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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】バイオセンサカプセルおよびシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/07 20060101AFI20240502BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20240502BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20240502BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
A61B5/07 100
G01N21/27 Z
G01N21/64 Z
A61B5/00 N
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2021562105
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-23
(86)【国際出願番号】 EP2020060788
(87)【国際公開番号】W WO2020212538
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2023-03-17
(31)【優先権主張番号】19170030.1
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521456379
【氏名又は名称】エンテラセンス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【弁理士】
【氏名又は名称】小畑 統照
(74)【代理人】
【識別番号】100202854
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 卓行
(72)【発明者】
【氏名】ディカーロ,マリア・キアラ
(72)【発明者】
【氏名】デヴァリー,ドナル
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03269298(EP,A1)
【文献】特開平08-193946(JP,A)
【文献】特表2011-513865(JP,A)
【文献】特表2015-512664(JP,A)
【文献】特表2014-505556(JP,A)
【文献】特開2009-233253(JP,A)
【文献】特開昭60-236631(JP,A)
【文献】特開2015-226790(JP,A)
【文献】特開2005-192879(JP,A)
【文献】特表2017-525440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/01、5/06-5/22、9/00-10/06、1/00-1/32
G01N 1/00-21/01、21/17-21/61、21/62-21/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオセンサシステムであって、
カプセルを備え、前記カプセルが、
哺乳類のGI管に摂取するように構成されているとともに長手方向軸を有するハウジング(2)であって、前記ハウジングの少なくともいくつかの部分(5、6、7)がセンシング波長の放射線に対して透過性であり、体液がアクセスするように開いている外部空間(10)を形成するように構成されている、ハウジング(2)と、
前記ハウジングの前記部分を介して放射線を前記外部空間に発するとともに前記外部空間から放射線を検出するようになされている放射線エミッタ(21)および放射線検出器(22)と、
前記放射線エミッタのための駆動回路および前記検出器にリンクされた信号処理回路(50)と、
検出データをローカルで処理および記憶する外部デバイスおよび/またはプロセッサへデータを無線伝送するためのアンテナ(60)を備えた無線インタフェース(50、61、60)と
を備え
前記信号処理回路(50)が、新しい血液を古い血液から区別するために異なる光波長を使用するように構成されており、前記信号処理回路(50)が、古い血液を示す2つの波長の比および新鮮な血液を示す異なる波長の比を使用するように構成されている、バイオセンサシステム。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記エミッタから前記外部空間に入る放射線の通過のための凸レンズ(6)、および前記検出器に入る放射線の通過のための凹レンズ(7)を形成する、請求項1に記載のバイオセンサシステム。
【請求項3】
前記信号処理回路が、長手方向に延びるとともに前記外部空間と一部重なり合うコントローラ回路基板(30)に取り付けられたプロセッサ(50)を備える、請求項1または2に記載のバイオセンサシステム。
【請求項4】
前記アンテナが、前記ハウジングのドーム形端部(8)に取り付けられる、請求項1から3のいずれかに記載のバイオセンサシステム。
【請求項5】
前記アンテナ(60)が、前記ハウジングの端部に向かう方向に直径が減少している螺旋の形態である、請求項4に記載のバイオセンサシステム。
【請求項6】
前記アンテナ(60)が、7.5mmから9mmの範囲内の最大半径寸法を有し、前記アンテナが2mmから4mmの範囲内の半径寸法で頂点を形成するように狭くなる、請求項5に記載のバイオセンサシステム。
【請求項7】
前記アンテナの巻数が、7から10の範囲内である、請求項5または6に記載のバイオセンサシステム。
【請求項8】
アンテナ形状外側外被が、60°から80°の範囲内で長手方向軸に対する角度を実質的になす、請求項5から7のいずれかに記載のバイオセンサシステム。
【請求項9】
前記無線インタフェースが、長手方向に延びる基板(30)上で前記アンテナ(60)に物理的に隣接して位置するRF回路(61)を備える、請求項1から8のいずれかに記載のバイオセンサシステム。
【請求項10】
前記信号処理回路が、長手方向に延びる回路基板(30)上に取り付けられたプロセッサ(50)を備える、請求項1から9のいずれかに記載のバイオセンサシステム。
【請求項11】
前記カプセルが、前記ハウジングを横断するように取り付けられるとともに、電池区画のための空間を定める電源管理回路基板(35)を備える、請求項10に記載のバイオセンサシステム。
【請求項12】
前記電池区画が、前記放射線エミッタのための回路基板(32)によってやはり境界付けられる、請求項11に記載のバイオセンサシステム。
【請求項13】
前記放射線エミッタ(21)が1つまたは複数のLEDを備え、前記検出器(22)が1つまたは複数の光検出器を備える、請求項1から12のいずれかに記載のバイオセンサシステム。
【請求項14】
前記信号処理回路(50)が、特定の放射線波長についての複数の読取値をとり、アウトライアをなくし、アウトライアでない読取値を平均するように構成されている、請求項1から13のいずれかに記載のバイオセンサシステム。
【請求項15】
前記エミッタは、特定の波長で発光するようにそれぞれなされた複数のエミッタデバイス(220)を備え、前記駆動回路は、時分割多重化スキームに従って各エミッタデバイスを作動させるように構成されている、請求項1から14のいずれかに記載のバイオセンサシステム。
【請求項16】
作動間の時間分離は、2msから5msの範囲内である、請求項15に記載のバイオセンサシステム。
【請求項17】
前記信号処理回路(50)が、前記エミッタが作動していないときに放射線読取値をとり、前記読取値をベースとして使用するまたはバックグラウンドノイズをなくすように制御するように構成されている、請求項1から16のいずれかに記載のバイオセンサシステム。
【請求項18】
前記信号処理回路(50)が、あるエミッタ波長について検出された信号と別のエミッタ波長のものとの比に従って特定の体液の存在を示すことを決定するように構成されている、請求項1から17のいずれかに記載のバイオセンサシステム。
【請求項19】
放射線波長の複数の組合せごとに特定の比の閾値がある、請求項18に記載のバイオセンサシステム。
【請求項20】
前記組合せは、赤色:緑色、遠赤色:緑色、赤色:青色、遠赤色:青色、遠赤色:赤色の1つまたは複数を含む、請求項19に記載のバイオセンサシステム。
【請求項21】
前記信号処理回路(50)が、波長差を検出された信号の差で除算したものの逆正接として角度を決定し、前記決定された角度と閾値角度を比較することに従って特定の体液の存在を示すことを決定するように構成されている、請求項1から20のいずれかに記載のバイオセンサシステム。
【請求項22】
前記信号処理回路(50)が、1つまたは複数の放射線波長について検出された信号の振幅に従って特定の体液の存在を示すために深刻度の値を決定するように構成されている、請求項1から21のいずれかに記載のバイオセンサシステム。
【請求項23】
前記深刻度の値は、内部出血の度合の指標である、請求項22に記載のバイオセンサシステム。
【請求項24】
前記信号処理回路(50)が、前記深刻度の値を決定する際のパラメータとして1つまたは複数のエミッタ波長について検出された信号強度の降下の割合を決定するように構成されており、前記信号処理回路(50)が、光源についての強度を設定するように構成されており、前記信号処理回路(50)が、光エミッタ駆動電流を制限することなどによって特定の時間に強度を設定するように構成されており、前記信号処理回路(50)が、ON持続期間の長さを制御することによってある期間にわたって平均発光強度を制御するように構成されており、前記信号処理回路(50)が、光センサ(PD2)を備え、前記プロセッサが、光エミッタ出力を調整するために前記センサからのフィードバック信号を処理するように構成されている、請求項22または23に記載のバイオセンサシステム。
【請求項25】
前記信号処理回路(50)が、古い血液を示すためのFR/Rの比および新鮮な血液のためのFR/Gの比を使用するように構成されている、請求項1から24のいずれか一項に記載のバイオセンサシステム。
【請求項26】
前記放射線エミッタおよび/または検出器と前記ハウジング壁の間の経路を取り囲む光吸収ガイド(504、505)を含み、選択的に、前記ガイドは、ほぼ黒色の材料を含み、選択的に、前記ガイドが、光ファイバを含む、請求項1から25のいずれかに記載のバイオセンサシステム。
【請求項27】
バイオセンサシステムであって、
カプセルを備え、前記カプセルが、
哺乳類のGI管に摂取するように構成されているとともに長手方向軸を有するハウジング(2)であって、前記ハウジングの少なくともいくつかの部分(5、6、7)がセンシング波長の放射線に対して透過性であり、体液がアクセスするように開いている外部空間(10)を形成するように構成されている、ハウジング(2)と、
前記ハウジングの前記部分を介して放射線を前記外部空間に発するとともに前記外部空間から放射線を検出するようになされている放射線エミッタ(21)および放射線検出器(22)と、
前記放射線エミッタのための駆動回路および前記検出器にリンクされた信号処理回路(50)と、
検出データをローカルで処理および記憶する外部デバイスおよび/またはプロセッサへデータを無線伝送するためのアンテナ(60)を備えた無線インタフェース(50、61、60)と
を備え、
前記信号処理回路(50)が、波長差を検出された信号の差で除算したものの逆正接として角度を決定し、前記決定された角度と閾値角度を比較することに従って特定の体液の存在を示すことを決定するように構成されている、バイオセンサシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胃腸(GI)管内の血液または他の体液の存在を監視するカプセルの形態の無線バイオセンサ、およびこのバイオセンサを組み込むシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第7828730(B2)号は、中空器官の内側に取り付け可能な固定手段と、血液の存在を検出し、中空器官の内容物の特定の吸収スペクトルを測定する固定手段に接続された検出手段とを備える出血検出のためのデバイスを説明する。これは、センサが少なくとも1つの器官内に固定されることを必要とする。
【0003】
活動性の出血の検出のためのマーカとしてフルオレセインを使用することが知られている。WO2011066431は、フルオレセインをマーカとして使用する無線バイオセンサのためのシステムおよび方法を説明する。
【0004】
EP3269298(Ovesco Endoscopy)は、凹部、および放出光が凹部を迂回するのを禁止する遮蔽板を備えたカプセルを説明する。
【0005】
WO2018/112389(Progenity)は、陥凹によって形成された検出チャンバ(22)を備えた摂取可能なデバイスを説明する。
【0006】
米国特許出願公開第2014/0296666号(Given Imaging)は、一連の血液濃度値を決定するために異なる狭帯域波長で間隙内の流体にそれぞれ光を繰り返し照射する間隙の第1の側の複数の照明源を備えたin-vivoセンシングデバイスを説明する。出血イベントは、時間の関数としての一連の血液濃度値、および閾値に基づいて決定される。
【0007】
米国特許出願公開第2014/275860号(Given Imaging Ltd)は、間隙を備えるハウジング、間隙内のin-vivo体液を照明する照明源、間隙内のin-vivo体液を通過する光を検出する光検出器を備え、フィンが折り畳まれるときに開口部を覆う間隙の開口部のすぐ近くのハウジング上で可撓性であるデバイスを説明する。
【0008】
WO2005/113374(Given Imaging Ltd)は、サンプリングチャンバが体腔物質のサンプルを収容することができ、ゲートがサンプリングチャンバの開口部を開閉することができるサンプリングチャンバおよびゲート機構を用いるin-vivoサンプリングのためのデバイス、システム、および方法を説明する。
【0009】
米国特許出願公開第2013/0053928号(Daniel Gat)は、胃腸(GI)管をデバイスが通過する間に光を用いてGI管内側の検出された病理学的病変を処理する透明なケースおよび1つまたは複数の放射線源を備えたカプセルを説明する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、改善された無線バイオセンサモニタを提供することに向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
添付の請求項1から47に記載されるような様々な実施形態におけるバイオセンサシステムを説明する。
【0012】
バイオセンサシステムであって、
カプセルを備え、カプセルが、
哺乳類のGI管に摂取するように構成されているとともに長手方向軸を有するハウジングであって、ハウジングの少なくともいくつかの部分がセンシング波長の放射線に対して透過性であり、体液がアクセスするように開いている外部空間を形成するように構成されている、ハウジングと、
ハウジングの透過部分を介して放射線を外部空間に発するとともに外部空間から放射線を検出するようになされている放射線エミッタおよび放射線検出器と、
放射線エミッタのための駆動回路および検出器にリンクされた信号処理回路と、
検出データをローカルで処理および記憶する外部デバイスおよび/またはプロセッサへデータを無線伝送するためのアンテナを備えたインタフェースと
を備える、バイオセンサシステムを説明する。
【0013】
好ましくは、外部空間は、ハウジングの外被内に開いた空間を形成する複数の壁によって形成される。好ましくは、
ハウジングは、主に半径成分を有する方向に向いている基部壁と、長手方向にほぼ互いに向かい合う第1および第2の壁とを備え、壁が外部空間を形成する。好ましくは、壁の少なくとも1つが平坦であり、好ましくは壁の全部が平坦である。
【0014】
好ましくは、第1および第2の壁は、外部空間内の材料の吸収検出のための長手方向の放射線の通過のためのものである。好ましくは、基部壁は、外部空間内の半径方向に発せられた蛍光光の検出のためのものである。好ましくは、ハウジングは、エミッタから外部空間に入る放射線の通過のための凸レンズ、および検出器に入る放射線の通過のための凹レンズを形成する。
【0015】
好ましくは、ハウジングは、2mmから7mmの範囲内の長手方向の寸法を有する外部空間を形成する。好ましくは、第1および第2の壁は、互いに対して半径方向外側に広がっている。好ましくは、ハウジングの長手方向の長さが15mmから30mmの範囲内であり、その最大幅寸法が5mmから12mmの範囲内である。
【0016】
好ましくは、ハウジング外被形状が、ドーム形端部を有するほぼ円筒形である。好ましくは、ハウジングが、共に連結されている複数の部分を備え、外部空間を形成する部分が放射線に対して透過性である。
【0017】
好ましくは、ハウジングが、ハウジングの透過部分を通じて蛍光を検出するようになされた蛍光検出器を備え、検出が吸収検出と同時であってもよく、または吸収検出とは別々であってもよい。
【0018】
好ましくは、信号処理回路が、長手方向に延びるとともに外部空間と一部重なり合うコントローラ回路基板に取り付けられたプロセッサを備える。好ましくは、無線インタフェースが、ハウジングのドーム形端部に取り付けられるアンテナを含む。好ましくは、アンテナが、ハウジングの端部に向かう方向に直径が減少している螺旋の形態である。
【0019】
好ましくは、アンテナが、7.5mmから9mmの範囲内の最大半径寸法を有し、アンテナが2mmから4mmの範囲内の半径寸法で頂点を形成するように狭くなる。好ましくは、アンテナの巻数が、7から10の範囲内である。好ましくは、アンテナ形状外側外被が、60°から80°の範囲内で長手方向軸に対する角度を実質的になす。
【0020】
好ましくは、無線インタフェースが、長手方向に延びる基板上でアンテナに物理的に隣接して位置するRF回路を備える。
【0021】
好ましくは、信号処理回路が、長手方向に延びる回路基板上に取り付けられたプロセッサを備える。好ましくは、カプセルが、ハウジングを横断するように取り付けられるとともに、電池区画のための空間を定める電源管理回路基板を備える。好ましくは、電池区画が、放射線エミッタのための回路基板によってやはり境界付けられる。
【0022】
好ましくは、放射線エミッタが1つまたは複数のLEDを備え、検出器が1つまたは複数の光検出器を備える。好ましくは、信号処理回路が、特定の放射線波長についての複数の読取値をとり、アウトライアをなくし、アウトライアでない読取値を平均するように構成されている。
【0023】
好ましくは、エミッタは、特定の波長で発光するようにそれぞれなされた複数のエミッタデバイスを備え、駆動回路は、時分割多重化スキームに従って各エミッタデバイスを作動させるように構成されている。好ましくは、作動間の時間分離は、2msから5msの範囲内である。
【0024】
好ましくは、信号処理回路が、エミッタが作動していないときに放射線読取値をとり、読取値をベースとして使用するまたはバックグラウンドノイズをなくすように制御するように構成されている。
【0025】
好ましくは、信号処理回路が、あるエミッタ波長について検出された信号と別のエミッタ波長のものとの比に従って特定の体液の存在を示すことを決定するように構成されている。好ましくは、放射線波長の複数の組合せごとに特定の比の閾値がある。
【0026】
好ましくは、組合せは、赤色:緑色、遠赤色:緑色、赤色:青色、遠赤色:青色、遠赤色:赤色の1つまたは複数を含む。好ましくは、信号処理回路が、波長差を検出された信号の差で除算したものの逆正接として角度を決定し、決定された角度と閾値角度を比較することに従って特定の体液の存在を示すことを決定するように構成されている。
【0027】
好ましくは、信号処理回路が、1つまたは複数の放射線波長について検出された信号の振幅に従って特定の体液の存在を示すために深刻度の値を決定するように構成されている。好ましくは、深刻度の値は、内部出血の度合の指標である。
【0028】
好ましくは、信号処理回路が、深刻度の値を決定する際のパラメータとして1つまたは複数のエミッタ波長について検出された信号強度の降下の割合を決定するように構成されている。好ましくは、信号処理回路(50)が、内部GI管出血の度合の指標として検出された信号値の変化を監視するように構成されている。
【0029】
好ましくは、信号処理回路が、深刻度指数が上昇している場合に、深刻度指数が新鮮な血液が存在し、履歴または先の出血がないことを示すことを決定するように構成されている。
【0030】
好ましくは、バイオセンサシステムが、カプセルによって発せられた放射線信号を受信および処理する受信機をさらに備える。好ましくは、受信機が、信号処理回路の一部を含む。
【0031】
本発明は、下記添付図面を参照して、例のみによって与えられる本発明のいくつかの実施形態の以下の説明からより明らかに理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】検知システムのバイオセンサカプセルの斜視図である。
図2】検知システムのバイオセンサカプセルの斜視図である。
図3】検知システムのバイオセンサカプセルの側面図である。
図4】上部ハウジング部分の下斜視図である。
図5図5(a)は、下部ハウジング部分の側面図である。図5(b)は、下部ハウジング部分の斜視図である。
図6】上部ハウジング部分を取り除いたカプセルの斜視図である。
図7(a)】センサの内部構成要素の上斜視図である。
図7(b)】センサの内部構成要素の下斜視図である。
図8】カプセルのアンテナの側面図である。
図9】検知システムのブロック図である。
図10】センサを組み込むシステムの受信機側の構成のブロック図である。
図11】システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図12(a)】時分割多重を用いたLED駆動スキームの図である。
図12(b)】カプセルによって感知することについての電圧パラメータ対深刻度指数(「SI:Severity Index」)のグラフである。
図12(c)】古い血液と新鮮な血液の間の伝送特性の差、およびこれをSI計算に使用するやり方を示すグラフである。
図12(d)】放出光を検知し、フィードバックを送る装置の回路図である。
図13図13(a)は、代替の光源の配置を示す図である。図13(b)は、代替の光源の配置を示す図である。
図14(a)】様々な検出器の配置を示す図である。
図14(b)】様々な検出器の配置を示す図である。
図14(c)】様々な検出器の配置を示す図である。
図14(d)】様々な検出器の配置を示す図である。
図15】この場合には蛍光検出器を備えた代替のセンサの側断面図である。
図16】代替のセンサの内部組立体の対向した端部からの斜視図である。
図17】代替のセンサの内部組立体の対向した端部からの斜視図である。
図18図16および図17のセンサによる概略断面図である。
図19図16から図17のセンサの破断斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
最初に、図1から図5を参照すると、検知システムのバイオセンサカプセル1が説明される。バイオセンサカプセル1は、摂取され、胃腸(GI)管内の血液または他の体液の存在を測定および監視するように構成されている。また、カプセル1は、データ収集、および検知システムの一部をやはり形成する受信機70(図10)への無線伝送を可能にするように構成されている。データは、使いやすいインタフェースを介したさらなる精査および解析のために、リアルタイムで見ることができ、ならびに/あるいは外部モニタ内および/またはクラウドベースのシステム内に記憶される。
【0034】
バイオセンサカプセル1は、患者のGI管内の血液を識別するように構成されている。これは、数時間にわたって患者の胃の中に蓄積され得るとともに、摂取時に活動的に出血していない血液(「古い血液」)を含む。カプセルは、進行中の活動性の出血、すなわち、摂取時に胃の中に蓄積される血液の存在も識別する。カプセルは、「古い血液」と「活動性の出血」の間で区別するように構成されている。
【0035】
図1から図5に示されるように、カプセル1は、上部部分3および基部部分4を含むハウジングまたはエンクロージャ2を備える。エンクロージャ2は、第1および第2のドーム形端部8および9、およびドーム形端部8とドーム形端部9の間にハウジング2内の凹み10によって形成された外部空間を「切欠き」体積を備えたほぼ円筒形状を有する。切欠き10は、カプセル1の外被全体内の体積を形成し、上部部分3の3つの平坦壁5、6、および7によって形成される。壁6は、関心のセンシング波長に対して透過性であり、対向している透明壁7に向かって長手方向に向いており、切欠きの基部は、壁5によって形成されている。以下により詳細に説明されるように、レンズ壁6および7は、切欠き体積内の材料の吸収検出のために長手方向の光が通過するようになっている。以下により詳細に説明されるように、図15を参照すると、他の実施形態ではカプセルの構成要素は、光吸収に加えてフルオレセイン検出のために配置され得る。
【0036】
この例における「切欠き」体積は、垂直の壁5、6、および7を有するが、壁5、6、および7は、光学性能を最適化するために以下のような相互角度で配置され得る。
【0037】
カプセルの材料および幾何学的形状は、カプセルのノッチに向かう胃液の流れを増加させ、食物および他の粒子による妨害のリスクを減少させるように選択されている。エンクロージャ内に構成要素が取り付けられるやり方は、体積を最小化するためにとても重要である。
【0038】
基部部分4および上部部分3は、解除可能に取り付けられ、基部4は、スナップフィット特徴12および13を備える。カプセルの寸法は、
長さ:27mm、好ましくは、15mmから30mmの範囲内
直径:11mm、好ましくは、5mmから12mmの範囲内
である。
【0039】
レンズ壁6および7は、この例のように、一部品として製造することができ、カプセル1の上部部分3全体として働く。代替の配置では、それは、カプセルの上部と共に切欠き構成要素として組み立てることができる。あるいは、代替として、異なるレンズは、上部カプセルと共に組み立てられる各壁を個々に与えるように製造され得る。
【0040】
壁6は、できるだけ多くの光を拡散させる凸レンズを備え、一方、壁5および7は、できるだけ多くの光を集中させる凹レンズから製造される。図15を参照して説明されるように、壁5は、蛍光放射線などの放射線を受け取る透明レンズとして使用することができる。
【0041】
壁6と壁7の間の距離は、4.5mmであり、より一般には、好ましくは、2mmから7mmの範囲内である。互いに向かい合う透明壁は、様々な実施形態において、長手方向軸に対して90°から150°の範囲内の角度を有することができ、この実施形態では、壁6および7は、90°+抜き勾配であり、これにより内容物が解析されるのを助ける。
【0042】
透明壁は、様々な実施形態において、ポリカーボネート、PMMA、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アモルファスコポリエステル(PETG)、ポリ塩化ビニル(PVC)、液体シリコーンゴム(LSR)、環状オレフィンコポリマー、ポリエチレン(PE)、透明ポリプロピレン(PP)、スチレンメタクリル酸メチル(SMMA)、ポリスチレン、MABS(透明ABS)である。
【0043】
この実施形態では、1つの「切欠き」(対向している透明壁のペア)がある。しかしながら、他の実施形態では、カプセルの反対側に第2の切欠きセクションがあってもよい。
【0044】
カプセル1の構成要素の組立体20が、図6から図8に示されている。組立体20は、長手方向に吸収光検出器22と整合されたLED光源21を備える。構成要素のいくつかは、基部壁5にほぼ平行に長手方向に延びるコントローラ回路基板30に取り付けられている。これは、光源21および関連した構成要素を支持する垂直のエミッタ回路基板32に可撓性ケーブル31によってリンクされる。磁気スイッチ、ブースト、および電池45間の空間を定めるエミッタ回路基板32から間隔をおいて配置された関連した構成要素を含む構成要素を備えた電源回路基板35もある。基板32は、留め具12と留め具13の間に保持されるセミフレックスPCB25によって基板35にリンクされる。
【0045】
図6および図7から明らかなように、コントローラ基板の配置は長手方向であり、エミッタおよび配電盤32および35が横方向かつ垂直であることにより、切欠き空間基部壁5の真下の空間内に比較的大きいマイクロコントローラ50を含む構成要素の最適なフィッティングを可能にする。電池および関連した電源構成要素を収納するために切欠き5~7の遠位の空間の最適な使用がなされる。これは、3日よりも長いセンシング持続期間にわたって十分な電力を有しつつ、カプセルが過度に大きくないことを確実にするのを助ける。
【0046】
マイクロコントローラ50が基板30の下に取り付けられることにより、基板とハウジング壁の間の空間の最適な使用を可能にする。また、基板50は、マイクロコントローラ50のピンへの試験プローブのアクセスのために片側にノッチを有し、マイクロコントローラ50のプログラミングを確実にする。
【0047】
アンテナ60は、ハウジングの端部8に向かって頂点を有する円錐形を形成するように直径を減少させる螺旋状である。最適な構成では、アンテナは、9つの完全な円のターンを有し、その最大は、直径が8.6mmである。アンテナは、直径が0.35mmであるエナメル線で作製される。
【0048】
図8を参照すると、アンテナは、以下のパラメータを有する。
最大直径:7.5mmから9mm
頂点-端部の直径:2mmから4mm
巻数:7から10回
H=2.5~4mm(2.6に設計されたが、3.25で製造された)
角度:60°から80°
電線の厚さ:0.2mmから0.5mm
材料:エナメル線だが、他の実施形態では、それは、銀、アルミニウム、ステンレス鋼であり得る。
【0049】
アンテナは、コーティング内に封入することもできる。コーティング材は、エポキシ、ポリウレタン、パリレン、およびベンゾシクロブテン(BCB)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、およびフッ化エチレンプロピレン(FEP)から選択された1つまたは複数であり得る。
【0050】
アンテナは、カプセルの一端におよび電池から最小5mmに配置される。その形状は、カプセル内で利用できる体積を最大化することができるようにも設計されている。
【0051】
図9は、論理項の構成を示す。マイクロコントローラ50はアンテナ60を物理的に近く、RF巻き構成要素が基板50上にある。マイクロコントローラ50は、
PD21にリンクされたフィルタ信号コンディショニング、
ストレージにリンクされたADC、エンコード機能、およびRF回路といった一連の機能ブロックも有し、制御ブロックは、チップ50上の電源管理ブロックにリンクされている調整回路40を制御する。
【0052】
図10は、カプセルのアンテナ60から放射線信号を受信するようになされた受信機70を含むカプセル1を組み込むシステムを示す。受信機側の構成は、図10に示されており、アンテナ71、評価プラットフォーム受信機72、およびディスプレイ73を含む受信機70を有する論理レイアウトを示す。ユーザデバイス80へのローカルエリア無線リンクもある。
【0053】
吸収モードは、光学系を使用して、血液を血液の光吸収特性を用いて識別する。各物質(すなわち、すなわち、古い血液および活動性の出血)は、それ自体の光吸収プロファイルを有する。
【0054】
図11および図12も参照すると、カプセルおよびシステムの動作が説明されている。システムのハードウェア構成要素は、カプセル内の構成要素20、および受信機構成要素70である。
【0055】
カプセルは、摂取され、外部から介入する必要なくGI管に沿って移動する。カプセルは、行程に沿ったその位置を知らせるために(例えば、pH、GPSなどに基づく)位置センサを組み込むこともできる。より長い期間にわたって監視することが必要とされる場合、カプセルは、最小侵襲手術を用いてGI管の特定の位置に配置することができる。カプセルは、紐/縫合糸がカプセルに固定できるように一端に貫通穴特徴11を有するように構成されている(図2参照)。紐/縫合糸は、二重解放機構を確実にするために生分解性とすることができる。縫合糸通路11は、流線形であり、カプセルの外被全体に影響を及ぼさず、医療状況に従って必要に応じて内科医の選択で使用され得る。これは、優れた多機能性を可能にする。
【0056】
光源21は、紫色光、青色光、緑色光、黄色光、オレンジ色光、および赤色光を含む可視スペクトル内の異なる波長で光を発する。血液の各物質は、それ自体光吸収プロファイルを有し、波長は、血液吸収スペクトルの不規則な特性を増幅するように選択される。光検出器22は、可視スペクトル全体をカバーし、光を検出し、それを増幅器に送信し、これにより光子を収集して電圧/電流に変換し、次いで電圧/電流をデジタル信号に変換する。
【0057】
光源は、単数の光源または複数の光源のアレイを備えることができ、同様に、光検出器は、単数の光検出器または複数のアレイであり得る。一例では、単一の光源21は、範囲300nmから900nm内の4つの波長のいずれかで光を発し、光検出器22は、300nmから900nmまでのスペクトル全体をカバーするように構成されている。
【0058】
図11は、制御ストラテジの一例を示し、図12(a)は、LED光エミッタ駆動パターンを示す。マイクロコントローラ50は、消費電力を制限しつつ光学性能を強化するようにLEDを作動させる。評価プラットフォーム72は、意思決定モデルを用いてプログラムされ、解析された媒体が血液である確率を予測するように構成されている。
【0059】
マイクロコントローラは、特定の波長で発するために、LEDにパルスを順次流すように構成することができ、短いパルスは、電池を最適化することが好ましい。光検出器、増幅、マイクロコントローラ、およびRFモジュールなどの構成要素の一部また全部が統合されてもよいことが理解されよう。
【0060】
図12(a)に示されるように、個々の波長は、中間に8msの時間遅延で作動され、したがって、壁6と壁7の間のチャネル上で時分割多重の形態を動作させる。このチャネルは、壁5、6、および7によって定められた切欠き内の体積を通っている。
【0061】
一実施形態では、以下のものが、カプセルの動作のための順序である。
マイクロコントローラは、LED1(=LE1はオンである)を使用可能にする。
マイクロコントローラは、光検出器22も使用可能にし、光検出器22から10~30回測定する。光検出器22は、マイクロコントローラのADCに10から30個の電圧信号を送る。マイクロコントローラは、より高い値およびより低い値をなくすようにプログラムされ、このマイクロコントローラは、残りの値を平均化する。この結果として得られる数字VLED1は、LED1がオンである間、光検出器によって受け取られる吸収された光に比例する電圧である。
LED1は、約2msから5ms後にオフに切り換えられる。
次に、LED2がオンにされる。
光検出器22は、VLED2を測定する。
LED2は、2から5ms後にオフにされる。
【0062】
このシーケンスは、LEDごとに繰り返される。LEDの全部がパルスを受けたとき、VLEDn(発光の関連波長についての信号の電圧レベル)の全部が記録され、光源がアクティブでないときに、全てのLEDはオフに切り換えられ、光検出器は最新の測定値のセットをとる。VLED_OFFは、あり得る周囲光または環境光の徴候であり、次いでそれは、あり得る光のバックグラウンドノイズをなくすために使用される。
【0063】
この時点で、光検出器は、新しい測定値のセットが生成されなければならなくなるまで再びオフに切り換えられる。
【0064】
測定の周波数は、臨床条件に基づいてプログラムされる。遅い周波数(例えば、1~2分ごと)は、結果が出血のリスクが低いことを示すときに実施される。システムが出血の可能性を検出するとすぐに、周波数は、より良い監視(例えば、2秒おき)を確実にするように自動更新することができる。
【0065】
データは、即時であるやり方で、血液の存在を検出するために使用することができる。例えば、
LED1=赤色(RED)光(620~700nm)、LED2=遠赤色(Far_Red)(700~750nm)、LED3=緑色(Green)光(495~570)、およびLED4=青色(Blue)光(450~495)である場合、血液の存在を評価するために以下の条件を有する。
RED/VGREEN=R>threshold1の場合→血液
またはVFAR_RED/VGREEN=R>threshold2の場合→血液
またはVRED/VBLUE=R>threshold3の場合→血液
またはVFAR_RED/VBLUE=R>threshold4の場合→血液
またはVFAR_RED/VRED=R>threshold5の場合→血液
またはVRED&VGREEN&VBLUE<threshold6→血液
またはVRED&VFAR_RED&VGREEN&VBLUE<threshold7→血液
またはarctan(λGREEN-λBLUE)/(VGREEN-VBLUE)=Θ>ΘTHRESHOLD 1→血液
またはarctan(λRED-λGREEN)/(VRED-VGREEN)=Θ>ΘTHRESHOLD 2→血液
またはarctan(λFAR_RED-λRED)/(VFAR_RED-VRED)=Θ>ΘTHRESHOLD 3→血液
【0066】
閾値の全部が1.8から2.2などの任意の単位範囲内の値である場合、閾値は、範囲0から300mV以内の値であり、ΘTHRESHOLD 1、ΘTHRESHOLD 2、ΘTHRESHOLD 3は、0°から70°の範囲内の角度である。
【0067】
上記において、λGREEN、λBLUE、λRED、λFAR_REDは、これらの色の波長であり、例えば、緑色の場合、波長は、560~520nmが好ましい。
【0068】
血液が上述した1つまたは複数の条件を用いて検出された場合、出血の深刻度指数(SI)を特定することが可能である。深刻度指数(SI)は、血液がないときのVREDおよび/またはVGREENの基本初期値と比べてある時間におけるVREDおよび/またはVGREENのパーセンテージの低下として計算される。図12(b)に示されるように、より高い血液濃度において、赤色光および/または緑色光の吸収はより高く、したがって、光検出器22によって測定される電圧は減少する。
【0069】
また、図12(c)は、プロセッサが新鮮な血液と古い血液をどのように区別するのかを示す。システムは、新しい血液(鮮やかな赤い血液の色)を古い血液(これは、ヘモグロビンの酸化による浅黒い成分を有する)から検出するために異なる光を使用することができる。例えば、プロセッサは、古い血液についてFR/R、および新鮮な血液についてFR/Gを使用することができる。図12(c)に示されるように、値にかなりの差がある。
【0070】
少なくとも4つの波長を用いることよって、個別の分光測光器に類似して、より正確な情報が与えられる。高い濃度の血液は、赤色光をやはり吸収し、しがたって、血液の存在は、比から一意に決めることができないが、絶対値は、やはり考慮されなければならない。また、いくつかの波長(例えば、緑色光吸収)の絶対値を考慮することによって、アルゴリズムは、血液濃度と相関することができる。
【0071】
別に実施形態では、各光源は、マイクロコントローラによって調整することができる特定の波長、およびさらに特定の光パワーを有する。マイクロコントローラは、各LEDの作動時間を増加または減少させることができ、結果として選ばれた光強度になる。
【0072】
代替では、抵抗器が、出力光強度を調整するために使用されてもよい。図12(d)を参照すると、 回路は、電圧で制御される抵抗器として働くようにN-MOSFETなどの構成要素と共に構成されてもよい。この場合には、光学センサのフォトダイオードPD2が、出力を継続的に調整するために、マイクロコントローラμCに情報を戻すように設けられる。例えば、静止カプセルのために1つのターゲットがあり、GI管を通って移動するために異なるターゲットがあってもよい。
【0073】
これらの機構のいずかを用いることによって、マイクロコントローラは、必要な光パワー出力を制御するために、LEDごとに特定の強度を実施することができる。
【0074】
プロセッサは、波長の組合せに基づいて上述したように瞬時測定により完全な結果を与えることが理解されよう。
【0075】
上述したように、深刻度指数(SI)は、予期される「血液状態のない」光波長からある単一の光波長のパーセンテージの低下として決定される。
【0076】
上述したように、カプセルが特定の期間にわたって単一の位置に配置することができることも有利である。
【0077】
代替実施形態
図13は、代替実施形態に使用することができる光源の異なる配置を示す。1つまたは複数の個別の発光ダイオード(LED)は、所望の波長を与える。関連した波長、この例では、G、B、R、および遠赤色(図13(a))をそれぞれ与える単一の広帯域LEDおよび複数のフィルタリングレンズを有する源200があってもよい。図13(b)に示されるように、特定の波長をそれぞれ与える個別のLEDのアレイ220があってもよい。
【0078】
図14は、以下のような光検出器のための様々なオプションを示す。
(a)広帯域光検出器300、
(b)複数の個別の光検出器310、
(c)特定の波長にそれぞれ敏感である複数の感受エリアを有する1つの構成要素320、
(d)選択的にフィルタに着脱可能なカバーを備えた広帯域PDの組立体350。
【0079】
光源、光検出器、および光学部品(例えば、フィルタ、コリメータ、および光ファイバ)が、吸収度と蛍光検出の両方を確実にするために組み立てられる。互いに対する構成要素の距離および角度は、構成要素の体積および重量を最小化しつつ、センサの性能を確実にするように選択される。
【0080】
図15を参照すると、代替のセンサカプセルは、同じ参照番号によって示されるいくつかの同様の構成要素を有する。この場合には、光に対して透過性である基部壁5に接触するフィルタ570の下方に蛍光検出器560がある。蛍光を引き起こす照明は、エミッタ22の動作によって引き起こされ、関連波長の発光のための時間スロット中に切欠き体積内に蛍光を引き起こす。
【0081】
壁6および7は、光源および検出器が吸収ベースの測定のために互いに向かい合うことを確実にする。壁5は、蛍光測定のために壁6に対して90°に配置される。これは、蛍光光源と検出器の間のクロストークを最小化する。この解決策は、光学フィルタおよびコリメータと共に、最小化された環境であっても、良好な蛍光測定性能を確実にする。光学フィルタおよびコリメータは、レンズ3に組み込むことができる。
【0082】
フルオレセインモードがカプセル内で動作される場合には、フルオレセインは、体中に注入されるように静脈内に注射されることが必要とされ、患者が活動性の上側胃腸出血を有する場合、オレセインの一部は、血液と共に胃の内側に漏れる。
【0083】
フルオレセインの場合、内部出血が発生している場合、フルオレセインは胃に到達し、したがって、システムは、活動性の出血を識別することができる。
【0084】
図16から図19を参照すると、光エミッタ506からハウジング壁への経路および間隙(解析のための外部空間)の反対側の検出器507への経路をそれぞれ取り囲む黒色光吸収シールド(黒いプラスチック材料)504および505を有する光源502および光検出器503を備えたカプセル500が示されている。図18および図19は、光源502および光検出器503の基板501への取り付け方、ならびにハウジング520に対してのこれらの構成要素の相対位置を示す。
【0085】
図18および図19は、源502の近くの壁522および検出器503の近くの壁523を有するハウジング520を示すハウジングに対する光源および検出器の関係を示す。また、外部検出スペースの基部壁524がある。各光アブソーバ504および505は、黒いプラスチック材料などの光吸収物質により四方を囲まれている光チャネルを形成する、または代替として、光ファイバチューブ内でチャネルが形成される。
【0086】
有利には、光アブソーバは、源と検出器の間で光軸に近くない光を吸収する。これは、放射線がカプセル内で散乱し、ノイズとして検出器507に到達するのを防ぐのを助ける。ノイズの防止は、間隙の基部においてハウジング壁に隣接した光シールドによっても助けることができる。
【0087】
この配置は、吸収動作モードと蛍光動作モードの両方について、とても効率よくエミッタからの光を光検出器にチャネルで通す。蛍光の場合、源の光はサンプル媒体に到達して蛍光材料を励起させ、放出光だけが光検出器に到達し、源からくる光はノイズである。
【0088】
光アブソーバのどちらかまたは両方は、光エミッタデバイスに取り付けられた構成要素によって与えることができ、または光エミッタデバイスパッケージングの一部であってもよく、またはハウジングの一部であってもよい。
【0089】
フルオレセインナトリウムの励起波長内、例えば、約490nmの光を発する少なくとも1つのLEDがあってもよい。光検出器560は、励起したフルオレセインナトリウムから発せられた光、例えば、約520nm以外の全ての不要な波長をフィルタで取り除くための1つの光学フィルタを備える。光は、従来と同様にやり方で光電圧変換器によって電圧に変換される。胃に漏れる血液は、それと共にフルオレセインを運び、励起されたフルオレセインによって生成される光は、フルオレセインの量に比例する。したがって、内部出血の存在および深刻度が検出される。フルオレセインは、急速に代謝され、それは20~30分後に無効になり、測定可能な蛍光をもはや発しない。これは、活動性の出血をリアルタイムで瞬時に検出するためにとても効率のよい機構である。一部の使用では、この機構は、上述した光検出方法に加えてまたは代わってあってもよい。カプセルが使用されるとき、一方または両方の機構を使用することがユーザ設定されてもよい。
【0090】
カプセルは、血液または他の体液が流れることができる1つまたは複数のサンプリングエリアを有することができる。例えば、長手方向軸に対して対向した両側にカプセルの両先端に2つの切欠き体積を有することによって、カプセルは、カプセルの向きにかかわらず環境をサンプリングすることができる。
【0091】
他の実施形態では、カプセルは、コーティングの状態を評価するために、光センサと共に、親水性材料コーティング、またはPH感受性コーティングを有してもよく、これは、GI管内にカプセルを位置決めするために使用することができ、またはPHモニタとして使用することができる。
【0092】
様々な実施形態のカプセルの構成要素は、環境に適合する異なるやり方で組み合わされてもよい。例えば、LED波長の異なる組合せが、使用されてもよい。放射線波長は、説明したものとは異なってもよく、潜在的に可視スペクトルのさらに外側にあってもよい。また、アンテナが、ハウジング内に全部または一部があることは本質的ではない。アンテナは少なくとも部分的に外部に取り付けることができ、その一部はハウジング材内に埋め込まれてもよいと考えられる。検出器にリンクされた放射線エミッタ駆動回路および信号処理回路は、エミッタを駆動し、検出器から信号を受信するための基本からより包括的な処理までの範囲内にある任意の所望のレベルのデータ理能力を有することができる。レベルが基本的である場合、より多くの処理が、カプセルが通信する外部デバイス上で実行される。他方で、システムはカプセルだけを備え、信号処理回路は外部コンピューティングデバイスによる受信のために完全に処理された信号を送信するように構成されてもよい。
【0093】
本発明は、説明された実施形態に限定されず、構成および細部が変更されてもよい。例えば、間隙の対向した両側にLEDおよびPDを有する代わりに、それらは、基板上に位置してもよく、光ファイバは、LEDがある場所へ光を向けるとともに、PDがある場所から光を受け取るようになされ得る。これは、能動的電子部品の利益を有し、全てが1つの基板上に取り付けられる。
本発明の第1の態様は、バイオセンサシステムであって、カプセルを備え、前記カプセルが、哺乳類のGI管に摂取するように構成されているとともに長手方向軸を有するハウジング(2)であって、前記ハウジングの少なくともいくつかの部分(5、6、7)がセンシング波長の放射線に対して透過性であり、体液がアクセスするように開いている外部空間(10)を形成するように構成されている、ハウジング(2)と、前記ハウジングの前記透過部分を介して放射線を前記外部空間に発するとともに前記外部空間から放射線を検出するようになされている放射線エミッタ(21)および放射線検出器(22)と、前記放射線エミッタのための駆動回路(50)および前記検出器にリンクされた信号処理回路(50)と、検出データをローカルで処理および記憶する外部デバイスおよび/またはプロセッサへデータを無線伝送するためのアンテナ(60)を備えたインタフェース(50、61、60)とを備える。
本発明の第2の態様によると、第1の態様において、前記外部空間は、前記ハウジングの外被内に開いた空間を形成する複数の壁(50)によって形成される。
本発明の第3の態様によると、第2の態様において、前記ハウジングは、主に半径成分を有する方向に向いている基部壁(5)と、長手方向にほぼ互いに向かい合う第1および第2の壁(6、7)とを備え、前記壁が前記外部空間(10)を形成する。
本発明の第4の態様によると、第3の態様において、前記壁(5、6、7)の少なくとも1つは平坦であり、好ましくは前記壁の全部が平坦である。
本発明の第5の態様によると、第3または第4の態様において、前記第1および第2の壁(6、7)は、前記外部空間内の材料の吸収検出のための前記長手方向の放射線の通過のためのものである。
本発明の第6の態様によると、第3から第5のいずれかの態様において、前記基部壁(5)は、前記外部空間内の半径方向に発せられた蛍光光の検出のためのものである。
本発明の第7の態様によると、第1から第6のいずれかの態様において、前記ハウジングは、前記エミッタから前記外部空間に入る放射線の通過のための凸レンズ(6)、および前記検出器に入る放射線の通過のための凹レンズ(7)を形成する。
本発明の第8の態様によると、第1から第7のいずれかの態様において、前記ハウジングは、2mmから7mmの範囲内の長手方向の寸法を有する前記外部空間(10)を形成する。
本発明の第9の態様によると、第3から第8のいずれかの態様において、前記第1および第2の壁は、互いに対して半径方向外側に広がっている。
本発明の第10の態様によると、第1から第9のいずれかの態様において、前記ハウジング(2)の長手方向の長さが15mmから30mmの範囲内であり、その最大幅寸法が5mmから12mmの範囲内である。
本発明の第11の態様によると、第1から第10のいずれかの態様において、ハウジング外被形状が、ドーム形端部(8、9)を有するほぼ円筒形である。
本発明の第12の態様によると、第1から第11のいずれかの態様において、前記ハウジングが、共に連結されている複数の部分(3、4)を備え、前記外部空間を形成する部分(3)が前記放射線に対して透過性である。
本発明の第13の態様によると、第1から第12のいずれかの態様において、前記ハウジングが、前記ハウジングの透過部分を通じて蛍光を検出するようになされた蛍光検出器(570)を備え、前記検出が吸収検出と同時であってもよく、または吸収検出とは別々であってもよい。
本発明の第14の態様によると、第1から第13のいずれかの態様において、前記信号処理回路が、長手方向に延びるとともに前記外部空間と一部重なり合うコントローラ回路基板(30)に取り付けられたプロセッサ(50)を備える。
本発明の第15の態様によると、第1から第14のいずれかの態様において、前記無線インタフェースが、前記ハウジングのドーム形端部(8)に取り付けられるアンテナ(60)を含む。
本発明の第16の態様によると、第15の態様において、前記アンテナ(60)が、前記ハウジングの端部に向かう方向に直径が減少している螺旋の形態である。
本発明の第17の態様によると、第16の態様において、前記アンテナ(60)が、7.5mmから9mmの範囲内の最大半径寸法を有し、前記アンテナが2mmから4mmの範囲内の半径寸法で頂点を形成するように狭くなる。
本発明の第18の態様によると、第16または第17の態様において、前記アンテナの巻数が、7から10の範囲内である。
本発明の第19の態様によると、第16から第18のいずれかの態様において、アンテナ形状外側外被が、60°から80°の範囲内で長手方向軸に対する角度を実質的になす。
本発明の第20の態様によると、第1から第19のいずれかの態様において、前記無線インタフェースが、長手方向に延びる基板(60)上で前記アンテナ(60)に物理的に隣接して位置するRF回路(61)を備える。
本発明の第21の態様によると、第1から第20のいずれかの態様において、前記信号処理回路が、長手方向に延びる回路基板(40)上に取り付けられたプロセッサ(50)を備える。
本発明の第22の態様によると、第21の態様において、前記カプセルが、前記ハウジングを横断するように取り付けられるとともに、電池区画のための空間を定める電源管理回路基板(21)を備える。
本発明の第23の態様によると、第22の態様において、前記電池区画が、前記放射線エミッタのための回路基板(32)によってやはり境界付けられる。
本発明の第24の態様によると、第1から第23のいずれかの態様において、前記放射線エミッタ(21)が1つまたは複数のLEDを備え、前記検出器(22)が1つまたは複数の光検出器を備える。
本発明の第25の態様によると、第1から第24のいずれかの態様において、前記信号処理回路(50)が、特定の放射線波長についての複数の読取値をとり、アウトライアをなくし、アウトライアでない読取値を平均するように構成されている。
本発明の第26の態様によると、第1から第25のいずれかの態様において、前記エミッタは、特定の波長で発光するようにそれぞれなされた複数のエミッタデバイス(220)を備え、前記駆動回路(50)は、時分割多重化スキームに従って各エミッタデバイスを作動させるように構成されている。
本発明の第27の態様によると、第26の態様において、作動間の時間分離は、2msから5msの範囲内である。
本発明の第28の態様によると、第1から第27のいずれかの態様において、前記信号処理回路(50)が、前記エミッタが作動していないときに放射線読取値をとり、前記読取値をベースとして使用するまたはバックグラウンドノイズをなくすように制御するように構成されている。
本発明の第29の態様によると、第1から第28のいずれかの態様において、前記信号処理回路(50)が、あるエミッタ波長について検出された信号と別のエミッタ波長のものとの比に従って特定の体液の存在を示すことを決定するように構成されている。
本発明の第30の態様によると、第29の態様において、放射線波長の複数の組合せごとに特定の比の閾値がある。
本発明の第31の態様によると、第30の態様において、前記組合せは、赤色:緑色、遠赤色:緑色、赤色:青色、遠赤色:青色、遠赤色:赤色の1つまたは複数を含む。
本発明の第32の態様によると、第1から第31のいずれかの態様において、前記信号処理回路(50)が、波長差を検出された信号の差で除算したものの逆正接として角度を決定し、前記決定された角度と閾値角度を比較することに従って特定の体液の存在を示すことを決定するように構成されている。
本発明の第33の態様によると、第1から第32のいずれかの態様において、前記信号処理回路(50)が、1つまたは複数の放射線波長について検出された信号の振幅に従って特定の体液の存在を示すために深刻度の値を決定するように構成されている。
本発明の第34の態様によると、第33の態様において、前記深刻度の値は、内部出血の度合の指標である。
本発明の第35の態様によると、第33または第34の態様において、前記信号処理回路(50)が、前記深刻度の値を決定する際のパラメータとして1つまたは複数のエミッタ波長について検出された信号強度の降下の割合を決定するように構成されている。
本発明の第36の態様によると、第1から第35のいずれかの態様において、前記信号処理回路(50)が、光源についての強度を設定するように構成されている。
本発明の第37の態様によると、第36の態様において、前記信号処理回路(50)が、光エミッタ駆動電流を制限することなどによって特定の時間に強度を設定するように構成されている。
本発明の第38の態様によると、第36または第37の態様において、前記信号処理回路(50)が、ON持続期間の長さを制御することによってある期間にわたって平均発光強度を制御するように構成されている。
本発明の第39の態様によると、第36から第38のいずれかの態様において、前記信号処理回路(50)が、光センサ(PD2)を備え、前記プロセッサが、光エミッタ出力を調整するために前記センサからのフィードバック信号を処理するように構成されている。
本発明の第40の態様によると、第1から第39のいずれかの態様において、前記信号処理回路(50)が、新しい血液を古い血液から区別するために異なる光波長を使用するように構成されている。
本発明の第41の態様によると、第40の態様において、前記信号処理回路(50)が、古い血液を示す2つの波長の比および新鮮な血液を示す異なる波長の比を使用するように構成されている。
本発明の第42の態様によると、第41の態様において、前記信号処理回路(50)が、古い血液を示すためのFR/Rの比および新鮮な血液のためのFR/Gの比を使用するように構成されている。
本発明の第43の態様によると、第1から第42のいずれかの態様において、前記放射線エミッタおよび/または検出器と前記ハウジング壁の間の経路を取り囲む光吸収ガイド(504、505)を含む。
本発明の第44の態様によると、第43の態様において、前記ガイドは、ほぼ黒色の材料を含む。
本発明の第45の態様によると、第43または44の態様において、前記ガイドが、光ファイバを含む。
本発明の第46の態様によると、第1から第45のいずれかの態様において、前記カプセルのコントローラによって発せられた放射線信号を受信および処理する受信機をさらに備える。
本発明の第47の態様によると、第46の態様において、前記受信機が、前記信号処理回路の一部を含む。

図1
図2
図3
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図5(a)】
図5(b)】
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図7(a)】
図7(b)】
図8
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図12(a)】
図12(b)】
図12(c)】
図12(d)】
図13(a)】
図13(b)】
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図14(b)】
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図14(d)】
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