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  • 特許-切削部材および旋盤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】切削部材および旋盤
(51)【国際特許分類】
   B23B 27/22 20060101AFI20240502BHJP
   B23P 15/30 20060101ALI20240502BHJP
   B23B 3/22 20060101ALI20240502BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20240502BHJP
   B23K 26/36 20140101ALI20240502BHJP
【FI】
B23B27/22
B23P15/30
B23B3/22
B23K26/00 G
B23K26/36
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021533706
(86)(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 EP2019082670
(87)【国際公開番号】W WO2020120132
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-07-09
(31)【優先権主張番号】BE2018/5880
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594070612
【氏名又は名称】フェニックス コンタクト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Phoenix Contact GmbH & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Flachsmarktstrasse 8, D-32825 Blomberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】ベネディクト ベーアマン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル シャンツ
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-290059(JP,A)
【文献】特開2006-341321(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101695761(CN,A)
【文献】特開平10-071501(JP,A)
【文献】国際公開第2016/035490(WO,A1)
【文献】米国特許第06217264(US,B1)
【文献】特開2005-288613(JP,A)
【文献】台湾特許出願公開第201607646(TW,A)
【文献】独国特許出願公開第04118065(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 27/00 - 27/24
B23P 15/30
B23B 3/22
B23C 5/00
B23K 26/00
B23K 26/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被削材(4)を切削加工するための旋盤(3)に用いられるバイトヘッド(2)用の切削部材(1)であって、前記被削材(4)から材料を削り取るための切れ刃(5)と、削り取られた前記材料であるチップを導出するためのすくい面(6)とを備え、
前記切削部材(1)の前記すくい面(6)に、前記切れ刃(5)に隣接して、前記チップを破断するための、面状に形成された構造部(7)が形成されており、前記面状に形成された構造部(7)は、その面全体にわたって等しい高さを有し、
前記構造部(7)は、ヘリンボーンパターン(10)として形成されており、
前記構造部(7,10)は、中心部(11)と、該中心部(11)から分岐した複数の分枝部(12)とを有しかつ前記中心部(11)の長手方向軸線(13)は、前記切れ刃(5)の長手方向軸線(9)に対して垂直であり、個々の前記分枝部(12)は、前記中心部(11)に対して90°の角度を成して配置されている
ことを特徴とする、切削部材(1)。
【請求項2】
前記構造部(7)は、該構造部(7)を取り囲む周辺の領域(8)における材料を削り取ることによって実現されていて、特にレーザ彫刻によって実現されており、前記構造部(7)を取り囲む前記周辺の領域(8)はレーザ彫刻されていることを特徴とする、請求項1記載の切削部材(1)。
【請求項3】
前記分枝部(12)は、該分枝部(12)の、前記中心部(11)から遠い方の端部(15)に向かって先細っていることを特徴とする、請求項記載の切削部材(1)。
【請求項4】
前記分枝部(12)は、該分枝部(12)の、前記中心部(11)に近い方の端部(16)から出発して、前記中心部(11)から遠い方の前記端部(15)に向かって、まず、横断面拡大部を有し、次いで、横断面縮小部を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の切削部材(1)。
【請求項5】
被削材(4)を切削加工するための旋盤(3)であって、バイトヘッド(2)を備え、該バイトヘッド(2)は、前記被削材(4)から材料を削り取るための切れ刃(5)と、削り取られた前記材料であるチップを導出するためのすくい面(6)とを備える少なくとも1つの切削部材(1)を有し、
前記切削部材(1)の前記すくい面(6)に、前記切れ刃(5)に隣接して、前記チップを破断するための、面状に形成された構造部(7)が形成されており、前記面状に形成された構造部(7)は、その面全体にわたって等しい高さを有し、
前記構造部(7)は、ヘリンボーンパターン(10)として形成されており、
前記構造部(7,10)は、中心部(11)と、該中心部(11)から分岐した複数の分枝部(12)とを有しかつ前記中心部(11)の長手方向軸線(13)は、前記切れ刃(5)の長手方向軸線(9)に対して垂直であり、個々の前記分枝部(12)は、前記中心部(11)に対して90°の角度を成して配置されている
ことを特徴とする、旋盤(3)。
【請求項6】
前記旋盤(3)の前記切削部材(1)は、請求項2からまでのいずれか1項に記載の切削部材(1)であることを特徴とする、請求項記載の旋盤(3)。
【請求項7】
前記バイトヘッド(2)は、前記旋盤(3)の運転状態において、前記被削材(4)を中心にして回転し、前記被削材(4)は、回転運動を実施しないことを特徴とする、請求項または記載の旋盤(3)。
【請求項8】
前記バイトヘッド(2)は、少なくとも1つの別の切削部材(1)を有することを特徴とする、請求項からまでのいずれか1項記載の旋盤(3)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被削材を切削加工するための旋盤に用いられるバイトヘッド用の切削部材であって、被削材から材料を削り取るための切れ刃と、削り取られた材料であるチップを導出するためのすくい面とを備える、切削部材に関する。さらに、本発明は、被削材を切削加工するための旋盤に関する。
【0002】
旋盤は、数年来、先行技術に基づき公知であり、回転対称的な被削材を加工するために用いられる。被削材を加工する場合、材料が切削部材によって削り取られる。このためには、被削材とバイトヘッドとが互いに相対運動を実施する。切削部材はその切れ刃を介して被削材から材料を削り取る。一般的には、切削部材が、回転している被削材に当て付けられる。削り取られた材料はチップと呼ばれ、切削部材のすくい面を介して流れ出ていく。形成されるチップの特性は、特に材料特性に左右される。とりわけ、長い線状チップが形成されることには問題がある。なぜならば、チップが旋盤に絡みつき、これによって、プロセス確実性を損なう可能性があるからである。これまでは、長い線状チップの形成を回避するために、被削材用の基礎材料として、切削性を改善する材料を含む材料合金が使用されていた。好適には、特に鉛の合金添加が利用されている。なぜならば、鉛がチップを良好に破断するからである。
【0003】
特に鉛の使用に関連する健康上のリスクに基づき、鉛不含の材料をリスクなしにまたはプロセス確実に処理することができることも重要である。チップを導出して、破断することもできるようにし、したがって、長い線状チップを回避することができるようにするために、先行技術では、特別な形態に成形されたすくい面を有する切削部材が使用される。
【0004】
中国特許出願公開第101695761号明細書に基づき、例えば菱形の切削部材が公知である。この公知の切削部材では、上側の表面が下方に沈められている。これによって、チップを案内するための、凹状に湾曲させられた表面を有するすくい面が形成される。付加的には、このすくい面の、凹状に湾曲させられた表面に、切削部材の先端から中心に向かって増大し、チップを破断するために働く隆起部が形成されている。
【0005】
先行技術では、切削部材が、極端に複雑な構造部を有することが不利である。これによって、設計・製造プロセスに著しく時間とコストとがかかってしまう。
【0006】
したがって、本発明の根底にある課題は、簡単に実現することができ、鉛不含の材料をも切削することができる切削部材を提供することである。さらに、本発明の根底にある課題は、相応の旋盤を提供することである。
【0007】
この課題は、本発明によれば、請求項1の特徴を有する切削部材において、切削部材のすくい面に、切れ刃に隣接して、チップを破断するための、面状に形成された構造部が形成されていることによって解決される。特に好適には、構造部は、平坦な上面と、取り囲むように延在する側面とを有する。さらに好適には、構造部はその面全体にわたって等しい高さを有する。平らな上面について述べる場合、これによって、上面が粗さを有してよいことは排除されていない。また、構造部の製造における製造誤差、特に高さにおける誤差が考慮されてもよい。むしろ、これによって、構造部自体が付加的な凸部または凹部を有していないということが言い表されるべきである。単純な構造部によって、本発明に係る切削部材は簡単に製造可能であるという利点を有する。
【0008】
一構成では、切れ刃が長手方向軸線を有し、切れ刃の長手方向軸線が、構造部の上面に対して平行に配置されている。全く特に好適には、切れ刃の長手方向軸線が、構造部の上面により形成された構造部平面内に位置している。
【0009】
構造部を可能な限り簡単に製造することができるようにするために、一変化形態では、構造部を取り囲んで位置している材料が削り取られる。ここでは、材料を削り取るために適したあらゆる方法が使用されてよい。全く特に好適な構成では、構造部がレーザ彫刻によって実現されている。この場合、構造部を取り囲む周辺の領域がレーザ彫刻されており、つまり、削り取られており、これによって、構造部が、削り取られた周辺の領域から浮き上がっている。特に好適には、構造部を取り囲む材料は、約0.2mmの深さで削り取られており、これによって、構造部は、約0.2mmの高さを有する。また、レーザ彫刻によって、洗練された形で精巧な構造部を実現することもできる。なぜならば、材料を極めて的確に削り取ることができるからである。
【0010】
さらに好適には、構造部が、1mm未満の幅、特に0.6mmの幅を有する。さらに好適には、構造部が、1.2mmの長さを有する。
【0011】
特に好適な構成では、構造部が、ヘリンボーンパターンとして形成されている。ヘリンボーンパターンは、個々の分枝部の周期的な配置によって特徴付けられる。この場合、常に2つの分枝部が相並んでかつ互いに傾けられて配置されている。
【0012】
一構成では、構造部が、1つの中心部と、この中心部から分岐した複数の分枝部とを有する。
【0013】
個々の分枝部は、種々異なる形態で配置されていてよい。全く特に好適な構成では、分枝部が、切れ刃に向かって傾けられていて、さらに、中心部に対して90°よりも小さい角度を成して配置されている。特に好適には、角度は60°である。代替的な構成では、個々の分枝部が、中心部に対して90°の角度を成して配置されている。角度は、中心部の長手方向軸線と分枝部の長手方向軸線との間で測定される。
【0014】
これによって、中心部と分枝部との間の中空室が鋭角を成すという利点が得られる。これによって、チップを破断することのできる刃が形成されている。
【0015】
好適には、個々の分枝部は、互いに均一な間隔を置いて中心部に配置されている。さらに好適には、それぞれ2つの分枝部が、中心部の等しい高さに配置されている。この場合、中心部の各側に両方の分枝部のうちの一方の分岐部が配置されている。
【0016】
構造部の種々異なる変化形態では、中心部も個々の分枝部も種々異なる形態で形成されていてよい。中心部も分枝部も規定の幅を有する。一変化形態では、中心部の幅が、分枝部の幅に相当している。代替的な変化形態では、中心部が、分枝部よりも広幅に形成されている。別の代替的な変化形態では、中心部が、分枝部よりも小さな幅を有する。分枝部自体は全て同じ幅を有してよいかまたは異なる幅を有してよい。
【0017】
好適には、中心部が長手方向軸線に沿って延在している、つまり、好適には直線状に形成されている。特に好適な構成では、中心部の長手方向軸線と切れ刃の長手方向軸線とが90°の角度を成している。
【0018】
特に好適な変化形態では、分枝部が、この分岐部の、中心部から遠い方の端部に向かって先細っている。
【0019】
付加的または代替的な構成では、分枝部が、この分岐部の、中心部に近い方の端部から出発して、中心部から遠い方の端部に向かって、まず、横断面拡大部を有し、次いで、横断面縮小部を有する。つまり、個々の分枝部が膨らんで形成されている。この場合、横断面拡大部は、個々の分枝部の長手方向軸線に対して対称的に形成されていてよいかまたは非対称を有してよい。横断面縮小部も、個々の分枝部の長手方向軸線に対して対称的に形成されていてよいかまたは非対称を有してよい。好適には、横断面拡大部も横断面縮小部も両方とも対称的または両方とも非対称に形成されている。代替的には、横断面拡大部が対称的に形成されていて、横断面縮小部が非対称に形成されており、その逆も然りである。
【0020】
切削部材のほかに、本発明は、さらに、被削材を切削加工するための旋盤に関する。旋盤は、バイトヘッドを有し、このバイトヘッドは、被削材から材料を削り取るための切れ刃と、削り取られた材料であるチップを導出するためのすくい面とを備える少なくとも1つの切削部材を有する。
【0021】
旋盤では、上記課題は、等位の独立請求項の特徴により、切削部材のすくい面に、切れ刃に隣接して、チップを破断するための、面状に形成された構造部が形成されていることによって解決されている。
【0022】
本発明に係る切削部材に関連する、切削部材の有利な構成およびその利点に関する全ての記載は、本発明に係る旋盤に相応に当てはまる。
【0023】
別の構成は、旋盤の機能形式によって特徴付けられている。旋盤の特に好適な構成では、バイトヘッドが、旋盤の運転状態において、つまり、回転工程中、被削材を中心にして回転する。この場合、被削材自体は回転運動を実施しない。むしろ、被削材は並進運動を実施する。先行技術に基づき公知の慣用の旋盤では、被削材が回転しており、バイトヘッドまたは切削部材が、回転している被削材に案内される。いまや、切削部材を備えるバイトヘッドが、被削材を中心にして回転することによって、単位時間当たり、より多くの個数の被削材を加工するかもしくは製造することが可能となる。
【0024】
別の構成では、旋盤は、バイトヘッドが、少なくとも1つの別の切削部材を有することによって特徴付けられている。好適には、バイトヘッドが2つの切削部材を有する。さらに好適には、これら両方の切削部材が、被削材を中心にして互いに反対の側に位置するように配置されている。
【0025】
その後、さらに、バイトヘッドが、旋盤の運転状態において、被削材を中心にして回転するように、旋盤が形成されていると、これによって、両方の切削部材が被削材を中心にして回転し、被削材の、互いに反対の側で材料を同時に削り取る。これによって、被削材の製造プロセスがさらに最適化される。切削部材の各々は本発明により形成されている。
【0026】
本発明に係る旋盤および本発明に係る切削部材を構成しかつ改良するための多数の可能性は個々に存在している。このために、独立請求項に従属する請求項および図面に関連した好適な実施例の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】旋盤のバイトヘッドの切削部材を示す図である。
図2a】切削部材の一部を別の視点で示す図である。
図2b図2aの、構造部を示す詳細区分を示す図である。
図3a図2aに示した切削部材の平面図である。
図3b図3aの、構造部を示す詳細区分を示す図である。
図4】構造部の第2の変化形態を示す図である。
図5図1の、構造部の第3の変化形態の詳細区分を示す図である。
図6】切削部材の一部を被削材と共に示す図である。
図7】2つの切削部材と1つの被削材とを含む旋盤の概略図である。
【0028】
図1は、旋盤3に用いられるバイトヘッド2用の切削部材1を示す。旋盤3は、被削材4を切削加工するように構成されている。切削部材1は、被削材4から材料を削り取るための切れ刃5を有する。さらに、切削部材1は、被削材4の加工時に生じたチップを導出するすくい面6を有する。このすくい面6には、切れ刃5に隣接して、チップを破断するために働く構造部7が形成されている。つまり、すくい面6を介して導出されるチップは、構造部7で破断、つまり、粉砕される。これによって、長い線状チップが粉砕されて、例えば、数十cmではなく、ほんの数mmの大きさ/長さである破砕チップを形成することが達成される。構造部7は面状に形成されていて、構造部7の周辺の領域8における材料が削り取られることによって形成される。図示の実施例では、構造部を取り囲む領域8がレーザ彫刻されている。構造部7の上面はほぼ平らに形成されている。
【0029】
図2aおよび図3aには、切削部材1の上側の部分が、それぞれ異なる視点で示されている。図2aは、切削部材1を斜め上方から見た図を示すのに対して、図3aは、切削部材1の平面図を示す。図2bおよび図3bには、それぞれ図2aおよび図3aの詳細区分が示されている。この区分は、図2aおよび図3aにおいて、それぞれ円によって認められる。
【0030】
図面から明らかであるように、切れ刃5は長手方向軸線9を有する。構造部7はヘリンボーンパターン10として形成されていて、中心部11と、この中心部11から分岐した複数の分枝部12とを有する。構造部7,10については、図3bに特に良好に認めることができるので、図3bに基づき詳細に説明する。個々の分枝部12は、切れ刃5に向かって傾けられている。中心部11の長手方向軸線13と分枝部12の長手方向軸線14との間の角度αは60°である。さらに、中心部11の長手方向軸線13は、切れ刃5の長手方向軸線9に対して垂直であり、したがって、角度βは90°である。
【0031】
個々の分枝部12は、中心部11から遠い方の端部15に向かって先細っている。全体として、図2a~図3bに示された分枝部12は、膨らんだ形態、つまり、分枝部12の、中心部11に近い方の端部16から出発して、まず、横断面拡大部を有し、次いで、横断面縮小部を有する。中心部11自体は狭幅に形成されている、つまり、小さな幅を有し、さらには、分枝部よりも小さな幅を有する。
【0032】
図4は、ヘリンボーンパターン10の形態の構造部7の代替的な構成を示す。図3bに示された構成と異なり、図4に示された構造部7は、分枝部12よりも大幅に広幅に形成されている中心部11を有する。さらに、分枝部12は膨らんでおらず、スリムに形成されていて、横断面拡大部をほぼ有していない。中心部11の長手方向軸線13と分枝部12の長手方向軸線14との間の角度αは同じく60°である。図3bに示した構造部でも、図4に示した構造部でも、分枝部は互いに等しい間隔を置いて配置されている。
【0033】
図5は、構造部7の別の代替的な構成を示すと同時に、図1に示された切削部材1の詳細区分を示す。構造部7を取り囲む削り取られた領域8を特に明確に認めることができる。構造部7は複数の分枝部12を有する。これらの分枝部12は、それぞれ中心部11を中心にして対を成して配置されている。分枝部12は全て同一に形成されているのではなく、むしろ、切れ刃5の最も近くに配置されている分枝部12が、残りの分枝部12と異なる形状を有する。残りの分枝部はフカヒレ状に形成されている。したがって、分枝部は、中心部11から遠い方の端部15に向かって先細っている。分枝部12の両側は、同一の方向に湾曲させられている。2つの隣り合った分枝部12の、中心部11に近い方の端部16は、互いに直接隣接しており、これによって、2つの隣り合った分枝部12は互いに接触している。
【0034】
図6は、加工される被削材4と一緒に切削部材1の概略図を示す。切削部材1と被削材4とは、互いに相対的に回転運動を実施する。この回転運動は矢印によって表されている。切削部材1はその切れ刃5でもって被削材4に当て付けられて、被削材から材料を削り取る。削り取られた材料は、チップの形態で切削部材1のすくい面6を介して流れ出る。このすくい面6には、切れ刃5に隣接して、チップを破断するための構造部7が形成されており、これによって、チップが直接破断される。
【0035】
図7には、旋盤3が概略的に示されている。この旋盤3はバイトヘッド2を有する。このバイトヘッド2の中心には、加工すべき被削材4が挿入されているかもしくはバイトヘッド2に設けられた切欠きによって案内されている。バイトヘッド2は2つの切削部材1を有する。これら両方の切削部材1は切削部材ホルダ17に保持されていて、バイトヘッド2に結合されている。切削部材1のすくい面6には、切れ刃5に隣接して、生じたチップを破断するために働く構造部7が形成されている。運転状態または作業モードでは、バイトヘッド2が被削材4を中心にして回転する。このとき、被削材4自体は回転運動を実施しない。これによって、被削材4が回転して、バイトヘッド2が回転運動を実施しない場合よりも正確にかつ迅速にも被削材4を加工することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 切削部材
2 バイトヘッド
3 旋盤
4 被削材
5 切れ刃
6 すくい面
7 構造部
8 周辺の領域
9 切れ刃5の長手方向軸線
10 ヘリンボーンパターン
11 中心部
12 分枝部
13 中心部11の長手方向軸線
14 分枝部12の長手方向軸線
15 分枝部の、中心部11から遠い方の端部
16 分枝部の、中心部11に近い方の端部
17 切削部材ホルダ
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7