IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マジック リープ, インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】非遮断型デュアルドライバイヤホン
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20240502BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20240502BHJP
   H04R 5/033 20060101ALI20240502BHJP
   H04S 1/00 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
H04R1/10 104Z
H04R3/00 310
H04R5/033
H04S1/00
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022114663
(22)【出願日】2022-07-19
(62)【分割の表示】P 2019552996の分割
【原出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2022132512
(43)【公開日】2022-09-08
【審査請求日】2022-07-19
(31)【優先権主張番号】62/478,938
(32)【優先日】2017-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514108838
【氏名又は名称】マジック リープ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Magic Leap,Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 W SUNRISE BLVD,PLANTATION,FL 33322 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ロイド シュミット
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ローチ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ゼット. ランド
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ディー. ハー
【審査官】堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-009490(JP,A)
【文献】実開昭60-101896(JP,U)
【文献】特開2017-037554(JP,A)
【文献】国際公開第2017/048713(WO,A1)
【文献】特開平07-203575(JP,A)
【文献】特開2008-141691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/10
H04R 3/00- 3/14
H04R 5/033
H04S 1/00- 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部ウェアラブルデバイスであって、前記頭部ウェアラブルデバイスは、
第1のウーファ音声出口を含む第1のウーファコンポーネントと、
第1のツイータ音声出口を含む第1のツイータコンポーネントであって、前記第1のウーファ音声出口および前記第1のツイータ音声出口は、少なくとも閾値距離だけ離間されている、第1のツイータコンポーネントと、
第2のウーファ音声出口を含む第2のウーファコンポーネントと、
第2のツイータ音声出口を含む第2のツイータコンポーネントであって、前記第2のウーファ音声出口および前記第2のツイータ音声出口は、少なくとも前記閾値距離だけ離間されている、第2のツイータコンポーネントと、
前記第1のウーファコンポーネントと前記第1のツイータコンポーネントと前記第2のウーファコンポーネントと前記第2のツイータコンポーネントとを機械的に支持するように適合されているフレームと、
オーディオ信号を受信するように構成されている入力と、
前記入力に結合されており、かつ、前記第1のウーファコンポーネントに結合されている第1のオーディオ信号フィルタであって、前記第1のオーディオ信号フィルタは、第1の利得を20Hzから100Hzまでの第1の周波数帯域に印加するように構成されており、前記第1のオーディオ信号フィルタは、第2の利得を100Hzを超える第2の周波数帯域に印加するようにさらに構成されており、前記第1の利得は、前記第2の利得よりも大きい、第1のオーディオ信号フィルタと、
前記入力に結合されており、かつ、前記第2のウーファコンポーネントに結合されている第2のオーディオ信号フィルタであって、前記第2のオーディオ信号フィルタは、前記第1の利得を前記第1の周波数帯域に印加するように構成されており、前記第2のオーディオ信号フィルタは、前記第2の利得を前記第2の周波数帯域に印加するようにさらに構成されている、第2のオーディオ信号フィルタと、
前記頭部ウェアラブルデバイスの姿勢を決定するように構成されている1つ以上のセンサであって、前記オーディオ信号は、前記姿勢に基づいて決定される、1つ以上のセンサと
を備え、
前記第1のツイータコンポーネントと前記第1のウーファコンポーネントとの間の第1の距離は、調節可能であり、
前記第2のツイータコンポーネントと前記第2のウーファコンポーネントとの間の第2の距離は、調節可能であり、
前記第1のツイータコンポーネントとユーザの第1の外耳道との距離は、調節可能であり、
前記第2のツイータコンポーネントと前記ユーザの第2の外耳道との距離は、調節可能である、頭部ウェアラブルデバイス。
【請求項2】
前記1つ以上のセンサは、慣性測定ユニットを含む、請求項1に記載の頭部ウェアラブルデバイス。
【請求項3】
前記頭部ウェアラブルデバイスの姿勢を決定することは、前記1つ以上のセンサからのデータをフィルタ処理することを含む、請求項1に記載の頭部ウェアラブルデバイス。
【請求項4】
前記頭部ウェアラブルデバイスの姿勢を決定することは、前記1つ以上のセンサからのデータを統合することを含む、請求項1に記載の頭部ウェアラブルデバイス。
【請求項5】
前記頭部ウェアラブルデバイスは、コンテンツを提示するためのディスプレイをさらに備え、前記オーディオ信号は、前記コンテンツに基づいて決定される、請求項1に記載の頭部ウェアラブルデバイス。
【請求項6】
前記コンテンツは、仮想音源に関連付けられている、請求項5に記載の頭部ウェアラブルデバイス。
【請求項7】
前記オーディオ信号は、頭部関連伝達関数に基づいて決定される、請求項1に記載の頭部ウェアラブルデバイス。
【請求項8】
前記入力は、第2のオーディオ信号を受信するように構成されている、請求項1に記載の頭部ウェアラブルデバイス。
【請求項9】
方法であって、前記方法は、
頭部ウェアラブルデバイスの1つ以上のセンサを介して、前記頭部ウェアラブルデバイスの姿勢を決定することと、
前記姿勢に基づいて、オーディオ信号を決定することと、
前記頭部ウェアラブルデバイスの入力を介して、前記オーディオ信号を受信することと、
前記頭部ウェアラブルデバイスの第1のオーディオ信号フィルタを介して、第1の利得を20Hzから100Hzまでの前記オーディオ信号の第1の周波数帯域に印加することと、
前記第1のオーディオ信号フィルタを介して、第2の利得を100Hzを超える前記オーディオ信号の第2の周波数帯域に印加することであって、前記第1のオーディオ信号フィルタは、前記入力と前記頭部ウェアラブルデバイスの第1のウーファコンポーネントとに結合されており、前記第1の利得は、前記第2の利得より大きい、ことと、
前記頭部ウェアラブルデバイスの第2のオーディオ信号フィルタを介して、前記第1の利得を前記第1の周波数帯域に印加することと、
前記第2のオーディオ信号フィルタを介して、前記第2の利得を前記第2の周波数帯域に印加することであって、前記第2のオーディオ信号フィルタは、前記入力と前記頭部ウェアラブルデバイスの第2のウーファコンポーネントとに結合されている、ことと
を含み、
前記第1のウーファコンポーネントは、第1のウーファ音声出口を含み、
前記第2のウーファコンポーネントは、第2のウーファ音声出口を含み、
前記頭部ウェアラブルデバイスは、
第1のツイータ音声出口を含む第1のツイータコンポーネントであって、前記第1のウーファ音声出口および前記第1のツイータ音声出口は、少なくとも閾値距離だけ離間されている、第1のツイータコンポーネントと、
第2のツイータ音声出口を含む第2のツイータコンポーネントであって、前記第2のウーファ音声出口および前記第2のツイータ音声出口は、少なくとも前記閾値距離だけ離間されている、第2のツイータコンポーネントと、
前記第1のウーファコンポーネントと前記第1のツイータコンポーネントと前記第2のウーファコンポーネントと前記第2のツイータコンポーネントとを機械的に支持するように適合されているフレームと
をさらに備え、
前記第1のツイータコンポーネントと前記第1のウーファコンポーネントとの間の第1の距離は、調節可能であり、
前記第2のツイータコンポーネントと前記第2のウーファコンポーネントとの間の第2の距離は、調節可能であり、
前記第1のツイータコンポーネントとユーザの第1の外耳道との距離は、調節可能であり、
前記第2のツイータコンポーネントと前記ユーザの第2の外耳道との距離は、調節可能である、方法。
【請求項10】
命令を格納する非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体であって、前記命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、方法を実行することを前記1つ以上のプロセッサに行わせ、
前記方法は、
頭部ウェアラブルデバイスの1つ以上のセンサを介して、前記頭部ウェアラブルデバイスの姿勢を決定することと、
前記姿勢に基づいて、オーディオ信号を決定することと、
前記頭部ウェアラブルデバイスの入力を介して、前記オーディオ信号を受信することと、
前記頭部ウェアラブルデバイスの第1のオーディオ信号フィルタを介して、第1の利得を20Hzから100Hzまでの前記オーディオ信号の第1の周波数帯域に印加することと、
前記第1のオーディオ信号フィルタを介して、第2の利得を100Hzを超える前記オーディオ信号の第2の周波数帯域に印加することであって、前記第1のオーディオ信号フィルタは、前記入力と前記頭部ウェアラブルデバイスの第1のウーファコンポーネントとに結合されており、前記第1の利得は、前記第2の利得より大きい、ことと、
前記頭部ウェアラブルデバイスの第2のオーディオ信号フィルタを介して、前記第1の利得を前記第1の周波数帯域に印加することと、
前記第2のオーディオ信号フィルタを介して、前記第2の利得を前記第2の周波数帯域に印加することであって、前記第2のオーディオ信号フィルタは、前記入力と前記頭部ウェアラブルデバイスの第2のウーファコンポーネントとに結合されている、ことと
を含み、
前記第1のウーファコンポーネントは、第1のウーファ音声出口を含み、
前記第2のウーファコンポーネントは、第2のウーファ音声出口を含み、
前記頭部ウェアラブルデバイスは、
第1のツイータ音声出口を含む第1のツイータコンポーネントであって、前記第1のウーファ音声出口および前記第1のツイータ音声出口は、少なくとも閾値距離だけ離間されている、第1のツイータコンポーネントと、
第2のツイータ音声出口を含む第2のツイータコンポーネントであって、前記第2のウーファ音声出口および前記第2のツイータ音声出口は、少なくとも前記閾値距離だけ離間されている、第2のツイータコンポーネントと、
前記第1のウーファコンポーネントと前記第1のツイータコンポーネントと前記第2のウーファコンポーネントと前記第2のツイータコンポーネントとを機械的に支持するように適合されているフレームと
をさらに備え、
前記第1のツイータコンポーネントと前記第1のウーファコンポーネントとの間の第1の距離は、調節可能であり、
前記第2のツイータコンポーネントと前記第2のウーファコンポーネントとの間の第2の距離は、調節可能であり、
前記第1のツイータコンポーネントとユーザの第1の外耳道との距離は、調節可能であり、
前記第2のツイータコンポーネントと前記ユーザの第2の外耳道との距離は、調節可能である、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権主張)
本願は、2017年3月30日に出願された米国仮特許出願第62/478,938号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、頭部装着型オーディオスピーカシステムに関連する。
【背景技術】
【0003】
頭部装着型(頭部ウェアラブル)音声再生の分野は、電子オーディオの初期以降に開発されてきた、いくつかの異なるタイプの装置を包含する。最も一般的な頭部装着型音声再生装置は、耳および頭部の他の部分を包含するカップ上に搭載されるスピーカであるアラウンドイヤヘッドホン、耳に押圧するパッドを伴うスピーカであるオーバーイヤヘッドホン、外耳の中に嵌合する、口語ではイヤバッドとして公知であるイヤホン、および外耳道の中に挿入されるインイヤヘッドホンまたはモニタを含む。ある場合には、頭部装着型音声再生装置は、頭部にわたって及ぶ支持バンドを含む。他の場合では、頭部装着型音声再生装置は、各耳から吊り下がるクリップを含み、さらに他の場合では、頭部装着型音声再生装置は、外耳道自体によって定位置で保持される。
【0004】
近年、頭部装着型音声再生装置は、仮想現実および拡張現実ヘッドギヤの中に統合されている。Oculus VR(Menlo Park, Ca)製のOculusRiftおよびMeta等のこれらのデバイスは、典型的には、オーバーイヤイヤホンまたはアイウェアのアームまたはフレームの中または上に搭載されるスピーカ等の内蔵または取付スピーカを含む、ある種類のウェアラブルアイウェアを有する。
【0005】
歴史的に、頭部装着型音声再生の分野内で、製品の開発を駆動する2つの代替的目標、すなわち、(1)目標が再生されているオーディオの全周波数スペクトルを可能な限り正確に再現することである、高忠実度デバイス、および(2)目標が周囲からの外部音が影響を受けずに知覚されることを可能にすることである、「非遮断型」デバイスが存在してきた。これら2つの目標は、相互に対抗して働く(相互排他的である)傾向があり、数十年のオーディオ技術開発の経過中に存続してきた、業界内の機能分割をもたらしている。
【0006】
高忠実度が目標であり、真に非遮断型であることが重要ではないとき、頭部装着型音声再生は、長年にわたって効果的な製品を提供することにおいて優れている。例えば、フルサイズヘッドホンが、1世紀近くにわたってプロの音響技師によって使用されている。これらのデバイスは、高忠実度オーディオを提供するが、非遮断型であることにおいて無効であり、すなわち、環境内の周囲音が聞こえ得る忠実度を損なう、アラウンドイヤカップで両耳を被覆する。同様に、部分的に、または深く外耳道の中に挿入する、イヤバッド(近年ではありふれている)は、外耳道が低音を共鳴させる閉鎖チャンバとして作用し得るように、外耳道の「良好な密閉」に依存する。アラウンドイヤカップおよび密閉イヤバッドは、周囲環境と外耳道との間の自由な空気流を遮断し(すなわち、「流体連通」を妨害し)、その際に、周囲音の聴覚も実質的に減退させる。Apple(Cupertino, CA)製のイヤバッドが、消費者イヤバッドの実施例である一方で、プロ用の「インイヤモニタ」製品は、Shure(Niles, IL)、Sennheiser(Wedemark, Germany)、およびWestone(Colorado Springs, CO)等の企業から入手可能である。フルサイズヘッドホンのように、これらのデバイスは、素晴らしく思われ得るが、非遮断型であることにおいて無効である。実際に、多くの場合、意図は、ユーザがコンテンツに完全に没頭し得るように、可能な限り外の音を遮断することである。
【0007】
近年、おそらく、自分の周囲が聞こえないことが社会的摩擦につながる、または自分または他者に危険をもたらし得る、ますます多くの人々が、頭部装着型オーディオ再生を公共の場で装着していることに反応して、ヘッドホンおよびイヤホン会社は、「オープンエア」、「オープンバック」、または「非閉塞型」と称する、より多くの製品を市場に出している。これらの製品は、典型的には、それらの「閉塞型」および「クローズドエア」姉妹品と類似する形状因子を有するが、より大量の音声が外界から通過することを可能にする、通過トンネル、開口部、または他の特徴の包含を伴う。これらの通過トンネル、開口部、または他の特徴は、周囲音が聞こえ得る忠実度を限定する、制限された経路を提供する。しかしながら、それらのマーケティング用語にもかかわらず、典型的には、これらの製品は、依然として、有意な程度に外界から入って来る音声を遮断または改変する。聞こえる程度または外の音声の知覚の差異を「感じ」得る程度を観察するためには、これらのデバイスのうちの1つを装着する体験または装着しない体験を、オーディオが再生されていないことと比較することのみ必要である。
【0008】
過去数年のうちに、新しいタイプの密閉型イヤバッドが出現しており、該イヤバッドは、近接環境から外部音を捕捉するための外部マイクロホンを有し、これは、次いで、外部音がより明確に聞こえ得るように、イヤバッドを介して出力されている他のオーディオと混合される。そのようなイヤバッドの一実施例は、Doppler Labs(San Francisco, California)によって「Here」という名称の下で販売されている。本アプローチは、優れた正確度さえも伴って、周囲の音声の要点を再作成することができるが、それが自然ではなく再生されるという事実は、多大なニュアンスおよび人間に自然に聞こえる繊細さを除去する。
【0009】
前述のデバイスは、その耳が遮断されていないときに人々がその環境の聴覚および感知に慣れているものに合致する体験を再現することができることには依然として非常に遠く及ばない。要するに、高忠実度「通過」デバイスは、入って来る自然音の知覚を顕著な程度に全て変化させるため、真に非遮断型であることには及ばない。聴取者は、周囲の空間からの「カットオフ」を感じ、大いに減退した音声ステージ内で聴取する傾向がある。
【0010】
高忠実度/非遮断型分割の他方では、頭部装着型音声再生は、オーディオ忠実度が重要ではないときに非遮断型であることに成功している。
【0011】
「オープンエア」補聴器が、ありふれた実施例である。補聴器のための種々の異なる形状因子が存在し、それらの全てが非遮断型であるわけではないが、経時的に(補聴器の主要な目的である捕捉および増幅音とともに)入って来る自然音を外耳道に進入させるという目標が高まってきている。オープンエア補聴器は、典型的には、デバイスの大部分が耳の後ろに静置し、小型管がイヤモールドまたはイヤピースに接続する、耳掛型形状因子を使用する。いくつかのイヤモールドは、外耳道開口部を完全に遮断し、他のものは、遮断しないため、本形状因子は、忠実度対開放性トレードオフを横断する範囲を網羅する。開放側に向かった実施例は、ドライバが外耳道の中央で本質的に「浮動」し、外部音の知覚の観点から外耳道を効果的に遮断されていない状態にするように、中空シリンダの中に搭載される「平衡電機子」ドライバである。しかしながら、これらのデバイスのオーディオ忠実度は、特に高忠実度低音の観点から、高忠実度をはるかに下回る。これは、(難聴が、多くの場合、低音よりも高周波数に影響を及ぼすため)補聴器にとって有意な問題ではない場合があるが、これらの設計は、音楽、映画、ゲーム等の電子供給型オーディオのための送達システムとしては程遠い。
【0012】
非遮断型頭部装着型オーディオを達成することへの別のアプローチは、通信指令係のために設計されるヘッドセット、より近年では、一方の耳のみが音源によって被覆され、他方の耳を、被覆されておらず、オーディオがない状態にし、(目標毎に一方の耳を使用することによって)忠実度および開放性の競合目標の間で本質的に「50-50に分割する」、携帯電話で話すために設計される、あるヘッドセットによって表される。補聴器と同様に、本アプローチは、あるシナリオのために効果的であるが、いずれかの目標で実際には成功しないため、本当のソリューションとしては程遠い。
【0013】
音声再生システムのための他の用途は、仮想現実、拡張現実、および複合現実を含む。仮想現実、拡張現実、および複合現実の場合、オーディオの要件は、視覚ディスプレイのものと同等である。視覚ディスプレイが外界から光を遮断する仮想現実の場合、オーディオが音声に同じことをすることが望ましいため、オーバーイヤヘッドホンおよび緊密密閉型イヤバッドは、効果的なソリューションである傾向がある。しかしながら、視覚ディスプレイが、外界からの光が進入することを可能にする拡張現実および複合現実では、(少なくとも大抵は)オーディオが音声に同じことをすることが望ましいであろう。したがって、拡張現実デバイスの場合、スピーカが、デバイスの両側に搭載され、最大数センチメートル離れた場所からユーザの耳に音声を投影するために使用され得る。そのような構成は、非遮断型であることにおいて優れていると予期されるが、オーディオ忠実度の観点から不十分な点が多いであろう。特に、低音周波数の再生は、特に弱い分野である傾向があり、これは、不信の停止という全体的目標に逆らう。
【0014】
「オープンバック」または「オープンエア」高忠実度ヘッドホンに関する問題のうちの1つは、音声が入って来ることを可能にすることによって、音声が出て行くことも可能にすることである。これは、聴取されているあらゆるオーディオがプライベートではなく、少なくともある程度、周囲へと外に投影されることを意味する。多くの場合、これは、弱く小さい音声の投影であるが、依然として、背景雑音が少ししかないときに近傍の誰にでも明確に可聴である。少なくとも一部のユーザにとって、これらの製品によって提供される利得(より広い「音声ステージ」およびそれほど「世界から遮断」されていない感覚等)は、本プライバシーの損失を相殺するために十分に重要である。
【0015】
ハイファイ品質において低音周波数を生成するデバイスは、デバイス重量と外耳道の密閉との間のトレードオフに直面する。本トレードオフは、低音波形の大きいサイズ(アコースティックベース上の低い音に関して9メートル近く)に由来する。本トレードオフの本質は、小型かつ軽量のデバイス(1オンス未満の重量であるイヤバッド等)が、外耳道を遮断することによって説得力のある低音を生成することしかできないという前提である。論拠としては、いったん音源が外耳道の外側に移動すると、ハイファイ低音として登録するために十分に強い空中波形を生成することがはるかに困難になるからであり、これを行うために必要とされるハードウェアのサイズおよび重力は、フルサイズヘッドホン(最大1ポンド以上の重量である)等の形状因子を要求する。
【0016】
上記で議論される頭部装着型音声再生デバイスのうちのいずれも、完全高忠実度聴取体験および完全非遮断型聴取体験を同時に提供することができず、常に、一方または他方のいずれか、または両方に実質的な妥協が存在する。それにもかかわらず、近年では、個人用聴取デバイスおよび携帯電話が、頭部装着型オーディオ再生の採用の急増を駆動しており、ますます多くの人々が、その耳を部分的または完全に遮断された状態で、ますます多くの場所においてますます多くの時間を費やしている。結果として、あらゆる場所の人々が、その周囲からより切り離されることになり、社会的摩擦、安全上の危険性、多くの場合、聴覚損傷をもたらす。
【0017】
必要とされるものは、高忠実度聴取体験(高忠実度低音を含む)を生成する一方で、入って来る音声および周囲の空間の知覚が実質的に影響を受けないように非遮断型でもある、小型かつ軽量の形状因子における頭部装着型音声再生デバイスである。また、必要とされるものは、概して、頭部装着型聴取デバイスから入手可能であるものと比較して、より広範かつ明確に定義された「音声ステージ」、したがって、向上された聴取体験を提供する、頭部装着型音声再生デバイスである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
頭部装着型(頭部ウェアラブル)音声再生デバイスは、左および右ウーファコンポーネントと、左および右ツイータコンポーネントと、左および右ウーファおよびツイータコンポーネントを定位置で保持するための1つ以上の搭載アタッチメントと、入力回路コンポーネントとを含む。ウーファコンポーネントは、外耳道のちょうど外側に搭載され、ツイータコンポーネントは、外耳道の外側に搭載され、両方は、外部源からステレオ入力信号を受信するように種々の方法で構成され得る入力回路を通して駆動される。これらのコンポーネントの設計および設置は、高忠実度低音を含む高忠実度聴取体験をもたらす一方で、周囲音のユーザの知覚および周囲の空間が実質的に減退されないように非遮断型でもある。
【0019】
開示されるデバイスは、周囲の空間のその知覚を物理的遮断によって減退させることなく、ユーザが音楽、映画、ゲーム等の高忠実度オーディオを聴取しながら世界を動き回ることを可能にする。本成果は、デバイスが、常に、その高忠実度性能またはその非遮断型有効性のいずれかで妥協しなければならなかったという、頭部装着型オーディオ業界においてその開始以降存在している、長年にわたる機能トレードオフのうちの1つを中和する。本デバイスは、いずれかを妥協することなく、両方の目標を満たす。
【0020】
加えて、ある開示されるデバイスは、ウーファよりも外耳道から遠くに位置するツイータを伴って構成され、予想外に魅了的な「音声ステージの拡張」を提供することができる。本効果は、ヘッドホンまたはイヤバッドのものよりも定量的に大きい音声ステージであるだけではなく、定性的にも異なる。既存のヘッドホンおよびイヤバッドは、音声が頭部の内側または近くから生じているように音声を感じさせ(「小型音声ステージ」)、他方では、いかなる環境雰囲気も追加しないため、音声が「純粋」(送達されるもののみ)である。対照的に、従来的な外部スピーカは、音声が環境内で外から生じているように音声を感じさせる(「大型音声ステージ」)が、音声は、耳に到達する時間までに環境雰囲気(反射、残響)と混合もされるため、「不純」である。
【0021】
前のアプローチと異なり、本デバイスは、その「拡張」構成において、音声が環境内で外から生じているという感覚を生成する(「大型音声ステージ」)が、音声は、それでもなお、環境雰囲気の兆候がないという点で耳に到達するときに「純粋」である。聴取体験は、ヘッドホンまたは外部スピーカ上のオーディオの2つの馴染みのある聴取体験の間の補間のみではない。「環境雰囲気がない」「大型音声ステージ」を聞くことは、馴染みがなくかつ予想外であるが、極めて魅力的でもあり、オーディオを送達する本方法が、従来的なイヤホンまたは外部スピーカのいずれかよりもヒト聴覚系とより自然に適合する場合のように、その効果が「有機的」である。
【0022】
開示されるデバイスの他の変形例は、限定ではないが、ウーファコンポーネントおよびツイータコンポーネントのための異なる設計、入力回路のための受動、能動、および能動バイアンプ構成、能動入力回路のためのアナログ、USB、および無線変形例、および種々の形態の搭載アタッチメントを含む。加えて、種々の方法でオーディオデバイスを組み込む「複合現実」デバイスの実施形態が、開示される。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
音声再生システムであって、
頭部ウェアラブルデバイスであって、
左ウーファ音声出口を含む左ウーファコンポーネントと、
左ツイータ音声出口を含む左ツイータコンポーネントと、
左支持構造であって、前記左支持構造は、前記左ウーファ音声出口が少なくとも1/2センチメートルだけ前記左ツイータ音声出口から離間されるように、前記左ウーファコンポーネントおよび前記左ツイータコンポーネントを支持するためのものである、左支持構造と、
右ウーファ音声出口を含む右ウーファコンポーネントと、
右ツイータ音声出口を含む右ツイータコンポーネントと、
右支持構造であって、前記右支持構造は、前記右ウーファ音声出口が少なくとも1/2センチメートルだけ前記右ツイータ音声出口から離間されるように、前記右ウーファコンポーネントおよび前記右ツイータコンポーネントを支持するためのものである、右支持構造と
を含む、頭部ウェアラブルデバイス
を備える、音声再生システム。
(項目2)
前記左ウーファ音声出口は、少なくとも2センチメートルだけ前記左ツイータ音声出口から離間され、
右ウーファ音声出口は、少なくとも2センチメートルだけ前記右ツイータ音声出口から離間される、項目1に記載の音声再生システム。
(項目3)
前記頭部ウェアラブルデバイスは、搭載位置で頭部上に搭載するために構成され、
前記左および右支持構造は、前記頭部ウェアラブルデバイスが、前記頭部ウェアラブルデバイスが適切にサイズ決めされるIEC60318-7オーディオ試験ダミー頭部上で前記搭載位置にあるときに、前記左および右ウーファ音声出口が、それぞれ、前記IEC60318-7オーディオ試験ダミー頭部の左耳介および右耳介の、それぞれ、左外耳道の開口部および右外耳道の開口部の1.5センチメートル以内にあるように、前記左および右ウーファコンポーネントを支持するように成形され、
前記頭部ウェアラブルデバイスは、少なくとも、前記左および右ウーファコンポーネントと、前記左および右ツイータコンポーネントと、前記左および右支持構造との一部を含む、空気不透過性材料を含み、
前記頭部ウェアラブルデバイスが、前記オーディオ試験ダミー頭部の左外耳道の開口部の中心に対して、前記頭部ウェアラブルデバイスが適切にサイズ決めされる前記IEC60318-7オーディオ試験ダミー頭部上で前記搭載位置にあるときに、空気不透過性部分は、前記IEC60318-7オーディオ試験ダミー頭部自体によって対応されない、前記左外耳道の開口部の中心点を中心とした4π立体角の一部の80%未満に対し、前記オーディオ試験ダミー頭部の右外耳道の開口部の中心点に対して、前記空気不透過性部分は、前記IEC60318-7オーディオ試験ダミー頭部自体によって対応されない、前記右外耳道の開口部の中心点を中心とした4π立体角の一部の80%未満に対する、項目1に記載の音声再生システム。
(項目4)
前記右ウーファコンポーネントおよび前記右ツイータコンポーネントを支持するための前記右支持構造は、前記右ウーファ音声出口が6センチメートル未満だけ前記右ツイータ音声出口から離間されるように構成され、
前記左ウーファコンポーネントおよび前記左ツイータコンポーネントを支持するための前記左支持構造は、前記左ウーファ音声出口が6センチメートル未満だけ前記左ツイータ音声出口から離間されるように構成される、項目3に記載の音声再生システム。
(項目5)
入力回路をさらに備え、前記入力回路は、オーディオ信号を受信するための少なくとも1つの入力と、前記左ウーファコンポーネントに結合される左ウーファ出力と、前記左ツイータコンポーネントに結合される左ツイータ出力と、前記少なくとも1つの入力と前記左ウーファ出力との間の左ウーファチャネル遅延と、前記右ウーファコンポーネントに結合される右ウーファ出力と、前記右ツイータコンポーネントに結合される右ツイータ出力と、前記少なくとも1つの入力と前記右ウーファ出力との間の右チャネル遅延とを有する、項目3に記載の音声再生システム。
(項目6)
入力回路をさらに備え、前記入力回路は、
オーディオ信号を受信するための少なくとも1つの入力と、前記左ウーファコンポーネントに結合される左ウーファ出力と、前記左ツイータコンポーネントに結合される左ツイータ出力と、前記右ウーファコンポーネントに結合される右ウーファ出力と、前記右ツイータコンポーネントに結合される右ツイータ出力と、
前記少なくとも1つの入力に結合され、前記左ウーファ出力を通して前記左ウーファコンポーネントに駆動して結合される左オーディオ信号フィルタであって、前記左オーディオ信号フィルタは、第1の利得を20Hzから100Hzまで及ぶ第1の周波数範囲内の少なくとも第1の周波数帯域に印加するように、かつ第2の利得を最大100Hzまで及ぶ第2の周波数範囲内の少なくとも第2の周波数帯域に印加するように構成され、前記第1の利得は、前記第2の利得を実質的に超える、左オーディオ信号フィルタと、
前記少なくとも1つの入力に結合され、前記右ウーファ出力を通して前記右ウーファコンポーネントに駆動して結合される右オーディオ信号フィルタであって、前記右オーディオ信号フィルタは、前記第1の利得を少なくとも前記第1の周波数帯域に印加するように、かつ前記第2の利得を少なくとも前記第2の周波数帯域に印加するように構成される、右オーディオ信号フィルタと
を有する、項目3に記載の音声再生システム。
(項目7)
前記第1の利得は、少なくとも10dBだけ前記第2の利得を超える、項目6に記載の音声再生システム。
(項目8)
前記支持構造は、イヤクリップ搭載構造を備える、項目2に記載の音声再生システム。
(項目9)
前記支持構造は、頭部跨架搭載アタッチメントを備える、項目3に記載の音声再生システム。
(項目10)
項目2に記載の音声再生システムを備える拡張現実装置であって、
左透明ディスプレイアイピースと、
右透明ディスプレイアイピースと、
前記左透明ディスプレイアイピースに光学的に結合される左眼プロジェクタと、
前記右透明ディスプレイアイピースに光学的に結合される右眼プロジェクタと、
前記左眼プロジェクタ、前記右眼プロジェクタ、前記左ウーファコンポーネント、前記左ツイータコンポーネント、前記右ウーファコンポーネント、および前記右ツイータコンポーネントに結合される、仮想ビデオおよびオーディオコンテンツを生成するために構成されるビデオおよびオーディオ処理システムと
をさらに備える、拡張現実装置。
(項目11)
前記空気不透過性部分は、前記IEC60318-7オーディオ試験ダミー頭部自体によって対応されない、前記左外耳道の開口部の中心点を中心とした4π立体角の一部の少なくとも20%に対し、前記オーディオ試験ダミー頭部の右外耳道の開口部の中心点に対して、前記空気不透過性部分は、前記IEC60318-7オーディオ試験ダミー頭部自体によって対応されない、前記右外耳道の開口部の中心点を中心とした4π立体角の一部の少なくとも20%に対する、項目2に記載の音声再生システム。
(項目12)
音声再生システムであって、
頭部ウェアラブルデバイスであって、
左外耳道の中に密閉して係合するために構成されない左ウーファ音声出口を含む左ウーファコンポーネントと、
左ツイータ音声出口を含む左ツイータコンポーネントと、
左支持構造であって、前記左支持構造は、前記左ウーファ音声出口が少なくとも2センチメートルだけ前記左ツイータ音声出口から離間されるように、前記左ウーファコンポーネントおよび前記左ツイータコンポーネントを支持するためのものである、左支持構造と、
右外耳道の中に密閉して係合するために構成されない右ウーファ音声出口を含む右ウーファコンポーネントと、
右ツイータ音声出口を含む右ツイータコンポーネントと、
右支持構造であって、前記右支持構造は、前記右ウーファ音声出口が少なくとも2センチメートルだけ前記右ツイータ音声出口から離間されるように、前記右ウーファコンポーネントおよび前記右ツイータコンポーネントを支持するためのものである、右支持構造と
を含む、頭部ウェアラブルデバイス
を備える、音声再生システム。
(項目13)
入力回路をさらに備え、前記入力回路は、オーディオ信号を受信するための少なくとも1つの入力と、前記左ウーファコンポーネントに結合される左ウーファ出力と、前記左ツイータコンポーネントに結合される左ツイータ出力と、前記少なくとも1つの入力と前記左ウーファ出力との間の左ウーファチャネル遅延と、前記右ウーファコンポーネントに結合される右ウーファ出力と、前記右ツイータコンポーネントに結合される右ツイータ出力と、前記少なくとも1つの入力と前記右ウーファ出力との間の右チャネル遅延とを有する、項目12に記載の音声再生システム。
(項目14)
前記左および右支持構造は、前記頭部ウェアラブルデバイスが、前記頭部ウェアラブルデバイスが適切にサイズ決めされるIEC60318-7オーディオ試験ダミー頭部上で前記搭載位置にあるときに、前記左および右ウーファ音声出口が、それぞれ、前記IEC60318-7オーディオ試験ダミー頭部の左外耳道の中心の開口部および右外耳道の中心の開口部の1.5センチメートル以内にあるように、前記左および右ウーファコンポーネントを支持するように成形される、項目12に記載の音声再生システム。
(項目15)
入力回路をさらに備え、前記入力回路は、
オーディオ信号を受信するための少なくとも1つの入力と、前記左ウーファコンポーネントに結合される左ウーファ出力と、前記左ツイータコンポーネントに結合される左ツイータ出力と、前記右ウーファコンポーネントに結合される右ウーファ出力と、前記右ツイータコンポーネントに結合される右ツイータ出力と、
前記少なくとも1つの入力に結合され、前記左ウーファ出力を通して前記左ウーファコンポーネントに駆動して結合される左オーディオ信号フィルタであって、前記左オーディオ信号フィルタは、第1の利得を20Hzから100Hzまで及ぶ第1の周波数範囲内の少なくとも第1の周波数帯域に印加するように、かつ第2の利得を最大100Hzまで及ぶ第2の周波数範囲内の少なくとも第2の周波数帯域に印加するように構成され、前記第1の利得は、前記第2の利得を実質的に超える、左オーディオ信号フィルタと、
前記少なくとも1つの入力に結合され、前記右ウーファ出力を通して前記右ウーファコンポーネントに駆動して結合される右オーディオ信号フィルタであって、前記右オーディオ信号フィルタは、前記第1の利得を少なくとも前記第1の周波数帯域に印加するように、かつ前記第2の利得を少なくとも前記第2の周波数帯域に印加するように構成される、右オーディオ信号フィルタと
を有する、項目14に記載の音声再生システム。
(項目16)
クロスオーバー周波数を有する左クロスオーバーフィルタであって、前記左オーディオ信号フィルタは、前記左クロスオーバーフィルタの中に含まれる低域通過フィルタであり、前記第2の周波数範囲は、100Hzから最大前記クロスオーバー周波数まで及ぶ、左クロスオーバーフィルタと、
右クロスオーバーフィルタであって、前記右クロスオーバーフィルタは、前記右オーディオ信号が前記右クロスオーバーフィルタの中に含まれる、右クロスオーバーフィルタと
をさらに備える、項目15に記載の音声再生システム。
(項目17)
項目12に記載の音声再生システムを備える拡張現実装置であって、
左透明ディスプレイアイピースと、
右透明ディスプレイアイピースと、
前記左透明ディスプレイアイピースに光学的に結合される左眼プロジェクタと、
前記右透明ディスプレイアイピースに光学的に結合される右眼プロジェクタと、
前記左眼プロジェクタ、前記右眼プロジェクタ、前記左ウーファコンポーネント、前記左ツイータコンポーネント、前記右ウーファコンポーネント、および前記右ツイータコンポーネントに結合される、仮想ビデオおよびオーディオコンテンツを生成するために構成されるビデオおよびオーディオ処理システムと
をさらに備える、拡張現実装置。
(項目18)
頭部ウェアラブルデバイスであって、
第1のスピーカコンポーネントと、
第2のスピーカコンポーネントと、
支持構造であって、前記支持構造は、ユーザの耳に近接して前記第1のスピーカコンポーネントを支持するため、かつ前記第2のスピーカコンポーネントが、少なくとも、前記第1のスピーカコンポーネントから第1の距離だけ離間される第1の位置から、前記第2のスピーカコンポーネントから第2の距離だけ離間される第2の位置まで移動され得るように、前記第2のスピーカコンポーネントを移動可能に支持するために構成され、前記第2の距離は、前記第1の距離を超える、支持構造と、
前記スピーカの位置を感知し、位置指示信号を出力するためのセンサと、
入力回路であって、前記入力回路は、オーディオ信号を受信するための少なくとも1つの入力と、前記第1のスピーカコンポーネントに結合される第1の出力と、前記第2のスピーカコンポーネントに結合される第2の出力とを有し、前記入力回路は、前記第1の出力において第1の出力オーディオ信号、前記第2の出力において第2の出力信号を提供するように構成され、信号処理回路が、前記入力オーディオ信号を処理して前記第2の出力信号を生成するために前記少なくとも1つの入力と前記第2の出力との間に間置され、前記信号処理回路は、第2のスピーカコンポーネントに駆動して結合され、かつ前記センサに結合され、前記信号処理回路は、前記位置指示信号に依存する遅延量だけ前記第1の出力信号に対して前記第2の出力信号を遅延させるように構成される、入力回路と
を含む、頭部ウェアラブルデバイス
を備える、音声再生システム。
(項目19)
前記信号処理回路は、前記第2のスピーカコンポーネントが前記第1の位置にあるときに、第1の利得を前記第2の出力信号に印加するように、前記第2のスピーカコンポーネントが前記第2の位置にあるときに、第2の利得を前記第2の出力信号に印加するように構成され、前記第2の利得は、前記第1の利得を超える、項目18に記載の音声再生システム。
(項目20)
項目18に記載の音声再生システムを備える拡張現実装置であって、
左透明ディスプレイアイピースと、
右透明ディスプレイアイピースと、
前記左透明ディスプレイアイピースに光学的に結合される左眼プロジェクタと、
前記右透明ディスプレイアイピースに光学的に結合される右眼プロジェクタと、
前記左眼プロジェクタ、前記右眼プロジェクタ、前記第1のスピーカコンポーネント、および前記第2のスピーカコンポーネントに結合される、仮想ビデオおよびオーディオコンテンツを生成するために構成されるビデオおよびオーディオ処理システムと
をさらに備える、拡張現実装置。
(項目21)
頭部ウェアラブルデバイスであって、
左ウーファコンポーネントと、
左ツイータコンポーネントと、
前記左ウーファコンポーネントおよび前記左ツイータコンポーネントのための少なくとも1つの左音声出口と、
右ウーファコンポーネントと、
右ツイータコンポーネントと、
前記右ウーファコンポーネントおよび前記右ツイータコンポーネントのための少なくとも1つの右音声出口と、
少なくとも1つの支持構造であって、前記少なくとも1つの支持構造は、前記左ウーファコンポーネント、前記左ツイータコンポーネント、前記右ウーファコンポーネント、および前記右ツイータコンポーネントを支持するためのものである、少なくとも1つの支持構造と
を含む、頭部ウェアラブルデバイス
を備え、
前記頭部ウェアラブルデバイスは、搭載位置で頭部上に搭載するために構成され、
前記少なくとも1つの支持構造は、前記頭部ウェアラブルデバイスが、前記頭部ウェアラブルデバイスが適切にサイズ決めされるIEC60318-7オーディオ試験ダミー頭部上で前記搭載位置にあるときに、前記少なくとも1つの左音声出口が前記IEC60318-7オーディオ試験ダミー頭部の左外耳道の開口部の中心の1.5センチメートル以内にあり、前記少なくとも1つの右音声出口が前記IEC60318-7オーディオ試験ダミーの右外耳道の開口部の中心の1.5センチメートル以内にあるように、前記左ウーファコンポーネント、前記左ツイータコンポーネント、前記右ウーファコンポーネント、および前記右ツイータコンポーネントを支持するように成形され、
前記頭部ウェアラブルデバイスは、少なくとも、前記左および右ウーファコンポーネントと、前記左および右ツイータコンポーネントと、前記左および右支持構造との一部を含む、空気不透過性材料を含み、
前記頭部ウェアラブルデバイスが、前記左外耳道の開口部の中心に対して、前記頭部ウェアラブルデバイスが適切にサイズ決めされる前記IEC60318-7オーディオ試験ダミー頭部上で前記搭載位置にあるときに、空気不透過性部分は、前記IEC60318-7オーディオ試験ダミー頭部自体によって対応されない、前記左外耳道の開口部の中心点を中心とした4π立体角の一部の80%未満に対し、
前記オーディオ試験ダミー頭部の右外耳道の開口部の中心点に対して、前記空気不透過性部分は、前記IEC60318-7オーディオ試験ダミー頭部自体によって対応されない、前記右外耳道の開口部の中心点を中心とした4π立体角の一部の80%未満に対する、
音声再生システム。
(項目22)
前記空気不透過性部分は、前記IEC60318-7オーディオ試験ダミー頭部自体によって対応されない、前記左外耳道の開口部の中心点を中心とした4π立体角の一部の少なくとも20%に対し、前記オーディオ試験ダミー頭部の右外耳道の開口部の中心点に対して、前記空気不透過性部分は、前記IEC60318-7オーディオ試験ダミー頭部自体によって対応されない、前記右外耳道の開口部の中心点を中心とした4π立体角の一部の少なくとも20%に対する、項目21に記載の音声再生システム。
(項目23)
項目21に記載の音声再生システムを備える拡張現実装置であって、
左透明ディスプレイアイピースと、
右透明ディスプレイアイピースと、
前記左透明ディスプレイアイピースに光学的に結合される左眼プロジェクタと、
前記右透明ディスプレイアイピースに光学的に結合される右眼プロジェクタと、
前記左眼プロジェクタ、前記右眼プロジェクタ、前記左ウーファコンポーネント、前記左ツイータコンポーネント、前記右ウーファコンポーネント、および前記右ツイータコンポーネントに結合される、仮想ビデオおよびオーディオコンテンツを生成するために構成されるビデオおよびオーディオ処理システムと
を備える、拡張現実装置。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図面は、類似要素が共通参照番号によって参照される、本発明の好ましい実施形態の設計および有用性を図示する。本発明の上記に記載される他の利点および目的および他の利点および目的が取得される方法をさらに理解するために、上記に簡潔に説明される本発明のより具体的な説明は、付随する図面に図示される、その具体的実施形態を参照することによって提供されるであろう。これらの図面が本発明の典型的実施形態のみを描写し、したがって、その範囲の限定と見なされないことを理解すると、本発明は、付随する図面の使用を通して付加的具体性および詳細を伴って説明および解説されるであろう。
図1A図1Aは、ウーファコンポーネントおよびツイータコンポーネントの両方が外耳道の近くにある、イヤクリップ搭載アタッチメントを伴う頭部装着型(頭部ウェアラブル)音声再生デバイスを示す。
図1B図1Bは、ウーファコンポーネントが外耳道に近く、ツイータコンポーネントがより遠く離れている、イヤクリップ搭載アタッチメントを伴う頭部装着型(頭部ウェアラブル)音声再生デバイスを示す。
図2A図2Aは、ウーファコンポーネントおよびツイータコンポーネントの両方が外耳道の近くにある、頭部跨架搭載アタッチメントを伴う頭部装着型(頭部ウェアラブル)音声再生デバイスを示す。
図2B図2Bは、ウーファコンポーネントが外耳道に近く、ツイータコンポーネントがより遠く離れている、頭部跨架搭載アタッチメントを伴う頭部装着型(頭部ウェアラブル)音声再生デバイスを示す。
図3図3A-3Dは、後部容積の有無別、および音声指向トンネルの有無別を含む、図1A、1B、2A、2B、9A、9Bに示される頭部装着型音声再生装置で使用され得る、ウーファコンポーネントおよびツイータコンポーネントのための封入型ドライバ設計を示す。
図4図4A-4Dは、後部容積の有無別、および音声反射表面または音声弱化拡散体の有無別の設計を含む、図1A、1B、2A、2B、9A、9Bに示される頭部装着型音声再生装置で使用され得る、ウーファコンポーネントおよびツイータコンポーネントのための直接放射ドライバ設計を示す。
図5A図5A-5Cは、図1A、1B、2A、2B、9A、9Bに示される頭部装着型音声再生装置の中に含まれる、またはそれと併用され得る、受動動作、能動動作、および能動バイアンプ接続動作のための入力回路の異なる構成を示す。
図5B図5A-5Cは、図1A、1B、2A、2B、9A、9Bに示される頭部装着型音声再生装置の中に含まれる、またはそれと併用され得る、受動動作、能動動作、および能動バイアンプ接続動作のための入力回路の異なる構成を示す。
図5C図5A-5Cは、図1A、1B、2A、2B、9A、9Bに示される頭部装着型音声再生装置の中に含まれる、またはそれと併用され得る、受動動作、能動動作、および能動バイアンプ接続動作のための入力回路の異なる構成を示す。
図6図6A-6Cは、アナログ入力、USB入力、および無線入力のための図5Bおよび5Cに示される入力回路の入力受信機部分の異なる構成を示す。
図7図7A-7Bは、図5A、5B、5Cに示される入力回路の高域通過フィルタ部分および低域通過フィルタ部分のための適切かつ有益な周波数応答曲線の実施例を示す。
図8図8A-8Bは、外耳道からの距離の範囲にわたってツイータコンポーネントのユーザ調節可能位置付けを含む、搭載アタッチメントを伴う頭部装着型(頭部ウェアラブル)音声再生デバイスを示す。
図9A図9Aは、図1Aの音声再生デバイスを組み込む、頭部装着型(頭部ウェアラブル)拡張現実デバイスを示す。
図9B図9Bは、代替形態の搭載アタッチメントを使用して図1Bの音声再生デバイスを組み込む、頭部装着型(頭部ウェアラブル)拡張現実デバイスを示す。
図10図10は、人工耳および外耳道を伴い、ウーファが各耳の隣に位置する、オーディオ試験ダミー頭部の上面断面図を示す。
図11A図11Aは、図1A、2A、および9Aに示される音声再生装置で使用されるウーファおよびツイータコンポーネントの代替物として使用され得る、第1の統合ウーファおよびツイータコンポーネントの断面図である。
図11B図11Bは、図1A、2A、および9Aに示される音声再生装置で使用されるウーファおよびツイータコンポーネントの代替物として使用され得る、第2の統合ウーファおよびツイータコンポーネントの断面図である。
図12A図12Aは、図1A、1B、2A、2B、9A、9Bに示される音声再生装置で使用されるウーファおよびツイータコンポーネントの代替物として使用され得る、第1の対の隣接ウーファおよびツイータコンポーネントの断面図である。
図12B図12Bは、図1A、1B、2A、2B、9A、9Bに示される音声再生装置で使用されるウーファおよびツイータコンポーネントの代替物として使用され得る、第2の対の隣接ウーファおよびツイータコンポーネントの断面図である。
図13図13A-13Bは、(耳毎に)ウーファコンポーネントおよび2つのツイータコンポーネントを伴い、後者のうちの一方が他方よりも外耳道からより遠く、より近いツイータコンポーネントとより遠いツイータコンポーネントとの間で切り替えるためのユーザアクティブ化制御を伴う、頭部装着型(頭部ウェアラブル)音声再生デバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の議論および関連付けられる図では、ブロックによって表される物理的デバイスおよび電子コンポーネントの両方の描写が、多くの場合、両方とも単一の図内で提示される。両方が単一の図内に示される場合において、物理的デバイスは、電子コンポーネントのブロック図描写とそれらを区別するために、ヒトの耳または頭部の背景にわたって提示される。
【0025】
電子コンポーネントの描写は、「概略図」であるものとして理解されるべきである。例えば、2つの物理的イヤピースの「下方」に概略形態で示される電子コンポーネントは、実際には、いずれか一方のイヤピースの中または上に搭載される、2つのイヤピースの間で分割される、オーディオケーブル上の小型パネル内に提供される、無線システム内の別個の制御として提供される、上記の任意の組み合わせ等を含み得る、種々の方法で実装されてもよい。また、任意の区別(明示的または暗示的)が、ハードウェアチップと対比してソフトウェアプロセッサ内で行われている信号処理またはデータ処理に関して行われる限り、そのような区別は、開示されている機能性にとって単純ではなく、両方のアプローチが効果的であり得る。
【0026】
同様に、矢印を伴う線が、電子または物理的コンポーネントの中または間でオーディオ信号を伝達する「オーディオ信号導管」を表すために、図中で使用される。オーディオ信号導管は、アナログオーディオケーブル、デジタルオーディオケーブル、無線オーディオ信号、回路基板上のトレース、ソフトウェアプロセスにおける関数呼び出し、カスタムコネクタ、上記の組み合わせ等を含み得る、種々の方法で全体的または部分的に実装されてもよい。
【0027】
より一般的には、本開示の全体を通して、開示されるデバイスのための種々の実装および構成オプションが提示される。説明は、所与のコンポーネントのために利用可能なオプションの数および異なるコンポーネントのために異なるオプションを交換することによって利用可能にされる組み合わせの数の両方の観点から、これらのオプションの全ての可能な順列を詳細には規定しない。むしろ、空間の制約に起因して、オプションおよび組み合わせの代表的なセットのみが、含まれている。しかしながら、本デバイスは、開示されるこれらの順列のみに限定されず、多くの他の組み合わせおよび順列が、考慮される。
コンポーネントのための異なるオプションおよび順列が、特定の目標または目的を達成するように異なる方法で組み合わせられることを可能にすることが、本デバイスの設計の意図である。
【0028】
図1Aは、入力回路ブロック110と、左イヤホン120と、右イヤホン130と、左ウーファオーディオ信号導管112、左ツイータオーディオ信号導管114、右ウーファオーディオ信号導管116、および右ツイータオーディオ信号導管118を含む、オーディオ信号導管112、114、116、118とを含む、頭部装着型音声再生デバイス100を示す。加えて、デバイス100の一部ではない場合がある、外部音源102は、頭部装着型音声再生デバイス100への入力として左チャネルオーディオ信号導管104および右チャネルオーディオ導管106を介して出力される、ステレオオーディオ信号を提供する。外部音源102は、例えば、スマートフォン、音楽プレーヤ、ゲーム機、タブレット、コンピュータ、仮想現実デバイス、拡張または複合現実デバイス等のオーディオを生成および/または再生するために使用されるいくつかのタイプのデバイスのうちのいずれかであり得る。
【0029】
入力回路ブロック110は、(下記で本明細書にさらに議論されるように)種々の方法で内部に構成されることができる。入力回路の機能は、左チャネルオーディオ信号導管104および右チャネルオーディオ信号導管106を介して外部音源102からステレオオーディオ信号を受信し、かつステレオオーディオ信号から導出される信号を、信号を左イヤホン120および右イヤホン130に結合するオーディオ信号導管112、114、116、118に結合することである。
【0030】
左イヤホン120をより近くで見ると、これは、音声出口122aを伴うウーファコンポーネント122と、音声出口124aを伴うツイータコンポーネント124と、一部126aが左耳27の後ろに示されている左イヤクリップ搭載アタッチメント126とを備える。ウーファコンポーネント122およびツイータコンポーネント124は、ウーファコンポーネント122のための音声出口122aおよびツイータコンポーネント124のための音声出口124aが、両方ともユーザの外耳道開口部128の中心から約1センチメートル以内にあるように位置付けられる、搭載アタッチメント126に搭載される。ウーファコンポーネント122およびツイータコンポーネント124を実装するための種々の異なるオプションおよび構築アプローチが、本デバイスとの関連で効果的であり得、これらのオプションのうちのいくつかは、以降の図に提示される。
【0031】
入力回路ブロック110から左イヤホン120にオーディオ信号を伝達する、2つのオーディオ信号導管112および114を再び参照すると、各導管が、そのオーディオ信号を左イヤホン120内の異なる内部コンポーネントに伝達することが分かり得る。具体的には、オーディオ信号導管112は、オーディオ信号をウーファコンポーネント122に搬送し、オーディオ信号導管114は、オーディオ信号をツイータコンポーネント124に搬送する。オーディオ信号導管112および114上のオーディオ信号は、本質的に異なる必要はないが、それらの個別のウーファおよびツイータ宛先のために最適化される、これらのオーディオ信号の異なるバージョンを生成するための以降の図に示されるオプションが存在する。右イヤホン130と、オーディオ導管116および118とを含む、図1Aの右側は、他方の耳を別として、ちょうど説明されたものと実質的に同一である。図1Aの右側では、図1Aの左側の要素に対応する要素は、各参照番号の第2桁の中の数字2を数字3と置換することによって、対応する左側要素の参照番号と異なる参照番号で標識される。右ウーファ信号導管116は、音声出口132aを含む、右ウーファコンポーネント132に結合される。右ツイータ信号導管118は、音声出口134aを含む、右ツイータコンポーネント134に結合される。右イヤクリップ搭載アタッチメント136は、右耳129の後ろに延在する一部136aを含む。さらに詳細な説明は、省略される。
【0032】
図1Bは、入力回路ブロック160と、左イヤホン170と、右イヤホン180と、左ウーファオーディオ信号導管162、左ツイータオーディオ信号導管164、右ウーファオーディオ信号導管166、および右ツイータオーディオ信号導管168を含む、オーディオ信号導管162、164、166、168とを含む、頭部装着型音声再生デバイス150を示す。加えて、デバイスの一部ではない外部音源102は、左チャネルオーディオ信号導管154および右チャネルオーディオ信号導管156を通して入力としてステレオオーディオ信号を提供する。デバイス150の有意な側面が図1Aのデバイス100と実質的に類似するため、冗長な解説は、繰り返されない。デバイス100と実質的に類似しないデバイス150の側面は、ツイータコンポーネントの位置付けである。
【0033】
左イヤホン170および右イヤホン180が、実質的に相互の鏡像である限りにおいて、簡略にするため、左イヤホン170のみが、詳細に説明されるであろう。図1Bの右側では、図1Bの左側の要素に対応する要素は、各参照番号の第2桁の中の数字7を数字8と置換することによって、対応する左側要素の参照番号と異なる参照番号で標識される。ここで左イヤホン170を参照すると、ツイータコンポーネント174およびその音声出口174aは、ここで、ウーファコンポーネント172およびその音声出口172aよりもユーザの外耳道から有意に遠く位置している。イヤクリップ搭載アタッチメント176は、イヤクリップ126と類似するが、デバイス150では、搭載アタッチメント176は、ここでは、ユーザの外耳道開口部から約4cmに、より遠く離してツイータコンポーネント174を位置付ける、延在部178を有する。搭載アタッチメント176はまた、左耳127の後ろに静置する一部176aも含む。図1Bの右側はまた、搭載アタッチメント186が、ここでは、同様に、右側外耳道開口部から遠く離してツイータコンポーネント184を位置付ける、延在部188を有する、右イヤホン180のための同等構造も示す。
【0034】
図2Aは、入力回路ブロック210と、左イヤホン220と、右イヤホン230と、左ウーファオーディオ信号導管212、左ツイータオーディオ信号導管214、右ウーファオーディオ信号導管216、および右ツイータオーディオ信号導管218を含む、オーディオ信号導管212、214、216、218と、頭部跨架搭載アタッチメント240とを含む、頭部装着型音声再生デバイス200を示す。頭部装着型再生デバイス200は、デバイス200が適切にサイズ決めされる、頭部241上の搭載位置に示される。加えて、デバイスの一部ではない外部音源102は、入力として左チャネル信号導管204および右チャネル信号導管206を介してステレオオーディオ信号を提供する。左イヤホン220および右イヤホン230が、実質的に相互の鏡像である限りにおいて、簡略にするため、左イヤホン220のみが、詳細に説明されるであろう。図2Aの右側では、図2Aの左側の要素に対応する要素は、各参照番号の第2桁の中の数字2を数字3と置換することによって、対応する左側要素の参照番号と異なる参照番号で標識される。図2Aの左側を参照すると、左イヤホン220は、音声出口222aを含む、左ウーファコンポーネント222と、音声出口224aを含む、右ツイータコンポーネント224とを含む。デバイス200の有意な側面が、図1Aのデバイス100と実質的に類似するため、冗長な解説は、繰り返されない。デバイス100と実質的に類似しないデバイス200の側面は、搭載アタッチメント240の形態である。
【0035】
それらの独自のイヤクリップ搭載アタッチメント126、136をそれぞれ有した、図1Aの左および右イヤホン120、130と異なり、図2Aの左および右イヤホン220、230は、イヤホン220、230の一部としてイヤクリップ搭載アタッチメントを有していない。むしろ、各側で左および右イヤホン220、230まで到達し、頭部にわたって及ぶ、全体的頭部跨架搭載アタッチメント240が存在する。本搭載アタッチメントの左側240aは、図2Aの左側で見られることができ、搭載アタッチメントの右側240bは、図2Aの右側で見られることができる。搭載アタッチメントの本差異、およびウーファおよびツイータコンポーネントがイヤクリップ上ではなくて本頭部跨架搭載アタッチメント上に搭載されるという事実を除いて、図2Aに示されるデバイス200の他の側面(ウーファおよびツイータコンポーネントの設置を含む)は、図1Aに示されるデバイス100と実質的に類似する。
【0036】
図2Bは、入力回路ブロック260と、左イヤホン270と、右イヤホン280と、左ウーファオーディオ信号導管262、左ツイータオーディオ信号導管264、右ウーファオーディオ信号導管266、および右ツイータオーディオ信号導管268を含む、オーディオ信号導管262、264、266、268と、頭部跨架搭載アタッチメント290とを含む、頭部装着型音声再生デバイス250を示す。頭部装着型再生デバイス250は、デバイス250が適切にサイズ決めされる、頭部241上の搭載位置に示される。左イヤホン270および右イヤホン280が、実質的に相互の鏡像である限りにおいて、簡略にするため、左イヤホン270のみが、詳細に説明されるであろう。図2Bの右側では、図2Bの左側の要素に対応する要素は、各参照番号の第2桁の中の数字7を数字8と置換することによって、対応する左側要素の参照番号と異なる参照番号で標識される。図2Bの左側を参照すると、左イヤホンは、音声出口272aを含む、左ウーファコンポーネント272と、音声出口274aを含む、左ツイータコンポーネント274とを含む。延在アーム278は、ツイータ274の音声出口274aが、好ましくは、ウーファ272の音声出口272aから1/2~6センチメートル離間され、より好ましくは、2~6センチメートル離間されるような位置で、ツイータコンポーネント274を支持する。示されるように、ツイータ音声出口274aは、ウーファ音声出口272aと比較して、ユーザの頭部の前部により近く位置付けられる。デバイス250がユーザの頭部または(デバイス250が異なるサイズの頭部に適合するように複数のサイズで販売され得るため、デバイス250が適切にサイズ決めされる)オーディオダミー試験用頭部IEC60318-7上に正しく搭載されるとき、ウーファコンポーネント272の音声出口272aは、好ましくは、外耳道の開口部の中心の1.5センチメートル以内、より好ましくは、1.2センチメートル以内にあり、ツイータコンポーネント274の音声出口274aは、外耳道の開口部の中心から1/2~7.5センチメートル離間されるであろう。しかしながら、好ましくは、ツイータ音声出口274aは、ユーザの外耳道の6センチメートル以内にある。ユーザの外耳道から少なくとも1/2センチメートル離れてツイータ音声出口274aを設置することは、音声のオーディオ空間化のリアリズムを増加させることに役立つ。ツイータ音声出口274aは、好ましくは、ユーザの頭部の前部に向かってユーザの外耳道から離間される。リアリズムは、ユーザの外耳道までのツイータ音声出口274aの距離が4センチメートルまでさらに増加されると、有意な知覚可能な程度に増加し、前述の距離が6センチメートルまで増加されると、さらに知覚可能な程度に増加するが、しかしながら、典型的には、距離が6センチメートルを超えて増加されると知覚可能に増加しない。仮想音声のそのようなリアリズムは、本明細書の下記でさらに説明される、拡張現実および複合現実用途のために非常に有益である。しかしながら、ツイータ音声出口274aとユーザの外耳道との間の距離を増加させることが、ツイータによって発せられるオーディオの音量が増加されることを要求し、その内側で近傍の人物が音声を聞くであろう距離を増加させ、それによって、潜在的にユーザのプライバシーを侵害し、そのような近傍の人物に迷惑を生じさせるであろうという点で、あるトレードオフが存在する。したがって、ある実施形態によると、デバイス250がユーザの頭部または(デバイス250が異なるサイズの頭部に適合するように複数のサイズで販売され得るため、デバイス250が適切にサイズ決めされる)オーディオダミー試験用頭部IEC60318-7上に正しく搭載されるとき、外耳道の4センチメートル以内にツイータ音声出口274aを設置することが望ましいであろう。デバイス250の一部ではない場合がある、外部音源102は、入力としてステレオオーディオ信号(254、256)を提供する。デバイス250の有意な側面が図1Bのデバイス150と実質的に類似するため、冗長な解説は、繰り返されない。デバイス150と実質的に類似しないデバイス250の側面は、搭載アタッチメント290の形状因子である。
【0037】
それらの独自のイヤクリップ搭載アタッチメント176、186をそれぞれ有した、図1Bの左および右イヤホンと異なり、図2Bの左および右イヤホン270、280は、イヤホン270、280の一部としてイヤクリップ搭載アタッチメントを有していない。むしろ、各側で左および右イヤホン270、280まで到達し、頭部にわたって及ぶ、全体的頭部跨架搭載アタッチメント290が存在する。搭載アタッチメント290の左側290aは、図2Bの左側で見られることができ、搭載アタッチメント290の右側290bは、右側で見られることができる。搭載アタッチメントの本差異、およびウーファ272、282およびツイータ274、284コンポーネントがイヤクリップ上ではなくて本頭部跨架搭載アタッチメント290上に搭載されるという事実を除いて、図2Bの他の部分(ウーファ272、282およびツイータコンポーネント274、284、および搭載アタッチメント延在部278および288の設置を含む)は、図1Bに示され、上記に説明されるものと実質的に類似する。
【0038】
図3A、3B、3C、3D、および4A、4B、4C、4Dは、本明細書に説明される頭部装着型音声再生デバイスの中に含まれるウーファコンポーネントおよびツイータコンポーネントを実装するための異なる設計オプションを示す。描写される設計オプションは、限定的であるように意図されておらず、むしろ、動的ドライバ、後部容積、前部容積、トンネルおよびファネル、および反射体および拡散体等の要素を使用して、ウーファおよびツイータコンポーネントが実装され得る方法のためのいくつかのアプローチを示すことを意図している。他のアプローチおよび設計もまた、本デバイスのウーファおよびツイータコンポーネントを実装するために効果的であり得る。例えば、ウーファコンポーネントおよびツイータコンポーネントから別個の音声出口をとり、単一の音声出口を有する共有チャンバまたは音声トンネルにそれらを合併することが可能である。共有音声出口のそのような場合において、ウーファおよびツイータ音声出口は、共有音声出口の位置に共同設置されると見なされるであろう。共同設置されたウーファおよびツイータ音声出口の実施例が、図11Aおよび11Bに示される。
【0039】
以下の議論では、スピーカ設計は、大部分が「ウーファ・ツイータに依存しない」ものであり、任意の所与の設計(サイズ、重量、形状等の適切な選択肢を伴う)が、ウーファコンポーネントまたはツイータコンポーネントのいずれかを実装するために使用され得ることを意味する(いくつかの例外が留意される)。したがって、以下の議論における用語「スピーカコンポーネント」は、ウーファコンポーネントまたはツイータコンポーネントのいずれかを意味する一般的用語として使用される。下記の実施例のそれぞれでは、スピーカコンポーネントのスピーカドライバ要素は、一般的に動的ドライバと呼ばれるドライバのタイプとして図示される。しかしながら、圧電ドライバ、平衡電機子ドライバ等の他の種類のスピーカドライバもまた、使用されてもよい。以下の図中の動的ドライバの使用は、例示的にすぎず、限定的であることを意図していない。
【0040】
図3Aは、スピーカドライバ302と、後部エンクロージャ304と、前部エンクロージャ310とを含む、スピーカコンポーネント300の上から見下ろした断面図を描写する。後部エンクロージャ304は、空気を封入し、音声再生ハードウェアの性能を向上させるために使用される、「後部容積」またはチャンバ306を作成する。後部エンクロージャ304は、空気のある程度の移動を可能にする開口部である、1つ以上のポート308を有する。前部エンクロージャ310もまた、空気を封入し、「前部容積」またはチャンバ312を作成する。しかしながら、この場合、音声は、前部エンクロージャ310の表面内の開口部として示される音声出口314を介して(例えば、ユーザの外耳道開口部に向かって)導かれる。
【0041】
図3Bは、図3Aで見られる後部エンクロージャ304が図3Bのスピーカコンポーネント320の中で省略されることを除いて、図3Aのスピーカコンポーネント300と実質的に類似する、スピーカコンポーネント320の上から見下ろした断面図を描写する。
【0042】
図3Cは、スピーカドライバ342と、後部エンクロージャ344と、前部エンクロージャ350と、音響トンネル354とを含む、スピーカコンポーネント340の上から見下ろした断面図を描写する。図3Cの後部エンクロージャ344は、図3Aの後部エンクロージャ304と実質的に類似する。前部エンクロージャ350は、図3Aの前部エンクロージャ310と大部分が類似するが、後者が音声出口314を形成する開口部を有し、前者が音声トンネル354に接続し、その端部に音声出口356を形成する開口部があることを除く。前部エンクロージャ350は、前部容積352を封入する。略図中の音声トンネル354は、スピーカドライバに中心合わせされ、その長さの全体に沿って等しい幅を有するものとして図示されるが、他の場合では、音声トンネルの具体的テーパまたは形状は、音声トンネルの多くの異なる形態および形状が音声を導くために効果的であり得るため、有意に変動し得る。
【0043】
図3Dは、図3Cで見られる後部エンクロージャ344が図3Dのスピーカコンポーネント360の中で省略されることを除いて、図3Cのスピーカコンポーネント340と類似するスピーカコンポーネント360の上から見下ろした断面図を描写する。スピーカコンポーネント360は、前部エンクロージャ364の中に面するドライバ362を含む。音声トンネル368は、ドライバ362、364の共通軸に対してオフセットされ、前述の共通軸に対してある角度で延在している。代替として、音声トンネル368はまた、テーパ状でもあり得る。異なる形態および形状の音声トンネルが、前部エンクロージャ364から外に音声を導くために効果的であり得る。
【0044】
図4Aは、直接放射スピーカドライバ402と、後部エンクロージャ404とを含む、スピーカコンポーネント400の上から見下ろした断面図を描写する。図4Aの後部エンクロージャ404は、図3Aの後部エンクロージャ304と実質的に類似する。直接放射スピーカドライバ402は、(保護または審美性のためにスピーカを被覆し得る、任意の「音響的透明」材料にもかかわらず)振動板の表面から空気の中に音を直接分散させる。したがって、直接放射ドライバは、振動板の表面の円周とおおよそ同一の広がりを持つ、音声出口410を有すると言われ得る。
【0045】
図4Bは、図4Aで見られる後部エンクロージャ404が図4Bのスピーカコンポーネント420の中で省略されることを除いて、図4Aのスピーカコンポーネント400と実質的に類似する、スピーカコンポーネント420の上から見下ろした断面図を描写する。本構成は、ウーファコンポーネントのために推奨されない。
【0046】
図4Cは、直接放射スピーカドライバ442と、後部エンクロージャ444と、音声反射表面450と、音声弱化拡散体452とを含む、スピーカコンポーネント440の上から見下ろした断面図を描写する。図4Cの後部エンクロージャ444は、図3Aの後部エンクロージャ304と実質的に類似する。本実施例では、音声反射表面450は、残りの要素のように断面図に示されるため、(図4Cが3次元で描かれた場合に容易に明白であろうように)特定の方向に進むように音声を「カッピング」していることは明確に見られることができない。スピーカコンポーネント440のための音声出口454は、本「カッピング」を反映する位置に位置し、すなわち、これは、スピーカドライバ442および取り付けられた音声反射表面450が、3次元で視認された場合に、ある種類の「開口部」を形成するであろう場所に位置する。加えて、音声反射表面450の一部が、(音声をあまり「脆性」ではなく、より「拡散」させるように)出力された音波の指向性を若干無作為化する、随意の音声弱化拡散体452を搭載するために使用される。
【0047】
図4Dは、図4Cで見られる後部エンクロージャ444が図4Dのスピーカコンポーネント460の中で省略されることを除いて、図4Cのスピーカコンポーネント440と実質的に類似するスピーカコンポーネント460の上から見下ろした断面図を描写する。本構成は、ウーファコンポーネントのために推奨されない。
【0048】
図5Aは、図1A-2Bに示される入力回路ブロック110、160、210、260のうちのいずれかを実装するために使用され得る、入力回路ブロック500の内部実装を示す概略図である。入力回路ブロック500は、「受動」入力回路ブロックであり、その独自の電力源を有しておらず、むしろ、「スピーカレベル」である(すなわち、スピーカドライバを駆動するために十分に強い)オーディオ信号を受信することに依存することに意味する。
【0049】
図1A-2Bにおいて前述で見られたように、外部音源102は、左チャネル信号導管104および右チャネルオーディオ信号導管106を介して、ステレオオーディオ信号を入力回路ブロック500に提供し、そこで、信号は、入力プラグ510(任意の種類のコネクタであり得、典型的形態は標準3.5mmプラグまたは1/4インチプラグである)によって受信される。入力プラグ510から、オーディオ信号導管512aは、オーディオ信号の左チャネルを左ツイータオーディオ信号導管520aおよび左ウーファオーディオ信号導管522aの両方に伝達する。
【0050】
オーディオ信号導管512aから左ツイータオーディオ信号導管520aまでの途中で、オーディオ信号は、随意に、受動高域通過フィルタ516aを通過してもよい。同様に、随意の受動低域通過フィルタ514aが、左オーディオ信号導管512aと左ウーファオーディオ信号導管522aとの間に間置されることができる。受動低域通過フィルタ514aは、オーディオ信号から高周波数を除去し、ウーファコンポーネントの動作をより効果的にする。受動高域通過フィルタ516aは、オーディオ信号から低周波数を除去し、ツイータコンポーネントの動作をより効果的にする。入力回路ブロック500の右側の実装(要素512b、514b、516b、520b、522bを伴う)は、左側のものと実質的に類似する。左側の対応物に機能が対応する右側要素は、それらの参照番号の中の添字aの代わりに、それらの参照番号の中の添字bを有する。
【0051】
図5Bは、図1A-2Bに示される入力回路ブロック110、160、210、260のうちのいずれかを実装するために使用され得る、入力回路ブロック530の内部実装を示す概略図である。簡略にするため、入力回路の以下の説明は、左側コンポーネントに焦点を当て、構造および機能が左側コンポーネントに実質的に類似する、対応する右側コンポーネントがあることを理解されたい。対応する左および右側コンポーネントは、左側参照番号が文字「a」の添字を有し、右側コンポーネントが文字「b」の添字を有するという点でのみ異なる、参照番号で標識される。入力回路530は、左チャネル信号導管542-aを通して左チャネル増幅器544-aに結合され、右チャネル信号経路542-bを通して右チャネル増幅器544-bに結合される、入力受信機540を含む。左チャネル増幅器544-aの出力信号バス546-aは、随意の受動低域通過フィルタ548-aおよび受動高域通過フィルタ549-aに結合される。受動低域通過フィルタ548は、左ウーファオーディオ信号導管522aに出力し、受動高域通過フィルタ516-aは、左ツイータオーディオ信号導管520-aに出力する。
【0052】
入力回路ブロック530は、「能動」入力回路ブロックであり、電力源538(再充電可能バッテリのように内部にあるか、またはある他のデバイスから外部にあるかのいずれかであり得る)を有することを意味する。入力回路530では、電力538は、少なくとも、左チャネル増幅器544aおよび右チャネル増幅器544bと、場合によっては、入力受信機ブロック540とを含むであろう、電力を消費する能動要素に送給する。
【0053】
図5Bでは、図1A-2Bにおいて前述で見られたように、外部音源102は、左チャネルオーディオ信号導管104および右チャネルオーディオ信号導管106を介して、ステレオオーディオ信号を入力回路ブロック530に提供し、そこで、信号は、入力受信機ブロック540によって受信される。能動システムでは、入力受信機ブロック540は、図5Aの入力プラグ510と類似する様式で、受動的に実装され得る。より典型的には、能動システムでは、入力受信機540は、後続の図に示されるように内部で実装され得るように、電力源538から電力を受電するであろう。入力受信機540から、オーディオ信号導管542aは、オーディオ信号の左チャネルを左増幅器チャネル544aに伝達する。そこから、オーディオ導管546aは、オーディオ信号の左チャネルを左ツイータオーディオ導管550aおよび左ウーファオーディオ導管552aの両方に伝達する。
【0054】
オーディオ信号導管542aから出力オーディオ導管550aおよび552aまでの途中で、オーディオ信号は、随意に、左ウーファオーディオ導管552aまでの途中で受動低域通過フィルタ548a、および左ツイータオーディオ導管550aまでの途中で受動高域通過フィルタ549aを通過してもよい。これらのフィルタ(548a、549a)の実装は、図5Aに示されるフィルタ(514a、516a)と実質的に類似する。
【0055】
図5Cは、図1A-2Bに示される入力回路ブロック110、160、210、260のうちのいずれかを実装するために使用され得る、入力回路ブロック560の内部実装を示す概略図である。簡略にするため、入力回路560の以下の説明は、左側コンポーネントに焦点を当て、構造および機能が左側コンポーネントに実質的に類似する、対応する右側コンポーネントがあることを理解されたい。対応する左および右側コンポーネントは、左側参照番号が文字「a」の添字を有し、右側コンポーネントが文字「b」の添字を有するという点でのみ異なる、参照番号で標識される。入力回路ブロック560は、「能動バイアンプ接続」入力回路ブロックであり、電力源568(再充電可能バッテリのように内部にあるか、またはある他のデバイスから外部にあるかのいずれかであり得る)を有することを意味する。図5Cでは、電力568は、本能動バイアンプ構成では、入力回路ブロック560内の他の電子コンポーネントの全てを含み得る、電力消費要素に送給する。
【0056】
能動バイアンプ構成を使用することの利益は、(増幅器がスピーカに合致するように選択されるため)より良好な結果をより確実に生じるだけではなく、「バイアンプ接続」シナリオでは、依然として「デジタルドメイン」内にある間に、増幅器の「前に」分割および処理されるため、個別のウーファおよびツイータ信号のより精密な「信号処理」も実施し得ることである。本向上された処理は、多くの場合、向上されたオーディオ品質を生じさせることができる。図5Cに示されるコンポーネントの具体的順序付け(すなわち、「信号チェーン」内にあるものの後に来る)は、1つの効果的なオプションを表すが、他の順序付けも、特定の目的のために、同等に、またはさらに効果的であり得ることを留意されたい。
【0057】
図5Cでは、図1A-2Bにおいて前述で見られたように、外部音源102は、左チャネルオーディオ信号導管104および右チャネルオーディオ信号導管106を介して、ステレオオーディオ信号を入力回路ブロック560に提供し、そこで、信号は、入力受信機570によって受信される。入力回路560のもの等の能動バイアンプ構成では、入力受信機570は、典型的には、後続の図6A-6Cに示されるように実装される。入力受信機570から、左オーディオ信号導管572aは、オーディオ信号の左チャネルを左ウーファ増幅器586aおよび左ツイータ増幅器588aの両方に伝達する。そこから、左ウーファ増幅器586aの出力は、左ウーファまで進むオーディオ信号導管592aを(直接または間接的に)駆動し、左ツイータ増幅器588aの出力は、左ツイータまで進むオーディオ信号導管590aを(直接または間接的に)駆動する。
【0058】
オーディオ信号導管572aから左ウーファ増幅器586aおよび左ツイータ増幅器588aの個別の入力までの途中で、オーディオ信号は、随意に、左ウーファ増幅器586aまでの途中で能動低域通過フィルタ574aを通過してもよく、随意に、左ツイータ増幅器588aまでの途中で能動高域通過フィルタ576aを通過してもよい。能動低域通過フィルタ574aおよび能動高域通過フィルタ576aの実装は、図5Cでは、フィルタが受動ではないが能動である、すなわち、電力568によって給電され、デジタル信号処理(DSP)アルゴリズムとしてデジタルドメイン内で実装されるため、前述の図で見られるものと同一ではないであろう。それらの実装にかかわらず、図5A-5Cに示される随意のフィルタ514、516、548、549、574、576を含むことの主要な目標は、フィルタ応答曲線を適用し、ウーファおよびツイータをより効果的にすることであり、いくつかの例示的フィルタ応答曲線が、以降の図に示される。
【0059】
また、オーディオ信号導管572aから左ウーファ増幅器586aの入力までの途中で、オーディオ信号は、随意に、ウーファ信号の時間を遅延させるオーディオ遅延ブロック580aを通過してもよい。本遅延は、ツイータコンポーネントがウーファコンポーネントよりもユーザの外耳道の開口部から有意に遠い(すなわち、最大数センチメートル遠い)、構成のために有用である。そのような場合では、空気中の音声の伝播速度(約335メートル毎秒)を考慮すると、距離の差は、ウーファからの音波が、ツイータからの対応する音波よりも顕著に早く耳に到達するほど十分に大きくあり得る。「アラインされていない」または「位相外」と称され得る、結果として生じる混合は、平均的な聴取者には「混ざって」聞こえ得る。オーディオ遅延580aの目的は、現在遅延しているウーファ音声が、対応するツイータ音声と同時に(可能な限り近く)外耳道に到達し、音声が明瞭かつ純粋なままであるように、本着信時間差を補償することである。
【0060】
最後に、図5Cに描写される、さらなる随意の最適化は、4つのチャネルのうちの2つ(2つのウーファ増幅器586aおよび586b)のための「スマート」増幅の使用である。「スマート」増幅では、増幅器チャネルは、増幅器がその性能の限界まで(但し、可聴歪曲を引き起こすため決して超えない)ドライバを駆動し得るように、その偏位(すなわち、その範囲内の位置)、温度等のそれが駆動しているスピーカドライバの側面を監視する。左ウーファ増幅器586aは、スピーカ監視信号導管594aを受容し、本増幅器チャネルが、その取り付けられたスピーカドライバを監視する「スマート」増幅器であることを示す。同様に、右ウーファ増幅器586bは、スピーカ監視信号導管594bを受容する。
【0061】
図6Aは、図5B-5Cの入力受信機ブロック540、570のうちのいずれか一方を実装するために使用され得る、入力受信機ブロック610を含む入力回路ブロック600を示す概略図である。入力受信機610は、「能動」ブロックであり、この場合、図5Bの電源538または図5Cの電源568等の電源から、電力を引き出してそのコンポーネントを起動することを意味する。外部音源102は、左チャネルオーディオ信号導管104および右チャネルオーディオ信号導管106を介して、ステレオオーディオ信号を入力回路ブロック600に提供し、そこで、信号は、入力受信機610によって、より具体的には、アナログプラグ612(任意の種類のコネクタであり得、典型的形態は、標準3.5mmプラグまたは1/4インチプラグである)によって受信される。アナログプラグ612から、左オーディオ信号導管614および右オーディオ信号導管616は、アナログオーディオ信号をデジタルオーディオ信号に変換するデジタル/アナログ変換器618に左および右オーディオ信号を伝達する。そこから、左および右オーディオ信号は、左デジタル出力オーディオ信号導管620および右デジタル出力オーディオ信号導管622を介して、入力回路600の他の部分まで外に伝搬される。
【0062】
図6Bは、図5B-5Cの入力受信機ブロック540、570のうちのいずれか一方を実装するために使用され得る、入力受信機ブロック640を含む入力回路ブロック630を示す概略図である。入力受信機640は、「能動」ブロックであり、この場合、図5Bの電源538または図5Cの電源568等の電源から、電力を引き出してそのコンポーネントを起動することを意味する。入力受信機640は、ユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェースを実装し、USBプラグ642およびUSB処理ブロック648を含む。外部音源632は、USBプラグ642を介して、デジタルステレオオーディオ信号634をUSB処理ブロック648に提供する。USBインターフェースは、最新のUSB-Cを含む、いくつかのUSB変異型のうちの1つに適合し得る。USBプラグ642から、左および右オーディオチャネルを符号化するオーディオデジタル信号は、デジタル信号導管644を介してUSB処理ブロック648に結合される。USB処理ブロック648は、オーディオデコーダを含むことができる。USB処理ブロック648は、それぞれ、左オーディオ信号出力650および右オーディオ信号出力652を介して、入力回路630の残りの部分に出力される、左チャネルおよび右チャネルオーディオ信号を生成する。
【0063】
図6Cは、図5B-5Cの入力受信機ブロック540、570のうちのいずれか一方を実装するために使用され得る、入力受信機ブロック680を含む入力回路ブロック670を示す概略図である。入力受信機680は、「能動」ブロックであり、この場合、図5Bの電源538または図5Cの電源568等の電源から、電力を引き出してそのコンポーネントを起動することを意味する。外部音源672は、信号導管674(この場合、無線チャネル)を介して、ステレオオーディオ信号を入力回路ブロック670に提供し、そこで、信号は、入力受信機680によって、より具体的には、無線受信機ブロック682(任意の種類の無線受信機であり得、典型的形態はBluetooth(登録商標)チップまたはNFMIチップである)によって受信される。無線受信機682から、左および右オーディオ信号は、オーディオ導管690および692を介して、入力受信機680から入力回路670の他の部分まで外に伝搬される。
【0064】
図7Aは、図5A-5Cに示される随意の高域通過フィルタブロック516a、516b、549a、549b、576a、576bによって行われるように、ツイータコンポーネントを駆動するために使用されるオーディオ信号に適用される高域通過フィルタとして効果的であり得る、周波数応答曲線706-712を伴う周波数応答チャート700を示す。周波数応答曲線706-712は、垂直軸702がデシベル単位であり、+20デシベル~-50デシベルに及ぶ相対音量レベルを示し、水平軸704がヘルツ単位であり、20Hz~20KHzに及ぶ周波数を示す、チャート背景にわたって示される。本チャート700から、高域通過フィルタの挙動が、容易に見られることができ、1KHzを下回る周波数706-708は、50デシベル超によって減衰され、次いで、1.0KHz~1.4KHzの周波数708-710に関して音量の漸増があり、1.4KHzを上回る周波数710-712は、影響を受けずに通過することを可能にされる。本周波数曲線、または類似する全体的アプローチを用いた他のものは、ツイータコンポーネントがデバイス内で効果的かつ最適に機能することに役立つための効果的なツールであり得る。
【0065】
図7Bは、図5A-5Cに示される随意の低域通過フィルタブロック514a、514b、548a、548b、574a、574bによって行われるように、ウーファコンポーネントまで進むオーディオ信号に適用される低域通過フィルタとして効果的であり得る、周波数応答曲線756-766を伴う周波数応答チャート750を示す。チャート750は、+20デシベル~-50デシベルに及ぶ相対信号レベルを示す垂直軸752と、20Hz~20KHzに及ぶ周波数を示す水平軸754とを有する。本チャート750から、低域通過フィルタの挙動が、容易に見られることができ、低音領域中の有意な隆起758から始まり、最大20デシベルを上回るだけウーファコンポーネントの低音性能を高める。応答曲線756-766は、ブーストがなくなるまで、または100Hz 760におけるカットまで下に傾斜する。100Hz~1Khz 760-762で、周波数は、ブーストまたはカットを伴わない。次いで、1.0KHz~1.4KHz 762-764の周波数に関して音量の漸減があり、1.4KHzを上回る周波数は、-50dBを上回る減衰764-766を有する。本周波数曲線756-766、または類似する全体的アプローチを用いた他のものは、ウーファコンポーネントがデバイス内で効果的かつ最適に機能することに役立つための効果的なツールであり得る。
【0066】
低域通過フィルタ514a、514b、548a、548b、574a、574b、および高域通過フィルタ516a、516b、549a、549b、576a、576bは、クロスオーバーフィルタをともに形成する、低・高ペアで稼働する。図7A-7Bに示される周波数応答により、クロスオーバー周波数は、約1,250Hzである。より一般的には、クロスオーバーフィルタは、ウーファコンポーネントおよびツイータコンポーネントの周波数応答に基づいて適切に選定されることができる。図7Bにより、約20Hzからクロスオーバー周波数を実質的に下回る周波数(例えば、60Hz)まで及ぶ周波数756-758の限定された部分範囲は、クロスオーバー周波数を下回る範囲内の他の周波数と比較して、より高い利得を与えられる。より一般的には、100Hzを下回る少なくともいくつかの周波数成分(帯域)は、クロスオーバー周波数を下回る他の周波数成分(帯域)と比較して、実質的により多く(例えば、少なくとも10dB多く)増幅される。これは、本明細書に説明されるウーファ音声出口が、(例えば、実世界音源からの)周囲音の聴覚を妨げないように、ユーザの外耳道の中に密閉して係合されるように意図的に設計されないという事実にもかかわらず、(例えば、仮想オブジェクトから生じる音声のために)強力な低価格低音コンポーネントを提供することを補助する。
【0067】
図8A-8Bは、入力回路ブロック810と、左イヤホン820と、右イヤホン830と、オーディオ信号導管812、814、816、818とを含む、頭部装着型音声再生デバイス800を示す。加えて、デバイスの一部ではない外部音源802は、入力としてステレオオーディオ信号(804、806)を提供する。外部音源802は、左オーディオ信号導管804および右オーディオ信号導管806を介して入力回路810に結合される。簡略にするため、説明が、主に左イヤホン820を参照して与えられ、右イヤホン830が左イヤホンと実質的に類似する構造および機能を有することを理解されたい。右イヤホン830の要素の参照番号は、第2桁の中の数字2の代わりに数字3を代用することによって、左イヤホンの要素の参照番号と異なる。左ウーファ信号導管812は、入力回路810をウーファコンポーネント822に結合する。(対応する右ウーファ信号導管816が存在する)。左ツイータ信号導管814は、入力回路810を左ツイータコンポーネント824に結合する。(対応する右ツイータ信号導管818が存在する)。左ウーファコンポーネント822は、頭部装着型再生デバイス800が、頭部ウェアラブルデバイスが適切にサイズ決めされるIEC60318-7オーディオ試験ダミー頭部(本デバイスは複数のサイズで提供され得ることを理解されたい)によって表されるように解釈される、ユーザの頭部上に適切に搭載されるときに、外耳道の開口部の中心の1.5センチメートル以内、好ましくは、1.2センチメートル以内に位置付けられる、音声出口822aを含む。例えば、図7Bに示される低域通過フィルタ周波数応答の部分756-758によって表される、低周波数余剰ブーストと組み合わせた、ウーファコンポーネントの音声出口822aの近接近性は、(あるイヤホンの場合のように)音声出口822aが外耳道内で密閉して係合されないという事実にもかかわらず、強力で効果的な低音の音響を生じさせる。故に、ユーザは、環境音を聴くユーザの能力を侵害することなく、強力で効果的な低音の音響を楽しむことができる。環境音および頭部装着型音声再生デバイスを通して出力される音声の両方を聞く能力は、複合または拡張現実デバイスにとって非常に有益である。
【0068】
左ツイータコンポーネント824は、左ツイータ支持レール828上で摺動可能に係合される。デバイス800は、ユーザがツイータコンポーネント824および834の位置を手動で変化させることを可能にする。デバイス800は、最初に、ツイータコンポーネント824および834がユーザの外耳道開口部の近くに位置する状態で図8Aに示される。図8Bでは、デバイス800は、ツイータコンポーネント824および834がユーザの外耳道開口部からより遠く移動されている、別の状態で示される。図1Aおよび1Bでは、ウーファおよびツイータを固定位置で保持したイヤクリップ搭載アタッチメント126、136、176、178、186、188をそれぞれ伴う、2つの異なるデバイス100、150が提示され、図1Aでは、ツイータコンポーネント124、134が外耳道開口部の近くに位置し、図1Bでは、ツイータコンポーネント174、184がより遠くに離れて位置したことを想起されたい。
【0069】
図8A-8Bに示されるデバイス800の場合、ユーザは、それらの個別のツイータ支持レール828、838に沿ってツイータコンポーネント(824、834)を手動で摺動させることによって、「オンザフライで」ツイータ位置を変化させるというオプションを有する。これらのツイータ支持レール828および838の長さは、ツイータコンポーネントを設置するための距離オプションの範囲を提供し、現在考慮されている範囲は、外耳道開口部から0~4センチメートルである。これは、ユーザが、有意なオーディオ差を反映するわずかな物理的調節を行うことを可能にする。より近い距離は、より少ない漏出または「音漏れ」を伴うが、ツイータコンポーネントの耳への近接性に起因して、最大限未満の「音声ステージ」を伴って、より多くのプライバシーを提供する。より遠い距離は、より多くの漏出または「音漏れ」を伴って、より少ないプライバシーを提供するが、同時に、「音声ステージ」は、ツイータコンポーネントのより大きい距離に起因して拡張され、床または壁搭載型スピーカと異なり、音声は、「純粋」で環境雰囲気を含まないままである。本後者の結果の組み合わせからの知覚的影響は、以前は未知であり、予期されていないが、極めて魅力的である。
【0070】
摺動ツイータコンポーネント824および834、およびそれらが摺動するツイータ支持レール828および838をより精密に想定するために、ツイータが、ツイータ支持レールによって提供される部分的封入型チャネル内で「ロックされて」位置する、拡大フランジに取り付けられる、典型的レール内スライダ構造を想定することができる。ユーザは、指の軽いタッチによって、チャネル内で前方または後方にツイータコンポーネントを容易に摺動させることができる。そして、ツイータは、チャネルの近端または遠端に到達するときに停止し、反対方向に戻るように押されるまで、そこに留まる。このようにして、単純なタッチにより、ユーザは、種々のツイータ設置にアクセスし、それらを用いて、一連の異なる種類の聴取体験にアクセスすることができる。
【0071】
(有益であるが)随意の拡張では、デバイス800はさらに、左および右センサコンポーネント826b、836bと、それらの個別のセンサ標的824b、834bとを備える。センサコンポーネント826bおよび836bは、イヤクリップ搭載アタッチメント826および836に取り付けられ、それらは、定位置で固定されたままである。センサ標的824bおよび834bは、ツイータコンポーネント824、834上に搭載され、それらは、ツイータコンポーネント824、834が移動する度に移動する。センサコンポーネントは、継続的にそれらの個別のセンサ標的までの距離を測定し、情報導管826cおよび836cを介して、その情報を入力回路ブロック810に折り返し報告する。本感知の要件は、およそ1ミリメートル以内まで正確である、または可能である場合、より良好であることであり、これは、反射表面を検出する光学距離センサまたは導電性物質を標的にする容量センサ等の複数の種類の近接性感知デバイスによって遂行されることができる。センサ標的824bおよび834bの実装は、センサコンポーネント826bおよび836bの実装の後に続く。電位差計または他のタイプの位置センサもまた、使用されてもよい。
【0072】
入力回路ブロック810内で、左側ツイータ距離は、処理ブロック811および813によって受信され、右側ツイータ距離は、処理ブロック815および817によって受信される。左側のみ(右側は実質的に類似する)を検討すると、処理ブロック811は、図5Cのオーディオ遅延580aと役割および機能が類似するオーディオ遅延である。その場合、ツイータがウーファよりも外耳道から遠いときに別様に起こるであろう、音波着信時間差を補正するように、オーディオ遅延580aが、随意に、ウーファ信号チェーンの中に導入され得ることを想起されたい。デバイス800では、オーディオ遅延811の「遅延時間」パラメータは、左センサ826bからの距離報告に従って変動される。本マッピングは、時間量補償が、常に、ツイータの位置にかかわらず正しいように、プログラムされる。現在好ましい「遅延時間」は、(図8Aで見られるように)ツイータ音声出口がウーファ音声出口と共同設置されるときの0マイクロ秒から、(図8Bで見られるように)ツイータが完全に延在されるときの最大約100マイクロ秒まで及ぶ。
【0073】
リアルタイム遅延制御に加えて、入力回路810は、この場合、図5Cでは処理ブロック582aによって占有されるツイータ信号チェーン内の場所で適用される、標準オーディオ処理特徴である、音量(利得)制御である処理ブロック813を含む。本処理ブロック813は、距離の継続中の報告に基づいて、自動音量(利得)調節を提供し、外耳道のより近くに、またはそこからより遠くに移動するツイータを補償する。これは、知覚されたツイータの音量が、ユーザによって前後に押動されるにつれて、一定のままであろうことを確実にする。標準的な「距離対音の大きさ」計算が、音量とスピーカ位置との間のマッピングを決定するために使用されることができる。現在好ましい「音量調節」は、(図8Aで見られるように)ツイータ音声出口がウーファ音声出口と共同設置されるときの0dBから、(図8Bで見られるように)ツイータが完全に延在されるときの最大約15dBまで及ぶ。
【0074】
時間および音量ドメインで前述の(随意の)リアルタイム補償処理を用いると、異なる位置までツイータを移動させることから獲得される聴取利益は、オーディオ忠実度の損失を伴わずに享受されることができる。
【0075】
代替的機構が、ユーザの外耳道開口部に対するツイータコンポーネントの位置の変化を可能にするために、ツイータ支持レール828、838の代わりに使用されることができる。例えば、ツイータコンポーネントは、頭部跨架搭載アタッチメント上に枢動点を有する、スイングアームの端部上で支持され得る。
【0076】
図9Aは、頭部装着型拡張現実デバイス900を示す。図9Aを参照すると、左部分924-aと、右部分924-bとを含む、アイウェアフレームは、左透明ディスプレイアイピース926-aおよび右透明ディスプレイアイピース926-bを支持する。左眼プロジェクタ936-aおよび右眼プロジェクタ936-bは、それぞれ、左および右透明ディスプレイアイピース926-a、926-bに光学的に結合される。左および右透明ディスプレイアイピースはそれぞれ、例えば、1つ以上の透明導波管ディスプレイ面を含んでもよい。ブロック図形態で示されるが、左および右眼プロジェクタ936-a、936-bは、アイウェアフレーム924-a、924-b上に好適に搭載される。透明ディスプレイアイピース926-a、926-bは、眼プロジェクタ936-a、936-bによって生成される画像状変調光を内部結合、分配、および外部結合し、そのような画像状変調光をユーザの眼に指向するための光学特徴(例えば、表面コーティングに形成される表面起伏回折光学要素)を伴う導波管を含む。内部結合光学特徴は、各導波管上に入射する画像状変調光を、各導波管内の全内部反射のための臨界角を上回る角度に偏向させる役割を果たす。分配光学特徴は、光を適切な出射点に指向する役割を果たし、外部結合特徴は、画像状変調光を、ユーザの眼に向かって各光ガイドの平面から外へ偏向させる役割を果たす。左および右眼プロジェクタ936-a、936-bは、内部結合光学特徴にわたって位置付けられ、その中に向けられることによって、個別の透明アイピース926-a、926-bに光学的に結合される。各アイピース926は、異なる色チャネルを取り扱い、ユーザに対する異なる仮想オブジェクト距離をシミュレートするために異なる像面湾曲を画像状変調光に付与する、光学特徴を含むことによって、複数の導波管のスタックを含むことができる。慣性測定ユニット(IMU)928が、アイウェアフレーム924-a、924-bに取り付けられる。
【0077】
左拡張現実イヤホン920および右拡張現実イヤホン922が、提供される。図9に示されるように、左および右拡張現実イヤホン920、922は、図1Aに示される設計に準拠するが、しかしながら、代替として、本明細書で提供される教示による、他の設計も、拡張現実デバイス900に関して図1Aに示される設計の代わりに使用されてもよい。例えば、図5A、5B、5C、6A、6B、6Cを参照して上記で説明される、本明細書の教示に準拠する内部設計を有し得る、オーディオ入力回路910は、左ウーファオーディオ信号導管912および左ツイータオーディオ信号導管914を介して左拡張現実イヤホン920に結合され、右ウーファオーディオ信号導管916および右ツイータオーディオ信号導管918を介して右拡張現実イヤホン922に結合される。また、これらのオーディオ再生コンポーネントは、本開示の他の場所で説明されるように、本拡張現実デバイス900の文脈内で拡張および構成され得ることに留意されたい。
【0078】
ビデオおよびオーディオ処理システム930は、視覚およびオーディオコンテンツを生成し、プロジェクタ936-a、936-bおよび拡張現実イヤホン920、922を駆動し、ユーザによって感知される実世界視覚およびオーディオコンテンツを拡張する、3D仮想コンテンツを出力する。処理システム930は、慣性測定ユニット928からセンサデータを受信する、頭部姿勢追跡装置934を含む。慣性測定ユニット928は、例えば、3つの直交軸を中心とした回転率を測定する、3つのジャイロスコープと、3つの直交軸に沿って重力および加速度を測定する、3つの加速度計とを含むことができる。慣性測定ユニットは、1つ以上のカメラ、および視覚的走行距離計測を実行することによって頭部姿勢推定に寄与する画像処理システムを補充されることができる。頭部姿勢追跡装置934は、センサデータをフィルタ処理(例えば、カルマンフィルタ)および統合し、アイウェアフレーム924-a、924-bの少なくとも配向、随意に、位置座標を決定する。頭部姿勢追跡装置934は、グラフィックスプロセッサ932に結合され、頭部座標情報をそれに供給する。グラフィックスプロセッサ932は、それぞれ、左視覚信号導管932-aおよび右視覚信号導管932-bを通して、左眼プロジェクタ936-aおよび右眼プロジェクタ936-bに結合される。グラフィックスプロセッサは、3D仮想コンテンツをレンダリングし、プロジェクタ936-a、936-bを駆動するための左眼および右眼画像情報を生成する。頭部姿勢追跡装置934によって生成される座標は、(ユーザの頭部とともに)アイウェアフレーム924-a、924-bの移動にもかかわらず、実世界に対する仮想コンテンツの位置を維持するために、グラフィックスプロセッサ932によって使用される。したがって、仮想キャラクタが、ユーザの部屋の戸口に立って位置付けられる場合、仮想キャラクタは、ユーザがその頭部を左に30度回転させた場合に、戸口に立ったままであろう。
【0079】
処理システム900はさらに、図9Aに図示される実施形態における非限定的実施例として、第1の仮想音源940と、第2の仮想音源940-1と、第3の仮想音源940-2とを含む、仮想音源940、940-1、940-2を含み、仮想音源の数は、恣意的に設定され得ることを理解されたい。典型的な場合では、全てオーディオミキサ902に結合される、仮想音源940、940-1、940-2のうちの1つを上回るものが存在する。オーディオミキサ902は、入力回路910に結合される、左ミキサ出力904および右ミキサ出力906を含む。第1の仮想音源940の内部詳細は、図9に強調表示され、残りの仮想音源940-1、940-2は、対応する設計を有することができる、またはある特殊用途のために必要性が生じる場合に異なり得る。示されるように、第1の仮想音源940は、オーディオ信号導管944-aを介したモノオーディオストリームおよび3D位置情報信号導管944-bを介した関連付けられる3D仮想音源位置を、3Dオーディオ空間化装置946に結合する、モノ音源942を含む。3Dオーディオ空間化装置946によって使用される第3の入力は、頭部姿勢追跡装置934から頭部姿勢信号導管934-2を介して受信する、ユーザの現在の頭部姿勢(位置および配向)である。3Dオーディオ空間化装置946は、3D仮想音源位置およびユーザの頭部姿勢を組み合わせ、ユーザの頭部に固定される座標系内の仮想音源の座標を決定する。これは、座標変換によって遂行される。拡張現実システムでは、仮想音源の座標は、デバイス900が使用されている物理的環境に固定される座標系で定義されることに留意されたい。例えば、仮想漫画キャラクタが、ユーザの物理的な部屋の中の実際の椅子の上に設置されてもよい。仮想音源の座標をユーザの頭部に固定される座標系に変換することの目的は、適切な「頭部関連伝達関数」(HRTF)が、ユーザの頭部に対する仮想音源の座標に基づいて選択され得るようなものである。HRTFは、音声へのヒト頭部および上部胴体の影響をモデル化し、仰角、方位、および距離依存性である。HRTFは、耳毎に1つずつ、一対の伝達関数を含む。頭部および胴体の存在および特定の幾何学形状は、音源が人物の頭部の矢状面上に位置していない場合に、人物の2つの耳に到着する音声の時間遅延、位相、および振幅差を引き起こす。時間遅延、位相、および振幅差は、音源への方向を感知するために脳によって使用される合図を人物の聴覚系に提供する。時間遅延、位相、および振幅差は、耳毎にHRTFの中に含まれる。したがって、選定されたHRTFを音声に適用することによって、音声は、選定されたHRTFと関連付けられる人物の頭部に対する特定の位置から生じるものとして知覚させられることができる。空間化装置946によって生成されるステレオオーディオストリームは、一対のステレオオーディオ信号導管948a、948bを介してオーディオミキサ902に結合され、これは、左ミキサ出力904および右ミキサ出力906を介して入力回路910に結合される、複合ステレオ出力の中に存在するものと同じ数の音源を混合する。
【0080】
拡張現実デバイスであるデバイス900は、依然として、ユーザがディスプレイを通して実世界を見ることを可能にしながら、デジタルコンテンツをユーザに提示する、アイウェアフレーム924a、924bの中に搭載されるコンポーネント926-a、926-b、936-a、936-bを含む。同様に、オーディオシステムでは、デバイス900は、ユーザが、高忠実度で生成されたコンテンツを聞く一方で、デバイス900のオーディオシステムによって妨げられていない高忠実度で実世界音も聞くことを可能にする。したがって、前述の図で詳述される非遮断型高忠実度オーディオ再生能力は、実世界視界または音声に影響を及ぼすことなく、オーディオおよびビデオの両方を表示する必要がある、900のようなデバイスのための優れた合致である。(対照的に、「仮想現実」デバイスは、設計が類似するが、それらは、実世界光を遮断するため、非遮断型オーディオは、必要とされない)。
【0081】
デバイス900のビデオおよびオーディオ処理システム930は、配線電子機器(特定用途向け集積回路(ASIC)、例えば、オーディオコーダ/デコーダ集積回路(コーデックIC)、ビデオコーデック、ディスプレイドライバIC等)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサによって実行されるプログラムコードを記憶するメモリに結合されるプロセッサ、または前述のうちの2つ以上のものの組み合わせを含むことができる。
【0082】
デバイス900では、ビデオおよびオーディオ処理システム930は、左眼視覚信号導管932aおよび右眼視覚信号導管932bを介して出力される、仮想視覚コンテンツを生成する。デバイス900の左眼視覚出力と右眼視覚出力との間の差異は、人物の左および右眼から見られるような実世界の対応する差異に類似する。両方とも、3D視点から視認される同一の視覚コンテンツを含有するが、視認位置は、眼毎にわずかに異なる。左眼936-a用の視覚プロジェクタおよび右眼936-b用の視覚プロジェクタは、処理システム930からわずかにオフセットされたグラフィック画像を受信し、左および右ディスプレイ926a、926bを介してそれらを出力する。
【0083】
図9Bは、別の実施形態による、頭部装着型拡張現実デバイス950を示す。デバイス950の多くの側面は、図9Aに示されるデバイス900に共通し、これらの側面の解説に関して、上記の説明が参照される。頭部装着型拡張現実デバイス950は、左部分974-aと、右部分974-bとを含む、アイウェアフレーム974-a、974-bを含む。デバイス950はまた、左拡張現実イヤホン970と、右拡張現実イヤホン972とを含む。しかしながら、図9Aのより厳密に統合されたイヤホン920、922と異なり、イヤホン970、972に関して、ウーファコンポーネントの搭載は、ツイータコンポーネントのものと別個に取り扱われる。左イヤクリップ搭載アタッチメント970cは、アイウェアフレーム974-a、974-bが、適切にサイズ決めされたデバイス950(デバイス950は、異なるユーザに適合するように異なるサイズで提供され得る)を装着する典型的ユーザ上に位置付けられるときに、左ウーファコンポーネント970aの音声出口976が、左外耳道の開口部の中心の1.5センチメートル以内、好ましくは、1.2センチメートル以内に位置するように、左ウーファコンポーネント970aを支持する。右イヤクリップ搭載アタッチメント972-cと、右ウーファコンポーネント972aと、右ウーファ音声出口978とを含む、同等の右側コンポーネントが、提供され、右ウーファ音声出口978は、アイウェアフレーム974-a、974-bが、頭部ウェアラブルデバイス950が適切にサイズ決めされる典型的ユーザの頭部(IEC60318-7オーディオ試験ダミー頭部によって表される)上に位置付けられるときに、右外耳道開口部の中心の1.5センチメートル以内、好ましくは、1.2センチメートル以内に位置付けられる。
【0084】
アイウェアフレーム974-a、974-bの左部分974-aに取り付けられる別個の左ツイータ支持構造970-dは、ユーザの外耳道の開口部から離間される位置で左ツイータコンポーネント970-bを支持する。左ツイータコンポーネント970-bは、左ツイータ音声出口980を含む。より大きい音声ステージ効果が、ツイータコンポーネント音声出口980がユーザの外耳道の開口部から離間されるときに取得されることができる。左ツイータ音声出口980は、アイウェアフレーム974-a、974-bが、適切にサイズ決めされたデバイスを装着する典型的ユーザ頭部の上に位置付けられるときに、1/2~6センチメートル、より好ましくは、2~6センチメートルの距離だけ左外耳道の開口部の中心から好適に離間される。右ツイータ支持構造972-dと、右ツイータコンポーネント972bと、右ツイータ音声出口982とを含む、同等の右側コンポーネントもまた、提供される。
【0085】
図9Bの左イヤホン970を見ると、機能において、それは、図1Bのイヤホン170と実質的に類似する。実際に、デバイス950と極めて類似するが、図1Bのイヤホン170と実質的に類似するイヤホンが使用される、デバイスを容易に想像することができる。実際、そのような構成は、本発明の効果的な形態として考慮される。しかしながら、デバイス950の場合、ツイータコンポーネント970bは、前の構成で見られたように搭載アタッチメント970c(またはそこからの延在部)上に搭載されない。代わりに、ツイータ970bは、搭載アタッチメント延在部970d上に搭載され、それ自体は、全体的な拡張現実デバイスのためのフレームを形成する、頭部跨架搭載アタッチメント974に取り付けられる。
【0086】
図10は、人工耳および外耳道を伴うオーディオ試験ダミー頭部1000、およびオーディオ試験ダミー頭部1000の各耳の隣に位置する、本教示による頭部装着型音声再生デバイスのスピーカコンポーネントの断面図を示す。本図は、図1A(および他の図)で見られるコンポーネントのうちのいくつか、具体的には、ウーファコンポーネント122および132の異なる斜視図を示す。図10に対応する断面が、図1Aに示される。加えて、図3Dのスピーカコンポーネント360は、図10に示されるスピーカコンポーネントの詳細図を示す。図10は、左人工耳介1002および右人工耳介1004と、左人工耳珠1006および右人工耳珠1008と、左人工外耳道1010および右人工外耳道1012とを含む、オーディオ試験ダミー頭部1000を描写する。一対の左および右スピーカコンポーネント360が、断面図に示され、それらの音声トンネル368のそれらの音声出口370は、部分的にのみ各外耳道1010、1012の開口部にわたって延在する。外耳道1014、1016の開口部の中心から見られるように、外耳道は、依然として、2つの強調表示された立体角1018、1020によって示されるように、外界への有意な「開放性」を有する。ある実施形態によると、頭部装着型音声再生デバイスが、外耳道の開口部の中心点に対して、ユーザの頭部または(デバイスが異なるサイズの頭部に適合するように複数のサイズで販売され得るため、デバイスが適切にサイズ決めされる)オーディオダミー試験用頭部IEC60318-7上に正しく搭載されるとき、デバイスの空気不透過性部分は、オーディオ試験ダミー頭部によって対応されない、中心点を中心とした4π立体角の一部の20%~80%に対するするであろう。したがって、ユーザの髪が引き離され、オーバーイヤ頭部被覆、例えば、帽子、または聴覚を妨げ得る他の構造が存在しないと仮定して、オーディオ試験ダミー頭部(ユーザの代理)自体によって対応されない、外耳道の開口部の中心を中心とした立体角の少なくとも20%に関して、周囲環境への明確な視線が存在するであろう。本明細書で教示される頭部装着型音声再生デバイスを含む、複合現実デバイスのユーザの実世界環境内で生じる音声が、したがって、ユーザの耳の中への十分に低いインピーダンス経路を有するであろうため、そのような実世界音声を聞くことは、妨げられず、混合または拡張現実体験の実世界オーディオ成分は、劣化されないであろう。その結果として、ユーザの外耳道への音声出口370の近接近性は、複合または拡張現実体験の仮想オーディオ成分の強力な低周波数部分を可能にする。本発明者らは、仮想オーディオ成分のより高い周波数部分の効果的な結合が、外耳道の開口部への関連付けられるツイータコンポーネント(図10に示されていない)の音声出口への近接近性を伴わずに取得され得ることを決定しており、また、オーディオ空間化が、ツイータコンポーネント音声出口が外耳道の開口部から離間されるときにより効果的であることも示されている。
【0087】
図10の説明図は、単一の2D断面のみを示すが、ダミー頭部1000に対するスピーカコンポーネント360の3D設置の理解は、図10の説明図を図1Aのものと相関させることによって容易に収集されることができる。また、図10に示されるスピーカコンポーネント設置および使用されるスピーカコンポーネントのタイプは、外界からの音声が知覚着色を殆どまたは全く伴わずに聞こえ得るように、外界への類似またはより優れたレベルの開放性を提供し得る、多くの可能性として考えられる構成のうちの1つのみを表すことに留意されたい。
【0088】
図11Aは、図1A、2A、および9Aに示される音声再生装置で使用されるウーファおよびツイータコンポーネントの代替物として使用され得る、第1の統合ウーファおよびツイータコンポーネント1100(本明細書の下記では第1の統合コンポーネントと称される)の断面図である。第1の統合コンポーネント1100は、ウーファ後部エンクロージャ1111によって画定されるウーファ後部容積1114の中に面する裏側1103と、ウーファ前部エンクロージャ1113によって画定されるウーファ前部容積1106の中に面する前側1105とを有する、ウーファドライバ1102を含む。後部エンクロージャ1111は、周囲環境へのポート1118を含む。ツイータコンポーネント1104は、ツイータ後部エンクロージャ1115によって画定されるツイータ後部容積1116の中に面する裏側1107と、ツイータ前部エンクロージャ1117によって画定されるツイータ前部容積1108の中に面する前側1109とを含む。ウーファ前部容積1106およびツイータ前部容積1108は、隣接し、共通エンクロージャ1119によって画定される共通前部容積1110と連続的である。ウーファ前部ポート1121が、ウーファ前部エンクロージャ1113と共通エンクロージャ1119との間に形成される。ツイータ前部ポート1123が、ツイータ前部エンクロージャ1117と共通エンクロージャ1119との間に形成される。共通エンクロージャ1119は、音声をユーザの耳に発するために周囲環境へ開放する、音声出口1112を含む。
【0089】
図11Bは、図1A、2A、および9Aに示される音声再生装置で使用されるウーファおよびツイータコンポーネントの代替物として使用され得る、第2の統合ウーファおよびツイータコンポーネント(本明細書の下記では第2の統合コンポーネントと称される)1150の断面図である。第2の統合コンポーネント1150は、後部エンクロージャ1165によって画定されるウーファ後部容積1160の中に面する裏側1166を有する、ウーファドライバ1152を含む。後部エンクロージャ1165は、周囲環境へのポート1162を含む。ウーファコンポーネント1152の前側1167は、前部エンクロージャ1168によって画定される前部容積1164の中に面する。ツイータドライバ1154は、ウーファドライバ1152の前で前部容積1164の中に支持される。音声トンネル1156は、前部エンクロージャ1168に接続される近位端と、音声出口1158としての役割を果たす遠位開放端とを有する。
【0090】
図12Aは、図1A、1B、2A、2B、9A、9Bに示される音声再生装置で使用されるウーファおよびツイータコンポーネントの代替物として使用され得る、イヤホン1200の断面図である。イヤホン1200は、ウーファおよびツイータ1202として実装されるスピーカコンポーネント340(図3C)を含む。図12Aのツイータ1202は、多くの点に関してスピーカコンポーネント340と類似するが、好適には、少なくとも長さ1.5センチメートル、好ましくは、少なくとも長さ2センチメートル、例えば、長さ3センチメートルである、音声トンネル1204の延長された長さを含む。ツイータ1202は、音声トンネル1204の第1の端部に近接して位置付けられるスピーカドライバ1206を含む。音声トンネル1204の第2の開放端は、ツイータ1202のための音声出口1208としての役割を果たす。結果として、ツイータ音声出口1208は、前の実施例で見られたツイータスピーカドライバ1206からより遠く離間される。より長い音声トンネル1204を有することの利点は、外耳道からツイータドライバ1206を離間させることのいくつかの「拡張音声ステージ」利益を獲得する一方で、外耳道の近くに音声出口1208を位置付けることのプライバシー利益のうちのいくつかも獲得することである。
【0091】
図12Bは、図1A、1B、2A、2B、9A、9Bに示される音声再生装置で使用されるウーファおよびツイータコンポーネントの代替物として使用され得る、イヤホン1210の断面図である。イヤホン1210は、ウーファおよび別個のツイータ1212として実装される、スピーカコンポーネント340(図3C)を含む。図12Bのツイータ1212は、多くの点に関してスピーカコンポーネント340と類似するが、音声トンネル354の端部において取り付けられた随意の音声弱化拡散体1216を伴う音声反射表面1214を含む。音声反射表面1214および音声弱化拡散体1216は、図4Cに示されるものと類似するが、しかしながら、イヤホン1210の音声反射表面1214は、図4Cに示されるものよりも長く、好適には、長さが2~3センチメートルである。図12Bの断面図では明確に可視ではないが、音声反射表面1214は、複合凹状湾曲を有することができる。形状は、湾曲半パイプ形、部分環状形、または円錐断面母線を有する回転面の一部であってもよい。後者の一実施例は、音声出口に1つの焦点と、ユーザ外耳道開口部位置に1つの焦点とを有する、半楕円体形であろう。加えて、音声反射表面1214の一部が、(音声をあまり「脆性」ではなく、より「拡散」させるように)出力された音波の指向性を若干無作為化する、随意の音声弱化拡散体1216を搭載するために使用される。延在された音声反射表面を有することの利点は、外耳道からツイータを離間させることの「拡張音声ステージ」利益のうちのいくつかを獲得する一方で、外耳道の近くに音声出口を位置付けることのプライバシー利益のうちのいくつかも獲得することである。音声反射表面は、種々の方法で、図12Bに示されるような音声トンネル、図4C-4Dに示されるようなスピーカドライバ、および/または前部容積等のスピーカコンポーネントの他の部分、および他のタイプの搭載アタッチメント等に取り付けられることができる。
【0092】
図13A-13Bは、入力回路ブロック1310と、左イヤホン1320と、右イヤホン1330と、オーディオ信号導管1312、1314-a、1314-b、1316、1318-a、1318-bとを含む、頭部装着型音声再生デバイス1300を示す。加えて、デバイス1300の一部ではない場合がある、外部音源1302は、入力としてステレオオーディオ信号(1304、1306)を提供する。外部音源1302は、左オーディオ信号導管1304および右オーディオ信号導管1306を介して入力回路1310に結合される。簡略にするため、説明が、主に左イヤホン1320を参照して与えられ、右イヤホン1330が左イヤホン1320と実質的に類似する構造および機能を有することを理解されたい。別様に示されない限り、右イヤホン1330の要素の参照番号は、第3桁の中の数字2の代わりに数字3を代用することによって、左イヤホン1320の要素の参照番号と異なる。左ウーファ信号導管1312は、入力回路1310をウーファコンポーネント1322に結合する。(対応する右ウーファ信号導管1316が存在する)。前の実施例と異なり、デバイス1300は、耳あたり2つのツイータを含む。第1の左ツイータ信号導管1314-aは、入力回路1310を、ユーザの外耳道の近くに位置する第1の左ツイータコンポーネント1324に結合する。(対応する第1の右ツイータ信号導管1318-aが存在する)。第2の左ツイータ信号導管1314-bは、入力回路1310を、ユーザの外耳道から離間される第2の左ツイータコンポーネント1325に結合する。(対応する第2の右ツイータ信号導管1318-bが存在する)。
【0093】
図13Aでは、ユーザの外耳道1325、1335から離間されるツイータペアは、破線のツイータ信号導管1314-b、1318-bによって示されるように、現在アクティブである。ユーザの外耳道1324、1334に近いツイータペアに関して、それらの個別のツイータ信号導管1314-a、1318-aの実線は、これらのツイータが現在アクティブであることを示す。近いツイータの本有効化および遠いツイータの無効化はさらに、左側で、オーディオスイッチ1319-aが近いツイータ信号導管1314-aに接続し、遠いツイータ信号導管1314-bを接続解除された状態にする、入力回路ブロック1310内で見られることができる。オーディオスイッチ1319-aのための音源は、外部音源1302に由来する左チャネル入力1304である(入力回路ブロック1310の内部ルーティングは、空間の制約に起因して示されていない)。同様に、右側オーディオスイッチ1319-bは、類似する役割を実施し、右チャネル入力1306を近いツイータ信号導管1318-aに接続する。2つのオーディオスイッチ1319-a、1319-bの設定は、左イヤホン1320に由来する、より具体的には、左イヤクリップ1326上に搭載されるユーザアクティブ化ボタン1329-a(多くの形態のユーザアクティブ化スイッチ制御が効果的であり得る)に由来する、制御ライン1329-bによって制御される。図13Aでは、ユーザアクティブ化ボタン1329-aは、そのオーディオ性能が、図1A、2A、および9Aに示されるデバイスのものと実質的に類似する、デバイス1300の状態に対応する、「上」位置で見られる。
【0094】
図13Bでは、ユーザアクティブ化ボタン1329-aは、その「下」位置によって見られるように、ユーザによって押されている。制御ライン1329-bは、本新しい設定をオーディオスイッチ1319-a、1319-bに伝達し、これは、ここでは、遠いツイータ1325、1335が現在アクティブであることを示す実線を伴って示される、(それぞれ)遠いツイータ信号導管1314-bおよび1318-bに接続する。対応して、オーディオスイッチ1319-a、1319-bは、(それぞれ)近いツイータ信号導管1314-aおよび1318-aにもはや接続しなくなり、これらは、ここでは、近いツイータ1324、1334が現在非アクティブであることを示す破線を伴って示される。したがって、ユーザアクティブ化ボタン1329-aを押すことによって、ユーザは、デバイス1300を、そのオーディオ性能が図1B、2B、および9Bに示されるデバイスのものと実質的に類似する、状態に切り替えている。ボタン1329-aを再び押し、それを「上」位置に戻すことによって、ユーザは、デバイス1300を図13Aに示される状態に戻し、ユーザが意のままに2つの状態の間で切り替えることを可能にすることができる。本能力は、ユーザが、プライバシー対拡張「音声ステージ」という相反する目標の間で迅速かつ容易に選定することを可能にする。より近い距離(図13A)は、より少ない漏出または「音漏れ」を伴うが、ツイータコンポーネントの耳への近接性に起因して、最大限未満の「音声ステージ」を伴って、より多くのプライバシーを提供する。より遠い距離(図13B)は、より多くの漏出または「音漏れ」を伴って、より少ないプライバシーを提供するが、同時に、「音声ステージ」は、ツイータコンポーネントのより大きい距離に起因して拡張される。
【0095】
左ウーファコンポーネント1322は、頭部装着型再生デバイス1300が、頭部ウェアラブルデバイスが適切にサイズ決めされるIEC60318-7オーディオ試験ダミー頭部(本デバイスは複数のサイズで提供され得ることを理解されたい)によって表されるように解釈される、ユーザの頭部上に適切に搭載されるときに、外耳道の開口部の中心の1.5センチメートル以内、好ましくは、1.2センチメートル以内に位置付けられる、音声出口1322aを含む。例えば、図7Bに示される低域通過フィルタ周波数応答の部分756-758によって表される、低周波数余剰ブーストと組み合わせた、ウーファコンポーネントの音声出口1322aの近接近性は、(あるイヤホンの場合のように)音声出口1322aが外耳道内で密閉して係合されないという事実にもかかわらず、強力で効果的な低音の音響を生じさせる。故に、ユーザは、環境音を聴くユーザの能力を侵害することなく、強力で効果的な低音の音響を楽しむことができる。環境音および頭部装着型音声再生デバイス1300を通して出力される音声の両方を聞く能力は、複合または拡張現実デバイスにとって非常に有益である。
【0096】
入力回路ブロック1310内の(有益であるが)随意の拡張では、制御ライン1329-bは、左側の処理ブロック1311および1313によって受信され、また、右側の処理ブロック1315および1317によって受信される。左側のみ(右側は実質的に類似する)を検討すると、処理ブロック1311は、図5Cのオーディオ遅延580aと役割および機能が類似するオーディオ遅延である。その場合、ツイータがウーファよりも外耳道から遠いときに別様に起こるであろう、音波着信時間差を補正するように、オーディオ遅延580aが、随意に、ウーファ信号チェーンの中に導入され得ることを想起されたい。デバイス1300では、オーディオ遅延1311の「遅延時間」パラメータは、制御ライン1329-bを介して伝達されるユーザアクティブ化ボタン1329-aの設定に基づいて変動される。本マッピングは、時間量補償が、常に、近いまたは遠いツイータがアクティブであるかどうかにかかわらず正しいように、プログラムされる。現在好ましい「遅延時間」は、(図13Aで見られるように)近いツイータ1324、1334がアクティブであるときの0マイクロ秒から、(図13Bで見られるように)遠いツイータ1325、1335がアクティブであるときの最大約100マイクロ秒まで及ぶ。
【0097】
リアルタイム遅延制御に加えて、入力回路1310は、音量(利得)制御である処理ブロック1313を含む。本処理ブロック1313は、ユーザアクティブ化ボタン1329-aの設定に基づいて、自動音量(利得)調節を提供し、外耳道のより近くに、またはそこからより遠くにある現在アクティブなツイータを補償する。これは、知覚されたツイータ出力の音量が、近いツイータと遠いツイータとの間で切り替わるにつれて、一定のままであろうことを確実にする。距離対音の大きさの計算が、音量とスピーカ位置との間のマッピングを決定するために使用されることができる。現在好ましい「音量調節」は、(図13Aで見られるように)近いツイータ1324、1334がアクティブであるときの0dBから、(図13Bで見られるように)遠いツイータ1325、1335がアクティブであるときの最大約15dBブーストまで及ぶ。
【0098】
より一般的には、本開示内で詳述される頭部装着型デバイスは、利益の一意の組み合わせ、すなわち、実質的に遮断されず、耳に明確である、実世界音と一緒に聞こえる低周波数でさえも高忠実度を維持する、頭部装着型音声再生を提供する。オーディオ業界は、しばらくの間、これら2つの目標の間のギャップを解決するために努力しているが、ソリューションは、捉えどころがないことが証明されている。本開示で提示されるデバイスは、本ギャップを完全に埋めることに初めて成功するものであり、特に拡張現実における用途のため、かつ非遮断聴取のために、新規および有用の両方である、成果であり、一般に、簡単に言えば、オーディオの至適基準としては、再生された音声および実世界音が両方とも「正しく」聞こえるべきである。
【0099】
前述の明細書では、本発明は、その具体的実施形態を参照して説明されている。しかしながら、種々の修正および変更が、本発明のより広義の精神および範囲から逸脱することなく、それに行われ得ることが明白であろう。例えば、上記に説明されるプロセスフローは、プロセスアクションの特定の順序付けを参照して説明される。しかしながら、説明されるプロセスアクションの多くの順序付けは、本発明の範囲または動作に影響を及ぼすことなく変更されてもよい。本明細書および図面は、故に、制限的ではなく例証的な意味で考えられるべきである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13