(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】記憶媒体を保持するための装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/51 20240101AFI20240502BHJP
【FI】
A61B6/51 501
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022181974
(22)【出願日】2022-11-14
【審査請求日】2023-01-13
(31)【優先権主張番号】10 2021 129 771.0
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507063595
【氏名又は名称】デュール デンタル ソシエタス オイロペア
【氏名又は名称原語表記】DUERR DENTAL SE
【住所又は居所原語表記】Hoepfigheimer Str. 17, 74321 Bietigheim-Bissingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス キューフース
(72)【発明者】
【氏名】エネス ムスタイベゴヴィッチ
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0196903(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108078582(CN,A)
【文献】米国特許第05737388(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1回のX線撮影のために患者の口腔内にイメージングプレートを保持するための装置であって、
当該装置は、
保持部と、
咬合部と、
前記イメージングプレートのための当接領域と、第1のガイド領域および/またはジョイント領域と、第1の拘束領域とを備えた第1の部分と、
前記イメージングプレートのためのクランプ領域と、前記第1のガイド領域および/またはジョイント領域に対応する第2のガイド領域および/またはジョイント領域と、第2の拘束領域とを備えた第2の部分と
を有し、
前記当接領域と前記クランプ領域とは、相互作用し、かつ前記保持部を形成し、
前記第1のガイド領域および/またはジョイント領域と、前記第2のガイド領域および/またはジョイント領域とは、前記第1の部分と前記第2の部分とが、オープン位置とクランプ位置との間で互いに相対的に移動可能となるように相互作用し、
前記当接領域と前記クランプ領域との間の前記クランプ位置では、前記当接領域と前記クランプ領域との間に位置する前記イメージングプレートに対してクランプ力を及ぼすことが可能であり、
前記第1の部分と前記第2の部分とは、前記クランプ位置において前記第1の拘束領域と前記第2の拘束領域との相互作用を介して互いに拘束可能であ
り、
平面状の前記クランプ領域は、前記イメージングプレートに対して凸状に成形された面を有する、装置。
【請求項2】
少なくとも1回のX線撮影のために患者の口腔内にイメージングプレートを保持するための装置であって、
当該装置は、
保持部と、
咬合部と、
前記イメージングプレートのための当接領域と、第1のガイド領域および/またはジョイント領域と、第1の拘束領域とを備えた第1の部分と、
前記イメージングプレートのためのクランプ領域と、前記第1のガイド領域および/またはジョイント領域に対応する第2のガイド領域および/またはジョイント領域と、第2の拘束領域とを備えた第2の部分と
を有し、
前記当接領域と前記クランプ領域とは、相互作用し、かつ前記保持部を形成し、
前記第1のガイド領域および/またはジョイント領域と、前記第2のガイド領域および/またはジョイント領域とは、前記第1の部分と前記第2の部分とが、オープン位置とクランプ位置との間で互いに相対的に移動可能となるように相互作用し、
前記当接領域と前記クランプ領域との間の前記クランプ位置では、前記当接領域と前記クランプ領域との間に位置する前記イメージングプレートに対してクランプ力を及ぼすことが可能であり、
前記第1の部分と前記第2の部分とは、前記クランプ位置において前記第1の拘束領域と前記第2の拘束領域との相互作用を介して互いに拘束可能であり、
前記保持部は、当該保持部の傾きに関して前記咬合部に対して調節可能かつ拘束可能である、装置。
【請求項3】
前記傾きは、前記咬合部に対して75°~95°の間の角度で配置されており、かつ/または調節可能である、請求項2記載の装置。
【請求項4】
少なくとも1回のX線撮影のために患者の口腔内にイメージングプレートを保持するための装置であって、
当該装置は、
保持部と、
咬合部と、
前記イメージングプレートのための当接領域と、第1のガイド領域および/またはジョイント領域と、第1の拘束領域とを備えた第1の部分と、
前記イメージングプレートのためのクランプ領域と、前記第1のガイド領域および/またはジョイント領域に対応する第2のガイド領域および/またはジョイント領域と、第2の拘束領域とを備えた第2の部分と
を有し、
前記当接領域と前記クランプ領域とは、相互作用し、かつ前記保持部を形成し、
前記第1のガイド領域および/またはジョイント領域と、前記第2のガイド領域および/またはジョイント領域とは、前記第1の部分と前記第2の部分とが、オープン位置とクランプ位置との間で互いに相対的に移動可能となるように相互作用し、
前記当接領域と前記クランプ領域との間の前記クランプ位置では、前記当接領域と前記クランプ領域との間に位置する前記イメージングプレートに対してクランプ力を及ぼすことが可能であり、
前記第1の部分と前記第2の部分とは、前記クランプ位置において前記第1の拘束領域と前記第2の拘束領域との相互作用を介して互いに拘束可能であり、
前記第1の部分または前記第2の部分における前記ジョイント領域は、回転軸線と、他方の部分において前記回転軸線に対応する軸受とを有する、装置。
【請求項5】
前記回転軸線は、前記当接領域と前記クランプ領域とが互いに旋回運動を実施することができるように配置されている、請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記当接領域は、イメージングプレートを平面状に支持するための当接面を有する、請求項1
から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記当接面は、前記咬合部に対して75°~95°の間
の角度で配置されている、かつ/または調節可能である、請求項
6記載の装置。
【請求項8】
平面状の前記クランプ領域は、前記イメージングプレートに対して凸状に成形された面を有する、請求項
2から
5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記拘束領域における前記第1の部分および前記第2の部分に、互いに対応する切除部が配置されていて、前記切除部を通して拘束装置を差し込み可能であり、かつこれによって前記第1の部分と前記第2の部分とが互いに拘束可能となっている、請求項1から
5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
前記ガイド領域は、条片ガイド部を有し、
前記条片ガイド部は、前記当接領域と前記クランプ領域とがオープン位置からクローズ位置まで互いにスライド可能となるように、かつこれによって前記クランプ力を前記クランプ領域から前記当接領域に及ぼすことが可能となるように構成されている、請求項1から
5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
前記当接領域と前記クランプ領域との間に間隔が設けられており、
前記間隔は、前記オープン位置では、前記当接領域と前記クランプ領域との間に前記イメージングプレートを挿入可能となるように、かつ前記クランプ位置では、前記イメージングプレートに対して所定のクランプ力が及ぼされるように寸法設計されており、
前記所定のクランプ力は、前記装置の通常の取り扱い時に前記イメージングプレートがクランプされて固定されるように寸法設計されている、
請求項1から
5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
前記当接領域には、当該当接領域の下側の領域において凹状に成形された移行部が形成または/かつ成形されている、
請求項1から
5までのいずれか1項記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、少なくとも1回のX線撮影のために患者の口腔内にイメージングプレートを保持するための装置であって、当該装置は、保持部および咬合部を有する、装置に関する。
【0002】
2.従来技術の説明
このような装置は、イメージングプレートのための保持システムの構成要素である。このような保持システムの目的は、イメージングプレートを患者の口腔内でX線装置に対して位置合わせして保持することである。
【0003】
このような保持システムの通常の構造は、プレート保持部および咬合部を備えた、イメージングプレートを保持するための装置に加えて、装置に取り付けることができるガイドロッドを追加的に含み、このガイドロッドは、保持装置とは反対を向いた側に照準リングを追加的に有することができる。ガイドロッドと、場合によっては照準リングとを用いて、X線装置の位置合わせおよび間隔を設定することができる。
【0004】
X線撮影を実施するために、患者の口腔内に保持装置が挿入される。患者は、固定のために保持装置の咬合部に噛み付き、これにより、保持システムは、噛み合わされる際に顎によって形成される圧力によって固定され、位置合わせされた状態で維持される。
【0005】
イメージングプレートのような記憶媒体は、歯科分野において、例えば前歯の撮影、咬翼の撮影等のような種々の撮影領域および撮影条件のために種々のサイズで使用される。本来のいわゆる口腔内記憶媒体は、X線撮影中、光の入射および/または汚染の可能性から保護する保護シース内に配置される。
【0006】
例えば、イメージングプレートは、スキャナにおいて画像データを読み出すために保護シースから分離される。画像情報の評価が完了した後、イメージングプレートは、消去されて、続いて再度、新しい衛生的な保護シース内に挿入される。すなわち、既に使用されたシースは、破棄される。シースまたはカバーへのイメージングプレートの挿入と、シースまたはカバーからのイメージングプレートの取り外しとが繰り返されることにより、イメージングプレートとシースとの間には、または一般的に記憶媒体とそのカバーとの間には、ある一定の間隔を設ける必要がある。このことは、既存の保持システムによるイメージングプレートの正確な位置決めを複雑にする。
【0007】
国際公開第2018/022564号は、とりわけイメージングプレートのためのホルダを記載している。このホルダは、バイトブロックと、バイトブロックに対して直角に配置された支持板とを有する。支持板は、ばねアームを有し、このばねアームは、イメージングプレートシースに取り付けられたストラップを締め付け、これによってイメージングプレートを支持板に引っ張っている。
【0008】
この保持システムの欠点は、イメージングプレートの保護シースにおいて追加的な保持ストラップが必要となることである。このことは、追加的な製造ステップを意味し、したがって製造コストが増加する。さらに、保持ストラップが伸びたりまたは伸び過ぎたりして、断裂してしまう可能性があり、これにより、シースを取り替えて、イメージングプレートを交換する必要があり、このことにより、最終的にコストが増加することとなる。それとは別に、ストラップは、縫い目の領域において負荷が加わると、シースを形成するフィルム側面を引っ張る。ストラップの張力によって縫い目が損傷する可能性があり、このことは、不所望な汚染をもたらす可能性がある。
【0009】
独国実用新案第8610962号明細書は、咬合プレートと、咬合プレートに対して直角に配置された背面シールドとを有する保持システムを記載している。背面シールドは、上側が円弧状に曲げられており、背面シールドに装着された歯科用フィルムを上から把持している。反対側の下側には、ばね弾性のクランプ片が形成されており、このクランプ片によって、装着された歯科用フィルムに対してクランプ作用が及ぼされる。歯科用フィルムを装着する際には、この歯科用フィルムを比較的強力に曲げなければならない。さらに、クランプ片のクランプ力は、固定されており、例えば歯科用フィルムを挟み込むまたは取り外すために解放することはできない。
【0010】
米国特許第7033075号明細書は、バイトブロックに2つのジョーが取り付けられ、これら2つのジョーの間にセンサをクランプすることができる保持システムを記載している。バイトブロックとは反対側にあるジョーは、ねじを用いて他方のジョーに対して相対的に調整可能であり、これによってセンサに対する押し付け力を形成および設定することができる。この構造の欠点は、機械の構造が複雑であり、これに伴って消毒が困難なことである。これに加えてさらに、この構造は、イメージングプレートとは異なる剛性のセンサにしか適していない。なぜなら、イメージングプレートであれば、手動で印加されるべき押し付け圧力によって損傷を受ける可能性があるからである。
【0011】
国際公開第2010/138684号にも、センサのための、ただしイメージングプレートのためではない保持システムを記載しており、この保持システムは、ゴムバンドによって接続された2つのクランプジョーを有し、これら2つのクランプジョーの間に記憶センサが配置される。この装置も、イメージングプレートのためは適していない。なぜなら、イメージングプレートは、この形式の保持のために必要とされる剛性を有していないからである。
【0012】
欧州特許出願公開第0314506号明細書は、X線画像上にマーキングを残す、X線フィルムを保持するためのバイトブロックを記載している。これらのマーキングから、これらのマーキングに対する放射源の位置合わせを推定することができる。
【0013】
発明の概要
本発明の課題は、簡単に消毒することができ、記憶媒体を安全かつ穏やかに保持することを可能にすると共に、患者にある程度の快適さを提供することも可能にするような、患者の口腔内に記憶媒体を保持するための装置を提示することである。とりわけ、X線撮影プロセスの間、記憶媒体に対して規定されたクランプ力を加えることができるが、記憶媒体をホルダに装填するためにそのクランプ力を解除することができるか、または少なくとも低減することができることが望ましい。イメージングプレートの取り出しは、クローズ状態において、イメージングプレートに印加されたクランプ力を克服することによって実施可能である。
【0014】
上記の課題は、独立請求項に記載の装置によって解決される。本発明のさらなる実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0015】
少なくとも1回のX線撮影のために患者の口腔内にイメージングプレートを保持するための本発明による装置は、保持部および咬合部を有し、イメージングプレートのための当接領域と、第1のガイド領域および/またはジョイント領域と、第1の拘束領域とを備えた第1の部分を有し、かつクランプ領域と、第1のガイド領域および/またはジョイント領域に対応する第2のガイド領域および/またはジョイント領域と、第2の拘束領域とを備えた第2の部分を有する。当接領域とクランプ領域とは、相互作用し、かつ保持部を形成する。第1のガイド領域および/またはジョイント領域と、第2のガイド領域および/またはジョイント領域とは、第1の部分と第2の部分とが、オープン位置とクランプ位置との間で互いに相対的に移動可能となるように相互作用する。クランプ位置では、当接領域とクランプ領域との間に位置する記憶媒体に対してクランプ力を及ぼすことが可能または印加可能である。第1の部分と第2の部分とは、クランプ位置において第1の拘束領域と第2の拘束領域との相互作用を介して互いに相対的に拘束可能である。
【0016】
本発明による装置は、その構造によって複数の利点を有する。互いに対応し、かつ相互作用する両ガイド領域および/または両ジョイント領域によって、クランプ位置では、記憶媒体に及ぼされるクランプ力が印加されるように、かつオープン位置では、クランプ力が印加されないか、またはわずかなクランプ力しか印加されないように、ガイドしながら相対運動を実施することができる。このことにより、記憶媒体を危険なく、場合によっては片手で装置の保持部に挿入すること、または保持部から取り外すことが可能となる。クランプ位置において第1の部分と第2の部分とを互いに相対的に固定する拘束手段によって、事前に規定されたクランプ力を記憶媒体に及ぼすことができる。クランプ領域における位置決めの誤りまたは記憶媒体への局所的な損傷によって発生する可能性のある、X線写真の作成時のエラー影響が、このことによって最小限に抑えられる。2つの部分から構成されていることにより、これらの部分を互いに分離することが可能であり、これにより、滅菌のためにこれらの部分に簡単にアクセスすることが可能となる。
【0017】
本発明の1つの実施形態では、保持部は、第1の部分がユーザの人差し指と中指との間に確実に保持されることを可能にする人間工学的な領域を有することができ、他方でユーザの親指が人間工学的に当接することによって、装置をクランプ位置へと移行させることができる。
【0018】
本発明のさらなる実施形態では、当接領域は、記憶媒体を平面状に支持するための、実質的に平面状に形成された当接面を有する。これにより、当接面は、X線撮影中に記憶媒体を屈曲および湾曲なく位置決めすることを支援する。
【0019】
記憶媒体に作用するクランプ力は、クランプ領域の形状によって好ましくは線形に印加され、このことは、有利には、この時点で保持装置を完全に解体することなく、記憶媒体を保持装置から簡単に取り外すことを可能にする。保持装置は、X線撮影が実施されて記憶媒体が取り外された後、容器内に一時的に保管され、後々の時点において消毒のために分解される。
【0020】
有利には、記憶媒体のための当接面を、咬合部に対して75°~95°の間、好ましくは80°~90°の間の角度で配置することができる。80°~90°の間で前方に傾けることにより、X線照射領域のできるだけ近くに記憶媒体を位置決めすることが支援される。このX線照射領域は、網羅的な列挙ではないが、例えば歯の領域、顎の領域、またはインプラントの領域であってよい。好ましい実施形態では、ラッチ、例えば歯車に係合するラッチ突出部を設けることができ、このラッチによって当接面の傾きを、所望の撮影のために個別に調節可能にすることができる。
【0021】
本発明のさらなる実施形態では、保持部は、当該保持部の傾きに関して咬合部に対して調節可能かつ拘束可能であってよい。したがって、保持部と咬合部との間の傾き角度を個別に設定することができ、保持装置を、口腔内の状況に合わせてより良好に適合させることができる。
【0022】
好ましくは、傾きは、咬合部に対して75°~95°の間、好ましくは80°~90°の間の角度で配置可能かつ/または調節可能である。
【0023】
さらなる好ましい実施形態では、拘束領域における第1の部分および第2の部分に、互いに対応する切除部が配置されていて、切除部を通して拘束装置を差し込み可能であり、かつこれによって第1の部分と第2の部分とが互いに拘束可能となっている。好ましくは、これらの切除部は、このためにそれぞれ同じにまたは非常に類似して寸法設計されており、拘束プロセスのために互いに整列している。拘束装置は、例えばターゲットロッドの一部であってよい。このようにして、クランプ位置において保持装置をロックまたは拘束することができる。
【0024】
保持装置によって、規定された力をクランプ領域から当接領域に及ぼすことができ、したがって、所定のクランプ力を形成することができる。この場合、このようにして形成されるクランプ力とは、保持装置によって保持されている記憶媒体を、クランプ位置を解除することなく引き抜くために印加しなければならない力である。このクランプ力は、1つの実施形態では、例えば1.8N~4.2Nの範囲内、好ましくは2.2N~3.4Nの範囲内、特に好ましくは2.5N~3.0Nの範囲内であってよい。このサイズオーダのクランプ力は、記憶媒体のずれまたは脱落を確実に防止する。上述したように、(例えば、包囲している保護プレートまたは保護チューブのようなカバーを備えた)記憶媒体は、X線撮影の実施後、保持装置を解体することなく、またはクランプ位置を解除することなく、クランプ力を克服することにより、例えば記憶された(画像)データを読み出すために保持装置から引き抜くことができる。
【0025】
クランプ力の実際の大きさは、一連の要因によって影響を受ける。すなわち、例えば、挿入中および/またはX線撮影中に記憶媒体またはカバーの表面、当接領域の表面、および/またはクランプ領域の表面に被着される液体のような口腔内の水分によって表面摩擦が変化する可能性があり、クランプ位置において保持装置によって記憶媒体に加えられる力は、製造誤差によって変動する可能性があるか、または動作中の材料の破損および/または材料の膨張によって変化する可能性がある。
【0026】
測定プロセスにおけるクランプ力の大きさも、引き抜きの速度と、その際に発生する滑りおよび/または変形滑りとによって、かつ部分的な摺動によって影響を受ける可能性がある。
【0027】
1つの実施形態では、拘束装置は、X線装置を位置合わせするためのターゲット装置を有する。
【0028】
さらなる実施形態では、ガイド領域は、条片ガイド部を有し、条片ガイド部は、当接領域とクランプ領域とが互いに相対的にスライド可能となるように、かつとりわけ当接領域とクランプ領域との間に記憶媒体が配置されている場合には、これによってクランプ力をクランプ領域から当接領域に及ぼすことが可能となるように構成されている。条片ガイド部は、例えば、溝・条片ガイド部として構成可能である。このような条片ガイド部は、技術的に簡単に実現可能であり、滅菌する目的で第1の部分と第2の部分とを簡単に分離することを可能にし、装置を片手で簡単に操作することを可能にする。
【0029】
当接領域とクランプ領域とを相対的にスライド可能にすることに代えて、第1の部分または第2の部分におけるジョイント領域は、回転軸線と、他方の部分において回転軸線に対応する軸受とを有することができる。
【0030】
好ましくは、回転軸線は、当接領域とクランプ領域とが互いに相対的に旋回運動を実施するように配置されている。このことによっても、クランプ位置およびオープン位置を実現することが可能である。拘束領域において2つの部分を互いに固定することと組み合わせて、これによって同様に、記憶媒体に対して1.8N~4.2N、好ましくは2.2N~3.4Nの間の範囲内、特に好ましくは2.5N~3.0Nの間の範囲内の規定された当接力を実現することができ、既に上述したようにクランプ力を克服することによって記憶媒体の取り外しを実現することができる。
【0031】
全体として、当接領域とクランプ領域との間に間隔が設けられており、間隔が、オープン位置では、当接領域とクランプ領域との間に記憶媒体を挿入可能となるように、かつクランプ位置では、記憶媒体に対して所定のクランプ力が及ぼされるように寸法設計されていると、有利である。
【0032】
1つの実施形態では、当接領域とクランプ領域との間の間隔を、それぞれ挿入されるべき記憶媒体に応じて変化させることができる。
【0033】
これと同時にまたはこれに代えて、印加されるクランプ力を、例えば上に挙げた範囲内で変化させることができる。所要のクランプ力の実現も、装置の固定も、記憶媒体のサイズに応じて拘束装置を挿入可能な、本発明に従って配置された拘束領域によって保証される。
【0034】
本願の枠内における記憶媒体という用語は、優先的に、イメージングプレートと、少なくとも1回のX線撮影のためにイメージングプレートが内部に設けられた保護シースとを一緒に含むものとする。しかしながら、その時々の実施形態に応じて、記憶チップ、記憶センサ、および記憶フィルムへの本発明の適用、ならびに場合によっては追加的にそれぞれの保護カバーも、保護の範囲内に一緒に含まれるものとする。
【0035】
以下では、本発明の各実施例について図面に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】オープン位置におけるベース部分およびスライド部分を備えた記憶媒体ホルダの第1の実施形態の斜視図である。
【
図3】ベース部分およびスライド部分がクランプ位置にある、
図2の側面図である。
【
図4】
図1~
図3の記憶媒体ホルダのベース部分の斜視図である。
【
図5】
図1~
図3の記憶媒体ホルダのベース部分の側面図である。
【
図6】
図1~
図3の記憶媒体ホルダのスライド部分の斜視図である。
【
図7】
図1~
図3の記憶媒体ホルダのスライド部分の側面図である。
【
図8】拘束装置が取り付けられた状態の、クランプ位置における第1の実施形態の斜視図である。
【
図9】オープン位置における第2の実施形態の側面図である。
【
図10】クランプ位置における第2の実施形態の側面図である。
【
図11】オープン位置における記憶媒体ホルダの1つの実施形態の側面図である。
【
図12】オープン位置における記憶媒体ホルダの1つの実施形態の平面図である。
【0037】
好ましい実施例の説明
第1の実施例
図1および
図2は、本発明による記憶媒体ホルダ100の第1の実施形態を示す。記憶媒体ホルダ100は、ベース部分102およびスライド部分104を含む。ベース部分102は、
図4の斜視図および
図5の側面図において別個に示されており、スライド部分104は、
図6の斜視図および
図7の側面図において別個に示されている。
【0038】
記憶媒体ホルダ100は、保持部106および咬合部108を有する。保持部106は、ベース部分102の側では、平面状に形成された当接面110を備えた当接領域109によって形成され、スライド部分104の側では、クランプ領域112によって形成される。平坦に形成された当接面110は、(通常、保護シース内に設けられた)記憶媒体を支持することができるように構成されており、したがって、企図された形状(通常、平坦)を取ることができる。
【0039】
クランプ領域112は、
図2において良好に見て取れるように、当接領域109に対して凸状に成形されたクランプ面114を有する。図示の実施形態では、クランプ面114は、全体的に円筒形に形成されており、湾曲円筒体の長手方向軸線は、当接面110に対して実質的に平行に延在している。このようにして、円筒軸線に沿ってクランプ面114から当接面110に対して、またはクランプ面114と当接面110との間に位置する記憶媒体(図示せず)に対して、押し付け力を均一に加えることができる。
【0040】
咬合部108は、軸線Aに沿って当接面110に対して実質的に垂直に延在している。当接面110と軸線Aとが形成する角度は、例えば75°~95°の間、好ましくは80°~90°の間であってよい。
【0041】
保持部106の当接面110が咬合部108に移行する箇所には、凹状に成形された移行部115が設けられているか、または形成もしくは成形されている。この凹状に成形された移行部115は、当接領域109とクランプ領域112との間の領域に挿入される記憶媒体、とりわけイメージングプレートの、挿入プロセスにおいて前方に位置することとなるその縁部が、表面に激しく衝突することなく優しく摺動することができるように構成されており、したがって、例えば比較的敏感なイメージングプレートの場合に、またはイメージングプレートを包囲している保護スリーブの場合に当てはまりうるような記憶媒体の縁部の損傷を、例えば回避することができるように構成されている。
【0042】
咬合部108の領域において、ベース部分102は、第1のガイド領域116を有し、スライド部分は、対応する第2のガイド領域118を有する(
図4および
図6を参照)。図示の実施形態では、ガイド領域116,118は、引き出し式のガイドと同様の方法で相互作用する。すなわち、第1のガイド領域116において、ベース部分102に2つの条片120(図面では1つの条片120だけが見える。例えば、
図4を参照)が取り付けられており、これらの条片120は、互いに対向するように位置しており、スライド部分104の第2のガイド領域118の溝122,124に係合する。条片120と、対応する溝122,124とは、図示の実施形態では部分的に中断されるように形成されており、これにより、一方では、後述する拘束装置のためのスペースが得られ、それと同時に、できるだけベース部分102とスライド部分104との移動範囲の全長にわたって溝・条片ガイド部によるガイドが得られるようになっている。
【0043】
溝・条片ガイド部は、図示の実施形態では咬合部108の長手方向軸線Aに対して平行に延在している。しかしながら、これは必須ではなく、長手方向軸線Aと溝・条片ガイド部との間に角度オフセットを設けてもよいし、かつ/または1つまたは複数の中断部を設けてもよい(図示せず)。
【0044】
ベース部分102とスライド部分104との間のスライドは、上述した溝・条片ガイド部によって実現可能となる。したがって、スライド部分104を、(本実施例では、長手方向軸線Aに対して平行な)引き出しの軸線に沿ってベース部分102に対してスライドさせることができる。これにより、記憶媒体ホルダ100をオープン位置からクランプ位置に、かつその逆に移行させることができる。
【0045】
オープン位置は、
図1および
図2に示されている。ここでは、当接面110とクランプ面114との間に、記憶媒体を簡単に挟み込めるようにするための間隔が設けられている。記憶媒体の種類(イメージングプレート、記憶センサ、記憶チップ、記憶フィルム等)に応じて、挟み込むための間隔を適切に寸法設定することができる。
【0046】
これに対して、
図3に示されているクランプ位置では、スライド部分104がベース部分102内に最大限に押し込まれている。これに応じて、当接面110とクランプ面114との間の間隔は、挟み込まれた記憶媒体に当接力または押し付け力が印加されるようになっている。2つの面の間に位置する記憶媒体に対しては、とりわけ1.8N~4.2Nの範囲内、好ましくは2.2N~3.4Nの間の範囲内、特に好ましくは2.5N~3.0Nの間の範囲内のクランプ力が発生するように、所定の当接力が及ぼされる。この当接力により、一方では、記憶媒体が当接面110に当接し、他方では、発生するクランプ力に基づいて記憶媒体が滑落または脱落から保護されることとなる。
【0047】
所望の当接力と、その結果として生じるクランプ力とを達成するために、保持装置100は、記憶媒体の所定の厚さに合わせて、かつ記憶媒体に最大限印加可能な当接力に合わせて調整されているか、または調整可能である。記憶媒体の例示的な厚さは、イメージングプレートの場合には、200μm~1000μmの間、とりわけ300μm~900μmの間、例えば340±40μmまたは760±80μmであり、記憶センサの場合には、5mm~8mmの間、とりわけ5.5mm~7.5mmの間、例えば6.4mmである。
【0048】
クランプ位置においてベース部分102とスライド部分104とを滑落から保護するため、または拘束するために、それぞれベース部分102とスライド部分104とに少なくとも1つの拘束領域126,128が設けられている。拘束領域126,128は、ここでは例示的に孔部として形成されている一対の開口部130,132/134,136によってそれぞれ実現されており、これらの開口部130,132と134,136とは、企図されたクランプ位置において互いに整列している。開口部130~136は、図示の実施形態では円筒形に形成されている。しかしながら、網羅的な列挙ではないが、例えば正方形、三角形、台形、または楕円形の断面を有するような他の形状も可能である。
【0049】
ベース部分102の拘束領域126の開口部130,132がスライド部分104の拘束領域128の孔部134,136と整列している場合には、こうして生じた整列している切除部内に、拘束装置152(
図8を参照)を挿入すること、例えば差し込むことができる。拘束装置は、例えばターゲットロッドまたはガイドロッド150であってよく、このターゲットロッドまたはガイドロッド150に、拘束装置152を成形することができる。拘束領域126,128は、対で形成されているので、ターゲットロッド150の空間的な固定を簡単な手段によって達成することができる。ただし、このことは、ただ1つの整列している切除部を備えた開口部を、既に述べたように適切に(正方形、三角形、台形、楕円形等)成形するだけでも可能であろう。
【0050】
これに代わる実施形態では、拘束領域126,128による上述した拘束手段に加えて、ベース部分102とスライド部分104とのロックをラッチ突起等によって達成することができる。このような拘束装置は、
図4および
図5において見て取ることができる。側方の領域(ここでは、本実施例では条片120の下方)において、ベース部分102にラッチ面140が取り付けられている。このラッチ面140は、例えば、個々の突出したリブ、窪み部、または例えば波状に成形された表面を有することができる。ラッチ面140は、スライド部分104に設けられた1つまたは複数のラッチカム142に対応する。ラッチカム142の形状は、所望のラッチ作用を達成するためにラッチ面140の表面の形状と相互作用する。さらに、ラッチカム142は、弾性に形成可能である。このことは、
図6において見て取ることができる。ラッチカム142は、ばねアーム144の端部に取り付けられており、したがって、ラッチの際にラッチ面140の表面上を摺動するときには、ラッチ面140の表面の方向に窪み部内へと移動することができ、隆起部を克服すると、ばねアーム144のばね力を克服しながらこの窪み部から離れる方向へと振れ動くことができる。
【0051】
図8は、クランプ位置における記憶媒体ホルダ100の上述した実施形態を斜視図で示し、すなわち、スライド部分104は、スライド軸線Aに沿ってベース部分102内に完全に押し込まれている。この位置では、ベース部分102とスライド部分104とのある一定の相対的な拘束が、ラッチ突起142/ラッチ面140という拘束装置によって既に実現されている。
【0052】
しかしながら、患者の口腔内での取り扱いのために、基本的に互いにスライド自在である2つの部分102,104の絶対的に確実なロックを達成するという目的で、ターゲットロッド150に取り付けられた拘束装置152を用いて、既に上で説明したような拘束を実施することができる。ターゲットロッド150に拘束装置152を配置すること、または拘束装置152とターゲットロッド150とを組み合わせることは、装置全体に鑑みて有利ではあるが、基本的に、ターゲットロッド150を用いることなく拘束装置152を使用することも可能である。
【0053】
既に上で示したように、拘束装置は、開口部130,132/134,136のうちの少なくとも1つと係合することができるように幾何学的に成形された少なくとも1つの拘束ピンを含む。
図8に示されている実施例では、2つの円筒状の拘束ピン154,156が設けられており、これらの拘束ピン154,156を、ベース部分102の拘束領域126の開口部130,132内に挿入することができ、続いて、スライド部分104の拘束領域128の孔部134,136内にも挿入することができる。これらの拘束ピン154,156が拘束領域126,128の孔部内に留まっている限り、両部分102,104の互いの相対運動は不可能であり、当接面110とクランプ面114との間に位置する、例えばイメージングプレート(通常、保護シースを備える)のような記憶媒体も、これによって確実に保持またはクランプすることができる。
【0054】
さらに、スライド部分104にはさらなる開口部158,159が設けられている(
図3参照)。例えば、ベース部分102に近い方の開口部158は、同様に、ベース部分102とスライド部分104との拘束を達成するために拘束ピン154を収容するために設けられていてよい。さらなる開口部159は、ベース部分102とスライド部分104との拘束をもたらすことなく、開口部158と一緒にターゲットロッド150の拘束ピン154,156の収容を可能にすることができる。
【0055】
第2の実施例
図9および
図10は、記憶媒体ホルダ200の第2の実施形態を側面図で示す。記憶媒体ホルダ200は、ベース部分202および旋回部分204を有する。
図9は、オープン位置における記憶媒体ホルダ200を示し、
図10は、クランプ位置における記憶媒体ホルダ200を示す。
【0056】
図1~
図8に示されているような記憶媒体ホルダ100と同様に、
図9および
図10の記憶媒体ホルダ200も保持部206および咬合部208を有する。この点に関して、記憶媒体ホルダ200は、
図1~
図8の記憶媒体ホルダ100と広範囲に及んで同様に構成されているので、同じまたは非常に類似した特徴を改めて説明することは省略する。その代わりに、図面および以下の説明では、同じまたは非常に類似した特徴に対して100が加えられた参照符号が使用される。
【0057】
図1~
図8の記憶媒体ホルダ100とは異なり、
図9および
図10の記憶媒体ホルダ200の場合には、
図9のオープン位置と
図10のクランプ位置との間で切り替わるための相対運動が旋回運動または回転運動によって実施され、この旋回運動または回転運動では、旋回部分204が軸線Rを中心にして回転する。この軸線は、回転式または固定式の軸線として、別個のもの(第3の構成要素)として、またはベース部分202もしくは旋回部分204に成形された軸線部として構造的に構成可能である。ベース部分202と旋回部分204とを、回転軸線を介して互いにしっかりと連結することもできる。これに代えて、ベース部分202と旋回部分204とを、互いの所定の回転位置において(例えば、オープン位置において)互いの中に差し込むことができるようにし、所定の回転角度の後に互いに連結されるようにしてもよい。
【0058】
第3の実施例
図11および
図12は、記憶媒体ホルダ300の第3の実施形態を側面図および平面図で示す。記憶媒体ホルダ300も、第1の実施例と同様にベース部分302およびスライド部分304を有する。同じまたは同等の特徴が多数あるので、繰り返しを避けるためにそれらについて改めて説明することは省略する。その代わりに、同じまたは同等の特徴には(第1の実施例と比較して)200が加えられた参照符号が付されている。
【0059】
記憶媒体ホルダ300も、(簡単に言えば)保持部306を有し、この保持部306は、ベース部分302における平面状の当接面310と、スライド部分304における凸状に成形されたクランプ面314を備えたクランプ領域312とを有する。記憶媒体ホルダ300にも、咬合部308が設けられている。咬合部308において、ベース部分302に、人間工学的に成形された第1の領域360が設けられている。この第1の領域360は、スライド部分304の端面に成形された第2の人間工学的な領域362に対応する。
【0060】
保持部306において記憶媒体を収容または保持するために、操作者は、例えば自分の左手で、自分の中指が第1の人間工学的な領域360に置かれるように、人差し指がこの第1の人間工学的な領域360の反対側において記憶媒体ホルダ300の上面364に当接するように、かつ親指が第2の人間工学的な領域363に当接するように、記憶媒体ホルダ300を把持することができる。次いで、操作者は、右手で記憶媒体を保持部306に挿入し、人間工学的な領域362に親指を押し付けることによって、当接面310とクランプ面314との間に記憶媒体(図示せず)を十分に保持するために必要とされる保持力を印加することができる。
【0061】
図1~
図8の実施形態とのさらなる相違点では、当接面310が、軸線Aに対して中心に配置されておらず、なお、この軸線Aに沿って咬合部308が延在しており、ベース部分302に対するスライド部分304のスライド移動もこの軸線Aに沿って実施される。同じことがクランプ面314にも当てはまる。むしろ、当接面310およびクランプ面314は、この長手方向軸線Aに対して側方にオフセットされて配置されている。このような配置は、例えば電圧給電用またはデータ伝送用の接続線路を有する記憶媒体にとって有利である。この場合には、これらの接続線路を、咬合部308の下側の領域において長手方向軸線Aに沿って、例えば対応して取り付けられたケーブルクリップまたはケーブルクランプ(図示せず)へと押し込むことができるように、記憶媒体を、とりわけ記憶センサを保持部306に挿入することができる。このために、当接面310とクランプ面314の側方の配置は、記憶センサ自体のケーブル管理のための十分なスペースを提供する。
【0062】
第1の実施形態と同様に、ベース部分302では、ベース部分302の拘束領域324に開口部330,332が設けられており、スライド部分304の拘束領域にも、開口部334,336(
図11では開口部336だけが見える)が設けられている。第1の実施形態と同様に、これらの開口部330~336内にターゲットロッドまたはガイドロッド150を挿入して、ベース部分302とスライド部分304とをクランプ位置において一緒に拘束またはロックすることができる。
【0063】
これに加えてまたはこれに代えて、クランプ位置におけるこのロックまたは拘束を、第1の実施形態において既に説明したようなベース部分302とスライド部分304との間のラッチ機構によって実現することもできる(
図11および12には図示せず)。このラッチは、ラッチ機構の適切な操作要素を介して操作者にとって解除自在であるので、ベース部分302とスライド部分304とを、例えば滅菌のために分離することができる。