IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イビケン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-構造物の組み立て方法 図1
  • 特許-構造物の組み立て方法 図2
  • 特許-構造物の組み立て方法 図3
  • 特許-構造物の組み立て方法 図4
  • 特許-構造物の組み立て方法 図5
  • 特許-構造物の組み立て方法 図6
  • 特許-構造物の組み立て方法 図7
  • 特許-構造物の組み立て方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】構造物の組み立て方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 37/02 20060101AFI20240502BHJP
   A47B 96/18 20060101ALI20240502BHJP
   A47B 96/20 20060101ALI20240502BHJP
   E04B 1/64 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
B32B37/02
A47B96/18 A
A47B96/20 A
E04B1/64 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022209607
(22)【出願日】2022-12-27
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】391034488
【氏名又は名称】イビケン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】稲角 賢
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 大地
(72)【発明者】
【氏名】市川 和代
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-232305(JP,A)
【文献】特開平11-216807(JP,A)
【文献】特開平09-029919(JP,A)
【文献】特開平11-182145(JP,A)
【文献】特開平06-280376(JP,A)
【文献】特開平09-174767(JP,A)
【文献】特開2017-080908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
A47B 96/00-96/20
E04B 1/62-1/99
E04F 13/00-15/22
E06B 3/00-3/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋の室内に構造物を組み立てる構造物の組み立て方法であって、
板材と、前記板材に積層されている防湿シートと、を備える組み立て用パネルであって、前記防湿シートは、下地用の紙層と、合成樹脂層とを積層して構成されており、前記紙層が表層をなすように前記組み立て用パネルを成形する加工工程と、
前記部屋を構成する床、天井又は壁に対して前記組み立て用パネルを取り付けることで前記構造物を組み立てる組立工程を行い、
前記組立工程の後に、前記構造物を構成している前記組み立て用パネルが有する前記紙層に仕上げ材を貼り付ける仕上工程を行う
構造物の組み立て方法。
【請求項2】
前記組立工程では、前記部屋を構成する壁のうち少なくとも一つの壁と、複数枚の組み立て用パネルと、を組み合わせて前記構造物として箱体を組み立てる
請求項に記載の構造物の組み立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み立て用パネルを用いる構造物の組み立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、家具等の表面材として用いられる化粧板が開示されている。特許文献1に開示されている化粧板は、一方の面に積層されている化粧層としての化粧シートと、他方の面に積層されている防湿層とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-29919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているような化粧板を部屋に搬入してから室内で施工を行おうとすると、化粧シートが表層に露出しているために搬入の過程で化粧シートに汚れ、傷等が付くおそれがある。たとえば、搬入中及び施工中に化粧シートが汚損することがある。また、施工後であっても周囲で行う他の施工によって化粧シートが汚損する場合もある。こうした化粧シートの汚損を抑制するために、たとえば、化粧板を保護する梱包材及び養生材等を用意する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための組み立て用パネルは、部屋の室内に構造物を組み立てるための組み立て用パネルであって、板材と、前記板材に積層されている防湿シートと、を備え、前記防湿シートは、下地用の紙層と、合成樹脂層とを積層して構成されており、前記紙層が当該組み立て用パネルの表層をなしていることを要旨とする。
【0006】
上記構成によれば、組み立て用パネルの表層が下地用の紙層であることで、組み立て用パネルを搬入する際に組み立て用パネルの化粧層を保護する梱包材等を用意しなくてよい。なお、組み立て用パネルの表層には、組み立て用パネルを組み立てた後に、組み立て用パネルを装飾する化粧層としての仕上げ材を貼ることができる。
【0007】
上記組み立て用パネルの一例では、前記構造物は、前記部屋を構成する壁のうち少なくとも一つの壁と、複数枚の組み立て用パネルと、を組み合わせて組み立てられる箱体である。
【0008】
上記構成によれば、箱体を構成する面として部屋の壁を利用することで、組み立て用パネルのみによって箱体を組み立てる場合と比較して、箱体に使用する組み立て用パネルの枚数を減らすことができる。
【0009】
上記課題を解決するための構造物の組み立て方法は、部屋の室内に構造物を組み立てる構造物の組み立て方法であって、板材と、前記板材に積層されている防湿シートと、を備える組み立て用パネルであって、前記防湿シートは、下地用の紙層と、合成樹脂層とを積層して構成されており、前記紙層が表層をなすように前記組み立て用パネルを成形する加工工程と、前記部屋を構成する床、天井又は壁に対して前記組み立て用パネルを取り付けることで前記構造物を組み立てる組立工程を行うことを要旨とする。
【0010】
上記方法によれば、表層が下地用の紙層である組み立て用パネルを用いて構造物の組み立てを行うため、組み立て用パネルを部屋に搬入する際に組み立て用パネルの化粧層を保護する梱包材等を用意しなくてよくなる。
【0011】
上記構造物の組み立て方法は、前記組立工程では、前記部屋を構成する壁のうち少なくとも一つの壁と、複数枚の組み立て用パネルと、を組み合わせて前記構造物として箱体を組み立てる。
【0012】
上記方法によれば、箱体を構成する面として部屋の壁を利用することで、組み立て用パネルのみによって箱体を組み立てる場合と比較して、箱体に使用する組み立て用パネルの枚数を減らすことができる。
【0013】
上記構造物の組み立て方法は、前記組立工程の後に、前記構造物を構成している前記組み立て用パネルが有する前記紙層に仕上げ材を貼り付ける仕上工程を行う。
上記方法によれば、表層が紙層である組み立て用パネルを用いて部屋で構造物を組み立てた後に、構造物の表面である組み立て用パネルの紙層に仕上げ材を貼り付けることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の構造物の組み立て方法によれば、紙層が表層を構成している状態の組み立て用パネルを用いて、構造物を組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第1実施形態の組み立て用パネルを示す平面図である。
図2図2は、図1の組み立て用パネルにおける断面構造を示す図であり、2-2線に沿った断面図である。
図3図3は、図1の組み立て用パネルを壁に取り付ける一例を示す模式図である。
図4図4は、第2実施形態の組み立て用パネルを示す平面図である。
図5図5は、第3実施形態の構造物を示す立面図である。
図6図6は、図5の構造物を示す斜視図である。
図7図7は、第4実施形態の構造物を示す立面図である。
図8図8は、図7の構造物を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
[組み立て用パネル]
組み立て用パネルの第1実施形態であるパネル100について、図1図3を参照して説明する。
【0017】
図1および図2は、板状のパネル100を示す。図2に示すように、パネル100は、板材130を備えている。図2に示すように、パネル100は、板材130に積層されている防湿シート140を備えている。図2の(a)は、パネル100の断面構造、及びパネル100を取り付ける床を示す。図2の(b)は、パネル100が備える板材130及び防湿シート140を拡大して示す。
【0018】
図1には矩形のパネル100を例示しているが、パネル100の形状は、これに限らない。たとえば、パネル100は、正方形、長方形、平行四辺形、台形等の四角形でもよい。たとえば、パネル100は、四角形以外の多角形でもよい。たとえば、パネル100は、多角形の一辺に別の多角形が取り付けられているような形状でもよい。
【0019】
パネル100の一例は、フラッシュ構造のパネルである。すなわち、パネル100は、二枚の板材130を備えている。パネル100は、板材130が貼り付けられている芯材120を備えている。図1に示すように、パネル100は、芯材120として、パネル100の四辺を囲う第1枠材121、第2枠材122、第3枠材123及び第4枠材124を備えている。図2に示すように、パネル100は、空洞S1を備えている。パネル100は、第1枠材121、第2枠材122、第3枠材123、第4枠材124及び板材130によって囲まれた空間として空洞S1を備えている。
【0020】
芯材120としては、たとえば集成材、合板、LVL、パーティクルボード等の木質材料を採用できる。芯材120は、無垢材でもよい。
板材130の一例は、MDFである。板材130は、合板、パーティクルボード等でもよい。
【0021】
防湿シート140は、紙層141と合成樹脂層142とを備えている。
紙層141の一例は、薄葉紙である。薄葉紙の具体例としては、印刷用紙、強化紙等が挙げられる。紙層141は、和紙、石膏ボード用原紙等でもよい。
【0022】
合成樹脂層142を構成する合成樹脂としては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
防湿シート140の一例は、二つの紙層141によって合成樹脂層142が挟まれている三層構造のシートである。二つの紙層141は、同じ種類でもよいし異なる種類でもよい。
【0023】
防湿シート140は、パネル100の両面、すなわち両方の板材130に貼り付けられている。
防湿シート140が板材130に積層されているパネル100は、紙層141が表層を構成している。たとえば、パネル100では、板材130、紙層141、合成樹脂層142、紙層141の順に積層されている。
【0024】
なお、積層構造における各層の間には、重ねられている層を接着する接着剤層があってもよい。たとえば、板材130と紙層141との間に接着剤層があってもよい。図2では、接着剤層の図示を省略している。接着剤は、酢酸ビニル接着剤等の公知の接着剤を使用できる。
【0025】
パネル100の厚さは、特に制限されない。なお、パネル100の厚さは、板材130の面に対して垂直方向におけるパネル100の寸法である。芯材120の厚さ、及び板材130の厚さをそれぞれ調整することによって、パネル100の厚さを変更することができる。一例として、パネル100の厚さは、造作壁よりも薄いことが好ましい。
【0026】
[組み立て用パネルを用いた構造物]
パネル100は、部屋の室内に取り付ける構造物を組み立てるために用いることができる。構造物としては、たとえば、扉、間仕切り、壁掛け棚、箱体等が挙げられる。箱体の具体例としては、たとえば、収納棚、ベッド、ワードローブ、キッチンカウンター、作業台、机等が挙げられる。
【0027】
構造物は、パネル100のみによって構成してもよいし、パネル100以外の部材を備えていてもよい。
たとえば、箱体は、部屋を構成する壁のうち少なくとも一つの壁と、複数枚のパネル100と、を組み合わせて組み立てられていてもよい。「少なくとも一つの壁」という表現は、「一つの壁のみ」又は「二つ以上の任意の壁の組み合わせ」を意味する。
【0028】
[組み立て用パネルの取り付け方法]
パネル100を取り付ける方法は、フラッシュ構造のパネルに適用できる公知の方法を採用できる。たとえば、パネル100の取り付けは、芯材120を床91等に固定することで行われる。
【0029】
図2及び図3には、雇実98を用いる例を示す。
図2に示す例では、パネル100を取り付ける床91に雇実98を予め取り付けている。第4枠材124は、雇実98を嵌め合わせることができる凹部124aを備えている。凹部124aに雇実98を嵌め合わせることで、パネル100を床91に取り付けることができる。
【0030】
図3に示す例では、パネル100を取り付ける壁93に雇実98を予め取り付けている。凹部124aに雇実98を嵌め合わせることで、パネル100を壁93に取り付けることができる。
【0031】
なお、パネル100を取り付ける場合には、図3に示すように、凹部124aに雇実98を嵌め合わせた状態で、さらに、ねじ止めすることが好ましい。図3は二本のねじ99を用いてねじ止めしている例を示す。
【0032】
パネル100は、隣り合う他のパネルと連結することもできる。
たとえば、平行に並べた2枚のパネル100を連結することができる。一例を説明する。一方のパネルの芯材には凹部を形成する。他方のパネルの芯材には凸部を形成する。凹部及び凸部は相補的な形状とする。凹部と凸部とを嵌め合わせることによって、パネル100同士を連結することができる。パネル100同士を連結する場合には、凹部と凸部とを嵌め合わせた状態で、さらにねじ止めすることが好ましい。なお、他方のパネルの芯材に形成する凸部は、たとえば、当該芯材に形成した凹部に嵌め込んだ雇実を固定して凸形状にしたものを採用できる。凹部への雇実の固定は、たとえば、ねじ止め、接着等によって行うことができる。あるいは、他方のパネルの芯材に形成する凸部は、芯材自体が凸形状に形成されていてもよい。
【0033】
たとえば、直角をなすように配置した2枚のパネル100を連結することもできる。パネル100が備えるそれぞれの芯材を一本のねじが通るようにねじ止めすることによって、パネル100を連結することができる。
【0034】
[第1実施形態の作用及び効果]
本実施形態の作用を説明する。
パネル100の表層が下地用の紙層141である。パネル100は化粧シート等の化粧層を備えていない。
【0035】
本実施形態のパネル100によれば、表層が紙層141である状態のパネル100を、構造物を施工する現場である部屋に搬入できる。
本実施形態のパネル100によれば、表層が紙層141である状態のパネル100を用いて、施工の現場で構造物を組み立てることができる。
【0036】
本実施形態の効果を説明する。
(1-1)パネル100の表層が紙層141であることで、パネル100の表層には、紙層141を下地としてパネル100を装飾する化粧層としての壁紙を貼ることができる。壁紙は、市販の壁紙を使用できる。壁紙は、クロスともよばれる。壁紙としては、たとえば、裏面に糊、接着剤等が予め付いているものを採用できる。また、接着剤を塗布してから貼り付ける壁紙を採用してもよい。
【0037】
(1-2)本実施形態によれば、パネル100を組み立てた後に、紙層141を下地として壁紙を貼ることができる。すなわち、パネル100を組み立てた後に、化粧層を形成できる。
【0038】
(1-3)
パネルの表層が装飾用の化粧層であったり、化粧層の上に積層される表面保護層であったりする比較例の場合には、表層が汚損した場合には表層を補修する作業が発生する。たとえば、パネルの搬入中及び施工中に表層が汚損することがある。また、施工後であっても周囲で行う他の施工によって表層が汚損する場合もある。
【0039】
この点、本実施形態では、パネル100の表層が紙層141である。紙層141に壁紙を貼っていない状態では、化粧層を補修するという作業が生じることがない。
また、上記比較例において化粧層を補修する場合と本実施形態のパネル100において下地である紙層141を補修する場合とを比較すると、下地を補修する場合の方が、補修作業を行いやすい。さらに、下地を補修する場合の方が、補修にかかる費用を抑えやすい。
【0040】
(1-4)
上記(1-2)に記載した比較例のようなパネルではパネルの汚損を防ぐために、パネルを搬入する際に梱包材等が使用されることがある。また、施工中に養生材等が使用されることもある。上記(1-2)に記載したように、下地である紙層141は、化粧層と比較して補修を行いやすい。このため、下地である紙層141は、化粧層と比較して梱包材、養生材等によって保護する優先度が低いといえる。
【0041】
そこで、本実施形態によれば、パネル100の表層が紙層141であることで、パネル100を保護する梱包材等を用意しなくてよい。この結果として、パネル100を搬入する際の梱包材等を削減できることによって、構造物を施工する現場で発生する廃材を減らすことができる。
【0042】
(1-5)本実施形態のパネル100によれば、紙層141が汚損したとしても、構造物を組み立てた後で壁紙を貼ることによって、紙層141が表から見えなくなる。このため、細かい傷、小さな汚れ等であれば、これらを補修する作業を省略することもできる。
【0043】
ところで、本実施形態のパネル100のように壁紙を貼ることのできるパネルでは、パネルに壁紙を貼っている際に紙層141が汚損する場合もある。このような場合でも同様に、補修作業を省略できる場合がある。
【0044】
(1-6)本実施形態のパネル100によれば、板材130に防湿シート140を貼り付けていることによって、パネル100に生じる反りを抑制することができる。
(1-7)本実施形態のパネル100は、板材130に防湿シート140を貼り付けている。本実施形態のパネル100によれば、パネル100に壁紙を貼った状態において、板材130から浮き出すしみ等が壁紙に及ぶことを抑制できる。
【0045】
(第2実施形態)
第1実施形態では、パネル100の四辺を囲う第1枠材121、第2枠材122、第3枠材123及び第4枠材124を芯材120として備えている例を示した。第2実施形態は、枠材に加えて他の芯材をさらに備えている点で、第1実施形態のパネル100と異なる。以下では、第1実施形態と相違する構成について主に説明するとともに、第1実施形態と共通の構成については適宜説明を省略する。
【0046】
図4は、第2実施形態におけるパネル200が備えている芯材220を示す。パネル200が備える板材及び防湿シートについては図示を省略する。
芯材220は、第1枠材221、第2枠材222、第3枠材223及び第4枠材224を備えている。
【0047】
芯材220は、第1中枠材225及び第2中枠材226を備えていてもよい。
芯材220は、補助材228を備えていてもよい。
芯材220は、補強材229を備えていてもよい。
【0048】
第1枠材221、第2枠材222、第3枠材223及び第4枠材224は、パネル200の四辺を囲っている。パネル200は、第1枠材221、第2枠材222、第3枠材223、第4枠材224及び板材によって囲まれた空洞S11を備えている。
【0049】
第1中枠材225及び第2中枠材226は、空洞S11に配置されている。第1中枠材225及び第2中枠材226は、空洞S11において交差するように配置されている。第1中枠材225及び第2中枠材226によって、空洞S11が区切られている。
【0050】
補助材228は、空洞S11を区画することで専用のスペースを確保するために取り付けられる。図4に示す例では、補助材228が取り付けられていることによって、空洞S11とは区切られた配線スペースS21が確保されている。パネル200が配線スペースS21を備えている場合には、パネル200の板材は、配線スペースS21を覆わないように加工されているとよい。
【0051】
補強材229は、芯材220の強度を向上させるために取り付けられる。
補助材228及び補強材229を取り付ける位置は、図4に示す位置に限らない。補助材228及び補強材229は、組み立て用パネルの用途、目的、設置場所等に応じて、適宜配置することができる。
【0052】
[第2実施形態の作用及び効果]
第2実施形態のパネル200によれば、第1実施形態の作用及び効果に加えて、さらに以下の作用及び効果を奏する。
【0053】
本実施形態の作用を説明する。
用途、目的、設置場所等に応じて専用に設計した組み立て用パネルを提供できる。
本実施形態の効果を説明する。
【0054】
(2-1)パネル200によれば、補強材229が配置されている部分に隣り合うパネル等の他の部材を取り付けることで、取り付け部分の強度を確保することができる。
(2-2)パネル200によれば、たとえば、室内に敷設する配線ケーブルを通すための貫通孔として配線スペースS21を利用できる。
【0055】
(2-3)パネル200によれば、たとえば、プラグ差し込み口、スイッチ装置等を取り付けるための貫通孔として配線スペースS21を利用できる。
(第3実施形態)
組み立て用パネルを用いて組み立てられる構造物の一例を説明する。
【0056】
図5及び図6は、構造物の一例であるワードローブ300を示す。
ワードローブ300は、組み立て用パネルである第1パネル101、第2パネル102及び第3パネル103を備えている。ワードローブ300が備えている組み立て用パネルは、パネル100のように枠材のみによって構成されている芯材を備えていてもよいし、パネル200のように枠材に加えて他の芯材を備えていてもよい。
【0057】
ワードローブ300は、部屋90の角に位置している。より詳しく言えば、ワードローブ300は、部屋90の第1壁93と第2壁94とが交差する角に位置している。
ワードローブ300は、第1パネル101、第2パネル102、第3パネル103、部屋90の床91、天井92、第1壁93及び第2壁94によって構成されている箱体である。
【0058】
第1パネル101は、部屋90の床91、天井92及び第1壁93に取り付けられている。第1パネル101は、床91、天井92及び第1壁93のそれぞれに対して垂直に取り付けられている。
【0059】
第2パネル102は、天井92、第2壁94及び第1パネル101に取り付けられている。第2パネル102は、天井92、第2壁94及び第1パネル101のそれぞれに対して垂直に取り付けられている。
【0060】
第3パネル103は、第2壁94、第1パネル101及び第2パネル102に取り付けられている。第3パネル103は、第2壁94、第1パネル101及び第2パネル102のそれぞれに対して垂直に取り付けられている。
【0061】
ワードローブ300は、組み立て用パネル以外の部材を備えていてもよい。
図6に示すように、ワードローブ300は、扉枠及び扉によって構成されている扉ユニット392を備えていてもよい。扉ユニット392は、箱体の開口部分に取り付けることができる。ワードローブ300は、棚ユニット391を備えていてもよい。棚ユニット391は、箱体の内部に取り付けることができる。棚ユニット391は、たとえば、ハンガーパイプ及び収納棚等によって構成されている。
【0062】
[構造物の組み立て方法]
構造物の組み立て方法の一例として、ワードローブ300の組み立て方法を説明する。
ワードローブ300の組み立て方法は、搬入工程、組立工程及び仕上工程を含む。
【0063】
搬入工程は、ワードローブ300を配置する部屋90に第1パネル101、第2パネル102及び第3パネル103を搬入する工程である。搬入工程では、たとえば、扉ユニット392及び棚ユニット391等も搬入する。
【0064】
組立工程は、施工現場である部屋90においてワードローブ300を組み立てる工程である。具体的には、搬入工程で搬入した第1パネル101、第2パネル102及び第3パネル103を取り付ける。組立工程では、たとえば、扉ユニット392及び棚ユニット391等も取り付ける。
【0065】
仕上工程は、施工現場である部屋90において第1パネル101、第2パネル102及び第3パネル103の表層に壁紙を貼る工程である。具体的には、組み立て用パネルの表層である紙層に壁紙を貼り付ける。
【0066】
構造物の組み立て方法では、搬入工程、組立工程及び仕上工程以外の工程を行ってもよい。
たとえば、部屋90の床91、天井92、第1壁93及び第2壁94等に雇実を取り付ける工程、及び組み立て用パネル同士を連結する箇所において芯材に雇実を取り付ける工程を行ってもよい。雇実を取り付ける作業は、たとえば、組立工程として行ってもよい。この場合には、雇実を取り付けながら順次構造物を組み立てることになる。雇実を取り付ける工程は、たとえば、組立工程よりも前に行うこともできる。たとえば、組立工程の直前に行ってもよいし、搬入工程よりも前に行ってもよい。
【0067】
たとえば、組み立て用パネルの表層を平坦にするための下地処理工程を行ってもよい。下地処理工程は、組み立て用パネルの表層である紙層に対して、凹み、穴、パネル同士が連結されている部分の段差等をパテによって埋める工程である。下地処理工程は、仕上工程よりも前に行うことができる。下地処理工程は、組立工程の終了後であり且つ仕上工程の開始前に行うことが好ましい。たとえば、下地処理工程を行うことなく紙層に壁紙を貼ることが許容できる場合には、下地処理工程は、行わなくてよい。
【0068】
たとえば、補修工程を行ってもよい。補修工程は、仕上工程を終了するよりも前に行う。補修工程は、下地処理工程を開始するよりも前に行うことが好ましい。補修工程は、組み立て用パネルの汚損を補修する工程である。組み立て用パネルの汚損は、たとえば、搬入工程の間、組立工程の間、仕上工程の間に生じることがある。組み立て用パネルの汚損は、たとえば、組立工程の後に、構造物の周囲で行う他の施工によって生じることもある。
【0069】
なお、組み立て用パネルである第1パネル101、第2パネル102及び第3パネル103は、ワードローブ300のために形状及び大きさが設計されている。これらの組み立て用パネルは、製造工場において設計に従って予め成形されている。すなわち、搬入工程よりも前に組み立て用パネルを製造する加工工程が行われているといえる。加工工程によって、防湿シートが板材に積層されている組み立て用パネルを製造できる。なお、防湿シートを板材に積層する工程は、紙層と合成樹脂層とが積層されている一体のシートを板材に貼る工程でもよいし、板材に対して紙層と合成樹脂層とをそれぞれ積層する工程でもよい。加工工程では、フラッシュ構造のパネルを製造する公知の方法によって組み立て用パネルを製造できる。
【0070】
[第3実施形態の作用及び効果]
本実施形態の作用を説明する。
組み立て用パネルを用いて構造物を組み立てることができる。構造物を配置する部屋において構造物を組み立てた後に、構造物の表面に壁紙を貼ることができる。
【0071】
本実施形態の効果を説明する。
(3-1)本実施形態によれば、高度な技術、専用の工具及び専用の機材等を必要とすることなく、構造物が配置されている部屋の利用者が組み立て用パネルに貼り付けた壁紙を貼り換えることができる。このため、部屋の模様替え等に応じて利用者自身が壁紙を変える作業を行うことができる。たとえば部屋の壁紙と構造物の壁紙とを揃えると、部屋と構造物との統一感を演出することができる。
【0072】
(3-2)化粧シートが予め積層されている化粧板では、化粧シートの修繕が困難であったり、化粧シートの修繕費用が嵩んだりすることがある。
これに対して本実施形態によれば、市販の壁紙を貼りなおすだけで構造物の表面を修繕できる。
【0073】
(3-3)本実施形態によれば、部屋90を構成する壁のうち第1壁93及び第2壁94と、第1パネル101、第2パネル102及び第3パネル103とを組み合わせてワードローブ300を組み立てることができる。箱体を構成する面として第1壁93及び第2壁94を利用していることで、組み立て用パネルのみによって箱体を組み立てる場合と比較して、箱体に使用する組み立て用パネルの枚数を減らすことができる。
【0074】
(3-4)箱体を構成する面として部屋90の壁を利用している本実施形態によれば、既製品の組み立て済みであるワードローブを搬入して部屋90に設置する場合と比較して、少ない材料によって構成しているワードローブ300を設置することができる。
【0075】
また、箱体を構成する面として部屋90の壁を利用している本実施形態によれば、既製品の組み立て式であるワードローブを部屋90で組み立てる場合と比較して、少ない材料によって構成しているワードローブ300を設置することができる。
【0076】
(3-5)構造物に応じて予め加工されている組み立て用パネルを用いて構造物を組み立てるため、施工現場で行う作業を少なくできる。このため、施工現場での作業時間を短くできる。これによって、高度な技術を要求されることなく施工を行うことができる。また、施工を少人数、たとえば一人で行うこともできる。したがって、施工を行う職人が不足していたとしても構造物を組み立てることができる。
【0077】
(第4実施形態)
組み立て用パネルを用いて組み立てられる構造物の一例を説明する。
図7及び図8は、構造物の一例であるユニットベッド400を示す。
【0078】
ユニットベッド400は、組み立て用パネルである第1パネル111、第2パネル112、第3パネル113、第4パネル114及び第5パネル115を備えている。ユニットベッド400が備えている組み立て用パネルは、パネル100のように枠材のみによって構成されている芯材を備えていてもよいし、パネル200のように枠材に加えて他の芯材を備えていてもよい。
【0079】
ユニットベッド400は、部屋90の角に位置している。より詳しく言えば、ユニットベッド400は、部屋90の第1壁93と第2壁94とが交差する角に位置している。
ユニットベッド400は、デスク部400aと、デスク部400aの頭上に位置するベッド部400bとを備えている。
【0080】
ユニットベッド400は、第1パネル111、第2パネル112、第3パネル113、第4パネル114、第5パネル115、部屋90の床91、第1壁93及び第2壁94によって構成されている箱体である。デスク部400aは、第3パネル113、第4パネル114、第5パネル115、部屋90の床91、第1壁93によって構成されている。ベッド部400bは、第1パネル111、第2パネル112、第3パネル113、第4パネル114、第5パネル115、部屋90の床91、第1壁93及び第2壁94によって構成されている。
【0081】
第1パネル111は、部屋90の床91及び第2壁94に取り付けられている。第1パネル111は、床91及び第2壁94のそれぞれに対して垂直に取り付けられている。
第1パネル111、第2パネル112及び第3パネル113は、同一平面上に配置されている。第2パネル112は、第1パネル111及び第3パネル113と連結されている。第3パネル113は、第2パネル112と連結されている。
【0082】
第3パネル113は、部屋90の床91に取り付けられている。第3パネル113は、床91に対して垂直に取り付けられている。
第4パネル114は、部屋90の床91、第1壁93及び第3パネル113に取り付けられている。第4パネル114は、床91、第1壁93及び第3パネル113のそれぞれに対して垂直に取り付けられている。
【0083】
第5パネル115は、部屋90の第1壁93及び第3パネル113に取り付けられている。第5パネル115は、第1壁93及び第3パネル113のそれぞれに対して垂直に取り付けられている。第5パネル115は、第4パネル114に対して平行に取り付けられている。第5パネル115は、第2壁94に対して第4パネル114よりも離れた位置に取り付けられている。第5パネル115は、第4パネル114よりも天井92に近い位置に取り付けられている。
【0084】
ユニットベッド400は、組み立て用パネル以外の部材を備えていてもよい。
図8に示すように、ユニットベッド400は、ベッド部400bの床を構成する床板491を備えていてもよい。ユニットベッド400は、デスク部400aの天板492を備えていてもよい。ユニットベッド400は、床91とベッド部400bとの間にかけられる梯子493を備えていてもよい。
【0085】
[構造物の組み立て方法]
ユニットベッド400は、たとえば、第3実施形態におけるワードローブ300の組み立て方法と同様の流れに従って組み立てることができる。一例としてユニットベッド400の組み立て方法は、加工工程、搬入工程、組立工程及び仕上工程を含む。
【0086】
[第4実施形態の作用及び効果]
本実施形態によれば、第3実施形態の作用と共通の作用を奏する。
本実施形態によれば、第3実施形態の効果と共通の効果を奏する。
【0087】
(変更例)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0088】
図3には、パネル100を壁93に取り付ける方法としてねじ止めを例示した。ねじに替えて釘を打ち込むことでパネル100を取り付けるようにしてもよい。
・第2実施形態では、第1中枠材225及び第2中枠材226の二つの中枠材を備えているパネル200を例示した。中枠材は、一つでもよいし三つ以上でもよい。パネル200が備えている芯材220は、いわゆる田の字型であるが、中枠材の組み合わせによって、たとえば梯子型、格子型等の芯材を構成してもよい。
【0089】
・組み立て用パネルとしてフラッシュ構造のパネルを例示した。組み立て用パネルは、ペーパーコア等のコア材を空洞S1に充填してもよい。コア材は、ハニカム構造等を形成していてもよい。
【0090】
・組み立て用パネルとして芯材の両面に板材及び防湿シートを備えるフラッシュ構造のパネルを例示した。組み立て用パネルとしては、芯材の片面にのみ板材及び防湿シートを備える構造を採用してもよい。すなわち、組み立て用パネルは、いわゆる片面フラッシュのパネルでもよい。
【0091】
・組み立て用パネルは、フラッシュ構造に限らない。組み立て用パネルは、中実のパネルでもよい。
・第3実施形態及び第4実施形態では、部屋90を構成する壁のうち第1壁93と第2壁94との二つの面を利用して箱体を組み立てている。箱体に利用できる壁の数はこれに限らない。部屋90を構成する壁のうち一つの壁を利用してもよいし、部屋90を構成する壁のうち三つの壁を利用してもよい。言い換えれば、構造物の位置は部屋の角に限らない。
【0092】
他の例としては、部屋90の壁を利用することなく、部屋90の床91、天井92及び組み立て用パネルを利用して箱体を組み立てることもできる。また、部屋90の壁を利用することなく、部屋90の床91及び組み立て用パネルを利用して箱体を組み立てることもできる。
【0093】
・第3実施形態では、構造物の組み立て方法において仕上工程を行なっていたが、仕上工程は省略されていてもよい。すなわち、構造物の組み立て方法としては、組み立て用パネルを組み合わせて構造物を組み上げた段階で構造物を組み立てる流れを終了してもよい。たとえば、構造物の施工者が構造物を組み立てた後に、その構造物の利用者が、好みに応じて各自で用意した壁紙を下地用の紙層上に貼り付けることができる。また、壁紙を貼り付けずに、表層が下地用の紙層のままで使用することもできる。
【0094】
・上記各実施形態では、表層である紙層141に壁紙を貼る例を示した。壁紙に限らず、装飾用の仕上げ材であれば紙層141に対して貼ることができる。装飾用の仕上げ材としては、壁紙、化粧シート、化粧フィルム、化粧板等が挙げられる。また、仕上工程は、紙層に仕上げ材を貼り付ける工程といえる。
【符号の説明】
【0095】
100…パネル
120…芯材
124a…凹部
130…板材
140…防湿シート
141…紙層
142…合成樹脂層
200…パネル
220…芯材
300…ワードローブ
391…棚ユニット
392…扉ユニット
101~103…第1~第3パネル
400…ユニットベッド
400a…デスク部
400b…ベッド部
491…床板
492…天板
493…梯子
111~115…第1~第5パネル
90…部屋
91…床
92…天井
93…第1壁
94…第2壁
98…雇実
【要約】
【課題】部屋の室内に構造物を組み立てるための組み立て用パネルに関して、パネルを部屋に搬入する際等の問題を解決する。
【解決手段】パネル100は、部屋の室内に構造物を組み立てるための組み立て用パネルである。パネル100は、板材130と、板材130に積層されている防湿シート140と、を備えている。防湿シート140は、下地用の紙層141と合成樹脂層142とを積層して構成されている。紙層141がパネル100の表層をなしている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8