(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】バッテリコンパートメント用のデュアルアクションドア機構
(51)【国際特許分類】
H05K 5/03 20060101AFI20240502BHJP
E05B 65/00 20060101ALI20240502BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20240502BHJP
【FI】
H05K5/03 D
E05B65/00 N
H01M50/271 B
(21)【出願番号】P 2021540491
(86)(22)【出願日】2020-01-08
(86)【国際出願番号】 US2020012655
(87)【国際公開番号】W WO2020150046
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2022-10-14
(32)【優先日】2019-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン-ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カディオ、マイケル エー
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-237930(JP,A)
【文献】特開平11-054098(JP,A)
【文献】特開2007-073448(JP,A)
【文献】特開2007-165723(JP,A)
【文献】特開2000-145215(JP,A)
【文献】特開2001-345567(JP,A)
【文献】特開2016-115926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/03
E05B 65/00
H01M 50/271
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンパートメント用のロック機構であって、前記ロック機構が、
前記コンパートメントのハウジングに固定され、前記コンパートメント内に位置する変形可能アームを含み、前記変形可能アームが、
前記ハウジングとかみ合って、前記コンパートメントのドア
を閉じた状態で保持するラッチ位置と、前記ドアを開けることを可能にするアンラッチ位置と、の間を移動するよう構成されている、前記ドアに設けられたラッチとかみ合い、前記ラッチが
前記ラッチ位置から前記アンラッチ位置に移動することを防ぐ、第1の位置に付勢されるよう構成されている第1端と、
前記変形可能アームを、前記第1端と前記ラッチとのかみ合いを解除する第2の位置に移動させるための外力を受容するよう構成されている受容面であって、前記外力が該受容面に適用されている間に、前記ラッチが開くことを可能にする受容面と、
を含む、コンパートメント用のロック機構。
【請求項2】
前記第1端は、
前記ラッチに形成された第1のかえしとかみ合うよう構成されている第1の突起と、
前記ラッチに形成された第2のかえしとかみ合うよう構成されている第2の突起と、をさらに含み、
前記第1の突起は、前記ラッチにおける変形可能部材が、前記第1の突起と前記第2の突起との間に位置できるよう、前記第2の突起からオフセットされている、
請求項1に記載のロック機構。
【請求項3】
前記受容面は、前記変形可能アームから延在するボタンをさらに含み、前記ボタンは、前記ハウジング又は前記ドアの少なくとも1つに形成された開口を通して、前記外力を受容するよう構成されている、請求項1に記載のロック機構。
【請求項4】
前記ボタンは、前記開口を通して延在するよう構成されている、請求項3に記載のロック機構。
【請求項5】
前記変形可能アームは、カンチレバースプリングを含み、ここでは、前記変形可能アームの前記第1端が自由端であり、前記変形可能アームの第2端が、前記コンパートメントの前記ハウジングに固定されている、請求項1に記載のロック機構。
【請求項6】
前記変形可能アームは、前記コンパートメントの前記ハウジングと一体となっている熱可塑性物質を含む、請求項1に記載のロック機構。
【請求項7】
前記変形可能アームは、前記第1の位置では、前記ラッチに適用されている30ニュートンから100ニュートンの範囲内の力に応えて、前記ラッチが開くことを防ぐ、請求項1に記載のロック機構。
【請求項8】
前記変形可能アームは、前記受容面に適用されている0ニュートンを超えて10ニュートンまでの範囲内の力に応えて、前記第1の位置から前記第2の位置に移動するよう構成されている、請求項1に記載のロック機構。
【請求項9】
前記コンパートメントはバッテリコンパートメントである、請求項1に記載のロック機構。
【請求項10】
コンパートメントを形成するハウジングと、
前記コンパートメントへのアクセスを提供する、前記ハウジングにおける開口と、
閉じた際には、前記コンパートメントへのアクセスを防ぎ、開いた際には、前記コンパートメントへのアクセスを提供するよう、前記ハウジングにおける前記開口とかみ合うよう構成されているドアと、
前記コンパートメントの前記ハウジングに固定され、前記コンパートメント内に位置する変形可能アームと
を含み、前記ドアがさらに、
ラッチであって、前記ハウジングとかみ合って、閉じた前記ドアを保持するラッチ位置と、前記ドアを開けることを可能にするアンラッチ位置と、の間を移動するよう構成されているラッチ部材を含むラッチを含み、前記変形可能アームが、
前記ラッチとかみ合い、前記ラッチが、前記ラッチ位置から前記アンラッチ位置に移動することを防ぐ、第1の位置に付勢されるよう構成されている第1端と、
前記変形可能アームを、前記第1端と前記ラッチとのかみ合いを解除する第2の位置に移動させる外力を受容するよう構成されている受容面であって、前記外力が該受容面に適用されている間に、前記ラッチを、前記アンラッチ位置に移動させることができる受容面と、
を含むロック機構付きコンパートメント。
【請求項11】
前記ラッチは、
前記ラッチを前記ラッチ位置に付勢するよう構成されたスプリング部材と、
前記スプリング部材に接続された第1のかえしと、
前記スプリング部材に接続された第2のかえしと、をさらに含み、
前記変形可能アームの前記第1端は、
前記第1のかえしとかみ合うよう構成されている第1の突起と、
前記第2のかえしとかみ合うよう構成されている第2の突起と、をさらに含み、
前記第1の突起は、前記ラッチの前記スプリング部材が、前記第1の突起と前記第2の突起との間に位置できるよう、前記第2の突起からオフセットされている、
請求項10に記載のコンパートメント。
【請求項12】
前記受容面は、前記変形可能アームから延在するボタンをさらに含み、前記ボタンは、前記ハウジング又は前記ドアの少なくとも1つに形成された開口を通して、前記外力を受容するよう構成されている、請求項10に記載のコンパートメント。
【請求項13】
前記ボタンは、前記開口を通して延在するよう構成されている、請求項12に記載のコンパートメント。
【請求項14】
前記ドア又は前記ハウジングの少なくとも1つは、
前記変形可能アームを、前記第1の位置から前記第2の位置に移動させる、手動による外力を前記ボタンに適用できるよう、前記開口の周りに形成されたくぼみ
をさらに含む、請求項13に記載のコンパートメント。
【請求項15】
前記変形可能アームはカンチレバースプリングを含み、ここでは、前記変形可能アームの前記第1端が自由端であり、前記変形可能アームの第2端が、前記コンパートメントの前記ハウジングに固定されている、請求項10に記載のコンパートメント。
【請求項16】
前記変形可能アームは、前記コンパートメントの前記ハウジングと一体となっている熱可塑性物質を含む、請求項10に記載のコンパートメント。
【請求項17】
前記変形可能アームは、前記第1の位置では、前記ラッチに適用されている30ニュートンから100ニュートンの範囲内の力に応えて、前記ラッチが開くことを防ぐ、請求項10に記載のコンパートメント。
【請求項18】
前記変形可能アームは、前記受容面に適用されている0ニュートンを超えて10ニュートンまでの範囲内の力に応えて、前記第1の位置から前記第2の位置に移動するよう構成されている、請求項10に記載のコンパートメント。
【請求項19】
前記コンパートメントはバッテリコンパートメントである、請求項10に記載のコンパートメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンパートメントのドアをしっかりと閉じる機構に関し、特に、ドアのラッチ用のロック機構を含む、コンパートメントのドア用のデュアルアクション機構に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリを電源とする電子デバイスが、広範なアプリケーションにおいて使用されている。電子デバイスにおいて使用される、共通するバッテリタイプの例には、矩形プリズムフォームファクターを有する6ボルト及び9ボルトバッテリ、円筒状のC、D、AA、及びAAAバッテリセル、及び様々なタイプの円形コイン型セルバッテリが含まれるが、これらに限定しない。いくつかのデバイスは、2つ又はそれ以上のセルを、単一の電気エネルギサプライに統合したバッテリパックを採用する。より一般的には、「バッテリ」という言葉は、電子デバイスが作動中に使用する電気エネルギを蓄える、1つ又はそれ以上のバッテリセルを指す。電子デバイスは、バッテリを物理的に固定するバッテリコンパートメントを含み、電子デバイスに電力を提供するための、バッテリに対する電気的接続を提供する。
【0003】
多くの電子デバイスは、それが閉じた際には、バッテリコンパートメントをしっかりと閉じ、それが開いた際には、バッテリコンパートメントへのアクセスを提供するドアを介して、バッテリの交換を可能とするための、バッテリコンパートメントへのアクセスを提供する。いくつかのバッテリコンパートメント構成では、ドアはまた、それが閉じた際には、バッテリと、物理的接続、電気的接続、又はその双方と共にかみ合う。一方、他の構成では、ドアは、バッテリコンパートメントへのアクセスのみを制御する。
【0004】
既存のバッテリコンパートメントのドアは、ユーザが、バッテリを交換するために、バッテリコンパートメントにアクセスできるようにする。一方、いくつかの例では、子供などの許可されていないユーザであっても、同様に、ドアを開き、バッテリコンパートメントにアクセスできる場合がある。コンパートメント内のバッテリへの、監視のないアクセスを得た子供は、コンパートメントからバッテリを取り外した後に怪我をする場合がある。もちろん、ネジにより固定されたキー付きロックとドアとを含む、様々なロック機構が当業者に知られており、これらは一般的に、許可されていないアクセスを防ぐことに有効である。しかし、これらの機構はまた、許可されたユーザにとって、既存のバッテリが放電した後に、そのバッテリを交換するなどの正当な目的をもってしても、バッテリコンパートメントにアクセスすることが難しくなる場合がある。医療モニタリングデバイスなどのいくつかの状況では、そのデバイスが、バッテリコンパートメントへの許可されていないアクセスを依然として防ぐべきである一方、許可されたユーザが、難しさが最小限の状態で、バッテリを交換する必要がある場合がある。その結果として、バッテリコンパートメントのドアを含む、コンパートメントのドア用の、これらの問題を減らす、又は、これらの問題をなくす、ロック機構に対する改善が有益となるであろう。
【発明の概要】
【0005】
1つの実施形態では、コンパートメント用のロック機構が開発されている。ロック機構は、コンパートメントのハウジングに固定され、そのコンパートメント内に位置する変形可能アームを含む。変形可能アームは、コンパートメントのドアのラッチとかみ合い、ラッチが開くことを防ぐ、第1の位置に付勢されるよう構成されている第1端と、変形可能アームを、第1端とラッチとのかみ合いを解除する第2の位置に移動させるための外力を受容するよう構成されている受容面であって、その外力が該受容面に適用されている間に、ラッチを開くことを可能にする受容面と、を含む。
【0006】
別の実施形態では、ロック機構付きコンパートメントは、コンパートメントを形成するハウジングと、コンパートメントへのアクセスを提供する、ハウジングにおける開口と、ハウジングにおける開口とかみ合い、閉じた際には、コンパートメントへのアクセスを防ぎ、開いた際には、コンパートメントへのアクセスを提供するよう構成されているドアと、を含む。ドアは、ラッチをさらに含む。ラッチは、ハウジングとかみ合って、閉じたドアを保持するラッチ位置と、ドアを開けることを可能にするアンラッチ位置と、の間を移動するよう構成されているラッチ部材と、コンパートメントのハウジングに固定され、そのコンパートメント内に位置する変形可能アームと、を含む。変形可能アームは、ラッチとかみ合い、ラッチが、ラッチ位置からアンラッチ位置に移動することを防ぐ、第1の位置に付勢されるよう構成されている第1端と、変形可能アームを、第1端とラッチとのかみ合いを解除する第2の位置に移動させるための外力を受容するよう構成されている受容面であって、その外力が該受容面に適用されている間に、ラッチを、アンラッチ位置に移動させることができる受容面と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、閉じたドアが、コンパートメントへのアクセスを防ぐ構成と、ドアが開いており、コンパートメントへのアクセスを提供する別の構成と、のロック機構を含むデュアルアクションドア機構を含むバッテリコンパートメントの一式の図である。
【
図2】
図2は、ドアをコンパートメントに固定するロック機構の断面図である。
【
図3】
図3は、ラッチ及びロック機構をさらに詳細に描く断面図及び平面図である。
【
図4】
図4は、ドアの閉鎖と、ドアにおけるラッチのロック機構へのかみ合いを描く一式の図である。
【
図5】
図5は、変形可能アームをロック機構内に組み込むバッテリコンパートメントの一式の上面図及び底面図である。
【
図6】
図6は、ロック機構における変形可能アームの応力及び変位を描く、一式の有限要素解析図である。
【
図7】
図7は、ロック機構における変形可能アームの応力及び変位を描く、別の一式の有限要素解析図である。
【
図8】
図8は、ロック機構の手動操作を可能にするくぼみを含む、コンパートメント用のドアの実施形態の図である。
【
図9】
図9は、デュアルアクションドア機構を操作するユーザをアシストするためのしるしを含む、コンパートメント用のドアの実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここに説明する実施形態の原理の理解を促進する目的で、図面と、以下に記述する明細書における説明と、を参照する。これらの参照は、本主題の範囲を限定することを意図しない。本発明はまた、ここに説明する実施形態に対するいずれの代替例及び変形例を含み、本文書に関係する当業者が通常想到するような、ここに説明する原理の実施形態のさらなるアプリケーションを含む。
【0009】
図1は、ドア132を受容し、ロック機構108を含む、開口を有するコンパートメント104を形成するハウジング150を有する電子デバイス100を描く。ロック機構108は、ドア132に形成されたラッチ136とかみ合う変形可能アーム112を含む。
図160では、コンパートメント104へのアクセスを防ぐよう、ドア132が閉じている。一方、
図170では、コンパートメントへのアクセスを可能にするよう、ドアは開いている。
図1が、コンパートメント104のハウジング150から完全に取り外すことができるドア132を描く一方、代替的な実施形態では、ドアは、これが開いていても、ヒンジ又は他の取り付け構造を使用して、ハウジングに取り付けられたままとなっている。ロック機構108は、取り外し可能なドアと、取り外し可能でないドアと、の双方に使用できる。以下にさらに詳細に説明するように、変形可能アーム112は、第1の位置に付勢され、変形可能アーム112の第1端114が、ロック構成において、ラッチ136とかみ合うことができるようになっている。変形可能アーム112に適用される外力は、変形可能アーム112を、第2の、アンロック位置に移動させる。ここでは、変形可能アームの第1端114はラッチ136とかみ合わず、これにより、変形可能アーム112が第2の位置にある間に、ラッチ136を開けることを可能にする。
【0010】
説明を目的として、電子デバイス100は、電子血糖測定(blood glucose meter又はBGM)デバイスである。コンパートメント104は、そのデバイスの作動用電力を供給する2つのコインセルバッテリ用のレセプタクル106A及び106Bを含むバッテリコンパートメントである。しかし、ここに説明する実施形態は、異なるタイプ及び数のバッテリセル又はバッテリパックを受容するバッテリコンパートメントを含むバッテリコンパートメントを使用する、広範な他の電子デバイスに使用されてよい。さらに、ここに説明する実施形態が、バッテリコンパートメントを描く一方で、ここに説明するロック機構を有するデュアルアクションドア機構は、バッテリ以外のアイテムを同様に保持するコンパートメントをしっかりと閉じることに使用できる。
【0011】
図1の
図160は、コンパートメント104へのアクセスを防ぐ、閉じられ、ロックされた構成でのドア132を描く。ラッチ136に加えて、ドア132は、ロック機構108の変形可能アーム112上に形成された受容面124へのアクセスを提供する開口140を含む。
図1の
図160及び
図170の双方に描くように、受容面124は、変形可能アーム112から延在するボタン(「ピン」とも呼ばれる)である。
図1の実施形態では、受容面ボタン124は、ドア132における開口140と同一平面に形成される。しかし、他の実施形態では、受容面は、開口140の下に凹んでいるか、又は、ボタン124若しくは受容面構造が、開口140を通して延在する。代替的な実施形態では、受容面は、変形可能アーム112、又は、変形可能アームを、第1の位置からラッチ136をアンロックする第2の位置に移動させるための外力を可能にする異なる形状及びサイズを有する構造の平坦部である。開口140と同一平面、又は、この下に受容面を配置する実施形態は、開口140を通して変形可能アーム112をかみ合わせる、ペン又は他の器具の使用なく、ユーザの、ラッチ136を手動でアンロックする能力を下げる、又は、これをなくす。これは、子供による許可されていないアクセスを防ぐことを助けることができる。加えて、ここに説明する実施形態が、ドア132に形成された開口140を含む一方で、代替的な実施形態では、開口は、コンパートメントを形成するハウジング又はドアの少なくとも1つに形成できる。
【0012】
作動中、矢印134により示されるように、外力が、ボタン124の受容面を押す。
図1の例示的実施形態では、ユーザは、ボールペンの先、ピンセット、又は他の同様の物などの器具を使用して外力を適用し、ボタン124を押し、変形可能アーム112を、ラッチ136とのかみ合いが外れる第2の位置に移動させる。この器具は、特定のタイプのねじ回しなどの特殊工具である必要はなく、ユーザが容易に利用できる物とすることができる。加えて、いくつかの実施形態では、ボタン124は、器具の使用を必要としない手動操作(つまり、1つ又はそれ以上の指での操作)が可能に構成されている。
【0013】
変形可能アーム112を第2の位置に移動させる外力は、ユーザが、矢印138により示されるように、別の力を適用することにより、ラッチ136を操作できるようにする一方、同時に、方向134の外力の適用を介して、変形可能アーム112をアンロック位置に維持する。ドア132がアンラッチされ、ハウジング150から取り外され、コンパートメント104へのアクセスを可能にする。したがって、
図1と、ここに説明する他の実施形態と、は、「デュアルアクションドア機構」を描く。なぜなら、コンパートメントへのドアを開くプロセスが、ロック機構をアンロックする第1のアクションと、ロック機構がアンロック構成のままである間に、ラッチを開く第2のアクションと、を含むからである。
【0014】
図1の
図170は、ドア132が取り外された、開放構成でのコンパートメント104を描く。
図170では、ロック機構108の変形可能アーム112は、受容面ボタン124に外力が適用されていなければ、第1の突起116A及び第2の突起116Bを含む、変形可能アーム112の第1端114を第1の位置に付勢する。変形可能アーム112の第2端128は、コンパートメント104を形成するハウジング150に固定されている。ここに説明する実施形態では、変形可能アーム112は、ハウジング150の成形部として形成された一体型部材である。一方、他の実施形態では、変形可能アーム112は、溶接、リベット打ち、摩擦フィット接続、又はいずれの他の好適な取り付け構造を介してハウジングに固定されている別体構造物である。変形可能アーム112は、1つのタイプのスプリングである。特に、変形可能アーム112は、カンチレバースプリングを形成する。ここでは、突起116A及び116Bを有する第1端114が自由端であり、第2端128が固定端を形成する。ここに説明する実施形態では、第2端128はまた、カンチレバースプリングの支点をも形成する。しかし、代替的な実施形態は、変形可能アーム112の第2端128の取り付け位置とは別の支点を採用できる。
【0015】
図1の
図170に描かれるように、変形可能アーム112の第1端114は、ラッチ136に形成された第1のかえし及び第2のかえしとそれぞれかみ合うよう構成されている突起116A及び116Bを含む。変形可能アーム112が第1の位置にある間に、突起116A及び116Bは、これらのかえしとかみ合い、ラッチ136をロックし、ラッチ136が開くことを防ぐ。これらのかえしを、以下により詳細に描く。第1の突起116Aは第2の突起116Bからオフセットしており、ギャップ120を形成している。これは、変形可能部材が、ラッチ136において、第1の突起116Aと第2の突起116Bとの間に位置できるようにする。これにより、変形可能アーム112が第2の位置に移動して、突起116A及び116Bとこれらのかえしとのかみ合いが解除されると、ラッチ136が開くことができるようになっている。変形可能アーム112の代替的な実施形態は、ラッチとかみ合う1つ又はそれ以上の突起又は他の部材を含むことができる。
【0016】
図2は、ドア132が閉まっており、ロック機構108の変形可能アーム112が第1の位置にあり、ラッチ136が開くことを防いでいる場合の、コンパートメント104内の内部図を描く。
図2は、かえし234と、U字型の変形可能部材236と、を含む、ラッチ136の追加的要素を描く。U字型の変形可能部材236の一端は、ドア132に固定されており、他端は自由端であり、ドア132が閉じている際にハウジング150とかみ合う。かえし234は、ラッチ136において、変形可能部材236から横方向に延在し、ロック機構108の変形可能アーム112からの突起116Bとかみ合う。
図2は、1つのかえし234と1つの突起116Bのみを描く断面図である。しかし、少なくとも1つの実施形態では、ラッチ136上の第2のかえしが、他の突起116Aとかみ合う。U字型の変形可能部材236は、ラッチ136を、ハウジング150とかみ合うように付勢し、ドア132が閉じた際にドア132をハウジング150に固定するスプリングである。U字型の変形可能部材236は、
図1に描く上記変形可能アーム112のギャップ120内に位置し、ロック機構108がアンロックされると、ユーザは、U字型の部材に外力を適用し、ラッチ136を、
図2に描く閉位置から、第2の位置に移動させる。これにより、U字型の変形可能部材236が変形可能アーム112のギャップ120内にある間に、ドア132を開けることが可能となる。
【0017】
変形可能アーム112が、
図2に描く第1の位置にある場合、かえし234を含むこれらのかえしは、変形可能アーム112の突起116A及び116Bとかみ合い、方向208に適用され、ラッチ136に適用される外力は、ラッチ136を移動させないか、又は、ラッチ136を、ドア132を開くには不十分な短い距離(例えば、1mm未満)だけ移動させる。1つの実施形態では、かえし234及び変形可能アーム112は、熱可塑性物質などの材料から形成され、その形状及び厚さは、方向208に沿う、少なくとも30ニュートンの力に応えてラッチが開くことを防ぐ抵抗を提供し、デバイス100内のいずれのコンポーネントを損傷することなく、ラッチ136が開くことを防ぐ。他の実施形態は、ラッチ及びロック機構の部材の材料、サイズ、及び形状に基づいて、実際の例として、30から100ニュートンの範囲内の最低抵抗レベルを含む、より少ない、又は、より多い量の抵抗を提供してよい。しかし、100ニュートンは、ラッチ及びロック機構の実施形態が耐え得る力における厳密な上限ではない。
【0018】
図2に描かれるように、矢印204により示されるように、ボタン124の受容面に適用される外力は、変形可能アーム112を、
図2の第1の位置から下方に、コンパートメント104における第2の位置まで押す。1つの実施形態では、変形可能アーム112の第1端114は、第1の位置と第2の位置との間に、約2mmのモーションの範囲を有する。しかし、他の実施形態は、より広い、又は、より狭いモーションの範囲を有することができる。第2の位置では、突起116A及び116Bは、ラッチ136上のかえし234を含むこれらのかえしとはかみ合わず、これにより、ラッチがアンロックされる。
図2の例では、変形可能アーム112は、コンパートメント104内に、第2の位置まで下方に移動する。しかし、他の実施形態では、変形可能アーム112に対する動きの方向は異なることができる(例えば、上方、横方向、又は斜め方向)。変形可能アーム112は、1つの実施形態では、1ニュートン以上の力で第2の位置に移動するが、他の実施形態では、変形可能アームの構造の剛性に基づく、より大きい、又は、より小さい量の力に応えて移動する。
図2に描かれるように、ラッチ136がアンロックされると、矢印208により示されるように、ラッチ136に適用される第2の力が、変形可能部材236を方向208に押し、ラッチ136とハウジング150とのかみ合いを解除し、ユーザが、ドア132を開くことができるようにする。ユーザは、ドア132を開くために、第2の力を適用する間に、第1の力を維持し、変形可能アーム112とラッチ136とのかみ合いを解除してラッチ136を開く。ユーザが、ドア132を開くことなく、受容面ボタン124に力を適用することを止めると、変形可能アーム112のスプリングバイアスが、第1端を、
図2に描く第1の位置に戻し、ラッチ136をロックする。
【0019】
図3は、ラッチ136の実施形態のさらなる詳細を描く。
図3では、
図350が、変形可能アーム112の突起116Bとかみ合うかえし234Bとかみ合うラッチ136を描く。
図3の実施形態では、かえし234Bには、突起116Bが、変形可能アーム112の第1端にて完全にかみ合うのに十分なサイズを有する後面が形成されている。
図360は、2つの横方向に延在するかえし234A及び234Bを描く、ラッチ136の一部位の簡略化した平面図である。上に描くように、かえし234A及び234Bは、ロック機構108がラッチ136をロックし、変形可能部材236が、ラッチ136において、突起116A及び116Bの間のギャップ120内に位置する際に、変形可能アーム112において、突起116A及び116Bとそれぞれかみ合う。
【0020】
電子デバイス100において、デュアルアクションドア機構を使用して、ロック機構をアンロックし、ドアを開くことに加えて、ここに説明する実施形態はまた、ドアを開くために使用されたデュアルアクション操作の代わりに、シングルアクションのみを使用して、開いているドアを閉じることを可能にする。
図4は、ドアを閉じる操作をより詳細に描く。
図450では、ラッチ136がハウジング150とかみ合い始めると共に、ドア132は、閉じるプロセスにある。ラッチ136がハウジング150とかみ合うと、かえし234Bは、矢印404により描かれるように、変形可能アーム112の第1端において、突起116Bとかみ合う。かえし234Bは、矢印408により示されるように、変形可能アーム112を下方に押す。
図4には明示されていないが、かえし234Aがまた、変形可能アーム112の突起116Aをも同様に押す。したがって、ラッチ136は、ドア132が閉まると共に変形可能アーム112を移動させる。したがって、ユーザは、ドア132を閉める際に、ラッチ136をハウジング150とかみ合わせるために使用した力以外の別の外力を、変形可能アーム112に適用する必要はない。
図460に描かれるように、ラッチ136がハウジング150とかみ合い、ドア132が閉まると、かえし234B(及び、同様に、かえし234A)は、変形可能アーム112の突起116A及び116Bのそれぞれとはかみ合わず、変形可能アーム112は第1の位置に戻り、矢印412により示されるように、ラッチ136をロックする。
【0021】
図5は、熱可塑性物質から成形され、ハウジング150のすべて又は一部と一体となっている、ロック機構108における変形可能アーム112の実施形態のさらなる詳細を描く。
図5では、
図550が、バッテリコンパートメント104からの、ロック機構108の変形可能アーム112を描き、
図560が、ハウジング150に形成された別の電子部品コンパートメント504における、反対側からの同要素を描く。変形可能アーム112は、ハウジングの残りの部分に、第2端128にて固定されている。これは、取り付け点及び支点を形成し、変形可能アーム112が、バッテリコンパートメント104において、自由端である第1端114を有するカンチレバースプリングとなることを可能にする。
図5の実施形態では、ハウジング150及び変形可能アーム112は双方共、Lexan(登録商標)などから市販されている熱可塑性組成物などの、熱可塑性物質、又は、別の好適な高分子組成物、から形成されている。形成中、溶解した熱可塑性物質がモールド内を流れ、第2端112から始まり、第1端114と、突起116A及び116Bと、に延在する変形可能アーム112を形成する。
【0022】
図6及び
図7は、作動中の変形可能アーム112の異なるセクションに対する、有限要素解析(finite element analysis又はFEA)の結果を描く。
図6の
図604は、受容面124に外力が適用され、変形可能アーム112を、第1の位置から第2の位置に移動させる際に、変形可能アーム112の第2端128に生じる応力を描く。
図6の
図608は、1ニュートンの外力、より一般的には、変形可能アーム112の第1端114を、第1の位置から第2の位置に移動させるのに十分な、0ニュートンを超えて10ニュートンまでの範囲内の力に応えて、変形可能アームの第1端114に生じる変位を描く。
図7の
図704は、ロック機構108がロックされ、外力が最大負荷レベル(例えば、30ニュートンから100ニュートンの範囲、又は、別の一式の最大力レベル)未満である限り、変形可能アーム112が防ぐ、ラッチを開こうとする外力が適用された際に、変形可能アーム112に生じる応力を描く。
図708は、ラッチ136からの(矢印712として描かれた)力が、突起116A及び116Bに適用されることにしたがう、変形可能アーム112の第1端114の変位を描く。
【0023】
図8は、別の実施形態のドア832を有する電子デバイス100を描く。ドア832は、上記のドア132に含まれるものと同じラッチ136を含み、開口140の周りに形成されたくぼみ808をさらに含む。
図8が、ドア832における開口140の周りに形成されたくぼみ808を描く一方、コンパートメントのハウジングに形成された開口を含む別の実施形態では、くぼみは、ハウジングに形成できる、又は、ハウジング及びドアの双方に形成できる。くぼみ808は、変形可能アーム112の受容面ボタン124が、開口140内を通り、その上に延在することを可能にする。これは、ユーザによるボタン124の手動操作を簡略化する。なぜなら、くぼみ808は、ユーザが指を使ってボタン124を下方に押すための十分なクリアランスを提供するからである。一方、くぼみを含まず、ボタン124の受容面が、開口140内を通して延在していないドア132を有する上記の実施形態では、器具を使わない手動操作は時に、現実的ではない。くぼみ808はまた、受容面ボタン124の上端が、くぼみ808の外側の、ドア832の残りの部分の表面レベルにある、又は、これより下にある間に、受容面ボタン124への手動アクセスをも可能にする。これは、ボタン124が、損傷することから、又は、ユーザのポケット若しくは他のキャリア内にて引っかかることから保護する。
【0024】
図9は、ユーザが、ロック機構108を操作して、ラッチ136をアンロックすることをアシストするための、ドア132の表面上に形成されたしるしを含む、ドア132の実施形態を描く。
図9では、アイコン904が、アンロック操作を示し、ガイドシンボル906が、ドア132における開口140と、ラッチ136をアンロックするための、ユーザからの外力を受容するボタン124の受容面と、を取り囲む。上述するように、ここでの実施形態は、
図8のドア832の実施形態において、手動で、又は、
図9及び他の図のドアの実施形態132において、特定のタイプのねじ回しなどの特殊工具を必要とすることなく、ボールペンの端部、若しくは、他の物などの簡易的な器具を使用して、ユーザがラッチ136をアンロックできるようにする。さらに、ロック機構108及びラッチ136を含むデュアルアクションドア機構は、子供などの許可されていないユーザによる、バッテリコンパートメント104へのアクセスを減らす、又は、これを防ぐ。なぜなら、これらのユーザは一般的に、デュアルアクションドア機構のアンロックアクション及びアンラッチアクションを同時に行うことができないからである。加えて、上述するように、ドアを開いた後にこのドアを閉じることは、コンパートメントの開口においてドアをラッチすること以外の、いずれの追加的アクションを必要としない。
【0025】
ここに説明する実施形態が、説明を目的として、バッテリコンパートメントを描く一方、ここに説明するロック機構には、他のタイプのコンパートメント用のデュアルアクションドア機構が、同様に使用されてよい。別のタイプのコンパートメントの1つの非限定例としては、患者の薬剤を保管するコンパートメントがある。薬剤コンパートメントは、電子的又は非電子的薬剤コンテナデバイスの一部とすることができる。ここに説明する実施形態は、バッテリコンパートメントにおけるバッテリへの許可されていないアクセスを防ぐために、上記と同様に、コンパートメントにおける、投薬のための許可されていないアクセスを防ぐことができる。
【0026】
上記の実施形態、及び、他の特徴並びに機能の変形例、又は、それらの代替例が、多くの他の異なるシステム、機器、アプリケーション、又は方法に望ましく組み合されてよい、ということが理解されるであろう。現在予見されない、又は、予期されない、様々な代替例、変形例、バリエーション、又は改善が今後、以下の特許請求の範囲により包含されることを意図して、当業者により行われるであろう。