(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】飲料調製装置のための注出モジュール
(51)【国際特許分類】
A47J 31/36 20060101AFI20240502BHJP
A47J 31/40 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
A47J31/36 100
A47J31/40 105
(21)【出願番号】P 2021533138
(86)(22)【出願日】2019-12-10
(86)【国際出願番号】 NL2019050819
(87)【国際公開番号】W WO2020122713
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-12-08
(32)【優先日】2018-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】512164779
【氏名又は名称】コーニンクラケ ダウ エグバート ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】ノールトハイス,ヨエケ
(72)【発明者】
【氏名】ファン トアー,ヨハン
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第00727164(EP,A1)
【文献】特開2005-230548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/36
A47J 31/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力下で
、破断可能なカバーを有するカプセル内に保持された物質に温液を通して前記物質から成分を抽出することで飲料を淹出するように構成された、飲料調製装置のための注出モジュールであって、
流体受け板であって、
前記カプセルの前記破断可能なカバーを破断する様に配置された複数の延長部、及び前記
流体受け板の少なくとも一部にわたって分散配置された複数の開口部を備え、前記開口部は前記飲料を受けるように配置される、
前記流体受け板と、
流体コレクタ
チャンバが、前記
流体コレクタ
チャンバの第1の側にある前記流体受け板と、前記
流体コレクタ
チャンバの第2の側にあるコレクタ壁と
、及び前記流体受け板を前記コレクタ壁に接続する周壁と、によって画定され、前記流体コレクタ
チャンバは、前記開口部からの飲料を受けるように配置され、前記
コレクタ壁には、コレクタ出口開口部が設けられる、
前記流体コレクタ
チャンバと、
前記コレクタ出口開口部から延びる出口導路であって、前記コレクタ出口開口部を介して流体を受けるとともに、使用時に前記飲料調製装置の少なくとも1つの注出ノズルに向けて流体を案内するための出口導路と、
前記流体受け板から前記出口導路内への流体の直接的な衝突を遮るために
、前記流体受け板から間隔を空けてかつ前記コレクタ壁から間隔を空けて、前記流体受け板と前記コレクタ出口開口部との間に設けられるデフレクタ壁と、
を備える、
前記注出モジュール。
【請求項2】
前記デフレクタ壁は、前記流体受け板に対して垂直に延び
る線であって、
かつ前記流体受け板の開口部
をおよび前記出口導路内に設けられる空間の少なくとも
一部分を通って延びる
上記線が、前記デフレクタ壁を通って延びるように配設されている、請求項1に記載の注出モジュール。
【請求項3】
前記デフレクタ壁は、少なくとも前記コレクタ出口開口部と同程度の大きさの面積を有する、請求項1又は2に記載の注出モジュール。
【請求項4】
前記出口導路は樋を備え、前記樋の少なくとも一部は使用時に下方に傾いている、請求項1~3のいずれか一項に記載の注出モジュール。
【請求項5】
前記出口導路は、複数の連続する樋セグメントを備え、前記樋セグメントの傾斜は、前記複数の開口部から離れるほど大きくなる、請求項1~4のいずれか一項に記載の注出モジュール。
【請求項6】
前記樋セグメントは、非常に小さく、前記出口導路は湾曲している、請求項5に記載の注出モジュール。
【請求項7】
前記デフレクタ壁は、前記流体受け板に対して実質的に平行に延びている、請求項1~6のいずれか一項に記載の注出モジュール。
【請求項8】
前記コレクタ出口開口部は、前記コレクタ
チャンバの下側の近くに設けられている、請求項1~7のいずれか一項に記載の注出モジュール。
【請求項9】
前記コレクタ壁は、前記流体受け板に対して実質的に平行に延びている、請求項1~8のいずれか一項に記載の注出モジュール。
【請求項10】
前記流体受け板及び前記デフレクタ壁のうちの少なくとも一方には、前記流体受け板と前記デフレクタ壁との間に空間を確立するために構成された、前記流体受け板及び前記デフレクタ壁のうちの少なくとも一方の周囲に沿って分散配置されたスペーサが設けられている、請求項1~9のいずれか一項に記載の注出モジュール。
【請求項11】
前記デフレクタ壁及び前記流体受け板のうちの少なくとも一方の底部に底スペーサが設けられ、前記底スペーサは、前記コレクタ出口の幅以上の幅を有する、請求項10に記載の注出モジュール。
【請求項12】
前記流体受け板の前記開口部は、方向付け出口を有し、前記デフレクタ壁の少なくとも一部は、前記コレク
タ出口と、開口部の方向付け出口が前記コレクタ出口に向けられているところの開口部との間の流路内に設けられ
ている、請求項1~11のいずれか一項に記載の注出モジュール。
【請求項13】
前記デフレクタ壁の面積は、実質的に前記複数の開口部以上である、請求項1~12のいずれか一項に記載の注出モジュール。
【請求項14】
前記デフレクタ壁は湾曲しており、前記デフレクタ壁の凹側は前記流体受け板に面している、請求項1~13のいずれか一項に記載の注出モジュール。
【請求項15】
前記流体コレクタ
チャンバは、前記出口導路に接続されている、請求項1~14のいずれか一項に記載の注出モジュール。
【請求項16】
前記流体コレクタ
チャンバは、前記出口導路と一体に形成されている、請求項15に記載の注出モジュール。
【請求項17】
前記
流体コレクタチャンバには、前記
流体コレクタチャンバの頂部に、又は前記頂部の近くに貫通穴が設けられる、
請求項1~16のいずれか一項に記載の注出モジュール。
【請求項18】
前記デフレクタ壁の外周と前記周壁との間に、前記デフレクタ壁の外周の少なくとも50%にわたって延びる少なくとも1つの隙間が設けられている、
請求項1~17のいずれか一項に記載の注出モジュール。
【請求項19】
前記流体受け板は、使用時に流体圧力の影響下で前記カプセルを開くために、前記カプセルに面する側に配置される、請求項1~
18のいずれか一項に記載の注出モジュール。
【請求項20】
温液及び物質から飲料を調製するための装置であって、
カプセルを受け入れる淹出チャンバと、
温液源と、
前記温液を前記淹出チャンバ内に注出する温液導路と、
請求項1~
19のいずれか一項に記載の注出モジュールであって、前記流体受け板が前記淹出チャンバを画定する、注出モジュールと、
前記出口導路と流体連通する飲料排出部と、
を備える、装置。
【請求項21】
前記注出モジュールは、前記装置内で第1の位置と第2の位置との間を摺動可能に設けられる、請求項
20に記載の装置。
【請求項22】
前記装置は、前記注出モジュールを前記淹出チャンバに向けて付勢する付勢部材を更に備える、請求項
21に記載の装置。
【請求項23】
前記飲料排出部は、前記注出モジュールが前記第1の位置及び前記第2の位置にある場合に前記出口導路から飲料を受けるように配置されて設けられる第2の流体チャネルを備える、請求項
21または22のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
様々な態様及びその実施形態は、カプセルに温液を通すことでカプセル内に収容された物質から成分を抽出して飲料を調製するための装置に関し、より具体的には、そのような装置のためのコレクタモジュールに関し、このコレクタモジュールは、飲料を収集するとともに注出ノズルへの飲料の通路を提供するために配置される。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2009/043630号には、カプセルを所定の位置に保持するカプセル保持組立体を備えた、シングルサーブカプセルを受け入れるための飲料淹出ユニットを有する飲料装置が開示されている。淹出時に、高圧ポンプによってカプセル内に水が注入される。カプセル内に圧力がかかることで、穴あけ板に当接する膜に穴が開けられる。ひとたびカプセルが穿孔されると、穴あけ板を通じて、飲料をカプセルからこの穿孔を通して放出することができる。飲料は、出口ダクト内につながる収集ダクトを介して集められ排出される。収集ダクトと出口との間には、管状部材によって水平流体通路が設けられる。
【0003】
米国特許出願公開第2013/0001251号には、ケーシングを備えた飲料装置が開示されており、ケーシングは、材料カプセルを内部に受け入れる第1の部分と、第1の部分に面する穿孔用突出部材が設けられた、使用時に垂直な面を有する第2の部分と、カプセルを挿入できるようにするケーシングの開口部とを含む。使用時に、カプセル内に収容された流体(例えば、コーヒー)は、カプセルから流れ出て、受け入れチャンバ内に開口した飲料排出孔を通過することができる。流体は、チャンバに対して開放接続されておりカプセル及び第1の部分の飲料排出孔に沿った出口ノズルを通じて、受け入れチャンバから流れる。出口ノズルを通じて、飲料はカップに注がれる。
【発明の概要】
【0004】
濃度が改善された飲料、特に濃度が改善された泡を含む飲料を注出する収集モジュールを提供するのが好ましい。
【0005】
第1の態様では、圧力下で物質に温液を通して物質から成分を抽出することで飲料を淹出するように構成された、飲料調製装置のための注出モジュールを提供する。物質は、カプセル内に保持されてもよい。モジュールは、流体受け板であって、板の少なくとも一部にわたって分散配置された複数の開口部を備え、開口部は飲料を受けるように配置される、流体受け板を備えることができる。流体受け板は、カプセル、例えばカバーなどの、カプセルの破断可能部分を破断するために配置される、複数の延長部を備えることができる。モジュールは、流体コレクタであって、コレクタの第1の側にある流体受け板と、コレクタの第2の側にあるコレクタ壁とによって画定された流体コレクタを更に備えることができる。流体コレクタは、開口部から飲料を受けるように配置することができ、流体コレクタには、コレクタ壁内にコレクタ出口開口部が設けられる。モジュールは、コレクタ出口開口部から延びる出口導路であって、コレクタ出口開口部を介して流体を受けるとともに、使用時に飲料調製装置の少なくとも1つの注出ノズルに向けて流体を案内するための出口導路を更に備えることができる。モジュールは、流体受け板から出口導路内への流体の直接的な衝突を遮るために流体受け板とコレクタ出口開口部との間に設けられるデフレクタ壁を更に備えることができる。
【0006】
第1に、出口導路を設けることによって、飲料、特に淹出工程の終了後に圧力が無くなっても流れによって案内される最終的に淹出された飲料の継続的な流れがもたらされる。第2に、流体受け板の開口部から生じ得る飲料の直接的な噴流を遮蔽し、飲料が噴流として出口導路に入って場合によっては出口導路から出て装置内に入らないようにすることで、装置の少なくとも1つの出口ノズルに向けて流れずに装置の内部を汚してしまうことを防止する。
【0007】
これらの対策により、飲料が徐々に流れるようになり、飲料の液滴又は噴流が装置の他の部品に入るリスクが低減され、汚れ及びその結果として引き起こされ得る他の部品の故障のリスクが低減される。
【0008】
実施形態では、前記デフレクタ壁は、前記流体受け板に対して垂直に延びる線であって、かつ前記流体受け板の開口部をおよび前記出口導路内に設けられる空間の少なくとも一部分を通って延びる上記線が、前記デフレクタ壁を通って延びるように配設されている。
【0009】
流体受け板が、開口部の配列の向きに対して垂直かつ流体受け板の主面に対して垂直なボアによって確立される開口部を有することにより、圧力下でカプセル内に注入される温液によって開口部を通じてもたらされる飲料の噴流は、流体受け板の主面に対してほぼ又は実質的に垂直に開口部から出る。開口部及び樋を通って延びる、流体受け面に対して垂直な線の上にデフレクタ壁が位置決めされることにより、飲料が流体受け板から樋に直接噴出することが防止される。これにより、飲料が徐々に流れることを妨げる要因、又は飲料の上の泡の保存若しくは形成に別様に悪影響を及ぼす要因がなくなる、あるいは少なくとも減少する。
【0010】
別の実施形態では、デフレクタ壁は、少なくともコレクタ出口開口部と同程度の大きさの面積を有する。
【0011】
デフレクタ壁がこのような大きさであることにより、デフレクタ壁は、コレクタ出口開口部の全体又はその少なくとも非常に大きい部分を、コレクタ出口開口部に、及び場合によっては出口導路に直接入る噴流から保護するのに十分に大きなものとなる。
【0012】
また別の実施形態では、出口導路は樋を備え、樋の少なくとも一部は使用時に下方に傾いている。このような実施形態では、流体コレクタ内にコーヒーが僅かに残っていても残っていなくても、飲料が滑らかに緩やかに流れることができるようになる。
【0013】
更なる実施形態では、出口導路は、複数の連続する樋セグメントを備え、樋セグメントの傾斜は、複数の開口部から離れるほど大きくなる。
【0014】
この実施形態により、流れが乱れることなく又は少なくとも大きく乱れることなく、飲料の流れが徐々に速くなる。
【0015】
更に別の実施形態では、デフレクタ壁は流体受け板に対して実質的に平行に延びている。
【0016】
デフレクタ壁が流体受け板に対して平行であることにより、流体コレクタを小さく維持することで、コンパクトな注出モジュールを提供することができる。更に、流体受け板の開口部からの噴流はいずれも、衝突後に速度が残らないように止められる。そしてこれは、更に下流で飲料が徐々に流れることに対して影響が少ないことを意味している。
【0017】
また別の実施形態では、コレクタ壁は流体受け板に対して実質的に平行に延びている。
【0018】
この実施形態は、流体受け板から生じる全ての噴流がデフレクタ壁に直接衝突しないようにデフレクタ壁が設けられる場合に特に有利であり、このような噴流は、衝突後に更に速度を有さないような衝撃でコレクタ壁に衝突する。第2に、このような実施形態により、流体コレクタをコンパクトに実装することができる。
【0019】
更なる実施形態では、流体受け板、デフレクタ板、及びコレクタ壁のうちの少なくとも1つは、直立しており、垂直方向に配向されている。
【0020】
また更なる実施形態では、流体受け板及びデフレクタ壁のうちの少なくとも一方には、流体受け板とデフレクタ壁との間に空間を確立するために構成された、流体受け板及びデフレクタ壁のうちの少なくとも一方の周囲に沿って分散配置されたスペーサが設けられている。
【0021】
スペーサにより、開口部からの噴流によって注出されてデフレクタ壁に衝突する飲料が更に流体コレクタ内に徐々に流れるのに十分な空間をデフレクタ壁と流体受け板との間に確保できる。
【0022】
また更なる実施形態では、デフレクタ壁及び流体受け板のうちの少なくとも一方の底部に底スペーサが設けられ、底スペーサは、コレクタ出口の幅以上の幅を有する。
【0023】
この実施形態により、デフレクタ壁から下方に流体コレクタ内へ直接流れてその後に直接コレクタ出口開口部へ向かう流れが防止される、又は少なくとも大きく減少する。飲料は、まず側方に流れて流体コレクタ内に入り、その後に、例えば流体コレクタの更なる壁を介してコレクタ出口開口部へ流れる。
【0024】
また更なる実施形態では、流体受け板の開口部は、方向付け出口を有し、デフレクタ壁の少なくとも一部は、コレクタ出口と開口部との間の流路内に設けられ、出口はコレクタ出口に向けられる。
【0025】
方向付け出口は、特定の方向への飲料の噴流をもたらす出口であり、出口の形状によって定められる。このため、流路は方向付け出口の形状によって定められる。
【0026】
別の実施形態では、デフレクタ壁は湾曲しており、デフレクタ壁の凹側は流体受け板に面している。
【0027】
この実施形態により、飲料の噴流はデフレクタ壁に対して垂直ではなく角度を付けて衝突する。このような衝突は、飲料及び現れ得る泡に対して乱れを起こすことが少ない。
【0028】
また別の実施形態では、流体コレクタは、出口導路に接続されており、出口導路と一体に形成される。
【0029】
このような注出モジュールは、より効率的に製造される。
【0030】
また更に別の実施形態は、板をコレクタ壁に接続する周壁を備え、これによりコレクタチャンバが形成されている。
【0031】
チャンバを設けることにより、チャンバの外部から飲料への影響があっても、低減される。
【0032】
更に別の実施形態では、コレクタチャンバには、チャンバの頂部に、又は頂部の近くに貫通穴が設けられる。
【0033】
任意選択で圧力下にある、霧状の液滴を含むなんらかの気体又は流体は、コレクタチャンバを出ることができ、これにより、調製された飲料への影響が低減する。
【0034】
第2の態様は、温液及び物質から飲料を調製するための装置を提供する。装置は、カプセルを受け入れる淹出チャンバと、温液源と、温液を淹出チャンバ内に注出する温液導路とを備える。装置は、前出の請求項のいずれかに記載の注出モジュールであって、板が淹出チャンバを画定する注出モジュールと、出口導路と流体連通する飲料排出部とを更に備える。
【0035】
第2の態様の実施形態では、注出モジュールは、装置内で第1の位置と第2の位置との間を摺動可能に設けられる。このような装置は、上で論じた利点を維持しながら様々なサイズのカプセルとともに使用することができる。この実施形態では、注出モジュールを構成するデフレクタ壁は、好ましくは、同様に注出モジュールを構成する流体受け板に対して位置が固定されており、これは、装置内における注出モジュールの位置からは独立して流体受け板に対するデフレクタ壁の機能が一定であることを意味する。この独立した機能により、使用されるカプセルの大きさに関わらず、飲料の品質が確実に均一となる。
【0036】
第2の態様の別の実施形態では、装置は、注出モジュールを淹出チャンバに向けて付勢する付勢部材を更に備える。この実施形態により、カプセルの大きさに関わらず、淹出チャンバの封止を改善することができる。
【0037】
更なる実施形態では、飲料排出部は、注出モジュールが第1の位置及び第2の位置にある場合に出口導路から飲料を受けるように配置されて設けられる第2の流体チャネルを備える。この実施形態では、第2の流体チャネルを装置に対して固定位置とし、出口導路を摺動可能に設けてもよい。これは、より便利な構造及び使用が可能になる。
【0038】
以下、様々な態様及びその実施形態について、図面を参照して更に詳細に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図2】
図2は、コレクタモジュールの断面図である。
【
図3】
図3は、下流側から見たコレクタモジュールのセクションの等角図である。
【
図4】
図4は、上流側から見たコレクタモジュールのセクションの等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、第2の態様に係る飲料を調製するための装置の実施形態としてのコーヒーマシン100を示す。コーヒーマシン100は、コーヒーマシン100の様々な機能部品が内部に設けられたハウジング190を備える。コーヒーマシン100は、コーヒーを調製するための水又は他の液体を保持する液体リザーバ102と、水を加熱するヒータ要素106へ水をポンピングするポンプ104とを備える。
【0041】
加熱された水は、淹出チャンバ108内に挿入された、挽いたコーヒー(図示せず)を入れたカプセル内に注入される。このために、カプセルの入口側の装置によってカプセルが穿孔され開けられることができる。淹出時に、カプセルは流体受け板に押し付けられ、流体受け板は、流体受け板としてのスタッド板210とも称され、当該技術においては抽出板と称される場合もある、複数のスタッド212と、流体受け板としてのスタッド212の間の貫通孔とを備える。スタッド板は、使用時に流体圧力の影響下でカプセルを開くためにカプセルに面する側に配置される。より具体的には、圧力下でカプセル内に入る注出された熱水の圧力により、好ましくはアルミのような金属又はプラスチックからなるカプセルのカバーが、スタッド板210上の複数の延長部として設けられる複数の所謂スタッド212によって破断して開くことができるカプセルの破断可能部分のオプションとして設けられ、淹出されたコーヒーがスタッド板210の穴を通じてカプセルの外に流れ出ることができる。
【0042】
スタッド板210の後ろには、流体コレクタが設けられ、流体コレクタは、スタッド板210の穴によって提供される淹出されたコーヒーを受け入れるコレクタチャンバ204を備える。コレクタチャンバ204内において、スタッド板210とは反対側の直立したコレクタ壁としての後壁230には開口部206が設けられ、淹出されたコーヒーをスタッド板210から離れる方向においてコレクタチャンバ204から離れるように案内する出口導路として設けられる第1の流体チャネル220へのアクセスを与える。
【0043】
この実施形態では、コレクタチャンバ204は、第1の側がスタッド板210によって画定され、第1の側とは反対側の第2の側が後壁230によって画定される。この実施形態では、スタッド板210及び後壁230は互いに平行に設けられているが、後壁230は、スタッド板210とは異なる形状又は向きとしてもよい。スタッド板210及び後壁230は、この実施形態では周壁によって接続されている。コレクタチャンバ204及びスタッド板210、後壁230、周壁、並びに第1の流体チャネル220は、コレクタモジュール200を構成する。
【0044】
コレクタモジュール200は、コレクタハウジング部材110内に第1の位置と第2の位置との間を摺動可能に設けられる。コレクタハウジング部材110内において、コレクタモジュール200は、付勢部材としてのばね112によって淹出チャンバ108に向けて付勢される。
【0045】
第1の流体チャネル220の下流には、第2の流体チャネル122が、注出ノズル126にコーヒーを注出する流体通路の一部として設けられる。第1の流体チャネル220によって注出されるコーヒーは、傾いた第2の流体チャネル122を介して、注出ノズル126が接続されるノズルコレクタ124に流れる。
【0046】
図2は、コレクタモジュール200のより詳細な図を示す。
図2は、コレクタチャンバ204の上流側にスタッド212が設けられたスタッド板210を示す。コレクタチャンバ204の下流側には、スタッド板210の穴からコーヒーを受けるために後壁230が設けられる。高圧下でコーヒーが注出される場合、ほぼ又は実質的に水平なコーヒーの噴流がスタッド板210の開口部を通じて注出されてもよく、この噴流は後壁230に衝突する。後壁230は、この実施形態ではスタッド板210に対して実質的に平行なものとして描かれているが、後壁230がスタッド板210に対して角度を付けて設けられる、及び/又は後壁230が湾曲している若しくは別様な形状となっている他の実施形態も想定することができる。
【0047】
後壁230の下方側、特に後壁230の底部には、コーヒーがコレクタチャンバ204から外に流れ出ることができるように出口開口部206が設けられる。出口開口部206からは、第1の流体チャネル220として樋222が延びている。樋222は、コーヒーを第2の流体チャネル122へ向かわせるために下方に傾いている。上述のように、第1の流体チャネル220を有するコレクタモジュール200は、コレクタハウジング部材110内で移動するように配置される。このため、第1の流体チャネル220は第2の流体チャネル122に対して移動可能である。
【0048】
図3は、コレクタモジュール200の等角図を示す。
図3は、第1の流体チャネルが、1つの、特に第1の流体チャネル220と一体の部位として設けられているものに固定されていることを示す。第1の流体チャネル内で、樋222は、複数の樋セグメントを備えた開放チャネルとして設けられ、これら複数の樋セグメントは、スタッド板210からの位置が離れるほど傾き角度が大きくなっている。
【0049】
第1の樋セグメント224はほぼ水平であり、第2の樋セグメント226は、50度~40度の角度、約45度で傾いており、第3の樋セグメント228の傾斜は70度又は80度と、ほぼ垂直である。なお、ここに記載されている傾斜は、単に説明のための例であって、より低い値でもより高い値でも異なる値を用いて実施することができる。
【0050】
別の実施形態では、樋222は樋セグメントを1つのみ有し、好ましくは40度~50度の特定の1つの角度で傾斜する。なお、樋222は頂部が開いている。
図3は、樋222の上方に設けられた弓形の一部を示しているが、樋222は、管、ホース、又はパイプのように頂部が閉じておらず、頂部が開いたチャネルとして設けられる。
【0051】
図3はまた、スタッド板210の複数の開口部214も示す。開口部214は、二次元配列で設けられるとともに、スタッド板210の上流側からスタッド板210の下流側へ延びる貫通穴として設けられる。
図3は、コレクタチャンバ204の上流側がスタッド板210によって画定され、下流側が後壁230によって画定されていることを示す。
【0052】
スタッド板210及び後壁230は、収集チャンバ204を囲むとともに収集チャンバ204を実質的に円筒形状とする、周壁240によって接続される。この実施形態では、第1の樋エレメント224は周壁240に設けられ、この第1の樋エレメント224は、後壁の出口開口部206を通って延びる。別の実施形態では、周壁240は収集チャンバ204内で面一であり、樋222は出口開口部206の下流から始まる。
【0053】
1つの実施形態では、周壁240は、好ましくは頂部に、貫通穴を備える。このような貫通穴は、第1の流体チャネルを通るコーヒーの流れを乱すことなく、蒸気若しくは気体状成分又は霧状の液体があればこれを逃がすための通路を提供する。
【0054】
図3は、周壁240、樋222を備える第1の流体チャネル220、及び後壁230が1つの一体の部位として設けられていることを示す。スタッド板210は別個のユニットとして設けられ、これにより、コレクタモジュール200の他の部分の材料とは異なる材料でスタッド板を製造することができる。
【0055】
図4は、コレクタモジュール200の上流側から見たコレクタモジュール200の等角図を示しており、スタッド板210は取り外されている。コレクタモジュール200内には、以下でデフレクタ板250とも称するデフレクタ壁250が設けられる。デフレクタ板250は、スタッド板210の開口部214と出口開口部206との間に第1の流体チャネル220に向けて仕切りを提供する。これにより、デフレクタ板250は、複数の開口部214のうちの1つから出口開口部206を通じた第1の流体チャネル220内へのコーヒーの直接的な噴出を防止する。
【0056】
デフレクタ板250は、スタッド板210から間隔を空けてスタッド板210の下流に設けられる。デフレクタ板250とスタッド板210との間の間隔は、デフレクタ板250上の流体受け板210に面する側に設けられるスペーサ252によって定めることができる。付加的又は代替的に、デフレクタ板250と後壁230との間の間隔を規定するために、スタッド板210の下流側に後側スペーサ254を設けることができる。更なる実施形態では、デフレクタ板250の下端、特に底部にスペーサが設けられ、このスペーサは少なくとも出口開口部206と同程度の幅である。
【0057】
スペーサ252又は後側スペーサ254はまた、デフレクタ板250と周壁240との間に隙間を提供し、これにより周壁240とデフレクタ板250との間をコーヒーが通過できるようにする。隙間は、デフレクタ板の外周の少なくとも50%にわたって、好ましくはデフレクタ板の80%超にわたって、より好ましくはデフレクタ板の90%超にわたって、より好ましくはデフレクタ板の95%超わたって設けられる。最も好ましい実施形態では、隙間は、利用可能な場合があるデフレクタ板250と周壁240との間のスペーサを任意選択で除いて、デフレクタ板250の約100%にわたって設けられる。
【0058】
図4によって示される実施形態では、デフレクタ板250は、面積が実質的に開口部214の配列以上である平板として設けられる。デフレクタ板250は、デフレクタ板250に衝突するコーヒーがコレクタチャンバ204内でデフレクタ板250とスタッド板210との間を出口開口部206に向けて流れることができれば、より大きくても小さくても良い。別の実施形態では、デフレクタ板250は、より小さく、スタッド板210の開口部214から生じて出口開口部に向けて進む噴流の流れ軌道に設けられる。この実施形態では、出口開口部206を横断しない流れ軌道を有する開口部214から生じる噴流の少なくともいくつかは、コレクタチャンバ204の後部の後壁203に衝突し得る。
【0059】
デフレクタ板250は、
図4によって示される実施形態では、後壁230に対して実質的に平行なものとして示されている。他の実施形態では、デフレクタ板250は、その大きさに関わらず、湾曲した形状を有することができ、好ましくは、デフレクタ板250の凹側がスタッド板210に向けられる。このような実施形態では、デフレクタ板250は、デフレクタ板250の頂部がデフレクタ板の底部よりもスタッド板210に近くなるように湾曲させることができる。付加的又は代替的に、デフレクタ板250の中心は、デフレクタ板250の中心と実質的に同じ高さにおけるデフレクタ板250の縁部よりもスタッド板210から更に離すことができる、またはその逆とすることができる。
【0060】
上記の説明では、層、領域、又は基材などの要素が他の要素の「上に(on)」又は「上に(onto)」あると称される場合、ある要素が他の要素上に直接存在するか、又は介在要素も存在し得ることが理解されるであろう。また、上記の説明で与えられた値は、例として与えられており、他の値が可能であり、かつ/又は目指す値であってよいことが理解されるであろう。
【0061】
更に、本発明はまた、本明細書に記載される実施形態で規定されるものよりも少ない構成要素で具現化されてもよく、その場合1つの構成要素は、複数の機能を果たす。同様に、本発明は、図に示されるものよりも多くの要素を使用して具現化されてもよく、提供される実施形態において1つの構成要素によって実行される機能は、複数の構成要素に分散される。
【0062】
圧力下でカプセルカバーを切るように構成された突起を有する淹出板に対してカプセルが配置され、圧力下で温液をカプセル内に注入するカプセルベースの淹出システムを用いて適切な濃度の飲料を提供するために、調製された飲料の自由流は、淹出板から出口ノズルへ向けて徐々に流れ得ることが分かった。淹出板から淹出板の下流のコレクタチャンバを介して出口ノズルへ延びる開放通路には、最良の結果を得るために、飲料をコレクタチャンバの外に導く開放して傾いた樋を設けることができる。導路が開いているという特徴により、飲料の噴流が淹出板を形成し、開いた樋でもよく、、装置が汚れる可能性がある。これは、淹出板と樋又はその開口部との間の適切な仕切りを設けることによって防止することができる。
【0063】
垂直方向に配向されたスタッド板、直立した又は垂直方向に配向されたコレクタ壁、及び垂直方向に配向されたデフレクタ板を用いた様々な実施形態が示された。他の実施形態では、スタッド板は、水平又は角度を付けたものが含まれる異なる姿勢で配向することができる。詳細な説明では、カップに入れられるコーヒー又は他の物質が開示される。他の例では、物質は別個のカプセルに収容されず、例えば粉状に挽かれたコーヒーの場合のように、その状態で淹出チャンバ108内に入れられる。
【0064】
なお、図面は、非限定例として与えられる本発明の実施形態の概略的な表現に過ぎない。明瞭性及び簡潔な説明を目的として、本明細書では同じ又は別個の実施形態の一部として特徴を説明しているが、本発明の範囲には、説明した特徴の全て又は一部の組み合わせを有する実施形態が含まれ得ることが理解されよう。単語「~を備える/~を含む(comprising)」は、請求項に列挙されているもの以外の特徴又はステップの存在を除外するものではない。更に、単語「1つの(「a」及び「an」)」は、「ただ1つ(only one)」に限定するものと解釈されず、「少なくとも1つ(at least one)」を意味するために使用され、複数を除外しない。
【0065】
当業者は、本明細書に開示される様々なパラメータ及びその値が修正されてもよく、本発明の範囲から逸脱することなく、開示及び/又は特許請求される様々な実施形態を組み合わせることができることを容易に理解するであろう。
【0066】
特許請求の範囲における参照符号は、特許請求の範囲を限定せず、特許請求の範囲の読みやすさを高めるために単に挿入されることが定められる。