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特許7482155IOL牽引機構を有するIOLベース圧縮デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】IOL牽引機構を有するIOLベース圧縮デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/16 20060101AFI20240502BHJP
【FI】
A61F2/16
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2021574302
(86)(22)【出願日】2020-06-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-29
(86)【国際出願番号】 IB2020055386
(87)【国際公開番号】W WO2020261008
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】62/867,349
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 寿人
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ エフ.ザッカー
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/079780(WO,A1)
【文献】特表2007-519471(JP,A)
【文献】特開2006-181269(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0342726(US,A1)
【文献】特開2004-033731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
IOL圧縮デバイスであって、
近位端及び遠位端を有するハウジングと、前記ハウジングの第1の側に配設されるトラックと、
前記ハウジング内部に配設され、前記近位端から前記遠位端に延在する長手方向軸を有するテーパ状IOL圧縮チャネルと、
前記トラック内部に移動可能に結合される摺動可能ボタンであって、前記ボタンは、近位位置と第1の遠位位置との間で軸方向に摺動可能であり、前記トラックは、前記テーパ状IOL圧縮チャネルと実質的に整列され、それに隣接する長手方向軸を有し、
ユーザがアクセス可能であり、軸方向力を受けるよう適合されるパッドと、
前記ボタンに結合される第1の端部と、IOLベースが前記圧縮チャネル内にある場合に前記IOLベースの遠位内縁に接触するよう適合される第2の端部とを有するIOLベース牽引ポストと、を有する摺動可能ボタンと、を備え、
前記ハウジングの前記遠位端に向かう前記ボタンの軸方向移動に応じて、
前記IOLベース牽引ポストは、前記テーパ状IOL圧縮チャネルを通って前記ハウジングの前記遠位端に向かって前記IOLベースを軸方向に引っ張るよう適合され、
前記テーパ状IOL圧縮チャネルの内面との接触に応じて、前記IOLベースは、圧縮構成をとるよう適合される、
IOL圧縮デバイス。
【請求項2】
前記IOL牽引ポストは、更に、ヒンジを備え、
前記IOL圧縮チャネルは、更に、前記ハウジングの前記遠位端において前記テーパ状IOL圧縮チャネル内部に配設され、前記ボタンが前記第1の遠位位置にある場合に前記IOLベース牽引ポストによって接触可能なハードストップを備え、
前記トラックは、更に、前記第1の遠位位置よりも遠位の第2の遠位位置を備え、
前記ボタンは、更に、前記第2の遠位位置へ軸方向に摺動可能であり、
前記第2の遠位位置への前記摺動可能ボタンの軸方向移動に応じて、前記IOLベース牽引ポストは、前記ハードストップとの接触に応じて前記ヒンジにおいて折り畳まれるよう適合され、前記IOLベース牽引ポストは、それによって、前記IOLベースが前記圧縮構成をとった後に前記テーパ状IOL圧縮チャネルを出るよう構成される、
請求項1に記載のIOL圧縮デバイス。
【請求項3】
前記トラックは、更に、前記第1の遠位位置よりも遠位の第2の遠位位置を備え、
前記ボタンは、更に、前記第2の遠位位置へ軸方向に摺動可能であり、
前記第1の遠位位置と前記第2の遠位位置との間の前記トラックの一部は、前記IOL圧縮チャネルから離れるように傾斜する斜面を有するランプを備え、
前記ランプに沿った前記第2の遠位位置への前記摺動可能ボタンの軸方向移動に応じて、前記IOLベース牽引ポストは、前記IOLベースが前記圧縮構成をとった後に前記テーパ状IOL圧縮チャネルを出るよう適合される、
請求項1に記載のIOL圧縮デバイス。
【請求項4】
前記ハウジングは、更に、前記IOLベース牽引ポストを受け入れるようなサイズの凹部を備え、前記凹部は前記第1の遠位位置に位置し、
前記ボタンは、更に、前記IOL牽引ポストを前記凹部に移動させるよう適合されるばねを備え、前記ばねは、前記ボタンに結合される第1の端部と、前記IOL牽引ポストに結合される第2の端部とを有し、
前記第1の遠位位置への前記摺動可能ボタンの軸方向移動に応じて、前記IOL牽引ポストは、前記ばねの移動に応じて前記凹部内へ横方向に移動可能であり、それによって、前記IOLベースが圧縮構成をとった後に前記IOL圧縮チャネルから出る、
請求項1に記載のIOL圧縮デバイス。
【請求項5】
前記IOLベースの前記内縁は、更に、前記内縁の前記円周内に配設される溝を備え、前記IOLベース牽引ポストの前記第2の端部は、前記IOLの前記遠位内縁の前記溝に挿入するよう適合されるサイズ及び形状を有する、
請求項1に記載のIOL圧縮デバイス。
【請求項6】
前記IOLベースの前記遠位内縁は、更に、切欠きを備え、前記IOLベース牽引ポストの前記第2の端部は、前記切欠きに挿入するよう適合されるサイズ及び形状を有する、
請求項1に記載のIOL圧縮デバイス。
【請求項7】
前記摺動可能ボタンは、更に、前記摺動可能ボタンの近位部分に結合される第1の端部を有する第2のポストを備え、前記第2のポストは、前記IOLベース牽引ポストが前記IOLベースの前記遠位内縁に接触する場合、前記第2のポストが前記IOLベースの後続ハプティックに近接して隣接するように、前記IOLベース牽引ポストから第1の距離において前記摺動可能ボタンに結合される、
請求項1に記載のIOL圧縮デバイス。
【請求項8】
前記第2のポストは、更に、前記圧縮チャネルを通って軸方向に移動するプランジャ先端との接触に応じて横方向に折り畳むよう適合されるヒンジを備え、前記第2のポストは、それによって、前記テーパ状圧縮チャネルから出るよう構成される、
請求項7に記載のIOL圧縮デバイス。
【請求項9】
前記IOL圧縮デバイスは、IOLインジェクタ内部に固定して配設されるか、又はその内部に着脱自在に配設されるよう適合される、
請求項1に記載のIOL圧縮デバイス。
【請求項10】
前記IOLインジェクタは、
インジェクタ本体であって、
近位端及び遠位端を有する本体と、
近位端及び遠位端を有するノズルであって、前記ノズルの前記近位端は前記本体の前記遠位端に結合され、圧縮されていないIOLを収容するよう構成されるIOLストレージ場所と、前記IOLストレージ場所よりも遠位のIOL待機場所とを有するノズルと、
前記本体の前記近位端から前記ノズルの前記遠位端まで延在する長手方向軸を有するボアと、を有する、インジェクタ本体と、
前記インジェクタ本体内部に移動自在に結合され、前記ボア内に整列されるプランジャであって、IOLに接触するよう適合されるプランジャ先端を有するプランジャと、を備える、
請求項9に記載のIOL圧縮デバイス。
【請求項11】
前記IOL圧縮デバイスは、前記ノズル内部に配設される、請求項10に記載のIOL圧縮デバイス。
【請求項12】
前記IOL圧縮デバイスは、
前記ボタンが前記近位位置にある場合に前記IOLベースがIOLストレージ場所にあり、
前記ボタンが前記第1の遠位位置にある場合に前記IOLベースが前記待機場所にあるように構成される、
請求項10に記載のIOL圧縮デバイス。
【請求項13】
前記テーパ状IOL圧縮チャネルは、前記ボアに結合され、それと整列され、
前記プランジャは、前記テーパ状IOL圧縮チャネルを通って軸方向に移動可能である、
請求項10に記載のIOL圧縮デバイス。
【請求項14】
IOL圧縮デバイスであって、
近位端及び遠位端を有するハウジングと、前記ハウジングの第1の側に配設されるビームトラックと、
前記ハウジング内部に配設され、前記近位端から前記遠位端に延在する長手方向軸を有するテーパ状IOL圧縮チャネルと、
前記ビームトラック内部に移動可能に結合される摺動可能ビームであって、前記摺動可能ビームは、近位位置と第1の遠位位置との間でその内部を軸方向に摺動可能であり、前記ビームトラックは、前記テーパ状IOL圧縮チャネルと実質的に整列され、それに隣接する長手方向軸を有し、
前記摺動可能ビームの遠位部分に結合される第1の端部と、IOLベースが前記圧縮チャネル内にある場合に前記IOLベースの遠位内縁に接触するよう適合される第2の端部とを有するIOLベース牽引ポストと、
前記摺動可能ビームの近位部分に結合される第1の端部を有する第2のポストと、を有し、前記第2のポストは、前記IOLベース牽引ポストが前記IOLベースの前記遠位内縁に接触する場合、前記第2のポストが前記IOLベースの後続ハプティックに近接して隣接するように、前記IOLベース牽引ポストから第1の距離において前記摺動可能ビームに結合される、
摺動可能ビームと、を備え、
前記ハウジングの前記遠位端に向かう前記第2のポストに印加される軸方向力に応じて、
前記摺動可能ビームは、前記ビームトラック内部で前記ハウジングの前記遠位端に向かって軸方向に摺動するよう適合され、
前記IOL牽引ポストは、前記IOL圧縮チャネルを通って前記ハウジングの前記遠位端に向かって前記IOLベースを引っ張るよう適合され、
前記IOL圧縮チャネルの内面との接触に応じて前、記IOLベースは、圧縮構成をとるよう適合される、
IOL圧縮デバイス。
【請求項15】
前記ビームトラックは、更に、前記第1の遠位位置よりも遠位の第2の遠位位置を備え、
前記摺動可能ビームは、更に、前記第2の遠位位置へ軸方向に摺動可能であり、
前記第1の遠位位置と前記第2の遠位位置との間の前記ビームトラックの一部は、前記摺動可能ビームを受け入れるようなサイズのウェルを備え、
前記第2の遠位位置への前記摺動可能ビームの更なる軸方向移動に応じて、
前記摺動可能ビームは、前記ウェルに入るよう適合され、
前記IOLベース牽引ポスト及び前記第2のポストは、前記IOLベースが前記圧縮構成をとった後、前記テーパ状IOL圧縮チャネルを出るよう構成される、
請求項14に記載のIOL圧縮デバイス。
【請求項16】
前記IOLベースの前記内縁は、更に、前記内縁の前記円周内に配設される溝を備え、前記IOLベース牽引ポストの前記第2の端部は、前記IOLベースの前記遠位内縁の前記溝に挿入するよう適合されるサイズ及び形状を有する、
請求項14に記載のIOL圧縮デバイス。
【請求項17】
前記IOLベースの前記遠位内縁は、更に、切欠きを備え、前記IOLベース牽引ポストの前記第2の端部は、前記切欠き内に挿入するよう適合されるサイズ及び形状を有する、
請求項14に記載のIOL圧縮デバイス。
【請求項18】
前記IOL圧縮デバイスは、IOLインジェクタ内部に固定して配設されるか、又はその内部に着脱自在に配設されるよう適合される、
請求項14に記載のIOL圧縮デバイス。
【請求項19】
前記IOLインジェクタは、
インジェクタ本体であって、
近位端及び遠位端を有する本体と、
近位端及び遠位端を有するノズルであって、前記ノズルの前記近位端は前記本体の前記遠位端に結合され、圧縮されていないIOLを収容するよう構成されるIOLストレージ場所と、前記IOLストレージ場所よりも遠位のIOL待機場所とを有するノズルと、
前記本体の前記近位端から前記ノズルの前記遠位端まで延在する長手方向軸を有するボアと、を有する、インジェクタ本体と、
前記インジェクタ本体内部に移動自在に結合され、前記ボア内に整列されるプランジャであって、IOLに接触するよう適合されるプランジャ先端を有するプランジャと、を備える、
請求項18に記載のIOL圧縮デバイス。
【請求項20】
前記IOL圧縮デバイスは、前記ノズル内部に配設される、請求項19に記載のIOL圧縮デバイス。
【請求項21】
前記IOL圧縮デバイスは、
前記摺動可能ビームが前記近位位置にある場合に前記IOLベースがIOLストレージ場所にあり、
前記摺動可能ビームが前記第1の遠位位置にある場合に前記IOLベースが待機場所にあるように構成される、
請求項19に記載のIOL圧縮デバイス。
【請求項22】
前記テーパ状IOL圧縮チャネルは、前記ボアに結合され、それと整列され、
前記プランジャは、前記テーパ状IOL圧縮チャネルを通って軸方向に移動可能であり、
前記ノズルの前記遠位端に向かう前記プランジャの軸方向移動に応じて、
前記プランジャ先端は、前記第2のポストに接触するよう適合され、
前記摺動可能ビームは、前記ビームトラック内部で第1の遠位位置へ軸方向に摺動するよう適合され、
前記IOL牽引ポストは、前記ノズルの前記遠位端に向かって前記IOLベースを引っ張るよう適合され、
前記IOL圧縮チャネルの内面との接触に応じて、前記IOLベースは、圧縮構成をとるよう適合される、
請求項19に記載のIOL圧縮デバイス。
【請求項23】
前記第1の遠位位置と前記第2の遠位位置との間の前記ビームトラックの一部は、前記摺動可能ビームを受け入れるようなサイズのウェルを備え、
前記ノズルの前記遠位端に向かう前記プランジャの更なる軸方向移動に応じて、
前記摺動可能ビームは、前記ウェルに入るよう適合され、
前記IOLベース牽引ポスト及び前記第2のポストは、前記IOLベースが前記圧縮構成をとった後、前記テーパ状IOL圧縮チャネルを出るよう適合され、
前記プランジャ先端は、前記プランジャが前記IOLを軸方向に前進させて前記ノズルの前記遠位端から出るよう適合されるように、前記IOLベースと接触するよう適合される、
請求項22に記載のIOL圧縮デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼内レンズ(IOL)インジェクタのためのシステム、装置、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人間の眼は、最も簡単に言えば、角膜と呼ばれる透明な外側部分を通して光を透過及び屈折させ、更に、水晶体によって眼の後部の網膜上で像に焦点を合わせることによって視覚を提供するよう機能する。焦点の合った像の質は、眼の大きさ、形状、及び長さ、並びに角膜及び水晶体の形状及び透明度を含む多くの要因に依存する。外傷、年齢、又は疾病によって水晶体の透明度が低下すると、網膜に伝達されてもよい光が減少するため、視力が低下する。眼の水晶体におけるこの欠陥は、医学的に白内障として知られている。この状態の治療は、水晶体の外科的除去及び人工レンズ(IOL)の挿入である。
【0003】
多くの白内障水晶体は、超音波水晶体乳化吸引術と呼ばれる外科的手法によって除去される。この処置中に、開口部は眼の前嚢に作られ、超音波水晶体乳化吸引切断先端部が、疾患水晶体に挿入され、超音波で振動される。振動切断先端部は、水晶体が眼から吸引されてもよいように、それを液化又は乳化する。罹患した水晶体は、一旦除去されると、IOLに置き換えられる。
【0004】
IOLは、小さい切開部、場合によっては疾患水晶体を除去するために用いた同じ切開部を通して眼に注入されてもよい。IOLインジェクタは、IOLを眼に供給するために用いられてもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様に従って、IOL圧縮デバイスを説明する。IOL圧縮デバイスは、近位端及び遠位端を有するハウジングと、ハウジングの第1の側に配設されるトラックとを有する。IOL圧縮デバイスはまた、ハウジング内部に配設され、近位端から遠位端に延在する長手方向軸を有するテーパ状IOL圧縮チャネルも有する。IOL圧縮デバイスはまた、トラック内部に移動可能に結合される摺動可能ボタンも有し、ボタンは、近位位置と第1の遠位位置との間で軸方向に摺動可能であり、トラックは、テーパ状IOL圧縮チャネルと実質的に整列され、それに隣接する長手方向軸を有する。摺動可能ボタンは、ユーザがアクセス可能であり、軸方向力を受けるよう適合されるパッドと、ボタンに結合される第1の端部と、IOLベースが圧縮チャネル内にある場合にIOLベースの遠位内縁に接触するよう適合される第2の端部とを有するIOLベース牽引ポストと、を有する。ハウジングの遠位端に向かうボタンの軸方向移動に応じて、IOLベース牽引ポストは、テーパ状IOL圧縮チャネルを通ってハウジングの遠位端に向かってIOLベースを軸方向に引っ張るよう適合され、テーパ状IOL圧縮チャネルの内面との接触に応じて、IOLベースは、圧縮構成をとるよう適合される。
【0006】
IOL牽引ポストはヒンジを含んでいてもよく、IOL圧縮チャネルは、ハウジングの遠位端においてテーパ状IOL圧縮チャネル内部に配設され、ボタンが第1の遠位位置にある場合にIOLベース牽引ポストによって接触可能なハードストップを含んでいてもよく、トラックは、第1の遠位位置よりも遠位の第2の遠位位置を含んでいてもよく、ボタンは、第2の遠位位置へ軸方向に摺動可能であってもよい。第2の遠位位置への摺動可能ボタンの軸方向移動に応じて、IOLベース牽引ポストは、ハードストップとの接触に応じてヒンジにおいて折り畳まれるよう適合されてもよく、IOLベース牽引ポストは、それによって、IOLベースが圧縮構成をとった後にテーパ状IOL圧縮チャネルを出るよう構成されてもよい。
【0007】
トラックは、第1の遠位位置よりも遠位の第2の遠位位置を含んでいてもよく、ボタンは、第2の遠位位置へ軸方向に摺動可能であってもよく、第1の遠位位置と第2の遠位位置との間のトラックの一部は、IOL圧縮チャネルから離れるように傾斜する斜面を有するランプを含んでいてもよい。ランプに沿った第2の遠位位置への摺動可能ボタンの軸方向移動に応じて、IOLベース牽引ポストは、IOLベースが圧縮構成をとった後にテーパ状IOL圧縮チャネルを出るよう適合されてもよい。
【0008】
ハウジングは、IOLベース牽引ポストを受け入れるようなサイズの凹部を含んでいてもよく、凹部は第1の遠位位置に位置する。ボタンは、IOL牽引ポストを凹部に移動させるよう適合されるばねを含んでいてもよく、ばねは、ボタンに結合される第1の端部と、IOL牽引ポストに結合される第2の端部とを有する。第1の遠位位置への摺動可能なボタンの軸方向移動に応じて、IOL牽引ポストは、ばねの移動に応じて凹部内へ横方向に移動可能であり、それによって、IOLベースが圧縮構成をとった後にIOL圧縮チャネルから出てもよい。
【0009】
IOLベースの内縁は、内縁の円周内に配設される溝を含んでいてもよく、IOLベース牽引ポストの第2の端部は、IOLの遠位内縁の溝に挿入するよう適合されるサイズ及び形状を有していてもよい。
【0010】
IOLベースの遠位内縁は、切欠きを含んでいてもよく、IOLベース牽引ポストの第2の端部は、切欠きに挿入するよう適合されるサイズ及び形状を有していてもよい。
【0011】
摺動可能ボタンは、摺動可能ボタンの近位部分に結合される第1の端部を有する第2のポストを含んでいてもよく、第2のポストは、IOLベース牽引ポストがIOLベースの遠位内縁に接触する場合、第2のポストがIOLベースの後続ハプティックに近接して隣接するように、IOLベース牽引ポストから第1の距離において摺動可能ボタンに結合される。
【0012】
第2のポストは、圧縮チャネルを通って軸方向に移動するプランジャ先端との接触に応じて横方向に折り畳むよう適合されるヒンジを含んでいてもよく、第2のポストは、それによって、テーパ状圧縮チャネルから出るよう構成される。
【0013】
IOL圧縮デバイスは、IOLインジェクタ内部に固定して配設されるか、又はその内部に着脱自在に配設されるよう適合されてもよい。IOLインジェクタは、近位端及び遠位端を有する本体と、近位端及び遠位端を有するノズルとを含むインジェクタ本体を含んでいてもよく、ノズルの近位端は本体の遠位端に結合される。ノズルは、圧縮されていないIOLを収容するよう構成されるIOLストレージ場所と、IOLストレージ場所よりも遠位のIOL待機場所とを有していてもよい。インジェクタ本体は、本体の近位端からノズルの遠位端まで延在する長手方向軸を有するボアを含んでいてもよい。IOLインジェクタは、インジェクタ本体内部に移動自在に結合され、ボア内に整列されるプランジャであって、IOLに接触するよう適合されるプランジャ先端を有するプランジャを含んでいてもよい。
【0014】
IOL圧縮デバイスは、ノズル内部に配設されてもよい。
【0015】
ボタンが近位位置にある場合にIOLベースはIOLストレージ場所にあってもよく、ボタンが第1の遠位位置にある場合にIOLベースは待機場所にあってもよい。
【0016】
テーパ状IOL圧縮チャネルは、ボアに結合され、それと整合されてもよく、プランジャは、テーパ状IOL圧縮チャネルを通って軸方向に移動可能であってもよい。
【0017】
第2の態様に従って、IOL圧縮デバイスを説明する。IOL圧縮デバイスは、近位端及び遠位端を有するハウジングと、ハウジングの第1の側に配設されるビームトラックとを有する。IOL圧縮デバイスはまた、ハウジング内部に配設され、近位端から遠位端に延在する長手方向軸を有するテーパ状IOL圧縮チャネルも有する。IOL圧縮デバイスはまた、ビームトラック内部に移動可能に結合される摺動可能ビームも有し、摺動可能ビームは、近位位置と第1の遠位位置との間で軸方向に摺動可能であり、ビームトラックは、テーパ状IOL圧縮チャネルと実質的に整列され、それに隣接する長手方向軸を有する。IOL圧縮デバイスは、摺動可能ビームの遠位部分に結合される第1の端部と、IOLベースが圧縮チャネル内にある場合にIOLベースの遠位内縁に接触するよう適合される第2の端部とを有するIOLベース牽引ポストを有する。IOL圧縮デバイスはまた、摺動可能ビームの近位部分に結合される第1の端部を有する第2のポストも有し、第2のポストは、IOLベース牽引ポストがIOLベースの遠位内縁に接触する場合、第2のポストがIOLベースの後続ハプティックに近接して隣接するように、IOLベース牽引ポストから第1の距離において摺動可能ビームに結合される。ハウジングの遠位端に向かう第2のポストに印加される軸方向力に応じて、摺動可能ビームは、ビームトラック内部でハウジングの遠位端に向かって軸方向に摺動するよう適合され、IOL牽引ポストは、IOL圧縮チャネルを通ってハウジングの遠位端に向かってIOLベースを引っ張るよう適合され、IOL圧縮チャネルの内面との接触に応じて、IOLベースは、圧縮構成をとるよう適合される。
【0018】
ビームトラックは、第1の遠位位置よりも遠位の第2の遠位位置を含んでいてもよく、摺動可能ビームは、第2の遠位位置へ軸方向に摺動可能であってもよく、第1の遠位位置と第2の遠位位置との間のビームトラックの一部は、摺動可能ビームを受け入れるようなサイズのウェルを含んでいてもよい。第2の遠位位置への摺動可能ビームの軸方向移動に応じて、摺動可能ビームは、ウェルに入るよう適合されてもよく、IOLベース牽引ポスト及び第2のポストは、IOLベースが圧縮構成をとった後、テーパ状IOL圧縮チャネルを出るよう構成されてもよい。
【0019】
IOLベースの内縁は、内縁の円周内に配設される溝を含んでいてもよく、IOLベース牽引ポストの第2の端部は、IOLベースの遠位内縁の溝に挿入するよう適合されるサイズ及び形状を有していてもよい。
【0020】
IOLベースの遠位内縁は、切欠きを含んでいてもよく、IOLベース牽引ポストの第2の端部は、切欠きに挿入するよう適合されるサイズ及び形状を有していてもよい。
【0021】
IOL圧縮デバイスは、IOLインジェクタ内部に固定して配設されるか、又はその内部に着脱自在に配設されるよう適合されてもよい。IOLインジェクタは、近位端及び遠位端を有する本体と、近位端及び遠位端を有するノズルとを有するインジェクタ本体を含んでいてもよく、ノズルの近位端は本体の遠位端に結合される。ノズルは、圧縮されていないIOLを収容するよう構成されるIOLストレージ場所と、IOLストレージ場所よりも遠位のIOL待機場所とを有していてもよい。IOLインジェクタはまた、本体の近位端からノズルの遠位端まで延在する長手方向軸を有するボアと、インジェクタ本体内部に移動可能に結合され、ボア内に整列されるプランジャとを有していてもよく、プランジャは、IOLに接触するよう適合されるプランジャ先端を有する。
【0022】
IOL圧縮デバイスは、ノズル内部に配設されてもよい。
【0023】
摺動可能ビームが近位位置にある場合にIOLベースはIOLストレージ場所にあってもよく、摺動可能ビームが第1の遠位位置にある場合にIOLベースは待機場所にあってもよい。
【0024】
テーパ状IOL圧縮チャネルは、ボアに結合され、それと整合されてもよく、プランジャは、テーパ状IOL圧縮チャネルを通って軸方向に移動可能であってもよい。ノズルの遠位端に向かうプランジャの軸方向移動に応じて、プランジャ先端は、第2のポストに接触するよう適合されてもよく、摺動可能ビームは、ビームトラック内部で第1の遠位位置へ軸方向に摺動するよう適合されてもよく、IOL牽引ポストは、ノズルの遠位端に向かってIOLベースを引っ張るよう適合されてもよく、IOL圧縮チャネルの内面との接触に応じて、IOLベースは、圧縮構成をとるよう適合されてもよい。
【0025】
第1の遠位位置と第2の遠位位置との間のビームトラックの一部は、摺動可能ビームを受け入れるようなサイズのウェルを含んでいてもよい。ノズルの遠位端に向かうプランジャの更なる軸方向移動に応じて、摺動可能ビームは、ウェルに入るよう適合されてもよく、IOLベース牽引ポスト及び第2のポストは、IOLベースが圧縮構成をとった後、テーパ状IOL圧縮チャネルを出るよう適合されてもよく、プランジャ先端は、プランジャがIOLを軸方向に前進させてノズルの遠位端から出るよう適合されてもよいように、IOLベースと接触するよう適合されてもよい。
【0026】
本開示をより完全に理解するために、ここで、以下の説明に対して参照を行い、添付図面と併せて用いる。添付図面は、縮尺通りではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、一例のIOLインジェクタの斜視図である。
図2図2は、図1の一例のIOLインジェクタの長手方向断面図である。
図3A図3Aは、一例のワンピースIOLを示す。
図3B図3Bは、ベース及びオプティックを含む一例のツーピースIOLを示す。
図4図4は、IOLインジェクタの一例のノズルの斜視図である。
図5A図5Aは、図4のIOLインジェクタのノズルの断面図である。
図5B図5Bは、図4のIOLインジェクタのノズルの別の断面図である。
図6図6は、図4のIOLインジェクタのノズルの別の斜視図である。
図7図7は、内部に位置し、待機場所に位置決めされたIOLを有する、一例のIOLインジェクタの遠位端の図である。
図8図8は、内部に位置するIOLベースを有する一例のIOLインジェクタ内部に配設される一例のIOL圧縮デバイスの斜視図である。
図9図9は、IOLベースを有する一例のIOL圧縮デバイスの一例の摺動可能ボタンの図である。
図10A図10Aは、IOLベースを有する一例の圧縮IOLデバイスを有するIOLインジェクタの断面図である。
図10B図10Bは、IOLベースを有する別の一例のIOL圧縮デバイスを有するIOLインジェクタの断面図である。
図10C図10Cは、図10Bの一例のIOL圧縮デバイスを有するIOLインジェクタの別の断面図である。
図10D図10Dは、図10Bの一例のIOL圧縮デバイスを有するIOLインジェクタの別の断面図である。
図10E図10Eは、IOLベースを有する別の一例のIOL圧縮デバイスを有するIOLインジェクタの断面図である。
図10F図10Fは、図10Eの一例のIOL圧縮デバイスを有するIOLインジェクタの別の断面図である。
図10G図10Gは、別の一例のIOL圧縮デバイスの断面図である。
図10H図10Hは、図10Gの一例のIOL圧縮デバイスの別の断面図である。
図10I図10Iは、一例のテーパ状IOL圧縮デバイスの一部の略図である。
図11A図11Aは、IOLベースを有するIOL圧縮デバイスの別の実施例の図である。
図11B図11Bは、IOLベースを有するIOLインジェクタ内部に配設される図11AのIOL圧縮デバイスの一実施例の断面図である。
図11C図11Cは、IOLベースを有するIOLインジェクタ内部に配設される図11AのIOL圧縮デバイスの別の実施例の断面図である。
図11D図11Dは、IOLベースを有するIOLインジェクタ内部に配設される図11CのIOL圧縮デバイスの別の図である。
図11E図11Eは、IOLベースを有するIOLインジェクタ内部に配設される図11CのIOL圧縮デバイスの別の図である。
図12図12は、IOLベース牽引ポスト及び第2のポストを有する一例の摺動可能ボタンの略図である。
図13図13は、IOLインジェクタ内部に配設される一例のプランジャ30の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示の原理の理解を促す目的のため、ここで図面に示す実装を参照し、特定の言語を用いてこれを説明する。それでもやはり、開示の範囲について何の限定も意図していないことが理解されるであろう。説明するデバイス、機器、方法に対する任意の代替形態及び更なる修正形態並びに本開示の原理の任意の更なる適用は、開示が関連する技術分野の当業者が通常想到してもよいように完全に想定される。特に、1つの実装に関して説明される特徴、コンポーネント、及び/又はステップは、本開示の他の実装に関して説明される特徴、コンポーネント、及び/又はステップと組み合わされてもよいことは、完全に想定される。
【0029】
図1及び図2は、ユーザによる手動での力の印加によって作動する一例のIOLインジェクタ10の略図である。IOLインジェクタ10は、インジェクタ本体20と、インジェクタ本体20に形成されるボア40を通って往復運動するよう適合するプランジャ30とを含んでいる。インジェクタ本体20は、近位端50及び遠位端23を有する本体21と、近位端22及び遠位端60を有するノズル25とを有する。ノズル25の近位端22は、本体21の遠位端23に結合されている。ノズル25は、非圧縮IOL70を収容するように構成されたIOLストレージ場所80と、IOLストレージ場所80よりも遠位のIOL待機場所809とを有する。
【0030】
ボア40は、主本体21の近位端50からノズル25の遠位端60まで延在している。ノズル25内のボア40の遠位部分は送出チャネル31を形成し、これを通して、IOLが軸方向に前進され、圧縮され、遠位端60における遠位先端27内の開口部29を介して眼内に送出されてもよい。
【0031】
プランジャ30は、インジェクタ本体20内部に移動可能に結合され、ボア40内部で整列される。プランジャ30は、IOL70と接触するよう適合されるプランジャ先端220を有する。
【0032】
IOLインジェクタ10はまた、長手方向軸75も含んでいる。長手方向軸75は、プランジャ30に沿って延在し、プランジャ30の長手方向軸を画成してもよい。
【0033】
IOLストレージ場所80は、IOLストレージ場所80の内部へのアクセスを提供するドア90を含んでいてもよい。ドア90は、ドア90がヒンジ100を中心として枢動して、IOLストレージ場所80を開放し、例えば、IOL70の設置を可能にしてもよいようなヒンジ100を含んでいてもよい。他の実装において、IOLストレージ場所80は、IOL70を設置するためのドアを除いてもよい。かかる例において、IOL70は、IOLインジェクタ10の組み立て時にIOLストレージ場所80に組み込まれてもよい。従って、かかる場合、IOLインジェクタ10は、プリロードされたIOLインジェクタになる。かかる場合、IOLストレージ場所80は、ドア90ではなく、開くように構成されていないカバーを有していてもよい。IOLストレージ場所80は、IOLストレージ場所80への粘弾性体の添加を可能にするよう適合される穴102を含んでいてもよい。
【0034】
インジェクタ本体20はまた、インジェクタ本体20の近位端50に形成されるタブ110を含んでいてもよい。タブ110は、ボア40を通ってプランジャ30を前進させるよう、眼科医、眼科手術助手若しくは看護師、又は他の医療専門家等のユーザの指、親指、又は手によって操作されてもよい。
【0035】
プランジャ30は、プランジャ本体200と、プランジャ本体200から遠位方向に延在するプランジャロッド210と、プランジャロッド210の遠位端230に形成され、例えば、IOLインジェクタ10のIOLストレージ場所80に配設されるIOLに接触するよう適合されるプランジャ先端220とを含んでいてもよい。プランジャ30が軸方向に前進させられ、それによって矢印78の方向にボア40内部で遠位方向に変位させられると、プランジャ30のプランジャ先端220は、IOL70等のIOLに係合し且つそれを前進させるよう適合される。図1及び図2において、IOL70は、IOLストレージ場所80内に位置して示されている。プランジャ30はまた、矢印78の方向に遠位方向にボア40を通ってプランジャ30を変位させることによって、ボア40を通ってプランジャ30を前進させるよう、ユーザの指、親指、又は手によって操作されてもよい、近位端250に形成されるフランジ240を含んでいてもよい。
【0036】
幾つかの実装において、IOL70はワンピースIOLであってもよい。即ち、幾つかの実装において、IOL70は、図3Aに示すように、オプティック460及びハプティック450を含んでいてもよい。各ハプティック450は先端部452を含んでいる。幾つかの実装において、オプティック460及びハプティック450は、材料単体から一体的に形成されてもよい。他の実装において、オプティック460は1つの材料片から形成されてもよく、ハプティック450は別の材料片から形成されてもよく、オプティック460及びハプティック450は眼内への供給の前に互いに結合されてもよい。場合によっては、オプティック460及びハプティック450は、IOLインジェクタへの挿入及び眼内への供給の前に、互いに確実に固定されてもよい。
【0037】
他の実装において、IOL70は、例えば、図3Bに示すようにマルチピースIOLであってもよい。例えば、幾つかの実装において、IOL70は、2つ以上の別個のコンポーネントを含んでいる。図3Bは、2つの着脱自在に取り付けられるコンポーネントを含む一例のIOL70である。図3Bに示すように、IOL70は、オプティック460、及びハプティック450を含み、且つ、上部498及び下部499を有するベース461を含む。オプティック460及びベース461は、共に結合されて一体型IOLを形成するよう適合されている。例えば、場合によっては、オプティック460及びベース461は、眼の内部への挿入前又は挿入後等に、共に結合されて一体型IOLを形成するよう適合される。場合によっては、オプティック460は、必要に応じてベース461から取り外し、交換することができる。場合によっては、例えば、図3Bに示すツーピースIOL70等のマルチピースIOLの1つ以上のコンポーネントは、別々に患者の眼内に注入可能である。一旦眼に入ると、コンポーネントは、完全なIOLに組み立てられてもよい。例えば、図3Bに示すツーピースIOL70の場合、オプティック460及びベース461は、別々に眼内に注入可能である。一旦注入されると、オプティック460は、ベース461の内部エッジ8内部に配設される溝14内でベース461に結合されるよう適合されている。場合によっては、1つ以上の切欠き15が外縁部8内に配設される。1つ以上の切欠き15は、オプティック460と結合し、それによってベース461上へオプティック460のアセンブリを配向するために構成されてもよい。切欠き15はまた、IOLベース461が折り畳み又は圧縮形態を取り始めるための開始点を提供してもよい。特に、場合によっては、切欠き15は、IOLベース461が圧縮形態を取るように内縁部8内に配設され、ここで、IOLベース461が圧縮形態を取る際に、遠位及び近位ハプティック450はそれぞれ、IOLインジェクタ内の遠位及び近位位置に維持される。場合によっては、例えば、ベース461は、内縁部8内で両側に配設される、2つの切欠き15を有することができ、例えば、1つの切欠き15は、遠位ハプティック450の長さの中間点に隣接する位置において内縁部8内に配設され、別の切欠き15は、近位ハプティック450に隣接する位置において内縁部8内に配設される。切欠き15は他の機能を有していてもよい。例えば、場合によっては、ユーザは、挿入中にベース461の位置を操作するために、外科用器具を用いて切欠き15に接触してもよい。
【0038】
時として、患者は、IOLの交換を必要とする可能性があり、IOLを交換する処置は、結果として眼に対する損傷を生じる可能性がある。例えば、ツーピースIOLを用いる場合、交換処置は、ベースが眼内の所定の位置に留まることを可能にする、オプティックの交換のみを含む可能性がある。
【0039】
上で説明したように、幾つかの実装において、IOL70は、ベース461及びオプティック460が別々に患者の眼内に注入されるツーピースIOLであってもよい。従って、ツーピースIOLの場合、ベース461及びオプティック460は、眼内に挿入するために別々のIOLインジェクタ10内に収容されてもよい。他の実装において、ツーピースIOLの2つのコンポーネントは、単一のIOLインジェクタを用いて別々に眼内に挿入されてもよい。シングルピースIOLの場合、オプティック460及びハプティック450は一体型IOLを形成し、単一のIOLインジェクタの使用により同時に眼内に挿入される。
【0040】
従って、幾つかの実装において、ユーザは、例えば、上で説明したIOLインジェクタのIOLストレージ場所80等のIOLインジェクタのIOLストレージコンパートメント内にIOLを装填することによって、ワンピースIOLをIOLインジェクタに載置してもよい。また、説明するように、IOLストレージ場所80は、ドア90等のドアを介してアクセスされてもよい。
【0041】
ツーピースIOLの場合、幾つかの実装において、ユーザは、ベース461等のベースを、例えばドアを介して、IOLインジェクタのIOLストレージコンパートメント内に装填してもよい。オプティック460等のオプティックは、例えばドアを介して、別個のIOLインジェクタのIOLストレージコンパートメント内に導入されてもよい。場合によっては、IOLストレージコンパートメントは、ドア90等のドアを通してアクセスされてもよい。
【0042】
幾つかの実装において、IOLは、例えば、製造中、又はそうでなければエンドユーザに配布される前に、IOLインジェクタのストレージコンパートメント内にプリロードされてもよい。従って、ワンピースIOLの場合、ワンピースIOLは、エンドユーザが受け取る前に、IOLインジェクタをストレージコンパートメント内にプリロードされてもよい。ツーピースIOLの場合、ベースは、1つのIOLインジェクタのストレージコンパートメント内にプリロードされ得、一方、オプティックは、別のIOLインジェクタのIOLストレージコンパートメント内にプリロードされてもよい。本明細書中に用いるような「プリロードされた」という用語は、ワンピース又はマルチピース構成(例えば、ツーピース構成を含む)のいずれかのIOLが、ユーザによってではなく、むしろ、IOLが以前にIOLインジェクタに設置されており、ユーザがIOLインジェクタを受け取った時点ですでにIOLインジェクタ内に含まれていることによって、IOLインジェクタ内にロードされていることを意味する。IOLインジェクタは、ユーザが受け取った場合に滅菌パッケージ内にパッケージされてもよい。
【0043】
本開示を読むと当業者によって理解されるように、IOLインジェクタにプリロードされたIOLは、ユーザによって実行されるIOLインジェクタへのIOLの手動設置及び折り畳みの場合よりも有利である。例えば、IOLを手動で設置して折り畳むと、誤差が生じる可能性が高くなり、それによってすでに複雑な手順中に不要な二次操作又は修正を生じさせる可能性がある。例えば、IOLを手動で設置して折り畳むことにより、人為的ミスや不十分な滅菌技術等によるIOLの汚染の可能性も招く可能性がある。IOLの汚染により、患者に対する無菌環境を損ない、感染又は他の患者への危害のリスクをもたらす可能性がある。
【0044】
図4図7は、例示的なノズル25の詳細を示している。場合によっては、ノズル25は、テーパ状の外面を有する。更に、ノズル25は、開口部29に向かってテーパ状となる送出チャネル31を形成するボア40の一部を含んでいてもよい。遠位先端27は、IOL70を移植できるように、眼内への挿入に適合されている。IOL70は、遠位先端27に形成された開口部29から眼内に排出される。図5Bに示すように、テーパ状の送出チャネル31及び遠位先端27は、幅W1を有する楕円形の断面120を有していてもよい。加えて、遠位先端27は、傾斜先端130を含んでいてもよい。IOLストレージ場所80、送出チャネル31、及び開口部29は、送出通路を画成してもよい。送出通路のサイズは、その長さに沿って変化してもよい。例えば、場合によっては、送出通路の幅W1、高さH1、又はその両方が、送出通路の長さに沿って変化してもよい。送出通路のサイズの変化は、IOLが送出通路を通って前進するときに、IOLの圧縮に寄与してもよい。
【0045】
場合によっては、インジェクタ本体20は、挿入深度ガード140を含んでいてもよい。挿入深度ガード140は、眼の外側表面に隣接するよう適合されたフランジ面150を形成してもよい。その開示が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第15/049,315号明細書に記載されているように、挿入深度ガード140は、眼の表面に隣接し、それによって遠位先端27が眼内に延在することが可能な量を制限する。
【0046】
図6及び図7は、例示的なノズル25の一部の詳細図である。ノズル25は、テーパ状部分62及び挿入深度ガード140を含んでいてもよい。遠位先端27は、圧縮された又は部分的に圧縮されたIOL70の待機場所809の視覚的表示を提供する境界1900を含んでいてもよい。本明細書中に用いるような「待機場所」という用語は、ノズル25の遠位端60に隣接する場所を指す。例えば、待機場所809は、遠位端60から2~10mmの場所であり得る。例えば、図6に示す例では、境界1900は、ノズル25の全部又は一部を取り囲む狭い隆起又はラインである。場合によっては、境界1900は、テーパ状部分62と挿入深度ガード140との間に配置されてもよい。インジェクタ本体20の少なくとも一部は、ユーザがインジェクタ本体20内のIOLを見ることを可能にする透明又は半透明の材料から形成されてもよい。特に、インジェクタ本体20のノズル25は、プランジャ30によってそれを通って移動するときのIOLの観察を可能にするために、透明な材料から形成されてもよい。
【0047】
図7は、IOL70がノズル25の待機場所809に配置された、IOLインジェクタ10の遠位端60の図を示している。図7に示すように、IOL70の待機場所809は、IOL70のオプティックの遠位端が境界1900と実質的に整列する場所として規定されてもよい。ハプティック450又はその一部は、境界1900を超えて延在してもよい。
【0048】
本明細書中に説明する様々な実装において、IOLインジェクタ10は、非圧縮IOLベース461に結合し、IOL圧縮デバイス内に配設されるテーパ状IOL圧縮チャネル310を通ってベース461を軸方向に前進させるよう構成されるIOL圧縮デバイスを含み、それに応じて、非圧縮IOLベース461は、テーパ状IOL圧縮チャネル310の内面640に接触し、圧縮構成をとるよう適合される。
【0049】
様々な実装において、本明細書中に説明するIOL圧縮デバイスは、近位端901及び遠位端902を有するIOL圧縮デバイスハウジング900内に収容される。ハウジング900は、ノズル25、IOLストレージ場所80、又は本体21内に固定して配設され、これらの一体部分を形成する等、IOLインジェクタ本体20の一体部分を形成してもよい。他の例において、IOL圧縮デバイスは、IOLインジェクタに着脱自在に接続されてもよい着脱式コンポーネント等の、ハウジング900内部に含まれる別個のコンポーネントであってもよい。IOL圧縮デバイスのハウジング900は、ノズル25内、IOLストレージ場所80内、又は本体21内等のIOLインジェクタ10のインジェクタ本体20内に着脱自在に配設されるよう適合されてもよい。
【0050】
幾つかの実装において、IOL圧縮デバイスが、IOLインジェクタのノズル内等のIOLインジェクタ内に配設される場合、IOL圧縮チャネル310は、長手方向軸75を有し、ボア40に結合され、それと位置合わせされてもよく、プランジャ30は、テーパ状IOL圧縮チャネル310を通って軸方向に移動可能であってもよく、それによって、ノズル25の遠位端60まで及び患者の眼内への圧縮されたIOLベース461の軸方向の前進を可能にしている。
【0051】
様々な実装において、本明細書中に説明するIOL圧縮デバイスは、テーパ状IOL圧縮チャネル310を通してIOLベース461を軸方向に「牽引する」ことによって、IOLベース461を軸方向に前進させるよう構成される。従って、ある特定の実装において、本明細書中に説明するIOL圧縮デバイスは、一般に、近位外縁91及び/又は後続ハプティックの近位外縁92においてIOLに接触することによってIOLを圧縮し、軸方向力をIOL及び/又はその後続ハプティック部の近位外縁91/92に印加することによってボア40を通してIOLを軸方向に「押動」させる、従来のプランジャとは異なる動作原理を利用している。本明細書中に用いるように、用語「後続ハプティック」とは、IOL又はIOLベースがIOL圧縮デバイス又はIOLインジェクタ内部に配設される場合に、IOL圧縮デバイス又はIOLインジェクタの近位端に近いIOL又はIOLベースのハプティックを指す。
【0052】
本開示を読めば当業者には理解されるように、本明細書中に用いるような用語「牽引する(tow)」又は「牽引すること(towing)」とは、概して、1つ以上の追加のコンポーネントが第1のコンポーネントの移動時に第1のコンポーネントによって引っ張られてもよいように、第1のコンポーネントを1つ以上の追加のコンポーネントに接触又は結合させることを指す。特に、本明細書中に用いるように、本開示は、IOL圧縮チャネル310を通してIOLベース461等のIOL70に接触又は結合し且つ牽引するよう適合される摺動可能なボタン又は摺動可能なビーム(梁)等のコンポーネントを利用するIOL圧縮デバイスのある特定の実施形態に関する。
【0053】
本明細書中に説明する牽引機構を利用することによって、本明細書中に説明するIOL圧縮デバイスは、IOLインジェクタ内部でのIOLの「バンチング」を防止することができる。本明細書中に用いるような用語「バンチング」とは、従来のプランジャがIOLインジェクタの送出チャネルを通ってIOL70を前進させるために用いられる場合に時として生じる可能性がある、IOL70の長手方向軸における望ましくない軸方向の折り畳み又は圧縮を指す。特に、バンチングは、従来のプランジャを用いてIOL70を、ノズル25のテーパ状送出チャネル31を通して、例えば、ストレージ場所80から待機場所809まで前進させる場合に、時として生じる可能性がある。
【0054】
図8図10Eは、摺動可能ボタンを有する一例のIOL圧縮デバイスの略図である。幾つかの実装において、IOL圧縮デバイスは、その内部での摺動可能ボタン1の軸方向摺動移動を可能にするよう適合されるトラック2内に移動可能に結合される摺動可能ボタン1を有する。トラック2は、ハウジング900の上側等、ハウジング900の第1の側に配設されている。ボタンは、近位位置3と第1の遠位位置4との間等、その中で軸方向に摺動可能である。トラック2は、テーパ状IOL圧縮チャネル310と実質的に整列され、それに隣接する長手方向軸75を有する。摺動可能ボタン1は、ユーザにとってアクセス可能であり、ユーザの指又は親指によって印加されるような軸方向の力を受けるよう適合されるパッド6を有する。摺動可能ボタン1は、ボタン1に結合される第1の端部と、IOLベース461の遠位内縁8に接触又は結合するよう適合される第2の端部とを有するIOLベース牽引ポスト7を有する。一般に、本開示のIOL圧縮デバイスは、IOLベース461の遠位内縁8と類似した、IOLとの接触又は結合の遠位点を提供する構造を有するIOLとの使用に適している。図3Bは、IOLベース461の一例の遠位内縁8を示している。理解されるように、遠位内縁8は、IOL圧縮デバイス内に配置される場合に、IOL圧縮デバイスの遠位端902に近いIOLベース461の内縁である。例えば、IOL圧縮デバイスがIOLインジェクタ内に配設される場合、遠位内縁8は、インジェクタ本体20の遠位端60に近いIOLベース461の内縁である。
【0055】
IOL圧縮デバイスは、ハウジング900の遠位端902に向かうボタン1の軸方向移動に応じて、IOLベース牽引ポスト7が、ハウジング900の遠位端902に向かってIOLベース461を軸方向に引っ張るよう適合されるように構成される。テーパ状IOL圧縮チャネル310の内面640との接触に応じて、IOLベース461は、圧縮構成をとるよう適合される。例えば、図8図10A図10B、及び図10Eは、IOLベース牽引ポスト7がテーパ状IOL圧縮チャネル310を通してIOLベース461を引っ張る前の、IOLインジェクタ内部に配設されるIOL圧縮デバイス内のIOLベース461を示している。図10C図10D、及び図10Fは、IOLベース牽引ポスト7がテーパ状IOL圧縮チャネル310を通してIOLベース461を引っ張る際の、IOLインジェクタ内部に配設されるIOL圧縮デバイス内のIOLベース461を示している。例えば、図10Iに示すように、テーパ状IOL圧縮チャネル310は、楕円形断面120a等の断面を有していてもよい。テーパ状IOL圧縮チャネル310の断面サイズは、その軸方向長さに沿って変化してもよい。例えば、場合によっては、テーパ状IOL圧縮チャネル310の幅W1、高さH1、又はその両方は、テーパ状送出チャネル310の軸方向長さに沿って変化してもよい。テーパ状IOL圧縮チャネル310のサイズの変化は、IOLベース461がテーパ状IOL圧縮チャネル310を通ってそれに沿って前進するにつれて、IOLベース461の圧縮に寄与してもよい。
【0056】
例えば、図10Bは、IOLベース牽引ポスト7がテーパ状IOL圧縮チャネル310を通してIOLベース461を引っ張る前の、IOLインジェクタ内部に配設されるIOL圧縮デバイス内のIOLベース461の上面図910を示している。IOLベース牽引ポスト7がテーパ状IOL圧縮チャネル310を通してIOLベース461を引っ張る前の、IOLインジェクタ内部に配設されるIOL圧縮デバイス内の同じIOLベース461の側面図を、上面図910の下に示す。
【0057】
例えば、図10Cは、IOLベース牽引ポスト7がテーパ状IOL圧縮チャネル310を通してIOLベース461を引っ張る際の、IOLインジェクタ内部に配設されるIOL圧縮デバイス内のIOLベース461の上面図911を示している。IOLベース牽引ポスト7がテーパ状IOL圧縮チャネル310を通してIOLベース461を引っ張る際の、IOLインジェクタ内部に配設されるIOL圧縮デバイス内の同じIOLベース461の側面図を、上面図911の下に示す。
【0058】
幾つかの実装において、例えば、IOL圧縮デバイスがIOLインジェクタのノズル25内部に配設される場合、IOL圧縮デバイスは、ボタン1が近位位置3にある場合にIOLベース461がIOLストレージ場所80にあり、ボタン1が第1の遠位位置4にある場合にIOLベース461が待機場所809にあるように構成されてもよい。例えば、図10Aは、以下で更に説明するように、近位位置3、第1の遠位位置4、及び第2の遠位位置5のIOLインジェクタ10内部の位置例を略図的な形態で示している。
【0059】
幾つかの実装において、IOLベース461がIOL圧縮チャネル310内部で圧縮された形態をとった後、本明細書中に説明するIOL圧縮デバイスは、組立式、折り曲げ可能、折り畳み可能、又はヒンジ式の牽引ポスト7を有するよう構成されてもよく、又はそうでなければ、牽引ポスト7がIOL圧縮チャネル310から出るよう適合されるように構成されてもよい。例えば、IOL圧縮デバイスがIOLインジェクタ内部に配設される場合、IOL圧縮デバイスは、プランジャ30がIOL圧縮チャネル310を通って軸方向に移動してもよいよう適合されてもよく、従って、牽引ポスト7は、IOL圧縮チャネルを出るよう適合され、それによって、プランジャ30が送出通路を通ってIOLベース461を軸方向に前進させ、ノズル25の開口部29を通って患者の眼に送出されるための明確な経路を可能にしてもよい。
【0060】
従って、幾つかの実装において、例えば図9図10A、及び図10Bに示すように、IOL牽引ポスト7は、IOLベース461がIOL圧縮チャネル310内で圧縮形態をとった後に、牽引ポスト7が折り畳まれ、それによってIOL圧縮チャネル310の外に移動することを可能にするよう構成されるヒンジ9を有していてもよい。幾つかの実装において、IOL圧縮チャネル310は、ボタン1が第1の遠位位置4にある場合等に、IOLベース牽引ポスト7によって接触可能なハードストップ11を含んでいてもよい。図10B図10Dは、IOL圧縮チャネル310内部の一例のハードストップを示している。従って、幾つかの実装において、摺動可能なボタン1の第2の遠位位置5への更なる軸方向移動に応じて、IOLベース牽引ポスト7が、例えば図10Cの矢印101によって示すように、ヒンジ9等において折り畳まれるよう適合され、それにより、IOLベース461が図10Cに示すような圧縮構成をとった後に、例えば図10Dに示すように、IOLベース牽引ポスト7をIOL圧縮チャネル310から出すように、トラック2は、更に、第1の遠位位置4よりも遠位の第2の遠位位置5を含んでいてもよい。例えば、IOL圧縮デバイスがIOLインジェクタ10のノズル25内部に配設される場合、プランジャ30は、次いで、プランジャ先端220が圧縮されたIOLベース461に接触し、圧縮されたIOLベース461を、ノズル25の遠位端60の開口部29を通って軸方向に前進させるように、軸方向に前進させられてもよい。
【0061】
幾つかの実装において、例えば、図10E図10Fに示すように、第1の遠位位置4と第2の遠位位置5との間等のトラック2の一部は、IOL圧縮チャネル310から離れるように傾斜する斜面を有するランプ99を含んでいてもよい。かかる実装において、牽引ポスト7は、牽引ポスト7をIOL圧縮チャネル310から出るよう折り畳むヒンジ9を含んでいなくてもよいが、むしろ、例えば第2の遠位位置5へのランプ99に沿った摺動可能ボタン1の軸方向移動に応じて、IOLベース牽引ポスト7は、IOLベース461が、例えば、図10Cに示すような圧縮構成をとった後に、IOL圧縮チャネル310を出てもよい。図10E図10Fは、IOL牽引ポスト7がIOL圧縮チャネル310から出て移動するよう適合されるように構成されるランプ99を有する本開示のIOL圧縮デバイスの一例の動作を示している。例えば、IOL圧縮デバイスがIOLインジェクタ10のノズル25内部に配設される場合、プランジャ30は、次いで、プランジャ先端220が圧縮されたIOLベース461に接触し、圧縮されたIOLベース461を、ノズル25の遠位端60の開口部29を通って軸方向に前進させるように、軸方向に前進させられてもよい。
【0062】
他の実装において、IOL圧縮デバイスは、IOLベース461が圧縮構成をとった後に、牽引ポスト7をIOL圧縮チャネル310の外に移動させるよう構成されるばね機構を含んでいてもよい。例えば、図10G図10Hは、一例のIOL圧縮デバイスを略図的な形態で示し、ここで、IOL圧縮デバイスは、IOLベース牽引ポスト7を受け入れるサイズにされた凹部12を含んでいる。例えば、凹部12は、第1の遠位位置4に位置していてもよい。ボタン1は、更に、IOL牽引ポスト7を凹部12内に移動させるよう適合されるばね13を含んでいてもよい。ばね13は、摺動可能なボタン1の第1の遠位位置4への軸方向移動に応じて、IOL牽引ポスト7が、ばね13の移動に応じて凹部12内に、例えば横方向に移動可能であり、それにより、IOLベース461が圧縮構成をとった後にIOL圧縮チャネル310から出るように、ボタン1に結合される第1の端部と、IOL牽引ポスト7に結合される第2の端部とを有していてもよい。例えば、図10G図10Hにおけるばね13は、図10Gにおいて圧縮され、弾性エネルギーを蓄積した圧縮ばねである。第1の遠位位置4への摺動可能ボタン1の軸方向移動に応じて、IOL牽引ポスト7は、図10Hに示すような圧縮ばねの伸長等のばね13の蓄積された弾性エネルギーの解放に応じて凹部12内へ横方向に移動可能であり、それによって、IOLベース461が圧縮構成をとった後にIOL圧縮チャネル310から出る。例えば、IOL圧縮デバイスがIOLインジェクタ10のノズル25内部に配設される場合、プランジャ30は、次いで、プランジャ先端220が圧縮されたIOLベース461に接触し、圧縮されたIOLベース461を、ノズル25の遠位端60の開口部29を通って軸方向に前進させるように、軸方向に前進させられてもよい。
【0063】
幾つかの実装において、図3Bに示すように、IOLベース461の内縁8は、内縁8の円周内に配設される溝14を含んでいてもよい。従って、IOLベース牽引ポスト7の第2の端部は、IOLベース461の遠位内縁8内の溝14内に挿入するよう適合されるサイズ及び形状を有してもよく、それによって、牽引ポスト7の第2の端部とIOLベース461との間により安定した接触又は結合を提供する。溝14は、従って、上で説明したように、オプティック460のベース461上への組み付けのための有用性を有し、また、本開示のIOL圧縮デバイスの使用による、牽引ポスト7のIOLベース461との接触又は結合を可能にする相乗的及び/又は予想外の機能も有している。更に、幾つかの実装において、IOLベース461の遠位内縁8は切欠き15を含んでいてもよく、IOLベース牽引ポスト7の第2の端部は、切欠き15内に挿入するよう適合されるサイズ及び形状を有し、また、牽引ポスト7の第2の端部とIOLベース461との間により安定した接触又は結合も提供する。同様に、切欠き15は、従って、また、上で説明したように、オプティック460のベース461上への組み付けのための有用性も有し、また、本開示のIOL圧縮デバイスの使用による、牽引ポスト7のIOLベース461との接触又は結合を可能にする相乗的及び/又は予想外の機能も有している。切欠き15は、ベース461の圧縮のための制御を提供してもよく、ベース461が圧縮され、ボア40内部を軸方向に移動する際に、ベース461を軸方向構成に維持し、ハプティック450を一貫した位置に保持している。
【0064】
幾つかの実装において、摺動可能ボタン1は、更に、摺動可能ボタン1の近位部分に結合される第1の端部を有する第2のポスト18aを含んでいてもよい。第2のポスト18aは、IOLベース牽引ポスト7がIOLベース461の遠位内縁8に接触する場合、第2のポスト18aが、IOLベース461の後続ハプティック450に近接して隣接するように、IOLベース牽引ポスト7から第1の距離において摺動可能ボタン1に結合される。
【0065】
幾つかの実装において、第2のポスト18aは、後続ハプティック450を案内するよう適合され、後続ハプティック450がIOLベース461から離間して近接して延在し、且つIOLベース461の背後に引きずられることを防止し、それによって、最適圧縮構成をとるよう、後続ハプティック450をIOLベース450と接触して維持する。
【0066】
図12は、第2のポスト18aを有する一例の摺動可能ボタン1の略図である。図12に示すような幾つかの実装において、第2のポスト18aは、第2のポスト18aが圧縮チャネル310を通ってプランジャロッド210の経路を出て、それによって、圧縮チャネル310を通るプランジャロッド210の軸方向移動を妨げないように、第2のポスト18aが図12の矢印79の方向等に横方向に折り畳むことを可能にするよう構成されるヒンジ9aを含んでいてもよい。例えば、幾つかの実装において、ヒンジ9aは、IOLベース461が圧縮形態をとった後、プランジャ30が圧縮チャネル310を通って軸方向に移動するにつれて、軸方向プランジャ30の前進時にプランジャ先端220によって接触されることに応じて、第2のポスト18aが横方向に折り畳むことを可能にするよう構成される。従って、圧縮チャネル310内部のプランジャロッド210の経路からの第2のポスト18aの退出に続いて、プランジャ30は、IOLベース461を、ノズル25を通して更に軸方向に前進させて、患者の眼の中に埋め込んでもよい。
【0067】
図13に示すような幾つかの実装において、プランジャ先端220は、プランジャ先端220が圧縮チャネルを通して軸方向に移動するにつれて、プランジャ30の軸方向前進中に第2のポスト18aに接触するよう適合される第2のポスト接触ノブ999を有し、接触時に、第2のポスト18を圧縮チャネル310内部でプランジャ30の経路から横方向に折り畳むように適合されてもよい。第2のポスト接触ノブ999は、プランジャ30の前進中にノブ999が第2のポスト18aを滑らかに押して第2のポスト18aをヒンジ9aを中心として折り畳み、それによって第2のポスト18aを圧縮チャネル310内部で軸方向に前進するプランジャ30の経路から外に折り畳むように、湾曲又はテーパが付けられるような形状の、及びそのようなサイズの遠位方向に延在する構造体であってもよい。
【0068】
ここで図11A図11Eに目を向けると、幾つかの実装において、IOL圧縮デバイスは、IOLインジェクタ内部に配設される場合、IOL圧縮デバイスが、摺動可能ボタン7に応じるのではなく、プランジャ30に印加される軸方向力に応じて移動可能なIOL牽引ポストを有するように構成されてもよい。従って、例えば図11Aに示すように、幾つかの実装において、IOL圧縮デバイスは、ハウジング900内部に配設されるビームトラック17内に移動可能に結合される摺動可能ビーム16を有していてもよい。摺動可能ビーム16は、例えば図11B図11Eに示すように、近位位置3と第1の遠位位置4との間等のビームトラック17内部で軸方向に摺動可能であり、更に、第2の近位位置5へ軸方向に摺動可能である。ビームトラック17は、IOL圧縮チャネル310の長手方向軸75と実質的に整列され、それに隣接する長手方向軸を有する。例えば、図11Aに示すように、ビームトラック17は、摺動可能ビーム16がIOL圧縮チャネル310の下で軸方向に摺動してもよいように、ハウジング900内部でIOL圧縮チャネル310の下に配設されてもよい。IOL圧縮チャネル310の上方でIOL圧縮デバイスのハウジング900内部に配設されるか、又はIOL圧縮デバイスのハウジング900内部でIOL圧縮チャネル310の側方に配設されるビームトラック17を有する等の他の構成も可能である。
【0069】
幾つかの実装において、摺動可能ビーム16は、摺動可能ビーム16の遠位部分に結合される第1の端部と、IOLベース461の遠位内縁8に接触又は結合するよう適合される第2の端部とを有するIOLベース牽引ポスト7を有する。摺動可能ビーム16は、また、摺動可能ビーム16の近位部分に結合される第1の端部を有する第2のポスト18を有する。第2のポスト18は、IOLベース牽引ポスト7がIOLベース461の遠位内縁8に接触する場合、第2のポスト18が、IOLベース461の後続ハプティック450に近接して隣接するように、IOLベース牽引ポスト7から第1の距離において摺動可能ビーム16に結合される。
【0070】
従って、幾つかの実装において、ハウジング900の遠位端902に向かって第2のポスト18に印加される軸方向力に応じて、摺動可能ビーム16は、ハウジング900の遠位端902に向かってビームトラック17内部で軸方向に摺動するよう適合され、IOL牽引ポスト7は、ハウジング900の遠位端902に向かってIOLベース70を引くよう適合され、IOL圧縮チャネル310の内面640に接触することに応じて、IOLベース461は、圧縮構成をとるよう適合される。
【0071】
幾つかの実装において、IOL圧縮デバイスがIOLインジェクタ内部に配設される場合、IOL圧縮デバイスは、フランジ240に印加される等、プランジャに印加される軸方向力に応じて、IOLインジェクタ本体20の遠位端60に向かうプランジャ30の軸方向移動時に、プランジャ先端220が第2のポスト18に接触するよう適合され、それによって摺動可能ビーム16をビームトラック17に沿って軸方向に押すように構成される。摺動可能ビーム16がIOLインジェクタ10の遠位端60に向かってビームトラック17内部を軸方向に摺動するにつれて、IOL牽引ポスト7は、IOLベース461の遠位内縁8に接触又は結合し、それによって、IOLベース70をノズル25の遠位端60に向かって牽引するよう適合される。IOLベース461が、IOL圧縮チャネル310の内面640との接触に応じて、テーパ状IOL圧縮チャネル310内部で軸方向に移動するにつれて、IOLベース461は、圧縮構成をとるよう適合される。
【0072】
例えば、図11Cは、IOLベース牽引ポスト7がテーパ状IOL圧縮チャネル310を通してIOLベース461を引っ張る前の、IOLインジェクタ内部に配設されるIOL圧縮デバイス内のIOLベース461の上面図912を示している。IOLベース牽引ポスト7がテーパ状IOL圧縮チャネル310を通してIOLベース461を引っ張る前の、IOLインジェクタ内部に配設されるIOL圧縮デバイス内の同じIOLベース461の側面図を、上面図912の上に示す。
【0073】
例えば、図11Dは、IOLベース牽引ポスト7がテーパ状IOL圧縮チャネル310を通してIOLベース461を引っ張る際の、IOLインジェクタ内部に配設されるIOL圧縮デバイス内のIOLベース461の上面図913を示している。IOLベース牽引ポスト7がテーパ状IOL圧縮チャネル310を通してIOLベース461を引っ張る際の、IOLインジェクタ内部に配設されるIOL圧縮デバイス内の同じIOLベース461の側面図を、上面図913の上に示す。
【0074】
幾つかの実装において、IOL圧縮デバイスがIOLインジェクタ内部に配設される場合、摺動可能ビーム16を有するIOL圧縮デバイスは、摺動可能ビーム16が近位位置3にある場合にIOLベース461がIOLストレージ場所80にあり、摺動可能ビーム16が第1の遠位位置4にある場合にIOLベース461が待機場所809にあるように構成されてもよい。
【0075】
図11B図11Eは、IOLインジェクタ内部に配設され、IOLベース461が、例えば図11Dに示すような圧縮構成をとった後に、摺動可能ビーム16に結合されるIOL牽引ポスト7がIOL圧縮チャネル310から出るよう適合され、それによって、プランジャ先端220がIOLベース461に接触し、IOLベース461を送出通路を通って軸方向に移動させることを可能にするように構成されるウェル19a又は19bを有する本開示の一例のIOL圧縮デバイスの略図である。幾つかの実装において、例えば図11Bに示すように、ビームトラック17の一部は、更に、第1の遠位位置4よりも遠位の第2の遠位位置5を含み、摺動可能ビーム16は、更に、第2の遠位位置5へ軸方向に摺動可能である。幾つかの実装において、例えば、図11Bに示すように、第1の遠位位置4と第2の遠位位置5との間のビームトラック17の一部は、テーパ状IOL圧縮チャネル310から離れるように傾斜する斜面を有するウェル19aを有していてもよい。従って、プランジャ30の更なる軸方向移動に応じる等の摺動可能ビーム16の更なる軸方向移動に応じて、摺動可能ビーム16は、ウェル19aに沿って第2の遠位位置5に摺動するよう適合される。IOLベース牽引ポスト7及び第2のポスト18は、従って、IOLベース461が圧縮構成をとった後、IOL圧縮チャネル310を出るよう適合される。第2の牽引ポスト18が送出チャネルを出た後、プランジャ先端220は、IOLベース461に接触するよう適合される。プランジャ30は、次いで、軸方向に更に前進されて、ノズル25の遠位端60における開口部29を通ってIOLベース461を送出してもよい。
【0076】
幾つかの実装において、例えば、図11C図11Eに示すように、第1の遠位位置4と第2の遠位位置5との間等のビームトラック17の一部は、摺動可能ビーム16を受け入れるような大きさのウェル19bを含んでいてもよい。従って、プランジャ30の更なる軸方向移動に応じて、摺動可能ビーム16は、第2の遠位位置5に摺動し、ウェル19bに入るよう適合される。IOLベース牽引ポスト7及び第2のポスト18は、それによって、IOLベース461が圧縮構成をとった後、IOL圧縮チャネル310を出るよう構成される。第2の牽引ポスト18がIOL圧縮チャネル310を出た後、プランジャ先端220は、IOLベース461及び/又は後続ハプティック450に接触するよう適合される。プランジャ30は、次いで、軸方向に更に前進されて、ノズル25の遠位端60における開口部29を通ってIOLベース461を送出してもよい。
【0077】
幾つかの実装において、IOLベース461の内縁8は、内縁8の円周内に配設される溝14を含んでいてもよく、摺動可能ビーム16のIOLベース牽引ポスト7の第2の端部は、IOLベース461の遠位内縁8の溝14に挿入するよう適合されるサイズ及び形状を有していてもよい。幾つかの実装において、IOLベース461の遠位内縁8は、更に、切欠き15を含み、IOLベース牽引ポスト7の第2の端部は、切欠き15内に挿入するよう適合されるサイズ及び形状を有する。
【0078】
幾つかの実装において、摺動可能ビーム16の第2のポスト18は、後続ハプティック450を案内するよう適合され、後続ハプティック450がIOLベース461から離間して近接して延在し、且つIOLベース461の背後に引きずられることを防止し、それによって、最適圧縮構成をとるよう、後続ハプティック450をIOLベース450と接触して維持する。
【0079】
本開示に従って適合されてもよいIOLインジェクタの非限定的な実施例は、米国特許第7,156,854号明細書及び米国特許出願公開第2016/0256316号明細書に説明されるものを含んでおり、それぞれの開示の全てを参照して本明細書に組み込む。
【0080】
上記で開示した主題は、制限ではなく例示として考えられるべきであり、添付された特許請求の範囲は、本開示の真の思想及び範囲内にある全てのかかる修正、強化、及び他の実施を包含するように意図される。従って、法により許可される最大限の範囲で、本開示の適用範囲は、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物の最も広範に許容される解釈によって特定されるべきであり、前述の詳細な説明によって制限又は限定すべきではない。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図10G
図10H
図10I
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図12
図13