つの偏光状態データに基づいて、処理対象データを取得し、前記処理対象データをフィルタリングし、隣接する周波数ポイント間の周波数スペクトル幅を設定された倍数広げ、フィルタリングされた前記処理対象データを抽出してターゲットデータグループを取得し、前記ターゲットデータグループに基づき、設定間隔値にそれぞれ対応するターゲット関数を計算し、前記ターゲット関数に対応する位相角値に基づいて、分散推定値を計算し、このようにして、周波数領域上でデータを処理及びフィルタリングし、周波数ポイントの周波数スペクトル幅を広げることにより、システムが周波数領域で処理するときにサンプルスペクトルに敏感であるという課題を回避し、正確な分散推定を実現することができ、かつターゲット関数に対応する位相角値に基づいて、分散推定値を計算することにより、分散推定アルゴリズムの計算量が簡素化され、分散値の正確な推定がより簡単な方法で実現され、システムリソースが節約され、システムの電力消費が削減される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8